【友達≦】幼馴染み萌えスレ15章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ15章【<恋人】 - 暇つぶし2ch500:蒜
08/07/15 14:24:04 Qm/Et4L5


その言葉に対して椿は心の中でバカっ!!と怒鳴った。それもそうであろう。椿は幼なじみにして唯一自分が素で相手が出来る相手、一成の事が好きなのだ。


「さっきも言ったでしょ?興味ないった」

するて一成はそっか…と呟いた。

「じゃあ帰ろうぜ」

「えっ?」


「えっ?じゃねぇよ。どうせ家が隣なんだし、帰るぞ」

「…うん。」

椿は思った。

まだこのままでもいいのかもしれない。

関係がただの幼なじみであっても…

今一成の一番近くにいる異性は間違いなく自分だろうから。

少し一成から離れた所で椿は呟いた。

「まっ、いつか絶対振り向かせてみせるけどね!」

「…なんか言ったか?」

「い…、いや?別に…」

「ふ~ん…まぁいっか。行くぞ」

「あっちょっと待ってよ」

そして2人は夕日の中肩を並べ歩き出す。

この2人が付き合い始めるのは


そう遠くない未来ー


終わりです。
続きは要望があれば

501:蒜
08/07/15 14:26:40 Qm/Et4L5
携帯で書いたんで誤字脱字がありますが…出来れば気にしないで下さい。

興味ないった=興味ないって

502:名無しさん@ピンキー
08/07/15 16:04:26 e7lUSx4i
>>500                                                      いいと思う

503:名無しさん@ピンキー
08/07/15 17:13:01 b4PxHgdL
改行ミス?

504:名無しさん@ピンキー
08/07/15 19:03:37 wS1GJvJC
いいな、このほのぼのした感じ

505:名無しさん@ピンキー
08/07/15 21:47:57 meGKiSvr
続き支援

506:亮と早紀
08/07/18 07:02:58 2FkkFx9Q
439の続きです。
ぼちぼち浮かんでたネタを繋げたら完成してしまった。
完徹で書いたから、誤字脱字は多めに見てくれ。
タイトルは、主人公の名前がやっと決まったからつけてみた。
じゃあ、長いけど次から投下。

507:亮と早紀 その5
08/07/18 07:06:48 2FkkFx9Q
「お邪魔しま~す」

先日から何度も訪れるようになった部屋に、私は来ていた。

『お前も知ってるヤツらで集まるんだ。』
だから来い、と誘われたのは今朝のこと。

それから数時間後…。
なぜか迎えに来てくれた亮の車で、食材の買い出しに付き合った。
行き先は、安いと評判のスーパーで、一人暮らしが板についているようだ。
あっという間に、何人集まるの?というくらい、大量の賞品が籠に積まれた。
会計を済ませ、テキパキと袋につめていくその後ろ姿は、まさに主婦のようだ。
大きい袋3袋分になった様子を見て、納得した。
こりゃ、荷物持ちがいるわ…。

私も1つ袋を持ち、並んで車へと戻る。
それにしても、これ、見た目の割に軽い。
…わざわざ1番軽いのを渡してくれたんだろうか。
そう考えると、なんだかくすぐったいような、嬉しいような。
昔は私の方が力持ちだったのに。


亮の部屋へ帰ると、今度は料理の下ごしらえが始まった。
といっても、焼き肉なので具材を切ったりする程度だが。
私は野菜を任され、焼き野菜用カットの他に、キャベツの千切りサラダと、軽いカルパッチョ風の一皿を作った。
基本不器用な亮にとっては、どちらも感動するものだったらしく、喜々として褒められてしまった。

そういえば、折り紙が壊滅的に苦手だった、この人。
何度教えても、折り鶴が折れなかった幼少時代が思い出され、笑えてきた。
変わったようで変わっていないんだなぁ、と、ぼんやり背中を見ていた。

508:亮と早紀 その6
08/07/18 07:10:02 2FkkFx9Q
夕方になってぼちぼち集まってきた友人は、懐かしい面々ばかりだった。
久しぶりの再会をみんな喜んでくれて、話も大いに盛り上がった。

「亮~、ビールこれで終わり?」

「いや、まだ冷蔵庫にあるぞー。持ってくる。」

友人の一人の問いに、亮がそう答えた。
食べていた箸を置いて席を立とうとした亮に、声をかける。

「私の方が近いし、取って来るよ?」

そう言って立ち上がると、ふわりと席に座らされた。
そして、くしゃくしゃと頭をなでられた。

「いいよ、座っとけ。ありがとな。」

優しい笑顔でそう言われ、頷いて従うしかなかった。
頬が熱い気がするのは、アルコールのせいだろう。
そう思いながらふと友人達を見ると、狐につままれたような顔をしている。

「…何かあった?」

そう尋ねるが、曖昧な返事しか返ってこなかった。

509:亮と早紀 その7
08/07/18 07:12:00 2FkkFx9Q
「あの、呼んでくれてありがとね。」

みんなが帰って、私は後片付けを手伝った。
何しろ10人近く集まっていたのだ。
食器と鉄板だけでもかなりの量の上に、ビールやらチューハイの缶がそこかしこに転がっている。
一人で片付けさせるのは、忍びなかった。

片付けが終わり、2人でソファーに座りながら、そう告げた。

「こっちこそ、手伝ってくれてありがとな。」

そしていつものように、優しくなでなでされる。
それが心地良くて、目を閉じた時だった。
亮の手が、首に触れた。

「…っ…ぁ…!」

思わずびくり、と反応してしまった。
はっとして亮を見る。
ごくり、と喉が鳴るのがわかった。
そのまま、両手は首筋を優しく愛撫し、熱い吐息が耳をくすぐる。
私は、漏れそうになる声を抑えるのに必死だった。

「はぁっ…は…っ…」

息が上がり、恐らく顔も真っ赤になっているだろう程に熱くなっていた。
不意に、首筋をはい回っていた両手が動きを止める。
そして、頬へと伸びてきた。
ぼーっと目を開けると、信じられないほど近くに、亮の顔があった。

「ふっ…ん……」

そのまま、ゆっくりと唇に熱が伝わるのを感じた。

「んん…はっ…ん…」

そのうちに、温かいものが舌を絡め取り、奥まで犯して来る。
容赦ないその攻めに、完璧に力は抜け、息つぎをするのが精一杯だった。

「っぷ…はぁっ…はぁっ…」

ようやく解放された時には、息も絶え絶え、頭は朦朧、思考回路は麻痺状態だった。
だから、囁かれた言葉の意味も、考えられなかった。

「ごめん…我慢の限界…。」

510:亮と早紀 その8
08/07/18 07:15:04 2FkkFx9Q
亮は、優しい手つきだけど焦らすように攻めてくる。
それがなんとももどかしくて、心地良くて、たまらない。
私は成す術もなく、ただ与えられる刺激に耐えていた。
敏感になりすぎて、全身のどこでも感じてしまっているみたい。

「早紀…入れたい…」

ふいに後ろから抱きすくめられて、耳元でそう囁かれた。
お尻には、熱いものを感じる。

「え…ちょっ…ダメッ…!生はっ…!」

「いいじゃん…オレの子供、産んでよ…」

優しい声色でそう囁かれ、首筋にキスをされる。
そのまま、返事もできないまま…。

「っ…ふあぁっ…!!入って…く、るっ…!」

もう頭は真っ白で、何も考えられなかった。
なけなしの理性など、優しい声に吹っ飛ばされてしまったのか。

「あっ…ぁっ…おっき……りょお…っ!」

「くっ…早紀…きつ…もうちょい力抜け…」

身体が言うことをきかない。
やっと中に入ってきたモノに歓喜したように、収縮が止まない。

「あぁっ…っめ…こんな…だめ…ぇ…」

「そ…んな、締め付けんなっ…持たねぇ…!」

「だめ…っ…あっ…はっ…」

「うっ…早紀っ…で…るっ!!」

「…!!!」

その直後、激しく奥まで突き上げられると同時に、熱いものが拡がるのを感じた。

「っ…ぁ…なか…ぁっ……」

意識が薄れゆく中、抱きしめられて、囁く声がきこえた。

「早紀…愛してる…。」


511:亮と早紀 その9ラスト
08/07/18 07:17:54 2FkkFx9Q
ぼんやりと意識が戻って来た。
なんだか温かくて…良い匂いがする。
まだ目覚めたくなくて、隣にある温もりにしがみついて擦り寄った。

…隣にある温もり…?

ぼんやりと目を開けて、一気に脳が覚醒した。
隣では、亮がすやすやと眠っていたのだ。
私は亮の腕枕で、抱かれるような状態でいる。
すなわち、身動きをとれば起こしてしまう。
混乱と恥ずかしさでこの状態から逃げ出したい衝動に駆られるが、なんとかそれを抑える。

ふと視線を上げると、亮の顔があった。
その端正な寝顔を見ながら、ぼんやり考える。
意識を手放す直前、確かに『愛してる』と聞こえた。
今まで、ちょっとしたすれ違いで、違う道を歩んできた。
しかし、今からは、そばにいても良いのだろうか。
昔のように、でも、昔とはちょっと違うポジションで。
胸に暖かいものが溢れてくる。
穏やかな寝顔を見ながら、そっと囁いた。

「私も、愛してる」

512:名無しさん@ピンキー
08/07/18 07:23:40 2FkkFx9Q
長々とすまんかった。
さて、逃げるか。













ちなみに、友人が狐につままれてた理由だが。
「あいつ、元カノにもあんな表情で頭なでてたことないぞ」
というのを考えていた。

ずっと早紀視点で進めてたから、どう組み込んだら良いのかわからなかったんだ。


えーと、初投稿だったんで、ひどい出来な自覚はある。
どなたかご指導ください。

513:名無しさん@ピンキー
08/07/18 10:18:39 9dSmj7lB
朝っぱらからGJなんだぜ
二人の会話とか距離感がいい感じだなあ

欲を言うなら片付け→行為あたりの展開がちょっと駆け足だったかも
そのあたりの掛け合いにワンクッション欲しかったかな

514:名無しさん@ピンキー
08/07/19 09:01:58 Y0H6+CCE
GJ こういう展開は嫌いじゃない

>どなたかご指導
なんというか悪いところがおれと同じだ>>513氏も言ってるように
展開が駆け足気味になるところとか
おれは描写を出来る限り多くするようにして改善してる

515:名無しさん@ピンキー
08/07/20 22:36:27 suv7Hv7+
保守

516:手紙~とある戦車兵の手紙~
08/07/21 11:56:23 IEYpqFue
君は元気だろうか?俺は今日も元気です。
朝から戦車に乗り、昼から書類を片づける。そんな生活です
演習場の花を見る度に、小学校時代を思い出します。あの時はホント悪かった。
総合火力演習のハガキは出しましたか?俺も参加します。
90式戦車(角ばってる奴)に乗ってます。
今度帰省した時、高校時代に言えなかった事を言うよ…
それじゃ、お体に気を付けて…
(ある隊員が幼なじみに宛てた手紙)



総合火力演習をネタに手紙を書いてみました。          

517:名無しさん@ピンキー
08/07/21 23:14:52 yRcyU/lq
>>516
総合火力演習が何だかわからんが、雰囲気はあっていいんじゃなかろうか

518:名無しさん@ピンキー
08/07/21 23:23:04 zZlzWT4+
>>516
ああ、これは立派な死亡フラg(ry

>>517
陸上自衛隊が富士演習場(?)で実施する1年に1度(?)の総合演習のこと
(戦車も主砲撃つ)

519:名無しさん@ピンキー
08/07/21 23:26:01 EwnlnoTj
>>516の「俺」も、幼馴染に主砲を撃つんですね、わかります

520:名無しさん@ピンキー
08/07/22 01:49:52 j4cR5kx8
>>518
演習じゃ死なないでしょw

あと最近の総火演は夏真っ盛りにやるから暑くてしんどそう…。

521:名無しさん@ピンキー
08/07/22 02:31:07 JaMeMvpq
ちょっと前にもロボSSが来たが、実はこのスレメカ好きが多いんだろうか。


いいぞもっとやれ

522:名無しさん@ピンキー
08/07/22 03:18:13 52nKRUJP
>>520
演習で死ぬ事はあるぞ。

523:名無しさん@ピンキー
08/07/22 08:13:09 bMQpGLcG
>>518
へぇ、そんなのがあるんだ。楽しそう……ってのは不謹慎か否か

幼馴染みは自衛隊、か。>>517はもちろん手紙だけじゃ終わらな(ry

524:名無しさん@ピンキー
08/07/23 01:06:16 waW78gIY
>>522
いや、不慮の事故はあるかもしれないけど死亡フラグは立たないでしょってこと。

525:名無しさん@ピンキー
08/07/23 01:44:21 v0jowlcz
そのまさかを引き寄せるのが死亡フラグだ

526:名無しさん@ピンキー
08/07/23 02:00:18 q6ks3HDK
死亡フラグ立てまくりといえばこいつ↓
<<これで戦争も終わる。おれ、基地に恋人いるんすよ。帰ったらプロポーズしようと 花束まで買ってあったりして>>
<<警告! アンノウン急速接近!! ブレイクブレイク!!>>
<<ええっ!?>>(ドカーン!)

大体、「次に会ったら、昔言えなかった事を言うよ」って台詞を送る事自体、死亡フラグそのものジャマイカ。
梶とか火事とか加持とか・・・。

527:名無しさん@ピンキー
08/07/24 00:42:17 ZjWAVNzq
とりあえずPJ自重

なんか平時で死亡フラグというのがピンと来ない件

528:名無しさん@ピンキー
08/07/24 00:44:21 QLX0jxbs
>>526
PJは登場時点から死亡フラグプンプンで何時死ぬの?まだなの?って感じだったわ

529:名無しさん@ピンキー
08/07/24 02:32:39 fphun95p
公式に死亡扱いされるまではどこかで生きていると信じていたのは俺だけでいい

530:名無しさん@ピンキー
08/07/24 21:23:52 J12h+D6v
>>529を見るまでどこかで生きていると信じていたのは俺だけでいい


531:名無しさん@ピンキー
08/07/24 21:29:53 BEC37QR2
PJって誰? ポイズン澤田ジュリー? けどそれだとPSJだよなぁ・・・
って思ってるのは俺だけでいい。

532:名無しさん@ピンキー
08/07/25 20:49:51 au+s5Wb4
URLリンク(www.vipper.net)

533:名無しさん@ピンキー
08/07/25 20:56:10 o7e/Lto5
>>532
良ければ詳細頼む

534:名無しさん@ピンキー
08/07/25 21:06:40 F+35Q1+Z
>>533
やすいひろさと 天然みるくパイ HINANO

535:名無しさん@ピンキー
08/07/25 23:11:35 o7e/Lto5
ありがとう。探してみるわ。

536:名無しさん@ピンキー
08/07/27 20:19:55 HTJf6Q4C
>>484を見て思い出したんだが「その台詞、幼馴染が照れ隠しで怒ってる感じで頼む」
と聞いた瞬間何も気にならなかったハ●ヒが可愛く見えた。
われながら単純すぎるというか「幼馴染」と付くだけで喜んでしまう性癖は卑しいな。

537:名無しさん@ピンキー
08/07/28 00:15:30 JjJVlZyx
最近このスレを発見したんだが、保管庫の作品多いね・・・
エロ、否エロ問わずオススメの作品あったら教えてくれないかな?

538:名無しさん@ピンキー
08/07/28 19:07:46 /uuJxzIr
下手に名前を挙げると作者自演乙という疑いが掛かるので
どういう幼馴染が好みなのか書いた方がオススメが出易いかと。

539:名無しさん@ピンキー
08/07/28 19:11:23 /Z6Kr/jd
>>537
俺は「Scarlet Stitch」が好き。
テンポが良くて読みやすかった。興味があったら見てみ。

540:538
08/07/28 20:39:49 /uuJxzIr
>>539
すまないことをした。

541:名無しさん@ピンキー
08/07/28 23:59:36 ivKVS1k6
537じゃないが、自分もちょっと質問。
保管庫をパッと見た感じでは中高生カップルが多いけど、
登場人物が大学生以上でお勧めの作品とかあるかな?

542:名無しさん@ピンキー
08/07/29 05:15:10 Ir8RcSmO
>>541

大学生以上というか、中高生じゃないってチョイスになるけど。
「梅子と孝二郎」はいいんじゃないかと思う。

つか、>>539で紹介されてるのも◆NVcIiajIyg氏の作品だな・・・
この人の作品は独特の味があって好きだ。

543:名無しさん@ピンキー
08/07/29 11:58:24 Ir8RcSmO
あ、ごめん、梅子と孝二郎は最初は中高生から始まるか・・・
まぁ、長いスパンで描いてるので中高生カップルの話とは違うと思うけど。

544:蒜
08/07/29 13:53:23 R/+VvZX9
続きじゃないけど投下




カチカチ・・・という音が部屋中に響く。
その部屋はどこか薄暗く、パソコンの明かりだけが部屋を怪しく照らしていた。
よく目を凝らせ見てみると部屋の壁中にオタク向けのポスターが貼られている。
そう_つまり彼はオタクなのだ。
彼の名前は益田雄二。典型的秋葉系オタクである。
しかし、彼は部屋を薄暗くしてパソコンをいじっているからと言って決してニートや
フリーターの類ではない。れっきとした高校一年生である。
さっきから彼はまじめな顔や、困った顔、そしてニヤニヤした笑顔を繰り返している。
今彼がやっているゲームは一般的に言う”エロゲー”である。
そんな彼を部屋のベッドの上から見ている少女が一人。
彼女は雄二の幼なじみの三崎奈津。さっきからモニターの画面を見てニヤニヤしている
雄二を訝しげに見つめている。いや、正確には睨んでいるのだろう。
しかし、ゲームに夢中な彼は気が付かない。
とうとう痺れを切らしたのか奈津が声を上げた。

545:蒜
08/07/29 14:01:45 GXpGIHMu




「あ~もうっ!お前はなにやってんだぁっ!!」
突如声を上げた彼女を不思議そうに見る雄二。そして彼はあくまで普通に答えた。
「・・・?なにってエロゲだけど」
「あ~もう、こんなかわいい女の子が部屋にいるってのに雄二はなんで放置して・・・、あ~なんていうの?
エロゲ?なんてプレイしてるんだよ!大体それは18禁のゲームだろうがっ!!」
「ふっ、そこ(画面上)に攻略したいキャラがいるからさ。それと、今時高校生がエロゲーをやるのはいたって普通だ。ユーザーの大半は高校生と言っていい。」
雄二は髪をいじりながら得意げに答える。
「キモいから!ものすごくキモいから!それと普通でもないから!さっきから見てればニヤニヤしたり神妙な顔したり・・・あ~もう!とりあえずキモいからやめなさい!」
奈津が怒鳴りながら言うと雄二はしぶしぶパソコンの電源を落とした。
一回またつけようとしたが奈津が恐ろしい殺気を放っていたためやめたようだ。
「で?何のようなんだよ。」




546:蒜
08/07/29 14:03:12 GXpGIHMu



「あのね?女の子が部屋に来たらお茶とか出して…話したり…いろいろあるでしょ?」
「いまさらお前と何を話すと言うんだ…」
彼はそういってふぅ・・・とタバコを吸うふりをした。
「・・・むかつくぅ~。大体あんたタバコなんて吸わないでしょうが」
「モチロンさ♪(ドナルド風に)」
やってやった。そう思っているのだろう。彼はwktkしながら奈津に期待のまなざしを送る。
しかし、彼女は素でこう言った。
「?なに?それ?」
そう奈津が言った瞬間雄二はorzの体勢を取り、ありえねぇ・・・と連呼し始めた。
「お前っ!全国的に一番有名でニコニコで恐れられている道化師を知らないのか!!!」
「知らないわよ。ニコニコ動画なんて見ないし。」
その瞬間、彼は近所中に聞こえるような声で叫んだ。
「この非国民がぁ!!!あれか?国歌も知らないだろう!!??」
「・・・?いくらなんでもそれは知ってるわよ。君が代でしょ?」
「がぁぁぁああああ!!!まったくわかってねぇ!!いいか?ニコニコの国歌といえばなぁ!!・・・コホん・・・、
消~える飛行機雲~♪僕たちはみお~くぅったぁ~♪・・・だろうが!!」
と彼は自分の胸に手を当てていきなり歌った。奈津は醜く太った豚を見るような目線を雄二に向けている。
しかし、驚く事なかれ。
これが彼らの日常なのだ。
しかし、こんな日常も・・・とある出来事をきっかけになくなってしまう。
かも? 続く?のかな?


~fin?~




547:蒜
08/07/29 14:07:31 GXpGIHMu
ネタ要素多くでスマソ。今は一成と椿の続きを執筆中です。

548:名無しさん@ピンキー
08/07/29 18:06:30 naIiis2j
GJ!期待と股間を膨らませつつ待ってる

549:蒜
08/07/30 22:55:03 Luq/fuGN
タイトル忘れた。タイトルはオタク少年と強気少女です。

550:名無しさん@ピンキー
08/08/01 00:03:34 QdurzpLB
ニ コ ニ コ で や れ

551:名無しさん@ピンキー
08/08/01 04:10:47 feFyf4Fi
保管庫読んでて、なんとなく量産型うに氏のサイトに飛んだら、
このスレでば公開されてない幼馴染ものがあった・・・
つか、このスレがたった頃の作品だからすでに数ヶ月前の作品なんだが、
このスレでは話題に上がったこともなかったし、なかなかよかったのでちょい紹介。

552:名無しさん@ピンキー
08/08/01 05:57:37 i3u0zF3c
>>551
すごく……イイです……

酉とかコテの人は検索するとたまにひっかかるよな。
俺もHP持ってるから検索してね、とか便乗して宣伝だぜっ

553:コロスケ丸
08/08/01 09:25:50 7iPJtR/1
初めまして。
幼馴染み物を書いたので投下します。
エロなしですので苦手な方はスルーお願いします。

554:当たりが出たらもう一本
08/08/01 09:27:41 7iPJtR/1
 教科書とノートにずらずらと踊っている数字に溜息をつきながら、俺はシャープペンをいじっていた。
 別に勉強が好きなわけじゃないし、優等生になりたいのでもない。
 それでも俺は、今日も勉強机に向かう。
 殆どポーズに過ぎないその格好は我ながら間抜けだが、そうせずにはいられないのだ。
 とんとんと軽やかに階段を駆け上がってくる足音を耳にして、俺はシャープペンをノックする手を止めた。
 足音の主は、何の躊躇いもなくドアを開ける。
「あー、また勉強してる」
 ひょい、と無造作に部屋へ入ってくる一夏に仏頂面を作り、「ノックしろよ」と注意するのはいつものこと。
 タンクトップにショートパンツという出で立ちの彼女は、セミロングの髪を揺らしながら、にひひと笑って
「だって面倒臭かったんだもーん」
 という一言で済ませる。
 幼稚園の頃から一緒の幼なじみは今更そんなこと聞きっこない。
 こっちが何をしてようが確認もせずに入って来られては、勉強でもしているしかない。
 
 たまたま向かいの家に住んでいて、たまたま二人とも鍵っ子だった。
 同い年の子供が親しくなる理由はそれで充分だろう。
 下手をすると、そこいらの兄弟よりも一緒に居る時間は長いかもしれない。
「だってクーラーあるし、部屋広いし、テレビおっきいし」
 傍若無人な幼馴染みは、そんな理由で俺の家に入り浸っている。

「それ今日の宿題?」
 背後から乗り出してノートを覗き込まれ、思わず胸元に行きかけた目をどうにか戻しながら頷く。
「後で見せて」
「却下。質問なら受け付ける」
「けちー」
 がたがたと椅子を揺すってくる一夏のおでこをぺちりと叩き、
「冷蔵庫にアイス入ってるから、それでも食べて大人しくしてろ」
 そう言うと一夏も現金なもので、きゃーっと叫びながら部屋を出て行った。
 階段を、転げ落ちてるんじゃないかと疑いたくなるような音を立てて降りていく一夏に溜息をついて、俺はシャープペンをくるりと回した。

 全ての動作が唐突で、いつまでたっても幼い一夏。
 一夏は多分、俺がどんな気持ちを抱えているかなんて気付いていない。
 だから俺は、この気持ちには気が付かないフリをして、やっていくしかないんだ。
 二人で居る時間が楽しいだけじゃなくなったのは、いつからだろう。


555:当たりが出たらもう一本
08/08/01 09:30:14 7iPJtR/1
 階下から持ってきたアイスを片手に、一夏はご満悦だった。
 一夏が好きなのはラムネ味のアイスバー。
 百円でおつりが来る割には大きくて、当たりが出たらもう一本貰えるというお得感がたまらないらしい。
 俺の部屋にあるテレビの前に陣取り、いそいそとDVDをセットし始める。
「俺、今勉強中なんですけど」
「してればいいじゃない、あたしコレ見てるから」
 お気に入りのビーズクッション、と言ってもそれも俺の物な筈なのだが、すっかり一夏の所有物になっている。
 それの中にもそもそと埋もれながら、すっかり観る姿勢に入っている。
「半額セールになってないのにそんなの借りてきて、豪勢だな」
「綾が貸してくれたの、すっごく面白いんだって。明日感想聞かせてねって言われたから、ちゃんと見ないと」
 こちらの事情を斟酌しない幼馴染みに観念してノートを閉じると、俺は椅子の向きを変え、テレビを見られるように座りなおした。
 

 映画は「新人の女優が凄く可愛い」というのが見所の、良くある恋愛物だった。
 時折二人で「ヒロイン可愛いね」「でも我が儘だ~」とか、好き勝手なことを言う。
 「映画を観る」と言うより、映画をネタに二人で話す感じだ。
 ただ、時折挟まれるラブシーンの度に少し気まずい空気が流れる。
 抱き合ったり、見つめ合ったり。
 映画の中の二人は臆面もなく恋愛に没頭していて、恋人同士の愛情確認に余念がない。

 うわ。

 思わず画面から目をそらしてしまった。
 画面いっぱいに大写しになるキスシーンに気まずさを覚えて、思わずあさっての方を見てしまう。
 随分念入りにやっているらしく、音まで聞こえてくるのが更に気まずい。
 ちらりと一夏に視線を落とすと、一夏も恥ずかしかったらしい。手に持ったアイスで目を隠していた。
それでも映画の内容は気になるらしく、アイスが時々左右に揺れている。
 心なしか一夏の頬が赤い事に気が付いて、俺は思わず息をのんだ。
今更テレビに視線を戻すことも出来ず、そのまま一夏をじっと観察してしまう。
 愛している、とか綺麗だ、とかブラウン管の中で男が囁く度に一夏は身じろぎをし、視線を泳がせている。
 現実にこんな言葉を言われたら、こんな反応をするのだろうか。
 ついそんな事を考えてしまって、余計に一夏から目が離せなくなる。
 すらりと伸びた素足がビーズクッションから覗いているのが、やけに目についた。
 もう二人の恋心だとか何だとかは頭に入ってこなかった。
 わざとらしく席を外したり、停止ボタンを押すことすら出来ずにない。
 二人とも、そのシーンが終わるまで微動だにも出来なかった。
 場面が暗転してモノローグに入ったところで、二人同時に息を吐いた。
「び、びっくりしちゃったね……」
 一夏は気まずい空気を誤魔化すようにあはは、と笑ったが、相当動揺していたらしい。
 目隠しに使っていたせいで食べることができずにいたアイスから、溶けた雫がぽたぽたと彼女の太腿に溢れ落ちた。
「ごめんっ! クッション汚れちゃう!」
 慌てて立ち上がった彼女の太腿を青い雫がつうと伝ってゆく様を見て、一瞬理性が消えかけた。
「ねえっ! ティッシュ取って、早く!」
 必死な一夏の声に我に返ると、俺はティッシュを箱ごと掴んで一夏の足下に跪いた。
「ちょっ……いいよ、自分で拭く!!」
 慌てた一夏の手元からアイスの雫が飛んで、俺の頬に掛かった。
「やだ、ごめんっ!」
「いいからじっとしてろ」
 そう言うと、一夏はぴたりと大人しくなった。
 そのまま、手に取ったティッシュで彼女の足を拭いていく。
 溶けたアイスは僅かな粘り気をもって彼女の足を汚していて、軽くなぞっただけではなかなか落ちない。
 足のすねから太腿まで、何度も往復させる。
 足が柔らかいので力加減が分からなくて一夏の表情を覗うと、一夏は困ったような恥ずかしがっているような表情でこっちを見下ろしていた。
何だか、自分が酷くいやらしいことをしているような気がする。
 そんな感覚に戸惑っていると、今度は溶けたアイスが彼女の手首を伝って床に落ちた。
「一夏、アイス食べろ、早く!」
 床を拭きながらそう言うと、一夏は慌てて手にしたアイスを舐め始めた。
 初めは上部を必死に舐めていた彼女だが、まずは下部から舐めていった方が良いと判断したらしい。
 下からアイスを舐め取ろうと、アイスを自分の顔より心持ち上に持ち上げた。


556:当たりが出たらもう一本
08/08/01 09:32:30 7iPJtR/1
 多分、状況が悪かったんだろうと思う。
 一夏は随分と焦ってたし、アイスはもう半分水だった。
 だから、アイスを上手く食べられなかったとしても一夏のせいじゃない。
 彼女がアイスを食べようとして、さっきの映画のキスシーンのような音がしたとしても、それは決して一夏のせいじゃない。
 それでもそれは、一夏の動きを止めてしまうには充分だった。
 もう一夏はどうして良いのか分からないほどに真っ赤になって、自分の鼻の少し先にある水色の塊を凝視していた。

  ぱた、ぱた。

 一夏の頬を、首筋を。
 少し蛍光色がかった色水が滑り落ちていく。
 これ、このままにしておいたら泣くな。
 長年の経験からそう判断し立ち上がると、俺はアイスごと一夏の手を掴んで引き寄せた。
 そのまま、一夏の手の中のアイスをがりがりとかじっていく。
 一夏の手には少し大ぶりなアイスも、俺の手に収まると丁度良かった。
 半分水になっていたアイスをものの十秒で完食すると、青い汁でべたついた一夏の手を放した。
「……あ、ありがとう」
 アイスの棒を握りしめながら礼を言う彼女をまともに見ることも出来ず、俺は汚れた手を洗うことを口実に部屋を出た。


557:当たりが出たらもう一本
08/08/01 09:33:25 7iPJtR/1
「どうしよう……」
一夏はへなへなとその場に座り込んだ。
 テレビの向こうでは一組の男女が、切なかったり悲しかったりする恋心をヒートアップさせている。
 足下にはラムネ味の小さな小さな水たまり。
 手にしたアイスの棒には『アタリ』と、茶色い文字で書かれていた。
 どうしよう、どうしよう。
 アイスの棒にアタリって書かれているのは嬉しいことの筈なのに、
 コレを持っていってコンビニのお兄さんに交換してくださいって言うの?とか、もう一本これと同じアイスを食べなきゃいけないの?とか。
 そんな疑問でぐるぐるして、全然喜べない。
「あたっちゃった、どうしよう」
 アイスを食べたのに身体が熱い。
 思わず火照った頬に手を当てると、ねとついた感触が指に絡み付いた。


558:名無しさん@ピンキー
08/08/01 09:38:21 7iPJtR/1
以上です。
このどさくさに紛れて押し倒して以下略な流れに持っていこうとしたけど
上手くいかなかったので未遂です。
おそまつさまでした

559:名無しさん@ピンキー
08/08/01 13:35:26 3bXsJtOA
GJ!
俺ちょっとコンビニの店員になってくるわ

560:名無しさん@ピンキー
08/08/01 17:17:47 1mm3WvVZ
エロいなぁ~

561:名無しさん@ピンキー
08/08/02 00:21:03 cxFDD3by
向かいの家もお隣さんも存在しない田舎住まいの俺涙目www

562:名無しさん@ピンキー
08/08/02 18:42:32 MgbYiQV+
未遂でも十分エロいです、はい。

ちょっとアイス買ってこよう、一人プレイだけどなw

563:名無しさん@ピンキー
08/08/02 18:47:31 QMjQdPC/
>>561
ただいま勉強中!というタイトルの4コマ漫画の
ヒロイン二人が男と女だったらどうなるか、と一瞬妄想した。

結構イケそうだった。

564:名無しさん@ピンキー
08/08/05 23:01:12 FuzoTcV5
理想の幼馴染

なじむ!実に!なじむぞ!! ……というくらい馴染んでいる幼馴染

565:名無しさん@ピンキー
08/08/06 01:20:45 85tGjmph
徒然なるままに打ち込んでいたらなんかできたので、
投下させていただきます。
この日本にこんな感じの幼なじみカップルがいる希望をこめて、
そして俺にはいない恨みをこめて、


「あー」
 白い天井をぼんやりと眺めて、七篠孝輔は奇声を上げた。彼はベッドに仰向けになって、
額を隠すように右腕を頭に乗せている。
枕の上には全開にされた窓がある。生ぬるい風が吹くたび、孝輔の視界上部に浮き上がった
レースのカーテンが侵入してくる。
BGMとしてセミの大合唱と時折思い出したようにガラス音を奏でる安物の風鈴があるが、
それはどちらかというと耳障りな騒音の部類に入る気がした。
「ねぇ」
 足元から声がして、孝輔は黒目だけをそちらに下げてみた。
 少女が腕を枕にして、うつぶせに彼のベッドにもたれている。うっすらと汗の膜が張った素足は
だらしなくカーペットに投げ出され、短いスカートから伸びた太ももの部分が朱を差して上気している。
声を掛けるまで読んでいたらしいティーンズ雑誌が、しわを寄せたシーツの上、乱雑に放り出されていた。
「なんだよ、茜」
 孝輔は若干不機嫌さを滲ませた声で言う。長年付き合いを続けてきた成果か、何か彼にとって
都合の悪いことを言われそうな、そんな直感めいたものを感じていた。
 高坂茜は猫が顔を洗うように、一度腕の中に顔を埋めてから、おどけた仕草でその血色のいい唇を尖らせた。
「――暇」
 彼女の予想通りの言葉に、孝輔は目線を天井に戻す。
 茜は孝輔に無視されたことを感づくと、更に唇を突き出して、目の前にあった彼の脚をゆすった。
「ねー、ひまー」
「うるさい」
「ひまー、ひまー」
「うるさいって」
「ひーーーー、まーーーー」
「だー、もうっ! わかったからっ!」
 その瞬間の茜は、まるでリードを目にした子犬だった。彼女の表情が期待でパッと輝く。
 しかし孝輔は足をばたつかせて茜の手を振り払うと、寝そべったまま彼女に背中を向けた。
「……ったく、このクソ暑いときに」
「もー、孝ちゃん!」
「はいはい」
「ねー、夏休みだよ? もう八月だよ?」
「だから?」




566:名無しさん@ピンキー
08/08/06 01:25:51 85tGjmph

「どっか行こうよ。もったいないよ」
 孝輔はしかめ面の見本のような顔で、肩越しに少女の方を振り返る。その険しい視線を受けて、
彼女はにこっ、と白い歯を見せて小首をかしげた。彼女の毛先がさらりと揺れる。肩口に掛かる長さの髪は、
空気をはらんだ外ハネ気味にスタイリングされていたが、ベッドに押し付けたせいで、一部がへこんでつぶれていた。
髪色はその軽やかさを重視した髪形に合わせて、明るいブラウンに脱色されている。茜がそのカラーリングをしたのは夏休みに入ってからだ。
彼女がそれを披露するためわざわざ、隣の家(つまり孝輔の家)の夕食どきに闖入してきたことを思い出して、
彼はため息をつきそうになった。
 そんな夏休み仕様の髪で飾られている茜の顔立ちは、異性から見てなかなかに魅力的だった。
卵形の小顔。ぱっちりとした二重の瞳。本人は低すぎると嘆く少し丸い鼻。かわいらしいつぼみのような、
小さいピンクの唇。高校生にしてはいささか童顔なきらいもあるが、それもくるくるとしきりに表情を変える
彼女の性格によく似合っていった。
 それはまるで、孝輔の好みをそのまま削りだしたような造形だったが、彼がその照れくさい事実を
茜に伝えたことはない。まあそれも、卵と鶏の命題ではあるが。
「遊びたいなら、友達といけよ。ほら、いつもお前がつるんでる――」
 孝輔は無愛想な口調を作る。
 茜は慌てたようにぶんぶんと首を振った。それから少し考えるような仕草をして、
「んー。みんな、この夏は男の子と遊ぶんだって。高二にもなって女だけで遊ぶのはむなしいんだってさ」
「え? でも、お前のグループで彼氏もち、って一人だけだろ?」
「違うよ。二人だよ」
「え? 誰かできたのか? 彼氏」
「んーん。ユウちゃんと、それと――私」
 自分の言葉が気恥ずかしかったのか、茜はシーツに顔を押し当てて、栗色の髪で顔を隠す。ただ、
その間から覗いた小さな耳が、そこだけ冬に逆戻りしたように真っ赤だった。
「ばか。照れるくらいなら言うな」
 紅潮の伝播した孝輔が、はぐらかすように茜の髪をぐしゃぐしゃとかき乱した。
「へへへ」
 茜はベッドに密着したまま、くぐもった声で笑う。
孝輔の手を取って、自分の頭を擦り付ける。満足するまで孝輔に撫でてもらってから、茜は、もぞり、と上目で彼を見つめた。
「だーかーらー、今年の夏は全部孝ちゃんと遊ぶのです」
「俺の都合は?」
「え? なんか用事あるの?」
「……いや、基本暇だけど」
「でしょー。これだから友達のいないヒッキー少年は」
「やかましいわ」
 孝輔はそう言って苦笑すると、茜の額を拳骨で軽く小突いた。
「というわけで。さぁ、遊びに行きませう」
「何が、というわけで、だよ。大体、こんな炎天下の中、どこに行くって?」
 孝輔はうんざりした様子で、ぼりぼりと頭をかいた。仰向けに戻ると、無地のTシャツの背中が汗を吸ってじっとりと不快に湿っている。




567:名無しさん@ピンキー
08/08/06 01:28:34 85tGjmph

「んー。映画?」
「それは昨日行った」
「海!」
「それは一昨日」
「プール!」
「それは先週」
「ボーリング!」
「それも先週」
「ゲームセンター!」
「お前負けたら泣くもん」
「バッティングセンター!」
「あれは我ながらアホだった」
「カラオケ!」
「二人ではキツイっていいかげん学習しろ」
「漫画喫茶!」
「すぐ眠くなるくせに」
「買い物!」
「お前はまだ何か買い足りないのか?」
「お祭り! 花火!」
「それは今度の土日だろ?」
 茜は勢いよく立ち上がると、拗ねた表情で孝輔を睨み付けた。
「もー! だったらどこがいいの! 孝ちゃんは!」
「いや、だから。今日はもういいじゃん。この快晴の下、わざわざ外、出なくても。――もう。ほんと。暑いし」
孝輔はしみじみ呟くと、全身からやる気と元気を脱気しきった。
「むー、孝ちゃんの意地悪っ! バカっ! 間抜けっ! 早漏っ!」
「ば…っ! 女の子がなんて単語を……!」
「もういいもん。そんなこと言って、後で後悔したって知らないから!」
「あー、はいはい」
 スカートのポケットをさぐり始めた茜を横目に、孝輔は子供に引っ張りまわされた老犬のように深く息をついた。
「ったく。たまにはダラダラさせてくれ」
 ギシ、とベッドのスプリングが鳴る。茜は足を投げ出して孝輔の横に座ると、どこかに電話を掛け始めた。
「えっと、もしもし、先輩ですか?」
 先輩。その二文字に孝輔は大きく目を見開く。顔を引き攣らせて体をハネ起こすと、焦って茜に手を伸ばした。
「このバカっ! おい! 待て!」
 茜は悪戯っぽい笑みを浮かべて、携帯を奪おうとする孝輔から逃げる。
 まずい。厄介なことになる。孝輔は今までの悪夢を回想しながら、茜の後を追う。
 高坂茜には、他人に対して無自覚な隙があった。その分け隔てがなさ過ぎて半ば無差別テロのような邪気のない笑顔と、
常識より近めに設定されたパーソナルスペースの基準は、思春期を迎えた異性に当然のごとく勘違いをもたらした。
確信をもって彼女に告白する男子生徒たちは、その確信の原因となったヒマワリの笑みの下、呆気なく撃沈されていった。
それでも見苦しく言い寄ってくる男たちの主張を、茜はいつもキョトンとした不思議そうな表情で聞いていた。彼女にとってそれは当然で、
なにより彼女には、その時点で既に10年近くも思いを寄せる男の子がいたのだ。
 そしてその想われ人は、茜の色恋沙汰に巻き込まれては、いつも四苦八苦させられていた。
七篠孝輔。彼のように、中学生にして痴情のもつれで生命の危険を感じたというのも中々に稀有な存在だと思われる。
 そんな二人にとって、先輩というのは、茜に振られて一時期ストーカー行為を繰り返した一人の上級生を指していた。


568:名無しさん@ピンキー
08/08/06 01:31:15 85tGjmph

「なに考えてんだ! マジで!」
「きゃっ!」
 孝輔は茜から携帯をひったくると、二人はもつれ込むようにしてベッドに倒れた。
「あ! 先輩!? 今のは違うんです! ちょっとした手違いで、その――」

『――時30秒をお知らせします』

「…………は?」
 かくん、と顎を落とす孝輔。
 そんな彼に後ろから抱きすくめられた格好で、茜はこらえきれず吹き出した。
「ふふ。大体、私が先輩の番号知ってるわけないでしょ」
 しかしどうも最近、
「ね? びっくりした? ね?」
 彼女はそんな自分の因果な性質を、
「へへへ。どう? 焦ったでしょ」
 咀嚼し、理解し、
「あんまり私を甘く見ないほうがよろしいですますことよ」
 こうして孝輔を煽るのに利用している節がある。

(まったく嘆かわしい)

「まったく嘆かわしい」
「?」
 高校に進学して二年目。幼馴染の恋人は年々その魅力を増していく。
追いかけられて、暴れたせいだろう。幾条かの髪の毛が張り付いた茜のうなじに、孝輔は触れるだけのキスをした。
「わっ! なに? 突然」
「まぁ、なんとなく」
「もう」
 そういう茜の声音に非難の色はない。
 茜は孝輔の腕の中で小さく身じろぎすると、反転して彼と向かい合う形になった。そのまま彼の背中に腕を、
彼の腰に脚を巻きつかせると、肌の隙間を全て埋めるようにしてしがみ付いた。
「ふふふ。ねぇ」
「ん?」
「これだと家の中でも暑いよ。どうする?」
 茜は更に全身をくまなくまとわりつかせる。それから、クスリと細めた目で、色気を絡ませた眼差しを孝輔に送った。

(まったくもって嘆かわしい)

「いつの間にお前は、そんな小悪魔エロっ娘キャラに」
「へへへ。責任とってね、孝ちゃん」
 女の子の方が早熟である。そんな提言は自分たちには当てはまらないと思っていたのに。
孝輔はトロンと艶っぽい瞳に、熱を逃がすためか軽く開いた唇に、汗の筋をぬめらせる頬に、
視線をさまよわせながら喉を鳴らして唾を飲み込んだ。
 あんな天然で、泣き虫で、すぐ転んで、寝ぼけた子犬みたいで、いつもほわほわしていたくせに。



569:名無しさん@ピンキー
08/08/06 01:34:34 85tGjmph

「あついよ、孝ちゃん」
「お前のせいだろ」
「へへ」
 茜は猫が甘えるように自分と孝輔の髪をすり合わせると、彼の鼻の頭をペロンと舐めた。
「しょっぱい」
「この変態」
「――孝ちゃん」
「なんだよ?」
「孝ちゃんが一緒に出かけてくれないのは私に飽きたから?」
「は?」
 孝輔は唐突に向けられた不安に目を丸くする。
「ちげーよ、ばか。なんでそうなる?」
「だって」
「ん?」
「昨日も、一昨日も、今日と同じくらい暑かったけど、遊んでくれたもん」
「あのな。夏休み入って毎日毎日遊びまわってたら、そりゃそろそろネタも尽きてくんだろ普通」
 孝輔は頭痛に耐えるようにこめかみを押さえてから、茜のふわふわとした手触りの髪を梳いた。
「むー。そうだけど……」
「なんですか? 何か納得できないことでも? お嬢様?」
「なんかそれって倦怠期の夫婦みたい」
 不満げに頬を膨らませる茜を見て、孝輔は彼女に気づかれないよう喉の奥で笑った。
「もー、何がおかしいの?」
「いや。まぁ、確かに何だかんだで17年目だしな」
「むー。でも交際暦はまだ、……えーっと、2年だっけ?」
「そうだな。中3の初めからだから、3年目か」
 告白は一応孝輔からだった。とは言っても、それ以前から幼馴染としてほとんど一緒にいたし、
茜が頻繁に告白を受けるようになってからは、いつの間にか断りの方便として孝輔が使われていたので
外堀は完璧に埋められていたわけだが。
「しかしまぁ、」
「……あ」
「とりあえず、セックスレスではないな」
「もう、……孝ちゃんのバカ」
 茜は太ももに押し付けられた昂ぶりを感じて、孝輔の胸板に赤らめた顔を埋めた。
 孝輔は茜にキスをしようとして、しかし途中で動きを止める。
「? 孝ちゃん、どうかした?」
「しまった。ゴム、切らしたんだったな」
 孝輔は形容しがたい表情で、茜と顔を見合わせる。
 昨晩(正確には今日の早朝)、最後の一個を使い切った所だった。彼らも多分に漏れず学生らしく、文字通り毎日のように盛っていたりする。
「はい、コレ」
 茜のスカートのポケットから出てくる、なんだかんだで見慣れた箱。
「あれ?」
「無いの分かってたから、家の買い溜め持ってきた」
 茜は恥ずかしそうに頬を染めて、まるで孝輔のTシャツに潜り込むような仕草をした。
「朝、戻ってたのは、コレのためか」
「うー」
 むーむーと羞恥に唸っている茜の髪をぐしゃぐしゃかき乱すと、孝輔は肩を震わせて笑った。


570:名無しさん@ピンキー
08/08/06 01:37:08 85tGjmph

「そういや、母さんたちは?」
「うちのお母さんと一緒に出かけてる。夕飯も外で食べてくるから、二人で済ませといて、って」
「父さんとおじさんの分は?」
 苦笑気味に尋ねた孝輔に、茜はさぁ? と首をかしげて笑った。
「ったく。――どうする? 俺たちは?」
「うん。行ってみたいお店があるんだ」
「へー、美味いの?」
「うん。らしいよ。資金もお母さんから徴収してある」
「二人分?」
「もちろん。半分は孝ちゃんのお母さんから」
「お前、いつの間に」
 へへへ、と茜は得意げに口元を持ち上げる。
「だから、今晩は外食して、ちょっとブラブラしてこよ。夜なら涼しいから良いでしょ?」
「まぁな」
 そうして孝輔はふと思った。コイツ、始めからそのつもりだったんじゃ?
「ねぇ?」
 孝輔は思考の海に足をかけた所で、ちょいちょいと袖を引かれて立ち戻った。
「ん?」
「その、…………しないの?」
「う」
 茜に上目遣いに見つめられて、下火になっていた欲望が再燃する。分かりやすい彼の息子は
既にその頭をムクムクと持ち上げていた。
「あ。もう――孝ちゃんのえっち」
「お前が言うな。このエロっ娘」
「うん。私も」
 茜は愉しそうな声を上げて、孝輔に抱きついた。
「あー、くそ!」
 なんで出掛けるつもりのヤツがコンドームもってんだよ、とかそんなツッコミを入れるのも忘れて、
孝輔は発情してウルウルと瞳を輝かせる茜に覆いかぶさった。


571:名無しさん@ピンキー
08/08/06 01:37:51 85tGjmph
投下終わりです。
お目汚し、すいませんでした。

572:名無しさん@ピンキー
08/08/06 01:53:11 bF5MYKVy
>>571
GJ!

氏とは恨みを肴に杯を交わせそうだな、ハハハ、ファック

573:名無しさん@ピンキー
08/08/06 10:15:05 6omL5wqG
>>571
ファーック!
なぜ寸止めなんだファーック!!
これでは画竜点睛だファーック!!!
続きキボンヌ←いつの間にか死語だなファァアアアアアッッック!!!!

574:名無しさん@ピンキー
08/08/06 10:18:18 6omL5wqG
>>573の書き込みボタンを押した直後に冷静になったわけだが……どうよコレ……

GJ。
夏だなぁ。夏っていいよなぁ。ほんっとうにいいよなぁ。

575:名無しさん@ピンキー
08/08/06 17:53:14 TqgeMjpZ
>>571
GJ!結婚してくれ!

576:名無しさん@ピンキー
08/08/07 20:52:31 c1sZ7msj
>>571
GJ!
文章、構成、キャラどれをとっても申し分ない
素晴らしい一編だった

>>574
どんまいw
人生そういうこともあるさw

577:名無しさん@ピンキー
08/08/07 23:55:34 zUtxRDZ5
>>571
GJ!
よかった
本当に文章が上手いね

578:名無しさん@ピンキー
08/08/08 23:24:01 3/BgqkP9
良いなぁこの空気

俺の幼馴染………最後に会話したの小学校の高学年じゃねぇかwww

579:名無しさん@ピンキー
08/08/09 00:45:58 nBMuOmNc
幼稚園は別で小学校は一度も同じクラスになれず中学で初めて同じクラスになった時は
お互い思春期真っただ中で隣の席になっても一言も言葉を交わせませんでした

580:名無しさん@ピンキー
08/08/09 01:10:55 HebAKnp+
俺と幼馴染の最期の会話が「体育の●●ウゼェよな。んじゃまたな。」
「また明日ね、帰ったら●大にメール送るから」
まさか事故って逝くとは予想もしてなかった。
その日以来、俺は原付に乗れなくなった。
高校の思い出は卒業間近の事故一色だ。
幼馴染の男と二人葬式で泣いた事しか思い出せない。        

581:名無しさん@ピンキー
08/08/09 08:02:29 53NnMAef
男幼馴染と十分なフラグがたってるじゃないかwwww

582:名無しさん@ピンキー
08/08/09 09:40:09 OLmX9Xl1
>>571
ぐっじょ!
大変良い話しを読ませて頂きました。

583:名無しさん@ピンキー
08/08/10 19:46:41 YLzKe6pi
>>580
二人ともそいつに惚れてたのか?

584:名無しさん@ピンキー
08/08/11 16:51:10 P3YH0C1C
テスト
>>571
いいねいいね、最高だ!

585:保守ネタ ◆CrGxsQ60nU
08/08/15 23:22:58 86oEbrM1
 つけっぱなしのテレビは、国会放送を垂れ流している。
「……クーラー代凄そうだよな、国会議事堂」
「一回の国会で一億円かかるってねー。死ね」
「ストレートにそういうことを言うんじゃない。……でも同感だ。せめてクールビズれ」
 だらけつつ、ゴロ寝を二人で続ける。
 気温は高熱三十八度。クーラーなんて便利なものはなく、レースのカーテンを引いた室内には陽の光が、こう、蔓延している。
「……アイスあったっけ」
「ばか、さっき食べただろ……アイスは一時間に一本だ」
「じゃあ次のアンタの分を、こう、アタシに譲渡するとかどうさ」
「……くたばれもしくは死ね」
「す、ストレートに言われたぁっ」
 ……暑くて勢いがまったく足りない。
 いつもはウソ泣きの演技も入るが、今回は寝そべったままだ。
「…………」
 彼女の方を見ると、非難がましい涙目だった。
 いたたまれなくなって来たので、腹筋を使い、起き上がる。
「…………!」
 だらしなく寝そべっていた馬鹿が、四足獣が駆け出す直前みたいなポーズになった。
 その熱烈な視線を背に浴びつつ、冷凍庫からアイスを取り出した。
「んー……」
 ぴり、と袋をつまんで破って、アイスを取り出し袋を捨てる。
「……さて」
 なにやらハァハァ言い出した四足獣ちゃんの前にしゃがみこみ、……アイスをかじる。
 しゃり、とした歯ざわりと、急に冷やされたことによる僅かな歯の痛み。直後に来るのは、痺れにも似た冷たさと、それ以上の甘味だ。
「…………!?」
 今にも泣きそうな顔で、彼女は肉薄してくる。……そう、肉薄、なんて変な言葉を使うくらい、その表情には悲壮感とか憤怒とかが満ちていた。
「よ」
 その開きかけた唇に唇を押し付けて、口移しをした。
「ふぉお…………!?」
「ちょっとぬるいのは許せよ。ホレ、次行くぞ次。ステップアップだ。色々と」
「ちょ、アンタ、スケベうわぁ―!」
 ……テレビでは、保守派の政治家が、何かを言っていた。

586: ◆1Bix5YIqN6
08/08/15 23:24:01 86oEbrM1
orz
酉間違えた

587:名無しさん@ピンキー
08/08/15 23:28:46 KWC3/G+g
>>585
乙。何だこの激甘空間……

588:名無しさん@ピンキー
08/08/16 01:55:08 vxqIs+ZW
>>585-586
某スレでの失敗も目撃してしまったぜw
こういうときは推敲をし過ぎることなく勢いで投下した方が好評なことが恐らく多いと思うけど
急ぎすぎて焦ったのか?

下らんことをあれこれ言ったが今のおれにとっては最高だ。あんたは漢だぜ

589:名無しさん@ピンキー
08/08/16 13:29:40 bfnF/CF1
ところで甘えんぼう幼馴染の場合、ここと甘えんぼうスレのどっちに書き込むべきだ?

590:名無しさん@ピンキー
08/08/16 13:37:10 GPcNo5Wn
>>589
ここでそんな質問されたらここにと答えるしかねぇべw

その二属性は親和性高いんだよなぁ。個人的には両スレ見てるが、どちらでも合わせ技一本が多い気がする。

591:名無しさん@ピンキー
08/08/16 13:37:22 Lv3cM+TZ
>>589
自分が好きなほうでいいんじゃね?
そりゃまぁこっちに投下があれば嬉しいけど、それは向こうのスレも同じだし

592:名無しさん@ピンキー
08/08/16 16:31:46 FcMLFG3d
ヒロインの性格でスレを選ぶとこのスレの作品も他に流れまくるからなぁ
ツンデレとかさ

深く考えないほうがいいよ

593:名無しさん@ピンキー
08/08/16 20:05:47 lPHM20BY
オレも両スレ見てるけど逆に甘えん坊のほうは見たことないって人もやっぱいるのかな?


594:名無しさん@ピンキー
08/08/16 20:32:10 OxUjHg8h
>>593
ノシ


595:名無しさん@ピンキー
08/08/16 21:53:12 e1lwAaxb
>>593
ノシ
あっちに投下するんなら読みにいくけど

596:名無しさん@ピンキー
08/08/16 23:34:06 1ldrZEs5
甘えん坊な年下のボーイッシュ幼なじみの話書いとります
確かに、投下場所に迷った

597:名無しさん@ピンキー
08/08/17 00:10:23 u5+oA4iU
このスレに投下するのは初なのですが、
テレビでオリンピックを見ていたら頭の中の妄想が文章化されていたので投下してみます

598:1/3
08/08/17 00:13:02 u5+oA4iU
「さあ、得意のタックルが出るか!?」
「下がっちゃダメですよ!」
20型の地デジ対応テレビからオリンピックの熱闘が伝えられてる。
現在の競技は女子レスリング。日本人選手が決勝戦を奮闘してる。
レスリングに興味があったわけじゃない。
ただ、暇だから見てるだけ。
恭介・・・キミが、構ってくれないから・・・。

キミはベッドに座っていつものように本を読んでいる。
わたしがここに来たときに読んでいたものとは違う文庫本。
熱心に読み進めている横顔、真剣な眼差し、すごく・・・好き。
その瞳に見つめられる時の幸せ・・・。思い出すだけで心臓がドキドキしちゃう。
キミが傍にいる空気感が・・・好き。
心から安らげる。安心できる。優しい気持ちになれる。
だけど。

わたしたち、もうただの幼馴染じゃないんだよ?
恋人同士になったんだよ?
キミはわたしの、彼氏・・・なんだよ?
わたしが"キミの部屋にいること"。
その表面はいつものことでも、"中身"はもう・・・違うんじゃないの・・・?

「フォールだ!!オリンピック連覇達成ーーーーー!!」
「いやぁ、やりましたっ!!」

実況アナウンサーと解説のおじさんが、喜びを爆発させる。
画面上で選手がガッツポーズをしながら泣いている。
それを見て、わたしも胸がきゅん、ってなる。
きっとわたしたちが知らないところで、いっぱいいっぱい努力したんだろうな・・・。
苦しかっただろうな・・・。

あんまり喋らないからって、感受性が鈍い訳じゃないんだから。

「ね、ぇ・・・」
呼びかけてもキミは反応してくれないね。読書中はいつもそう。
わたしの声が小さいのもあるけど・・・もう少し注意を向けて欲しいよ・・・?

Tシャツの肩のとこを引っ張ると、ようやくキミは顔を上げる。
「・・・金メダル・・・」
キミはテレビにチラッと視線を向けただけだった。
「ああ」
たった2文字で感想ともいえない反応をして、キミはまた視線を戻す。
わたしの中で、ふつふつと怒りが湧き起こってくる。

ものすごく頑張った選手に、どうしておめでとうが言えないの?っていうのもあったけど。
それ以上に・・・わたしはキミと、感動を共有したかったのに。

599:2/3
08/08/17 00:14:44 u5+oA4iU
急に立ち上がったキミ(たぶん飲み物を取りにいきたいんだ)を、わたしは通せんぼする。
「なんだよ・・・ひかる?」
キミがわたしの名前を呼んだの、これが今日始めて。
分かってる?・・・もう4時間も一緒にいるんだよ?
「・・・だ、め」
言いたいことは山ほどあるのに、これしか言えなかった・・・。
どうしたら自分の気持ちを上手に伝えられるのかも、何から話していいのかも、よく分からない。

キミの顔が困惑の表情を形作る。

出逢った頃からずっとそう。
どんなときも、キミはわたしに嫌な顔をしないね。
こんなわたしを、めんどくさがらないね。
キミはとても、優しいヒト。

「ひかる・・・?どうかしたのか?」

急に真剣な表情になって、それまでの態度が嘘のように、心配そうにキミが顔を覗き込んでくる。
すぐ目の前に、大好きなキミの顔がある。
それだけで、わたしの顔は真っ赤になる。

「顔赤いぞ?熱でもあるんじゃないのか?」

前髪が触れ合いそうな距離までキミの顔が近づいて・・・。
訳が分からなくなって・・・キミに思い切り抱きついちゃった・・・。
まるでタックルみたいに。

「おわっ」
二人の身体が、ベッドに倒れこむ。
反射的に目を閉じていたわたしの鼻腔を、キミの香りがくすぐる。

「だ、大丈夫か?」
大好きな匂いに陶然としていたわたしに、キミの声が届く。
「・・・うん」
気づけばキミの両腕が、ちょっと強めにわたしを包んでくれてる。
守ろうとしてくれたの?
嬉しい。もの凄く嬉しいよ。
その気持ちに、それをうまく表現できないもどかしさが混ざって、わたしをちょっと大胆にする。

600:名無しさん@ピンキー
08/08/17 00:16:55 u5+oA4iU
「ン・・・ちゅ・・・」
やっぱりちょっとなんかじゃない・・・。普段のわたしはこんなことできないもの。
恭介は、固まったように動かない。
どうしよう・・・。
変に思われないかな・・・?本当は嫌だったりするのかも・・・。
でも、怖くて確かめることなんてできない。
目を閉じて必死に唇を押し当てていたら
「・・・んあっ!?ンンッ!」
キミの舌が、わたしの口の中に入ってきた。
熱くてヌメヌメしてて、でも全然嫌じゃない。
キミに、蕩かされちゃいそう・・・。

何秒くらいそうしていたんだろう。
幸せに包まれた時間。
名残惜しいけど、息ができなくなって唇を離す。

キミはちょっと驚いた顔をしてた。
でも、切なそうな顔だったよ?

「わたしの・・・フォール、勝ち・・・」
何言ってんだろう、なんて思わなかった。
もう、ちょっと変になってるね、わたし。
「ばか、フォールってのは・・・肩をつけるんだよ」
キミは乱れた呼吸で、わたしを抱きしめたまま反転して上下を入れ替わった。

「ひかる・・・したい」

いつもはドキドキする、キミの真剣な眼差し。
でも今は、ホッと胸が温かくなった。
良かった。
キミもちゃんと、わたしとしたいって・・・思ってくれてるんだ。
嬉しくて、涙が出そうになる。

「今日はずっとしたかったから、ひかるを見ないようにして耐えてたってのに、さ・・・」
「・・・えっ?」

わたしにはそんなに女の子として魅力を感じていないのかと思ってた・・・。
キミにとってわたしは「保護対象」で、エッチなことなんて・・・もうする気にならないのかな、とか・・・。

「お前のせいだぞ」
甘く甘くキミが言う。
それだけで内腿の付け根が熱を帯びてくる。

「・・・責任、とる・・・から」
わたしが言うと、キミは嬉しそうに微笑んだ。
そして今度は、キミがわたしをフォールする――



601:名無しさん@ピンキー
08/08/17 00:20:46 u5+oA4iU
終わりです。↑の名前欄は3/3ってことでお願いします
もし好評だったなら二人の初体験の話とか・・・書けたら書きますw
これも無口娘とも迷うなぁ・・・
では失礼しましたー


602:名無しさん@ピンキー
08/08/17 00:27:31 kjcFggWd
GJ!
むしろフォールされたい

603:名無しさん@ピンキー
08/08/18 00:35:24 WFEiN5PZ
くそぉ、俺が独りで寂しくオリンピックを見てるというのにorz

というのは置いといてGJ
無口幼馴染もいいなぁ

604:名無しさん@ピンキー
08/08/18 01:05:52 bvJd9xKZ
>>601
ものすごくGJ!

605:名無しさん@ピンキー
08/08/19 15:53:56 jEYP+9jo
>>601
GJ!
いいセンスだ!
それはさておき…君…ちょっと無口スレまできてもらおうか…。

606:名無しさん@ピンキー
08/08/19 20:02:04 ZJvaN8SO
GJ!幼馴染科無口属か
ごめん勝手に生物分類っぽくしてみた

607:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/08/20 18:21:33 pIQIVIKR
こんにちは、二ヶ月振りです。規制って辛いですね。
以下に投下します。
>>380-387の続き、後編です。
>>143-156とも若干繋がりがありますので、興味がある方はそちらもどうぞ。
もちろん単品としてもお読みいただけます。

608:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/08/20 18:24:19 pIQIVIKR
『ある失恋話・後編』



 その週の日曜日は快晴だった。
 その日、三原正志(みはらまさし)は幼馴染みの天川沙織(あまかわさおり)と一緒に
街に出かけていた。
 四日前に二十歳になった沙織の誕生日祝いである。いっしょに遊ぼうと沙織が言った
ので、それに応えてのことだ。
 デートとも言う。
 三つ上の『姉』は気立てのいい美人で、そんな彼女と一日を過ごすのはなかなか悪くない
ものだが、今の正志には少し気まずく感じられた。
 誕生日の夜、酔った沙織に半ば無理やり『されて』しまったから。
 正志は無理に拒絶しなかったが、それなりにショックは大きかった。
 沙織の洩らした深い恋慕の情を無視できるほど、正志の神経は図太くなかったし、何より
彼女の気持ちに長い間気付かなかった自分が情けなかったのだ。
 とはいえ、すぐに答えを返せるわけでもない。
 それに沙織は、あの日の夜のことに一度も触れなかった。忘れてしまったかのように
あの夜のことをスルーしていた。
 翌日にただ一言「夕べのことは忘れて」と言っただけだった。
 そう言われると正志も話を持ち出せなくなる。
 なかったことにされてしまったのかもしれない。あの夜のことは無しにして、これまで
通りの関係でいようと、そういうことなのかもしれない。
 正志にとっては絶対に忘れられない。
 思いがけず初体験の相手となった女の子と出かけるのだ。意識せずにはいられなかった。

609:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/08/20 18:25:45 pIQIVIKR
「正志くん」
 大通りを並んで歩いていると、沙織が呼び掛けてきた。
「え? は、はい!」
 物思いに耽っていた正志はつい驚き、なぜか敬語で返してしまった。
「? どうしたの?」
「あ……いや、なんでもないよ。何?」
 沙織は訝しげに眉を寄せたが、深くは突っ込んでこなかった。
「だから、まずはどこ行こうかって」
 訊いてくる沙織の今日の服装は白のツーピースだった。普段のラフな服装と違って新鮮に映る。
「……沙織さんの誕生日祝いなんだから、沙織さんが行きたい所に行こうよ」
「え? 私が決めていいの?」
「もちろん。沙織さんのためのデートでしょ」
「……こういうときは決断を相手に委ねずに自分でリードしないとダメだよ」
「そうなの?」
「そうだよ。気遣いは大事だけど、それ以上に相手を引っ張っていかなきゃ」
「……気を付けます」
 正志は困惑の中でそれだけ答えた。
 戸惑いもする。こちらは努めて意識しないようにしているのに、平然と色恋事を口に出す
沙織の神経が信じられない。
 やっぱりあのときのことはなかったことにされてしまったのか。
 沙織にとってはもう過去の出来事に過ぎないのだろうか。
 それは少し淋しかった。
「でも、やっぱり沙織さんの誕生日だし、沙織さんの好きなところに行きたいよ」
「正志くんもなかなか頑固だね。……じゃあ、映画観よう。アクション映画」
 そういえば、昔から彼女はアクション映画が好きだった。好きな有名人にチャック・
ノリスを挙げるくらいだ。
「了解」
 今は何を上映しているのだろう。わからないが、アクション映画は多分いつでもやって
いると思う。
 映画館の方角に足を向けると、沙織が待って、と言った。
 立ち止まると、沙織に左手を握られた。
「デートでしょ? だったら女の子の手くらい握ってあげなさい」
「……急にそんなことしたら、普通は驚くと思うけど」
 実際驚いた。
「もう十年以上の付き合いでしょ。手を握ったくらいじゃ驚かないよ」
「ぼくは驚くけど」
「度胸をつけなさい」
 正志は苦笑すると、沙織の手を握り返した。小さな手だった。
「よし、行こっか」
 笑顔を浮かべる沙織に正志はうん、と頷いた。

610:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/08/20 18:27:54 pIQIVIKR
      ◇   ◇   ◇

 映画館は空いていた。
 買ってきた飲み物を沙織に渡し、前列の席に座る。沙織は紙コップの中の紅茶を見つめ
ながらぽつりと呟いた。
「昔もこうして、いっしょに映画観に来たことあったよね」
「……八年前かな?」
 正志が小学三年生のときだった。沙織は六年生で、沙織の父に連れられて三人で映画を
観に行ったのだ。
 そのときも確かアクション物だった。確か。
「あのとき正志くん寝てたでしょ」
「……そうだったっけ?」
「そうよ。映画の話をしたかったのに、正志くん全然中身覚えてなくて。ちょっと残念
だったな」
「……」
 そういえばそうだったか。アクション物と記憶していたのは沙織が話してくれたのを
憶えていたからだろう。
 昔から正志は、沙織に悪いことをしている気がする。
「あのときは、帰りにファミレスに行ったことの方が嬉しかったような」
「あー、正志くん唐揚げセット注文したよね。私はハンバーグステーキセットだった」
「よく憶えてるね。あんまり外食とかしなかったからね。なんか嬉しかったよ」
「今日は寝たりしないよね?」
「しないよ」
 思わず苦笑する。さすがにそれはない。
「小さい頃はじっと何かを楽しむっていうのが理解できなかったんだよ。でも本を読む
ようになってからは映画も好きになった」
「そうなんだ。いつから本を読むようになったの?」
「そうだな……」
 思い返すと案外あっさりときっかけに辿り着いた。
 小学四年の頃に読んだ『ルドルフとイッパイアッテナ』がとてもおもしろかったのだ。
本は気難しいもの、という固定観念が一瞬で吹き飛び、あっという間に読み切ってしまった。
 あれは確か─
「正志くん?」
 沙織の呼び掛けに正志は慌てて顔を向けた。
「あ……ごめん。よく憶えてないや」
「ふーん。……そろそろ始まるんじゃない?」
 沙織が言うと、直後に明かりが消えた。
 後列から順に照明が落ちていき、やがて真っ暗になる。
 正志は言葉を濁したことを後ろめたく思った。
 本当は、憶えている。
 沙織が中学に上がる際に荷物整理を手伝って、そこでもらった本が『ルドルフとイッパイ
アッテナ』だったのだ。
 そのことが正志の読書好きのきっかけになったことを彼女は知らないだろう。ちょっと
気恥ずかしくて咄嗟に憶えていないと言ってしまったが、しかし、
(……いつもぼくを助けたり、支えたりしてくれる)
 その上で何かのきっかけをくれるのはいつも沙織だった。
 この間告白できたのも、沙織の後押しがあったから。
 正志は沙織に世話になりっぱなしだった。
「……」
 せめて今日くらいは、楽しんでもらいたいと思う。
 答えはまだ出せないが、楽しんでもらえれば正志も嬉しい。
 スクリーンが別の作品の予告を映している。
 こちらに向かって明滅の光を放つ画面の眩しさに、正志は細かくまばたきをした。

611:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/08/20 18:29:53 pIQIVIKR
      ◇   ◇   ◇

 映画館の外に出た瞬間、沙織は大きく伸びをした。
 正志も少し四肢に力を入れる。両手をぐうっと伸ばして筋肉をほぐす。
「結構面白かったかな」
 沙織は後ろのテールを小さく撫でながら言った。
「でもやっぱりCGに頼りすぎるのはよくないと思うの。もっとバランスを考えてほしいわ。
なんで格闘シーンにまでCG多用するのかしら」
「その方がコストかからないんじゃないかな、よくわからないけど。ぼくは面白かったよ」
「うん、だから結構面白かったって。でももう少し細部を詰めてほしいというか」
 こだわるなあ、と内心で苦笑する。
「ま、いいか。じゃ次行こ次」
 切り換えて、沙織は正志の手を引く。自然と繋がれるその手に、正志はドキッとした。
それを表には出さず、尋ねる。
「次はどこ行きたい?」
「もうお昼だし、食事行こうよ」
 元気に答えるその様子は、とても楽しそうだ。
「どこ行く?」
「ファミレス」
「なんで?」
「八年前の追体験しようかな、って」
 真面目くさって沙織は言う。
「別にいいけど、なんでわざわざ」
「なんとなく。なんだか懐かしいじゃない。正志くんがまだ小学生の頃だよ」
「沙織さんも小学生だったよ」
 沙織はにこりと笑った。
「そう。そこが重要なの」
「……は?」
「その頃までじゃない。私が正志くんと遊んでたのって」
「……」
 それは─その通りだった。
 沙織は笑う。寂しそうに。
「私が中学に上がるくらいから、正志くんとあんまり会わなくなったよね。私、すごく残念
だったんだよ。どうせなら一緒に学校通いたいなあ、って」
「……」
 それは正志も寂しく思った。親しい彼女と離れるのは、とても嫌だった。
 小学生と中学生では微妙な心理の差がある。それは中学生と高校生でも変わらない。
 三歳差とは学生にとって遥かな差なのだ。なぜなら、同じ学校生活を共有できないから。
「正志くんの家庭教師になれて、私嬉しかった。昔に戻れた気がして」
「……」
「こうやって正志くんと何かを過ごせることが懐かしくて、本当に嬉しいの。正志くんは
どう?」
「……嬉しいよ」
 沙織は笑った。
「というわけで、ファミレスへゴー!」
 何が「というわけで」なのかはわからないが、正志は素直に沙織に従った。
 彼女は魅力的な女の子だと思う。美人で明るい、正志にとって自慢の幼馴染みだ。
 そんな彼女とこうして並んで歩けることが、嬉しくないはずがなかった。
 正志が沙織を想う気持ちと、沙織が正志に対して抱く気持ちとは違うかもしれない。
それでも正志は、沙織を愛しく想っている。恋愛か親愛かはわからないが、それだけは
確かだった。

612:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/08/20 18:31:42 pIQIVIKR
      ◇   ◇   ◇

 食事を終えた後、沙織が遊園地に行きたいと言ったので、二人は市街地の端にある
遊園地に向かった。
 遊園地は家族連れやカップルでごった返していた。入場券を二枚買って、二人は中へと
入る。
 人混みの苦手な正志は園内の賑わった様子に辟易したが、沙織は笑顔だった。
「みんな楽しそうね」
「沙織さんが一番楽しそうだよ」
「楽しみに来たんだもん」
 正志の手を引いて、沙織はまっすぐ目的のものへと向かった。
「正志くん、あれに乗ろうよ」
 沙織の指差した先には、轟音と共に空中を駆ける乗り物があった。
「ジェットコースター?」
 頷き、沙織は問い掛けてくる。
「正志くん、ああいうの苦手?」
「別に苦手じゃないけど……」
「えー、小さい頃正志くん泣いてたよー」
「幼稚園のときの話だよ! 今は平気だって」
「三つ子の魂百までって言うじゃない。試してみようか」
「泣かないってば」
 行列の最後尾に二人は並ぶ。
 十分待ちの後、順番が回ってきた。前の客と入れ替わりにコースターへと乗り込み、
(─え?)
 すぐ横をすれ違ったカップルに憶えがあり、正志は思わず振り返った。
 遠ざかる後ろ姿は見知った小柄な女の子のものだった。その隣には見知らぬ長身の男の姿。
 背中まで届く長い黒髪を見間違えるはずもなく、
「正志くん?」
 沙織が不審そうに正志の顔を覗き込んできた。
 正志は慌てて顔を戻す。何を動揺しているのだろう。今のが『彼女』だったとしても、
自分が揺らぐ必要など何もない。たとえその隣に誰がいたとしても。
 しかも今は沙織が隣にいるのだ。なおさら動揺など見せてはならない。
「なんでもないよ。早く乗ろう」
 吹っ切るように正志はコースターへと進む。
 沙織は怪訝な表情を見せたが、正志は気付かない振りをした。

613:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/08/20 18:33:46 pIQIVIKR
      ◇   ◇   ◇

 二人はいろんなアトラクションに臨んだ。
 ジェットコースターに乗り、お化け屋敷に入り、巨大迷路を歩いた。
 沙織は子供のように笑い、驚き、喜んだ。それを見て正志も嬉しくなった。
 ちゃんと楽しんでもらえている。誕生日プレゼントの代わりになるか心配だったが、
幼馴染みの華やいだ様子に正志は安心した。
「次はあれ乗ろうよ」
 迷路を抜けてベンチで休んでいると、沙織が遠くを指差した。
「観覧車?」
 ゆっくりと回転する風車のようなそれを、沙織はじっと見つめる。
「ちょっと疲れたから休憩代わりに」
「了解。……って、休憩ってことはまだ乗るつもり?」
 もう四時に近い。閉園までまだ時間はあるが、残暑の厳しい日照りを受けて、正志は正直
バテ気味だった。
 沙織は小さくはにかむと、再び正志の手を取る。
「もう少しだけ付き合って。今日だけだから」
 正志は幼馴染みに微笑む。
「今日だけなんて言わないよ。沙織さんが望むなら、いくらでも」
 それくらいのことしか正志にはできないから。
「ありがと。行こっか」
 二人は並んで歩き出す。
 観覧車は順番待ちだった。子供連れよりもカップルが多く、正志は気まずく思った。
 しばらくして二人の番が回ってきた。宙にぶら下がった鉄の籠は二人の体を預けるには
頼りなく見え、正志は大丈夫かと危惧したが、沙織があっさりと乗り込んだので後に続いた。
 頼りないと思った空中密室は、特に問題もなく上へと上がっていく。
「こっちの方が苦手?」
 唐突に沙織が尋ねてきた。
 一瞬何のことかわからなかったが、すぐに『三つ子の魂』のことだと気付く。
「だから別に苦手じゃないって」
 すると沙織は向かいのシートから立ち上がり、正志の隣に座った。
 二人とも一方のシートに座るとバランスが悪いんじゃないかと思ったが、沙織は気にも
せず、正志の手を当たり前のように握った。
「温かいね、正志くんの手」
「沙織さんも温かいよ」
「それは私が温かい人だからだよ」
 恥ずかしげもなく沙織は言った。
「何? 急に」
「お父さんが言ってたの。心が温かい人は体も温かい、って。正志くんの手も温かいから、
正志くんも温かい人だね」
 その言葉はきっと心底からのものなのだろう。そして、沙織は言葉通りに温かい心を
持っているのだろうと正志は思った。

614:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/08/20 18:35:30 pIQIVIKR
 �ef="../test/read.cgi/eroparo/1205778691/696" target="_blank">>>696
「逃がすなんてひどい…私もうアナタがいないと生きて行けないの。だから…」

少し考えてみただけだ。忘れろ


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