08/03/16 00:51:15 mfRcDiQc
貴方の為に
笑った。笑うしかなかった。笑顔しか作れなくてごめんなさい。優しい言葉に返そうとする想いも…きっと貴方の心を埋められるものでは無い。
利き目を負傷したロックオンが戻ったと聞いても、その不運を悲しむだけだった。
人間の善意には神が存在する。それは習慣とか植え付けられた意識とかでは無く、自分を測る天秤だ。あくまでも天秤を作り上げたのは自分自身で、自分しか神には成り得ないのに偶像に縋るのだ。
『ぁあ…神は居ない』
それを感じ取った瞬間、涙の横に冷静に浮かぶ言葉がそれだった。
昨晩の事が脳裏を過ぎる。行為の後指先で触れる様に特別を求めた。彼の眼帯の下を誰も見ていない。自分だけが許される行為だと
「ロックオン…」
「見るものでも無いよ…」
せがんでみても以前のアイスブルーの両眼が私を射ぬかない。
「…気にするな」
過信していた。自分だけは許されると思っていた。
「……無事で良かった…」
恥じる想いと、過信した自分を慰める為に漏れた言葉なのに彼は抱き締めてくれた。そして耳元に囁く心を揺さぶる声
「…ありがとう」
この声が耳から離れない。
どうして貴方が居ないの?
その間にも機械的な声が繰り返す
『ロックオンロックオン…』