09/03/23 07:41:35 nSbrbLXD
美生の話を聞く。PFPは出さない。
時折、楽しそうに笑っている。森田というその運転手も色々大変だったろうな。
こいつが真性のツンデレなのは変わらないだろうが。
きっと家族やその人はじめ、何人かにはこういう笑顔をみせていたはずだ。
クソゲーにセーブ&リロードはない。
万が一、本当にボクが死ぬことになったとしたら。
駆け魂は消え、こいつはボクのことを忘れてくれるだろうか。
それとも、こいつは、ボクがずっと好きだと思ったままでいるということだろうか。
そんなことはボクの知ったことじゃない。
それを乗り越えるのは本当はこいつの仕事なんだ。
そのスキマに入り込んだ駆け魂。
こいつを慈しんでいた父親の死。
あの日に、全てが終わっていれば、こいつはボクのことも忘れて前に進むことが
できたかもしれないのに。
─こいつは、二回目のそれに、耐えられるのかな。
「美生」
驚いたように隣のボクを見る。怒っているのか、顔を赤くして返してくる。
「……土曜の夜以来ね。私の名前を呼んだの」
「そうか?」
「いつも、お前とか、ばっかり。だいたい、そんな呼び方」
一呼吸置く。
「桂馬に、許可なんてしてないのに」
そらしてしまった顔に、声を大きくしてボクは続けた。
「聞いてくれ」
身体を美生へと向ける。その拍子に、まだ残っていたコンクリートの上の飴玉が、
ボクの足ですりつぶされた。
「ボクが、お前のことを、好きだっていったのは、演技なんだ」