09/02/22 15:48:46 iVoExvKv
こんなに幸せでいいのでしょうか?
雨はジュウに膝枕をしていた。
午前中はショッピング。2人で食事をした後、入浴して体を温めた。
ジュウ様の厚い胸板…優しい手がわたしの髪を梳き、流してくれた。
惜しむらくは、混浴が水着着用可で水着の貸出があった事くらい…
そうでなくてはジュウ様とご一緒は出来ませんでしたが、と一人ごちる。
お疲れのようだったジュウ様はお昼寝。寝苦しそうだった為に膝枕で癒やして差し上げようと思い行動に移した次第。
癒やして差し上げようと思ったのにわたしが癒やされまくってます。流石はジュウ様。
堕花雨は言語中枢辺りまで侵食されていた。主にほのぼの純愛的な意味で。
「ん…寒い。こい」
「え?」
す、と腰に回された腕が雨の体全体を布団へと引き込む。
ジュウの手が雨の腰から尻の方へ組むように回され、雨がジュウの頭を抱えこむような姿勢になった。
あぁジュウ様…そこは違う穴です…だ、だめですよ。そんな頭を胸に…は、ジュウ様の匂いが…
わたしに匂いフェチの属性があったのでしょうか?いいえ、これはジュウ様フェチですね。
あぁジュウ様…もう少しで、もう少しです!
その時、耳に付けた通信機からキャッチが入った。
…紗月美夜。あなたにはまだ調教が必要のようですね。
いい所で水をさされたが、ジュウの頭をくんかくんかして心を落ち着ける。
一呼吸おき、通信に応えた。
「……何ですか?」
『助けて!クマがクマが!』
どうやら、森で偶然クマと出くわし慌てて逃げたら追いかけられたという。
「どうでもいいですね…では」
『ちょっ…堕花さ』
ぷつりと通信を切り、ジュウの金髪を撫でる。いつもは見上げる形で見るジュウの顔を自分が見下ろす形でみえる。
これは眼福ですね…雪姫たちを鹿児島に誘導したかいがありました。
堕花雨は至福のひとときを満喫した。
―――
「堕花さん!もう、どうしろっていうのよっ」
あの色ボケ女めっ!
心の中で毒づき、必死にクマから逃げる。
落としたイヤリングを拾ってくれたとかそんなメルヘンな展開じゃない。
冬眠から目覚めたクマとばったり出くわしてしまったのだ。
地球温暖化を今度から真面目に考えようかな、とかそんなレベルでもない。
「ぐるるるる…」
「も、もう…追いかけてこないでよ…」
結構な距離を走ったというのに、クマはまだ追いかけてくる。
死んだフリは逆効果らしいから、兎に角人のいる方へ逃げている。