【友達≦】幼馴染み萌えスレ15章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ15章【<恋人】 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
08/03/18 03:34:19 fKITsEks
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気の強い娘がしおらしくなる瞬間に… 第8章(派生元スレ)
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--------
次スレはレス数950or容量480KBを超えたら立ててください。
では職人様方読者様方ともに今後の幼馴染スレの繁栄を願って。
以下↓


3:名無しさん@ピンキー
08/03/18 06:59:00 yqdbiOWd
>>1
おーつ!

4:名無しさん@ピンキー
08/03/18 08:13:44 ZnMTrLNN
>>1
乙。
このスレでも良作が投稿されるといいなぁ。

5:名無しさん@ピンキー
08/03/18 08:40:07 S0EUq60S


6:名無しさん@ピンキー
08/03/19 00:59:00 OxAG8GbA
     r、       _
      | \  / /
     __|   H  /
   /:.:.>:.r‐r:.<:.\
  /:.:.:.:.レ:.:.:/:.:∧:.:|:.:.:.:.:\
  |:.:.|:.:.|:.:./!:./::|:ヽ!:.:.:.ヽ:.:.ヽ
  |:.:.|:.:.|:./::|/::::j:::::::ヽ:.:.:l:.:|:.:|   これは>>1 乙じゃなくて
  l:|:.|::.Y:::::::::::::::::::::::::|:.:.Nト、!   ブッ刺しプレイなんだからね!
  ヽ|:.|:.|         |:/ト:.|
   |:.|:.ト、 (二二{ ノ:.:.} リ
   ヽト:.:>ニr‐r</ |:.:/
   r<:::::::::〈_Y::::: ̄ス                       。
   | ヽ:::::::|  |:::::::::/ |ー-、.    ・ o っ o    _____
   | -'" ̄ ̄        ヽ ̄`/〃/ , "       ==- ____ ヽ
  /   /  ,、         ハ______________,.へ   ____
/    /   )         }.ミ::::::::::::::::::::::::::| |////////|    ヽ ==-
        /         ノ《~~~~~| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ア  /     ─
    /  ,,../         /,ミ` ──┘____   / /
! /   //         / ` 、ヾ・,. |   ==-   /  /      
 !  / /         /ー'"! っ  o        /  /      |\   
 | ノ  /         /   |  。 ゚|        |  {         j  ヽ
 |/  /        ノ     |    |__        ',  `ー―‐"  ノ
 |  /       /      ヽ、  ノ  ` - ._,;ー 、 ` ----------‐´ ____
 |  |      /         `ーー-  __ (  ヽ    ==─




7:名無しさん@ピンキー
08/03/20 06:16:24 P/5eG7wP
保守

8:名無しさん@ピンキー
08/03/21 00:27:17 xDUHqanJ
保守
即死は嫌だな

9:名無しさん@ピンキー
08/03/21 19:54:20 CcKzuuNa
即死かい日

10:名無しさん@ピンキー
08/03/21 23:28:42 Pinn6UMO
とりあえず保守

11:即死回避で投下
08/03/22 01:05:01 ADGhNPLr
ぱらり、とページをめくる音が聞こえてくる。
他の音といえばたまに体を動かした時の衣擦れだけで、それ以外に二人きりの部屋を乱すものはない。
何となく、畳に座って読書する幼馴染に視線を向けてみる。
ちょっと癖のある黒髪とやや鋭すぎる両目。鼻は低くもなく高くもなく、唇は薄め。
読書に集中している姿はそう悪くはないと思う。尤も、読書に限らず、何かに集中している彼は私の鼓動を早くするのだけれど。
ぱらり、と彼がページをめくる。
今読んでいるのは第二次世界大戦の架空戦記だったか。文庫にカバーをかけているので表紙からは判明できない。
私と彼はともに読書家であるとは自負しているが、読むジャンルは殆ど違う。私は恋愛物が殆どなのに対し、彼は面白そうなのは手当たり次第に読む。
乱読とも言えるが、その好奇心は正直羨ましい。恋愛という枠に捕われている私からすれば、特に。
ああ、でもミステリだけは苦手だと前にこぼしていたっけ。何でも推理という行為が絶対的に苦手だとか何とか。
物語を読む時は没入したいのであって、客観的に物語を読んで推理するという行為が苦手らしい。
そんな、妙に子供っぽい彼が唐突に可愛くなって、寝転びながら指先で彼の髪を弄る。
和室の癖に床で寝ると体が痛いという彼の為に、この部屋にはベッドがある。そのお陰で寝転びながらも彼の頭にちょっかいが出せた。
「……何だ?」
本から顔を上げ、やや物憂げにこちらを見てくる。
無口な彼ではあるが、私や家族に対しては何くれと口を開く事は多い。
今の行為も、もしも友人程度の人間がやったならば、視線だけで問い返していただろう。
それが嬉しくなって何となく笑う。
「んー」
答えにならない返事を返す私をどう思ったのか、彼が逆隣にある机の上から品川巻を一つ取り出して私の唇に押し当てた。
醤油と海苔の香ばしい匂いに口を開けて受け入れ、カリコリと噛み砕く。


12:即死回避で投下
08/03/22 01:06:39 ADGhNPLr
高校二年生にして薄味が好みという彼は、菓子もこういった和菓子等を好む。
一時は爺むさいなどと揶揄されて幾らか考えたようだったが、結局は変らずに食べていた。
因みに好きなおかずは鶏肉のあんかけ、八宝菜、ナスと豚肉とシソの炒め物。どれも私が作るものだ。
苦手なものは主に魚介類で、味ではなく食感が苦手。特にタラコやイクラ、ウニなどが苦手である。
けれど客先で出された場合は礼儀としてそれをおくびにも出さずに食べる事は出来る。
ただ、寿司自体はは好物の一つ。
そこまで思い至ってから、ふと聞いてみる。
「奏(かなで)ってさあ、私の好きなおかず知ってる?」
またも本から視線を上げてこちらを見てくる。
細く鋭い目に反して、その瞳の色は意外なほどに優しい。
唐突な質問の真意を図りかねているのか、幾らか瞳が揺れた後に口を開いた。
「豆腐料理、主に湯豆腐と焼豆腐。その他であればカレーやシチューなどの煮物。肉じゃがも好物に入る。苦手なものは脂っこいもの、豚カツやから揚げ等。ただし、俺が作る同じ物は含まれない」
僅かに首を傾げて答えの是非を問うてくる。
うん、正解。
くしゃくしゃと頭を撫でると、くすぐったそうに目を細めた。
「で……何の試験なんだ?」
「別にー。奏が私の事理解してくれてて嬉しいだけ」
撫でるのをやめてごろりと寝転ぶ。
その頬に、彼の指の感触が伝わってくる。
赤ちゃんをあやすように、指の腹でくすぐってくる。
お互いに幼児をあやすような行動は、だけど二人の間ではいつもの事だった。


13:即死回避で投下
08/03/22 01:07:44 ADGhNPLr
それが、御堂奏(みどうかなで)と立花閨(たちばなけい)の在り方なのだ。
義姉の鈴歌(すずか)さん等は、どうにも生温い目で見てきたりはするのだけど。
そういえば、家族にでも彼はあまりこうやってじゃれあったりしない。
これは私だけにする事と自惚れていいのだろうか。それとも―
「ねえ、他の人にもこういう事するの?」
声が震えなかったかどうかは分からない。手の震えは、彼の指をきつく握り締める事で誤魔化した。
質問にか、或いは指の締め付けにか、彼が嫌そうな顔をして私の目を覗き込んで来た。
「分かってて言っているのなら、お前には悪女の素養があると思う」
彼の表情の意味を理解して、私は指の締め付けを緩くした。
彼は質問でも締め付けでもなく、その事を私が理解していないという事実に嫌な顔をしたのだ。
相手が自分を理解していないという、ともすれば傲慢な感情は、しかし私には嬉しさだけを呼び起こさせた。
「んふふ、だって奏は実は内気だものねえ。奏のペースに付き合えるのって私ぐらいだもんねえ。ふふふ」
笑いながら、彼の指と自分の指を絡ませて弄ぶ。
彼は相変わらずむくれたように唇を噤んでいる。
そんな拗ねた顔の彼に、なおも笑いながら頬をつつく。
つぐんだ唇はそのままに、けれど嫌がりもせずにその好意を受け入れる彼。
こういう時に思う。
私は彼が好きなのだ、と。


14:即死回避で投下
08/03/22 01:08:17 ADGhNPLr
即死回避で投下してみました。
続きは書きたいけど、まったく書けてない。

15:名無しさん@ピンキー
08/03/22 01:15:40 kwtMIs0V
>>14
超GJ!
続きを待ってますっ

16:名無しさん@ピンキー
08/03/22 01:16:15 xT3ofO35
>>14
よかった。奏がかわいいね。
良い続きが書けて投下してくれるよう祈ります。

17:名無しさん@ピンキー
08/03/22 03:46:01 hbfUfnp2
>>14
(口から黒砂糖を吐く)

18:名無しさん@ピンキー
08/03/22 04:47:39 cuknJhSh
前スレ埋まったみたいだな。

それはそうと>>14GJ!
砂糖けぱぁー!

19:名無しさん@ピンキー
08/03/22 08:21:32 56cded/E
>>14
GJ! 気長に続き待ってます

20:名無しさん@ピンキー
08/03/22 23:09:01 cuknJhSh
さて……温泉はまだかな……

21:名無しさん@ピンキー
08/03/23 00:16:21 BR13ePxU
>>20
ふと、「温泉まだかなー」とか二人で小旅行する幼なじみとか思い付いた

22:名無しさん@ピンキー
08/03/23 00:19:14 HIPw96Cf
>>21
そういうこと言うから書きたいネタばかり増えて書き上げられなくなる……


八つ当たりですね、すみませんorz
書きたいけど書けない、困ったもんだ

23:名無しさん@ピンキー
08/03/23 05:50:34 XWZ63xzH
>>21ネタで超即席で書いてみましたよ
携帯で一晩で書き殴ったので改行などお見苦しい点あるかもしれません、ご容赦の程を

24:即席・鈍考列車
08/03/23 06:03:08 XWZ63xzH
景色が流れて行く。
窓際に座った利恵はずっと首を右に向けて動かなかった。口も利かない。

金は無い癖時間も暇もある俺達だから、安く遠出して日がなゆっくり出来る場所を探すと自然と行き先はそうなる。
博多から出てすぐの半端な駅から乗るこだまの自由席なんてがら空きに決まっていて、棚に二人分の小荷物を上げる。
俺達より他誰も乗ってこない通路を塞ぎながら、利恵が奥へ行くのを待った。

「…………窓際、行かないの?」

大層不思議な顔をして言うから、二人して黙り込んで突っ立っていた。
俺よりもずっと大人なこの馴染がどういうつもりでそれを言ったのかは大方わかるけれども、
その大人が子供と同じほどはしゃぐ事もあることぐらい子供の俺でも読み取れる。
相手が利恵ならなおのことで、間もなく列車が動き始めて、ほら危ない、さっさと座りなとその目新しい靴を窓際に歩かせた。

自分の土地から離れて行く景色というのは得てして飽きない。
もれなくそうであろう利恵の、綺麗な艶のある黒をした髪の落ちる後頭部を見つめながら考えていた。
目的地まであと三時間あって、乗り合わせた駅を出てから四時間ほど経っている。
その間これは振り向くことも口を開くことも舟をこぐこともせず、ただ、ただ窓を眺めていた。

顎をさすると切り傷が痛い。
こう長く、常に一緒にいるというので張り切って念入りにやったのが仇だった。
しかしこれほど景色に夢中というのなら、利恵に見られる心配もない。何やらわからない溜め息を一つついた。

実に下らない話だ。しかし心配でたまらない。
温泉宿に向かうのだ。二人で。二人きりで。
部屋は一つしか取っていないし、向こうに着くのは夕方である。宿に入って汗を流して、夕飯を済ませばもう夜だ。
女の子は皆耳年増等と言うけれど、童貞の俺には確かめるべくもない。
しかし十余年幼馴染をやってきて、近くやっと互いの気持ちに気付く事が出来てこの切符を買ったのだ。
何がしか変わるに違いない。その確実に訪れる変化の前に俺は不安でしょうがなかった。

25:即席・鈍考列車
08/03/23 06:06:25 XWZ63xzH
確かに普段のお前はそうおしゃべりではなくて、話すことが無ければ黙っている奴だ。
しかしこれから向かう旅館がどんな部屋なんだろうねとか聞いて、俺がネットで見たけど
綺麗だったよと答えて笑い合うとか、一つはそういうのがあっても良いのではないか。
幸いこの年までにきび一つ出来なかった顔に今朝刻まれたこの小さな傷さえ、どこかで俺を強ばらせる。

癖もないのに先程から全く飽きずに揺らさない髪を飽きるほど眺めて、
もう駄目だと腕を伸ばしたとき、ふっと利恵は言った。

「温泉、まだかなー……」

引っ込めた腕が髪を揺らした。気が付いて利恵が振り向く。目が合った。
その目は、まるで――。

「……まだ三時間もあるぞ。宿にも入らにゃいかんし、そう焦ってもしょうがないよ」

嬉しいような怖いような、あれこれとがないまぜになってわからないまま口を開くと、案外出たのは自然な言葉だった。

「焦ってなんかないよ」

駅名でも地名でもなく、温泉が楽しみだと。しかし焦ってなんかいないと、彼女は言った。

「嬉しくて、待ちきれないだけ。楽しみは、待ってれば来るんだから。別に焦ってなんか、ないよ」

さして気取ることもなく、再び窓の方に向き直りながら利恵は言った。

―ああ、やっぱり利恵は大人だ。いくらこっちが大人ぶって席を譲っても、
景色にはしゃいだのを見てにやけてみても、どうしようもなく利恵は大人だ。
待っていれば楽しみはやって来るのだ。それを利恵はわかっている。
焦りながら迎えに行くのではなく、ゆったりと待っているのだ。
今までだってそうしてきたのを、何故忘れていたのだろう。この景色だって、急に流れるのが速くなるわけではなかった。
同じスピードで走り続けて、時々ゆっくり止まることもあるだろう。いちいち時間をかけて止まり、そしてまたスピードを上げていく。
結局これはそういうもので、そうにしかならないもので、そして俺達はこれからもそうして行くのだろう。
いつしか俺の目線は利恵の髪ではなく、奥の窓を流れる景色に移っていた。

「…………楽しいな」

今度は俺の方から言葉を掛ける。

「……………………うん」

言葉少なに、でも俺達には十分な答え。
視界の横の髪が、少しだけ揺れた気がした。

26:名無しさん@ピンキー
08/03/23 06:09:56 XWZ63xzH
以上です。
ありがとうございました

27:名無しさん@ピンキー
08/03/23 07:19:53 BR13ePxU
>>26
あ、やべえほのぼのしすぎで二度寝しそう……
GJ!

28:名無しさん@ピンキー
08/03/23 09:31:18 lbrHanJK
幸せなほのぼの過ぎる雰囲気乙。そして、この後がとっても…気になります…

29:名無しさん@ピンキー
08/03/24 12:08:02 kfQM4B3F
さて、温泉はまだなのか。

30:名無しさん@ピンキー
08/03/25 04:06:38 7zKIr5Xq
幼馴染みを作るためにタイムマシンが欲しい

31:名無しさん@ピンキー
08/03/25 06:14:13 y6IQNn7y
プロポーズ大作戦みたいなノリか

32:名無しさん@ピンキー
08/03/25 11:38:42 RTuYRw8I
デュークエイセスの「おさななじみ」は、このスレ的に国歌だと思う今日この頃、

他にもお勧めの曲ってある?

33:名無しさん@ピンキー
08/03/25 12:24:56 mwr/KKXp
個人的にはロックマン8のEDだった「Brandnew Way」かな
当時はまってた漫画の幼なじみの二人と重なった歌詞だったから印象に残った

34:名無しさん@ピンキー
08/03/25 15:34:34 LXBtJe54
幼なじみってか郷愁だけど、FF5の「親愛なる友へ」もいいと思うんだ

35:名無しさん@ピンキー
08/03/25 18:53:09 bvH0FGqz
FF5!!!!!!
オレ、あの主人公の生まれたリックスの村の幼なじみがサイコーに好きなんだ・・・

「バッツ!!
 帰ってきたのね!
 私…
 ずっと待って…

 ねえ!
 旅が終わったら私の話を聞いてくれる?」

もう村娘最高ですよ! スマン、もういっかい低レベル攻略してくるッッ


ちなみにお勧めの曲はないけど、最近聞いた中じゃ川本真琴の1/2に意外とナジミっぽいフレーズが少しだけあった。

36:名無しさん@ピンキー
08/03/25 19:43:44 ZQK1ssjM
>>35
お前は俺かww
FF5はあの娘との後日談イベントを妄想してしまうわ
世界中を旅する主人公を健気に待つ女の子とかツボすぎる
次元の狭間に吸い込まれた町が元に戻って本当によかった

37:名無しさん@ピンキー
08/03/25 20:05:09 LXBtJe54
5のSSだと、バッツの相方としては三番目くらいによく見るなぁ。
クルルは全く見ないがなんでだろか。

小さいころは喧嘩友達。
しかし旅から帰るごとに逞しくなるバッツ。きゅんきゅん直前でドルガンが死に、バッツは長い旅に出る。そこで自分は彼が好きだったと気付くが、次に彼が帰って来たときには掛け替えのない仲間(※ガラフは視界に入ってません)が……!

……うん、妄想のキレがイマイチだ。

38:名無しさん@ピンキー
08/03/25 21:23:43 bvH0FGqz
>>37
おまえ十分妄想しすぎだろw

しかしバッツって覚えたアビリティを幼なじみに教えたりするのかな?
なんつーかFF5のアビリティってエロいんだよな

「とらえる!」とか
「かくとう!」とか
「ためる!」とか
「みだれうち!」とか
「はなつ!」とか

「のむ!」というのは流石に『バッツ!! やりすぎじゃ!』という感じかもしれないが
愛があって良い。それから「ちょこまかうごく」というのもテクニシャンだな

「うたう!」にしても「ほら、もっといい声で啼いてみろよっ」「ええ、わかったわ! バッツ!!」
みたいな感じでさ?



なにが言いたいかっつーと、おまえらFF5のプレイし過ぎには気を付けろってことだ

39:名無しさん@ピンキー
08/03/25 21:47:44 ZQK1ssjM
>>38
アビリティはクリスタルの力を借りて手に入れたジョブによる能力だから
クリスタルの欠片がないと使えないんじゃないだろうか

個人的にはFF5はシリーズ最高傑作だ。システム的にもストーリー的にも
でもそろそろスレ違いなので自重するわw

40:名無しさん@ピンキー
08/03/25 22:24:19 nXkX8X5F
>>32へのお勧め案。

>>24からののSS「鈍考列車」は
URLリンク(www.crownrecord.co.jp)
の栗コーダーカルテット『アンソロジー』
01.「仔犬のテーマ」(上記リンクで試聴可)が合うと思う。

41:名無しさん@ピンキー
08/03/26 00:22:52 g3va+kW+
俺、小学生のときに幼馴染にプロポーズしたことあるんだけど
そのネタで小学校で「あいつが私にwぷぷぷ」って6年馬鹿にされ、
中学校で3年馬鹿にされ、高校でも3年馬鹿にされ
今だに夕食の時に馬鹿にされる


42:名無しさん@ピンキー
08/03/26 00:25:57 D6xNNv4S
>>41
まあ…ご愁傷様




と思いきや…え?最後何て?

43:名無しさん@ピンキー
08/03/26 00:32:22 kc9iWBAc
>>41
すごく羨ましいです。
12年間の中でよい幼馴染イベントがあったら教えてくれないか?

44:名無しさん@ピンキー
08/03/26 00:33:57 69XzCia/
>>41
禁止スレと推奨スレの住人だな?w

45:名無しさん@ピンキー
08/03/26 00:35:50 uLg8dhxm
というか41って、その、アレだろ?

46:名無しさん@ピンキー
08/03/26 05:25:58 m74JuDyo
職人さんが>>41をSS化してくれるの待ち

47:名無しさん@ピンキー
08/03/26 07:12:13 X2X7kXIS
>>46
おk、やったろうじゃないか。
規制されてるんで携帯だが。

48:名無しさん@ピンキー
08/03/26 08:03:06 VOP+8puV

【表現規制】表現の自由は誰のモノ【89】
スレリンク(news2板)


49:名無しさん@ピンキー
08/03/26 11:46:18 I1ZRcq+l
>>47ではありませぬが、即興を投下
長い……というか改行が多いので二レスに分割します
読みにくいのは仕様です、すみません
では開始

50:名無しさん@ピンキー
08/03/26 11:50:49 I1ZRcq+l
「お、おれ、かなこのことが好き!」
「ふぇ?」
「け、けっこんしてください!」
「……んー」
「だ、だめか?」
「……んー」

~小学校時代~
「……って、こーたがわたしに言ったんだよ」
「えー、いいないいなー」
「こーた、おまえかなこちゃんとけっこんするのか?」
「な、なんでみんなが知ってるんだよ!?」
「えー、かなこちゃんが教えてくれたよ?」
「『おれー、かなこのことが好きー』」
「『けっこんしてくださーい』」
「「……はずかしー」」
「な、なんだよー、バカにすんなよ!」
「ねぇねぇ、お返事どうしたの?」
「聞きたい聞きたーい」
「んー?それはね……」

~中学校時代~
「……って、こーたが私に言ったんだよ」
「へー、森山くんが」
「……考太、恥ずかしいぞそれは」
「ばっ、お前、だからそれを言うなって!」
「いいじゃん別に。減るもんじゃなし」
「『おれ、かなこのことが好き!』ときて、」
「『けっこんしてください!』ね。」
「「……うわー」」
「お前らぶっ殺す!待て逃げんな!」
「で、返事とかしたの?」
「あ、ちょっと聞きたい」
「んー?返事はね……」

51:名無しさん@ピンキー
08/03/26 11:53:33 I1ZRcq+l
~高校時代~
「……って、こーたが私に告白したのよ」
「……加奈子ぉ、それ何回目よ」
「もうお前らさっさとくっつけよ」
「……まだ言うか、お前は」
「何回も聞かされるのは、ちょっとねー」
「何だっけ、『おれ、かなこのことが好き!』で」
「『けっこんしてください』だろ?」
「「……うぜー」」
「俺じゃねーよ……かなこに言えよ」
「で、返事はどうしたんだっけ?」
「まぁ、オチも覚えちゃったけどね」
「んー?ふふ、それはー……」

~そして今~
「って、パパが私に言ったのよー?」
「へー、パパカッコいいー」
「すごーい」
「……お前、子どもにまでそれを言うか?」
「いいじゃないの別に。こっちは楽しいわ」
「『おれ、かなこのことが好き』」
「『けっこんしてください』か」
「「……ひゅーひゅー」」
「親連合は黙ってろ」
「ねー、ママはなんておへんじしたの?」
「聞きたい聞きたーい」
「えー、それはね……」

うん!わたし、こーたのおよめさんになる!

52:名無しさん@ピンキー
08/03/26 11:56:10 I1ZRcq+l
以上です
読みにくいにも限度がある……誰が何言ってるかわからないな、これ
どうか笑って流してやってください。
さて逃げるか

53:名無しさん@ピンキー
08/03/26 12:05:01 KYbFOOxL
かわいいなwなんか微笑ましいぞ

54:名無しさん@ピンキー
08/03/26 12:18:06 zNPsTS2l
いつまで経っても男の事を「こーた」って呼んでる加奈子萌え

55:名無しさん@ピンキー
08/03/26 17:47:01 4uevTg+d
>>52
親連合に笑ったw

さてこんなに幼馴染みを愛してる俺には、幼馴染みがいない…

世界は何て理不尽だ…

56:名無しさん@ピンキー
08/03/26 19:36:57 ujcxBPir
田舎に住んでたから小中高一緒の幼馴染なんて
野郎除いても12人くらい居るぜ。(うち一人は大学の学部も一緒)

とくにイベントなかったけどな!



57:名無しさん@ピンキー
08/03/26 20:47:23 u8I79n8J
>>52のせいで幼馴染みに目覚めたかもしれない…

58:名無しさん@ピンキー
08/03/26 21:56:42 yH10yEP9
神様、ボクに幼なじみをください(´人`)

59:神様
08/03/26 21:58:35 zyvV62W4
ごめん、それ無理。

60:名無しさん@ピンキー
08/03/26 22:04:45 35/c228C
「生まれて初めて会う幼馴染」という言葉を思いついてみました


61:名無しさん@ピンキー
08/03/26 22:10:06 mFjFN4dp
>>60
顔を合わせれば口喧嘩が始まるような間柄。
でも彼女が中学の制服に袖を通したとき、
俺は生まれて初めて『彼女』に出会った。


こういう解釈ですがいかが?

62:名無しさん@ピンキー
08/03/26 22:15:17 4uevTg+d
>>59
神様、せめてラーメンが出来るくらいの時間は………(泣)

>>60
難しいな……
『引っ越してきた隣の家の少女が重い病でずっと遠い場所で入院していて、
隣家の両親に頼まれた主人公が手紙を使って慰める→数年後病から
回復した少女と初めて顔を合わせる』
というシチュしか思い付かん……

63:名無しさん@ピンキー
08/03/26 22:26:51 EzGwfuY1
主人公が記憶喪失ならいいんじゃね?

64:名無しさん@ピンキー
08/03/26 22:36:30 zyvV62W4
「……えっと、君が……神崎、由美香、さん?」
「何だか他人行儀だなぁ。いつも通りユミちゃんでいいよ、タロ君」
「……え、あ、うん……ユミ、ちゃん、だよね?」
「うん! こういう場合も、やっぱり初めまして、なのかな?」
「ど、どうなんだろ……?」
 僕には、物心ついた頃からとある手段で連絡を取り合ってきた、女の子がいた。
その手段というのは……まあ今時は珍しいかもしれないが……手紙だ。
 物心ついた頃……だから、四歳くらいからかな?……それから、十八になる
今日この日まで、僕は彼女と……神崎由美香と、週に一回は必ず手紙のやり取りを
していた。俗に言う文通という奴だ。
 なにせ物心ついた頃からやっていたことなので、習慣づいてしまってたというのも
あるんだろうけれど……あとは、引っ込み事案で、あまりお喋りをするような友達に
恵まれなかったという事もあるんだろうけど……僕は特に疑問を抱く事もなく、
それどころか毎週楽しみに、彼女と……顔も知らない彼女と、手紙のやり取りを続けていた。
 その週にあった出来事を色々と書き、嬉しかった事、悲しかった事を綴り、それに
返事が来るのが酷く嬉しくて、彼女に返事を出すのが酷く楽しくて。
 そして、それは……彼女も同じだったのだろう。
「じゃあ……初めまして、楠木太郎君!」
 初めて見る、彼女の顔。そこに浮かぶ笑顔が、僕にそう教えてくれていた。
「あ、うん……初めまして……ユミちゃん」
 釣られて笑いながら……僕は、彼女が差し出した手を取り、初めて彼女に触れた。
 

>>60
というのはどうだろう。

65:名無しさん@ピンキー
08/03/26 22:38:00 JDOuS71W
やっぱりメールや手紙でのやりとりが主体になる気がする。

そういう意味では外国人の幼馴染なんかもアリかもしれないなぁ。

66:名無しさん@ピンキー
08/03/26 22:39:11 zyvV62W4
>>65
キャサリンに実際会ってみたら香澄さんでした、という謎電波が来たけど気にしないでくれ。

67:名無しさん@ピンキー
08/03/26 23:12:07 KYbFOOxL
>>66
香澄と聞くと秋篠香澄しか思い浮かばない…あ、幼馴染み関係ねえや

68:名無しさん@ピンキー
08/03/26 23:35:58 e/JbSq46
>>67
俺も。

69:名無しさん@ピンキー
08/03/26 23:50:20 KYbFOOxL
まさかの同志ktkr

…レベリオンだよな?

70:名無しさん@ピンキー
08/03/27 02:00:35 nDNeVR0j
>>41
これ、ネ実でも見たぞw

71:名無しさん@ピンキー
08/03/27 02:06:26 nDNeVR0j
スレリンク(ogame板)
ちなみにこのスレ

このスレ向きのネタも結構あるかもねw

72:名無しさん@ピンキー
08/03/27 03:25:01 AGYi02et
「なぁ幼馴染っていいよなぁ~。」
「手前は漫画とラノベとゲームの影響を受けすぎだ。」
全く、『幼馴染萌え』というのは結構だが、俺にそれを押し付けられても困る。
大体、漫画やラノベの幼馴染ってほとんどが甲斐甲斐しい才色兼備か、自堕落な無防備娘。
そりゃあそんな娘が幼馴染だったら俺も奴の言葉に賛同してやら無くは無い。
本当にそうなら声を大にしていってやるよ。幼馴染ってのはイイモンです、ってね。
「笹川くん。峰岸さんが来てるわよ~。」
だがな、お前ら。幼馴染ってのはそんな羨ましい存在ばっかりじゃないんだぞ。俺は知っている。
「あ、あぁ今行く。」
少なくとも俺の幼馴染と呼ばれる相手はそういうイイもんじゃない。これだけは自信を持っていえる。
教室のドアの向こう。偉そうに突っ立って、俺より身長が低いくせに見下してやがる。
「遅いぞ雄介。」
「一体何の用だよ。」
くそっ。年下なんだから敬語くらい使えよ全く!これだから最近の若い者は・・・
「・・・ふーん。雄介君は私に向かってそういう口の利き方をするんだ。」
「・・・。」
いくら凄んだって怖くない!怖くないんだからな!?あ、足?こ、これはその・・・・武者震いって奴さ。


73:名無しさん@ピンキー
08/03/27 03:26:14 AGYi02et
「まぁ、私はどうでもいいだけどね。君が昼食を食べれずにひもじい思いをしたとしても私は痛くも痒くも無い。」
ひょいっと見せ付けてきたのは
「あっ、俺の弁当!!」
「君も相変わらず馬鹿だねぇ。おばさんがわざわざ届けに学校まで来てくれていたよ。」
「ありがとよ!ほらよこせ。」
「嫌だね。」
「・・・なぁ瑞穂。お前は俺の年下で俺はお前の先輩なわけだ。」
「それがどうかしたの?泣き虫雄君。」
この野郎、昔の恥ずかしいあだ名を!!
「うっせえ、さっさと寄越せよ!!」
「怖い顔してるよ?せ・ん・ぱ・い♪」
あったまきた。もう殴る。マジ殴る!絶対殴る!!
「いい加減にしろよ!!このガキが!!」
弁当は俺の・・・っておおい!?俺なんで中に浮いてんのおおおお!!!????
「あがぁっ!?」
い、いてえ・・・背中が・・・超痛い。
「いつものことだけど女性に暴力はよくないよ雄介?」
黙れこのアマ。なに見下してやがる。その笑みは何だ!?
「まあおばさんの顔に免じて弁当はあげるよ。」
「緑と白の縞パンはいてるお子ちゃまがなにをぎゃがっぁ!!!!」
鼻が、目が、口があああああああああああ!!!!!
「それじゃあさよなら変態君。」
あれが俺の幼馴染の峰岸瑞穂。どうだ?これでもかって言うほど可愛くないだろ?


おしまい。

74:名無しさん@ピンキー
08/03/27 05:12:46 ex9OjW/p
>>73とんでもない家内関白だな。だがそれがいい!こんな暴力幼馴染みも最高だな。
 
で…続きは?もし無いと言ったら、幼馴染み作るために作っている、十年後に完成予定のタイムマシン(一方通行です。現代には戻れません)に>>73だけ乗せないぞ。

75:名無しさん@ピンキー
08/03/27 08:07:10 G+O6xYR7
香澄で沢渡香澄と反応する私はもう若くない


76:名無しさん@ピンキー
08/03/27 08:31:03 tQ+f0325
>>71
読んでて死にそう
>>72-73
いいねいいねー
端から見る分にはとても仲良しに見えるんだろうな……

77:68
08/03/27 09:08:19 lG1KolRA
>>67
初めて読んだラノベがレベリオンだった。引っ越す時に全部のラノベ売ったら1万円超えてた。
ラ板にはもっと凄い人が居るだろうけど。

78:名無しさん@ピンキー
08/03/27 15:31:44 MbG+m9OP
俺は藤堂香澄だった。

>>74
それ、おっさんが過去に戻るだけで終わりなんじゃないか?

79:名無しさん@ピンキー
08/03/27 15:35:52 U5Wm07Q/
へへ……
俺、将来、田舎に引越しして、たくさんガキ作るんだ……
近所付き合いもきちんとしてさ……
俺は、無理でも……せめて、俺の子供には、幼なじみ、を……

80:名無しさん@ピンキー
08/03/27 21:04:27 4yf3d2lK
>>75

懐かしい
香澄の友達が幼馴染みでくっついたよね

あの漫画は大好きだったわ
星の欠片がほしいです

81:名無しさん@ピンキー
08/03/27 22:20:49 L6zNvrGL
>>79
死亡フラグ立てるなw

82:名無しさん@ピンキー
08/03/28 00:01:29 tQ+f0325
今回、初の長編に挑戦
別の言い方をするなら「ゴメン長くてまとまらない」
>>63にインスピレーションを受けたが、馴染み分が薄くなったような……
まぁとりあえず投下。嫌な人はタイトルをスルーで

83:幼なじみとなくしもの
08/03/28 00:06:00 pI7YjCh7
最初に目に入ったのは、白い天井だった。
どうやら眠っていたらしい。
身体を起こそうとすると、なぜかひどい痛みが襲ってきた。
それでもやっとこさ上半身を起こすと、左足が吊されているのが目に入った。
「……あれ?」
部屋を見回す。
白い壁、白い天井。対面にはベッドが二つ。どちらも白くて清潔な感じ。
まるで病院の一室だ。少なくとも俺の部屋ではない。
いや、そもそも『俺の部屋』はどんな……
「あ、起きた」
隣から声がかかる。左を向くと、ベッドがもう一つ。
俺と同じような姿勢のパジャマ姿の女性が一人、こっちを向いて会釈してきた。
「こんにちは」
「あ、ども」
簡単に挨拶を返す。
女性は頭に包帯を巻いていた。そこ以外は見た目に外傷などはない。
俺はそのことに安堵し……なぜだ?こんな女性を俺は知らない。
いや、それ以前に……

「あの、ここは?」
疑問をそのまま口に出す。女性も少し首をかしげながら、
「病院だそうです。あなたも事故にあわれたそうですよ」
と教えてくれた。
「え、『あなたも?』」
「わたしも同じ事故にあったみたいです。よくわからないんですけど」
ちょっと困ったように微笑む女性。事故ったことを覚えてないのか、この人は。
「あなたは?」
「え?」
「事故のこと、覚えてます?」
実は俺も、人のことは言えなかった。いや、俺の場合はもっとひどいかもしれない。
「いや、そもそも自分の名前がわからない」
「え?」
「いわゆる『記憶喪失』っていうのかもしれない。
 自分が誰かがわからないんだ」
言葉にすると、底知れない不安感が襲ってきた。世界に一人残された気分。
自分が誰かわからない。それがこんなに怖いことだなんて。
知らず、身体が震えていた。
「……よかった」
その言葉に顔をあげる。女性は本当に安堵したような表\情で、
「私も、そうなんです。奇遇ですね」
俺に向かって、微笑んでくれた。

一瞬、誰かの泣き顔が頭に浮かんだ気がしたのは何故だろうか。

84:幼なじみとなくしもの
08/03/28 00:10:19 pI7YjCh7
ほどなく、部屋に看護師さんらしき人が来た。
二、三の質問をされ、逆に俺も質問を返した。
それから体温を計られ、しばらく待つように言われた。

言われた通りにすると、今度は医者と思われる人物がきて、俺の状態が説明された。
曰く、交通事故だったらしい。
車にはねられた俺は左足を骨折、他にも打撲とか色々。どうりで節々が痛むと思った。
頭も打ったようで、記憶がないのはそれが原因かもしれないとのことだ。
ふと頭を触る。確かに包帯が巻かれていた。
「あの、彼女は大丈夫なんですか?」
「彼女?」
「俺の隣にいた……」
包帯で思い出した。あの女性も頭に包帯をしていたはずだ。
ちなみに彼女は検査を受けるとのことで、この場にはいない。
医者はそれでわかったのか、あぁ秋吉さんね、と言って、
「彼女は頭部以外に怪我はなかったよ。ちゃんと庇ったんだね」
と答えてくれた。
それから、もうすぐ親が来ることを伝えてから、医者は席をたった。

しばらくしてから、一組の男女が俺のもとへやってきた。40代後半といったところか。
やはり、記憶にない顔だった。残念。
女性は俺の母だと言った。わざわざ母子手帖まで持ち出してきて、俺への証拠とする。
その間、男性は黙りっぱなしだった。厳しい顔で俺を見ている。
「えー、とあなたが母さんですよね?」
今度はアルバムらしき物を取り出してきた『母』を制止し、尋ねる。
そうよそれともまだ信用できないなら今度はこのアンタの乳歯を
ものすごい勢いでまくし立てる『母』をもう一度止め、俺は男性を見る。
「落ち着いてください……じゃあ、こちらは父さん?」
俺としてはごく自然な発想だった。
一言も喋らないけど、わざわざ息子の見舞いに他人の男を連れて来ないだろう。
だが俺がそう言ったとき、一瞬空気が凍った、ような気がした。
男性はさっきより厳しい目でこちらを睨み付け、自称『母』は爆笑しだしてしまった。
「わ、私は認めんからな!絶対だ!」
ものすごい剣幕で怒鳴られた。何をだ。
笑いながらも女性が男性をなだめる。俺の状態を思い出したのか、男性はスマン、とだけ言った。
『母』の話によると、『父』は仕事でどうしても来られない、とのことだった。
電話越しでも本当に申\し訳なさそうだったと言われ、逆に気まずくなる。
……どうせ会っても、俺には誰だかわからない。
それはともかく。ではその人は、と聞こうとしたとき、扉が開く音がした。
見ると、あの記憶喪失の彼女が戻ってきたところだった。
「あ、」
「モミジ!」
声をかけようとしたら、男性に先を越された。
男性は彼女のもとに駆け寄り、いきなり抱きしめた。
「心配したぞ!あぁ、よかった。無事で本当によかった。
 そうだ、ケガはないか?いや、頭を打ったのか!
 大丈夫、心配するな、父さんがついてるからな、とにかく落ち着くんだ」
「あ、あの、え?」
ものすごい勢いでまくし立てる男性と、何が起こってるかわからない彼女。
ポカンとして見つめていると、『母』こっそり耳打ちしてくれた。
「あの男の人は、あの娘のお父さんなの」
なるほど、そういうことか。すごく親バカな雰囲気がある。
あの娘のお婿さんは大変でしょうね、
と何故かいじわるそうに笑ってから、『母』は男性を止めにいった。
……寒気がしたのは気のせいか。

85:幼なじみとなくしもの
08/03/28 00:15:36 pI7YjCh7
二人が帰れば、部屋にいるのは俺と彼女だけとなる。
さて、親である先ほどの人々の話を総合すると、
「知り合い、だったんですね」
先を越された。俺が言おうとしたのに。
「それも、かなり昔からの」
どうやら、そういうことらしい。

とりあえず、俺の話から。
俺は氷川 亮平(ひかわ りょうへい)。20歳の大学2年生。両親は健在。
どうやら俺は一人暮らしをしているようで、今は夏休みということで戻ってきていたらしい。
さっきの女性は母親の静子(しずこ)さん。
俺のことを色々教えてくれたが……何故幼稚園時代の思い出まで語るのかまでは言わなかった。
自分のこととはわからないが、すごく恥ずかしかったぞ。
……まぁ、それはともかく。
次は隣の彼女のことだ。
秋吉 紅葉(あきよし もみじ)という名前の彼女は、どうやら俺の幼なじみらしい。
それはもう幼稚園時代からつるんで(?)いた仲で、高校まではずっと一緒だったとか。
彼女は大学は地元を受けたようで、それからは疎遠になったらしい。
同じ事故に巻き込まれたことについては、親である二人にもよくわからないとのことだ。
二人とも、「出かける」としか言わなかったからだという。
つまり俺は親に内緒で彼女に会っていたのだろうか。しかし、なぜ。
「……私たち、いったい何をしてたんでしょうか?」
同じような疑問を、彼女も口にする。彼女にもわからないのだろう。
「さぁな……」
だが、それを考えると、なぜかモヤモヤした気分になる。
わからないのに、苦しい。
そんな気分を晴らしたくて、俺は軽い口調で言った。
「まぁ、大事なことならそのうち思い出せるさ」
「そう、ですよね」
彼女も困ったように、でも暗くはない声で同意してくれた。
「とりあえず、これからよろしくな。えーと……」
「紅葉、でいいです。昔からそう呼ばれてたみたいですから」
「そう、じゃあよろしくな、紅葉」
「はい、亮平さん」
「……あー、いや、お前も亮平って呼んでくれ。昔からそうだったみたいだし」
「あ、そうか。よろしく、亮平」
そう言って微笑む彼女を見ると、なぜか気分がやわらいでいく。
記憶をなくす前の俺は、きっと幸せ者だったんだろうな、などと思った。

こうして、俺たち二人は幼なじみとしてではなく、赤の他人として、再び友達になった。
自分のことはまだわからないけど、それも悪くはないと思えた。
そう、このときの俺は何も考えていなかった。
大事なことならそのうち思い出せる。
半ば本気でそう思っていた。
だから俺は一つ失念していたんだ。

大事でも、思い出したくないことだって、人にはあるということを。

86:名無しさん@ピンキー
08/03/28 00:18:16 pI7YjCh7
とりあえずここまで
あ、あれ、投下分だけなら全然長くないよ?幼なじみ分どこー?
……導入部で引きとかある意味ダメだとは思いますが、続きはまた近日中に必ず
とりあえず、生暖かい目で見守ってください
さて逃げるか

87:名無しさん@ピンキー
08/03/28 00:43:22 wjrJ4LzM
なんか切ないなあ…
続きwktk

88:名無しさん@ピンキー
08/03/28 00:46:17 Wc41Rof6
>>86
逃げるなよw
全てうpしてからいなくなってくれw

89:名無しさん@ピンキー
08/03/28 01:09:46 /6iYo+sz
なあ、小さい頃から一緒にいてこれからもずっと一緒にいるのが理想の幼馴染だよな
つまり自分自身=理想の幼馴染なんじゃね?
さあ一緒に布団に入ろうか、今夜は寝かさないぜヒヒヒ

90:名無しさん@ピンキー
08/03/28 03:25:15 tsT/AhEk
>>89
目を覚ませェェェ!

91:名無しさん@ピンキー
08/03/29 02:15:46 uztCA1Lo
 某所で叩かれて一時期バッツリと筆がとまっちまったぜこんちくしょう……
 とりあえず細々と書いていたのを投下。久々の投下は怖いね。
 日本語おかしいとこあったらゴメンよ。

92:名無しさん@ピンキー
08/03/29 02:17:10 uztCA1Lo
『ゆうくんゆうくん』
『なに?』
『けっこんしよ!』
『……けっこんって、なに?』
『すきなひととね、ずっとずうっといっしょってこと。あたしゆうくんだいすきだもん』
『ぼくもゆりちゃんだいすき!』
『じゃあ、けっこんしよ?』
『うん!』
『じゃあ、やくそくのキス』
『……きす?』
『んとね、おくちとおくちをね、くっつけるの』
『んー、わかんないや』
『もう、ゆうくんはおばかさんなんだから。こうするの』
 ゆっくりと二つの小さな唇が一つになり、ゆっくりと離れる。
『……これで…ずうっといっしょ』
『ずっと?』
『うん、ずっと、ずうっとずうっといっしょ』
 
間─
 
『どうした?こんな時間に携帯で呼び出しまでして』
『はは……ちょっと、親とケンカしちゃって…朝までいさせてもらえない、かな?』
『俺は別に構わんが……お前なぁ……明日…いや、もう今日か……誕生日だろうに…なんと間の悪いこと……』
『自分でも……そう思う…はは、は……』
『とりあえず俺の部屋に行っとけ。飲み物くらい出してやるから』
『うん……』

93:名無しさん@ピンキー
08/03/29 02:19:22 uztCA1Lo
『ほれ、とりあえず茶でも飲んで落ち着け』
『うん……ありがと…』
『ま、理由は詮索しないがな、早いうちに仲直りはしとけ』
『………うん……』
 沈黙
『………はぁ…しょうがねえなぁ………ホントは夜に渡そうと思ってたんだが……』
 そう言って彼が押し入れから出したのは一抱えもありそうな大きな可愛い熊のぬいぐるみ。
『人の泣きっ面見る趣味はないんだ。ほれ』
『……ぇ?…』
『プレゼントだよ。誕生日プレゼント。こういうの、好きだろ?』
『あ……うん…』
『なんだよ、反応悪いな。俺からぬいぐるみなんて気持ち悪いか』
『そ、そんなことない!嬉しいよ!』
 彼が私の為に買ってくれたもの。嬉しくないはずがない。
『でも……良いの?…この大きさじゃ、安く無かったでしょ?………』
『小遣い三ヶ月分………てのは冗談だが、俺が持ってても意味ないだろ』
『ん……まぁ…』
『恥忍んで買ったんだ。受け取れ。てかお前さんに拒否権は無しだ。むしろ貰え』
『あ……うん…ありがと』
『どういたしまして。あとはとりあえず休め。ベットは貸してやっから』
『うん……優也は?…』
『俺は適当に横なってりゃ寝れる。ぱっぱと寝ろ。明日の朝にゃ俺も付いて行くからな』
『……なんで?…』
『娘さんを無断外泊させて申し訳ございません、と謝らんとな』
 付いてくる言い訳だ。無断外泊とか気にしないくせに。
 優也が付いてきて来てくれる。それだけでとても心強い。とても暖かい。
 そうか、私は優也が─
『つうわけで、寝れ』
『…うん…………襲ったり、しないでよ……』
『冗談を。こっちの台詞だね』
『わたっ!私はそんな……しないもん…』
『さぁ、どうだかなぁ?』
『も、もういい!寝る!』
『おう、寝ろ』
 意地悪な笑顔。何度も見せてくれた笑顔。私の大好きな笑顔。
 その笑顔をずっと側で、近くで見続けたい。ずっと、ずうっと……
 
暗転─

94:名無しさん@ピンキー
08/03/29 02:21:11 uztCA1Lo
 見慣れた茶色。あの日から毎日抱きしめながら寝ている大きな熊のぬいぐるみ。
「……ずっと…ずうっ…と?………」
─ゆ……め………夢?
 懐かしい
 十年、二十年前のことだ。
 なんというか、よくまあこれだけうまく幼馴染みをやっていたものだ。
 適度な距離。適度な好意。ほんの微かな悪意。
 他人と言うには近くて、恋人と言うには遠い。
 そんな距離感に、私は我慢出来なくなった。
 もっと歩み寄りたい。誰よりも彼の近くにいたい。彼の近くに、ずっといたい。
 だからこそ、私は努力した。彼が誰よりも私が好きになるように、魅力的であろうとした。
 でも彼は、その間にもっと素敵になる。
 素敵になっていく彼の隣に、私以外の人がいたらと思うと、怖い。
 だから、私だって素敵になる。他の人が霞んじゃうくらい素敵になろうと思う。
 自分の為にも、彼の為にも。彼の隣に立つために。また、キスをするために。

95:名無しさん@ピンキー
08/03/29 02:22:58 uztCA1Lo
『ゆうくんゆうくん』
『なに?』
『けっこんしよ!』
『……けっこんって、なに?』
『すきなひととね、ずっとずうっといっしょってこと。あたしゆうくんだいすきだもん』
『ぼくもゆりちゃんだいすき!』
『じゃあ、けっこんしよ?』
『うん!』
『じゃあ、やくそくのキス』
『……きす?』
『んとね、おくちとおくちをね、くっつけるの』
『んー、わかんないや』
『もう、ゆうくんはおばかさんなんだから。こうするの』
 ゆっくりと二つの小さな唇が一つになり、ゆっくりと離れる。
『……これで…ずうっといっしょ』
『ずっと?』
『うん、ずっと、ずうっとずうっといっしょ』
 
間─
 
『んじゃ、よろしくな』
『うん』
 二週間後に迫った体育祭。
 運動は嫌いじゃない。負けるのは嫌い。だから一生懸命練習する。
 今日の練習競技は学年種目の二人三脚。男女で組まなきゃ駄目だそうだ。
 まぁ俺の場合は組み決めのときに『じゃあまず優也は友梨とだな』と希望を言う前に決まった訳だが。
 ま、拒否する理由は無かったし、実際自分でも友梨と組むことを希望するつもりだった。
 女子の中では一番親しい友人、と言うか幼馴染みであるし、やりやすいであろうから。
 友梨もそんなつもりだったのだろう。俺たちの組はすんなりと決まった
『じゃ、一回ゆっくり歩いてみるか』
『うん』
 まず肩を組む─
 ん……
 ……彼女の肩はこんなに細かったか……
 その肩は、力を入れたら折れてしまいそうな程華奢で、俺の肩に触れる彼女の手、指は細く、しなやか。
 これじゃまるで、女の子じゃないか……いや、女の子……なのか…
『どうしたの?』
『ん、あぁ、いや……』
『ふふっ、変なの』
 いつもと変わらない彼女の笑顔のはずなのに、いつもよりまぶしく見えた─

96:名無しさん@ピンキー
08/03/29 02:25:09 uztCA1Lo
 俺と友梨は、アンカーに選ばれた。
 そして、本番。
『うっしゃっ!来るぞ!』
『うん!』
 前の組がコーナーを抜けた。
 こっちの組は三組中三位。とは言ってもまだ充分挽回出来る。
 一位が行った!数秒開けて二位、間を置かずに三位の組!
 友梨がバトンを受け取った。友梨が振り返ると同時にスタートを切る。
 タイミングを合わせるために立ち止まっていた二位の組を置いて行く。
 練習の成果。
 彼女が振り返り右足を踏み出せば次は左足。俺は踏み出した右足が着地する直前に合わせて右足を出すだけ。
 そうすれば彼女が左足を出すタイミングに大体合う。
 他のペアに助言を求められたときにこう言ったら『よく分からない』と言われた。
 友梨はすぐ理解してくれたんだがな……
 数メートル先に一位。充分追い付ける!
 彼女の足に合わせる事はまったく苦にならない。つまづいたり引っ掛かったりすることもない。
 一人で走っているかのように、軽い。
 前の組が少しもたついた。行ける!
 足のペースを早める。するとまるで俺の思考が伝わったかの様に彼女もペースを早めた。
 スピードの変更時にすら、足首に巻かれた紐の感触は無かった。
 一位に並んだ。掛け声が聞こえる。これが不思議でたまらない。
 俺と友梨が走るのに、掛け声は必要なかった。
 短距離走のタイムは三、四秒離れていたが、それでも初めからきちっと合っていた。
 互いが少し気を遣っただけだ。それだけ。
 並ばれた事に気付き、少しペースを崩した一位をそのまま抜きさり、ゴールテープを切る。
『やった、っあ!』
 友梨がゴールに油断してタイミングをずらした。足首の紐に引っ掛かり、倒れ─
『だっ!』
 地面と友梨の間に割り込み彼女をかばう。このくらいは、幼馴染みの義務だ。
 背中に衝撃。
 倒れた彼女の顔が、俺の顔から十センチも無いところに。
 運動後だからかほんのり赤く上気した頬。つぶった目、少し長いまつ毛。少し荒く、甘い吐息が俺の顔に触れる。
 それを見た途端、周りの声がまったく耳に入らなくなった。
 友梨は、こんなに可愛かったのか─
『……えへ、ゴメンね』
『ん、いや……』
 友梨が立ち上がる。離れる体に少しの寂しさを覚えた。
 どうしようもなく、友梨が好きになっていた─
 
暗転─

97:名無しさん@ピンキー
08/03/29 02:26:15 uztCA1Lo
 見慣れた天井。彼女はいなく、俺に覆い被さっているのは毛布。
「…ん……」
─……夢…か……
 懐かしい。
 十年、二十年前のこと。
 しかしよくもまあ、これだけ幼馴染みが続くものだ。
 適度な好意と適度な距離。微かな悪意。
 他人と言うには近すぎて、恋人と言うには遠い。
 そんな関係に、俺は我慢出来なくなった。
 小さな頃の様にずっと側にいれたらと思う。誰よりも近くにいられたらと思う。
 だから、努力する。彼女と釣り合う様な男になるために。
 だけど彼女はその間にも素敵になっていく。
 そんな彼女に彼氏がいないことは、俺にとっては僥倖なのだ。
 だからその機会を、逃したくない。だからこそ、彼女と釣り合う様な男になる。なってみせたい。
 自分の為にも、彼女の為にも。ずっと隣にいられるように。彼女を抱き締めたいと思うから。

98:名無しさん@ピンキー
08/03/29 02:28:29 uztCA1Lo
投下終了
なんか俺のは夢オチばっかりだ……
とりあえず誰も来ないうちに退散。

99:名無しさん@ピンキー
08/03/29 02:31:02 X0/89qRO
>>98
叩かれる出来じゃねぇなぁ……
GJ!

100:名無しさん@ピンキー
08/03/29 08:30:56 nAKCBPIg
>>98最高の一言に尽きるな。全体的にシリアス雰囲気な中に、幼馴染みならではの萌ポイントがたくさん詰まってて、本当に良かったよ。
これからも是非頑張ってくれ。超期待して続き待ってる。
神GJ!

101:名無しさん@ピンキー
08/03/29 10:22:18 +NMv0Koe
>>98
優也と友梨の続きだー!待ってたよ、作者さん

二人のすれ違いに何とも言えない寂しさを感じる
こういう切なくも温かい雰囲気は見習いたいな

102:名無しさん@ピンキー
08/03/29 14:52:23 4+Ys76l6
敢えて苦言を呈するなら、場面転換の際にわざわざ暗転の言葉を入れなくてもいいと思う
行間開ければその意図は分かるし、それまでの余韻が途切れてしまうんじゃないかと思った

103:名無しさん@ピンキー
08/03/29 17:16:31 hJREQ2LC
>>98
待ってました!

104:名無しさん@ピンキー
08/03/29 17:43:57 6UTUw9Fs
311 名前:おさかなくわえた名無しさん[sage] 投稿日:2008/03/25(火) 21:22:23 ID:mI5IkzzD
俺、小学生のときに同級生の子にプロポーズしたことあるんだけど
そのネタで小学校で「あいつが私にwぷぷぷ」って6年馬鹿にされ、
中学校で3年馬鹿にされ、高校でも3年馬鹿にされ
今だに夕食の時に馬鹿にされる

105:名無しさん@ピンキー
08/03/29 17:52:40 GdhfHRXg
ああそう、今は幼馴染ではなく奥さんなわけね…クソッ!クソッ!

106:名無しさん@ピンキー
08/03/29 17:57:43 HYzwD9td
ん、デジャヴ?

107:名無しさん@ピンキー
08/03/29 18:22:10 WdHHZt/P
>>104
でもさ、こういうのっていいよな。

>>106
俺もどっかで読んだw


108:名無しさん@ピンキー
08/03/29 19:37:04 42Lp/ox5
幼馴染がスレタイになってる大抵のスレでみたな

109:名無しさん@ピンキー
08/03/30 03:02:29 ar1nOhz0
幼馴染関係のスレね・・・・・・最近このスレとエロゲ板しか見ねえ

110:名無しさん@ピンキー
08/03/30 08:35:02 8g44rgIe
4月1日にツンデレ幼馴染みに
「あんたなんか今までの20年間もこれからもずっと大っ嫌い!
これから一生私に近寄らないで!
あんたの子供なんか一人も産んでやらないし、それ以前にエッチもさせてあげないんだから!」
って顔を真っ赤にして言って欲しい。

111:名無しさん@ピンキー
08/03/30 09:40:38 x63MuelS
>>98
朝からドキドキした…GJでした!

112:名無しさん@ピンキー
08/03/30 15:46:05 9g5WVzHZ
>>41

113:名無しさん@ピンキー
08/03/30 17:45:35 YHNmhZYi
ああそう、今は(ry

114:名無しさん@ピンキー
08/03/30 17:53:58 DgclRNWG
ん、デジャ(ry

115:名無しさん@ピンキー
08/03/31 05:10:11 /EH90+FD


116:名無しさん@ピンキー
08/03/31 11:47:16 Ue0oBEix
>>110
ツンデレと幼馴染ってどうしてこうも通じ合っているんだろう…
やっぱセット最強

117:名無しさん@ピンキー
08/03/31 20:09:51 3TLoEGhy
そりゃキミ、そもそもツンデレの分類には昔、幼馴染型っていうのもあったくらいだし
ツンすぎず(友達以上)デレすぎず(恋人未満)な立場だからだろ

118:名無しさん@ピンキー
08/04/01 02:43:42 8lVSaxKk
幼なじみエイプリルフールネタを投下します
稚拙な文ですが、合わない人はスルーしてやってください
では投下

119:幼なじみと四月バカ
08/04/01 02:45:40 8lVSaxKk
「……っかんねー、どうなってんだこれ」
思わず言葉が口から漏れる。
いったいこの文章からどういう数式を導けというんだ。
「だから、最初が2で3倍ずつ増えるんだから、等比級数の公式を使えばわかるでしょ?」
オレの愚痴を丁寧に拾って、目の前から適切なアドバイスが与えられる。
……そもそも等比級数ってなんだよ?
「オレはこの宿題から逃避したいけどな……」
「……下らないこと言ってないでさっさと解きなさい」
オレの渾身(?)のギャグさえ軽く流し、目の前の女は再び自身の宿題に取り組む。
こいつは木崎 優奈(きざき ゆな)。
オレこと高遠 匠(たかとお たくみ)の幼なじみだ。
ついでに言うと、ここはオレの部屋。オレ達は今、春休みの宿題に取り掛かっている。
オレは普段勉強なんかしないし、宿題にだってまだ手をつけてなかった。
今日はなぜか優奈のやつが一緒に勉強をしようと言いだし、オレは付き合わされる羽目になったのだ。
……今日は、いや今日もゲームをやりたかったのだけど。あと少しでボス倒せそうだし。
そもそもだ。
「あのさ、優奈」
「なに」
「お前さ、オレと勉強する意味なんかないじゃねーか?」
そうなのだ。
先ほどから黙々と宿題をしているオレと優奈。
しかし、オレが一問解く間に、優奈は軽く三問は解いてしまう。
もともとオレは勉強が苦手だ。特に数学は天敵と言ってもいい。
対して、優奈は頭がいい。勉強もできるし機転がきく。
いや、勉強だけじゃない。こいつは何でも平均以上にこなしやがる。
オレが勝てるのは運動くらいだが、それだって男女差以外の何物でもないのだ。
加えて、性格は明るくて人当たりもよく、クラスの連中からの人気もある。
容姿だって、人並み以上だ。
皮肉屋気取りで下らない男でしかないオレとこいつの接点なんて、幼なじみであること以外……
「いいのよ、別に。私が好きでやってるんだから
 それに、アンタがバカだと私までそう見られるかもしれないんだから」
優奈の返事は厳しいものだ。
確かにオレは優奈と一緒にいることが多い。
今までも、いまいちクラスになじめないオレを助けてくれたことがあるし。
それでも、そのせいで優奈が迷惑に思うなら。
(……いっそ、オレのことなんかほっとけばいいのに)
そんなことを、思ってしまう。

120:幼なじみと四月バカ
08/04/01 02:47:50 8lVSaxKk
「……よ、ようやく終わった」
結局、オレが数学との死闘を終わらせたのは、午後4時を回った頃になった。
優奈が12時過ぎにきたことを考えると、オレはかなり頑張ったらしい
当たり前だが優奈はとっくに宿題を終わらせ、
暇そうにしつつもたまにアドバイスをくれたりした。
「ごくろうさま、よく頑張ったわ」
優奈がねぎらいの言葉をくれる。……そもそもお前がやらせたんだけどな。
「いつもこれくらい頑張ればいいのに」
「無茶言うな、これ以上は本当無理だ」
「匠ならできるよ」
「……オレはお前とは違ってバカなんだよ」
「匠がバカだと私まで同類扱いされるかもしれないじゃない」
「バカっていう方がバカなんだぞ」
「どっちなのよ」
オレと優奈の会話はいつもこんな感じだ。微妙に噛み合わないような、軽口のたたきあいになる。
さっきは「いっそ離れてしまえ」と思ったけど、しかしオレはこの時間が嫌いじゃない。
いや、むしろ好きなのだけど。
それから話は新しいクラスのことに変わった。
あと数日もしたらオレ達も進級することになる。
「また、お前とは同じクラスかな」
「なに、嫌なの?」
「いや、そういうわけじゃないけどさ」
さすがに怒涛の11年連続同クラス、ってのはどうなんだろうな。
ある意味恐怖だよ、これは。
「まぁでも、新しいクラスで新しい出会いもあるかもね」
「んー、そういうのは別に……」
むしろ顔馴染みが揃っていたほうが、個人的には楽だし。
「ほら、春は出会いの季節っていうじゃない。
 匠だって、可愛い女の子に告白されたりするかもしれないよ?」「興味ないね」
そもそも、オレに告白するような物好きがいるわけがない。断言するのもアレだけど。
「断るの?」
「当たり前だ。あいにくオレは女は苦手だ」
「……まさかホモ」
「ちげーよ!」
だからオレは人付き合いが苦手だと何度言ったらわかるんだ、お前は。

121:幼なじみと四月バカ
08/04/01 02:50:53 8lVSaxKk
優奈はふぅん、と何かに納得したしたようにうなずいてから、
「じゃあ、さ。匠?」
「ん?」
「もし私が、匠のことを好き、って言ったら、どうする?」
……は?
優奈は少し照れたような、そんな顔でこちらを見ている。
上目遣いとほんのり朱に染まったほうが、何だかとても可愛いらしい。
「え、あ、なに、って?」
「だから、私が匠と付き合いたい、って言ったら、どうするかって」
優奈が、オレと?
いやいやいやいや待て待て持て待てちょっと落ち着け優奈がオレを好きだったらだって?
いやまさかそんなでもこいつオレといつも一緒だしいやいやそんなのただの腐れ縁だし
そもそもこいつにはオレよりもっとふさわしい奴がけどオレは優奈のことは嫌いじゃないし
……ここまで一秒。オレの思考は光速を超え地球を15周して後、パンクした。
「うぁ、いや、それは、そのあの」
まともな言葉が出てこない。優奈は顔を伏せ、肩を震わせている。
あぁオレのバカめちゃくちゃ混乱してるから優奈が泣いちまったじゃねぇか。
ここはビシッと男らしく決めるべきでだけど突然のことで考えがまとまらないし
「……ぷっ」
ああどうしようまさかこんな展開は考えてなかった頭が真っ白で困った困っ……て、おい。
優奈を見る。
さっさと同じく肩は震えているが、これは泣いているのではなく……?
「……っあははっ!た、匠、混乱しすぎ~!」
思い切り笑われた。何だこれ。
「ゆ、優奈?何なんだよいったい」
問いかけるも、優奈は腹を押さえて笑うばかり。「ひーっ!」とか言って床をバンバン叩いている。
しばらくしてから少し落ち着いた優奈が、笑いすぎて出た涙を指先で拭いながら、
「匠、今日は何月何日?」
今日?んなもん四月の……
「……四月の、一日だな」
もう一度、優奈を見る。してやったり、って顔付きだ。
「優奈、てめえ騙したな!?」
「フフッ、匠ってバカだとは思ってたけど、ここまで単純だとは思わなかったわ」
また笑いが再発したらしい。オレの部屋に優奈の笑い声が響く。
あー、くそ、ムカつく!
オレは部屋を出る。優奈にどこに行くのか聞かれたので、
「水飲んでくるんだよ!」
と怒鳴ってしまった。
くそ、まさかあんな騙され方をするなんて。アイツ絶対演技派だ。
ついつい本気で受け取ってしまった。まともに考えたオレはまさしくバカだ。

……アレが本当だったらよかったのに。

頭を振る。なに考えてるんだオレは。忘れろ。

122:幼なじみと四月バカ
08/04/01 02:53:15 8lVSaxKk
「……ふぅ」
匠が部屋を出ていって、私は一息つく。途端に、自己嫌悪に襲われた。
「何やってるんだろ、私……」
今日はエイプリルフール。一年に一度、嘘をついてもいい日。
地方によっては午前中のみとかの規制があるらしいけど、私には関係ない。
だって、嘘なら毎日ついてるから。匠と、私自身に対して。
私は匠が好きだ。それこそずっと昔から。
匠はいつも引っ込み思案で泣き虫な私を連れて、色々な遊びを教えてくれた。
今でこそ人付き合いが苦手な彼だけど、昔はたくさん友達がいて、私も輪の中に入れてくれた。
今の私があるのは匠のおかげで、だからこそ、私も匠の支えになりたいと思った。
……いや、本当はそうじゃない。
匠はいつもは無気力だけど、私が本当に困ったときは、今でも力を貸してくれる。
普段だって、私はいつも匠を悪く言ってしまうのに、匠は普通に接してくれる。
結局、私が匠から離れられないだけ。私が匠を好きなだけ。
でも、匠が私をどう思っているかはわからない。
もし私が匠を好きだと言って、迷惑に思われたらどうしよう。
もしこの関係が崩れたら。匠が私から離れたら。
そんなことをいつも考えて。結局私は嘘をついた。
私にとって、匠はただの幼なじみ。単なる腐れ縁。
そう考えればとりあえず楽になれたから、私は嘘を重ねていった。
けど、積もった嘘は私を押し潰しそうで。
近くても手が届かないこの距離が不安で。
だから、今日は嘘をつくのを止めようと思った。
いつも嘘をついてる私だ、今日くらいは本当のことを言ってもいいかもしれない。
そして結果が、これ。
結局私は逃げ出して、彼を怒らせるだけになった。
「……バカだな、私」
匠のことを言えない。いや、本当は私がバカなだけだ。
悔しくて、涙が出る。必死にこらえているうちに、何だか眠くなってきた。
意識が落ちる。最後に映った光景は、さっきの匠の顔だった。

123:幼なじみと四月バカ
08/04/01 02:56:58 8lVSaxKk
「ほら、優奈。お菓子持ってきたぞー……って」
部屋に戻ると、優奈が机に突っ伏していた。
オレが頭を冷やしている間、暇で眠ってしまったのか。
側により、顔を見る。こいつの寝顔を拝んだのも何年ぶりだろうな。
髪がかかって顔が少し隠れていたが、やはりきれいな顔立ちをしている。
細い眉とか、長いまつ毛とか、きれいな鼻筋とか、柔らかそうな唇とか……
(匠のこと、好きだって言ったら)先ほどの言葉がいきなりよみがえってきた。待て落ち着けオレ。
「お、おーい。優奈、起きろー」
とりあえず肩を揺さ振る。これ以上寝ていられたらたぶんオレがもたない。
優奈は「んー」とか言っているが、起きる気配はない。
「優奈、起きろー、そろそろ帰れー」
さっきより激しく揺らす。あ、これだけでもけっこう気が紛れるな。
「……んー?」
お、目が覚めたか。
「優奈、起きたかー?」
声をかけるとこっちを向いた。まだまぶたが半開きな気もするが、とりあえず起き……
「……くーたん」
……って?
「くーたぁん」
それは一瞬だった。
謎の単語を発すると、優奈が突然オレに抱きついてきた。
不意をうたれたオレはそのまま後ろに倒れこみ、優奈に押し倒される形となる。
「ゆ、優奈、ちょ、ま」
「くーたん……くーたん……」
どうやらまだ寝ぼけているらしい。オレをぬいぐるみか何かと勘違いして……
「ってバカ、抱きしめるな、な、なんか当たってるから」
ほら、胸のあたりにこう、柔らかいものが……って本当に勘弁して!?
さっきの優奈の嘘が効いている。
変に意識したうえ、こんなことまでされて、オレはもうパニックだった。
「優奈、お、起きろ、頼むから起きろー!」
「……たくみ、好きー」
……え
一瞬、完全に固まった。さっきと似たパターンだが、これは。
「ゆ、優奈……?」
おそるおそる顔を覗く。優奈は幸せそうな顔で、すぅすぅと可愛い寝息をたてている。
「狸寝入り……じゃ、ないよなぁ?」
それとも夢の中でもこいつは嘘をついているのか。
もうオレには何が何だか……
「くーたぁん……」
……優奈、お前な。
相変わらずぬいぐるみ(?)の名前を呼ぶ優奈に、オレは思わず苦笑する。
「まぁ、いいか」
優奈の言葉が嘘かどうかは、所詮オレにはわからない。
オレの気持ちも、今はまだわからない。
まぁけど、今のところ言えることはさ、こうしている今この瞬間は嘘でも何でもなくて、
「たまにはこんなのも、悪くないかもな」
って思ったことだけだ。
ちょっとだけ優奈を抱きしめながら、オレも目を閉じた。

124:幼なじみと四月バカ
08/04/01 03:04:01 8lVSaxKk
余談。

あのあとしばらくしてから目を覚ました優奈にめっちゃ叩かれた。
「変なことしてないでしょうね!?」と聞かれたので、
正直に「くーたんと間違われました」って言ったせいだろうかね。
そうそう、オレも飛びっきりのネタを用意してやった。
騙されっぱなしは気にいらないからな。
「優奈」
「何よ」
「実はオレ、本当は寝てるお前に落書きした」
「はぁ?」
「早く洗面所行け、その顔は親に見られたくないだろ?」
「ば、バカ、何してるのよ!」
慌てて洗面所に向かう優奈。
バカめ、見事に騙されおって。落書きなんぞどこにもない!
よし、これでオレの勝ちだ。


2分後、飛び蹴りを食らった。なぜだ。

125:名無しさん@ピンキー
08/04/01 03:07:57 8lVSaxKk
はい、以上です。
毎度ながらの低クォリティ、我ながら涙が出ますね。序盤は冗長で終盤ぐだったし……
え、記憶喪失?
……はい、近日中には、必ず……いや本当スミマセン
わき道にそれるのが大好きで、つい……

お目汚し、失礼しました
さて逃げるか

126:名無しさん@ピンキー
08/04/01 09:19:02 0bzRI721
GJ!
こんな生活したかった…


127:名無しさん@ピンキー
08/04/01 09:29:06 gy7DRf5E
gj。とても面白かったです。

128:名無しさん@ピンキー
08/04/01 23:45:05 xJi3rw3N
新年度開始の用事が忙しくて、まだ読んでないが、4月1日が終わらないうちに先に言わせてもらう。
GJ! 暇を見つけて読むぜ。長編の続きも書いてくれよ!

129:名無しさん@ピンキー
08/04/02 00:48:04 zdDTHN4/
ああああと一時間早く帰ってきたらエイプリルフールらしく
「つまんねーからもう書くなよ!」って言えたのに…

ところでエロシーンもあるよね?つづくよね?

130:名無しさん@ピンキー
08/04/02 03:52:46 tYqMiWCT
えっと、SS投下します。
PC壊れてて携帯で書いたし初SSだから読みにくくてつまんないかもしれないけどお許しを。
あと、力尽きたからエロまでいきません。ぶつ切りです。

131:名無しさん@ピンキー
08/04/02 03:54:07 tYqMiWCT
「おかえりー、遅かったねー。どしたの?帰宅部期待のエースのヒロちゃんがこんな時間まで」
時刻はもうすぐ5時をまわる。陽も沈む頃だ。
「それよりなぜお前がここにいるか、ということを問いたい。
答えろ姫、いや岡崎姫華」
おかえり、と言われたがここは俺の部屋で。当然俺に連絡もなしに他人がいるわけもなく。
しかし目の前では俺の幼馴染みであるところの女子高生がいて、俺が買ったばかりの大作RPGの新作を勝手に自分のデータを作成してプレイしているばかりか、俺の買い置きのスナック菓子まで食っている。

「帰ってきてー、暇だからヒロちゃんち遊びに来たんだけど、おばさんがまだ帰ってきてないって、
部屋に上がって待ってていいわよー、って言われたから!」
「そこまではいい。だがなぜ君は俺のゲームを勝手にプレイし、俺の菓子を勝手に食らい、あまつさえなぜそんなにくつろいでいるのかね!?」
「それはだね、山野貴弘くん、面白そうだったからだよ。おいしそうだったからだよ。とっても居心地が良かったからだよ!」
「理由になってねえっ!」

132:名無しさん@ピンキー
08/04/02 03:55:00 tYqMiWCT
「えー、じゃあゲームやっていいー?お菓子食べていいー?ベッドでごろごろしていいー?」
「事後承諾で済んだら警察と弁護士はいらんですよ?」
「けちー。いいじゃないかボクとヒロちゃんの仲なんだしぃー。」
「ぐっ、この女は…まあいい、終わったらすぐ帰れよ。」
「えー?今日はヒロちゃんちでご飯食べていこうと思ってたんだけどー?」
くっ、どこまでわがままなんだ。うちの親が姫に甘いのを知ってか知らずか。
だがさすがにこれに屈するわけにはいかん。
「今日はやめてくれ、俺は一人で考えたいことがあるんだ。」
「えー?めっずらしー!どうしたの…ってそういえば、
さっきの質問だけど、今日なんかあったの?」
「え?…いやまあその、なんていうかだな、えと…告白、されたんだ。クラスの女子に。」
「へっ?」
「………」
恥ずかしい。なんで言っちゃったんだ俺。
「えと、こくはくされたって、ヒロちゃんがだよね。ヒロちゃんが、クラスのおんなのこに。」
「まあ、うん、そう。合ってる。」

133:名無しさん@ピンキー
08/04/02 03:55:34 tYqMiWCT
「ヒ、ヒロちゃんのばかやろー!!」
「ええっ!?」
なんだどうした何が起きた?どうして姫が怒るんだ!?

「ななななんでいきなり、ボクに断りもなくこくはくなんてされてるんだよう!」
「俺が告られんのに姫の許可がいるのかっ!?」
「ちがっ、そーじゃなくて!この…ヒロちゃんのばかやろー!」
突然怒りだした姫が、コントローラとか漫画とかCDとか、そのへんの物を投げ付けてくる。
マズい!いろいろマズい!
「バカはお前だ!やめろ!いてっ、ちょ、本当にやめろ!どうした!?落ち着け!」
「これが落ち着いていられるかー!」
姫の攻撃を受けながら、ベッドの上の彼女に近付き、とにかくやめさせようとする。
そしてついに姫の腕をとり、押さえ付けることに成功する。そして気付く。
ベッドの上で、女の子の腕を押さえ付けて、上に覆いかぶさっている。これじゃまるで、
「ヒロちゃ…っ」
潤んだ瞳なんかするな。本当に押し倒したみたいじゃないか。
いや結果的にはそうだがけしてそういう目的じゃなくてだな…

134:名無しさん@ピンキー
08/04/02 03:56:15 tYqMiWCT
「い、いきなりどうしたんだ。そんな、暴れるような理由が俺には見当たらないぞ…」
再び襲われないように、腕を押さえながら彼女に問う。
「だ、だって…ひっく、ぇぐ…ヒロちゃんが、こくはくされた、って。
一人で、考えたいってことは、ひっく、悩む程度には、かわいい子で、」
泣き出しちまった。もうどうすればいいのか…
「それで、ヒロちゃんが、ぇぐ、オッケーしちゃったら、付き合うってことで、
つまり、ヒロちゃんに、彼女、ができるってことで…ぐすっ、彼氏と彼女は、でーととか、き…きすとかっ、せせせ…せっくすとか、するものだから」
「お前、何を…」
「でーとも、きすも、せっくすも…ヒロちゃんの隣にいるのはボクじゃなくて、知らない女の子で…
そんなの、ボクは嫌だから!堪えられないから!
ヒロちゃんの隣がボクじゃないのは、ボクの隣にヒロちゃんがいないのは、嫌だから!ボクもヒロちゃんのこと、大好きだから!」

135:名無しさん@ピンキー
08/04/02 03:57:05 tYqMiWCT
えーと、これは…告白されてるんだよな?
それもかなり切羽詰まった感じの。

「バ、バカ。誰がオッケーするなんて言ったんだよ。
向こうが一生懸命告白したのに、その場で返事なんかしたら理不尽で、かわいそうだと思ったからだよ。
だから、一日考えさせてくれって。
確かにまあ…ちょっとはかわいかったけど、そんなの関係ない。
それをお前は、勘違いして、怒って、告白までしちゃって。ムードもなんもないぞ。」
「だって、ヒロちゃんが遠い人になっちゃうと思ったから…違う人のものになっちゃうと思ったから…」
「ならねえよ。本当は、その…告白された時、昔から知ってる顔が、ふと浮かんだんだよ。ちっちゃくてわがままで泣き虫で…すごく、かわいい子の顔が…」
「そ、それってつまり、」
「最後まで言わせてくれ。
姫に泣かれるまで気付かなかったなんて情けないけど、俺も気付いたんだ。
姫華、俺もずっと好きだった。付き合ってくれ。」
「ヒロちゃん…嬉しい。ずっとこうなりたかった。
ずっとヒロちゃんの彼女になりたかった。ヒロちゃんとずっと一緒がよかった。
ありがとう…ヒロちゃん。」


彼女が目を閉じる。
ああ、わかってる。彼氏彼女がすることは、そう。
「怖くない?」
「大丈夫、ヒロちゃんに全部任せるから。」

そして、淡いくちづけを交わす。
一瞬触れるだけ、そんな二人のファーストキス。

136:名無しさん@ピンキー
08/04/02 03:59:33 tYqMiWCT
おわり…
SS書くのってこんなに恥ずかしかったのか…ヤバイ、恥ずかしくて頭がフットーしそうだよぉっ!

137:名無しさん@ピンキー
08/04/02 07:39:45 IJOETPjV
>>136
SSを書く事は恥ずかしい事じゃないぞ。人目に晒すのは恥ずかしいが。
そんなものは経験を践んで慣れるんだ、後は勇気で補え!!

文章では説明口調が気になったので、地文を上手く使うと良いだろう。



という訳で続編を待つ事にする。頑張れ。

138:名無しさん@ピンキー
08/04/02 09:05:29 5OhRNSry
>>136
GJでした
ボクっ娘(゚∀゚)!素敵なシチュエーションだよこれ
こういう話は本当好きだよオレは

139:名無しさん@ピンキー
08/04/02 09:14:08 mWl6VEdl
>>136
とてもGJ! 初ssでこれですか、前途有望ですね。
ボクっ子が泣いて暴れるのはいいものですね。

ssの書き方として「~。」をつかっていると暴れだす人がいるから気をつけてください。
少なくとも「~」か「~。」で統一したほうがいいと思います。
1レスあたりの用量についても気にする人は気にします。
内容以外で叩かれることは本意ではないと思うので予防線を張る意味で気をつけてみてください。

140:名無しさん@ピンキー
08/04/02 10:35:34 tYqMiWCT
感想とアドバイスどうもありがとうございます。
できればエロ含む完結篇も書きたいと思うのでその時はどうぞよろしく…

141:名無しさん@ピンキー
08/04/03 05:15:53 uClsbPOI
>>140
遅くなったがGJ!!
幼めな口調のボクっ子…大好物です。
続き期待してます。

142:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 22:56:01 pYqxUnrm
こんばんは。このスレではお初です
以下に投下します
今回はエロなしです。すみません

143:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 22:58:29 pYqxUnrm
『断らない彼女』



 それは、二人が知り合って間もない頃のことである。
「ゆきなりくん、3がつうまれなの?」
 小さな女の子は驚いたように言った。
 男の子はおもしろくなさそうに頷く。
「……そうだけど」
「じゃあわたしのほうがおねえさんだね。わたしは4がつ」
「そ、それくらいでいばるなよ!」
 女の子は目を丸くした。
「いばらないよ。そうじゃなくて、わたしがおねえさんになってあげようとおもって」
「……え?」
 女の子はにっこり笑う。
「ゆきなりくんもわたしもきょーだいいないでしょ? だからわたしがおねえさんになるよ」
 男の子は困惑した顔で呟く。
「……ぼくにおねえちゃんなんていないよ」
「だーかーらー、わたしがかわりにおねえさんするから」
「そんなのいらない!」
「わたしはおとうとほしいよ? なんでもきいてあげるから、なんでもいって」
「いわない!」



 放課後の教室で、自分の椅子に腰掛けながら、高橋雪成(たかはしゆきなり)は昔のことを
思い出していた。
 唐突ではない。同じクラスの女子生徒をぼんやり眺めていたら自然に思い出したのだ。
 雪成の視線の先には、帰る準備をする幼馴染みの見慣れた姿。
 彼女─田中亜季(たなかあき)は雪成と同じ高校一年生である。
 4月生まれのため、クラスの誰よりも年上だ。
 百五十センチに満たない身長に、背中まで届く長い黒髪。ぱっと見の特徴はその二つ。
 成績は優秀。運動はあまり得意ではない。友達はそれなりにいるが、騒がしいのは苦手。
 そして、
「田中さん、今日掃除当番代わってくれない?」
「うん、いいよ」
 人からの頼み事を断らない。
 基本的には好ましい点だろう。しかし周りにすればそれは『便利な人』でしかないのでは
ないだろうか。
 雪成はそれを忌々しく思う。
 亜季のその性質は周りのみんなにとって都合のいいものだ。宿題を見せてもらったり、
当番を代わってもらったり、多くの人間が亜季を利用する。
 みんながみんな悪気を持っているわけではないのだろう。しかし、
「ホント? ありがとう田中さん! 今度何かおごるよ」
「いいよ別に」
 クラスメイトは嫌いではないが、それでも今のようなやり取りを見ると嫌気が差すのだ。

144:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:00:53 pYqxUnrm
 亜季に片目をつぶって礼を言うと、女子生徒は小走りに教室を出ていった。
「亜季」
 雪成は席を立つと、机を引く亜季に声をかけた。
「雪成くんまだ帰らないの?」
 幼馴染みは柔らかく微笑む。
「掃除、手伝うよ」
「いいよいいよ。雪成くん当番じゃないし」
「お前だってそうだろうが」
 亜季は目を丸くした。
「少しは断れよ。いつも言ってるけどさ」
「でも、別に私嫌じゃないし」
「甘やかすなって言ってるんだよ。みんなどこかでお前を便利屋扱いしてるぞ」
 亜季は答えず、箒で床を掃き始める。
 雪成も箒を持ってそれに続く。
「他の奴らはどうしたんだよ」
「さあ、わかんない」
「サボりか」
「用事があるんだよ、きっと」
 亜季は肩をすくめて笑う。
「そんなわけ、」
「ごめん、遅れちゃった!」
 雪成の声を遮るようにドアが開き、一人の女生徒が現れた。
 クラスメイトの百合原依子(ゆりはらよりこ)だった。依子は少し息を切らして教室に
入ってくる。走ってきたらしい。特徴的なポニーテールが小さく揺れている。
「ごめんごめん。宿題持っていったら先生いなくて、見つけるのに手間取っちゃった。
……あれ、二人だけ?」
「依子ちゃん含めて三人だよ」
 彼女は苗字で呼ばれるのを嫌うため、周囲に名前で呼ぶよう言っている。
 亜季が言うと、依子は頬を小さく掻いた。
「しょうがないなあ。ていうか亜季ちゃんもユキナリくんも当番じゃないし。みんなサボり?」
 当番は四人制である。
「知らね。小川はさっき亜季に押し付けていったけど、他はどっか消えたな」
「そういう言い方しちゃだめだよ」
 亜季が人差し指を立ててたしなめた。
「押し付けられたのは事実だろうが」
「私は別に嫌じゃないもん。それに小川さんちは母子家庭だからいろいろ大変なんだよ」
 ちゃんと相手にも理由があるの、と亜季は言う。
 しかし理由をつけられること自体が雪成は気に入らない。反論できないからだ。
「じゃあ他の奴らは? 百合原だけ、」じろりと睨まれた。「……依子だけだぞ来てるの」
「掃除くらいでそんなに怒らなくてもいいじゃない」
「……俺はお前が、」
「はいはいストップストップ」
 雪成が言い募ろうとした瞬間、依子がそれを遮った。
「口論は後でね。早く掃除終わらせようよ」
 雪成は黙って依子を見返す。
 さっきの目はどこへやら、ニコニコと毒気のない笑顔に何も言えず、ため息と共に掃除を
再開した。
 箒で集めたチリをチリ取りで取ると、机を今度は教室の前側に寄せる。教室の後ろ側の
チリを掃き集め、同じようにチリ取りで取ってごみ箱に入れた。
「ごみ捨ててくる」
 雪成はごみ箱を持って教室を出ようとする。
「早く戻ってこないと亜季ちゃん先に帰っちゃうかもよー」
 依子がからかうように言った。
「大丈夫、ちゃんと待ってるから」
「……」
 亜季の笑顔に雪成は小さく肩をすくめると、灰色のごみ箱を抱えてごみ捨て場に向かった。

145:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:02:43 pYqxUnrm
      ◇   ◇   ◇

 幼馴染みなんてろくなものじゃない。
 雪成は最近強くそう思う。
 家族のように近い距離にいることが当たり前で、それがたまに鬱陶しい。
 互いの生活リズムは丸わかりだし、何かあったらどうしても気にかけてしまうし、長い
付き合いの分遠慮がなくなるし、そのくせ歳を取るにつれて昔の気安さをそのまま持ち込む
ことに若干の抵抗を感じるし。
 ましてや、異性の幼馴染みなんて。
(意識するなって方が無理だろ)
 朱に染まった夕暮れの帰り道を、二人は並んで歩く。
 亜季の狭い歩幅に合わせながら、雪成は隣の幼馴染みのことを思う。
 小さい体だ。この体によくもまあクラスの連中はいろいろなことを押し付けられるものだ。
 亜季は決して弱い人間ではない。だからそんなことで潰れたりはしないだろう。
 しかし、やはり側にいる者としては不安なのだ。
 頼みごとを断らないというのは、美点であり欠点だ。
 人が好すぎるために、それが亜季を苦しめないかと心配になるのだ。
 当の本人はそんな雪成の気持ちをわかっているのだろうか。
「どうしたの? ぼんやりこっち見て」
 亜季が雪成の顔を覗き込んできた。身長差が三十センチ近くあるため、見上げる形になる。
「なんでもない。晩飯のこと考えてた」
「うちは今日スキヤキだよ。いいお肉がお母さんの実家から届いたの。よかったら来ない?」
「いいよ。母さんが作ってくれてるはずだから」
 雪成の家は共働きだ。両親共に遅くなることも多いので、そういうときは母親が前もって
用意してくれている。
「そっか、残念。久しぶりに雪成くんと一緒に晩御飯食べられると思ったのに」
「……」
 気安い、と雪成は思う。
 亜季はこちらをそれほど意識していないように見える。だからこそ彼女はいつまでも
幼馴染みとして変わらない。
 雪成が好きな幼馴染みとして。
 それはとても嬉しいことだが、同時に寂しかった。
 こちらだけが意識して、ときに鬱陶しささえ覚えるのは寂しかった。
「……えっとね、大丈夫だよ」
 不意に亜季が言った。
「何が」
「心配してくれてるのはわかるの。でもね、雪成くんが思うほど、私弱くないよ」
「……知ってるけど」
「だからね、私は好きで頼まれごとを受けてるわけだし、大丈夫だよ。安心して」
 亜季は雪成を元気づけるように、にっこりと笑った。
 そんなことはわかっている。
 雪成は別にそこを心配しているわけじゃない。
 雪成が心配しているのは、亜季の強さや弱さではなく、相手の悪意や好意の方だった。
 亜季は人をいい者と信じているし、他人を信用しすぎている。
 クラスメイト相手と言えども、それは危ういと思うのだ。悪意なら避けることもできるし
断ることもできる。しかし好意だったら、亜季はそれを拒絶できるだろうか。
 人の好意が必ずしも誰かのためになるとは限らないのに。
「……お前、なんか連帯保証人とかにさせられそうだけどな」
 わりと本気で思ったことを口にすると、亜季はむくれた。
「ひどい! 私は真面目な話をしたのに、どうしてそんな茶化すようなこと言うの?」
「いや、結構本気で言ったんだが」
「なお悪い!」
 頬を膨らませて怒る姿はどこかかわいい。
 こういう姿を見せるのは雪成の前だけだろう。それはちょっと嬉しかった。
「嫌い、雪成くんなんて」
 そっぽを向く幼馴染みに、雪成は苦笑した。

146:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:05:50 pYqxUnrm
      ◇   ◇   ◇

 ある日のこと。
 亜季の様子がおかしかった。
 普段と違い、どうにも落ち着きがない。教室で席に座りながら、友人との会話にもあまり
身が入っていなかった。
 雪成は怪訝に思い、昼休みに直接尋ねてみた。
 返ってきた答えは「なんでもない」だった。
 もちろん納得などしない。
「いや、なんでもないことないだろ。今日のお前、なんか気が入ってないし」
「そ、そんなことないよ?」
「授業中に二度注意されて、休み時間も上の空で、移動教室間違えて授業に遅れた人間が
何言ってんだ」
「ううー……」
 亜季は小さく唸ると、ちらりと雪成の顔を見やった。
 何か迷っているような表情で、すぐに顔を伏せる。
「言いたいことがあるならはっきり言えよ?」
「うん……」
 口を開きかけて、しかし閉じる。そんなことを二度三度亜季は繰り返したが、なかなか
思い切れないのか言葉が出てこない。
 雪成はせかさなかった。ただじっと、話し出すのを待った。
 やがて意を決したのか、亜季が口を開いた。
「えっと、ここじゃ人も多いから、別の所行こ?」
「いいけど、聞かれたくないことか?」
「できれば」
 亜季は席を立ち、廊下に出ようとする。
 後についていくと、亜季はそのまま階段に向かって進んでいく。
 階段を上がっていく幼馴染みに雪成は首を傾げた。上の階は二、三年の教室が集まる所で、
その先の階段は屋上に繋がっているが、学校側が開放していないので外には出られないはずだ。
 しかし亜季は迷いなく階段を上っていく。仕方なく雪成もそれを追っていく。
 屋上に通じる扉の前で亜季は立ち止まり、くるりと振り返った。
「あ、あのね」
「お、おう」
 相手の緊張が伝わってきて、なぜか雪成まで固くなってしまう。
 亜季はゆっくり息を吸い込むと、小さな声で言った。
「放課後にね、呼び出されてるの」
「……は?」
 予想外の言葉にきょとんとした。
「……番長グループとかそういうやつ?」
「いつの時代の話? そうじゃなくて、えっと、男の人と待ち合わせの約束をしてるというか……」
「!?」
 心臓が一際強く跳ねた。嫌な予感が。
「だ、誰? 相手は」
「二年の三原先輩。図書委員やってて、私よく図書館行くからそこで知り合って……」
「……待ち合わせって、何の用だよ」
「あ、デートとかじゃないよ?」
「なら何だよ?」
「……」
 言い淀む亜季の様子に、なんとなく想像が間違ってないことを悟る。

147:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:08:26 pYqxUnrm
 雪成は胸が急速に締め付けられる思いに駆られたが、平静を装って尋ねた。
「で、どうするんだ?」
「どうって……わからないよ。いい人だし……」
 息が詰まる。もしOKするなんて言われたら、どうすればいいのだろう。
 すると亜季がじっと見つめてきた。
「……何」
「……」
 亜季は何も言わない。
 しかしどこか探るような目に、雪成はたじろぐ。
「な、なんだよ。言いたいことがあるなら、」
「言いたいことがあるのは雪成くんの方だと思う」
「……え?」
 ドキッとした。
 何かを期待するような亜季の目が、下から突き刺さる。
「私が断らないのを知ってるのに、それでも雪成くんからは言ってくれないんだね」
 断らないとは誰に対してだろう。
「これじゃ役割があべこべだね。何かを言うのはいつも雪成くんの役目なのに」
「……」
 雪成は固まって答えられない。
「言わないなら私から言うね。私は、」
「待てよ!」
 咄嗟に大声を上げて言葉を遮った。
「……俺のこと全部わかってるような口ぶりはやめろ」
「……ごめん」
「言いたいことはある。でもそんな簡単に言えるなら苦労はしないだろ」
 亜季がくすりと笑う。
「私だって一緒だよ。だから今迷ってる」
「迷ってるのか?」
 何に、とは訊かない。放課後の件であることはわかりきっている。
「うん。とても、迷ってる。だから雪成くんに打ち明けたんだよ?」
「俺が断れって言ったら断るのか?」
「違う。そういうことじゃなくて、踏ん切りつけさせてくれるかな、って期待してたから」
「……」
「でもいいの。もうわかったから」
「え?」
「雪成くんに話してよかった。ちゃんと勇気もらったから」
「はあ?」
 まったくわけがわからなかった。今のやり取りのどこにそんな要素があったのだろう。
「じゃあ、先行くね」
「あ、おい!」
 雪成の横をすり抜けて、亜季は階段を駆け下りていく。
 相手のいなくなった空間で、雪成は歯噛みした。
 言いたいことがあるならはっきり言うべきだったのに。

148:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:10:52 pYqxUnrm
      ◇   ◇   ◇

 放課後。
 急いで教室を出ていく亜季を窓際の席から見つめていると、後ろから声がかけられた。
「ユキナリくん」
 振り返ると依子がニコニコと笑顔を浮かべていた。
「なんだよ」
「つれない反応だなあ。おねーさんもっと素直な子が好きですよ?」
「同い年だろうが」
「早生まれのくせに」
 なんで知ってるんだ。
「亜季ちゃんに聞いたの。三月生まれだから私の方がおねえさん、だって」
「……」
 雪成は閉口した。昔から言われているそれは、雪成の気に入らないネタの一つだ。
「……何の用だよ」
「いやいや、今日は亜季ちゃんと帰らないの?」
「今日も、だ。いつも一緒に帰ってるわけじゃない」
「そうなの? 仲良いのに」
「幼馴染みだからな」
 言いながら、自分で嫌な返しだ、と思った。
 幼馴染みというだけで仲良くしているわけじゃない。少なくとも雪成はそうだ。
 好きだから近くにいるのだ。
 すると依子は小さく首を傾げた。
「とっても綺麗な縁で繋がってるのになあ……」
 意味のわからないことを言う。
「は?」
「ああ、いやなんでもない。こっちの話。うーん……でもなあ」
「なんなんだよ」
「ユキナリくんは亜季ちゃんのこと好きなんでしょ?」
 いきなりずばりと言われて、雪成は息が詰まった。
 赤くはならなかったと思うが、すぐには答えられなかった。
「告白はしたの?」
「─待てよ、なんで俺があいつを好きってこと前提で話進めてんだよ!?」
「声大きいなー」
 はっと気付いた時にはもう遅かった。
 教室に残っていた結構な数のクラスメイト達が、興味深々の目を向けてきていた。
 さすがに顔が熱くなった。恥ずかしさに頭を抱えたくなる。
 依子はそんな雪成の肩を軽く叩くと、小さく囁いた。
「ここだと色々面倒だから、出よっか。一緒に帰ろ?」
 雪成はじろりと相手を睨み、しかし何も言い返せずに力なく頷いた。

149:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:13:11 pYqxUnrm
「えっ? じゃあ亜季ちゃんは今先輩の告白を受けてるの?」
 下駄箱でスニーカーに履き替えながら、依子が驚いたように言った。
「それってユキナリくんにはおもしろくないよね」
「……何でだよ」
「もう。自分の気持ちには素直になった方がいいよ。好きなんでしょ?」
「……」
 ストレートな物言いは反論を許さない程に強烈だった。
 気に入らない。清々しいくらいに気に入らない。
「ずかずか人の心に入り込んできて楽しいか? 俺は不愉快だ」
「……ごめん」
 素直に謝られた。
 まるでこちらが悪いように思えてきて、雪成は舌打ちした。
「……好きだよ、あいつのことは」
 苦々しい口調で、しかし素直に雪成は己の気持ちを吐露した。
「小さい頃から一緒で、あいつのことはなんでも知ってる」
 靴を履き替えながら独り言のように続ける。
「きっと嫌われてはいない。むしろ向こうだって、自惚れじゃなく俺のことを好いてくれて
いると思う」
「うん」
「けど……近すぎるんだよ、やっぱり。この距離に、幼馴染みの距離に慣れてるし、今の
関係も嫌いじゃない。それを壊すのって、怖くないか?」
「うーん」
 依子はあまり納得できないようである。
 外に出ると夕方ながら、残暑の太陽が厳しく体を照り付けてきた。
「例えばさ」
 右手で体をぱたぱたと扇ぎながら、依子が呟いた。
「例えば、テストの解答用紙がある人の目の前にあるとするよ?」
「何の話だ?」
「例え話だよ。答えも検討がついているのにその人は答えを書かない。それは間違えたら
どうしよう、って臆病な気持ちが決断を妨げているせい」
「……」
「でも書かなければ、そのまま制限時間を過ぎれば、どのみち不正解で終わってしまう。
だから追い詰められたら人は駄目元で答えを書くの」
「……」
 いまいち何が言いたいのかわからない。
「でも、それは制限時間があるから決断するわけで、それがなければその人は答えをいつまでも
書けないと思うの」
「……」
「で、今のユキナリくんはそういうものに追い立てられていない。物書きさんだって〆切
設けられなかったらいくらでも怠けると思う。『まだ時間はある』ってね」
「……」
「だけど人生には、そんなわかりやすい〆切や制限時間なんて設けられていないんだよ。
知ってる? 宇宙にはたくさんのチリがあって、いつ地球に落ちてくるかもわからないん
だって。ひょっとしたら私たち、明日にも死んじゃうかもしれないんだよ? 隕石落下の
ディープインパクトで。三冠馬には勝てないんだよ」
「おもしろくねえよ。……そりゃ先のことはわからないしな。そういうこともあるかもな」
 ぶっちゃけた話、二秒後に心臓発作で倒れることもありうるのだ。……倒れなかった、よかった。
「先のことはわからない。制限時間も不明。ならさ、今できることをやるしかないよ」
「月並みな励ましだな」
「ユキナリくんにはそれで十分じゃない? 月並みな悩みなんだから」
「……」
 皮肉を言ったのにあっさり切り返された。苦手だこいつは。

150:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:15:04 pYqxUnrm
「偉そうなことを言うけど、お前はどうなんだよ。お前はできることをしてるのか?」
「まあそれなりに。カレー作ったり囮になったりお節介を焼いたり、色々してるよ」
「なんだそりゃ」
 謎の言い回しに眉をひそめるが、とにかく。
 雪成にできるのは想いを口にすることだけだ。それを相手に伝えることだけだ。
 あとは向こうがどう受け止めるか。
 それさえ、昼のやり取りである程度察しているのだ。あのとき幼馴染みの言葉を雪成が
遮らなかったら、あるいは望む答えが聞けたかもしれない。
 一つだけ気掛かりがあるとするなら、それは例の告白の件で。
「後手後手に回ってる時点でヘタレ確定かもな……」
「ん? そりゃ君のせいだよ」
「わかってる。十年以上も時間もらっといて何もしなかった俺が悪い。だから……待つよ」
 校門の前で、雪成は歩みを停めた。
 おもしろそうに依子が見つめる。
「十年以上も幼馴染みやってきたの?」
「ああ」
「ずっと好きだった?」
「……まあな」
「もし、亜季ちゃんが先輩の告白を受け入れたらどうするの?」
「どうもしない。それが亜季の選択なら諦める。十年間の積み重ねが足りなかっただけだ。
それは俺の責任なんだから」
「潔いね」
「どこがだよ。頭の中はもう諦め悪い考えでいっぱいだぞ。後悔ばかりだ」
「まあ大丈夫だと思うけどね。亜季ちゃんの気持ちを君が知らなさすぎなんだよ」
 わかった風な口を聞く依子を雪成は軽く睨んだ。
「……あいつは、人の好意を拒絶できるやつじゃないんだ」
「知ってる。でもちゃんと、相手のことを思って答えの出せる強い子であることも知ってる」
「……」
 幼馴染みの自分より依子の方が亜季をわかっているみたいで、少しおもしろくない。しかし
そうかもしれないと雪成は思った。
 いずれにせよ、待つことしか雪成にはできないが。
「じゃあ頑張ってね。私は先に帰るよ」
「ああ。ありがとな」
 依子は驚いたように目を見開いた。
「……ユキナリくん、人にお礼を言える人だったんだね」
「どういう意味だそれは!?」
「いやいや、素直な子は好きですよ?」
「さっさと帰れ」
 依子はぺろりと舌を出すと、その場でターンをして背を向けた。綺麗に結ったポニー
テールが飛行機の旋回のように踊った。
「明日結果教えてね」
「誰が言うか」
「じゃあ亜季ちゃんに訊くよ。んで、明日君をからかうのだ」
「地獄に落ちろ」
 明るい笑い声を残して依子は去っていく。
 雪成は無言でその後ろ姿を眺めていた。

151:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:17:00 pYqxUnrm
      ◇   ◇   ◇

 待ち合わせ場所の北校舎裏に行くと、すでに相手はそこにいた。
 眼鏡をかけた細面の上級生。スマートで背の高いところは幼馴染みによく似ていると思う。
 三原正志(まさし)は亜季の姿を認めると、穏和な笑顔で迎えた。
「亜季ちゃん」
 どこか嬉しげな声で呼ばれて、亜季はぎこちなく笑う。
 二人が最初に出会ったのは図書館。正志はカウンターで受付をしていた。
 入学当初から図書館に通っていた亜季は、すぐにその顔を覚え、覚えられた。
 梅雨の時期にはおすすめの本を教え合うくらいに親しくなり、夏休み前には下の名前で
呼び合うようになった。
 正志は亜季にとって、気安い先輩だった。
 穏和で人懐っこい性格は近付きやすかったし、本という共通の話題があったため、会話にも
困ることはなかった。
 部活や委員会のような組織に入っていない亜季にとっては、唯一親しい先輩だった。
 そういった『先輩後輩』の関係は亜季には新鮮で、とても楽しく嬉しいものだった。
 しかし、
「亜季ちゃん」
 もう一度、正志は名を呼んだ。
 亜季は顔を上げ、真っ直ぐ相手を見つめる。
 眼鏡の奥の目は穏やかながらも真剣で、唇は真一文字に結ばれている。緊張が強く窺えた。
 亜季は軽く息を呑む。緊張を移されたみたいだ。
 正志は静かに口を開いた。
「急に呼び出してごめん。でも、来てくれてありがとう」
「いえ……」
 亜季の方があるいは緊張しているかもしれない。返事もそっけなくなってしまう。
「……えっと」
「はい……」
「……亜季ちゃん」
「……はい」
「ぼくは……君が好きだ」
「…………はい」
 頷く。喉が微かに震えた。
 予想していたことだから、前置きなく単刀直入に言われても取り乱しはしなかった。だが
やはり驚きは隠せず、亜季は相手を見返すのが少し辛かった。
「初めて会ったときは何も思わなかったけど、話をして君を知っていくうちにぼくはなんだか
嬉しくなっていった。穏やかに本を読む亜季ちゃんを見るのが好きで、当番の日はいつも君を
待っていた」
「……」
「君と同じ本を読むのが楽しかった。本の話ができて嬉しかったし、共通の趣味を持てること
がすごく嬉しかった」
「……」
「ぼくは君が、とても好きです。だから、もしよければ、ぼくと付き合って下さい」
 はっきり想いをぶつけられた。
 もし図書館などで準備なくいきなり言われたら、きっと石か何かで頭を殴られたような
衝撃に襲われただろう。しかし、準備できていても、亜季の胸には鉛のように鈍く重い思いが
広がったに違いない。
 実際、今その胸には、立っているのがやっとの苦しさが渦巻いている。

152:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:18:38 pYqxUnrm
 それでも逃げるわけにはいかないのだ。
 勇気をもらったから。
「先輩……ごめんなさい」
 亜季は深々と頭を下げた。
「先輩のことは嫌いじゃありません。全然そんなことなくて……むしろ先輩に好きって言われて
嬉しいくらいです。でも、その気持ちに応えることはできません」
「……」
「私、他に好きな人がいるんです。だから、先輩と付き合うことは……できません」
 言い切って、途端に苦しさが増した。
 相手の想いが真剣だとわかっているから、こちらも真剣に答えなければならない。応え
られないが答えなければならない。
 亜季の答えは、断ること。
 他人主義の彼女にとって、それはとても苦しいことだった。
 それでもそうしなければならない。自分のために。正志のために。そして、幼馴染みのために。
 すると、正志は微かに目を細めた。
「ああ……それは、しょうがないよね……」
 僅かに言い淀む声は寂しそうだ。
「ごめんね。変なこと言って困らせて」
「そんな! 変なことだなんて」
 憂いの色が隙間から覗く正志の表情は、目を逸らしたくなる程に寂しい。
 亜季は目を逸らさなかった。
 悲しいことを言わないでほしい。亜季は、嬉しかったのだから。
「……すごいです。先輩は」
「え?」
「想いを伝えるって勇気がいりますよ。私にはそんなの……だから、先輩はすごいです」
 正志は目をしばたき、それからおかしそうに微笑んだ。
「ちゃんと断れたじゃない」
「え?」
「ぼくの告白をちゃんと断った。それも、勇気のいることだと思うけど?」
 正志は茫然とする亜季にただ笑いかける。
「本当はさ、ちょっと期待していたんだ」
「何、を?」
「亜季ちゃんが断らないことを。君が頼み事を断らない子だっていうのは、この半年で十分
わかっていたからね。だから、結構期待してた」
「……」
「でも、そんなことはなかった。君は決して受け身な人間じゃないし、自分の意思を通せる
強い子だ。だから、亜季ちゃんはすごい娘だよ」
「……」
 真正面から褒められて、亜季は思わず赤面した。
 正志は微笑んだまま亜季を見つめている。
「で、その相手って?」
「へ?」
「亜季ちゃんの好きな相手」
「え、あ、その、……お、同い年の幼馴染み、です」
「ああ、前話してた子か。うまくいくといいね」
「は、はい」
 亜季は頷くと、もう一度頭を下げた。
「もういいから、先に行って。ぼくはもう少しここにいるよ」
「……はい」
 ゆっくりと足を逆方向へ返して、亜季は背を向ける。
 そのとき、最後の声がかけられた。
「明日も、図書館に来てくれるかな……?」
 不安げな問いかけは先程の告白よりも遠慮がちだった。
 亜季は顔だけ振り返り、言った。
「……またおすすめの本、教えてくださいね」
 笑顔でそう答えると、正志は救われたような、ほっとしたような顔で、「うん」と頷いた。

153:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:21:08 pYqxUnrm
      ◇   ◇   ◇

 亜季は歩きながら昔のことを思い出していた。
 雪成と出会ったのは四歳の頃。
 初めての異性の友達は、ちょっとだけひねくれていた。最初亜季が挨拶しても、目を合わせずに
軽く頷くだけだった。
 元々の性格もあっただろうが、仕事で親が夜遅くまで帰ってこないのも、一つの要因だった
のかもしれない。
 そこで亜季は自分の家に雪成をよく招いた。
 最初は嫌がっていた雪成も、次第にそれを受け入れていった。二人は一日のほとんどを
亜季の家で過ごすようになった。
 ときおり見せる雪成の寂しそうな顔を、なんとかしたいと思っていた亜季は、少しずつ
笑顔を見せるようになっていった少年の様子がとても嬉しかった。
 早生まれの雪成に対してお姉さんぶりたかった、というのもあったかもしれない。思えば
亜季は、幼馴染みの世話をやたら焼きたがった。
 好きなお菓子は一番に譲ってやったし、困ったことがあればいつも助けてやった。
 そうすれば少年は、ぶっきらぼうだったけど、必ずお礼を言ってくれたから。
 少年を助けてやることが、何かをしてやることが、何より嬉しかったのだ。
 でも、それはいつまでも続かなかった。
 少年はいつの頃からか、もう少女の助けを必要としなくなっていて、お姉さんぶる必要も
なくなっていった。
 それでも誰かのために何かをすることは嬉しかった。頼られることが嬉しく、役に立つ
ことが楽しかった。自分にできることなら、亜季は喜んで引き受けた。幼馴染みはそれを
快く思ってはいないようだが─。
(誰かの役に立つことの嬉しさを教えてくれたのはあなたなのにね)
 苦笑が洩れそうになる口をなんとか引き締め、亜季は校門へと歩いていく。
 そのまま門を抜けようとして、しかしその真ん中で亜季は足を止めた。
 塀にもたれかかるように、幼馴染みがすぐそこに立っていた。
 亜季は驚いて、その場に立ち尽くしてしまう。
 こちらに気付き、雪成が近付いてきた。
「終わったのか?」
「え……な、何が?」
「……告白されたんだろ。どうだったかって」
「あ、うん……」
 亜季は正志のことを思い出して、顔を曇らせた。
 しかし雪成を心配させたくなかったので、わざと明るく言った。
「断ってきたよ。うん。先輩も納得したみたいだったし、後腐れなし」
「……そうか」
 雪成は安心したような、しかしどこかこちらを案ずるような、複雑な表情を見せた。
 やっぱり心配させてしまったのだろうか。亜季は帰ろ、と短く言い、雪成を先導するように
歩き出した。雪成は何も言わず、黙って亜季の横に並ぶ。
 横目でちらりと隣を見やる。
 相変わらず高いなあ、と内心でぼやく。背を抜かれたのは小学六年の頃だった。中学に
入ったら雪成の身長は一気に伸び、今やセンチで175を数える。
 本当にもう、亜季の助けは必要ないのかもしれない。
 そんな自分が雪成の側にいるには、どんな立ち位置を取ればいいのだろう。

154:かおるさとー ◆F7/9W.nqNY
08/04/03 23:23:51 pYqxUnrm
「……俺さ」
 不意に雪成が口を開いた。
 慌てて横目を戻そうとしたが、その表情に微かな緊張があることに気付き、亜季は思わず
じっと見入ってしまった。
 雪成は軽い呼吸を何度か重ねると、立ち止まって言った。
「俺、亜季のことが好きだ」
 亜季の足も止まった。
 夕日が雪成の顔を朱に染めている。きっと自分の顔もそうだろうと、亜季は思った。
 赤面していたとしてもこれならごまかせるかも、とずれたことを思った。
 雪成は軽く髪をかき上げる。手が微かに震えていたのは気のせいじゃない。
「……今、言うの?」
「今じゃなきゃ、決心が鈍りそうだったから」
 亜季は呆れ笑いを向ける。
「……昼休みのときに言ってほしかったんだよ?」
「……悪かった」
「……私が先輩のところに行くとき、止めようとは思わなかった?」
「資格がないと思った。十年以上何もしてこなかった俺に、止める資格なんてない」
 資格。そんなもの、どうだっていいのに。
「そういうときは、強引になってもいいんだよ。少なくとも私に対しては」
「……悪い」
「ううん、嬉しいんだよ。私の知ってる雪成くんはもうちょっとひねくれていて、自分の気持ち
なんて素直に言葉にするような人じゃないもの」
「……」
 不満そうな目を向けられたが、文句は来なかった。自覚はあるらしい。
「だから嬉しい。自分の気持ちを真っ直ぐ伝えてくれて」
「……」
 沈黙する雪成の手を亜季はそっと掴んだ。
「断るのって……辛いんだね」
「……」
「先輩の告白を断って、すごく心が苦しかったの。人の好意を受け取らないのが、こんなに
苦しいなんて、知らなかったよ……」
「……」
「本当はすごく迷った。先輩は本当に優しくて、とても仲がよかったから。でも……でもね、
昼休みに雪成くんの慌てる姿を見て、やっぱり断らなきゃ、って思ったの。雪成くんに慌てて
もらえるくらいには、私も好かれているのかもしれない、って思ったから」
「……」
「雪成くんの気持ちが少し見えた気がして、勇気もらったから」
 自惚れた気持ちかもしれない。それでもよかった。
 亜季は、やっぱり、
「私ね、ずっとあなたの支えになりたかった。あなたのお姉さんとして、ずっと。でもそれも
終わり。あなたの恋人になるには、姉弟じゃだめだから」
「……お前、忘れてるんじゃないだろうな?」
 雪成が眉をしかめて言った。
「……え?」
「昔、最初に言っただろ。俺に姉はいないって。姉はいらないって」
「……」
「もし覚えてるなら、あれの意味……今ならわかるだろ?」
「……雪成、くん」
 幼馴染みは顔を背ける。恥ずかしそうに、ぷいっと。


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