08/07/07 22:15:04 HhzaoHZl
「わ、っと。な、なんでしょう、神様?」
「いや……」
もっと驚いているのはボクのほうだ。
どうしてボクはそんなことをしたんだろう。
「そんなに……すぐに行っちゃうなよ」
それどころか、なぜそんな台詞を口に出してるんだ。
なんだ。さっきプレイしていた聖結晶アルバトロス! エクスタシーの
せいだろうか。
慌てて次の台詞を続けた。
「こ、今回のは、昼間のケーキと何が違うんだ」
「基本的には材料を、人間界のにしただけです。
そうですか、そんなに神様がパティシエに詳しく聞きたいということなら任せてください!」
母さんか本からか知らないが聞きかじったらしいネタを誇らしげに語りだす。
そもそも女性ならパティシエールだけどな。
バターがないから牛乳から作ったといういじましい裏事情も含めて、
エルシィの表情はころころと変わる。
昼間の泣き顔なんて、こいつのほうは、かけらも残していないのか。
少しだけ、それにいらつく。本当に、何も考えていないヤツだと、よくわかった。
三百歳がどうこう言っていたが、地獄では三十倍くらいの早さで時間が流れてるんだろう。
だったら、ボクのほうからはじめるしかないってことか。
ふわ、とあくびをもらす。そういえば朝6時に起きていたとか言っていたな。
きっともうすぐ、部屋に戻ろうとするだろう。
一応は、ボクのために早起きしたんだし、そのまま行かせてやればいい。
「エルシィ」
「はい?」
「……クリームがついてる」
頬に少しだけ舌をつける。ちょっとだけ、唇も触れてしまったかもしれない。
唇の柔らかさとはまた違う、頬の滑らかな感触がボクを揺らした。
「かっ、神様!?」
ベッドの上でちょっと距離を取り、きっと昼間のボクもそうだったように、
顔を赤くしている。
……お前が先にしたことだろう。少しくらいはボクと同じ目にあってみろ。
「もうちょっと……話をしていけ」
「は、はい」
眠気はとんでいったのか、エルシィは元通りの体勢に戻った。