【田村くん】竹宮ゆゆこ 3皿目【とらドラ!】at EROPARO
【田村くん】竹宮ゆゆこ 3皿目【とらドラ!】 - 暇つぶし2ch800:サンドラ2
08/10/22 01:10:20 w8kNj3Vb
 ―と、不審者感全開の男に近づく勇気有る少女が一人。


「お待たせ様。竜児」

 少女が男にかける声には男を見つけた喜びと「またそんなとこに潜んで・・・」という呆れが等分に含まれていた。 

「・・・・・・おう」

 竜児と呼ばれた男は返事をしつつ、声の主に振り向く。

「ごめん、なんか担任のスイッチが入ってホームルーム長引いちゃった」
「気にすんな。あんまり待ってないから」

 いつも通りの不器用な返答に少女の口元が緩くなる。

「んふふふ」
「・・・・・・・・・」

 対して猛禽の如く眼光を滾らせる男。
 もっとも彼の場合、これで少し憮然とした程度だったりする。

「・・・・・・いいから帰ろう」

 経験則から敗北を未来視した男は逃げるように歩き出す。
 それでなくとも彼と彼女は学校の有名人、立ち止まっているだけでもどんなトラブルに巻き込まれるか分かったものではない。


801:サンドラ3
08/10/22 01:11:18 w8kNj3Vb
「はいはーい。 ・・・・と、ああそうだマネージャ君、今日の予定は何だっけ」
「お前のマネージャになった覚えはないが一応説明しておく。本日の予定は数学と物理、ところによりロールキャベツだ」

「コンソメ?」
「ノン。中身は魚の白身なので貝から出汁をとってみた」

 大家がお裾分けしてくれたのさ、と顔を綻ばせる男。 何処までも主婦臭い。

「自信作?」
「語るに及ばず」

「デザートは?」
「小テスト合格者にはカロリー控えめ特製卵アイスをくれてやる」
「パーフェクトだウォルター・・・・・・・・・・・・と、言いたい所だけど一点減点ね」

 歩みを止めて、そっと差し出される少女の右手。

「私の右手が寂しがっています」

 男はその空の手を数秒間だけ見つめた後、諦めるようにしてその手を握った。

「♪」

 手と手が触れ合っただけ、それだけで少女は笑った。
 竜児が心奪われた、太陽のように輝く向日葵の笑顔で笑った。

「よっしゃ。パーフェクトだぜウォルター」
「恐悦至極だよ。実乃梨」

802:サンドラ4
08/10/22 01:12:00 w8kNj3Vb
 彼女、櫛枝実乃梨は心から幸せそうに笑った。

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             サンドラ by致命的存在

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「えーと、式は確かこれでしょ、あとはゴリゴリ計算あるのみ・・・・・・・うっしソレっぽいのが出たー!
 よしよし、私の直感もこの答えを肯定しているし、・・・・・・こんなん出ましたけど、どっすか高須先生?」

「何故最後にカンに頼るのかが不明ですが正解です櫛枝生徒」

 自分の宿題の手を止めて実乃梨のノートを睨みつける竜児、その顔には苦渋の色が浮かんでいた。

「経験から来る直感に頼るのも悪くないけど、俺としては別の数式も憶えて答えを合わせる方法をプッシュします」

 はーいと、元気な返事を返す実乃梨。
 その姿はタンクトップにホットパンツを組み合わせたラフ過ぎる格好。
 対して竜児は黒ジャージ、黒Tシャツの完璧部屋着。
 
 竜児の部屋にて行われているプチ勉強会は既に足の指を使っても数え切れない回数を重ね、
 いくつかのルールを定めるに至った。

 そのうちの一つが私服の着用。

 無論、竜児の定めた規定だ。

803:サンドラ5
08/10/22 01:12:35 w8kNj3Vb
 外見ヤンキー、内面マザーの彼には制服のまま家中で行動する事が耐えられなかったのだ。
 そんな感じで高須家には計5セットの実乃梨部屋着がストックされてたりする。
 その服を誰が洗うのかに関しては、まぁ語る必要もないだろう。

 ちなみにやっちゃんこと高須泰子はお仕事中。
 竜児と実乃梨が帰宅すると同時に―

「やっちゃん昼まで帰らないからゆっくりしていってねー。・・・・・あ、でも計画的にねー」

 ―と、意味不明な言葉を残して毘沙門天国へ旅立っていったのだ。




「―さて今日はこれぐらいにしとくか」

 ベットわきに置かれた目覚まし時計を見れば時刻は午後8時
 途中、夕飯休憩に使った時間を考えても1時間を考えても3時間は勉強した計算となる。
 あらかじめ考えていたノルマは越えていたし、何よりも実乃梨の集中力が限界だと考えた竜児は閉会の合図を出す。

「本日の勉強会を終了します。礼」
「ありっしたー!」

 うむ、体育会系の掛け声に頷きながらもテキパキ勉強道具の片付けを始めるクリーナー高須。
 対して、実乃梨は恋人の清掃活動を妨害するように「だばー」とちゃぶ台の上に上半身を投げ出す。

「はうぅー」
「・・・・・・どうした、足でも痺れたか?」

804:サンドラ6
08/10/22 01:13:21 w8kNj3Vb
 一応、実乃梨の身を案じつつも机の上に散らかった消しカスに熱い視線を送る竜児(綺麗好き)

「違うんダヨー。 これはそんなインスタントな悩みじゃなくてもっと熟成された悩みなのダヨー」
「ほぅ、それはカレーを寝かせる事なら学校一を自負する俺にも打ち明けられない熟成話なのか」

 座布団から立ち上がろうと中腰になっていた体勢から再度座布団に腰を降ろす。

「いやー。話せ無いなんてことないけど、むしろ竜児くらいにしか話せない内容だけど・・・・・・」
「ならいいだろ、話しちまえ。3S(清潔、清掃、整頓)の事しか考えていないと思われているらしい俺だが
 半分くらいは常に実乃梨の力になりたいと考えているんだぞ」

 はーん、と顔を朱に染めるの実乃梨、心にキュンと来たようだ。

 ・・・・・・お前にとって実乃梨と3Sは等価値なのか? といううつっこみは勿論無い。
 バカップルめ

「じゃあ言っとく。 ・・・・・・りゅーじは今幸せ?」
「絶頂過ぎて怖いぐらいに薔薇色だ」
「薔薇か。うん、なら私は幸せの蜜を舐める蝶だね」

 ちゅーちゅーと唇を突き出す恋人は正視しない方向で

「でね、私一人で満員のその花にたかろうとする輩が、例えるなら蜘蛛と天道虫? 蟷螂? ・・・・・・いや、ぶっちゃけ虎がいるのだよ」

 懲りずにね。と若干ダークな表情を作る実乃梨
 そんな実乃梨らしくない顔を確認しつつも竜児は納得いかない表情だ。

「・・・・・・それって、あの二人だよな。
 正直、実乃梨が具体的に何について悩んでいるのかいまいち分からないのだが・・・・・・?」

805:サンドラ7
08/10/22 01:13:57 w8kNj3Vb
 実乃梨が暗黒面が一瞬で唖然としたものに変わる。

「・・・すごいぜそのニブチンぶり」
「・・・・・・は?」

 コロコロと表情が変わる奴。 ・・・・・・まぁそこがいいんだけどな(///)
 という竜児の思考に突っ込みを入れるものも無論いなかった。
 バカップルめ!

「竜児って実は哺乳類から進化したんじゃなくて藻乳類から進化した人?」
「先祖代々由緒正しい霊長類の家系だよ!」

 片親を生で見たことが一度もない俺だがそこは譲れない!

「てか自分の彼氏をミュータント扱いするなよ」
「むぅ、私の唱える学術的な見解に基づいた藻人説は頭っから完全否定かね高須教授」
「全面的に否定する。 実乃梨が唱えているのは説とかじゃなくて怪しげな呪文だ」

 恐らくメダパニあたりだろう。
 しかも強力すぎて自分が一番最初にメダパニってしまう混乱系最強最高呪文。
 
「・・・・・ま、話を戻すとさ。 私にはあの二人が簡単に竜児の隣を諦めるとは思えないんだよねー」

 はさぁー、と頬に手を当てて変な溜息をつく実乃梨
 そして対称的に呆然と呼吸を止める竜児

「―――は? いやいやいや、ちょっと待てよ。 ありえねーだろそれ」

806:サンドラ8
08/10/22 01:14:57 w8kNj3Vb
 数ヶ月前の俺ならいざ知らず、今の俺はオンリーワンを選んでしまっているのだ。
 目の前に座して太陽のように笑う・・・この少女を。

「んー。 確かに竜チンのピュアでホットな想いはみのりチンのハートをいつもほっかほかのあっつあつにしてくれるんだけどね。
 こればっかりは信用できないかなー。

 ―だって竜児、優しすぎるから」

「―ぐっ」

 心に当たりどころが多すぎて思わず唸る。
 いくら竜児でも自分の中途半端な優しさが何人もの人を傷つけていたのは自覚済みだった。

「例えば、泣き落としとか耐えれる?」
「うっ」

 ストーカーに追われた雨の日、あの時に見てしまった彼女の涙が脳裏に蘇る。

「・・・・・・例えば、誘惑とかに耐えれる?」
「がはっ」

 プール開き前日、彼女の家で見たスク水姿が心の臓を高鳴らせる。


 そんな彼氏の動揺を見た実乃梨の表情が「だめだ、はやくコイツ何とかしないと」といった感じに変化する。

「このままだと、またアレをやらなくちゃいけなくなるのかもね」
「・・・・・・ア、レ? アレって・・・・・まさか?」

807:サンドラ9
08/10/22 01:15:36 w8kNj3Vb
 不吉な単語にニューロンが反応し、脳裏に映し出されるのは正しく地獄絵図
 3人の少女が一人の男を奪い合う為に行った戦争を思い出してしまったのだ。
 町を、人を、小動物を恐怖のどん底に叩き込んだ惨劇の名は・・・・・・


「第②回竜児杯」


「ひっ、ひぃーー!!」

 あの、ひとつの公園を消し去り、警察が逃げ出し、インコちゃんが放送禁止面になった―

 ―あの伝説の惨事が、繰り返されようとしているのか!?

「お、終わりだ。 今度こそ、この町は人の住めぬ町となるっ!」

 恥も外聞もなく体を震わせる竜児に憤懣やるせナスといった表情を作る実乃梨。

「も…もぉー、ちょっと大げさだよ竜児。 もっと子供達に消えない夢を与えたとかソフトに表現しようよ」

 お前の家の宗教では醒めない悪夢と書いて「キエナイユメ」と読むのか。
 怖すぎる! と竜児は更に震えた

「大げさなものか・・・・・・河川敷近くにある寺の住職な、修行の為にシベリアに旅立ったって話だぞ」
「・・・・・・何故にシベリア?」
「恐らく、最低限本物のシベリアトラに勝てないと勝機は無いと考えたのだろう」

 賢明な判断だ

808:サンドラ10
08/10/22 01:16:47 w8kNj3Vb
「あと、駅近くにある教会の神父は芸能事務所に本職のエクソシストを連れ込んで悪魔祓いを敢行したそうだ」
「あぁー、だからこの前あーみんの手に火傷の跡があったのかー」

 その後、神父の姿を見たものはいない。

「あはははははは、結局人に迷惑かけてないのって私くらいだよねー。あはははははは」


「・・・・・・(信じられないようなものを見る眼)」


「あはははははははははは」


「・・・・・・(ツチノコが交尾してる所に出くわしちゃった感じの眼)」


「あは、は・・・・は」


「・・・・・・(徳川の埋蔵金を裏庭で見つけてしまったときのような眼)」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・は」


「・・・・・・(逢坂大河が高校生かつ霊長類だと学会で証明された時の眼)」


809:サンドラ11
08/10/22 01:17:40 w8kNj3Vb
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ごめんなさい」





 閑話休題。



 <承>

「ま、結論を言ってしまうと・・・・・・奴らがまた何かする前に絆を深めておかないとまずいかなって話」

 強引に話を戻した心算だろう彼女、しかしそれでも竜児の顔色が優れる事は無かった。
 なんとなく、話のオチが読めてしまったのだ。

「・・・・・・なるほど、わかった。 つまり今度デートをしようと言う話だな」

 予想されるオチに向かわせない為に先手を打つ竜児、ものすごいヘタレ。

「むはー、それも全然悪くないんだけどね。でも、今から出来る絆の深め方もあるよね」

 ほわほわと顔を赤らめる愛しい彼女は四つん這いになるとゆっくり竜児に迫った。
 楽しそうに尻を振り、固まってしまった竜児に襲い掛からんとする実乃梨。
 竜児はその姿に敗北を悟りつつも、一応最後の抵抗を試みる。

「昨日も・・・・・・「した」ばかりだろ」

810:サンドラ12
08/10/22 01:19:02 w8kNj3Vb
 「した」とはもちろん正常な男子高校生なら誰だって大好きなあの行為の事だ。
 一見キスの味も知らないような竜児だが、その実かなりの経験者だった。

 無論、その経験の相方は目の前にいるこの少女とのもの。
 実乃梨との行為は平均して週3、手と口も入れるのなら週4ぐらいのペースで行われている。

 ・・・家で勉強の後とか。
 ・・・・・・バイトの後にホテルとか。
 ・・・・・・・・・・・・・・・放課後の学校とかで、何回かいたしていたりする。


「おかしいだろ!! 何でそんなにアグレッシブなんだ!?」


 ・・・・・・と、常識人を標榜する竜児が勢いに任せて本音を聞いた事があったのだが、
 彼女はあっけらかんとこう答えた。

「いやー。 女の子に妙な幻想もたれても困るなー。
 現代日本にヤマトナデシコなんて絶滅危惧種ですよ?
 女の子だってムラムラしちゃう時があるんダヨー。
 性欲は男の子だけの特権じゃねってんダヨー」

 TPOとか弁えて下さい>切実に
 屋上とか無理ですからホント。 小心者なんです。 密室じゃなきゃ勃起しませんから>落涙

「ん! もしやそれは、トイレの個室ならおkという事?」
「ノォォォオオオウゥゥーーーー!(訳:No)」

811:サンドラ13
08/10/22 01:19:42 w8kNj3Vb
 はい目頭が熱くなる回想終了!



 結論。竜児が選んだ太陽のような少女、櫛枝実乃梨は実はかなりエロエロだ。

「昨日ぶり? そいつはまずいねぇ」
「お、おぅ」

 お、回避成功か?
 なんて事を一瞬でも考え、安堵の息をつこうとした竜児の唇は一瞬で塞がれた。

「――!」

 驚きに眼を見開く竜児だが、それでも逃げたり顔をそらす様な事はしない。
 だって竜児は実乃梨の事は大好きだし、行為自体も決して嫌いでは無い。

 ただ、頻度が濃すぎるのだ。
 それだけが常識人、高須竜児の悩みだった。

「24時間もしてないんじゃ、私の匂いが落ちちゃってるよ」

 接吻を終え、そんなことをのたまいながら竜児の首元に自分の顔を擦り付ける実乃梨

「匂いって、動物かってーの。つーか人の匂いって移るものなのか?」
「・・・・・・そんな事言う竜児は知らないのでしたー。大河と馴れ合っていた頃に首元から漂わせていた大河臭の存在を」

 本気で?
 本気と書いてガチです。

812:サンドラ14
08/10/22 01:21:09 w8kNj3Vb
「大河のソレは縄張り示してるようなものだから、こっちも負けずに擦りつけてる訳ですよ」

 レロリと、実乃梨の舌が頚動脈に這う

「・・・・・っ」

 艶かしい感触に竜児の口から思わず声が漏れる。

「いい反応だな、このかわいこちゃんめ。
 そろそろ諦めてその初心な体を差し出す気になったかい?」

 既に密着している実乃梨の瞳に宿る好色な光に背筋が冷える竜児。
 いかん、完璧に発情してやがると脳内にイエローアラームが響く。

「・・・・・あれ、それともちょっとマンネリ気味?
 私なんか竜児とのまぐわいを想像するだけでご飯三杯いける派なんだけど」

 性欲と食欲が直結してるってどんな派閥だよそれは!? と心の中で叫び声をあげるレッドアラーム

「ふむ・・・・・・なら、ちょっとシチュを変えてみますか」

 むふーと鼻息の荒い実乃梨に不安を覚えた竜児、その直感は正しく経験に基づく正解だった。
 きゅっと強く眼を瞑る実乃梨、そして唇から漏れる不思議ワード

「教師と生徒の禁断授業」
「は?」

 竜児の?マークを回収する事も無く、実乃梨は瞼を開いた。
 ・・・・・・どこか潤んだ瞳が竜児を捕らえる。

813:サンドラ15
08/10/22 01:22:10 w8kNj3Vb
「高須先生」
「・・・・・・」
「先生、いつもお馬鹿な実乃梨の為に頑張ってくれてありがとうございます」
「え・・・・・・あ、いや、実乃梨は馬鹿なんじゃないぞ。元々努力家だし、理解力も悪くない」

 暢気に日頃の感想を述べてしまう辺りに竜児の愚鈍さをよく現している。

「私、先生にお礼がしたいんです」
「・・・・・・いや、気にするな好きでやってる事だ・・・・・・し?」

 最後の言葉が裏返ってしまったのは、実乃梨の手が竜児のベルトに手をかけていた為だ。
 呆然とする竜児を置き去りにして引っ張り出される竜児の分身

「すごい、先生の・・・・・・熱くて逞しい」

 竜児の股間に取り付き、姿を現した肉棒に熱い息を吹きかける実乃梨
 そんな性欲魔女の姿に今回の趣旨を悟った竜児が声を上げる暇もなく――

「あーーん」

 ―ぱくりと、実乃梨の小さな唇が躊躇い無く異物を咥える。

「――うぉ」

 敏感な部分が有機的な熱つを持つ柔肉に包まれた衝撃に、竜児の腰が震える。
 実乃梨といえば彼氏のそんな反応に気を良くして更なる口撃を仕掛ける

814:サンドラ16
08/10/22 01:23:11 w8kNj3Vb
 くちゃくちゃという水音を響かせて口内で弄んだり。
 レロレロと竿の裏側を丹念に舐め取ったり。
 舌先で溢れ出る先走り液を掬い取ったり。

 縦横無尽、絶え間無く快楽を供給された竜児の肉棒が直立するまでにさほど時間はかからなかった。

「・・・・・・・んーー。んん、んっ、んーん」
「何い、ってんのか、全然、わかんねーよ」

 竜児の分身を咥えたまま声を出す実乃梨、その眼は当然の如く上目遣いだ。

「―っんは。ねぇー先生、気持ちいぃーですか」
「お、おう」
「んふふふふ、よかったー」

 蕩けるように微笑む実乃梨。
 もうその顔を見てたらもう頻度とか節度とかどうでも良くなってきた竜児がいたりした。

 思わず実乃梨のまとまった髪を櫛撫でる。

「・・・・・んー。先生、実乃梨は興奮してきましたです」

 くすぐったそうに身をよじらせつつもそれだけ述べて再度口淫に取り掛かる実乃梨
 愛らしい唇で竜児の分身を半分ほど飲み込み、ソフトなディープスロートを開始する

「んふ・・・んー、んっ・・んぅ・・・んぁ、んんーーー」

 くちゅっくちゃ、ぬちゃっ、くちょっ

815:サンドラ17
08/10/22 01:24:05 w8kNj3Vb
「・・・・・・う、うぉ」

 惚れた女の口元から漏れる媚音と敏感な部分から感じる口内愛撫に竜児の脳はパンク寸前。
 無論実乃梨はそんな竜児の状態を正確に認識しつつも口撃は硬軟を織り交ぜ完全に弄んでいる。

 所謂魔女である。

「――んはっ・・・・・・ふふっ、先生の固いのピクンピクンしている」

 一旦口淫を解除し、素早く手淫に切り替える実乃梨

 ・・・・・・シュプ、ジュッ、クチュ、チュプ

 唾液と先走り汁が実乃梨の手の動きに併せてミックスされ、竜児の部屋に水音を響かせる。
 しかもただ握るだけではないのだ、要所を押さえた実乃梨の力加減は絶妙の一言に尽きる。
 実践で鍛え上げられた実乃梨の技に竜児は自身の敗北を間近に感じとった。

「み、みのり悪い・・・・・・もう限界だ」
「・・・・・・・・わかり、ました。せんせーの教育的白濁液を実乃梨にくらさい。――んぅ」

 一度目よりも淫猥に、二度目よりも情熱的に、三度目の口淫は開始された。

 ……れるっ、んふっ、ちゅちゅっ、ちゅるっ、れるっ、ぴちゅっ!

「……んんっ、……ちゅっ、……ぅうんっ、……んっちゅ、……ふぅぅっ」

 股間から背筋を走り、脳内を蹂躙する快楽に竜児の制御回路は一瞬で焼き尽くされる。

816:サンドラ18
08/10/22 01:24:53 w8kNj3Vb
「――っだめだっ! でるっ、でちまう!」

 ―ドピュドピュドピュッ!!!

「―――――ッ!!」

 口内を蹂躙する生臭い精液に対して実乃梨は――

「――んぐぅ、んっ、んっ」

 ――その全てを受け止め、更には搾り出さんと口技、手技を繰り出す余裕すらあった。

「・・・・・・ん」

 漸く、竜児の射精が収まったのを悟り、肉棒から名残惜しそうに唇を離す実乃梨
 そして唇を閉じたまま竜児の股の間にちょこんと座り込むと、両手を自分の顔に持っていき閉じられていた唇を開く。


 ぬらりと舌から零れ落ちる唾液と精液の混合液が、受け皿の形を作る実乃梨の掌に溜まっていく


「ひぇんふぇーのせいえき、ひゅごいあじとにおいで、みのりはあたまがとうけそうでふ」

 恋人のあんまりといえばあんまりの痴態にぐびりと喉を鳴らす竜児
 まぁ、彼の場合次の瞬間には液体を拭き取る為にティッシュを探したりするのだが


 ・・・・・・今回ばかりはその行為すら隙だった。

817:サンドラ19
08/10/22 01:25:49 w8kNj3Vb

 ぱさっという音にティッシュ探しを取りやめて顔を上げた竜児がます見たものは、
 すらりと伸びた脚とその足元へ落とされたホットパンツ。
 そして、可愛らしいストライプ柄のパンツをずり下ろそうとする精液に汚れた実乃梨の指だった。

「せんせい、実乃梨・・・・・・濡れちゃった」

 ずるりと下ろされたパンツと糸を引く秘娠
 淡い茂みに隠された女の子の秘所は今、どうしようもなく濡れそぼり、竜児を求めていた。

 どくん

 再度体の一部に血が集まって来るのを感じた竜児、その分身は射精したばかりだと言うのに若干力を取り戻していた。
 その回復力を見た実乃梨は淫猥に微笑むと、忘れていなかったインスタントキャラで竜児に懇願した。

「その逞しい教鞭でたっぷり指導してくださいね。せ・ん・せ・い♪」

 竜児のお前はそういうのを何処で覚えてくんだよ!? という素朴な疑問に答える声は無かった。








 <転>

「くぅあぁぁぁぁ! ひっあぁぁぁぁ、はぁぁぁぁぁぁんんっ!! ふぁああぁぁんんっ!」

818:サンドラ20
08/10/22 01:27:26 w8kNj3Vb
 質素な壁を背に座る竜児に跨り、騎上位の体勢で己の子宮に収まった肉棒の感触を楽しむ実乃梨。

 グチュッ、ジュプッ、ジュプッ、ジュジュップッ!

 結合部から響く水音は重く、全裸になった実乃梨の体からは珠の様な汗が浮かんでいた。

「ひぃ! ひぁああ! はあぁっ! すごぉいっ、りゅうじのっ!」

 頬を染め、快楽に意識を飛ばした実乃梨の顔はエロ過る。
 そんな事を考える竜児は基本されるがまま。
 体を支え、腰を突き上げたりもするが結局は実乃梨主体の性交だ。

「ふぁあぁあっ! みのりのっ、やわらかいところがぁ! りゅうじのかたいのでぇ、えぐられてるぅ!」

 好色満面の彼女の頭からはさっきまで行っていたキャラ作りの事など一片たりとも残ってはいない。
 ただ、己の本能の赴くままに快楽を貪る獣、悦楽の美獣しかいなかった。

「―――くっ」

 もっとも、竜児としてはそんな彼女も嫌いではない。
 太陽のように美しく笑う彼女も、淫婦のように妖しい彼女も、
 等しく櫛枝実乃梨であること竜児は知っているのだから。

 更に言えば、恋もへったくれも無い話となってしまうのだが、・・・・・・彼女の膣は最高なのだ。
 真っ赤に腫れ上がった淫貝は絶妙の力加減で肉棒を搾り、
 艶かしくも紅い柔肉は包み込むような熱で分身の先端を受け止めるのだ。

819:サンドラ21
08/10/22 01:28:24 w8kNj3Vb
 竜児が不退転の覚悟で決たコンドーム絶対着用のルール
 もしこの不文律が無ければこの快楽を生で味わう事になったのだろう竜児はその事実に背筋を寒くする。

「ひっ、あはぁぁぁ、やっ、やだぁ、くっあぁぁぁ、やめ、きゃぅぅぅ!」

 実乃梨も既に二,三回は達しているはずなのだがそれでも彼女の動きが衰える事は無い。
 快楽に腰や太ももといわずに全身を震わせてもなおピストン運動は止まらない。

「あっぁぁぁーーー! くっぅぅぅ、ひぃはっぁぁぁーーー!!」

 そんな性欲の権化に襲われ続ける事20分
 ・・・・・・竜児は再び追い詰められていた。

 2回目であることとコンドーム装着によりここまで頑張ってはいたのだが、
 それでも若すぎる青少年に己の陰嚢に集まるマグマを止める術など無かった。

「――つっ、――う・・・ぉ!」

 思わず漏れた野太い嬌声
 それに反応したのは勿論半狂乱といった感じの実乃梨ちゃん。
 一旦動きを緩めると、竜児の瞳を覗き込むように顔を寄せる。

「うぁっ、りゅうじ、まだいけるっ? ――ふぇ? だめ!? もうだめ?」

 そんなダメダメいうな! という気持ちを抑えて、コクコクと首を縦に振る竜児。 
 その仕草に一瞬残念な顔をする実乃梨だが、次の瞬間にはその顔に歓喜が張り付いていた。

「わかっった、ラスパッ、いくね!」

820:サンドラ22
08/10/22 01:29:09 w8kNj3Vb
 ぐりん

 今まで畳についていた膝を竜児の胸板の上に揃える実乃梨
 そして筋肉の自然な働きで引き絞られる実乃梨の膣内

「――!」

 自身の分身を圧迫され、思わず声なき声を上げる竜児
 その様子に満足したのか実乃梨は不自然な体勢にも関わらず再びピストン運動を開始した。

「うぁ―き、きつぅ! ―あ、で・・・も、りゅうじの熱いの形がっ、はっきりとわかるっ、かも」

 聞いてもいない感想を律儀に述べる実乃梨
 というか、本当に彼女はこういう技術を何処から仕入れてくるのだろうか?
 快楽の閃光がはじける頭の中でそんな疑問を竜児は抱くが、それも次の快楽の波で微塵と消える。

「――おぉっ、ちょっ、これやばいっ、すぐに射精しちまう!」

 そんな彼氏の敗北宣言に異論を唱える少女

「んっ、ちょっち、待って、わらしもっ、もうちょっとでっ!」

 「イけるから」という言葉は竜児に不要だった。
 竜児だって実乃梨のことは知り尽くしている。
 細かく震える太ももと膣にもうあと少しで実乃梨が達する事を経験から確信した。

「――お・・・う」
「う、ん――、イくときはぁっ、ひぅ! いっしょだよっ!!」

821:サンドラ23
08/10/22 01:29:53 w8kNj3Vb
 クチュ、グチュ、グチュゥ、グチュ、グチュゥ、グチュチュ!

 情熱的に交わされる唇と唇の奪い合い、共にはしたなく突き出された舌が触れ合い、絡み合う。
 重い水音を響かせる接合部では本気の愛液と汗が攪拌され、ドロドロとした混合物が生み出される。
 言葉は無く、ただ行為によって愛を紡ぎ、伝える男と女の正しい姿。
 最早二人の間に隔たりは無く、まるで一つの生き物が歓喜に震えるようでもあった。

「―――――う、おっ」
「っんんっあぁぁぁ、らめぇ、ひゃぁいぁぁぁぁ、やぁあぁぁぁぁぁ!」

 ジュュ、ジュプ、グチュゥ、ジュグチュ、ジュププゥゥゥ!!

 そして訪れた、悦楽の瞬間
 二人の背骨に電流に似た快楽信号が放たれる

 ――――ドクンドクンドクンドクンドクン!

「「―――――――――――――!!」」

 二人の中で弾けた熱は残った最後の意識をも溶かし、二人を安らかな眠りへと導いた。





 <結>

 己の髪を撫でられる感触で実乃梨は眼を覚ました。
 実乃梨はただ体温を感じ取り、そちらのほうを見上げれば先に起きたであろう竜児の優しい瞳。
 事後、そうとしか表現できないような空気の中、ただその眼差しだけで実乃梨の中を幸せが満たしていく。

822:サンドラ24
08/10/22 01:31:31 w8kNj3Vb
「・・・・・・」

 そして、更に思ってしまったのは先に感じた感想を覆す馬鹿な感情。

 先に起きて、実乃梨の身を案じるようなその優しい仕草が、不満と不安を呼ぶ。
 竜児の優しさ、それ自体が実乃梨に疑念を与えていた。

「・・・・・・ッ」

 彼は悪くない、悪いのは自分、だからこの感情は必要のないもの
 眼を瞑って自分の中から悪感情を追い出そうと念じる実乃梨
 しかし一度考えてしまえばその思い無尽蔵に育っていく。

 そんな、少女の葛藤は誰にも理解されない


 ――そんな、残酷な話は無かった。


「実乃梨・・・・・・なんか、あったのか?」
「!」

 早々に見破られた感情に驚きの声を漏らす実乃梨
 しかし其れは恋人たる竜児に失礼だろう。
 先に言ったとおり、竜児はいつだって実乃梨の事を考え、その身を案じているのだから。
 元々感情を隠すのが上手い少女だけに竜児は細心の注意を払って実乃梨の見ているのだから。

823:サンドラ25
08/10/22 01:32:20 w8kNj3Vb
「・・・・・・」
「・・・・・・」

 話してくれれば嬉しいと思う。
 竜児は沈黙の中、雰囲気のみでそう語っていた。
 そして実乃梨は、そんな優しすぎる恋人の姿に心震わせながらゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。

「ねぇ竜児」
「おう」

 共に、天井を見ながらその心情を吐露する。

「してる最中にね、竜児が私に優しくしてくれているのは知ってるよ」
「・・・・・・」
「私が痛みを感じないように、私が一番気持ちよくなれるように、いつも気を遣ってくれているんだよね」

 こくりと、竜児は肯定の意を示した。

「それはすっごく嬉しくて、泣きそうなぐらいの幸せを感じるんだけどね。
 偶に思っちゃうんだ――

 ――私って理性で抑え切れるぐらいの魅力しかないのかなって」

 はっとその顔を見つめた竜児の視線と実乃梨の視線が絡み合う。

「そんな事考えるのは馬鹿だなって自分でも思うんだけど、
 それでも頭の中を大河とかあーみんとかの姿がちらついちゃうんだよね」

824:サンドラ26
08/10/22 01:33:34 w8kNj3Vb
 ほんと、馬鹿だよね。と実乃梨は笑った。
 竜児が唯一嫌いな、涙を堪える笑顔で―実乃梨は笑った。

 ―――――!!

 そんな実乃梨の笑顔を見た瞬間、竜児は己の中のドラゴンが高らかに吼えた気がした。

 それは例えるなら会戦の合図
 漸く戦えると喜び勇む邪竜の絶叫 



「―そうか、・・・・・・いや、そうだよな。実乃梨がいつも全開でぶつかって来てくれていたのに、

 ――俺だけ半分以下の力しか出してないってのは失礼だよな」

「―へ?」

 竜児にだって言い分は有る。
 だって実乃梨は女の子だから。
 どんなに鍛えられてはいても足は細いし、腕も竜児より一回りは小さい。
 壊れてしまわないだろうかと考えないのは竜児にとって無理な相談だった。
 それに加えて日頃のエロ三昧で見事に鍛えられた竜児の体は最近疲れを覚える事もほとんど無い。
 自身、なんか天性のそういった才があったのか分からないけどイこうと思えば何処までも逝ける気がする。

「そうだよな、愛する事に手加減なんていらないよな」
「え?・・・・・・あの、半分以下?・・・・・まさか・・・そんなに?」

825:サンドラ27
08/10/22 01:35:14 w8kNj3Vb
 ギンッ! と元々鋭い竜児の眼光がほとんど物理的攻撃力を持って実乃梨を刺し貫く。

「正直、そろそろ限界だったんだ。
 お前に魅力が無いなんてとんでもない、俺は俺の中の邪竜を外に出さない為に全力を注いでいたんだぞ」

「た、たかす・・・りゅうじくん? あの発言を取り消す事って可能かい?
 出来ればもう少しだけ優しくして欲しくなったかも・・・・・・って聞こえてる?」

「わかった実乃梨。
 最早明日行わなければならない雑務(掃除、炊飯、学校)の事は全て忘れて、
 ただお前を全力で愛すると誓う」

 ―瞬間、竜児は魂は本物のドラゴンになった。

 多分その姿は頭がいっぱいあって、ぬめっていて、女を狂わせる、触手モノに出てきそうな最悪の淫竜だった。

「ひぇぇぇぇえええええええええええぇぇえぇぇぇぇぇっ♪」

 その夜、高須家からどこか嬉しそうな悲鳴が途切れる事は無かった。

<了>

826:致命的存在
08/10/22 01:36:56 w8kNj3Vb
以上、長文失礼しました。

827:名無しさん@ピンキー
08/10/22 01:37:50 nvTM9IJo
>>825
乙です。
みのりんエロいよみのりんw
それにしても最近まで過疎ってたのになにこの投下ラッシュ
やはりアニメ効果は凄いなー

828:名無しさん@ピンキー
08/10/22 03:25:38 1/F5w8SH
お二方GJ
大河もみのりんも可愛すぎるw

しかし、どっちもバカップルにも程があるw

829:名無しさん@ピンキー
08/10/22 11:07:30 wf3aB7nQ
お二人ともGJ
大河かわいいし、貴重なみのりん分を補給したし言うことないわ

830:名無しさん@ピンキー
08/10/22 12:05:21 e0IzbrnT
多数のスレログを一気に取得し、オフライン時でも好きなスレのログをいつでも見られる
専ブラならではの方法だ

暇にかこつけてフェリーでノーパソ開いてこのスレ見てる俺っていったい…
日本語の通じないところだから見られても無問題だけど、読める人がいたらヤバス

831:名無しさん@ピンキー
08/10/22 16:36:21 uCiHonXp
>>830
フェリーでノーパンに見えた

832:名無しさん@ピンキー
08/10/22 18:35:09 1/F5w8SH
>>831
ノーパンを……開く……だと…?
異様なエロスを感じるぜ

833:名無しさん@ピンキー
08/10/22 22:00:49 G8u/FcyZ
>>795 >>826
超GJ
大河可愛すぎるwww
みのりんはエロイと言うか面白すぎるwww
保管庫にあるほかの作品と見比べても面白いと思う

漫画から入ろうがアニメからだろうが同じとらドラ!ファンならば問題なし

834:名無しさん@ピンキー
08/10/23 15:39:00 ObtS0BML
あ?
これは、なんだか大変、美味しい。超美味しい。

私の2月15日深夜が、美味しく無い。
どうしよう?

835:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:03:06 l//ENSb1
みのりんだと抜けるのに、大河だと抜けない
あーみんは俺の嫁ってふざけて言えるのに、大河は俺の嫁なんてなぜだか言えない
これが恋なんだろうか
以下、竜児×大河でタイトルは虎の霍乱

836:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:04:03 l//ENSb1
大河の様子がおかしい。
「はぁ……」
いつもは高須家の扉を破壊せんばかりの勢いでやってきて、家計を破壊せんとばかりの勢いで夕飯を貪る虎が
今日はまるで借りてきた猫のようにしおらしい。
そして加えてこのため息だ。
「お前どうしたんだ?今日はなんか大人し…元気がないし
 ご飯も全然食べてないじゃないか」
今日の大河はまだご飯のおかわりをしていない。
いつもなら自分のおかずだけでは飽き足らず、竜児の皿からも遠慮無くおかずを奪っていく箸が止まっている。
そのあまりの異常事態にさすがの竜児も困惑気味。
「大河ちゃん体調悪いんじゃないのお~?今日の大河ちゃんずっと変だよお~」
「うーん。なんだか今日は疲れたみたい。食欲がないわ。」
心配そうな泰子に答える大河。
お人形さんのような大河の顔も、心なしか青白い。
そのまましばらく迷い箸、結局何も口にしない。
「ごちそうさま、今日はもう帰って寝るわ」
そう言って箸を置き、立ち上がる大河。
「お、おい大丈夫か?送っていこうか?」
いつもはすれ違う学校の生徒を無意味に恐怖のどん底へ叩き落すその三白眼を、
しかし今は大河が心配で心配で仕方ないといった様子で歪め、竜児は尋ねる。
そして同じく立ち上がり、かけてあった大河の上着を取り大河に着せてやる。
「ん、ありがと、でも大丈夫だから。おやすみ竜児、やっちゃん」
上着を羽織り、しかし竜児の提案を断り大河は一人帰っていった。
いつもはドカドカとした足取りも今日は重く、その小さな背中はいつもよりさらに一回り小さく見えた。
「お、おう、おやすみ。暖かくして寝ろよ」
「おやすみぃ~、また明日ね~」
誰がどう見てもおかしい。
別れの言葉はかけたものの、竜児がやはり付いていこうか躊躇する間に大河は靴を履き出て行ってしまった。
バタンと力なく扉が閉まる。
静寂が高須家を支配する。

「……ホントに大丈夫かよ」
「今日の大河ちゃん全然元気がなかったねぇ」
残された二人は箸が進まない。
寝るところは違っても大河は二人の家族なのだ。
「今の時期は体調崩しやすいからな、学校でも風邪が流行ってるし」
竜児は思い起こす。そういえば今日もクラスでは3人休んでいた。
「心配よねえ~。今夜もちょっと寒いもんねえ~」
季節は秋。あれほど暑かった夏の日々は去り、日中の残暑とは裏腹に朝晩はかなり肌寒くなってきた。
二人は大河が去った後もしばらく扉を見つめていた。

837:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:04:38 l//ENSb1
~♪♪♪ ~♪♪♪
慌しく出勤していった泰子を見送り、宿題も風呂も済んで、
弁当の仕込みも終わって、後は寝るだけという竜児は
もう日も変わろうかという時間に響くケータイに眠りかけていた意識を覚醒させた。
この着信音は大河からだ。
こんな時間に一体何が、と電話を取る。
「もしもし」
しかし竜児は返ってきた声にハっとなった。
「…うじ……。竜児……」
「大河!ど、どうしたんだ?」
そのあまりに力ない言葉に竜児は驚いた。
これは普通じゃない。
「竜児……。寒いよ……。苦しいよ………。りゅう………」
ガチャンという音と共に何も聞こえなくなる。
ケータイを落としたようだ。
「大河!どうした!?大丈夫か!?クソッ!」
竜児は電話を切り立ち上がる。とりあえず行くしかない。
脳裏をよぎる最悪のシナリオ。
それを振り払い寝巻きにジャケットを羽織り鍵だけを手に大河のマンションへ向かう。
「大河、待ってろよすぐ行くからな」
一段飛ばしで階段を下り、独りごちる。


オートロックの自動ドアに合鍵を突っ込み、開ききる前に飛び込むように体を滑り込ませ、
竜児はそのまま二階の大河の部屋に直行する。
焦る手でドアの鍵を開け、そのまま乱暴に開く。
「大河!大丈夫か!?」
竜児は大河の部屋へ向かう。
「入るぞ!大河!」
返事は無い。竜児はドアを開ける。
電気をつけるとそこには高級な天蓋付きのベッドの上でぐちゃぐちゃの布団に埋まるようにしている大河の姿が。
床には大河のケータイが落ちている。
「大河!」
再度呼びかける竜児。
「……りゅうじ…」
竜児の言葉に反応して目を開く大河。しかしその瞳は力なく、焦点も合っているかどうか。
「大丈夫か?どこが苦しいんだ?」
竜児は大河の枕元に腰を下ろし、大河のデコに手を当てて熱を測る。凄い熱だ。
「喉が…痛いの……。はぁ…、はぁ……。それに寒くて………。苦しくて力…はいんなくて……。喉…、乾いた……。」
消えそうな声で呟く大河。
完全に風邪をひいているようだ。
「わかった、ちょっと待ってろ。」
こんなになるまで気づかないなんて…、竜児は唇を噛む。

838:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:05:27 l//ENSb1

とりあえず竜児は立ち上がり、冷蔵庫の中からスポーツドリンクのペットボトルを取り出す。
脱水症状が心配だ。
「いいか、大河。まずこれをゆっくりと飲め。」
大河の元に戻り、ストローをさして大河の口元へ。
ペットボトルを自分で持つ力も無いのか、大河はゆっくりと首だけ動かして少しずつ飲む。
少しずつ飲んで、もう十分という仕草を確認してベッド脇に置く。
次に竜児はリビングに置いてある薬箱へ。
確かここに…、あった。市販の風邪薬だ。
竜児が前に大河の部屋を片付けたときに日用品と共に買ってしまっておいたのだ。
早速ぬるま湯で大河に飲ませる。
「大河、薬だ。これを飲んだらすぐに良くなる」
正直気休め程度だが仕方ない。
これだけ苦しそうにしてるなら、病院に行ったほうがいいな。
竜児は大河の様子を見て判断する、まずは……。


「大丈夫か、大河。いいか、とりあえず服を着替えろ」
こんな汗で濡れた服では症状が酷くなるだけだ。
竜児は大河のクローゼットから替えのパジャマを出して大河のベッドに置いた。
下着も一応出してきた、後で殴られるかもしれないが仕方ない。
「ここに置いておくからな。俺は電話してくるからちゃんと着替えるんだぞ」
大河は言われるままに会釈し、苦しそうに起き上がる。
竜児は部屋を出て、電話帳を開く。
夜間診療を受け付けてくれる病院を調べる。しかし……
「あのヤブ医者のところしかねえのか」
だが背に腹は変えられない。
竜児はケータイで電話し、夏に酷い目にあったあの病院に連絡、今から行く旨を伝える。


「大河、着替えたか?入るぞ。Oh!」
連絡し終わり、竜児が再び大河の部屋に入ると、思わず外人になった。
大河はパジャマのシャツに頭をつっこんだ状態でベッドにうつ伏せになっていた。
キャミソールも白い背中も丸出しだ。
竜児は目を逸らしながらちゃんと着せてやる。
「ほら、大河。ちゃんとズボンも穿き替えろ」
しかしもう大河は起き上がって着替えるのも億劫なようだ。
数瞬の後、大河はとんでもないことを言い出した。
「…竜児……、竜児が…着替えさせて………」
なんですとー


839:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:06:13 l//ENSb1


いつもは周囲を威嚇する大河の表情は、熱のため赤く染まり、目も力なく閉じている。
苦しそうに上下させる胸はブラをしてないため、
大河の薄くも女の子らしい胸のラインが汗で貼り付いたパジャマに浮き上がっている。
竜児は見るな、意識するなと視線を外すも時すでに遅く、
網膜に焼きついた大河の姿は竜児の心臓に早鐘を打たせる。
「……っ」
竜児は耳がおかしくなったのかと錯覚した。
何も言葉が出ない、出せない。
自身の心臓の鼓動と
「はぁ……、はぁ……」
大河の声だけが、この世界の音の全てのように、大音量で耳に突き刺さる。
息を飲む。永遠に続くとさえ錯覚させるその独奏会の前に、竜児は動けない。
何もできない…。呼吸さえも……。
「はぁ………、りゅう…じ……」
しかし竜児は自分を呼ぶその声に我に返る。
何をやっている高須竜児。今大河を助けれるのはお前しかいないんだぞ。
呟き、決意する。
顔を上げ、破裂しそうな心臓を無視し、一度深く呼吸し、大河のズボンをつかみ一気に脱がせる。
色気の欠片もない紺の下着も、スラっと伸びる白く細い足も、くびれた腰も、かわいいヘソも、
「…俺は何も見ていない。…何も見えない。」
それだけを自分に言い聞かせ、タオルで汗を丁寧に拭いてやり、替えのズボンを穿かせる。
たったこれだけ、時間にして一分弱。
だが、まるでフルマラソンを走りきったかのような疲労感が全身を襲う。
息苦しさに自分が呼吸をすることを忘れていたことに気づき、
呼吸の仕方を忘れてしまったかのようなぎこちなさで肺に空気を送り込む。
流石に替えさせることはできなかった下着を仕舞い、竜児は頭をかきむしる。
「うわあああやっちまったあああああ」
着替えは終わった。しかし竜児の脳裏に刻まれた大河の姿は、目を逸らそうとも消えることなく残り、
今後ふとした時に蘇ったその幻が竜児を悩ませ続けることになる。



840:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:06:58 l//ENSb1


「大河、大丈夫か大河、病院へ行くぞ」
心臓はまだクールダウン完了してないが、ゆっくりもしてられない。
大河を抱えあげ、タクシーが捕まえられそうな道まで行かなくてはいけない。
竜児は上着を用意し、準備する。
「…びょう…いん……。どこの…?」
目を開き尋ねる大河。
「夏にお前が行ったところだ。もう連絡してある」
できればあそこには連れて行きたくないが仕方ない。
しかし行きたくないのは大河も同じようで、
「……い……いやだ………。あそこは…行きたくない……」
大河は布団に顔の半分まで埋めて拒否。
トラウマになってしまっているようだ。
「でも大河、このままだともっと酷くなるかもしれないぞ」
薬は市販のものだけ。知識も経験も無い素人の竜児にできることなんて額にタオルを置いてやるくらいしかない。
「…少しだけど……、楽になった…気がするから……、
 だから……、…そばに…いて……。……一緒に…いて………。」
しかし大河はそれでもいいという。
学校では決して見せたことはない力無い瞳で、ただ竜児に側にいて欲しいと訴えた。
「だけど、これ以上酷くなったらどうすんだよ」
竜児は悩んだ。嫌がる大河を無理矢理連れて行っても酷くなるだけのような気もする。
それに、あんな医者に、
他の誰かには、大河を任せたくない。大河は…

「大丈夫だから……」
大河の声ではっとなる。今俺は何を考えていたんだろう。
力なく笑う大河を見て思考が吹っ飛んだ。
しかし結局竜児が折れて、大河の言うとおり様子を見ることにした。
「…わかった。だけど朝までだぞ。朝までに良くならなかったら病院いくんだぞ」
「……うん」
虎を守ってやれるのは竜だけだ。



841:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:07:32 l//ENSb1


竜児はぐちゃぐちゃになってる布団を直してやり、大河にかけてやる。
その後は額に乗せたタオルを替えてやる以外、ずっと隣に座って大河の手を握っていた。
大河は寝返りも打つことなく大人しく眠っている。
波があるのか、時折少し辛そうだが、
「……りゅうじ」
「ここにいるぞ、大河」
呟きに答えると安心するのか、呼吸も穏やかなものになっていく。
竜児は不思議と眠くもならず、ずっと大河の寝顔を見つめていた。
一時間経ち、二時間経ち、ついに朝が来た。
大河の額に手を当てると、熱はだいぶ引いていた。
顔色も良くなってきた。
竜児は苦笑する。
「やっぱりお前は規格外だな、大河」




その後、起きてきた大河にレトルトのおかゆを食べさせてやった。
おいしくないーっと文句を言えるぐらいに元気になった大河に
今日は一日薬を飲んでゆっくり寝るよう厳命し、マンションを出る。
すっかり忘れていたが、泰子に何も言わずに部屋を空けていた。
朝帰りの不良息子と怒っているかもしれない。
朝日を見上げる。
鬼の霍乱ならぬ、虎の霍乱も、結局竜児の生活は変わらないのだった。

END

842:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:30:43 ovwDKwy1

大河可愛いよ

843:名無しさん@ピンキー
08/10/23 22:50:58 6hd8edBi
>>835
それは、恋だ。

GJです
こういうシチュエーション大好き
良い竜虎カップルでした


844:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:14:48 63b624iw
エロパロ板に恋するピュアボーイが潜み居るとは…
何にせよ

やっぱり
たいがは
カワイイ


845:名無しさん@ピンキー
08/10/24 01:19:36 hWlokvFB
いやぁ竜ちゃんはいいお嫁さんになれるなぁ

846:名無しさん@ピンキー
08/10/24 16:24:38 nlytigCP
>>819
竜児が美少年・・・だと?

847:名無しさん@ピンキー
08/10/24 16:25:45 nlytigCP
なんだ・・青少年か (´・ω・`)

848:名無しさん@ピンキー
08/10/24 16:27:24 eVBtssqf
ブ少年アヴドゥル

849:名無しさん@ピンキー
08/10/24 20:54:17 63b624iw
おい今はアブドゥルさん関係ないだろ
わたsアブドゥルさんの悪口やめろよ

遅ればせながら9巻読了
ヘビィだが板的には想像の余地が広がりんぐな展開…だが、やっぱ
そろそろ、完結して…しまう…の、か…?

850:名無しさん@ピンキー
08/10/24 22:32:10 b05EbIwu
>>849
今後は竜児父の隠し子(妹)が乱入してくる展開が……
それによって高須家のエンゲル係数がさらに増加傾向に……
つまり、みのりんの抜けた穴に(妹)が入るんだよ……
でもそこで目覚めるのがあーみん。やればできる子あーみん……
ちっ、(妹)よりも背が低いぞ大河……





ぐぁ! なんだこの妄想っ! は、離れろ! くそっ! だ、誰か助けてくれッ!!

851:名無しさん@ピンキー
08/10/24 22:53:45 3vXy5xm4
>>850
>でもそこで(百合に)目覚めるのがあーみん。犯ればできる子あーみん……

くそっ!俺を巻き込むなぁっ!!

852:名無しさん@ピンキー
08/10/24 23:26:08 63b624iw
おいおい誰が「とらドラ・スピンオフ!vol2 幸福の百合色トルネード」の話をしろと言った

全く困った奴らだぜ

853:名無しさん@ピンキー
08/10/24 23:53:41 AJEfgk/F
あーみん→妹→大河←みのりん

854:名無しさん@ピンキー
08/10/24 23:57:30 k0OWhbhR
大河をあーみん、みのりん、竜児で奪い合う展開がいい

855:名無しさん@ピンキー
08/10/25 02:31:07 kGP7HoLE
全然関係ないけど、9巻ラストで脳内で何故か
チャゲアスのYAHYAHYAHが流れた俺はオッサンだとしみじみ感じた

856:名無しさん@ピンキー
08/10/25 13:35:05 DebumS7i
俺はスピッツの正夢が脳内で流れた

MADでも作ろうかなぁ

857:名無しさん@ピンキー
08/10/25 16:40:47 UY8yJLYd
是非とも見せてもらいたい
期待してるぜ

858:名無しさん@ピンキー
08/10/25 19:10:37 UY8yJLYd
いつだって、悔いのないように生きてきたつもりだった。
 
 「ちょっ、おい櫛枝お前……、ちょっと顔くっつけすぎだっ、離せって」
 「いいではいかいいではないか。……ふーむ、いつみても高須君は変わらず拗ねた顔をしていますのぉ」
 「わっ、馬鹿止めっ」
 
 思い悩むまでもなく、嫌いなものを受容したり迎合したりする能力に生来欠けた逢坂大河にとって、
周囲との摩擦や軋轢なんて三度の飯よりありふれたもの。
 高校二年にもなると家族やクラスメート関連での苦い経験もいい加減掃き捨てたいほど積もり積もってきて、いちいち思い起こすのも億劫だ。
 済んだことは忘れよう。都合が悪いことは知らんふり。
 そんな信条でずっと生きてきた自分だ、後になってふと過去の記憶などを振り返って思いを馳せたりなどしないし、
ましてや後悔などするはずがない。するはずがないのに。
 
 「あははっ、私にすっかり参ってしまったのかね、高須君。顔がゆで蛸なんだぜ」
 「ばか!…そんなんじゃねえよ…って、おいおまえっ腕に当たってるってっ」
 「あててんのよ……嫌?」
 私の心にふと顔を覗かせる虚しさの正体は何なんだろう?
 何だか取り返しのつかないことをしてしまった気がするのは何故だろう?
 最近は学校でも夜でもその感覚に絶えず襲われ、まともな睡眠が取れない毎日が続いている。
 間違ったことはしていないはず。
 あのクリスマス祭の日の夜。
 恋の天使ことエンジェル大河はいつまでたっても想い人への告白の踏ん切りがつかない竜児にその舞台をセッティングしてあげた。
 何故そこまで世話を焼いてあげたかというと、理由は三つ。
 ひとつ。大河にとって、二人は最も大切な友人であったから。
 ふたつ。竜児と実乃梨は相思相愛だと確信していたから。
 みっつ。これだけお似合いな二人が、互いに好きあって一緒にならないのは不自然であると思ったから。

 「ええと、ああ、もう…おい大河。俺にひっついて離れないお前の親友をいい加減引っ剥がしてくれよ」
 「無駄無駄無駄ァ!!今この瞬間の櫛枝実乃梨の粘着力は天井裏に張り付いているヤモリの足の10倍となっているのだよ、高須君」
 「いくら帰り道でクラスの奴等がいないからって、大河の前でこんなことして少しは恥ずかしいとか感じんのかおまえは?…っておい。大河?」

 その思いは今も変わらないし、その予想もどうやら間違っていなかったようだ。
 あのクリスマスでの告白の顛末は二人とも恥ずかしいからなのか黙して私に語ろうとはしなかったが、竜児と実乃梨の仲は急接近したのは間違いない。
 以前は私が間に入らないとおちおち会話も続かなかった二人が、今はこうしてとっても息のあったコンビとなった。
 とっても賑やかで、面白くて、一緒にいるだけでなんだか幸せな気持ちになれる二人組。
 最初の頃は素直にそう感じていた。
 そんな二人の姿を直視することができなくなったのはいつの日からだろう。気がつけば私は彼らをどこか無意識のうちに避けるようになった。
 
 「おーい、大河?」

 それは決まって二人が仲良く会話を楽しんでたり、二人でお弁当を広げてたりする時。そんな時、逢坂大河という百戦錬磨などというありきたりな表現を通り越して
最早犬歯も爪も幾多の戦闘で摩耗し尽し全身返り血で赤く染まっているような学校一の天然危険物が、
負け犬の如くこそこそと彼らの視界から消えたり、寝たふりをして彼らをやり過ごそうとしたりする衝動に駆られてしまう。
 そんな自分をおかしいと言わずして何と言うのだ。
 竜児も実乃梨も、私にとって大切な友人。
 そんな二人が仲睦まじくしているのは私にとって歓迎すべきことであるはずなのに、それをひどく疎ましく感じてしまう自分はいったい何者だというのだ。


859:ずっとトラのターン!
08/10/25 19:13:43 UY8yJLYd
 「おい大河っ!一体どうしたんだお前」
 「えっ?」

 自分に掛けられた声にようやく気づいた大河は、思わず声のした方に顔をあげて。
 竜児の顔が、目と鼻の先にあるのに気づいた。
 何を考えるより速く、大河の体は無意識の内に竜児と距離を取ろうとする。
 気づけば大河の顔は不自然なほどに朱色に染まり、どうしようもないほどに心臓の音が体中を駆け巡る。
 流石に不自然に感じたらしい。竜児の三白眼は何か珍しいものを見るかのように丸くなっている。
 「お前、熱でもあるのか?」
 そう言って近づいてきた竜児は軽くかがみ、大河と目線の高さを合わせると。
 こつん、という音をたて、自分の額と大河の額をくっつけた。
 「あ?あ、あぁあぁあああっ~~~~っっっ??」
 心臓から逆流した血液は洪水の如く顔面に押し寄せ、大河の顔を茹で蛸にした。
  熱に浮かされた脳はとうに思考回路が焼き切ってしまっていた。体がまったく動いてくれない。
 何か言葉を紡ごうとしても口から出てくるのは意味を成さない繰り言か妙に熱い吐息や喘ぎ声のみ。
 眼は竜児に魂を吸われたかのようにその顔から離すことが出来ない。
 「うお、熱い!何度あるんだよこれ。おまえ、どうしてこんなになるまで無茶しているんだよ?
 悪い櫛枝、俺のバッグちょっと持っててくれ、俺がこいつを背負う」
 わ、ちょっと何するのよ、大丈夫だからお願い止めて恥ずかしいから、なんて言う間もなく竜児に背負われる大河。
 大した抵抗もしなかったのは熱だけのせいなのか。
 竜児はクラスの男子の中ではそう大きくない方だが、それでも今はその背中がとても大きく、頼りがいがあるように感じられる。
 いや、これはひょっとすると竜児の背中だからなのかもしれない。
 そうに違いない、と自宅まで背負われていく間、大河は朦朧とした意識のなかで考えた。

 実際のところ、連日を悶々として過ごすあまり慢性の寝不足になっていた大河は疲労から本当に発熱していたのだが、
 身体の造りが生来頑丈にできていて風邪一つひいたことのなかった大河は迂闊にもそれに気づかない。
 ただおぼろげな意識の命じるままに、竜児の背中に顔を埋めて彼の匂いや温もりを感じ。
 無性に竜児に対する愛しさを覚え。
 そうだ、自分は竜児をと~~~っても愛していたんだ、他の誰にも渡したくないんだ、という平常時なら高すぎるプライドや実乃梨との友情関係その他諸々が邪魔をして絶対に認めないだろうこっぱずかしい結論に辿り着いてしまった。
頭の中は竜児一色。
 ああなんでこんな単純なことに気付かなかったの私の体はこんなに火照ってとうの昔に準備完了容易万端
据え膳食わぬは一生の恥私の背丈も一生の恥いやでも竜児がぺドならむしろ予定調和まあいいわそんなことより竜児最高竜児最強竜児竜児大好きだよ竜児ぃぃぃぃ………
 どうやら熱に浮かされて頭のネジが3、4本外れてしまったらしい。
 
 そして恐ろしいことに。
 人生初の高熱で一週間も寝込んだ挙句やっとのことで体力が回復した逢坂大河であったが、
その後遺症が残り、頭のネジが3つも4つも外れた状態でこれからの高校生活を過ごすこととなったのであった。


860:ずっとトラのターン!
08/10/25 19:15:58 UY8yJLYd
そこから先の話は長くなる。


野生の猛虎の本領発揮というべきか、竜児への恋心に本格的に目覚めた大河の行動は実に機敏であった。

 少しでも自分の背を高くするために牛乳やちりめんじゃこを山ほど買い込んだり。
(買い込みすぎて冷蔵庫がその二つだけで一杯になった。そして腐らせた)

 ファッションセンスを磨くために亜美の前に跪いてまでその教えを乞うたり
(最初亜美は自分の履いている上履きを四つん這いになって舐めまわしたら教えてやると言った。大河は従うふりをして足の指先に思いっきり噛みついた。)

 股下5センチのスカートを履いて、竜児に見せつけるように目の前を歩きまわったり
(竜児に効果がないわけではなかったか、それ以上に薄汚いロリコン男達に効果抜群だったようだった。いくら蹴飛ばしても恍惚とした表情になるばかりで埒があかず辟易させられた)、
 
 亜美に勧められた、リボンだけあれば簡単にできる男の子一撃必殺チョコを作る練習をしたり
(裸身に綺麗にリボンを結ぶ練習をしている所を窓から竜児に見られた。翌日破廉恥過ぎると叱られた)、

 竜児の女性趣味を少しでも大河に近づけるため、高須家宛に幼女系のAVや雑誌を送ったりした(今度はグーで殴られた)。
 
 そんなリミッター解除愛情全開モードの大河の行動は当然のことながら噂になり、噂は噂を呼んだ。
 いつしか、校内最高ランクの危険生物である逢坂大河が今度は高須竜児に情熱過多で思慮不足なモーションを仕掛けまくっていることは学校中の話題となり、
 ただでさえ半ば生きた伝説と化していた大河はもはや現人神レベルの扱いを受け、ある意味学内で誰よりも崇め敬われた。
 彼女の持つ数々の武勇伝はのちに生徒会が記念と称してわざわざ校碑を造り刻むほどに有名となった。これから先、半永久的に語り草となるだろうことは想像に難くない。
 だが、果たして大河の恋が実るのかどうか―――こればかりは、もう少し時間をかけてみないとわからないようである。


861:名無しさん@ピンキー
08/10/25 19:20:49 UY8yJLYd
以上です。
エロパロ板に相応しいネタ書きたかった
当初のプロットでは亜美のビンタあり大河の涙あり、自慰シーンもあったはずだったのに途中で挫折
本当になんでもいいので、読みました一言でいいのでコメントください
内容とか文章とかに突っ込み入れてくれると飛び上がって喜びます

862:名無しさん@ピンキー
08/10/25 19:22:56 nY5fY6cS
>>860
恋に突っ走る大河可愛いよ大河

863:名無しさん@ピンキー
08/10/25 20:17:43 OCE+kZfY
大河かわええ
エロもぜひたのんます

864:名無しさん@ピンキー
08/10/26 00:12:55 j1+w85bO
やっぱり恋する
たいがは
カワイイ


865:名無しさん@ピンキー
08/10/26 00:46:19 b20dAgpu
>>795 >>826 >>841 >>861

GJだ!あんたらは神だ!大好きだ!というか俺を抱いてくれ!

原作からのファンとしてはここまで盛り上がると言うのが
嬉しくて嬉しくて…

866:名無しさん@ピンキー
08/10/26 02:32:04 DMSaedur
このスレにすばらしい書き手が降りて、連続投下…
全部良かった^^

867:名無しさん@ピンキー
08/10/26 03:16:24 Uz6CxMre
>>861
亜美のビンタも大河の涙も自慰シーンも、YOUこれから書いちゃいなよ!

868:名無しさん@ピンキー
08/10/26 08:20:24 HMWjP1fL
大河+おなぬー+竜児に見られる
これ最強じゃね?

869:名無しさん@ピンキー
08/10/26 08:53:18 w0AD50cp
>>861
いやいや、凄くいいじゃん。
原作にはないエロっていう要素をここまで自然に組み込んだSSは初めて読んだ。目覚めた大河と実乃梨とのやりとりとかも読んでみたいなあと思ったよ。

870:名無しさん@ピンキー
08/10/26 09:44:42 aQ1MPyVo
>>861
乙かれー。

九巻をいまさらながらに読むと、恋より夢をとったみのりんというのは、つまり
将来夢破れる→入院先の研修医とかお医者様が竜児→婚約までした大河とは最近会えない→夢破れたみのりんの抑えてきた思い再燃→寝取り
…という流れを想像してしまいました。

まあそういうドロドロな話になんなくても、誓いのために夢を捨てきれず、いくつもの恋を踏み潰して。
誓いはやがて枷となり、枷はいつしか呪いとなった。

みたいな話は読みたいかなーとか思った。

871:名無しさん@ピンキー
08/10/26 11:22:08 b20dAgpu
>>870
ssの完成を楽しみにしてるぞ

872:名無しさん@ピンキー
08/10/26 11:34:29 uG8IgddC
妄想だとみんなずば抜けてクオリィティ高いけど
それを形にしようとするところでてこずるんだよねぇ
挫折した俺が言うんだから間違いない

873:名無しさん@ピンキー
08/10/26 13:04:28 HMWjP1fL
>>872
お前の本気を見せてくれ

874:名無しさん@ピンキー
08/10/26 17:52:05 5prxEm/0
「ホワイトデー」「私の大切な駄犬」「サンドラ」「虎の霍乱」「ずっとトラのターン!」
今度の保管庫収録予定作品はかなり俺好みが揃った感じ

875:名無しさん@ピンキー
08/10/26 21:05:07 60rMbHtB
ラノベ板のスレにあった大河が進路希望に「(竜児の)お嫁さん」って書いて
独神にダメージを与えるっていうのすごい読んでみたい

876:名無しさん@ピンキー
08/10/26 21:53:17 8k26gdjo
田村君のssも読んでみたいな

877:名無しさん@ピンキー
08/10/27 03:37:56 wy74bJ75
原作(展開的な意味で)遵守せんでも大丈夫か?
パラレルっつーのか。アザールートっつーんか。


878:名無しさん@ピンキー
08/10/27 03:52:11 ZVRyhEjm
>>877
今までも特に文句は出てないっぽいし、いいんじゃない?
というか俺は読みたいです。主要キャラ以外でも。
兄貴とか、独身とか、やっちゃんとか、木原とか、独身とか。

879:名無しさん@ピンキー
08/10/27 04:07:39 wy74bJ75
>>877
㌧。
んじゃ、とりあえず亜美で征ってみる。
その後モチベーションが続いたら、独身描くよ。

880:名無しさん@ピンキー
08/10/27 04:08:31 wy74bJ75
しまった自分にアンカー打ってもーた。
>>879>>878へ。

881:名無しさん@ピンキー
08/10/27 08:04:55 Je/XCmXK
サンドラのタイトルの由来にやっと気づいた!

みのりんは太陽ってことだったのね

882:名無しさん@ピンキー
08/10/27 11:58:54 KSjZyvN5
ばあさんの付き添いで叔父宅に行ったのだが
朝寝袋の中でまどろんでたらとうとう俺も電波を受信してしまった

幸太とさくらの結婚前一週間のドタバタ劇を受信した
なぜか大河がムショ暮らしだった
んでここから盛りあがる…ってところで起こしにきた従弟のせいで電波が途絶した

883:名無しさん@ピンキー
08/10/27 15:42:08 cPOoXScP
大河何したw

884:名無しさん@ピンキー
08/10/27 19:24:29 LvhRK8Gr
>>879
待ってるよ
独身かぁアニメの独身はショックだったな

885:名無しさん@ピンキー
08/10/28 12:20:09 z4it7bsL
だ、誰か竜児にちょっかいとかさりげないアタックしてたら真摯な感じで返されてテンパるばかちーを

886:名無しさん@ピンキー
08/10/28 18:28:07 iO3MnsPa
みのりんが後ろから羽交い締めにして

887:名無しさん@ピンキー
08/10/28 21:39:43 Tech+O1G
そのすきに大河が竜児をかっさらていく

888:名無しさん@ピンキー
08/10/28 21:43:16 oLLT+oQs
かと思いきやあーみんが竜司にマジになり追いかけて今度は本気の告白をし

889:名無しさん@ピンキー
08/10/28 22:17:18 whSJNObg
桶屋が儲かる。

890:名無しさん@ピンキー
08/10/28 22:31:38 oLLT+oQs
>>888>>889の間になにがあったんだwww

891:名無しさん@ピンキー
08/10/28 23:10:53 Rc/9wYcB
>>890
また風呂掃除か、遠慮なくやらせてもらう
→風呂掃除グッズ完備、紛失している湯桶も再購入

892:名無しさん@ピンキー
08/10/28 23:23:40 LJ5O4TwJ
大河の甘い話が見たいです

893:名無しさん@ピンキー
08/10/29 00:40:45 +IwhSOxi
あーみんの竜児逆レイプ話はマダー?

894:名無しさん@ピンキー
08/10/29 07:45:49 5/fhlSdQ
逆レイプは書けなかったので、
また竜児×大河です
5巻と6巻の間のエピソードぐらいです
タイトルは、手芸部

895:名無しさん@ピンキー
08/10/29 07:46:45 5/fhlSdQ

「なにアンタC組の高須くんが好きなの?」
「っ!」
休み時間、女子トイレで用を足し、個室を出ようとしたまさにそのとき、
大河は外で話をしている女子生徒のそのセリフに、ドアを開きかけた手を止めた。
「別に好きってわけじゃないけど~、高須くんって優しいし頭もいいし。」
聞きなれない声、他のクラスの女子だろう。
っていうかなんで私は出るのを躊躇してるのよ。今更出にくいじゃないのよ。
固まったまま大河は心の中で呟いた。
外の二人の会話は続く。

「でも高須くんってヤンキーでしょ?」
「ヤンキーじゃないよ~。一年の時最初は怖かったけど全然普通だったし、
 バカっぽい他の男子より真面目だし落ち着いてて大人だなぁって。」
どうやらこの生徒は一年のときの竜児のクラスメイトらしい。
真面目だの大人だの目が腐ってるんじゃないの、大河は独りごちる。
「それって不良が捨て猫にエサあげてるといい人に見える、みたいな?」
「そんなんじゃないってば、もう。」
二人は笑いながらトイレから出て行った。
大河はしばらく固まっていたが、声が完全に聞こえなくなった後、
なぜか震える手でドアを開けて外に出た。
「……フン!」
なぜだろう、不快だ。イライラする。
イライラする理由などないのだから気のせいだろう。
大河は入れ違いで入ろうとした女子生徒を無意味にビビらせ、トイレを出た。

ドカドカと大股で教室に戻ると、自分の席の前に二人の女子生徒が立っているのに大河は気づいた。
二人は大河の机の上に置いてあった竜児のお手製のエコバックを見ていた。
手に取り二人で何か喋っている。
「…何か用?」
大河は内心のイライラを抑えようとし、しかし抑えきれてない口調で二人に声をかけた。
「あ、逢坂さん、ゴメンね~。ちょっとこのエコバックが良くできてたから見せてもらってたんだ。」
そう答えるのは同じクラスの手芸部の山田和子さん。
「これってひょっとして高須くんが作ったの?」
慣れたものなのか、和子は大河にも普通に話しかける。
しかし、大河はもう一人の他クラスの女子が、
「うわっ、手乗りタイガーだ…。」
という顔をしたのを見逃さない。
なによその顔は、一瞥し大河はぶっきらぼうに答える。
「…そうだけど。借りたのよ。」
このエコバックは大河が今日荷物を入れるために竜児から借りたものだ。
普段は丁寧に畳まれ、夕方の買い物まではしまってある。
その言葉に二人は感心した様子。
「流石は高須くん、見事な仕事よね~。」
和子がエコバックを手に出来栄えを褒める。
なぜだろう、大河はさらにイライラが募った気がした。


896:名無しさん@ピンキー
08/10/29 07:48:02 5/fhlSdQ

どうでもいいけど邪魔なのよ、大河が口を開こうとしたとき、
「あ、高須くん。ちょっとエコバック見せてもらってるよ。」
ちょうど竜児が教室に戻ってきた。
そもそも女子と話すことが苦手な竜児は突然声をかけられ驚いたようだ。
一蹴の動揺の後、小さく「あぁ。」とだけ答えた。
二人はそんな竜児の下へ駈け寄り、あそこの作りはあーだの、こーだの言っている。
大河はどうでもいいといった様子で客のいなくなった席に座った。
しかし竜児と二人を見ているとさらにイライラが募る。
「高須くんってホント器用だよね。文化祭のときにも見せてもらったけど、センスもいいし。」
竜児はその凶眼を歪める。
別に睨みつけているのではない。ただ褒められて照れているだけだ。
「バカみたいな顔して、エロ犬。」
大河は小さく呟いた。

ひとときの講義は終わったようだ。
和子は最後に、手芸部の部長らしいもう一人の女子生徒と共に竜児に頼みごとをする。
「高須くん、もしよかったら今日の放課後に高須くんのその技を、
 部室で私たち手芸部に教えてくれない?」
驚く竜児。手芸部なんて女子の巣窟で披露しろだと?そんな真似できるか。
しかしなかなかバッサリとは断れない。
「え、あ、えーと。」
「お願い、ちょっとだけでいいから。」
「そう言われても……、」

竜児はどうしようか視線を彷徨わせ、その三白眼が大河の姿を捉える。
「あ、おい大河!ちょっと今日の放課後手芸部のやつらに誘われたんだけど…。」
放課後にそんなことに付き合っていたら夕飯の準備が遅れてしまう。
竜児は、「あんた私のご飯はどうするつもりなのよ!」と言ってくれると期待したが、
「……勝手にすればいいでしょ。私には関係ないし、フン。」
大河はイライラを隠そうともせず答え、そのまま何も話しかけるなと言わんばかりに机に突っ伏した。
こうなってはお手上げだ。竜児にはもう逃げ場はなかった。
「……わかった、少しだけなら。」
二人は顔を見合わせ喜ぶ。
「ありがとう!じゃあ放課後にね~。」
そんな二人に圧倒され、タジタジの竜児を、横目でチラリ。
「………なによ、バカ。」
大河は再び小さく呟いた。


897:名無しさん@ピンキー
08/10/29 07:49:05 5/fhlSdQ

放課後、竜児は手芸部の女子生徒たちに引っ張られるように教室を出て行った。
大河が椅子に座ってボーっとしているうちに、教室からは一人、また一人生徒が出て行った。
実乃梨は早々にソフト部の練習に行ってしまった。
亜美は一言、「あーらタイガーってば今日は一人なの寂し~、キャハ。」と嫌味を言って帰っていった。
北村はいつの間にか教室からいなくなってしまっていた、大河も気づかぬうちに。
「…はぁ」
大河は力なくため息をつく。
おかしい、今日の私はおかしい。
認めるしかない、竜児が女子達に褒められてるのを見てイライラしていた。
最近ではクラスメイト以外にも、竜児がヤンキーなんかじゃないということも浸透しつつあるようだ。
竜児の評価があがることは、大河にとっても喜ばしいことだったはずなのに、
なぜこんなに不愉快な気分になるのだろうか。

「じゃあね、タイガー」
「また明日~」
ついに教室から最後の生徒たちが出て行く。
大河は会釈し、そのまま一人っきりの教室で、
「…はぁ」
再びため息をついた。
思えば今日は久しぶりの一人の放課後。
こんなことは以前は珍しいことでもなんでもなかったはずなのに、
最近はいつだって竜児と一緒にいたから忘れていた感覚。
大河は一人の放課後をどう過ごせばいいのかわからなくなっていた。
竜児と出会う前、自分はこんなときなにをやっていたんだろうか。

大河は立ち上がり、竜児の席に座りなおした。
寝そべると、竜児の匂いを感じ瞳を閉じた。

少し考え、思い出した。自分は毎日北村を追っていたんだ。
今日のように、放課後に教室で一人、北村の机の前でバカみたいに悩んで、
そして竜児のカバンにラブレターを入れてしまったあの日までは。
大河は笑みを浮かべる。
あの日以来、自分と竜児はほとんどいつも一緒にいるようになったんだ。
毎日一人で、何もできずにうろうろしていた自分の生活は終わり、
前向きになんでもできるようになった。
北村とも少しずつ仲良くなってきたと思う。
竜児がいてくれたから……。

大河は大切な何かにもう少しで気づけそうな、でもなんだかわからない、
そんな歯がゆさを感じた。
もう少しで解けそうなそのパズルを、少しずつ少しずつ解こうとして、
そのまま大河は深いまどろみの中へ旅立っていった。


898:名無しさん@ピンキー
08/10/29 07:50:00 5/fhlSdQ




「……いが、いい加減起きろ大河。」
その声に大河は目を覚ます。
「ん、りゅうじ?」
顔を上げると、竜児が呆れたような顔で立っていた。
「お前なにやってるんだよ。ずっと寝てたのか?あーったく涎ついてる。」
竜児は大河の口元をハンカチで拭いてやる。
「…なによ、あんたもう終わったの?」
大河は目をこすりながら言った。
「もうってお前、もうすぐ5時だぞ。とっくに終わったよ。
 俺が裁縫道具置きに戻ってこなかったらいつまで寝てるつもりだったんだよ。
 ほら、早く帰ろうぜ。」
「うん…。」

竜児の言葉に頷き、大河は立ち上がろうとする。
だが、変な格好で突っ伏していたからか、足がしびれてふらついてしまう。
大河はそのまま倒れそうになり、しかしいつものように竜児の腕に支えられる。
「おいおい大丈夫か?歩けるか?」
「ありがと。もう大丈夫。」
大河は足を伸ばし、そのまま全身で伸びをし、答えた。
あれほど感じていたイライラがすっかり晴れていることには大河は気づかない。
「じゃあ行こうぜ。タイムセールス始まってる。」
「ふわぁ…、今日はなに肉~?」
いつもの問答。大河は竜児のすぐ後ろをとてとてと付いていく。
そして今日もいつものように、大河は竜児と共に帰路につくのであった。


899:名無しさん@ピンキー
08/10/29 07:51:33 5/fhlSdQ

「もう、高須くんもっと色々教えてほしかったのに、あんなに急いで用事があったのかな?」
「まあ突然のお願いだったし仕方ないでしょ。」「でも説明は丁寧だったじゃん。」
手芸部の部室では、帰ってしまった竜児の話題で盛り上がっていた。
「ホント高須くんはいいお嫁さんになれるよね~。」
「裁縫だけじゃなく掃除も炊事も得意らしいよ。」
「でもそれって男としてどうなの?」
「高須くんが彼氏だと比べられて辛いだろうね~。」
みんな好き勝手言って笑っていた。
「でも真面目だし優しいし、顔がちょっと怖いから損してるよね~。」
言って和子は窓の外を見る。そして、竜児が大河と下校していく姿を見つける。
「あ、高須くんだ。なんだ結局タイガーと一緒じゃん。」
「ホントだ。でも仕方ないよ。」
みんなは下校していく竜児と大河の顔を見る。
普段は見られない、優しい顔。二人一緒のときに互いにしか見せない特別な笑顔。

   「おい、別にそんなに急がなくたって大丈夫だぞ。」
   「うるさいわね。さっさと行くわよ。」

「高須くんはタイガーに首ったけだからねぇ。」
「「「だよね~。」」」」
声が揃い、部員たちは再び笑った。

END

900:名無しさん@ピンキー
08/10/29 07:54:31 T3gKBk2L
グッジョブ(^_^)

901:名無しさん@ピンキー
08/10/29 08:54:47 U6mM8hFy
GJ素晴らしい
次の作品も期待しているよー

902:名無しさん@ピンキー
08/10/29 20:06:41 Np5pGiN3
良かったぜ!GJ!

903:名無しさん@ピンキー
08/10/29 21:55:40 d3nJh4q6
GJ!!!!!

904:名無しさん@ピンキー
08/10/29 22:21:31 wJ3QSfzM
GJです。
この公認具合がなんとも…



ところで、さっきコタツで恋人座りして拘束された大河が竜児に指でイかされると言う電波が届いたんですが…

905:名無しさん@ピンキー
08/10/29 23:24:22 +IwhSOxi
俺はあーみんがこたつで竜児に足コキするという電波が…

906:名無しさん@ピンキー
08/10/29 23:30:40 INWGCh/V
竜児がこたつの中にいたみのりんにしゃぶられるという電波が…
もちろん大河がいる前で

907:名無しさん@ピンキー
08/10/29 23:35:03 slBnA+47
雪貞が青い果実に襲われる

908:名無しさん@ピンキー
08/10/30 00:21:03 YzMnCHmI
>>906
竜児がオナニーしていたらみのりんと大河が来てしまう

みのりんが竜児のをしゃぶる

大河も混ざる

夢の3P! ( ゚Д゚)ウマー

909:名無しさん@ピンキー
08/10/30 03:59:42 zNBc+tAU
それだと桶屋が儲からないからちょっと……

910:名無しさん@ピンキー
08/10/30 11:10:15 8v6/zTCe
(1)竜児オナヌーする
(2)大河乱入する
(3)竜虎固まる
(4)大河何してたのか、誰をおかずにしていたか問い詰める
(5)竜児「すいませんオナヌーしてました。おかずは大河です」
(6)みんな幸せ

911:名無しさん@ピンキー
08/10/30 14:32:28 OXgQETCo
>>910に一票

912:名無しさん@ピンキー
08/10/30 16:08:26 0heT5WLr
>>910
いいんじゃあないか

913:名無しさん@ピンキー
08/10/30 19:01:23 X8fNYVsC
(7)実乃梨が媚薬を飲んで理性を失い、竜児を襲います

914:名無しさん@ピンキー
08/10/30 22:15:09 YzMnCHmI
910に1票
913に100票


915:名無しさん@ピンキー
08/10/30 22:21:55 GgPL8h12
(8)いつものうっかりで大河も媚薬を飲んでしまい、2人がかりで竜児を以下略

916:名無しさん@ピンキー
08/10/30 22:57:45 0m+AaR8b
>>913,915
あわてて逃げだしてきた竜児の心のすきをついて漁夫の利ゲット…
…の大チャンスを減らず口でからかってしまい落ち込むあーみんがいいと思います!

917:名無しさん@ピンキー
08/10/30 23:07:02 SQqohnkB
SSでもそんな扱いなのかばかちーw

918:名無しさん@ピンキー
08/10/30 23:09:08 gelVgStL
ばかちーはいらない子

919:名無しさん@ピンキー
08/10/30 23:12:14 oxf79/5p
>>918
てめぇは俺を怒らせた

ばかちーかわいいよばかちー

920:名無しさん@ピンキー
08/10/30 23:21:11 0heT5WLr
ばかちーは微ピザゴミクズ

921:名無しさん@ピンキー
08/10/30 23:50:53 v8Zm6Mey
ばかちーのおなかぷにぷにしたい

922:名無しさん@ピンキー
08/10/30 23:56:54 GTG7Xh5G
>>675の続きを書いてみたので投下させてくださいませ。あ、本人です。

923:名無しさん@ピンキー
08/10/30 23:58:00 GTG7Xh5G
 そう吐き捨てるように言いうと、大河は一度息を継いだ。
「判ってるの? だから、せ、せ、セッ――」
「だあああああああ!!!!!」
 いくら何でもこんな話はない。常識、非常識以前の問題だ。痛みをこらえて大河の声を遮っ
た竜児は、自分を睨み付ける少女に向き直る。
「じょ、冗談でも言うことじゃねえ! お前は、お前は北村のことが好きなんだろ!? それが
何でいきなりこんな話になるんだ! 冗談ならタチが悪すぎる、本気で言ったんなら、いくら俺
でも……」
 自分以上の大声で畳み掛けられ、大河は身体をびくっ、と震わせて目を見開いた。
 口を噤んだ大河の姿を見て、竜児が言葉を続ける。
「何をどう思ってそんなことを言おうなんて思ったんだ」
 呆然と竜児を見上げていた大河は、それを聞くと目を逸らして猛烈に不満そうな表情で、し
かし何故か頬を紅潮させて(怒りが故に、かもしれないが)口を開く。
「…………ざ、雑誌で、見たのよ。……ば、バージンじゃ、男の子に面倒がられるって」
 ふて腐れた様子で呟いた大河は、只でさえ赤い顔をさらに赤らめながらさらに俯くと、
「あ、あんただって、経験しときゃ、み、みのりんとそうなったとき、困らないでしょ」
「……馬鹿野郎」
 そう吐き捨てたのは、竜児だ。
 竜児は大河の肩を掴むと、大河に目を逸らされたままなのも構わずに話し始める。
「真剣に、そのくだらない記事を信用してるのか? 違うだろう? ……興味本位で言っただけ
なら、すぐに撤回してくれ。そうすりゃ、俺だってそのセリフ、聞かなかったことにする。忘れる。
それに、こんなのは、櫛枝にも、北村にも、失礼極まりない………いや、裏切りだ。……なあ、
頼むから撤回してくれ」
 どんどん竜児の表情は厳しくなっていくのに、つい視線を合わせたら、大河はその厳しい顔
から目を逸らせなくなっていた。それでも今の不満の表情を崩すと負けだ、と言わんばかりに
竜児を睨み返して、精一杯の声を出してみる。
「な、なに古くさいこと言ってんのよ。あんた、何でも協力するって言ったくせに、ここで逃げる
の?」
 しかし、自分で思っていたほども大きな声は、いや、むしろか細いと言っていいくらいの声し
か喉からは出てくれなかった。
 それでもその大河の口答えが気に入らなかったのだろう、
「いいか、真剣な話だ。古くさいこと、とか言ったけど、それならそれでも良い。とにかく俺はそ
んなことはできん。誰かを裏切るとか、そんな話ももう良い。でも」
 大河の両肩を掴んだまま話す竜児の顔が厳しく歪む。
 真正面に大河の瞳を見据えながら、竜児は一呼吸置いて言葉を続けた。
「もし、そんな軽い気持ちでしてしまったら、最後に、一番傷つくのは他の誰でもない、お前な
んだ。だからもう頼まない。俺は、その話は聞かなかったことにする。お前も、忘れろ」
 目を逸らすように大河が俯く。
「……わかった」
「そ、そうか、判ってくれたのなら――」
 ぼそ、と呟く大河の声に竜児は返事を返そうとして、
「わかったから、今日は帰る。離して」
 俯いたままの大河は、肩に乗ったままの竜児の手を無理矢理に引きはがして踵を返した。
「お、おい……」
 竜児の声にも、大河は答えない。そのまま動けないでいる竜児の耳に、玄関のドアが開き、
そして閉まる音が響いた。
「……いや、間違ったことは……、そう、間違ったことは言ってない……」
 大河はああ見えて物分りの悪い少女ではない。ふう、と溜息をついて、竜児は台所の後始
末のために立ち上がった。

924:名無しさん@ピンキー
08/10/30 23:58:37 GTG7Xh5G
 思い切り不機嫌を装って高須家の玄関を出た。
 想像していたとおりの答えが返ってきた。見た目はアレでも、高須竜児は堅物……というか、
本当にまじめな男なのだ。突然、
「わたしとセックスしろ」
 なんて言われて、うんと言うはずがないのだ。そんなこと、最初から判っていたのだけれど。
 とうとう言ってしまったこと、それから、言ったらどうなるか、何度も何度も想像していた竜児
の姿と全く変わらなかったことに、確かに不満なのに何処か痺れたような感触が身体を走る。
 隣の建物の二階への、ほんのわずかな距離なのに、ものすごく時間がかかるような気がす
る。
 何でこんなに遠いのよ、とイライラを感じつつもようやくたどり着いた玄関の鍵を開けて、大
河はふらふらとベッドへ身体を投げ出した。

 ワンピースに皺が付くかも、そしたらまた竜児が……
 竜児が。
 竜児。竜児。竜児。
 頭の中が、また高須竜児のことで一杯になる。
 そうして竜児のことしか考えられなくなると、また、そう、また手が勝手に伸びてしまうのだ。

「……りゅうじの、ばか……、っ……、きゅふっ……」
 予想どおりだったのに。しかし、あれくらいしか思いつかなかったのだ。
 そうして予想通りに断られて、みんな想定内のはずなのに。
 真っ暗な自分の部屋で、すこしだけ暗鬱な気分のまま倒れ込んだベッドの上で、
「……りゅうじ……、りゅう……じぃ……」
 突き上げてくる身体の疼きに耐えられない。
 いつの間にか、そしていつものように下着の中に潜り込む手が止まってくれない。
 手が潜り込んだときには、漏れ出た蜜がとっくに下着を濡らしていて、いや、竜児にお説教を
されているときから、背中を流れる電流が下腹部を疼かせて。
 疼いて堪らない身体が、帰り道を遠く感じさせるのだ。
「きゅふっ、うあ、あ、ああ…………」
 確かに、自分は北村祐作のことが好きだったはずなのに。
 そう、そのはずなのに、何故――北村と、は全く想像も出来ないのに――高須竜
司に抱かれる自分を想像してしまうのだろう。そうされたい、と思うことを止められないのは何
故なのだろう。
(なんで、なんかじゃ……ない)
 気付いてはいけなかった、感情。

「やあん……あ、ふあ、あ……りゅう、じ……、すきぃ……」

925:名無しさん@ピンキー
08/10/30 23:59:16 GTG7Xh5G
 逢坂大河は、高須竜司のことが好きなのだ。男と女の関係として、好きなのだ。
「ひう、う、うあ、あ、あ、あ、あ……」
 止まらない指が秘裂をなぞるだけでは飽きたらず、襞を開いて小さな入り口を擦り上げる。
ベッドに倒れ込んだときには、もう襞の奥から溢れる蜜が下着を汚してしまっていたけれど、
指が濡れた割れ目の上を通るたびにさらに蜜は溢れて、手の甲に当たっている下着はもうび
しょびしょだ。
(こんなに汚したら……りゅうじに……怒られちゃう……)
 きれい好きを通り越して潔癖症な竜児が、自分が汚した洋服の染み抜きをする姿が思い出
された。良い服なんだぞ、ちょっとは気をつけろ、と困った顔で自分に注意する竜児。
 もちろん、下着まで洗わせたりしたことなんて無いのだけれど。
 そんな想像が、さらに大河を濡らす。
 でも。
 高須竜司には、櫛枝実乃梨という思い人がいて。その実乃梨と親友なればこそ判る。実乃
梨もまた、竜児のことが好きなのだ。それをどうして覆い隠そうとするのかは判らないけれど。
 二人はお互いが好きなのに。どうしてそこに自分が入っていけるのだろう。
 それでも抑えきれない気持ちが、いつか暴走してしまう前に。
 竜児には、犬に――もとい、虎に甘噛みでもされたくらいに思って貰って。
 実乃梨を裏切る行為になるのかもしれないけれど、それが最初で最後。

 たった一度だけ、めちゃくちゃになるまで竜児が自分を抱いてくれたら。
 一生に一度しか付けられない印を、竜児が付けてくれたのなら。

「りゅうじぃ、りゅうじ、りゅうじ―――」
 押し広げた襞の中で暴れる中指が、堅くなった雌の芯を押しつぶした。想像の中で、自分を
無理矢理うつ伏せに押し倒していた竜児が、いきり立った雄で大河の雌を無理矢理に貫く。
「きひぃっ………!!」
 頭の中が真っ白になる。ゾクゾクと身体を貫く快感と、そこに混じったほんの少しの罪悪感の
苦みをどこかに覚えながら、大河は眠りに落ちた。

926:名無しさん@ピンキー
08/10/31 00:01:34 nZ2mUHxN
「おい、大河……? 起きろ、遅れるぞ? 朝食わないと持たないんだから、早く――」
 ドアを叩く音と、その向こうから呼ぶ声がする。それから、ほのかに漂う味噌汁の良いにおい。
 うっすらと目だけを開けて、昨夜、竜児の部屋から帰ってきたそのままのワンピースで眠って
しまったことを思い出す。
 自分を呼ぶのは、もちろん竜児だ。朝食を持ってやって来たところを見るに、案の定、そこか
らまた目線だけを動かして睨んだ時計の針は、いつもより大幅に進んでしまっている。
(あんなこと言ったのに、りゅうじ、ちゃんと起こしに来てくれた……)
 のろのろと身体を起こす。起きられないのではない。竜児の声が、また微かな興奮を身体に
運んできそうで動けないのだ。
「大河……?」
「い、今行くわようっさい! 犬は犬らしくおとなしく待ちなさい!」
 自分を呼ぶ声に頬が緩むのを感じる。こんな顔、見せられない……と大河は口答えを返し
つつ、思い切って両手で頬を数度叩くと、ベッドから飛び降りて大股で部屋を横切りドアを開い
た。
「お、おう……起きたか………、って、おい、そのまま寝たのか? ああっ、くちゃくちゃじゃね
えか服」
 ドアの向こうにいた竜児が、大河の姿を見て溜息を吐く。そんな竜児の姿が、言葉がやっぱ
り思っていたとおりで、相変わらずの堅物で、でも、そんな姿がやっぱり嬉しいのは何故だろう。
 瞬間、閃く。もちろん、即実行だ。
「起こしに来るのが遅いのよ! ホントに役に立たないんだからこのダメ犬っ!!」
 溜息を吐く竜児を睨み付け、向こう脛を蹴り上げる。昨日蹴った位置と寸分違わず同じとこ
ろを、思いっきり蹴った。
「あがっ…………………………………っ!!!」
 一声呻いて踞った竜児は、苦痛の表情を浮かべて大河を見上げた。いつもとは逆の位置
――自分が竜児を見下ろす体勢――になって、大河は両手を差し出して竜児の頬を
挟む。

「と、言いたいところだけど」

 に、と笑って顔を寄せる。何をされているのか理解できないうちにやってしまわなければい
けない。
 苦痛の表情が困惑の表情に変わりかけたその一瞬の隙を突いて、
「んっ………」
 大河が、その小さな唇で強引に竜児の唇を塞いだ。

 顔を離して目を開ける。その先で、竜児が大きく目を見開いている。ほんっと、目つき悪いん
だから、と心の中で苦笑しつつ、大河はその手を離した。
「ご褒美よ」
 竜児がパクパクと口を動かす。驚きに、声も出ないのだろうか。そのさまを見ながら、大河は
唇の端だけを歪めてもう一度言った。
「ご褒美よ。アンタの忠犬ぶりにね。たまにはご褒美くらいやっても良いかって気分になったか
ら」
 そう、ご褒美。みのりんごめんね、と声に出さず呟き、
「勘違い、すんじゃないわよ」
 これは声に出す。
 勘違いではダメだから。
 実乃梨とも、ぶつかるのかもしれないし、竜児はもとより実乃梨が好きなのだから。
 自分が勘違いしているのじゃないことを、竜児に知らせるために。
 いつかきちんと実乃梨にライバル宣言するために。いつか、かならず―――。

927:名無しさん@ピンキー
08/10/31 00:02:22 GTG7Xh5G
以上です。駄文失礼;

928:名無しさん@ピンキー
08/10/31 00:15:35 L9N+d2sd
gj!

とらドラクエスト3~そしてバター犬へ~

929:名無しさん@ピンキー
08/10/31 00:24:43 ZQwSHwhI
乙だぜ
URLリンク(dat.2chan.net)

930:名無しさん@ピンキー
08/10/31 00:25:46 06lXh0Sc
うぉぉっ!
ニヤニヤが止まんねー!

931:名無しさん@ピンキー
08/10/31 00:41:15 kA+1dZl8
>>927
フェヒヒヒ…やっぱ恋する虎はたまらんの~
GJGJ

932:名無しさん@ピンキー
08/10/31 00:42:43 qpzjWp4v
前から続きがすごい楽しみでした
GJ!

933:名無しさん@ピンキー
08/10/31 01:17:38 ZlRD+MiH

良いねェ~ッ!偉い偉いッ!えッ!3つほしいのか?角砂糖3つも?いやしんぼめッ!


とらドラ!クエスト5~俺の花嫁~

934:名無しさん@ピンキー
08/10/31 01:44:42 kA+1dZl8
ところで、とらドラ(つうかラノベ系全体に言えることだが)ってファンサイトの類が少なくないか
SSとかイラストが見たくても中々無いんだわ
やっぱり一般人気的にはアニメ化してようやく、ということなんだろうか

ああ、pixivとここだけが俺を満たしてくれるぜ…

935:名無しさん@ピンキー
08/10/31 07:45:07 Psvykduj
このスレ、エロが少なめだけど
濃いやつが揃っててやべーな

936:名無しさん@ピンキー
08/10/31 14:09:49 s9fe0JCJ
GJ!お説教でビクンビクンとか美味しすぎるだろ…なんというドM!

937:名無しさん@ピンキー
08/10/31 23:39:20 Psvykduj
>>910見てて思ったんだけど
竜児って大河じゃオナヌーできねえんじゃね?

938:名無しさん@ピンキー
08/11/01 01:15:41 eS9grPPa
URLリンク(rainbow.sakuratan.com)
URLリンク(rainbow.sakuratan.com)
URLリンク(rainbow.sakuratan.com)
URLリンク(rainbow.sakuratan.com)
URLリンク(rainbow.sakuratan.com)
URLリンク(rainbow.sakuratan.com)
URLリンク(rainbow.sakuratan.com)

939:名無しさん@ピンキー
08/11/01 03:30:21 TzVh9JiQ
>>938
GJ
あんたが描いたのかい?

940:名無しさん@ピンキー
08/11/01 03:32:29 yKrTyNc6
>>938
どうしてみのりんが無いんだ!

941:名無しさん@ピンキー
08/11/01 03:38:23 cco5yzgP
>>938
角煮い…
保存した

942:名無しさん@ピンキー
08/11/01 03:51:25 R0N63KT+
イラストはヤス

943:名無しさん@ピンキー
08/11/01 10:36:16 ZGbzlbf4
原作既刊本読み終わり記念カキコ

あみドラ!を書かざるをえない

944:名無しさん@ピンキー
08/11/01 19:28:47 SGtEXQ+B
>>938
超GJ
彩色したのとみのりんを希望する

945:名無しさん@ピンキー
08/11/01 19:51:10 nMjPCRXN
>>938
保存させてもらったがあえてこの言葉を贈ろう
角煮でyr

946:名無しさん@ピンキー
08/11/01 21:02:32 Hi39144v
>>943
期待させてもらうぜw

>>938は同人誌だよ<arl

947:名無しさん@ピンキー
08/11/01 22:10:12 m0D0kcl1
投下まだー?

948:名無しさん@ピンキー
08/11/01 23:42:15 rrwxPu1q
インコちゃんってメス?

949:名無しさん@ピンキー
08/11/02 00:57:59 f7d6ibtZ
>>948
メスだとどうなんだw
もしかして竜児×イン(ry

950:名無しさん@ピンキー
08/11/02 01:08:23 ycsEYRLL
>>949
いや、どうってこた無いんだがな?
ちょっと気になっただけ

951:名無しさん@ピンキー
08/11/02 03:43:21 pZPokfKB
>>938
GJ
最近足りなかった亜美分が一気に回復した!

952:名無しさん@ピンキー
08/11/02 03:44:59 GVrCDhgd
やべえ……みのりんめっちゃ好みだわ……。

953:名無しさん@ピンキー
08/11/02 05:57:55 R+ZMUKPY
大河を調教して従順な牝奴隷にしたい

954:名無しさん@ピンキー
08/11/02 12:51:03 0jrzI1sp
>>953
てめぇは俺を怒らせた

955:名無しさん@ピンキー
08/11/02 13:27:28 HXRnULQd
てめー な

956:名無しさん@ピンキー
08/11/02 19:09:58 5JDXzSjf
>>946
同人か。そいやほとんどが竜×虎なんだが
竜児×亜美って見かけないが描きにくいって事なのかな、と
一冊しか持ってない俺が言ってみる

957:名無しさん@ピンキー
08/11/02 19:12:53 a/3mzz+X
ばかちーはいらない子

958:名無しさん@ピンキー
08/11/02 19:35:36 yTyGsYBc
素人だな。あーみんの腹黒さに隠された健気さを読み取れないとは。

959:名無しさん@ピンキー
08/11/02 19:38:42 cEJm4ACQ
たまにもれる本音(弱音?)がかわいすぎる、10巻でばかちーのターンもっかいこないかな…

960:名無しさん@ピンキー
08/11/02 20:24:05 fL8IouPA
保管庫管理人さま
>>675>>923-926です。ご苦労様です、保管ありがとうございます。
タイトル付け忘れてました。
『トラ・トラ・トラ ~ワレ奇襲ニ成功セリ?~』でお願いしたく。よろしくお願いします。


>>957
そう言ってくれておいてくれるうちにばかちーは俺の嫁
あーみんかわいいよあーみん

961:名無しさん@ピンキー
08/11/02 21:04:33 cEJm4ACQ
保管庫見に行ったら>>885-890がのってて吹いたw

管理人さん毎度乙っす

962:名無しさん@ピンキー
08/11/02 21:17:18 bPlQJfC4
ばっちぐー

963:名無しさん@ピンキー
08/11/02 21:19:17 bPlQJfC4
大河と竜児はもちろん、ばかちーにも幸せになってほしいよ。
 
あと兄貴と眼鏡のSSまだ?

964:名無しさん@ピンキー
08/11/02 21:39:33 MyIa0ZCk
アニメで一番人気と思われるみのりんのSSが少なすぎるよ
新規ファンのみんな頼むべ

965:名無しさん@ピンキー
08/11/03 17:10:24 8lEiImKw
だれかまやドラ!の続きたのむ

966:名無しさん@ピンキー
08/11/03 18:25:10 tJaso06g
能登クンが泣いちゃうけど仕方ないね

967:名無しさん@ピンキー
08/11/03 21:41:18 mXzi6icm
まやドラ勝手にその後。分岐Aのいち。

それから俺は麻耶と外で二人だけで会うことが増えた。
あれから一ヶ月たったが今日もそうだ。なぜか麻耶の家に招かれている。
そろそろ麻耶には明かさなくてはならないことがある。
それは俺と香椎がずっと前から付き合っているということだ。
香椎に頼まれて麻耶を慰めるのを手伝って欲しいということだった。
一方的とはいえ北村との仲を取り持つという約束を反故にしてしまい後ろめたかった。
なにより可愛い彼女の頼みを断れなかった。
麻耶は明らかに俺に何かを期待している。
このままでは彼女である香椎にも悪い。どうするべきか。

続くかも。

968:名無しさん@ピンキー
08/11/03 21:56:58 BuN+cI1B
URLリンク(www.death-note.biz)
半角から甜菜

969:名前さん@ピンキー
08/11/03 22:08:13 Oki2EU4c
川島亜美が最近とても不憫に見えるのはなぜだろう?

970:名無しさん@ピンキー
08/11/03 22:26:43 8yVS1+H5
>>968
付き合ったらこんな感じになりそうだな…と思ったが
左下の以外はすでに似たような事やりまくってるか

971:名無しさん@ピンキー
08/11/03 22:57:51 +G0S5cuA
>>968
書いた人も見つけた人もgj
一体どうやって見つけているんだ…

972:名無しさん@ピンキー
08/11/03 22:59:39 QHyhn4qx
>>965
いや、続きを勝手に描いちゃ駄目だろ。

973:名無しさん@ピンキー
08/11/04 00:24:59 PMna2cQg
>>968
左下以外に既視感を覚える…

974:名無しさん@ピンキー
08/11/04 00:34:50 Snk4JDTt
誰かSS化してくれ、主に左下を

975:名無しさん@ピンキー
08/11/04 00:35:59 p1eLLI0O
まさか左下は近藤さん咥えてんのか

976:名無しさん@ピンキー
08/11/04 01:50:51 5x+iNO0e
>>975
ポテチかと思った

977:名無しさん@ピンキー
08/11/04 02:56:13 r6eT/4Jj
「おうっ!?」

「ひゃっ!?」

「……」

そろそろ日も落ちようかという時間帯、独神(30)との進路相談を終えた亜美が教室に戻ってみると


高須竜司と逢坂大河がサカってた


「あ、あのな!、川嶋!、これはそういうんじゃなくて!、
その、思いもよらぬあれこれがあったうえでの偶然の産物というか…!」

偶然てなんだよ、どんなあれこれがあったら学ランの前はだけた高須君に
下脱いだちび虎が跨るなんて状況ができんだよ
つかよく見たら前はだけるどころか
下なんかチャック開いてジュニアがちらちら見えてんぞこのエセ顔面凶器

「そ、そうなの!、これは偶然なの!、別にえろっちい事しようとしてたとかじゃ全然なくて!
まさか教室でそんな事するわけないじゃない!」

おまえさっきまで咥えてたのなんだよ、神速で隠したけど
明らかにゴムじゃん、近藤さんじゃん、
実戦の場で見た事はないけど、つか実戦の経験自体ないけど
小学生じゃあるまいしそんくらいわかるっつーの。
ごまかせると思ってんのかマイクロチビ

「だ…、だから…、その…、すまん、川嶋…。
できればこれは見なかった事にしてほしいというか…。」


「あーら何言ってんの高須くぅん、偶然なんでしょ?
えろっちい事とかじゃ全然ないんでしょ?、なんで秘密にする必要あるのぉ?」

「…すまん、俺たちが悪かった。」

「よ、よりによってばかちーにこんなとこ見られるなんてぇ…!」


それはこっちのセリフだ、なんでよりによってこのあたしがこんなとこ
見るはめになってんだ


「はいはい、黙っててあげるわよ。どうでもいいけど場所くらい選びなさいよお二人さん。
いつでもどこでもなんて、動物並じゃん。発情期かってーの。」

「きょ、今日はたまたまよ!、そうそうこんなとこでなんてするわけないでしょ!」

「大河落ち着け!」


978:名無しさん@ピンキー
08/11/04 02:59:42 r6eT/4Jj
「落ち着いてられるか!そもそもあんたがこんなとこで
スケベ根性だすからこんな事に!」

「先に変なちょっかいかけてきたのはおまえだろ!?」

「あーもうわかったから。あたしは筆箱とりにきただけ。
もう帰るからあとはご自由に。」

仲間割れを始めた二人をよそに、亜美は教室を出た。
限界だった、仮面を被るのなんて亜美にとっては、息をするのと同じくらい超簡単。
でも、あのまま二人の前にいたら、そんな簡単な事すらできなくなりそうだった。




「何やってんだかあのバカップルは…」

あれやこれやを経て、あの二人は正式に付き合いだした。
亜美自身もその過程で少しばかり手を貸したりもした
だから、これは当然の事。
高校生ともなった男女が付き合うならば、当然の事。
覚悟なんかとっくにできていた。

それを目の当たりにしただけで、自分はなぜこれ程ショックを受けているのか。

「ちくしょう…。」

そもそもあの二人の間に割り込む隙はほとんどなかった。
こっちにきて、初めて友人と呼べる人たちに出会えた。
そのうちの二人が、想い合う二人が一緒になるならそれは素晴らしい事だと自分に言い聞かせ続けてきた

「ちっくしょお…。」

なのに、涙が溢れて止まらない。
何を今更、納得づくの事じゃないか、
そもそもあんな鈍い男こっちから願い下げだ、と、
どれだけ考えを重ねても、止まらない。

「な、なんで…、なんでよりによってあたしがあんなとこ…!
神様なんかぜってえ信じねえ…!」

例えば、大河より実乃梨より早く、自分が竜児と出会っていたら
例えば、もっと強引に、もっとあからさまに、
あの鈍い男に自分の全てを隠さずぶつける事ができていたら
もしかしたら、こんな想いはせずに済んでいたのかもしれない
でも、現実にはそうならなかった

「だめな女だな…、あたし…。」

嘆いていても現実は変えられない、あんな事はとっとと忘れよう。
明日になれば、また仮面を被れる。大河とも、竜児とも、いつもどおりにやれる。
そうするしか、ないんだから。あたしならできる。
そう明日の覚悟を決めた亜美だが
今流れる涙を止める術は見つけられなかった。



979:名無しさん@ピンキー
08/11/04 02:59:54 YOyqY/Rd
あなたに…乙を…

980:名無しさん@ピンキー
08/11/04 03:04:23 r6eT/4Jj
>>968の左下から妄想ふくらませてみた
こんな長文初めてなんで不安だったけどちゃんと書き込めてて一安心
ばかちーを無駄に悲しませるような内容ですんません

981:名無しさん@ピンキー
08/11/04 03:06:58 vk5Y4NAY
>>968
ふおおぉ、萌える!
やはり虎竜かわええ

>>978


982:名無しさん@ピンキー
08/11/04 03:32:01 MK/CL1Jq
>>978
乙だぜ・・・

アニメから一気にこないだ原作9巻までよんだが、5巻からの展開がやばいなコレw
そしてばかちーにはあと何回か山場が残されてるとしか思えない件
でもやっぱり俺はみのりんが好きなんだなぁ・・・臆病者みのりんかわいいよ。皆好きだけど。心理描写深くて読みやすいぜ

983:名無しさん@ピンキー
08/11/04 04:35:45 n4LqWEEh
>>978

しかしばかちーが…
せめてssの中でだけでも良い思いさせてやってくれ

984:名無しさん@ピンキー
08/11/04 06:49:45 Snk4JDTt
>>978
GJ
せつねえ

985:名無しさん@ピンキー
08/11/04 09:28:03 tQ1Ue2oi
>>978
竜虎に萌えつつもいたたまれないぜ…
GJ

986:名無しさん@ピンキー
08/11/04 17:49:20 HAw3MPHr
>>978



あみたんかわいいよあみたん

987:名無しさん@ピンキー
08/11/04 19:04:07 94FMkc0j
>>978
素晴らしかった。

988:名無しさん@ピンキー
08/11/04 20:17:04 MK/CL1Jq
ちょい質問。
今書いてるんだけど、みのりんって右利きだったっけ?それとも左利き??
確かアニメでは左利きだったような・・・

989:名無しさん@ピンキー
08/11/04 20:32:23 t3mXZDdZ
アニメ5話の授業中の風景見る限りでは右利きだな

990:名無しさん@ピンキー
08/11/04 20:44:13 MK/CL1Jq
まじか・・・でもバッターボックスは左だしなぁ
いいや、手っ取り早く右投げ左打ちにしとこう。サンクス!

991:名無しさん@ピンキー
08/11/04 20:58:03 OTx+Y5xX
>>978
GJ

ところでそろそろ次スレの季節なのですがよう。

992:名無しさん@ピンキー
08/11/04 21:05:05 BcJ/swJj
>>980
GJ
次は左上頼む

993:名無しさん@ピンキー
08/11/04 21:11:09 +VjGHvlK
じゃあ埋めますかーっと

>>990
みのりん分に期待せざるを得ない

994:名無しさん@ピンキー
08/11/04 21:11:46 oepZ3/8X
テンプレはあれそのまま?
というかそろそろ立てないとやばいよな

995:名無しさん@ピンキー
08/11/04 21:26:30 DJg937d5
テンプレそのままでごめん
一応たてた
【田村くん】竹宮ゆゆこ 4皿目【とらドラ!】
スレリンク(eroparo板)

996:名無しさん@ピンキー
08/11/04 22:02:49 V2I12lPD
埋め

997:名無しさん@ピンキー
08/11/04 22:03:50 L9QZr5OM
埋め

998:名無しさん@ピンキー
08/11/04 22:05:17 SgSIHriE


999:名無しさん@ピンキー
08/11/04 22:08:54 FiLCpP9S
梅美味しいです

1000:名無しさん@ピンキー
08/11/04 22:09:09 L9QZr5OM
1000

1001:1001
Over 1000 Thread
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もう書けないので、新しいスレッドを立ててくださいです。。。


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