08/04/15 22:34:16 rO45sOnc
なんかSSの投稿ラッシュが行われていますが…、便乗して自分も。猟血の第四回です。
あれ?
私は何で外にいるんだろう。確か、暖かいベッドの中でぐっすりと眠っていたはずなのに。
外は真っ暗で、月がとっても明るく光っている。月の光でも、影ってできるのね。
寝巻き一枚で、冷たい風がぴゅうぴゅう吹いているのに体はちっとも寒くない。むしろ、胸の奥がどきどきして体がどんどん熱くなってる。
なんだろう?この気持ちは。
まるで、何かとっても大切な人を待ち焦がれているような、そんな気持ち。
どこ?どこ?どこにいるの?
右を振り向いても、左を振り向いても、動くものはなにもない。こんな夜に、起きているものなんているはずがないわ。
でも、私にはわかる。ここのどこかに、私が探している人がいる。
その証拠に、私のどきどきはどんどん大きくなっている。胸がキュゥッって締め付けられて息を吐くたびにため息が洩れている。
いる。近くに。私が恋焦がれる方が。
どこ?!どこなの?!
もう我慢できない。私の目があの方を捉えたがっている。私の腕があの方を抱きしめたがっている。私の脚があの方に絡まりたがっている。
私の口があの方を称えたがっている。私の胸があの方に搾られたがっている。私の舌があの方を清めたがっている。
私の大事なところがあの方を受け入れたがっている。私の首が、あの方に捧げられたがっている。
私の 血が あの方に 吸 わ れ た が っ て い る。
「よく…、来たね。僕の花嫁」
いた!あの御方がいた!!
ああ、あんなところで手招きをしていらっしゃる。月明かりに照らされたその姿は、どこまでも貴く、美しい。
その蜂蜜のような金髪。透けるような白い肌。蕩かすような甘い笑顔。紅玉のように紅い瞳。錐のように鋭い牙。
その全てが私に向けられている。
今、参ります。貴方様の下へ。私をお選びくださったことへの、感謝の念とともに。
こんな寝巻きはもういらない。あの御方が求めておられるのは、私であって私以外の物はいらない。
どうですか?最愛の主様。私の体は綺麗ですか?主様のものとして相応しいですか?
「ああ…。とても、美しいよ」
ああ!なんて嬉しいお言葉だろう。下賎な私如きの体を、主様は本当に愛でてくださっている!
もう、もう体の疼きが我慢できない。太腿を、とってもいやらしい液体がとろとろと流れ落ちていっている。
入れてもらいたい!挿れてもらいたい!!
早く、早く主様の太いもので、私めを刺し貫いてください!!
「そうだね…。焦らすのは、よくないね」
主様の腕が、私の体を優しく包み込んでくれる。とっても冷たいけれど、私の心の中はとっても暖かく満たされている!
あっ、あっ!主様の太いものが、私の中にはいってくる!はいってくるぅっ!!
すごい!首、気持ちいい!主様の牙が、私の首にぐっさり刺さってる!私、貫かれてる!!私、血を吸われてる!!
主様に、私の命、捧げられている!!もっと、もっと私を吸ってください!私の全て、吸い取ってください!!
「……。今日は、ここまで」
ああっ!主様!なんで、なんで抜くんですか?!私に何か、至らないところがあったんですか?!
「今日はまだ、君を迎えるに相応しい時ではない。次に月が満ちる時、迎えにこよう」
ああっ、主様が去って、いく……
でも、仕方がない。主様がそういわれたなら待つしかない。私は主様のもの。主様の言われることに逆らうわけにはいかない。
待とう、次の満月まで。なに、そんなに気を病むことはない。
もうすぐ、もうすぐ主様に身も心も全て捧げられるのだ。それまで待つのも悪いことじゃない。
420:猟血の狩人
08/04/15 22:35:16 rO45sOnc
「これは…、確かに吸血鬼に魅入られているわね」
ティオは、椅子にもたれかかって気だるく微笑み続ける女性を見るなり即答した。
虚ろな瞳は意志の光が消え失せ、代わりに闇の者を印す邪悪な赤光が僅かながら虹彩に宿っており、
近くに手をかざしても何の反応も示さず、窓の外をただ一点眺め続けている。
「ああ…、主様……」
時折紡がれる『主様』という言葉は、まるで自分に今の主人が誰なのかを言い聞かせているかのように見える。
そして、白い首筋に深々と穿たれた二つの噛み跡。
「三日ほど前でしょうか…、娘が夜に突然いなくなって、村人総出で探し出したとき、娘は村はずれにある小高い丘の上で今のような
状態で見つかったのです」
女性の父親が、無念さを滲ませた表情でティオとニースに語りかけてくる。
「それ以来、娘は何の反応も示さず、一日ただ外を眺めながらうわ言のようになにかを呟き続けるようになってしまいました。
教会に相談しようとしても、狩人の派遣には一週間はかかるといわれてしまいました。それでは、恐らく娘は…」
「無理でしょうね。獲物をそんなに気長に待つ吸血鬼なんていないわ」
自身が吸血鬼だから相手の気持ちが分かるのだろうか、ニースはあっさりと答えた。
「三日もそのままにしておくってのも相当おかしいけれど…、十日も吸血しないでほったらかしておくなんてどんな吸血鬼も絶対にしない。
私だって、五日も我慢したら…あわわ!!」
さりげなく、とんでもないことを口走りかけたニースは慌てふためきながら口元を抑えた。その様子に女性の母親は小首を傾げたが、深く
詮索はしないでティオのほうへと向き直った。
「お願いです!娘を、リムを助けてください!このまま娘を吸血鬼の餌食にさせないでください!!」
その剣幕に、流石にティオも「いいえ」というわけにはいかなかった。
「で?どうするのよティオちゃん」
二人に与えられた空き部屋の中で、ニースは不機嫌そうにティオに話し掛けてきた。
「どこにいるかもわからない。いつやってくるかもわからない吸血鬼を討滅するの?相手がどんな奴かもわからないってのに」
通常、吸血鬼を相手にする時は迎え撃つという真似はしない。光の当たらない世界では相当な力を持つ吸血鬼と戦う場合、わざわざ相手の
得意な時間に勝負をかけるなど愚の骨頂でしかない。
日があるときに吸血鬼のねぐらに乗り込み、十分な力を出させること無く倒すのが手っ取り早いからだ。
もっとも、ティオとニースに限っていえば、ニースが闇の世界に生きる吸血鬼なために夜に戦うという選択肢もあるのだが、それでも相手
がどんな力を持つ吸血鬼か全く分からない状態で戦うというのはかなり無謀だ。
もしも、相手の吸血鬼が高位貴族だったりしたら、さすがに夜では勝ち目がない。
「う~~~~ん……。でも、あの場合放っておくわけにもいかないじゃない」
ニースの責めるような視線に、ティオは困りきった笑顔を浮かべて答えた。
なにしろ、街中を二人で歩いていた時、いきなり一人の男が「助けてください!」って迫ってきたのだ。どうやら、ティオが着ている仕事
着を見て、最初は教会の関係者かと勘違いしたらしい。
丁重に無視する。という選択肢も無くは無かったが、とりあえず話だけでも聞いてみようとしたら件の事だ。吸血鬼がらみの話とはいえ、
ティオもニースもはいそうですかと安受けあいするにはリスクが非常に高い。
「とりあえず…、私は他に吸血鬼の被害がないか、ここらへんに吸血鬼が巣食っているような所がないか聞き込みをしてくるわ。
まだ日が高いからニースはここで待っててね」
「は~~~い」
まだ不満げなニースを一人残し、ティオは情報集めに外へと出て行った。
後には取り残され、部屋の中でぽつねんとしているニースが一人。
「全く…、ティオちゃんは甘すぎよね。他の人間がどうなろうが、かまいやしないじゃない」
もしティオちゃんが私以外の吸血鬼に噛まれたらどうなるの?私が我慢して我慢してティオちゃんに牙を立てるのは辛抱しているって
言うのに、その私の苦労を無駄にしてもいいって言うの?!
421:猟血の狩人
08/04/15 22:36:16 rO45sOnc
吸血鬼であるニースにとって、ティオ以外の人間がどうなろうが基本的にどうでもいいと思っている。
人間は自分の体と命を潤す血袋であり、袋にかける情けなんかない。
ティオが吸血鬼になった暁には、どこかの村一つをティオの生誕祭としてティオと一緒に吸い尽くそうと考えているくらいだ。
そのティオが他の吸血鬼の毒牙にかかるのだけは、ニースとしてはなんとしても阻止しなければならない。
そのため、今回の件はどうしても気乗りがしなかった。
並大抵の吸血鬼なら返り討ちに出来る自信はある。それだけの魔力は蓄えてきたつもりだ。
だが、今回の吸血鬼はどうもやっていることが不可解に過ぎる。
なぜ、一気に吸い尽くさずに放置しているのか。何故こちらに対策を立てる時間を与えているのか。
(その吸血鬼がよほどの変わり者か、あるいは、普通にしもべを作ることに飽き飽きしているのか…)
もしかすると、よほどの大物なのかもしれない。
「なんにせよ…、こっちとしても調べる必要はあるわね…」
ニースは思いつめた表情を浮かべたままスッと立ち上がり、リムがいる部屋へと向っていった。
部屋に入ると、リムは相変わらず呆けた表情を浮かべたままじっと外を見つめていた。
窓から太陽の光が差し込んでくるため、ニースは降闇を羽織ったままリムへと近づき、座っている椅子をくるりとこちらに向けた。
「あ…」
強引にニースの方へと向けられたリムが反射的に窓のほうへと顔を向けようとするところを、ニースは両手でリムの顔をがっしりと押さえ
紅い瞳で射抜くように、リムの顔を睨みつけた。
「答えなさい。あなたの主様ってどんな奴なの?」
ニースの魔眼に睨みつけられたリムは一瞬体をビクッと強張らせ、搾り出すようにたどたどしく言葉を放った。
「あ、あの方は……、あぁ…
透けるような白い肌、秋の稲穂のように綺麗な金色の髪、雄々しい牙…」
瞳を潤ませながら吸血鬼の身体的特徴を述べていくリムだが、そんなことを聞いてもニースはとんとピンとこない。
「そんなことはどうでもいいの。名前は?どんな奴だって言っているのよ」
「な、名前はぁ……知らない。聞いてない。教えて、くれてない……」
ニースの言葉にリムは弱々しく首を振って答えたが、ニースとしてもここで止めるわけにはいかない。
「知らないはずは無いわ。血を吸われた時点で、あなたの心の奥底には吸った吸血鬼の存在が刻み込まれているんだから。
さあ、呼びなさい。あなたの主人の名前を。さあ、さあ!さあ!!」
ニースの目の赤光が部屋を照らすまで明るくなっている。リムの瞳はその光を一身に受け、魔眼の強制力により心の奥底にある決して表に
出てこない言葉を強引に引きずり出されようとしていた。
「あ、ああぁ!わ、私のある、主さまはぁぁ…。な、なん、南天(なんてん)のきみぃ……、うああぁっ!!」
魂の深層に打ち込まれた主の名前を無理やり呼び起こされたからか、リムは胸を掻き毟って悶え、そのままパタッと意識を失ってしまった。
「南天の君?聞いたことないわね、そんな貴族…」
ニースの過去の知識を紐解いても『南天の君』なんて吸血貴族は聞いたことが無かった。教会の資料室を調べれば出てくるかもしれないが、
もちろん今のニースは教会に行くことは出来ないし行く気もない。
「やっぱ変わり者の貴族くずれなのかしら…。っと、もう一つ調べる事があったっけ」
ニースはポン!と少し演技臭く手を叩くと、右手の人差し指の爪をキリキリと鋭く伸ばし、気絶しているリムの右腕にぷすり、と突き刺し
ぷくーっと膨らんでくる血球を掬い取ってぺろりと舐めてみた。
「う~~ん…、まずくは無いけれど、取り立てて美味という訳ではないわね」
もしかしたら、リムの血があまりにも美味しいので吸血鬼がもったいぶってゆっくり啜ろうと意図してこんなに間を開けているのかと考え
たが、どうやらその線でもないようだ。
「本当に、面倒くさいことに巻き込まれちゃったわね…。いざとなったら、ティオちゃんだけでも逃がすようにしないと…」
この時、まさか守ろうとしているティオに命を狙われる事態に陥るなど、神ならぬニースは想像もしていなかった。
422:猟血の狩人
08/04/15 22:37:57 rO45sOnc
「おや…?」
人の世から隔絶された深い森の中に佇む小さな廃城。手入れする者も無く荒れ放題だった城内の光も射さないほど奥の部屋で、
ただ一箇所だけ燭台の灯火が揺らめいているところがある。
散らかり放題の廃城の中でその一角のみ綺麗に整頓され、高級そうな家具がセンスよく並べられていた。
その部屋の中で、赤いビロードで作られたソファに座りながら本を読んでいた男がピクリ、と体をふるわせてから本をぱたりと閉じた。
年恰好は15歳前後。よって、男というよりは少年といった方が正しいか。
短く切りそろえられた金髪、人形のように整った顔立ち。白い長袖シャツに黒いズボン。それを支える黒のサスペンダーに黒皮の靴。
そして、モノクロームな色調の中にアクセントとして首に巻かれた赤のリボンタイ。
その見た目はどこかの良家の御曹司といった風貌である。が、
その瞳に宿る禍々しいまでの赤光と口元から除く牙が、少年が人外のものだということを主張していた。
「どうなさいましたの?アレクサウス兄様」
そして、その奥にさらにもう一人。
顔立ちは『兄様』と呼んだ少年吸血鬼に良く似ているが、見た目の年はより若く14歳手前といったところか。腰あたりまで伸ばした髪を
大きなヘアバンドで結わき、黒を基調としながらところどころを白のレースで飾り付けられたドレスを身に纏い、黒のブーツを履いている。
そして、その手には革紐が握り締められており、その先は四つん這いになって地面を這う裸の青年の首に撒かれている首輪に繋がっていた。
勿論、彼女もアレクサウス兄様と同じく吸血鬼である。
「ああ、アルマナウス…。町に残してきた花嫁の気配が消えたんだ。弱ったな、迎えに行くまでまだ二日もあるのに」
「…何を仰っているんですか、兄様は」
アレクサウスはいかにも弱ったといった口調でアルマナウスと呼んだ少女吸血鬼に語りかけるが、アルマナウスは兄が幾許も弱っていない
と言うのは先刻承知済みである。
その証拠に、アレクサウスの口元には笑みが零れている。これから起こることが愉しくて愉しくて仕方がないといった笑みだ。
「そんなに花嫁が大事なら、満月までなんて猶予をおかずにさっさと同族にしてしまえばよろしいのに。
私なんて、とてもそんな我慢など出来ませんわ」
そう言いながら、アルマナウスは手に持った革紐をぐい!と上へ引っ張った。そのため下で這い蹲っている青年の首輪が一瞬だが首を圧迫し、
青年はゲホゲホと苦しくむせ返った。
「ほら、私は気に入ったおもちゃがあればすぐに持ち帰ってきてしまいますから…、こうして愛でたいときに愛でることが出来るのですよ」
アルマナウスは『愛でる』といいながら、青年の背中をブーツでぐりぐりとねじつけている。靴の底が背中の皮膚を破り、血がうっすら
と滲み出ている。
が、青年の顔には苦痛ではなくそのことに対する恍惚の笑みが張り付いていた。
「まあ、そう言うなよアルマナウス。5年ぶりに娶る110人目の花嫁なんだ。すぐに同族にしたんでは飽きも早くきてしまうし
こうして、他に面白い事態が発生することがままあるわけなんだからね…」
「…確かに、飽きが早く来る。というのは間違ってはいませんけれどね」
アルマナウスは下にいる青年をちらり、と見た。
4日ほど前、夜の町を歩いていたら連れの女と寄り添っているところを目撃し、ちょっと顔が良かったから連れ帰ってきた男だ。
女はいらないからその場で首を跳ね飛ばした。女の血なんて吸う気にもならない。
男は女を殺されたショックで半狂乱になっていたが、ちょっと口付けを与えてあげるとたちまち私の虜になった。
私の言うことに何でも従い、日がな一日私に血を吸われる事を求め続けている。
最初の頃は可愛かった。吸っている時に時折見せるアヘ顔が見ていて愉しかった。持って帰ってきた女の首で自慰をしろって言った時に
喜び勇んで腰を振っていた様が愉快でたまらなかった。
でも、なんか醒めて来た。
なんで私はこんな奴を持って帰ってきたんだろう。ちょっと顔がいいだけで、どこにでもいるつまらない奴ではないか。
下で芋虫のように這い蹲っている姿を見るだけで、なんかムカムカしてくる。
「でも、飽きたなら捨てればいいだけのこと。所詮花嫁といっても、退屈を紛らわすだけの人形ではありませんか」
アルマナウスは青年を踏みつけている脚にぐい!と力を篭めた。吸血鬼の怪力で踏みつけられ、青年の体はあっけなくアルマナウスの
脚で串刺しにされてしまった。
423:猟血の狩人
08/04/15 22:39:40 rO45sOnc
青年は自分に何が起こったのか最初は理解できず、胴の辺りから滴り落ちる自らの血液の感触でようやく自分が主人に捨てられたことを
悟り…、主人の手で始末をつけられたことに満足げな笑みを浮かべて事切れた。
「あぁ…、何をしているんだアルマナウス。せっかく片付けたっていうのに汚してどうするんだい」
目の前に噴き出した血を見てアレクサウスは妹をたしなめたが、アルマナウスは全く意に介さず涼しい顔で兄に言い放った。
「どうせ、長居はしない城。気に入らないなら他の部屋を整理して使えばよろしいではありませんか。
小さい城とはいえ、空き部屋ならまだ両手に余るほどありますわ」
そう、この兄弟は吸血鬼としての生を得てから500年余、自身の終の棲家という物を持たず世界のいろいろなところを彷徨って来ており、
気に入った場所に落ち着くとその都度やりたい放題の所業を行ってきていた。
その場所も周期も非常に気まぐれなため個体としての知名度が上がることはなく、過去に起こった大きな未解決の吸血鬼関連の事件に
いくつも関わってきているのだが、教会のほうでその名が大きく取り上げられることは無かった。
彼ら自身は自分の名前を取って『南天』『北天』を自称していたが、正式な爵位ではないので勿論教会の資料には記されておらず
したがってニースも『南天の君』と言われてもピンとこなかったのである。
「そうだけれど…、僕はこの部屋が気に入っているんだ。仕方が無いな」
やれやれといった顔をしてから、アレクサウスは本を机に置いて両手をパチパチと叩いた。
すると、部屋向こうから音も無くメイド姿の女性が3人現れ、アレクサウスの前にすっと並んだ。
全員、首筋に噛み跡が見えることから兄妹の手でしもべにされた人間のようだ。
424:猟血の狩人
08/04/15 22:40:40 rO45sOnc
「お前たち、この肉を片付けて床を綺麗に清めて置くんだ。
僕たちは今夜、ちょっと出かけるからそれまでに染み一つ無いようにしておくんだぞ」
アレクサウスの言葉に、メイド達は表情も変えずこくりと頷いた。さっそく二人のメイドが哀れな青年の亡骸を抱えて表へと運び出していく。
「ああそう。その肉はお前達の好きにしていいからな。捨てるなり、喰うなり自由にしろ」
アレクサウスの言葉を背中越しに聞き、メイド達の顔が喜色に歪んだ。
メイド達は暫くの間青年を持ち歩いていたが、滴り落ちる血に我慢できなくなったのか足を持つほうのメイドが太腿にむしゃぶりつき、
それを見た腕を持つメイドが遅れてはならじと首に牙を埋めた。
暫くの間、静寂に包まれていた廃城の廊下に血を啜る音が響き渡っていた。
メイドが遺体を抱えて出て行ってから、アルマナウスは兄の方へ鋭い視線を向けた。
「兄様…、私も行かねばならないんですか?たかが人形の居場所を確かめに行くだけでしょう?」
アルマナウスがいかにも不機嫌そうに顔を顰め、兄に向けて不満をこぼした。
が、アレクサウスはそんな妹に諭すかのように話し掛けた。
「それもある。けど、見てみたいと思わないかい?
僕と血の交換をした花嫁の気配を感じさせなくなるほどの術式を使える相手というのを。
きっと、退屈しのぎにはもってこいだと思うんだ!」
このアレクサウスの言葉に、アルマナウスの顔はぱっと輝いた。
「ああ、なるほど!確かにいいおもちゃが見つかるかもしれませんね!
私、俄然心がときめいてきましたわ!!」
アレクサウスもアルマナウスも、そのはしゃいでいる姿は外見の歳相応に相応しいものである。が、
人をおもちゃと言ったり抵抗を退屈しのぎと捉える認識は、明らかに兄弟の本質の底知れない闇を表している物だった。
「では私、少し身支度を整えてきますわ。人間の前に出ても恥をかかないようにしておかないといけませんからね」
思い立ったが吉日か、アルマナウスは飛ぶように自分の部屋へと戻っていった。
「やれやれ…。いつまでも子どもだなアルマナウスは。それにしても…」
妹のはしゃぎぶりに苦笑したアレクサウスだったが、次の瞬間冷徹な吸血鬼の顔に戻り右手を顎のところに寄せながらぼそりと呟いた。
「僕の力を遮断するほどの力を持つ…。どういうことだ…」
通常、相手が不可視の結界を張ろうが血の繋がりを保っていれば気配を探ることは出来る。吸血鬼の血の支配というのは
それほど強固で強大なものなのだ。
それが、今回は気配すら断たれている。これが意味する物はただ一つ。アレクサウスが施したものより強烈な支配を、
相手が施した以外考えられない。
「なかなか面白いじゃないか。こんな昂揚感は久しぶりだよ…」
最近、心に燃え滾る物が久しくなくなり生きることに退屈してきたところだ。アルマナウスではないが心にときめきが迸り始めている。
「どんなものが待っているかは知らないけれど…、期待を裏切らないでくれよ。クフフ…」
口に手をあててほくそえむアレクサウスの足元では、床に散らばった血を残っていたメイドが真っ赤な舌を伸ばしながらピチャピチャと
美味しそうに舐め取っていた。
425:猟血の狩人
08/04/15 22:41:41 rO45sOnc
ここで、話は少し前にさかのぼる。
ティオが聞き込みから戻ってきてニースに分かったことを報告してきたが、その内容は非常に芳しくないものだった。
「じゃあ、この近辺で吸血鬼の被害が出たってのはここ10年ないってことなの?」
「ええ。おまけにこの近辺に貴族の居城のようなものもないし、野良がまぎれてやってきたってこともなし。
本当に訳がわからないわ。これ」
ティオは打つ手が分からない、といったふうに両手を広げ、とすんと椅子に腰をつけた。これでは対策が立てようがない。
「ねえ…、ティオちゃん…。『南天の君』って言葉に覚えない…?」
ニースはニースで聞き出した唯一の手がかりをティオに尋ねてみたが、
「??いやゴメン。全然分からないわ」
と、無下に返されてしまった。
「あ~あ、せめて相手が来る時だけでも分かればいいんだけれど…」
このまま、いつ来るかもわからない相手に毎夜臨戦態勢を敷いていては身が持たない。待ち構えるにしても、待ち伏せが出来るような
体勢を整えておかなければただでさえ不利な現状が挽回不能なまでになってしまう。
両手で頭を抱え悩みぬくティオに対し、ニースはいつもは見せないような真剣な表情を浮かべていた。
「ティオちゃん…、一つだけ吸血鬼をおびき寄せる方法があるわ」
「えっ?」
意を決したかのようにぼそっと呟いたニースの言葉に、ティオはぱっと顔を上げた。
「ティオちゃん、吸血鬼って血を交換しあった相手とはある程度離れていても相手がどこでどうしているか認識できるって知ってる?」
「え、ええ…。聞いたことが、あるわ…」
実際は、聞いているどころか実践されたりもしているのだが。
「この能力があるから、吸血鬼は一度血を交換した相手ならどこに隠れていようと探し出して再び牙を立てることが出来るの。
彼女の血を吸った吸血鬼も、これがあるから余裕ぶっているんだと思う。
だから、彼女を完全に隔離してしまえば吸血鬼は泡を食って探しに来るはずよ」
「…はぁ~~っ…」
ニースの言葉にティオはなるほど!と頷いた。確かにほっぽってある餌が突然どこに行ったか分からなくなったら探しにやってくるだろう。
「じゃあ、彼女をどこかに隠してから不可視の結界を張って…」
「無理よ。そんな結界ぐらいじゃ吸血鬼の認識を遮断することなんて出来ない。吸血鬼の私がいうんだから間違いないよ」
ニースは『わかってないなぁ』と言った風情で首を横に振った。
「うまくいくかどうかは分からないけれど…、私がリムに暗示を上書きしてみる。
相手がかけた力より私の力が上だったら向こうの認識は届かなくなるはず。そうなれば、向こうは彼女を見失うわ。
本当は、血を吸ってから暗示をかければ完璧なんだけれど、それは……」
そこまで言ってから、ニースはちらりとティオのほうを見た。
「………」
ティオは厳しい顔をしながら両手を胸の前でクロスさせ、大きなバッテンを形作っていた。
「ダメよね…。やっぱ」
ニースはちょっとだけ残念そうに首をかくん、と折った。
「じゃあ…。だめもとでやってみますか」
「となると…、どこか彼女を隠す場所が必要ね。この家のどこかに隠してもすぐに見つけられるだろうし…」
相手の吸血鬼の正体が全く分からないのは相変わらずだが、自分たちだってかなりの数の吸血鬼を相手にしてきたプロフェッショナル。
迎撃体勢さえ整えられれば勝負にはなる。ティオとニース、二人ともこの時点ではそう考えていた。
二人がリムの部屋に入った時、さっきのニースの魔眼の影響で気絶したリムはベッドの中で寝かされていた。
「さて…、ちょっと起きてもらうわよ」
ニースが手をパチリ!と鳴らすと、寝静まっていたリムの眼がカッと見開かれた。
「あ…?、主様ぁぁ…」
リムは熱に火照ったような目を窓のほうへと向け、よろよろと起き上がろうと身を起こした。
が、その前にニースが立ちはだかり、リムの顔をがっしりと両手で押さえ込んだ。
「ど、どいてぇ…。主様が、主様が…」
「悪いけれど、暫く主様のことは忘れてもらうわよ」
426:猟血の狩人
08/04/15 22:42:46 rO45sOnc
カァッ!!
ニースを跳ね除けようともがくリムに、ニースは渾身の力を篭めて魔眼を放った。
「あうっ……!」
魔眼の光を真正面から受けたリムは全身をビクン!と強張らせニースの魔眼から視線をそらそうと懸命に首を揺すり始めた。
「いやっ…いやっ…!」
「クッ…ちょっとは大人しくしなさい!忘れろって言ってるのよ!」
自分が全開にして放っている魔眼にここまで抵抗するとは、やっぱり彼女の血を吸った吸血鬼は普通の奴じゃない。
(でも、私だって今まで他の吸血鬼からたっぷり魔力を吸い取ってきたんだ!これくらいのことに負けるものか!)
「忘れろ!忘れろ!忘れろ忘れろ忘れろぉぉっ!!」
「あ、あ、きゃあああああぁぁっ!!!」
ニースは半ばムキになってぎりぎりとリムを睨みつけ続け、とうとう抗し切れなくなったリムは一際大きな悲鳴を上げると
全身の力をくたっと抜いてその場にどさりと倒れた。
「ち、ちょっとニース?!」
ティオが慌ててニースの元へ駆け寄ると、ニースは肩で息を切らしつつもニースの方へと振り向き、顔に満面の笑みを浮かべて
右手でガッツポーズを作った。
「やったよティオちゃん…。これでリムを噛んだ吸血鬼は彼女のことを認識できなくなったはずよ。ただ…」
『ただ』のあと、急にニースは険しい表情を浮かべて言葉を続けた。
「ただ、彼女を噛んだ吸血鬼…、強いよ。まさか、暗示を上掛けするだけでこんなに力を使うとは思わなかったもの。
間違いなく…、今まで相対した中で1、2を争うと思う」
「そう…」
普段は結構深刻な状況でもおどけた感じを崩さないニースがこれだけ真剣な表情を浮かべることが、語っている言葉の真実を裏付けていた。
それを感じ取ったティオも、その顔をキッと引き締めた。
「この子を感じ取れなくなった吸血鬼は、間違いなく今夜やってくるよ。そうなると…」
「わかってるわ。返り討ちにあわないよう慎重にいきましょう」
「………」
自分のほうへ向けて笑顔をおくるティオを見て、ニースは顔にこそ見せないものの心の奥で不満をぶちまけた。
(ティオちゃんは全然わかってない…)
私はこんな危険そうな吸血鬼とティオちゃんを向わせたくない。今からでもティオちゃんの意識を魔眼で奪ってこの町から逐電したい。
寝ているティオちゃんはあんなに従順なのに、起きているティオちゃんは私の本音をわかってはくれない。
(ティオちゃんが私のものになってくれるまでの辛抱だけれど…、こんなことが続いたら我慢しきれない、かも…)
ニースは思わずティオの首筋を眺め、ごくりと唾を飲み込んだ。
ティオはリムの両親の了承を得て、リムを町の教会の一室へと送り込んだ。向こうからすれば隠し場所としては分かりやすいような
気もするが、聖なる気に包まれた教会の中ならそう簡単に侵入することも出来まい。当然、一室には不可視の結界を張っている。
そしてもちろん、ニースは教会に近づきたくはないので部屋で待機中である。
「本当に…、娘は助かるのでしょうか?」
吸血鬼など見たこともないゆえに、不安にかられている両親がティオに再三同意を求めてきている。
「……大丈夫ですよ。必ず、娘さんを吸血鬼の手から解放してあげますから」
正直言って保障など出来はしないのだが、ここで余計なことを言って心配事を増やしても何の意味もない。
とにかく、今夜襲撃してくる吸血鬼を確実に仕留めるだけだ、とティオは気持ちを整理していた。
そして、日が沈んだ。
闇の者が蠢く時間帯である。
427:猟血の狩人
08/04/15 22:44:11 rO45sOnc
ティオとニースはいつにない重武装で、風一つ吹いていない表に立っていた。
ティオはいつも両手に持っている二本の短剣に加え両腿に予備を二本備え、さらに上着に四本仕込んでいる。
ニースもすでに剃刀のように研ぎ澄まされた両手の爪を長く伸ばし、臨戦態勢を整えている。
一応教会の牧師を通じて町長に掛け合い、町の人間には夜に外を出歩かないよう言い聞かせてあるので周りには猫の子一匹いない。
「…もう三時間は経っているわね。ニース、どう?まだ気配は感じない?」
ティオの言葉にニースはこくりと頷いた。なにしろいつ来るのか、そもそも本当に今夜来るのかも保障できないのだ。
「じれったいわね…。来るならさっさと来ればいいのに……」
緊張感を持続するのに疲れてきたからか、ティオがぼそりと悪態をついた、その時
「君達が今回の趣向を凝らした人間かい?せっかくだから、お招きに預からせて貰ったよ」
二人の上空から、透き通るような声が響き渡った。
「「えっ!!」」
ギョッとした二人が上を見上げると、そこにはほぼ真円になりつつある月を背景に二つの人型のシルエットが浮かんでいた。
一人は、タキシードに黒いマント、赤いリボンタイをつけた金髪の美少年。
一人は、モノトーンのドレスにビスクドールを小脇に抱えた金髪の美少女。
顔立ちが似ているから、どうやら二人は兄妹のようだ。
気品溢れるその姿は、どこか身分の高い出自を連想させるものがある。が、勿論彼らは人間ではない。
人間はそんな紅い虹彩を持ってはいない。人間はそんな青白い肌をしていない。人間は獣のような牙は持っていない。
そして何より、人間は空を飛べない。
「い、いつの間に?!」
「うそっ?!全然気がつかなかった…」
ティオもニースもあまりのことに呆然とするしかなかった。
ティオは、あっけなく自分の死角をとられたことに。もし向こうがその気なら、自分は知らないうちに命を断たれていてもおかしくはない。
ニースは、相手の気配を全く感じ取れなかったことに。吸血鬼になって感覚が鋭くなってから、こんなことは初めてだった。
「僕の名前は『南天のアレクサウス』。短い間だけれど、覚えていてくれると嬉しいな」
「私は『北天のアルマナウス』。あなた方は少しは楽しめるのかしら…あら?」
二人の前で余裕ぶって自己紹介をしている時、アルマナウスがニースをちらりと見て軽く目を見開いた。
「兄様、あっちの方…、私たちとご同類ですわよ」
アルマナウスの指摘に、アレクサウスもニースを眺め、ほほうと目を細めて笑顔を浮かべた。
「なるほど…。何で人間と一緒にいるのかは知らないけれど、花嫁を認識できなくなったのはどうやら彼女が原因のようだね…」
ニースとティオ、双方をちらりと見たアレクサウスは何かを思いついたのか不敵に微笑むと、アルマナウスにしか聞こえないような
小声でそっと囁いた。
「アルマナウス、僕が彼女の相手をしている隙にあの人間を捕らえてくれ」
「捕まえて、花嫁の居場所を白状させるのですか?余り面白い趣向ではありませんわね」
「まあ、そういう考えもあるけれど、もしあの人間がそれなりに力をもっていたら……」
アレクサウスはアルマナウスの耳元に顔を近づけ、ぼそぼそと何かを呟く。それを聞いたアルマナウスの顔がにんまりと輝いた。
「まあ、それは面白そうですわね…。でも、もしあの人間がたいしたこと無かったら…、壊しちゃいますわよ」
そう言ってからアルマナウスはクスリと微笑むと、スッと夜の闇に消えていった。
「そこいらへんは任せるよ…。さて、と」
アレクサウスの方はふわりと音も無く地面に降りると、ニースを興味ありげに見つつ語りつけてきた。
「はじめまして、共に夜を生きる輩よ。あっちの人間は君の人形かい?」
アレクサウスはティオを指差してニースに尋ねてきた。当たらずとも遠からず、と言ったところだが。
もちろん、そんなことを言われたニースはいい気はしない。ムッと表情を強張らせてアレクサウスを睨みつける。
「彼女、人間の割にいい力を持っているようだね。どうだい?花嫁はあきらめるから、彼女を僕たちにくれないか?」
「な?!ふ、ふざけるんじゃないわよ!!ティオちゃんをお前達にやるわけないでしょ!!」
ティオちゃんは私のものだ!という言葉は心の中で続けた。
「お手付きを回収しに来ただけかと思ったらティオちゃんにまで手を出そうとするなんて、このマセガキが!!」
428:猟血の狩人
08/04/15 22:45:16 rO45sOnc
「おいおい、少なくとも僕は君よりはずっと長生きだよ。ガキにガキ呼ばわりされたくはないな。
どうせ、まだロクに交わった経験もない『ガキ』なんだろ?君は」
アレクサウスは余裕の笑みを浮かべながらニースの言葉をさらりと受け流している。流石に500年生きているだけあって
人生経験も人のあしらい方もニースとは比べ物にならないほど豊富だ。
「な、な、な……」
自分よりはるかに年下にしか見えない吸血鬼にいいように言われ、ニースの顔には普段はティオの前では絶対に見せないようにしている
吸血鬼の残忍な本性がめらめらと湧き上がってきていた。
ニースは怒りのあまりガチガチと牙を震わせ、怨念が篭りまくった瞳でアレクサウスを睨みつけた。
(人をバカにして…。絶対に許すものか!妹もろともその血、吸い尽くしてやる!!)
「ちょっとニース、あまり興奮…」
「ガキがぁっ!覚悟しろおおぉっ!!」
ただならぬニースの形相に慌てて諌めようとしたティオだったが、それを聞く間もなくニースはアレクサウス目掛けて
爪を振りかざして猛然と襲い掛かっていった。
「でぇぇぃ!!」
「おっと」
脳天を切り裂くかのように振り下ろされた爪撃を、アレクサウスは涼しい顔で受け流した。
「このっ、このっ、このぉっ!!」
ニースも息つく間もなくぶんぶんと攻撃を繰り出すが、どう見ても命中する気配はない。
「ニース!先走りすぎよ!」
連携をかける間もなく戦闘を始めたニースに、出遅れたティオが加勢しようと剣を抜いて近づいたが、
その行く手にアレクサウスの片割れの吸血美少女がスッと立ちはだかった。
「貴方のお相手は、私が致しますわ」
「っ!そこをどきなさい!」
ドールを抱えたまま無造作に立つアルマナウスに、ティオは左手に構えた短剣をビュッ!と突き出した。
「そんなもの…」
もちろんアルマナウスは軽やかに避けるが、そのため前方にニースへと近づく道が出来た。
「あなたの相手は後でゆっくりとしてあげるわ!」
ティオは体を捻ってアルマナウスの横を抜け、ニースへと近づこうとした。が、
「そんなつれないことは仰らないでくださいな」
フッと笑ったアルマナウスは、手に持っていたドールをぽい、とティオの前方へ放り投げた。
ドールは慣性の法則に従って放物線を描き、そのまま地面へ叩きつけられ…はせず、両の足ですとり、と着地した。
「えっ?」
ティオがその不自然な動きに訝る間もなく、ドールはむくむくと大きくなりたちまち2m近い巨躯となった。
無表情なドールのガラスの瞳が、ティオをじーっと睨みつけている。かなりシュールだ。
「エメラルダス、その人間を軽く痛めつけて上げなさい。兄様の花嫁の居場所を、白状できるくらいにね」
エメラルダスと呼ばれたドールは、アルマナウスの言葉に反応してその手を振り上げ、ティオ目掛けて振り下ろしてきた。
「ちょ!ま!」
慌ててティオは後方に身をかわし難を逃れたが、物凄い風圧と共にドールの掌がティオの頭先を掠めていった。
「うわっちっ!なんて勢い……、えっ?!」
一歩後退し体勢を立て直そうとしたティオだったが、ドールは想像以上の素早さでティオに接近し、間髪いれず攻撃を繰り出してきた。
「うわっ!ちょっ!たっ!」
ブンブンと空気を切り裂いて襲い掛かるドールの怒涛の攻撃に、最初は防戦一方のティオだったが、所詮人形だけあって
機械的で画一な攻撃に次第にパターンを見切り始めた。そして、横凪の攻撃をかわした後、一気にドールの懐に飛び込んだ。
「人形が、調子に乗るな!!」
懐の深いドールは反撃が間に合わない。確実にしとめたと確信したティオは肩口目掛け剣を振り下ろした。が、
ガキンッ!!
429:猟血の狩人
08/04/15 22:46:16 rO45sOnc
「えっ?!」
ティオの短剣は澄んだ音を立てて弾かれてしまった。
「フフフ、エメラルダスは磁器で出来ている人形ですわ。それに私の魔力で強度を増していますの。
そんな短剣で傷つきはしませんのよ」
確かに、ティオの短剣は対吸血鬼用の銀で誂えた特別製だ。吸血鬼相手には絶大な威力を放つものの、鋼の剣よりは大幅に強度は下がる。
まして、相手は吸血鬼ではなく人形。まだ包丁の方が勝手がいいかもしれない。
「しまった…。普通の剣も用意しておけば…」
まさか人形を相手にするとは思わなかったティオに対吸血鬼用以外の武器は携帯していない。
「あらあら、もうおしまいですの?ちょっとつまりませんわよ」
アルマナウスの嘲笑と共に再びドールが猛攻を展開してきた。あれだけ強度のある体に迂闊に剣を打ち込むと、
下手をしたら剣が曲がって使い物にならなくなってしまう。
「どうしたらいいの……、きゃっ!」
対処法が纏まらないまま攻撃を避け続けたティオは、つい足元への注意を怠ってしまっていた。
あっ!と思ったときには既に遅く、縺れた足が足を引っ掛け無様な形で地面にすっ転んでしまった。
「あいたた…、わっ!!」
転んだ拍子で一瞬だがドールから目を逸らしてしまい、慌ててティオが目線を戻した時、そこにはまるで蝿たたきのように
掌を振り上げたドールがいた。
「くうぅっ!!」
立っていたんでは間に合わない!そう咄嗟に判断したティオは横に体を捩ってその場を動き、すぐに後方へバック転し身を起こした。
その直後、ドカン!と言う音と共につい今までティオがいた地面は、ドールの叩き付けた手により50cmほど陥没していた。
「ち、ちょっと!あれで『軽く痛めつける』ってことはないでしょ!あんなの喰らったら死ぬわよ普通!」
「かわしたのだから問題ないでしょう?それに、そんな簡単に壊れるおもちゃなら必要ありませんわ」
「お、おもちゃ……?!」
恐らくおもちゃとはティオの事を指しているのだろう。
「あなたねぇ!人をおもちゃ呼ばわりすることはないんじゃないの?!おもちゃ呼ばわりは!」
「なんでですの?貴方達人間は、私たち悠久の命を生きるものたちの人生を潤すおもちゃじゃないですか。
あなただって子供の時、暇つぶしにおもちゃで戯れ、飽きると捨てたり壊したりしたでしょう?それと同じことですわ」
アルマナウスは口に手を当て笑い、あくまでも上品に振舞いつつ異常に下劣なことを言ってのけた。
「なっ…?!」
この目の前にいる少女は、人間の命のことなど鴻毛のように軽い物だと思っている。
あんな幼い外見はしているが、やっぱりあの娘は吸血鬼だ。戯れに人を襲い、嬲り、喰らう吸血鬼だ。
不意をついた登場と意外な容姿に惑わされてきたが、これで気持ちの整理がつく。
ティオの体は憤りで燃え上がるのを感じつつも、その心の中は意外なほど冷静になってきてきた。
「あら…?」
アルマナウスがぱっとみて気がつくほど、ティオの纏った雰囲気が変わり始めていた。
ドールの攻撃に泡を食っていた小娘ではなく、幾多の吸血鬼をその手にかけた狩人の凄腕戦士としての風格が周りに漂っていた。
「そうでなくてはいけませんわね…。
さあ、おやりなさいエメラルダス。両手両足ぐらいは折っても構いませんわよ」
アルマナウスの声に反応したドールが両手を振り上げてティオに向っていく。が、待ち受けるティオの顔には余裕の笑みさえ浮かんでいた。
「いくら大きくても、所詮は人形!」
ティオはドールの突進に逃げることなく、真正面から切り込んでいった。そして、
幾条かの煌きが見えた後…、ドールの両腕がぼとり、と斬りおとされた。
いや、腕だけではない。
続いて首がごとりと外れて地面に落ち、がしゃんと小気味良い音を立てて割れ砕け、最後に胴体が寸断されて崩れ落ちた。
「体の皮は固くても、関節って言うのは人間同様脆いものなのよ」
「エ、エメラルダスを一瞬にして?!」
その早業にさすがにアルマナウスも驚きその場から離れようとする。が、それよりも早くティオが間合いを詰めてきた。
430:猟血の狩人
08/04/15 22:47:25 rO45sOnc
「は、速…」
「滅しなさい、吸血鬼!!」
ティオは右手に構えた剣を、アルマナウスの心臓目掛けて一直線に突き出した。
アルマナウスがかわす間もなく、剣はずぐり、とアルマナウスの体を貫通した。どう見ても致命傷である。が、
「………?!」
ティオは、その何ともいえない不可思議な手ごたえに眉をひそめた。剣の入れ口は妙に堅く、胴の中は逆になんの手ごたえもない。
「これって、まさか…」
これも人形?!と直感した時、致命傷を入れたはずのアルマナウスの顔がニヤリと不気味に笑い、自身を突いたティオの右腕を
両手でがっしりと押さえつけてきた。
「ぐっ、このぉ…、離せ……!」
「あと少しでしたけれど…、残念でしたわね」
ティオの後方から、本来は前方で聞こえなければいけない声がする。ティオが後ろを振り返ると、そこにはいま自分に胸板を
貫かれているはずのアルマナウスが微笑みながら立っていた。
「迂闊だったわ…。まさか、最初から人形相手に戦っていたなんて思わなかった…」
「普通は、そう気づく間もなくエメラルダスか私の影に殺されているんですのよ。この影は人形遣いである私の自信作ですから」
人形遣い(パケットマスター)…。ならば、あれだけ人形を使いこなせるのも納得がいく。
「ふふふ…、それだけ貴方の力が凄いということですわ。兄様の戯れでこんなところまで来てしまいましたけれど、
こんな素晴らしいおもちゃを見つけることが出来るなんて思いませんでしたわ」
アルマナウスの瞳が好奇に彩られ、紅い舌が唇の上をぺロリとなぞっていく。
(いけない…!このままでは血を吸われる!)
瞬間的に直感したティオは、ニースのほうをパッと見た。が、ニースはアレクサウスを捉えるのに夢中でティオの危機に
気づいた様子は全くない。
「ニ、ニー……むぐっ!」
慌ててニースに助けを呼ぼうとしたティオだが、声を発するより前にアルマナウスの冷たい手がティオの口をぴたりと塞いできた。
「むー、むーっ!!」
「ご安心なさい。私、女の血を吸う趣味はございませんの」
手で口を抑えたまま、アルマナウスはティオを安心させようかという口ぶりで優しく語り掛けてきた。
が、次にアルマナウスが浮かべた笑顔は愉しげに暗く歪んでいるものだった。
「それに、あなたを同族へ加える気もありませんわ。
なにしろ、もっと面白い趣向があるのですから…」
そう言い放った直後、アルマナウスの掌がティオの唇から離れていった。
が、ティオがニースへ声を上げる前に、暗い笑みを浮かべたアルマナウスの紅い唇がティオの唇をそっと塞いできた。
「んんっ?!」
予期せぬ出来事にティオの目が白黒するが、それも一瞬のことだった。
(あれ…、なに?頭が、ボーっとしてくる……)
唇を重ねているところから、甘く痺れるような感触が全身に広がっていっている。
手も、足も、ぴりぴりと痺れ、次第に感覚がなくなっていく。動かそうとしても、まるで糸に縛られたかのように動かない。
だんだん、考えるのも面倒、にな ってき てい る
わ た し のから だがわ た し のもの で な く な
「………」
「ふふ…。これで貴方は私のお人形…」
アルマナウスがティオから唇を離した時、ティオの瞳はまるでアルマナウスが抱えていたビスクドールのガラスの瞳のように
虚ろなものになり、表情は人形のように無感情な物になっていた。
「ご安心なさい。お城に戻ったら魂は返して差し上げますわ。このままでは何の意味もありませんからね。
さあ、私を兄様の元へ連れて行きなさい」
「はい」
アルマサウスの言葉にティオは無表情のままこくりと頷き、アルマナウスを恭しく両手で抱えるとアレクサウスの元へと歩き出した。
431:猟血の狩人
08/04/15 22:48:26 rO45sOnc
「くそこのこのこのぉっ!!」
ニースの方は、相変わらずアレクサウスを捉えきれず無為な攻撃を繰り返していた。
「まったく…、真剣に力を篭めていなかったとはいえ僕の暗示を封じられるのだからどれほどのものかと思ったけれど…
力はあるようだけれど、使い方がてんでなっていないね」
「知った風な口を聞くなぁーっ!!」
あくまで余裕の笑みを浮かべ、時には諭すような口調でニースに話し掛けてくるアレクサウスに、ニースの
不快感は頂点まで達しようとしていた。
「ほら、そんなに頭に血を上らせるから単純な力押ししかできないんだ。そんなもの、先を読むのはわけないよ。それに…」
ニースの後方をちらりと見たアレクサウスは、くすっと拳を口に当てて微笑んだ。
「僕の方しか見ていないから、自分の人形がどうなったかも理解できないなんて、ね」
「えっ?!」
アレクサウスの言葉に、ぎょっとしたニースが動きを止める。その時、アレクサウスの横にすとん、と降り立つ者があった。
「ティ、ティオちゃん?!」
ニースが驚いたのも無理はない。何しろ、討滅するはずの吸血鬼兄妹にまるで主従のように立っているのだから。
「どうしたの、ティオちゃん!!」
ニースの呼びかけにも、ティオは何の反応も示そうとはしない。まるで、ティオの姿形をした人形のようだ。
その時、ニースの頭にぞっとした想像が広がった。
「まさか…、お前…、ティオちゃんの血を吸ったのか……」
私だけの、私だけが口にしていいティオちゃんの血を吸ったのか?!だとしたら、絶対に許さない!!
「ご安心を。私、女の血を吸う気はございませんので。
このおもちゃには、ちょっとの間だけ私のお人形になって貰っているだけですわ」
アルマナウスはまるでニースに見せ付けるかのように、ティオの頬をさわさわと撫で上げている。
「…っ!」
不覚だった。アレクサウスの挑発に我を忘れ、本来二人掛りで挑まねばならない吸血鬼を一対一の状況にしてしまった。
おまけに、アレクサウスにかかりっきりでティオの危機を全く見落としてしまっていた。
ティオに注意を向けていれば、血の繋がりがあるから難なく感じ取れることが出来たのに!!
「今宵は満月まで後一日。明日になったら正式に花嫁を迎えに来る。その時まで、君の人形は預からせて貰うよ。
ああ、取り返しに来ようとしても無駄だよ。君が僕の花嫁の気配を断ったのと同様、この人形の気配も断たせてもらうから」
アレクサウスの右手がティオの左腕を掴み、アルマナウスの左腕がティオの右腕を掴む。
そのまま二人の体がふわりと持ち上がり、ティオごと夜の空に次第に浮かび上がっていく。
「あっ!ま、待て!!」
「じゃあまた。明日ちゃんと僕の花嫁を用意しておくんだよ。そうしないと、君の人形がどうなるか…」
夜の闇に隠れ、吸血鬼兄妹とティオの姿がどんどん擦れていっている。
「ドロボーッ!返せっ、ドロボーッ!!」
「…子どもか、君は…」
その言葉を残し、三人は完全に姿が見えなくなった。
「畜生、畜生、ちくしょおーーーっ!!ティオちゃぁーーん!!」
物音一つしない街中に、ニースの慟哭がいつまでも響き渡っていた…
第四回終
432:178 ◆30XbxkjnR2
08/04/15 22:52:30 rO45sOnc
以上です(故あって今回限定のトリップ)。猟血の狩人の成分の65%は寸止めで出来ています。
それではまた次回まで…
433:名無しさん@ピンキー
08/04/15 22:56:49 ru28w8HU
お疲れ様です!
猟血の狩人の話は凄く好きで、毎回楽しみにしています
リアルタイムで初めて見ましたわ…
434:名無しさん@ピンキー
08/04/15 23:57:53 Cjt+pqKT
愛あいあいああいあいあ
435:名無しさん@ピンキー
08/04/15 23:58:32 Cjt+pqKT
愛が欲しいんだ、愛があれば幸せになれる
愛とはラブ、ラブとは世界
そうワールドラブ
436:名無しさん@ピンキー
08/04/15 23:59:56 Cjt+pqKT
そんな私達、全日本ラブリー協会はここに愛を広める為に
ううつつくうしいしー世界、ラヴラブワールドを
437:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:01:19 TadyN6hV
これは真実の愛である
決して偽りの愛ではない、この世界に満ちている邪悪な心を
ピュアラブで浄化してあげる
私と僕と愛しあう権利を君達にあげる
438:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:03:34 TadyN6hV
考えて欲しい
愛とは何か
世界とは、命とはなにかを
そう全ては愛だ
愛が有ったから世界は存在する事を許された
しかし人間は愛を捨てた
世界に対する愛を
人に対する愛を
生物を慈しむ心を
自分を愛する心すら失ってしまった
そんな時代だからこそ愛を口にする必要があるのです
439:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:04:48 TadyN6hV
愛とは決して洗脳や脅迫行為などでは得られません
あなた達は間違っている
今から私と共に愛を語る事で罪を償い、愛を知るのです
440:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:05:40 TadyN6hV
ラブ
これを文字に読むだけで最初は良いのです
人を愛せない、自分を愛せない
そんな悲しい人生とは今日でお別れしましょう
441:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:08:42 TadyN6hV
例えば>>1
この人はスレを立てる事を義務だから行ったのでしょうか?
それは違う、君達を愛しているから、君達と長く関わる為に立てたのです
それは愛が有るからです
みなさんは>>1愛していますか?
上辺だけのオツで済ませているだけではダメです
言葉にして愛を語らねば、自分の思いに気付かないのですから
恥ずかしがらずに愛してると
>>1に言いなさい
442:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:09:36 TadyN6hV
>>5
乙ではダメなのです
愛してる
この一言こそがお互いに幸福呼ぶのです
443:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:10:35 TadyN6hV
>>6
罪深い罪人よ
愛の心を取り戻すが良い
さもなくばお前の様な蛆虫などを愛す者は居ない
444:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:12:00 TadyN6hV
>>7
堕落しきった愚民よ
お前を愛する者など生涯現れぬだろう
だが私がここに現れた以上は私がお前を愛し罪と穢れを祓おう
さあ愛を語り合おう
445:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:14:50 TadyN6hV
>>9
きさまと言う奴は
愛の語りを乙などと言う下らぬ言葉を汚しただけでなく
余計の物にまでアンカーを張るとは許せぬ所業
お前に救いなど無いわ
しかし私は許さねばならない
愛を広め愛で世界を救う為に全てを愛すと決めたのだから
君の罪は私の罪だ
許されぬ罪でも分かち合い軽くする事は出来る
これも愛の心
446:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:16:36 TadyN6hV
>>11
>>13
>>15
>>20
お前達はただ言ってるだけで愛も敬意も感謝もない
この糞どもが
だが無知は許さねばならない
次から10レス以内に入り、「僕の愛の心よ>>1に届け」と言え
447:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:18:56 TadyN6hV
愛は尊い
しかし同時に愛とは罪深きものでもある
この事実を忘れてはならない
愛のない殺戮は存在しない、死と愛
この二つを切り離し考える事は愚かと言える
愛によって産まれ、愛に死す
これが人の幸福である
448:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:22:51 TadyN6hV
愛とは素晴らしい
愛を知らぬ者は勝てない
愛を知らぬ者は行動出来ない
愛を知らぬ者は生きる事が出来ない
君達は愛を知ってるはず忘れているだけで
ただ無理をしてすぐに思い出す必要は無い
ゆっくり思い出していけば良い
私は待っている
ただし甘やかすつもりはない
449:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:24:51 TadyN6hV
君達の劣等感や妬みから生まれたこの様な異常性癖も
元々は愛が得られなかった歪みから来ている
だから私を愛して開放されると良い
私は全てを愛の下に統合する
450:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:26:12 TadyN6hV
ラブこそ世界、世界はラブ、全てを愛を
永久の愛よ、人を救いたまえ
451:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:46:23 CHCJ9VxT
あれ?ここって愛堕ちすれだったっけ?
452:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:49:02 etpWYc83
投稿ラッシュに便乗するのはかまわないけど、良作の直後ってのが災いしたな
453:名無しさん@ピンキー
08/04/16 00:53:11 usqqrE9V
ID:TadyN6hVの言ってることを要約すると
妻はマロングラッセが好きなんだ
私は「芋ようかん」が好きでね
せっかくお茶菓子を用意したのに
ティータイムを邪魔した君たちに
気分を害した罪を償ってもらおう
どうする?
454:名無しさん@ピンキー
08/04/16 01:23:22 xBAJQyAN
テメーが死ねば解決するじゃんwと
455:名無しさん@ピンキー
08/04/16 01:32:34 lGCCtOIH
>>432
型月系の人外メインな作品が好きな俺としてはグッジョブ過ぎる
やっぱり吸血鬼ものは良いね
雰囲気やキャラクターが凄く好きなので今後も期待しています
456:名無しさん@ピンキー
08/04/16 01:37:09 pdfLbeWx
ティオがディオに見えて仕方ない俺はジョジョ好き
>>453 フィーバロンなつかしすwwww
457:名無しさん@ピンキー
08/04/16 02:50:35 NrAspNYo
1つだけ言いたい。
愛だのラブだの、そんな胡散臭いものは嫌いなんだ。
しいて云うなれば・・・そう、
てんで話にならないねっ!
るんば
458:名無しさん@ピンキー
08/04/16 03:01:16 i0H9DPDt
つまり、自分の投下のあとにすぐ投下された作者が怒り狂って暴れたと言うことか。
459:名無しさん@ピンキー
08/04/16 03:15:02 NrAspNYo
よく見ればIDがテディ
460:名無しさん@ピンキー
08/04/16 03:40:15 etpWYc83
テディといわれると、マザー思い出すな。
敵の半数が操られた普通の動物だとか、3のいいひと温泉とか、マザーって結構悪堕ちが多い。
461:名無しさん@ピンキー
08/04/16 13:44:22 lITJQMhE
うろ覚えだが1の小説版だったっけ?
ギーグが自分の母親にするために女の人をさらって洗脳してるのは
462:名無しさん@ピンキー
08/04/16 14:17:14 KBxKPsPH
SSなのに長い作品が多いような気がする。
3レスくらいの良作ならラッシュでも良いんだけどな。
463:名無しさん@ピンキー
08/04/16 16:39:55 j4ZDBn/7
投下してくれればいつでも読めるんだからいいだろ
俺も最近の投下ラッシュにはついていけてないから、少しずつ自分のペースで読むことにした
464:名無しさん@ピンキー
08/04/16 16:41:30 t0K3Zg5S
今更だけど、愛がどーたらとか電波コピペしてる奴って
ブラウザゲーム板のアインソフスレ荒らしてる奴か?
465:名無しさん@ピンキー
08/04/16 17:14:00 etpWYc83
>>462
そうは言っても、濡れ場・設定込みで3レス程度じゃどうしてもできることに限りがあるぞ。
まして悪堕ちネタは堕ちる前と後を描写しなきゃいけないんだし
466:名無しさん@ピンキー
08/04/16 17:25:50 +XfvMv+O
わかった!つまり3レス毎に「続く」にしろってことだな!
467:名無しさん@ピンキー
08/04/16 17:57:49 vUeIpbEC
三行なら出きるぜ
468:献血の紅
08/04/16 20:27:37 xXwj7Z8m
SS投稿ラッシュに俺も便乗させていただきます
久しぶりのオリジナルSSです
今回は仮想戦国時代のお話になります
つうか和ネタはこれがはじめてなため、おかしい表現があることをお許しください
いらん話はここまでにして投下させていただきます
469:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:28:15 xXwj7Z8m
若神村(わかむら)の珀神城(びゃくしんじょう)に村を荒らす妖怪共と妖兵を率いた村荒らしの鬼たちが攻めてきた。
城にいた兵たちの奮戦虚しく、珀神城の姫兼鬼切の巫女の珀音姫がさらわれてしまった。
しかし村は荒れはしたものの、城の崩壊は二人の少女が食い止めたために幸い塞がれたのであった。
その二人の少女の名前はおこう(一五)、おせん(一四)と名乗ってどこかへ…
いや、姫をさらった鬼の方向へ去っていった。
470:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:28:50 xXwj7Z8m
どこかの洞窟、ここに麗しの鬼切の巫女もとい麗しの姫君珀音姫が捕まっているのである。 しかし、なんでこうもばれやすい所にいるんだろこいつ等…
この洞窟は妖怪が作ったアジトなので正直禍々しい事このうえない。 正直、お化け屋敷のほうがマシかも…
それはさて置き、洞窟というよりお城の一室を妖怪風にアレンジしたような洞窟の奥、 (つうかもうこりゃひとつの部屋やね…)
そこで妖怪軍団の首領の鬼が大きな玉座に座って、とてもごうかいな笑いを浮かべていた。つうか、笑ってた。
そんで、その口からは長い牙があった。
「ガハハハハハハハ! 珀神城を落とすのはどっかから現れたヤツらのせいで失敗したが、
まあ、姫を捕まえたからよしとするか」
豪快な顔をしたこの鬼もとい男、名を雷殺鬼という、 いかにも斧振るってそうな名前やね…
この男、村を約20村も荒らしまわったという経歴を持つ
そんな男は今、トックリに入った酒をグビグビ飲みまくっているのだった。
そんな鬼の前にいるのは、珀音姫。
彼女白と青を基調とした着物をして、美しく長い黒髪を広げていた。
「………」
彼女は怒りの篭った目で雷殺鬼を睨んで…、いなかった。
つうか、きょとんとしていた。
実は彼女、巫女とは思えないくらいの天然ボケで、まさか自分がさらわれたとは思っていなかった。
「あの…すいません…姫って私のことですか?」
姫は雷殺鬼に質問した。 いやあ凄いわこの人…
「……」 物凄く引きまくる雷殺鬼の護衛担当妖兵
471:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:29:16 xXwj7Z8m
妖兵、それは妖怪が妖術で造った妖の人形のことである。
目は人間と同じ位置に二つ、額に一つ。
体は骨に妖気の霧を固めたような紫色。
そしてその体はひょろりとしている
人間とはいえないが、同時に妖怪と呼べるかは解らない。
という説明はひとまず置いといて?、彼女のボケた答えに雷殺鬼は引かなかった。
「無論、お嬢ちゃんお前のことだ!」
雷殺鬼はビッ!と珀音姫を指差した。
そんで、肝心の珀音姫の反応
「へぇ~ そうなんですか…」 以上、ほにゃりとした笑顔を浮かべる。
(うわぁ…)と心で引く妖兵、
「ふむ、いい笑顔だ
俺様はこの笑顔が気に入ったのだ
是非とも俺様の嫁にしようぞ!
誰にも渡すものか!!」
と、後ろに炎を背負って一人勝手に燃え上がる雷殺鬼。
そんな男に肝心の姫様は
「でも、お父様が言ってましたわ、『お前は鬼切の巫女だ』って」
水を差した。 すっげえ真っ正直に、悪意なしで…
472:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:29:47 xXwj7Z8m
まあ、さっきから言ってたようにこの姫様悪しき鬼を切り、邪な鬼を断つといわれている伝説の巫女(鬼切の巫女)の血を継ぐ者だった。
まあ、悪い奴でなければ鬼でも結婚はできそうだが(若神村は基本的に正義感が強い方)、このオッサン悪いことを大量にやっているから無理だろう。
その一言でテンションが大暴落した。 ズーンと…
「………んぐうううぅ! なんで俺様はこの麗しい姫の…
あ、酒が切れた」
このオッサン、泣きながら酒を飲もうとしていたが、酒が切れたらしい。
「オイ!そこの妖兵 新しいトックリに酒を入れて持って来い!
この女のためのお猪口もな!」
「ギィ(かしこまりました)」 妖兵(以下A)一名が部屋を出て、酒室に向かった。
「私用にお猪口を持ってきてくださってありがとうございます
でも、私お酒は飲んだことありませんので…」 と言いかけたら
引き続き落ち込み状態の雷殺鬼の姿があった。
さっさと出て行きゃいいのに何を考えたのか いや、何考えてんのか珀音姫は雷殺鬼の頭を撫でたのだった。
「でも、楽しい話をしながらだったら飲めると思います
だから、元気出してくださいね」 そして微笑み
「う…ううっ……うおーん!」 突然?泣き出し、珀音姫を抱きしめる雷殺鬼
「今日は飲むぞォ!
今日は姫と語り合ってたっぷり飲んでやるー!!」 雷殺鬼は叫んだ。
それにしても誘拐犯とその被害者とはとても思えない光景である。
「ギ!(そうだ!)」
もう一匹の妖兵(以下B)は何を考えたのか、酒室に向かった。
大量の酒瓶がずらずらと並んでいる酒室、そこで妖兵Bは一つの酒を選んでトックリに注いだ。
その酒はかつて、鬼が島に大量にあった酒だったが諸般の事情で絶滅寸前(ん?)の酒だ。
その名は『鬼の鎧』
彼は首領のちょっとした祝いにこの酒を選んだのだった。
しかし、この酒…大丈夫なのか?いろんな意味で…
473:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:30:34 xXwj7Z8m
そんな中で、二人の空気の読めない…いや、心優しい姉妹が、雷殺鬼のアジトを発見した。
見張り役の妖兵と村を荒らした妖怪が応戦したが、奮戦虚しくボッコボコにされたのであった。
そのままその二人は洞窟に侵入した。
そんな頃、
「……それでそいつがだなー…」
珀音姫と楽しく話をしている雷殺鬼に妖兵の一人が駆けつけた。
妖兵は雷殺鬼の尖った耳にひそひそと…
「何ィー! 村にいた二人の小娘にここが見つかっただと!?」
雷殺鬼の酔いはその報で一気に冷めた。
「どうにかなさいましたか?」 一方の珀音姫は少しだけ酔っている。
まあ、この場合なんていったらいいのかね?…
その質問に雷殺鬼は優しく答える、
「ちょっと野暮用ができちまってな、だがさっさと済ませてやるさ」
珀音姫は自分よりも彼の心配をする
「お酒まだ飲んでないのに…」 前言撤回。
「なーに、終わったらまたたっぷりのみゃいいさ!」 いいおっさんだねぇ…うんうん。
「そうだ、名前を聞きたいです さっきから聞いてなかったので…」
「名前? ああ忘れてた…
俺様の名前は雷殺鬼(ライサツキ)ってんだ!、じゃあ後でな!」
そして彼は自分の武器(大斧。やっぱしね……)を持って部屋を後にした。
一人残された珀音姫…、そこに『鬼の鎧』の入ったお猪口二つを持ってきた妖兵が戻ってきた。
474:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:31:03 xXwj7Z8m
姉妹が洞窟に突入してから約2分、姉妹は立ちはだかる妖兵をバッタバッタと切り倒していったが、姫のいる部屋にはまだ遠い。
「もう、普通の三倍で走ってるのに何で見つからないんだよー」
赤い髪を二つに結んだ少女、『おせん』が叫ぶ。
そう、今二人は普通の人間の3倍の速さで走っているのである。
「どうやらこれは敵の作戦かもね…
私たちを疲労させようとする作戦…!?」
青い髪を伸ばした少女『おこう』は何かに気づいた。
なんと大きな斧がブーメランのように回りながらこっちに迫ってきた。
二人は一発で回避した。しかし、
ズドオオオオオオォォォォ!!
次の衝撃波が二人を襲った。
「「うっ…うああ!!」」 姉妹はその衝撃波で洞窟の入り口付近まで吹き飛ばされてしまった。
洞窟の入り口付近、
吹き飛ばされたおこうとおせんは、おこうが発動させた式神によってダメージを防いでいた。
「俺のシマを土足で踏み入るとはいい度胸をしているじゃないか」
入り口から馬並みの大きさの鬼が現れた。
黄緑の衣服、大きな斧、青い肌、額に一本角、
「キミ雷殺鬼って言うんでしょ?、キミが若神村のお姫様をさらったんだよね?」
「コラ、そんなこというまでもないでしょ!」
「ごめんごめん」
二人ははプチ姉妹漫才をしてしまった。
「悪事を行う鬼を許すわけにはいかないわ!」
おせんは叫んだ。
「フン! ちょこざいな、人間がふざけた事を…」
鼻で息をして笑う雷殺鬼、しかし彼女たちは恐れない
「勘違いしないでね」 むしろおこうは笑い返す
「いくよー」 おせんはおこうに合図した。
「「鬼開放! 天・来・変・幻!!」」
その叫びと共に姉妹は光と闇に包まれた。
「うおっ! まぶしっ!!」 さすがの雷殺鬼もそのイリュージョンを見ることができなかった。
しかし、それは一瞬の事…
光と闇は弾ける様に消えた。
だが、そこから現れたのは…
青い鎧に身を包んだ青髪の鬼の娘、
「我が名は荒鬼(コウキ)! 正義の鬼将軍ここに参る!!」
そして、もう一人
赤い鎧に身を包み、背中に人間の頭サイズの大独楽『旋風六角独楽』を背負った赤髪の鬼の娘、
「ボクの名は大旋鬼(ダイセンキ)! よろしくね!」
そんな二人の共通点、それは翠色の瞳と二つの角、そして口に生えている二本の牙…
そう、この二人は悪事を行う鬼たちを成敗して回っている鬼将姉妹だったのだ。
「くそっ… 鬼だったのか…」
悪態をつく雷殺鬼、只者ではないと一瞬で解る『気』
だが、やってやる! その思いが彼に開幕の一撃を振り上げさせる。
475:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:31:32 xXwj7Z8m
一方、洞窟の奥
「おそいですね…」
珀音姫は雷殺鬼を待っていた。 しかも、兵の持ってきた酒を飲まずに…
「でも、二つあるから一本だけ…」
姫は自分のお猪口に名酒(?)の『鬼の鎧』を注いで飲んだ。
もう一つは雷殺鬼さんにとっておくようにして…
激闘は既に始まっていた。
二人の鬼娘は雷殺鬼のパワーを避けながら、攻撃を当てていた。
そして今、雷殺鬼は弱っている
「大旋鬼、止めよ!」
「うん!」
そして、
「「タァッ!!」」 二人は跳んだ。
「「天動奥義!!」」 雷が二人の姿を隠した。
そこから現れたのは勇ましい形をした鶴『飛勇鶴(ひゆうかく)』と、大きな大きな独楽だった。
その鶴と独楽は鬼将姉妹の鎧に良く似た部分がある
そう、この鶴と独楽は姉妹の変化した姿なのだ。
「必さぁーつ!! 突撃大回転旋風弾!!」
最初に独楽になった大旋鬼がその名のとおり大回転しながら突撃、大爆発が洞窟前に大きく響いた。
だがしかし、
「歯ごたえなし!?」 独楽もとい、大旋鬼は驚いた。
鶴もとい、荒鬼も驚いた。
「いったいどこへ…いけない! 今は姫の事が先よ」
鶴こと荒鬼は洞窟に急ごうとする、
「ちょ…ちょっとー! 置いてかないでー!!」
鬼姿に戻った大旋鬼はまだ鶴のままの荒鬼を追いかけた。
洞窟近くの山中、
そこに傷だらけの雷殺鬼がゼエゼエと息を切らしていた。
大分痛手を食らった雷殺鬼だが敵(鬼姉妹)の奥義を食らう直前にある方法で何とか逃げ切ったのであった。
「グッ… 何が俺の嫁にしてやるだ…結局置いて逃げちまった糞親父じゃねえか… 畜生!!」
彼は自分への怒りで一杯だった…。
476:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:32:02 xXwj7Z8m
荒鬼と飛勇鶴姿でようやく姫が捕らわれているであろう部屋に突入しようとした。
大旋鬼はちゃっかりと荒鬼の上に乗っかっている。
しかし、残りの妖兵がこっちに向かってくる
「どけどけー!!」 大旋鬼の叫びが響く、
「必殺! 鬼岩一閃斬!!」
鶴の翼から放たれた衝撃波がその妖兵を切り裂いた。
「ギェェェェ!!」 あっけない断末魔だった。
そして洞窟奥、
そこにいたのは大量のトックリに包まれて眠っている珀音姫一人だけだった。
「うわっ…なぁに?これぇ 酒くせぇ…」
大旋鬼は鼻をつまむ
「どうやら、アイツはここで酒を飲みまくってたようね…
ま、今となってはどうでもいいけどさ」
元の鬼姿に戻った荒鬼は辺りを見回しコメントした。
だが、酒を飲んでいたのは雷殺鬼一人ではなかった事を二人は知らない
「じゃ、かえろーよ!」 大旋鬼は珀音姫を抱えて村に戻ろうとした。
「そうね、それにしてもかわいい寝顔ね…」
かくして、二人の正義の鬼将軍によって姫は救われ、
若神村に平和が戻ったのであった。
珀音姫はまだ眠り続けているが、いい夢を見ているのであろう…
そして、荒鬼と大旋鬼は求めていたわけではない報酬を貰って、
村を後にしたのであった。
めでたしめでたし
477:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:32:21 xXwj7Z8m
そんでもって、はずれの団子屋
「おばちゃーん! 餡団子ー」 「あいよぉ」
団子屋のおばさんに団子を注文する大旋鬼もといおせん。
「おせん、あなた食べすぎよ」
そういう荒鬼もといおこうは、全く団子を口にしていない、
彼女はお茶しか飲んでいないのである。
「だってーいいことした後の団子はサイコー!なんだもん」
「何よ、その叫び声… 詰まるわよ…」
呆れるおこうをよそにおせんは団子をほおばる。
「ん…んー!!」 どうやら喉につっかえたようだ。
「ほらね」 空は青だった。
彼女達の目的は何か? 何故悪い鬼を退治するのかは解らない、それは彼女たちにしか知らないからだ
沢山の謎を秘めながら正義の鬼将軍姉妹は平和のために今日も行く!
つずく(?)
478:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:32:49 xXwj7Z8m
満月浮かぶ夜の珀神城
鬼切の巫女珀音姫は不思議な感覚に襲われていた。
「なんだか…熱い……」
しかも、微熱まで感じていた
名酒『鬼の鎧』にはかつての鬼たちも知らなかった不思議な力があった。
その力は、鬼切の巫女にしかもたらされないものだった
それは、その酒を口にした巫女を鬼へと変える力。
その酒をトックリ一本分も飲んだ彼女に効かないはずがなかった。
「あ…ああ…」 あまりの熱さに目を開く、
その瞳はギラギラと金色に染まっていた。
しかし、熱は引いていき、瞳も元の色に戻っていった。
しかし、今の彼女は自分よりもかつて自分と楽しい話をした
雷殺鬼の心配しかしていなかった。
「心配…していないのかしら…」 と
つづく
479:鬼が来た(前半)
08/04/16 20:34:14 xXwj7Z8m
と、以上で前半終了です
肩透かしっぽい前半ですが堕ちに重要な部分がありますよ
まあ堕ちるのは後編を待ってください
それと最後のあたりの つずく(?) は誤字ではありませんよわざとですからね
480:名無しさん@ピンキー
08/04/16 21:05:40 gtJZJoWx
GJという言葉と蛇足という言葉を同時に贈りたい
ジョークを説明しちゃあ台無しだぞ
481:名無しさん@ピンキー
08/04/16 21:21:16 etpWYc83
ここ最近急激にギャグSSが増えてる件についてw
482:名無しさん@ピンキー
08/04/16 23:41:46 BrtMolEZ
笑いの対象にしてツッコミなんか頻繁に入れてしまうと
「神聖不可侵な正義」にも「許すまじく、また恐ろしい悪」にも
リアリティが感じられなくなってしまうんだよな。
正義の意味も悪の意味も薄いような物語世界でポジションチェンジが起こっても、
俺はそれを「悪堕ち」とは思えないなあ。
洗脳でも改造でも悪オーラ注入でも手段は問わんのだが、
「悪」に「堕ちる」という基本にだけは沿ってほしいと思う
483:名無しさん@ピンキー
08/04/16 23:55:05 bMGsj8EY
俺はありだと思うよ。
狭いジャンルだし弾くのは良くないと思うので
どんなもんでもじゃんじゃん来て欲しいぜw
484:名無しさん@ピンキー
08/04/17 00:03:29 k9xd5O1l
善悪の表現方法なんて、それこそいくらでもあるしなぁ
極端な話、悪い男にだまされるとか、ヤンデレが恋敵に嫌がらせしたりするのだって、ある意味悪に堕ちてるわけで
485:名無しさん@ピンキー
08/04/17 01:55:58 MTDei3zz
まぁ俺も個人的には>>482に同意だけど
今のところスレ違いとは思わないし
職人さんには職人さん自身が好きなものを書いてほしいな
486:名無しさん@ピンキー
08/04/17 03:28:49 a87IkumF
鬼の姉妹は頑駄無か、懐かしいなw
487:名無しさん@ピンキー
08/04/17 09:30:44 cwg1F+UW
>>484
本人はまだ正義のつもりと信じきってるってのも良いよなあ
488:名無しさん@ピンキー
08/04/17 14:22:04 j6+YGyOl
>>487
「拙者様は正義の味方」ですね、わかります。
489:名無しさん@ピンキー
08/04/17 17:38:21 F6W3OtTU
>>486
あくまでモチーフな
490:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:16:07 pgF0ZyKc
>>487
正義の科学者が悪の女幹部を「更正」させるネタは
流石にスレ違いだよなあw
491:名無しさん@ピンキー
08/04/17 21:42:52 7VmO5qXz
正義の女科学者を悪の幹部が「更正」させるネタならいい
492:名無しさん@ピンキー
08/04/17 22:01:56 13EiQbxP
JBってやっていたような・・・。いや、あれは入れ替わるのか。
493:名無しさん@ピンキー
08/04/17 23:07:13 hpjpDoZ2
>>490
人類は絶滅すべきという「正義」を持つ科学者が、
人類の味方をする「悪」の女幹部を「更正」させるのですね、わかります。
494:名無しさん@ピンキー
08/04/17 23:08:47 hpjpDoZ2
幽白の仙水は悪堕ちなのかな
495:名無しさん@ピンキー
08/04/17 23:10:58 MH4WXh9W
正義なんて人それぞれ 勝てば官軍ですよ
つーことで俺は捕らえた反乱軍の女騎士に調教をしておきますね
496:名無しさん@ピンキー
08/04/18 01:01:15 LcjN5Q1G
逆に反乱軍の女騎士によって調教され、下僕として働かされるエイユウ>>495であった。
497:名無しさん@ピンキー
08/04/18 01:02:11 tGFpDx5l
アカルイミライヲー!
498:名無しさん@ピンキー
08/04/18 01:07:06 gBZbdTzL
ヒッフッハ
499:名無しさん@ピンキー
08/04/18 01:41:55 2UFQqT5R
>495
NightmareKnights思い出した
500:名無しさん@ピンキー
08/04/18 02:05:37 NBm4vV8p
狂った正義は悪と見分けがつかない。
─アーサー・C・エローク
501:名無しさん@ピンキー
08/04/18 02:08:08 GsGd7Cp3
ウヒヒヒ…
502:名無しさん@ピンキー
08/04/18 02:11:29 T/DAeDgS
かわいいは正義
狂った正義は悪と見分けがつかない
以上より、かわいくイメチェンする事は悪堕ちと同義である
503:名無しさん@ピンキー
08/04/18 03:02:43 kJgUih7b
・C・ ←が顔に見える不思議! これは徹夜のせいである。
504:名無しさん@ピンキー
08/04/18 09:44:51 RQOds5hs
鬼が来たを書いた人はゲームのシナリオライターとかなのかな?
あきらかに小説の文体じゃないんだけどw
505:名無しさん@ピンキー
08/04/18 12:01:43 +4kZIvuV
洗脳状態と非洗脳状態をスイッチのON/OFFみたいに切り替えられるのはおk?
催眠系のスレ(あればだけど)のほうがいいのかな。
506:名無しさん@ピンキー
08/04/18 15:50:57 eoOfwdGN
スイッチ切り替えだと、どうしても催眠を思い浮かぶね。
まあ書き方によって評価変わるが、二重人格だけになったら俺はちょっと満足できないな。
それとは別に、催眠スレはちゃんとあるよ。
【職人】MC・催眠系総合スレ その2【求む】
スレリンク(eroparo板)
507:名無しさん@ピンキー
08/04/18 16:16:18 T/DAeDgS
植えつけられたのは悪の男の人格
互いの心に直に触れる内に二人は惹かれあい、気づけば本来の人格もすっかり悪に染まっていた
この間実に0.1秒
というのを思いついたけど、会話シーンだけで退屈な話になりそうだw
508:505
08/04/18 17:51:03 iYCfHdWQ
>>506
ありがとうございます。行ってみますね。ノシ
509:名無しさん@ピンキー
08/04/18 19:37:39 zEeYV+dz
今更ながら、ワンダーマリアとダークヘラの関係は
マジで興奮したww
特に、元に戻ったヘラに対して、再び悪魔にしようとする
マリアの執着心は異常ww
「さぁ、ヘラよ来るがいい・・・今度こそ完全な悪魔にしてやる」や
「お前は、どうあがこうが私の虜になるのだ!!」とか言って
洗脳ビームを放つとこは昔のスタッフ分かってるなぁと感心した。
あと、アローエンジェルの悪落ちっぷりも良かった。
510:名無しさん@ピンキー
08/04/18 20:09:58 OA4Msrj9
猟血の狩人が寸止めスグルw
続編楽しみにしてます。
全裸待機してまってます
511:名無しさん@ピンキー
08/04/18 20:55:11 hA2Q6kkk
今日のぜんまいざむらいが良かった
録画したかったなぁ
512:名無しさん@ピンキー
08/04/18 23:07:06 /+Qtm2Lv
>>497-498
お前らまとめて巣に帰れ
あとシエルは俺の嫁だからな
513:名無しさん@ピンキー
08/04/18 23:21:17 GsGd7Cp3
>>511
おまっ…wあの絵で
514:178 すれちがい
08/04/18 23:24:52 +uwtvId0
どうも。画板にある黒ローザを見て思わず妄想が膨らんでしまいました
猟血を書き終った合い間の気分転換ということで一つ
『すれちがい』
突然、嵐のようにファブール上空に現れ、ファブール城内部を蹂躙して去っていったバロン王国飛空挺団『赤い翼』。
本来なら、バロン王国の精鋭が乗り込んでいるはずの『赤い翼』なのだが、現在バロン城に帰還しつつある『赤い翼』の甲板上には
人間らしき者はいない。
醜悪な魔物。魔に魂を売った人外。人外に使役される魔獣。そこには世界最強の軍事力を誇るバロンの面影は無く、
異形の大軍勢に満ち溢れていた。
全ては、前『赤い翼』隊長、セシル・ハーヴィが罷免された後にバロン王の推挙により新隊長に任命されたゴルベーザの仕業であった。
ゴルベーザは自身が持つ異形の力により『赤い翼』隊員を人知れず魔導の餌食にし、その力に耐えられた者は魔物として新しい命を
手に入れ、耐えられなかった者は自意識を持たない使役される魔獣と成り果てた。
こうして、以前にもいや増して強大となった『赤い翼』は全世界を灰燼に帰するに至る力すら得てしまっていた。
国民皆兵といってもいいファブールがにべにも無く敗れ去ったのが何よりの証拠である。
そして、『赤い翼』の先頭艦にもまた一人、人の心を捨て去った者が妙に勝ち誇った顔をして佇んでいた。
「フフフ…。俺はついにローザを手に入れたぞ…。お前は俺のものだ。セシルのなんかじゃない。永遠に、永劫に俺のものだ…」
奴の名はカイン・ハイウィンド。事もあろうに親友の恋人に横恋慕し、叶わぬ恋を胸の奥に封じ込めきれず嫉妬の炎を燻らせ
日々悶々としていたところ、ある日眼前に現れたゴルベーザに
「あんな出処もわからぬ輩より、貴殿の方がよほどローザを伴侶として迎えるに相応しい存在であろう。
もしそなたがローザをその手に入れたいのならば、私が力添えをしてやってもよいぞ」
と言葉巧みに誘惑され、自分でも知らないうちにゴルベーザの魔力に心捕らわれ、人の心を捨てて忠誠を近い、
言われるままにファブールのクリスタルの奪取に付き添わされ、そのついでに偶然再開したローザをかどわかしてきたという
主体性ゼロの最低野郎である(勿論本人にそんな自覚は全くない)。
「これから俺の良さを、嫌って程その体に教え込ませてやる。そしてお前も、ゴルベーザ様の忠実な駒になるんだ」
言っていることが支離滅裂だが、ゴルベーザに精神を支配されているから仕方がない。
あの手この手の妄想を走らせながら、カインの乗る飛空挺は一路バロンへと向っていった。
515:すれちがい
08/04/18 23:25:54 +uwtvId0
「ファブールでは、クリスタルと一緒に随分面白いものも獲って来たものよの」
バロン城の最奥。本来なら国王が座っていなければいけない玉座の上で、『赤い翼』団長ゴルベーザは並べられた二つのものを
重厚な鎧の奥に光る瞳でしげしげと眺めていた。
一つはファブールから強奪してきたクリスタル。そして、もう一つが後ろ手に縛られカインに引っ張られながらやってきたローザだ。
「こやつがお前が恋焦がれていたローザか。なるほど、よく見ればたぐい稀なる美貌を持っておる」
ローザの容姿を褒められ、カインはまるで自分が褒められたかのような誇らしい気分になった。
最も、ローザのほうは余計なお世話よとばかりに露骨に嫌な顔をしていたが。
「はい。あの憎きセシルを打ち負かし、目の前でローザを連れ去った時の奴の半べそ浮かべた情けない顔ったらありませんでしたな」
「カイン!あなたセシルに向ってなんて…、あなたセシルの親友じゃなかったの?!」
聞くに堪えない罵詈雑言に思わずローザはカインに向って声を上げた。
が、カインはそんなローザに憎悪に満ち溢れた濁った目を向け言い放った。
「親友だと?!俺はあんな奴親友とも何とも思ってはいない!あんな身分定かならぬ卑しい輩と、ハイウィンド家の嫡男である
俺が、何で親友でなければならないんだ!むしろ主人と使用人、いや下男という方がよっぽどふさわしい!」
「カイン…あなたなんてことを…」
あまりの物言いに反論すら浮かんでこないローザの前で、カインの毒舌はまだ続く。
「それでも!奴が自分の立場をわきまえていればまだよかった!俺だって、忠節を振る犬を邪険にしたりはしない。
だが!奴はその分すら理解できていなかった!事もあろうにローザ!君を俺から横取りしようとしてきた!!
これは絶対に許せない愚行だ。ドブネズミにローザ、君を汚されるところなど俺は見たくもない!!」
元親友をドブネズミと言い切ってから、カインはそれまで浮かべていた怒りの表情から一変、突然柔和な表情になって
ローザを慈しむように見つめてきた。
「だからローザ、俺はセシルの手から君を救い出したんだ。あんな奴の近くにいては君が不幸になる。
元々、君の両親もセシルのことを快く思っていなかったじゃないか。君と僕が結ばれるのは、これは運命なんだ。
だからもう、あんな奴のことは忘れてこの僕と…ふぐげっ!」
甘い声を出してローザを口説こうとしていたカインが、突然カエルが潰れたような声を上げた。
見ると、自由になっているローザの右膝がカインの股間に思いっきりめり込んでいる。
「見損なったわよカイン……。あなたがセシルをそんな目で見ていたなんて……。人でなし!
おまけに人を縛った状態で口説こうとするなんて、いくらなんでもバカにしないでちょうだい!」
ローザの表情は、恋人を汚された怒りと幼馴染の情けなさに対する怒りで真っ赤に染まっている。
「ぐっ…、ローザァ……、人が大人しくしていれば調子に乗って……」
股間を両手で抑えながら、カインはさっきまでと違い憎しみに満ちた目でローザを睨みつけた。
「こうなったらもう手加減はなしだ。これからお前の体に俺の素晴らしさを嫌ってほど教え込ませてやる!
セシルの事なんか一片も思い出せないくらい、徹底的に嬲りぬき、俺以外のことを考えられないようにしてやる!覚悟しろ!!」
ローザの抵抗心を萎えさせようと、カインはこれでもかというくらい過剰気味に凄んできかせた。
が、ローザは少しも怯まない。
「やれるものならやってごらんなさい!例えどんなに体を汚されたとしても、私のセシルに対する想いは変わらないわ。
それでもいいというなら、この体、存分に自由にしてもらって結構です!!」
「な、な…」
あまりにも毅然としたローザの態度に、逆にカインはたじたじになってしまった。が、こうなってしまってはもう引っ込みがつかない。
「じ、上等だ!さっそくその柔肌を衆目に晒して…」
「そこまでだ。カイン」
それまでカインとローザの激闘をじっと傍観していたゴルベーザだったが、極限までエスカレートし始めた状況に
水を注すかのように口はさんできた。
「カイン、お前はこの後のトロイアのクリスタル奪取に向けての対策会議を開くのだ。あそこはこれまでと違い少し厄介だ」
「は、ははっ!」
ゴルベーザの言葉に恭しく畏まったカインは、ローザを連れたままこの場を去ろうとした。が、
「カイン、ローザはこの場に留めておけ」
と、ゴルベーザにダメだしを喰らってしまった。
516:すれちがい
08/04/18 23:26:53 +uwtvId0
「な、なぜですか?!ローザは私の…」
「と ど め て お け。と言ったぞ」
ゴルベーザの二言を許さないかのような言葉に、カインはビクッと体を震わせその場に直立した。
「は、はい!分かりました!!」
ゴルベーザにじろりと睨まれたカインは、まるでばね細工のようにかくかくと頭を下げ、
ローザを置いたまま飛ぶように部屋から退出していった。
他の赤い翼団員も全て出払い、部屋の中にはゴルベーザとローザしか残ってはいなかった。
「さて、これで二人っきりになったな。ローザ・ファレルよ」
あいも変わらずゴルベーザは、存在するだけで周りを威圧させるかのようなオーラを放っている。
が、ローザはそれに少しも臆することなく、気丈な目つきで睨み返していた。
「セシルに害成そうとしている輩に、私は決して屈したりはしません!
ましてや、王を差し置いて玉座に座っている者になど!」
「フハハハ…、いや何よりも増して気丈なものよ。なるほど、これはカイン如きには扱いかねる代物よな」
実は二人きりになってから、ゴルベーザはローザ目掛けて魔力の放射を行っていた。
だが、ローザはそれに屈するどころか無意識のうちに自らの白魔導で跳ね返し何の影響も与えていない。
「あのカインですら私の魔力に易々と屈し魔の者となったと言うに、いや実に稀有な才能よの」
「!なんで、すって……?!」
カインが魔の者になった?聞き捨てならない言葉にローザの顔色がサッと青くなる。
「カインが、魔になったですって?!どういうこと?!」
「あ奴は、おぬしを手に入れたいと願うばかりに、私の力を受け入れ魔の心と力を手に入れた。
心弱き者ほど、容易く私の術中に堕ちていくのだ」
つまり、カインの急激な変貌はこのゴルベーザが原因と言うことに他ならない。
この男のせいで、カインはセシルをあんなに酷く憎むようになってしまったのか。
絶対に、許せない…
「あなたが、あなたがカインをおかしくしたのね!ひどい。ひどすぎるわ!!」
ローザは怒りに顔を紅潮させてゴルベーザを罵るとともに、カインに向けて心の中で詫びていた。
(ごめんなさいカイン!貴方が操られているとも知らず、酷いことを言ってしまって…)
「すぐにカインを元に戻して!以前の優しいカインに戻してよ!」
「勘違いしてもらっては困る。あれは間違いなくカインの意思。今まで理性によって抑えられ、鬱屈していた
カインの本心そのものよ。私はその本心を締めていた箍を、ちょっとだけ揺るめてやっただけ」
ゴルベーザは、カインの吐露した言葉はあくまでもカイン本人の物だといって憚らない。が、ローザはそんな戯言を認める気はなかった。
「ウソよ、ウソ!あれがカインの本心なわけがない!カインがあんなこと、言うわけがない!」
頑ななローザの意思に、流石にゴルベーザもあきれ返るしかなかった。
「やれやれ…。白魔術を習得しているだけあって、人の白い部分しか目に入らないと見えるな…。
人は白い部分もあれば黒い部分もある。
数多くの人間は黒い部分…『欲望』を白い部分…『理性』で覆い隠し、滅多に黒い部分を見せることはない。
ローザよ、お前は人が『理性』だけで生きていけると思うのか?」
「人が欲望を理性で覆うことは当たり前です!欲望のままに生きる物など、本能で生きる動物とどう違うというのですか?!」
ローザにはゴルベーザの言おうとしていることはおぼろげながら理解できる。人が人である以上、誰しもが欲望を持っているのは間違いない。
だが、欲望を前面に立てて生きるということは、社会生命体としての人間の生を放棄するのと一緒だ。誰もが自分の思うままに
生きてしまっては、秩序も倫理もあったものではない。
517:すれちがい
08/04/18 23:27:53 +uwtvId0
「人も動物である以上、その本能に根ざした生き方をするのは間違いではない。違うか?」
「そのような生き方を皆が行っては、人間という社会は崩壊してしまいます!」
ゴルベーザがなんと言おうと、ローザはゴルベーザの考えを認めようとはしなかった。
だからこそ、ゴルベーザがふい、とこぼしたある単語に敏感に反応してしまった。
「全く…、そこまで人間の黒い部分を否定するとは…。セシルも不憫なことよ…」
「!!なん、ですって……」
突如出現した『セシル』という言葉に、ローザはビクッと反応し、『不憫』という言葉に耳を尖らせてしまった。
「セシルが不憫…。どういうことですか?!」
「決まっておろう。奴はこの世の暗黒を糧とし力に変える暗黒騎士。言わば、黒い部分こそ力の源泉と言えよう。
奴はその黒い部分を受け入れ自分のものとしているからこそ、暗黒騎士として大成したわけだ。
お前が否定し続けている、人の黒い部分をな」
「な……」
確かに、ローザの想い人であるセシルは暗黒を力に変える暗黒騎士。だが、ローザの目にはセシルが暗黒に心囚われている様には
どうしても見えなかった。
実際、セシルはローザに面と向って暗黒騎士になったことを後悔しているようなことを言ったこともある。
「違う!確かにセシルは暗黒騎士だけれど、その心までは暗黒に染まってはいないわ!」
「心が暗黒に染まっていない者が、なぜに暗黒の力を引き出せるのだ?
セシルがどのような戯言を吹いたのかは知らぬが、奴は紛れも無く暗黒騎士。その心根は真に黒く染まっておるわ」
もちろん暗黒騎士が全員性根が真っ黒なんて事はない。
暗黒騎士とは振るう暗黒剣の暗闇の力に打ち勝ち、暗黒剣を振るうことを剣に許された人間のことを指すのであり、別に聖人君子でも
暗黒騎士になることは出来るのである。
が、正式な暗黒騎士の基準を知らないローザにはその違いを理解することは出来ない。
それが分かっているからこその、ゴルベーザの搦め手だった。
「まあ、お前は人の白い部分しか知らない人間のようだからな。真逆の人間を理解することなど出来はしまい。
恋人だの、想い人だの言ってはいるが、その人間の中身を寸毫も理解できていなかったとはな」
「な…、な、に、を…」
ゴルベーザの言葉にローザの体がわなわなと震えている。
自分が白魔導士だから、暗黒騎士のセシルを理解できないと言うのか?!
「そんな事無いわ!私はセシルのことを、ことを……」
セシルのことの何を知っているというのだ。セシルの日々の苦悩を、果たして自分はどれほど理解していたというのか。
暗黒騎士として、暗黒の力を意図せず振るわなければならないセシルの心根を、どれほど解っていたというのか。
「ああ、あああ……」
分かってない。何も分かってない。自分はセシルの、何も理解してはいなかった。
ローザはふらりと体を震わせた後、ぺたりと尻餅をついてしまった。
その顔は絶望で真っ青に染まり、冷や汗が滝のように流れ落ちてきている。
周りを見ると、ローザの周りに渦巻いていたゴルベーザの魔力が、ローザの気の迷いから心のガードが緩み始めたのか
僅かづつではあるがローザの中に入り込んできていた。
「お前が『白』魔導士である限り、『暗黒』騎士であるセシルを理解することは出来ぬ」
ゴルベーザはローザにきっぱりとそう断言した。
「その人間の本質を理解できない人間が、どうしていつまでも想い続けることが出来ようか。
お前のセシルのへ想いなど、所詮は上辺だけ飾られた薄っぺらいもの。思いのたけをそのままぶつけてくるカインにも劣るものだ」
「そんな…、そんな……。いや、いやぁ……」
もうローザの耳にはゴルベーザの声は届いてはいない。瞳は虚空を空しく泳ぎ、誰に聞かせるでもない言葉を呟き続けている。
強烈な自己否定にローザの心は壊れかけ、今にも崩壊しようとしていた。
「だが、一つだけお前がセシルを理解できる方法がある」
だからゴルベーザが続けた言葉にも、僅かに首を動かすことしか出来なかった。
518:すれちがい
08/04/18 23:28:54 +uwtvId0
「お前が『白』魔導士をやめ、暗黒の力を源とする『暗黒』魔導士になれば、セシルの心の本質に、辿り着けるかもしれぬぞ」
「あんこく…、まどう、し……?」
暗黒魔導士とは己の欲望のままに魔力を揮い、暗黒面に堕した魔導士のことを指すものだ。
一般的に黒魔導士と混同されがちだが、黒魔導には黒魔導の倫理がありそれを踏み外すようなことはしない。
その垣根すら越えてしまったのが、暗黒魔導士なのだ。
「私の力を使えば、お前を暗黒魔導士にクラスチェンジする儀式を行うことが出来る。
もちろん、受ける受けないはお前の自由であり強制はしない。さあ、どうするかね?」
「ぁ………」
自意識が崩壊しかかっているローザに、ゴルベーザの言っていることは暫く理解することが出来なかった。
「わ、わた、わたしぃ……」
「セシルと一緒に、なりたくはないのか?」
「!」
『セシルと一緒に』
このゴルベーザの一言が、光を失っていたローザの瞳に再び意志の光を宿らせようとしていた。
ただし、その光は酷く歪んだ光ではあったが。
「私は……、セシルと一緒にいたい。セシルをもっと、理解したい……」
今までの自分でいる限り、セシルとの溝は永遠に塞がりそうもない。そして、その溝を埋めない限りは自分はセシルと一緒にはなれない。
「私……、なります。暗黒魔導士に、なります……」
ローザははっきりとした意思を持って、自らを暗黒魔導士に生まれ変わらせる決意をした。
それがセシルに近づける唯一の方法なら、今までの自分を捨てることも厭わなかった。
「そうか!決心したか!ならば、後ろを見るがいい!」
ゴルベーザの言葉に、ローザはくるりと後ろへ振り向いた。
そこには、意外な人物がいた。
「え……?私……?!」
そう、そこにいたのはまぎれもないローザ自身であった。手には得意の弓を引き絞り、ローザ目掛けて構えている。
「さあ、その手枷を外してやろう。そして、この弓を持つがいい」
ゴルベーザが指を鳴らすと、カインによって縛られた縄はあっという間に塵となって霧散し、それと同時にローザの前に
醜悪極まりない装飾が施された弓矢一式が現れた。
「その弓矢を持って、今までの自分を射殺すのだ。それによって、お前は暗黒魔導士に生まれ変わることが出来る」
「私を…、射殺す……?」
ローザは自分を自分で殺すという事態を良く飲み込めず呆然と立っていた。
すると、目の前のローザが突然矢を放ってきた。
「きゃっ!」
間一髪身をかわして避けたローザだったが、向こうのローザは即座に新たな矢を番え次々と撃ち放ってくる。
その一発一発が正確にローザ目掛けて放たれてきており、当たれば即座に致命傷になりかねない。
(あの私を止めないと、私は殺されてしまう!)
殺されないためには殺すしかない。
意を決したローザは、向こうのローザ目掛けて矢を放とうとする。が、それは向こうも承知しているのか
ローザに狙いを取らせる隙もないほど矢を乱射してきた。
(これじゃあ…、正確に狙うなんて…、きゃっ!)
ローザは飛んでくる矢に注意を逸らされ、なかなか狙いを絞りきることが出来なかった。
その時、頭の中にゴルベーザの声が響いてきた。
『何をしているローザよ。
お前が本当にセシルに近づきたいのならば、いかなる手段を用いようとも、矢を放ち過去の自分を殺害せよ!』
519:すれちがい
08/04/18 23:29:53 +uwtvId0
「うっ!」
ゴルベーザの声に、ローザの瞳が異常な光を帯びた。
このまま逃げてばかりいても向こうに攻撃は出来ない。そして、いつか自分ははあの矢に捕まってしまう。
「だったら…」
ローザは体勢を整えるとその場に直立し、持っていた弓に矢を番え、向こうのローザ目掛けて弓を引き絞り始めた。
ヒュド!
しかし、もちろんその隙を向こうのローザが見逃すはずが無く、勢いよく放たれた矢は正確にローザの胸板を貫いていた。
ローザの口の中に苦い血の味がこみ上げてきている。
が、それに構うことなくローザは向こうのローザの頭部にぴたりと狙いを定め、矢を放った。
「 し ね 」
ひょう、と飛んだ矢は外すことなく、向こうのローザの額のど真ん中を貫き、向こうのローザはがくんと膝を折ると、
そのまま空気が抜けたみたいにその場に崩れ落ちた。
「フ、フフフ…。死んだ。死んだのね、私……」
こっちのローザの矢が刺さっている部分から、じわじわと黒い色が染み出してきている。
痛いはずなのに、ちっとも痛みを感じない。
「この手に持った弓で…、私を殺し、この胸に刺さった矢が…、私を殺してくれた」
自分で自分を殺し、自分が自分に殺された。白という染まりやすく移ろい易い虚構に蝕まれた自分は消滅し、
黒という何物にも冒されない絶対普遍の真理を得た自分が新生する。
(ああ…、暗黒が自分の中にどんどん広がっていっている。脆弱な白い心を全て覆い尽くし、私の中が黒一色に
染まっていっている……。なんて、いい気分…)
矢から染み出す黒い色は、ローザの心のみならずその外見すら黒く覆いつつある。
純白で固められたローブもブーツもマントも、その全てが闇色に染め替えられていった。黒と金を主体にしたその色合いは
まさに闇に堕ちた暗黒魔導士に相応しい物だといえよう。
「ハハハ…、見事だローザ。よくぞ試練に打ち勝った。
これでお前は紛れもない暗黒魔導士。我が下僕である魔となったわけだ」
ゴルベーザの声に、ローザはゆっくりとゴルベーザの方を振り向いた。
「はい、ゴルベーザ様。
私、暗黒魔導士ローザ・ファレルは暗黒の力と体を与えてくださったゴルベーザ様に永遠の忠誠を誓います」
紫のシャドーをひいたローザの瞳は、終の主人を得た悦びに赤く輝き潤んでいた。
「フフフ…、お前が暗黒魔導士になったとセシルが知ったら、奴めどんな顔をするかな……」
救出するべき人間が魔に染まり、自分の命を狙ってくる。なんと痛快な光景だろうか。
「ローザよ、セシルは出来る限り絶望に落してから殺すのだ。奴の仲間もろともな…」
自分の下僕になった以上、ローザはセシルの殺害を躊躇無くするはずだ。ゴルベーザはそう確信していた。しかし、
「?何を言っておられるのですかゴルベーザ様。私、セシルと同じ気持ちを得たいために暗黒魔導士になったのですよ。
そのセシルを、何故殺さなければならないのですか?セシルの取り巻きはともかくとして……」
ローザは、ゴルベーザがないを言っているのか分からないと言った風に首を捻りながら答えた。
「なにっ?!」
その言葉に、ゴルベーザは思わず絶句してしまった。どうやら、ローザの強すぎる意志はゴルベーザの力をもってしても
完全に屈服することは出来ず、セシルに対する想いを打ち消すまでには至らなかったようだ。
「な、何故と言われても、セシルは私に敵対する存在であり……」
「ああ!ならセシルも私のもとへ来させるようにすればいいのですね。ご安心ください。
今なら私、セシルの気持ちも充分に分かる気がします。絶対にセシルをこの手に入れてみせます。
セシルもゴルベーザ様の下に使えるように、誠心誠意説いてみせます。
もちろん、周りの邪魔な人間は皆殺しにしてから……」
ローザは腕が鳴るといった風に指先を艶かしくペロリと舐め上げた。
「ああ…、これがセシルが眺めていた世界なのね」
暗黒に覆われた心には、その目に映る魔以外のもの全てが汚すべき対象として認識される。
無垢な人間の心、平和な世界、豊かな自然。それら全て、目茶目茶にしてしまいたい衝動にかられてしまう。
520:すれちがい
08/04/18 23:30:54 +uwtvId0
「素晴らしいわ…。セシルはいつもこんな光景を見ながら、毎日を過ごしてきたのね。
なんて刺激的なの。触れれば壊れそうなものが周りに、こんなにも溢れかえっているなんて思いもしなかったわ」
ローザは手に魔力を込めたり消したりし、内から放たれる力に酔いしれていた。放っておくと、バロン城を壊しかねない。
「これは…、どうしたものか…」
確かにローザは暗黒の魔物に堕ちている。しかし、その意思は今だ人間の時のままを引きずっている。
予想外の展開に、ゴルベーザもこの先どうしていいか分からずただ腕組みをするしかなかった。
「おお、ローザ!お前もゴルベーザ様の下へ来てくれたか!」
その時、正面の扉がバタン!と開け放たれ、カインが中へとなだれ込んできた。残されたローザを思っていてもたってもいられず
会議の開催などすっぽかして戻ってきてしまったのだ。
「ざまあみろセシルめ!これでローザはお前の敵!そしてローザは俺の手に!
さあローザ!ともに手を取りあのにっくきセシルを地獄へと……ぶべらっ!」
浮かれまくって歓声を上げるカインの鳩尾にローザの掌から放たれた魔力が思い切り叩きつけられた。
「な、何をするロー……」
何が起こったのか分からないカインが涙目でローザを見ると…
そこには、憎悪で瞳をぎらつかせたローザの鬼の形相があった。
「バカなこと言ってるんじゃないわよカイン…。
何であなたと手を組まないといけないのよ!何でセシルを殺さなければいけないのよ!
お前如きがセシルを手にかけようなんて考え持つなんて…、身の程を知りなさい!セシルに何もかも及ばないトカゲ野郎のくせに!」
「ト、トカゲ野郎……?!」
誇りある竜騎士である自分を、よりにもよってローザにトカゲ呼ばわりされカインは脳天をハンマーで殴られたような
ショックを受け、思考がそれ以上続かず口をその場でパクパクさせていた。
(なんで?ゴルベーザ様はローザを魔物にしたはずなのに、なんで俺がこんな仕打ちを受けなければならないの?!)
「私はゴルベーザ様に忠誠を誓ったけれど、私の想い人は今でもセシルよ!
あの精悍な暗黒騎士のセシルこそ、私が娶るに相応しい人間!あんたなんか端から眼中にも無いわ!」
暗黒魔導士になったからか、ローザはいつにない激しい口調でカインを罵り捲った。
「それでも私の近くにいたいって言うなら…、犬としてもいいと言うなら考えてあげてもいいわ。
それではゴルベーザ様、私は自室に戻りますので…」
ローザはカインを虫を見るような目で見下した後、そのまますたすたと城内にある自室へと戻っていってしまった。
「ゴ、ゴルベーザ様……、話が違いすぎますよ……」
情けない声を上げるカインを、ゴルベーザもただ黙って見るしかなかった。
「ウフフ…、待っててねセシル。すぐにあなたを迎えに行ってあげるわ。
あなただって暗黒騎士。ちゃんとゴルベーザ様のことが理解できれば、その考えも変わるはずよ」
月明かりが射す自室で、ローザは愉しげに物思いに耽っていた。
521:すれちがい
08/04/18 23:31:55 +uwtvId0
しかし、好事魔多し。
「セ、セシル……、あなた、何でそんなかっこうしているの……?」
トロイアのクリスタルを手に入れたセシルと飛空挺でおちあうと犬に聞かされ、むりやりついてきたローザは、
セシルの一変した容姿に呆然としていた。
全身を重厚感ある暗黒騎士の鎧で覆っていたセシルは、試練の山での光の試練により聖騎士…パラディンにクラスチェンジしていた。
ローザが闇の試練で暗黒魔導士にクラスチェンジしたのと、ちょうど対極と言っていい。
勿論セシルも、ローザの姿格好に驚きを隠せないでいる。
「ローザ…、君こそゴルベーザに人質にされているんじゃ…。それにその姿……」
「私、あなたのことをもっと理解したくて、ゴルベーザ様に暗黒魔導士にしていただいたのよ?!
そのおかげで、暗黒騎士であるあなたのこと、もっともっと心の奥底から理解できたと思っていたのよ。
それなのに、それなのになんで今更暗黒騎士をやめちゃうの?!ひどいじゃない!」
ローザの心は憤りに満ちていた。近づいたと思っていたセシルとの距離は、物凄い速さで遠ざかっていった。
見方を変えれば、白魔導士であるローザの心に近づきたいからセシルがパラディンになった。と言えなくもないが、
暗黒に心囚われたローザにそんな見方をする発想は無かった。
「許せない…。またあなたは私から離れていくの……?そんなの、絶対に認めない!」
ローザは今までセシルに向けたことも無いような憎悪を孕んだ目でセシルを見た。
「セシル!ゴルベーザ様がおられるゾッドの塔で待っているわ。そこで、改めてその体に暗黒に身を委ねる素晴らしさを教えてあげる!
その爪先一本一本まで、私の暗黒の力に浸して、本当の暗黒騎士に生まれ変わらせてあげるわ。いいわね!」
最後にセシルに一瞥を食らわせると、ローザはくるっと踵を返し船室のドアをがちゃりと開けた。
「ほら犬!さっさと飛空挺を動かしなさい!すぐにゾッドの塔へ戻って、セシルをもてなす準備をするのよ!」
「は、はい!」
過去に竜騎士カインと呼ばれていた犬はローザの声にびしっと反応し、即座に飛空挺の魔物たちに始動の指示を出した。
まるで小間使いのように働かされているカインを、セシルは訳が分からないと言った調子で眺めていた。
「カ、カイン…、犬ってどういうことだ?お前、一体何を……」
セシルが放ったあまりに当たり前すぎる疑問に、犬はメット越しでも分かる涙目でセシルを睨みつけた。
「全部、お前が悪いんだ!絶対に許さないからな!!」
終
522:178
08/04/18 23:35:38 +uwtvId0
以上です。ローザ悪堕ちよりカインが目立っているのは仕様です。
…これを書いている時に、FF4初プレイ時、試練の山の暗黒騎士にどうしても勝てず、
ハイポーション99個買って強引に暗黒騎士を倒したことを思い出しました。
防御し続けていればいいと知ったのはクリア後でした…
523:名無しさん@ピンキー
08/04/18 23:46:24 76KvcZEN
やっぱりカインは哀れ過ぎる。
小学生の頃は判らなかったがGBA版やったら欝になりかけたわ。
これでも原作よりマシな状況……なのか?
524:名無しさん@ピンキー
08/04/19 03:13:11 tbv4PrlR
寝取られたってのならともかく単なる横恋慕だしなあ
大して哀れって訳でも
525:名無しさん@ピンキー
08/04/19 10:00:26 RL5nXkkN
猟血の人は私の中で神。
マジGJすぐる・・・
526:名無しさん@ピンキー
08/04/19 13:47:59 EzgLap7O
なぜだろう。
正統派悪堕ちSSのはずなのに、堕ちるローザよりカインの方に目が行くww
527:名無しさん@ピンキー
08/04/19 15:06:32 BUTWJ890
えにくす(♀)は まおうに ぱるぷんて を唱えた!
なんと! まおうの あくのたましいが えにくすに のりうつってしまった!
まおうは くだけちり えにくすの こころは あく にそまった!
528:名無しさん@ピンキー
08/04/19 15:57:40 olig2U7Y
ざんねん! わたしの ぼうけんは これで おわってしまった!
529:名無しさん@ピンキー
08/04/19 16:05:21 EzgLap7O
そういえばあのゲーム、死にかたは選り取り見取りなのに悪の手先にされるエンドはなかったな
530:名無しさん@ピンキー
08/04/19 16:34:18 MDLmamJv
ローザがビッチになってしまったwww
531:名無しさん@ピンキー
08/04/19 16:41:34 jsKW3qkl
178氏のSSを読んでから、また絵が見たくなって画像庫に行ったら、
今度はブラマジガールのgif絵が投下されたではないか。
俺はずっと前から、職人達がこのように力を合わせて創作できることを信じてたよ。
職人GJ!
532:名無しさん@ピンキー
08/04/19 19:50:42 e4FA9CmL
rくぁぶあらうぶあ0
533:名無しさん@ピンキー
08/04/19 19:51:26 e4FA9CmL
魂と魂のぶつかり合い
それがあ愛ですー
美しいぼくと歌い喜びをわかりあおうあ
534:名無しさん@ピンキー
08/04/19 19:52:10 e4FA9CmL
>>1-20
祝福のうけとろおか
愛おぼブレスをラブ愛おw
535:名無しさん@ピンキー
08/04/19 19:52:55 e4FA9CmL
>>54-79
君みたいな子は好きだな
私と愛し合い羽を
思わないか
権利上げるから受け取れ
536:名無しさん@ピンキー
08/04/19 19:54:02 e4FA9CmL
>>135-423
いっぱいの愛だ
でも多すぎうから>>254-310にも分けえ上げる
嬉しいだろ僕耐の愛の汁をうえkてさxあ
537:名無しさん@ピンキー
08/04/19 19:54:31 e4FA9CmL
間居ああ居合いアイアイアイアイ亜
こんなにも愛と言うおこおあb
スレリンク(gameswf板)をか
愛とy
538:名無しさん@ピンキー
08/04/19 19:56:01 e4FA9CmL
エターナルらうぶ
言ってしまえば絵院絵の英すばらいあしs
僕と愛とみの>>25-87のああ意
スレリンク(gameswf板)うつつsきいあい
ああ僕おn愛野巣だおきちえああ
539:名無しさん@ピンキー
08/04/19 19:56:36 e4FA9CmL
ラブだよらうぼ
愛なんdなあsな
なんで分からない階をしれなあしsいsれよしれったおら
シエナ和から無いやつい
540:名無しさん@ピンキー
08/04/19 19:57:41 e4FA9CmL
ふう、済まないな
君達との愛の語りに力が入りすぎたようだ
僕と君達の愛は永遠だよ
また愛に来るから愛の準備をしておいてくれ
541:名無しさん@ピンキー
08/04/19 20:04:23 e4FA9CmL
紹介も終わった事だし、僕と愛の出会いについて語ろうか
あれはそう23分ぐらい前になるな
愛の電波を受けた、その瞬間にここを愛さねばと目覚めたんだ
君達にもあるだろう、そんな一目ぼれってさ
542:名無しさん@ピンキー
08/04/19 20:10:27 e4FA9CmL
愛し合ってますか?
愛を知ってます?
愛は素晴らしいです、素晴らしい物を知らないのは損です
スペースラブしませんか?
543:名無しさん@ピンキー
08/04/19 20:18:43 NDHTfGZh
駄目だこいつら
早くなんとかしないと
544:名無しさん@ピンキー
08/04/19 20:37:27 c+8nn+zi
愛の素晴らしさを感じ取れ
異常性欲者達よ
受けとれ私の純愛を
545:名無しさん@ピンキー
08/04/19 20:37:35 /iViJ2Er
定期的に湧くのか?
546:名無しさん@ピンキー
08/04/19 21:45:39 BUTWJ890
春だしなwwwwwうぇ
547:名無しさん@ピンキー
08/04/20 00:11:36 c8gc0pY2
ローザもいいがリディアも途中から白魔法使えなくなってるじゃない
これをネタにひとつたのんます!
548:名無しさん@ピンキー
08/04/20 02:38:43 bobY+Nd4
じゃ俺は零シリーズで悪堕ち考えてきます
嫌がる繭を無理やり絞め殺して怨霊化とか
549:名無しさん@ピンキー
08/04/20 03:07:40 RQo7RLUH
>>548
零なら悪霊化した縄の巫女におとされる他の巫女とかどうよ?
目とか貫かれるけど
550:名無しさん@ピンキー
08/04/20 07:22:22 rkuQ9PYw
なんか洗脳が失敗して破壊された奴がいるな
551:にょろ
08/04/20 08:43:10 sKFzs3Ui
なんかアレな方がいらっしゃいますがSS投稿します・・・
いつぞやSSが長すぎると仰ってた方がいらっしゃったので自分なりに短くしてみました。
物足りない方もいらっしゃると思いますが・・・脳内で補完していただければ幸いです。
ちなみに今回はセラムンSの二次創作です。
552:にょろ
08/04/20 08:43:42 sKFzs3Ui
「ほたるちゃん、大丈夫?!」
ちびうさは、発作に苦しむほたるを心配そうに見つめる。
「・・・大丈夫・・・」
ポケットから黒い真珠のような粒を取り出し口に含む。
「ホントに大丈夫?」
相変わらずちびうさは泣きそうな顔をしている。
「ちびうさちゃん・・・」
ほたるはちびうさをちらと一瞥し、そのまま突然唇を重ねた。
「んぐっ!ん・・・んっ・・・」
こくんっ
ちびうさが何かを飲み込む。
「なにするのほたるちゃん!」
いきなりの行為、しかも女の子とのキスに戸惑ったちびうさは真っ赤になって怒り出す。
「ふふ・・・ちびうさちゃん・・・かわいい」
「もうっ!ほたるちゃん!」
ちびうさの秘部が熱を帯びる。
「はぁっ・・・どうにか・・・発作が収まったみたい・・・」
「ホント?よかっ・・・たぁ・・・ぁん」
ほたるはちびうさのパンツの中に指を入れ、中をかき乱し始める。
ちびうさはまったく気づいていない様子だ。
「ちびうさちゃん・・・ちびうさちゃんがさっき飲んだ薬ね、本当は発作を抑えるものじゃないの」
「えっ?!・・・何・・・っん・・・で、そんな・・・はふっ・・・ぁうん・・・こと」
クチュクチュと音を立ててほたるはちびうさをいじり続ける。