スレから追い出されたSSを投下するスレPart2at EROPARO
スレから追い出されたSSを投下するスレPart2 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
08/04/13 17:48:28 IohT5qOd
前スレ

スレから追い出されたSSを投下するスレ
スレリンク(eroparo板)

3:名無しさん@ピンキー
08/04/13 17:49:24 EeqDG6Fh
あれ、前のとこ埋まってたのか。

>>1
このスレはあったほうがなんとなく安心だ。

4:名無しさん@ピンキー
08/04/13 17:56:37 4q7cIQy5
>>1
乙です

前スレからの続きを投下します。



5:19/21
08/04/13 17:57:08 4q7cIQy5
「ねえ、五代さん」響子さんが体を起こし五代の名を呼ぶ。
「なんですか?」
「うん……」響子さんがちょっと考える素振りを見せる。
「どうしたんですか?」
「あたし、あなたに伝えとかないといけないことがあるんです」
「一体なんです?」五代も起き上がり響子さんの腰に手をまわして軽い気持ちで尋ねる。
「あのね……」響子さんが少し俯いてくすりと笑う。

「……あたしのことを好きになってくれて……ほんとにありがとう」そういって響子さんは五代に
軽く口づけする。
「えっ……」五代は思わず呆然とする。
「あたし、今とっても幸せなんです。あたしのことを本当に大切に思ってくれる五代さんと一緒に
なれて。でもこれはやっぱり五代さんのおかげなんだと思うの。だからちゃんと言っとかないとっ
て思ったんです」
五代は響子さんがベッドから出て床に落ちているガウンを身に着ける様子をただ何も言えず黙って
見つめる。

「五代さんが初めて出会った日からあたしのことをずっと好きでいてくれたから……あたしはこん
なに幸せになれたんです」響子さんは五代に背中を向けたまま恥ずかしそうにつぶやく。
「響子さん……」
「もう、そんな顔しないでください。今日はオールナイトで宴会なんだから早く一刻館(うち)に
帰りましょ」照れているのを隠しながら浴室に向かう響子さんの後姿を見ているうちに五代はにや
にやして笑いが止まらなくなる。

「幸せになりましょうね、響子さん……」一人つぶやく五代であった。

-----------------------------------------------------------------------------------

「着きましたね、響子さん」
「ええ……」響子さんが相槌を打つ。二人の目の前には見慣れた古ぼけた建物がある。そう、二人
は一刻館に戻ってきたのだ。
「五代さんがちゃんと言ってくださいね、あたし達もう夫婦なんだって……」
「ええ、もちろんです」そういって五代が響子さんに力強くうなずく。
「じゃあ入りましょう」そういって五代が一刻館の玄関の扉を開くと……いつものみんなが大量の
お酒とともに待ちくたびれている姿が目に入る。
「お、戻ってきた」一の瀬さんが口を開く。
「遅いのよ、なにやってんの~?」朱美さんがいつもの口調で言う。
「もう待ちくたびれてしまいました」四谷さんがため息をつく。
「あ、あの……」五代が意味もわからず口を開こうとすると一の瀬さんがそれを遮る。
「仲直りしたんだろ?」そういって二人の顔を見る一の瀬さん。
「ええ、まあ……」響子さんがこたえる。
「じゃあこんなところでのんびりしてないで、五号室で一気に盛り上がろう!」一の瀬さんがいつ
もの扇子を手に一気にテンションを上げる。
「こっちはずっと待ってたんです」四谷さんが二人の背中を押して5号室へと向かわせる。
「どうせ別れるわけないんだから最初から喧嘩なんかしなきゃいいのに」そういって朱美さんが笑
う。どうやら3人とも二人が別れるとはこれっぽちも思っていなかったようなのだ。結局当の本人
達よりずっと二人を見てきた住人達の方が二人のことをわかっていたのだ。



6:20/21
08/04/13 17:57:32 4q7cIQy5
「それでは五代君と管理人さんの仲直りを記念して~」四谷さんがビール缶を持ち上げる。
「かんぱ~い!」みなで乾杯をあげる見慣れた光景が広がる。五代と響子さん、一の瀬さんに二階
堂、四谷さんに朱美さんと久しぶりにフルメンバーでの宴会だ。

「まったくいつまでたってもあんたらはひっついたり離れたりで忙しいねえ」一の瀬さんは五代と
響子さんに小言を言う。
「その、すみません」五代がなんとなく謝る。
「いいんだよ、今回は管理人さんが悪いんだから」
「すみません……」響子さんが珍しく小さくなって謝る。
「でも今度こそ二人は終わりだと思ったんだけどな~」二階堂が誰ともなくつぶやく。
「あんたはわかってないね~」朱美さんが二階堂を笑い飛ばす。
「そんなことありませんよ」二階堂がむきになる。
「へ~」朱美さんが二階堂をいじり始める。
「まだ式まで数日あるんだからもう一波乱あるかもしれませんよ」二階堂が真剣な表情で言う。
「それはそうですな」四谷さんも同意する。
「次は管理人さんに実はもう一人男がいたとか、五代君が八神さんと逃げるくらいしかないねえ」
一の瀬さんが笑う。
そんな住人達のやり取りに五代と響子さんが顔を見合わせくすりと笑う。
「なんで笑うの~?」朱美さんが目ざとく二人の様子に気づいて尋ねる。
「え、その……なんでもないです」五代がそういってごまかす。
「五代さん、そうじゃないでしょ?」響子さんが五代を肘でつつく。
「そうじゃないって……なんだい?」一の瀬さんが口を挟む。
「いや、その……」五代は住人達の迫力につい圧倒されてしまう。
「もう、しっかりしてよ!」響子さんは少し呆れて言う。
「わかりました、響子さん」そういって五代が姿勢を正す。
「ほ~、珍しく五代君がまじめな表情ですな」四谷さんが五代をからかう。
「ええ……実は皆さんに聞いてもらいたいことがあるんです」そういって五代がみんなを見渡す。
「まさか……できちゃったのかい……?」一の瀬さんが下品に笑う。
「違います!」響子さんが即座に否定する。
「じゃあなによ~?」と朱美さん。
「実は……さっき役所に届けを出したんで、もうおれ達、夫婦なんです」と五代。
「え、なに、じゃあ、管理人さんはもう……」
「はい……あたしはもう……五代響子なんです」響子さんが少し顔を赤らめて報告する。
「なんとはやまったことを……」四谷さんが頭を抱える。
「からかうネタが一気になくなってしまったではないですか!」
「は、ははは……」五代がひきつった笑いを見せる。
「管理人さん、いいんですか!?」二階堂が真剣な表情で尋ねる。
「いいもなにも……あたし、この人と一緒になるって決めましたから」そういって響子さんが顔を
上げみんなを見る。



7:21/21
08/04/13 17:58:03 4q7cIQy5
「これはホントだね」一の瀬さんがつぶやく。
「つまんないの~」朱美さんも続く。
「ネタが減ってしまいましたなぁ」と四谷さん。
「もったいない……」と二階堂。
「あんたらなぁ……」五代が少し怒った表情を見せる。
「冗談だって。じゃあ五代君と管理人さんの結婚を祝ってぱーっとやろうか!」一の瀬さんが気勢
をあげる。
「今夜は盛り上がりましょう」五代が珍しくテンションを上げる。
「五代君、盛り上がってますな。私たちも負けてはおられません!」四谷さんが続く。
「ちっ、調子に乗っちゃって。とりあえずお代わり!」朱美さんもビールを一気に飲み干す。

「ねえ、五代く~ん」宴会の最中、一の瀬さんが扇子を片手踊りまくり、四谷さんが皿回しをする
光景を横目で見ながら朱美さんが五代に話しかける。
「なに?」
「ふふ~ん、管理人さんと仲直りした後、今までなにしてたの?」朱美さんがくすくすと笑いなが
ら尋ねる。
「なにって……」五代は思わずどきっとするが平静を装う。
「管理人さんから昨日はしなかった石鹸のいい匂いがするのよね~」朱美さんがにやにやしながら
五代の様子を伺う。
「なっ……」五代の顔が思わず赤くなる。
「昨日は管理人さん、ずっと一刻館にいたのになんでかな~」朱美さんがそれとなく鎌を掛ける。
「隠さなくってもいいじゃない、二人はもう、ふ・う・ふ、なんだから」
「いや、そんな……」
「そんななによ?」朱美さんが五代を執拗に追求する。
「なんにもありませんよ、おれ、響子さんを説得するのに必死だったんだから」五代も必死にごま
かそうとする。
「ちっ、意外と口が堅いのね」朱美さんは作戦を変更する。
「ねえ、みんな聞いて、五代君と管理人さん、さっきまでホテルに行ってたんだって!」朱美さん
が適当に憶測をぶちまける。
「な、なんと、ほんとですか、管理人さん?」四谷さんが響子さんに尋ねる。
「な、な……」響子さんは動揺してしまい言葉が出ない。朱美さんが言ったでまかせが不幸にも事
実であるのだから仕方がない。
「だって五代君が今認めたんだも~ん」朱美さんが大ぼらを吹く。
「違う、嘘です。響子さん、落ち着いて!」五代が必死に響子さんを抑えようと振り返る。
しかし……
「五代さん、あなたって人は~!!!!!」響子さんが怒りの炎に包まれる。
「響子さん、違うんです」
「そりゃあ確かに行きましたけど……そんなこと、朱美さんにぺらぺらと得意げにしゃべったんで
すか!!」
「ああ~」五代が天井を仰ぎ見て片手で顔を覆う。それを見て朱美さんがにやりと笑う
「なんですか、その態度!」響子さんの怒りはとどまる気配がない。
「管理人さ~ん」朱美さんがにやにやしながら響子さんの肩に手を掛ける。
「なんですか、今忙しいんです!」
「まぁまぁ、落ち着いて」朱美さんが響子さんを押しとどめる。
「実は五代君はなんにもしゃべってないの」そういって朱美さんが笑う。
「へ……?」響子さんがきょとんとした表情になる。
「さっきのはあたしの冗談なの」
「そ、そんな……」響子さんが呆然とした表情になる。
「響子さんは朱美さんに引っ掛けられたんですよ」五代がため息をつく。
「朱美さん、悪質な冗談は……」と言いかけたところで響子さんはみなが自分のことを見ているこ
とに気づく。



8:22/22
08/04/13 17:58:54 4q7cIQy5
「仲直りに真昼間からホテルか……生々しいねえ」一の瀬さんがたばこに火をつける。
「結婚した日にホテルですか……」二階堂がつぶやく。
「管理人さんもやっぱり女の人なんですねえ」二階堂の中で清純な響子さんのイメージがガラガラ
と音を立てて崩れていく。
そんな二人の言葉に響子さんは顔を真っ赤にして背中を向ける。恥ずかしさに顔から火が出てしま
いそうだ。
「まぁ二人はもう半年も付き合ってるんですから今さらホテルがどうのこうのもありませんなぁ」
恥ずかしさから後ろを向いてしまった響子さんを見て四谷さんが笑う。
「それもそうだねえ」一の瀬さんが続けて笑う。
「そうよ、ガキじゃあるまいし」朱美さんが平然とした表情で開き直る。
「はは、ははははは……」五代も愛想笑いをするが隣で俯いてしまったままの響子さんの姿に気づ
く。
「きょ、響子さん……」五代はなんと響子さんに声を掛けようかと悩む。
「……がいけないのよ」響子さんが小さな声でつぶやく。
「え……なんですか?」よく聞き取れなかった五代が再度響子さんに尋ねる。
「五代さんがいけないのよ、真昼間からホテルに誘うなんて!」
「な……」五代は響子さんのすさまじい屁理屈に驚きを隠せない。
「そうそう五代君が悪いの、そうしとけば安泰よ~」と朱美さん。
「うんうん、管理人さんは悪くない、五代君が悪い」一の瀬さんが調子に乗ってあわせる。
「五代君が悪いですな、やっぱり」四谷さんがしたり顔でうなずく。
「結局おれが悪者かよ」五代は拗ねて横を向く。その姿に皆が笑い、5号室はいつものように明る
い笑い声に包まれる。
こうしてまた一刻館の夜はゆっくりと過ぎていくのであった。


----------------------------------------------------------------------------------------

チュンチュチュン……

小鳥の囀りの中、五代は目を覚ます。
台所の方を見ると響子さんが朝ごはんの支度をしているようだ。五代が起き上がり背筋を伸ばすと
その気配に響子さんが声を掛けてくる。
「五代さん、おはようございます」響子さんがにっこり微笑む。
「おはようございます」五代も響子さんに微笑む。
「ついにこの日が来ましたね……」五代がつぶやく。
「ええ……」と響子さん。
五代は立ち上がるとカーテンを開け一歩外に踏み出る。見上げると雲ひとつない青空が目に入る。
既に五代と響子さんは夫婦であり式は文字通り儀式にすぎない。しかし、お世話になった人達の前
で永遠の愛を誓うこの日はやはり特別な日だと五代は思う。
「何を考えてるんですか?」知らぬ間にそばに来ていた響子さんが五代に寄り添いながら尋ねる。
「晴れてよかったなと」相変わらず気の利いたセリフを言えない自分を呪う五代。
「本当に晴れてよかったわ」当の響子さんは五代の言葉をそのまま受け取り返事をする。
「響子さん……おれ達幸せになれるでしょうか……」五代が何の気なしにつぶやく。
「ふふふ……」響子さんが笑う。
「なにかおかしいですか?」
「五代さん、あたし達はね……幸せになれるんじゃなくて……幸せになるんです」響子さんが笑い
ながら言う。
「響子さん……」五代は響子さんの言葉にゆるぎない何かを感じ思わず驚く。
「ほら、はやく顔洗ってきて!時間、あんまりありませんよ」いつも通りお気に入りのPIYOPIYOエ
プロンを身に着けた響子さんが台所に戻りながら五代をせかす。
(幸せになれるんじゃなくて……幸せになる、か……)五代は響子さんの背中を見ながらその言葉
を反芻する。
(響子さんのいうとおり……おれ達は幸せになる、それでいいじゃないか!)五代は振り返り再び
青空を見上げる。まるでこの大空も自分達の味方になってくれたような気がしてくるから不思議だ。
「五代さん、何してるんです~?」部屋の中から響子さんの声が聞こえる。
「今、いきま~す」五代はそうこたえると足取りも軽く部屋に戻っていくのであった。


「A10 桜の下で」 完

9:22/22
08/04/13 18:00:03 4q7cIQy5
以上です。
全部で22話でした。


ではまた。

10:名無しさん@ピンキー
08/04/13 21:06:57 G0LDDeqe
原作も元ネタも何も知らない通りすがりだが、GJと言わせて貰う
どういう経緯で追い出されたか知らないが、これだけ長編書いてあるから、
元スレの住人はもう少し優しくすべき
いつか住人達と仲直りし、スレにうまく復帰できることを、心から祈ります


11:名無しさん@ピンキー
08/04/13 21:44:39 U9fj+ocq
>>9
GJ!!

前スレに11/11のが二つあったけど重複ですね。



>>10
このスレに投稿してくれた職人にはたくさんのファンがいたんだけどね。

ファンがその職人の作品を評価するのは問題なんだが、
ファンの中には他の職人の作品をけなすような人も出てきて

それでまあ職人のファン以外の住人の反感を買ってしまったという


12:スターダスト ◆C.B5VSJlKU
08/04/14 16:39:10 daTwwqk9
魔人探偵脳噛ネウロinエロパロ板 第18話
スレリンク(eroparo板)

に投下する予定でしたが、非エロがちょっと長すぎになったのでこちらに投下させていただきます。

13:馬【ばかきょうだい】
08/04/14 16:40:00 daTwwqk9
「おいネウロ! 仕事取ってきやがれ!」
 魔界結婚相談所に弥子(老け顔ver)の野太い声が響いた!
「といっても先生! このご時世、純愛に生きる奴なんていませんよ! 女性はみーんな身の
程知らずな高待遇を求めてます! 男性は負け組なら生きるだけで精いっぱいで、勝ち組なら
適当においしそうなのをとっかえひっかえ! 参りましたねーこの格差社会! ハハハ!」
 鬱陶しい子安声(ペルソナ音頭で「夢開きましたかー?」とかいってるトーンね)でネウロが
応答するやいなやその顎にダイヤ製二十万カラットの灰皿が直撃しタバコの灰が舞い散った。
「ガタガタ抜かすとウブ毛までしゃぶってやるぜこの魔人野郎! ゲヴァヴァヴァヴァヴァ!」
 弥子(老け顔ver)は一升瓶になみなみと入った鬼殺しをぐびりと豪儀に煽ると、酒臭いげっ
ぷをまき散らしながらネウロに投げつけた。命中。割れた。
「やめてくださいよー先生」
 ネウロは頭から血をだくだく流しながら困ったように微笑んだ。
「るせー! 俺が好き勝手に競馬やパチンコ行けなくなったのは、テメーが魔界から上京して
きて『一緒に愛のキューピッドやらなきゃ僕ちんドブに生首さらすでちゅー!』って俺に懇願し
てきたからだろうが! あああ!? なんだこの仕事! 何が月収十六万円でやる気次第で
稼げますだ! ちっとも潤わねーよ! うぉ! おおお! ニンキナシシックス号トップに躍り出
た! おじさん、財布の前に秘所が潤っちゃうね! 粘れ粘れ、粘れ粘れ、そう、愛液のように
粘れ粘……チッ! ハイセンスオーツカなんぞに抜かれてんじゃねー! こっちゃ抜けねェ!」」
 後半はラジオ中継の競馬に対する感想だ。弥子は耳からイヤホンを引き抜くとラジオをネウ
ロにブツけて千億の破片へと砕いた。
「てめ、グダグダだべってねーで駅前でビラ巻いてこい! 俺らに任せりゃ好きなだけ女にカマ
せるなってなぁ!」
「そんな! 僕は精神的な純愛を成就させる天使なのに!」
「純愛だぁ!? ハッ、俺ぁ小学生時分、マジックマッシュルームをキめてたらテレビからリリカ
ルなのはが出てきてレイプされたんだ! 以来純愛なんざいっさい信じてねえ! この世で確
かなのは金と己の熱情だ! わかったら行ってこい!」
 やにわに冷たい声が響いたのは正にその時である。
「オイ。ここ営業中だよな?」
 いつの間にか相談所に一人の男が入ってきていた。
 背はそこそこに高くやせ型、髪は雪をまぶしたような白いショートウルフで色眼鏡をかけている。
 胸を軽く開いた黒の半袖カットソーと薄いオリーブドラブのパラシュートパンツはいかにもラフ
な印象を弥子に抱かせたらしく、彼女は出て行けとばかりに苦い顔をした。ついでにツバも溜めた。
「俺は早坂幸宜。通称ユキ。ちょっとした会社をアニキと経営している。依頼さえ完遂すれば報
酬は弾むぜ」
「らっしゃいませこんにちはー!!」
 弥子の威勢のいい声が結婚相談所に木霊した。
 転瞬! やにわに弥子と距離をつめたユキの右掌からばぁっと銀の光が閃いた!
「失せな」
 弥子が驚く暇(いとま)もあらばこそ。喉仏の下、なめし皮のように干からびた首筋に横一文
字の線が左から右へ過ぎ去ったかと思うと、ドス黒い血しぶきが冗談のように噴出した!
 線と描いたがすでに立体的な浸食をしている! 首の半ばまでをも切り裂いているのだ!
「アニキにいわせれば、十代半ばで膝回りが既に黒ずんでるような物体は女じゃない。ゴミだ。
クソだ。死に絶えろってな……アニキが喜ぶなら俺はいくらでも泥を被ってやるぜ」
「ブンゲベラベラボギャバァァァァ!!!」
 かつてここの主だったものはこうして断末した。瞳孔を見開かせ口へ気泡混じりの喀血と叫
びを焼けつけたまま……
「名刺だ! とっとけ!」
 ネウロが人差し指と中指で名刺をキャッチする頃、弥子の頭が首に蝶番があるかのように
背中へとダラリと垂れ下がり、重心移動の関係でそのまま後のめりに床へ叩きつけられた。
 そして床に広がるドス黒い血だまり。いつも通りの風景だ。


14:馬【ばかきょうだい】
08/04/14 16:40:58 daTwwqk9
「で、ご依頼というのは?」
 ネウロはソファーに腰掛けテーブルを挟んでユキと向かいながら訪ねた。
 ニコニコと木魚を叩いているところからも、ヤコの仇を討とうという気が満載だ。
「この二人を結んでやって欲しい」
 ユキが二枚の写真を黒いテーブルに乗せると、ネウロの木魚を叩く手が止まった。
 結ぶ、という依頼からすれば当然写真の二人は男女である。
 だがネウロは一瞬その二人が親子ではないかと想像したほど二人の年齢は離れていた。
「こっちが早坂久宜。オレのアニキだ」
 ユキがまず指差した男性の写真はパンフレットに載っても遜色ないほど画質がいい。
 どこかの階段に肘からもたれかかる全身像がローアングルから映されている。話の筋から
すると彼もユキと同じく会社経営者だ。ならば何かの広告用に取られた写真かも知れない。
 年は三十代前半だろうか。背はすらりと高く、黒いスーツの下に紫色のカッターシャツを着て
いる所からして既に普通の会社経営者らしからぬ雰囲気があり、背骨の意匠があしらわれた
黒いネクタイが物騒さを決定づけている。
 髪は少しラフで短い七三分けだ。顎には芝生のような髭。口元に浮かべた笑みはひどく手慣
れており、写真撮影時のみならず日常の中、寝食すみずみまでずっと微笑しているのではな
いかと思われた。
「で、こちらのお嬢さんがお兄さんの想い人というワケですね」
 ネウロは透き通るような笑みを浮かべてもう一枚の写真を指差した。
「……ああ」
 ユキの雰囲気が少し重くなったのは、写真の人物が「お譲さん」であるからだろう。
 もしくはこの写真を撮る苦労を思い出し表情が曇ったのではないかとネウロが勘ぐるほど、
写真は色々な意味で映りが良くない。手ブレやピンボケが散見でき、四隅には木の葉が映っ
ている。
「つまり、こういう場所から密かに撮影せねばならぬ事情があるのですね? おっと失礼」
 ユキの色眼鏡の奥で激しい光が灯ったのを見て、ネウロは写真観察に戻った。
 彼は魔人なので人の価値判断に「美醜」という物差しを用いるコトはないが、用いないだけ
で一応は(人間社会で生活するための知識として)持っている。
 それに照らし合わせると写真に映っているのは、なかなか人間社会では稀な美少女でない
かと思われた。人間とは違う冷静な目線で観察してなおそういう結論がでるほどの、だ。
 ネウロの知る、「芸能プロダクションとやらに入って経営戦略通り歌ったりドラマに出たりして
二年ぐらい持てはやされた後どっかに消えて、また似たような新しいのが出てきてまた消えて、
そのサイクルが早くなるにつれ質が段々低下して写真集を四十万円分ばかり買わせようとす
る」人種でも、そうはいない美少女のように思われた。むしろ戦略を以て石を玉として売りさば
き年々テレビをつまらなくするしか能のない芸能プロダクションの馬鹿げた活動と無縁である
からこそ、少女の少女らしい可憐さが野に咲く花のようにすくすくと伸びやかに外見へ滲出
(しんしゅつ)しているようにさえ思われた。
 写真の中で遠巻きにうつされる彼女には実に余分な装飾がない。
 ふんわりとウェーブのかかったセミロングの髪のてっぺんに黒く大きなカチューシャをつけて、
何を道端に見つけたのか、屈託ない笑みを浮かべている。着衣はフリルのついたピンク色の
ワンピースで、肩には白ジャケットを羽織っている。楚々とした白いジャケットは少女を一層甘
やかに演出しており、今はこの世にいない弥子が見ればクリームの甘さを想起するだろうとネ
ウロは往時を思って涙を流した。そして鳥になって見下ろす心持ち続けながらリアルな日々に
負けないよう口から火球を吐いて弥子の死体を燃やした。
「宮迫睦月……ってんだ。あんた、狸屋って玩具メーカー知ってるか?」
「ええ。先生は生前、大麻とハッピターンの粉を吸いながらまた裂きゲームをするのが好きで
した。なのになのに一体どうしてこんなコトに。うぅ、しくしく」
 いつの間にかネウロは燃えさかる弥子の死骸の前に立ち、げっげっげとマグマを吐きかけ
ていた。蛭とかぶっているが気にしない。むしろ強い酸を含んだ魔界のマグマなのでキルバー
ンだ。最近のジャンプにはああいう鬼畜な外道がいないので物足りぬとネウロは思った。
 火勢はマグマにその本性の何事かを誘引されたらしく、いよいよその勢いを増し事務所全体
を恐ろしい光で照らした。しかるに火はそれ以上範囲を広げる気配がない! おお、なんと端
倪(たんげい)すべからざる魔人のわざ!


15:馬【ばかきょうだい】
08/04/14 16:42:01 daTwwqk9
 ユキは一切合切を無視した。付き合っても仕方ないと思ったのだろう。
「写真のガキは狸屋の社長の孫だ。少し前、ちょっと依頼を受けてな……」

 ユキの話すところではこうらしい。
 以前、社長の身辺に異変が起こった。
 行く先々で鉄骨や植木鉢やシータが頭上から落ちてくるようになったのだ。
 流石に誰かに狙われていると思った社長は警察に相談したが、取り合って貰えなかったので
ユキとその兄の経営する会社に警護を頼んだという。シータは温泉旅館へバイトしに行った。

「警護? おや、先ほど頂いた名刺には香辛料の輸入や卸販売とありますが?
「あぁ、それは表向きの名目。うちは裏じゃ色々あるんだ」

 要するに最初はユキたちが昔務めていた総合信用調査会社に話が行ったのだが、担当者
がドラマCD版からアニメ版へ移行する際まるで別人になったような声変わりをきたし咽頭部
爆裂により急逝したため、かつてのツテでユキの会社に御鉢が回ってきたらしい。

「ま、そこは俺達兄弟。ちゃんと警護は成功させたさ」
「ほほう。それはお見事。世の中には依頼を受けておきながら殺人を阻止できない無能な探
偵やエサ欲しさに敢えて阻止をしないひどい助手もいるというのに!」

 社長を殺そうとしていたのは息子だったらしく、それがバレるとなんかアンコウみたいな姿で
七光どうこうを喚いて、愛刀の和泉守兼定二尺八寸をバットのような持ち方の示現流で「チェス
トー!」と猿叫立てつつ社長に迫ったが、久宜が抜く手も見せぬ拳銃さばきで即座に膝と掌を
撃ち抜き犯行を阻止したという。薩摩なのに土方の愛刀? と思う方は翔ぶが如くの最終巻を
読むがよろし。人斬り半次郎こと桐野利秋も持ってたのが分かる。

「で、問題はココからだ
「ほほう」

 ベタだけど回想スタート。パトやらポリやらがごったがえする狸屋本社前。

「ご依頼の件、完了しました」
「おお、ありがとうじゃ! これでわしは世界中の子供に向かって這って歩ける! それに比
べれば醍醐の逮捕なぞ……逮捕なぞ……」
 宮迫社長は警察に連行される醍醐を見ながら拳を震わせた。
「馬鹿者が……! このわしの血を受けた息子ならば七光なぞなくとも狸屋を発展させられる
と信じていたのに……!!」
 苦渋に満面を染める宮迫社長の目には耐えがたい涙が浮かんでいたというがそれは本題と
は関係ないし、早坂兄弟にも関係ない。
「では報酬は指定の口座まで……」
 久宜はサングラスのノーズパッドをくいっと引き上げながら立ち去ろうとした。
 するとである。野次馬かきわけキープアウトのテープをくぐり抜け、宮迫社長に飛びついてき
た影があった。早坂兄弟が警護の任を引き受けながらそれを見逃したのは、影が少女だったの
と顔見知りの太い葉巻を加えた巡査がテープの前で影に行くよう指示するのを見ていたからだ。
「おお、睦月」
 祖父の危機や叔父の逮捕を聞きつけ駆け付けたのだろう。睦月は宮迫社長にすがって無
事を喜び声を上げて泣きだした。
 久宜はどうかわからないが、ユキは兄を慕ってやまないのでさほどそういう光景は嫌いでは
ない。立場を鑑みながら「たまにはいいか」と今回の任務も満足を覚えかけたその時である。

 睦月が宮迫社長から離れて、手近にいた久宜にペコリと大きく頭を下げた。

「あの、おじいちゃんを助けてくれてありがとう!」

 睦月は頭を上げると、まだまなじりににうっすらと涙をうかべながら、飛びきりの笑みを久宜に
向けた。
 ユキは確かにその時、異様な音が久宜から響くのを聞いた。

 ドッキーン☆


16:馬【ばかきょうだい】
08/04/14 16:42:46 daTwwqk9
(なんだよアニキその音!)
 ユキはかつて兄が捨て猫どもを拾ったのを覚えている。覚えているというか今でも自宅には
その猫らが居て、もうすぐ室内用のアスレチック器具すら届くから、兄との関係に対する死活
問題として扱っている。
 最初こそ久宜は、「猫どもから三毛猫のオスを見つけた。金になるから拾った」と弁明してい
た癖に、それ以外の無価値な子猫どもにデレデレと頬を緩めてレモン石鹸で洗ったり温めた
ミルクをふうふうしてから与えたり、牛乳は腹壊すのかー! と焦ったり、四種混合ワクチンは
いつ打てばいいかと真剣に悩んだりしている。
 要するに、可愛い物好きな側面を有しているのだ。久宜は。
 その事実を脳裏に描き兄の変調とそれをもたらした少女を見比べたユキは更に驚くべき光景
を目の当たりにした。

「い、いや、おじさんたちはお仕事だからね。もし道端で君のおじいさんが襲われているのを見
ても助けなかったかも知れないよ……?」

 久宜はトレードマークともいえる笑顔を物凄く困ったようにすぼめて、汗すらかいてあたふた
と睦月に弁明した。

「ううん。おじさん笑顔がかわいいから、きっとおじいちゃんと知り合いじゃなくても助けてくれるよ。
本当にありがとー。そっちの人もありがとー」

 ユキは頭のてっぺんで手を振る睦月をどこか意識の外に置きながら、兄が耳まで真赤にし
ているのを見た。

(可愛い……? この、私が? この笑顔が…………?)
(アニキィィィィィー!)
 
「とまぁ、コレで終わればまだ良かったんだ」
「ほほう。まだ続きが」
 ユキは心底嫌そうに頬杖をつきつつ睦月の写真を人差し指でとんとんと叩いた。
「アニキの奴……いつの間にかこのガキとメル友になってやがった」
「なんと」
 ネウロは口を無邪気に半開きにして身を乗り出した。どうでもいいがこの悪鬼羅刹を純真無
垢に描いていると物凄く疲れる。
「つまりあなたはお兄さんのケータイを盗み見したのですね。分かります」
「……なぁ、愚痴っていいか?」
「どうぞ! お客様の愚痴を聞くのも僕の仕事です!」
「あのガキがアニキのメルアド知ったのは仕方ねー。あのロリコンジジイがせがまれて仕方なく
バラしたっていうからな。ちゃんと報酬払った客に手を出すほど俺も馬鹿じゃないさ。けどよ……」
 久宜の写真を物凄く悲しそうに一瞥すると、ユキはどこからともなく取りだしたコートを着こんで
もふもふが縁についたフードをかぶり、ぶるぶる震え始めた。
「あぁ畜生。久々に寒くなってきた! なんでアニキの奴、返信して仲良くなってんだよ! 俺
が寒いのはそこだぜ!!」
 読者のほとんどが忘れている特徴すら引っ張り出すところを見るとよほどユキの悩みは深刻
らしい。
 ユキの周囲でびきびきと堅い音がして空気が氷結し始めた。やがてあたりの水蒸気は某牛乳
メーカーのシンボルの元ネタたる樹枝状六花結晶と化し、暴風に乗って事務所のあちこちを蹂
躙し始めた。弥子を燃やしていた炎も寒風にいつか消され本棚や机に雪が積っていく……
 萌えマンガ、とりわけToLOVEる読者にとってコレは周知の事実であると思うが、人間の体
温は、脊髄中の吻側延髄腹外側野(ふんそくえんずいふくがいそくや)に存在する交感神経
プレモーターニューロンによって調節される。ユキは恐らくそれに欠陥があるのだろう。
「しかもあの女に子猫の画像見せて可愛いだろ可愛いだろって必ず書いてやがる。クソッ!
俺にはそういうメールちっともよこさないクセになんであの女にだけ!! あァ!! 寒ィ!!
久々に物凄く寒いぜ!! なんでこんなに寒いんだよ!!!」

17:馬【ばかきょうだい】
08/04/14 16:43:45 daTwwqk9
「ケータイ覗くのは良くないですよ。”あ”と入力した時の予測変換機能で、”あいしてる”になる
かどうか試すのも」
「ふざけんな! メール消されてても予測変換機能使ったらだいたいの内容が推理できるんだ
ぜ! それすらできなくなったら俺はこの寒気をどうすりゃいい!」
 もはや事務所の床には三十センチばかりの雪の層が分厚く積っている。なのにますます吹雪
を強めるユキに、ネウロは引きつった笑みを浮かべた。
「僕はあなたのお兄さんへの思いとストーカー行為に寒気がしますね。でも先ほどからのお話
ではむしろ縁結びより縁切りの方があなたにとって良いのでは?」
 ユキの震えが止まった。
「……寂しいだろうが」
ぷいと顔を背けてぶっきらぼうに呟くユキにネウロは首を傾げた。
「はい?」
「だから! アニキはずっと俺と馬鹿やってたせいで結婚する機会を失ったんだ! 今だって
恋人の一人もいやしねえ! いいや、多分ずっとだ! そんなアニキがようやくいい人と巡り
逢えたのに俺が邪魔するとか筋違いだろうが! いま破談したらアニキはずっと寂しいまま
……だったらあのガキがでかくなって適当な結婚する前に結びつけるのさ!」
 寒い寒いといいながら頬を赤らめ凄まじく熱い声を出すユキにネウロは目を丸くした。
「でも年の差は親子ほどありますよ? 性犯罪ですよ?」
 ユキは色眼鏡の奥で目を細めてニヤリと笑った。
「その辺りは構わねェ。何せ俺達ゃ兄弟はワルだからな」
 カッコ良くいってはいるが結局ロリコン犯罪の正当化ではないか、とネウロは思ったが別の
言葉で相手の真剣さを図るコトとした。相手は飯のタネなのだ。説諭より選別が肝要。
「でもお兄さんが結婚したら、貴方は蚊帳の外ですよね」
 ユキは額に手を当てて沈み込んだ。
「わーってるさ……いうな。俺は……アニキが幸せならそれでいいんだ」
「わかりました。お兄さんと、あなたの純粋な思い、気に入りました! ではご依頼の方、受け
ましょう!」
「……ありがとよ。せいぜい、アニキを幸せにしてやってくれ」
「それからですね。雪が融けたら何になると思います?」
「ハ? 水になるに決まってんだろ」
「違います。HALになるんです。あなたにもいつかHALが訪れるでしょう。」
 ユキの顔がぱぁっと明るくなると事務所の雪が融け、変わりに電人がいっぱい出てきた。

 というコトで作戦が始まった。
 一方その頃! (少年頭脳カトリに出てきたおじさん風に)

「あ」
「あ」

 街中で睦月と久宜は同時に間の抜けた声を上げた。特に示し合わせたワケでもないのに
遭遇したのだ。
「あー、ひさのりさんだー! おしごとの帰り?」
 久宜はユキの写真とほぼ同じ衣装で、睦月も大体同じ。ただ小さな体に不釣り合いな大きな
鞄を肩にかけている所が少々違う。夕刻だから学校帰りだから教材でも入っているのだろう。
 そうやってだぼだぼしたものを少女が一生懸命抱えていると非常に愛らしい。
「あ、ああ。ちょっと野暮用があってね」
 久宜は困った。実はさきほど社の利益を守るために五十人からなる外人傭兵部隊を殲滅し
てきたばかりなのだ。背広の内ポケットにはまだ硝煙くすぶる拳銃だってしまわれている。
 そんなコトは知る由もなく、睦月は無防備に久宜にすりよって、袖をひきつつキラキラした瞳
で見上げてくるからたまらない。
「ね、ね? 子猫さんたちげんき?」
「ああ、元気だとも。フフフ。昨日ついにうちにアスレチック施設が到着してね、よじ登ったり飛
び降りたりかじったりしてるよ」
「あはは、たべものじゃないのに。変なの~」
「まったくだよ。子猫というのは手間がかかって困るね。いや、困っているといっても今さらよそ
にはやるつもりはないよ。ま、まぁ、うちには空き部屋もあるし繊維製の家具はないからそれ
ほど困ってはいないから欲しいといってもあげないよ」
「ひさのりさん、本当に子猫さんたち好きなんだね」

18:馬【ばかきょうだい】
08/04/14 16:45:06 daTwwqk9
 お腹に手を当ててクスクス笑う睦月はどうも可愛い。
(……しかし私は何をしているんだ。い、いや。この子は狸屋の社長の孫だから先々のために
コネを作っているに過ぎない。コネは金のため、金を儲けるため……そうじゃないのかね早坂
久宜。そうじゃないのかね……)
 またも汗だらだらで自問自答する久宜をよそに、睦月は鞄に手を突っ込んでしばらくがさごそ
やっていたが、やがて何かの包みを引っ張り出し久宜に差し出した。
「あのね、きょう家庭科のじゅぎょーでクッキー焼いたからひさのりさんにあげるね! ほんとは
ママのぶんだけど、まあ、外交カードっていったらなっとくしてくれるから」
 香ばしい匂いが久宜の鼻をついた。あるいはこの少女の匂いかも知れず、久宜は柄にもなく
どぎまぎと受け取った。
「あ、ありがとう。おいしくいただくよ」
「じゃあねー。またメールちょーだいねー」
 弾けるような笑顔で手を振りながら睦月は走り去って行った。
「……ユキにもあげるべきだろうか。しかし」
 しかし、の後の言葉が「自分だけが食べたい」か「ユキはアイスクリームのような冷たくてとろ
とろした物しか受け付けないかしな……」のどっちか。久宜は我が事なのに分からず困った。
 睦月への好ましさとユキへの気遣いに困惑した時、久宜の耳に大きな声が突き刺さった。
「ひさのりさーん! ネクタイにさかなのほね書くのはやめた方がいいよおー!」
 振り向けば道の向こうで睦月が口に手を当て大声で叫んでいる。それで道行く者は久宜の
胸をちらちら見て、ニヤニヤしながら立ち去っていくのが分かった。
「魚の骨じゃないよ。だいたい、それぐらいは私の好きにさせてくれたまえ……」
 小声だったので睦月には届かなかったが、落胆は伝わったらしく睦月は「うふふ」と笑いなが
ら雑踏に消えた。
(どうもよくない)
 久宜は自分の睦月に対する感情を処理しがたくなってきた。
 ふぅ、とため息をついて視線を落とすと、彼は首をかしげた。
 何かが落ちている。目を凝らすと財布のようだ。今どき珍しいガマ口で生地はピンクの布製。
 ところどころに何かのロボットの刺繍が施してある。それが「殺人兵器丸ロボ」なるゲームキャ
ラと久宜に知れたのは、かつて勤めていた会社の社長がよくそのゲームの攻略を押し付けて
きた経験による。
「フン。財布など落とす方が悪い。ネコババさせてもらうよ。そうでなければワルたる私自身の
バランスというものが取れないからね……フフフ。こうして軽犯罪を働いているとユキとの少
年時代を思い出す」
 くいっとサングラスのノーズパッドを押し上げながら、久宜は器用に片手で財布を開き……
 この場に鏡がなくて良かったと心底から思った。驚くあまり、微笑しつつも顎が外れんばかり
に開いているのだから。
「先ほど鞄からクッキーの包みを出す時に落としたのか」
 「みやさこむつき」と内側に青ペンで書かれたガマ口を前に、しばし久宜は立ち尽くしていた。

 所変わって魔界結婚相談所。電話をするネウロの姿があった。
「もしもし。お忙しい中すみません。私、魔界結婚相談所の脳噛ネウロと申します。本日は有限
会社笑顔様から御用を賜りお電話差し上げた次第です。ええ。はい。そうです。ええ。ええっ。
分かります。可愛いお孫さんが実の孫である事、重ね重ね残念ですよね。はい、はいっ。……
そう! 流石は鋭い! そうなのです。実のお孫さんでさえなければ見られるあれやこれやを
ご覧できる、いい機会がありますよ!」
 電話を置くとネウロは輝くような笑みをユキに向けた。
「まず一名、話をつけました」
「お、おう」
「ではもう一名に話をつけましょう!」

 久宜はもう色々な意味で泣きたくなった。泣きたくなりながらもやっぱり微笑は浮かべている
からますます自分が滑稽に思えてくる。
(なんで私は彼女の家でハンバーグをごちそうになっているんだ)
 宮迫家の食卓で睦月とその母・葉月とテーブルを囲みつつ久宜は途方に暮れていた。
 財布を届けに来たらこうなった。ちょうど食事の用意をしているとか何とかで睦月が久宜を半
ば強引に部屋へ引きずり込んだのだ。

19:馬【ばかきょうだい】
08/04/14 16:46:00 daTwwqk9
 いい聞かせるように思いながらも久宜はどうも睦月を邪険にできない。
「でもね、大人の中じゃいつだってひとりぼっち。この前ねらわれたときだって、大人はだぁれも
助けてくれなくて、わたしがほかの人にたのもうかなーっておもってたの」
 睦月は久宜の葛藤など知らない。ただただ自分の思いをすらすら口に乗せて、まるで子猫の
ような澄んだ瞳を下から向けてくるだけである。
「でもひさのりさんともう一人の人が助けてくれてね、うれしかったよ。あとでママにも話したら、
とろさんやならしかさんも、実はおじいちゃんをすごく心配してくれてたんだってー。うん。おじい
ちゃんは大人の中でもひとりぼっちじゃないんだなって。それが分かったのはひさのりさんた
ちのおかげだよ。ありがとう」
 そして笑う。この少女は言葉の後に笑うコトを宿命づけられている生物じゃないかと思えるほ
どよく笑う。
 あぁ、と久宜は思った。もしかすると三つ目の共通項は笑顔かも知れない。人工と天然の違
いはあるが、それはいずれも両者の原則を世界に示してはいる。
(ならばせいぜい君を観察させてもらうよ。私の鎧の質を高めるために)
 培った物が意外な所で活き、思わぬ収入をもたらすのが仕事である。そういう可能性を常々
信じている久宜だから、睦月という少女にも可能性を感じた。同時に戸惑いは少し消えた。
「そうだね」
 スっとしゃがんで久宜は睦月と同じ視点になった。
「君のおじいさんは色々な人に慕われているから、できれば私も末長くお付き合いしたいよ」
 もちろんビジネス的な意味だが、睦月との関係性の継続も少し考慮にある。
「うん。私も。じゃあねー」
 睦月は振り返りてててと駆け去って行った。
(フ。実にあっさりしている。要件を告げるだけ告げて即帰る……案外、いいビジネスマンにな
れるかもな)
 笑みを浮かべて睦月を見送っていた久宜だが、しばらく考えるとそーっと睦月の後を追った。
(時間も時間だ。お嬢さんの一人歩きは危ない。フフ。私がせっかく見つけた可能性だ。もし危
害を加える者が現れたら撃ち殺すとしよう。そうでもせねば私のワルとしてバランスが保てない)
 もちろん大人と子供だ。走って先行していた睦月だが、すぐ距離は縮まった。
 そうして見つからないよう見つからないよう尾行しながら、周囲を注意深く見渡す。
 もちろん睦月を狙う影などいない。敢えていえば久宜こそ怪しいだろう。
(やれやれ。ハンバーグが報酬のボディーガードなど初めてだがね。私が始めた以上、矜持に
かけてミスは絶対に許されないのだよ)
 睦月がマンションの入口に差しかかった時、久宜は宮迫家に電話を入れてマンションの出口
に睦月がいる旨を告げた。しばらくすると葉月が玄関口で睦月を迎えるのを見た。
(……ふふっ。ずいぶんらしくない真似をするじゃないか早坂久宜。狸屋とのコネはそんなに
重要かね? まぁそれはともかく頂いたクッキーはおいしく頂こう)
 携帯電話の電源を切ると久宜はタバコをふかしつつ、夜の街へと溶け込むように姿を消した。

 同じころネウロたちが出向いたのは河川敷だ。
 そこでリポーターはハエを周囲に飛ばしながら空き缶をゴミ袋に入れている第一血族はっけー
ん! 早速お話を伺うコトに。
「ホームレスではないよ。私はシックス。たぶん一作品ぐらいしかエロパロネタに使われてな
い男。誰か描けよ私で。断末魔の叫びからでも、哀惜の慟哭からでもなく、静かなる言葉で誰
か私で純愛物を描いてくれ」
「……いきなり出てきて何いってるんだこのホームレス。無理難題は単行本の余白だけにしろ」
 ユキが鼻をつまみながら呆れると、シックスは黄ばんだ歯をむき出しにして笑った。
「私はホームレスじゃないよ。私はシックス。健康保険が効かないので病気になっても病院へ
はいけない男。だから家もなくアルミ缶を拾い集める方面に定向進化した新しい血族だ。私の
人生は大勝利。大勝利と思わないと密閉空間で武藤と散歩する羽目になる」
「みんな早くエロが読みたいのに不人気キャラごときが無駄な行数使わないでください」
 とりあえずネウロはシックスの顎に蹴りを叩きこんで宇宙に向けて二千メートルばかり吹き
飛ばした。


20:馬【ばかきょうだい】
08/04/14 16:47:09 daTwwqk9
 五時間後。
 もうすぐ日が昇るという頃、肉体を用いた阿鼻谷ゼミ流の民主主義的話し合いがついに決着
した。
「仕事を引き受けたらガストで目玉焼きハンバーグを奢ります」
 シックスはボロボロでネウロは無傷。にも拘わらずシックスは目を煌かせた。
「なんだと。ハンバーグ……! ファミレスで目玉焼きの乗ったハンバーグをちゃんと暖かくて
カビとか変な虫のついてないご飯と一緒に食べられるのは最高の考古学とは思わないかね」
「……い、いや、最低限度の栄養学じゃねーかそれは」
「私は乗らせていただくよ! イヤッホウ!」
 シックスはバンザイをしてから橋の下のビニールテントに突っ込むと、事情を報告したのだろ
う。新しい血族の面々─ゆうしろうと半魚人クルセイダーズとコアラ抜刀斉─をぞろぞろ
率いて河原の広い所で胴上げをしてもらい、輝く笑顔を太陽に向けた。
翌日死ぬとも知らずに。

以上ココまで。
お付き合い下さりありがとうございました。
また非エロが長引いたらお世話になります。

21:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:41:12 zh0PIBm5
>>11

まじで重複・・・
11/22を投下しときます・・・


「なんだか変な気分よ……」響子さんはそうつぶやくと五代と体を入れ替え自分が上になる。そし
てそのまま響子さんから唇を重ねる。
「何度もあんなこと言わせるから……あたしなんだか……」
「なんだか……?」五代が響子さんに続きの言葉を促す。
「なんだと思う……?」響子さんが笑いながら逆に尋ねる。
「なにかな……」五代が笑う。今日夫婦になったばかりの二人の甘いやり取りが続く。
「なんだか……体の奥が熱くなってきちゃって……」響子さんが五代をすっかり興奮した表情で見
つめる。
「五代さんもあたしみたいに……」響子さんは顔を赤くして五代の股間に移り五代のものに手を添
える。
「響子さん……」五代は響子さん自ら自分の股間に移ったことに気持ちが一気に昂ぶる。
「口で……して欲しい……?」響子さんが上目遣いに五代を見る。
五代は響子さんが恥ずかしがりながら発する言葉に思わず息を呑む。
「も、もちろんです!」
「ふふふ、仕方ないわね」響子さんはそうつぶやくと五代のものの先端の裏側に舌を這わせる。
「うっ……」響子さんの舌の感触に五代は思わずうめき声をあげる。実は響子さんが五代のものを
口にするのは久しぶりなのだ。確かに最初の頃は毎回のように口でしてもらっていた。しかし、響
子さんはフェラチオを好きではないため最近では遠慮してしまっていたのだ。
しかし……だからこそ久しぶりの響子さんの口の感触はとても心地よい。

「んぐんぐ……」響子さんが五代の竿の部分を右手でしごきながら先端部分を含み舌で刺激する。
響子さんは五代のものが口の中で一気に大きさと硬さを増したのをはっきりと認識する。
「うう……」五代は久しぶりの感触に思わず精を放出しそうになるが何とか耐える。
「相変わらず弱いのよね」響子さんが五代のものから口を離して言う。
「響子さんがその……うますぎるんです」
「そんなことないわ、あたし、口でするのはあなたが初めてだったんですから」
「おれが……初めて……?」わかってはいたことだがはっきり言われると五代はなんだか嬉しくな
る。どんなことであれ響子さんの初めての経験が自分であるということは五代にとってとても重要
なことなのだ。
「惣一郎さんにはこういうことは……?」
「惣一郎さんは……あたしにこんなことさせたりしません……」響子さんが俯いたまま五代のもの
をしごきながらいう。
「嫌……なんですよね」五代が響子さんに確認する。
「嫌よ」響子さんがはっきりとこたえる。
「でもね……五代さんが望むなら……」響子さんが視線を逸らせると黙って再度五代のものを口に
する。

「んふっ……」響子さんの口から苦しそうな喘ぎ声が漏れる。生真面目な響子さんは好きではない
フェラチオにもどうせやるならとつい夢中になってしまう。口の中で自分の舌を五代のものに何度
もこすり付け五代が悦びの喘ぎ声を発する度、自分は今、五代のためだけに存在していることを実
感する。
しかし……それだけではないのだ……。
響子さんは内心気づいている。男性器を口にするという背徳の感情が自分の中でどす黒い快感へと
変わり一気に昂ぶってしまうことに。そもそも響子さんが五代に口で奉仕することなどありえない
ことなのだ。そのありえないはずのことを自ら進んですることに響子さんは激しい快感を得る。そ
の証拠に響子さんの秘所はさき程までより一層激しくうずき始めている。今五代に貫かれたらその
瞬間、気をやってしまうだろうと響子さんは思う。



22:名無しさん@ピンキー
08/04/18 06:13:31 7l2Ap3fr
>>21
「桜の下で」の後編を投稿してくれたことに感謝しています。
前作の「桜の下で」中編では第一作の「二人の夜」から中編まで五代と響子の二人が築きあげてきた関係に一気に亀裂が入ってしまったようで
読んでいて辛かったのが私の本音です。

今回の後編の二人の幸せそうな姿を見て安心しました。

ところで一応確認なんですが
前スレの10/21の(「……五代さんのことが好き……大好き……」何度も好きと言わされ体だけでなく気持ち
までもが昂ぶってしまった響子さんは、思わず五代にしがみつく。)の続きが11/22の(「なんだか変な気分よ……」響子さんはそうつぶやくと五代と体を入れ替え自分が上になる。)

作品の流れとしては10/21で、響子は五代に好きだと言った後に、11/22で五代にフェラチオして12/21でシックスナイン(69)をしたということで良いんですよね?

最後にもう一度、「桜の下で」をきちんと最後まで書き上げてくれたことに心からお礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。

23:名無しさん@ピンキー
08/04/20 20:53:30 kle/WZEH
>>22

10/21 → 11/22 → 12/21 で間違いありません。

>本当にありがとうございました。

おそらく前スレ主さんだと思いますが、長い間ありがとうございました。
死ねとかくずとか言われても今さらなんとも思いませんが、温かい言葉をもらうとやはり嬉し
いものです。

今まで書いてきた作品はAの10作で521KB、その他の単発を含めると655KBにもなりました。

A3の約束を書いてる途中に、原作では終始受身だった響子さんにもっと色々なセリフ、特に
前向きなセリフを言わせたいと思い「桜の下で」のイメージを固めながら書いてきました。

原作にないエピソードを追加したり改変したりして、決して原作では言わなかったセリフを自分
なりにうまく言わせることが出来たと思っています。
そして、どんなに叩かれようが自分で作り上げたイメージはものすごく気に入っています。

いつか続きを書きたくなると思いますのでその時にまた。


24:名無しさん@ピンキー
08/04/27 20:38:57 77DDxoRg
保守

25:名無しさん@ピンキー
08/04/29 21:46:22 PknCyLQG
前スレの、筒に入ったまま出て来れなくなるアホの子を犯っちゃう話はえがった

26:名無しさん@ピンキー
08/05/05 01:38:59 /BolMvj9
 ほ し ゅ

27:名無しさん@ピンキー
08/05/10 15:53:46 XdIqwsG3
ほしゅ

28:名無しさん@ピンキー
08/05/13 16:56:38 lTVa6a2z
>>25シュールだなそれw

29:名無しさん@ピンキー
08/05/14 07:35:49 1BQWjSZY
いやぁ、あれは面白かった。ほんとに。

30:名無しさん@ピンキー
08/05/14 23:02:09 P5c6bL/1
話題になってるので前スレ探して読んできた
なんだあれ、ちょーおもしれえ!
女の子のキャラが抜群にいいな

31: ◆qM8UwHNWDA
08/05/16 01:57:19 Ueda/cES
みなさんこんばんは。

なんかべたべたなのを書きたくなったんで
めぞん関係のSSを投下します。

タイトルは「S01 訪問販売員 坂本」


ではどうぞ

32:01/24
08/05/16 01:58:33 Ueda/cES
「奥さん、おれ、もうだめです!」
坂本がさよりを相手に断末魔の悲鳴をあげる。
「ああ、坂本さんっ……!!」
さよりも坂本と同時に絶頂の快感を得る。


「では、また来ますんで次回もよろしくお願いします」
坂本がいかにも事務的な口調で先ほどまでベッドをともにしていたさよりに別れを告げる。
「また……お願いします……」
坂本は複雑な思いの絡まったさよりの声を確認すると玄関のドアを閉めあるマンションの一室を後
にする。


「ふぃ~疲れた疲れた」
道路に出た坂本はネクタイをゆるめ舌を出す。
先ほど坂本が人妻のさよりを抱いていたのはさぼりではなく仕事の一環だ。
長引く不況のため坂本はやっとの思いで就職した会社を解雇され、ある先輩のつてで今の仕事に就
いている。
その仕事とはずばり宝石の訪問販売。
そのいかがわしいイメージ同様、坂本の仕事は半分詐欺みたいなものであった。暇と金をもてあま
す主婦に安価な宝石を高く売りつける。
まさに詐欺だ。しかし、なぜか宝石は結構売れる。それは坂本の若い肉体も宝石の値段に含まれて
いるからだ。
世の中には夫に全く構ってもらえない女性が少なからず存在する。そんな女性たちが坂本の若い肉
体を宝石と一緒に買うのだ。
信じられないことに傍目には裕福でなんの不満のなさそうな人妻が折りを見て坂本を誘ってくる。
先ほどの女性さよりもご多分に漏れずその一人。
彼女一人で坂本の一ヶ月の売り上げの大部分を担ってくれている大切な常連様だ。
坂本が持参した宝石などそっちのけで坂本の若い肉体にむさぼりついてくる他の中年おばさん達と
違いさよりにはまだ夫を裏切っているとの背徳の感情が残っている。
そのさよりを好きなように抱く快感を忘れられず坂本は週に何度かさよりのもとへと通ってしま
うのだ。



33:02/24
08/05/16 01:59:14 Ueda/cES
(もうあの人のところに行くのはやめよう)
坂本は何度目かわからない決意を再度固める。
特定の女性とあまりに深く関わりすぎるとトラブルの元だというのを坂本も十分に承知している。
宝石が売れたらもう二度と顔を出さないのが最もベストなのは今までの経験からも明らかだ。
しかし……坂本はいつまでたっても彼女との関係をやめられない。
それは坂本に今、親身になってくれる彼女がいないことにも起因する。
もしそのような女性が近くにいればさよりにとの関係も清算できると思う。
しかし、訪問する自分を丁重にもてなし、罪悪感を感じながら自分に抱かれるさよりを坂本は切り
捨てることが出来ない。
坂本はさよりに心惹かれてしまっている部分があるのだ。
お互いのためにも合わない方がいいことはわかりきっているがそれができないジレンマに坂本は苦
悩する。

(おれにも管理人さんのような人がいたら……)
坂本は長年の友人である五代を思い浮かべる。
学生時代から何をやっても自分の後ろにいた五代が就職を決めるや否や自分が全く付き合ったこと
のないような美女と結婚してしまったのだから坂本としてはなんとも言えない気分になるのはいた
し方のないことであった。
坂本は五代が幸せになってくれて本当に嬉しく思う。
しかし胸にこみ上げる悪意にも似た感情を完全に消し去ることができるほど人間ができているわけ
でもない。
「くそっ」坂本は自己嫌悪に陥り唾を道に吐き捨てる。
そしてたまたま目に入った高級マンションに足を踏み入れる。



34:03/24
08/05/16 02:00:10 Ueda/cES
(もうあの人のところに行くのはやめよう)
坂本は何度目かわからない決意を再度固める。
特定の女性とあまりに深く関わりすぎるとトラブルの元だというのを坂本も十分に承知している。
宝石が売れたらもう二度と顔を出さないのが最もベストなのは今までの経験からも明らかだ。
しかし……坂本はいつまでたっても彼女との関係をやめられない。
それは坂本に今、親身になってくれる彼女がいないことにも起因する。
もしそのような女性が近くにいればさよりにとの関係も清算できると思う。
しかし、訪問する自分を丁重にもてなし、罪悪感を感じながら自分に抱かれるさよりを坂本は切り
捨てることが出来ない。
坂本はさよりに心惹かれてしまっている部分があるのだ。
お互いのためにも合わない方がいいことはわかりきっているがそれができないジレンマに坂本は苦
悩する。

(おれにも管理人さんのような人がいたら……)
坂本は長年の友人である五代を思い浮かべる。
学生時代から何をやっても自分の後ろにいた五代が就職を決めるや否や自分が全く付き合ったこと
のないような美女と結婚してしまったのだから坂本としてはなんとも言えない気分になるのはいた
し方のないことであった。
坂本は五代が幸せになってくれて本当に嬉しく思う。
しかし胸にこみ上げる悪意にも似た感情を完全に消し去ることができるほど人間ができているわけ
でもない。
「くそっ」坂本は自己嫌悪に陥り唾を道に吐き捨てる。
そしてたまたま目に入った高級マンションに足を踏み入れる。



35:04/24
08/05/16 02:01:40 Ueda/cES
「もしかして……三鷹さんの奥さんじゃありませんか?」
「えっ……主人をご存知ですの?」
その女性、三鷹明日菜が坂本に質問を返す。
「あの……五代の結婚式の二次会に来てらしたと思うんですが」
「五代……」
明日菜は一瞬考え込む。
しかし、なんとか記憶を掘り起こすことに成功する。
「あの……音無さんが結婚された方……でしたっけ?」
明日菜がかわいらしく首をひねりながら坂本に尋ねる。
「そうそう、管理人さんの前のだんなさんの苗字が確か音無でしたね」
坂本が明日菜にあわせる。
「そうでしたか、音無さんのだんな様のお友達でしたらあの二次会で会っててもおかしくないです
ね」
そういって明日菜がにっこりと笑う。
「ここにお住まいなんですか?」
坂本が明日菜に尋ねると他の部屋の住人が廊下で立ち話をする二人を変な目で見ながら通り過ぎる。
「すみません、おれ、迷惑ですよね」
「そんなことありません。わたし、昼間は話し相手がいなくて……」
そこまでいって明日菜は言葉をとめる。
出すぎたまねかと思いついもじもじしてしまう明日菜。
しかし、思い切って坂本に声をかける。
「中でお茶でもいかがですか?」
「いいんですか?」
坂本が思いもよらない展開に驚く。
「ええ、ちらかってますけどどうぞ」
そういって明日菜がドアの鍵を開けて坂本を部屋に誘う。




36:05/24
08/05/16 02:02:20 Ueda/cES
「少し待っててくださいね、お茶を用意しますから」
明日菜が坂本にキッチンから声を掛ける。
「いえそんな、お構いなく」
坂本は遠慮するがもう明日菜は準備を始めている。
ほどなくして坂本に香りの良いコーヒーが出される。
「どうぞ」
明日菜がにっこりと笑う。
「あっ、どうも……」
坂本はとりあえず礼をいう。
坂本にはわからない。
ほとんど顔も知らないような自分に笑顔でお茶を出す明日菜の心境が。
「あの……どうしておれなんかのためにそんな風によくしてくれるんですか?」
「そんなつもりはないんですけど……」
そういって明日菜が窓の外を見る。
するとそれとほぼ時を同じくして別室から赤ちゃんの鳴き声が聞こえ始める。
「あらあら……」
明日菜が別室に飛び込む。
「どうしたのメイちゃん」
明日菜が赤ちゃんをあやす声が坂本の耳に入る。
(そういや、あの時妊娠してたっけ……)
坂本は漠然と思い出す。
「あの……おれ、もう失礼します」
坂本がリビングから明日菜に声を掛ける。
「すいません、ちょっとお待ちになってくださいな」
明日菜が別室から坂本を呼び止める。
「うわぁぁぁぁぁん」
すると今度は双子のもう一人、モエが泣き声をあげ始める。
「あらやだ、もうどうしましょ」
明日菜はお客さんが来ているのにもかかわらず泣き声をあげるかわいい我が子を必死にあやす。

(大変だな……)坂本は差し出されたコーヒーに舌鼓を打ちながら育児の大変さをなんとなく知る。
そして程なくして泣き止んだ様子に坂本は別室を覗きながら明日菜に声を掛ける。
「赤ちゃん、落ち着きましたか?」
「しー……」
明日菜が坂本に向かって静かにするようにジェスチャーを送る。
「えっ……」
坂本は思わず唖然とする。
明日菜は衣服をはだけて授乳の最中だったのだ。
思わず坂本の視線が明日菜の乳房に釘付けになる。
「や、やだ……」
明日菜は坂本の視線に気づき体の向きを変え胸を隠す。
「す、すいません。つい……」
坂本が背中を向けてそのまま明日菜にわびる。
「その、いいですから……あっちの部屋に戻ってください」
明日菜が顔を赤くしながら坂本に言う。



37:06/24
08/05/16 02:02:54 Ueda/cES
「さっきはすみませんでした」
坂本が明日菜に謝る。
「いえ……わたしが不用意でした」
そう言って顔を赤くする明日菜。
「実は主人が今、アメリカにテニスの研修に行ってるんです。だから知ってる人に会えてなんだか
嬉しくなって引き止めてしまって」
「そうなんですか」
「アメリカで研修とはしがないセールスマンとは全く別世界ですね」
坂本が自嘲して笑う。
「そんな……」
そしてなんとも言えない沈黙。
その沈黙に耐え切れず坂本が明日菜に尋ねる。
「いつから三鷹さんはアメリカへ?」
「先月中ごろからなんです」
明日菜が問われるままに応える。
「じゃあもう一ヶ月も。寂しいですね」
坂本が同情する。
「ええ……。ですから知ってる人に会えてなんだか嬉しくて」
そういって明日菜が小さく微笑む。
「いつ、お帰りになるんですか?」
「……来月の中ごろに……」
明日菜が寂しくつぶやく。
「そうですか……」
坂本はため息をつく。
(こんなかわいい奥さん放ってアメリカに行くとは三鷹さんも罪な男だな)
坂本は柄にも無く三鷹に対して怒りを抱く。
そしてなんとなく部屋の中を見回す。
趣味のいい調度品に電化製品。
坂本が逆立ちしても手にいれることが出来ないものがところ狭しと並んでいる。
(相当裕福なんだな)
坂本は三鷹家に今度は激しい嫉妬心を抱く。
なんだかいろいろ忙しい。
「……坂本さん?」
「は、はいっ」
坂本は明日菜に名前を呼ばれて現実に引き戻される。
「さっき、宝石をお売りしてるって言ってました?」
「ええ……」
「これもなにかの縁ですし、よかったら見せてもらえますか?」
「でも……」
坂本は躊躇する。
親しいわけではないが知り合いに宝石を売りつけるのはやはり抵抗がある。
「坂本さん、お仕事ですよ」
そういって明日菜が笑ってみせる。
「じゃあちょとだけ……」



38:07/24
08/05/16 02:03:32 Ueda/cES
ピンポーン
午後6時、三鷹家のインターフォンがなる。
「はい、どちら様ですか?」
インターフォンから明日菜のかわいらしい声が響く。
「あ、坂本です」
「はい、今あけますね」
ガチャリ……
ロックを下ろす音がしてドアが開く。
「坂本さん、いらっしゃい」
明日菜が坂本を中に迎え入れる。
「三鷹さん、今日は自信ある奴を持ってきました」
そういって坂本が明日菜に頑丈な鞄を見せる。
「そうだといいですね」明日菜が笑う。


「これでどうですか?」
坂本が鞄を開き明日菜に宝石を並べてみせる。
実は昨日持ってきた宝石は明日菜の目にかなうものがなく今日改めて坂本が会社で用意できる最高
級のものを用意してきたのだ。
「昨日のとは違いますね……」
そういて明日菜が宝石をじっくりと見定める。
(あの馬鹿社長によると最高級らしいが……)
坂本は熱心に宝石を見定める明日菜を見る。
一個でも売れれば坂本のノルマ二か月分なのだ。
坂本は明日菜の反応を見逃すまいと集中する。
そうしているうちに坂本は思い知らされる。
明日菜の若さと美しさを……。
昨日受けた感じではかわいらしい女性であった。
しかし今日改めてみると昨日と違った感じに見える。
おそらく今日は自分がくるのが判っているため化粧をしているのだろうと坂本は考える。
しかし見れば見るほど明日菜は美しい。
普通の家庭に育ったのではなく由緒ある家柄なのではないかと坂本は想像する。

「坂本さん」
明日菜が坂本に声を掛ける。
「な、なんですか!?」
坂本は突然呼ばれて動揺を隠すために大きな声で聞き返す。
「そんなに見つめられると集中できませんわ」
そういって明日菜が上品に笑う。
「す、すみません」
坂本が明日菜に謝る。
「そんなに恐縮しなくていいですから」
「はい……」



39:08/24
08/05/16 02:03:59 Ueda/cES
資産家のお嬢様である明日菜の宝石を見る目は確かで、今回坂本が持参した宝石も残念ながら明日
菜には物足りなかった。
しかし、幸運にもひとつだけデザインが明日菜好みのものがあった。

「坂本さん」
「はい……」
坂本は審判を待つ囚人のような表情で明日菜の声を聞く。
「これを……はめてみていいかしら」
そういいながら明日菜がダイアの指輪を指差す。
「も、もちろんです」
そういって坂本がダイアの指輪を明日菜に手渡す。

「きれい……」
明日菜がうっとりして指先で光る指輪を見つめる。
「よく似合ってますよ……」
いつのまにか明日菜の隣に腰を下ろした坂本が明日菜の耳元で囁く。
「わたし……宝石に負けてないかしら……」
明日菜がつぶやく。
「宝石の方が……負けてしまいそうです……」
坂本はそう言ってごく自然に明日菜の背に手をまわす。
これが……坂本のいつもの手なのだ。
ほとんどの女性は宝石に弱い。
今回は指輪だが女性は宝石を身に着けると宝石に夢中になるあまり男に対して無防備となる。
その瞬間を坂本は見逃さない。
宝石と同時に女性の美しさを褒めながらスキンシップを図る。
それだけで……今まで坂本は数多くの人妻と関係を持ってきた。

そして……それは明日菜にも例外なく当てはまる。



40:09/24
08/05/16 02:04:26 Ueda/cES
「わたし、なんだかこの指輪がすっかり気に入ってしまいましたわ」
明日菜がため息をつく。
「ありがとうございます。……でも、三鷹さんのほうが宝石よりきれいです」
坂本が明日菜の肩を抱いたまま囁く。
「そ、そんなことありません」
明日菜が謙遜して頬を染める。
しかし面と向かって綺麗だといわれて嬉しくない女性がいるわけがない。
ただでさえ、明日菜は今気に入った指輪を身につけ浮かれているのだ。

坂本はお世辞抜きで明日菜を美しいと思う。
今まで営業としてお世辞で言うことがほとんどであった。
しかし今回ばかりは本心であった。
そしてそれが勝敗を決めた。
いつものようにお世辞であったなら明日菜の心は動かなかっただろう。
さらに一ヶ月にも渡る夫の留守。
それが明日菜の心に隙を作ってしまい……坂本の言葉に明日菜は心を揺さぶられてしまったのだ。

「失礼ですが、名前はなんておっしゃるんですか」
坂本が明日菜の頬を撫でながら尋ねる。
「明日菜……」
明日菜は照れてうつむきながらつぶやく。
「明日菜さん……。名前まで綺麗なんですね……」
そういうと坂本は……明日菜の顎を人差し指で持ち上げ顔を上げさせる。
そして……そのまま明日菜に口づけをする。



41:10/24
08/05/16 02:05:10 Ueda/cES
何度かの口づけのあと、明日菜は正気に戻る。
「だ、だめです……」
明日菜は坂本の体を押し返す。
ここまで来て拒否した女性は坂本には初めてだ。
しかし、焦ることはない。
坂本から見れば明日菜はもう底なしの泥沼に足を踏み入れてしまっているのだ。

「わかりました」
そういって坂本は明日菜の言うとおり体を離す。
「明日、書類を持って再度伺います」
坂本が突如事務的な口調になる。
「うちの会社にしては高額な宝石ですのでいろいろと手続きがあるんです」
「はあ……」
明日菜は上の空で坂本の話を聞く。

「明日菜さん」
坂本が明日菜の顔を覗き込む。
「な、なんですか……?」
明日菜が瞳を逸らして尋ねる。
なりゆきとはいえ夫以外の男性に唇を許してしまったことに今さらながら罪悪感を感じてしまった
のだ。
「嫌なら……明日同じ時間におれが来たとき……この部屋にいれないでください」
「なっ……」
「また18時に来ます」
そういって坂本は片づけを始める。
そんな坂本に明日菜はなんと声を掛けていいのかわからない。
「この指輪は持って帰らないんですか?」
明日菜が自分の指にはめられたままの指輪に気づき坂本に尋ねる。
「一晩、その指輪を見て……じっくり考えてください」
坂本がいつもの調子のいい笑顔で言う。
「……」
「では失礼します」
そういって坂本が玄関を出る。
明日菜はただ黙って坂本が出て行くのを見守るのであった。



42:11/24
08/05/16 02:05:37 Ueda/cES
明日菜は指で光る指輪をじっと見る。
なんだかとてもいいものに見えて仕方ない。

「嫌なら……明日同じ時間におれが来たとき……この部屋にいれないでください」

先ほどの坂本の言葉が脳裏をよぎる。
(嫌なら……)
明日菜は頭の中でその言葉を繰り返す。
何が嫌なのか。
その答えは明らかだ。
明日菜だって男と手を握ったこともなかった昔と違いもう二児の母。
坂本の言葉の意味くらいわかる。
そしてそれが許されないことだってわかる。
(でも……)
明日菜は坂本に肩を抱かれ口づけされたときのことを思い出す。
夫がアメリカに旅立って既に1ヶ月。
明日菜は今、寂しい盛りであった。
そしてこのマンションでの人間関係。
若く美しく、そのうえ一番裕福な家庭の妻である明日菜はいわれのないいじめを受けていた。
夫がいるときはそうでもなかったが、夫がしばらくいないとわかるや否やそれは露骨なものになっ
ていた。
だからこそ、回覧板を隣の家に渡した帰りに坂本に会ったときにお茶に誘ってしまったのだ。
もちろん明日菜は夫のことを愛している。
しかし、せっかく知り合った坂本とこれっきりというのはなんだか惜しい。
このマンションに住む人以外にいろいろ話す相手が欲しいのだ
「指輪だけ買いますって言えば……」
明日菜は一人つぶやく。



43:12/24
08/05/16 02:07:06 Ueda/cES
ピンポーン
「はい、どちら様ですか?」
インターフォンから明日菜の声が響く。
「坂本です」
「はい……」明日菜が小さい声で返事をする。
ドアが開くのかそれとも……。
坂本は黙ってドアを見つめる。

ガチャリ……
ロックを下ろす音がしてドアが開く。

明日菜が一晩考え下した結論は……ドアを開くことであった。
ドアを開き宝石を購入する。
嫌じゃない。
宝石を購入するのは嫌ではない。
ただそれだけのこと。
明日菜はその裏の現実に目をつぶり決断したのであった。

「坂本さん……」
明日菜は複雑な表情で坂本を中に迎え入れる。
「坂本さん、あの……」
明日菜が坂本に宝石を買うと伝えようとする。
しかし……坂本は問答無用で明日菜を抱きしめ……唇を奪う。
「んん……」明日菜が苦しそうに悲鳴をあげる。

坂本にはわかっているのだ。
明日菜が宝石を買うというのが。
だからこそわざとそれがわからず自分が受け入れてもらえたと誤解した振りをして明日菜の唇を再
び一気に奪ったのだ。

坂本は明日菜に何も考える隙を与えずに何度も何度も唇を奪う。
その行為に……一ヶ月以上夫を留守にしている明日菜の体は奥のほうから熱くなってきてしまう。
昨日、唇を許してしまったのが失敗だった。
あの時、明日菜の中で何かが微妙に狂ってしまったのだ。
明日菜は坂本に抵抗することもできず唇を許しその身を坂本にきつく抱きしめられてしまう。
そして無意識のうちに明日菜も坂本の背に手をまわし自分の体を坂本にこすり付けてしまっている
のだった。



44:13/24
08/05/16 02:07:37 Ueda/cES
「明日菜さん、信じてました」
坂本が明日菜を抱きしめたまま言う。
「……」
明日菜は無言だ。
坂本の目的はもう明らかだ。
明日菜を抱こうとしているのだ。
それなのに明日菜は……坂本を拒否できない。
それどころか久しぶりに自身を包む「男」の感触に明日菜の体が自然にそのときを求めはじめる。

そもそもドアを開けなければ宝石を返さなくてはならないというのは坂本の策略なのだ。
すっかり宝石を気に入ってしまった明日菜に購入をやめるというのは苦渋の選択だ。
さらに昨日何度も唇を奪われてしまった。
一ヶ月もの間、放っておかれた明日菜の肉体に坂本の情熱的な口づけはあまりにも効果的であった。
夫以外に唇を奪われる感覚。
今まで想像したこともなかったその感覚は想像もできないほど甘美なものであった。
どんなに否定しても……明日菜の体は「男」を求めているのだ。
夫ではなく「男」を……。
結局明日菜には……宝石を言い訳にして坂本を受け入れるしか道がなかったのだ。

明日菜がふと我に返ると坂本がブラウスのボタンをはずし始めていることに気がつく。
しかし、明日菜は一つずつボタンがはずされていくのを黙って見守ることしかできない。
そしてすべてのボタンをはずし終えた坂本は明日菜さんのブラウスを脱がせ、そのまま明日菜の乳
房に手を添える。
「こんなところじゃ嫌……」
明日菜がつぶやく。
その言葉はもはや坂本に抱かれることを拒否しているのではない。
場所が嫌だといっているに過ぎないことに明日菜は気づかない。
無意識のうちに明日菜は坂本に抱かれることを受け入れてしまっているのだ。
しかし、明日菜のそのささやかな願いさえ坂本は無視する。

実は坂本はもう自分が抑えられない。
この仕事を始めてから何人かの人妻を抱いてきた。
世間的に見てかなりの美人をものにしたこともある。
しかし……明日菜はその誰とも違うのだ。
ただ美しいだけではなく、庶民とは違う育ちのよさから来る気品がある。
その気品に坂本は思わず無意識のうちにひれふしてしまいそうになる。
しかし、坂本は昨日その明日菜と唇を重ねた。
そして……今明日菜は自らドアを開け自分を受け入れてくれた。
明日菜だってもう大人の女。
あんなことを言った坂本を部屋に入れるとどうなるかはわかっているはずなのだ。
そう、明日菜がどんなに自分とは住む世界が違う高貴な女性であろうと……一旦自分を受け入れた
以上、坂本は明日菜を好きにしていいはずなのだ。
明日菜に……自分を拒否する権利はもはやない。
坂本はそう自分を言い聞かせる。
そして同時にあることを思い出す。
坂本がこの二日間で本能的に気づいたこと。
それは……明日菜は本質的に男に従うタイプの女性であることであった。



45:14/24
08/05/16 02:08:16 Ueda/cES
「明日菜さん」
坂本は思い切ってズボンとパンツを一緒くたにしてずり下ろす。
明日菜に思わずひれ伏してしまいそうな坂本が選んだ作戦は突拍子もないものであった。

「!?」
明日菜は両手で口元を覆い驚愕する。
まさか坂本がいきなりそんなことをするとは思いもよらなかった明日菜。
しかし、なぜか明日菜はそれから目を逸らすことが出来ない。
初めて見る夫以外のペニス。
それは……夫のものより黒ずみ急な角度で天を衝いている。
(あれに貫かれてしまったら……)
明日菜は思わずごくりと息を呑む。

「明日菜さん」
坂本は驚く明日菜の肩をつかみしゃがませペニスを見せ付ける。
明日菜はもはや手の届かないところにいる高貴な女性ではなく……坂本と同じところまで自ら降り
てきた一人の女に過ぎないと坂本は再度自分に言い聞かせる。
「ご主人のとどっちが大きいですか?」
坂本が今まで何人もの人妻にしてきたのと同じ質問を明日菜に尋ねる。
坂本は顔と資産には自信がないがペニスにだけは自信がある。
今まで夫のペニスの方が大きい言った女は一人もいないのだ。

「……」
明日菜は言葉を発することが出来ない。
坂本のペニスに圧倒されてしまっているのだ。
もっというと坂本に貫かれたら自分はどうなってしまうのか、そのことしか考えられない。
明日菜は既に完全に坂本にペースを握られてしまっていた。

「どっちが大きいですか?」
坂本が再度明日菜に尋ねる。
坂本が執拗に尋ねるのには理由がある。
夫のものより大きいと認めてしまうともうその女は終わりなのだ。
その瞬間、完全に坂本のものになってしまう。
「そ、その……」
しかし明日菜は抵抗する。
言った瞬間、すべてが終わってしまうことが明日菜にもわかるからだ。
しかし、夫以外の男に抱かれてみたいという甘美な期待とあまりにも立派な坂本のペニス。
夫しか知らない明日菜がその誘惑を克服するのに夫のいない1ヶ月はあまりにも長すぎた。



46:15/24
08/05/16 02:08:54 Ueda/cES
結局……明日菜はつぶやく。
「坂本さんの方が……立派です……」
坂本のペニスの目の前で俯いたままつぶやく明日菜。
それはまさに坂本のペニスに絶対服従を誓う姿のようだ。
「明日菜さん、フェラチオしてもらえるともう少し大きくなりますよ」
坂本がいつものように追い討ちをかける。
「フェラチオ……?」
明日菜が思わずその言葉を口にする。
信じられないことだが明日菜はその言葉を知らないのだ。
「そう、フェラチオ。明日菜さんの口でやってもらうともっと大きくなるはずです」
坂本は明日菜に解説する。
(フェラチオって口ですることなのね……)
明日菜が坂本の言葉を理解する。
言葉は知らないが夫のペニスは毎回口にしている。
夫が喜んでくれるため明日菜はフェラチオは結構好きなほうだ。
しかし、それはあくまで相手が愛する夫の場合の話。
一昨日初めて名前を知ったばかりの男のペニスを口に含むなど明日菜にとってありえないこと……
のはずであった。

明日菜の目の前に坂本のペニスがある。
夫のものより大きく黒ずんだペニスを目の前にして興味を持つなというのは無理であった。

明日菜は……黙って坂本のペニスに手を添える。
坂本は黙って明日菜を見守る。
自分から口にさせるのが大事なのだ。
自分からフェラチオをさせることによって明日菜は坂本の女になるのだ。

そして……少し躊躇した後、明日菜は坂本の思惑通り……坂本のペニスを口にしてしまう……。



47:16/24
08/05/16 02:09:28 Ueda/cES
ズチュ…ズチュ……
明日菜の口元で坂本のペニスが淫らな音を立てる。
「うまいですよ、明日菜さん」
坂本は腰に手を当てた仁王立ちのまま明日菜を褒め称える。
考えてみればなんと傲慢な態度であろうか。
指輪を買ってもらうお客様に坂本は自分への奉仕を強いているのだ。
しかし、明日菜はそのことに気づかない。
明日菜にとって坂本は「指輪を売ってくれる人」なのだ。
「いつもご主人にやってるのと同じように」
坂本は三鷹家の夜の営みにまで介入するかのように明日菜に普段と同じ行為を求める。
「は、はい……」
明日菜は驚くほどあっさりと坂本の言葉に素直に従う。
自分から坂本のペニスを口にした時点でもう明日菜は坂本のものなのだ。
三鷹に教え込まれたすべての性技を坂本のために尽くさなければならない。
明日菜は口をすぼめて坂本のペニスを喉の奥まで飲むこむ。
その間、明日菜の舌は坂本のペニスを下から包み込むような形のまま刺激を与える。
そして明日菜が坂本のペニスを含んだまま頭を前後させると明日菜の唇と舌が坂本に味わったこと
のないような快感を与える。
「おおっ……」
坂本は思わず声をあげる。
「ご主人はいつもこんなことをさせてるんですか?」
坂本は明日菜に尋ねる。
明日菜は坂本のものを咥えたままこくりとうなずく。
(へへ……)
坂本は心の中で勝ち誇る。
自分より遥かに豊かで立派な三鷹の妻を自分のものにして奉仕させる下克上の炎。
これだから人妻は止められない。
今回はさすがに無理だと思っていた。
しかし、余りに無防備な明日菜に坂本は自分のものにできると確信を持った。
都合二ヶ月も夫と関係をもてないことを口にしてしまうなどやはり明日菜はまだまだ子供。
そんな隙を見せてしまえば坂本のような男につけこまれてしまうことがわからないのだ。



48:17/24
08/05/16 02:09:55 Ueda/cES
「ふふふ……」
坂本は不敵に笑うと明日菜の頭をしっかりとつかむ。
そしてまずは自慢のペニスを明日菜の左頬を内側からこすりつける。
「んん……」
坂本に頭をつかまれ逃げようがない明日菜はなすがままに口の中を蹂躙される。
坂本は続いて反対側の頬にも自分のペニスをこすりつける。
坂本は明日菜の口内を完全に蹂躙するつもりなのだ。
そして十分にこすりつけ明日菜の口内の感触を楽しんだ坂本は明日菜からペニスを引き抜く。
「はぁはぁ……」
明日菜は両手を玄関の床につき息を乱す。
坂本はそんな明日菜を見下ろしていたが息が整ってきた明日菜に再びペニスを突きつける。
「!!」
明日菜はまたも坂本がフェラチオを求めていることに気づく。
「もう……やめてください……」
明日菜が坂本に許しを求める。
「ダメです」
坂本はそうつぶやくと今度は無理やり明日菜の口内にペニスをねじ込む。
「んぐっ……」
明日菜は少し涙を浮かべながら坂本のペニスを受け入れる。
「明日菜さん、舌の裏側でおれのちんこの先っぽを擦ってください」
「うう……」
明日菜はいわれるがままに舌の裏側で坂本の亀頭を刺激する。
「こんなとこをご主人に擦りつけたことないでしょ」
坂本がにやりとする。
明日菜はその坂本の言葉に凍りつく。
自分は夫にしたことがないことを……昨日知り合ったばかりの男にしているのだ。
「嫌……」
明日菜はペニスをねじり込まれたまま拒否反応を示す。
まさに坂本にとって予想どうりの反応だ。
坂本はそのまま明日菜を頭ごと股間に押し付ける。
「口をすぼめて」
坂本が明日菜に指示する。
それはもうすでにお願いなどというものではなく……命令という言葉が最もしっくり来る。
坂本は明日菜の顔を見ながら腰を振り明日菜にペニスを打ちつける。
人妻明日菜の嫌がるその顔が坂本の更なる快感を誘う。



49:18/24
08/05/16 02:11:22 Ueda/cES
そして一旦坂本はペニスをゆっくりと明日菜の口から引き抜く。
再び俯き息を乱す明日菜を坂本は無理やり顔を上げさせ再びペニスをしゃぶらせる。
「んぐ……」
苦しそうにする明日菜。
「明日菜さん、おれの先っぽを舌先で刺激して」
坂本は最後の仕上げに入る。
「ご主人にするのと同じようにね」
坂本がにやりと笑う。
明日菜は……観念して坂本の尿道口を舌先で刺激する。
いつも夫がフェラチオの締めに求めてくる時と同じように坂本のペニスに奉仕する。
「いいですよ明日菜さん……」
坂本は美貌の人妻に性技を尽くさせる快感に喘ぎながら明日菜の顔を見る。
ぐりぐりと自分の最も敏感なペニスの割れ目を舌先で刺激する明日菜の淫らな表情にさすがの坂本
も限界を迎える。
そしていよいよという瞬間、坂本は明日菜の頭ごと自分の股間に押し付ける。

ドピュピュッ……
坂本はため息と共に明日菜の口内に精液をたっぷりと放出する。

(う、嘘……)明日菜は唖然とする。
明日菜にとって初めての経験なのだ。
……精液を直接口に出されるのは……。
初めての事態に対応できず明日菜の口から坂本の精液が流れ落ちる。
(口に出されたのは初めてか……)
坂本は明日菜の反応を確かめるとまたも無理難題を明日菜に浴びせる。
「こぼしちゃだめです、全部飲んでください」
坂本は明日菜の口から精液が垂れないように顔を上げさせる。
(そ、そんなこと……)
明日菜はさすがに躊躇する。
夫の精液ですら飲み干したことがないのに夫以外の精液を飲み干すことはさすがにできない。
「明日菜さんが初めて飲む精液は三鷹さんのじゃなくておれの奴ってことです」
坂本は自身のペニスの根元を掴み最後の一滴まで明日菜の口に出す。
そんな坂本に明日菜はいやいやをするように顔を横に振る。
「飲まないんでしたら……指輪を持って帰って……今日のことを三鷹さんに言います」
坂本が血も涙もないセリフを明日菜に告げる。
(そ、そんな……)
明日菜は衝撃を受ける。
しかし、今さら自分に何ができるのであろうか。
自分から始めたフェラチオなのだ。
それにいまさら夫にこのことがばれたらと思うとぞっとする。

結局明日菜は……ごっくんと坂本の精液を飲み干す。
そしてその瞬間、自分がもう後戻りできそうもないことに気づく。



50:19/24
08/05/16 02:11:51 Ueda/cES
「明日菜さん、もの凄くフェラチオが上手です」
坂本がわざとフェラチオという言葉を口にする。
明日菜にフェアチオをしたという事実を改めて認識させ、既に坂本が特別な存在だと思い込ませる
ためだ。

「ほら、一回出したのに明日菜さんが上手だからまだおれのちんこが元気満々です」
そういってまたも明日菜にペニスを見せ付ける坂本。
(また口でさせられる……?)
明日菜はもう口でやらされるのは許して欲しいのが本音だ。
もちろん、坂本も上の口にいれるつもりはない。

次は……下の口に決まっている。

「じゃあ明日菜さん」
坂本は明日菜さんを立たせ、玄関のドアに手をつかせ尻を突き出させる。
その体勢に明日菜は坂本の意図に気づき抵抗を示そうとする。
しかし、全ては無駄であった。
坂本が止めるわけがないのだ。
なぜならこれからが本番なのだから……。

坂本は明日菜のスカートのホックを外す。すると明日菜の赤いスカートが床にすっと落ちる。
そしてそのまま……坂本は明日菜の下着をずらし脱がせようとする。
「い、嫌。玄関でなんて……」明日菜が激しく抵抗する。
しかし……
「ここまで来たら楽しまないと……」
坂本が作業を止めて明日菜の耳元で囁く。
「ご主人には絶対言いませんから……」
「……」
明日菜は思わず黙り込む。
その言葉の裏には逆らうと夫に告げるという意味が言外に含まれているのだ。
明日菜は力なく抵抗を止める。
そしてその瞬間、一瞬にして最後の砦がずり下ろされ……夫にしか開かれていないはずの秘所が坂
本の視界に晒される。

「……」
明日菜は思わず目を瞑り羞恥に耐える。
「行きますよ、明日菜さん」
坂本がペニスを明日菜の秘所にあてがう。
坂本にとって確認するまでもない。
このシチュエーションに濡れない人妻などいるわけないのだから。



51:20/24
08/05/16 02:13:07 Ueda/cES
ズズズッ……
坂本のペニスが明日菜の秘所にゆっくりと入り込む。
(す、すげええ)
坂本は心の中で喝采をあげる。
初めて経験する明日菜の感触は今まで経験したことがないほど素晴らしい味わいであった。
坂本のペニスに絡みついてくるようなヒダの感触。
ピストン運動をしていても挿す動作と引く動作で快感が異なるのだ。
挿す時は明日菜の秘所を無理やりこじ開けるような感覚で亀頭に耐え難い快感が生まれる。
逆に引くときは坂本のペニス全体に絡み付いてくるような感覚が堪らない。
まるで明日菜本人とは別の意思をもった生き物が坂本のペニスが出て行ってしまうのを惜しんでい
るかのようだ。
「あ、明日菜さん!」
坂本は思わず明日菜の名を叫び何も考えずピストン運動を繰り返す。
自分の限界などもはや坂本の脳裏にはない。
今はただ、明日菜の感触を思う存分愉しみ味わいたい。

時には浅く……時には深く……。
緩急をつけて明日菜を責める坂本。
そして坂本のペニスが明日菜の最奥部をノックするたび、明日菜の口から控えめだが艶かしい声が
自然と漏れる。


「ああ……」坂本がペニスを根元まで突き刺す度に明日菜の口から喘ぎ声が漏れる。

ドアを開けた瞬間、いきなり坂本に抱きしめられ何度も何度も唇を奪われた。
ペニスを見せ付けられると自分から口に含み……生まれて初めて男の精液を飲まされた。
そして、ベッドではなく玄関先で、しかも外とはドア一枚を隔てただけの場所で坂本に後ろからの
挿入を許す。


明日菜は……完全に坂本に征服されていた。


しかしそれは自ら選んだ道であった。

今日、ドアを開けたのは明日菜。
坂本に口づけされているときに思わず坂本の背に手をまわししがみついたのも明日菜。
ブラウスを脱がされるとき、何一つ抵抗しなかったのも明日菜。

そして……坂本のペニスを口にしたのも……明日菜自らであった。



52:21/24
08/05/16 02:13:36 Ueda/cES
パンパンと男女の肌がぶつかり合う音が玄関先に響く。

坂本がペニスを奥深くに突き挿すたび、貫かれる快感が明日菜の背を伝い脳天まで走り抜ける。
そしてペニスが明日菜の最奥部に達するたび、更なる快感が明日菜を襲い人様に聞かせられない声
をあげてしまう。
しかし快感はそれだけではない。逆に坂本がペニスを引くたび、坂本のカリの段差部分が明日菜の
中に引っかかり別の耐え難い快感をもたらす。

実際のところ、最初に挿入された瞬間、明日菜は意識を飛ばしてしまった。
夫である三鷹とのセックスでもそんなことはなかった。
しかし、だからといってそれで終わりというわけではない。
ぼんやりしてしまった明日菜の意識は次々と襲い来る更なる快感で現実に引き戻される。


三鷹と明日菜の愛の巣の玄関で……明日菜は夫ではなく二日前に名前を知ったばかりの坂本の責め
を受ける。
それはまさに明日菜が今まで経験したことのない、許されるはずのない愚行であった。


由緒ある家柄に生まれた明日菜は何不自由なく育てられた。
子供の頃から絵に書いたようなよくできた子で親の手を煩わせたこともない。
成績は小学生の頃からクラスでトップクラス。なんの挫折も無く中学、高校と進学し、お嬢様大学
を卒業した。
そしてお見合いで知り合った三鷹と結婚し、すぐに双子を出産。
料理も得意で家事もそつなくこなす非の打ち所のない娘であり妻であった

その明日菜が……三流大学出身でペニスだけが自慢の坂本にいいように責められている。
結果として夫の留守に坂本の求めるままに体を許してしまった明日菜。
許されるはずのない不貞行為だ。
しかし……だからこそ明日菜は体の奥底から燃え上がる。
脳裏を焼く夫を裏切っているという罪悪感。
それが激しいスパイスとなり快感を数倍に膨らませ明日菜を追い詰める。



53:22/24
08/05/16 02:14:10 Ueda/cES
坂本は明日菜の腰をしっかりと掴みピストン運動を続ける。

今まで抱いてきた女達とは全く違う張りのある白い素肌と美しい体のライン。
腰のくびれなど坂本は頬ずりしてしまいたくなるほどにセクシーだ。
そして既に子供を二人も生んだとは思えないほどに自分を締め付けてくる秘所。

「どうですか、明日菜さん」
坂本が全く余裕のない口調で明日菜に尋ねる。
なにか口にしていないとあっという間に暴発してしまいそうなのだ。

「も……もっ……と……」
明日菜は思わず更なる快楽を求めるセリフを口にする。
明日菜は普段男を求めるようなセリフを口にすることはない。
夫の優しい愛撫に高められ、溢れるような愛情の中、達することがほとんどだ。
三鷹は夫であると同時に明日菜の人生における先生のような存在なのだ。
口づけも三鷹が初めて。
フェラチオも三鷹が初めて。
セックスも三鷹が初めて。
もちろん三鷹以外と肉体関係をもったことは一度もない。
明日菜は性にまつわるあらゆることを三鷹に教わってきた。
三鷹もうぶな明日菜をまるで源氏物語の光源氏が若紫を育てるように自分好みの女に育て上げた。
明日菜にとってセックスとは三鷹と心を通わせることとほぼ同義であった。
だからこそ三鷹にフェラチオすることは苦痛でないし、夫が喜んでくれると自分まで嬉しくなって
しまう。

しかし……坂本は違う。

坂本はただ快感のみを求め、女を屈服させる。
そして明日菜は坂本の思惑通り屈服させられる。
明日菜は夫と全く違う坂本とのセックスに成す術もなく何度も何度も意識を飛ばされてしまう。



54:23/24
08/05/16 02:14:59 Ueda/cES
度重なる絶頂感に明日菜は思わずひざをつく。
もう立っていることも辛いのだ。
「楽に……して……」
明日菜はうわごとのようにつぶやく。

そんな明日菜の姿に坂本はいつものように中出しを決意する。
イく瞬間の女性はあまりに無防備だ。
そこにつけこんで坂本は中出しする。
中出しされた瞬間の人妻の戸惑う表情が坂本にはたまらないのだ。
中には激怒する人妻もいる。
しかし覆水盆に帰らず。
中出し後に何を言っても文字通り後の祭り。
適当に言い訳すればいいだけなのだ。

坂本はペニスを明日菜の最奥部まで突き刺した状態で腰を左右に振る。
今までの反応から坂本は明日菜の弱点は最も奥の部分であることに気づいていた。
そこを重点的に擦りつけ明日菜を一気に絶頂まで導こうというわけだ。
そしてそれはまさに大正解であった。
そこは三鷹のペニスでは届かない位置で初めてもたらされる快感に明日菜は全身を震わせて身悶
える。
「だ、だめ……」
明日菜はあまりの快感に拒否反応を示す。
しかし構わず坂本はペニスを擦りつけ続ける。
それは同時に坂本にとっても賭けであった。
最も敏感な尿道口をこすりつけるという行為はある意味自爆行為でもあった。
ただでさえ明日菜の甘美な感触に坂本も追い詰められているのだ。
しかし、結果として坂本は明日菜に勝利する。

「……ああ……っっ!!」

明日菜の体が振るえ崩れ落ちそうになるのを坂本はなんとか支える。
そしてそのまま耐えに耐えたペニスを開放し精液を明日菜の中に流しこむ!



55:24/24
08/05/16 02:16:27 Ueda/cES
ビュビュビュッ……

我慢に我慢を重ねた坂本の精液が堰を切ったように明日菜の中に流れ込む。
その感触に明日菜は思わず我に返り手足をじたばたして逃げようとする。

……しかしそれは無駄であった。
坂本にとってそれは予想通りの反応に過ぎないのだ。
坂本は明日菜が逃げれないように腰をしっかり掴む腕に力を込める。
手足に力が入らない明日菜は自分の子宮に坂本の精液を流し込まれる熱い感覚に呆然とする。
確かに自分は夫を裏切った。
しかし、まさか坂本が自分に中出しするとは思わなかった。
明日菜は心のどこかで最後には抜いてくれると信じていた。
しかしそれは明日菜の甘い願望に過ぎなかった。
坂本は容赦なく明日菜に中出しする。
明日菜はもう坂本のものなのだから坂本にとっては当然の行為に過ぎない。
(ごめんなさい、あなた……。わたしが間違っていました……)
明日菜は心の中がで三鷹に謝る。
しかしそれは結果として何の意味も成さない。
坂本に抱かれた時点で明日菜は完全に三鷹を裏切っているのだから。
中出しはその結果に過ぎない。

「明日菜さん、ベッドに行きましょうか」
坂本はたっぷりと中出ししたばかりの美しい人妻に囁きかける。
呆然とした表情の明日菜に坂本は心の底から満足する。
明日菜のこの表情が見たかったのだ。
「じゃあ行きましょう」
そういって明日菜を抱き上げ部屋の奥に歩き始める坂本。

(これで休ませてもらえる……)
明日菜は坂本の言葉に思わず一安心する。

しかし、それは大いなる誤りであった。

坂本の言葉は三鷹夫婦の愛の営みが行われる場所、つまりベッドに場所を変えての第二ラウンド開
始の宣言に過ぎなかったのだから……。



「S01 訪問販売員 坂本」 完


56:名無しさん@ピンキー
08/05/16 02:18:51 Ueda/cES
以上です

突如、坂本が明日菜にフェラさせている絵が頭に浮かび
しばらく離れなくなったので書いてみました

ではまた

57:名無しさん@ピンキー
08/05/17 11:26:03 vINQ2WZM
素晴らしい!
坂本が初フェラの相手という方が良かったと思いますが、明日菜がどこまで堕とされて行くのか楽しみです。

58:名無しさん@ピンキー
08/05/18 17:59:32 W0yBEk/K


59:名無しさん@ピンキー
08/05/18 18:00:55 W0yBEk/K
これはいい
上はミス

60:名無しさん@ピンキー
08/05/21 07:56:55 PqTUmQwL
>>56
GJです。
前作の「桜の下で」後編の投稿から約一ヶ月しか経っていないのに

こんなに早くあなたの新作が読めるなんて夢にも思いませんでした。


SSを書きたいという
気持ちが蘇ったのかな



61:名無しさん@ピンキー
08/05/26 01:10:36 d5uR2ZwR
保守

62:名無しさん@ピンキー
08/06/01 04:40:46 Gf7rJ867
-DeathNote- ジェバンニ(30)×女の子ニア(21)
無エロ部が長くなってしまったのでこちらのスレをお借りします。
後編のエロ部分から順次投下となっていますので、エロだけ楽しんでいただければ幸いです。
のちに投下の前編はスルー可です。
-------------

「判りました」
身体を起こしたニアを軽く手で制すると、私は一人ベッドから降りた。
「辞めますか?」
私の背中にそう問いかける声には応えず、部屋の扉をきちんと締めて暗闇にする。
再びベッドへ近づくとニアの隣へ腰を下ろした。
「続きをされるのですか」
「ええ」
闇に慣れていない目にぼんやりとニアの白い輪郭だけが見える。
ニアは私に背を向けてベッドへ座り、微かに顔をこちらへ向けていた。
女性らしい曲線を描いている白い影に手を伸ばして柔らかい髪を撫でる。
「ここからです」
今更辞めようと言われても私は応じるつもりは無かったが、ニアは私に一つ要求してきただけだった。
「服を」
「全て脱いで頂けますか」

全て脱ぎ去った身体をニアに添わせ横たえると、ニアはまた、私に腕を回して胸を押しつけてくる。
私は、これはなんだろう、と漠然と思いながら、頭に添えた手で顔を上げさせると唇を重ねた。
啄むように上唇を噛みそこを舐めて唇を開けさせると舌を差し込んで、ニアを優しく絡め取る。
抱き合い、気持ちをほぐすように掌で背を撫でるがニアの細い身体ではすぐに一周してしまう。
さっき見た小さな背中から丸く曲線を描く尻を何度も掌で上下させた。
普段は大きめの寝間着を常用しているために身体の線を感じることは少ないがこうしてみると、きちんと女の身体だった。
暗くしたことに大した意味は無かったが、余計なことは考えさせずニアの冷たい身体に、こちらの熱を肌を通して渡したかった。

背を大きく撫でていた手を下ろし、小さな尻を揉みその狭間へ指を滑らせると、ごくわずかだがニアが身体を震わせる。
頭一つ分の身長差のため私の指は難なくニアの秘所へとたどり着く。
指を往復させると先ほどの潤みを感じ、それに沿って指を深みへと沈み込ませて行った。
唇を吸われたままのニアが、苦しさを訴えて私を押し返す仕草をしたが
私は構わず、舌と指によってニアの内部を探って行った。
「苦しいです」
長いキスから解放されるとニアは空気を求め大きく何度も息をつく。
焦点が合わないほど近くにある唇が拗ねて突き出されるのを感じ、私はそこに軽く音を立ててキスをすると、再び抱き寄せて
片足を横臥した自分の足に掛けさせると、開かれたそこへ指を向かわせた。
柔らかい肉の間を、やや乱暴に指を動かすと水音が暗闇に響く。
二本の指で探り当てた肉芽を小さく揺らすとニアが顔を埋めている首筋に微かに熱い息を感じた。
私はニアをシーツへ横たえると、今度は上から重なる。
唇から首筋に徐々に唇を落とし鎖骨の下にキスをすると、柔らかい乳房を掌に納め優しく揉みしだく。
乳首を人差し指で弾くように刺激して固くとがらせ、唇を寄せて歯を立てる。
胸を寄せて、先端を交互に口付け掬い上げるように揉んでから、わざと力を込めて手の中の柔肉を握った。
ニアが、痛みに身体を捩らせる。
暗くて叶わなかったが、今ニアがどんな表情をしているのか見たくて仕方がなかった。

63:名無しさん@ピンキー
08/06/01 04:42:12 Gf7rJ867
高まって行く自分を感じながら、身体をずらすと、一瞬迷って足に手をかける。
間接が痛けれれば痛いと言ってくるだろうと、一気に両足を膝裏からすくい上げ大きく広げると
ニアに抵抗される前に、そこへ顔を伏せて舌を這わせた。
「…っ」
すぐに手が降りてきて、私の髪を掴む。
構わずに濡れた溝に沿って、クリームを舐めとるように丁寧に舌を這わせていく。
柔らかい肉を分けて上部に隠れる小さな尖りを暴いた。
「んっ…」
ニアが息を飲む音がして私は、その部分を舌をとがらせて舐り
先程の愛撫ですでに固く起立していた突起に舌を押し付けて擦った。
「…やめて…ください…」
押さえつけた身体が熱を帯びて薄く汗を纏っていくのが判る。
かかげた足が暴れシーツに落ちたが、自由になった左手で秘裂を押し開く。
親指を蜜をあふれさせている膣へと浅く沈めて舌を大きく上下させ、時折クリトリスを叩くと溢れてくる愛液であごが濡れていった。
その間もニアは、股間から私の頭を引きはがそうと強く髪を引っ張っている。
その手を掴み身体を起こすと、ニアは半身を傾けてこちらを見ていた。
「よしてください、こんなのは嫌です」
「でも気持ちいいでしょう?」
するとニアは意外にも素直にうなずく。表情は見えないが、その子供の様な仕草にカッと熱がこみ上げた。
「乱れていただいても構わないのですよ」
薄い腹にキスをすると、再びニアの下半身へ顔を伏せる。
「やっ…」
小さな声を上げて、ニアが背をしならせた。
脚を押し開くと両手でニアのスリットを広げ、さっきよりも大胆に舌を這わせる
下から上に向かい大きくなぞり上げた。
「はっ…」
ニアが熱い息を漏らすのが聞こえる。
顔を覗かせているクリトリスを唇にはさみ、吸うとニアは呻いて大きく身体を捩らせる。
腰から下は私に押さえつけられているので、動かすことが出来ないが
含まれた弱みを舌で舐られる度にぎこちなく腰を震わせる様子が淫らだった。
再び手が降りてきて私の髪を掴む。
あまり強く引っ張られるので仕方なく私は身体を起こし、仰向けに横たわるニアの隣へ身体を沿わせると
顔を寄せてキスをしながら手を身体に這わせた。
せわしなく上下する胸をかすめ腹を円を描くように撫でながら降ろしていくと、ニアは腿を寄せて私の手を阻もうとしたが叶わず、
あっさりと潜入した指は再び充血した花芯を捕らえる。
秘裂にそって指を上下させると次第にニアの膝が曲げられて、腰が指に習うように動いた。
柔らかな髪に鼻をすりつけて、耳朶に音を立て吸いつき、歯を立てるとむずがるようなかわいい息が漏れる。
ニアの手が上がり、私の顔を押し返すような動きの後に、頬を優しく撫でていった。
あの白い指が掠めていったかと思うと、触れられた部分が熱を持ったように感じ、妙に悔しい。

64:名無しさん@ピンキー
08/06/01 04:43:01 Gf7rJ867
単純に濡れた溝をなぞっていた指の一本を、あたりをつけたニアの中へ滑り込ませる。
ニアの中は熱く、私の指はニアの口の中へ消えたチョコレートの様に溶けてしまいそうだった。
指を差し入れたまま掌を押しつけ円を描くように小さく動かしてやると、ニアが身体をくねらせる。
「あっ…あぁ…」
初めて聞くニアの喘ぎに私の興奮は高まってゆく。
腿に押しつけられる私自身にニアは気づいているはずだ。
ニアの手をそこへ導き握らせてみようかと考えたが、とりあえず止めておくことにした。
もがく身体を押さえつけて胸へ唇を這わせ、乳首に軽く歯を当てると飲み込んだ指を包む肉壁が動揺するのが判る。
「やめ…て…ジェバ、ニ」
ニアが、私に付けた名を呼ぶ。
私は、プライベートルームでまでその名前でいるつもりは無かった。
きれぎれなニアの願いを無視すると、足の間に差し込んだ手を更に押しつけて、彼女の中の指を曲げ複雑な肉壁をこすり、
掌にあたる尖りに振動を与えて絶頂を促した。
「んっ、…んっ!」
その動きを押さえ込もうと私の腕に手がかけられたが、力が入らないのかゆるく掴まれるだけだ。
身体を不自然に傾け息をつめていたニアが、瞬間電気が通ったように首を反らせて声を上げる。
「あっ!…や……はっ…ぁん」
すぐに力が抜けて身体はシーツに沈み込んだ。何度も大きく息を付き、上下する薄い胸が生々しい。
ニアに挿入されたままの指は収縮を繰り返す粘膜に包まれ、私はこれから味わう事になる快感を思うと酷く唇が乾き、それを舌で潤した。
「ニア」
声をかけると、まだ身体の震えが止まらないニアが小さく首を振る。
制止を聞かなかった私を、攻めているのかもしれない。
私はなにも気付かないふりをして、一旦身体を起こすと用意した避妊具を装着して再びニアに重なった。
彼女の中へと埋めない事にはとてもではないが収まらない。
投げ出されたままの手を自分の肩へかけさせると足を開きそこへ身体を重ね合わせた。
しとどに濡れた秘唇を左右に分けると、興奮状態が続き、筋に痛みを感じるほどに熱くなった己の先端を埋める。
顔を寄せると、ニアは瞼を固く閉じ、未だ荒い呼吸を繰り返している。
ニアが我を取り戻す前に挿入してしまうつもりだった。
手を添えたものに力をこめて、絶頂後の弛緩した膣内へ熱い自分を埋め込んで行く。
ニアのヴァギナは狭く、しかし濡れきったそこは笠を過ぎると、ぬるりと男の進入を赦してしまう。
「あっ…い…たぁ…」
ニアが、身体を反らせ、掠れた声を上げた。
これだけとろけているのにもかかわらず痛みを訴えてくるニアに私は少し慌てる。
痛いと思いこんでいるだけなのかもしれない。
「そんなはずはない、力を抜いて」
「おき、すぎます」
それは喜ぶべきなのか、少年らのそれと比べられて怒るべきなのか。
「大丈夫だから」
口では気遣いような事を言っておきながら動きを止めるつもりは無かった。
宥め賺して、癒着した部分を裂くように身体を進めていく間も腰に添えた手を伸ばし、親指で凝る突起に触れた。
「ん、んっ、や…」
達したばかりの敏感なそれに触れられて、ニアはむずがる様に声を上げる。
成熟を終えていた身体は、まるでスイッチが入った様に、先程までの人形の様な無反応さを返上する。
「うっ…ぅ、くる…し…」
くさびを全て埋め込まれたニアが呻く。肩に縋る指に力が込められて爪が食い込み、私に小さな痛みをもたらしたが
狭く熱い肉の筒に締め上げられ私自身も這い上がる快感に声が漏れる。

65:後編(エロ)
08/06/01 04:44:57 Gf7rJ867
軽くキスをし、浮き上がる背中を優しく撫でてニアを宥めるとまたニアが身体を押しつけてくる。
がっちりと腕を回し胸を押しつけられて、私は動くことが出来ない。
暫くその体勢で背を撫でていた私は、埒があかないのでニアを引きはがし腰を抱えた。
「はぁっ、まって…っ」
辛そうなニアに、射精せずに終えると言う選択肢もあったが、それは私のなかで即座に却下される。
引き抜くと、再び突き入れる。粘りけのある水音がそこから漏れた。
なるべく優しく、と思うのだが、こちらも快感に脳が支配されて上手く行かない。
「ふっ…あ、はぁぅ」
ペニスをゆっくりと引き出すとニアが身体をくねらせて小さな声を上げた。
少しは感じるのだろうか、私は次第に早くなる動きを抑えられない。
腕を交差させて目元を覆うニアにたぐり寄せられ、頭の脇のシーツは滅茶苦茶になっている。
締め切った部屋の空気が熱を帯びて息苦しい。私からしたたる汗がニアの胸に落ちていく。
手を伸ばし、水気を擦り付けるように小さな胸を押し揉んだ。
「うっ…んっ…ひっ…ぁくっ」
打ち込まれるたびに漏れる声は決して快感の為の喘ぎではないと言う事は気づいていたが
その声にすら刺激され、もはやニアの為にも早く終わらせなければと言う都合のいい考えが身体を支配する。
引き抜く時の肉壁の抵抗で扱かれ射精感が込み上げ、汗で滑る身体に、腰を抱え直すと
両脚を肩に抱え上げ膝立ちになり激しく突き入れた。ニアが悲鳴を上げる。
肉がぶつかる音と接触部から漏れる水音に、こんなに激しくしたら壊れてしまうのではないかと言う心配も
押し寄せる快感にすぐに流されていってしまう。時折顔を覗かせる理性は、なんの役にも立たない。
私に揺すられるまま翻弄されている細い身体は、陸に揚げられた哀れな魚のように口を大きく開けて
必死に酸素を取り込もうともがいている。
脚が汗で滑り肩からずり落ち、それを高く掴み上げ腰を更に進めると、ニアのクリトリスが押しつぶされて
その刺激に、私を締め付けてくる肉筒が痙攣した。
「はぁっ、あぁ…っ」
ニアが身を反らせる。私は身体を押しつけたまま、身をかがめて差し出された胸に吸いつく。
「やぁ…ぅ」
ニアがいくら否定しても、私に腰を擦りつけるようにぎこちなく揺らめく身体が如実に語っていた。
「ニア…」
私はたまらなくなり、白い胸に名残惜しくキスをして、再び抽挿を再開させる。
男に慣れていなかった狭い肉壁は今や私に絡みつき、まるで絞り尽くしてやろうと言わんばかりに締め付け扱き上げてくる。
長く楽しみたいという気持ちと、早く出してしまいたいと言う気持ちがせめぎ合い、もはやニアへの配慮は全く無かった。
軽い身体は私の乱暴な動きに、がくがくと揺すられ悲痛な声を上げて身体をしならせる。
「ああ、あっ…も…っ」
苦しげに伸ばされたニアの手が、腰を掴む私の手の甲に爪を立てた。
それが引き金になったように、私は腰を深く突き入れたまま動きを止め、一瞬の快感に力が篭もり、身体が震えた。
「ニア…!うっ…く、」
放出に頭が白くなったあと、ニアの両脇に肘をつきなんとか崩れ落ちる失態を逃れる。
呼吸を忘れていた自分に気付き激しく息を繰り返した後、組み敷いた身体に声をかけた。
「ニア…大丈夫ですか」
さんざん勝手して置いて今更だが、終えたとたん戻ってきた理性が焦りだす。
頬に添えた手で軽く揺すったが全く反応がない。
慌てて身体を伸ばし、サイドボードのスタンドを点けるとニアの白い身体が闇の中にぼんやりと照らされた。
ぐったりと弛緩した身体をシーツへ投げ出し、せわしなく上下する白い胸だけが彼女が生きているという事を知らせている。
身体を離すとニアは、明かりを嫌ったのか反対側を向くと、その身をくるりと丸めた。
白い肌が汗で光り 艶めかしいその姿は、打ち上げられた人魚のようだった。

-------------

66:前編(長)
08/06/01 04:47:55 Gf7rJ867
前編
捏造多数、性格改変、色々気になる方は激しくスルー推奨
-------------

白いパジャマ姿がソファーの上で食い入るようにモニターを覗き込んでいる。
そこには初老の男と、痩身の老人が向き合いなにかを話す様子が映し出されており、絵面が面白いとは言いがたい。
私は再びニアに視線を戻した。
極端に小柄だった体躯もそれなりに成長し、最近はめっきり女らしくなっている。
まだまだ仕草や表情に幼さが残るのはリアルな人生経験の希薄さも影響しているのかもしれない。
小さな頭には世界中のあらゆる情報が蓄積されているようだが、こうやってニア自身が表舞台に現れる事は極々まれな事だった。

ワシントンD.C.のウェスティン ワシントンホテルの一室で、今"L"の交渉が行われている。
今回の案件に関してはちょっとした背馳があり ニアは難色を示し、さりとて断る事もなかなか難しい筋からの繋ぎであったために
最初のコンタクトの様子をその目で見たいとニアが言い出した。
見て何かが判るのか、それとも他に理由があるのか私達には判らない。
だが要求された事を準備し行うのが我々の仕事だった。
部屋にカメラを設置し無線かネット回線で飛ばすことも考えたが、この様なホテルは当たり前だがそう言った事に厳しく
依頼人に無断で遠くまで配信することは多少の困難の元にあった。
このホテルを選んだのは全館に置いて無線LAN回線が張り巡らされている為、データの移動に都合がよく、
いくつか部屋を経由したのちにネット回線を使用して…と言う計画だったのだが、珍しくニア自ら出向くと言う事になり現在に至る。
そして、4つしかないエグゼクティブクラブルームの真下の部屋ではロジャーが"ワタリ"として、今回のファーストコンタクトを行っていた。

「もういいでしょう」
そう言うとニアはヘッドセットを外し、律儀にもモニターの電源をも切ると、ソファーの上で片膝を抱えた。
私はイヤホンで階下の会話を聞きながら窓際に移動すると、そこに置かれた椅子へ腰を下ろし展望するビル街に視線を移す。
大掛かりに設置したわりに、ニアがモニターを見ていたのは2分程度の事だった。
軽い徒労感に襲われたが、録画でよかったのではなどと口を挟もう物なら、その数十倍の言葉を浴びる事になるのだろう。
それに、下手をすると部屋に閉じこもりがちなニアなので、せめて運動になればと思うことにした。
私のイヤホンにはまだロジャーと依頼人の会話が流れてきている。

67:前編(長)
08/06/01 04:48:42 Gf7rJ867
いつの間にかこちらを見ていたニアが言った。
「いい天気ですね」
大きな窓と広いバルコニーが売りの一室だ。柔らかな午後の日差しが部屋の中へ差し込んでいる。
散歩でもいかがですか。
出かかった言葉を飲み込む。
「受けますか」
「さて、どうしましょう」
こんな返事でももうニアの中では結論が出ているのだろう。
私は、いずれ向かうことになるであろうシチリアのパレルモに思考を巡らせた。イタリアには曾祖父母の墓があるが、立ち寄る暇は恐らくないだろう。
イタリア語ならハルも得意だが最初から係わっている私に声が掛かるのは必然だった。
このままの流れならば、ニアに協力できる最後の仕事になる。
こちらの活動と本職との兼ね合いに付いて私は思うところがあったが、未だ決心には至っていない。

「最近はいかがですか」
不意に、こう切り出され内心ギクリとする。
ニアは、こちらの考えを読んでいるかのように実にタイミング良く声をかけてくることが多々ある。
車中で唇を重ねてから二人きりになる機会などなく、季節は過ぎ再びニアの誕生日を迎え、そして春になった。
別に付き合っているわけでも、恋愛感情が合ってニアを抱きたいと強く願っているわけでもない、
多忙な身に加えてこちらの方が立場は弱かった為、次に進みようがない。
むろん進展を願っていた訳ではないが、複数のしがらみも含めニアの姿が頭から完全に消えることは無かった。
そして今だ私の唇と指先には、時折ニアの柔らかな感触が蘇ることがある。
振り払うように立ち上がると、隣室の冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、グラスと共にニアの元に戻る。
「代わり映えはありませんね」
私の所属が監査局へと内示が出そうだ、などという情報はとっくに仕入れている事だろう。
私は、代わりに質問を返した。
「あなたの方はどうですか?」
「先月までいたマイアミはすごしやすかったです」
「ワシントンはやっと暖かくなってきましたね」
「季節と共に移動されているのですか?」
私が笑いかけると、ニアが少しだけ口の端を上げた。
いい加減見慣れたと言えばそうなのだが、もう少し可愛らしく笑えないものかと思う。
私は、二つのグラスへ水を注ぐと、その内の一つを手に取り窓辺へとまた移動する。
ロジャーの方はまだ掛かりそうだった。浮いてきたイヤホンをしっかり固定させると、そちらの話へ集中出来ない理由を考える。

せっかく訪れた機会に、私はニアから一つ確かめたいと思っていたことがあった。
私が知りたいこと、それは私にとっても漠然としていて自分でも何が知りたいのかはっきりしない。
直接聞いてどうこうなる話でもない。
一番いい方法は話の中から私がくみ取る方法だと感じてはいたが、ニアを相手にどんな会話をすれば盛り上がるのか皆目見当がつかなかった。
前回は躊躇してしまったがメロの話を避けて通る訳にはいかない。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch