09/01/23 00:54:19 qutcDMI1
水晶球を見つめながら2人は冷戦期にウラジオストクの倉庫で武器の密輸を行っていたマフィア
から巨額の資産を強奪したり、10年程昔に香港の港で麻薬取引場を襲撃したりした事を思い出して
いた。すると突然、白いミニバスとは反対方向に走る黒塗りのメルセデスを確認する様に、ドレス
の女は着物の女に何やら物騒な問いかけをするべく、口を開いた。
「あたしはあっちを襲ってくるわ。強盗の方はあなたに任せてもいい?」
完璧な発音の流暢な仏語として発せられたドレスの女性の言葉は、和服女性の中で瞬時に翻訳
され、完璧なまでに美しい日本語となって和服の女の耳に届く。
「ええ、いいですよ。あちらは私が仕留めて参りますので、ご心配なさらないで下さい。」
ドレスの女性を安心させる様に和服の女性は返した。和服の女性が発した日本語もまたドレス
の女性の中で考える間も無く約される。異なる言語同士による何の停滞も無い実に速やかなやり
とりだった。それはまるで同一の言語によるやりとりであるかの様だった。和服女性の追認を得
るとドレスの女は満足したかの様に軽く頷いた。
「オーケー。じゃあ、それで決まりね。」