08/05/14 20:39:01 9evze1j3
キスをされている。いつかのように。
いや、一つ違う。
舌が伸びている。それを舌と感じないまま、ボクは受け入れている。
くちゅくちゅと互いの舌が絡む。血流が全開だ。
心臓が躍り上がりそうなのに、舌だけは歩美を追っている。
身体中の血が下半身に流れ込もうとしている。
気取られる前に、必死の思いで体を離した。
「……友達なのに、キスしちゃダメだろ」
「じゃあ、もう友達の次だ」
口が回らない。口が回れば、こんな反則、いくらだって抗議できるのに。
身体は離しても、まだ繋いだままの手が歩美の手から熱を伝えてくる。
「女の子には武器があるんだよ。
男からじゃダメだけど、女の子からなら罪にならないの」
「……不穏当な発言は控えてくれ」
「だから、こんな台詞がゲームには出てきたよ。
据え膳食わぬは男の恥。
私、そんなに魅力ない?
わたしも、なにかしたほうがいいかな……
一回でいいの。忘れてもいいの」
「……迷惑な台詞ばっかりだ」
「迷惑って、わかっていってるんだよ。桂馬」
唇が目の前に迫る。三回目のキスと、押し付けられる身体。
その匂いと感触に、ボクは耐えられそうになかった。