08/07/22 17:27:33 9NjRkB7D
「佐織~、ご飯の時間だ」
研究室の一角、しかしそこは独房と呼ぶに相応しい場所だった。
佐織はいつものように暗闇から前足だけを覗かせる。
「今日は佐織の大好きな毒蜘蛛だよ。
なんとオーストラリア産~!高かったんだぜ、コレ」
俺は手に持った皿を佐織に見えるように傾けてみせた。
皿の上では色鮮やかな巨大な蜘蛛が手足をもぞもぞ動かしている。
「入るよ・・・」
俺はごくりと生唾を飲んで、鉄の格子に手をかけた。
ギギギギギ・・と派手な音を立てながら、重い扉が横にすべる。
「ほーら、佐織、うまそうだろう?」
なるべくおどけてしゃべってみたが、やはり声は震えていた。
そう、今日はいつもと違う。
普段は食事を与えるとき中になんか入らない。今日は特例中の特例。
独房に足を踏み入れると、空気が一変したのがわかった。
そして同時に悟ってしまったんだ。
今日俺は佐織に殺されるんだって。