08/06/20 00:20:44 HNj31YpJ
私はわかっていた。
楽俊もわかっていた。
王になるのは、国を守ること。
そのためには、あらゆる手段を尽くすだろうということ。
この身体が、その手段になるだろうということ。
楽俊がやわらかく笑う。
「夜が明ける」
「うん」
「陽子。どんな国を作るのか、見せてくれよな」
笑った顔が、最後―だった。
祥瓊。
ごめんね、気づいてない振りをして。
景麒は馬鹿だから、また貴方の閨を訪ねるんだろうね。
私は守りたい。
あなたを、景麒を、この国の民を―そして遠い国で、一生懸命生きている愛しい半獣も。
突き飛ばしてごめん。
延王を好きな振りをしてごめん。
でも、私は王なんだよ。
この先どうなるかなんか、わからない。
でも、策を寝るのは私の領分なんだろうね。
それに男の人って、結構単純だし。
私なんて忘れて、ほかの女を抱いているのかもしれない。
また、突っかかってきてね。
そうしたら、泣けるもの。
陽が、昇るね―景麒は、またあなたのところにいるのかな。
また二人でお菓子を食べようね。
いっぱい、景麒の愚痴を言うよ。
だから、あなたは雁の話をして。あの国で、命を燃やしている半獣の離しをしてね。
日が、昇る。
慶の夜が明ける。
<了>