【友達≦】幼馴染み萌えスレ15章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ15章【<恋人】 - 暇つぶし2ch278:名無しさん@ピンキー
08/05/06 20:29:49 luH3Vbdy
>>274
俺も田舎だから小学校中学校同じで一学年一クラスだった。

279:名無しさん@ピンキー
08/05/06 21:23:16 EafIZolh
>>278
田舎だとそんな感じですよね

その中で幼馴染となると家が近所になるんだよなぁ

280:名無しさん@ピンキー
08/05/06 21:36:37 1abKg4Me
>>277
早く告白するんだ

281:名無しさん@ピンキー
08/05/06 22:25:40 VP222/cT
そして撲滅委員会に入会

完。

282:名無しさん@ピンキー
08/05/07 08:11:10 b8+cVm8j
>>255

さあ早くここに行くんだ
【アナルっ娘】そこ違う…でも…!(ビクッビクッ【尿道娘】
スレリンク(eroparo板)


283:名無しさん@ピンキー
08/05/07 16:13:03 pEyeij8o
俺の場合はことごとく引越しでフラグ消滅だった(´・ω・`)

284:名無しさん@ピンキー
08/05/07 19:24:31 ESe6Ivpp
そもそもフラグは有ったのかい?
と、自分の方が引っ越した俺が言ってみる

285:名無しさん@ピンキー
08/05/07 19:41:07 b1vOcNnR
団地はフラグいっぱい立つな

ドア向かいのおとなりさんが中学でかわいくなって意識しちゃってそのまま疎遠になっちまった


数年後に両親が離婚したみたいで父親残して引っ越したけど

286:名無しさん@ピンキー
08/05/07 20:25:29 p6xWL2N3
小学生のころ幼馴染と許婚フラグあった
あいての父親に相当気にいられてたみたい
当時はかけらも好きじゃなかったからフラグへし折っちゃったけど
中学生ぐらいのときその子好きになったんだよなぁ

287:名無しさん@ピンキー
08/05/07 23:12:45 b1vOcNnR
幼稚園の頃一緒に風呂入ったり、隣としか繋がらない電話設置したり、一緒に食べたビワの種植えて成長競ったりなぁ


あの頃が一番人生輝いてたかもしれん

288:名無しさん@ピンキー
08/05/07 23:48:00 UXRPDXeX
昔からずっと今でも家族ぐるみで付き合いあるけどそんな風に意識した事はないし
もう結婚してるからこれからも無いな
幼馴染というよりは姉って感じだったしなあ

289:名無しさん@ピンキー
08/05/07 23:53:45 C2H1xJZf
待て、向こうもそう思っていたとは限らないじゃないか

290:名無しさん@ピンキー
08/05/08 00:12:50 02AQ3Lcw
リアル幼馴染いる、あるいはいた人多いなあ。
いない人がわざわざ名乗り出ないだけなんだろうが。嫉妬で気が狂いそうだ。

291:名無しさん@ピンキー
08/05/08 00:48:18 MLIWJDIb
俺の幼馴染みには2才上の姉がいてな、これもまた面倒見がよくて美人で。

アニキと姉が結婚して、俺と幼馴染みが結婚するなんて言って時期があった

バレンタインももらったし・・・

10年も前の話してごめん

292:名無しさん@ピンキー
08/05/08 01:07:07 9EcMr4M8
>>290
いなかった人はその羨ましさをこのスレにぶつける
いた人はフラグ立てられなかった悔しさをこのスレにぶつける

そうやってこのスレは成り立っているのです

293:名無しさん@ピンキー
08/05/08 02:35:15 9EcMr4M8
「おい」
「なに」
「何で急に抱きついてきてんだよ」
「あんたこそなんで抱きしめ返してんのよ」
「お前俺が地震苦手なの知ってるだろ」
「あんただってあたしが怖がりなの知ってるでしょ」
「は! お前が怖がりだったらこの世は大和撫子で溢れ返るわ」
「そうね、あたしはあんたみたいなヘタレじゃないものね」
「なんだと」
「何よ」
「つーかそろそろ離れろよ」
「あんたが肩抱いてるから離れられないんでしょ」
「おめーだって思いっきり俺の服掴んでんじゃねーか」
「何よ」
「何だよ」
「……」
「……」
「そもそも何であたしの部屋にいるわけ? こんな時間に」
「お前が呼んだんだお前が。夜遅くに屋根伝って来るのも怖いんだぞ」
「やっぱりヘタレね」
「呼んどいてその言いぐさは何だ」
「じゃあ今すぐ帰ってよ」
「お前が手を離せば帰ってやる」
「じゃあ離してやんない」
「どっちなんだよ」
「はー……ヘタレなくせに鈍いとか」
「ヘタレヘタレうるせぇなしまいには怒るぞ」
「事実を言ったまでです」
「減らねぇ口だ、後悔させてやる」
「…ちょっと」
「んー?」
「痛い、暑苦しい」
「後悔させてやるっつったぜ」
「すぐ傍で喋んないでよ、息がくすぐったい」
「おめーの息だってくすぐったいぞ」
「じゃあどうすんのよ」


294:名無しさん@ピンキー
08/05/08 02:36:17 9EcMr4M8
「いいことを考えた、ひっつけば息はかからない」
「それは名案だ」
「だろ?」
「どこひっつける?」
「わざわざそれ聞きますか」
「変なものひっつけられても困るし」
「その考えはありえん」
「分かんないよ、男は狼っていうし」
「また古いな」

グラグラグラグラッ

「…!」
「やっ……」
「……」
「……」
「このまま寝るか?」
「暑いよ」
「でもお前震えてるぞ」
「寒いから」
「でもお前」
「あんただって地震怖いでしょ、苦手でしょ」
「まあ、そりゃそうだが」
「そうだが、何よ」
「一人じゃねーし」
「そこは素直に『お前がいるし』って言ってよ」
「うっせーな」
「告白もあたしからだったし」
「うっせーよ」
「昔は自分のこと僕って言ってて口調もなよなよしてたよね」
「うっせーって」
「なんでこんなの好きになったんだろう」
「それはお互い様だ」
「ひどい、泣きそう」
「とてもそんな表情には見えんが」
「もしもの時には責任とってね」
「脈絡なく語弊のある言い方しないでください」
「…ひねくれもの」
「……どっちがだ」




しまったオチがない



295:名無しさん@ピンキー
08/05/08 04:54:01 e54z3NZT
でも余震はあった。

GJ !!

296:名無しさん@ピンキー
08/05/09 00:57:59 Tix6XCZL
>>295
誰がうまいこと言えt(ry

>>294
GJ !!

297:名無しさん@ピンキー
08/05/12 07:10:50 lbcUZgj3
保守

298:名無しさん@ピンキー
08/05/14 15:00:06 DbjnYOgo


299:名無しさん@ピンキー
08/05/14 18:17:11 +kDRzoYi


300:名無しさん@ピンキー
08/05/14 20:19:17 Oym12slJ


301:名無しさん@ピンキー
08/05/15 03:29:32 FffNXXAt
唐突だが少し歳の離れた年上で女性の幼馴染を呼び捨てにしてるのが萌える。

302:名無しさん@ピンキー
08/05/16 22:48:49 rmfTUjFY
保守

303:名無しさん@ピンキー
08/05/17 22:08:27 lsmpaIyf
「なあ、一美、今度の日曜だけど……」
「一美さん、でしょ?」
「……うっせーな」
「四つも年上を呼び捨てなんて……従姉(ねえ)さん、
 隆彦をそんな子に育てた覚えは無いわっ!」
「育てられてねえから」
「おしめの交換とかしてあげたじゃない」
「覚えてるかよ、そんなこと」
「おんぶして、子守唄も歌ったげたし」
「覚えてねえって」
「お風呂にも入れてあげたのよ?」
「………………」
「……赤くならないで欲しいんだけどなー。こっちまで
 恥ずかしくなってきちゃうじゃない」
「……で、一美は今度の日曜空いてるか?」
「何事もなかったかのようにっ!? ふーんだ、一美さんって
 呼んでくれなきゃ答えないもーん」
「……四つ年上が聞いて呆れるな」
「なによー」
「大人なのは見た目だけじゃねえか。そんな性格じゃ彼氏もいねえだろ?」
「むむぅ、酷い事言われてるー。……そりゃ、確かに彼氏とかいないけどっ!」
「はぁ……ったくもぉ……」
「?? 私、隆彦が頭抱えるような事なんか言ったっけ?」
「うっせえ! ……とにかく、今度の日曜、行くぞ」
「……行くって……どこへ?」
「この前、一美言ってたろ。あのバンドのコンサート……ほれ」
「え? ええ!? 嘘、これ、チケット!?」
「責任持って付き合ってもらうぞ」
「……ど、どうやって取ったの? っていうか凄い、隆彦!」
「苦労したんだからな……ホントに」
「……けど、そんな苦労したチケット……私なんかと一緒に行くより……
 ほら、隆彦ももう年頃なんだし、彼女とかいるんでしょ? 一緒に行ったら?」
「……いねえよ、彼女なんて」
「……あ、そうなんだー。ご、ごめんね?」
「余計傷つくわっ!? ……だいたい、これは一美の為にとってきたんだから、
 例え彼女がいても……これには、お前と一緒に行くよ」
「……」
「……なんだよ」
「えへへー……何か、今、凄い嬉しいかも」
「……にやけんなよ。気持ち悪いぞ」
「にへへー」
「と・に・か・く! ……今度の日曜、ちゃんと空けとけよ、一美!」
「了解っ! ばっちり予定空けて、寂しい隆彦君に付き合ってあげますよー」
「そんな事言われたら余計寂しくなるわっ!」



                                     オチは無い。

304:名無しさん@ピンキー
08/05/17 23:57:18 jg9YVyBP
従姉がオチたわけだ

305:名無しさん@ピンキー
08/05/17 23:58:50 mcH/w/OJ
誰がうま(ry

306:名無しさん@ピンキー
08/05/18 02:42:14 jwt8lPFd
「誰がうまい棒買えと」ですね、わかります

307:名無しさん@ピンキー
08/05/18 03:29:12 ydEkWO2G
つまり隆彦の棒のことですね、わかります

308:名無しさん@ピンキー
08/05/18 11:44:20 kFWR8kjt
いや、新境地「うまい棒プレイ」ですね、わかります

309:名無しさん@ピンキー
08/05/18 17:41:16 NXZ5avwG
ふやけちゃう~


310:名無しさん@ピンキー
08/05/18 19:40:50 cm9InpvI
緊張で起たなくてふにゃふにゃですね
わかります

311:名無しさん@ピンキー
08/05/20 05:09:25 HfR86ufo
結局うまい棒使いたくないんですね、わかります

312:名無しさん@ピンキー
08/05/20 19:23:22 hk4PQ6n2
でも、結局は食べられちゃうんですね、わかります

313:名無しさん@ピンキー
08/05/20 20:35:59 uLH6vftc
ふやけさせてる途中でそのまま食べるんですね、わかります


でも、明太子味とかヒリヒリしそうだな

314:名無しさん@ピンキー
08/05/21 15:06:41 aJaZ2Elv
だがそれがい(ry

315:名無しさん@ピンキー
08/05/21 23:36:27 Eoo+kh2q
お前らのこういう所が好きだ。

316:名無しさん@ピンキー
08/05/22 00:12:48 vrdmNk3T
なんでもわかる賢者の集うスレなんですね。わかります

317:名無しさん@ピンキー
08/05/22 04:09:47 0IHCDDCK
一巻目では微妙にサブヒロインっぽいだけの立場だった幼馴染が最終刊ではメインヒロインになっていたというライトノベルをこの前読んだ
かなり予想外だった

318:名無しさん@ピンキー
08/05/22 07:54:14 ihzck3/v
>>317
暗闇にヤギを探してですね、わかります。
正直あれは先輩でもよかったと思う

319:名無しさん@ピンキー
08/05/23 13:05:42 0JzEJHNd
下がりすぎ

320:名無しさん@ピンキー
08/05/24 03:09:12 T/Bt80lj
>>317
先輩は何故か百合EDだったもんな

321:名無しさん@ピンキー
08/05/24 17:32:54 R28cGKbZ
>>320
え、それマジ?
一巻以降買ってないから買おうと思ったけどやめた

322:名無しさん@ピンキー
08/05/25 03:51:05 EbppoTTN
>>321
自ら百合に走ったんじゃなくて主人公にフラれて後輩に告白されて「それも良いのかも」って感じで
主人公が自分の一番大事な人が幼馴染だと気付いたからなんだけどね
個人的には幼馴染キャラが一番好きだったからそれもありかと思ったモンだ、ビックリしたけど
ってスレ違いになりそう

323:名無しさん@ピンキー
08/05/26 23:23:14 CLgY97p9
過疎ってる…

324:名無しさん@ピンキー
08/05/26 23:35:48 VOIZXTB6
ツンデレ幼馴染という王道を覆すような幼馴染いないかなー。
もはや新ジャンルって感じの。

325:名無しさん@ピンキー
08/05/27 00:05:27 1IWK6gXC
あの書きかけの奴を完成させて、また戻ってくるぜー!

326:名無しさん@ピンキー
08/05/27 00:53:57 /0d+FgDF
一迅社文庫のある夏のお見合いとあるいは空を泳ぐアネモイと。
が実にいいツンデレ巫女幼馴染みだった。

327:名無しさん@ピンキー
08/05/27 03:41:29 RyyBJg7q
このスレの作品だと、素直デレが多くて女の子の押しが強い作品が多い気がする
あんまツンデレの印象がない

328:名無しさん@ピンキー
08/05/27 09:34:05 XI8cT1aS
ツンデレスレが止まっている状況からして、案外ネタが続かないのかもな…
素直デレにした方が書きやすいとか

329:名無しさん@ピンキー
08/05/27 09:36:44 oxRkJNiW
ツンデレスレはツンデレスレで勝手にやるだろ

330:名無しさん@ピンキー
08/05/27 19:39:21 S4r+pd5b
じゃあ素直クール幼馴染みで

331:名無しさん@ピンキー
08/05/27 20:32:38 4fVgTJUa
いやいや無口な幼馴染で

332:名無しさん@ピンキー
08/05/27 22:07:57 LuawJHxA
なるほど、12人の幼馴染だな

333:名無しさん@ピンキー
08/05/27 23:19:12 18gRCFrF
「じゅ・・・12人の幼馴染が、3分で・・・」
こうですか、わかりません><

334:名無しさん@ピンキー
08/05/28 12:03:09 bLBd2mtb
ツンデレ、素直クール、無口娘、ヒート、世話やき、僕っ娘、ロリ風、妹的、姉的、悪友的……

あと二名は任せた。

335:名無しさん@ピンキー
08/05/28 12:46:06 XiFAahKx
電波、根暗

336:名無しさん@ピンキー
08/05/28 17:03:57 4f8sAqRW
その12人が3分で殺されるのか

337:名無しさん@ピンキー
08/05/28 17:35:00 5KFVKVSF
性的な意味でな

338:名無しさん@ピンキー
08/05/28 23:56:09 t+77rgrR
12人の幼馴染が3分で(性的に主人公を)イカすわけですよ

339:名無しさん@ピンキー
08/05/29 08:01:18 KbDZ0gKA
12人の幼馴染が3分で24人に増殖するんですよ

340:名無しさん@ピンキー
08/05/30 16:41:09 wRnyNfjP
>>338
12人がかりでも3分持つ兄の賢者っぷりにワラタ

341:名無しさん@ピンキー
08/05/30 18:01:52 fsGX5fwE
>>324
きっと良質の幼馴染み分って、即席に「ツンデレ」とかのテンプレをポンと貼り付けただけじゃ出来上がらないんじゃないかな
だからこそこのスレは幼馴染み分に恵まれてるんだと思います
いつもありがとう、書き手さん

342:名無しさん@ピンキー
08/05/31 02:23:37 RNPfG5PG
お前ら幼馴染好きでもそれぞれ好きなタイプが違うんだな
自分はちょっと気が弱いが優しい系の幼馴染が好きだな

例を挙げるとこのみとかラムネの七海とかこんにゃくの海己とか

しかしこのタイプは昔から主人公に気持ち伝えられなくて封印してるんだけど
何かのきっかけで他のメインヒロインと主人公が接近してしまいっていうケースが多いんだまたこれが

343:名無しさん@ピンキー
08/05/31 03:11:19 zsf4q2et
好みとしている幼なじみのタイプは、既にこのスレで全身全霊の力を持って書かせていただいた
素晴らしき自己満足

344:名無しさん@ピンキー
08/05/31 08:43:06 kcTZCaT+
>>343
全身全霊って一回きりじゃないと思うんだ

345:名無しさん@ピンキー
08/05/31 23:17:52 aqBqAhsP
>>343
タイプは同じでも過程が違えば複数書けるんじゃないか?

346:名無しさん@ピンキー
08/05/31 23:41:39 BcJCHdrY
つまり、みんな>>343の新作を期待しているわけだな

347:名無しさん@ピンキー
08/06/01 12:00:43 mhzBFgvg
説明ありがとうっ・・・・!

348:名無しさん@ピンキー
08/06/04 04:12:45 GX33H/Vi
世の中にはこんな奴らがホントに存在するんだな…


22 名前:名無しさん@HOME 投稿日:2006/11/20(月) 20:14:06
ウチは幼馴染み婚。
幼稚園から高校までずっと仲良しご近所さんで大学進学と同時に
お互い上京(京都と東京w)してそこで就職したから全く会わず。

26歳の時帰省してたら地元スーパーで偶然再会し、あっという間に
結婚まで進んでしまった…。
高校までは全く恋愛感情ない友達だったんだけど不思議…。
姑さんと言っても常に夕飯ご馳走になってたオバチャンだし
(しかも旦那の姉のお下がりを私は子供の時よく着てた)
旦那は小学校の時お漏らししたパンツを私の実母に
洗ってもらってる過去があるくらいなので
何も隠すような事がない…

それが楽な事も多いけどたまにめんどくさいよ

349:名無しさん@ピンキー
08/06/04 14:28:25 g/Ml3BKT
>>348
馬鹿だなぁ、そんなの本当にいる訳無いじゃないか。
それ、俺が書いたSSだぜ?






なんつて。
うらやましくなんかないやい!

350:名無しさん@ピンキー
08/06/04 17:29:26 qxtm8QOk
>>348
嫁と姑の中を心配しなくて良いってのは大きな利点だと思うんだ

351:名無しさん@ピンキー
08/06/04 22:19:11 CXz/+XX8
世の中には、サッカー選手のオーウェンとか、日本の某プロ野球選手とか、
そういう実例はあるしね。

352:名無しさん@ピンキー
08/06/04 23:02:01 Lt17p99k
>>351

>某プロ野球選手
それは日本シリーズで8回ノーノーの快投やった投手のことですか?

353:名無しさん@ピンキー
08/06/04 23:56:24 3L3Nc4o7
確かに以前このスレに貼られたのは山井のことだったが、
野球選手の場合他にも幼なじみと結婚した人はいる

354:348
08/06/05 01:43:38 y8mXS31x
同スレから抜粋

33 名前:名無しさん@HOME 投稿日:2007/02/22(木) 13:34:12
本人同士は「なんで別々に住んでいるんだろう?」と思うほど
物心つく前から互いの家を行き来していた2人が、成人と同時に
生まれ落ちた時点で両家の間で婚約成立していたと知らされる。
齢3歳で結納も済ませており、本人達も覚えていたが
「節句祝いだと思ってた」とのこと。
嫌いあってもいなかったので、そういうことなら…とそのまま結婚。
しかし感覚的には中々複雑だったらしく(※冒頭)
「初夜の感想は?」
『う~~ん、……近親○姦?』

幼馴染で結婚ではなく、結婚を前提とした幼馴染という話。



44 名前:名無しさん@HOME 投稿日:2007/05/06(日) 23:44:18
あー私、向かいの家に住んでた人と結婚したわ…
向こうが年上だったからお兄ちゃんお兄ちゃんと慕っていつも遊んでもらってた。
今思えばちょっとエロゲなシチュかも。
大人になって適齢期になった時にお互いの親の間で話がついててなんとなく…。
恋愛もそれなりにしたけど結構それで苦労してて(ダメ男好きでした)、
結婚は身元がはっきり分かってる人が良いなと思ってた時だったから。
さすがに初エチ時は少し照れました




べ、別に羨ましくなんかないんだからねっ

355:名無しさん@ピンキー
08/06/05 02:46:08 dhqVZlDt
事実は小説よりも妬ましい

356:名無しさん@ピンキー
08/06/05 03:56:57 Ld+6Usse
ダメ男好きってあたりがw

357:名無しさん@ピンキー
08/06/05 04:24:16 qR2C9dZY
>>355
なんという名言w

358:名無しさん@ピンキー
08/06/05 21:06:49 UYWeGzj/
兄夫婦は結婚式のとき、「交際期間イコール新婦の年齢」と紹介されていたな

359:名無しさん@ピンキー
08/06/07 15:01:30 efBLp0uJ
妬まし過ぎてなんか死にたくなって来た…

360:名無しさん@ピンキー
08/06/07 21:09:14 1VgnSSgG
俺の幼馴染は男三人だよ
今でも皆仲良くつき合ってる

361:名無しさん@ピンキー
08/06/08 12:43:29 jY8Qjdda
>>360のメンバー構成

>>360:ショタ
幼馴染A:筋肉バカ
幼馴染B:スポーツバカ
幼馴染C:このメンバーのリーダー的存在で比較的なんでもできる、実は>>360が好き

362:名無しさん@ピンキー
08/06/08 12:48:38 LDFujKGE
    /\___/ヽ   ヽ
   /    ::::::::::::::::\ つ
  . |  ,,-‐‐   ‐‐-、 .:::| わ
  |  、_(o)_,:  _(o)_, :::|ぁぁ
.   |    ::<      .::|あぁ
   \  /( [三] )ヽ ::/ああ
   /`ー‐--‐‐―´\ぁあ

363:名無しさん@ピンキー
08/06/08 14:01:21 iVdHXzMN
>>361
なるほど。実は>>360が俺っ娘と

364:名無しさん@ピンキー
08/06/09 00:31:44 PykHPNH+
>>361
>>360は、実は女の子の幼馴染(幼馴染Cの妹)もいてその子とつきあっているんですね?
わかります。

365:名無しさん@ピンキー
08/06/09 21:09:20 yPaNrbca
んじゃあ、俺もリアルな話をするか
つい最近見合いをしたんだが、その相手がオレのおかんの友達の娘
向こうのほうが年上なんだが、どうやら俺は小さい頃、家によく遊びに行ってたらしい

オレは記憶がないが向こうは覚えているというこのシチュはどうよ?
というか、これは幼馴染の部類に入るのか?

366:名無しさん@ピンキー
08/06/09 21:55:51 1qb6o4C+
>>365
王道パターンの一つじゃね?
幼い頃の顔馴染み、と考えれば個人的には幼馴染だ。

367:名無しさん@ピンキー
08/06/09 22:35:16 WGpOCHgT
姉妹にはそれぞれ(異性の幼馴染み)いるのに
俺にはいない…
なぜだぁー!!!

368:名無しさん@ピンキー
08/06/09 22:37:58 T/mdEeZo
>>365
個人的には幼馴染に入るな

取りあえず妬ましいから歯食いしばれ

369:名無しさん@ピンキー
08/06/10 11:09:22 EZNoD1bj
自分は密かに近所の男女を観察している
娘の同級生なんだがその子たちは同じマンションに住んでいて
親同士仲がよく幼児期からいつも一緒で
幼稚園小学校の登下校も一緒だし帰宅後も一緒に遊んでたりする
似たような環境の子どもはけっこういるけど
男女で仲がいいのはその子たちくらい
まわりは男子~女子~って距離をおいてる感じ
中学生高校生くらいまで見守りたい


370:名無しさん@ピンキー
08/06/10 23:37:45 dqwoh0Ur
>>369
男女の溝って、結構ちっちゃい頃からあるよな。
俺も幼なじみ♀が一人いるけど、中学にあがるまでほとんど口聴いたおぼえが無い。
拾った捨て猫を一匹引き取ってからはちょっと親しくなったけど、恋愛とか正直無いわ。
お互い成人した今でも、せいぜいお菓子作ったときにお裾分けに行く程度の間柄。

371:名無しさん@ピンキー
08/06/10 23:54:28 9l8KhkVa
幼馴染みの定義をどんなに広げても異性の幼馴染みがいない俺涙目www

372:名無しさん@ピンキー
08/06/11 00:00:28 O2fbrFa1
>>371
一人ぐらい使えそうなのはいないのか

373:名無しさん@ピンキー
08/06/11 00:19:52 xFd3/CU+
>>372
ナニに使うんだよw?

374:名無しさん@ピンキー
08/06/11 00:24:15 4LjiPNY/
>>373
SSのネタじゃね?

375:名無しさん@ピンキー
08/06/11 00:42:50 yARAjZIb
2年前に引っ越してきたのは12戸の建て売り的な住宅地で去年うちに子供(男)が生まれた
同い年にあと男が二人
他の子供達は幼稚園以上

で、今年隣に女の子が生まれた
近所付き合いもしっかりやって末永く見守っていこうと思う

376:名無しさん@ピンキー
08/06/11 01:55:46 p1tS6YPI
>>375
隣のうちの父親と協力して、幼馴染みブリーダーになるんだ、パパ
そして将来は孫を2軒隣のうちの孫と……

377:名無しさん@ピンキー
08/06/11 14:25:41 J4p2fISB
>>376
そして12戸みんなが親戚になるわけですね、わかります。

378:名無しさん@ピンキー
08/06/12 17:20:42 rClXwXVL
なんかすげぇwww
正月の親族会とか半端なさそうwwww

379:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/06/12 18:29:15 AeWC7SBb
こんにちは。一ヶ月ぶりです
以下に投下します。前編です。後編はまた後日
エロありですが、今回はねっとりとは書いていません
やや逆レイプ入ってますので苦手な方はスルーして下さい

380:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/06/12 18:31:32 AeWC7SBb
『ある失恋話・前編』



 学校の北校舎裏で、三原正志(みはらまさし)はひとり深いため息をついた。
 時刻は五時過ぎ。元々日の当たらない場所がさらに陰の色を深めつつある。残暑の風は
半袖にも関わらず生暖かい。
 とりあえず帰ろう。正志は鞄を拾い上げると、とぼとぼと歩き出してその場を離れた。

      ◇   ◇   ◇

 生まれて初めて真剣に告白をした。
 幼稚園に通っていた頃くらいには、拙い想いを誰かに無邪気にぶつけていたかもしれない。
 しかし思春期を経て、正志にも明確な恋愛感情が芽生えた。
 初めての告白の相手は、一学年下の女の子だった。
 本が好きらしく、休み時間や放課後はよく図書館にいた。図書委員の正志はカウンター席から、
本を選ぶ彼女の姿をちょくちょく見掛けていた。
 毎日のように本を借りに来る彼女に、ある日正志は話し掛けてみた。彼女は少し驚いた
ようだったが、存外はっきりした声で返してくれた。
 少女の名前は田中亜季といった。
 二人はすぐに親しくなった。カウンター越しにする会話の中身は本に関することばかり
だったが、彼女は意外と話上手だった。
 梅雨が過ぎ、夏休み前には下の名前で呼び合う程の仲になった。その頃にはもう、正志は
亜季に完全に惚れてしまっていた。
 彼女は人からの頼み事を断らない人間だった。
 誰かの世話を焼くことが、誰かのためになることが、とても嬉しそうだった。年下なのに、
まるで『お姉さん』のようだった。
 正志にはそれが魅力的に映った。一見おとなしそうに見える彼女の内側を知って、正志は
もっと亜季に近付きたいと思った。
 そして正志は、夏休み明けに思い切って告白したのだ。
 その結果は─

381:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/06/12 18:36:32 AeWC7SBb
      ◇   ◇   ◇

「だめ、だったんだ」
 正志の部屋で、ポニーテールの女性が小さく呟いた。
 正志はベッドに座り込んだまま顔を伏せる。
 ノースリーブにジーンズとラフな服装をした女性は、困ったように頬をかいた。
 彼女、天川沙織(あまかわさおり)は近所に住む、正志より三つ上の女子大生だ。明るい
性格は親しみやすく、正志は小さい頃から付き合いがあった。正志にとっては姉のような
存在で、今は家庭教師も頼んでいる。
 そんな彼女に、正志はここしばらく恋愛相談をしてもらっていた。
 告白をしたのは、沙織の後押しがあったからだ。
 気持ちを伝えてよかったかどうかはわからない。ただ、後悔はともかく、気落ちしてしまうのは
仕方のないことだった。
 沙織はそんな正志に優しく声をかける。
「大丈夫だよ。すぐにまたいい子に出会えるって」
「……どうだろう」
 うつ向いたまま、正志は短く返す。
 沙織に文句を言うつもりはない。相談に乗ってもらえたことはありがたかったし、勇気を
出せたのは沙織のおかげだ。だが、今はそんな彼女にさえ、恨み言や愚痴をぶつけてしまいそうで、
できればそっとしておいてほしかった。
 しかし沙織は、そんな正志の思いなど介さないのか、止まらず話しかけてくる。
「ほら、私は正志くんの先生なんだから、勉強を教えなきゃいけないの。辛い思い出は忘れて、
勉学に励もう?」
「……」
「じゃ、じゃあ、気分転換に散歩でもして」
「沙織さん」
 正志は一声で沙織の提案を抑えた。
 うう、と唸って黙り込むのを見て、少しだけ罪悪感が湧いたが、正志は無視した。どうせ
今日はまともに会話できる気分ではない。
(ごめん、沙織さん。明日からはちゃんとする。だから今日だけは、)
 ちら、と顔を上げて様子を窺うと、沙織は落ち込んでいるのか、正志と同じようにうつ向いていた。
 罪悪感が増して、
「決めた」
「─え?」
 不意に、強い調子で言われた。
 何を、と問う前に沙織は立ち上がり、
「今日は泊まっていくから」
 と言った。
「…………え、なんで!?」
 正志にはわけがわからない。いきなり何を、
「だって今日はおじさんもおばさんも帰ってこないんでしょ?」
「そうだけど」
「なら誰か他にいた方がいいよ。一人は寂しいもの」
「……」
 むしろ一人になりたいのだが、沙織はもうその気のようである。正志ににっこり微笑むと、
「ご飯何がいい?」と訊いてきた。
「いや、別にいいよ」
「よくない! 落ち込んでるときこそ、おいしいもの食べて元気つけなきゃ」
「……確かに沙織さんの料理はおいしいけど」
「じゃあ決まり! 和風パスタとかどうかな? あ、唐揚げも好きだったよね」
「……」
 迂濶な発言だったかもしれない。実際沙織の料理はおいしいのだが、今のタイミングは
正志にとってよろしくない。
「じゃあ準備するから。正志くんはお風呂にでも入ってきて」
 うきうきと指示する沙織に、正志はうまく言い返せない。さっきの罪悪感もある。
「……うん」
 仕方なく、正志は頷いた。

382:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/06/12 18:39:16 AeWC7SBb
      ◇   ◇   ◇

 風呂から上がると、既に料理がテーブルに並んでいた。
 和風パスタ、大根とごぼうのサラダ、鶏肉の竜田揚げ、けんちん汁にひじきの和え物と和風
仕立てのメニューだ。パスタの上のきざみ海苔が綺麗に映える。
「和風寄りにしたくて竜田揚げにしてみましたー」と、沙織ははにかむ。
 どの料理もおいしかった。沙織は洋食の方が得意だと思っていたが、和もいけるようだ。
若干ヘルシー色が見えるのは女性特有のものだろうか。
 しかし、当の沙織は食事そっちのけでビールを飲んでいる。
「あれ? 沙織さん、お酒呑めたっけ」
「今日が初めて」
「は?」
 なんでこのタイミングで。
「なんで?」
「二十歳になったから」
「……へ?」
 沙織はテーブルの対面から正志を見るや、むっと眉を寄せた。
「正志くんは幼馴染みのお姉ちゃんの誕生日も憶えてないの? 私の誕生日はいつ?」
「…………あ」
 ここ最近ずっと亜季に告白することばかり考えていたせいか、すっかり忘れていた。
 今日は沙織の誕生日だ。
「薄情な弟だねー正志くんは。そんなにお姉ちゃんは空気?」
「ご、ごめんなさい!」
「そう思うならきちんと祝いの品を献上なさい」
 途端に慌てる。当然ながら正志はプレゼントすら用意していない。
 沙織の視線がちくちく痛い。
「あ、あの、ぼくその、うっかりしてて」
「……許します!」
「……え?」
 正志が呆けたように固まると、沙織はおかしげにくすくす笑った。
「冗談だよー。ちょっとからかっただけ。正志くんすぐ本気にするんだから」
「……」
「正志くんがいろいろ頑張ったのは知ってるし、大変だったのもわかってるもの。失恋って、
辛いよね。だから許します。特別に」
 沙織は小さくウインクしてみせた。
「……本当にごめん」
「だから本気にしないの。……意外とおいしいのね、ビールって」
 沙織は料理そっちのけで、三本目の缶ビールを開ける。
「あんまり呑み過ぎないようにね」
「大丈夫大丈夫。私のお父さんもお母さんもお酒強いもの。これくらいたいしたことないよ」
 沙織はにっこり笑ってアルミ缶を傾けた。
 正志は自省する。確かに失恋は辛いことだが、それはきちんと自分なりに向き合った結果だ。
いつまでも引きずるのはそうやって向き合った自分の行為さえ駄目にする。
 まして、沙織にまで心配かけるなんて。
 簡単に吹っ切るのは無理でも、他人に心配されない程度には気を張り直さないと。

383:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/06/12 18:42:59 AeWC7SBb
「沙織さん」
「ん?」
 沙織はいつもの優しい笑顔を向けてくる。
 正志はそれがなんだか嬉しい。
「今度の日曜、時間ある?」
「特に予定はないけど、どうして?」
「今日の埋め合わせ。誕生日プレゼント、沙織さんに直接選んでもらおうかな、って」
「え?」
 沙織は意表を突かれたのか、目を丸くした。
「ダメかな」
「さ、さっきのは本当に冗談だからね? 別に気にしなくても、」
「ぼくがそうしたいんだ。沙織さんが嫌なら仕方ないけど」
「……いいの?」
「うん」
 はっきり頷くと、沙織はなぜかうつ向いた。
 しばらくして再び顔を上げる。
「じゃあ、お姉ちゃんといっしょにデートしよっか」
「デート?」
「いっしょに遊ぼうってこと。映画観たり遊園地行ったり、一日私に付き合って」
「そんなのでいいの?」
「ん? 何十万もする服とか、何百万もする宝石とか正志くんに買えるの?」
「……デートでお願いします」
「うん。決まり!」
 沙織は楽しそうに笑う。
「日曜日はたっくさん楽しむからね。正志くんの慰安も兼ねてるんだから」
「慰安?」
「失恋で傷付いた心を私が癒してあげるってこと」
「べ、別にいいよぼくは」
「遠慮しないの。ナイーブな少年に失恋はダメージでかいからねー。特に正志くんは初失恋
なんだから」
「失恋失恋って何度も言わないでよ」
「あははは! まあこれでも呑んで忘れなさいっ」
「未成年にビール勧めるなー!」
 正志は三つ上の幼馴染みにペースを握られっぱなしだ。
 こうやって馬鹿話に置き換えることで、沙織はきっと正志の心を和らげようとしているのだろう。
正志はその気遣いが嬉しかった。
 少しアルコールが回ってきたのか、沙織の顔はほんのり赤い。
 お酒もあるいはそのための小道具なのかもしれない。
 かなわないな、と正志は内心で苦笑いした。
「ほら、箸が止まってるよ。それともお腹いっぱい?」
「ううん、食べるよ」
「お姉ちゃんが食べさせてあげよっか」
「遠慮しとく」
「こらー、そんなことじゃ将来恋人ができたときに慌てふためいて後悔するぞー」
「意味がわかんないよ」
 恋人か、と正志は内心でため息をつく。
 ふと思った。沙織も自分のように失恋をしたことがあるのだろうか。
(あるんだろうな……)
 対面でビールをぐいぐい呑んでいる彼女からは、そんな様子は伝わってこないが、さっき
沙織ははっきりと言っていた。
『失恋って、辛いよね』
 きっと世の中では茶飯事なのだ。正志が味わった思いも、沙織が受けただろう辛さも、
すべて些細なことにすぎない。
 それが、少しだけ寂しかった。

384:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/06/12 18:45:53 AeWC7SBb
      ◇   ◇   ◇

 小道具が効きすぎた。
 沙織は十本目のビールを空にすると、テーブルに突っ伏してすやすやと眠ってしまった。
 幸い料理の載った皿は既に片付けていたので、和風パスタやけんちん汁に顔面ダイブを
決めることはなかったが、このまま放っておくわけにもいかない。正志は空き缶を片付けると、
奥の和室に布団を敷いて沙織の寝床を準備した。それからダイニングに戻って、沙織を揺り
起こした。
「沙織さん起きて。こんなところで眠ったら風邪ひくよ」
「ん……キリンさん、どこ……?」
「まだ呑み足りないの? ほら、寝惚けてないで」
「キリンさん、お空飛びたいの? 首を回すの首を……ヘリコプターみたいにお空を飛ぶのー」
「いや、それ首の骨折れるから。じゃなくて沙織さん、早く起きて」
「んー……?」
 沙織が寝惚け眼を向けてくる。
「あー、正志くんだ」
「起きた? ほら、布団用意したからそっちに移ろう」
 正志が助け起こすと、沙織は嬉しそうに体をくっつけてきた。
 肩を貸して歩かせる。沙織は素直に歩いたが、どこか必要以上にもたれかかってきたため、
正志はバランスを取るのに苦労した。ビールの臭いと体の柔らかさに少し困った。
 なんとか和室まで連れてくると、正志は沙織を布団の上に横たえた。
 沙織はにこにこ笑って正志を見ている。
「正志くん」
「うん?」
「だっこー」
 そう言うと、沙織は体を起こして正志に抱きついてきた。
「うわあ!」
 正志は驚きの声を上げた。
「えへへー」
「さ、沙織さん」
 ノースリーブの薄い布地を隔てて、沙織の胸が当たる。
「正志くん大好きー」
「……」
 どう反応したらいいのやら。正志は困り果てた。

385:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/06/12 18:51:16 AeWC7SBb
 と思えば、今度はどこか憂いを帯びた表情で見つめてきた。
「正志くん……」
「な、何?」
 正志は少したじろぐ。
「慰めてあげる」
「え?」
 次の瞬間、正志は沙織に無理やり押し倒された。
 そして有無を言わさぬ速さで唇を奪われた。
「─」
 正志は突然の事態に目を白黒させた。
「ん……んむ……」
 沙織は喋らせないかのように唇を押し付け、さらに己の舌で正志の口内をなぶった。
 酒の臭いにどこか甘い香水の匂いが入り混じる。不思議と正志は不快に思わなかった。
 沙織はゆっくり口を離すと、小さく微笑した。
「沙織さん、どうして」
 年上の彼女は答えない。代わりにノースリーブの服を脱ぎ、ジーンズを躊躇いもなく下ろす。
 下着姿になった沙織は、さらに上のブラジャーも外した。
 形の整った真っ白な乳房が目の前に現れ、正志は思わず顔を逸らした。
「沙織さん、いくらなんでも酔いすぎだよ……」
「あは、そうかな」
「そうだよ、こんなの……沙織さんらしくない」
「私は正志くんを慰めたいだけ」
 頭がくるくると狂いそうになる。
「そんなことしなくていいから」
「……じゃあ、私を慰めて」
「……え?」
 言葉の意味がわからず、正志は沙織を見返す。
 沙織はそんな正志の右手を取ると、自分の胸に押し付けた。
「さ、沙織さん」
 初めて触った異性の胸はありえないほど柔らかく、正志は息を呑んだ。
「自慢のバスト88ぃー」
「沙織さん!」
 耐えられなくなって、正志はついに叫んだ。
 沙織はその声に驚いたようだったが、ぶんぶんと首を振った。
「失恋って、辛いんだよ……。男だけじゃ、正志くんだけじゃないんだから」
「……」
「私だって辛いの。悲しいの。耐えられないの。だから、お願い……正志くんだけなの……」
「……沙織さんも、失恋したの?」
 沙織は小さく頷く。
 正志は閉口した。
「正志くんは何もしなくていいから……私が勝手に正志くんを襲うだけ。悪いのは私」
 酔っているのか、いないのか、沙織はタガが外れているようだった。
 その分、より正直な気持ちを吐露しているように、正志には思えた。
 そんな彼女を拒絶することなど、彼には─

386:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/06/12 18:53:48 AeWC7SBb
 沙織は正志の股間を愛しげに撫で回す。
 すぐに反応してしまう男の性に正志は情けなく思ったが、沙織は嬉しそうだった。
 ズボンを下ろされる。慣れない手つきを見ると、沙織も経験は少ないのかもしれない。
対する正志は経験0だが。
 トランクスごと強引に下ろされた。少年のものが露になると、沙織はにっこり笑う。
「凄い……正志くんも成長してたんだね」
 沙織は手を伸ばし、肉棒を優しく握り込んだ。その刺激に正志は微かに呼気を洩らす。
「あの……ぼく、初めてで、その……」
「大丈夫……お姉ちゃんに任せて」
 沙織は性器をまじまじと見つめる。
 やがて、その先端をおもむろにくわえた。
 強烈な刺激だった。正志は腹に力を込めて、未知の快楽に耐える。
 沙織の美しい口元から延びる赤い舌が、男根をぬるりと這った。当人以外にはグロテスクに
映るだろう肉の竿を、嫌悪することもなく沙織は舐め尽くす。
 感覚的にも視覚的にも正志には刺激が強かった。こんなことをずっと続けられたら、あっと
いう間に達してしまう。
 しかし沙織は、その様子を感じ取ったのか、突然舌での愛撫をやめた。
「沙織さん……」
「じっとしてて。私がしてあげるから」
 沙織は残った下着を脱ぎ捨てると、正志のシャツを捲り、腹の上にまたがった。お尻の
感触が柔らかい。
 沙織は微笑とともに腰をずらし、秘部を肉棒に当てがう。
 そして、そのまま腰を下ろして、正志のものをずぶずぶと呑み込んだ。
「あああああぁぁぁ──っ!!」
 一際高い叫声が上がり、正志は一瞬怯んだ。
 沙織は荒い息を吐き、目に涙を浮かべていた。
 正志は唖然とした。今の反応。気持ちよくは見えなかった。むしろ苦痛にしか、
「沙織さん、まさか……」
「ご、ごめんね。さすがにちょっと痛いよ」
 沙織は涙を拭って無理やり笑ってみせた。
 経験が少ないどころじゃない。沙織は経験がなかったのだ。
 正志は知らないまま、彼女の処女を奪ったことになる。
「沙織さん、どうしてこんな」
 沙織は笑顔を浮かべたまま答えた。
「だって、正志くんを慰めたかったから」
「そんな……」


「それに─初めては、好きな人にあげたかったから」


 正志はその言葉に固まった。
 好きな人。
 それは─そんなことって。
 沙織は少しずつ腰を動かしていく。
 痛みに耐えながら、それでも懸命に刺激を送ろうとしてくる。
 正志は何も考えられない。頭が混乱している。
 正志の目の前では、年上の幼馴染みが必死に体を動かしている。
「あっ……あんっ! あっ、んん、まさ……し、くん、あっ」
 形のいい胸が喘ぎに合わせるように揺れている。
 刺激が興奮を生み、正志の脳内は快感で弾けそうになる。
 しかし心は、それとは逆に倒錯しそうだった。
 それでも限界はやってくる。前戯の寸止めがそれを早めてもいた。
「正志くん……私で、イッて。私を感じて。私を─」
「くう─」
 正志は溺れそうな快楽から理性の一部を取り戻すと、沙織の体を両手で持ち上げて、中から
己を強引に引き抜いた。
 その瞬間射精が訪れ、正志は自分の腹の上に精液を巻き散らした。
「あは、すごいね……」
 沙織は感嘆の声を洩らすと、正志の上に折り重なるように倒れ込んだ。

387:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/06/12 18:57:58 AeWC7SBb
      ◇   ◇   ◇

 正志はぼう、と天井を眺めていた。
 部屋はひたすらに無音で、ただ自身の息遣いだけが耳を打っていた。
 沙織もまた動かない。
 突っ伏したまま、微動だにしなかった。胸と胸とが重力に引かれて強く密着し、心臓の
鼓動と肺の収縮を伝え合うだけだった。
 しばらくして、耳元に小さな寝息が聞こえてきた。
 恐る恐る顔を覗くと、沙織は静かに眠っていた。さっきまでとは違う穏やかな寝顔だった。
 普段の沙織が帰ってきたように思い、ちょっとだけ安心した。
「……」
 正志は沙織が完全に眠ったのを確認すると、行為の後始末を始めた。
 力尽きるように眠ってしまった沙織の体を拭いてやり、布団をかけて姿勢よく寝かせる。
風邪をひくといけないので、不恰好ながら下着も着けてやった。
 それから正志はもう一度風呂に入った。
 腹にかかった自分の精液がべたついて、どうにも気持ち悪かったのだ。気持ちを落ち着かせる
ためにも、体を洗い流す必要があった。
 シャワーを浴び、アルコールと体液の臭いを石鹸で洗い流すと、少し冷めてしまった
ぬるま湯に身を沈める。
「……」
 さっきまでのことは悪い夢なのではないか。正志はしかし、射精後の倦怠感が確かにあるのを
自覚する。
 夢ではないのだ。
 それはつまり、沙織が洩らした言葉も現実ということで、
『初めては、好きな人にあげたかったから』
「─っ!」
 沸騰した頭を湯船に勢いよく叩きつける。ざばん、と水柱が立ち上がり、後頭部を濡らした。
 沙織の言葉が本当ならば、正志は想いを寄せていてくれた女の子に、脳天気にも恋愛相談を
持ちかけていたことになる。
 そんな愚かしいことをよくも自分はやれたものだ。知らなかったとはいえ、沙織は大いに
傷ついたはずだ。
 正志は無自覚に彼女を傷つけ、その上逆に気を遣わせてしまっていたのだ。
 どうして気付いてやれなかったのだろう。ずっと自分のことばかり考えて、周りが少しも
見えていなかった。
「馬鹿だぼくは……」
 後悔の念が胸を貫き、呼吸をするのがひどく苦しかった。
 浴室に響くのは小さな鳴咽の声。
 目から溢れる涙は一向に止まる気配を見せず、湯船に波紋を作り続けていた。

388:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/06/12 19:01:03 AeWC7SBb
以上で投下終了です。今回は
終わり方がちょっと湿気多いので(風呂場的な意味で)
できるだけ早く後編を上げたいと思います

389:名無しさん@ピンキー
08/06/12 20:26:50 NONV14CK
>>388
おつつ
続き待ってるよ~

390:名無しさん@ピンキー
08/06/12 22:44:33 jT6qZZsl
>>388
GJ!!
後編期待してまっせー。

391:343
08/06/15 02:18:09 Y6FpGTqH
皆に突っ込まれて二度目のSSを書きかけだったことを思い出したんだ…
至らない出来な上に、この話投下するの前々スレ以来なので色々とごめんなさい|ω・`)ノシ


392:Memories ~Second~
08/06/15 02:20:54 Y6FpGTqH
 おお…美味い。色々他の味が気になった時もあったけど、やはり最終的にはカップヌードルは
シーフードだな。牛乳入れる人もいると聞くが、やはりカップ麺である以上お湯を注ぐべき
だろう。一回試してはみたけど、俺はこっちの方が好きだな。
 やはりこの味と比較してしまうと、チリトマト味はそこに一時的な目新しさによる興味本位的な
要素が多分に含まれてしまっていることを認めざるを得ない。なんだかんだ言って、やっぱり
原点の味が一番だな。ちなみに俺にとって醤油味はパンチに欠けるので原点じゃない。
打ちやすいど真ん中のストレートより、手を出しにくい外角低めギリギリのゾーンの方がよっぽど
重要だと、とある名将も公言してるしな。

 余韻も含めて噛み締めるようにしっかりと味わっておかないとな。ラストスパートなんて
もっての他だ、あんなことすれば折角の味わいが消し飛んでしまう。最後までペースを乱さず
しっかりと食って……うし、ご馳走様。
 空になった容器を持って一階に降り、水洗いしてから燃えないゴミ専用のゴミ箱に放り込む。
割り箸は当然燃えるゴミの方に。分別するのは基本です。今ここに柚稀がいようものなら、
「でかい図体して細かいことをいちいち~」とかそんなこと言われんだろうなぁ、プラスチックの
容器やペットボトルでも平気で燃えるゴミに出しそうだ。

 今日は、あいつは来ない。
 当然っちゃ当然だ。今頃自分の部屋で、うんうん唸りながら寝込んでるわけだし。一階に
降り、冷凍庫の中から既に買っておいた見舞い品を取り出して家を出る。一応、お見舞いは
するって約束したからな。冗談交じりではあったが。
 すぐに曲がって隣の家のインターホンを押す。
『はい』
「こんにちはー」
 応対に出たのは弟の恭一だ。ここのところ顔を合わせてなかったから、こうして話すのは
随分久しぶりな気がする。
『あ、どうも。急にどうしたんですか?』
「いや、お姉さんの容態の確認に来ただけなんだけどね」
『そんなわざわざ……、大丈夫ですよ? 部屋に閉じこもってはいますけど、全然普通ですし』
「あいつが大人しく部屋に閉じこもってる時点で、十分異常事態だよ。入ってもいい?」
『分かりました、どうぞ』
 自分の部屋から一階に降りてからここまで僅か一分強。外に出ていた時間なんて二十秒にも
満たない。どんだけ近いんだまったく。
 家に上がり込んむと、彼は玄関で出迎えてくれた。かっちりとした印象を覚える四角い
メガネに、年不相応とも言える落ち着き払った理知的な雰囲気は相変わらず健在だった。
体型も標準的で背丈も結構高い為、俺とは違った意味で実年齢よりも上に見られるそうな。
「お久しぶりです」
「久しぶり。柚稀は寝てんの?」
「ええ、まあ。父さんにも叱られて、すっかりふてくされてます」
 二階に上がりながら柚稀の様子を確認する。まあ自業自得だし理由が理由だもんな。
おじさんに叱られても仕方ないよな。
「姉さん、兼久さんが来たから通すよ」
 扉に顔を近付けノックをしてから恭一が声をかけるものの、中からの応答はない。
「別にいいんじゃないか。柚稀だし」
 どうしましょうかと言った感じで視線を向けてくる彼に小声で返す。二人の仲は至って
良好なのだが、彼は人との距離感をとても大事にする。だからたとえ相手の性格思考を
掴んでも、それを無下に扱うことは決してない。
 余談ではあるが、そのせいで柚稀は我が家の間で「小宮山さん家の末っ子」という
愛称で親しまれている。さもありなん。
「やあ柚稀、ちゃんといい子にしてたかい」
「……」
 扉を開け幾分おどけながら話しかけてみるものの、機嫌があまりよろしくないのかだんまりを
決め込まれる。

393:Memories ~Second~
08/06/15 02:22:41 Y6FpGTqH
 床の上に直接敷かれた敷き布団の上に、緑のうろこ柄の布団を頭からつま先からすっぽり
被っていて、姿はまったく見えない。なんか亀みたいだな。
「なーにふてくされてんだ」
「……」
「姉さん、わざわざ兼久さんが来てくれたのにその態度はちょっと…」
「……」
 反応がない、ただのしかばねようだ。

 顔を見せたくない理由は分かるけどな。見せたくないっていうより、見せられないって
言った方がこの場合正しいか。まったく、高校生にもなって何やってんだか。
 あ、なんか布団が蠢きだした。どうやら体勢を入れ替え、頭が俺達側にくるようにしてる
みたいだな。時々指やかかとがはみ出たりしてんのがまた笑える。顔だけ布団の中から現すと、
そこには不機嫌そうな表情が浮かんでいる。
「……笑いに来たんだろ」
「見舞いに来てやった開口一番がそれか」
 つまり、逆の立場だとこいつは俺を笑いに来るってことだ。こういう何気ない一言で
人間性って出るよね。
「へそ曲げんなよー、ちゃんと見舞いの品も買ってきたんだぞ?」
 その一言に、柚稀の顔がぴくりと反応を示す。平静を装ってるものの、俺が持ってきた
箱を気にしだしてちらちらと視線を送ってくる。
「で?」
「ん?」
「中身は?」
 徹底無視の方針は既に撤回の方向らしい。意志弱いなほんと、それでこそ柚稀だが。

「ほれ」

 持っていた取っ手つきの箱を柚稀の眼前へ持っていく。すると最初は訝しがっていた
表情が、みるみるうちに驚きの色へと変わり瞳が爛々と輝きだす。
「これ!」
「少し並んだ。噂は聞いてたけど、ほんと人気だったよ」
 最近、駅前に新しいジェラートショップができたのだが、そこが今結構な人気を集めて
たりする。味は言うまでもなく抜群なのだが、庶民派志向とはいえない店なので一つあたりの
単価もそれなりだ。その店のアイスをこうして買ってきたわけだ。くくく…いくらアイス好き
とはいえ、月の小遣い三千円の身では流石に厳しかろうて。

「満足したか?」
「おう!」
「感謝するか?」
「おう!」
 なんか餌を目の前にした犬みたいだな。見えない尻尾が左右にパタパタ振れるような錯覚を
覚える。しかし、こういうのもなかなか悪くないな……。
「喜んでもらえたようで何より」
「どういたしまして!」
「じゃ、食べるか。いただきまーす」
「ええええなんでお前が食べようとしてんだよ!」
「俺が買ってきたもんをどうしようと俺の勝手だしー。そもそもお前にやるなんて一言も
言ってないしー」
「横暴だ!」
「褒め言葉をどうもありがとう」
 なんだ元気じゃないか。一晩でバニラアイス十個も食って腹壊したとか聞いてたが、
全然大丈夫っぽいな。
「姉さんお腹の調子は大丈夫…」
「ふざっけんなあたしへの見舞い品だろ! なんでくれないんだよ!」


394:Memories ~Second~
08/06/15 02:24:50 Y6FpGTqH
 恭一の心配をよそに、大声でがんがん喚いてくる。うーん、ここまで大仰に反応して
くれたら、わざわざ並んで買ってきた甲斐もあったってもんだ。
「だってこれ抹茶味だし」
「……っ!」
「ほらこの前、お前が腹壊したら、『目の前でアイス食ってやるからな』って言ってたろ? 
ちゃんと有言実行しとかないといけないと思ってな」
「……っ! ……っ!」
 俺の言葉にがああああん、と酷くショックを受けた様子で、柚稀は涙目になって再び
布団の中に隠れてしまう。こいつが好きなのはあくまで「バニラ」のアイスだからな。
それ以外の品種には興味が持ってない。当然、それを見越した上で購入したわけだが。
「兼久さん、流石にちょっと大人気ないんじゃ…」
「心配すんなって。他はちゃんと全部バニラだ」
 見かねた恭一が口を挟んできたが、こうなることは想定の範囲内である。全部で四つ購入
して、その内訳は抹茶が一つバニラが三つである。

「聞こえたぞ!」

 うおっ、びっくりした。突然布団をめくって膝立ち状態で姿を現した柚稀に、アイスの
箱を奪われる。三度布団を被ると、中で「うひょひょひょ冷てー!」とか言ったりしてんの、
もう見てらんない。
「もらったぞ兼久! 返さないからな!」
「あー、好きにしろ」
「おう! 好きにする!」
 好きな食い物目の前にしただけで随分テンション高くなったな。本当に腹壊してたのか?
「じゃあ、ちょっとばかし味見を…」
 ってオイ、本当に今食うのかよ。流石にそれはやめといたほうが……

「姉さん駄目だろう。お腹の調子は、まだ戻ってないんだろう?」
「うっさい、お前は黙ってろ」
 今にもアイスを頬張ろうとした柚稀を、恭一が止めに入る。
「冷凍庫に入れておけばいいじゃないか。何のために寝てるのか忘れてない?」
「あたしは今食べたいんだよ。いいからほっといてくれ」

 なんだか兄弟喧嘩に発展しそうな勢いだな。ちょっとずつだけど、口論が激しくなって
きてるぞ。
「柚稀、俺も恭一の言う通りだと思うぞ。また腹壊して、布団にくるまる時間が伸びたら
元も子もないぞ」
「お前までそんなこと言うのか」
 俺が恭一の側についたことで、柚稀はしょんぼりとうなだれてしまう。いやでも、そりゃ
そうだろ。お前今の今まで横になってた理由忘れてるだろ。
「やだー! 食べたい食べたい食ーべーたーいー!」
 駄々っ子かこいつは。普段は擦れてるくせに、バニラが絡むと途端に幼児になるな。
「ワガママ言うんじゃありません。そんなこと言ってると、アイス没収しますよ」
「ふざけんなー」
 母親口調で宥めてもちっとも効果がない。くそー、どうしてやろうか。

 と、そんなこと考えてたら部屋の隅っこの方にビニールの紐が転がっているのが目に入る。
ようし、これを使って……
「恭一、俺があいつの気を引くから、その隙にアイス奪い返してくれ」
「でもすぐに取り返してきますよ。体調も良くなってきてるみたいだし」
「それは俺が何とかするから。とりあえず、奪い取ったらそのまま冷凍庫に持ってってくれ。
 ドライアイス入れてるけど、あんな風に抱え込まれてたらすぐ溶けそうだ」
「分かりました」
 小声で恭一と示し合わせると、互いにそそくさと動き始める。とりあえず、警戒した目つきで
こっちの様子伺ってくる柚稀の気を引かないとな。


395:Memories ~Second~
08/06/15 02:26:08 Y6FpGTqH
「あ、窓の外にUFOが!」
「は? 何言ってんだお前」
 当然、こんな古典的な方法じゃごまかしきれるはずもない。だがそんなことは計算のうちよ!
「ほらあそこだって! 見えないのかお前」
「今時そんな手に引っかかるわけないだろ、アホか」
 完全に呆れた様子で柚稀は毒づいてくる。そうなると当然、恭一への注意は疎かになる
わけで…

「姉さんごめん!」
「あっ! てめっ!」
 その隙を突いて恭一は、柚稀からアイスの箱を奪い返す。よくやった! 
 そのまま彼は指示してた通りに部屋から飛び出し、足早に一階に降りていく。
「待てよ!」
「待つのはお前だ」
「うあっ!?」
 立ち上がろうとした柚稀の足を綺麗に払って再び布団の上に転がすと、巻き寿司の要領で
敷き布団ごと柚稀の身体を巻き込んでいく。こんなところで日々道場習っている柔道技が
役に立つとは、分からんもんだ。
「いきなり何すんだよぉ」
「だまらっしゃい」
 巻き終えると、馬乗りして逃げられないようにがっちりと固定して、更にビニールの紐で
何重にも縛っていく。多少大袈裟になってしまったような気もするが、この際気にしない
でおこう。
「なんだよこれー、身動きとれないぞ」
「お前が言うことを聞かんからだ」
 頭と足だけはみ出した巻き寿司状態になりながらも、反抗はやめないときた。というか、
端から見るとすげーおかしいな。気を緩ませると笑ってしまいそうだ。
「あいすー! あいすー!」
  やばい、世にもおかしい妙な地球生命体が誕生してしまった。これは面白すぎる。

「ほどけってー」
「お前が反省したらな」
「何を反省するんだよ、んなこと一つも無いぞ」
「アイス食い過ぎて腹壊して、治りきってもいないうちからまた食べようとするバカが
どこにいる」
「好きなんだからしょうがない」
「勝手に納得すんな」
 ったく、屁理屈ばっかりこねやがって。相手する俺の身にもなれってんだ。
「じゃあ渡すもんも渡したし、意外とお前元気そうだし、そろそろ帰るわ」
「ざっけんな。解かないと後でヒドいぞ」
「ならあのアイスを持って帰るまでだ」
「ぐっ…卑怯者ー」
「ま、お大事に」
「覚えてろよー!」
 あー、面白かった。部屋に入った時は大人しかったけど、元気が出て良かった良かった。
見舞いをした甲斐があったってもんだな。
 布団の中から這い出せる頃には腹の痛みも治ってるだろうし、持って帰らなくても問題
ないだろ。それでまたぶり返しても俺は知らん。自分の体の責任は自分でとってもらうしか
ないもんな。

 さあて、少ししたら道場に行く時間か。近々昇段審査が迫ってるから頑張らないとなぁ。
去年段を取って黒帯貰えたけど、今年は今年で二段になっておきたいところだ。頑張るか――


396:名無しさん@ピンキー
08/06/15 02:27:21 Y6FpGTqH
とりあえず今回はこんだけで
これからはまたぽつぽつ書いていこうと思ってるんで勘弁してください(´・ω・`)


397:ジエン隊 ◆xn7VzWEhyM
08/06/15 03:54:05 qRQT4uSH
(・∀・)<結局、アジアのトップ5(日韓サウジイランオージー)は全チーム最終予選に出てきそうだな。イラン勝ちそうだし

398:名無しさん@ピンキー
08/06/16 14:33:12 0zcugMiD
>>396
GJ!

399:名無しさん@ピンキー
08/06/19 02:29:35 7rIcjJuJ
>>396 アイスで腹痛の自分にはとてもタイムリーな話でGJ

    腹痛い・・・ 

400:名無しさん@ピンキー
08/06/20 03:09:47 8l5kL+l/
幼馴染カーチャンを読んで、近年稀にみる絶望感を味わったオレが来ましたよ。
ここの甘い話しを読まないと、オレはダメになるかもしれん。

401:名無しさん@ピンキー
08/06/22 11:27:26 qURG1FAe
401

402:名無しさん@ピンキー
08/06/22 17:44:15 9QzIcGFE
どんなひどい腹痛も一回下痢出せば治る俺は勝ち組

403:名無しさん@ピンキー
08/06/23 21:11:59 iCSJEDLF
>>402
即回復することによって、幼馴染みから看護して貰えないお前は負け組

404:名無しさん@ピンキー
08/06/23 22:32:09 aKnf529L
腹痛がすぐに治らないうえに、看病してくれる幼馴染みがいない俺は・・・orz

405:241
08/06/25 01:21:02 LJqFvwnO
>>241で干し柿の話を書いた者です。
登場人物は彼らってことでお願いします。

『お見舞いの言葉』

「なんだ、お前か」
 もっと可愛い娘が見舞いに来てくれたらいいのに。
とベッドの上から生意気な言葉を投げてきたのは隣の男子中学生。
昔から隣同士で同年齢ということもあり、よく一緒に遊んで(いじめられて?)いた。
ところが、こいつときたら中学生になってからは
会話はおろか挨拶すらまともにしなくなった。
まー、半月ばかりお姉さんの私からすれば、
異性と中学生にもなって仲良くしてたら恥ずかしいっていう男の子の気持ちもわからなくはない。
でも、同じ陸上部なのだし、腐れ縁と言ってもいいくらいの仲なのだから、
もうちょっと、おしゃべりするぐらい良いじゃない。と思う。
今だって、私が一方的に話して向こうは、
「ああ」とか「へえ」とか聞いてるのかどうか疑わしい返事しかしないし。
ちなみに話題は今私のお気に入りのドラマの話。
主演の俳優さんがかっこよくてついつい見てしまう。
だけど、この馬鹿にはいかに彼が魅力的なのかを語っても理解できないらしい。
ずっと難しい顔をしている。困ったもんだ。

「ああ、そうそう。先生が、来週の日曜は記録会だから調子を整えておくように。って」
 先生からの言伝を思い出した。記録会と聞くと目の色を変えるのがいつものこいつだ。が、
「ふーん」
 せっかく人が伝えてやったのに、ぶすっとした表情で返事をしてから、
「それじゃ寝るわ」
 そう言って、ゴソゴソと布団に潜り込んでいった。
これには私も呆然とする。本気で体調が悪いのかと思ったけど、
私が語りだすまではもう元気そうだった。
ってことは、私と会話するのが嫌って事なのか!?
そう思うとなんだか今まで溜まっていたフラストレーションが一気に

「なっっっんなのよ!あんたは!?」
「へっ!?」 

 爆発した。

 突然キレた私に驚いてがばっと跳ね起きたところにずいっと近づいて、
「人が折角来たのに開口一番『なんだ、お前か』だし、可愛い娘に来て欲しかったとか言うし、
 記録会のこと教えたのに感謝の言葉もないし、私に連絡なく休むから心配したし、
 最近は朝会っても『よぉ』ってだけだし、休み時間に話そうとしたら既に友達と話してるし、
 理科で同じ班の女の子とはしゃべってるし、ようやく話したと思ったら話すことは部活のことばっかりだし、
 だいたい、学校の中じゃ、絶対、あんた私のこと避けてるわよね!?なんなのよ!?」

 言った。言ってしまった。今まで散々積もり積もった鬱憤を全部ぶちまけた気分。
スッキリしたが、あれ?私何を言ったっけ?
と自分の行動を思い出せなくなるぐらい熱くなっていた。
その後、自分が何を言ったか思い出して、かぁっと顔が赤くなるのを感じた。 
目をまん丸に見開いて吃驚している彼から、
逃げるようにカバンを引っ掴んで部屋から飛び出すまで十秒とかからなかっただろう。
『今なら自己ベストが出せそうだわ』
 彼の家から出て少し冷静になった私はそう思った。


406:241
08/06/25 01:21:58 LJqFvwnO
「あの時は訳わかんなくて驚くことしかできなかったなー」
 入院中のベッドの上で笑いながら話す夫に、
バツの悪い顔でいることしかできない。
入院と言っても盲腸の手術だからそれほど
心配しなくてもいいのかもしれないが、やはり不安は不安だ。
 それにしても、何度目の話だろうか。
夫は風邪やらなんやらで寝込むとすぐこの話をしたがる。
 いじめっこなのは小学生の時と変わらない。
「でも、まさかあの後お前が体調悪くするとは思わなかったよ」
 そうなのだ。帰ってからも私はずっとあの発言を気に病み続け、
お布団の中でも寝られなかったのだ。
その結果、熱を出し学校を休んだのだが、
「私も、まさかあなたがお見舞いに来るとは思わなかったわ」
 一番顔を会わせたくなかったのに。
小声で呟いたのだが、彼にはしっかりと聞こえていたようだ。
「はははっ、そりゃ気の毒だったな。でも俺が行ったら元気になったじゃないか」
 そう言われると何も言い返せない。事実であるし、あの時彼は言ってくれたのだ。
私が元気になる魔法のような言葉を。これ以上ないほど正確に。
今回も、きっと不安な私の心を察してこんな昔話で私をからかって、
元気付けようとしてるのだろう。
中学生のときから、いや、小学生のときから、彼は私にすごく甘いのだ。
それは今でも変わらない。だから、
「ゆっくり休んで早く良くなってね」
「当然だろう。ずっと一緒だって言ったんだから」
やっぱり、今回も言ってくれる。あの時と同じ魔法の言葉。


以上です。
お目汚し失礼しました。

407:名無しさん@ピンキー
08/06/25 03:27:25 3IE3llxw
>>406
GJ!
とてもよかったです
携帯から失礼します。おやすみなさい

408:名無しさん@ピンキー
08/06/25 03:31:19 oayKKH2E
>>406
GJ!!! 今回も過去+現在の構成なんだな。
そういう自作内でのパターンや約束事の踏襲は大好きだw

このまま二人の関係がゆっくり深まっていく様子を是非。

409:名無しさん@ピンキー
08/06/30 07:21:53 QfbWm91F
モーニング保守染み

410:名無しさん@ピンキー
08/06/30 22:37:56 qLLVDUk4
染みと幼馴染み

付いて困るのは前者、付いて有り難いのは後者

411:名無しさん@ピンキー
08/07/01 00:33:56 PrwHpXhx
後から付けられるのは前者、今更どうしようもないのは後者orz

412:名無しさん@ピンキー
08/07/01 03:59:23 f60PbhMq
幼なじみと再会した。
小学校の頃は1番の仲良しで、毎日遊んでた。
中学に入って俺が意識しだして、ちょっと疎遠になった。
でも先日ばったり再会して、遊ぶことになった。
手料理をごちそうになる予定wktk

…緊張と興奮で眠れないorz

413:名無しさん@ピンキー
08/07/01 05:31:37 iCBUlhQI
>>412
寝ろ

414:名無しさん@ピンキー
08/07/01 12:42:04 coEdQROM
>>412
うらやましい……
楽しんでこいよー

415:名無しさん@ピンキー
08/07/01 14:09:42 eWvv/UMf
お前だけに良いおもいさせてたまるかぁーッ!
────‐──────-── ─-
─‐──────‐────‐∧_∧
───‐∧ ∧,~ ──────‐(; ´Д`)
─-─‐( (⌒ ̄ `ヽ──_ ────‐ /    /─―/
─―──‐\  \ `ー'"´, -'⌒ヽ───‐| |  /‐─‐/ | | >>412
―‐―─‐ /∠_,ノ    _/_──‐―─―─‐| |  /─―/ | |
───‐ /( ノ ヽ、_/´  \―──‐─‐∪ ./─,イ ∪
──‐ 、( 'ノ(     く     `ヽ、 ―──―‐| /-─/|| |
──‐‐/` ―\____>\___ノ ───‐|/─/ || |
──/──―‐/__〉.──`、__>.―‐―──‐─―‐| || |
─/─‐───────―-──‐(_)_)
─/────-──────‐───

お幸せに。

416:名無しさん@ピンキー
08/07/01 16:48:02 cPaeZ3is
>>412
宗教勧誘か子ねずみ勧誘のどちらかだな。
412逃げて逃げて~

417:名無しさん@ピンキー
08/07/01 17:34:07 Xk/iqMqJ
残念既婚者でした!

418:名無しさん@ピンキー
08/07/01 18:11:05 9gw6tuXK
男同士というオチですよね分かります

419:名無しさん@ピンキー
08/07/01 20:30:49 h0JWs4ZD
>>412

壺買ったらアップしてね

420:名無しさん@ピンキー
08/07/01 21:32:33 0syJ7rDW
伸びてるなーと思って来てみたらwww

421:412
08/07/01 23:19:10 f60PbhMq
ただいま。

進展はなかったww
でも、迎えに来てくれて、帰りも送ってくれた。
あと、頭撫でられた。


…これフラグ?

422:名無しさん@ピンキー
08/07/01 23:37:21 mCF09diM
弟扱いしてるな

423:名無しさん@ピンキー
08/07/02 00:55:28 V5WsWdeX
もううんざり
そんなに私生活自慢したいのか?
VTPで安価でもしてこいよ

424:名無しさん@ピンキー
08/07/02 01:20:23 njaBDiXO
>>412が実は………

『第一人称が俺』というボーイッシュ少女というオチでは?

で男に料理を作って貰う代わりに、自分が料理され(ry

425:名無しさん@ピンキー
08/07/02 11:36:31 aJiOJK7s
幼馴染みスレって、某所でもそうだけど、リアル自慢したがりが沸くよね。
なんか変なオーラでも発してるのかな?

426:名無しさん@ピンキー
08/07/02 21:41:26 I9HPnE32
>>425
そりゃあ、望んでも得られないわけだし、
羨ましく思う人間も多いだろうからな。

程ほどにしておいて欲しいが、まあSSの形にして
投下してくえっるなら何の文句も無いし、
是非リアル体験者達には頑張っていただきたい。

427:名無しさん@ピンキー
08/07/02 23:53:48 0F3cAcec
むしろ某所含めリアル自慢叩きたがりが湧いてる気がする。
こっちの奴はマシだけど某所の方は自分の意見を住民の総意みたいに言ってるから腹立つ。
つまらないんだったらスルーするかSSに直して面白くしてくれよ。

428:名無しさん@ピンキー
08/07/03 00:25:24 H8m/00ls
かといってスレ違いどころか、板違いの報告行為をされても困る

429:名無しさん@ピンキー
08/07/03 00:37:21 M6xZaqTN
SSスレでそういう事されても反応に困る。

430:名無しさん@ピンキー
08/07/03 15:16:57 MBi+lP2d
ならその経験をネタにしてSS書こうぜ!

431:名無しさん@ピンキー
08/07/03 15:19:00 1OdAMkup
で、次に来るコメントは、

「ごめん、俺、文才無いんだわ」

432:名無しさん@ピンキー
08/07/03 20:38:54 8fp4wLlw
「ごめん、俺、文才無いんだわ・・・っと」
「なにしてんの?」
「おわわわわっ、な、な、な、なんだよっ!?」
「ん? なにこれ……エロパロ板……幼馴染萌え……?」
「あっ、見るなっ! 見たら駄目っ!」
「……へへー、ふーん」
「な、なんだよそのにやけ面はっ!?」
「いえいえ、べつにー」
「……どうせ、俺はこんなエロい板を独りで見て悦に入ってる
 根暗なオタクですよ……ぐすぐす……」
「あ、ちょ、泣かなくてもいいじゃん……嬉しかったのに」
「ぐすぐす……へ?」
「あんたがむっつりスケベな事くらい知ってるわ。何年の付き合いだと思ってんの」
「……酷い事を言われた気がする」
「あはは、酷い事言ってんのよ」
「ひでぶ」
「……でも、ちゃんとあんたの中身まではわかってなかったのかもね」
「……え?」
「だって、興味ないのかと思ってたもん」
「何に」
「私に」
「………………」
「お・さ・な・な・じ・み・の・わ・た・し・に」
「……べ、別に興味なんか……」
「じゃあ、それ何?」
「ぐっ……」
「……あ、やっぱり私の事書いてるじゃん」
「あ、だから読むなって!」
「もう読んじゃったー」
「………………」
「……嬉しいよ、私……だって、私、ずっと……あんたの事……」
「待った!」
「へ?」
「……先に、俺に言わせてよ。じゃなきゃ立場が無さすぎる」
「……うん」
「……ふぅ……言うぞ?」
「……うん」
「…………言うからな?」
「……うん?」
「………………言うったら言うぞ!?」
「……さっさと言えっ!」
「はいぃっ! ……えっと、だな……俺、ずっとお前の事……好きだった。
 そんで、今も……その、好きだ」
「………………」
「……なんだ?」
「私、すっごいドキドキしてる」
「お、俺だって……なんかもう、心臓止まりそう……」
「ふふふっ……。ありがとう……私も、だよ」
「………………」
「……どうしたの?」
「……ヤバイ、もう、なんか……死ぬ……」
「ちょっと大丈夫? 顔、物凄い赤いよ?」
「うぉぉぉぉぉぉ、もうだめだぁぁぁぁぁぁ! 悶え死ぬぅぅぅっぅうぅ!」
「……そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに」
「はずいわっ!? ……お前は恥ずかしくないのか?」
「ちょっとね……だけど、恥ずかしいついでに、お願いしてもいい?」
「なんかしおらしいお前ってぶきいたっ!? ……殴るなよなんだよ」
「……両思い記念に……キス、しよっか?」
「………………ぷしゅうぅぅぅぅぅぅぅ」
「ああっ! 潰れたっ!?」

433:名無しさん@ピンキー
08/07/03 20:40:56 8fp4wLlw
男が潰れてしまったのでここまでです。

何というか、俺文才無いとか言う人が
こういう風にいい感じになってるかと思うと、
軽く氏ねばいいのにとか思いますねはっはっは(爽

どう見ても妄想です。
本当にありがとうございました。

434:名無しさん@ピンキー
08/07/03 21:01:31 IPvT+CJx
GJ過ぎるwww

435:名無しさん@ピンキー
08/07/03 22:01:36 l7e4NlLV
ごめん、俺、幼馴染居ないんだわ

いや居るけどさ…そんなに可愛いのいねーよちくしょう(´;ω;`)

436:412
08/07/03 23:51:17 T0B01Vfd
ネタに勢いで書いた。
すまんかった。
432に感謝する。




何の刺激もない4年間だった。
女子大という女の園に通ったせいか、男性と付き合うどころか、出会うことすらなく卒業を迎える。
そして、なんとなく社会人になってしまった。

仕事から帰り、いつものようにパソコンを立ち上げた時だった。
懐かしい名前が目に飛び込んできた。
幼馴染の名前だ。

『亮』、物心ついた頃からの幼馴染だ。
小学校の頃は毎日のように遊び、姉弟のようだったらしい。
中学に上がってからはクラスも別になり、疎遠になっていった。
しかし、高校の頃、ひょんなことからまた話す機会を得る。
それはチャットという共通の趣味を持ったからだった。

『わ、久しぶり』
『あれ、あんたか。元気かい?』
『そっちこそ!』
『俺は結構元気!』
『こっちも元気だよ。』

大学に入ってからはお互いに生活が忙しくなり、出くわすことも少なくなっていた。
あまりに久しぶりで、会話は弾みに弾んだ。
お互いの近況や、小中学校の話、昔の友達の話など、会話は尽きることがなかった。

『うわぁ、4時過ぎてるwww』
『え・・・ほんとだ』
『そろそろ寝なきゃやばっw』
『明日・・・というか今日か、休みでよかったなw』
『お互いにねw』
『まったくだw』
『じゃあ、寝ようか』
『あ、待って』
『ん?なぁに?』
『今度遊びに来いよ、せっかく近いんだから』
『え、うん、じゃあ、お言葉に甘えて・・・』



437:412 その2
08/07/03 23:55:27 T0B01Vfd
数日のうちに話はまとまり、亮の家にお邪魔することになった。
彼は、この春から隣町で一人暮らしをしている。
『自炊ちゃんとできてるの?』
という私の売り言葉に、
『俺は結構料理うまいんだぞ』
という買い言葉で、料理をごちそうしてくれる約束になった。

ある日の仕事帰り、バス停まで歩く途中、1通のメールが届いた。
『今から迎えに行く。今どこ?』
慌ててメールを返すと、電話がかかってきた。

「あ、俺。すぐ近くにいるから、○○スーパーで待ち合わせよう。」

私が答えるか答えないかのうちに、電話は切れてしまった。
急いで待ち合わせ場所に向かいながら、混乱した頭で考える。
昨夜は今日の約束で緊張したのか、なかなか寝付けなかった。
おかげで、仕事中眠気をこらえるのに必死で。
具体的な待ち合わせなどしていなかったため、てっきり『勝手に来い』と言われるとばかり思っていたのに・・・。

「お、早かったな。ひさしぶり。」

遠慮がちにノックをして扉を開けると、笑顔の彼がそう言った。
息を切らして目的地にたどり着いた時、彼は既にそこにいた。
正確に言うと、車の中にいたのを、私が見つけた。
うながされるまま助手席に座り、シートベルトを締める。
2人きりなんて久しぶりすぎて、なんだか緊張する。
・・・顔が熱いのは、走ったせいだろう。

「じゃあ、我が家へ帰りますか!」

その言葉とともに、エンジンがかかった。

438:412 その3
08/07/04 00:01:39 T0B01Vfd
続けてすまん。
携帯からだとこんな細切れになるとは。
笑いどころはないから、つまらなかったらスルーで頼む。



「お、お邪魔しま~す。」
「おう。遠慮なく上がれ。」

ぎこちなく会話しているうちに、家に着いた。
想像したよりずっと近くにいたんだなぁ、と思いながら、靴を脱ぐ。
部屋にお邪魔するなんて、高校以来だ。
そして、彼について奥の部屋に入った。

「まぁ、適当に座っていいよ。パソコンもあるし。」
礼を言って、遠慮がちにパソコンの前に座る。
亮の部屋は思ったよりも広くて、思ったよりも、その、落ち着かない。
さらに奥にも他の部屋があるようだ。
ダイニングにパソコンが置いてあるし、同じ部屋にいられるだけマシだと思うことにして、起動ボタンを押した。

しばらく二人でパソコンで遊び、だんだん調子が戻ってくるのを感じた。
散々笑い合って打ち解けてきた頃、亮が切り出した。

「腹減った。飯、何食べたい?」
「え、え~と、何でも良いのだけど・・・。」

料理を作ってくれると聞いた日から、私なりにリクエストを考えてはいた。
が、結局何も思い浮かばなかったのだ。
それに、作ってくれるなら何でも美味しいだろうと思っていた。

「「う~ん・・・」」

二人して考え込んでしまい、料理に取り掛かったのは7時を回った頃だった。
下ごしらえを終え、炊飯器を覗き込むと、まだまだ炊けそうにない雰囲気だ。
肝心の御飯が炊けなくては、調理にはかかれない。
すきっ腹を我慢し、再びパソコンと向かい合った。

ようやく御飯が炊きあがり、食事にありつけた頃には、8時を過ぎていた。
空腹は最高の調味料、とはよく言ったもので、非常に美味しかった。
いや、実際彼の料理の手際は良く、本人が言うだけあって、腕もなかなか良い。
会話も弾み、楽しい夕食だった。

439:412 その4
08/07/04 00:07:09 2TwBw/v5
しかし、夕食後の片づけを済ませた私たちは、少々ぐったりしていた。
目分量で作る男の料理は、量が多かったのだ。
持参したデザートを食べるどころではなく、休憩してから、という意見で一致した。

「じゃあ、新しいゲーム見せてやるよ」
「うん!」
嬉しそうに答えた私を見た彼は、可笑しそうに笑った。
そして立ち上がると、私の横を通り、隣の部屋へと移動しようとした。
と、通りざまに何かが触れた。
彼の手が、私の頭の上にあった。

「いいこ、いいこ。」

彼はそのままくしゃくしゃと頭をなで、そして何事もなかったようにゲームの準備を始めた。

「な、な、なになに??髪ぐしゃぐしゃになったじゃないかあぁ・・・」

我に返った私は咄嗟にそう言い返し、慌てて髪をなでつける。
彼はその様子を見て、さらに笑顔を濃くした。

その後、彼がゲームをするのを横で見る私は、混乱が深まるばかりだった。
あの彼の行動を、どう解釈したら良いのか測りかねていたのだ。
幼い頃以来、久しぶりに触れた彼の手は、大きくてごつごつしていて・・・。
背なんて、とっくに抜かされている。
この人は男で、私は女だ。そんなことはわかっていたけども。
『あんたのこと、姉のように思ってた』
この間はそう言ってたのに。

そうしているうちに、夜も更けてきた。
「そろそろ帰るか?」
「あ、そうだね。遅くまでごめん。」
そう答えると、彼は笑った。
「じゃ、送るよ。また遊びに来いよ。」
そして、こともなさげに、家まで送ってくれた。

彼を見送って、お風呂の中ではたと気づいた。
そういえば、夕食のときには必ず酒を飲むと言っていたのに。
・・・私を送るため、我慢してくれたの・・・?
そう思いついてしまうと、もう収集がつかなくなった。
ヤケになって酒を飲みながら、寝てしまった。

440:412
08/07/04 00:16:03 2TwBw/v5
今回はこれで。
また書くかも。

441:名無しさん@ピンキー
08/07/04 04:42:06 LSTbBpIx
GJ!ただし 続くかもではなく続けなさい。

442:名無しさん@ピンキー
08/07/04 10:19:44 KBGCW56z
>>433
萌え死んだ

>>440
続きを書くんだ!

443:名無しさん@ピンキー
08/07/07 16:42:37 PZq2gkmS
男のヤンデレって需要ないんだろうか。
あんまりないよな。
幼なじみで男のほうがヤンデレっていう設定に萌える俺涙目。

444:名無しさん@ピンキー
08/07/07 16:43:59 dDoBKq0K
>>443
男のヤンデレはキモイだけ
つかウザイ

445:名無しさん@ピンキー
08/07/07 21:21:39 VcjVyQuN
>>443
萌える人は少ないかもしれんが、物語を盛り上げる要素にはなるかも
まあ難しい題材だと思う

446:名無しさん@ピンキー
08/07/08 02:15:38 Jd46U6uy
想像してみたが、ストーカーにしかならないな

447:名無しさん@ピンキー
08/07/08 06:58:23 OOzjyZH7
俺も過度の暴力やグロはちょっと…
男が解体されても修羅場の一言で済むのに
おにゃのこが解体されるとグロく感じる!ふしぎ!

448:名無しさん@ピンキー
08/07/08 16:38:07 qCIcTQkw
例えば幼なじみの子が自分以外の男と親しく喋ってるのを見て、その日の夜は人が変わった様にドSになる男はヤンデレ男と言うのだろうか

449:名無しさん@ピンキー
08/07/08 17:50:33 89/G+q1w
>>448
つ チラ裏

450:名無しさん@ピンキー
08/07/08 18:17:51 F46ebH2w
>>449
いや、ここはむしろ書けというべきじゃね?

451:名無しさん@ピンキー
08/07/08 23:33:00 F46ebH2w
連投になってしまった

すごーく久しぶりに投下してみる
本当なら昨日投下すべきネタだったんだけど、途中で寝落ちしてしまってたよ……
今回久しぶりに書いたから、かなり無駄が多い文になってます。よければ軽く流して下さい

昔投下したネタの続きになってしまったんで、よければまとめにある「幼なじみと四月バカ」を読んで下さいな
では投下。いけるかな……?

452:幼なじみと七夕を
08/07/08 23:35:01 F46ebH2w
今日は七夕。
天の川を隔てて生きる織姫と彦星が、年に一回出会うことができる日だという。
……天の川がどれくらいの幅かは知らないが、川くらいなら船で渡れそうな気もするんだが、どうなんだろうな。
うまく口利きしたら、船頭一人くらいは丸め込めるんじゃなかろうか。
それとも、船も漕げないくらい川の流れがすごい速いのか。……そういや雨降ったら氾濫するんだっけ。
そう考えると、本当気が長いな、あの二人は。
「まぁオレには関係ないけど」
「何だか知らないけど手を動かしなさい」
言われて、しぶしぶ視線を窓の外から手元の机に戻す。
開かれたノートの中には奇怪な数式の数々。数字は世界共通の言語とはいうが、少なくともオレには通じないぞと、恨み言の一つも言いたくなる。
思わずため息を一つ。すると目の前のこいつはそれに敏感に反応して、
「もう、今度は何がわからないの?」
と身を乗り出して聞いてくる。
「あー……、全部、かな」
素直に答えると、あきれ顔をされる。事実だから仕方ない。
「ほら、ここでは傾きが0のところが極になるんだから、微分してから値を代入して0になるところを探すのよ。わかる?」
「……えーと。極って何だっけ?」
……何だその哀れむような目は。何となく切なくなるから止めろ。こっち見んな。
今度はあっちが大きなため息。何だよ、悪かったな阿呆で。
「……あのね、極って要は山頂とか谷底みたいなもので……」
それでも、粘り強く説明してくれるこいつには、正直感謝もしてる。
天敵たる数学のテストが明日に控えているが、オレだけじゃ到底太刀打ちできないからな。

高校生のオレこと高遠 匠(たかとお たくみ)と目の前の女、木崎 優奈(きざき ゆな)に七夕なんぞは関係ない。何てったって、今はテスト週間なんだから。
そう、オレと優奈はまたしても一緒に勉強していたのだ。

453:幼なじみと七夕を
08/07/08 23:38:26 F46ebH2w
「……と。はい、範囲はここまで。ちゃんとわかった?」
「な、何とか……」
あの4月1日から3ヶ月ちょっと。
オレと優奈のクラスはやっぱり同じで、オレは何者かの作為を本気で疑ったりもした。
やはりクラス委員長となった優奈は相変わらず人気者だったが、オレの立ち位置は昨年とは少々異なっていた。
それというのも、優奈が今までより積極的にオレに関わってくるからだ。
わざわざ登校時間を合わせてきたり、昼飯にはオレを強引にグループに引き込んだり、帰りもオレを待ってみたり。
最近はこうして勉強も教えてくれたりする。本当なら委員会の用事とかで忙しいはずなのに、だ。
そのおかげで、クラスの連中に散々いじられることになるのは想像にかたくないだろう。
男子連中などはことあるごとにオレの首を絞めてくる。「うらやましいぞコンチクショー!」とか何とか。
……だがまぁ正直、この変化を悪く思ってない自分がいる。
クラスメイトは気のいい連中が多いし、自分がそんなクラスの一員として参加できることは、何だかんだで楽しいのだ。
それもこれも、やはり優奈の―
「―匠、聞いてる?」
「うぉあっ!?」
気付けば、優奈がこちらの顔を覗き込んできていた。優奈の顔が間近に迫る。
「……ちゃんと人の話は聞きなさいよね」
優奈は不機嫌そうに眉根を寄せ、こちらにきつい視線を向けている。
ちょっとこっちが前に出たら、おでこがぶつかってしまいそうだ。なぜだか、少しドキドキした。
「わかった、わかったからちょっと離れてくれ」
とりあえず優奈に提案する。距離を取らないと、よくわからないが色々まずいような気がした。
と、優奈も距離感の近さに気付いたか、ちょっと頬を赤くしつつ、さっと身を引いた。
「ま、まったく、しっかりしてよね!」
そっぽを向き、眉を吊り上げながら厳しい言葉を浴びせてくる。しかし、頬の赤さが刺々しさをなくしてしまっていた。
……つか待て、その表\情は反則だろ。こっちまで赤くなってしまうじゃないか。
しばらくそのまま沈黙が続く。気まずい間が続いたままで、優奈が立ち上がった。
「お茶、入れてきてあげる」
一言を残して、部屋から出ていった。
ちなみにここは優奈の部屋だ。昔はよくきたが、最近までは来ることも滅多になかった。
まぁ4月以降、よく勉強を教えてもらうので、再び来る回数が増えていたりするのだが。
手持ちぶさたなのでマンガの一冊でも読みたかったが、腐れ縁といえど、さすがに女の子の部屋を物色するのはまずい。
暇潰しになるものはないかと首をめぐらせ、オレはそれに初めて気付いた。

454:幼なじみと七夕を
08/07/08 23:41:20 F46ebH2w
2つのコップに麦茶を注ぐ。その間考えるのは、さっきの匠とのことについて。
最近の自分はずいぶん積極的になったと思う。匠と一緒にいる時間が、最近本当に増えている。
きっかけは、あの4月1日のことがあったから。
あのときほど自分の情けなさを実感した。結局あの日はウソの積み重ねが多くなっただけだった。
……やっぱり急ぎすぎたのだと、その日の自分は結論した。
幼なじみとは言え、いや、幼なじみだからこそ、告白なんてできなかった。匠だって、きっと困惑するにちがいない。
だから、少し距離を縮めてみようと思った。もう少しだけ、匠に近づいて、私のことを意識してもらおうと考えた。
今のところ、匠の対応にあまり変化は見られない。やっぱり私は単なる幼なじみなのかと、少し落ち込むこともある。
しかし、匠自身には変化があった。
私と一緒にいることをクラスメイトに色々問いつめられたりしているうちに、クラスにだいぶ馴染んできているのだ。
昨年はクラスから孤立していた(本人が意図的に距離を置いていた)ことを考えると、かなりの進歩と言える。
今では気さくに話せる友人もかなり増えたようで、何だか私まで嬉しくなってしまう。
自分の思惑とは外れてしまったが、匠が確実にみんなの輪に入ろうとしてくれるのは、とてもいいことだと思っている。
そこでふと、あることに気付いた。
「……私は、どうなるのかな」
昨年まで、匠はあまり人と関わろうとしなかった。
私が橋渡しをしなければ、匠は本当に孤立してしまっていたのではないだろうか。
私はそれが嫌だった。でも、匠にも悪く思われたくなかった。
私はなるべく匠が孤立しないように、そして匠が鬱陶しく思わない程度に、うまく周りとの仲を取り持った。
自然、匠の私に対する依存度は高くなる。匠にとって私は必要な人間だったのだ。
今はどうか。
匠は自分からみんなと関わろうとしている。それ自体は喜ばしいことだ。
でも、私は?私は匠にとって必要じゃなくなってしまうんじゃないだろうか。
私が匠に近づこうとすればするほど、匠は私を必要としなくなる。
「私、どうしたらいいのかな」
気付いたら、お茶を注ぎ終わっていた。少しこぼれてしまったようだ。
ため息を一つ。こぼれたお茶を布巾で拭って、お茶を持って部屋に戻った。

455:幼なじみと七夕を
08/07/08 23:45:07 F46ebH2w
「はい、お茶持ってきたわよ」
扉が開いて、優奈が戻ってきた。オレは慌てて手元のものをポケットに隠す。
「……匠、今何かした?」
気付かれたか。しかし、ここでこのことがばれるのはすごく気まずい。
「い、いや、笹なんか置いてるから、短冊見てた」
そう、なぜだか優奈の部屋には笹が置いてあり、いくつか短冊も下がっていたのだ。
「七夕なんだしいいじゃない。風流でしょ?」
などと、コップを置きながら優奈は言う。
しかしだ、ぬいぐるみなどがたくさんある(これも優奈の外でのイメージからは掴みにくい)女の子っぽい部屋に、
ぽつんと笹だけが置いてあるのは、風流というか滑稽というか。
「つか何でオレの母さんとかが書いてるんだよ」
短冊は6枚。木崎家は4人家族であり、残り2枚はわが母と父の分だった。
ちなみに母の願いは《夫婦円満》。息子のことも気に留めてほしいかな、うん。
「私が頼んだのよ。せっかくだから短冊は多いほうがいいでしょ。何なら匠も書く?」
言いつつ、ペンと短冊を渡される。
少し考えて書いたのは、《日々平穏》。最近騒がしいからな。
「……匠、若いんだからもう少し冒険しなさいよ」
うるさいな、騒がしい原因が偉そうに語るな。
「お前だって《志望校に合格》とか、絵馬と勘違いしてんじゃないか?」
「わ、悪かったわね!」
とまぁ、優奈をやり込めつつ、短冊を笹に括り付けようとして、
「あれ?」
短冊が一枚多いことに気付いた。

さっきはよく見えなかったが、なぜだか節に近い場所に一枚括ってある。こんな場所にやらなくてもいいのに。
背後ではっと息を飲む音がした気もしたが、構わず読もうとする。
「なになに、匠と……」
「だ、ダメっ!」
優奈の叫びが聞こえたかと思うと、いきなり背中に衝撃が走った。
「どわっ!?」
オレは前のめりに倒れ、背中に重さと柔らかな感触を得た。
「ゆ、優奈……いきなり突進して来るな……」
どうやら体当たりされたらしい。オレはうつぶせに倒れ、その上に優奈が覆いかぶさる形となっていた。
優奈はその姿勢でオレから笹をひったくる。
「よ、読んだ?」
「……何を」
「短冊よ短冊!」
なぜだか必死でこちらを問いつめてくる。読まれたら困るのか?
「読んでないよ」
「ほ、本当に?」
「本当だ、本当だからさっさと退いてくれ。重い」
そこでようやく自分の体勢に気付いたか、優奈はオレの上から退いた。
オレも上体を起こし、背中をさする。痛いんだから、こういうのは勘弁してほしい、本当に。
優奈はこちらに背を向けて、
「重いは余計よ!」
とか言っている。長い黒髪に隠れて見えないが、何となく耳が赤くなってる気がした。

456:幼なじみと七夕を
08/07/08 23:46:50 F46ebH2w
それからちょっとの間があって、匠は家に帰った。
さっきのことを考え、私はすごく恥ずかしかった。あれでは何かあると確実に思われるじゃないか。
先ほどの短冊を見る。ピンク色の紙に書いてあるのは、私の本当の願いだった。
《匠とずっと一緒にいられますように》
「叶うかな、本当に」
窓の外を見る。今日は天気もよく、天の川もきれいに見えた。
織姫と彦星は、遠いからこそ互いを思い慕うのだ。
近すぎる私たちは、あるいは彼らより遠い関係にあるのかもしれない。

部屋に戻り、さっき隠したものを取り出す。
それは水色の紙切れだった。優奈の部屋から取った短冊だ。
あの時、本当は短冊に願い事を書いていた。
七夕なんぞは関係ないと思っていたが、あの時はたまたま暇だったからな。本当だぞ。
しかし、思いつきで書いたはずの願いは、なぜだか特定人物に関することになっていた。
《ずっと優奈と一緒にいられますように》
「さすがにこれは気持ち悪いな」
ついつい苦笑いをしてしまう。たかが幼なじみにこんなことを願われても、優奈だって困るだろうしな。
机の中に短冊をしまう。捨てる気には、何故かならなかった。

457:名無しさん@ピンキー
08/07/08 23:50:06 F46ebH2w
以上。

……んー、やっぱりうまくない。エロもなければ萌えもない
読みにくいところだらけなんで、何かありましたらぜひご指導下さい

……一本投げっぱなしジャーマンになっているのは忘れ……いや、内緒にしとこうか
さて逃げるか

458:名無しさん@ピンキー
08/07/08 23:52:13 45xjfP/9
リアル投下ウヒョー! 今日青春トークしてきたせいか悶えちまうZe!!
2chの都合上若干つまって見えるが、読みにくくはないよ。
……ウチの七夕は幸い八月なんだが、こんなイベント、あるわけねぇよなぁ……orz

大丈夫 実は俺も なげっぱ(ry

459:名無しさん@ピンキー
08/07/10 01:35:29 TY5F4Ty6
>>457
乙ですー

>>458
仙台とか旧暦7月7日に開催するところの人乙ですー
さあさあ書くべし、書くべし。

460:458
08/07/10 01:52:24 TiE8uWJm
>>459
七夕のじゃないけどもうすぐ投下するよ。
まあ、変なのだけど……

461: ◆1Bix5YIqN6
08/07/10 01:55:40 TiE8uWJm
鳥うろ覚えなんでテスト&自分を追い込む予告

462:名無しさん@ピンキー
08/07/10 01:56:10 TiE8uWJm
よしあってた。
今日中に投下するぜ

463:名無しさん@ピンキー
08/07/10 02:32:58 ou1e4ksS
保管庫のを読んできた。
ちょっと期待

464: ◆1Bix5YIqN6
08/07/10 22:11:52 TiE8uWJm
それじゃ予告どおり投下しますよ、と。
今回もまたごめんなさいと言うかまあアレですよお前たまにはマトモなの書け。
エロなし。15レスくらい?
コンセプトは『90年代ロボットもの』ってことで一つ。

465: ◆1Bix5YIqN6
08/07/10 22:12:21 TiE8uWJm
/0.

 二〇〇Ⅹ年、五月二十七日。地球は宇宙人に侵略された。
 なんだかんだ言って質・量ともに世界最高級らしいアメリカ軍が、真っ向からぶつかり合って、惨敗。超惨敗。
 最高級がそんなざまなんだから、他の国の軍隊なんて、末路を語るまでもない。
 私の住む日本においても同じ、……かと、思いきや。
 まったく馬鹿らしいことに、日本―主に北海道―はわりと平気だった。
 ―何故ならば。巨大なロボットが、この街を守っているからなのだった。

466:覇我鬼神・雷轟衛 ◆1Bix5YIqN6
08/07/10 22:14:10 TiE8uWJm
/1.

 失礼します、と一声。返事を待たず、自衛隊の駐屯地になった母校、その保健室に入る。
 そこにいたのは、侵略される前― 一月前と変わらぬ保健室の白衣・眼鏡美人教師、祭中<さいなか>先生と、幼馴染、背ばかりがむやみに高い少年、樫家・洋巻<かしや・ひろまき>だった。
「やあ、よく来てくれた、前餅君。歓迎する。そこにかけてくれたまえ」
 彼女はポットからお湯を出してコーヒーを淹れて、教室から持って来たのだろうか、いつも私たちが使っていた机に一つずつ置いた。
 私―前餅・杏子<まえもち・あんず>は隣の洋巻と顔を見合わせて、お互い変な表情をしている事を確認した。
 彼の方は、幼馴染である私がなんでこんな所に呼ばれたのか、と。
 私の方は、世界で唯一あの宇宙人と戦える戦力の操縦者が、なんでこんな所にいるのか、と。
 ……あまり長い間立っているのも失礼か、と私は昔―本当に昔のように感じる―のように椅子を引いて座った。
「祭中先生、何の御用でしょうか?」
「来てもらったのは他でもない、樫家君が駆る巨大人型兵器―雷轟衛<ライゴウエ>の弱点についてだ」
 白衣を翻し、祭中先生はホワイトボードにガシガシと板書していく。
「第一に、単体であること。確かに、宇宙人―『イブマ』達に対して、雷轟衛の武装は効果的だ。しかし、雷雲形成からの雷撃―樫家君。技名は付けたかね」
「つけてませんけど」
 即答に対し、祭中先生は大げさにふらつく。
「……勿体無い。せっかくの広範囲大火力武装―つまりは必殺武器だというのにな。明日までの宿題だ。考えておくように」
 はい、と犬のように素直に頷く馬鹿。
「―それまでは仮に轟雷カッコ仮カッコ閉じとでも呼んでおこう。雷雲を生み出す最中、雷轟衛は無防備状態だ。自衛隊も部隊を出してくれるが、質も量も負けている。一時的な足止めにしかならん。昨日の戦闘のように、犠牲も多く出る」
 横目で馬鹿を見ると、少しだけ泣きそうな顔になっていた。
 ……そりゃあそうだろう、と思う。昨日だって、あの―轟雷(仮)を撃つために―
「こら。二人とも、こっちを向きなさい。追悼の意を捧げるのは悪いことじゃないが、今はこっちだ」
「……はい」
 本当、犬みたいな男だ。そんなに巨乳がいいのか。
「これについては、私達も『持ち前の根性でどうにかしろ』としか言えん。今のところはな。よって、次の問題点に移る」
 ため息を吐いて、授業―と言うのもおかしいか。とにかく、話を聞く。
「第二に、固定武装が主に近距離用であること。第三に、高機動空中戦ができないことだ」
 ホワイトボードに連ねられていく文字は、乱雑ながらもきびきびとしたものだ。右半分には三つの問題点が、左半分には雷轟衛の模式図だろうか、簡略な人が描かれる。
「固定武装は両腕に剣と、背部の雷雲/雷撃発生装置。肩に電磁ワイヤー。背、腰には加速器があるが、主に短距離加速用であり、長時間飛行や空中戦闘には向かない」
 祭中先生は、よくもまあこれで二日前は敵機編隊を落せたものだ、とため息を吐く。
 根性系だからなぁこの馬鹿。その辺もなんだか犬みたいだ。
「この二つの問題だが、―我々の方で対処可能だ」
 そう言って、先生は何かをホワイトボードに書き足し、
「敵が我々の砲弾を無効化するのは、小型機は弾道予測、大型機はその構造による衝撃吸収だ。雷轟衛の腕にそれを補う高弾速かつ大威力の武器を取り付ければいい。飛行能力についても、目処はついている」
 そして、ホワイトボードを叩く。こうすればいい、と。
 左半分に、L字型の何かと、翼らしきものが描き込まれた。銃と追加の加速器だろうか。単純な発想と言えばそうだが、それ以上と言うのも中々出しがたい。

467:覇我鬼神・雷轟衛 ◆1Bix5YIqN6
08/07/10 22:16:00 TiE8uWJm
「レールガンを持たせ、戦闘機を背負わせる。改造に多少の時間はかかるが、肝心の動力については問題ないのが救いだな。……そんな目で睨むな、力が今すぐ必要というのはよく分かる。だが、時間も物資もない。しばらくは粗悪な試作品、改造品で我慢してくれ」
 ……もうちょっとブッ飛んでいた。戦闘機を背負わせるだなんて無茶、普通の人は考えない気がする。
「はい」
 目の前の女性に何を言っても、事態は改善されないことぐらいは分かっているらしい。さらに素直に頷いて、彼は耳を傾ける。
「そして、第四の問題だが―前餅君。きみ、ガンダムやエヴァンゲリオンだとか、ロボットアニメを見たことがあるか?」
「は、はい?」
 い、いきなり話を振られてもっ。
「その様子では見たことがないようだな。解説しよう。知っての通り、これらはロボットアニメだ。主人公は、ロボットの操縦者になる事を強いられる。
 彼ら以外では無理だ、と。そして、その重圧に耐えられず逃げ出してしまう。……もちろんそのままでは話が進まないので、戻ったり、連れ戻されたりするんだが」
「は、はぁ……それで、先生。それがなんで第四の―」
 そこで、あ、と気付く。現状とロボットアニメの共通点を。
 彼女は頷き、答え合わせをするように言葉を発する。
「第四の問題点は、操者が彼しかいないことだ。暗殺や逃亡、病気、怪我……これらの問題が、致命的な問題になる。
 体の不調なら、根性でどうにかできるかもしれない。しかし、その根性の源である心が折れてはどうしようもないんだ」
 馬鹿は黙って聞いている。
 その通りだ、と思っているのか、俺の心は折れなんかしない、と熱血しているのかはさておき。
「今のところ分かっている雷轟衛の問題点はこんなところだな。では、第四の問題点の対策を今から伝える」
「……その前に、あの。一つ聞いていいでしょうか。なんで私を呼んだんですか?」
「そう。それだ。ちょうど、今から説明するところなんだ」
 ぴっ、とマニキュアのまの字すらないきれいな指先が私に向けられる。
「物理的、身体的な対策は、我々で対策可能だ。きみのような近しい人―家族や友人にはこちらでカバーするし、怪我や病気も最優先で治療しよう。
 だが、先ほども言ったように、心までは手を出せない。君も知っているだろうが、人はテンション次第で業績が上がったり下がったりするものだ。
 そして、この仕事は常に最高の結果を求め続けねばならない」
 そこで彼女はコーヒーを一口。白い喉がコクリと動く。
「カウンセリングでは足りない。もっと直接的なものが必要なのだよ」
「……あ、あの、やな予感がするので帰っていいですか?」
「却下だ」
 祭中先生は今日初めて笑顔を見せる。とびっきりだ。とびっきりの―最悪な顔だ。
「古来から、オトコが頑張る状況というのは決まっているんだ―女を守る時さ」
 横でド馬鹿が首をかしげている。そうなのか、と。
 ああもう馬鹿は本当に単純でいい。私はいつも苦労する……!
「そういうわけだ。前餅君、協力を―」
「全力でお断りしますっ!!!!」
 立ち上がった拍子に、椅子が飛んだ。
 元々ベッドのあった位置を抜けて、色々な薬品が入っていた戸棚にぶつかって派手な音が立つ。
「おい杏子、んな怒鳴るコト―」
「うっさいこのよーかん!!!」
「よ、よーかん!? 和菓子か!?」
「黙れ!」
「あーこらきみ、そんな風に言ってはいけないよ」
「誰のせいですか、誰の!!」
「……んー……」
 指差されたのは私だった。
「きみかな?」
 ―色々とブチ切れる音が聞こえたが、そこで殴りかかるほど子供でもない。
 ……殴りかかったら、先生、その事をモトに強請ってくるかも知れないし。
「失礼します。コーヒーご馳走様でした!」
 二人を完全に無視して、扉を思いっきり開く。
 廊下を巡回していた自衛隊の人がビビるのがさらに腹立たしくて、思わず威嚇した。
 ……学校を出た後で、コーヒー飲んでないな、と、そんなくだらないことに気が付いた。

468:覇我鬼神・雷轟衛 ◆1Bix5YIqN6
08/07/10 22:16:26 TiE8uWJm
/2.

 交通機関が麻痺しているから、基本的に移動は人力だ。
 普段はバスを使う道程を自転車で往復するには、ちょっとばかり普段の運動が足りなかったらしい。
 へとへとになりながらも家の前まで戻ってきた私は、しかし家に入らずそのまま通過した。
 ……根回しされてるかもしれないしなぁ。
 先生の言いたいことは分かる。よく分かる。なりふり構っていられないのが現状で、余裕なんて実際にはない筈なのだ。
「こうやって自転車に乗っていられるのもあいつのおかげ、かぁ……」
 ため息を吐いて、夕焼けの空を見上げた。青森と北海道の境界―津軽海峡を渡れずに亡くなった人もいるのに、と。
 雷轟衛の加速器では、日本全域どころか北海道全域のカバーすら不可能だ。
 罪悪感を抱くのは、間違いだろうか。
 ―昔。平和な日本という国にいて、地球の裏側で起こっている紛争なんて気にもしなかったのに。
「……状況が違うのは、言い訳にならないよね……」
 丘の坂道に差し掛かった。今の脚力ではとてもじゃないけれど昇りきれないので、自転車から降りて押していく。
 この丘の上には、雷轟衛が眠っていたらしい神社がある。しかし、そこまで行く気にはなれない。第一、雷轟衛が出現したときに壊してしまったと言うし。
 目指すのは、丘を蛇行しつつ登っていく坂道の途中、夕陽の見える場所だ。
 もう、六月も半ばだ。汗だくになりながら坂道を登っていく。
「…………」
 なんだって私が、と歯噛みする。
「……そんな役目。先生がやればいいじゃないですか」
 私がアイツの―
「―女になれって、言うんですか……」
 理由がない。全くない。全然ないし、存在しない。ありえない。ありえる筈がない。
 ……夕陽が妙に眩しい。
 目がくらんで、視界がにじんでしまった。
 ……最悪だ。本当に、最悪だ。
「嫌われたかな……嫌ってるって、勘違いされたかな……」
 人は人の言葉の裏を読む。
 私が逃げ出したあと、あの羊羹野郎は―『せんせーせんせー。結局第四の問題点の対策ってなんですかよ?』『ははは簡単サ。前餅君にきみの彼女にするのサ!』―などと会話するだろう。
 あんな勢いで拒否したんだ、立場が逆なら、私だって理由は一つか二つしか思いつかない。
 嫌いか、他に好きな人でもいるのか。
「……そんなわけ、ないじゃないか」
 丘の中腹くらいの場所。ちょうど木々が開けて、夕陽がキレイに見えるその場所に、到達した。
 自転車をガードレールに立てかけて、自らも腰掛ける。
「……あーあ」
 夕陽。影になり、鳥の編隊が行く。
 こんな所にくる人なんて、そうそういない。……一区切りも付いたことだし、吐き出すことにしようか。
 我慢をやめたら、編隊が光ににじんで消えた。
 へたり込んで、それをしばらく眺めていた。
 ……と、異音。
「うぅ……っ!?」
 脳を直接かき回すような不快な多重音だ。
 聞き覚えがあるどころの話じゃない。つい昨日も聞いたばかりの、悪夢の開始を告げる音。
 これは、空間が歪む音だ。
「『イブマ』が来る……!?」

469:覇我鬼神・雷轟衛 ◆1Bix5YIqN6
08/07/10 22:16:44 TiE8uWJm
 茜色の空が砕け、銀色が滴り落ちてくる。
 どろどろとしたソレは、透明な容器に収まって行くかのように、その形を確定させていく。
『オオオオオオォォォォォォム…………!』
「……っ!」
 空間が閉じきるのと、ソレが完成するのはほぼ同時。
 その姿は、まるで昔の巨大ヒーローモノに出てくる怪獣だ。
 恐竜を模した総銀のその身体は、大量のナノマシンで構成されている。
 戦車の砲弾も、戦闘機の機銃も爆弾もほとんど通じない―そんな化物だ。
 だけど、私たちにも対抗の手はある。
 学校、その校庭で轟音がする。
 雷轟衛―全高、およそ四十五メートル。樫家・洋巻駆る、稲妻を司る機械仕掛けの巨人だ。
「洋巻……!」
 目を袖で拭い、目を凝らして、少しぎこちなく動き出す彼を見る。
 雷轟衛は、一度胸の前で腕を交叉させ、一気に振り下ろした。
『ウゥウウラァア――!!』
 咆哮。
 前腕から、収納されていた刃が飛び出す。
 同時に発生するのは、背中、展開される八本の角からの雷光だ。
 ―『イブマ』のナノマシンは、技術レベルこそ高いものの、基本的には私たちの使うコンピューターと大して変わらない。
 ブロックこそされているが、強力な電撃を受ければ、焼き切れて機能を停止する。
 それが、雷轟衛が彼らを倒せる理由だ。
『ヲォオオオオ…………ム!』
 二つの巨体が雄叫びを上げ、―戦闘が、開始される。
 先手は銀の巨獣。
 走り出し、自らの身体を砲弾に変え、雷轟衛へと投射する。
 しかし雷轟衛はそれを避けず、背からの雷撃で迎撃する。退かぬ、と。
「わっ……!」
 豪雷。
 巨獣は射抜かれ、その足を止める。
 そこに、雷轟衛は吶喊する。
『ドラァア――!!』
 雷轟衛の腰から燐光が出る。加速の光が。
 両腕から伸びるは剣、近距離戦用の、雷撃発生装置―!
 吶喊は突貫を。
 アッパーのような打ち抜きで、雷轟衛は稲妻を巨獣に叩き込んだ。
『ヌヲォオオオオオ…………!!』
 どろどろと、巨獣が溶けていく。
 しかし、解けきる前に巨獣は動いた。
 牙だ。
『ガァアアアアア――!』
 強靭な顎によって、雷轟衛の肩が砕ける。
「あ、」
 稲妻はいまだ、巨獣を貫いている。
 だが、巨獣も倒れず、雷轟衛の肩を砕き続けている。
 考えてみれば、当然だ。
 電撃に対する防御を高めてくるなんて。
 防ぎきれてはいないけれど、確実に、先日のそれより電撃の効果が薄い。
 負ける、と、弱音が来た。いつか、彼は負ける、と。

470:覇我鬼神・雷轟衛 ◆1Bix5YIqN6
08/07/10 22:17:01 TiE8uWJm
「……ひぁ」
 視界が、再度歪む。
 その瞬間だ。
 背後から、こつ、こつとハイヒールの足音が聞こえてきた。
「……やあ。見つけたよ、前餅君」
 振り返ることができない。
 涙を見せたくないから。顔を見せたくないから。何より―あの戦いから、目をそらしたくないから。
「さっき言った、第四の問題点、その解決手段。これは、諸刃の剣でもあるんだ。たとえばきみ、小さい頃、親しい人から嫌いと言われて落ち込んだことがあるだろう? 恋人とケンカしたら、誰だって落ち込むものさ」
 そこで彼女は言葉を切る。
 代わりに聞こえたのは、きん、と火花が散る音だ。
 タバコだろうか。このご時世では結構貴重品だろうに、先生は味わう様子もなく言葉を続ける。
「しかし、きみなら―と、思ったんだがね」
「そうでしょうか」
「そうだよ。きみが去った後の彼の顔と言ったら、もう、この世の終わりのようだったね」
 くつくつ、と、祭中先生は笑う。
 にじむ視界の先では、いまだに戦闘が続いている。
 叫び、荒れ狂うように、しかし足元に気をつけながら。
 被害を出さぬように、時には地をかばうような動作をしながら、だ。
 ……そうかも、しれませんけど、と。胸にある信頼が―もうちょっと夢見がちな言い方をすれば、『絆』が―言う。
 巨獣が、その対電限界を超えたのか、盛大に溶け始める。
『ヲヲヲ……ォ……オ…………』
「……どうやら終わったようだな。今回は実験か」
 ふ、と息を吐く音が聞こえた。
「そもそもこの侵略自体が実験じみたところがあるが……まあ、次回はそれなりに戦力を用意してくるだろう」
「……大丈夫でしょうか」
「どうだろうかなと言いたいところだが、今の雷轟衛―」
 雷轟衛は、ボロボロだ。
 格闘戦の結果、左腕はほとんど機能を失い、右腕の剣は折れた。背中の雷雲発生器も、数本折れてしまっている。
「―否。樫家君では、おそらく次の戦闘では勝てん。生き残るとしても、雷轟衛はしばらく動かせなくなるだろう。……それでは、我々の負けだ。今回も自衛隊はほとんど活躍していないしな」
 祭中先生は、事実を語る。間違いのない、事実を。 
 彼女はタバコを吸い、唐突に話を変える。
「彼のカウンセリング―まあ、心理テストの類なんだが、そのテストは私が行った。……彼は正義感と言うものが薄いんだよな。その彼が逃げ出しもせずにいる。―なぜだろうね?」
 返答を待たず、彼女はこつこつと足音を立て、どこかへと歩いていく。
「早く家に帰りなさい。治安は比較的いい方だけど、何があるか分からないからね」
「…………」
 返事を返さず、私は雷轟衛を見続ける。
 街を守るためにボロボロになった―はずの、雷轟衛を。


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