09/02/04 17:01:49 C7sV0B+U
「君は俺と同じ人狼なのさ…人間の男に興味無かったろ?」
「でも…なんであたし…そんな…信じられない」
「匂いでわかったんだ。この姿の時はハナがきくんだ。
俺も君と同じように人間の女に興味が無かった。なんでだろう、とそりゃ悩んださ。
もしかしたらホモなんじゃないかとも思ったけど男にも興味が持てなかった。
唯一興味が持てたのは映画の狼男への変身シーンだったんだ。ああいうのを見ると
異常に興奮する。最初はなんて異常な趣味だろう、と思った。
でもある日気付いたんだ、俺は本当の狼男だったんだってね。」
頭の情報整理が追いつかない。だが彼は構わず喋り続ける。
「狼男は満月を見ると変身するってあるだろ?あれ嘘じゃないんだよ。
でもただ見るだけじゃない。心の底から人狼になりたい、って
思いながら見るんだよ。少しでも疑っちゃ駄目だ。」
「じゃあ私も…人狼になりたいって思いながら満月を見れば…変身しちゃうの?」
「そうさ、やってごらんよ。今日は丁度満月さ。」
私は立ち上がりカーテンを開ける。上空には真円の月が深い黄色の光を放ちながら
佇んでいた。
「息を整えて…人狼の姿を思い浮かべるんだ…。そしてそれと自分の姿を重ね合わせる。」
彼に促されるまま私は満月を見上げ人狼と自分の姿のイメージを強く思い描いた。
やがてそれは大きく熱い血液の奔流へと変わり全身から汗が噴き出始める
「そうそのまま…もうすぐ変化が訪れる。」
体が熱い。激しい痛みを伴いながら私の体がミシミシと音をたてて変わっていく。
全身に灰色の毛が生え始め、同じように髪の毛の色も黒から灰色へと変わっていく。
手足の爪は月明かりを反射し鈍色の光を放ちながら尖り、手のひらには肉球、
尾てい骨のあたりからは肉と骨が同時に伸びていきやがて灰色の
毛に深く覆われフサフサと揺れる尻尾となる。
「あ…ああっ」
痛みはやがて快楽となり全身を駆けめぐる。
そして変化は続く。
瞳の色は金色へと変わり妖しい光を放つ。
全身が筋肉質になり胸もその大きさを増してゆく。
すっかり全身を灰色の毛で覆われたその姿もはや顔以外は人狼そのものといった感じだ。
やがてその顔にも大きな変化が現れる。
歯は鋭い牙へと変貌し、耳は頭上へと移動していき三角形を形作る。
鼻は黒く湿りだし、口と顎まわりの肉と骨を巻き込みながら前に突き出していきやがて
しっかりとしたマズルを形作る。
「ウォ…ウォォォーーーーーーン!!」
思わずあげた叫び声はすでに狼の咆哮そのものだった。