08/11/15 03:32:53 1hqYXOcq
>>355の自分が帰ってきました。プロローグだけ書けたのでウプします。このスレの需要に
合わせて変身シーンを入れてみましたが、この後しばらくは無いかもですm(_ _)m
―「序章」―
人間達が平和に暮らす世界の裏。誰もが気付かなぬ場所で、彼らが記憶し得るよりも遥か以前の
昔から、別の世界が動いていた。陽の光が決して届く事の無い闇の世界。辺り一面が闇に包まれた
漆黒の世界。この地に陽が登ることは無い。それはこの地に棲まう者誰もが記憶に留めている限り
の大昔からそうだった。一説にそれは、背いた魔軍達を追放した神が彼らに与えた罰の一つである
とも言われていたが、異世界の住人にとってそんな事はどうでも良かった。この地に人間なる者は
いない。人ならざる者――魑魅魍魎達の跋扈する世界。人間がこの地へ出向く事は無くとも、そ
の逆は昔から行われていた。彼らは時に、出現した地域と時代に拠って時に悪魔として恐れ、時に
幻獣として、時に妖怪として――世界の各地で語り継がれてきた。
ある者は彼らを仇なす存在として恐れ、陰陽道や魔女狩り等の手段を用い、古来より東西各地で
駆除を行った。また、ある者はそれを戯言だと笑い一笑に吹かした。そしてまたある者は彼らを神
格化し、崇拝の対象としたりもした。しかし人類の歴史で「産業革命」と呼ばれる時期を境に彼ら
の実在を信じる者は次第に減っていった。しかし人間の崇拝対象が、霊物から科学へと移行した今
もなお、「人ならざる彼ら」は時に人の形を取り、人間の日常へと紛れながら、昔と変わる事無く
この世へと渡り歩いていた。そんな中、未知なる異界と人間界との交わりが、双方の世界に棲まう
誰もが予想だにしない場所で、密かに起きようとしていた。
―そんな二つの世界の交わりを描いた物語―
どこまでも広がる闇夜という余りにも漠然とした世界に、見渡す限りの広大な大地が広がる。どこ
までも広がるブナやオークの原生林を進んでいくと、ようやく開けた地が現れる。その地には剣や盾
を持った無数の骸骨達が散らばっていた。どれも頭蓋や肋骨を粉々に砕かれており、その中で完全な
姿を留めている者は無かった。その様子は禿鷹が兵士達の死肉を啄ばんだ後の戦場跡とでも言うに相
応しかった。その遥か上空には、まるで中世の城塞都市を髣髴とさせる建造物が、それが立つ周りの
土地ごと地面から切り離された様な形で空中に浮遊していた。その中で、一つの重大な儀式が行われ
ようとしていた。