09/02/04 17:01:49 C7sV0B+U
「君は俺と同じ人狼なのさ…人間の男に興味無かったろ?」
「でも…なんであたし…そんな…信じられない」
「匂いでわかったんだ。この姿の時はハナがきくんだ。
俺も君と同じように人間の女に興味が無かった。なんでだろう、とそりゃ悩んださ。
もしかしたらホモなんじゃないかとも思ったけど男にも興味が持てなかった。
唯一興味が持てたのは映画の狼男への変身シーンだったんだ。ああいうのを見ると
異常に興奮する。最初はなんて異常な趣味だろう、と思った。
でもある日気付いたんだ、俺は本当の狼男だったんだってね。」
頭の情報整理が追いつかない。だが彼は構わず喋り続ける。
「狼男は満月を見ると変身するってあるだろ?あれ嘘じゃないんだよ。
でもただ見るだけじゃない。心の底から人狼になりたい、って
思いながら見るんだよ。少しでも疑っちゃ駄目だ。」
「じゃあ私も…人狼になりたいって思いながら満月を見れば…変身しちゃうの?」
「そうさ、やってごらんよ。今日は丁度満月さ。」
私は立ち上がりカーテンを開ける。上空には真円の月が深い黄色の光を放ちながら
佇んでいた。
「息を整えて…人狼の姿を思い浮かべるんだ…。そしてそれと自分の姿を重ね合わせる。」
彼に促されるまま私は満月を見上げ人狼と自分の姿のイメージを強く思い描いた。
やがてそれは大きく熱い血液の奔流へと変わり全身から汗が噴き出始める
「そうそのまま…もうすぐ変化が訪れる。」
体が熱い。激しい痛みを伴いながら私の体がミシミシと音をたてて変わっていく。
全身に灰色の毛が生え始め、同じように髪の毛の色も黒から灰色へと変わっていく。
手足の爪は月明かりを反射し鈍色の光を放ちながら尖り、手のひらには肉球、
尾てい骨のあたりからは肉と骨が同時に伸びていきやがて灰色の
毛に深く覆われフサフサと揺れる尻尾となる。
「あ…ああっ」
痛みはやがて快楽となり全身を駆けめぐる。
そして変化は続く。
瞳の色は金色へと変わり妖しい光を放つ。
全身が筋肉質になり胸もその大きさを増してゆく。
すっかり全身を灰色の毛で覆われたその姿もはや顔以外は人狼そのものといった感じだ。
やがてその顔にも大きな変化が現れる。
歯は鋭い牙へと変貌し、耳は頭上へと移動していき三角形を形作る。
鼻は黒く湿りだし、口と顎まわりの肉と骨を巻き込みながら前に突き出していきやがて
しっかりとしたマズルを形作る。
「ウォ…ウォォォーーーーーーン!!」
思わずあげた叫び声はすでに狼の咆哮そのものだった。
582:うんこ
09/02/04 17:04:25 C7sV0B+U
「これが私…?」
私の姿は灰色の獣毛、豊満な乳房、長くてフサフサの尻尾を持つ狼女へと変貌した。
「綺麗だ…」
彼が呟く。私も全く同じ感想だった。
「さあ、続きをしようか。その姿なら大丈夫なはずだ。俺ももう我慢できない…!」
彼のモノはビクンビクンと波打ちその先からは先走り液が滴り落ちている。
私はその欲望の塊をくわえ込もうと股を広げた。
ズチュ…ヌチュ…
いやらしい音をたてながら彼の巨大なペニスが私の中に入って行く。
先程のように窮屈な事は無く、熱い肉棒の感触が私の中に感じられる。
しかし根本までくわえ込む前にその進行は阻まれた。
「大丈夫…行って…」
彼は一呼吸置いた後、腰を深く沈めた。処女膜を突き破り熱い肉の塊が
私の一番奥へと達する。
「ハァッ…アアアアアアアゥッ」
私の中で快楽が爆発した。
「ハァ…ッ…ハァッ…」
「動いても…いいかい?」
私は無言で頷く。
彼はそのままゆっくりと腰を前後に動かす。
ズチュズチュヌチュヌチュと音が漏れやがて
その動きも激しくなっていき私の感情も再び上り詰めていく。
「もう…そろそろ…限界だッ!」
「いい…よ!大丈夫…ッ!」
「ウ、ウアアアアアッッ!!!」
ドプッ ドピュゥッ ドピュルルルドプッ
私の中に大量の熱い迸りが放たれたのを感じる。
「ヒィアアアアアアアアアゥゥッ!!」
私も同時に叫び声を上げながら絶頂に達した。
「ハァッハァッ…」
しばらくして彼がペニスを引き抜くと
ゴプッ ゴポッ
と音を立てながら私の中から大量の白濁した
液体が漏れて出る。凄い量だ。
「良かった…あなたに出会えて…」
「俺もだよ…」
その日から私の人生は大きく変わった。
昼の仕事は以前よりうまくいくようになり周りからも
急に明るくなってどうしたの?と聞かれる事が多くなった。
そして満月の夜は獣となり彼との愛を確かめ合う。
私は今充実している。
583:名無しさん@ピンキー
09/02/04 17:15:00 ZuhF2DGN
GJだぜ
狼女の香りがするようだ
584:名無しさん@ピンキー
09/02/04 22:00:08 jMuKIdwH
GJだがハンネそれでいいのかw
585:名無しさん@ピンキー
09/02/04 22:12:59 xotazjnW
続きが出来たので投下します。
融合もの、>>525->>529の続きです。苦手な人は「おめざめのじかん・つづき」でNGよろすく。
586:おめざめのじかん・つづき
09/02/04 22:15:30 xotazjnW
後背位で繋がったままの二人。まず変化を始めたのは、兄の和義であった。
膝立ちの両足、その体毛が一気に抜け落ちると、ぐにゅりと足先が歪んだ。足の指は瞬く間に癒着し、溶け合い、なくなっていく。
右足と左足、全ての指がなくなると、今度は互いの足が絡み合い、ねじられながら徐々に後へ伸びていき、少しずつその長さを増していった。
「あが、ぐが、ぎゃ」
のけぞったままで大きく開けながら、意味のない音の羅列を発し続ける彼の口。その端から顎を経て、由希の肌白い背中へぽとりと落ちる涎の雫。
右の瞳からまるで色を失うように、虹彩が消えていく。足の先端がねじられながら癒着し、そのの変化は膝まで進み、開くことは不可能だ。さらに伸びて一つになった
足先の皮膚に少しひびが走り、肌色は色を濃くし、緑がかった青色へと変色を始めた。同時に、由希も変化を始めた。
「ああ、くは、ああんっ!」
和義の肉棒をくわえ込んだ由希の淫唇は、悦びに二、三度うち震えるとピッタリと閉じていく。その内側では、彼を離すまいと蠢いていた襞がぼこぼこと暴れ、
亀頭を、陰茎を取り込んでいた。それが完全に溶け合うと、秘裂と怒張の根元も融合し、二人は完全に繋がった。
「はあ、んふう、ひき、くがっ!」
彼女の太腿がそれぞれ、内側から膨らみながら太さを増し、長さを増す。それに耐え切れなくなったのか、由希は重心を後ろに下げ、前かがみの正座のような格好になる。
本来ならば後の兄が支えになるはずだったが、彼の足は骨格までもが癒着して再構成されて、支えることはできなかった。
異様に膨らんだ腿が脹脛に触れると、皮膚の下の肉がうごめくようにして飲み込み始めた。踵は同じように膨張を始めた尻肉に埋没し、皮膚の境を無くしていく。
「はあ、んふう、ひき、くがっ!」
膝から先は完全に太腿に飲み込まれ、臀部の柔肉に埋まっていく両足も、もうそれぞれの指を残すだけになった。それが完全に無くなるのも時間の問題だろう。
さらに、無くなった足を補うように、新しい足が膝に形作られていく。大腿骨の先端が変化を始め、正真正銘「膝立ち」している由希を支えるべく、
膝頭を突き破り、鋭利な突起が三つシーツに食い込んだ。
587:おめざめのじかん・つづき
09/02/04 22:17:23 xotazjnW
「おう、うお、おおおっ!」
「はう、ひあ、ひあ、ひくうっ!」
肥大化した由希の尻肉。和義の睾丸が、その谷間に吸い込まれるように融解し、二人の性器は完全に一つになった。それでも変化は留まらず、密着している彼の腰も、
膨らみ続ける彼女の臀部との区別をなくし、癒着を始めた。
「かはぁーっ、はぁーっ」
和義の両足は、原型を留めていなかった。
融合と皮膚の硬化、変色は、太腿の付け根まで及び、巨大な一本の尾、としか形容できなくなっていた。
いや、それは尾そのものだろう。快楽に震えているのか、左右に空を切りながらベッドの上でのたうっている。
「ふあぁぁ、あはぁぁぁ」
快楽に染まりきった由希の表情。左目は意思の光を失って久しく、右目の虹彩が、爬虫類を思わせる縦に伸びた切れ長のものへと、その色も紅くなりながら変化していく。
「あ、ああ…」
そうして、下半身は一つになった。由希の膝だった部位には三つの鍵爪が生えた大きな足が出来、尻尾と化した彼の両足と同じく、皮膚の硬質化、いや鱗化が始まっていた。
程なくして、腰から上の融合が始まる。
「ぐげ、げぐえうきえいかがああぐっ!」
呻きともつかない不気味な声が開けっ放しの彼の口から漏れ、何とか残った上半身を、彼女の背中に重ねるようにして、融合した根元から少しづつ重ねていく。アイスクリームが
溶けていくかのように、肌が重なった部分から張り付き、癒着していく。
時を同じくして、ぼきぼきと何かが折れるような音を響かせながら、和義の両腕が肘から手首からそうでない部分から折れ曲がり、左右に伸び始めた。両手の指も音を鳴らしながら
異様に伸びていった。その間には皮膚が張られ、また同じように腋と二の腕に張られた皮膚が、少しづつ広がっていく。
人間とは呼べないような、異様な姿になりながらも、二人はその全てが快楽に変換されていた。
細胞が核レベルで結びつく。筋肉の繊維一本一本が交互に編み上げられ、骨は互いに癒着する。血管と神経が絡み合いながら再構成され、脂肪は溶け合って肥大化し、筋肉の一部へと
変換される。内臓までもが融合を始め、人間ではない何かへと適した形へ変化していく。
そのすべてが、一つとなりかけている二人を、絶頂の瞬間のあの気持ちよさ、それを遥かに上回る性感になって二人の意識を揺さぶっていた。
上体を支えていた彼女の両手は爪が黒く、長くなり、緑の鱗に覆われ始めていた。上半身の融合はかなり進行し、和義の肩から下は由希と一つになっていた。融合箇所は肥大化し、
すぐに鱗が包んでいく。伸びきった両腕もそれに覆われ、広がっていた皮膚も変質し、一対の翼を形作った。
ついに肩が触れあい、融合が始まる。これが二人の少年少女であったという名残は、首から上にしか残されていなかった。由希の腹部は白色の強い、柔らかそうな蛇腹になり、
大きめな双丘は他の部分同様、緑青色に染まる。その頂は溶けるようにして、さらに成長を始めた双丘に飲み込まれた。
その姿は、まさに異形。
肩から下は二人より二周りも大きい、鱗に覆われた爬虫類のような何か。成長しきった巨大な乳房が唯一、人間の名残を匂わせる。
肩から上は、高校生の少年と中学生の少女、二人の頭が並んでいた。二人とも理性の欠片も無い、淫らに嗤った貌で、涎や涙を垂れ流していた。
そして、それぞれを個たらしめる自我の融解が始まる。
588:おめざめのじかん・つづき
09/02/04 22:18:52 xotazjnW
(お、お、れ、……ゆ、き……)
自我を掻き消すような激しい快楽に混じり、明らかに他人の思考、記憶が風前の灯と化した和義の理性に入り込み、意思の境界さえもが曖昧にぼやけ始めた。
(お、れ、は、ゆ、き…?ゆき、は、おれ…?)
入り込んだ他人の思考、それは由希のもので。
(そう。君は由希)
それを自覚した瞬間に、別の誰かの声がした。それは自分のものの様で、最愛の妹のものの様な、それでいて遥か昔から知っているような優しい声。
(そして、君は和義)
最早自分なのか、妹なのかさえ分からなくなった。
(そして、君は僕)
(う、うわあ、ゆ、ゆき、が、お、にい、ちゃ、んが、まざ、るぅ……まざっちゃ、うぅ……)
(そう。君たちは混ざって、一つになって、僕になるんだ)
二人の精神は完全に境界を失い、融合を果たした。そして声の主そのものへと変化していく。それに合わせるように二人の肉体は、加速度的に最後の変容を進めていった。
589:おめざめのじかん・つづき
09/02/04 22:21:53 xotazjnW
「「ああああああああああ!」」
並んだ口から叫び声を吐き出して、二人の首がぐぐりと伸び始めた。伸びながら和義の首は、由希のそれに根元から巻きついていく。そこから皮膚の境界が無くなり、太くなり、鱗が覆う。
首の成長が止まると、二人の頭が、勢い良く左右からぶつかり合った。
ぐしゃりといういやな音が、部屋に広がる。しかし二人の顔は、嗤ったままだった。
右半分が、由希の顔。
左半分は、和義の顔。
互いの顔の半分がめり込みながら、二人は口の端を吊り上げ、嗤っていた。
「あが、げがあっ」
鼻先が、上顎ごとめきめきと、前に伸びていく。下顎もあわせて伸び始める。
「けは、ごげ、ごぼっ」
髪の毛が抜け落ち始め、耳が引っ張られるように尖り、広がる。
「ぐぼ、ぐおお…」
ぽろぽろと抜けていく歯。しかし抜けた先から、尖った新たな歯が生えそろう。
「ぐおおおお……」
声帯までも融合し、人間とは思えない唸りが、喉の奥から響き始めた。髪の毛が完全に抜け落ち、変形した頭から、一対の角が伸びる。
「おおおおおおおっ!」
首を覆いつくした鱗は瞬く間に頭を覆い、伸びきった鼻先と顎を包んで。
「ぐるおおおおおおおおおおおおっっ!!」
右目を紅く、左目を蒼く輝かせて、生まれ変わった喜びを思い切り、咆哮へと乗せた。
590:おめざめのじかん・つづき
09/02/04 22:23:08 xotazjnW
それは、まさしく一匹の竜。
二人が自他の境を失い、ずるずると融合し、全く別の生物、一つの個へと纏まった姿。
(やっと、やっと果たしたよ。千年以上の時を経て、ようやく)
自分の体をあちこち見回しながら、人間には決して聞き取れない「声」で、満足げに呟く蒼き竜。
何度も何度も様々な生物に転生を繰り返しながら、力を溜め、再び空に羽ばたく為に。
(二人の人間に別れちゃったのは誤算だったな……)
別れた魂の欠片は、強く呼び合い、それは分離した二人が愛し合うという結果になって。
魂や力を精液や愛液に乗せて注ぎあい、ようやく今、長年の願いは果たされた。
(二人には悪いけど、ほんのちょっとだけ、休んでてね)
カーテンの端を銜えて、破かないようにそっと首を動かすと、寝静まった住宅地の僅かな明かりと、真っ白い月が佇んでいた。
(静かで、いい夜だ)
ベランダと部屋を隔てる大きなガラス戸も、首と口で器用に開け放つ。夜風が蒼い鱗を撫でる感触が、何よりも気持ちいい。
(久しぶりに飛ぶんだ。落ちないように気をつけなきゃね)
二人の人間が成り果てた、一匹の竜は、ベランダからふわりと飛び立つと、月明かりの差すほうへ、静かに、静かに舞い上がった。
が、そうは問屋が卸さないのであった。
彼はしっかりと航空自衛隊のレーダーサイトに捉えられ、ガ○ラやギ○オスとの交戦経験もある百戦錬磨の百里基地所属F-15Jと日が昇るまで
必死の鬼ごっこを繰り広げることになり。
へとへとになって逃げ帰ると、竜の体を保つだけの力さえも残っておらず、余韻も味わう間もなく和義と由希に戻った。
その日二人は一日中、謎の全身筋肉痛に悩まされていたそうな。
591:名無しさん@ピンキー
09/02/04 22:30:06 xotazjnW
終わりました。
溜まった食玩を組み立てながら書いていたら、こんなオチに。すいませんほんとすいません。
あと気に入った表現がありましたので、>>576さんのレスを一部お借りしています。
>>581さんGJです。挿入して獣化、いいですねえ。
592:名無しさん@ピンキー
09/02/04 22:35:25 WzwShpce
ちょ、オチwww
だがGJ
593:名無しさん@ピンキー
09/02/04 22:37:40 U8yBHDDZ
まさかのオチに吹いたw
しかしGJ!
594:名無しさん@ピンキー
09/02/04 22:53:51 4tVIGsBM
待ってました!なんという脱力オチwwww
でもそれまですごく興奮したー。融合変身って素晴らしい。ありがとう。
なんとなく元の二人に戻るシーンも見たかった(スレ違いだけど)
595:名無しさん@ピンキー
09/02/04 23:16:28 lkt+cri+
GJだ!!
筋肉痛www
596:名無しさん@ピンキー
09/02/06 00:40:51 Mc1JwkNS
そりゃ自衛隊も追いかけるだろうさww
ともかくGJ!!
スレチだけど俺も元に戻るシーン見たいな
597:名無しさん@ピンキー
09/02/07 00:36:56 5gVd+pDR
誰かサキュバス化書いてくらはい…
598:ドリアード書いた人
09/02/07 09:36:06 GxzEvt/t
>>597
変身菓子の短編として考えてはいるのですが……このスレだとスレ違い(変身度合い的に)になるのではないかと思ってますが、どうでしょう?
599:名無しさん@ピンキー
09/02/07 09:46:35 TFL5AzK1
特に問題ないかと思います。
600:名無しさん@ピンキー
09/02/07 10:00:55 44ZCL0zu
むしろ大歓迎です
601:名無しさん@ピンキー
09/02/07 11:03:13 5gVd+pDR
>>598 上にヴァルキリー化もありますので問題ないかと
というか是非
602:おにゃのこが悪魔になっちゃう話 第一章
09/02/09 02:34:17 voeJnhm9
私は悪魔神官。今日も馬鹿な人間を下僕にする仕事が始まるお・・。
「ここは・・どこ?」
「クク、ようやくお目覚めかい子猫ちゃん・・」
「あ、そうか私、酔っ払ってて、あの、ありがとうございます。
私もう一人で帰れますんで・・ってあれ?手足が、繋がれてる?!」
「ふふっまだ帰すわけにはいかない。君はひどく傷ついていた。
長く付き合っていた恋人に裏切られ、このままでは命も捨て兼ねない状態だった。
そんな君をひとりで帰すことはできない」
「うう、私見ず知らずの人にそんなことまでしゃべっちゃったの?
確かに、昨日彼に捨てられて、もうこの先どうなってもいいやって思ってた。
でもあなたにこれ以上構って欲しくないの。
だからお願い。とにかくこの鎖をはずして?ね?」
「ダメだ。君はもっと彼を恨まなければならない。心の底から」
「何を言ってるの?私はもう・・」
「忘れてなどいないはずだ。お前は何も悪いことはしていない。
一途に恋人のことを愛していただけ。それなのに」
「それなのに・・」
「やつはお前を」
「ううっ・・ひどいよ・・信じてたのに・・」
人間という種族ほど感情を操るのが簡単な生き物はいない。
憎しみの火種を引っ張り出すのに成功すればあとは燃え上がらせるだけ・・。
女の胸に手をかざし、どす黒い波動を送り込む。
女の胸に灯った憎しみの火種が徐々に膨れ上がっていく・・。
603:ちなみに598の人ではありません・・
09/02/09 02:38:05 voeJnhm9
「ああムカつく・・ムカつき過ぎて気持ち悪いよ・・あああ」
女の顔が次第に険悪になっていく。悪夢にでもうなされているような表情だ。
構わず波動を送り続ける。
次第に女のうなり声は大きくなる。
「ああ!苦しい!憎い!憎いぃ!!あああ誰かあ!誰か助けて!」
火種が悲鳴を吸収しているかのようにボウボウと音を立てて燃え始める。
女は胸を掻きむしるような仕種で縛られた手足をじたばたと動かし始める。
やがて悲鳴は絶叫へと変わる。
「あああああああ!!アイツ!!あの野郎!!よくも!!よくも!!
ああっ!!はあああ苦しいよおぉぉぉ!!」
女の形相は怒りに歪み、まるで犬のように唾と罵声を盛大に吐き出す。
ここまでくれば私が波動を送るまでもなく、炎は自然と燃え上がっていく。
「ぅっがああああ!!コロス!コロス!殺してやる!ぶっ殺してやる!!!
あのイ○ポ野郎!!ぶっ殺してやるあああああ!!」
怒りに取り付かれるとこうも醜く成り果ててしまうのだろうか。
人間とは脆い生き物だ。そろそろ人間の肉体では
憎しみを制御出来なくなってくる。女の身体も次第に作り替えられていくはずだ。
血圧が人体の限界値を越え、女の鼻から勢いよく鼻血がブッと飛び出す。
「きゃあああああ熱いぃ!!身体が焼けるうぅ!!!」
綺麗に装飾を施されていた爪は既に5センチ程まで伸び、硬く鋭いものに成り代わってしまった。
女が暴れる度に自らの服を切り裂き、白い肌を傷つけている。
大きく見開かれた眼球は、瞳の部分を残し、
白眼の部分が鮮やかな黄金色に染まって行く。
犬歯は徐々に鋭さを増し、唇の中に収まらなくなる。
「くああぁ!!!熱い!!あっ?アタマいったああああい!!!」
悲鳴を上げる女の頭上に悪魔の象徴である二本の角が姿を現し始めた。
ゆっくりと髪を掻き分けながら、メリメリと何かが軋むような音を立てて伸びてゆく。
604:おにゃのこが悪魔になっちゃう話 第一章
09/02/09 02:51:25 voeJnhm9
角が完全に生え終わる頃、女の全身の筋肉は悪魔特有のものへと姿を変える。
身体中がピクピクと震え出し、色白の肌は次第にくすんでいく・・。
その色はやがて鮮やかな紫色を発色し始め、女の手足から顔、局部に至る全身が美しい紫色に変化した。
「はあ・・・くっ・・はあっ!・・」
紫色に染まった女の全身は依然痙攣を繰り返しており、
身体全体を酷使するあまり全身に太い血管が浮かび上がる。
その血管は人間のものとは違いグロテスクにうねうねと女の身体中を波打つ。
痙攣していた筋肉は次第に膨張し、脂肪に包まれた女性特有の柔らかいシルエットは
少しずつ筋肉質なものへと変化する。
緩やかな曲線を描く紫色の肌に次々と影が刻まれてゆく。
「くうぅぅ!ああああ!」
腹筋は八つに割れ、二の腕やふくらはぎも大きく盛り上がる。
頭を支える首も一回り太くなり、更に強靭さを増す。
女性のシンボルである胸部は更に巨大化し、
小ぶりだった女の胸ははちきれんばかりに膨れ上がってしまった。
身体の変化に引き続き顔の痙攣が起き、女の顔も変わってゆく。
眉間に深く刻まれたシワは筋肉の膨脹によりさらに盛り上がり、
眉は全て抜け落ち、まるで仁王のような目つきとなった。
鼻っ柱がゴキ
605:変なとこで切れてしまっ
09/02/09 02:55:18 voeJnhm9
鼻っ柱がゴキゴキと音を立て、依然よりごつくなり、小鼻の筋肉も大きくなった。
髪の毛はこの人間の場合抜けることはなく、依然チャラチャラした髪型のままだ。
「悪魔らしい顔つきになったもんだ」
「ぐおおぉぉ!!なにこれぇ!!力が溢れるみたい!!うがああああ!!」
ガチャンと音を立て繋がれた鎖が引きちぎられた。
これで変身終了だ。
「キアアアアアアア!!ぐおおおおああああ!!」
女は悪魔になった喜びにうち奮え、歓喜の雄叫びを上げた。
とりあえずここで終わりです。
気が向いたら第二章も書くかもしれないです。
読んで下さってありがとうございました。
606:名無しさん@ピンキー
09/02/09 17:09:33 RS80kDGg
GJ
最初ふたなりか男体化したと思ったぜ
鼻血表現が新鮮だな
607:名無しさん@ピンキー
09/02/11 13:10:17 5r1HEFTt
第二章wktk
608:名無しさん@ピンキー
09/02/11 21:50:43 NsnfHihJ
いつの間にかすごいのがきてた
第二章にwktk
>>605
GJ!
609:名無しさん@ピンキー
09/02/12 18:24:13 dIFOnEAQ
続きです。二章では女主観の文章になります。
「はぁ・・くっ・・はぁ・・はぁ・・」
「お疲れ様。気分はどうだね?」
「はぁ、はぁ、なんだか、身体中から力が湧き出てるみたいで、すごく気持ちいい・・。
今ならなんだってできるような・・。あなた、私に覚せい剤でも打ったの?」
「ははは!そうだな。覚せい剤みたいなもんだ。しばらくその快感に酔いしれるがいい」
この男に縛られて、さっきまですごい苦しみを与えられてたはずなのに、
そんなのもうどうでもよくなるほど、身体中に溢れるこの力は心地いいものだった。
今までぼやけていた視界に一気に鮮やかな色が着色され、
素晴らしい世界を手に入れたような、そんな気分。
「んんんあああ!この力、一体なんなの・・ああんもう抑え切れない!」
私は腕を振り上げ、近くにある机に思いっきり両手を振り下ろした。
するとずがーんとすごい音を立て、机は真っ二つに折れてしまった。
それはまるで発泡スチロールのように脆い感触だった。
「ぇ・・嘘・・やだ、これ、私がやったの・・?え、これって夢?」
「夢ではない。これは現実だ。それがお前の新しい力だ」
「え、でも今、すごい簡単にこんな・・え?なに、これ?」
「混乱しているな、いいかよく聞け!お前は悪魔に生まれ変わった!
もう人間ではないのだ!先程お前が受けた苦痛は全て
人間から悪魔に変わる儀式のようなものだ」
この人一体何を言っているの?私が悪魔?悪魔ってほんとにいるの?
「てことはあなたも悪魔なの?」
「当然だ。今はお前を警戒させないために人間に擬態しているが、
本来の姿は違う。しかしお前の姿は悪魔そのものだがな」
610:名無しさん@ピンキー
09/02/12 18:25:23 dIFOnEAQ
私の姿が悪魔?何を言ってるのだろう?そんなはずがない。
私は人間だし、人間の女の子・・・でも、この紫の肌は何??
この黒くて尖った爪は??ボディービルダーのような腹筋・・メロンみたいな・・・・。
いやだ、これ、私の身体じゃないよね・・・?
「ククク、まだ信じられぬか。鏡でも見てくるんだな」
私は洗面台に向かい、そっと鏡を覗いた。
「・・・・きゃあ」
そこにいたのは悪魔。そう呼ぶことしかできないような姿。
その悪魔が両手で口を隠すような女の子っぽい仕草をした。
それはまさしく私のリアクションだった。
私が右手を動かすと右手が動き、左手を動かすと左手が動く。
「やっぱりこれ・・私なんだ・・」
私は結構かわいい方だと思ってた。男の子にもちやほやされてたし、
雑誌モデルなんかもやってた。でも目の前の・・・私は・・。
「・・嘘でしょ・・こんなのやだぁ・・・ねぇ、人間に戻してぇ!戻してよ!!」
「もう無理だ。一度なってしまったもんは元に戻すことはできん。諦めろ」
「そんな・・・こんなの・・」
611:名無しさん@ピンキー
09/02/12 18:27:01 dIFOnEAQ
「じっくり自分の姿を見ろ。そして慣れろ。悪魔としてはなかなか悪くない」
「誉めことばになってないよぉ・・」
身体つきはまるで男。それも格闘技でもやってるような。
でもおっぱいだけは前より女・・・身体を触ると、カチカチなのに
オッパイだけすごく柔らくて、ふにふに気持ちいい。
オッパイを触る手は血管だらけのおっきな手。
毎日クリームでお手入れしてたのが馬鹿みたい。
顔は・・・怖い。怒ってないのに常に怒ったような顔。
でも私の顔の面影がちゃんとあって、それがまたすごく嫌!
外国人のように眉の部分がぼこっと盛り上がり、そのせいで目が奥にある感じ。
その目は真ん中の小さな瞳の部分以外は金色になってて、
まるで獣のようにギラギラ光りを放ってる。
睫毛はエクステをつけていたので、いまだに濃くて長くて逆に気持ち悪い。
こんなのに睨まれたら動けなくなっちゃうほど怖い。
前は小さくて低くもない大好きだった鼻が、今じゃ見る影もない程変形している。
鼻の筋肉が発達したせいか、ちょっと力を入れただけで
小鼻をヒクヒク動かすことができる。
唇はどす黒い色に染まり、犬歯が上唇を少しめくれ上がらせ、下に伸びてる。
頭の上にはご丁寧に角まで生えちゃって。
で�
612:また変なとこで(ry
09/02/12 18:28:39 dIFOnEAQ
でもそんな悪魔が女の子らしい髪型をしてるんだから笑っちゃう。
まるでカツラを被ってるみたいだけど、これは紛れも無く私の髪。
両側から紫色の耳が長く伸び、耳たぶにピアスが光る。
笑ったり怒ったりしてみた。眉間のシワのせいでどんな顔をしても不気味だ。
でもやはりよく見ると私の顔がベースなってるのがわかるため、
自分の顔がこんなに変わってしまったんだということをすごく実感してしまう。
613:名無しさん@ピンキー
09/02/12 18:32:53 dIFOnEAQ
「はは・・・どうすんのよ、これ、完全に悪魔じゃん・・・。
さっきの力も、この身体も、全部本物だったんだ・・」
「人間の美的感覚などすぐに忘れる。とにかく慣れろ」
「うぅ、私これからどうやって生きていけばいいのよ?」
「さっきの力を忘れたか。その力を利用すれば不可能なことなどないはずだ。
人間の感覚でいえば一夜にして大金を手に入れたのと同じこと。
それとまだ自覚はないだろうが、お前は悪魔だ。
外見だけではなく心もすでに悪魔。
今はまだくだらん人間の名残を捨てきれずにいるようだが、
心も悪に染まり完全な悪魔となれば
羽も形成され自由に空を舞うこともできるだろう」
「ええ、羽とかも生えちゃうんだ。きもちわるっ!」
「さて、私はまだまだこの仕事を続けねばならんからな。
そろそろここを去らねばならないんだが、他に何か聞きたいことはあるか?」
「あっ、えっ?いきなり言われると・・てゆうかまた
私みたいな女の子を悪魔にしちゃうんですか?」
「女だろうが男だろうが関係ない。しかし女の方が嫉妬深く単純だから作業が楽かな。
質問がないなら私は行くぞ」
「あああ待って!あなたがいなくなったら私どうすれば」
「別れた男にも同じような台詞を言ったのか?」
「えっ・・・」
ドクン・・・・・
「ではさらばだ。お前の成長を楽しみにしているぞ!」
そう言い残すと、悪魔は背中から巨大な羽を広げ、
バサバサと音を立てて飛んでいった。
別れた男・・その言葉を聞いたとき、全身に奇妙な感覚が走った。
614:名無しさん@ピンキー
09/02/12 18:34:27 dIFOnEAQ
別れた、男・・・。
そうだった・・・。
忘れかけた感覚を必死にたぐりよせるように、私は鏡の前に立ち尽くしていた。
蘇る。静かに。ドクン。また。ふつふつと燃え上がるようなこの感じ。
燃え上がると同時にスーッと気分が楽になるような不思議な感覚。
憎しみ、恨み、悲しみ、怒り、そういうのを越えてしまったような、素敵な快楽。
「そうだ、思い出した。私、あいつを、殺さなきゃ・・」
そう口にした瞬間、自分でも信じられないほどの力が全身を駆け巡った。
「ひっ!殺す?殺すって、犯罪だよ?それでもやるっていうの?
あひっ!力が!やばい!また!」
彼を殺すことをイメージしただけで、身体が跳びはねる。
鏡を見た。目の前の悪魔は、私は笑っていた。
でも少し見慣れたせいか、あまり違和感はない。これが私の顔。新しい顔。
口からよだれを垂らしてる。ああ、そうなんだ。私お腹空いたんだ。
今日はお肉が食べたいなあ。とりあえず「お買い物」に行かなきゃ。
私はいてもたってもいられなくなって、部屋の扉を開けた。
615:名無しさん@ピンキー
09/02/12 18:39:08 dIFOnEAQ
とりあえず終わりです。続きは構想はあるんですが、
もともと文章書くのが苦手なので
結構しんどくてちょっとどうなるかわかんないです。
読んで下さった方ありがとうございました。
616:名無しさん@ピンキー
09/02/12 19:20:36 UfbZpMm1
wktk・・・・GJ!
617:名無しさん@ピンキー
09/02/14 01:59:16 HhHoNQqB
gj 続き待っててもいいんだよね……
618:名無しさん@ピンキー
09/02/14 21:52:05 INgmGf7j
>>615
GJです。
正直、ここまで相手を憎むなり性格変わるなりといった描写は書けないので、羨ましいです。
そっか……悪魔変化ってこんな風にも書けるんだ……。
619:ドリアード書いた人
09/02/14 23:22:19 INgmGf7j
お待たせしました!
不出来ながら『変身菓子2』をお届けいたします。
どうぞ、ごゆるりと。
620:『変身菓子2』
09/02/14 23:23:11 INgmGf7j
「さくまん、ちぇ~っく!」
説明しよう!さくまんちぇっくとは、町に溢れる目新しいものを、クラスにいるマイフレンドにごきょ~じゅするというすンばらすぃ~行為なのですっ♪
「……」
隣の席にいるマイソウルフレンド、もりりんは相変わらず冷ややかな目だけどね。
「もう、ノリが悪いな~。booマーク進呈しちゃうよ?」
「booマークって何よ。それよりアンタは勉強しなくていいの?」
「勉強?」
はて、何か勉強しなきゃならないイベントってあったっけっな?テスト週間は来週からだし、小テストは今日の授業ぢゃないし……体育のテスト?
キョトンとしてるわたしに、もりりんはどこか呆れたような声で返してきた。
「アンタねぇ……テスト週間一週間前でよくそんな余裕があるわねぇ……地域経済論の雲田教授、レジュメ52枚あるのよ?」
「……あ」
そうだった♪確かに52枚もあったら今から勉強しないと間に合わなくなるよね~。うんうん。持つべきものはやっぱり友達だよ~♪
「もりりんありがと~♪」
「うわっ!やめ、ちょくっつかないの佐久間!」
ん~、もりりんの肌触りいい感じだよぉ~♪ほんと、いつもありがと~♪
―――――――
さてさて♪
やっぱり勉強と言えば甘いものは欠かせないよね?で、も……同じものばっかり食べるのは私的にイヤ~。新鮮なものが欲しいのは当たり前だよね?ね?
そんなわけでわたしは、町の中を新鮮なスイーツを求めてフラフラしてたのでした。バッグにはレジュメ52P入れてるから、店内で出来るしね~♪にっひひ~♪
鼻の赴くまま目の指図のままあちこちに歩き回るわたし。ん~、流石に町内全制覇しちゃったかな?チョコ系の美味しい店とか~チェックノート一杯にあるしね~。
「ん~ど~しよっかな~?」
流石にウンディーネ印のコーヒーショップで一息はしたくないしな~。『トミタクロス』のチョコケーキはなぁ……。
な~んてとりとめもないことを考えて歩いていると……?
「……んあ……んお?」
あれ?あんな店あったっけ?ノートチェック……無いや。最近出来たのかな?でも工事の人が来た気配はないし、ドリルや石割機の音もした覚えはないし……?
あ、甘い香り♪何屋さんなんだろ~……?
「んふふ~♪行ってみよ~♪」
バックを掴んで早速れっつごぉ♪
621:『変身菓子2』
09/02/14 23:25:05 INgmGf7j
―――――――
「わ~お客さんだ~!いらっしゃいませ~!」
わりと可愛らしい、小学生くらいの女の子が出迎えてくれたこのお店―洋菓子屋さん!あぁなんてわたしはついてるんだろうっ!神様がいるならグッジョブ!
「座席はこちらで~す♪」
「はいは~い♪」
内装が新しいし、あまり人もいないから、まだ知られてないのかな?品揃えも……まだ少ないか~。さてと~♪
「チョコガナッシュひとつ、ココアをホットでお願いします♪」
「は~い♪」
明るくとてとてと店の奥に走っていく女の子。うぅ……まるで人形みたい……可愛いよぉ……お持ち帰りぃ……はマズイや。誘拐だし。
取り出したレジュメの要点部分に黄色の蛍光マーカーを色塗りしていると、さっきの女の子がととととと歩いて、チョコガナッシュケーキとココアの乗ったお盆を運んできた。
「お待たせいたしました~♪チョコガナッシュとココアでございま~す♪」
そのまま注文した品物が書かれた紙をプラスチックの容器に入れて、「ごゆっくりどうぞ~♪」と、ぺこりと頭を下げた。あ~う~可愛いよぉ!
よし決めた。あの子のためにまた通おう!
さてさて……ってあれ?レジュメこれだけ?何だ要点沢山無いじゃ~ん。はいマークしゅーりょー。さぁてチョコガナッシュガナッシュ~♪
わたしはフォークを手にとって、ガナッシュを切り分け、口に運ぶと……!?
―あ~、わたし、わかっちゃった。
ミスター〇っ子の審査員の気分。
叫ぶわけにはいかないけどね~これが防音加工された部屋なら多分わたしは叫んでいただろうな。
「(ん~~~~~~~ま~~~~~~~~い~~~~~~~~ぞ~~~~~~~っ♪)」
何これ何の原料使ってるの!?寧ろ今まで食べたチョコは何を使ってるの!?こんなにも違いすぎでしょお!?
くっそーこんな店を今まで知らなかったなんてさくまん一生の不覚ッ!
あぁ……フォークがとまらないよぉ……幸せがとまらないよぉ……誰かとめて……ううん……止めないでぇ……!
「―あ……」
気付けば、わたしのお皿にあるのは、チョコガナッシュに乗っていた粉ココアだけだった。
口の中には、まだあの甘い舌触りと、絡み付くようなリキュールの香りが残っている。
わたしは、無意識のうちに財布を取り出し、残りの小銭の数を確かめていた。
―まだ食べられる!
「済みません!あと二個お願いします!」
「は~い♪お待ちください~♪」
622:『変身菓子2』
09/02/14 23:29:08 INgmGf7j
女の子の声が遠くで響いてから、わたしはずっと、本来の目的なんて忘れてチョコガナッシュをうずうずと待っていたのでした♪
―――――――
「ふぁ……しあわせだよぉ……」
結局、合計四つもチョコガナッシュを食べちゃったわたしは、味の余韻に浸りながらふらふらと家に戻っていった。
もしかしたらケーキの中のリキュールに酔っちゃったのかもしれない。足取りは他の人から見たら酔っ払いのそれなのだ。
酔拳スキルがあれば、演舞なんか始めちゃったりして楽しいことになるだろうな~あはは~♪
ああ……体もなんかポカポカするよぉ……。
「たらいま~」
完全に呂律も回っていないわたしは、帰ってくるなりそのまま自室にゴー♪バッグとコートをポイ投げすると、さらに体が火照ってくるの。
「あは……熱いよぉ……」
えい、脱いじゃえ♪
セーターもシャツも、スカートも下着も靴下も、何もかも脱ぎ捨て、わたしは布団に倒れ込んだ。人肌より冷たい布団の感触が、たまらなく気持ち良くて……。
「んふふ……みゅう……」
ふぁ……なんか……ねむくなってきちゃった……。
……ねちゃお……。
―――――――
とくん……
とくん……
……ぅぅぅ……
……とくん……
…………とくん
ぅぅぅぅ………ん。
「……んんんっ……」
……なんだろ……からだが……ぽかぽか……なのに……きゅんとして……?
どこか……むずむずする……。
なんだろ……このきもち……。
「……あ……」
あまい……かおり……。
まるで、チョコガナッシュのような……どこまでもあまくて……しあわせなかおりが……いっぱい……。
……とくん……
あ……からだが……あつい?
なんだろ……このかおり……わたしが……っ!
「~~~~っ!」
ぼおっとしたまま起き上がろうとしたわたしの手が、すっとお〇んこに触れた瞬間、わたしの体にスパークが走った!
突然の事で心の準備も出来ていなかったわたしは、くたりと力が抜けて倒れてしまう!その拍子に―!
「ふゃああああああっ!」
さっきまで当たっていた筈の布団。それは何かで濡れていて、わたしのお〇んこにぴっしりくっついた!それがわたしの中にまた電気を打ち込む!
「(なっ……何!?今の感じぃ……)」
痛い、とはまた違う、寧ろ、やられればやられるほどに疼いていく……またやって欲しくなる……やられないと物足りなくなっていく……。
623:『変身菓子2』
09/02/14 23:30:16 INgmGf7j
「……ぇえっと……ここ……だよね?」
今まで、そこまで弄ったことの無い場所だった。どうしても気持ち悪いとき以外、触れたこともなかった。
その程度も、今よりもっとおとなしかった。それが―。
「(……んあぁあっ……お〇んこ……じくじくするよぉ……)」
疼く。物足りないって、何度もわたしに語りかけているよぉ……。
とくん、とくんって、まるで心臓のように音を鳴らす大事な場所に、わたしは……恐る恐る手を近付けてみた。
くちゃぁ……
「(……わぁ……)」
まるで自動ドアのように、近付く手に合わせて自然と口を開いた秘部。同時に、私を取り囲む甘い香りも濃厚になった。
「(ぁぁ……いれちゃうよ……お〇んこにいれちゃうよぉ……!)」
もうわたしの頭には、自分の手をお〇んこにいれる事しか考えられなくなっていた。まるで鍵穴に差し込むように、ゆっくりと指を近付けていく。
以前やっていた時のように、人差し指と中指をくっつけて、ゆっくりと突っ込んだ―瞬間!
ぐにゅっ
「―っひゃああああああああああああ!?」
わたしのお〇んこが指に絡み付くようにその唇を閉じたのだ!
とろとろの愛液ですっかり解れているわたしの膣の中では、異様に柔らかくなった襞がまるで無数の舌のようにうにうにと指に絡んで密着してくる!
その上指の感覚が形を想像できるほど生々しく伝わってきて、全てピリピリとした感覚に変化してわたしの中を巡っていくのだ!
「(わ、わぁぁ)ひぁぁぁぁぁぁっ!」
ずぽっ……と深い音を立てて、指を抜いてしまうわたしだったけど、抜ける最後の瞬間まで膣はわたしの指に絡み付いていた。
そして抜ける瞬間、指の爪が膣肉をこりっ、と掻いてしまい、その刺激がわたしの全身にサンダーボルトを打ち込んだ!
ぷしゅっ、と軽く愛液を吐き出してしまうわたしの息は、既にはぁはぁと荒くなっており、全身を包む熱はいよいよ高くなっている。
「……っはぁ……はぁ……ぁ……」
わたしの愛液は、徐々に気化していくと、この部屋を満たす甘い気体に変化する。
それがわたしの皮膚からもどんどん入っていって、それがわたしの脈を、どんどん上げていく……どんどん、体が物足りなくなっていく……!
「……ぁぁ……ぁ……ぅ……」
段々と、わたしの頭から理性の箍が消えていく……。消えて、気持ちいい事を求める心が―!
「―あああああああああああああああっ!」
624:『変身菓子2』
09/02/14 23:35:01 INgmGf7j
先程まで二本入れていたところを、今度は三本、四本と突っ込んでは抜く、突っ込んでは抜くように腕を動かし始めていた。
まるで男のそれを受け入れているようにストロークを繰り返す腕に合わせるように、膣肉は膨張と収縮を繰り返し、指を優しく包み、体を擦り寄せていく!
いれる瞬間の勢いで大量の襞を撫で、抜く際にもそのまま膣自体がずるりと外に出ちゃうんじゃないかってくらいに肉の壁を押し付けて来る!
「あぅあんっ!あはぁっ!あはぁあんっ!あはぁぁあんっ!」
いつの間にか、わたしは手首は愚か、腕までを体に突っ込んでいた。膣肉は愚か子宮まで届くストロークに、腕と淫唇の隙間からは甘い愛液が盛れ出していく!
出し入れが激しくなる度に、わたしの中で何か熱いものが暴れ、外に溢れ出そうとする。
背中が、お尻の辺りが、頭が、特に焼ききれそうなほどに熱い。しかも、どこかもぞもぞしているような感覚があった。
それがもどかしい……もどかしい……モドカシイ!
「(あはんっ!あぁんっ!きっ、きもっ、きもち……キモチイイイイイイイイイイイイイイイイイッ!)」
既に頭は歓喜の声をあげていて、後はちょっとした切っ掛けだけだった。それは―!?
こりぷにゅん!
「―?」
……あれれ?何だろ。今、わたし、何を掴んでいるのかな?あれれ?何でだろ、からだが、ふ、る、え―!
「―!!!!!!!!!!!」
イ、イキ、イ、イカ―イックゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥっ!
ぶじゅしゃああああああああああああああああああああっ!
ストロークの最中、偶然わたしが握ったものは、感度が上昇して膨れ上がっていた陰核―つまりク〇トリスだった。
性感帯の集合体であるそれを、潰しそうになるほどの力で握ったことによって、心臓付近を杭で打たれるような、下手したら死にそうになるほど強烈な快感が脳に直撃して―
―盛大にイってしまったのだ。
「はぅ……はは……んぁっ……」
あぁぅ……きもち……いい……!
ぶじゅん!
ぶじゅばさぁっ!
ぐりゅうんっ!
「あぅんっ!あぁあんっ!んああああああっ!」
絶頂の余韻に浸るわたしをさらに襲うように、背中とお尻、頭から何かがずり出てきた。神経がもう通ってるらしく、すぐに動かすことが出来た。でも……。
「(あふ……んあ……きもちいいよぉ……)」
出来立ての神経って、動かしたりするとびくびくってなって、気持ち良くなっちゃうんだよねぇ……。
625:『変身菓子2』
09/02/14 23:36:14 INgmGf7j
「……ふぁぁ……んぁぁ……ひぁぁ……ん」
でも、しばらくゆっくり動かしていたら、段々となれてきたみたい♪でも、いったい何を動かしてるんだろうって、鏡を見てみたら……?
「……わぁ……」
それは、わたしで間違いなかったけど、同時にわたしじゃなかった。
顔や腕、胴体や脚の形は基本的に変わってないし、顔にもわたしの面影はあった。でも―わたしの肌はこんなに白くないし、顔つきもこんなに綺麗じゃない。
髪の色もこんな、チョコレート色するわけ無いし、腕も、脚も、もうちょっとすらっとして無かった。
胴体なんか、全体的にむっちりして、特に胸は、アルファベットが一つくらい後ろになってるんじゃないかな?お尻も肉付きがよくなってるし……。
そして何よりの問題が、尾てい骨からは紫色の尻尾が、背中からは二対のコウモリみたいな羽が、そして頭からは山羊のようなツノが、可愛らしいサイズで生えていたことで……。
「……ん、んっ、んしょ、これ?ん?あん」
鏡の前でいろんなポーズをとるわたし。鏡の中の悪魔も、それに合わせて同じポーズをとる。
間違いなく、目の前の悪魔―サキュバスは、わたしでした♪
「…………」
さっきまでの快楽の余波で、ろくに考えることの出来ないわたしの頭に、何かがわたしの声で響くのだった。
―オトコ……モット……キモチイイ―
「……男……もっと……気持ちいい……」
その声を復唱するにつれて、わたしの子宮からは愛液がこぼれ落ち、布団をさらに甘く染める。
体の中からも発情臭が沸き立ち、部屋が霞んで見えるほどの濃度になる。もしこの部屋に男の子が入ったら……♪
「……にひひっ♪」
その事を考えるだけで、なんか楽しくなってきた。きっときっと、気持ちよいことになるんだろうね……♪
まてよ?もし今この部屋を開けたら……!?
「……そりゃさすがに不味いね」
あまりにも大規模すぎるし~、みんな来られてもわたし一人じゃ相手できないし~。
………はぁ~あ。流石に一人ずつか~。できればみんなで楽しみたいんだけどなぁ♪にひひ……。
意地の悪い笑みを浮かべながら、わたしは部屋の窓を開けて外に出て、すぐに閉めた。鍵はしてないよ。もし泥棒さんが入っても、逝き狂いになるだけだしね♪
「ひははっ♪夜は初めてのさくまんちぇ~っく!」
さぁ!目指す先は繁華街!カップルを避けて独り身の人を狙うのだ!そうしてあの甘い部屋で……二人して……にひひはははっ♪
626:『変身菓子2』
09/02/14 23:37:31 INgmGf7j
「じゃあ、いってきま~す♪」
誰もいない甘い空間に挨拶をしたわたしは、翼を大きく広げ、月の夜に一人舞ったのでした♪
fin?
プチおまけ
「もりりん、甘い蜜ちょうだ~い♪」
「あのねぇ佐久間、アンタ三日前にも飲んだばっか―ひゃっ!」
「ぺろぺろぺろ~♪―うん!やっぱりここの蜜が一番美味しいよっ!」
「きゃっ!ひゃうっ!んはぁっ!こら佐久間!やめてっ!やめなさいって!」
こちらはfin.
627:ドリアード書いた人
09/02/14 23:39:22 INgmGf7j
以上です。
変身シーンが……失敗したorz
まぁ、バレンタインのチョコ話と言うことで一つお許しを。
―では、失礼いたしました。
628:名無しさん@ピンキー
09/02/15 02:08:16 N+Vfl0KX
>>627
GJ!エロさとかわいさを持ったサキュバスにハァハァしっぱなしでした!
ふわふわした世界感がかわいかったです!
629:名無しさん@ピンキー
09/02/15 23:13:58 N+Vfl0KX
空気読まず>>614の続き投下しますすみません
扉を開けた先に広がってたのは、闇。今は、夜?
澄んだ空気が心地よく頬を掠める。
私はただ、衣をはおることも靴を履くこともなく、全裸のまま足を踏み出す。
むしろ、これが当たり前のような気がした。なぜだかわからないけど。
裸で外に出るってなんて気持ちいいんだろう。
木々がざわざわと音を立てる。
人の気配はまるでない。どうやらここは人里離れた林の中のようだ。
あてもなく少し歩くと、さっきの建物の明かりも届かなくなり、
完全な闇へと辿り着く。
でも闇が深くなればなるほど、私の目は周りの景色をはっきりと写し出した。
木の位置や足元の石ころは勿論、地を這う虫の動きや
風に舞う木の葉の起動まで、まるで手に取るようにわかる。
「うふふ~ふふ~♪」
思わず鼻歌まで飛び出す。以前の私なら、こんな暗闇のど真ん中で
ひとりきりにされたら泣きわめいてたところだ。それがどう?
信じられる?こんな怖い場所が最高に気持ちいいなんて!
裸足で歩き回っているというのに足の裏は全く痛くない。
寒空の下裸でいても全然寒くない。なんて強靭な身体なんだろう!
もう怖いものなんてない!私、すごい身体になったんだ!
630:名無しさん@ピンキー
09/02/15 23:14:42 N+Vfl0KX
ガサ・・・ふいに後ろで何かが動いた。これって、コレって!!
何故か本能的にわかる。生き物、動物の気配だ!
私は全力で気配のする方へ走っていく。走っても走っても全然疲れない。
でも息が苦しくなるほどドキドキしてる。期待と喜びが入り交じった興奮からだ。
少しずつ臭いがしてくる。いい匂い、欲しい、食べたい!
ついに視界に黒い塊のような影を捕らえた。
「みつけたぁ・・・」
無防備に後ろを向いている、あれは子熊?
キョロキョロしているのは親とはぐれたから?そんなことはどうでもいい。
身体の中にあるタービンがゴウンゴウンと音を立てて回り始め、
体中の血が、筋肉が喜びにうち震えてる・・!
その快感に背筋がゾクゾクして、思わず目頭がじんわり熱くなる。
膝もガクガクと震える。これって武者震い?
ああ、わかるわ、もう我慢できないのね?じゃあせーのでいくよ?せーのっ!!
「うわあああああああああああああああ!!!!」
631:名無しさん@ピンキー
09/02/15 23:18:29 N+Vfl0KX
私は目標から一ミリも目を逸らさず、電光石火のごとく獲物に飛び掛かった。
小熊が振り返ろうとしたとき、すでに私の鋭い爪は獲物の喉をかっ切っていた。
声を上げる間もなく獲物はその場にどしんと倒れた。
血のシャワーが闇に降り注ぐ。
私はそのシャワーを浴びながら呆然と立ち尽くす。
やった・・・やった・・!やったんだ!私が!私が自分で殺ったんだ!
肉を裂く感覚がまだ手の中に残ってる。感覚が蘇るたび背筋がゾクゾクする。
目から温かい涙が次々溢れる。胸いっぱいに感動が広がる。
これだ!これが私の求めてた・・・!こんなの、今まで味わったことない!
これだ、これだったんだ・・。
あははは・・
「あはははははははははははは!!あーっははははははははは!!
やばい!やばいよコレ!気付いちゃった!!全部わかっちゃった!!
いいっひひひひひひひ!悪魔ってこういうことなんだ!!これだったんだ!!」
まるで頭の中でパズルが組み上がって、完成した絵は気持ちのいい
青空の絵だったような、そんな気分だった。
私はしばらくその場で馬鹿みたいに笑い続け、
落ち着いたらお腹が空いてたことを思い出したので、
地面に転がってた肉を食べた。
632:名無しさん@ピンキー
09/02/15 23:19:06 N+Vfl0KX
食事を終えたあと、とりあえずさっきの小屋に戻ることにした。
小屋の臭いは覚えていたので、さっきの小屋には簡単に戻れた。
扉を開けて鏡を見る。鏡に映る私は、自信に満ち溢れていた。
初めて獲物を狩った誇らしさに胸を張り、鼻を膨らませ、
満足感に目をほころばせ、口からため息を吐く。
そしてこの悪魔になった自分の姿を、正直悪くないと思った。
むしろ少しイケてるような気さえする。この筋肉、素敵。
肌の色、綺麗かも・・。
爪も。牙も。角も。生を支えるために必要なもの。
ピアスも指輪も、似合ってるわ。
顔もなかなか。もう人間だった頃の顔がよく思い出せないけど、
今の顔は嫌いじゃない。牙も綺麗に生えそろってる。
633:名無しさん@ピンキー
09/02/15 23:25:16 N+Vfl0KX
ただこの髪の毛は正直頂けない。さっき走るときも邪魔だった。
これをセットするのに何時間も費やしていたなんて信じられない。
人間ってこうやって考えると馬鹿なことばかりしてるのね。
コテで巻いてたふわふわの茶色い髪。醜い。この悪魔になった私には余りに醜い。
あつらえたようにバリカンが置いてある。あの悪魔が用意したのかしら。
なかなか気が利くじゃない?
私は忌ま忌ましい髪を一気にバリカンで剃りあげた。
バリバリと音を立て、髪がどんどん床に落ちてゆく。
髪の毛が落ちるとともに、自分の人間への未練や思いも
同時に落ちて消えてゆくような気がする。
お坊さんが雑念を捨てるときってこんな感じなんだろうか。
あっという間に私の頭はスキンヘッドになった。
紫の頭皮が剥き出しになり、所々太い血管が浮き出ている。
やはり今の私には間違いなくこっちの方が似合う。顔も凛々しく見える。
スキンになった私の顔つきは更に邪悪さが強調され、
人間らしさが無くなったように思えて誇らしかった。
卑屈になることはない。今の姿を誰に見られても恥ずかしくなんかない。
私は、正真正銘の悪魔なんだから。
634:名無しさん@ピンキー
09/02/15 23:28:04 N+Vfl0KX
ふとお尻の方に違和感を覚え、手を当ててみた。小さな突起が手に当たる。
「生えてきた♪」
すぐにわかった。これは尻尾だ。早く立派な尾を生やしたい。。
早く完全な悪魔になりたい。人間であったことなど、一刻も早く忘れ去りたい・・・。
完結です!もう続きはありません!
読んでくださってありがとうございました!
635:名無しさん@ピンキー
09/02/16 15:55:04 2C6EPC0A
お疲れ様です
636:名無しさん@ピンキー
09/02/16 19:25:44 NqArs2/8
GJだ。安らかに眠れ……
637:名無しさん@ピンキー
09/02/19 13:21:56 BTuYOey+
人やん…めっちゃ人やん…
638:名無しさん@ピンキー
09/02/24 11:36:38 utl71YYk
ワーウルフなら、やっぱりガロンみたいな感じで顔も狼にするべきなのかな?このスレでは。
639:名無しさん@ピンキー
09/02/24 18:43:48 ec3fEgdg
???
640:名無しさん@ピンキー
09/02/24 23:50:35 YcO/x5IX
・・・人面犬・・・というわけではないよな
世間の萌えキャラであるような耳尻尾だけの奴はこのスレではあまり受けは良くないと思うよ
内面描写に力を入れる等して異形化っぷりをよっぽど濃く描かない限りは
過去ログ、過去作品読んで方向性を掴むといい
641:名無しさん@ピンキー
09/02/28 08:51:57 2yya0GT5
なんかすごいんだけど、コレってなにかの作品かな?
URLリンク(www.youtube.com)
642:名無しさん@ピンキー
09/02/28 09:53:46 ahCa5EcU
今は亡き大御所じゃん
643:名無しさん@ピンキー
09/03/01 11:51:24 GVS7HLog
くそぅ そろそろ獣化SS読みたいな
最近 大型SSサイトはブログしか更新しないし……
644:名無しさん@ピンキー
09/03/01 12:47:25 KjVmLVlH
二強SSサイトは最近獣化少ないよね
片方はブログ片方は需要の違うSS
他のところも休止が大半で外国に頼るしかない
645:名無しさん@ピンキー
09/03/01 21:41:20 ZhIsbV1M
新参の俺のためにリンク集貼ってくれないか(´・ω・`)
646:名無しさん@ピンキー
09/03/01 23:22:30 wdGWaNCg
>645
URLリンク(www.kantei.go.jp)
647:名無しさん@ピンキー
09/03/02 00:06:12 pJxzmE5c
確かにリンク集だな
648:名無しさん@ピンキー
09/03/02 01:44:24 GFKNMktD
ひどいよー。・゚・(ノД`)・゚・。
649:名無しさん@ピンキー
09/03/02 07:26:10 YfM4gvBi
新参が免罪符になると思ったら大間違いだぞ
650:名無しさん@ピンキー
09/03/02 09:21:54 iawM8BTe
正直探そうと思えばその手のリンクからすぐに飛べるし……
片やマイナー所を刺激する?SSだったり
片や未完な作品が多かったりするがね
651:名無しさん@ピンキー
09/03/03 19:27:13 1pE3U5xX
でもリンク集のテンプレを作ればスレの活性化にもつながると思う
652:名無しさん@ピンキー
09/03/03 23:46:12 sX3Eaxi8
個人サイトを晒すなんて鬼畜の所業
653:名無しさん@ピンキー
09/03/04 16:24:52 NtyfioV8
俺だったらそっとサイト休止するレベル
654:名無しさん@ピンキー
09/03/06 00:34:00 YHjun1vy
風祭でググれ
655:名無しさん@ピンキー
09/03/11 03:07:51 M8o5ACmb
保守
656:名無しさん@ピンキー
09/03/15 19:04:05 A3VWOM68
「……保守、か」
そう呟きながら私は空を眺める。素敵な満月が広がっている……と言いたいところだけど、満月はあまり好きじゃない。月の表面が……ギーグのように見えて。
窓際に置いた机の上にあるのは、まんまるなチーズケーキ。しかもレモンの酸味が効いたレアチーズケーキだ。
『受験を終えた妹への労い兼ホワイトデー』
として兄が買ってきたものだ。兄は店で食べたらしく、「これは旨いぜ!」と妙な墨を私に与えてきた。専門家でもないくせに。
まぁいい。確かに美味しい。今まで食べたどの洋菓子よりも美味しい。あっさりペロリと一個平らげてしまった。
「……ん~」
その後、今日の日記をつけ終わった後、私は軽く伸びをして―外の満月が目に入った。
―瞬間、体の中に大量の熱が生まれた!
その熱は私を内側から焼き尽くすのではないかと言うほどに熱く、そして激しい。どっ、と汗が出る。脱がなくちゃ、脱がなくちゃ。
すべて服を脱ぎ終わった私は、あまりの熱さに立つことすら出来ず、そのまま床に四つん這いになる。
―その手が、腕が、狼のそれへと変じていく。銀の毛が全体を覆うように生え、指がスパイク状のそれに変化する。脚も同等の変化を遂げていた。
体全体がぞわぞわとすると同時に、首回りを含めた全身から銀色の毛が生え揃う。尾てい骨からは皮膚が延び、尻尾が形成されていく。
変化の度に、私は熱から解放されていく感覚を味わっていた。やがてそれは、理性までもを侵食にしていく。
鼻先や口が前に突き出て、歯が牙に変化する。まるで狼のようになった私の顔にも毛は生え揃っていく。
やがて、頭から尖った耳が二本突き出て―!
「―ウォォォォォォォォォォォォォォォンッ!」
私は、巨大な狼に変化していた。
657:名無しさん@ピンキー
09/03/15 19:37:39 CD02WGvG
保守関係ねえwww
658:名無しさん@ピンキー
09/03/16 00:07:20 oX/5B+AH
三回くらい読み直してどこがどう繋がってるのか考えてみたが結局何がどうなっているのかわからなかった
659:名無しさん@ピンキー
09/03/16 00:16:14 wMBCNert
>>656様
ワラタ
ここの住人の方は何でも異形化ネタにしてしまえるのが素敵ですね
660:名無しさん@ピンキー
09/03/16 00:48:34 Yh8HETG9
なるほど 縦読みすると保守が浮き出てくる仕組みか 凝ってるね!
661:656
09/03/16 07:40:46 SRzDhG5W
保守ネタを書くつもりが、普通にプチ変身菓子になってしまったのは秘密orz.
このくらいの人外度がこのスレでは恐らく良いのでしょうが、どうでしょう?
662:名無しさん@ピンキー
09/03/16 23:31:16 9Fcf12U8
俺はもっと激しいのがいいな
663:名無しさん@ピンキー
09/03/17 00:52:17 lURS+X5I
>>355です。以前はどうも失礼致しました。>>545の続きです。
すると黒ドレスの女性は幾重もの螺旋状に湾曲した杖を持ち上げ、月照らす闇夜にかざした。
杖の先端に嵌められた卵大の宝石が幾色もの光を灯し、微かな夜風が吹く。杖を戻し光が治まる
と、彼女の身体に異変が起きる。ドレスの下から背中が静かに隆起すると、皮膚の下からドレス
を貫通して漆黒の光沢を放つ一対の突起物が現れた。現れた突起物は中程で下向きに折れ曲がると、
いずれも彼女の身長を優に超すまでに伸びていく。やがてそれは羽毛に覆われた巨大な烏の翼と
なった。蛹から蝶が孵る様という表現の合う、激しくも静かな変化が完了する。月明かりを反射した
彼女の翼が妖しくも神秘的な様相を呈していた。翼を生やした女性は一呼吸置くと2度、3度それを
羽ばたかせた。周囲に静かな旋風を起こしながら、彼女の身体は宙に浮かんだ。まるで滑空する
鷹が野兎を仕留めんとするかの如く、彼女の狙う「獲物」が走る道路目掛けて降下して行った。
同輩が闇夜の彼方へ舞い行くのを見届けると、和服の女性は向きを変えると誰にとも無く呟いた。
「祖国も変わったのですね・・・」
変わり果てた祖国の風景を見回して和服の女性は、溜息とも感嘆とも、あるいは恍惚とも取れる
声で漏らす。彼女は悠久の昔に想いを馳せる。かつてこの地で強大なる二つの武家勢力が、全国で
抗争を繰り広げていた時代を思い出す。強く焼き付いたその記憶は彼女の脳裏に走馬灯の如く蘇った。
かつて鎌倉武士の青年と恋に落ちた事を、その彼はクーデターを起こした朝廷軍との戦で命を落と
した。その怒りから、気付いた時には朝廷軍の侍勢を吹雪で襲い全滅させていたのだった。深い悲
しみと犯した行為に対する自責の念から、茫然自失とした彼女は飛騨国の白山に身を隠そうとした。
深い絶望感から、生き甲斐を失った彼女はいつしか山頂へと向かっていた。頂にある火口へと身を
投げ、そこで消滅するつもりだった。ふもとに辿り着いた時、山頂から強大な妖気を感じたのを想
い出す。ふもとからも感じられるほどの異様な妖気の持ち主は何者なのか、恐怖と好奇心の入り混
じった自然と彼女の足は向かっていた。想い返せばそれが全ての始まりだった。山頂で東洋へと赴
いていた強大なる蝿の魔神との、運命的な出会いが脳裏に蘇る。見た事も無い衣類に身を包み、この
国の者とは明らかに異なる髪や肌の色をしていた、何よりもそれは彼女がそれまで感じた事も無い
ほどの強大な妖力を放っていた。戦わずとも知れていたその力は、彼女を畏怖させるに十分だった。
敗北感や劣等感といった陰湿なものは微塵も無かった。心に極限の驚嘆と感動が満ち溢れる中、
それの存在そのものに対して歓喜し敬服していた。気付いた時にはまるで魅かれるかの様に彼女は平伏し、その組織の軍門へと下っていたのだ。
―あれから凡そ800年もの月日が流れた。
664:名無しさん@ピンキー
09/03/17 00:57:27 lURS+X5I
魔王の軍門へと下りし後も、組織の任務で祖国へは幾度と無く赴いていた。しかし今彼女は
その変容ぶりを改めて感じていた。彼ら人間は僅か1000年足らずで祖国を、世界を、これほど
までに進展―否、変質させたのだ。妖力を持たぬとはいえ、彼らの力は決して侮ったものでは
なかった。その高度な文明によって自然を搾取し、民を洗脳し、他国家及び他民族を攻撃し、
富を奪い合い、そして何よりも世界中をその手中に収めんとする彼らの支配欲はもはや脅威の域
にすら達している―魔界の海軍提督にして軍部大臣を兼任しているリヴァイアサン御将軍の
お言葉を思い出す。彼が言う様に、人間と妖怪はもはや、本当に共存できないのだろうか。
すると急に、思考がそれていた事にはっとする。もう一つの獲物が走り去っていった方向に視線を
やる。人間をむやみに傷つける事は好まなかったが、今は一つの任務を遂行するのみだった。
女性の輪郭が崩れると彼女の爪先が、脛が、腰が、指先が、腕が、儚く散っていくと無数の白い
雪片となりながら夜風に舞っていった。
夜風に身体を漂わせていく女性は冷たい冬の風に身を舞いながら思いを巡らせていた。アスファ
ルトで舗装された道路を走るワゴン車へと照準を合わせながら、無数の雪片と化した彼女はその文明
の進歩の速さに感嘆する。雪片を飛ばす白い霧は溜息の様にも見える。やがて、彼女は車上に降り立
った。降り立った者の重量によってではなく、その異様な冷気によって凄まじい音と共にワゴン車の
天井は軽く収縮した。
665:名無しさん@ピンキー
09/03/17 01:01:18 lURS+X5I
ワゴン車に乗っていた男達は異変に気づき上を見上げた。たった今、彼らの頭上で鉄板が軋む様な
激しい音がしたのだ。強盗3人はいずれも黒い覆面で顔を覆い、黒いジャージにチョッキ、手には厚手
の手袋を嵌めている。車の運転席に座っていた男一人と、後部座席に座っていた男二人は不審に思い、
バックミラー越しに顔を見合わせる。何かが勢いよく車上に落下したのだろうか。後部座席の1人が様子
を確認すべきか、運転席の男に訊ねた。
「なあに、大した事はない。」
運転していた男は首を横に振る。周辺には高いビルが沢山建てられている。恐らく、どこかで工事を
行っていたビルかどっかから工事具材か何かでも落下したのだろう。頭上に落ちなくて良かったな、と。
仲間達は納得した様だったが、どこか怪訝な表情だった。言ってる本人である彼にもどこか引っかかる
ものがあった。そういえば何故だか急に冷え込んだ―と思って角を曲がろうとした瞬間、路上に移し
出された車の影を見て男は息を呑む。街灯の蛍光によってワゴン車の影がゆっくりとアスファルトの路面
に映し出される―そこで信じられない現象が起きていた。ちょうど今彼らが座っている場所の真上に、
得体の知れぬ物体が形成されていく。それは次第に一本の柱の様な形を取り、まるで粘土の様に一つの姿
を形作った。車の影の上に不気味な1本の柱の様な物体が映し出されていた。始めは樹氷の様にも見えたが、
街灯に近付くに連れ、次第に輪郭をはっきりさせた。それを見て男は目を剥いた。それは一体の人影だった。
得体の知れない何者かが車上に乗っている。こんなことは有り得ない―!!
運転席の男は後部座席の男2人にシートベルトを装着するよう指示を出すと、車体を乱暴に振り回す様に
して急カーブを切った。2つの内輪が路上と擦れ、外輪2つが軽く路上から持ち上がるのが分かった。シート
ベルトはしていたが、まるでカーブする方角に吸引される様に三人の身体は大きく傾いていた。路上を見降
ろすと、得体の知れぬ人影は消えていた。バランスを崩して路上に転落でもしたのだろうか、安堵の息を漏
らそうとしたその時―瞬間、瞬く様に何かがガラス越しに映る。女の白く長い脚の様にも見えたそれが一瞬
だけ視界に入る。刹那、凄まじい衝撃と共にフロントガラスが突き破られた。
666:名無しさん@ピンキー
09/03/17 01:08:38 lURS+X5I
「―!!?」
車内には無数のガラス片が飛散し、運転席の男も含めた3人は身を屈めた。鋭利なガラス片が、合成繊維の
手袋の上から素手を切る痛みも忘れ男はハンドルから手を離すまいと必死で堅く握る。危うく視線を逸らし
ハンドルを切り損ねそうになる。状況が掴めぬままどうにかハンドルを切り、電柱への正面衝突を回避した
所で、後部座席の男2人の叫びと共にバックミラーに映った姿を見て男は息を失った。冷気で結露したミラー
にその姿が朧げながら映し出されて行く。雪の様な純白の地に淡い水色の結晶模様が散りばめられた和服姿、
透き通る様に美しい水色の瞳と長髪、幻想世界の住人とも思える幻想的な風貌だった。こいつが今しがた
フロントガラスを蹴破って侵入してきた何者かに違いなかった。戦慄を覚えながら運転席の男は後部座席の
2人に指示を送る。戦慄に震えている運転席の男の指示で、後部座席の男2人は女目掛けて一斉射撃をする。
無数の弾丸がまるで殺到するかの如く、次口に女の頭部へと命中する。弾丸は女の顔を削り、吹き飛ばした。
崩れゆく女の頭部は無数の肉片となって車内に散乱する。一体どれだけ撃っただろうか、気付いた時には
彼女の首から上は無残にも破壊され、すでにそれは人の頭部としての原型を留めてはいなかった。首から上
が吹き飛ばされた女性はまるで頭部だけ破壊された彫像の様に、直立したまま動かない。取り乱し冷静な
判断力が鈍っていたとは云え、今更の様に男は自分が支持した行為の残虐性に動揺していた。極度の興奮状態
の中、3人とも身体の震えが止まらなかった。身体が標的を外した弾丸は助手席の背もたれに幾つもの醜い穴
を空けていた。死んだのだろうか、生きている筈がない。が、しかし何かがおかしい。そういえばあれだけ
狙撃したにも関わらず、返り血を全く浴びていない。どころか出血がまるで見られない。ふと視線を落とすと、
床に落下していった肉片がは無数の雪の欠片となって崩れて行った。その光景に驚愕する。車内の空気が急速
に乾燥していくと、空気中の水滴がダイヤモンドダストとなって宙に舞い上がる。車の中と外から大気中の水分
が凍りつき、無数の結晶となっていく。それら無数の結晶は宙を漂い、吹き飛ばされた首の断面へと集結して
いった。
667:名無しさん@ピンキー
09/03/17 01:11:56 lURS+X5I
↑ミス
9行目 ×次口→次々○
14行目 ×身体を標的を→標的を○
668:名無しさん@ピンキー
09/03/17 01:21:24 lURS+X5I
「――なっ!?」
何が、起こっている!?状況を理解できぬ男達はただ黙ってその光景を見つめる他無かった。早急には
事態を理解できなかった男達はその光景に息を呑む。凍った水滴は雪となって女の頭部を形作る。それは
まるで木材から木彫りの人形が浮かび上がる様に、顔の細部が復元されて行く。目が、鼻が、唇が、頬が、
次々と形を顕にし、修復されて行く様相は不気味さを通り越していた。幻想の造形という有り得ない不思議
は、不気味であると同時に美しく、神秘的ですらあった。3人は暫しの間、置かれていた状況と恐怖を忘れ、
その奇観に見惚れる。雪の造形だったには生気が注し、やがて人肌の様な生気が注す。澄んだ瞳は青を灯し、
肩から腰にかけて流れ落ちる様に長髪がなびく。やがて全体が修復された彼女は静かに手を口に当てると、
何かを取り出す様な仕草を見せる。か細い指を静かに開くと、掌からばらばらと落ちたのは凍った銃弾だった。
その乾いた音が、夢から覚ます様に状況を思い出させる。忘れていた現状を思い出し、恐怖に震え、取り乱す。
再び女目掛けて発砲――しようとするが、弾が出ない。弾は切れているにしては変だった。筈だが、弾丸が
発射されない事態に焦りを抱き、手元に視線を降ろすよりも先に男は手に凄まじい寒気を覚える。ようやく
視線を降ろすと、銃口に、引き金に、銃身全体に、白い霜が降りて凍結していた。かじかんで自由の利かない
両手は内なる焦りに対して、余りにも緩慢でもどかしい動きをするだけだった。味わった事の無い恐怖と、
異様な冷気から発狂しそうになる。叫び、暴れ様とするが恐怖と寒気で声を出す事も、身体を動かすことも
ままならなかった。そこで男達はさらなる不思議を目にした。女の手首から先を冷気の湯気が取り巻くと、
それは瞬時に形状を変化させた。霧が、冷気の湯気が晴れる、そこには鉤爪状に変形した女の右手が姿を顕わ
にした。白く透き通った爪の一本一本が長く鋭利な刃物と化し、5本の刃は刀身をぎらつかせていた。女は
右手を氷でできた巨大な鉤爪へと変形させていた。めきめきとまるで氷に亀裂が入る様な音をたてながら、
小さかった女の口は倍ほどの幅に裂けると、左右の口端からは頬の肉を内側から突き破る様にして、2本の
短刀状の牙が上顎から下へと伸びる。つららと呼ぶには余りにも鋭利で美しく、凶悪に過ぎる氷の牙が生え揃う。
寒気と恐怖から男達3人は股間に何やら生暖かいものが溢れ出るのを感じた。しかしそれも束の間、刀剣の様な
指で女は後部座席の男2人の胸部を一閃した。純白の生地に返り血が撥ねるよりも前に、凍った血飛沫は真紅
の花弁となって彼女の足元に散る。斬られた男達からは生気が失せると、重なる様にして女の足元に力無く
倒れた。運転席から身を起こした男は戦慄に打ち震えた。思考よりも先に男の身体が動いていた。
「死ねぇ!!」
我が身の危険を感じた男は本能的にサイバルナイフを抜くと、全体重をかけて女に飛び掛っていた。
が、身体が前に進まない。目に映る像に再び驚愕する。
「なっ―!?」
刃物の尖端を、棒を握る様に横からではなく、前に在るものを掴み取る様に正面から、今度は左の掌が
受け止めていた。まだ人の掌としての形状を保っている柔らかな女性の手が、先鋭な刃物を押さえ込む。
その場から毛ほども動かない女性は指先を微かに動かし、ナイフの重心をそっとずらした。力をいれた様
には見えなかったが、合金製の鋭利な刃物があたかも麦わらの様に、根元からぽきりと折れた。女性の持
っていたナイフの先端と男の持っていた取っ手が同時に床に落ち、喧しい金属音を立てる。その音に平静
を掻き回された男は、まるで教会の鐘の音に悶え苦しむ悪魔の様だった。擾乱した軍隊の様にまとまりを
失う意識の内から、膨大な恐怖が溢れ出す。
669:名無しさん@ピンキー
09/03/17 01:25:02 lURS+X5I
「あぁぁあ、ああっ・・・!!」
意味をなさない奇声をあげようとするが、声が出なくなる。無意識のうちに男はよろめきながら立ち上がり、
再び崩れ落ちる。歩きを覚える赤ん坊の如くそれを繰り返しながら、よたよたと後ずさる。そんな彼を彼女は
何も言わずに一歩、また一歩と踏み出し、距離を詰めていく。彼女の仕草や表情は―まるで太古の猛獣の様
に上顎から下に伸びる一対の氷の剣歯を除けば―穏やかそのものだったが、彼にとってこれ以上の恐怖は無い。
先程から起きている有り得ない現象に、次は確実に自分が標的という恐怖が男を追い詰める。一歩、また一歩と
後ずさる彼を嘲笑するかの様に、今は城壁の様にも見える後部座席が彼の逃げ道を阻む。今や男にとって刑務所
に行く事はもはや極楽の様にさえ思えた。死刑宣告を言い渡される囚人の持ちがした。ゆっくりと、しかし確実
な破滅が迫る。そんな彼を余所に、女は静かに男の頭部を撫でるかの様に軽く触れた。同時に顔には激痛が走り、
屈強な男はまるで赤ん坊みたいな悲鳴を挙げる。それは華奢で可憐な女性ものではなく、明らかに人間のもの
ではない―もはや彼女が人外の怪物だという事は彼にも分かっていたが―凄まじい怪力と冷気だった。頭部を
巨大な万力で押し潰されるかの様な感覚だった。眼球が飛び出し頭蓋が割れてしまうのではないか、というほど
の激痛を感じたが恐怖と疲労の為からなのか、それも直ちに引いていく。覆面越しに遠のく意識の中、男は掴ま
れた箇所の感覚が無くなっていくのを感じた。
「うっ・・・ぐああ、あ・・・っ!?」
身体中の感覚が無くなっていく男はおぼろげながら見た、様な気がした。彼に対する同情とも、憐れみとも取れる
女性の悲しげな表情が曇り行く視界の中に映った。それが疲労と恐怖による幻覚なのか、現実のものなのか、状況も
理解できぬまま―彼の視界は真っ暗になり、意識は深い深い闇の底へと、落ちて行った。
670:名無しさん@ピンキー
09/03/17 01:36:10 lURS+X5I
床に崩れかかる寸前で彼女は彼を左手で抱きかかえた。母親が子供をさとす様に、そっと優しく席に
寝かせてやる。強盗達を片付けると、車の前に向き直り、運転席へと進む。変形していた左手の輪郭が
崩れると、それはまた元の形状を取り戻した。唇の幅は元の大きさに戻り、両端から伸びた牙は小さな
口の内側に収まる。運転席に腰を降ろすと、妙に慣れた手つきアクセルを踏み車のハンドルを操作する。
少ししてから車は疲れた様に走り出した。魔力や呪術も使わずに鉄の塊が動くというのは何度やっても
不思議な心地がした。バックミラーに目を移し、まるで死体の様に青ざめて意識を失い、横たわっている
三人の哀れな男達を一瞥した。恐怖で気を失っており、すっかり衰弱していたが、見た目ほど酷くはない。
いずれも凍傷を負ってはいたが脈はある。見た限り命に別状が無い事は見て取れた。しかしながら明らか
に手加減が不十分だった。任務遂行の為とは云え、無暗に人を脅かし傷つけるのはとても気持ちの良いもの
ではなかった。か弱き人間共を相手にする時、彼女がいつも、いかに殺してしまわない様に倒すかという点
にいつも苦心していた。長らく人間の相手をしていなかった為か、加減が感覚的に鈍っていた。彼女たち
妖怪の中には戦闘や殺戮を好き好んで行う者も少なくはなかったが、かつて人間と交流した事もある彼女
には人間に共感する部分も無い訳ではなかった。何よりそうした彼女の配慮は、過去に感情的な理由から
大殺戮を犯してしてしまった彼女自身による反省の表れである。
671:名無しさん@ピンキー
09/03/17 01:49:25 lURS+X5I
彼女が事前に計算した事とは云え、先の運転手が車両を目立たぬ位置に停車してくれていたのは幸い
だった。ただでさえ目立たない位置に停車してくれた上、彼女が冷気で窓を結露させた為に外部からの
視界は殆んど遮られている筈だ。ただ、ガラスが割れて半ば損壊した車はいくら何でも不自然過ぎる。
なるべく人目に着き難い場所に、なるだけ「自然」な形に、車を停車させて、使えそうな金品を持ち去
らねばならない。先程から彼女達がいる通りは幸いにも人通りが少なかった。銃声はした筈だったが、
他の建物は以前として静まり返っている。所狭しと立ち並ぶ安アパートには人が住んでいるとは思えない
ほどに閑散としていた。深夜にも営業する居酒屋やラーメン屋から微かな人気が感じられる程度だ。
狭い路地裏の電柱横にワゴン車を駐車する。エンジンを切り、運転席から這い出す様に後部座席へと移動
する。荷台に無造作に積まれたボストンバッグの南京錠を叩くと、豆腐の様に簡単に捻じ曲げられ、壊れた。
すぐさま中身を確認する。ゆっくり数えている余裕はなかったが、大目に見積もってもせいぜい1000万円
程度と思われた。かつてロシアのマフィアから一度に5億ルブール近い巨額の資金を奪った事もある彼女
にしてみればこれでも雀の涙だったが、収穫があるだけでも充分だった。多少の不便を我慢すればしばらく
はこれで生活できる筈だ。仲間の「収入」も合わせれば何とか食い繋げそうだった。出ようとした所で、
余りにも不自然に荒らされた車内を見渡す。操作技術が年々向上しつつあるとは云え、さすがに彼らの証言
を現代の警察が信用するとも思えなかった。この3者以外の介入には気付くだろうが、まさかそれが妖怪の
仕業だなどと誰が思うだろう。万が一にも特定されたとして、彼女達にしてみれば少々面倒な程度で別に怖く
はない。彼女の同僚である先程の魔女や上位の悪魔ともなればCIAの捜査でさえも煙に巻けるのだという。
思慮ある大人が、馬鹿馬鹿しい子供騙しの遊びに付き合おうとする様な表情になると、想い出した様に彼女
は運転席に座った。数メートルほど車を交代させると車体をずらし、先ほど彼女が停めた脇の電柱に勢いよく
衝突させた。車全体に大きな衝撃が走り、潰れた。エアバッグが飛び出すよりも前に彼女は身を翻し、後部座席
へと飛びのいた。気絶して横たわっている男の一人を両手で抱えあげると、エアバッグと座席との間に押し
込むようにして、彼を窒息死させない様に運転席へと座らせる。やっているのが実に馬鹿馬鹿しかった。
一時しのぎの稚拙な演出だという事は分かっていた。さすがにこの程度の罠に警察が騙されるとも思えないが、
わざわざ不自然なまま放置しておく必要もない。ある事故を演出して彼女は車を後にする。現金の入った鞄を
片手に持つと女性は静かに運転席のドアを閉めて出て行った。
672:名無しさん@ピンキー
09/03/17 01:54:48 MP/Vgbu2
とりあえずGJついでに言っておく
いい加減sageと改行をおぼえてくれorz
673:名無しさん@ピンキー
09/03/17 01:59:31 lURS+X5I
ドアの閉まる音を背後に女性は車から数歩動いた所で、立ち止まる。まるで舞う様な美しい身のこなしで、
身体を宙で反転させると。何かを背後に投げつけた。女性の背後に立つ2階建ての屋上向けて、鎌状の氷の刃
が勢いよく横回転しながら飛んでいく。腹部に氷の刃物が刺さった男が、背後で悲痛な呻き声を挙げながら屋根
の上で倒れた。彼の腕から離れたガラス瓶は空中で見事な放物線を描き、彼女の横に落下する。その横で乾いた
音を立ててアスファルトの路上に落ちて割れる。入っていた中の液体は幾つもの水滴となって傍らに零れる―
―途中で、凍りついて八方に散らばる。幾つもの氷片となった瓶の内容物は彼女の足元にぱらぱらと落ちる。
そこでガソリンの様な不快な臭気が鼻を突く。車内の誰かが援助を呼んだのだろう、彼らの仲間がまだ潜んでいた
のだった。全く油断も隙も無い。偶然かもしれないが、今の男が投擲してきた物体は彼女に唯一ダメージを与える
事のできる武器だった。ふと耳を澄ますと遠くからサイレンの音が聞こえてくる。もはや時間は残されていない。
先の3人と今の1人、いずれも急所は外してあり、早急な医療処置を受ければ十分に助かる事を最後にもう一度だけ
確認すると、逃げる様にして彼女は現場を去っていった。
やがて狭く静かだった路地裏は湧いた様に少し、また少しと人気が射す。やがてそこは人で溢れかえり、嘘の様な
ざわめきが沈黙を破る。死んだ様な夜の街が束の間の活気に満ち溢れた。
「マジで、超すごぉ~い!ねぇ兼ちゃーん♪写メ取ろうよ!!写メ!」
「事件発生時の状況とかどうでした。」
「ごめんなさい。通りかかっただけなので・・・」
「おい、何がどうなっている?見えねーよ。」
「これは大したスクープ映像だ。」
「どいてくれ!通行の邪魔なんだよ。」
「はい、捜査の邪魔になりますので見物はどうかご遠慮下さい。」
居酒屋から見物しようと身を乗り出す酔っ払い、携帯のカメラで現場を撮影する若者、興味深げに殺到する
野次馬、現場に殺到するカメラマン、通りがかりの学生、情報を聞きつけて来たカメラマン、事件の聞き込み
調査を行うリポーター、押し寄せる人だかりを阻止する警官隊―それらがひしめき合い一つの祭りが生まれる。
その中の誰一人として、旅行鞄を提げた和服の女性が冷たい雪風となって散らばり、ビルの屋上へと舞っていく
異観に気付く者はいなかった。
現場から少し離れた地点で黒塗りのメルセデスが無残にも転覆し炎上している。その横では柄の悪い男達が車から
投げ出され、生気を失った様に倒れている。彼らは体中に刺青をしているが、それらも火傷のせいで何か分からない
ものになっていた。もはや生きているのか死んでいるのかも怪しい様にみえた。そんな彼らに構うそぶりも見せず、
黒灰色のドレスを着た女が宙に浮かべた水晶珠を確認していた。彼女の左手には杖が握られている、そして反対側の
手には何やら意味有りげなジュラルミンケースを提げられていた。車の横でいずれも体中に酷い火傷を負ったやくざ
と思わしき男達を尻目に彼女は同輩と合流するべく、再び翼を生やすと闇夜の彼方に飛翔した。その現場へかけつけた
一人のカメラマン風の男が、頭上に気配を感じて闇夜を見上げる。先とは対照的に静まり返る闇には、空高く満月が
昇っているだけだった。不気味だが、同時に美しい冬の夜空だ。
電線に止まった数羽の烏が嘲る様に彼を見下した。
674:名無しさん@ピンキー
09/03/17 02:02:21 lURS+X5I
>>672気付かずに書き込んでしまった。すみません。まだ1章はもう少しだけ続く予定ですが、
今日は遅いのでこの辺で、明日にでも1章完結させます。
675:名無しさん@ピンキー
09/03/17 05:42:24 MiUn/QzO
>>197->>209ってどうなったの?
676:名無しさん@ピンキー
09/03/17 10:54:14 tlE+OSNT
>>674
「sageとは」 でググレ
これ以上無視して投下し続けると、さすがに荒らしor春の人認定されそうだぞ
677:名無しさん@ピンキー
09/03/17 17:39:01 KIuzlN4g
>>661
俺はストライクだな
外面好みが多い(と思う)が一応内面の変化が強ければ好まれる事もあるぞ
678:名無しさん@ピンキー
09/03/18 00:55:37 o7Eih+OU
いつになれば異形化するんだ?
679:名無しさん@ピンキー
09/03/18 09:54:11 4YDtJQDM
そういや 天使とかに変身するスレあったよな
まぁどうでもいいか
680:変身!ホッケー仮面少女☆じぇいさん
09/03/18 18:15:43 bvflphhd
性転換要素ありの小ネタ。
駄目な人は名前欄でNGしてね。
681:変身!ホッケー仮面少女☆じぇいさん
09/03/18 18:16:17 bvflphhd
西日の差し込む放課後の静かな教室に、彼女の姿はあった。
両サイドでまとめられた、いわゆるツインテール。
くりっとした瞳は、美しさより可愛さを印象付ける。
同じ年頃の女の子に比べて、やや発育が遅れた体。
彼女─壱尾あやめは、藍色のブレザーとプリーツスカートという、つまりこの学校の制服姿で、何かを決意したような表情で、自身の手に握られていたものを見つめていた。
「今日も、頑張らなきゃ…」
己を奮い立たせるようにこわばったその手には、お面。
あの有名なホラー映画の殺人鬼が被っていたものを髣髴とさせる、ホッケーマスク。
色こそ可愛らしいピンク色だが、形はそのものだ。
「悪い人達をやっつけちゃう!クリスタルレイクパワー!ビルドアップ!」
謎の呪文を叫びながら、あやめはそのマスクを顔に近づけていく。
「きゃっ」
すると、ある程度その童顔に近づいたところで、仮面は彼女の手を離れ、吸い寄せられた磁石の如く、顔にぴたりとくっついた。
「はあっ」
その瞬間、どくりと心臓が跳ねた。
「はあ、はあ、はああ…っ」
自身でも分かるくらい、顔が火照っている。それは顔だけでなく、瞬時に全身へ広がっていく。
「は、くはあっ!」
乱れた息の合間から、艶かしい色を帯びた少女の喘ぎが漏れる。全身を作り変えていく未知の力に苦痛とそれを上回る快楽に、あやめは頭を抱えて全身を震わせた。
「ひぃ、ふああっ!」
変化が始まる。
頭を抱える両手の指先が、太く醜くなっていく。その指が押さえつける栗色の髪が、はらりと抜け落ちていった。
「きひぃ、むうぅぅっ!」
肥大化は指だけに留まらず、手全体を侵食していく。同時に、細い腕を包むブレザーの内側が、ぼこぼこ蠢きながら膨らんでいく。同時に足も大きくなり始め、ローファーがはちきれそうになった。
髪の毛は抜け落ちると同時に、栗色を濃くした色のものが新たに生えるも、その長さは足りず、ツインテールをまとめていた髪留めのゴムバンドが床に落ちた。
やがて耐え切れず、履いていた革靴はソックスごとはじけた。
「ひやあっ」
外気に晒された足も足首も、少女のものとは思えないほど大きく、太く、逞しい。白い素肌は肥大化したことろから色を濃くし、黒ずんでいた。
「う、うあああああっ……」
足首までの変化がついに脹脛にまで広がったところで、あやめは呻きに似た嬌声を上げながら、不釣合いなほどに大きくなった両腕で、ブレザーとブラウスを掴み、びりびりと引き裂いた。
同時に耐え切れなくなったブレザーとブラウスの腕部分も、引きちぎられた生地が足元へはらはらと広がった。
682:名無しさん@ピンキー
09/03/18 18:17:28 aJSAhla1
先に言っておこう
GJ!
683:変身!ホッケー仮面少女☆じぇいさん
09/03/18 18:17:31 bvflphhd
その姿は、いびつだった。
肥大化、筋肉質になった足の変化はすでに太腿の付け根にまで及び、それに押し上げられた身長はすでに170センチを越え、同じように二周りかそれ以上に大きくなった両腕が、袖が破けてノースリーブの格好となった肩口から伸びている。
しかし体はか細い少女のままで、破かれたブラウスの合間から見えるお腹や、水色のスポーツブラに包まれた慎ましい膨らみも、素肌の色もあやめのままだ。
だが、すこしづつ腰周りが成長し、悲鳴を上げ始めたスカートの下、ブラと同色のショーツのさらにその下では、この中学2年生の少女を完膚なきまでに変質させる大きな変貌が始まっていた。
「ああ、あんっ!」
ボディビルダー真っ青なムキムキの太腿をもじもじとすり合わせながら、来たるべき性感に喘ぐあやめ。
「はえ、ちゃうっ!はえ、ちゃう、よおぉぉ…」
それは幼い、薄い茂りの秘裂を割って、大量の愛液に塗れながらその顔を覗かせ、次の瞬間、その身を一気に露出させた。
「あああああああああああああっ」
視界が白く塗りつぶされるほどの快楽が甘い痺れを伴って全身を駆け巡り、絶叫をあげる彼女。ぐしょぐしょのショーツからはみ出し、スカートを盛り上げるそれは、平均サイズを軽く上回る男根だった。
子宮の中で肉付き、変質させ、膣や周囲の細胞を取り込んでその身をさらした起立は、赤黒くあやめ自身の分泌でぬめっていた。
「うああ、うはあ、ひぎいっ」
少女から、男へ転換を遂げた際の絶頂で、手放してしまった意識や思考が急速に、体に適した形へ組みかえられていく。その変化は肉体にも返され、残ったあやめとしての体が飲み込まれ、作り変えられていく。
「あう、ああ、あお、おう、うおっ…」
声が太く、低くなっていく。腰周りも大きくなり、尻肉は筋肉質に引き締まる。腹筋が割れながら広がって、彼女、いや、彼の体が膨らんでいく。
「ぬおお、おおおっ」
熊のような唸りを上げて、変化の気持ちよさに酔いしれる元・少女。控えめな双丘は瞬く間に固くなって広がり、大胸筋と化した。ブラジャーも耐え切れず千切れる。
肉棒を吐き出した恥丘が急速に膨らんで、睾丸に成り代わる。首周りも急速に肉付いて、変身が完了した。
「おおおおおおおおっ!魔法少女ジェイさん、爆☆誕っっ!」
小柄な少女あやめの面影は完膚なきまでに無かった。どこを見ても筋肉、筋肉、筋肉!小さな女子中学生は、制服の残滓を素肌に纏った大男に生まれ変わった。
その顔はホッケーマスクに隠されたままで、うかがい知ることはできない。パッと見変態である。
しかし男─魔法少女☆ジェイさんは気にした様子も無く、汗を撒き散らしながらタックルの構えを取った。
「街に蔓延る悪を!己のそそり立つ鉈で突きまくる!ジェイさん、行っきまあああああああすううううううう!!」
鉈は突くものではなく叩き切るものだが、本人は一向に気にしていなかった。そのまま窓ガラスをやぶり、彼は夜の街へ駆けて行った。
~面倒になったので以下戦闘をダイジェストでお送りします~
「き、貴様、何者だ!」
「キノコ堀りの男、ジェイさんっ!」
「布団敷こう、な!?」
「オンドォルルラギッタンディスカァ!」
「小早川大尉殿……愛しておりました……」
「そこまで情けないなんて、男として自殺するべきじゃない?さっさとこれ脱いで、目の前で死になさいよ、ほら」
「こいつをどう思う?」
「すごく……大きいです」
「へ ヴ ン 状 態 !」
「ひぎいぃぃっ!にんっ!しんっ!しちゃうぅっ!らめええええええええっ!!!」
こうして、街の悪はまた一つ潰えた。
しかし、この世に、呪いと憎悪がある限り、世にも不思議な出来事は途絶えることは無い。
ジェイさんは一人静かに、幸せが来る日の事を、思っていた─。
684:名無しさん@ピンキー
09/03/18 18:20:15 bvflphhd
終わりました。ジェイ○ン全く関係ないですね、すいません。
融合ものを性懲りも無く書いていたのですが詰まったので、息抜きに書きなぐったものです。すいません。
すいませんほんとすいません
685:名無しさん@ピンキー
09/03/18 19:49:37 97rb4Mri
スレチじゃね?
686:名無しさん@ピンキー
09/03/18 20:12:15 M/qrq6TM
どちらかと言えばすれ違いだがGJ
ただあっちは変身そのものよりも変身後の葛藤とか戸惑いをメインにしてるしなあ
687:名無しさん@ピンキー
09/03/18 20:14:43 bvflphhd
スレチでしたか、申し訳ない
688:名無しさん@ピンキー
09/03/18 23:50:34 oxoDWtUv
なあに、いいってことよ
689:名無しさん@ピンキー
09/03/19 13:07:57 ObJh3btT
TSもOKだ!
690:名無しさん@ピンキー
09/03/19 17:40:32 K+XDZU+Y
>>687
ジェイ○ンは、ハルクみたいな物だと思えば一応人外なのかな。
外見的に人間だから獣化とか好きな人には物足りなかったんだと思うが、
ギリギリスレ違いじゃないと思うよ。
GJ!
逆に、TSは性別変わった所で人間には違いないから微妙な所だな…
一応ここは人外への変身スレだし。
次スレはTSや固体化とかも含めて、変身全体を楽しめるスレにするか?
勿論、本家TSスレとかとは被らない様に、あくまでも変身そのもので。
691:名無しさん@ピンキー
09/03/20 22:15:21 U6dbgo0g
>>656
こことは兄弟スレである獣化スレにも投稿してあげてください(っていうか、こっちの住民だけでいただくのはもったい無さすぎです)。向こうの方々も喜ぶと思いますよ。
【獣人】亜人の少年少女の絡み8【獣化】
URLリンク(yomi.bbspink.com)
>>690
そう言えば、アメリカには「シーハルク」というのもあるそうですよ。
おとなしい弁護士の女性が命を狙われて重症を負って、従兄弟であるハルクの中の人の輸血で助かるんだけど代償として女性版ハルクになってしまうとか。
URLリンク(en.wikipedia.org)
692:名無しさん@ピンキー
09/03/21 01:20:55 0auNW/GD
>>691様
シーハルクかこいい!
693:名無しさん@ピンキー
09/03/30 03:36:58 AQdEunue
ほしゅはーぴー
694:名無しさん@ピンキー
09/04/04 15:41:44 hTseQRO3
今更なんだが
読み方っていけいか?いぎょうか?
695:名無しさん@ピンキー
09/04/04 18:31:22 L2Hu/ss+
いけいでもいぎょうでも変換できるからどっちでもいいんじゃない?
696:名無しさん@ピンキー
09/04/07 01:37:59 ACWS4Qg9
『型』じゃなくて、あえて『形』のほうを使うなら『いぎょう』じゃないか?
ネット辞書にも人外への変化は『異形(いぎょう)となる』とあるし。
あと個人的には『いけい』は文学よりも科学で見るほうが多い読みじゃないかな。
異型上皮とか。
『形』は姿とかの表面的なものを指し、『型』は性質とか内面を表すんじゃないかと。
『異形』が細胞を鉄に変えること、『異型』が細胞を癌化させることというか、
ようは人外化と洗脳の違いみたいなもんだと思う。
まぁ、どっちでもいいとも思うけど。
697:名無しさん@ピンキー
09/04/07 10:11:01 Irjla9rV
typeとshapeじゃね。
698:名無しさん@ピンキー
09/04/07 13:43:34 UNV5RN8I
書いて読み返したらどうもこのスレ向きでないことに気付いた。
スーパーヒロイン総合スレの行方分かる人いる?中身的に明らかにそっちの方が近いんだけど…
699:名無しさん@ピンキー
09/04/09 09:11:15 o/GMP28g
行方不明だよな
700:名無しさん@ピンキー
09/04/13 22:44:33 4gC9Z8kQ
保守
701:名無しさん@ピンキー
09/04/14 00:10:29 kwoZC/rc
戦隊モノで人外化に目覚めた俺
702:名無しさん@ピンキー
09/04/15 00:03:46 EovjNNQG
怪人の変身とか
703:名無しさん@ピンキー
09/04/16 18:57:55 Gn2RiIco
そんなあなたに
おにゃのこが改造されるシーン素体13人目
スレリンク(sfx板)
おにゃのこ改造 BYアダルト14
スレリンク(eroparo板)
704:名無しさん@ピンキー
09/04/21 01:01:23 DCObZ/N/
このスレだめかもしれんね
705:名無しさん@ピンキー
09/04/22 06:57:02 0d31oaQe
なぁに、昔のペースに戻っただけでしょ。
706:名無しさん@ピンキー
09/04/22 13:21:03 oFVTNUZq
毎日覗く虚しさ
707:名無しさん@ピンキー
09/04/26 16:52:13 hbL8FJJ1
にゃり~ん
708:名無しさん@ピンキー
09/04/28 13:31:46 wn2dBac9
変身シーンはグロイ方がいい・・・よね?(´・ω・`)
709:名無しさん@ピンキー
09/04/28 15:49:16 yppe/VSj
あまり気にはしないよ
710:名無しさん@ピンキー
09/04/29 00:00:25 GmnWKA5q
汝のなしたいように為すが良い
711:名無しさん@ピンキー
09/04/29 08:48:46 8R2xsLzE
魔法少女の変身シーのごとくメルヘンちっくだけど、
できあがりは……というのもいとをかし
712:名無しさん@ピンキー
09/04/29 12:06:55 12FFFQEY
拝啓
このスレにある悪魔化みたいに価値観が変わる展開があればヨロシ
敬具
713:名無しさん@ピンキー
09/04/29 15:06:25 FxZjIfSy
精神の変化はいるよね
714:名無しさん@ピンキー
09/04/29 15:33:04 8R2xsLzE
無くても良いと思う。個人的には異形と化した肉体ともとのままの精神の
ギャップが良いというか、心身ともに変わり終わったらただの怪物だろうと
思うが、クトウルー神話みたいに自分の精神が少しずつ人外になっていくという
恐怖を描くというのもまた良きかな。
715:名無しさん@ピンキー
09/04/29 16:36:05 12FFFQEY
肉体の変化は遅くても早くても良いけど、精神の変化はゆっくりだよね
716:名無しさん@ピンキー
09/04/29 19:09:45 os3ZG5e8
まぁ、好みは人それぞれだから。
話題の流れぶった切る訳じゃなくて、
好みは人それぞれだからこそ面白いって事で。
717:名無しさん@ピンキー
09/04/29 19:10:04 2N2oBALr
そういえばプレステ1で
人魚の烙印とかいうのあったな
718:名無しさん@ピンキー
09/04/29 19:13:04 c6fYpqHE
「こ、怖ぇ!鋭い変化がゆっくりとやってくるッ!うおああああああああ」
「どうやら異形化している人間にイギョウカ・エクスペリエンスで さらに過剰に異形化を与えると・・・
『暴走』しちまうらしいな・・・『感覚』だけが・・・せいぜい利用させてもらうかな・・・」
719:名無しさん@ピンキー
09/04/30 00:50:47 k0z15z6s
イタリアに帰って下さい
720:名無しさん@ピンキー
09/04/30 14:05:26 Qx/74eWt
ウェザーさんの蝸牛は良かったよ
721:名無しさん@ピンキー
09/04/30 15:25:00 t4hsfyQZ
Dio様に一生ついていきたい
722:名無しさん@ピンキー
09/05/02 01:35:00 QwlFw4ge
age
723:名無しさん@ピンキー
09/05/04 21:46:42 xroLgME0
>>715
精神はゆっくりがいいな
変身してすぐ「ククク・・・」は萎える
724:maledict ◆sOlCVh8kZw
09/05/06 20:53:25 Qol5p+gg
ご無沙汰しております。
20レスの中くらいの長さのを書けたんですが、現在残り464KBという微妙な容量です。
まず次スレを立て、リンクを貼ってから投下し、
もし終わらなければ次スレに続く、というやり方で投下したいと思います。
これだと、スレ内で終わるにせよ終わらないにせよ、
埋め立てに長い時間かけなくてすむのではないかと思います。
で、先に次スレ立ててしまいました。下記です。
【異形化】人外への変身スレ第四話【蟲化】
スレリンク(eroparo板)
勝手に進めすぎたかもしれませんが、どうかご容赦下さい。
以下のSSの内容ですが、
実は>>693のカキコの代わりに投下したかった内容だったりします(w。
ただ、本物のハルピュイアとは色々違うのでその名は使いませんでした。
あ、あと百合と、ごく微弱なスカ表現がありますので一応注意です。
725:人面鳥(1/20)
09/05/06 20:53:56 Qol5p+gg
「あぶないな。あぶない、あぶない…」
たしかに、ごつごつした岩場は足を滑らせるとかなり危ないが、そればかり
ではない。このあたりは怪物が出てきて人間をさらっていくという噂があり、
村人は決して寄りつかない場所なのだ。実はわたしも、道に迷わなければ、
こんな恐ろしいところに近づく気はなかった。
だが、人が寄りつかないせいなのだろう。薬草として珍重されるトリコゴケが
岩の隙間に密生している。別のハーブを採りに来たわたしが、急遽予定変更して
コケの採集に夢中になってしまったのは、軽率ではあるが抗しがたいことだった。
これを売ればハーブなどよりずっとましなお金になる。
欲に目がくらんでいなかった、と言えば嘘になる。でもこれは、親に迷惑ばかり
かけている親不孝娘の、せめてもの罪滅ぼしなんだ。…そんな言い訳を自分に
しながら、わたしはせっせと貴重な地衣類を採取し続けた。採り放題とは言っても、
ハーブとは違い、一度に採取できる分量はわずかなもので、採っても採っても
バスケットは一杯にならず、そのため、この、危険な場所を立ち去る踏ん切りが
なかなかつかずにいた。
不意に、背後からばさばさっという音がした。振り向く間もなく、わたしは
うつぶせに押し倒され、脇腹の部分にがっちりとした腕が回されたのを感じた。
そして次の瞬間、再びばさばさっという音がしたと思うと、体が地面から
持ち上げられるのを感じた。それで、自分が大きな鳥のようなものに捕えられて
しまったのを知った。大事なバスケットを置き去りに、わたしは遠ざかる地上を
唖然として見つめていた。
726:人面鳥(2/20)
09/05/06 20:54:16 Qol5p+gg
胸元を見ると、脇の下から差し入れられた太いごつごつとした鳥の足が、
どちらかといえばまだ小振りな乳房の下で、お祈りでもするようにがっちりと
組まれていた。振り払うのは難しそうだったし、万一振り払ったら、はるか下の
地面まで真っ逆さまである。たとえ、もうじきこの怪物に食べられてしまうの
だとしても、少なくとも今は、この怪物の腕にしがみついていないといけない
のだった。
あまりに急な出来事は、人の恐怖を麻痺させてしまうようだ。それに、
怪物からは、できかけのワインのような甘い香りが漂っていて、それが
本物のワインのように、全身の筋と頭の中を奇妙に弛緩させていた。それで
わたしは、かなり長い間、悲鳴を上げるのも忘れ、非現実的な空の旅に目を
見張りながら体を委ねていた。
長い飛行が続き、目的地らしきところが見えてきて始めて、わたしの中の
現実感が戻ってきた。目に入ったのは、とても人の近づけない険しい山岳地帯、
切り立った崖の途上の棚のような張り出しにある、「鳥の巣」らしき場所だった。
崖は上も下も果てしなく広がり、空を飛ぶ以外の仕方でこの場所に近づくことも、
出ていくこともできなさそうだった。その意味では、とても安全な巣であり、
そして牢獄であった。
―怪物はこんなふうに孤絶した安全な「巣」に獲物を運び込み、ゆっくりと
解体して食べるに違いない。それはつまり、もうすぐ先の自分の運命なのだ―
そんな冷静な推理を行ってしまった後で、ようやく現実感と恐怖が生まれた。
「いやあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
目前に迫る巨大な鳥の巣を前に、わたしはかなりテンポのずれた恐怖の叫びを
絞り出していた。
727:人面鳥(3/20)
09/05/06 20:54:40 Qol5p+gg
「巣」はちょっとした小屋ほどの大きさの工作物だった。巨大な崖の中央部の、
広く張り出した棚の中央部に、人間の背丈の倍はあるしっかりした土壁のような
ものが、円柱状の囲いを形成している。
鳥はなぜかわたしを巣に運び込まず、壁の外側の地面の上に押しつけた。そして、
うつぶせにされたわたしの背中とお尻に、固いくちばしが当てられた。
「ぎゃあ!やめて!やめてよ!!」
無我夢中で無駄な叫びをあげるわたしの肉を怪物が食べることは、しかし、
なかった。怪物はわたしの衣類だけを破り、噛み裂き、ひきちぎっていった。
背中とお尻が外気にさらされ、その頼りない感覚がわたしの不安をさらに煽り立てた。
後半身を丸裸にした怪物はわたしをごろんと転がした。あおむけにされた
わたしは、そのとき始めて怪物の姿を目にした。その姿のあまりの異様さに、
わたしは思わず息を呑んだ。
わたしの両ももを文字通りわし掴みにしているかぎ爪は、紛れもなく猛禽類の
それだった。それに、かぎ爪が生えているごつごつした足、後ろの尾羽、その上に
広げられた、ワシなどよりはるかに巨大な翼は、やはりどう見ても鳥だった。
…しかし、その翼を生やしている胴体の中央部に羽毛はなく、代わりに、
鳥にあるはずのない二つの半球、人間そっくりの乳房があった。そしてその
乳房の上には、やはりどうみても人間、それも若い女性の頭部であると
ほぼ言ってよいものが続いていた。抜けるような白い肌、細い首、ほっそりとした
面立ち、ぱっちり開かれた青い目、豊かな金色の髪。たしかに、鼻から口に
かけてだけ、わたしの服をついばんだ猛禽類のようなくちばしに変形している。
しかしそれ以外はとても美しい女性の顔であった。その全体の姿は、まるで、
巨大な猛禽の上半身に、若い女性の裸像をレリーフとして彫り込んだような姿だった。
728:人面鳥(4/20)
09/05/06 20:54:58 Qol5p+gg
「レリーフを彫り込んだような」というのはまた、その顔から受ける印象でも
あった。その美しい顔は、感情の移入をまったく拒む、無機的な無表情さに支配
されていたのである。きょとんと見開かれた目は瞬きをすることもなく、ただ
ときどき、目の下側から伸びる薄い膜に覆われるだけだ。そしてその青い瞳の奥に、
人間らしい感情を読み取ることはできない。
そんな無表情な美しい怪物は、わたしの両足に爪を立てながら、わたしの胸と
お腹になお残っていた布をむしり取る作業を開始した。その不気味さと、
まだはっきり正体のつかめない漠然とした不安が、静かな戦慄となって
わたしの全身を覆った。
やがてわたしはやがて糸くず一つない完全な裸身に剥かれてしまった。そして人面鳥は
わたしを再び抱き上げ、軽く羽ばたきをして壁を乗り越え、わたしを巣の中へ運んだ。
巣の中は床も壁も一面薄桃色だった。人面鳥はわたしを支えながら、わたしを壁に
寄りかかるようにして座らせた。そして器用に羽ばたきながら、わたしを壁に
押しつけた。壁の感触は粘土のように柔らかく、ねとねととしていて、わたしの背中と
腕はそこに軽くめり込んだ。両足は八の字に開かれた状態で、やはり床に押しつけられた。
わたしはすぐ、薄桃色の壁と床が、強力な糊のようにわたしの胴体と手足を固定して
しまったことに気づいた。それはたしかにぐにゃぐにゃと柔らかいが、貼り付いた
手足や胴体を、思うように動かすことはできなかった。
人面鳥は床に立ち、あいかわらずきょとんとした無表情な顔で、体を動かそうともがく
わたしをしばらく観察していた。やがて、わたしが動けないのを確認したのか、ばさばさと
音をたててどこかへ飛び去っていった。人面鳥の足は床に貼り付かない作りのようだった。
729:人面鳥(5/20)
09/05/06 20:55:17 Qol5p+gg
視界から人面鳥がいなくなってようやく、巣の中にわたしと人面鳥以外の住人がいた
ことに気づいた。わたしの斜め前の壁に、わたしと同じような姿勢で囚われている
女性の姿が目に入ったのだ。わたし同様、怪物にさらわれてきた犠牲者だろう、と思えた。
悲しげな顔でわたしを見つめている女性はとても美しかった。そしてわたしの目は
つい、わたしなどが今後いくら成長しても追いつけないであろう、その豊満な乳房に
釘付けになってしまった。
だが、落ち着いて見ると、目の前の女性にはどことなく違和感があった。日陰の
せいで始めはっきり見えなかった姿が、暗さに目が慣れるにつれ徐々に鮮明になり、
それと共に違和感の正体が明らかになった。
まず、女性の足は、関節の比率やその他の様子がおかしかった。指が長く、爪の先が
鋭くとがっていた。かかとも長く、その代わり、太ももが短かかった。そして全体に、
ごつごつとしたうろこのようなものができかけていた。腕も奇妙に短く、太くなり、
手も変な風に変形していた。小指と薬指がほとんどなくなりかけ、他の三本もとても
短くなり、その代わりに、手首の上のあたりが細長く伸びていた。そして、
よく見ると腕や肩には、ごく細かい毛が密生していた。
それに気づいたわたしの顔には、反射的に恐怖と嫌悪感が浮かんだはずだった。
それを見た女性の顔に、さらに深い悲しみの表情が浮かんだのが目に入った。
わたしは直観的に、この女性はあの無表情な人面鳥の仲間ではなく、ちゃんと人間の心を
もっているのだということが分かり、あんな顔をしてしまったことに対し、申し訳ない気持ち
が浮かんだ。だが同時に、まだ形をなさない大きな恐怖と不安が心に広がり始めていた。
女性がわたしの体を見つめ、悲しそうな顔のまま口を開いた。
「ちゃんとした人間の体を久しぶりに見たわ。そんな風だったのよね…。でも、とても
悲しいことだけれど、あなたもすぐ…」
730:人面鳥(6/20)
09/05/06 20:55:37 Qol5p+gg
その言葉が、わたしの形のない不安を一気に結晶化させた。わたしは取り乱して
女性に聞き返した。
「…わたしもすぐ!?わたしもすぐ、何なの!?そんな風になっちゃうの?
化け物にされちゃうの!!??」
口に出してから自分のデリカシーのなさに気づき、わたしはうろたえながら付け加える。
「…あ、ごめんなさい。違うの。あなたが化け物だと言ったんじゃありません。すみません…」
女性は、しかし、悲しそうな顔をやめ、きりっと眉を引き締めて返事した。
「いえ。いいの。わたしの方こそ気弱になってごめんなさい。むしろ、化け物に
なるのはいやだ、という、今のその強い気持ちを忘れないでいて」
それからしばらく、わたしは衝撃的な事実を頭の中で整理していた。
この女性はわたし同様、あの人面鳥に捕まってここに連れてこられたのだろう。
そして、人間と人面鳥の中間のような姿をしている。ということは、この女性は…
人面鳥とわたしが呼んでいる生き物は…そして、わたし自身は…。
「教えて下さい。…わたしも、これから、そんな風に姿を変えられてしまうんですか?
…そして、最後は、あの人面鳥になっちゃうんですか?」
女性は答えた。
「そうよ。わたしも、ここに来る前はちゃんとした人間だった。それに、わたしの前にも
『先客』がいた。彼女はわたしの見ている前で、徐々に身も心も完全な人面鳥に
変えられていき、やがてどこかへ『巣立って』いった。普通にいけば、わたしも、
あなたも、そうなるのは間違いないわ」
女性はそういって眉を曇らせた。激しい恐怖と絶望がわたしの心を覆った。せめて、
ぱくぱくとついばまれ、苦しみながら食べられてしまうのよりはましだと思うべきだろうか?
…いや、恐らく一瞬で終わる死の苦しみより、何日もかけて徐々に人間でなくなっていく
恐怖の方がずっとおぞましいのではないか?少なくともそのときのわたしにはそう思えた。
731:人面鳥(7/20)
09/05/06 20:55:58 Qol5p+gg
女性は再び毅然とした表情を取り戻し、言葉を続けた。
「わたしの体は、多分このまま完全な人面鳥に変えられてしまう。それは防ぎようが
ないわ。だけど、あなたをどうにかして助けることはできるかも」
女性はまた眉を少し曇らせつつも、やはり決然とした口調で先を続けた。
「…残念だけど、あなたをまったく今のままで帰してあげることも無理。だけど、
あなたが本物の人面鳥になってしまう前に、ここを出してあげることなら、できる
かもしれない。してみせる。信じれば、神様はきっと見捨てないわ」
わたしが質問を返そうとしたとき、ばさばさとあの音が聞こえてきた。そして人面鳥が
いきなりわたしに覆い被さった。
人面鳥はわたしの足の上に乗り、くちばしでわたしの口を強引に押し開けた。そして、
円筒状の固い舌をわたしののどに押し入れた。そして、ゲエッという汚い音と共に、
わたしののどの奥に何かどろりとしたものを吐き出した。
吐き出された液体は、ほのかな酸味のある以外に味はなく、ただしあの濃厚なワインの
ような甘い香りがしていた。人面鳥はゲエッ、ゲエッと何度かそれを繰り返し、
それからわたしから離れ、少し離れたところからわたしをじっと見ていた。
わたしは人面鳥が離れたとたん、激しく嘔吐した。そして嘔吐の発作は、目の前の
女性を意識してずっと我慢していた、排泄の欲求も解放した。胸一面にたった今
注ぎ込まれた生温かい液体が広がり、お尻の下には糞尿が散乱した。
人面鳥が次にとった行動はさらに嘔吐を掻き立てるものだった。あの円筒形の舌を
出して、わたしの下にまき散らされた排泄物を丁寧に吸い取り始めたのだ。それが終わると、
次は胸の上に広がった吐瀉物をやはり丁寧に吸い取り、あるいは舐め取った。そして、
その同じ舌を再びわたしののどに差し入れてきたのだ。
先ほど以上の激しい抵抗もむなしく、のどの奥にどろりとした液体が差し入れられた。
先ほどの排泄物もたしかに混じっているはずなのだが、ほのかに甘い味に変わっている
だけで、決していやな味はしなかった。