【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 3冊目at EROPARO
【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】 3冊目 - 暇つぶし2ch68:名無しさん@ピンキー
08/04/24 19:31:24 QsSDRWww
>>66
GJ! 光はやっぱ可愛いなあ。

>>67
そうか? 結構読みやすかったと思うんだが。

69:名無しさん@ピンキー
08/04/24 19:47:14 EkXnTZvv
>>66
初詣SSの人か。
GJ!

俺も読みやすかったけどな。

70:名無しさん@ピンキー
08/04/24 20:00:29 E/BLJdo5
>>66
真面目な光もいいなあ。

>>67
専ブラなら無問題。

71:名無しさん@ピンキー
08/04/24 20:18:34 i2QAzeId
なんて素敵(*´Д`)

72:名無しさん@ピンキー
08/04/24 20:26:24 waJ3wwWV
このくらいのものを作るのは中々の時間がかかったでしょう

激しくGJ!!!!

73:名無しさん@ピンキー
08/04/24 20:48:16 aoKJmnXp
光と円好きな俺にはもうGJとしか言い様が無いぜ。

74:名無しさん@ピンキー
08/04/24 22:00:26 eIy100cY
超GJだ!!
円が出てる話は少ないから普通にうれしいなこれは。


75:名無しさん@ピンキー
08/04/24 22:31:29 t12XqK5i
や、これはいいなぁ。
順調に方々にフラグ立ってるねw

4巻出てくれー

76:名無しさん@ピンキー
08/04/24 23:45:35 VB1dEYNa
GJ!!!! GJ!!!! GJ!!!!

77:名無しさん@ピンキー
08/04/25 00:16:26 NL1vLw9F
全く空気を読まないジュウ様。色々と不幸な光。確実にタラシ込まれつつある円。
そして原作の十割増しで男前な伊吹、となんかもう最高だぜ。
GJです。

78:名無しさん@ピンキー
08/04/25 15:35:46 D0bg6aIY
>>66
GJ!!!!
オチ要員じゃない光もやっぱりイイなと思ったw
しかし微妙にデレはいってる円が一番ツボった。

79:名無しさん@ピンキー
08/04/25 18:30:40 kceSSYgv
本当にGJだぜ!!
しかし内容的にも、普通にありえそうだよな。
弱い自分を鍛えるためにジュウ様が円に弟子入りとか。
紅香の息子だし、素質あるんだから、武術とか習ったら無茶苦茶強くなるんじゃねぇ?
ガタイもかなり良しな。

80:名無しさん@ピンキー
08/04/25 21:22:04 rsJjvrUW
>>79
でも空手習ってるって紅香が知ったら、
紅香が嫉妬してまたジュウ様フルボッコにされそうだなw
てかふと思ったけどジュウ様と紅香の関係ってFF10のティーダとジェクトとの関係と若干似てないか?

81:名無しさん@ピンキー
08/04/25 22:01:48 NL1vLw9F
相手が環の教え子だと知ったらまず性的な意味での心配をするだろう、たぶん>紅香

82:名無しさん@ピンキー
08/04/25 22:12:47 kceSSYgv
>>79
いや、ジュウ様は一般人にしてはかなり強いほうだぞ。
ただ、如何せん三銃士の方々が強すぎるからジュウ様が霞んで見えてしまうのさ。


83:名無しさん@ピンキー
08/04/26 02:58:46 mcvBM2YP
新刊でささくれ立ってた俺の心が癒されたぜ。
GJ。

84:名無しさん@ピンキー
08/04/26 17:47:36 YuBh1JsV
>>81
手遅れです

85:名無しさん@ピンキー
08/04/26 23:16:11 7NflGB4U
環も実際真九郎以外には…とか思ったけど、
大学で男ひっかけようとしてドン引かれたりしてるんだよな、そういえばw

86:名無しさん@ピンキー
08/04/27 01:59:15 7yTPlFG1
ジュウ様にセクハラをかまして、後で紅香さんにフルボッコにされる環さんが見えました。

87:名無しさん@ピンキー
08/04/28 02:27:02 GqjCcuYf
辞典のプロの戦闘屋に勝てるって件は環の事だろうからな
一般人の男が引くのは仕方ない
岩を素手で叩き壊せたり下駄でフルマラソンを余裕で走れるくらいの超人だし

88:名無しさん@ピンキー
08/04/28 20:54:19 qYHRbGYF
>>66
GJ!!癒されましたわ~

89:名無しさん@ピンキー
08/04/28 23:38:58 TcbQIvxa
ただの空手の師範代だっけ?がそんなレベルであることが恐ろしい
ただの空手家なだけじゃないって設定がいつ出てくるとも限らんがw


90:名無しさん@ピンキー
08/04/29 01:13:51 0m6f84Z/
環が特別なだけじゃね
崩月で修行した真九郎が尊敬するレベルの達人だし

91:名無しさん@ピンキー
08/04/29 08:38:26 LDEHbnxd
師範代ならNo.2でしょ。入門生なら最高位じゃん。
ただ環の練習相手がいるくらいのレベルなんだし、円や光が既に出入りしてるあたり裏家業御用達とか?

92:名無しさん@ピンキー
08/04/29 20:08:22 jKXkxIpN
>>91
たしかに堕花や円堂の人間がいる時点で普通の道場じゃなさそうだよな。
不戦の約定のある五月雨荘のアパートにわざわざ住んでるんだし、
たぶんその考えであってるんじゃないか?
まあ漫画版見る限り、絶対とは言えないが。

93:名無しさん@ピンキー
08/04/29 20:13:03 +pCCIcaq
師範代じゃなく師範だぜ。
つーか環って名前から、実は円堂の家の人間だったんじゃないかと思ってる。

94:名無しさん@ピンキー
08/04/30 16:00:22 yuAI6bMn
円堂環か・・・ありそうだな。
闇絵さんは歪空たかだったり??

まぁ俺としては五月雨荘の管理人さんが知りたい!!

95:名無しさん@ピンキー
08/05/02 17:39:10 WfTGLn56
じゃあ管理人は未亡人で

96:名無しさん@ピンキー
08/05/02 23:33:31 3q/314Cz
>>96
なるほど・・・
これで幼女、幼馴染、義姉、義妹、大学生、大人の女、未亡人と
完璧な布陣が紅にはそろったわけだな。


97:名無しさん@ピンキー
08/05/03 22:48:44 B22nFEUe
未亡人ってなんかま〇らほみたい(笑)

98:名無しさん@ピンキー
08/05/03 23:31:29 Fj87ocXr
>>97
アニメ版だろ? 原作にも出てたっけ?
メインヒロイン(笑)が嫌いでもうメイド編しか読んでないけど。

99:名無しさん@ピンキー
08/05/04 18:11:03 FZcZHGMd
めぞんかちょびかどっちかだと思った

100:名無しさん@ピンキー
08/05/04 21:00:52 7GJ7FGl3
まほらばもあるぞ。


101:名無しさん@ピンキー
08/05/05 15:48:37 b3+Mo/22
アニメ版に出てた(笑)

未亡人も幽霊コレクターも女剣士もどっかの会社の御令嬢も主人公と同棲してる女もみんな式森目当て♪♪
まほらばに未亡人いたっけ?

102:お姉さんの人
08/05/05 17:07:54 wcxH2qyE
「瀬麗武、これから初日に行っても大丈夫かな?」
「私といれば入れてもらえるだろうが……何か見たいものでもあるのか?」
「親父さんに会いに行く」
「父様に?」
「あぁ! 行こう!」
瀬麗武の手を取って走り出す。今は気分が良い。胸のつかえが取れたような、スッキリした気分。
テンションに流される―スバル達の言う熱血モードとはまた少し違う、熱い思い。
「なぁ瀬麗武、俺も瀬麗武のおかげで新しいものが見れたよ」
「ふふ。それは良かったな」
すぐに初日に到着。瀬麗武が身分証を示し、事情を説明する。
瀬麗武の頼みということで俺も入れてもらえた。あちこち探るなよ、という条件付で。
親父さんは甲板にいるとのこと。瀬麗武の案内で連れて行ってもらう。
甲板に雄雄しくそびえる僕らの勇者王……じゃなくて古狼。迫力あり過ぎだ。
今にも「立てよ国民!!」とでもぶちかましそうだ。
「来たか。意外と早かったが、答えは出たか?」
「はい」
「ならば聞かせてもらおう」
今度は真っ直ぐに目を見据える。
「俺は、瀬麗武の純真さが好きです!
瀬麗武が力で俺を守ってくれるなら、俺は瀬麗武の純真な心を守りたい! それが、俺の答えです」
「ふむ……」
親父さんが近付いて来る。下がりたいけど、ここで引くわけにはいかない。
一歩半程度の距離まで近付く。目線は絶対に外さない。
「良い答えだ。そして、良い面構えだ。瀬麗武を頼むぞ」
親父さんが俺の肩をガッシリと掴む。痛いけど、認められて嬉しかった。
その時、戦艦が揺れるほどの歓声が鳴り響いた。
「おめでとーお嬢様!」「あれが瀬麗武様の男か……くそ! 俺の方が……」
「あきらめろ、大佐も認めてるんだ。お前に勝ち目は無い」「二人の門出を祝って祝砲だ! 撃てーぃ!」
そんな声があちこちからする。どうやら隠れて見ていた兵士が騒いでいるらしい。
「ええい! 静まれぃ!!」
大将の一喝で見事に静まる。親父さんが腕を上げると、ゾロゾロと人が現れた。
そしてまるで映画のワンシーンのように整列する。
「対馬レオに敬礼!!」
号令に合わせて一斉に敬礼。あっけに取られる俺。
「ど、どうしたら良いのかな?」
隣の瀬麗武に振ってみる。
「どうもこうも無い。胸を張れレオ。父様も認めたんだ。恥じることは無い」
そう言われても戸惑うものは戸惑う。ん? あれ?
「泣いてます?」
「泣いてなーい!! この松笠の古狼、橘幾蔵は泣いてないぞー!!」
俺より余程大きな声で泣き叫んでいる(ようにしか見えない)親父さん。
「うぐおぉぉぉ!! 瀬麗武ぅぅ!! 幸せになるんだぞぉぉぉぉ!!!!」
「大げさ過ぎる、父様は……」
溜め息を漏らす瀬麗武。もしいつか瀬麗武と結婚でもしたらえらいことになるんだろうな……。
「こんな父様が付いてくるが、これからもよろしくな、レオ」
「竜鳴館のおかげで、超人も過保護も慣れっこだよ。瀬麗武の全てを受け止める。
だから、こっちこそよろしく」
瀬麗武と握手。微笑む瀬麗武。そう、俺はこの笑顔を守りたい。
その為だったら、きっと強くなれる。お互いに、どこまでも。


END

103:名無しさん@ピンキー
08/05/05 19:12:43 Jf5FM+cU
>>102
擦れ違い

104:名無しさん@ピンキー
08/05/05 19:35:49 ccs2M++8
>>102
いったいどうやったらスレを間違えるんだ・・・・・・


105:名無しさん@ピンキー
08/05/05 21:29:59 Izov8zna
>>102
つよきすかよw
しかも二学期wwww

106:名無しさん@ピンキー
08/05/06 20:17:42 goOr2W2W
>>101
ヒント:首吊りが趣味だった人

さて、醜悪祭の下を読んだのだが……
いろんな意味で騙された気がするぜ。
電波的な彼女の続刊は絶望的なのかな……?

107:名無しさん@ピンキー
08/05/07 22:24:39 kH+jv6kI
アニメの紫はかわいいよな 

108:名無しさん@ピンキー
08/05/08 00:46:46 zzyMcMyR
顔がなんかアレだ。

109:@
08/05/08 20:39:14 e76Y868J
最近、投下されてないよな・・・・

110:名無しさん@ピンキー
08/05/09 00:24:04 NSsSyhH0
アニメ化したのにな…
まぁ俺は書けないからただ職人さんを待つだけだ!

111:名無しさん@ピンキー
08/05/10 02:50:08 8JQQwYgb
しかしアニメと原作じゃキャラがまったく違うな…


112:名無しさん@ピンキー
08/05/10 07:03:10 M2+EsXP6
アニメはアニメでいい出来だと思うぞ?
オリジナルストーリーも結構良いできだし、脚本自体は結構好きだな俺は。
それに下手に山本さんの絵に似せなかったのは、むしろよかったと思うが。

113:名無しさん@ピンキー
08/05/10 16:41:27 84wj21rS
まあでもこのスレでアニメ版のSSが書かれたらなんか微妙だw

114:名無しさん@ピンキー
08/05/12 18:45:56 5ddHF96S
まあ、アレだ。とりあえず電波の続きを出せ。な?

115:名無しさん@ピンキー
08/05/12 20:37:50 Zh6tHbKN
…電波、パソコンと一緒にクラッシュしただろうし…
紅が最近薄いし…アニメ化とかで忙しいんだよ。きっと

今月末に紅ファンブックが出るんじゃなかったけ?

116:名無しさん@ピンキー
08/05/12 20:41:40 1ToBJOit
マーガレットと伯爵のエロパロたのむw

117:名無しさん@ピンキー
08/05/13 18:58:33 sxpbnoXQ
いくらなんでも斬新過ぎるだろw

118:@
08/05/13 21:32:27 sasAj0Ux
俺は真紅郎×銀子を希望だな  紅のエロパロが薄い・・・

119:名無しさん@ピンキー
08/05/13 23:12:07 vknOqU1P
それでは…というわけでもないが、五月雨荘のとある爛れた一夜。
エロ無ししか投下してこなかった罪滅ぼしに、一応エロ…のつもりだが、
文体が古臭くて装飾過剰だから、いまいち実用性はないかも。


120:嵐之夜之夢 壱
08/05/13 23:13:44 vknOqU1P
 
「真九郎くんっ。ご飯、まだかなー?」
 荒れ模様の空で風が音を立てて吹きすさぶ夕暮れどき、ノックもせず遠慮なしに5号室の扉を開けた環を、沈黙が迎えた。
「いない…わけじゃないのか」
 そのとおりだった。電灯もついていない部屋の中に、何かがくろぐろと丸く蹲っている。
「どったの? 具合でも悪いのかな?」
「た…」
 軋るような声に、環は、踏み出しかけた足を止めた。かすかに、その目が眇められる。
「…環…さん…あっち…へ…」
 それは、真九郎の声であり、そうではなかった。単に嗄れて苦しげという以上に、必死に抑えようとして能わない何かが声のあちこちに滲み出ていて、決定的にいつもの少年と違っていた。
「お願い…です」
 その声を追いかけるようにして、颶風が環を襲った。その無防備な上体を薙ぎ払い、旋回して再び部屋の中に蹲る。
「ふーん」
 風の切れ端が舞い散る中、だが環は、何もなかったかのように入り口に立っていた。ただ、その頬に不敵な笑みが刻まれ、全身の力がだらりと抜けているのが、さきほどと異なっている。
「これはこれは」
 面白そうに呟いた環に向かって、ごう、と何かが鳴いた。五月雨荘の安普請が、室内に溜まった空気ごと、圧倒的な迫力をもって震える。常人ならば即座に気死しそうなプレッシャーの中、身を起こしたそれに向かって、環はごくさり気ない口調で云った。
「ここは不戦の地、なんて云っても、ムダかー」
「か…あ」
 それは、真九郎だった。姿かたちだけは。
 だが、その狂気にぎらつき血走った双眸、炎のような息をせわしなく吐きながら歯を剥き出した口、そして何よりも、肘から大きく突き出して狂ったような光彩を放っている角を見て、誰がいつもの穏やかな少年を思い起こすだろう。
 それを見ながら、環はいつものように笑った。
「いいよ。おいで」
 真九郎の影が、伸びた。あまりに迅い跳躍が、そのように見せたのだった。環は臆する様子も見せず、自然な足取りでその懐へ入っていく。
 ぱん、と乾いた音のあと、環の体が軽く吹っ飛び、部屋の奥へ転がった。真九郎の姿をしたものが戸口の近くに鬱蒼と佇み、そちらを見やるなり、がくりと膝と両手を床につく。
「あたー…」
 環が、後頭部に手をやりながら、むくりと起きあがった。真九郎を見ながら苦笑して、
「一応、殺るつもりだったんだけどなー。あたしも、やきが回ったかな」
 その声に、真九郎が顔を上げる。その眼は、紛うことなく闘志と殺意に燃えていた。
「まだ、かー。さすがに甘くないね。崩月か」
 ゆっくりと立ち上がった環は、しかし左腕をだらりと下げている。にも関わらず、その声は歓喜に躍るようだった。
「ほんとは、こんなんじゃなしにマジでやってみたかったけど。ま、いっか」
 片腕の利かない状態でどのような勝算があるというのか、隙だらけとさえ言える自然体からは闘気のかけらも感じられなかったが、その炯々とした瞳は怖れげもなく真九郎の姿を映していた。それに対し、真九郎も全身のばねをたわめ、まさに襲いかかろうとしたとき、
「騒がしいな」
 背後からかけられた穏やかな声を、間髪を入れず跳ね上がった真九郎の後ろ足が、容赦なく下から上へ縦に刈り取った。だが、身を翻した真九郎の真横から続けて、
「問答無用とは、余裕のないことだ」
 少しも動じない口調に何を感じとったか、真九郎は少し飛び退って距離を取る。少しの間、そのまま凝然と動かなかったが、やがて操り糸でも切れたかのように、床の上にくずおれた。
 微かに手足があがき、唸り声があがるところを見ると、意識までは失っていないと見えるが、もはや身体の自由は利かないようだった。そこで初めて、真九郎を沈めた影が人の形を取る。全身黒ずくめの衣装のせいか、闇にその美貌だけが浮かぶようにすら見えた。
「闇絵さん」
 その人物に向かって環が声をかける。闇絵が何をしたのか、環にも見当すらつかなかったが、それでも不満げに云った。
「人の、取らないでくださいよ」
「ああ。済まない」
 真九郎を無表情に見下ろす闇絵の隣に、環も並ぶ。外れた左肩を、軽い音と共にこともなげにはめ、痛ましげな視線を真九郎に投げかけながら、
「これって」
「さあね」
 闇絵の素っ気ない答えの言葉尻を、窓を叩く激しい雨音がかき消した。

121:嵐之夜之夢 弐
08/05/13 23:15:11 vknOqU1P
 
 それも、だが、戸外を荒れ狂う風の一瞬の気まぐれにすぎなかったらしい。少し低くなった風雨の響きを背景に、お互いの表情もやや分かりにくくなった薄闇の中で、環は言葉を継いだ。
「闇絵さんでも、分かりませんか」
「裏十三家の秘儀など、わたしが知るはずもなかろう。だが、似たようなものは見たことがある。強すぎるクンダリーニを統御できねば、こうなる」
「はあ」
 不得要領げな環に向かって、闇絵はわずかに笑みをひらめかせた。
「いわば、角に愛されすぎたのさ。よほど適っていたとみえる。だが、このままでは角に弄ばれた挙げ句、周りか自分自身か、でなければ両方を破壊し尽くして終わりだな」
「そりゃ、大変だ」
 環は屈み込み、真九郎の頭を軽く撫でながら、さり気なく訊いた。
「どうします? 夕乃ちゃんとこに」
「このまま長くは保たないよ。そのうち、身体の自由を取り戻す。それに、少年もあちらにはこのことを知られたくないのではないかな」
「じゃあ?」
「本人に害をなすことなく、クンダリーニを抜く術は、わたしも一つしか知らん。その上でうまく手綱を取り直せるかどうかも、少年次第だな」
「あー…」
 環は闇絵を見やり、ぽりぽりと頭を掻いた。闇絵はタバコを取り出して火を点けると、自分でくわえるのではなく、灰皿の上に置き、真九郎の脇に押しやった。
「夕食の義理くらいは、ここで返しておいても悪くはあるまい。無理に付き合えとは言わんよ」
「いやー、そうじゃなくってですね。ここで初物をいただいちゃうと、いろんなとこから恨まれそうかなあ、って」
「ほう」
 闇絵の呟きをどう取ったのか、環は立ち上がった。妙に真剣な声で、
「公平にじゃんけんでもしますか」
「わたしが先になっても構わないのかな」
「あー」
 闇絵の冷静な切り返しに、環の視線が、少しだけ泳ぐ。
「すいません…それはちょっと、ガマンして待ってられないかも」
「では、そういうことだな」
「すんませんね」
「気にするな。正直なのは好きだよ」
 そう云うと、闇絵は数歩退り、暗がりの中に溶け込んでしまった。そこに居ることを知っている環にすら、気配を掴みにくくなる。その空虚に向かって、環は明るく云った。
「あたしで済まなかったら、後はよろしくお願いしますよ」
「承知した」
 感情のこもらなさすぎる声にやや苦笑しながら、環は真九郎の傍らに膝をついた。その肩に手をかけ、上体を仰向かせる。闇絵のいかなる技によるものか、さしたる抵抗もなく真九郎は床の上に横たわった。
「あ…」
 かすかな声がして、そこに正気の徴候を嗅ぎ取った環の頬を少し緩ませる。
「真九郎くん?」
「た…環、さん…俺…」
「ああ、いいのいいの。分かってるから」
「逃げて…俺…だめ、です…今のうちなら…でも、すぐに…」
「んー、そうだねえ」
 せっぱ詰まった真九郎の言葉に適当にあいづちを打ちながら、手早く真九郎の衣服を脱がせてゆく。それを感じ取った真九郎が、訝しげな声を出した。
「環さん…?」
「真九郎くんとは、もっとこう、ろまんちっくにいきたかったんだけどねっ。まあ、これはこれで」
 真九郎のベルトを外し、チャックを下ろしたところで、さすがに真九郎も環の意図を悟ったらしく、懸命に体を起こそうとするのが感じられた。
「たっ…」
「ま、なんちゅーか、手当みたいなもんだからさ。あまり気にしないでよ。犬にでも噛まれたと思ってさ、って、これは立場が逆か」
「な、何を…」
 真九郎の抗議にも構わず、環はズボンとトランクスを一気に引き下ろした。と同時に跳ね上がり、闇の中ですら存在感を周囲に誇示したものに、思わず息を呑む。
「わ…」

122:嵐之夜之夢 参ノ前
08/05/13 23:19:07 vknOqU1P
 
 風雨の音がひときわ強まり、一瞬だけ雷が閃いて、室内を照らした。その刹那、真九郎のそそり立つ剛直の姿が、環の眼にも焼き付く。
「これは…すごいわー」
 素直に感嘆の声が出る。環が見慣れている洋物でも、これほどの逸物にはお目にかかったことがなかった。おそらくは、角の力が零れ出てしまっているせいもあるだろうが。
「くく。楽しみー」
 思わず下品な笑いを漏らしてしまいながら、再び暗くなった中で、環は真九郎に手を這わせた。その微かなタッチだけで、いっそうそれは鋭さを増した。
「くっ…、た、環さん…それ…」
 呻く真九郎を、環はしごく優しい口調でたしなめる。
「真九郎くん。こっからは、言葉なんていらないの。おねーさんに、任せなさいって」
 そのまま身を乗り出し、真九郎の分身を完全に掌中におさめた。それだけで我知らず呼吸が上がってしまっていることにふと気づき、と同時に、闇の中に漂う甘ったるい香りがにわかに鼻腔にまとわりつくのが感じられた。少しだけ背後へ視線を飛ばし、にやりと笑う。
(芸の細かいことで)
 闇絵の仕込んでいったタバコの煙のせいらしい。道理で先程から妙に体が熱っぽいと思った、と口の中で呟きつつ、さしあたり有り難い気遣いと思うことにして、手中のものに再度意識を集中する。先端に指を滑らせると、すでに汁が溢れ出ていた。
「うっ…」
 真九郎が呻き、体を少し捩らせる。環も、耐えきれずに熱い吐息を漏らした。まずは一回済ませて落ち着いた方がよかろうと、掌で容赦なく真九郎をしごき上げる。
「くっ、う、ぐ…」
 真九郎は、ひとたまりもなく、盛大に射精した。その白い迸りは闇の中でも目に鮮やかで、真九郎の下半身のみならず、環の手や腕、そして額にも飛沫を飛び散らせた。
「ああ…」
 闇絵のタバコの香りに、今や濃密な雄の匂いが混じり、環の脳髄をじわじわと犯していく。環は熱に浮かされたように、手の動きを続けた。
「う、わ…く、た、たま…」
 真九郎の腰が小さく跳ね、環に翻弄されるがままに、二度、三度と精を放つ。それでも、真九郎は硬さを失わずに屹立し続け、それどころか一層膨脹するかのようだった。その感触が環の手から背筋を伝わり、腰の奥にじわりと熱と湿り気を帯びさせる。
「は、すご…」
 自ら唇が火傷するのではないかと思えるほどの熱気を帯びた囁きを抑えることもできず、環はそっと真九郎のそれに顔を寄せた。皮が剥けて露わになったカリのあたりに、口づける。
「くうっ…」
 真九郎が背中をのけ反らせるのに押されるようにして、環は真九郎を口に含んだ。その全てを味わうことなど到底不可能だったが、出来る限り深くまで頬張り、舌の全体を使って撫で回す。同時に、竿に添えた右手の指で、その下の袋を優しく揉み上げる。

123:嵐之夜之夢 参ノ後
08/05/13 23:20:23 vknOqU1P
 
「うおっ」
 真九郎はその刺激だけで、小さく精を漏らした。予期していた環は、ためらわずにそれを嚥下する。喉のあたりが焼け、どんな芳酒でも得られないような酩酊感が、環を襲った。
「ふ…」
 思わず、左手を自らの股間に忍ばせる。そこはすでに、たっぷりと潤っていた。真九郎の剛直に沿って頭を上下させながら、環は無我夢中で自身の秘所の上で指を踊らせた。
「あ、くう…」
 真九郎の腰が強張る。そろそろ限界が近いことを悟り、環はさらに口と舌の動きを加速させた。焦らせてやりたいと思う気持ちもないではなかったが、今回の趣旨とは違うということで思い切る。まあ、それは次回の楽しみに取っておこう。次回があればだが。
 環が敏感な鈴口やカリを舌で激しくなぶり、いきり立った根元を指で揉みほぐすうちに、真九郎の深いところから大きな塊がせり上がってくるのが分かった。とどめとばかりに、思いっきり吸い上げてやりながら、環は少し顔を引き、次に来るものに備えた。
「…っ、く」
 真九郎の腰が大きく持ち上がった。一瞬遅れて、その先端から大量に吐き出されたものが、環の口腔を満たす。
(う、わ)
 その量は、環の予想を超えた。あまりに急に注ぎ込まれたものだから、飲み下すことすら叶わない。幾度にもわたって圧力が加えられ、呼吸すらままならない状態で、それでも環は真九郎の一物を繰り返ししごき上げ続けた。
 何分そんなことが続いたのか、ようやく奔流がおさまったところで、環は顔を上げ、口の中に溜まったものを喉へと流し込んだ。それでも、溢れたものが唇の横から顎へと伝い落ちる。全身が、かっと熱くなった。腰が勝手に動き、環はたまらず背を丸めてのたうつ。
「ん、く、は…ああっ…」
 数瞬だけ頭が真っ白になり、我に返ってから、軽く絶頂に達したことに気付く。それもそのはず、真九郎から放たれたものは単なる精ではなく、生命力そのものだった。今し方飲んだものに体の裡から灼かれるようで、あまりのやるせなさに気が変になりそうだった。
「ふ、は…」
 荒い息をつきながら、体をせり上げ、真九郎の顔を覗き込む。
「し、しん、くろう、くん…?」
 真九郎は朦朧とした目で環を見返す。だが、その白目はまだ真っ赤に染まり、環が目を転じた先でも、肘の角は輝きと大きさを減じておらず、環の下腹部を突き上げる穂先も鋭さを一切失ってはいなかった。
「…そうだよねえ。そうこなくちゃ」
 環は目を細め、いとも楽しそうに云いながら、自らのジャージの上着に手をかける。だが、その強気なセリフのすぐ下から、
「あたし、もつかなー」
 珍しく漏れた弱音は、叩きつける風雨の音に紛れて、どこかへ吸い込まれていった。

124:嵐之夜之夢 肆ノ前後
08/05/13 23:21:59 vknOqU1P
 
 環が一切を脱ぎ捨てる衣擦れの音は、五月雨荘全体を叩く雨と風の中、誰の耳にも届かなかった。静寂すら感じながら、環は裸身を真九郎に沿わせる。闇の中で、我ながら自慢のスタイルを隅々まで見てもらえないのが、有り難いような残念なような、妙な気分だった。
 格闘家らしく余分な脂肪のかけらもなく引き締まっている癖に、女性らしい曲線と柔らかさに満ちた環の肢体が、真九郎の堅固な肉体の上で弾む。すでに固く盛り上がった乳房の上で鋭く尖った先端が、真九郎の胸板の上をかすめただけで、環は眉をひそめた。
「ん…は、…っ」
「た…環、さん…」
 真九郎も意識が少しはっきりしてきたのか、少し頭をもたげて環を見た。環は、そちらを上目遣いに見やりながら、
「大丈夫だから、任せなさいって…んっ、は」
「だ、だめ…で…すよ…こ…んな…こと、環、さん…が、しちゃ、あ…」
 真九郎の声はあまりに苦く、それが環の胸をなおさら熱くした。こんな時にまで、こっちのことを気遣うのだ。この頼りない男の子は。環は、頬を真九郎の胸に擦りつける。
「いーのいーのっ。あたしが、したいんだから」
「で、でも…」
「きかないよー」
 一度だけ真九郎の鳩尾に口づけると、環は真九郎の分身に手を添え、すでに準備の整いきった自らの入り口にあてがった。そのまま体を起こしざま、一気に呑み込む。
「う、は、あっ…」
 喘ぎというよりは、押し入ってきたものに、体中の空気が押し出された感じだった。あまりの充実感に、気が遠くなりかける。いきなり一番奥深いところまで貫かれて、身動きすらままならない。環は真九郎の胸板に両手をついて項垂れ、しばらくじっと耐えた。
「た…」
 言いかけた真九郎の唇のあたりに指を当てて黙らせると、深く息を吐いた環は、ゆっくりと腰を揺すり始めた。
「う、んっ…は、ふ…ん…くっ」
 歯を食いしばっても、否応なく嬌声が漏れる。環の中の柔襞の全てが限界まで押し広げられ、その敏感な箇所があますところなく真九郎の前にさらけ出され、抉られ、こすられるようだった。
「は、く、ふ、は…う、ん、んんっ…ん…は…あ、あ、う、や…や、あ…あ…あ、ん、んあ、く、あ、は、は…は、く、…は」
 一旦動き始めると、止めることなどできなかった。環は殆ど我を失うようにして、一気に頂上目指して駆け上がった。
「…く…う、…っ」
 しなやかな腰が、中におさめたものを絞り込むようにしてがくがくと前後する。その締め付けの中で、
「う、くぅっ…」
 真九郎も何度目かの射精をした。それに吹き上げられるようにして、環の桃色に染まった裸体が軽く反り返り、跳ねる。

125:嵐之夜之夢 肆ノ後
08/05/13 23:23:22 vknOqU1P
 
「は、あ、はあうっ…」
 何秒かの硬直ののち、環は真九郎の上に崩れ落ちた。呼吸すら思うに任せなかったが、それでも、己を貫くものに持ち上げられるようにして、何とかのろのろと体を起こす。
「ふ、ふっ、は、は…は、ふ…は、あ、く」
 何とか息を整えようとした環が唇をかみしめたのは、一旦放出して衰えかけたかと思えた真九郎が、環の中ですぐに硬さを取り戻し、その一番奥に再び届いたからだった。真九郎にというよりも、際限なく反応してしまいそうな己に恐れをなし、環は軽く腰を浮かせる。
「く、は…は…ふ、あ…は…はん、ん、は」
 にも関わらず、環の蜜壺は、その意志に関係なく緩やかな収縮を繰り返しつつお互いの粘膜を絡み合わせ、真九郎と環自身をやんわりと追い込んでいく。
「た…たまき…」
「ん、く」
 真九郎の感極まったような声をきっかけに、環は思い切って腰を落とした。こうなれば、行けるところまで行くしかなさそうだった。上体を反らせ、背後に回した手を真九郎の腿の上につき、一切をなげうって腰をくねらせる。
「く、ん、あ、く、あ、あ、ん、んっ、あ、は、あ、はあ、は、あう、は、ん…は…お、ん、あ…あ…く…く、う…は、く…うぅっ…っ…っ」
 全身の快楽神経を直接荒々しく爪弾かれているような気さえしながら、環は再び果てた。真九郎の上で、腰がしゃくるようにして二、三度痙攣し、腕が力を失って後ろへ倒れ込みかけたが、
「は、あんっ」
 その自らの動きで敏感な箇所を抉られ、跳ね戻るようにして真九郎の上に俯せに倒れ込もうとする。その腰を、真九郎の手が両側から掴んだ。
「え、あ…?」
 環が潤んだ目をぼんやりと瞠いたのも束の間、逃れようもなく固定された腰が、下から突き上げられた。
「あ、や、や、それ、だめ、だめだめっ、そ、そんなっ、いや、だめえっ」
 平素の闊達さの影すら失せて、ただの女と化して甲高い悲鳴をほとばしらせる環に、しかし真九郎は一切の斟酌をせず、その最深奥を激しく犯し始めた。環は、最初それでも、上半身をくねらせて逃げようとしたが、ほどなく圧倒的な連撃の前に屈する。
「だめ、だめ、や、し、しん、くろう、くんっ、だめ、だめ、イく、だめ、イく、ん、はっ…ん…は、あ、あ、ふ、あ、だめ、や、あ、また、あ、だめ、だめだめだめだめだめええっ…ん、ふ、あ…ゆ、ゆるし、も、だめ、あた、あたし、あ、イ、く…う、う…う…うぅっ」
 真九郎の上につっぷし、繰り返し高みに押し上げられて休むことも許されず、環は忘我の境地にいた。自分がどんな淫らな様をさらし、どんなあられもない声を上げているかすら、分からない。
 実際、あるところから、環は嬌声すら上げられず、ただきつく眉を寄せ瞼を閉じ口を丸く開いて、いつまでも続く衝撃と閃光の中にいた。そんな環の尻を、真九郎の腰がひときわ高く押し上げる。
「う…おおッ」
 獣のような唸り声とともに、止めのように何回かのストロークが環に叩き込まれ、ありったけの精を注ぎ込む。環は、真九郎の胸の上でその全てをなす術もなく受け止め、真っ赤に染まった胸から首にかけて筋が立つほどに強張らせると、全身を小刻みに痙攣させた。
 そして意識まで失ったか、やがて完全に脱力して、真九郎の上から滑り落ちた。

126:嵐之夜之夢 伍
08/05/13 23:24:41 vknOqU1P
 
「う…」
 真九郎が、体を起こす。筋肉の一本一本が軋む音が聞こえそうなほどにぎこちない動きだったが、闇絵の技の効力が薄れたのか、身動きもできないというほどではないようだった。そして環との最後の媾いで多少は正気も戻ったのか、ぐったりした環を覗き込む。
「お、俺…な…にを…た…たま…き…さん」
 おずおずと、環の剥き出しの肩に手を掛け、それが緩やかに上下していることに安堵したのか、肩の力を抜く。何かを堪えるように、きつく目を閉じ口を食いしばったが、その歯の間からは、いまだに炎のような吐息が漏れ続けていた。そのまま凝然とする姿に、
「環も、思ったよりは保ったな。大したものだ」
 闇の中から穏やかな声がかけられ、顔を上げた真九郎の前に、青白い裸身が立っていた。
 美しさよりは、まず妖しさを感じさせる光景だった。しみ一つなく滑らかに磨き上げられた肌は、けれど、近寄るもの全てを吸い着かせ溶かしてしまいそうだった。非の打ち所無く均整の取れた肢体は、しかし、触れればやわやわとどうにでも形を変じそうだった。
 さらに奇異なことに、風雨に荒れる窓外の暗黒に支配された室内で、闇絵の体は、それ自身が夜光虫のごとく光を発しでもするのか、しらじらとほの明るくさえ見えた。
 真九郎は、目を離せない。それは、見る者触れる者全てを虜にし狂わせる、魔性の躯だった。
 それなのに、その紅唇から放たれる言葉は、実に無表情で素っ気ない。
「だが、まだ半ばだな。手間のかかることだ」
「や…やみ、え…さん…?」
 唸るような真九郎に、しかし闇絵は怖れる様子もなく、ゆっくりと歩み寄った。その前に跪くと、身を屈め、真九郎の股間で直立するものに白く細い指をあてがう。
「う、くうっ…」
 そこにどんな技巧がこめられていたのか、真九郎はそれだけで、大量に放った。飛び散ったものが、闇絵の顎から喉、胸をしとどに汚す。だが、闇絵の笑みは冷静そのものだった。
「ふ。まだまだか」
 ため息のような呟きと共に、その指が微細にうごめく。その一撫で一さすりの度に、真九郎は腰を震わせ、精気を吐き出し続けた。すでに室内の空気を染め上げていた雄の匂いが、肌触りすら感じさせるほどに濃度を高めてゆく。
 その静かで激しい行為がどれだけ続いたろうか。いつまでも硬度を失わず、無尽蔵とも思える精汁を湧き出させ続ける真九郎を前に、闇絵はふと手を止めた。
 上目遣いに、真九郎の顔を覗き込む。艶やかな黒髪や餅のような柔肌の至るところに真九郎の放ったものをこびりつかせながら細めた瞳の縁が、やや紅に染まっていた。
「埒があかんな。とんでもないものを埋め込んだものだ。埋め込まれた方も、これほどとは。やはり、虎穴に入らざるをえんか」
 苦笑するかのように云う、その息も僅かに熱を帯びていた。そっと膝を進め、真九郎の胸板に伸ばした繊手は、しかしながら途中で押しとどめられる。
「闇…絵、さん」
 真九郎は、微笑っていた。唇の端や頬の微かなひきつりや、肩の小刻みな震えが、そうして微笑むだけのことにいかほどの努力が払われているかを如実に語っていたが、それでも、真九郎は微笑って、云った。
「もう…いい…です。俺…これ以上は…自分で、何とか…闇絵さん、が、こんなこと、だめ…です…こんな…」
「ふん」
 闇絵の軽くあしらうような声は、しかし、その語尾にあえかな優しさを滲ませていた。
「そうはいかないな。だが、わたしが相手では、なかなか素直にその気にはならないか。やむをえん」
「…は…?」
 訝しげな真九郎の顔を、闇絵は両手で挟み込み、引き寄せる。
「少年。君が何を見るのかは知らないが。先に謝っておくよ」
 真九郎がその言葉の意味を理解するいとまもなく、闇絵の黒い瞳がどこまでも深く昏い淵と化し、真九郎の意識を呑み込んだ。

127:嵐之夜之夢 陸ノ前
08/05/13 23:27:52 vknOqU1P
 
「真九郎さん」
 普段は清楚な美貌が、恥じらいと期待に彩られて紅潮するさまは、蠱惑的とさえ言えた。緑なす長い黒髪の上に横たわる、美しく張りつめた若々しい裸身が、真九郎を誘うようにうねる。
「さあ。わたし、ずっと待ってたんですよ? …本当に、長いあいだ。ひどい、ひと」
 怨ずるように云うひとを、真九郎は知っていた。姉のように教師のように、いつも優しく厳しく、己を教え導き支えてくれる存在。いつもその姿が傍らにあって叱咤し見守ってくれていたからこそ、この荒涼とした世界で生きる意志を保ち続けることができたのだった。
 だから、いつも、真九郎の心の中でも最も神聖な場所に、そのひとは居る。そのひとのことを思い浮かべるだけで、真摯な願いと痛みが、胸を満たす。そのひとに相応しくなりたいという想いと、そのひとに相応しくなどなり得ないという畏れが、せめぎ合う。
 だが…今、そのひとは、真九郎の腕の中にいた。真九郎を抱き寄せ、軽い口づけを繰り返し浴びせ、耳元に秘めやかに囁いてきた。
「好き。…です」
 あまりのいじらしさと愛らしさに、自分を抑えることなどできなかった。その豊かな胸に唇を寄せ、既に充血しきって勃起した桜色の突端を口に含んだ。
「あ、は…は、く、あ」
 途端にそのひとは鋭敏に反応し、背中が跳ねる。真九郎が唇と舌と歯で乳首への愛撫を続け、柔らかく弾む双丘を根元から揉みしだくと、そのひとはのけ反ったまま、上体を左右にのたうたせた。
「や、はっ…あ、しん、くろう、さあ…んっ、く、は、や、やあ、は、あ、あんっ」
 真九郎に組み敷かれながらも、しきりにくねる腰が、真九郎の理性を失わせる。乳房への玩弄を続けながら、そのひとのすらりとした脚を持ち上げて押し開くなり、真九郎は容赦なくその中へ己を突き入れた。とてつもなく熱くて滑らかだった。
「は、や…や、あ…い、いっ…っ」
 それだけで、そのひとは達したらしい。きれいにアーチを描く背中が硬直し、うねるような締め付けが真九郎を襲った。真九郎も耐えきれず、射精する。その勢いに押されるかのように、そのひとは白い裸体を何度も痙攣させ、やがてくずおれた。
「…ふっ、ふっ、は…あ…あ」
 荒い呼吸の下で、苦悶するかのように眉を寄せ目を閉じた上品な容貌とは裏腹に、そのひとの秘所は、すぐに復活した真九郎に完全に呼応して、やんわりと真九郎を包み込んでくる。
 その感覚に全身を引き込まれそうになりながら、真九郎はそのひとの滑らかな頬を撫でた。そのひとも、薄く瞳を開き、真九郎の掌に顔をすりつけるようにして、微笑う。

128:嵐之夜之夢 陸ノ後
08/05/13 23:29:09 vknOqU1P
 
「真九郎さん。…うれしい」
 姉とも女神とも慕うそのひとが、自分などに身を委ねて悦楽に酔う様に、圧倒的な歓喜に、いくばくかの畏怖と不信、そしてかすかな背徳感と嗜虐心がないまぜになって、眩暈さえ誘う。うつつのこととは思えず茫然とする真九郎に、そのひとは窘めるように云った。
「ね。…もっと。お願いです」
 その言葉に、真九郎の悟性はあえなく溶けた。そのひとの最も深いところに到達することだけを目指し、真九郎は、その引き締まっていながらも生命そのものを感じさせる柔腰を持ち上げ、脚を大の字に開かせると、上から一気に貫き通した。
「は…あああっ、ん、ああっ」
 真九郎に上からのしかかられてのけ反ることもできず、そのひとはようやっと僅かに顎を跳ね上げると、透き通るようでいながら、この上なく艶っぽい叫びを上げた。深奥まで己自身を埋めきった瞬間に暴発しそうになった真九郎がしばらく動きを止めると、
「ふ…ふ、あ、あ…っ、く、は…あ」
 そのひとは清らかな柳眉をかすかに震わせながら、形良く整った唇を噛みしめ、それでもなお堪えきれない様子で、切なげな吐息を漏らす。
「あっ、は、は…あ、し…しんくろう、さ、あん…ふ、はう、く、あ、は…や…や、やあ…も…もう、わ、たし…いっ…お、おねが、い…ですうっ、ん、んくうっ、ふ」
 真九郎の先端に自らの胎内をこすりつけるように、そのひとの腰がうねる。真九郎は、その動きから逃れるようにして、そろそろと一旦半ばまで引き抜いたが、そこで一息つくやいなや、あらためて強引に突き入れた。
「ふ…あ、あ…っ、い、あ…っ…っ」
 その瞬間、そのひとは甲高い悲鳴を発した後に声を失い、口を大きく開け、全身を硬直させる。だが今度の真九郎はそこで止まらず、容赦なく激しい上下動を開始した。それに合わせて、そのひとも、身をもがきよじりながら、絶え間なく妙なる音色を響かせ始める。
「あ、や、いや、そこ、そこ、いや、だめ、しん、くろう、さん、だめ、いや、あ、く、は、だめ、あた、あたる、あたる、わたし、だめ、あたる、いや、わたし、いや、いや、だめ、あ、もう、だめ、あ…は…く、は、いや、は…っ…あ…っ…お、は…あ、あ…」
 首を左右に打ち振り、手が空を押しやり掴もうとし、前胸部を鮮やかに紅潮させながら、真九郎に翻弄されるがままに、腰が何度もくねり、締め付ける。やがて一切の抵抗を失い痙攣するだけになった奥底に、堪えていたものを全て放ち終わると、真九郎はのめり倒れた。

129:嵐之夜之夢 漆ノ前
08/05/13 23:30:37 vknOqU1P
 
「…バカ」
 そっと放たれた囁きが、真九郎の耳朶を打った。顔を上げた真九郎を、普段と違って眼鏡を外し、物柔らかな表情をした少女が覗き込む。やっぱりいつ見ても美人だな、と素直に感嘆する真九郎の眼差しをどう受け取ったのか、
「バカ」
 少女は生まれたままの姿で、もう一度、頬をあかあかと染めて呟くと、上体を起こして座り込んだ真九郎と正面から向かい合って、腰を下ろした。真九郎の首に両腕を回し、その太腿の上に自らの尻を落ち着かせる。潤んだ双眸で、真九郎と視線を絡み合わせ、
「全くあんたは…あたしのことなんか、どうだっていいんでしょ。いつだって、そう」
 そんなことはない、と云いたかった。幼いころから、共に人生を歩んできた。真九郎にとって、少女はいつだって、二無き親友で同志で共謀者で協力者で理解者で、何者にも替え難いパートナーだった。
 正直なところ、少女がなぜこんな自分などの側にいてくれるのか、真九郎には良く分からない。だから、少女の存在は、いつ失われるともしれない奇蹟のようなものだったし、少女がいつ自分の許を去ってもいいように、心の準備だけはしているつもりだった。
 それでも、実際にその日が訪れれば、真九郎の心にはぽっかりと大きな穴があくに違いない。それほどに、少女は真九郎にとって、ごくごく当たり前で、そのくせ、あり得ないくらいに稀有で大事な存在なのだった。
 それを、どうだっていいなどと。思うはずがない。天地がひっくり返っても。
 その想いをうまく言葉にできないまま、少女の肉の薄い背中に腕を回して引き寄せる。それだけで、待ちかねたかのように少女は軽く目を閉じ、熱い吐息を漏らした。
「ん、もう…バカ」
 思い切り、唇を重ねてくる。何かをもぎ取ろうとするような、激しいキスだった。同時に、スレンダーな裸体の全てを真九郎に添わせようとするかのように、ぴったりと体をすり合わせてくる。真九郎の胸板の上で、固く屹立した突起を自ら押しつけ、こね回した。
「ん、は…あっ」
 少女の喘ぎが、直接、真九郎の口の中に吹き込まれ、そのかぐわしさに陶然となる。ほどなく、呼吸が苦しくなった二人は、いったん唇を離した。
「ふ…」
 少しきつめに見えなくもない切れ長の瞳が、この時ばかりは僅かに目尻を下げて細められると、少女の上気した容貌は、真九郎の目に神々しいまでに美しく映った。その細腰をかき寄せ、背を反らせ気味にすると、なだらかな膨らみの上に舌を這わせる。
「あ、やっ…だ、しん…くろお…」
 少女がやや躊躇いがちの声を上げる。引け目を感じることなど何もないのに、と真九郎は思う。こんなに綺麗で、柔らかくて、暖かくて、魅力的なのに。真九郎はそれを伝えたくて、優しく熱をこめて、唇で吸い舌でなぶり歯で甘噛みすることを繰り返す。

130:嵐之夜之夢 漆ノ後
08/05/13 23:31:51 vknOqU1P
 
「ん、やあっ、あ、はあ、は…や、やん、や、や、あ…はあ、あ…や、やだ、も、や…だ…あ…ん…あ…あ、く…ふ、は、ふ、うぅっ…ふ、や、あ、はう、はんっ、や、は、あっ」
 少女は背を丸めて愛撫から逃れようとしたが、真九郎が背中に回した腕のゆえに果たせないと悟ると、逆に首をのけ反らせ、与えられる悦楽の全てを受け入れて何度も背筋を震わせた。しばらくして漸く解放されると、ぐったりと上体を真九郎にもたせかける。
 肩の上に顔を横倒しにした少女の甘い息が首筋にかかる中で、真九郎は少女の腰を両手で持ち上げ、己のそそり立ったものの上にあてがうと、ゆっくりとだが容赦なく押し沈めた。
「や、は…あ、く…や、い、いっ…い」
 その細い体に、あまりに巨大なものを打ち込まれたせいか、少女は苦しげな表情になって背筋を強張らせた。それでも、一度呑み込んでしまうと、その滑らかに潤った内部は、真九郎を溶かしてしまおうとするかのごとく、収縮と蠕動をやめなかった。
 そのまま少しの間、二人は凝固したように動きを止める。そうするうちに少女は、体の中から何かに炙られてでもいるかのように全身を紅潮させつつ、蕩けきっていながらも真剣極まりない眼差しで、真九郎の眼を正面から見据えると、
「は…あ、う…し…ん…くろお、おうっ…あ…あい、し、てる、うっ…ふ、うっ、く…しん、くろ、お、あ…あたし…あ、い…してる、の…お、ふ、あっ…ねえ、しんくろ…しんくろ…う…っく、は」
 荒い息の下から切れ切れに、だが堪え切れぬ何かがあふれ出すようにせわしなく、熱くて優しい睦言を囁いた。
 その様子があまりに可憐すぎて、危うく我を失いそうになりながら、真九郎はゆっくりと律動を開始する。と同時に、少女は背骨が折れるのではないかと思うくらいに反り返り、悲鳴を迸らせた。
「あ、はう、あ、しん、くろう、あ、あ、いい、いい、イく、いい、イく、イっちゃう、あたし、もう、あ、あ…あ、は…く…あ、や、やだ、し、んくろ、あ、た、あた、しいぃっ…も、い、や…やあ…あ…は、は、ふ、も、や、あ、ま…た…あぁっ…あ…っ…」
 細い首に筋を浮かせながら、腰を真九郎に擦りつけるようにして何度もしゃくり上げる。真九郎が、少女の秘奥を確かめたいばかりに、その折れそうに細い腰をがっしりと掴まえて突き上げると、
「あ、やっ…やだっ…あ…あううっ、も、イ…イ…く…う、ううっ…っ」
 真九郎の腕の中で、少女は身も世もなくひときわ高い絶頂を迎え、やがて上体も腕も弛緩させて真九郎の腕に仰向けざまにもたれかかった。それでも動くことを止めない真九郎の上で、少女は、声も出ないまま高みから降りることも許されず、硬直と脱力を繰り返す。
 やがて真九郎は、最後に強烈な何撃かを少女の華奢な下半身に叩き込むと、脈打つものを、少女の蜜壺が導くままに、幾重もの波に乗せて流し込んだ。そして、それが尽きると、少女のか細い体を固く抱きしめながら、のけぞり倒れた。

131:嵐之夜之夢 捌ノ前
08/05/13 23:34:51 vknOqU1P
 
「真九郎」
 見知らぬ娘が、仰向けに横たわった真九郎を真上から覗き込んでいた。年の頃は真九郎と同じくらいだろうか。その容貌は、繊細に整った造形でありながら、内面に宿した毅い強靱な意志を存分に窺わせる。どこにいても衆目を独占するに違いない、稀有の美形だった。
 真九郎は瞬きした。目の前の相手を知らないのに知っている筈だ、という奇妙な感覚に囚われたまま、ひたすらに手がかりを求めて相手を凝視する。娘は、その視線を平然と受け止めながら、息遣いすら感じられそうな近くにまで顔を寄せてきた。
「わたしだ。真九郎」
 その一言だけで了解されるはずだという、無邪気な自信に満ちた声。その瞳に煌めく、誇り高くも真っ直ぐな魂と、真実と虚偽とを見晴るかす鋭い光。真九郎は、その全てを知っていた。これは、真九郎自身が、何があろうと守ると誓った相手だった。
「ああ」
 真九郎の顔に広がった理解の色を認めたのか、娘はいっそう艶やかに笑った。
「そうだ。わたしたちは、ひとつになる。焦がれたぞ」
 いつだって、そうだった。真九郎の絶望も孤独も怯えも、悔恨も逡巡も迷いも、この娘のあけっぴろげな好意と信頼の前では、陽光に照らされた残雪のごとく消え去ってしまうのだ。そして残るのは、あらゆる悪意や害毒から娘を守り抜くための、堅忍不抜の意志のみ。
 だが、真九郎の知る娘は、まだ稚い少女の筈だった。成長の暁には、いま目の当たりにする佳麗さを約束されてはいても、それはまだ何年も先のことだ。ならば、これは夢か。
 真九郎の遅疑など気に掛ける様子もなく、娘は真九郎の上に、眩しいほどに麗しい裸身を重ねる。紅潮した顔にとろけるような笑みを浮かべながら、すでにたっぷりと蜜に濡れて熱くうごめく襞の中へ、真九郎を自らの手でためらいもなく導き入れた。
「く、は…あ」
 眉をひそめ目を伏せ唇を噛んだのも束の間、娘は、至上の歓喜に満ちた笑顔を開く。
「ああ…これが…しんくろう、なのだ…な」
 云うなり、憚ることなく動き始めた。二人のつながりはごく自然で当たり前で、天地に恥じることなど何もないとでも云うかのように。
「しんくろう…しんくろう、しんくろう、しんくろう…しん、くろう…しん、く、ろうっ…し…ん…く、ろ…お…ぉっ…っ…」
 娘は、絶妙な線を描く顎をのけぞらせ、乳白色の喉首から豊かな胸をさらけだしながら、後ろへ突き出した腰と太腿全体で真九郎を挟み込み搾め上げるようにして、エクスタシーを迎えた。数瞬の硬直に続いて、その長い黒髪を流し落とすように真九郎の上へ崩れ込む。
「し…ん、くろう…」

132:嵐之夜之夢 捌ノ後
08/05/13 23:36:20 vknOqU1P
 
 息を整えるのもそこそこに、甘えるように真九郎の胸から首筋へと頭をこすりつけてくる娘に、真九郎は、それまで懸命に抑えようとしたものが勃然と興ってくるのを止められなかった。その命ずるがままに体を起こし、仰向けに横たわった娘の上にのしかかる。
「しんくろう…」
 娘は、両腕を差し伸ばして掌を真九郎の頬に当て、莞爾と笑った。これから蹂躙し尽くされるであろうことを知りながら、それでも娘が真九郎に寄せる信頼は、毫も揺るがないのだった。その純粋さの前に、真九郎は一瞬動きを止める。
(俺は…何を)
「さあ。ひとつになろう。しんくろう」
 しかし、娘の魅惑的な表情と誘うような腰の動きに、真九郎の肉体は勝手に呼応した。腰のみならず全身を叩き込むようにして、娘の内奥へと突き進む。同時に、娘の丸く充実した美乳を遠慮会釈なく掌と指でこね回すと、娘は首を打ち振りながら上体をくねらせた。
「しんくろうっ。しんくろうしんくろうしんくろう、しんくろうっ、しんっ、くろうっ…お…あ、は…しん、く、ろお…し、ん、く、ろ…う…ぅっ、し…しん、く…は…ろ、お…う、ううっ…う…は、…あ、は…あ、あ、しんくろ、お…お、しん、くろおおおっ…く、は」
 娘が達し、真九郎を締め付け、真九郎が放ち、それがまた娘を押し上げ、その中が真九郎をさらに奥へと引き込み、再び真九郎の精に打たれる。その無限の繰り返しだった。
 だが、意識が半ば飛ぶような法悦境にあって、娘と交わり続ける自分を遠くに見るような奇妙な感覚が、唐突に真九郎を襲った。
(これは…違う。俺は)
 違うのだ。この娘を…娘だけではなく、かのひとも、あの少女も、我が物として獲ち得たい訳ではなかった。ましてや、野放図に貪りたい訳でもなかった。真九郎は、彼女たちを守りたいのだった。その為なら、いくらでも身を擲つ覚悟だった。ただ、それだけなのだ。
 それだけなのに。
「お…れ、は…」
 真九郎は、血肉ともに融け合った何かから無理矢理に己を引き剥がすようにして、律動を止めた。そんな意志の力が自分の何処に潜んでいたのか、見当もつかない。だが、とにかくもやりおおせた己自身に、真九郎は心の底から感謝した。
 ふいごのように熱気を吐き、己の裡で暴れ出そうとする何かを必死で押さえ込みながら、真九郎は、息も絶え絶えに肢体を投げ出した娘にこわごわと腕を伸ばし、そっと掻い抱く。こんな自分などが不用意に触れれば、毀れてしまうのではないかと心底怯えながら。
「…俺は」

133:嵐之夜之夢 玖ノ前
08/05/13 23:38:07 vknOqU1P
 
 不意に、窓を激しく叩く雨滴と、大気を切り裂く疾風とが、真九郎の聴覚をしたたかに打った。瞬きをした真九郎の視界の中で、折しも轟いた雷霆の閃きが、床の上に散り広がった黒髪を背景に、青白く浮き上がる幻想的な裸身を照らし出す。
「あ…?」
 凝然とする真九郎の目の前で、玲瓏とした美貌が、何か不思議なものを目にしたかのような妙に真剣な面持ちから、ふと含羞を帯びた微笑に転じた。
「少年。君は」
「や…闇絵…さん?」
 おぼろげな記憶が蘇ってくる。崩月の角が暴走して、環を犯し尽くし、闇絵までも手にかけようとするのを何とか思いとどまろうとしていたはずだった。それなのに、闇絵はいま、真九郎に根元まで貫き通されて、その妖美な肢体を微かにうねらせ続けている。
「お、俺…」
 咄嗟に体を引こうとして、果たせなかった。闇絵とつながった部分が痺れたように動かず、真九郎にそれを許さない。闇絵は真九郎の腰にそっと両手を添え、
「すべてを化天のうちに済ませようと思ったが。わざわざ好んで穢土に舞い戻るとは、酔狂なことだ」
「俺…こんな」
「ふ。わたしも淫しすぎたかもしれん」
 淫楽の残響にけむる闇絵の瞳は、だが同時に冷たく厳しい光を放った。
「仕方がない。少年、分かるな」
「…それは、…はい…」
 真九郎は歯を食いしばった。自分の体内を、何かが轟々と音を立てて流れ、ともすれば心ごと己を持って行かれそうになる。ただ、先程までは荒々しく逆巻いて真九郎を翻弄するばかりだったのが、今はそれなりにまとまった大きな流れとして捉えることができた。
「そうだ。少年。流れをつかむがいい。勢いは、わたしが逸らしてやる」
「闇絵さん…でも、俺は」
 云いかけた唇は、しかしながら、しなやかな指によって封じられた。
「これ以上、わたしに野暮を云わせるな」
 真九郎は、目だけで詫びた。闇絵も、目元だけでそれを受け入れると、四肢を大の字に広げ、全てを真九郎に委ねた。真九郎は、その折れそうに細い腰を両手で抱え上げると、その下に自分の膝を差し入れ、己自身をさらに深くまで押し込む。

134:嵐之夜之夢 玖ノ後
08/05/13 23:39:29 vknOqU1P
 
「…ふっ…く…」
 闇絵が密やかに吐息を漏らし、その肉壺が細やかでありながら大胆に蠕動して、真九郎を奥へと引き入れる。真九郎は、闇絵を自分の腰の上で跳ねさせるようにして、その胎内を遠慮なく荒らし始めた。
「…く…ふ…っ…っ…く…、は…ふ…く…ふ、…は…あ…くぅっ、く…く、は」
 闇絵の何かを押し殺すような息遣いと苦嗚に惑乱しそうになりながら、真九郎は自分の腰の奥深くでうねる奔流を束ねることに全精力を傾ける。その甲斐あってか、幾筋もに別れて絡み合っていた流れが、ある瞬間に奇蹟のように揃った。
「お、俺っ…もう、う」
「ふ、う、く…は、あ…く…っ…ん、ん…んっ…っ」
 思い切り引き寄せた闇絵の中に全てを解き放ち、闇絵がその激しさに全身を震わせる中、真九郎は確かに感じた。己の中に脈打つものが、闇絵が広げた四肢を通して、大地とつながるのを。
 それは、空虚に吸い込まれるようでありながら、満ち満ちたものに受け止められ包み込まれるような、絶奇の瞬間だった。滔々とたゆたう乾坤の狭間で、ちっぽけな己が森羅万象の悉くと通じ合っていることを、真九郎は知った。
 それらが織りなす綾目模様のパターンを見て取ったとき、その小さな織り目の一つにすぎない自分自身を御する術もまた、明らかだった。あれほど手に負えなかったはずのことが、一度分かってしまえば、これほど平易なことはないように思えた。
「あ…」
 真九郎は肉体がかるがると浮き上がるようにすら感じながら、闇絵の上にのしかかった。両腕を広げて、闇絵と両手をしっかりと握り合わせ、その秀麗な貌を覗き込む。闇絵は僅かに眉をひそめ、苦悶するように慄えながら、だが確かに唇をつぼめるようにして、笑んだ。
「闇絵さん」
 真九郎は、その美しい唇に自らのそれを寄せた。精一杯の敬意と感謝と労りと、そして、自分などがおこがましいとは思いつつも、ごくささやかな優しさと親しさをこめて。闇絵も、それを拒まずに受けた。さり気ないが固い口づけだった。闇絵が、切なげに体を捩る。
「う、ふ…ふっ、く」
 闇絵のため息に促されるように、二人の腰がぴったりと沿って動き、あらためて真九郎の生命を闇絵へと導く。それが闇絵の背筋を伝わるうちに練り上げられ、甘やかな呼気を通じて真九郎へと還され、そしてまた闇絵へと注ぎ込まれ、幾度となく二人の間を巡り環った。
 そのリズムに合わせるようにして、真九郎の強靱な肉体の下で、闇絵の柔らかな裸身が小刻みに痙攣しながらうねる。すぐに真九郎もその動きに同調し、全き合一のうちに循環するものに縒り合わされ融け合った果てに、全てが処を得て収まったことを真九郎は知った。
 たとえようもない安楽と十全感に包まれて意識を喪う直前、真九郎は辛うじて薄目を開く。そこで真九郎が目にしたのは、はっきりと上気した妖艶な相貌にほのかに浮かんだ穏やかな微苦笑で、それは、眠りに落ちる少年を、この上なく安堵させた。

135:嵐之夜之夢 拾
08/05/13 23:40:51 vknOqU1P
 
 闇絵は暗い天井を見上げたまま、豊かな胸の上で穏やかな寝息を立てる少年の髪を一度だけ撫でた。その呼吸が落ち着いて、体熱が平常に戻り、肘からも角が失せていることを確かめる。
 それから、いつもどおりの怜悧な口調で一言を発した。低く抑えているにも関わらず、激しい風雨の音の中でも、よく通る声だった。
「環」
「はいはい。起きてますよー」
 環が、あっさりと肘をついて上体を起こす。薄闇の中でも明らかなにやにや笑いを顔に貼り付けて、
「いやあ。珍しいもん見せてもらっちゃいました。眼福眼福」
 からかうように云う環のセリフには、闇絵は当然のように取り合わない。だが、
「部屋の片づけは任せるよ」
 その物言いは半ば意趣返しってことなんだろうなあ、と環は思い、賢明にもそれ以上の挑発は避けることにした。代わりに、不満げに抗議してみる。
「ええー。あたしがやるんですかあ」
「わたしは肉体労働はしない。それとも、このままにしておいて、あちこちから恨みを買うかね」
「うーん」
 環は、少しの間とはいえ真面目に悩んでいるようだったが、そのうちにからりと笑って、
「ま、それはまたのお楽しみってことにしときますよ。ただ、その」
 ふと言いよどみ、視線だけで先を促す闇絵に向かって、環は頬を染めた。
「ええと、あたし、まだちょっと腰が立たなくって。まいりましたよ、ほんと」
「若いんだろう。頑張りたまえ。わたしは、もう少しやることがある」
 闇絵は物憂げにゆっくりと体を起こし、少年の頭をそっと持ち上げて、その額に自分の額を近づける。それを見て、ちえー結局美味しいとこ全部持ってかれちゃったようっ、と口の中で不貞腐れながら、環は畳の上にもう一度転がり寝そべった。

   * * * * *

 既によく分かっていたつもりではあったのだが、それにしても自分が住んでいる五月雨荘というところは妙な場所だ、と真九郎は思う。

 ある朝など、やけにすっきりと体が軽い感じで爽やかに目覚めたと思ったら、部屋の中の畳が全て取り払われ、床板の上に直接、全裸で毛布にくるまれて転がっていた。かてて加えて、部屋の中も自分の体も、オキシドールか何かの匂いをふんぷんとさせていた。
 さらにおかしいことに、その前日、学校で体調が少しおかしいのを感じてからの記憶が、すっぽりと抜け落ちてしまっていた。風邪か何かで倒れ込んで意識を失ったのかもしれないとも思ったが、それにしても一体誰が、その間にこんなことをしでかしたのか。
 真九郎としては、どうも隣室の酔いどれ大学生が怪しいと睨んでいるのだが、当人は「ええっ何これっ。ヒドいことするやつもいるもんだねー。真九郎くんも何も気付かなかったの?」などとぬかしつつ、けらけらと笑うばかりだった。
 そのうちに絶対白状させてやろう、と心に誓う。

 そのエロ大学生も、妙だった。いや、変人なのは元からなのだが、最近はそれに輪を掛けておかしい。先日など、秘蔵していた大量のビデオをいきなり不燃ゴミに出して、真九郎を驚愕させた。
 何か悪いもんでも食べたんじゃないか、と疑わしげに見守る真九郎に向かって、「いやー。最近何観ても、あれ思い出しちゃうと、ぬるくってさー。燃えないんだよねー。あれ、撮っときゃよかったなー」などと相づちに困る妄言を口走り、全くもって意味不明だった。
 そうなんですか残念でしたね、と、さしあたり差し障りのなさそうなコメントをしてみたら、いやにまじまじと人の顔を見つめながら、「そうなんだよねー。困るよねー。責任取ってほしいよねー」などと愚痴たれていたのも、理解を絶する言動だった。
 だいいち、その表情と声が、どことなく悩ましくも恥ずかしげだったなどというところからして、何かが大きく間違っている。自らの心の平安のためにも、絶対に目と耳の錯覚だったに違いない、と思うことにした。

 だが、一番妙なのは、そんな此処にいつの間にか慣れてしまった自分かもしれない、とも、真九郎は思う。多少変わった出来事も扱いに困る隣人も、そんなものだと受け入れてしまえば、何ということもない。
 逆に、それがない人生というのもちょっと味気ないかもしれない、とさえ思ってしまう自分は、きっと骨の髄まで毒されたんだろう、と諦めることにする。夕乃や銀子に云うと、とことんお説教されそうなので、そんな感想は自分独りの胸におさめておくことにしたが。

 そんなわけで、少年は思うのだ。最近、闇絵とすれ違ったり短い言葉を交わしたりする度に、鼻腔をかすめるタバコの匂い混じりのかすかな芳香が、ひどく懐かしくて胸を熱くするのも、そんな心境の変化がもたらす、たぶん何かの気の迷いみたいなものなんだろう、と。






136:名無しさん@ピンキー
08/05/13 23:41:39 vknOqU1P
投下終了。

137:sage
08/05/14 00:07:34 30Ers95j
なんというエロス・・・まさに神、GJとしか言いようがない

138:名無しさん@ピンキー
08/05/14 00:22:15 RduDaxKy
これは間違いなくGJ

139:名無しさん@ピンキー
08/05/14 03:50:16 aUQfzJzC
読み終わってから本当に体が震えた・・・
作者に最大級の賛辞を送りたい

140:名無しさん@ピンキー
08/05/14 05:03:37 gb2qJ7Dv
神はここにおわした。

141:名無しさん@ピンキー
08/05/14 19:51:11 0F4E2TIB
うわぁやべぇなこりゃwエロ以外のとこもしっかり書けてるのにクドさを感じさせずにしかもエロいw
まさに理想形だな。これが神の所業か…しかも全員取りとかもう反則だろw誰か逮捕してくれ

142:名無しさん@ピンキー
08/05/14 20:02:15 ANLYvmz9
このスレはふと目を放した隙に神が舞い降りるから気が抜けん。
遅ればせながら、GJ 作者様に感謝を、いいモノ読ませて頂きました。

143:名無しさん@ピンキー
08/05/14 22:20:23 sTYMyiJz
紫は…と思ったらさすがに成長した姿ですねw

しかし本当にGJだなー

144:小ネタ
08/05/15 00:35:58 oSvbtjZ4
 良作の次で使いまわしの小ネタで恐縮だけど

「なぁ銀子、俺どうして仕事の依頼が少ないんだろ?」
「そりゃ、あんたが駆け出しの揉め事処理屋だからでしょ」
「でも俺、この間だってビックフッドっていう悪宇商会の戦闘屋と互角以上に渡り合ったしさ、もっとこう腕利きとか呼ばれて依頼が増えてもいいんじゃないかと思うんだ」
「ばかねぇ互角といったって依頼人の護衛には失敗したんでしょ。依頼された仕事も満足にこなせない揉め事処理屋に頼む人なんかいるわけないでしょ」
「そうかなぁ…」
「そうに決まってるわよ……け、けして揉め事処理屋を諦めさせるために裏から手を廻して嘘情報を流してるとか、…そういうんじゃないんだからね!」
「お、おい銀子…」
「…と、とにかくアンタには揉め事処理屋なんて向いてないのよ、わかる? あんたに似合うのは地道な仕事…そ、そうラーメン屋なんかいいんじゃない?」


145:名無しさん@ピンキー
08/05/15 07:30:26 dP+oNIHu
>>144
吹いた。GJ。

146:名無しさん@ピンキー
08/05/15 07:53:14 fECL+sml
銀子ww

147:名無しさん@ピンキー
08/05/15 22:37:36 HOBT0Uq4
銀子はちっちゃい頃から一緒にラーメン屋やること夢見てるからなw

148:名無しさん@ピンキー
08/05/16 00:10:50 qNxNcnK1
「そうね、あなたが負けたらあの幼なじみの娘にラーメン女体盛りをして貰おうから」
「…何か、良く分かりませんが自殺より一気に条件が緩くなりましたね」
「うちの連中が大人しく賞味するような柄に見える?チャーシューから骨まで残さずしゃぶり尽くすわよ」
「自殺で勘弁して下さい」

149:@
08/05/19 21:56:53 E3DwP/E3
このままじゃこのスレ落ちるぞ!誰か、投下してくれ!

150:名無しさん@ピンキー
08/05/20 00:54:55 UrSl06e7
保守

151:名無しさん@ピンキー
08/05/20 18:54:39 DitCq8R9
>>148の余りのスルーされっぷりに嫉妬

152:@
08/05/20 21:49:26 SQtpQkXD
保守。誰か、まじで投下してくれ・・

153:名無しさん@ピンキー
08/05/21 22:01:46 yfThOJhV
妄想劇場しか思いつかんから無理

154:名無しさん@ピンキー
08/05/22 03:57:01 EaFWbeLq
妄想劇場でいいから投下ヨロ

155:名無しさん@ピンキー
08/05/22 12:38:20 jA3i54s2
なんとなくだけど・・・再会した切彦ちゃんといろいろあってデートに行くことになるっていうあらすじを思いついたんだが、これイケるかな??
いいなら今から書く!!

156:名無しさん@ピンキー
08/05/22 15:37:27 8vxOp1ie
書け、書くんだ!

157:名無しさん@ピンキー
08/05/22 15:41:58 QPuVBssc
ベタなところだと星領学園に転校してきて
夕乃、銀子と三つ巴

158:@
08/05/22 16:59:53 jOvpK3aN
書いたらまたこのスレ復活するなw

159:名無しさん@ピンキー
08/05/22 22:16:49 PVJXGGqz
>>158
いい加減sageろっつーかコテ止めろ

160:名無しさん@ピンキー
08/05/22 23:06:23 +O+vXxYo
>>155
あなたが神か?
ぜひ頼む!!

161:名無しさん@ピンキー
08/05/23 12:47:04 7mXmDH1S
>>158
お願いします><

162:名無しさん@ピンキー
08/05/23 15:54:58 EddtInRn
紅のエロアンソロ出てたな

163:名無しさん@ピンキー
08/05/23 22:30:34 jJdf7lkp
>>162
情報モトム

164:名無しさん@ピンキー
08/05/24 04:38:30 HaZq4ih3
>>163
1000円
何故か最後にナルトネタが入ってる
本数はうろ覚えだけどこんな感じ
闇絵<(0と1の壁)<<銀子・環<<<(複数の壁)<<夕乃<(メインヒロインの壁)<紫

165:名無しさん@ピンキー
08/05/24 04:43:37 PPfz7SJC
ファンブックで電波新刊のフラグが微妙に立ったなw
そして何より環強えーーー

166:名無しさん@ピンキー
08/05/24 07:38:54 SS/DXbI0
紅香の愛人ってジュウの妄想だったんだなw

167:名無しさん@ピンキー
08/05/24 10:57:09 oqPYU4bg
>>164
出版社は何処デスカ

168:名無しさん@ピンキー
08/05/24 13:17:29 iCOo1RfF
>>155は俺なんだがなるべくちゃんとしたやつを書きたいから時間かかります

169:名無しさん@ピンキー
08/05/24 13:30:15 Y5zujEtA
>>168
出来たら投下してください。
自分に言えるのはこれだけです。

170:名無しさん@ピンキー
08/05/24 14:07:52 hTPeOKj5
何故ナルトww

>>168
切彦ちゃん大好きだからマジ期待してる!!!

171:名無しさん@ピンキー
08/05/24 17:10:02 L44Ek4wi
「真九朗、皆が真九朗のことをヘタレとか情けないとか言うけど、私は信じてるからな」
「紫・・・・」



「なーんて私が言うと思ったか!?
. 甘ったれるな!! 他人に夢を見るな!! 自分以外はみんな敵だ!! 以上!!!」
「・・・・」

172:名無しさん@ピンキー
08/05/24 17:28:34 GMaseaSs
醜悪祭(下)の続きというか結末は
ファンブック書き下ろし小説に収録されているということを知らない人らは多いんじゃなかろうか

下巻にまとめてくれよと思ったのは俺だけじゃないはずだ
というか何故下巻にキャラ対談入れたのかわかんね

173:名無しさん@ピンキー
08/05/24 17:39:54 LKGbUdoA
そもそもファンブックの存在自体知らなかった

174:名無しさん@ピンキー
08/05/24 18:03:03 hTPeOKj5
amazonのレビュー見ると絶望的なんだがw

175:名無しさん@ピンキー
08/05/24 20:03:09 R2p7Ajb5
URLリンク(d.hatena.ne.jp)
■[ライトノベル][感想]非難囂々の前評判そのままだった「紅 公式ファンブック」感想
簡潔に結果だけ言うと「これはひどい

176:名無しさん@ピンキー
08/05/24 21:30:51 WXjuGUq6
ファンブック読んだ

醜悪債の「下」は冗談かと思ってたんだが、少なくとも出版社は本気だったんだな

177:名無しさん@ピンキー
08/05/24 21:36:38 iCOo1RfF
いつもと変わらない平和な日常。いつもと変わらない揉め事処理の日々。そんな毎日を過ごす真九朗に不満はなかった。
学校が終われば近くの小学校に紫を迎えにいき一緒に帰る
。パン屋で紫の報告を聞いたり、たこ焼きん食べながら「真九郎、 今日こそ大人向けを食べるぞ!」とか聞いたり、騎馬さんの運転するリムジンの中で着替えを手伝ったりとか紫と過ごす日々は真九朗の中で生活リズムの一つになっていた。
そんな日々が変わる日がくる・・・・



ある日の学校でいつものように幼なじみで情報屋の銀子に菓子パンを渡して
銀子「あんた紫ちゃんとベタベタしすぎじゃない??」真九郎「嫉妬か銀子??(笑)」
銀子「だまれロリコン」
真九郎「・・・・・」
とかなんとかいつものやりとりをして昼休みを過ごして午後の授業終えて放課後紫を迎えに行こうとしたら正門付近がやたらに騒がしい。
5、6人くらい男子のグループがたむろしててそんな状況を下校中の生徒たちが見てる感じのようだ。
真九郎「なんかあったのか??」と思いつつその場を覗いてみた。どうやら女の子がナンパされてるようで男共はしつこく迫っていた。



178:名無しさん@ピンキー
08/05/24 22:41:57 f1Ca+/rA
>>171
カバーめくんの毎回楽しみにしてたな‥


179:名無しさん@ピンキー
08/05/24 22:43:52 X5z1C4g/
>>167
たぶんオークスの「紅の蜜夜」だと思う。
タイトルに紅って入ってるし

180:名無しさん@ピンキー
08/05/24 22:48:17 f1Ca+/rA
>>171
嫌な事件だったね
まだ完結してないんだって?

181:名無しさん@ピンキー
08/05/25 00:49:12 QPxOiq2G
>>165
戦鬼化してない法泉や特殊能力無しの紅香より強いって事だからな
環は突然変異の化け物か何かかw

182:名無しさん@ピンキー
08/05/25 04:21:18 tQI3uRZ0
環は原作では活躍しそうに無いのに随分な厨設定なんだな
一応だけど柔沢一族の特殊能力持ちも確定になんのかな

183:名無しさん@ピンキー
08/05/25 09:41:47 KcimKuH0
どう考えても本スレで話すべきネタだろ…

184:名無しさん@ピンキー
08/05/25 11:26:21 wxX0JO1y
ウェブ
甘ったれるな!! 他人に夢を見るな!! 自分以外はみんな敵だ!! 以上の検索結果 3 件中 1 - 3 件目 (0.31 秒)

【電波的な彼女】片山憲太郎作品【紅】
何故、彼女が自分を憂鬱にさせるのか分からない、深く考えてない。しかし確実に自分は憂鬱になっている。 雪姫と今度こそ付き合うことに .... 例え、そこにそれ以上の意味が込められていても。 「それと、もう一つ」 雨が雪姫と、そしてジュウを見る。 ...
mobile.seisyun.net/cgi/read.cgi/sakura03bbspink/sakura03bbspink_eroparo_1150541908 - 563k - キャッシュ - 関連ページ


ネタが分からなくてググったら前スレがトップに…しかもどうみても関係ねぇえええええええ

185:名無しさん@ピンキー
08/05/25 16:18:35 j+Z8kH21
妖幻の血かな?
カバー裏にそんなのがあった気がする

186:名無しさん@ピンキー
08/05/26 00:47:35 LvM5DZHi
>>179
ググってみたらドンピシャだったっぽい。
よりにもよって、NARUTOの人のがひっかかったw

URLリンク(johnny-do.com)

187:名無しさん@ピンキー
08/05/26 01:22:17 GHikw+uJ
>>179
ありがとう。早速地元の本屋に買いに…田舎町に売っているとは思えないorz

188:名無しさん@ピンキー
08/05/26 14:31:42 +bGWb/uZ
ファンブック読んでみんなの文句の意味が分かったが、
とりあえず病気のジュウを心配する母デレ全開の紅香と、
「電波的な彼女」の新刊フラグが立っていたので、
俺としては大満足だ。

あと遅筆の片山氏に無茶させすぎな集英社にイラッときたね。
少し有名になるとコレだから嫌だ。

189:名無しさん@ピンキー
08/05/27 01:16:29 92gEX92c
今までSDでもこんなことは無かったんだがなぁ

190:名無しさん@ピンキー
08/05/27 01:58:43 3XWqy2Ss
遅筆というとイメージ悪いからあれだな
ただ仕事と両立して書いてらっしゃるから色々と大変なのに
それでも鞭打つ集英社にはちょっと物申したい気分はあるけど

漫画化にアニメ化とさらに作業が増えて、片山氏が過労死すんじゃないかと心配だ
あとがきとか見ると特にそう思う

191:名無しさん@ピンキー
08/05/27 05:17:31 vCM0fLlS
>>188
電波新刊は正直微妙だな
・柔沢にも特殊能力が有るのは確定
・雨・光・雪姫・円の裏十三家も確定

今までとは別作品に成りそうな悪寒がする

192:名無しさん@ピンキー
08/05/27 07:10:57 cUis78N6
紅みたいに異能力バトル物になるのは嫌だな
今でも一部は微妙に超人入ってるから新刊出るとかなりヤバイ

193:名無しさん@ピンキー
08/05/27 08:18:56 na8O+tdT
ドラゴンボールとか幽白とか、集英社は金の成る木と見ると作者を無視して営業するイメージが。


ってここ本スレじゃねえじゃんww

194:名無しさん@ピンキー
08/05/27 12:56:42 S3DnCRx+
>>193
まあ誰もいなくなって廃れるよりはマシだろ?
そのうち職人さんが投稿してくれるから、それまで凡人は雑談でもしてようぜ。

195:名無しさん@ピンキー
08/05/27 23:26:02 3XWqy2Ss
ファンブック買って読んだんだけど
柔沢が異能持ちって記述はどのあたりにあった?

なんでだろう
ジュウ様には特殊能力とかに頼らず、電波世界の厳しさに打ちのめされてほしいと思ってしまう

196:名無しさん@ピンキー
08/05/28 02:03:22 OvsceZco
紅香になんかあるのが確定しただけじゃないのか

197:名無しさん@ピンキー
08/05/28 06:13:28 tAOwt+Yx
>>195
紅香に特殊能力が有るのが99%確定しただけだ。
その手の能力は遺伝する設定だから、ジュウにも素養は有るってだけ。
雨が身体能力高かったり、気配遮断できるのも《堕花》の特殊能力の可能性が高いしな。

198:箒星
08/05/28 07:08:28 XapHe99L
>>39
いま「光さんのバレンタイン」の続き的なストーリーで、
ジュウと円の話書いてるんだけど、投稿してもいいですか?
なんかもうすでにこの続きのストーリ考えてあるんなら、
投稿すんの止めとくんで。

199:名無しさん@ピンキー
08/05/28 21:58:48 xaEZJUPn
別に作者本人のフリをしなければ良いんじゃね

200:名無しさん@ピンキー
08/05/28 23:10:37 AFJMosCI
出来ればそういうのは、書く前に許可を求めた方が……。

201:名無しさん@ピンキー
08/05/28 23:37:59 AH+NdPUA
二次創作の二次創作だから三次創作になるのかな…メタメタってとこ?

二次創作自体、オリジナルに許可取ってる訳じゃないんだし。題名末尾に(偽)とかつければいいような気がする。

202:名無しさん@ピンキー
08/05/29 01:05:47 ejfsA0IG
三次創作が悪い訳ではないけど、ちゃんと二次作者に許可は取ってからでないと色々アレ。

203:名無しさん@ピンキー
08/05/29 02:34:45 SidxfI4g
>>198
えっと…>>39本人です。コテもトリップもありませんが。
今のところ続編の予定はないので、どうぞ、ご遠慮なく。
個人的には、二次創作に何の権利を主張するつもりもありませぬ。
むしろ、何かしら嬉しいような面映ゆいような。
自分も三次創作の前科持ち(しかも投下後の事後通告)ですので、
なおさら何を言えた立場でもありませんし。あの時は元の作者の方が
寛大にも喜んでくれましたが、思い返すと汗顔の至りです。
いち読み手として楽しみにしております。では、よろしく。

204:名無しさん@ピンキー
08/05/29 07:38:57 aw6oAk/p
>>202
そんなの気にしてる二次作家は居ないのに三次は気にしろは傲慢じゃね

205:名無しさん@ピンキー
08/05/29 07:58:00 UUnNQrou
投下楽しみ

206:箒星
08/05/29 12:42:54 s123C42i
>>203
返事ありがとうございます。
それじゃあ出来次第投稿することにします。
うまくいえば来週ぐらいにはうp出来るかな?
まあのんびり待っていてください。

207:名無しさん@ピンキー
08/05/29 21:01:32 8qVjmD/T
>>204
たしかに全くその通りだな

208:名無しさん@ピンキー
08/05/29 23:26:11 ejfsA0IG
>>204
気にしろってより、問題が起こって投稿できなくならないようにって事でね。
俺だって>>198の書いた物は読みたいから言ったんであって。

てかもう元作者の人が許可出してるんだから、これ以上外野があーでもないこーでもないと
言うのは場外乱闘にしか発展しないような気がする。

209:名無しさん@ピンキー
08/06/01 23:02:54 5Qvm3/bh
投下マダー?

210:名無しさん@ピンキー
08/06/02 10:16:29 mq1jeRAX
保守っとけ保守っとけ

211:名無しさん@ピンキー
08/06/08 00:08:25 oi8QEnfz
投下するする詐欺か?

212:名無しさん@ピンキー
08/06/09 21:43:52 PpH1t2l3
だな

213:名無しさん@ピンキー
08/06/09 22:04:12 PRJtlqQt
やっとコミック読めた!!最後に載ってる話を読んでますます銀子好きになった!!

214:名無しさん@ピンキー
08/06/10 10:10:37 xFGmbriv
あげ

215:名無しさん@ピンキー
08/06/10 10:26:04 GZHbujGy
>>214
なんだお前は

216:名無しさん@ピンキー
08/06/10 11:39:50 JIkDZaTm
絶奈たんかわいいよ絶奈たん保守

217:名無しさん@ピンキー
08/06/10 21:32:12 dpbbZy5F
本スレで絶奈さんドM説流れすぎワロタw

218:名無しさん@ピンキー
08/06/10 22:56:50 DdYKLUes
本スレ最近変態増えすぎだろw

219:名無しさん@ピンキー
08/06/11 04:33:18 bkffEsGz
醜悪祭でみんな変態ににされてしまったんだ

220:名無しさん@ピンキー
08/06/11 06:22:56 /FQe8oKJ
要塞謳っておいてパンチで鼻血出した時点で絶奈は終了。

221:名無しさん@ピンキー
08/06/12 09:10:39 WWXWocTX
だがそれがいい

222:箒星
08/06/12 20:57:03 hfOJa00N
投下がかなり遅れてスマン
まだ途中だがとりあえず投下する。
エロ無しだから、興味無い人はスルーで


223:箒星
08/06/12 20:57:46 hfOJa00N
某月、某日、某所の道場。
そこで二人の人間が空手着に身を包み組み手をしていた。
一人は中世的な顔立ちと短く刈られた髪が特徴的な長身の少女、円堂円。
もう一人は金髪に鋭い目つきと、普通なら道場から叩き出されてもおかしくない風貌をした少年、柔沢ジュウ。
最近ひょんな事から出会った二人の関係は友人。
それ以上でも以下でもない、微妙な関係。
そんな二人が真剣な顔つきで組み手をしているのには、もちろん訳がある。

224:箒星
08/06/12 20:58:56 hfOJa00N
ジュウを主だと信じてやまない電波系の少女、堕花雨と出会い、ジュウの今までの自堕落な生活は変化しつつあった。
偶然か必然か、ジュウは次々と凶悪事件に巻き込まれる用になったのだ。
しかも、そのたびに堕花前や、その友人である斬島雪姫、円堂円に助けてもらうという体たらく。
自称不良を名乗っているジュウは決して弱いわけではないのだが、
今までの事件では役に立ったことはほとんどなかったとジュウは思っている。
つまり圧倒的に力不足を感じていたのだ。

そこでジュウは空手をしている円に、自分も空手を習いたいと頼み込んだのだ。
せめて自分の身ぐらいは自分で守れるように。
くだらない自分が、いつか一人きりっになった時でも生きていけるように。

男嫌いとして有名な円はずっとその頼みを断り続けていたのだが、
とある事件をきっかけに結局折れて、その申し入れを受けたのだ。

225:箒星
08/06/12 20:59:36 hfOJa00N
そして数週間後、円に連れて来られたのは古いが、どこか趣のある道場だった。
聞いた所によると、ここは円が小さい頃から通っている道場で、光もここの門下生だという。
ジュウは髪を黒く染め直さなかったのは、まずかったかなと思っていたのだが、
そんなジュウの心配を予想していたのか円は、

「ウチの師範は大らかな人だから大丈夫よ」

と言った。空手の師範としてそれはどうなのかとジュウは思うのだが、
髪をわざわざ染め直さなくてすんだジュウは深く考えずにそれで納得した。
そして、とりあえずここの道場の師範と会うことになった。
師範のいる部屋に連れて行かれるまでに、ジュウの姿を見てあからさまに眉を顰める者もいた。
それはジュウがそこらへんにいる粗暴の悪い不良にしか見えなかったからか。
それとも、円堂円が男を連れてきたことに驚いているのか。
それはきっと両方なのだろうとジュウは思った。

226:箒星
08/06/12 21:01:08 hfOJa00N
「君が柔沢君だねー!円ちゃんから話は聞いてるから、どうぞよろしく!!」

「えっと…よろしくお願いします」

ジュウは環と名乗ったこの道場の師範を見て驚いたことがいくつかあった。
ここの道場の師範がまだ若い女性だったと言うこと。
師範の割にはノリが軽い……というよりなぜか一升瓶を抱えているということ。
あと一番驚いたのが、この師範が

「それにしても君なかなか良い体してるね。どう、後でお姉さんと一緒に良いことして遊ばない?」

「……」

円から聞いていた話より、はるかに非常識だったと言うことだ。
男のジュウでさえ言うことをためらうような卑猥な言葉を普通に吐いてくる。

「その年頃じゃ色々とたまるでしょ?今度いい洋物のビデオ持ってきてあげるね」

「いや…別にいいです……」

「別に気にすることないよぉ、私と柔沢君の仲じゃない」

「まだ知り合ったばっかなんですけど…」

227:箒星
08/06/12 21:01:54 hfOJa00N
だんだんこの師範と話すのが億劫になってきたジュウは、自分の隣で正座している円に視線を向けてみた。
円は顔色一つ変えず、いつも通りの顔つきで座っていた。
彼女がこういう態度をしているということは、おそらくいつもこのような感じなのだろう。
ただジュウには、円の男嫌いはこの師範が少なからず起因しているように思えてならなかった。

「ところで二人はどういう関係なのかなぁ?もしかして恋び…
「柔沢君そろそろ練習に入りましょうか」

環の言葉に覆い被せる様な形で鋭く発言した円は、ジュウの手首を掴むと部屋から出て行った。
気のせいか、円の足の進みがいつもより早い気がする。

-何をそんなにあわててるんだ?

そして環が後ろから何かを叫んでいたが、あいにくジュウには聞こえなかった。

228:箒星
08/06/12 21:02:39 hfOJa00N
その後、渡された空手着に着替え、基本の型を教えら得たジュウはすぐに実戦に近い訓練に移った。
それは、円が繰り出してくる攻撃をすべて防ぐか避けるかというもの。
一見単純そうに見える訓練だが、神速と言っても過言では無い円の足技を防ぐのは容易なことではない。
詳しい説明を省きすぐ稽古に移るのは、実践に勝る訓練は無いということなのだろう。
ジュウとしても、言葉で説明されるより、こういった訓練の中で学んだほうがありがたい。
そして場面は冒頭に戻る、

「動きが大ぶりすぎ、もっと最小限の動きで攻撃をいなすの」

「…ッ!!」

円の蹴りを紙一重でいなし続けるジュウ。
円は一切手加減をしない。
ジュウに少しでも隙があればそこを突いてくる。
そんな非常とも思える行いが、逆にジュウにとっては清々しかった。
手加減が無いというのはある意味、自分の力を認めてくれているという裏返しのように感じたからかもしれない。
そもそも、あの苛烈な母である柔沢紅香と小さい頃から向き合ってきたジュウにはこれ位がちょうど良いのだ。
しかし、そんなことを考えていたジュウの一瞬の隙を突いて、円はジュウとの間合いを詰めていた。

229:箒星
08/06/12 21:03:25 hfOJa00N
「遅い」

「グッ…!!」

円の神速の蹴りがジュウの鳩尾に深く突き刺さる。
頑丈さが取り柄のジュウもさすがに耐えきれず膝を付く。
そんな状態なジュウにも円は優しさを見せず、冷徹な声で採点する。

「気を抜いちゃダメ。少しでも隙があったら強い奴は絶対にそこを狙ってくるから。
あと少し視野が狭いわね。もう少し広く視野をとらえれば、うまく立ち回ることもできるはずよ」

「あ、ああ…わかった。くそっ、情けねぇ」

自身の不甲斐無さに舌を打つジュウだが、意外にもこれには円がフォローを入れた。

「気にすることないわ。初めてでこれだけできれば大したものよ。それに……少し飛ばしすぎたわ」

お茶入れてくるわ、と言い残し円は部屋を出て行った。
ジュウは少しでも体力を回復させるため、道場の真ん中で大の字に寝転がると、ふと思った。
彼女は練習を飛ばしすぎたと言っていた。
冷静な彼女にしては珍しいことだとジュウは思った。
何かうれしい事でもあったのだろうか?
ジュウは少し考えてみたが分からなかった。

230:箒星
08/06/12 21:05:03 hfOJa00N
「それにしても本当に大したものね。体の頑丈さもそうだけど、飲み込みも驚くほど速い。あなた本当に一般人?」

「人を何かの化け物みたいに言うなよ」

「誉めてるのよ」

円の入れてきた粗茶を飲みながらしばしの休息を取る二人。
円との世間話は思いのほかよく進む。
雨のようにこちらの質問に答える訳でもなく、雪姫のように一方的に話を進める訳でもない。
昔ながらの友人と話しているように、ただ話しやすいのだ。

少し前までの自堕落な生活からはあり得なかった状況。
確実に変わりつつある自分と周りの環境。
けど決して悪いことではないとジュウは思う。
軟弱な自分は彼女たちと出会って、さらに軟弱になっていると思っていた。
しかし、今の自分は少しでも強くなろうと努力している。
結局のところ、自分はどのうように変化しているのだろう?

231:箒星
08/06/12 21:06:23 hfOJa00N
ジュウがそんな事を考えていると、環が道場に入ってきた。

「円ちゃーん、お客さんだよー」

「お客?誰ですか?」

「うーん…たぶん柔沢君も知っている子だとは思うよ」

クックックッと笑い声を洩らしながらしゃべる環。
そして、ジュウはそんな環の笑い声を聞いて、嫌な予感がした。
そして嫌な予感というものは、得てして当たるものが世の常だ。
環と変わるように入ってきたのはたしかににジュウも知っている人物だった。

「ヤッホー円!借りてたマンガ返しに来たよ……」

元気よく入ってきた雪姫は二人の姿を見て硬直。
ジュウと円も思いがけない闖入者に硬直。
とりあえずひと波乱ありそうだとジュウは思った。

232:箒星
08/06/12 21:10:47 hfOJa00N
とりあえず今回はここまで。
投稿すんの初めてだから、改行とかのアドバイスあったら言ってくれ。
ちなみに最初にタイトル入れるの忘れたから、これ↓な

「円さんの空手教室」

233:名無しさん@ピンキー
08/06/12 21:40:55 ylmYRN9E
雪姫のやきもちに期待

234:名無しさん@ピンキー
08/06/13 00:26:16 vx7qkTxk
ここから二人(+α)で、ジュウ様との妖しい乱取りが始まるんですね分かります

235:名無しさん@ピンキー
08/06/13 00:49:56 xKqKmlLk
3人ともS気質だからなー。
円なんか急所つかむしでこわやこわや。

236:名無しさん@ピンキー
08/06/14 00:13:02 K2rZi57f
GJ!!
続きが楽しみッス

237:名無しさん@ピンキー
08/06/14 07:03:51 2DhK7veu
おつかれです。
つづきが気になるものでした。
次が楽しみです。

238:名無しさん@ピンキー
08/06/14 23:30:41 a0aURn2L
保守しようとしたら投下が来ておる。拝んでおこう。
(‐人‐)アリガタヤアリガタヤ

239:名無しさん@ピンキー
08/06/15 11:33:12 gci0YxnA
それはある日の朝、ジュウはたまたま雨たち三人と会い連れだって登校することにした。

「柔沢君、その餡パンが朝御飯?」
「んあ? ああ、炊飯器のスイッチを入れ忘れててな、さっき買ったやつだ」
雪姫の視線はパンを捉えて離さない。そう、それはまるで片思いの相手を街中で見かけたときのように――
「おいしそうだね」
「齧りかけでいいのなら一口やるぞ」
「うーん、気持ちは嬉しいけどいいや。ダイエットしてるもん」
「ダイエットって、そんなもん気にしなくてもいいんじゃないのか?」



「ジュウ様の馬鹿!!」
「久しぶりに雨にぶたれた!?」
ジュウが雪姫に対して思ったままの事を漏らすと同時に、それまで黙ってついてきた雨が
全力でビンタを叩きつけた!!
「女の子は、誰だって闘ってるんですよ!!」
「そ、そうなのか?」
「そうなんです!!」
「そうなのか・・・・。円堂さんも戦ってるのか?」
「柔沢君、あなたは少し心配りが出来るようになりなさい」
三人の視線が非常に怖かった。







『お腹ぽっこりしてるから、見られたら恥ずかしいよぅ・・・・』
『恥ずかしがらなくてもいい。お前はお前だ、可愛いぞ』
『あん♥』

「光ちゃん、そろそろ学校行かないと遅刻しますよ」

240:名無しさん@ピンキー
08/06/15 12:09:36 8ehBRZGL
ま た 光 か 

俺の中の光はこう言うキャラで定着しちまったw

241:名無しさん@ピンキー
08/06/15 17:42:22 gci0YxnA
いくつも書いてきて今更なんだけど、
正直、今田先生や真剣なファンの人から怒られるんじゃないかと心配なんだ
そこんとこはどうなんだろう

242:名無しさん@ピンキー
08/06/15 20:43:36 2QVi7B0J
誰?>今田

243:名無しさん@ピンキー
08/06/15 23:05:17 HwC3yXrp
ダイエットやら何やらの話だけで雨がジュウに手を上げることはないと思うけどなw

光については俺も頭の中でこういうキャラになっちまったw

244:名無しさん@ピンキー
08/06/16 06:48:13 WZ2SLAen
>242-243
いますぐ『Astral』と『ラブ★ゆう』を読むんだ!!
『イリスの虹』の二巻の頭の部分も良いぞ!!

245:名無しさん@ピンキー
08/06/16 10:03:39 VR5wUfLR
>>244
読んでたけど、それ聞いて「あぁ」ってなったw>ラブ★(ry

同じSDだってのになんだこの雰囲気の違い

246:名無しさん@ピンキー
08/06/17 20:05:12 olSLVcVD
ぶっちゃけ『柚たんの休日』が最強

247:名無しさん@ピンキー
08/06/17 21:25:13 EhMc1ipB
>>239
ワロタw

248:名無しさん@ピンキー
08/06/19 02:38:31 JAhKOpv6
たった今重大なことに気付いた
コミックスピンナップに夕乃さんだけいねえ

249:名無しさん@ピンキー
08/06/19 18:20:46 SygTPQJc
保管庫あげとく。
URLリンク(www35.atwiki.jp)

250:箒星
08/06/22 22:42:52 xaI57sXb
【円さんの空手教室】の続きができたから投下する。
例の如くエロ無しだから、興味無い人はスルーでよろw


251:箒星
08/06/22 22:44:56 xaI57sXb
【円さんの空手教室】後編


突然道場に入ってきた雪姫は、マンガの入った紙袋を突き出したような形で固まっている。
まさかジュウがここにいるとは思ってもみなかったのだろう。
しかも円と二人っきりという、誤解しても仕方がないシチュエーション。
しばしの沈黙の後、雪姫は率直に自分の疑問を口にする。

「なんでここにジュウ君がいるのかなぁー?」

顔は笑顔のまま。
しかし声は明らかにいつもより怒気を含んでいる。
ジュウはなんとなく居心地が悪くなり、頭を掻きながらなんとか言葉を見つけようとする。

「あー…それはだな……」

しかし頭の中に出てくるのは言い訳ともつかないような、屁理屈ばかりだ。
おれは本当に頭が悪いなと思いながら、少し後悔する。
ジュウは円に空手を習うことを雪姫や雨には黙っていたのだ。
それはジュウのプライドから来たもの。
くだらないとジュウ自身も思うのだが、隠せるなら隠しておきたい。
そもそも空手を習いだしたのは彼女たちに迷惑を掛けたくなかったからなのだ。
しかし、バレてしまった以上隠す意味もない。
ジュウは腹をくくることにした。

「実は円堂から空手を習うことにしたんだ。お前や雨には黙っててすまなかった」

252:箒星
08/06/22 22:46:25 xaI57sXb
スマンと頭を下げて素直に謝るジュウ。
無自覚な高潔を持つ彼が時折見せる誠意の籠った謝罪。
それを見た雪姫は頬をふくらませて小声でつぶやく。

「…そんな風に謝られたら、責める事なんてできないじゃん」 

「なんか言ったか?」

「なんでもないよー。それより、円もどうして黙ってたのさ。教えてくれてもよかったのにぃ」

今度は円に問い詰めるように子供っぽく頬を膨らませる雪姫。
そんな雪姫の反応に円は意も介せず、平然とこう言ってのけた。

「そういえば言ってなかったわね。うっかりしてたわ」

うっかりしていた。
あまりにも白々しい言い訳だったが、円はあくまでそれで通すらしい。
そんな円の様子に雪姫は頬を膨らませるのを止め、どこかほれぼれする様な、にこやかな笑顔でこう答える。

「そっかー、忘れてたんだー、それなら仕方ないねぇー」

声のトーンが一段低くなった雪姫。

「そうね、仕方ないわね」

華麗にスルーする円。

「……」

253:箒星
08/06/22 22:49:01 xaI57sXb
2人のやり取りを見ていたジュウは、なぜかこの部屋の気温が一段と下がったような感覚に陥った。
背中からは冷や汗のようなものまで流れている。
正直居心地が悪い。

-ちょっと待て、なんだこの状況は?

何故かは分からないが、自分が理由でこうなっているのは理解できる。
とりあえずこのままではいけないと判断したジュウは、話題を変えてみることにした。

「円堂、そろそろ練習再開しないか。おれはもう大丈夫だからよ」

「…そうね、もう十分休んだし練習を再開しましょうか」

円は帯を締め直し、立ち上がると雪姫の手からマンガの入った紙袋を受け取る。

「それじゃあね雪姫、わざわざ道場までマンガをとでくれてありがとう。また明日学校で会いましょう」

円の声に若干冷静さが戻ったのを感じて、ジュウはホッと内心で息をついた。
友人である二人が喧嘩している姿を見くはない、その理由が自分であるならなおさらだ。
しかしどうやら神様はジュウに心の平穏を与える気はないようだ。
雪姫は別れのあいさつを告げず、笑顔でこう言った。

「せっかくだから練習見てくよ」

「はっ?」

ジュウの表情が再び固まる。
一方、円は普段見せないような晴れやかな笑顔を浮かべる。

254:箒星
08/06/22 22:49:34 xaI57sXb
「そんな無理しなくていいのよ雪姫、忙しいでしょ」

「ううん、今日は何にもない日なんだ、だから問題ナッシング!なんなら円の代わりにジュウ君に武道教えてもいいよ」

「気を使わないくていいわよ、頼まれたのは私なんだから」

「円こそ無理しなくてもいいよ、1人で教えるのは大変でしょ」

「大丈夫よ、毎日のように後輩たちに教えてるんだから」

「そうだよねー、毎日男並みに鍛えてるもんねぇー」

「うふふ、そうかしら」

「あはは、そうだよー。それに…」

横目でチラリとジュウを盗み見る雪姫。

「色々と心配だしね」

「あら、何が心配なのかしら?」

「やだなー円ったら。分かってるくせに、そんな下手な演技しちゃって」

「うふふ、ごめんなさいね」

「あはは、別にいいんだよ」

恐すぎる。
会話だけ聞いていたら和やかな雰囲気、しかし実際はかなり険悪な状況。
2人の後ろに修羅の化身でも立っているかのようにさえ感じる。
この二人のやり取りに肝を冷やしながら、ジュウは思う。

-なんでこの2人、今日はこんなに仲が悪いんだ!?

その理由はきっと、今のジュウには出すことのできない理由なのだ。

255:箒星
08/06/22 22:50:39 xaI57sXb
「―ハアッ!」

「クッ…コノ!」

常人なら一撃で意識を狩ることのできる円の蹴りを、腕に片手を添えてガードする。
練習を再開して既に30分が経過し、ジュウの動きは格段に良くなっていた。
柔沢紅香の血を継ぎ、元々荒っぽい出来事に首を突っ込んできたジュウの格闘のセンスはかなりのものだ。
教えられているのが防御の型だけとはいえ、飲み込みは恐ろしく早い。

-円堂が体を横にずらした、この形は…

視界に入るものから自然と、薄く思考を流し、無意識に体を横にそらす

-左足による、上段の蹴り!

ジュウの予測通り、円は左足を大きく跳ねあげた。
そして、跳ね上がった蹴りは、体をそらしたジュウの横を通り抜ける。
その隙にジュウは膝に力を込め後ろへ飛び、体勢を立て直した。
円もまた、むやみに飛び込もうとはせず、型を整え体勢を立て直す。
対峙するように睨み合いながら、隙を狙う円と、その動きを読もうとするジュウ。
そんな2人の対峙を破るようにパチパチと拍手が起こった。

「ジュウ君すごいね!円の攻撃を短時間でそこまで防げるようになるんて、たいしたものだよ、うんうん」

「円堂の教え方がうまいからな。おかげで今まで自分がどれだけ無鉄砲に攻撃してたのかよくわかるよ」

一息ついでに雪姫としゃべるジュウ。
いままでの不良と喧嘩していた時は、持ち前の頑丈さとタフさで相手をねじ伏せいた。
しかし、防御だけに集中した今、色んなことが見えてくる。
相手の動き、息遣い、周りの様子、そして自分自身の置かれている状況。
なるほど、円堂の言っていた視野を広くしろとはこの事かと、ジュウは納得する。
しかし、

256:箒星
08/06/22 22:55:41 xaI57sXb
「よそ見しない!」

「ッダ!?」

脇腹に円の回し蹴りが決まり、息が一瞬止まるジュウ。
急な不意打ちに抗議の声を上げる。

「人が話している時にそりゃないだろ…」

「私は一言も休んでいいと言っていないわ。油断していたあなたが悪い」

「たしかにそれはそうなんだけどよ…」

何となく釈然としないジュウ。
そんなジュウの疑問に答えるように、雪姫はおかしそうにニヤついている。

「わかってないなージュウ君。円はねー」

「余計な茶々入れないでもらえる雪姫」

「ぶーぶー」

頬を膨らませながら不満の意を示す雪姫は円とは対照的に、とても子供っぽい。
ジュウは呆れつつも、先程よりは険悪的な雰囲気が薄れていたことに内心ホッとしていた。
あんな風になってもすぐにもとの関係に戻れる、親友という繋がりが少し羨ましい。

257:箒星
08/06/22 22:56:13 xaI57sXb
そんな2人の様子を微笑ましく見ていたジュウだが、雪姫は良いアイディアが浮かんだと言わんばかりに、人差し指を上に立てる。

「そうだ!ここは多人数が相手の状況も考えて、2対1でやるっていうのはどお」

「はっ?」

いきなりの無理難題に、おもわず聞き返すジュウ。
しかし、以外にも円はその意見に賛成的。

「そうね、実戦と似た状況で一回ぐらいは戦っておかないとね」

「だよねー、ということでジュウ君は私たち2人の攻撃を防いでね」

「ちょ、ちょっと待て!俺はまだやるなんて一言も…」

「無駄口叩かない。師匠命令よ」

「そういうこと、じゃあ行くよー」

「ちょ、まっ…」

ちょっと待てと言おうとしたジュウの発言は2人の攻撃をもろに食らい、中断された。
仲直りしたとたんこれかと、ジュウは背中から倒れる自分の体を感じながら思っていた。

258:箒星
08/06/22 23:02:41 xaI57sXb
あの後、結局何度も2人の攻撃を受け続け、心身ともに限界がきた一歩手前で今日の練習は終わった。
帰り際に環が渡そうとした洋物のビデオを丁重に断りつつ、3人は道場の外に出る。
家の方向が違う雪姫は一人で先に帰ることとなった。

「じゃあねー、円ー!もう抜け駆けは無しだよ~」

「はいはい」

「ジュウくーん!こんどは私と遊ぼうねー」

「俺は遊んでたわけじゃねぇよ」

右手をぶんぶんと振り回しながら、帰路に就く雪姫。
帰る時までやかましかったなと、ジュウはため息を付くが、それが斬島雪姫の本質だと理解はしている。
元気いっぱいの後ろ姿を見つめながら、ジュウは疑問に感じた事を口にする。

「そういえば抜け駆けってなんの話だ?」

「さあ、見当も付かないわね」

軽くあしらわれた様に感じたが、無理に聞き出す必要もないだろうと、ジュウはそれで納得した。
その時、黒塗りの車が二人の前に止まった。
ジュウは一応警戒したが、どうやら円の迎えの車らしい。

259:箒星
08/06/22 23:03:09 xaI57sXb
「それじゃあね柔沢君、また来週きなさいよ」

「ああ色々と勉強になったよ。ありがとな円堂」

「……」

「んっ、どうかしたか?人の顔じろじろと見て」

「なんでもないわ、それより気分が変わったから乗って行きなさい」

「はっ?」

「家まで送って行ってあげる」

その後、ジュウはこれ以上迷惑は掛けられないと主張したが、円が無理やりジュウを車に押し込めるような形になり、結局送ってもらうことになった。
ジュウは広々とした車内を見渡す。
この前、乗った時も思ったのだが円の家の送迎車の豪華さは異常だ。
警察関係者に強いコネも持っているようだし、いったいどういう仕事をしているのか、ジュウも気にはなる。
聞こうとまでは思わないが。

「…あいかわらず、すげぇ車だな」

「そう?普通だと思うけど」

「いや普通ではないと思うんだが…」

260:箒星
08/06/22 23:03:28 xaI57sXb
若干、一般常識とズレがあるのは雨や雪姫と似てるなとジュウは思う。

「ところで円堂はいつぐらいから空手習い始めたんだ?」

「物心ついた時にはもう、あの道場には通ってたわ。うちってそういう家系なの」

どういう家系だ?とジュウは思ったが、無理に聞き出す必要はない。
相手の過去を根掘り葉掘り聞き出すのは趣味じゃない。
相手が知っていても問題ないというところまで聞けばいいのだ。

「大変じゃなかったか?小さい時から女の子が武道習うのって」

「まあ大変ではあったけど、楽しくもあったわ。今の世の中で、自分の身を自分で守れるのはすごい得だと思うし」

「まあそりゃそうか」

犯罪が増える一方の世の中で、自分の身を自分自身で守れることは大切なことだ。
あの雪姫もそれなりの護身術は身につけているようだし、雨は見た目とは違いかなり強い。
ジュウ自身も、一人で生きていける力がほしくて、円に教えを乞うているのだ。

「だから髪も短くしてるのか?」

「これは男に言い寄られるのが嫌で切ったのよ。初めて会った時に言ったはずだけど」

「ああ…」

261:箒星
08/06/22 23:03:59 xaI57sXb
たしかに秋葉原で初めて雪姫と円にあったあの日、ファミレスでそういう話をしていた気がする。

「たしか高校に上がると同時に髪切ったつってたな」

「ええ、中学では言い寄ってくる男がうざかったからね。その代わり高校では女の子が言い寄ってくるようになったけど…」

「そうなのか?…けどなんつーかもったいないな」

「なにが?」

「だって女にとって、せっかく伸ばしてた髪をバッサリ切るのなんてのは辛かっただろうなと思ってよ。しかも理由が男除けじゃな」

「……」

まえに紅香は長い髪は女にとって宝のような物だと言われたことがある。
それを切ってしまうのはかなり嫌だったに違いない。
理由が彼の嫌いな男のためというならなおさらだ。
しかし円は何がおかしいのか、薄く微笑んでジュウを見ていた。

「ホント…たまに変なところで女殺しのセリフ言うんだから」

「どういう意味だ??」

「それはあなた自身が考えなさい、あと私はこの髪形はそれなりに気に入ってるから気にしないで。たしかに空手やる時も短い方が便利だしね」

「そうか?それなら別いいんだけどよ」

「それとも柔沢君は長い髪の方が好み?」

「は?なんでそうなるんだよ?」

「雨も雪姫もそれなりに髪が長いでしょ」

262:箒星
08/06/22 23:04:45 xaI57sXb
それはそうなのだが、なぜここであの二人が例として出てくるのかジュウには理解できなかった。

「別に髪の好みとかそんなのねぇよ。まあ長いほうが女の子っぽいとは思うけどよ」

「そう…」

円は自分の前髪をつまみ上げる。
そしておかしそうにまた微笑んだ。

「そうね…また髪伸ばしてみてもいいかもね」

「は?おまえ、さっきまでいってた事と、ちがっ…」

「心境の変化よ。そういうこと女の子に聞くのは無粋よ、やめなさい」

「そ、そうなのか?」

「そういうものなのよ」

いまいち釈然としないジュウ。
しかし円の機嫌は良いみたいなので、ジュウは深く考えないでおいた。
そうこうしている内に、ジュウの住むマンションが見えてきた。
運転手がマンションの入り口に車を付けると、ジュウは円から貰った空手着を手にして車を降りた。

「それじゃあまた今度な円堂。今日は本当にありがとよ」

「別にお礼なんていいわよ、引き受けたのは私なんだし。それに私も今日は楽しかったわ」

263:箒星
08/06/22 23:05:39 xaI57sXb
そう言うと円は先ほどとは違う笑みをジュウに向けた。
その表情があまりにも年相応の女の子らしく、不覚にも一瞬ジュウはドキリとしてしまった。

「あ、ああ、おれも楽しかったよ」

「そう。それと、型の形だけは復習しておきなさいよ。それじゃあね」

円が車のドアを閉めるのを確認すると、運転手は車を出した。
ジュウは車の姿が見えなくなるまで、マンションの前で立っていた。
自宅に戻るエレベーターの中でジュウは思う。
今日はいろいろと新しい発見があったような気がする。
円堂円の新しい一面もそうだ。
あの笑顔は雨の笑顔並みに貴重のような気がする。

次に会ったときもまた違う発見があるのだろうか?

ジュウはそう思うと自然と笑みがこぼれた。

264:箒星
08/06/22 23:06:07 xaI57sXb
その数日後。
ジュウが再び道場に訪れるとそこには、どこから嗅ぎつけたのか雪姫に加えて雨、光の3人がいた。

「最近の日本の都市は危険がいっぱいだからねー、私も円の道場にしばらくお世話になることにしたよー」

「私はジュウ様の奴隷。ジュウ様が危険にさらされるというならそれを守るのが私の使命。そう色々な危険から」

「かっ、かんちがいしないでよ!もともと私はこの道場の出なんだからね!!あの日から気になってわざわざ来たわけじゃないんだから!!」

「……」

三者三様の答えをジュウの来訪と同時に伝える3人。
そして円は少し離れたところで、不機嫌そうに腕を組んで立っていた。
ジュウは一回溜息をつくと、思考を働かせるように頭を掻く。
なぜ3人がここにいるのか。
なぜ円はいつもより不機嫌なのか。
この先いったいどうなるのだろうか。
色々と考えることはあるが今はとりあえず、3人への質問と、円の機嫌を直すことが先決だろう。
ジュウは円から貰った空手着を片手に、柄にもなく頑張ってみようと思った。

265:箒星
08/06/22 23:17:07 xaI57sXb
これにて終わり。
初めて書いた作品だからまだまだ未熟ですまん。
とりあえず前回投下した時は分割しすぎたと思ったので、改善してみたがどうだろうか?
アドバイスもらえるとありがたい。

次は意外と少ない雨とジュウの絡みを書いてみようと思う。
エロパロらしくがんばってエロ有りの作品になるよう努力するつもり。
がんばって伊南屋さん達みたいな神作品を作っていけるよう頑張るんで、
これからもよろしく。

箒星でした。

266:名無しさん@ピンキー
08/06/22 23:48:27 V0t8NJdr

エロ無しでも面白かったよ

267:名無しさん@ピンキー
08/06/23 01:37:52 6CbRklzq
GJ!

268:名無しさん@ピンキー
08/06/23 08:28:27 Fo/QZLGD
おもすれー

269:名無しさん@ピンキー
08/06/23 11:35:02 Rjgyh2M6
GJ

270:名無しさん@ピンキー
08/06/23 18:21:22 k+SF0SNw
GJ
ニヨニヨしてしまうw

271:名無しさん@ピンキー
08/06/23 22:18:30 XW03WJbM
いや全然いいぞこれw
良い感じでやきもちが飛び交ってて楽しい
ぜひこれからも色々書いて欲しいわ

272:名無しさん@ピンキー
08/06/23 22:34:37 oi+q5FBk
面白いぜw
円は俺の中で雪姫、光、銀子、斬彦と同じくらい好きなので
次はもっとジュウさまにデレちゃってる円堂さんください

273:名無しさん@ピンキー
08/06/23 22:44:30 EPW4iG5V
>>272
同列が多すぎてどんくらい好きなのかよく分からんwww

274:名無しさん@ピンキー
08/06/24 00:12:07 5DZi0oNB
G☆J
面白かったよ!

275:名無しさん@ピンキー
08/06/24 08:51:13 0RPjXp2Z
なんて素敵(*´Д`)

276:名無しさん@ピンキー
08/06/24 10:29:15 GImbSyPQ
GJ!!

277:名無しさん@ピンキー
08/06/25 00:31:28 flu78kFk
>>265
遅くなりましたがGJです。
でも同じSS書きとしていえることは、そんなにエロにこだわる必要はないと思いますよ。
エロかくと描写面倒だし話がテンポよく進まなくなってあまり良くないです。
それより行為が無くてもエロく感じさせるっていうのが良いかと。
話が面白いので続編が読みたいな。今後はどうなるんだろ。

278:名無しさん@ピンキー
08/06/27 02:28:55 MHvH3qSr
保守


279:名無しさん@ピンキー
08/06/28 00:56:27 VO0EKZrG
>>265
円ごっちゃんです
これであと半年は生きていけそうだ


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch