08/06/17 23:14:16 +JbRTL5g
小さな手が、なにものも侵入したことのないそこに指先を埋める。
ちいさく立ち上がった乳首をぎゅうとつよく押さえ込んだ。
「神にーさま……神様……」
言葉にすることでひと時の開放を味わう。
けれど、その開放された心はより圧縮された想いですぐに埋められてしまう。
(神様……神様……神様)
煮えるようにぐるぐると心が攪拌される。
入り口の周辺をにゅくにゅくと撫でさする指先と、熱くしこる先端を
刺激する速度が上がる。
彼の姿は見えない。自分を抱いてくれているのか、かわらず愛撫してくれているのか。
捜し求めるように、指の動きが止まる。
目の前に、大きく写りこんだ桂馬の表情。
触れられない彼が、自分の唇へと触れようとする瞬間、この上ない悦びを覚えた。
寝巻きに歯をたてるようにし、大きく漏れようとする声を止め、
びくびくと震える身体はそのままに任せた。
視界も思考も不明瞭な中、どこか冷静な場所がエルシィにそれを思い出させる。
憐憫の感情の発生源は、美生の記憶がなくなることだ。
しかし、それは美生だけではない。今、ここでこの想いを抱えている
昨日からの彼女自身の記憶も、どうしようもなく消えてしまうということを。
─その頃、桂木桂馬は、二度と見たくなかった差出人からのメールを受け取っていた。