君に届けでエロパロat EROPARO
君に届けでエロパロ - 暇つぶし2ch774:風梅15
09/01/19 17:14:02 yEPOef7V

(あたしに気安く触ってんじゃねーよ!)

梅は精一杯の抵抗を見せたが、小柄な梅に男2人の力では敵わない。
男達はニヤニヤ笑いながら梅を連れて行こうとする。
強く奪われた肩は、ビクともしなかった。

「わっなに、お前」
突然、梅は、自分の肩に重く圧し掛かっていた力が取り去られるのを感じた。

「ごめん、この子俺の連れなんだ」
その顔は穏やかに笑ってはいたものの、梅の小さな肩に乗っていた男の腕を強く掴み、男達をまごつかせていた。
「・・・・・んだよ、ひとりじゃねーのかよっ」
「行こうぜ」
男達はバツの悪そうにその場から離れていった。
梅は、自分の肩にまだあの鈍い重さが残っているのを感じながら、ゆっくり彼を見上げた。


「・・・・大丈夫?胡桃沢」


わたしを呼ぶ、低い声。
最後に名前を呼ばれたのは一体いつ頃だっただろうか。

「あんなふうに抵抗したら逆効果だよ。だめじゃん」
優しく包むような笑顔。

しかし梅は感じていた。

違う。

わたしがずっと守りたかった笑顔は、こんな今にも消えそうに悲しく笑うものではない。




「・・・・・・・なんで泣くの?」

風早は静かに、低く尋ねた。

「あ、軽蔑しちゃった?さっき変なトコ見られたもんなー」
あははっ、と乾いたように笑う彼に、梅は何も言わなかった。







梅の大きな瞳からは、涙が流れていた。
枯れたはずのそれは、止まることなく、彼女の柔らかい頬を濡らし続けた。
ただ真っ直ぐ、彼を見つめて。

775:風梅16
09/01/19 17:16:53 yEPOef7V
------------------------------------------------------------
「ちょっと!」

寝転んで漫画を読んでいる龍に、千鶴は一喝した。

「漫画読んでんなら笑うなり泣くなりしろっていってんじゃん!もくもくと読むなよ!」
あーーーいらいらする!と、千鶴は頭をがーっとかきむしった。

「今いいとこなんだよ、邪魔すんな」
「えっまじで!ちょっとあたしにも見せてよ!」

「・・・・・・・・・・・・・・・。」
パラッ

「・・・・・・・・・・・ちょ、早い」
・・・・パラッ.........・・・・パラッ

しばし静かな空気が流れた。
千鶴は不覚にも真剣に漫画に引き込まれた自分をさっと我に返し、言い放った。

「はっ違う!!そーじゃなくって!!引き出物!どーすんのさ!
そろそろ決めないとあたしが母ちゃんに怒られるじゃん!」

と、なにやらパンフレットなるものを龍の顔に突きつけた。

相変わらず無表情でじーっとパンフを見つめていた龍だが、
「・・・・・ないとだめなの?」

「えっいや、あたしもよく知らないけどさ!」



千鶴と龍。
幼き頃よりお互いを支えてきた二人は、来年の春、結婚する。


高3の卒業式の前夜。
千鶴はいつものあの堤防に腰掛け、ぼーっと暗い海を眺めていた。
と、ザッザッという砂利が鳴る音が聞こえた。

「何してんの」

もう部活は引退しているはずなのに、龍は引退してからもこうして走っているようだった。
軽く呼吸を置いて、龍は千鶴の隣に座る。

いつものように隣で感じる龍の存在は、千鶴にとってとても落ち着くものであった。

776:風梅17
09/01/19 19:07:39 yEPOef7V
「高校生活も明日で終わりなんだね。あっというまだったなーと思ってさ」
「うん」
龍は静かに言った。
「いろいろあったね。1、2年はよく爽子とあたしと矢野ちんで龍んち行ってさ。
んで風早も呼んでからかって・・・・・あっ修学旅行、
風早ってば爽子と同じ班になりたいからってピンにすごい媚び売ってたよね
ほんとあいつ・・・」
「うん」

「・・・・・・・・・・・爽子、この3年間ですごい変わったよね。よかったよね。」
「うん」

「・・・・・・・・・・・爽子、地元の大学の教育学部だって……ケントと同じ大学。」
「うん」

「・・・・・・・・・・・・あの二人が終るなんて思わなかった…」
静かに波は音を立て、冷たい風はふたりの頬をくすぐる。

「って、あたしがしんみりしても仕方ないか!」
ははっ、と千鶴は笑ってみせる。

龍はキラキラと輝く暗い海を眺めながら、千鶴の頭をぽん、ぽん、と触った。
龍の体温が優しく伝わってきて、千鶴は心がじんわりと温かくなるのを感じた。

龍は、なぜこんなにもあたしを安心させれるんだろう。
こうして龍といると、千鶴は自分がまるで子供時代の小さな女の子に戻った気分であった。
そう感じることに、安心感からか少し泣きそうになりながら、千鶴は続けた。

「矢野ちんも爽子も、これから将来にむかって勉強してくんだよね。
なんっかあたしだけ置いてきぼりなかんじで実は結構寂しかったりしたんだけどさ。
でも、あたし焦るのやめたよ。ゆっくりやりたい事考える。
あたしにしか出来ないこと探すんだ!」

「龍が作るラーメン食べに行くからね!味噌ラーメン、あれスープの煮込み具合で
味変わってくんだからちゃんとレシピ覚えろよっ」

龍は黙って海を見ていた。
千鶴はそんな龍の横顔を見ながら、にかっ、と微笑んだ。
「さ、そろそろ帰ろっか。母ちゃん最近うるせーんだ」

「千鶴」

千鶴が立ち上がろうとした時、龍の大きな腕が静かに千鶴を包んだ。
いきなり抱きしめられて、千鶴はびっくりしている。

「へっ、りゅう?なんだよ、どーしたの」
龍は何も言わない。

(・…なんだよ・…)

大きな龍の身体。
暖かい龍の体温。
龍の心地よい心臓の音を聞きながら、しばらく千鶴は全身でその暖かさを感じれるようにそっと目を瞑った。

ザザン・・・
波が穏やかに堤防に打ちつけられる。

777:名無しさん@ピンキー
09/01/19 20:08:01 KZkQuxaK
続きキテル~(・∀・)
wktkしながらさらに続き待ってます

778:風梅18
09/01/19 20:43:41 yEPOef7V
「結婚しよっか」

龍の突然のその台詞に千鶴はとても驚いたが、龍はとても優しい顔をして千鶴を見つめていた。
「・…龍」

「終わらない関係だってちゃんとあるよ。」

^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^
漫画を片手にいつのまにかベッドに大の字で寝てしまっている千鶴に
龍は優しく毛布をかけた。
「うーんうーん、あれ、・・・キマイラァ」
「いねえから。」

うなされて寝言を言う千鶴に、冷静に突っ込みを入れながら
千鶴が持ってきた引き出物のパンフレットを パラパラと見た。
すると、千鶴が書き出している式の出席者リストの紙があった。
ささやかな式なので大勢は呼べないが
千鶴と龍のかけがえのない大切な人たちの名前が書かれてあった。

黒沼爽子・矢野あやね・風早翔太・荒井一市・胡桃沢梅・城ノ内宗一・三浦健人・・・・・・

龍は、静かにその紙を机に置いて、大きく息を吐く。

そして、1年ほど前――卒業してジョーが同窓会の為に帰省した時に
言った台詞を思い出していた。
龍は、帰省もせず、あまり連絡もつかない風早のことを聞いてみたのだ。

「え、風早??東京行って結構変わったよー!髪染めて雰囲気変わったのもあるんかな?
とにかく楽しそうだよ風早!いっぱい女の子に声かけられてるしさあ~うらやましいよなー
あ、そうだあやね同窓会くる?連絡つかないんだよ~
こないだエラーでメール返ってきてさ、 携帯紛失でもしたのかな~」

ジョーは能天気にラーメンをおいしそうに食べながら、龍の質問に答えていた。

その的外れな答えに、龍はその時つい先ほどまで徹龍軒に来ていた
健人と爽子を思い浮かべていた。
ふたりは仲よさそうに龍のラーメンを食べると、そのまま爽子の家へ行くという。
そう話す爽子の笑顔は、とてもしあわせそうであった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー―

(しょーた)
(しょーたなら、大丈夫)

龍は信じていた。
そして、確信していた。

風早なら、時間はかかっても必ず前に進める、と。


779:名無しさん@ピンキー
09/01/19 20:48:13 yEPOef7V
スレ汚しごめん。。。
丁寧に書こうとしたら20レスこえちゃうね・・

なんとなく龍ちづの話も入れたくて、ちょっと脱線させたけど
書いてしまった

残りは風梅の場面に戻って、同窓会、爽風2年ぶりの再会、とかに
するつもりなんですが
要望あったらおねがいします!
こんなエロ入れて、とか

最後に、この風梅が長くなってしまってほんと申し訳ない。

780:名無しさん@ピンキー
09/01/19 20:50:18 U/SoJnsP
>>758
乙です
夜勤もお疲れ様です

夜勤明けさん、今までにも何度か投下してくれてましたよね?
多分これかなぁ・・・ってやつ、全部好きで何回も読み返してます
ヤン早万歳\(^o^)/

781:名無しさん@ピンキー
09/01/19 20:54:21 KZkQuxaK
ラブラブな爽健を見て、
荒れ狂う風×慰め受け入れる梅
見たい…

782:名無しさん@ピンキー
09/01/19 20:56:20 eewVMNw+
>>779
GJ!!
変わってしまった風早がせつねぇ…
やっぱ風梅だから風爽endではないよな…
しかし風は爽じゃないとダメな気ガス…
とにかく続き期待してます!!

783:名無しさん@ピンキー
09/01/19 21:02:11 fZWPQy4X
あたしも風を元気にするのは爽じゃなけゃできないと思う。
でも、梅がどう動くかも気になるから頑張って下さい

784:名無しさん@ピンキー
09/01/19 21:05:30 U/SoJnsP
>>779
乙です

自分も正当カプ以外はどうしても違和感感じてしまう方ですが、
荒れる風の描写がすごくイイ(・∀・)!!です

785:名無しさん@ピンキー
09/01/19 21:11:23 5GmX5jEw
>>779

丁寧に書かれているので切なさも一入です
切ない風爽が好きだけど、この話だったら風梅もアリアリだぁ
ただ風が爽自身に思いをちゃんと殺してもらえますように
風の傷が癒えますように…祈ってます

786:名無しさん@ピンキー
09/01/19 21:31:00 Tu5smLoo
てすてす

787:名無しさん@ピンキー
09/01/19 21:55:54 Tu5smLoo
容量が残り少なくて気になって眠れなくなりそうなので
次スレ立てたよ
ここが埋まったらつかってね
君に届けでエロパロ★2
スレリンク(eroparo板)

788:名無しさん@ピンキー
09/01/19 22:10:15 KZkQuxaK
>>779
爽子を思い出しながら、他の女を抱く風早…
思わず「爽子…」と名前間違えてしまう風早。

こんな展開見てみたい。

789:名無しさん@ピンキー
09/01/19 22:47:45 ydmjEAFi
>>779
GJです!
続きキニナル!
あと…ケン爽ストーリーも読みたい


790:名無しさん@ピンキー
09/01/19 23:34:24 /ECuMaIg
>>779
おもしろかった!
丁寧だからむしろいいと思った。

風爽へ思いをはせるちづに、龍が「終わらない関係もある」っていったのがすごくせつなかったな~。
あと荒れた風早とは対照的に、ケントと幸せになっている爽子がなんとも…

十分楽しませてもらってるので、要望はとくに。。
続き待ってます!

791:名無しさん@ピンキー
09/01/20 00:40:16 LGtYc4HX
いやいや!!!丁寧でいいよ~!!!
もうGJGJGJGJ!!!!!

長くなってもいい~!っていうか長くなってほしい~!!!

792:名無しさん@ピンキー
09/01/20 00:54:28 LGtYc4HX
>>788

同じく~。
他の女を抱きながら「爽子・・・」って呼ぶ・・・せつない。
見たい・・・。

793:風梅19
09/01/20 02:52:36 71//d07W
みなさんレスくれてありがとうございます!
でもやっぱりCFYと似ちゃう場面がある・・・
みなさんの要望、ちょこちょこ入れていきまつ!
ありがとでした!

以下・続き

「俺が泣かしてるみたいじゃんか」
風早はわざと明るく言う。
そして、にっこりと笑ってみせた。
「久々だね。胡桃沢。東京出てきてたんだ?」

梅ははっと我に返って、溢れていた涙を小さな手でぐいっと拭った。
「・・…風早」

梅は改めて風早を見上げた。
自然な色だった黒髪は、明るい栗色に染められていて、
高校の時も締まっていた身体つきであったが、今はそれよりも少し痩せているようだった。
人懐っこそうな雰囲気や優しそうな面影は変わっていないように見える。
しかし、梅はそのなかで明らかな違和感を感じた。

今目の前にいる青年は、自分が知っている男の子ではない。
そんな思いが拭えなかった。
風早なのに、風早じゃない。

当時の風早と明らかに違うもの。
風早が失ってしまったもの。




その瞳に、光は、ない。




梅が黙っていると風早は梅に歩み寄った。
その時、梅はドクンッと自分の心臓が跳ねるのが分かった。
風早の、ごつごつしていて細い指が、梅の目に残っていた涙を拭ったのだ。
顔を覗き込むように風早が優しく微笑む。
梅は思わず顔が赤くなった。
風早はそれに気付いているのかいないのか、今度は頬全体を撫でる。
「…胡桃沢、ほっぺあったかいね」

優しい口調。
優しい笑顔。
なのにわたしを見るその瞳は、冷たい。

梅は思わず下を向いた。その瞳から目を逸らすために。
「・・…風早、彼女いるのにこんなことしちゃだめじゃん」
風早から離れ、梅は平静を装った。
ふは、と、風早は梅から視線をいったん落とし、嘲笑した。
「彼女なんかいらないよ、俺は」
「え?」



「俺だけのものにならない女なんて、欲しくも無い」
そう言い放った彼の瞳は、鋭く、更に冷たく、梅を捕えた。

794:風梅20
09/01/20 03:31:41 71//d07W

――ゾク


梅は、その瞬間本気でこの目の前の男に恐怖心を感じた。
そして、同時に深く暗い悲しみが、梅の心を驚くべき速さで侵食する。

梅の胸は強く強く締め付けられた。

あの太陽のような優しい笑顔は?
真っ直ぐにただただ誰かを想えていた気持ちは?

彼は、この2年間、1歩たりとも前に進むことが出来なかったんだ。

光ある未来を、彼は見つけられていない。
むしろ闇が、彼をどんどん奥深くへと飲み込んでいった。
深く、深く。更に深く。
戻る道すら彼は見つけられなかった。
気付いたときにはもう、彼の光は闇に奪われていたから。



「ほら、彼女なんていなくても女の子とは遊べるしね」
彼は笑う。



「・・・・・・かぜはや・・・・」

弱弱しいかすれた声が、梅からこぼれる。
「結構もてんだよねおれぇ。高校んときも色んな子と遊んでたらよかったなーって、ちょっと後悔・・・」

「風早!!」
思わず梅が大声をあげる。

「・・・・・・はい。何?」
相変わらずの乾いた笑顔。
その笑顔に、もはや梅は何の魅力も感じなかった。
梅は、彼を強く見上げた。

「……無理なんだよ」
梅の震える瞳には、再び涙が溜まっていた。
「そんなふうにいくら自分を傷つけたって、爽子ちゃんは戻ってこないんだよ!!」

ドクンッ
風早の表情がゆがんだ。
光こそないが、その瞳には明らかにさっきまではなかった色が見られる。
彼のその様子は、馴染みある時の風早を梅に一瞬見せた。

しかし、すぐにその様子はさっきまでの彼に取って代わる。
「…なに言い出すかと思ったら。いま爽子は関係ないじゃん」


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