【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 3冊目at EROPARO
【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 3冊目 - 暇つぶし2ch858:名無しさん@ピンキー
09/03/28 01:06:03 Oi061Uq7
えーと、酒乱(?)的なヤツを電波で書いてみた
文才なくてすまない
盛大にスルーしてくれ

―――――――――

 ピンポーン、と玄関のチャイムが鳴って、ジュウはテレビから視線を剥がした。
「……もうきたのかよ」
 今日、柔沢家には来客の予定があるのだが、こんなにも早くくるとは思ってもいなかった。
 返事をしつつも鍵を開けると、勝手にドアノブが動く。それと同時にものすごい勢いで扉が開いた。受け止める手が痛い。
「こんちわー」
「お邪魔します」
 入ってきたのはジュウの数少ない友人のうちの二人―斬島雪姫と墜花雨だった。
「……おう」
 前者は明るく、後者は静かに。そんな正反対の二人をジュウは招き入れた。
「いやー、もうすっかり秋ですなー」
 雪姫は苦笑いしつつも、靴を脱ぎ始める。雪姫はもう秋だというのにTシャツの上に薄いパーカー、下はミニスカートにハイソックスという格好。寒くないのだろうか。
そんな雪姫を見ていると、ジュウはあるものに気がついた。雪姫が後ろ手になにかもっているの。それは彼女の肘から手首までぐらいのながさの長方形のものだった。
 ジュウはたずねてみる。
「雪姫。それなんだ?」
 雪姫は靴をそろえている手を止め、少し苦い顔で振り返る。そしていつもどおりのテンションでジュウに返した。
「ありゃー、ばれちったかー」
 隠す気があったのかよ。雪姫は、んーあとにとっときたかったんだけどな、などとつぶやいたあとジュウの目の前にそれを差し出した。
「ジュウ君、おたんじょうびおめでとー!」
「…………」
 ジュウは固まってしまった。よく自分の誕生日を忘れるといった話を聞くが、ジュウは違う。忘れたことなどない。その原因というのはまた後で話すとして、ジュウが驚いたのは別のことだった。
 綺麗にラッピングされたプレゼントを受け取り礼を言いながら考える。
 なぜ雪姫がそのことを知っているのか。教えた覚えはない。この訪問を仕組んだのは雨であり、雨なら知っていてもおかしくはないと思うのだが、それを雪姫に教えるだろうか。
 仮にも彼女はジュウの下僕を自称しており、そんな雨が主の情報を他人にながす、なんてことはしないだろう。
「柔沢くん、あけてもいいよ」
 雪姫の声で思考が途切れた。
「ん、ああ」
 ガサガサ、とラッピングをはがし、出てきたものにジュウは唖然とした。
 芋焼酎さくら。
 つまりは酒が入っていたのだ。こいつ……。
「……お前今何歳だ」
「十七」
「よく買えたな」
 雪姫は得意顔。
「まぁねー」
 どうせコイツのことだがらネットででも買ったのだろうか。なんて考えていると雪姫は
「大佐っ、これよりジュウ君家に潜入します!」
 とかなんとかいってまるで自分家であるかの様に中へ入っていってしまった。玄関には雨とジュウが残る。
「……俺らも行くか」
「はい……あの、その前にすこしよろしいでしょうか」
「ん?」
 雨はさっきから腕につるしていた紙袋からひらべったい箱を取り出し、ジュウにを差し出した。
「お誕生日おめでとう御座います、ジュウ様」
 雨は言い終わると少し蒸気したように顔を下に向けた。
「おう、サンキュな」
 ジュウは箱を受け取ると、雨の頭の上に手を載せ少しなでる。さらさらとした感触が心地よかった。やつもどおりである。
「これあけてみていいか?」
 雨にたずねる。
「ジュウ様のお好きなように」
 そういって雨は靴を脱ぎ始めた。彼女なりのテレかくしなのかもしれない。箱の中身は壁時計だった。そういえば、と部屋の時計が壊れていたことを思い出す。でも、待て。さっきの雪姫と同じ疑問が浮かぶ。
 なぜ知っているんだ。
「さ、私たちも行きましょう、ジュウ様」
「……ああ」
 雨はそそくさとリビングへ向かってしまった。

859:名無しさん@ピンキー
09/03/28 01:11:40 Oi061Uq7
 ジュウが雨からもらった時計を部屋にかけてからリビングに行くと、それと同時にキュポッという音が鳴った。
 みると雪姫がテーブルの上でビンの蓋を開けていた。ジュウはあわてて声を上げる。
「なにやってんだよお前」
 雪姫は戸棚から取り出したであろうお猪口にそれを注ぐ。
「だってここにあったんだもん」
「自分家か! お前は!」
「まぁまぁ、終わったことは気にしないの。ささ、一杯どうぞ」
 雪姫は並々注いだお猪口をジュウの口元に押し付けた。それを傾けられて、ジュウは否応なしに口に含んでしまった。
 それ、というのはお酒だった。
 ジュウは誕生日を忘れないというのには理由がある。毎年紅香がジュウの誕生日にアルコール類をどこかのホテルの住所から送ってくるのだった。去年はワイン、今年は―。
「ぷはー、やっぱ日本酒はいいねー」
「ですね。甘くて好きです」
 雨お前までなに始めちゃってるんだ。
 今年の紅香からの贈り物は日本酒だった。
「まて、お前ら。勝手に飲むなよ!」
「えージュウ君だってのんだじゃーん」
 雪姫は口を尖らせる。
「……あれは不可抗力だ」
 雪姫と言い合っていると、雨が口を開く。
 ジュウ様、今日ぐらいはいいのではないでしょうか? 明日は日曜日ですし……」
「だけど……」
 雨はジュウの声をさえぎった。彼女にしては珍しい行為だった。いささか、早くもよっているのかもしれない。
「それに私、お酒に自身はありますし。ジュウ様もおありでしょう?」
 もう酔ってんだよお前は。
 でも、なぜか雨が言う言葉には説得力がある。それにさっきの酒は結構美味だったことを思い出す。
 ジュウは中で生理的な欲求、つまり美味を求めるという人間としての欲求と、未成年のくせに酒はだめだ、という正義感が戦った。
 なんとか均衡を保っていたのだが、それは雪姫によって崩された。彼女はまたジュウの口元にお猪口をつけたのだ。そして傾ける。口に流し込まれる甘い液体にあと押しされ、ジュウの正義心は敗北を決した。雨もいるし大丈夫だろう。そんなこんなでジュウは折れてしまった。
「さぁどんどんのみましょー」
 それを後悔することになるなどこの時は知る由もなかった。

 *

 目を覚ますと、しっとりとした黒髪があった。それが雨のものであると気付くのに数秒かかったことからまだジュウはよっているのだろう。寝ちまったか。
 と、そこでふっと思う。なぜこんな間近に雨が?
 横を見ると、雨がジュウの肩によりかかって、寝息を立てていた。その寝顔に少し見とれつつも、あわてて座っていたソファから飛びのく。雨は重力にしたがってソファの上にぽてりとおちる。しかし起きる気配もなく、規則的な呼吸を雨は継続していた。
あたりを見回すと、かなりアレな状態だ。
テーブルの上は酒瓶が五本転がっていて、いずれも中は空。調子に乗って紅香から送られてきた日本酒四本プラス雪姫の一本を空けて……。そこで、ん? と気がつく。
 雪姫は?
 玄関までいってみると、雪姫のはいていたスニーカーがなくなっていた。家中を見て回っても人の気配がないことからとりあえずは帰ったみたいだ。
 まあ寝た俺も悪いのだが、勝手に帰りやがって。
 ジュウはリビングに戻った。その瞬間むせ返るようなアルコール臭に思わず懸念するも、とりあえず酒瓶をまとめ、廊下に出し窓を開ける。これだけでかなり快適になった。
 俺もよくこんな中で寝られたと思う。そしてふと雨のほうへ目をやった。こいつもだけど。
 雨を眺めつつ、テーブルの上を片付けた。食器を水洗いし、台拭きでテーブルを擦る。
 酔いつぶれた客と従業員って感じだな。片付けが終わると、ジュウのすることは残り一つとなった。

 雨を起こす

 だ。
 ジュウが動き回っている間にも普通に寝ていた彼女を起こすのはかなり難しいと思う。
 とりあえず、肩に手をかけて揺すってみた。―反応ナシ。
 もう少し強めに揺する。―反応ナシ。
 今度はかなり強めに揺すって、声も掛けてみる。
「おい! 雨!」―少し唸ってみせるも、その後反応ナシ。
 はぁ、とジュウはため息をつく。依然として前髪の隙間から見えるまぶたは閉じられていて、正座を崩した―いわゆる女座りのまま横に倒れている。
端からみたら結構危ないシーンなんじゃないか。そんなことを考えてしまい、ジュウは頭を振る。まだ酒は抜けてない。抜けるわけないが―。
 ジュウは最終手段に出ることにした。


860:名無しさん@ピンキー
09/03/28 01:13:27 Oi061Uq7
「……ひっ……ぁ…」
 雨の口から言葉にならない声が漏れる。
 最終手段はうまくいった。
 あの後ジュウがまず行ったのは冷蔵庫へ行くことだ。正確には冷凍庫に。そこから氷を二つ取り出し、一つは口に放り込むと、もう一つは―。
 雨の首筋に当てた。うめき声を上げた数秒後。静かにまぶたが動き、その澄んだ瞳が光りを映す。
「ジュウ……さま? ……ひぁっ……」
 そこで冷たさに気がついたらしく、また悲鳴が上がった。
ジュウはすっかり氷をつけていたことを忘れていた。指先や口内の冷たさも酔いもすべて吹っ飛ばしてくれるような光景。ただ起きるだけのその光景が大地の芽吹きのように感じられたのだ。
 ……酔ってるな。
 ジュウは氷を首筋から離す―と同じ瞬間に雨は上体を起こした。起こした……。
 つるっ、と擬音のごとく氷が滑り落ちる。それは運悪く体を起こした雨の背中に入る。
「あっ……ひっ……」
 雨は弓なりにのけぞる。さらに両手を背中に総動員させて氷を取り除こうとしていて―
 端的に言うと、雨は立ちひざで両手を後ろにまわして胸を突き出していた。顔は酔っているのか高潮していて、来ている制服も寝起きのため少し乱れている。
 ジュウはやっと氷を取り出した雨の肩に手を乗せると、ぐいと引き寄せた。
 雨の手から氷が転り落ちた。
「ジュウ……様……」
 雨が驚いたようにつぶやく。その声が、鼻に入る雨のにおいが、すべてが愛おしく思えた。ジュウは雨のふくらみに手を這わす。
「―!」
 そのまま回すようにして愛撫する。
「……っはぁ……くっ」
「雨―」
 ジュウはそのまま深く唇を奪った。
 口内をなぞり挙げるうちに雨の嬌声が激しくなる。
 ジュウは雨の制服に手をかけた。
 ブレザーを脱がすと、その下は黒いチューブトップ。その黒の中に、山が二つ自己主張するように立っていた。
 ジュウはそこを指先ではじく。
「……んぁ……っ!」
 雨はいっそう声を上ずらせた。
 その姿がまたかわいらしく、ジュウはまた唇を奪う。深く、丁寧に。それと同時に黒い布をめくり挙げた。
 初めて見る、異性の胸元。もちろん、親族以外の、だ。
 ジュウは乳首をつまむ。そのまま軽くひねった。
「ん……あぁ……くぅ」
 サイズはやや控えめだが形の整ったそれに愛撫を加えながら、手を下へ伸ばす。雨はそれに気がついたらしく、少し足を動かして恥じるようなことをしつつも、ジュウが太ももへ手を伸ばし少し揉んでやるとすぐにひらいた。
 恥じることも、欲することも恋しい。ジュウは唇を這わせる―今度は右胸に。雨は少し甲高い声を上げる。
 彼女の秘所はもう十分の湿気を帯びていた。口で右の乳首をむさぼりつつ、左手でもう片方、そして右手は秘所を。


861:名無しさん@ピンキー
09/03/28 01:14:24 Oi061Uq7
 ワレメに沿って、指を動かす。それだけで雨は熱を帯びた声をいっそう高くした。
 乳首から顔を離すと、両手で雨の足をつかむ。それだけで察したのか雨は体制を変えた。足をそのまま持ち上げ、上体のほうへ。いわゆるまんぐりがえしというやつだ。
 もはや意味をなくした下着を取ると、雨のあそこが見えた。指でぱっくりと割る。
「……ぁ……」
 小さく漏らす雨。ジュウはじっとそれを見ていた。ただ呆然と。膣周辺がぱくぱくと動いていて、愛液で光って……。
 じっと眺めるジュウに雨は羞恥を覚えたのか、声を上げる。
「ジュウ様……あまり……その、見ないでください……」
 しかしジュウは反応しない。顔が近いのか、ジュウの呼吸がモロに伝わってくる。雨は少し悶える。多分私のあそこは延々と液を流しているんだろうなと思うとそれが羞恥に変わった。自分でもわかるくらい顔が高潮している。雨は再び声を上げた。
「ジュウ……さま」
 ジュウはそこでやっと気がつく。
「あ……悪い」
 お詫びに雨の薄い唇に一つキスを落とすと、手をそこの突起へのばした。
「はっ……くっ……!」
 しばらくぐにぐにともてあそぶ。中指と人差し指でクリトリスをはさみ、ついでに親指で膣口を擦る。トドメとばかりに開いている手で尿道を押した。
「あ……あぁ、ぁあああ!」
 雨が弓なりにゆれる。
 達した雨は、はぁはぁと息をきらし、残る快楽に悶える。
 ジュウは雨をそっと後ろから抱き寄せた。
「……ぁ」
「……雨……その……いいか?」
 確認を取るあたり自分は不良とかけ離れているんだろうな。
 雨はコクリとうなずいた。ジュウはジッパーを下ろし、ブツを取り出すと、向かい合うように雨を回転させる。
 そして―



 総じて言おう。酔っていたのだ。

お互いに。


862:名無しさん@ピンキー
09/03/28 01:21:48 FU3SYfZ3
支援

863:名無しさん@ピンキー
09/03/28 01:24:01 Oi061Uq7
>>856
割り込んでごめん
続けてくれ

864:名無しさん@ピンキー
09/03/28 02:03:03 FU3SYfZ3
>>863
いや、日にち跨いでるんだから謝るなら俺の方なのに…ごめんなさい。

ところで、伏線バリバリはってるんだし、続きあるよね?

865:名無しさん@ピンキー
09/03/28 10:32:02 dslTepTf
>>861
投下乙です。でも投下終了宣言とsageはしてほしかったり。

866:名無しさん@ピンキー
09/03/28 13:05:42 Oi061Uq7
続きは妄想に任せるよw

>>865
サーセン
今後気をつけます

867:名無しさん@ピンキー
09/03/28 13:21:42 ZrMW67vo
>>858-861
熱烈にGJ!!!!!!!!!


868:名無しさん@ピンキー
09/04/01 23:46:45 sqX2x255
保守

869:名無しさん@ピンキー
09/04/02 03:02:32 IwFMybi8
電波はTVアニメなのか

SS書きが増えるといいな

870:名無しさん@ピンキー
09/04/04 15:49:25 jywUzt4r
紅みたいにならない事を祈る…
いや、決して紅が駄目だったと言ってるんじゃないんだ。
別物としてならうんぬんかんぬん

871:名無しさん@ピンキー
09/04/10 16:30:06 IaKHtrm8
新刊もなく今月はマンガも休載……

俺干からびるお……(’A`)

872:名無しさん@ピンキー
09/04/10 16:41:41 w4xlfbcw
餓えた分、来月頭の単行本+SQ本誌が嬉しいんじゃないか。
夕乃さんの書き下ろしと出番が沢山ありますように・・・

873:名無しさん@ピンキー
09/04/10 20:35:20 ocnJQA0N
環さんのセクシーンがほしいわ

874:名無しさん@ピンキー
09/04/11 00:23:36 z+BbYe7i
俺は闇絵が

875:名無しさん@ピンキー
09/04/11 01:57:24 EDoTuIyR
紅の紫の寝取られって何処にあるんだ?

876:名無しさん@ピンキー
09/04/13 01:39:56 O5sFyp3Y


877:名無しさん@ピンキー
09/04/13 02:42:01 rflXrhqz


878:名無しさん@ピンキー
09/04/13 17:42:46 jF8BjDOD


879:名無しさん@ピンキー
09/04/14 23:25:15 sQItRqj/


880:名無しさん@ピンキー
09/04/16 02:41:41 wSiRzw1e


881:名無しさん@ピンキー
09/04/16 03:33:52 67hpVXXf


882:名無しさん@ピンキー
09/04/16 03:49:54 6myw+QRv
「真九郎さん、児童ポルノ法ってご存知ですか?」
「へ?夕乃さん?なんですかいきなり」
「小さい女の子の写真なんか持ってると逮捕されてしまうんですよ」
「・・・え?」
「だから、真九郎さんがあらぬ誤解で逮捕されないように、とてもいいものを準備したんですよ?」
「夕乃さん?その写真の束はなんなんですか?」
「・・・すごく恥ずかしかったんですけど・・・真九郎さんのためですから」
「へ?」
「私の…裸を誰かに見せるなんて、子供のとき以来なんですから」
「ちょっ・・こ、この写真って!?」
「お巡りさんに捕まりそうになったらこの写真をみせて下さいね」
「・・・」
「あっ、でも、そうしたら私の裸が真九郎さん以外の男の人の目に触れてしまいますっ!どうしましょう!?」



いやその、どうしましょうといわれても

883:名無しさん@ピンキー
09/04/16 07:39:13 Ig+N7As4
>>882
GOOD YUNO!

884:名無しさん@ピンキー
09/04/16 13:02:14 uMUG6HM5
>>882
これは良い夕乃さんw

885:名無しさん@ピンキー
09/04/16 18:32:08 GjpSLPhY
夕乃でも児ポ法に引っかかる気がする

886:名無しさん@ピンキー
09/04/16 18:36:07 f1BZRyuQ
というか変質者ですがな

887:名無しさん@ピンキー
09/04/16 20:23:27 oCUCkTmk
>>885
夕乃さん「"夕乃さん"、だ。豚が…」

888:名無しさん@ピンキー
09/04/16 21:28:06 UuMooAZM
夕乃さん写真くださいよ

889:名無しさん@ピンキー
09/04/18 15:56:33 7WNV4bIt
小ネタ的な何か

―――――――――
「なあ銀子」
「なによ」
「銀子っていつからメガネかけ始めたんだ?」
 ここは新聞部部室。放課後の一時、なにもすることがない真九郎はなんとなく銀子に話しかけてみた。キーボードの音が止まる。
 ふと気になった、そんな感じだ。
「アンタに会う前から」
 銀子はそっけなく答え、再びキーボードを叩き始めた。
「そうか……」
 再び沈黙。カタカタとリズミカルに鍵盤の音がする。なんとなくいつも聞いてるそれも、最近になって、すごいことなんだなと思う。
 というのもこの前授業で―存在をはじめて知ったのだが―コンピュータールームでバソコンを使ったのだが、この数えるほどしかそれを触ったことの無い真九郎には何がなんだかわからない状態。
 銀子は課題のタイピングを3分くらいで終わらせていたが、真九郎は終わる気配すらなかったのだった。
どれくらい経っただろうか。
タンッ、とキーをはじくような音がして、銀子のイスが回転した。
「たしか2歳のころだった……」
「は?」
「これよ」
 銀子は自分のメガネを指す。
「ああ、それか……」
「自分からふった話題なのに素っ気ないわね」
「悪かったな」
 銀子は少し笑った。つられて真九郎の頬も緩む。
「で、どうしたのいきなり。これがそんなに気になる?」
 真九郎がたじろぐ。
「え? いや、なんとなくね」
 銀子はメガネを指で挙げる。
「なに、アンタメガネ属性でもあんの?」
「めがね……ぞくせい?」
 初めて訊いたワードのように繰り返す真九郎に銀子は声色を落としてつぶやく。
「……なんでもない」


890:名無しさん@ピンキー
09/04/18 15:58:23 7WNV4bIt
「なんだよ」
「なんでもない」
「な……」
「なんでもない」
 押し切られた。そんなにまずいのだろうか。それから少し沈黙があって、銀子が口を開く。
「……メガネ好きなのかってこと」
 そういう彼女の頬は少し赤かった。
「メガネか……好きとかそういうのはないかな……」
「……そ」
 はあ、と銀子はため息をついてしまいそうになる。でもそれをしまいこんで、もう作業の終わったパソコンに向かった。
 しばらく適当にカタカタやっていると後ろから声がする。
「でも……」
「―?」
 振り返ると真九郎が苦笑いで言う。
「たまにメガネかけてる芸能人とか見ると、銀子のほうが似合ってるって思うな……」
 ははは、と無邪気に真九郎が笑った。



「……バカ」


―――――――――
終了
正直もう分けわかんなくなってきた

891:名無しさん@ピンキー
09/04/18 19:16:37 hjpH4nzT
いや~、真九朗ならありそうでこまるwww
GJ

892:名無しさん@ピンキー
09/04/18 19:30:44 zSctOoNh
Good Ginko

893:名無しさん@ピンキー
09/04/18 21:36:49 nJ8Qv01r
>>892
GG!

しかし、銀子には性欲湧かんな…やっぱ眼鏡は(ry

894:名無しさん@ピンキー
09/04/19 02:09:24 BB/IHs69
最近知った俺にとっちゃ銀子は貴重なツンタイプ

895:名無しさん@ピンキー
09/04/19 02:40:19 skhC8a/Q
真九郎はナチュラル女殺しだなしかし

896:名無しさん@ピンキー
09/04/19 05:58:44 WuRB6+th
……いやらしい

897:名無しさん@ピンキー
09/04/20 22:44:01 ZxMY59Aq
デレ分の多いツンだな

898:名無しさん@ピンキー
09/04/21 01:33:04 qZ7qHlOi
URLリンク(sukima.vip2ch.com)

899:すれ違い
09/04/21 19:08:41 8wfdJ1Lu

更新されないのが寂しいので書いてみました。
電波も紅も久しぶりすぎてキャラがイマイチ掴めていません。
特に雪姫の言動が全然わからない。
その辺はご容赦ください。
あ、エロはありません。

―――――――――――――

「うめ~、これやっべぇ、惚れ直した!おまえの料理毎日食わせてくれ!
 雪姫、結婚してくれ~!!ってちゃんと言うんだよー。
 きゃっ、そんなに顔を赤らめちゃってー、照れちゃった?」

『愛する彼氏にあなたの料理』という本を読みながら雪姫は元気良く言い放った。
一応、照れているフリをしているようで、クニクニと身じろぎしながら
両手を頬に当てて、ブリブリしている。
さっき買ったばかりの本を熟読しながら歩いていた。

「何言ってんだか。」

軽口に付き合うことなく、隣を歩いている男が呆れている。
金色の髪も色素の濃くない顔も夕陽で赤く染まっていた。
買い物帰りのようで、右手にはスーパーのビニール袋を持っている。
中には夕食の食材が入っているようだ。

「一度カップルになった仲じゃない。もうすぐ結婚だね!
 団地妻だ!子供は三人!目標達成までもうすぐだね!ジュウ君!
 優しいケンカ、いっぱいしようねー!」

満面の笑顔を作りながら、恥ずかしげもなく弾んだ声で言い切る。
意味は不明だったが、ジュウには嬉しそうにしている雪姫の顔が赤く染まったように見えた。
気のせいか。

「なんだそれ。」

ジュウは小さく呟きながら、思い出していた。
あの時は確か雨も一緒に三人で甘いものを食いにいっただけのはずなんだか。
雪姫の相手をするのがめんどうになったのかジュウは「はいはい」と適当に相槌を打っている。



900:すれ違い2
09/04/21 19:10:59 8wfdJ1Lu

しばらくすると見覚えのある制服を着た美少女と地味な格好をした青年が前から歩いてきた。

美少女の方はジュウたちと同年代のようたが、大人びた凛とした雰囲気を持ち、
透明感のある肌に整った顔立ちをしていた。
風になびいた長い黒髪を左手で押さえている仕草が異様に絵になっている。

ズボンのポケットに左手を入れながら歩いている青年はいかにも優しそうな顔立ちをしていた。
背はジュウよりも少し低いくらい。
童顔で年齢はイマイチわからない。
少なくともジュウたちよりは上だろう。
半そでから出ている右腕の肘の辺りに大きな傷跡が残っているのが印象的だ。

二人とも笑顔で愉しそうにしていた。
周りのことはあまり気にしていないようでジュウたちにも気が付いていない。
そのまま通り過ぎようとした時、ジュウは目線を向けられた気がした。

「あっ、待って待って。
 あの、突然で悪いんだけど、
 もし良かったらその腕時計少し見せてくれない?」

いきなり横から声をかけられる。
前から歩いてきた青年がすれ違いざまに訊いてきたようだ。
頼りないような申し訳なさそうな顔をしている青年だ。
単に時計に興味があるのだろうか。
ただ、どう見ても悪い奴には見えなかった。

振り返りながらジュウは訝しげな表情を浮かべ、少しの間青年を眺めてから腕時計を外す。
青年は、ジュウの目つきの悪い目線にたじろぎもせずに屈託のない笑顔で佇んでいた。
右手に持っているのは紙袋で中には野菜や肉がたくさん入っているようだ。
誰かにもらったのだろうか。
その少し間抜けな格好に共感を覚える。

「ほらよ。」

なんの感慨もない様子で外した腕時計を軽く投げて渡されたことに
青年は驚きながらも落とさないように左手で受け取った。
オーダーメイドの特別製。
シンプルなデザインをしていて、誰が見ても高価なのものだとわかる腕時計だった。
文字盤の裏に『J.J』と彫られている。
雑に扱われているのだろうか小さな傷がいくつもあった。

青年は興味深く腕時計を見ている。
そうとう好きなのだろうか。
渡してすぐになぜか真剣で、どこか懐かしいような目をしたようにも思えた。
が、のほほんとした雰囲気は変わらない。

「へぇ~、やっぱ良い腕時計だね。
 でも、出来ればもっと大切に扱ってあげてほしいな。」

腕時計を武器として使っているジュウの耳にはイタイ言葉だ。
青年は気の抜けた声で話しかけてくるが、どこかショックを受けているようだった。
ジュウは腕時計を返してもらうとすぐに左手首につける。

今まで黙って隣にいた雪姫が急に意地の悪い笑顔になった。
何かを思いついたようだ。

901:すれ違い2
09/04/21 19:13:10 8wfdJ1Lu

「あの、こんにちは。わたしは斬島、あ、いや、柔沢雪姫。
 こっちは柔沢ジュウ君ね。
 おにーさんは?」

雪姫は微笑みながらそんなことを言う。
自己紹介をするというより、自分の名字を『柔沢』と言いたいだけらしく、
隣にいるジュウのことをからかっているようにしか見えない。

「あ、俺は…。えっ、斬島?じゃあ、切彦ちゃんの知り合い?」

明け透けであっけらかんとした声で青年が訊いた。
だが雪姫の身体全体には緊張が走り、瞬時に距離を取る。
ジュウは「ぐっ」っと呻いた。
雪姫に手で突き飛ばされた衝撃でよろけながら青年から離れていく。
焦ったせいで力が抜けなかったようだ。

「あなた、誰!?」

殺気を纏いながらも切羽詰った声を出す雪姫に呆気に取られるジュウと青年。
ジュウの前に立ち、護るようにしながら
青年のことを怪しげな人物を値踏みするように睨んでいる。
目つきが怖い。
張り詰めた空気が辺りを覆う。

青年はその行動をただ唖然として見ていた。
遠くで起こった出来事見るように客観的に眺め、左手で頭を掻きながら苦笑する。

「あのぉ、俺、何か変なこと言ったかな?」

雪姫の警戒を全く無視しているような緊張感のない声が辺りに響いた。
刃物を持っていないことを後悔している雪姫だったが…。

優しげな空気を身に纏っている青年はとてもじゃないが演技しているようには見えなかった。
ふざけているようでもない。
ただただ困っているだけのような雰囲気が伝わってくる。

「よくわからないんだけど、何か気に触ったんならごめんね。」

雪姫は苦笑いしながら戸惑いを隠せない青年の態度に疑問を持つ。
それを見ていると、雪姫は自分だけ警戒しているのがバカらしくも思えた。
ふぅ、と深いため息をつきながら目の前の青年に疑問を投げかけようとしたが、
その前にさっきの言葉を反芻してみる。


902:すれ違い2
09/04/21 19:16:47 8wfdJ1Lu

『切彦ちゃんの知り合い?』
切彦、ちゃん?
あの『切彦』をちゃん付けで呼んだ?
冷静になって考えてみる明らかにおかしい。
外見は普通でナイフを持っていないときはおっとりした女性。
だが、『斬島切彦』の本性は情けも容赦もない殺人鬼。
殺気と狂気を身に纏い、対峙した相手を笑いながら殺す。
依頼されたらどんな相手でも確実に首を落とし、『ギロチン』という二つ名を持っている。
同族でも畏怖し、敵に回せば命はない。
同じ裏十三家の人間が相手でも難しいことだろう。

切彦に仲の良い人間がいるなんて信じられないし、いるわけがないと言い切る自信はある。
その切彦のことを『ちゃん付け』で呼ぶ人間がいるなんて今まで聞いたこともない。
でも、目の前にいる優しげな顔をした青年はごく普通の女の子を呼ぶように呼んだ。
それも何気ない会話をするように、自然と口から言葉が出たようだった。

ありえない。

雪姫は「プッ」と吹き出してしまった。
あの切彦をちゃん付け。
極度の緊張状態から開放されるように、スッと力を抜く。
あ~ははははははっと笑いが止まらない。
腹を抱え、大きな口を開けあけっぴろげに大笑いをしている。

そんな雪姫を横目に見ているジュウは「なんだこいつ」と不審な顔をしている。
いきなり突き飛ばされたジュウとしては全く納得できないが、
楽しそうにしている雪姫の姿を見るのは悪くない。
意味もなく、ジュウを傷つけることするわけがないとわかっているからか
すぐに許してしまう。

いつも鈍感なジュウだがさっきまでの異様な空気を放っていた雪姫を見ていれば、
何か引っかかったくらいのことは察しがつく。

ジュウが何か言おうとした時に離れたところから声がかけられた。


903:すれ違い5
09/04/21 19:45:34 8wfdJ1Lu
「おい、何をやっている真九郎。早く行くぞ。」

先に歩いていった美少女がこっちを振り返りながら言葉をかける。
いかにもお嬢様というような外見とは不似合いな命令口調の言葉を使っていた。
だが堂に入っているように言い慣れている気がする。

「あぁ紫、今行く。
 じゃ、紅香さんによろしくね。」

と言い残し去っていく。
紫と呼ばれた美少女はまた不機嫌な声を発しながら急かしているようだ。
真九郎と呼ばれた青年は紫の方へ駆けて行った。

「? おまえ何で知って…。」

言葉を口にしかけたジュウだったが真九郎には届かない。
無駄なことだと考え、口をつぐむ。

しばらく眺めていると、真九郎は紫のところに着く前に立ち止まり、何かを喋っている。
なぜか電柱に向かって。

さすがに不審には思ったが悪いやつではなさそうなので
気にせずジュウは家の方へ歩き出した。すぐ雪姫も付いて来る。

「なんか変わった人だねー。意外な言葉が聞けたよ。
 どっかでまた、会えるかなー?」

笑い終えたのか雪姫がジュウに話しかけた。
雪姫の目には涙が溜まり、少し艶っぽい。
ジュウはそんな雪姫を直視できずに前を向いて歩いている。

「ジュウ君、今日はこれ作ってねー。」

料理本の表紙になっている、パーマのかかった男性がスープカレーを指差している。
料理本にはふさわしくなさそうな、水曜で売れた北海道を代表するタレントらしい。
いつかテレビで見たことはあるが
司会者や一緒に出演したタレントや芸人にとにかくいじられていたのを覚えている。
全く関係のない話だが。

意識を違う方向へ持っていくように努めたが無駄だった様だ。
雪姫の目線が痛い。
雪姫は期待を込めた艶のある目でジュウをジッと見つめてきた。
動揺を隠すように、ジュウは素朴な疑問を投げかける。

「おまえが作るために買ったんじゃないのか?」

「まぁいいじゃない、気にしない気にしない。
 細かいこと気にしてたらダメだよー。おいしいの期待してるね!」

表裏のない笑顔に一瞬見蕩れてしまう。
ちょうどその時、遠くから変な女性の声が聞こえた気がした。

「君は人間じゃないか!生きた人間じゃないかーー!!」

二人して「プッ」と吹き出してしまう。

904:名無しさん@ピンキー
09/04/21 21:04:16 Hd2026nG
「なあ、銀子に頼みたいことがあるんだ」
「前回の調査代もまだもらってないはずだけど、真九郎?」
「う、それは・・・」
「まあ、いいわ。休みに入ったらうちの店の手伝いに来なさい。で、要件は何なの?」
「ちんぽしゃぶってくれないか?」
「死ねば?」
「・・・待ってくれ。気持はわかるけど最後まで話を聞いてくれ」
「言ってみなさい。くだらない話だったら・・・」
「先っぽだけでいいんだ」
「死ねば?」

905:すれ違い6
09/04/21 21:11:24 8wfdJ1Lu
「君…、何してんの?」

真九郎は電柱に隠れた少女を見つけた。
誰が見てもわかる怪しさを醸し出している。
揉め事処理屋という職業柄怪しい人間はたくさん見てきたつもりだが
『電柱の影に隠れる』ということを本当にする不審者を真九郎は今まで見たことがなかった。
少女はあからさまに動揺しながら、言葉を発せないでいる。

「う~ん、どっかで見たことあるような気がするんだけどなぁ…。
 どこだったかなぁ。
 あっ、環さんとこの道場に通ってない?」

少女はビクッと反応し、猫背だった姿勢の背筋が少しだけ伸びた。
そして、ぎこちなく真九郎の方に顔を向ける。

「え~っと、確か光ちゃんだっけ?合ってる?
 変なお師匠さんもって大変だね。」

真九郎は相手の反応を気にせず言葉を紡いでいく。
光と呼ばれた少女は目をキョロキョロさせ、ピクピクと肩を震えてさせている。
ますます挙動不審になった。

「あ、あぁあのっ」

「ん?真九郎、さっきから何をしているんだ?
 さぁ早く行くぞ、遅れてしまうぞ。」

光がなにか言おうとした時、ちょうど紫の言葉と重なった。

「ちょっと時間がないんだ、ごめんね。
 あ~っと、はい、これ。何か困ったことがあったら連絡してね。
 環さんの知り合いだから割安で請け負うよ。」

真九郎は、名刺を差し出し光に渡す。
オドオドとした不審者のような動きは相変わらずだが、受け取ってくれたようだ。


       『 揉め事処理屋  紅 真九郎 

                090-XXXX-XXXX 』


と、肩書き、名前、電話番号だけが書かれたシンプルな名刺だった。

真九郎は紫の方へ走っていくと、紫の顔が一瞬緩んだ気がした。


906:名無しさん@ピンキー
09/04/21 22:09:13 nHi2qYg+
gj

生きた人間じゃないかーフイタw

907:名無しさん@ピンキー
09/04/21 23:27:43 BU2Y1c9X
>>904
割り込み微エロの貴方にGJの意を捧げます

908:名無しさん@ピンキー
09/04/22 04:06:13 2f8gKw3s
真九郎はやっぱ紫とくっつくのが似合ってるなあ

雪姫が可愛すぎるし
なんかいいねこういうの

909:すれ違い7
09/04/23 22:21:03 ILNFP3d3
>>906
ありがとうございます。あの台詞結構好きで使ってみました。

>>908
ありがとうございます、自分も紫が合ってると思って。
雪姫やっぱ違いましたか。難しいですね~。
------------------
真九郎が紫の隣に着くとわかりやすく拗ねているような表情を見せた。
すまし顔で歩くその姿は、男女関係なく誰が見ても振り返ってしまう程に美しく、
辺りが夕陽に染まっていることで、より幻想的に目に映る。

「おまえは女を見たらすぐに話しかけに行くな。
 もっと分別を持て。おまえの周りには女が多い気がするぞ。」

なぜか怒っているようだった。
とりあえず弁解をする真九郎。

「違うよ、紫。
 今の子、あからさまに怪しかったろ?
 俺、初めて見たんだ。電柱に身を隠す女の子な…」

真九郎が理由を付けて説明しようとしたところに女性の叫び声が聞えてくる。

「君は人間じゃないか!生きた人間じゃないかーー!!」

時が止まった。
次の一歩を踏み出そうとした足も会話をするために働いていた頭も同時に止まる。
何のことか理解ができず、呆けている真九郎と紫。
二人が顔を見合わせ笑い出した瞬間、同じ台詞が繰り返される。

「君は人間じゃないか!生きた人間じゃないかーー!!」

なかなか迫力がある声だ。
どこからだろうか、低い女性の声が聞えてくる。
ミュージカルのヒロインのように声を張り上げている。
なぜか聞いたことがある声だったが思い出せない。
今度は少し音が割れている気がした。
紫も真九郎も両手で腹を抱えて爆笑している。

「君は人間じゃないか!生きた人間じゃないかーー!!」

全く同じ口調、全く同じ声の高さで繰り返される声。
その後も幾度となく繰り返された。
少し落ち着いた真九郎が周囲を見渡す。

まだ電柱の影に隠れている不審者の光は、
肩を震わせながら声を出さず、手を電柱に叩いて笑っていた。
もう隠れている意味なさそうだな。
少し離れたところにいたジュウと雪姫も笑いながらこっちを見ている。


910:すれ違い8
09/04/23 22:26:54 ILNFP3d3

真九郎は顔の前で左手を振り、無実を主張する。
この声を自分のせいにされたくはなかった。
音源を探る。が、わからない。見つからない。

遠くから聞こえてきた気がしたが、真九郎のズボンのポケットが
チカチカ光っているのを見て紫が気付いた。

「し、真九郎、おまえの携帯が鳴っているんじゃないか?」

笑いを堪えながら口にしたが、耐えられず、すぐに笑い出す紫。
真九郎は驚きながら携帯の液晶を確かめる。
『夕乃さん』と表示されていた。
夕乃さんはたしか携帯を持たない主義だったはずだけど…。
疑問には思ったが考えていてもしょうがないので、とりあえず電話にでる。

「もしもし、夕乃さん。
 うん、そう、もらってきた。
 あ、今は紫と一緒に向かってる。
 いや、何もしてないよ。
 な、
 いや、そんなことは。
 うん、そうだよね。もうすぐ着くからちょっと待ってて。」

電話を切り、真九郎はため息を漏らす。
何もしていないのに、なぜ責められるのだろうか。
まぁ、夕乃さんに何か言われるのは嫌な気はしないか、と心の中で呟く真九郎。
女性に頭があがらないのはいくつになっても変わらない。

「環さんのいたずらかな?」

携帯を操作して確認する。
着信音の操作をしてみると、夕乃からの着信限定でさっきの着信音が出るように設定されていた。

「それにしても懐かしいな。あれは楽しかった。」

紅香の計らいで五月雨荘のメンバーにミュージカルの依頼をされたのを思い出す。
闇絵と夕乃のオンチが明らかになった事件だ。
あれにはかなりのショックを受けた。


911:すれ違い9
09/04/23 22:41:59 ILNFP3d3

紫は、両目から零れている涙を手で拭いていた。
大笑いしたことで機嫌が直ったようだ。
はた迷惑なことだけど、今回は助かった。
と、環に感謝する。

「あー、なんでもないから気にしないでねー。」

真九郎はジュウたちの方を向きながら手を振り、声をかけておく。
笑顔を作ったはずだが、きっと苦笑していたことだろう。

疲労に襲われ、なんとなく肩を落としてしまう。
前を向くと少し先を歩いている紫の肩は微かに震えているような気がした。

--------------------
こんな感じで続いていきます。
ここまでで半分くらいなんですけど、初めのところで雨を上手く出せなかったので雪姫だけになったんですが、
他の場面でも出番作れてません。雨の出番がなさそう…。

ここから先は紅が主軸ですが、できるだけ多くのキャラを出していこうと思います。

書いてみたらエロの方にはいつでも持っていけそうなんですけど、エロなしの方向で書いてみます。

912:誕生日1
09/04/26 02:04:01 Yp+pTYTt
>>911の続きです。
―――――――

五月雨荘に着き、食事の準備を始める。
真九郎の部屋には、すでに環と闇絵と夕乃がいた。

「ただいま」と声を掛け、荷物を置く。

紫は環と闇絵の方へ寄って行き、早速喋り始めている。
『女の魅力をさらに磨く方法』と『男と女の駆け引き』を学んでいるようだ。
夕乃と真九郎は並んで食事の用意を始めた。

「夕乃さん、いつ携帯買ったの?」

真九郎は先ほど感じた素朴な疑問を夕乃に投げかける。
夕乃は驚いた顔をした。

「? 買っていませんよ。さっきの電話は環さんのを借りてかけました。
 あっ、そうか。真九郎さん、私といつでも連絡が取り合えるようになりたいんですね!
 私ったら鈍感で…。気が付かなくてすみません。
 今度一緒に買いに行きましょうか?番号は真九郎さんだけに教えますね。」

さっきの一言で夕乃の勘違いを助長するような結果になったのはなぜだろうか?
崩月家に代々伝わっているのだろうか、男が抗えない笑顔をする夕乃。

「ええ、ありがとうございます…。」

夕乃は高校の時から外見が変わっているようには全然見えなかった。
大和撫子という言葉が良く似合う日本的な美女。
おっとりした容姿をし、腰まで届きそうな艶のある黒髪、
洗練された動きにはますます磨きがかかり、そのあでやかで魅力的な仕草にドキッとしてしまう。

「こんにちはー。」

声のした方を向くとドアの前には少女が立っていた。

「あ、ちーちゃん。いらっしゃい。」

千鶴は、大きな瞳をした優しそうな少女に成長していた。
髪型はショートに近いくらいのボブに軽くパーマをかけたもので、
白のチュニックを着て紺のショートパンツを履いている。
活発そうに見えるが、どこか気の抜けた声をし、喋り方はのんびりしていた。

千鶴は持ってきたケーキを冷蔵庫に入れ、紫の隣に座る。
すぐに話の輪の中に入り、うんうんと頷いていた。
らんらんと目を輝かせている千鶴は、
害になりそうな知識を一生懸命吸収しようとしているようだ。


913:誕生日2
09/04/26 02:06:04 Yp+pTYTt

料理の支度が終わり、テーブルに並べ始める。
小さなテーブル一杯に広がる質素ながらも豪華な料理の数々。

一口大の小さなピザ、牛肉の味噌漬け焼き、鶏のから揚げ、和風根野菜のポトフ、
マグロの手こね寿司、サラダ、フライドポテトなど統一感のない様々な料理が用意された。

「紫、「紫ちゃん、誕生日おめでとー!!」」

声を揃え一斉に「パンッパンッ」とクラッカーを鳴らす。
全員が笑顔で小さなテーブルを取り囲み、お祝いの言葉を口にする。

紫は嬉しそうに笑顔を浮かべ「ありがとう」と言っている。
いつにも増して嬉しそうだ。

九鳳院では誕生日を祝うなどということはしたりしない。
奥の院の中に居た頃も奥の院から出た後も、
祝ってもらったこともないし、そのような習慣もなかった。

授業参観やクリスマスのような行事を紫と共に祝っている真九郎。
紫が寂しい思いをしないよう誕生日も祝うことにしたのだ。
それはもう習慣となり、今回で9回目の誕生日。
真九郎だけではなく、みんなが心から祝っている。

そんな嬉しそうな紫の姿を見ていると、
自分のしてきたことが紫にとって大きな意味のあることに思え、嬉しくなる。
これまでの自分の行動が正しかったのだと安心する。

ゆったりと進んでいく楽しく微笑ましい時間。
用意された食事を食べ終わり、千鶴手作りのケーキを口にする。
最近お菓子作りに精を出している千鶴の作るものは最高に上手く、みんなの舌を唸らせた。


914:誕生日3
09/04/26 02:07:12 Yp+pTYTt

後片付けが終わり一息つく真九郎は隣に座っている酔った環を見て、今日のことを思い出した。

「あ、そうだ、環さん。俺の携帯イジりましたか?」

恥をかいたことを思い出して環に尋ねる。

「うん、面白かったでしょ~。」

環は悪びれもせずに飄々とした態度で言った。

「まぁ、面白かったですけど、恥もかきましたよ。
 『君は人間じゃないかー!!』っていきなり声がしたんですから」

光やジュウたちに見られたことを思い出し、恥ずかしくなる。

「あはははは、まぁ面白かったらいいじゃな~い。
 あれは紅香さんに頼んで弥生さんに協力してもらったんだ~。
 普段キッチリした声しか出さないからか、恥ずかしそうにしていた弥生さんが新鮮だった!
 でも、私からの着信に限定しといたからもう大丈夫だね!」

何が大丈夫なのだろうか。
でも、環は楽しそうだった。

いつの間にか真九郎の携帯をイジッて『環』と登録されていた名前を『夕乃』に変え、
着信音も変更したらしい。
音源は紅香にお願いしたとのこと。

自分のことを犬と言い切る弥生にとって紅香の命令は絶対だ。
環の提案を受け「面白いな」と紅香が答えた。
環としても引き受けてくれるとは思っていなかったので驚いたが、
それが弥生に回ってきたのだった。
この依頼を紅香から命令されたときはさすがに大きな葛藤があった。
だが主の命に逆らうことはせず、やり遂げることを決意し、命令に従ったのだ。

やると決めたからには手を抜かない。
主のために…、なるのかどうかはわからないが、
めいいっぱい声を張り上げ、惜しげもなくその美声を披露した。
それを使ったようだ。

「弥生さん、可哀相に…。」

なぜか哀しくなった。
滅多に姿を現さない弥生に同情する。
こんなことをさせられるとは思ってもみなかっただろう。


915:誕生日4
09/04/26 02:08:09 Yp+pTYTt

その後も緩やかに時が過ぎる。

この日は環と闇絵以外は真九郎の部屋に泊まっていった。
環は酔いつぶれ、真九郎に運ばれていく。
「真九郎く~ん、もっと強く抱き締めて~。」と寝言を呟いていた。

環が運ばれていくのを見送り、闇絵は静かに自分の足で部屋に戻る。

落ち着きを取り戻した小さな部屋で、ざこ寝。
この体勢で寝るのにもう慣れているのだろうか。
すぐに眠りに落ちていった。




――深夜。

真九郎の顔を見つめる影があった。
優しく切なく微笑み、愛おしい者を眺め、慈しんでいるような視線。

その影は真九郎の頬にそっと手を添えている。
誰の目にも映っていない光景。
自分以外の者は消え去り、真九郎と二人だけの空間のような気がした。

そのままの状態でしばらくの間留まる。
おだやかに、しかし目に焼き付けるように見ていた。

影は上体を屈める。
長い髪が真九郎の顔にかかり、くすぐったそうにする。
左手で髪を押さえ、右手で真九郎の頬を撫でる。

そのまま徐々に近づき、距離がなくなった。
唇が触れる。

数秒間、柔らかい唇が重なり合い、体温を交換する。
身体全体から熱が溢れるように真っ赤になった気がした。

真九郎も寝息を立てたまま、誰も起きた気配はない。
影は自分の記憶にしか残らない大切な思い出として心に留めていた。



916:約束1
09/04/26 02:10:25 Yp+pTYTt

――次の日。

みんなが帰った後、真九郎の部屋には紫が残っていた。
真九郎と紫の二人。

どうってことのない日常のはずなのだが、今日の紫はどこかおかしい。
そわそわして落ち着きがない状態だと一目でわかる。
目も合わせようとはしない。
長い付き合いになるが、そんな紫を真九郎は今まで見たことがなかった。

「どうしたんだ、紫。様子がおかしいぞ。」

尋ねる真九郎に目を合わせられない紫が口を開く。

「今日は真九郎にお願いがあるのだが、なんと言っていいか…。」

珍しい。
言いよどんでいる。
いつもの紫ならなんでもハッキリ言い切るはずだ。
普通の人間なら言い難いことも真っ直ぐと向き合って言ってくれる。
真九郎はその言葉に何度となく救われてきた。
紫が口に出来ないほど重要なことなのだろうか、
それとも相当思い悩んでいるのだろうか。
もしかしたら九鳳院で何かあったのかもしれない。
真九郎の頭に血が上りかける。

「なんでも言ってくれ、紫のためなら何でも力になるぞ。
 一人で悩んでいるより口にした方がスッキリするしな。」

背中を押すように優しく促した真九郎だったが、すぐに後悔することになった。
少しの間悩み「そうだな」と言い、唇を動かす紫。
まだ緊張が解けてはいないが覚悟を決めたようだ。
言葉を紡ぎだしてからは、いつも通りの聞き取りやすいハッキリした口調だった。

「あれから真九郎はちゃんと約束を守ってくれたな。
 授業参観にもちゃんと来てくれて応援してくれた。
 夕乃が一緒だった時は、微妙な感じがしたが…。もう昔のことだ。
 わたしのことを他の誰より大切に扱ってくれた。
 わからないこともいっぱい教えてくれた。
 何があっても絶対に護ってくれた。
 どんなときでもわたしの味方になってくれた。
 わたしは真九郎にとても感謝している。
 これからも一緒にいたいと思っている。
 
 だから今度はわたしが約束を守る番だ。

 真九郎、結婚しよう。」

917:約束2
09/04/26 02:11:49 Yp+pTYTt

透き通った艶やかな頬を赤く染めて紫は言った。
ついさっき『何でも聞く』と約束したばかりの真九郎は動揺する。
いつそんな約束をしたのだろうか?
真九郎は思いを巡らす。
紫が嘘をつくとは思えない。
もし嘘をついたとしても、この裏表のない少女には隠すことは不可能だろう。
すぐに顔に出ることはこれまでの付き合いからわかっていることだ。

美貌に恵まれ、頭も良く、育ちも良いお嬢様。
そんな容貌と肩書きとは不釣合いなくらい強く揺るがない意志を持ち、
俗世に染まることもなく、真っ直ぐに育ってきた紫が真九郎に迫る。

本来なら紫は、すぐに真九郎のことなど忘れていくと思っていたが、
この年になるまで変わらず仲良くやっていたのだ。

「な、何言ってんだ紫。
 お前まだ16歳だろ。早すぎるって。」

真九郎は、先日誕生日を迎え、みんなでお祝いしたのを思い出す。
あの時、紫はすごく嬉しそうだった。
みんなに祝って騒いでいたのが楽しかったんだと思っていたが本質は違ったようだ。
結婚できる年齢になったことが嬉しかったのかもしれない。

誤魔化そうとする真九郎に紫の視線がぶつかる。
その目に哀れみを感じてしまうのはなぜだろう。

「何を言っている?女は16歳になったら結婚できるんだぞ。
 そんなことも知らないのか?ちゃんと勉強した方がいいぞ。
 なんならわたしが教えてやろう。これからはずっと一緒だからな。
 それにおまえもいい歳だ、そろそろ結婚した方がいいと思うぞ。」

やはり哀れみの視線だったようだ。
まぁ、それはそれだ。今は置いておこう。
突然の紫の提案に呆気にとられていた真九郎はどうすればいいのかわからない。
当の紫は言いたいことをすべて言ってしまったのですでに満面の笑みを浮かべている。
目がくらむ程、輝いていて、直視できないくらい眩しい最高の笑顔だ。

真九郎からの答えは紫の中ではもう決まっているようだった。
断られるはずがないと信じている。
紫は部屋の端に置いていた鞄を開け、
クリアファイルに挟んでいた皺一つない用紙を丁寧に取り出した。

918:約束3
09/04/26 02:12:51 Yp+pTYTt

「ほら、真九郎。これを見ろ。
 ちょっと前に騎馬に取りに行かせたんだ。
 これから書き込むぞ。今日からわたしは『紅 紫』だ。
 なんなら『九鳳院 真九郎』でも構わないがどうする?」

全く迷いのない言葉が紡がれていく。
婚姻届を手に、胸を張り、堂々と自慢げに真九郎に見せつけている紫。

早々に真九郎の逃げ道を断っておく。
環と闇絵の教えを再現したのだろうか。
真九郎は紫の行動に呆気にとられながらも過去を振り返る。

いつか約束を破ったときは確か泣いて出て行ったよな…。
それから口もきいてくれなかった。
口をきいてくれないどころか、紫の人生の中には
紅真九郎という人間自体が存在していなかったことにされたような態度を取られた記憶がある。
完全に否定され、自暴自棄になった気がする。
あれは痛かったなぁ。

ここでおかしなことを言ったらあのときの二の舞になるんだろうか。

どうすれば良いんだ?
逃げ場はないのか?
というか俺はどうしたい?
これから先も紫とずっと一緒にいたいのだろうか?

ただ紫を幸せにしてあげたい。
寂しい思いをさせないようにしてあげたい。
いつも楽しく優しい笑顔でいてほしい。
それだけの想いを持って今日まで接してきた。

ふと紫を見てみると瞳に涙を溜め、今にも泣きそうな顔をして、
「ダメ…か?わたしとじゃ、ダメ、なのか…?
 もしかしてわたしのといるのが嫌になったのか?わたしのことが嫌いに…。
 それとも『ずっと一緒にいる』という約束をしたのを忘れてしまったのか…?」
と小声で呟いている。

昔、奥の院で暮らしていた頃は、自分の運命を無理に受け入れ、
初潮と同時に子どもを孕まされる覚悟をしていた紫だ。
16歳という歳など関係のないことなのだろう。

涙を溜めた紫を見ていると真九郎はいたたまれなくなってしまう。
あぁ、これが男気スイッチというやつなのだろうか。
真九郎が覚悟を決め、ペンを走らせようとした時、
「ドンッ」と大きな音を立て部屋のドアが開いた。

「いけません!真九郎さん!」


919:約束4
09/04/26 02:13:47 Yp+pTYTt

夕乃が勢い良く部屋の中へ入ってくる。
後ろには千鶴もいる。
忘れ物でも取りに来たのだろうか。

千鶴は状況を把握していないようだった。
緩んだ顔をして真九郎と紫を見る。

大きな音がしたのが気になったのか環や闇絵が真九郎の部屋ドアの前に立っていた。
二人は面白そうに微笑しながら成り行きを傍観している。

「そんな一時の思いで、軽はずみは行動をしてはいけません!
 昔、崩月に来たとき私が最初に教えた言葉を思い出してください!」

夕乃は必死だ。
真九郎がこのような状況に陥った時、
どのような行動を取るのかわかっているのだろう。

『年上の女房は金の草鞋を履いてでも探せ』だっけ。
真九郎は心の中で口にする。

「真九郎はわたしとの約束を守ってくれるよな?」

今まで聞いたことのない、か細い小さな声で紫が呟いた。
真九郎を真っ直ぐに射抜いている紫の瞳。
溜まった涙が今にも溢れそうだ。

真剣な面持ちの紫と夕乃を無視して、空気を読まない千鶴が口を開く。

「紫ちゃん、おにーちゃんと約束したの?
 そっか、約束は守るものだもんね!
 あっ、千鶴も小さい頃に約束したの思い出した!」

どことなく怪しい笑みを浮かべた千鶴が
みんなの注目を浴びながら真九郎に言葉を向ける。

「おにーちゃん、
 千鶴が大きくなったら『せっくす』を教えてくれるって約束したよねー。
 そろそろ教えてほしいなー。」

空気が凍りついた。
静寂に包まれる部屋。
真九郎はもちろん、夕乃や紫も唖然としていた。

環と闇絵は手で口を押さえ、肩をプルプル震えさせながら、ひたすら笑いを堪えている。
千鶴だけがいつも通り屈託のない笑みを浮かべ、のほほんとしていた。
真九郎が何かを言いかけた瞬間、一番付き合いが長く、幼い頃から聞きなれた声が響く。

「…やらしい」


920:約束5
09/04/26 02:14:38 Yp+pTYTt

真九郎はビクッと肩を震わせた。
銀子の声だが、もちろん本人はここにいない。
「やらしい」と三回繰り返した後、静寂が戻った。
真九郎は机の上に置いてある自分の携帯を確かめると、携帯はパチパチと光を発している。
銀子からメールが送られてきたようだ。
環と闇絵は部屋から出て、我慢することなく廊下で大笑いしている。

「環さん!」

真九郎は話題をすり替えることにした。
携帯のことで環を責めようとする。
そうすればなんとかこの部屋から出られるはずだった。

だが、もちろんそんなことが許されるはずもなく、
間髪いれずに夕乃と紫が問い詰める。

「どういうことだ、真九郎!!」
「どいうことですか、真九郎さん!!」

逃げようと片膝を突いて立とうとした時、
長い付き合いの中で一度も見たこともない形相をし、
真九郎のことを睨みつける二人の顔があった。

「正座!!」

夕乃が有無を言わさぬ声で、真九郎の足元を指差しながら言い放った。
身体の強さで夕乃に勝てるはずもなく、
意思の強さで紫の足元にも及ばない真九郎は「…はい」としぶしぶと従った。
真九郎が紫と夕乃に弁解しようとするが、二人は暴走し始める。

「も、もしかして真九郎さんは本当に年半もいかない女の子が好きなのですか!?」
「じゃあ、わたしの方がいいぞ!」
「わ、私だってまだまだです!」
「わたしの方が若い!」
「負けません!」
「わたしもだ!」

話がすぐに脱線し、色んな方向に展開していくのはいつものことだ。
真九郎はどういう風に話していけば誤解が解けるか冷静に考えていた。

なんだかんだ言ってもちゃんと筋道を立てて説明すれば
二人とも納得してくれるんだよなぁ。

真九郎が思索している間も紫と夕乃は言い争いをしている、というよりも何かを競い合っている。
いくつになっても変わらないなぁと他人事のように考える真九郎。


『千鶴はどんな着信音になっているんだろう?』
ふと疑問に思った千鶴は、真九郎にメールを打ってみる。
自分の興味の対象に真っ直ぐな子に育ったようだ。

また銀子の声が繰り返される。

「ロリコン」

921:約束6
09/04/26 02:15:47 Yp+pTYTt

二人の目線がより刺激的に変化した気がした。
きっと気のせいだろう。

あぁ、銀子は何をしているのだろう?
今、どこで何を考えているのだろう?
あの常識人の銀子が…。
どんどんこじれていく現実を忘れるために真九郎は空想の中に飛び込んだ。

環は廊下で床を叩きながら足をバタバタさせ、笑い転げている。
とうとう立っていられなくなったようだ。
闇絵も冷たく整った顔を破顔させ、両手で腹を抱えていた。
ここまで顔を崩している闇絵を真九郎は今まで見たことがない。
息も絶え絶えになり、もう声が出ていない。

言葉を失くした夕乃と紫に真九郎は話しかけた。

「こ、今度ちゃんと冷静になってから話し合いましょう。
 ねっ、夕乃さん、紫。
 どうせなら銀子も入れてさ」

焦りすぎていたのだろうか。
どこからか銀子の名前が出てきた。
今この場にいないし、こんな話に無理矢理混ぜるなんてあいつは喜ばないだろう。
何回も声を聞いていたからだろうかと一人で納得する。
真九郎は紫たちの反応を見ていられず、視線を天井に逸らした。

「…ぅるさぃ、バヵ」

照れていた。
なぜだろうか。
照れるくらいなら協力するな、と言いたい。
なんとなく可愛くも聞こえる銀子の声。
意識が遠いところに旅立ったのかもしれない。

ずっと恥ずかしそうに「…ぅるさぃ、バヵ」と繰り返している銀子。
正気を取り戻した真九郎は、おずおずと携帯の液晶を見てみる。
銀子から電話がかかってきたようだ。

環と闇絵は変わらず廊下で身を捩っている。
かすれた声で「死ぬ~、死んじゃう~」とか言っている声が聞えてくた。

さっきから無言の二人の視線が痛く、真九郎の顔にグサグサと無数に突き刺さっている気がする。
震える手で電話にでる真九郎。

922:約束7
09/04/26 02:16:48 Yp+pTYTt

―真九郎。どう?調子は?

いつものようにあまり抑揚のない口調で話しかける銀子。

「お、おまえ、何やってんだ?」

真九郎は折れそうになった心を気力で補強しながら銀子に尋ねる。

―何って?ま、見てないならメール読んどいてね。じゃ。

言いたいことだけ言って勝手に切ってしまう銀子。
メールを読むが、何も書いていない。
携帯が壊れたのだろうか。
無駄なことをするのが嫌いな銀子が
空のメールを送るはずがないと考えているとまた携帯が鳴った。


「テ~レ~レ~レ~レ~レ~レ~レ~レ~~~」

今度はゴッド・ファーザーのテーマ曲が流れる。
音源がなかったのだろうか、環が歌っていた。
液晶には『ママ』と表示されている。
その場にうずくまり、両手で頭を抱える真九郎。

あぁ、なんかどうでもよくなってきた…。

曲を聞いたときになんとなくだが、誰から電話がかかってきたかを理解した。
電話にでるとやはり予想は的中する。

―私だ、真九郎。
 仕事の依頼をしたいのだが、今どこにいる?

「家にいます。」

―すぐ出てきてくれ。急ぎの依頼だ。

「わかりました。今すぐに。」

口実を手に入れた真九郎は「仕事が入った」と言い残し、
何かを言おうとした紫と夕乃を置いて部屋から逃げ出した。


923:名無しさん@ピンキー
09/04/26 05:37:43 Zk1aeI8i
なんという修羅場

しかし真九郎ほど修羅場の似合う男はいないな

続きは?

924:名無しさん@ピンキー
09/04/26 15:52:00 Yp+pTYTt
>>923
続きはありますが、ちょっと失敗しててどうしようか考えてるところです。

あと円を出そうとしたら、結構壊れてしまったんで、
そっちもどうしようか悩んでて。


925:名無しさん@ピンキー
09/04/29 17:40:26 hPW6aIt8
保守

926:公園にて
09/05/02 14:42:03 4cgiwwbn
「………」
「どうしたんですか、ジュウ様?」
「いや、さっき買ったアイスなんだが……スプーンが短くて底につかないんだ……」
「でしたら、ジュウ様、どこかに中身を空けて食べればよろしいのでは?」
「空けるとこなんかないぞ……?」
「……では、わたしの手の上はどうでしょう?」
「なっ……おまっ……」
 両手で水を掬うときのように手の平向けた雨。
「さあ、どうぞ皿として扱いください」

青葉茂る草木の中、某Hさんはそこにいた。
「そ、それじゃ『あれ? おかしいな? アイス以外にピンク色のものがあるぞ?』『ジュウ様……そこはッッッ』みたいなプレイにぁぁぁああああああああ」

―――――――――
GW初日からなにやってんだろうか俺はorz

927:名無しさん@ピンキー
09/05/02 14:49:51 sT0xqHEU
光は相変わらずだなww

928:名無しさん@ピンキー
09/05/05 08:24:38 XcG/ojwf
やはり漫画で見た斬彦ちゃんは可愛いな!

路地裏で紫を交えた初体験3Pマダー?

929:名無しさん@ピンキー
09/05/05 09:37:25 u6VpDzt8
「ジュウ様が両腕骨折して入院したら、雨達が世話しに来た」そんな話はまだかね?

930:名無しさん@ピンキー
09/05/05 13:44:14 f3uUUPPf
両足もいっとこう

931:名無しさん@ピンキー
09/05/05 16:45:05 qg4kNRrC
てか絶奈の続きモンどうなった

932:名無しさん@ピンキー
09/05/05 17:21:11 /+ZzZ/Z7
絶奈「あきらめたらそこで試合終了ですか?安西先生」

933:名無しさん@ピンキー
09/05/05 19:33:24 vyn3yO6X
酒ではなく真九郎に溺れる絶奈…

934:名無しさん@ピンキー
09/05/05 23:58:07 QD/ZxnHW
>>931
文才の無い俺が作成してみよう。完成確率50%…

935:名無しさん@ピンキー
09/05/06 01:28:16 aKHMUupW
>>934
低っwまあ、待ってるよ

936:名無しさん@ピンキー
09/05/06 04:49:37 YtyzvNhl
>>934
断食して待ってるよ?

937:名無しさん@ピンキー
09/05/06 18:58:28 A0MG7h7Z
>>934
腹をすかせて待ってる…

938:名無しさん@ピンキー
09/05/06 19:17:24 iZ1WzvY4
>>934
不眠で待つぜ

939:名無しさん@ピンキー
09/05/07 04:04:46 MmAo9Lr6
>>934
時間かかるだろうが頑張れよ…











…投げ出すなよ?

940:名無しさん@ピンキー
09/05/07 14:14:30 nXOE+FP/
どうせ今回もダメなんだろ?安西先生…

941:名無しさん@ピンキー
09/05/07 21:25:38 iTWRcxB/
紅3巻DVD版買ったよ
電波アニメ化ー、てなってたけどこういう形で売り出すわけね
位置的にはOVAって感じなのかな?

まだ怖くて未視聴だけど

942:名無しさん@ピンキー
09/05/07 21:26:43 iTWRcxB/
追記
電波はOVAという形だった
第二弾今春発売予定だってさー

943:名無しさん@ピンキー
09/05/07 21:50:38 BnQjswyk
どっちかっていうと
本放送前のプレ映像見たいな感じだな
OVAとは違うだろうよ
まあ紅よりかは期待できそうだ。原作テイストが保たれてるし
本放送が楽しみだ

944:名無しさん@ピンキー
09/05/07 22:04:19 fQDozACi
>>936-940
プレッシャー掛け過ぎだろw

945:名無しさん@ピンキー
09/05/07 22:31:40 kd6GOYT/
>>934
男なら言い出したことは確率関係なくやり遂げんといかんよな?そうだな?

946: ◆JI6GRfrLos
09/05/08 00:51:04 dvvlhy5q
今更だけど、850の続き投下。
――――
「しゃぶれよ?」
暗く、澱んだ、心の奥底から自然と高圧的な声が出る。
荒い息をはく絶奈の髪を掴み、そのまま床に数度たたきつける。
この程度ならば髪が抜ける事も傷がつく事もない。
だが、大事なのは征服している事を示すことだ。そうそうと戦鬼になっていては体も保たない。
「聞こえないのか?」
間をおかずに床に叩きつけておいても、命令をやりとげさせる。
命令は理不尽ではあればあるほどいい。
絶奈と体を重ね、わかった事だ。
「は…はい…」
痛みではない酩酊。酔いではない痺れ。人を征服してきた絶奈だからこそ、求めた快楽。
ちろちろと舌を出し、真九郎のモノを吸い、しゃぶる。
懸命さと媚びを含んだ視線は虚空を見つめ、焦点すら合わない。
それでも体をすりよせ、懸命に奉仕する。
「…遅いな」
長い髪を指に絡ませ、押し付け、腰を振る。
一方的な快楽を求めたイマラチオ。流石の絶奈も気道を抑えられれば苦しい。
えぐえぐとえずきながらも、零れる唾液と先走りを舌に絡め吸う。
口の周りをベトベトに汚し、白目を剥くまで呼吸を止められていても絶奈はくらいつく。
「気持ち悪いな…さっさと飲めよ」
ぐっと押さえつけ、下腹に鼻を。口には真九郎のモノをつめ射精する。
ゴフゴフとえずいても、全てを飲む絶奈。
「ん…流石に慣れたもんだな」
手を髪から離し、そのまま床に崩れ落とす。
「まだ、あんたの女は使ってないんだぜ?へばってないで…」

―――飽きた。本番省略―――

「やっぱり、最高よ。真九郎くん…」
弾むような声音で絶奈は隣に眠る真九郎をの髪を撫でる。
「また…ね?」
真九郎の臭いを深く吸い、立ち上がる。
あの程度のダメージは絶奈にとってはものの数ではない。
真九郎にそっとタオルケットをかけ、部屋を出る。
絶奈が出た部屋にはガスが充満し、真九郎は深い眠りに落ちる。
夢の中で真九郎は日常を歩む。起きた時は絶奈しか見えない。
服従と被服従。支配者と奴隷。
逆転しても反転しない歪んだ愛情に満たされながら、絶奈は歩きだした。

――――
グズグズだなぁ…一応、終わり

947:名無しさん@ピンキー
09/05/08 01:06:19 HpWzw9EQ
>>946
GJ!省略されてもやり遂げてくれたことに感謝

948:名無しさん@ピンキー
09/05/08 03:00:31 pHUKlFUt
>>946
GJ、ちょっと激しすぎる気もするが…w

949:名無しさん@ピンキー
09/05/08 05:05:41 q+d7aedv
>>946
端折ったか…まあGJ。◆JI6GRfrLosの次は>>934の出番だな…

950:934
09/05/08 23:54:35 aMWPWUqm
>>946
お疲れ様です

とりあえず半分くらいは出来た。完成には持ってけれる。ただ、出来栄えには期待しないで…

951:934
09/05/09 01:02:32 v9s24qe3
>>950
おk。待ってるよ

952:950
09/05/09 01:24:42 n+Jr4j8A
>>951
本物?やってくれよw

953:934
09/05/09 01:39:54 v9s24qe3
ゴメンやっぱ無理…任せた…

954:名無しさん@ピンキー
09/05/09 02:09:49 yG3dDnJ5
>>952
投げ出すのもアレだが、そんなことするんならオマエやれよ

955:名無しさん@ピンキー
09/05/09 04:54:52 FwQfCh24
>>952
つか、こんなことすんなよ。バカか?

956:名無しさん@ピンキー
09/05/09 11:03:21 5Db0vHy4
あと一作品くらいで次スレかな?

957:名無しさん@ピンキー
09/05/09 11:24:04 EVom1qZj
紅でも電波でもいい


できれば切彦ちゃんとか雪姫とか

958:名無しさん@ピンキー
09/05/10 19:46:45 Czv8Gse6
切彦ちゃん

959:名無しさん@ピンキー
09/05/11 13:24:15 QF6SJAwK
電波きてくれー

960:名無しさん@ピンキー
09/05/11 23:28:29 gDL8mtZz
紅でいい

961:名無しさん@ピンキー
09/05/11 23:43:26 xOg1/aVv
漫画、切彦ちゃん可愛すぎる

962:名無しさん@ピンキー
09/05/13 00:42:08 Exz5XZzT
切彦ちゃんのエロはどこにも見当たらんな…

963:ai
09/05/13 20:41:33 NEVb1Pwq
皆さんご所望なようで、切彦ssをかいてみた
期待せずに、どうぞ

注:多少(?)屈辱かも

―――――――――
『拉致られて船底』

 深夜の底冷えするような冷気に真九郎は身震いした。
 現在時刻は午前零時を回りそのまま半周くらいしてるかもしれない。あまりの眠気に時計をつけてくるのを忘れてしまったのだ。
 ヒュー、と真冬の風が駆け抜ける。
「うー、寒っ」
 手袋をはめた手をポケットに突っ込んで、真九郎は街灯の光の下、ゆっくりと歩いていた。
 なぜこんな丑三つ時近くなって、真九郎が歩いているのかというと、単純明快というかなんというかで―ともかく、原因はあのエロ大学生にあった。
 それは真九郎が寒い部屋で温かい布団という名のオアシスに埋もれ、眠っているときだった。
「しんくろーくーん! 起きてー」
 そんな声がして、真九郎がゆっくりと瞼を開けると、そこにはうっすら赤みがかかった酒臭い環の顔があったのだった。
「……なんですか……こんな夜中に……」
 環は、「お。起きた」などととぼけたように行った後、いきなり本題に入る。
「あのさー、お醤油ない!?」
「……は?」
 場が固まったはず。ただでさえ寒くて凍りついてるような空気が、だ。なんだかもう突っ込みを入れるのも、怒るのも面倒くさくなってきた。うん、もう寝よう。寝てしまおう。真九郎は再び布団にもぐり、心地よい暗闇に落ち―。
 その瞬間、真九郎の体が外気に包まれる。
「寝るなー!」
 ……布団を剥がされた。
真九郎は身を震わせる。これには目を覚まさずにはいられない。しょうがない、と環が早く帰ってくれることを祈りつつ、布団から身を起こす。
「わかりましたよ……」
 で、と続けた。
「お醤油がなんですって?」
「…………」
 目を擦っていた手を離すと、環の顔が見える。
「環さん?」
「―! いやー、ごめん。寝起きの真九郎君かわいいなーって……」
「……寝ていいですか?」
「え? お姉さんと寝たいって? もうしょうがないなー真九郎く……」
「あと十秒以内に本題に入らないと寝ますよ?」
「あー! ごめんごめん! えー、で、本題……えっと、お醤油貸して!」
 またかよ。何時になったら環の部屋に醤油が入荷されるのだろうか。いいかげん自分で買っといてほしい。
「……えーと、そこの棚にありませんか?」
 真九郎は冷蔵庫の横にのっそりと立っている棚を指差した。
 環がゆっくりと立ち上がり、のそのそと真九郎の指差す台所へ向かうその足は―やはり飲んでいるらしく、おぼつかなかなかった。
「そこのガラス戸開けたとこです」
 環は少しガタガタやって、ほどなく赤い蓋のビンを高く掲げた。
「あったー……」
 しかし語尾に三点リーダ。
「……どうしたんですか?」
 環はいやにかなしそうな眼でこちらを振り返り、醤油のビンを向けた。
「カラなんだけど……」




964:ai
09/05/13 20:43:38 NEVb1Pwq
 その後、ひと悶着あり、まとめると―「買ってきてよー」「なんでこんな夜中に……」「じゃあ明日かってきてね?」「いいですよ……明日の朝いt……」『ボーン、ボーン』そこで柱時計が鳴った。針は長いハリと短いハリが上を向いて重なっている。
「じゃ、いってきてね♪」「ちょ……環さん!?」「問答無用っ!」―とこんな感じだ。
 不運……いや、環の計画的な作戦にしか見えないそんなこんながあって、真九郎はいま真冬の夜道をひたすら五月雨荘から徒歩三十分くらいのところにある二十四時間営業のスーパーへ向かっているのだ。
 そこまでして環が醤油を欲する理由を聞くと、なにやら飲み会のあまりもののブロックマグロ中トロとやらを無キズでもらってきたのだが、
それが半額品だったらしく今日賞味期限で、だから今日中に(といってもさっき12時になったのだが)食べたいと豪語してらっしゃるのだ、あの大学生は。
「お、そろそろだな……」
 そうこう考えるうちに、スーパーのネオンが見えてきた。暗い夜道になれた眼には少しまぶしい。光に集まる羽虫のように、真九郎はスーパーへと向かう―そのときだった。
 バタン、と真九郎の背後でなにかが倒れた音がした。
「………?」
 看板でも倒れたのか? 振り返って、近づいてみた。
 ―あ。
倒れたそれをみて、真九郎は思わず声を上げてしまった。
「き、切彦ちゃん!?」
 そこには―忘れもしない西里総合病院での一件で合った悪宇商会の一員、《ギロチン》の二つ名をもつ二重人格の少女―斬島切彦が仰向けで地面に寝そべるように倒れていたのだった。
 反応がなかったので、もう一度呼びかけてみると彼女は首だけ動かしてこちらを向く。
「……紅……さん?」
 記憶してもらっていたことに少し喜びつつも、切彦を起こそうと近寄った。しかし手を差し出すも、全くつかもうとせず、「うーうー」と唸るだけだった。
 事の進展がないため、真九郎はふにっとした肩をつかんで腕の上に転がした。そうするとさっきは良く見えなかった切彦が良く見える。
 眼を細めて、無気力に真九郎を覗き込む灰色の瞳。黒いリボンで束ねられた茶髪。流石に服装こそ違うものの、はじめてあったあのときから変わってはいなかった。
「だ、大丈夫!?」
「……大丈夫です」
「な、ならいいけど」
 さっきから語頭がダブりっぱなしの真九郎は、とりあえず立たせようと彼女の肩を担ぎ、立ち上がった。
しかし切彦の体はふらついて抑えていないとすぐに倒れてしまう。
 彼女ほどの猛者になにかあったというのか。そう考え、とりあえず一回下ろそう、と脱力しかけたところで、やっと異変に気がついた。
「切彦ちゃん! その足……!」


965:ai
09/05/13 20:44:58 NEVb1Pwq
 端的に言うと、赤。
彼女の右太ももの辺りにまっすぐ一文字に切られた跡があり、そこから下が鮮血で染まっていた。白い靴下であえも半分ほど赤い。かなりの出血だ。
「……不覚です」
 そういう切彦の顔は痛がってる風でもなく、ただ無表情を貫いていた。
 とりあえず応急処置を……。
真九郎は急いで彼女を寝かし、立ち上がらせる前の状態に戻すと、ポケットからポケットティッシュをとりだすと、血をふき、さらにハンカチを引っ張り出してそれを巻きつける。
とりあえず医者に……、とケータイを取り出して山浦医院の番号を押そうした、そこで背後の気配に気がつく。
 五人……いや六人か。
 多勢に無勢である。しかも重症患者を守りながら、の。
 切彦もそれに気がついたのか表情を変えた。もちろん、曇り。そして小さくつぶやく。
「……わたしはいいから……にげてください……」
 その声は自分がきいた数少ない切彦の言葉の中でも、一番弱々しく、そして雨季の雲のように濁っていた。
「逃げれるわけ……」
 真九郎がそういいかけたところで、背後の気配が強まり、言葉を止めた。やがて、革靴が地面を叩く音がした。そしてだんだん、複数の気配が接近し―
 首筋に電流が走った。



 真九郎が気がつくと、あたりは暗く、ただ一点、天井から吊るされた裸電球がまばゆく、はかなげに光っていた。
 ゴウンゴウン、と壁の向こうで機械の唸る音がしていて、なんとなく過去のあの事件、真九郎と紅香を出会わせた、あの事件。アレを思い出させるような環境のなかに、真九郎はいた。
 そこまでしてはっと気がついたのは、やはり睡眠不足のせいか。それともなにか睡眠薬でも飲まされたのか―あたりをキョロキョロと観察する。
 いない。彼女が、いない。
あのときと同じなのだったら、ここにいそうなものだが。逆にいえば、いたら、そういうことなのかもしれない。
 真九郎は縛られた手をなんとか挙げる。上手く動かない―おそらくそういうクスリだろうか―のに苦戦しつつも、裸電球を揺らして、サーチライトの如く光をちりばめた。
切り取られた地面が真九郎の眼にうつった。その片隅に、
 ―いた。
 茶色い髪が見えた。それを束ねているリボンも、だ。
 そこには、斬島切彦が横たわっていた。


966:ai
09/05/13 20:48:19 NEVb1Pwq
 やっぱり切彦ちゃんも……。
 しかし、真九郎がいそいで駆け寄ろうとした、そのとき―。
 暗闇の中、ガチャという擬音が聞こえた。さらにギィと聞こえ、そしてバタンと閉鎖音。なにやらボタンを押すような音がして、二、三回光ったあと蛍光灯に継続した明かりが点った。
「ほう、早かったな……そっちの小娘はまだか」
 しゃがれたような声が室内に響く。目が明かりになれてから、真九郎は声の主を睨みつけた。そこには白衣の上に、さらに白いマスク、そしてサングラスに白髪という、全身白い―声からして―男性がいたのだ。
 警戒心を強める真九郎に、白服は一言。
「大丈夫、君には何もせんよ……」
 蛍光灯に、サングラスがギラっと光る。
「君には、な」
「なっ……」
 サングラスがパチンと指を鳴らすと、再び扉が開かれ、同じく白い服を着た男が数人部屋になだれ込んできた。
 サングラスは、命令。
「……やれ」
 入ってきた白服達がいっせいに切彦に走りより、四肢を持ち上げた。
「やめろ! その娘は……」
 叫ぶ真九郎。しかし言葉が続かない。その娘は……真九郎にとってなんなのだろうか。友達、か。いや、こういう場合戦友とでもいうのだろうか。―違う。なにか引っかかる。違う。
 白服達はその声を者ともせずに、彼女を担いで部屋の扉を開ける。
「待て!」
 ムリヤリに足を動かす。しかし、真九郎が扉に到着したときにはすでに彼女と白服は扉の向こう。ドアノブをがちゃがちゃと回す―開かない。扉にタックルする―残るのは肩の痛みだけで、扉はビクともしない。
 悪戦苦闘する真九郎。こうなったら……。
 真九郎は右腕の肘に気を集中させた。そして力をこめる。
……?
しかしいつまで経っても、皮膚を裂く痛みも、高ぶる気の波も襲っては来なかった。
 背後から声がする。
「この世にはいろんなクスリがあるんだ……わかるかい? 崩月の子鬼君」
 ニヤリ、と笑ったようにマスクが持ち上がる。
「……知ってたんですか」
 やっと吐き出した言葉がこれだった。
 その答えは、ただマスクが持ち上がるだけ。
 しばらく真九郎が再び扉にタックルを続けていると、しゃがれ声が聞こえた。
「ムリだ……ダイナマイトでも吹っ飛ばないように出来てる、カギは瞳孔認証だ……」
 薄ら薄ら気がついていたようなことを付かれ、真九郎は一瞬ひるむも、再びガンガン、と一定のリズムで壁にぶち当たった。左肩の痛みなどより、なにも出来ない、なにもしない方が、ずっと痛かった。
 しばらく続け、肩の感覚がなくなってきた頃、後ろでもう一度しゃがれ声。
「そろそろか……紅真九郎!」
 真九郎は振り向く。見えたのは、コツコツと革靴をならしながら歩み寄る彼が。
「着いてこい……」
 そういって、瞳孔認証ロックをはずし、右手は扉に手をかけて、左手でなにか四角いもののスイッチのようなところをカチカチと鳴らした。
 青白い光が流れるそれは、スタンガンだった。


967:ai
09/05/13 20:49:49 NEVb1Pwq
 窮屈な通路を進むと、扉が見えてきた。
「入れ」とサングラスが光る。
 真九郎はおそるおそる中に入る。
 ―絶句した。
 壁一面には機械類が並んでおり、さらにその反対側には、今度は本がぎっしり。今入ってきた扉の上には窓があり、スモークガラスの様に真っ黒だった。だが、そんなものは全く気にならない。
 もう一つの、扉の正面の壁。そこに、切彦がいた。
 大の字に縛られ、壁に固定。そして衣服は―下着だけだった。
「切彦ちゃん!」
 あわてて真九郎は駆け寄ろうとする。しかし首筋にゴリっとした感触があり、踏みとどまる。スタンガンが当てられているのだった。
 気を失ってしまっては、元も子もない。そう思い、なんとか意思をコントロールする。
 サングラスはそれを鼻で笑い、さっきのように指を鳴らした。
 すると直立不動だった白服の一人が切彦に駆け寄り、その首筋に手を這わせ、グイと指圧。
 その瞬間、意識が覚醒した切彦が薄い目を開ける。そして数秒してから自分の置かれている状況を理解したらしく、真九郎と同じように絶句した。
「斬島切彦!」
 しゃがれた声を、サングラスが右手にもった黒い無線機のようなものに響かせる。
 それはどうやら切彦の耳につながっているらしく、彼女の体がビクっと跳ねた。
「お前この顔に見覚えはないか?」
 サングラスが白服に視線―とはいってもそちらを向いただけだが―を向けると、白い人垣の向こうから黒いアタッシュケースを持って現れた白服が切彦に見えるような位置で、そのケースを開く。
 ここからでは中身が全く見えない。が、話の内容から言うに、写真が入ってるのだろう。
「……あるよな……なにせ―」
 サングラスが妖しく光った。
「自分が殺したやつなんだから、な?」
 依然として貼り付けられたままの切彦の目が、かつて見たこともないほど開かれた。
 そうれもそうである。悪宇商会の仕事は、完全なる極秘任務。情報屋でさえもつかむのは難しい。特にそういう仕事は。
 そんな切彦を鼻で笑うと、
「まあそんなやつはどうでもいいんだ……大事なのはこいつの持っていた、鞄だ」
 サングラスはおどけたように言った後、急に言葉を強める。
「単刀直入に訊く。……それを何処へやった?」
「………」
 無言でうつむいたように下を向く切彦。
 そんな切彦を助けられない自分の情けなさに嫌気が指す真九郎。
 二人を一瞥し、サングラスはフンと鼻を鳴らし、そいて、片手を挙げた。
「……やれ」
「はっ!」
 そう返事をした白服達の一人が切彦に駆け寄って、彼女の股のすぐ下あたりの壁に、U字型の金属を打ち込んだ。カンカン、と金槌の音が響く。
その間に、もう一人がそれに麻縄らしき縄を頭上に向かって束ごと投擲。どうやらこの部屋は吹き抜けで、二回のギャラリーのようなところで白い服がそれを受け取った。
 そこまで呆然と真九郎は見つめていて、はっと我に返る。止めないと。
「や、やめ……」
「何か?」
 ごりっと、音が出るほど強くスタンガンが当てられた。
 ダメだ。抑えろ。ここで気を失ったら……。
そうしている間にも、作業は進む。なにやらカラカラと音がしてから、縄が下に落とされる。すばやくそれを拾った白服が、U字金属に通す。


968:ai
09/05/13 20:51:18 NEVb1Pwq
「ぁ……」
 切彦が驚いたような声を上げた。
 みると、麻縄が彼女の股間、純白の下着に麻縄が食い込んでいた。
 飛び出しそうになるのをこらえる真九郎。
 白服が麻縄を軽くひっぱった。
「くっ……」
 切彦の苦鳴のような声が響いた。
 白服は上のやつに手で支持を送り―上のやつは滑車のようなものを少し移動させた―U字金属を通したものとの両端をきつく縛った。
 すると準備を終えたらしく、白服達がまた兵隊のように整列し、二回から降りてきた比呂服はなにやらリモコンのようなものをサングラスに渡す。
「もう一度訊こう、斬島切彦。……それをどこへ隠した?」
 結果はさきほどと同じ、無言。機会の音がやたら大きく聞こえた。そんなことを思っていると、カチカチとサングラスがリモコンを捜査する。
 ウィィン、と切彦の頭上で、滑車が回った。当然、麻縄も連動して―
「―! くぅ……あぁぁあああ!」
 白い下着越しに、彼女の恥部が麻縄による攻撃を受けた。
 真九郎は思わずさけんでしまう。
「やめ……」
 ごりっ。
 唇をかみ締めて、必死に精神を食い止める。
「くぅ……はァ……あぁ!」
 滑車はリズムを不定期に強弱を入れ替え、まだ穢れのない切彦のそこを犯していった。
数分して、サングラスはリモコンを操作し、滑車を止めた。
「はぁ……はぁ……」彼女の荒い呼吸が室内にこだまする。
 次いで、しゃがれ声。
「どうだ? 吐く気になったか?」
 おどけるようにサングラスは訊く。尋問。
 しかし切彦は何も言わない。ただ下を向いて瞳を伏し、唇をかみ締めて、屈辱に耐えていのだった。
 返答がないのを確認したサングラスは愉快そうに笑った―マスクが持ちあがる。
「流石は《斬島》の名は伊達じゃないな……」
 切彦は動かない。
 社則の情報吐露禁止とかそういうのではない。彼女の持つプライドだ、と真九郎は痛感した。そして、この少女を助けたいとも。なにか好機があれば……。
そんな真九郎を知ってか知らずか、サングラスは切彦に歩みおった。もちろん真九郎もスタンガンに諭され歩む。
 彼女のところまで来ると、サングラスはリモコンを捨て、ポケットを探った。そしてそこから出てきたものに、
「なっ……」
 真九郎は目を見開いた。
 バタフライナイフがサングラスの手の中で愚鈍に光る。
 まさか……と、暗い考えがよぎるが、それはないと自分で自分を諭した。
 ここで切彦を殺すのならば、さっきからサングラスの言っていた鞄とやらの情報を得られなくなる。大丈夫だ……大丈夫。
 そんなことを考えてるうちに、サングラスは麻縄を切断すると、今度は彼女の下着に手をかけて―


969:ai
09/05/13 20:55:13 NEVb1Pwq
 切り裂いた。
 下半身に冷気を感じたのか、切彦は目を見開く。そして苦鳴をあげる。その間にもサングラスの手は止まらず、こんどは上の方の下着を切り取る。
見ちゃダメだ。
真九郎は目をそらす。しかし、
「ん? どうした紅真九郎」
 しゃがれ声は見逃さない。
「それに……」
 とサングラスが上を向く。
「どうした、斬島。顔が赤いぞ? まさかこの小僧に……」
「―!」
 いっそう唇を噛む彼女に、サングラスはフッと笑った後、真九郎に悪魔のような一言を放った。
「小僧、舐めてやれ」
「「―!」」
 絶句する二人。それを尻目に、サングラスは真九郎の首筋をつかむと、切彦の恥部にあてがった。
「うっ……」
 切彦がうめく。真九郎の鼻に愛液の独特なにおいが充満した。
「なにをしている? 焦らしか?」サングラスはおどけた後、「そんなものはいいからさっさと舌を出せ」
 スタンガンの感触がして、真九郎はおずおずと舌を出した。そしてゆっくりとそこに這わせる。
 触れた途端、切彦の体がびくっと震えた。切彦ちゃんごめん、と心の中で謝罪しつつ真九郎は、縦に割れたそこにあわせるように舌を這わせた。
「……ふぁ……んぅ!」
 サングラスはそれ見て、犬にするように命令する。
「いいぞ、紅。……次、そこを広げろ」
 やむなく真九郎は、親指と人指し指でそこを左右に割った。鮮やかなピンク色が真九郎の目に入った。膣のあたりが壁を埋め尽くす機械の光に蒼く光る。
 切彦から声が漏れる。
「ぃゃ……」
 その小さな声は今日はじめて聞く、拒否だった。真九郎の手が震え―そのわずかな動きにも、連動するように切彦も震える。
 サングラスは先生のような口調で、
「―まずはその突起だ。クリトリス……聞いたことぐらいあるだろ? 童貞くん?」
 そんな挑発まがいに命令を送った。
 ゆっくりと伸ばした舌が、それに当たる。
「ひぁっ……」
 動く。
「……っ!」
 再び後ろからしゃがれ声。
「……上出来だ」
 その瞬間、後頭部に手の感触があった―
「ひっ……」
 切彦の驚いたような声がして、そこで頭を前に押されたことに気がついた。真九郎の目のまえ数ミリのところに突起、そして鼻は膣の入り口に当たっており、愛液特有のにおいがする。
「わっ……―!」
 後ろに押し返そうと首に力を入れても、ビクともしなかった。それどころか、一層秘部に押し込まれる。
「ひゃっ!」
 今度は少し位置がずれて、唇が膣口に当たった。
「丁度良い。……吸ってやれ」
 しゃがれ声、そして無機質な首筋の感触。
 そしてさらに押し込まれ、真九郎の口をそこが密着した。ついでとばかりに鼻を摘まれる。
 じゅる、と何かを飲む要領で吸引した。
「あぁっ!」
 喘声が室内に響いて、どばっ、と膣から愛液がこぼれた。
 サングラスは愉快そうに、
「お、また出てきた……わかってるな?」
 笑う。
 ちゅる……ちゅぱ。
 吸い込んでいるうちにだんだん声に艶が増して……。


970:ai
09/05/13 20:55:40 NEVb1Pwq
 サングラスの手が真九郎の鼻先の突起―クリトリスの包皮を剥き、さらにそれが真九郎の鼻に当たり―吸い上げようと反動をつけていたため、盛大に擦れた。
「ふぁぁああっ……」
 体を大きく痙攣させて、切彦は達した。愛液が泉のように湧き出てきて、直結している真九郎の口内を満たす。
 なんとか舌で膣口をふさごうとするも、ほぼ無意味に近い。そんな状況下、自分の男が反応してしまわぬよう、真九郎はこの状況を打開する策を考えていた。でも、この状況じゃ、と落胆する。真九郎は思うように力が入らないし、切彦はこんな状態だ。
 第一ここが何処だかも……。
 とりあえずはこの部屋から彼女を連れて出ることに目標を絞り、なにか脱出口ないか、真九郎はさりげなくあたりを見回した。何か……そう、戦えるもの……ぶ…き―武器! 視界の隅。さっきは見落としていたアレ。
 ―見つけた。所要時間は……十秒あれば十分だ。あとは……。
 ほどなくして、その好機が訪れた。
 再開を強いられた真九郎は、さらに、
「五分以内にイかせなければ……」
と制限時間までつけられて、しかたなくクリトリスと膣の同時攻めを決行した。
コロコロ、と硬くなって包皮のムケた陰核を飴玉のようになめまわし、下唇で膣口を押す。
「あっ……ひぃっ……」
さらに今度は下を尖らせて膣に軽く入れ、出し入れ、その後陰核も巻きこんで吸引。
 ぺちゃ、ぺちゃ、と水音が響き、それらをくり返すと―
「あ―はぅっ! ……はぁはぁ……」
 体を痙攣させ、今一度切彦が達した。
それを見てか、鼻を鳴らす音がした後、
「紅」
 しゃがれた声が後ろから聞こえた。と同時に頭を抑えていた手が取れ、真九郎は開放された。無論、首筋には固い感触があるが。
「お前そろそろ我慢できないんじゃないか?」
 卑猥な声が続く。
「今まで良く耐えたな……お前も気持ちよくなっていいぞ」
 は? こいつ何を―。
「………」
 サングラスは沈黙する真九郎を見て、今一度鼻を鳴らし、つまりだな、と簡潔に纏めた。
「そいつを犯せ」



 真九郎の中で、二つの感情が生まれた。
 一つ目は、怒り。先ほどからあったのだが、今度は本気の。こいつは少女の純粋を奪えといった。笑って、だ。殴りたい衝動を抑えつつ、なんとか次へ目を向ける。
 二つ目。それは―
「………」
 無言で真九郎は立ち上がった。それを、欲望に負けたと見たのか、サングラスは素直に立ち上がらせてくれた。そして着ていた上着を脱ぐ―暑かったとでも思ったのか、ほんの一瞬。ほんの一瞬だけ、スタンガンが首から離れた。
 今だ! 生まれたのは希望、惨事の終幕への道。
 真九郎は―以下分岐
【A(happy-end)】上着を投げつけた。
【B(鬼畜-end)】サングラスの股間を蹴り上げた。


971:ai
09/05/13 20:56:29 NEVb1Pwq
【A】
 真九郎は上着を投げつけた。
 視界が途切れた一瞬の隙を突いて、スタンガンを蹴り上げる。
 だいぶ体が動くようになってきたのは、時間がたったせいかな、なんて思いつつもすばやく行動。
 目的は、さっき麻縄の切るのにつかって、放置されたままのバタフライナイフ。
 それをすばやく取って、放心状態で呼吸の荒い切彦の手に押し付けた―芽吹きの様に虚ろな目が一瞬にして強みを帯びた。
 あとはもう万事心配ない。
―刃物があればこの少女は無敵だ。
 バサッバサッ、という音がして貼り付け装置が一閃された後、切彦は音も立てず地面に着地した。
「紅……もっと早く取ってくれると、うれしかったんだがな」
 そういう彼女の口調がいつもどおりで真九郎は内申ほっとする。―のもつかの間、サングラスは上着を振り払い、
「貴様ら……」
ポケットからピストルを取り出した。
そして躊躇無く引き金を引いた。轟音が反響して何重にも響く。
しかしまるで打ち合わせたかの様に、同時に二人は瞬動。真九郎は駆け寄ってきたザコどもを食い止め、切彦は、
「ぐぁァァァアアア」
 サングラスのもったピストルを、腕ごと切り落とす。戦意喪失したサングラスは無くなって腕と共にガクリとひざを折った。
 いつにも増して容赦ないな、なんて思っていると、真九郎の上着を拾って肩を通し、ワンピースの要領で恥部を覆うと、真九郎に歩み寄る。
「一気に片付けんぞ。……ああ、それと」
 切彦はバタフライナイフをかまえたのが見えて、真九郎もかまえる。そして切彦は語頭をダブらせ、告げる。
「……あ、ああっ、あとで覚えとけよ」



 船上から眺める朝日というのもまた格別だった。
 切彦はそこらへんにあった服を適当にきて、今は刃物なしバージョンでぼんやりと登ってくる太陽を眺めていた。
 あの後、残りのやつらをものの一分で先頭不能にし、―仕事ではないので、死人は出さない、んだそうだ―そのまま船内をさまよった挙句、ハッチをこじ開けてここへ出た。
 案の定、船だったが、驚きはしない。先ほど携帯で銀子に要請した救助はあと一時間でくるらしい。……つまり一時間が彼女への言い訳を考えるリミットなのだ。
 真九郎はゆっくりと切彦に視線をやる。
 切彦の足のケガは本当に切れただけで、あの時フラフラしてうたのは、誰かが彼女の飲み物になにか薬を入れたからなんだそうだ。今は出血も止まって、痛みはほとんどないらしい。
「紅さん……」
 真九郎がそんなことを考えていると、切彦は真九郎と視線を交わらせる。
「なに?」
「責任とってくれますよね?」
「は?」
「忘れたとは言わせません、」
 彼女は真九郎を見つめる。
「処女の一番恥ずかしいとこを見られて……さらに……その、な、なめたんですから」
 彼女はちぐはぐに言って、顔を赤らめあと、開き直ったように目を凝視される。
「責任、です」
「えと……いつか、ね?」
 真九郎は誤魔化そうと試みる。正直、真九郎としてもアレだけのことをしていたため、少しつらい。座っているので見えないとは思うが、現在進行形で元気な状態だ。だが、彼女にそんなことをするわけにはいかない―切彦が放った一言が無ければ、の話だ。
じゃあ、と切彦は再び視線を朝日へ向ける。
「これだけは言わせてください……」
「………?」
 切彦は必殺の一言を放った。
「恥ずかしかったですけど……その、気持ちよかったです」
 ガラガラ、と理性が音を立てて崩れ落ちた。

 一時間後、海で一人の揉め事処理屋が浮いていた。


972:ai
09/05/13 20:56:53 NEVb1Pwq
【B】
 真九郎は股間を蹴り上げた。
 しかし違和感。まるで鉄板が仕込んであるかのように、硬かったのだ。
 ゆっくりと上着を掃ったサングラスは声を張り上げた。
「捕らえろ!」
 足音が真九郎の背後にせまってきた。まるでもとよりそういう計画だったかのように。
「くそっ……」
 真九郎は迫ってきた一人にわき腹に蹴りを入れる。―甘かった。
 ガシっという擬音のごとく、足をそのまま抱えられた。
 しまった―。
 冷静に戦うべきだったなどと、いまさら後悔しても遅かった。
 切彦と同じように―服はそのままで―真九郎の四肢を縛った白服達は、サングラスを中心に切彦に群がる。
 切彦の束縛をいったんといた後、今度は上から吊るし、尻を突き出すようにように固定した。
「アレを出せ」
 サングラスは命令。すると一人の白服が、サングラスになにやらさまざまな機械の乗ったトレイを渡す。
 その中からサングラが無造作に何かを取り出す。
 あれは……。―!
 真九郎は絶句した。それは辺鄙な形をした電気マッサージ器だったのだ。
「やめろっ!」
 真九郎の叫びに目もくれず、サングラスはそれをむき出しになった切彦の恥部へと押し当てる。
「ひゃぁぁぁあああ!」
 嬌声が室内に響く。
 それすらも気にしないように、サングラスはマッサージ器をほかの白服に渡すと、今度はトレイから男性器の形をした機会を取り出す。
 まさか―!
 その通りだった。サングラスはマッサージ器を上にずらし―クリトリスだけを刺激させる―それを愛液滴るそこにあてがうと、一気に貫いた。
「―!」
 パチ、とスイッチを入れると、それは振動。
「やっ……あぅっ!」
 それを満足げにながめたサングラスはさらにそれを膣中に埋める。
「ひゃっ! ……」切彦は目を見開いた。「―!」
 その卑猥な機械の先端が子宮に直撃した。
「あぁぁぁぁぁ!」
 嬌声が一層増した、数秒後、彼女はビクン、と跳ねて絶頂を迎えた。
 のもつかの間、サングラスは言い放つ。
「おい! お前ら!」
 白服たちは反応を示す。
「番号順に並べ……よし、番号一番から順に小娘に舐めてもらえ……」
 白服の番号一番が動き出し、そそくさと陰茎を出し、ムリヤリ口をこじ開けいれた。
「やめっ―」
「斬島、歯なんかたてたら……わかってるな? さあ、舐めてやれ」
 真九郎の訴えも消し飛ばし、サングラスは一層強くマッサージ器を押し当てる。
「ひゃんっ! だっ……め……」
「舐めろ」
 サングラスの情けもナシの声を聞き、ぎこちなく口元を動かした。マッサージ器が切彦から離れる。
 しばらく切彦が舐め続け、番号一番が高まってきたのを見計らってサングラスは再度クリトリスにそれを押し当てる。
「ひゃッ! あっ……あっ、あぁぁぁ!」
 切彦が本日合計四回目の絶頂を向かえ、と同時に白服の番号一番が精を放つ。絶頂の最中、それを吐き出し、咳き込む。
 そんな彼女に、サングラスは非情な声をかける。
「飲まなかったバツだ」
 サングラスが膣に填まっているそれのスイッチのような箇所を押す、すると煩いくらいのバイブレーョンが切彦の中をかき混ぜ、さらに―そこが弱いと踏んだのか―クリトリスにもう一つマッサージ器を取り出し、挟みあげる。
「ひゃあぁああああああ! あぁッ―!」
そして再び絶頂。本日五回目。
「次は飲めよ? 二番手っ! さっさと来い!」
 しゃがれ声が響く暗い室内で、少年は叫び続け、少女は喘ぎ続けた。

 その日以来、殺し屋《ギロチン》と、そしてとある揉め事処理屋の姿を確認することは無かった。


973:ai
09/05/13 20:58:45 NEVb1Pwq
以上
かなり消費してしまって申し訳ない
短くまとめられるよう努力します

974:名無しさん@ピンキー
09/05/13 23:51:18 Or9Uuc/B
>>973
乙。容量危ないな…
次スレたててくるね。

975:名無しさん@ピンキー
09/05/14 00:02:18 Gcz3pAYx
ごめん。今パソコン使えないんだったorz
proxyからじゃ立てられないし…誰か変わりにやってくれ

976:名無しさん@ピンキー
09/05/14 00:15:29 WnlF1Ah4
試してくる

977:名無しさん@ピンキー
09/05/14 00:18:55 WnlF1Ah4
無理だった。一応テンプレ

【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 4冊目

我が身はあなたの領土。我が心はあなたの奴隷。  
ここは片山憲太郎氏の著作についてのエロパロスレです。
 
過去スレ

【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】
スレリンク(eroparo板)
【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 2冊目
スレリンク(eroparo板)
【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 3冊目
スレリンク(eroparo板)

保管庫
URLリンク(www35.atwiki.jp)


978:名無しさん@ピンキー
09/05/14 04:55:48 oi2aod3J
>>973
乙!

スレ立ては、無理…

979:名無しさん@ピンキー
09/05/14 05:30:25 tp7HR4ae
>>973
乙。

980:名無しさん@ピンキー
09/05/14 05:34:05 ypFJEVUz
【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 4冊目
スレリンク(eroparo板)

次スレ

981:名無しさん@ピンキー
09/05/14 09:03:43 1EPVZZt/
>>973
GJ

>>980


982:名無しさん@ピンキー
09/05/14 11:33:10 6M3rqO+S
>>973>>980
乙でした。

983:名無しさん@ピンキー
09/05/14 11:34:08 6M3rqO+S
うめ

984:名無しさん@ピンキー
09/05/14 11:34:44 6M3rqO+S
うめ

985:名無しさん@ピンキー
09/05/14 11:35:35 6M3rqO+S
うめ

986:名無しさん@ピンキー
09/05/14 11:36:18 6M3rqO+S
うめ


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