08/06/16 15:39:01 Mq1FEUxK
「もう酷いな~待ち合わせに遅れちゃって駆けてきたら寝てたんだもん」
「寝てた?ボクがか?」
…ん?んんっ!?
確かにボクはスタジオ入り口にある待合席で寝てたようだが…
ふと、思い出した…さっきの出来事を、そうだ暗い室内に監禁され、
そこでボクはかのんと…あんな事を!
だがちょっと待て、それだと今の会話は不自然だ、
まるで今会ったばかり…つまりアレは無かったかのような。
「まさか…あれは夢だったのか?」
「ん?どうしたの?あっ!いけない…もう撮影が始まっちゃう!じゃあ、またね桂馬クン!」
「あ…あぁ…」
…ん?何で呼び出したんだ?と疑問はあったが、今はどうでも良かった、
そうだ…さっきの出来事が激しく印象が強くて、今はそれで頭がいっぱいだ。
しかし夢であんなはっきりとした感覚があるのだろうか…すると。
「神様~~!!!」
「エルシィ?」
かのんが行ってしまい、スタジオから外に出ると、エルシィが駆け寄ってくる、
何だか息があがってるな…どうしたんだ?
「もう何処に行ってたんですか、探したんですよ~突然に消えるから」
「消えた?ボクはずっと、あそこの座席で座って寝てたんじゃ…」
「いいえ、居ませんでしたよ」
「何?」
エルシィの話ではスタジオの中に入った後、少し目を離した隙に、
ボクの姿が消えたという、そして小一時間経った後…こうして出てきたとか。
と…いう事は、ま…まさか…
そういえば何だか激しい疲労感を感じる、走ってもいないのに、
こんなにも疲れてるなんて…はは、まさかな…
その夜、夕食時につけてたテレビで、かのんが出演してた番組をやっていた。
「見てください神にーさま、今日あのスタジオで収録してた番組ですよ」
「ああ…そうだな」
何だろうか、いつもよりも生き生きとした感じを感じるのは?
それに時々だが、かのんはお腹を触っていた…何故かうっとりした表情で。
その時だ、ふと今頃になってボクの頭の中で、忘れられていた記憶が少し蘇る、
そうだ…あの時だ、あのスタジオに入った瞬間…
『桂馬クン…見っけ!』
バチッ
背後からの声に振り向く間も無く、全身に強烈な電流が流された、
それも今までに受けた以上の威力のが!
そしてそれから…意識が遠ざかった、禍々しいスタンガンを手にしたかのんの姿を、
視界の片隅で見ながらに…
…なんというかエンディングが見えた気がする、BADエンディングだが。
「そういえば…駆け魂は隠れてる女の子供として生まれるのが目的だったな」
「そうですよ、それがどうしましたか?」
「エルシィ…万が一に当たった時は、その…すまない…」
「な、何が当たった時がすまないんですか!神にーさま!!」
今は夢という事にしておこう、あの出来事は…
この首が飛ばない間は…な。
【おわり】