08/04/12 01:33:44 fs0t72jw
ラングリッサーの小説続編です
楽しみに待って下さった方々、大変遅くなって申し訳ありません
諸事情で寝込んでましたが、イラスト保管所に投稿された素敵イラストに触発されて前編だけでも完成させました
これだけ時間かけて完成してませんが、よろしければどうぞ
ボーゼルの手によって、闇の巫女に堕ちたダークプリンセス・ラーナ。
リアナが光の巫女となるより早く、彼女は諸国の君主を焚き付け、各地で戦争を勃発させた。
さらにボーゼル配下の魔物も跋扈し始めたことで、四方八方で戦いが起こる。
光の神殿は防衛に追われ、リアナを迎えに行く余裕などなかった。
村に釘付けになったリアナ、そしてその光の力を狙い、村を包囲した一団があった…
「我々はレイガルド帝国の者だ!光の巫女よ、出て来い。さもなくば村を焼く」
隊長らしき粗暴そうな男の大声に、村人は震え上がった。
「て、帝国軍がついにここまで…」
「あっという間に大陸の半分以上を占領したという強国が、リアナを…」
帝国がどのような意図で光の巫女を狙っているかは分からないが、渡さねば確実に村は滅ぼされる。
「だが女神の祝福を受けた光の巫女を渡せば、帝国に大陸統一の大義名分を与えるようなもの…」
「強引な武力制圧を繰り返す血なまぐさい奴らに、リアナを渡してたまるか!」
恐れながらも、村人たちが武器を手に取ろうとしたとき、当のリアナが彼らの前に飛び出した。
「やめてください!帝国に逆らえば、多くの犠牲者が出ます。
私のために、村のみんなの血を流すなんて耐えられない…私一人で済むなら行きます」
ざわめく村人たちだったが、実際のところ戦っても勝ち目はないし、リアナを逃がすのも容易ではない。
降伏するしか道はなかった。
村の門から外に出ると、兵隊長とその配下たちが待ち構えていた。
「お前が巫女か?」
「はい、リアナです…。私があなた達と共に行けば、村に手出しはしないのですね?」
「おう、もちろんだ。お前にも手は出さねえ。皇帝陛下から厳命されてるんでね」
「…分かりました」
帝国兵が慎重に彼女を取り囲み、逃げないように腕を縄で縛った。
それを横目に見るや、隊長はにやりと笑った、
「けっ!簡単に終わりすぎてつまらんぜ。やはり任務は血を見ねえとな。
お前ら、慰みに村人でも皆殺しにしてやれ。
ただし建物には手を出すなよ。『村には』手を出さない約束だからなぁ」
たちまち柄の悪そうな兵士たちが武器を手に、門の中へ駆け込む。
「ひ、ひどい!なんてことを…っ」
叫んでもがくリアナを見ようともせず、隊長自ら剣を抜いて村に切り込もうとしたその時である。
「待ちなさいっ!」
不意に空から舞い降りた影に、今にも殺戮を始めようとした兵士達は慌てて空を見上げた。
その瞬間視界に広がったのは、巨大な鷹、そしてその上に乗った人間。
あっという間に彼らはなぎ倒され、爪にかかり、また飛んでくる手槍に打ち倒された。
「きゃあっ!」
手で目を覆ったリアナの耳に鳥の羽ばたく音が聞こえ、続いて明るい少女の声が響く。
「ごめんね、驚かせちゃって!ケガはない?」
恐る恐る目を開いたリアナの目の前に、巨鳥が舞い降りようとしている。
周囲を見回してみると、帝国兵の一団は散々に打ちのめされ、散り散りに逃げ出していた。
そして鳥の背からは、先ほどの声の主であろう少女がひらりと飛び降りた。
ショートボブカットの銀髪が印象的な彼女は、見たところリアナと同い年くらいだ。
だがその身軽ながら隙のない身のこなしは、彼女がただ者でないことを示している。
「あ、ありがとうございます。何とお礼を申したらいいか…」
丁寧にお辞儀するリアナに、少女は明るくにこやかに答える。
「別にいいの!帝国軍に困ってるのはあたしも一緒だから。
あっと、あたしの名前はシェリー。よろしくね」
「リアナです…本当にありがとうございます、シェリーさん」
「シェリーでいいわ。話し方も普通でいいの。堅苦しいのはキライだしね。ところで…」
シェリーはじっとリアナを見た。
「光の巫女リアナって、あなたのこと?
ちょっと一緒に来てほしいんだけど、いいかな。手助けしてほしいって人がいるのよ」