【DS】世界樹の迷宮でエロパロ B6Fat EROPARO
【DS】世界樹の迷宮でエロパロ B6F - 暇つぶし2ch450:汝、蛇なりや 1/9
08/04/28 20:38:55 pRu73In/
1.

 夕刻、宿屋2階の大部屋の戸が開き、メモらしきものを握り締めたブシドーの少女がずかずかと入ってきた。
 ダークハンターを捕えたのは、またぞろ面倒ごとをしょいこんできやがった、という予感だった。
「みな、仕事だ。場所の指定あり。今晩23時大公宮。行ける者は居るか」
 行ける者もなにも、今部屋にいるのはダークハンター一人だ。ブシドーは室内を見渡し、得たりや応、と頷くや、
「では、拙者とお主だな」
 硬い口調に合わない澄んだ声で宣言した。
 案の定、これだった。言うべきことはなくなった、そんな様子で部屋を出て行こうとするブシドーを、ダークハンターは慌てて
引き止めなければならなかった。
「ちょいとまてや。どんな仕事なのかくらい聞かせろ」
 ブシドーはキョトンとして小首を傾げた。
 そうした仕草だけなら、同年代の愛らしい少女達と大差はない。
「知らぬ。行かば答える、とのことであった」
 頭を抱えたくなる。
 仕草はともかく、己の才覚ひとつで生き抜かなければならない冒険者が、本当に無防備な少女そのものであってはならなかった。
「おまえな、そりゃどう考えてもヤバイ仕事だろう。しかもなんだって? 場所が……」
「大公宮だ」
「それぐれえ聴いてたよ! いいか、その時間、その場所でしか話せない依頼だぞ。お天道様の下で言えねえような仕事だ。
わざわざ俺達が受けてやる必要がどこにあった?」
 ブシドーは不思議なものを観察する目でダークハンターを覗き込んだ。
 どうして眼前の男がそんなことを云うのか、芯から図りかねている感があった。

「依頼主は、大層困っておるとの事であった」
 うん、それで。と先を促す。
「……」
「……」
 次の言葉はいつまでたってもやってこなかった。
「……で?」
 しかたなく、水を向けてやる。
「なので、受けた」
 瞬間、怒りがダークハンターの胸を押し上げた。それは喉元で言葉に形を変えた。
「アタマん中まで刀か、テメエは!」
 信じがたい人の好さだった。
 このような女が、公国においても指折りの戦士であることなど、悪い冗談にしか思えない。
 さすがに気色ばんで、ブシドーが答える。
「む。刀を頭に刺しては、拙者は死んでしまうではないか。さすがの拙者もそれはちと困るぞ」
「馬鹿だ、お前はやっぱり馬鹿だ!」
 もうこれ以上はやっていられない。
 ギルドを辞めよう。
 このギルドに入ってから何度目かの、そして今度こそ本当になりそうな決意を、ダークハンターは心の奥底で固めた。

451:汝、蛇なりや 2/9
08/04/28 20:39:37 pRu73In/
2.

 22時30分。ダークハンターは独り、大公宮への道を歩いていた。
 彼以外のギルドメンバーは酒場で寝こけている。そうなるよう、彼が仕向けた。
 ブシドーだけが最後まで付いていきたがる様子を見せたが、
「お前がいたら、いらねえ苦労が増えるんだよ」
 この一言でおとなしくなった。
 言葉の内容よりも、彼女を射すくめる眼光の冷たさに傷ついたようだった。
 そのことについて、ダークハンターは特に感想を持たない。
 持たないことを自分に強いる術を、幸福とはいいがたい過去の諸々から学んでいた。
「どいつもこいつも、いい加減にしやがれ」
 彼は、ギルド設立当初からのメンバーではない。
 第2階層を支配する魔人との戦いに臨み、戦力不足に嘆いていたギルドに、急遽前衛職として潜りこんだ。
 ギルドメンバーには、ブシドーのほか、パラディンもメディックもアルケミストも居た。
 もちろん、彼ら一人一人は違う人間だったが、全員に共通した要素もふたつあった。
 ひとつは、誰を見てもちょっと捜すのが難しいくらいの使い手であること。
 もうひとつは、そろいもそろって底抜けに純朴であることだった。
 罠に嵌ったリスを助けようとして、アリアドネの糸を盗られる。
 衛士を装った盗賊に魔物をけしかけられる。
 なにより許せないのが、公宮の連中にいいように利用されていることに気付きもしないことだった。
 おおよそ、お上と名の付く何者かが、冒険者をどう考え扱っているのかなど、それなりに場数を踏んだ彼には自明だ。
 公に出来ない「ことになっている」事案を持ち込むのに、冒険者ギルドほど適当な場所は他にない。
 ドブさらいはやりたい奴にやらせておけ、そういうことだ。
 今度のクエストも、そうした案件に決まっていた。
 最悪、怪物ではない「誰か」を殺す仕事だったとしても、すこしも自分は驚くまい。

「あいつらはそのあたりのことが、なんにも判っちゃいねえんだ」
 さっさと抜けるべきだ。泥をすすって生きてきた男に似つかわしい場所ではない。
 幾度となくそう思い、実行しようとしてきた。機会はいくらでもあったのだ。
『お主、辞めてしまうのか?』
 長く艶やかな黒髪が美しいブシドーの少女に切り出されるたび、何も言えなくなった。
 内側から溢れる感情を取り繕おうとするあまり、あどけなさの残る顔が妙な具合に歪んでいて、それが可笑しかった。
 ずるずると、中途半端な気持ちを引きずったまま、思いのほか長く付き合いは続いていた。
 どうしてなのか、ダークハンター自身にも上手く説明できそうになかった。

 ただ、疎ましさを覚える時もある。たとえば、今夜だ。
 お人好しなギルドメンバー達は、笑い、泣き、ダークハンターには理解できない何かを共有しながら生きているようだった。
 そうした全てを唾棄しながら、ザラザラとした感情が皮膚の裏側に蠢くのを、いつも感じていた。
 それはたぶん、嫉妬に似ていた。


452:汝、蛇なりや 3/9
08/04/28 20:40:18 pRu73In/
3.

 大いなる存在への畏敬と、ほんの密やかな職人達の倣岸、二つがうまく溶け込んだつくりだからだろうか。
 人間がその才知をこらして作り上げた公宮庭園は、それはそれで趣のようなものがあった。
 そんな庭園の端、暗がりの中、ローブを被った女が独りで立っていた。
 あちらでもダークハンターの姿を認めたのだろう、すべるような足取りで彼に近寄ってくる。
 眼を、疑う。まぎれもなく公女その人だった。
 おおよそ人生で経験したことがないほど、ダークハンターは周章狼狽した。

 会うのが初めて、というわけでもなかった。ただ、昼間公宮内で接見したのは「公女様」であって、それ以外ではなかった。
「ギルドの方ですね?」
 月明かりの下で、ダークハンターは「公女様」ではない「彼女」を発見していた。
 女は、すばらしく美しかった。
 暗闇でもわかる、いや暗闇の中でこそわかる、肌の白さ。
 静かに憂いを湛えた瞳。
 鍛錬を重ねた人間だけが持つことを許される、しなやかな肢体。
 最後の部分だけは、あのブシドーに似ていなくもなかった。
 鎌首をもたげた蛇のように、むくりと劣情が起き上がる。
 返事をどうにか搾り出す。
「あ、ああ。そうだ。そうです」
「それで、依頼の件なのですが」
 前置きもそこそこに、公女は語りだした。
 こっそり樹海に赴いたこと。
 そこで敵に囲まれた彼女を救うため、魔物の群れの中に消えた一匹の「ペット」のこと。
「けれど、わたしは、このままミニスターを見捨てることなどできません。
みなさまの力で、樹海にいるミニスターを助けてほしいのです。
それとこの事は決して公には出来ません。失礼ながら私の立場は不自由で……」
  
 不意に、夢から覚めた想いになった。
 この女は、樹海に消えた大勢の命より、一匹の獣の命を優先している。
 やっぱりそうなのだ。ダークハンターの心から急速に温度が失われていく。
 姿形の麗しさに惑わされるところだった。
 女と自分の間に、はじめから交点などなかった。
 お姫様は、お空の上のお城にお住まいで、雲より下の世界はご存知ない。
 返事はもう決まっていた。断絶を告げるために、口を開こうとする。

 唇が何か小さなものに押さえられていた。公女の手のひらだった。
 一瞬、剣ダコが触れる。戦士の手だ。
「仰りたい事は、わかっているつもりです。私はひどい女です。それでも」
 女の頬に、筋を引いて滑り落ちるものがあった。ダークハンターはとっさに眼を逸らす。
 貴種とて同じ人間である証など、見たくはなかった。
「どうか、どうか。あのコを、助けて」

453:汝、蛇なりや 4/9
08/04/28 20:41:46 pRu73In/
 俺はさんざん悪事もやってきたが。ダークハンターは考える。
 そういや強姦ってのはまだしたことがなかったな。
 目の前の高貴な女性を、思うさま嬲るのだ。さぞかし気分が良いだろう。
 人生全てと引き換えに出来るくらいに。
 ギルドの奴らも、ただでは済むまい。
 事あるごとに俺の顔を思い出しては、罵声を浴びせかけるのだ。
『クソ、お前さえ居なければ!』
 まったく哂える想像だった。
 本当に笑いが漏れそうになって、必死でこらえた。
 今笑い出せば、きっと自分は永久に笑い続けるだろう。
 公女がこちらを見つめている。決死の覚悟を込めた表情で。
 パラディンが味方の盾となって敵に立ち塞がるとき。
 メディックが倒れた友人を励ましながら治療するとき。
 アルケミストが必殺の術式を仲間のために紡ぐとき。
 そしてあのブシドーが『大層困っておる』誰かのために鞘を払うとき。
 きっと、今の公女と同じ顔をしているに違いない。
 知れきった破局。彼らと一緒に最後まで歩き続けることなど、不可能だ。
「その仕事……」
 だっていうのに、これから何を言おうってんだ? ええ、ダークハンターさんよ?
「お受けしましょう」
 やっちまったな。
 絶望感と共に、男は思った。

 風景というものは、見る者の心象を写す鏡なのだと、偉い芸術家サマはおっしゃった。
 実のところ、それが全くの真実であることに、帰路を行くダークハンターは生まれて初めて気が付いていた。
 風も石畳も街並みも、そびえ立つ世界樹も、なにもかもが彼の精神と感応し、ざわめいているのだった。
 自分は変わってしまったのだ。
 深い困惑と、次いで恐怖が彼を襲う。
 大公宮に出向く前の俺に戻してくれ。
 そう叫びたくて仕方ない。こんなことを望んだわけではなかった。
 粗暴かつ辛辣な、どこまでも計算高い蛇で居たかった。
 闇の上に暗幕をかぶせた寂しい路地裏に入り込み、そこでしゃがみこむと、彼は顔を覆って泣いた。

454:汝、蛇なりや 5/9
08/04/28 20:43:18 pRu73In/
4.

 宿に帰り着き、その玄関口にブシドーの立ち姿を認めて、少なからず驚く。
 時間はとうに01時を過ぎているはずだった。
「遅かったな」
 まさか、自分を待っていたというのか。
「で、どうであった」
 依頼の件を聞かれているのだと分かるまで、すこし間が必要だった。
「請けてきたぜ。ろくでもない話だったがな」
 コクリ、と頷いた後、急に距離を詰めてくる。息がかかるほど互いの顔が近い。
「……泣いて、おるのか」
 これだからこの女は苦手だ。
「そんなんじゃねえ」
 自分でもはっきりと感じる声の弱さに、愕然とした。
「そんなんじゃあ、ねえ」
 視界いっぱいに少女が映る。
「辞めてしまうのか?」
 妙な具合に歪んだこの寂しげな顔に、自分はいったい何を期待していたのだろうか。

 これ以上心をかき乱されるのはご免だ。
 ダークハンターの手が、ブシドーを突き飛ばした。とっさのことに反応できず、軽い体が地面に転がる。
 袴が乱れ、ただでさえ表面積の少ない着衣の隙間から、健康的な太股が覗く。
 公女の肢体に向けられたのち、一度は去ったはずの劣情が、再びダークハンターを満たした。
 凶暴な気分の命じるまま、体勢を戻そうとするブシドーの手首を掴み、体ごと自分の許へと引き寄せる。
「お主、なにをするか」
 そうだ、まだ間に合う。
 小さな獲物を飲み込むとき、蛇は本来の自分を取り戻すはずだ。
「いいから黙って来い」
 返事があろうとなかろうと、どちらでもよかった。
 だから、その気になれば魔獣とさえ渡り合える剣士が、どうして抵抗もせずされるままになっているのか、
想像してみることもしなかった。

455:汝、蛇なりや 6/9
08/04/28 20:44:21 pRu73In/
 男女二人が潜める場所くらい、いくらでもあった。
 ましてや彼は、影にひそみ罠を張るダークハンターだった。
 住居から死角となる木陰にブシドーを連れ込むと、下に広がる芝生へ乱暴に押し倒した。
 ブシドーは黙ったままだ。黙って不安に耐えながら、涙を湛えた瞳で彼を見上げている。
「これから何されるか、わかってんのかよ」
 最後に残ったひとかけらの理性が、ダークハンターの口を開かせた。
「わかっている。拙者とて、女だ」
「怖く、ねえのか」
 どうしてさっさと獲物を口へ入れてしまわないのだ! 蛇が身中で不平を吐く。
「たまらなく恐ろしい。怪物の牙を受けるよりも、竜の炎にあぶられるよりも」
「だったら」
「信じておる。たとえ、奉じる『道』は違えども、お主はもののふだ。轡並べて戦に向かうに値する、戦友だ」

 丸腰のブシドーが放った視えない斬撃が、飛び掛る蛇の首を刎ね飛ばす音を、ダークハンターはたしかに聞いた。

 ゆっくりと体を起こす。少女が怖がらないよう、丁寧に。
「……わりい。俺、行くわ。みんなによろしく言っといてくれ」
 立ち上がろうとして、袖を掴む小さな手に阻まれた。
「待て。拙者に恥をかかせたまま逃げるつもりか」
「うるせえ。せっかく辞めるきっかけが出来たんだ、このまま消えさせてもらう。仕事の中身は酒場の親父に預けとく」
 実際そのつもりだった。最初からこうしていればよかったのだ。
「……では、…………ぬのか」
 か細く、ブシドーが呟く。
「なんだよ。聞こえねえぞ」
「拙者では、ギルドへ残る理由にはならぬのか」

 言葉が、ちっぽけな自我ごと心を焼いた。
 両腕を回し、ブシドーを強く抱きしめる。草と土の匂いがした。
「お前を抱きてえ。お前らと、あの迷宮を昇り抜きてえ」
 今日までの日々は、これを言うためにあったのだと、男は半ば本気で信じた。
「この体、乙女ではない。それでもよいか」
 少女の唇に口づける。答えの代わりのつもりだった。
「不器用な男だな」
 女が優しく言った。
「お互い様だ、馬鹿」

456:汝、蛇なりや 7/9
08/04/28 20:45:15 pRu73In/
5.

 ダークハンターが服を脱ぎ終えて顔を上げると、ブシドーの裸身が目の前にあった。
 具足で隠されていた肩は、案外なで肩で、そのぶん首の長さが目立つ。
 控えめな乳房についた小さな突起は、四層で咲き誇る花の色をしていた。
 鍛え抜かれた下半身に女性らしい丸みは少なく、その細いラインがよくしなる弓を連想させる。
 茂みは淡く、愛らしかった。
「綺麗だな」
 思ったままを言う。
「……馬鹿者」
 ブシドーは軽く頬を染めた。

 木の根元に背中を預けて座り込み、ブシドーを抱き寄せると、上から下にかけてゆっくりと撫でていく。
 引き締まってはいたが、筋肉がみっしりと詰まっているわけでもない。
 刀は力ではなく、技で斬るのだという。そのせいだろうか。
 腕から腋、腋から胸、胸から腰、そして太股へ。
 ブシドーはじっと目を閉じている。手から伝わる体温を味わっているようだった。
 感触を楽しみながら、右の乳首を口に含む。ブシドーが腰を軽くよじらせた。
 口中に香りが広がる。汗の匂いではあったが、甘く感じる。
 手の方は股間に辿りついていた。少女の目が開き、体がわずかに硬くなる。
 はざまを上下に撫で回す。思ったより弾力があった。
 顔をずらして、今度は左の乳房を丹念に舐める。刺激の変化に、少女は吐息を漏らす。
 そこを突いて切れ込みへと指を浸入させた。
 内部をおもうさま蹂躙していく。中は薄く潤んでいた。
 段々と、ダークハンターにかかる少女の呼気が熱を帯びてきていた。

 切れ込みから指を引き戻し、いったん2人の体を離す。
 不審がるブシドーと体を入れ換え、膝を立てて仰向けに寝かせる。豊かな黒髪が地面に広がった。
 男の態度をどうとったのか、おずおずと少女は少しだけ股を開いた。
「まだ、しねえよ」
 ダークハンターは自身も体を沈めると、ブシドーの両足を双肩に担ぐ。
 そして顔を股間にうずめていった。
 少女のそれは、今まで知るどんな女のものよりも可憐だった。なにか尊いものを見ている気がした。
「や、止めい。そんなところ」
 唇を這わせる。舌でなぶる。
 肉芽に舌先が触れるたび、かき消えそうな声が降ってきた。
 ダークハンターは、深い悦びに震えた。ずっとこうしていたい位だった。

457:汝、蛇なりや 8/9
08/04/28 20:46:12 pRu73In/
「もう、もう」
 どれくらいそうしていたものなのか。
 ふと、我に返り、声を聞く。慌ててブシドーを観ると、彼女は息も絶え絶えに、法悦の表情だけを浮かべていた。
 名残惜しさを振り払い、ダークハンターは身を起こす。
 それから屹立した自身の分身を、ブシドーの中へと潜り込ませた。
 ブシドーが応えて、おとがいを上げる。
「背中、痛くないか」
 ブシドーの膝頭を押さえ、腰を使いながら、自分にできる精一杯の優しさをもって問いかけた。
「仔細ない。お主の良いようにしてくれ」
 ひたすらに愛おしい。
 こんな女と繋がっていられることを、信じたこともない神に感謝した。
 浅く深く突き入れる。膣内の律動が変わるたび、どちらからともなく口づけを求めた。
 いつしか少女の腰も揺らめいている。ぶつかり合う二人は、文字通り一つになっていた。
 次第に高まりがせり上がってきていた。終わってしまうことがひどく寂しい。
 まるで初めて女を抱いているようだった。
 いや、今自分は、愛を交わすことの意味と価値を学んでいるのだ。そう思った。
 限界がきた。ブシドーもそれは同じだった。膣内に絶頂のしるしが走る。
 おめきをあげ、抜き放つと、少女の腹の上に射精した。
 彼女もまた、甘美なおののきを発した。そうしてから、両の腕でダークハンターをかき抱く。
「行くな。お主の居場所は、ここぞ」
 ダークハンターは笑う。なるべく下品に映ればいいが。
「ばーか。女の寝言を信じるほど落ちぶれちゃいねえよ」
 安堵を乗せて、ブシドーが、軽口を叩くダークハンターを見つめてくる。
 ちょっと始末に困るくらい、その姿は美しかった。

458:汝、蛇なりや 9/9
08/04/28 20:47:10 pRu73In/
6.

 クエストは散々だった。
 犬は逃げ、鳥は舞い、花が乱れた。
「やっぱり、ろくな仕事じゃなかったな」
 全身に噛み傷をこしらえたダークハンターがぼやく。
「うむ。『蛇蝎のごとく嫌われる』というが、此度のお主がまさにそれであったな」
「ぐ、なかなか言うようになったじゃねえか……」
 怯えたミニスターに何度も噛まれたのは彼だけだった。
 そのミニスターを届けるため、他の3人は宿を出払っている。
 二人だけの大部屋は、広すぎるように感じる。いままで、そんな気持ちになったことはなかった。
「変わっちまったな、俺も」
 独り言のつもりだったが、ブシドーは自分が話しかけられたものと捉えたらしい。
「今日知らず、明日また識らず。ゆえに一定」
 また、わけのわからない事を言った。
「……あ? なんだって?」
「お主に逢えてよかった。そういうことだ」
 十代の少年もかくや、というほど顔が熱くなる。畜生、この女。

 窓を開け放つ。室内に風が吹き込んで、部屋の空気を撹拌する。
 自分にとっての窓、それがあの夜で、吹き込んだ風はブシドーの少女だった。
 空気の入れ替わった部屋がどうなるのかは、住人次第といったところか。
 らしくもない。誰かの馬鹿が伝染した。
 なにげなく振り向く。
 すると、椅子に腰掛けたブシドーと目が合った。
「なあ、『生きてるのはいいもんだ』ってのを、お前の故郷じゃなんて言うんだ」
 ブシドーは視線を泳がせ、すこし考えを巡らせるふうだったが、やがて向き直り、答えた。
「そうさな。『花鳥風月』であろうか」
 相変わらずさっぱり意味はわからなかったが、なんとなく良い響きだった。
 口に出して言ってみる。
「カチョーフーゲツ」
 ぷっ。ブシドーが吹きだした。
「へ、やっぱり柄じゃねえや」
 一緒になって、ダークハンターも笑い出す。
 窓から射し込む日差しは、以前よりも暖かだった。

                                                  おしまい

459:名無しさん@ピンキー
08/04/28 22:28:28 E4KesBHs
GJ
良い作品でした。

ダク男が良い感じだなぁ……

460:名無しさん@ピンキー
08/04/29 00:24:05 6ZTrqID8
ブシドーの切れ味の良すぎる言葉に心を一閃されたぜ

461:名無しさん@ピンキー
08/04/29 17:41:19 jJ3OjUVs
うちのギルドにダク男入れたくなった。GJ

462:名無しさん@ピンキー
08/04/29 23:19:27 yOno+c8P
ブシドーをショタ、ダク男を金髪ダク女に脳内変換……
ああ、やっぱダクハンは男女ともにエロパロ向きだわ。

463:名無しさん@ピンキー
08/04/29 23:46:39 KGzI6nEf
>>41
( ゚д゚)

( ゚д゚ )
フロストガールさんですか?

464:名無しさん@ピンキー
08/04/29 23:47:18 5L+y0wdm
とうとう女に

465:名無しさん@ピンキー
08/05/01 02:29:49 h6iPI/pK
妄想マスタリー&暴走マスタリー10を頼りに挑戦してるけどやっぱ難しいな……
文章マスタリーに1で良いから振りたい。
どうやったら文に艶が出るんだろう。

466:名無しさん@ピンキー
08/05/01 02:39:32 qiMSEcPD
つワックス

467:名無しさん@ピンキー
08/05/01 18:39:35 urH5V0pG
ボスマラソンならぬ作マラソンだ

468:名無しさん@ピンキー
08/05/02 05:54:34 0wH6tlNx
保管所に一本直接投稿しました。
いささか問題がありそうなのでだめなら消去します。
初書きなので駄目出しなどありましたらよろしくお願いします。

ちなみにギルドメンバーは休養後何かを振り切るかのごとくボスマラソンにいそしみLv99になって帰ってきました。

469:名無しさん@ピンキー
08/05/02 08:08:47 09wefSi5
面白かった。GJ。

470:名無しさん@ピンキー
08/05/02 12:37:05 qdST7/wF
読ませていただきました。GJでした。

471:名無しさん@ピンキー
08/05/03 01:59:44 Dxeg2XVL
>>468
良かったよ、GJ

472:名無しさん@ピンキー
08/05/03 04:24:14 mBAEMNHK
>>468
文も読みやすかったし、何より設定が面白かったよ
GJ!

473:名無しさん@ピンキー
08/05/03 08:53:18 Y9Wc+dJg
オウガとデモンどっちが雌なのか、そこが問題だ。

474:名無しさん@ピンキー
08/05/03 10:29:56 wDG2xgUR
オウガとデモンは男と意識して生きるモリビトの最終形態。
オウガが肉体派、デモンが技巧派。

女として生きるヴァルドやドルイドが何らかの形で
モリビトを超越し、精霊化したのが貴婦人・姫君


適当に妄想してみただけよ。

475:名無しさん@ピンキー
08/05/03 14:33:10 r/8TBa19
なら雌になる分には人間のなかで生きるのに不都合ないじゃないか。
服が着られない?寧ろそれこそばっち来(ry

476:名無しさん@ピンキー
08/05/03 17:05:49 8BfY7d3l
採取採掘伐採隊を
レンジャーズじゃつまらないから

ペ / パ / ペ
メ レ

にしてみた

気がついたら脳内でお笑い芸人集団になってたorz

477:名無しさん@ピンキー
08/05/03 17:09:30 8BfY7d3l
すまん
誤爆した

478:満開の季節…の少し後 1/2
08/05/04 02:36:18 I3ladOKD
保守がてらに。エロ無しなんで適当に読み流してください。



 その日は空飛ぶ城の中、適当に素材集めをして一日が終わった。
 主に活動していたのは一軍の皆ではなく、ギルドの後ろを守る採集部隊である。

 ギルド本部の一室で、彼らはおのおの入手した戦利品を床に広げて物色していた。
 せかせかと動き回る皆の中、一人だけ暇そうにしている少年がいた。パラディンである。
 いざこの段になると、採集部隊の皆を守るべく一人借り出されたパラディンにはもうやることが無い。
 盾のふちに顎を乗せて、時折会話に混ざりながら皆がアイテムを整理するのをぼうっと見ている。

「……でもまあ、殺されなかっただけでもめっけもんですよね」

 道具袋からマンドラゴラの残骸を引っ張り出していた銀髪のダークハンターが、そんな彼にのんびりとした声で問うてきた。
「は?」
 パラディンの目の前の床板に転がされたマンドラゴラは、
哀れ敵を倒すための腕も必殺の呪声を紡ぐための口も縛られ、すのこ巻き状態で動かなくなっている。
 そんなマンドラゴラを慣れた手つきでくるくると回しながら、ダークハンターはこう言うのだ。
「だってアルルーナなら動けなくなったところを茨の鞭でばしばしひっぱたいてこんな風にぐるぐる巻いて、
 血だるまになったところを改めて頂きまーす、でしょう?」
 褐色の指がマンドラゴラの細い触腕を掴んで摘み上げた。
 エトリアで戦った妖姫のことを思い出し、パラディンはそうだな、とうなずく。
「ああ、確かにそんなだったなあれは」
「そうしなかったってことは、手加減してくれたんですよ。おいら達が培った絆の勝利ですよ」
 無邪気に言うダークハンターだが、それに対するパラディンの反応はいささか冷めたものだった。
「でもいくらかでも正気が残ってますって風でもなかったよ、あれは」
「へえ?」
「殺されないで済んだのは、……なんでだろなぁ」
「それはそうでしょう」
「うわ!?」
 気配も無くいきなり割って入ってきたアルケミストに、パラディンは派手に声を上げて盾を構えかけ、
ダークハンターはマンドラゴラを放り出しかけた。慌てて掴み直した茶色い球根を二三、褐色の手がお手玉する。
「いきなりそうやって気配消して出てくるの止めてくれよ!」
「心臓飛び出るかとおもったっすよ……」
「はっはっは、そりゃ失礼」
 悪びれた様子も無く笑って、アルケミストはどっかりと二人の傍に腰を下ろした。
「……たく。で、なんて?」
「だってそうでしょう?性的な意味で暴発した結果があれなら、獲物を痛めつける意味は無いんですよ」
 獲物は捕食対象でなく、交接の対象だったわけですから。
 むしろ丁重に や さ し く 扱うのが生物の本能というものです。
 生物学の授業でもするようにあっさり言って、アルケミストはパラディンを赤面させた。
「うー……」
 パラディンが染まった頬を盾に隠す。アルケミストは涼しい顔だ。
「じゃあアルルーナはなんなのさ。あの娘、男も女も殺す気満々だったじゃないか」
「やー、単純に彼女が嗜虐趣味だったんでしょう。
 生理的に性欲を発散する術が無くて、それでも性的欲求を充足させようと思えば、
 そういう傾向を推し進めるしかなかったんじゃないですか」
「そういう傾向、ね」
 一発スマイトした後の彼の、ものすごく嬉しそうな顔を思い出す。
「……マスターがMっ気あって助かったってことか」
「ですねぇ。……ん、どうしました?」 
「ん?」

 二人がふと横を見ると、会話に加わっていなかったダークハンターは、
マンドラゴラをほっぽりだして胸元で両の拳をプルプルと震わせていた。


479:満開の季節…の少し後 2/2
08/05/04 02:38:18 I3ladOKD
「どうしたよ、ギ」

「……可哀想です!」

 ばん、と音を立てて褐色の手が床をぶったたいた。
 わいわいと作業を進めていたレンジャーの二人やドクトルマグスが、目を丸くしてこちらを見る。
「…………か、かわいそうって何がさ」
「だって!溜まる物だけ溜まって抜き方知らないって、それはっきり言って地獄じゃないですか!」
「抜き方とかちょっと、女性もいるのに」
「そのままずっと放置だなんて、あまりに可哀想です!」
「いやー、女性型モンスターにそういう表現を用いるのも違和感があるものですねー」
 止める気も無くのほほほんと言うアルケミストの向こうから、眉をひそめてひそひそと耳打ちをする女性陣の声が聞こえる。
 が、いささか己の義憤に酔っている気の有るダークハンターは聞いていない様子だ。
「何とかしてあげましょうよ!」
「……いや、何とかって」
「パラディンさん!」
 たじたじとしているその両手を、いきなりがっしと掴まれた。キラキラ光る金色の目が真正面から見つめてくる。
「ちょ、やめろよ!何で僕を見る!」
「だってマスターの時は貴方が」
「わーーーーー!!!それ誰から聞いたっ!」
「そんなもの現場見れば分かりま」
「わーーーーっっ!!!」
「下半身剥きd」
「わーーーーーーーー!!!!!」

 新人のたむろするギルド登録所のロビーに、公国最強と目されたパラディンの情けない事この上ない悲鳴が響き渡った。



「どうしたの、兄さん」

 腕組みして何事か考えているアルケミストに気づいたドクトルマグスが、その顔を覗き込んだ。
 彼はおどけた笑顔をしまいこんで、色々なものが散らばっている床をにらんでいる。

「いえ、これは一考の余地が有りそうだと思いましてね」
「冗談。……まさか、アルルーナを?」
「ええ。うまく行けばモリビトに貸し一つ作るチャンス、ということですよ」
「……でもアルルーナは、彼のように人の部分を持ってるわけじゃないわ。人との交接でどうにかなるわけじゃ無いでしょう?」
「まあそこは人間の多形性とわれわれの技術で何とかしましょう。別に妊娠させろと言うわけではないのですから」
「……ハードルは低い、か」

 ドクトルマグスとアルケミストが真剣に話し出したのを、大騒ぎする男二人はもちろん聞いていなかった。



 数週間後、エトリアの酒場に、執政院ラーダの名義で奇妙な依頼文が貼り出される事になる。
 下手をすれば娼館の宣伝文とでも取られかねないその張り紙は、暫くエトリアの噂好きたちの口を賑わせることになった。



で、クエスト依頼『僕らが抑えつけとくんで、この娘犯っちゃってください!』が発動するわけですが。
この先誰か続けて下さい。

480:名無しさん@ピンキー
08/05/04 02:42:55 dWXtmZ2W
リアルタイムでGJしにきたぜ。
たがしかし…奴はマンドレイクなんだ…

481:名無しさん@ピンキー
08/05/04 03:29:10 nwBWc622
OKやっちまったぜ。
後で置換しようと思ってたのに。
断末魔の叫び食らってhageてくる。

482:名無しさん@ピンキー
08/05/06 21:52:38 +aAEsbWj
保守がてら規制確認

483:名無しさん@ピンキー
08/05/07 01:48:15 hIpPdL6F
セル×♀ラブネタ書こうと思って挫折。
欝ということで方向性が違うとはいえ「戴冠」があまりに素晴らしすぎる…。

484:名無しさん@ピンキー
08/05/07 23:30:35 OjxN0TcW
保管庫に一作来てるのに報告ないのはなんでなんだぜ?
新作乙です。

485:名無しさん@ピンキー
08/05/09 03:43:13 7DQOiaSz
飼いならしたゼラチンキングの身体に誰を押し込んで服溶かさせるか妄想しつつ保守

486:名無しさん@ピンキー
08/05/09 03:53:05 K8/M9x6y
じゃあ俺もギルドが作った地図を他のギルドに勝手に売り渡した
ドリルダクハンをお仕置き陵辱しながら保守

487:名無しさん@ピンキー
08/05/09 08:53:47 M4Adlm0j
>486
それはけしからん。
一通りご奉仕させたあとは、メディ姉の催淫薬II服用の上
アーム&レッグボンテージで吊し上げの刑だな。

488:名無しさん@ピンキー
08/05/10 00:22:47 5q31rKYK
・最初、地図を売り渡していたことがバレてないと思っているドリルD子を拉致して拘束した直後
「いったい何のつもりなの、これ! 早く解かないと後でひどいんだから!」

・地図を売り渡していたことを指摘する
「し、知らないわよ、そんなこと。私がそんなことするわけないじゃない。……疑うの?」

・証拠を突きつける
「……どうしてもお金が必要だったの。ごめんなさい、許して。 ギルドのみんなには秘密にして。
 ギルドを追い出されたら、私には行くところがないの、だから……」

・縛ったまま脱がす
「お願い! それだけはやめて! 他のことならなんでもするから!」

・脅迫する
「……初めてだから、せめて優しくして」

古いエロゲにありそうな展開ですね。

489:名無しさん@ピンキー
08/05/10 00:46:38 LCtfYlRd
うちのドリ子はいい奴だからそんなことしないぜ!!

それはそうと全角256文字の携帯でどうやって小説書けばいいんだ…
おおまかな構想は出来上がってるから頑張りたいんだがなぁ………

490:名無しさん@ピンキー
08/05/10 02:08:59 6IkczQXH
先に原稿用紙に下書きしてネットカフェで入力だ!

491:名無しさん@ピンキー
08/05/10 03:05:17 Z1wifyMh
案外時間制限ある方が良いもの書けたりするんだぜ。
ネカフェで頑張ってくれ。

492:名無しさん@ピンキー
08/05/10 03:41:11 FIKUZvpd
紙に書いて撮影してうp

493:名無しさん@ピンキー
08/05/10 18:57:12 G3NlC0qb
>>489
新たな選択肢。

PCを買ってしまう。

494:名無しさん@ピンキー
08/05/10 22:47:56 LCtfYlRd
>>490-491
ネカフェかー。大まかな構想は決まったが締めがイマイチ分からないんでそこから頑張るよ。

>>492
俺は壊滅的に字が汚いが宜しいか。

>>493
な、なんだってー(AA略

実は>>236=俺とか言うオチ…ゲフンゲフン。いや、なんでもない。時間掛かりすぎ?自分の趣味で忙しいんですよ。

495:名無しさん@ピンキー
08/05/11 04:02:36 vcEJJ/Dh
健全小説置き場の自サイト最近閉めてさ、
けど白眉のセカキュ二次だけはサヨナラしきれなくってよ・・・
8レスくらいここ借りるわ

・ネタバレはⅠの一層攻略
・エロ、お色気なし
・設定の捏造多少あり

以上がおkな人は>>494を待つ間の暇つぶしとして付き合ってくだしあ

496:『深緑の星空』
08/05/11 04:06:23 vcEJJ/Dh
 小さな街、エトリアの外れでは大地がぽっかりと口を開いている。
獲物を求める蛇の舌のように、その大穴から豊かに葉をつけた巨木が伸びる。
 底を見遣るとそこには深遠の闇ではなく樹海の新緑が広がっていた。
 地の奥底で息づく命溢れる迷宮。
固有の生態系を持ち、無数の財が眠ると風説が飛んだその緑の奈落こそが、世界樹の迷宮だった。

 ・

 数多の枝を日に差し伸べ、原色そのままの果実や葉を垂らした木々。
丈の低い角ばった植物が踏み固められた道を縁取っている。
地中の森ではあるが比較的浅いこの階層は中天に陽が昇れば鮮やかな橙に色づく。
 のどかな熱帯林の様相を見せるここは異常発達した動植物、すなわちモンスターも弱く、
ほとんどの冒険者たちにはとっては探索されつくした易き道だった。
しかし近頃はそうも言えなくなっている。
「これはまいった。いや、まいったまいった」
 軽く腕を振る。両腕の籠手が陽を受けてきらめいた。
光るその表面には、昼間だというのに炯々と赤みを放つ眼が無数に映りこんでいる。
四方を取り囲むのはより深くに潜むはずの狼たち。
うなりの重奏が地鳴りのようだ。
「ちっとは焦ってくれってリーダー!」
 背中合わせのケンネが鎧を鳴らす。パラディンの大盾をふたつ並べて、きっと歯噛みしている。
 自分も焦れるものなら焦りたいのだがうまくいかない。
そういうふうに生まれついてしまった。
「どなっちゃいけませんよ。刺激せずに、視線で押し続けて。遠吠えがないから増援はないはず。まだ時間を」
 半ばひとり言のようにユクガがつぶやいた。
早く小さくなっていくその声は、切れ切れのあえぎにかき消される。
「処置はまだかかるようで」
 彼は私とケンネの間に屈み、見知らぬ冒険者に懸命の処置を施している。
出血の多さだけは素人目にもよくわかった。

「急げ、急げユクガ!」
「連中を刺激しないでくださいっ」
「いやいや、かかってきたから叫んだまで」
 包囲の輪から三匹が弾けるように駆けてきていた。ケンネも似たような光景を見ていることだろう。
腕を組むようにして左右の籠手の制御桿に十指を躍らせる。
ブゥン、と駆動音が内部で反響し、数秒で籠手と一体の手袋に術式が漲った。
瞬きする間に距離を縮めるフォレストウルフは不意に散開。
消えたと見紛う鮮やかさで前方、両脇から飛びかかって来た。

497:『深緑の星空』
08/05/11 04:07:25 vcEJJ/Dh
「見事見事」
 左拳を眼前に。腕(かいな)はこれより砲身と化す。
掌をつくった瞬間、術式が開放されまばゆい閃きが狼を焼き尽くした。
薙いだ左手から放たれ続ける雷が残る二匹も飲みこむ。
「うちのギルドよりもいい連携だ」
 軽口はユクガの不安を減らすため。
頭と舌と、身体を休みなく駆動させる。乱れぬ連動で群れは迫り来る。
「リーダー、平気か!」
「もちろん」
 ちらりと後方を覗く。
大盾のひとつを地面に突き立て剣を振るうケンネが狼の額を貫いた。
逆側から攻め寄せる牙を手にした盾で殴り飛ばす。ユクガを背にした彼自身が正に不退転の盾。
 向き直って右手を振るう。
冷気が迸り、狼を凍てつかせた。
さらに併走してやってくる四頭へと氷の術式を放った。それで止まるはずだった。
 うち一頭が平然と氷壁を突き破って爪牙を輝かせる。
スノーウルフ。色こそフォレストウルフと同じ雪白だが、その毛皮は冷気をまったく受けつけない。
 脇腹を狙った大顎はすでに籠手で弾くことも叶いそうになかった。
せめてもと気を張ったが、スノーウルフは直前で崩れ落ちる。
 一瞬呆け、そして白い体躯に突き立った矢を見た。
 流れ矢かと訝る間もなく次々と弦音がひびく。
一射一殺の威力と精度を誇る狙撃が雨と降った。
「ほう」
 駆け止まぬ狼さえ一矢のもとに倒れる。
いつの間に首魁を討ったのか、気づけば群れは統率を欠き、散り散りになっていた。
「レンジャーか?」
 ケンネが剣を盾の裏に収めてあたりを見渡す。
高い枝がゆれたかと思えばその真下から狙撃主が姿を現した。
緑を基調とした薄手の装備と片手に下げた弓。帽子とスカーフで顔は隠れていたが女性のようだ。
「助かりました。私はスマル、ギルドを代表してお礼申し上げます」
 彼女は眼で礼を返し、くぐもった声でこう言った。
「二割でいい」
「……報酬、いや狩猟の分配ということですか?」
 負傷者のキュアを済ませていたユクガが不安げに尋ねる。
好奇の視線を送っているスノーウルフを、惜しんでいるらしい。
めったに得られない強敵だ。しかも矢傷ひとつと状態も良好。
「いやいや、命の恩人相手にそんな分配はどうかと。持てるだけどうぞ」
 疲れ果てたこちらに大量の毛皮をはいで持ち帰る気力もない。
よくよく見れば群れに混じっていたスノーウルフはまだいるようだ。
 女性はわずかにためらうそぶりをし、ナイフを取り出した。
小さすぎる。案の定、硬い毛皮に苦戦しはじめた。
ケンネが見かねたように声をかけた。
「ほれ。使えよ」
 しゃがみこんだ彼女へ剣を柄から差し出す。
見開いた目でケンネを見上げる様に、どこか幼さを覚えた。
「いいのか?」
「いいからこうしてんだ」
「剣は……騎士にとって意味深いものだと聞いていた」
「そりゃぁなぁ。大事な方はしまってるからよ」
 ふたつの盾の背面にそれぞれ一振り。
その気になれば二刀を自在に振るうケンネだが、滅多に披露しないのはそのせいか。
 剣の扱いも見る間に慣れ、女性は血の滴る生皮をたっぷり持って行った。
聞きとれなかったがケンネは丁重な礼の言葉を受けたようだ。
 終始仲間が顔を出す気配はなかった。孤高の冒険者は、ここでは珍しい。
万年人手不足の当ギルドもまた物珍しいのだが。

498:『深緑の星空』
08/05/11 04:09:07 vcEJJ/Dh
 金鹿の酒場がいよいよ満席になりかけた夜半、息を切らせてユクガが戻った。
ムリに走ったのだろう、酔ったケンネより赤い顔をしている。
「執政院から……ミッションが発令、されましたっ!」
「とっくに知ってる」
 酒瓶を干して、つまらなさそうにケンネが応えた。
エトリアの政治と迷宮探索を司る執政院ラーダからのミッションは、樹海の大規模な調査か異変と相場が決まっている。
当然、耳の早い周囲の冒険者たちは先ほどからその話題でもちきりだった。
「狼がわんさかなんだってね」
 リバが弾む楽の音のように言った。その大群に奮戦してきた私たちを讃えるようでもあった。
「お前置いてってよかった。囲まれたら前衛も後衛もねえ」
 ケンネがリバの頭に手を置いた。酒に任せた兄の本音だろうか。
「歌も護身術もがんばってるつもりなんだけどなぁ。新しい歌だって覚えたのに。いつになったら認めてくれるのさ」
「人手が少ない分、適材適所ということでひとつ」
 それで彼女も不満げな表情を消した。
私にユクガ、加えてリバと後衛ばかり多くても唯一の前衛であるケンネが守りきれない。
軽度の探索や他ギルドとの連携時には充分活躍してもらっているし、今後もそのつもりだ。
適所を得たバードは掩護力において私など軽く超える。
「それでユクガ。単なる狼掃討以外のミッションも聞いたと思うけど」
「そう、そうなんです」
 ようやく呼吸が整ったらしい。コップを渡すと一息にあおって語りだした。
ユクガはもともと好奇心が高ぶりすぎてエトリアにやってきた学者。
迷宮内の生態系調査に熱心な執政院とのつながりは密だ。
「下層の強敵が迷い出てくることはそう珍しくないんですが、大群で来るのはさすがに……」
「ありゃぁ肝が冷えたな。鎧が大分傷んじまった」
「昼頃みたいな事件が頻発してるそうです。意図的な進出のようだ、と。軍が侵略してるようだとも」
「なるほど。確かに……」
 迷宮に踏み入って間もなく、袋小路であの負傷者を見かけた。
息があることに安堵した時はすでに囲まれていた。罠と言うほかない。
「レン、ツスクル両名の報告によれば地下五階に長と思しきモンスターが居たそうです」
「またレンさんとツスクルさんかぁ。憧れるなー」
 ことあるごとに聞く名前。現役最良と名高い二人組の冒険者だ。
同性のリバは陶酔にも似た面持ちを浮かべた。
「イヌっころだからまぁアタマはいるだろ、当然」
「ところがそう簡単な話じゃないんですよ」
「ほうほう。つまりそれが大物のようで、討伐ミッションが出た……こんなところで?」
 複数の群れで狼は攻め寄せてきていた。
群れごとに統率する個体がいるが、さらに群れそのものを率いる上位の個体がいるのだろう。
でなければ軍の比喩は現れまい。
「そのとおりです。恒例ながら両名は後進育成のため被害者救出に専念するとのことでした」
 明日までには長討伐ミッションが知れ渡るだろう。
その先は名誉と報酬を巡るギルドの競争となるが……

499:『深緑の星空』
08/05/11 04:09:37 vcEJJ/Dh
「どうするよリーダー」
「どうもこうも。そも、うちのギルドは適材でない」
「だってよユクガ。残念だったな大物の研究できなくて」
 突然素面に戻ったケンネが席を立つ。リバが去っていく背中を眼で追った。
「どこ行くの?」
「ケフト薬局。軟膏買ってくるわ」
「しまってるでしょ。明日にしよ」
「なーに、馴染みだ」
 手をつけていない酒瓶をひらひらと振ってみせた。
「まったく、何本呑むのんだろバカ兄。用事だってユクガさんに頼めばいいのに」
「さすがに調剤は遠慮させてくださいって」
「え……そだったね。ごめんごめん」
 手酌で詫びるリバ。彼女らしくもない。
 戦利品の売却や益金の分配といった作業はリバに頼むことが多い。
 売却する分にはなんの規制もないのだが、樹海で入手した品の扱いについては執政院によりいくつか制限が敷かれている。
たとえば調剤には認可制度があり、ユクガは申請していない。
 そんなことを彼女が忘れるはずはないのだが。
「でもみんな大きなケガもなくってよかった」
 リバが周囲を盗み見た。大半のテーブルに少なくともひとつは、血のにじむ包帯姿がある。
「いやいや、僥倖だった。腕利きのレンジャーに助けられて」
「顔上げたらびっくりしましたよ。彼女、ひとりだったんですかね」
「ええっ、女の子がひとりで迷宮に!」
「おそらくは」
「すごいなぁ。名前は? 若かった? ギルドに入ってないってことかな? 誘ったりは?」
「今日会ったばかりで知らないことばっかりですって」
「ひとつも、ね」
 一言加えてユクガを質問攻めから助けておく。
「そんなウワサも聞かないし、謎のレンジャーさんってことかぁ」
「顔は隠れていて、服装もなんら特徴なし。あぁ……しかし今日はどこかで目立ったかもしれない」
「確かにあの後姿はちょっとブキミでしたね」
 非力なくせにスノーウルフを三頭ほど担いで帰ったのはどこのメディックだったか。
けれども、生皮を提げた小さな背中を思って苦笑するのは納得できる。
興味を強めたリバに話すとかえって感心されてしまった。
「……さて」
 やがて漂う解散の気配。
場を閉めるのはギルドマスターの務めだ。
「狼のこともありますし、次回の集合は五日後に」

500:『深緑の星空』
08/05/11 04:10:13 vcEJJ/Dh
 数日ぶりに訪れた迷宮はひどい様相だった。
入口から降り立ってすぐ冒険者たちと狼の乱戦がありありと見てとれる。
 術式で焼け焦げた木々、深々と斧の刃でえぐれた地面、陽光を照り返す装備の砕片。
果樹はあらかた食い尽くされ草陰からは狼のものと思しき腐臭が漂っていた。
この階層に巣食っていたモンスターは身を潜めたらしく、木の葉をゆらす音さえしない。
 十頭いくらの報酬がかかった狼掃討ミッションは数日の間に終息しつつあった。
 冒険者が地の利を得たことが大きい。
迷宮の入口で充分に体力を持った状態で戦えるのだから。
五日を待たずに、群れが後退しはじめたとウワサが流れていた。
「すごいことになってるねぇ。でも、鎮まるの早すぎない?」
 寝かせた手を額に、あたりを見渡すリバ。
 一行の盾を務めるケンネは気を尖らせ閉口していた。妹がいるせいでもあるが。
全身を覆った鎧だけが歩みに伴って鳴り騒ぐ。
「一日そこらで交わって孕んで産まれて育つはずもなし」
「捕食の連鎖は先細りのバランスですしね。相手も動物、増えれば減ります」
 兵糧が尽きたとでも言うべきかも知れないが。
後退こそすれ……群れは地下四、五階にいまだ跋扈しているようだ。
「みんながんばって倒したんだもんね。どうしてアタシたちも出なかったの? おいしいミッションだったのに」
「うちはそういうギルドではない。お忘れで?」
「それはわかってるつもりだけど、さ」
 今回の探索は多少踏み入って鎧の材料を手に入れるためだった。
 チームの要であるケンネに、もしもがあってはいけない。
パラディンとは、だれよりも強くなければならず、だれが倒れても立ち続けなければならないものだ。
 やがて何事もなく目的の地下三階までたどり着いた。
迷宮に点在するうつろな巨木は、内部が階段状に変形し、深く深く冒険者を誘う。
階層という概念もここから来ている。
「……やばいんじゃないかリーダー」
「確かに、妙か」
 静かすぎた。ただの一度もモンスターと出くわさなかった。
しかし戦いの痕跡はさらに凄絶さを増して、道しるべのように続いている。
 より進めば、より狼の長に歩み寄ってしまうだろう。
白い軍勢を率いる長は徐々に増える目撃例から、いつしかスノードリフトと呼ばれていた。
 吹雪の名を冠したモンスター。目撃者はすなわちレン・ツスクルに救われた被害者でもあり、その言はあやふやなものばかり。
あの二人組も救出に追われ観察のいとまもないという。全貌は今もって知れない怪物だった。
「だからもうちっと緊張感のある顔しろ!」
 顔がヘルムに覆われているというのに、ケンネの視線は突き刺さるよう。
「別に笑顔でもないかと」
「そんなんだったら余計気味悪ぃ。殴ってるぞ」
「いっつも眠そうな顔してるよ」
 この兄妹は変わった具合に声をそろえるものだ。
「私も困ってる。いやはや、感情乏しく生まれてしまった」
 半ば口癖のような弁解を聞かせても度々この態度は槍玉にあげられてしまう。
耳にタコができてるとケンネはこぼしたが、その言葉も私の耳にタコをつくっていた。
 とはいえ一度怒鳴れば割り切る男だから問題視することもない。
 話すうちに開いたままの扉に差しかかった。
根が張ってそのかたちで固定されてしまった両開きの木づくりだ。
三叉路のような開けた場所につながることもあって、冒険者が待ち合わせる際のいい目印になる。
「みなさん……どうもけんのんな気配ですよ」
 不意に彼方を見つめてユクガが言った。視線の先には四つの人影。
 色黒のダークハンターがブシドーの少女を抱えて走って来る。
その後を似たような具合の冒険者ふたりが追う。青白い顔と、武具の血のりで撤退と知れた。
 譲った道を脱兎のごとく駆けていく。すれちがいざまに目礼を受けた気がした。
「リバ、戻れ。あいつらについてけば大丈夫だ」
 沈むような低音でケンネが鋭く言い放った。
リバの不安げな円い目がゆれ動いて私にすがる。顎を振って兄に従うよう、うながした。

501:『深緑の星空』
08/05/11 04:11:14 vcEJJ/Dh
 十指はとうに制御桿を通して籠手に戦いを告げている。
静寂にも思えた木々の間を、いつからか遠吠えばかりが行き交っていた。
「平気です。また無傷で帰りますから」
 やさしく笑うユクガだが冷汗が横顔を確かに伝い落ちた。
「スマルか、スマルだなっ!」
 もうひとり、同じ方角から駆けてくる剣士の姿。
過去にギルド規模で共闘したソードマンだ。さきほどのしんがりと言ったところか。
「大群で来やがった! ヘタすると残りの全勢力だっ」
 こちらへ呼びかけるその背後から、影が躍りかかる。
「危ないっ」
 ユクガの叫びは尻すぼみに消えた。
 フォレストウルフの頭が焼け焦げて地に転がる。
雷の術式と、重なるように放たれたソードマンの一閃。久しいわりには鮮やかなチェイスショックだった。
「助かった!」
「それより、彼女とここを離れて」
「お前らはっ」
「気にすんな。さっさとそいつ宿に届けてくれ、大事な妹なんだよ」
 諸手の盾を足元に突き立て、ケンネが言う。
「いいか、やばくなったら逃げるんだぞ。できるだけ速く数そろえて助けに戻る!」
 察したソードマンが太い腕でリバを抱え、駆け出す。
「やめてよっ、私だって戦える! 残る! みんな……っ!」
 悲痛な声が耳に残った。
 振り払うようにケンネが雄叫びを上げ、固定されたはずの扉を引く。
からんだ根がみしみしと音を立て、鉄のブーツが地面に沈み、ついに扉が少しずつ動き出す。
 その間に襲ってくる狼は雷の術式で迎えるが、撃ち漏らした分は容赦なくケンネに食らいついた。
腕に足に脾腹に肩に無数の爪牙が圧をかける。
フルメイルが軋み歪んでいく中で、それでも彼は扉を引く。深い溝は指の跡。
 からみつく狼を、必死にスタッフを振るうユクガと共に引き剥がすころには、わずかな隙間だけを残して扉は閉まっていた。
術式で念入りに凍りつかせる。その間にケンネはたたらを踏みつつ歩き、手ごろな木の下に座りこんだ。
「大丈夫ですかっ!」
「ああ。左足、きつく縛ってくれ」
 鎧の傷みがひどい部位だったのだろう、広がった隙間から牙が腿に届いている。
 止血措置を受けながら、ケンネは顔を動かした。
冒険者たちとリバが走っていった方向。表情はヘルムで隠されてうかがえない。
「早く逃げましょうよ!」
「この分では余所でも似たような状況かと。下手を打てば挟撃される格好に」
「だったら人手集めて来てもあんま意味ねぇな」
 大軍同士でも各地に分散すれば個々のギルドで戦うのと大差はない。
「さて。どうするよ……リーダー」
 ケンネが、不敵な声で言った。痛み止めの葉を差し出しながらユクガは凍った扉を見ている。

502:『深緑の星空』
08/05/11 04:12:42 vcEJJ/Dh
「どうもこうも」
 狼たちが氷の錠ごと扉を打ち破ろうとする音がひびいていた。
「冒険者全体の被害状況、群れの規模、未知数の首魁。いずれをとっても尋常ではない」
 扉はそう長くもたない。そも、入り組んだ樹海には網の目のようにいくらでも道がある。
線を一本断ったところで詮なきこと。
「けれど、ここまでされれば手はひとつ。報復のほかにない」
「なに言ってるんですか!」
 ユクガがほとんど悲鳴のような声をあげた。
「言ったように下手に戻れば挟撃される。が、私たちが残ればリバたちにそのおそれはない」
 しんがりは余力を持つものが担当すべき。
懸念は迂回路で彼女たちを追撃する群れがいる可能性。
「であれば後続の狼がすべてこちらに向くよう派手に振舞う。ケンネはついでにキズと鎧の意趣返しでも」
「それをたった三人で? チェスじゃないんですよ!」
「あきらめるこったな。私事であれだが、リバを無事に帰すためだしよ」
 死も辞さないという調子だった。
「……まったく、仕方ありませんね。お供しましょう」
 眉をひそめて嘆息ひとつ。
おもむろに二振りの剣を引き抜くケンネ。盾はユクガに押しつけられた。
「勝算も勝機もない。落命と救援どちらかが速いのか。まぁ……」
 合図のように左脇の木陰へ雷を放った。
「せいぜい、華々しく」
 火花が葉を食らって燃え上がり、数頭の狼を引きずり出す。
一直線に飛びかかる大顎をケンネの剣が薙ぎ払い、斬り上げ、両断。血潮が炎のようにしぶいた。
 返す刀を振り向きもせず背後へ。半円に滑る刃が奇襲を狙った鼻先にかする。
すかさず反転。
「バーカ。鼻息荒いんだよ」
 逆の剣を押しつぶすように叩きつけた。
「見事見事いや見事」
 拍手でもしたかったがこちらの両手にも暇はない。
扉の氷を張り直しつつあたりへ雷を。とどろく雷鳴が敵を屠り、さらなる敵を誘う。
茂みから次々と狼が姿を見せている。
 ムチを振るうように掌から伸びる雷をしならせるが、細すぎる。
広範囲の術式を起動させている時間はない。
 ケンネのようには捌ききれず、狼の接近を許してしまう。
厚手の服に幾条もの爪跡が刻みこまれる。かかった。
狙いどおりに爪は服に絡めとられた。逃がさず頭を鷲掴んで氷の術式。
スノーウルフといえど、脳まで凍る。
 籠手から漏出する冷気と雷に焼かれた亡骸から立ち昇る煙。
二色のもやが足元で低く渦を巻く。
「もういいでしょう! 充分引きつけてます」
 ユクガも引きずられるようにスタッフを扱い戦っていた。
四方から攻撃を受けるケンネに寄り添い、助け合うかたち。派手な返り血まで分けてもらっているようだ。
「そうだな、リーダーも温存しとけよ!」
 言う間に戦い方が変わる。剣舞のように目を引く大仰な動きはついと消え、一挙一動が静かな構えに。
両断ではなく一撃必殺を狙った最低限の太刀捌き。
「挑発の次は根競べ。ここからが辛いところ……か」
 制御桿を操作、術式の放出量を再設定。限られた残量をもたせるには小出しにするしかない。

503:『深緑の星空』
08/05/11 04:13:15 vcEJJ/Dh
 扉の凍結を打ち切って少しずつケンネたちに近寄る。
無数の屍を踏み越え、血のぬかるみに靴を浸し、驟雨のような爪牙を浴びる。
五日の間に用意した鎖帷子もすっかり磨滅してしまった。失血のせいか、体温の低下も感じた。
 それからはただ耐え忍ぶだけだった。
狼たちは倒すそばから増援を呼び寄せ、わずかでも手間どれば三頭が四頭、四頭が五頭と膨れ上がる。
 ユクガが私たちの死角を補って叫ぶたびに身を返し、すんでのところで攻撃をかわす。
 視界のすみに映るケンネの鎧は次第に砕かれ両手足の肌をほとんどさらしていた。
かく言うこちらも確実に籠手が軽くなっていくのを感じている。
それはすなわち内部の薬品が減少し、術式を放てる限界へと一歩ずつ踏み出す感覚だった。
扉を再度凍らせるだけの量はもうないだろう。
 瞬間だけ扉へそらした視線が、なにかを捉えた。
閉じきらなかった隙間を埋める氷。透明なその向こうに暗紅色の眼球が浮かんでいる。
気づけばいつ止んだのか、扉をかきむしる爪の音や狼が身体を打ちつける震えはない。
「なにやってる! 術式切れなら下がれ!」
 眼前を刀身がかすめ、狼を斬り捨てた。その勢いのまま刃の血を振り落とす。
周囲で動くものはなく狼の猛攻は止んでいた。少なくとも今は。
「耐え抜きましたね。なんとか」
「いや……まだ、まだ」
 言葉をさえぎるように扉から轟音がひびいた。
短く高い音が後に続き、錠代わりだった氷に亀裂が走る。扉は明らかに強烈な衝撃にたわんでいた。
 再び垣間見えるあの暗い赤眼。
間をおかずに再度砲声にも似たひびきがあたりを駆け抜ける。
衝突。それも大型獣の。暴れ牛などではないだろう……可能性はひとつしかない。
 二度目の衝撃であっけなく扉は開きはじめた。
そよ風に押されるような緩慢さだが決して止まることもなく動き続ける。
徐々に広がる景色の中央に、輝くような白い巨躯が。
上顎の両端から剣状に尖った牙が伸び、もやに似た吐息が漏れていた。
 それだけで、あたり一面が冷えていくようだ。
「スノー……ドリフト……」
 だれがつぶやいたのか。
確かにあれは、吹雪と称するにふさわしい四足の異形だった。
「ケンネ」
「いいから行け! 残って死ぬのはオレの持分だ」
 逡巡の間もなく状況が動いた。
長に侍っていたのかスノーウルフが三頭疾走。
見覚えのある散開で三方からケンネを狙うが正面の一頭が、遅い。
二刀のきっさきが両脇へ向かった瞬間にそれは急加速。同胞の遺骸を跳び越えユクガへ顎を開く。
 とっさに腕を出していた。
左の籠手に噛みつかれ勢いのまま倒れこむ。
「スマルさん!」
 狼の脳天めがけスタッフが振り下ろされた。
ひるんだところを両手の術式で仕留める。上半身を起こすと続いて現れた二頭が目に入った。
一方はケンネに躍りかかり他方は再度ユクガを目指す。
声をかけることさえ叶わず頭突きが脾腹をしたたか打ち、ユクガは転げるように崩れた。
 その狼はすぐさま身を返しこちらへ牙を向ける。
交差させた腕を盾に。姿勢がまずかった。術式を放てず組み敷かれたまま押し合うことしかできない。
非力な後衛職、それも持久戦で疲労も極まった状態。じりじりと牙と真紅の喉が眼前に迫る。
先端が頬に触れ突き破るかという瞬間、不意に重みが消えた。

504:『深緑の星空』
08/05/11 04:13:46 vcEJJ/Dh
 いや……体力が戻っているのだ。
徐々に強まる膂力が劣勢だった押し合いの流れを奪い返し、拮抗にまで立て直す。
心臓がひときわ脈打つのがわかった。
「 寄る辺なき兵士よ 生家は遠く祈り届かず 消え落つ夕日にその身を重ね見る 」
 背後から涼風が吹き抜けたようだった。独唱が凛と広がり染み入る。
見れば、そっと草をなでるように足を進めるリバ。組んだ手を胸に、目を閉じたおだやかな微笑を浮かべて。
「 干戈の火花が如き生 きらり煌き闇の中 星の瞬く様に似て 」
 ユクガは身を起こし、見惚れていた。
 ケンネは数頭の狼と渡り合いながら、口笛を鳴らしている。
 座して戦いを眺めていたスノードリフトが吼えた。
聞きつけた一群が四方から殺到するが、不可視の壁に阻まれたかのように、リバへは届かない。
鼓舞の言霊はかすかもゆるがずに紡がれ続ける。
「 無数に煌き闇の中 寄りて描きて夜空の神話 朽ちぬサーガが地上を照らす 」
 次々跳びかかっては崩れ落ちる狼たち。角のように矢を頭に埋める。
聴けば、拍子をとるように一定のリズムで弦音がひびいている。
「 神なき流浪の身なれば 星よ彼らに冥護あれ 」
 立ちどまり開いた目には涙が光っていた。
ほぼ同時に群がる狼は一掃され、リバがうつむき、兄の背に抱きついた。
「どうだバカ兄。私だって……ギルドのメンバーだ」
 返事は、鉄のきしみ。ヘルムがリバにかぶせられた。
そっと離れたケンネがまっすぐ歩いていく。横顔は快哉の笑みを隠そうともしていない。
「持ってろ」
 スノードリフトが空へ咆哮し身体を振り下ろす勢いで牙を突き立てる。
二刀でもってケンネがしのぎ、激しい斬り合いを演じはじめた。
「お、重たい! 見えない!」
「口元の部品が確か動くかと。リバ……先ほどの狙撃はもしや」
「シグちゃんが助けにきてくれた」
「……シグ、か。それにしてもちゃんとは」
 仲良くなったものだ。
 獣の亡骸を買い取る店舗は多くない。訊いて回れば五日で探し出せる可能性は充分にあった、ということか。
「スマルさん術式は残ってますか?」
「今確認した。しぼってせいぜい雷一発」
「そっちでよかった。その一撃はぼくに預けてください」
 狼のそばに腰を下ろすユクガ。その手は手術用の小刀を握りしめている。
戦うことはできずとも亡骸に刃を入れていく手腕は鮮やかだ。筋肉の走り方や骨格を把握しきっている。
意図は知れないが、任せてみよう。
「もう帰れとは言わない。続きを、リバ」
 笑顔をこちらに向けてから彼女は目を閉じた。兄とよく似た笑みだった。
声韻朗々と木々の狭間に染み渡り、賦活の音があたりを包む。
ひびくほどに、奮い立つ。
 ケンネの剣が徐々に太刀風をうならせていく。
頭上から迫る大振りの爪を背負うように受けとめ、続く牙を逆手で弾く。
横薙ぎの軌道を捻じ曲げて突き入れると巨躯は俊敏に身を下げる。
流れるような拮抗だが力わずかに及んでいない。ケンネの全身に赤い爪跡が増えていく。
「半歩下がって!」
 素早くケンネが身をかわす。追うスノードリフトの手に、矢が数本降り注いだ。
巨獣のうめきが空気を震わせる。
「粘って。掩護するから」
 弓取りの少女があろうことか姿を見せていた。
「出てくることないだろう! 第一そこだったら!」
 シグとスノードリフトを結ぶ直線上にケンネがいる。
「わかってる。大丈夫だから」
 視線が彼を射抜いたようだった。
ヘルムを外したケンネは、表情の移ろいがよくわかる。口元をスカーフでおおったままのシグとは対照的に。
「……好きにしろ」
「うん」

505:『深緑の星空』
08/05/11 04:14:31 vcEJJ/Dh
 ケンネが背を向けるとすぐさまシグは弓に五つの矢をつがえた。
いずれも石づくりの先端、石鏃。そのきっさきが天を指し示した。
ちぎれんばかりに弦を張られた弓は仰角およそ七十五度を向き、それぞれ異なった角度で五本の矢を乗せている。
 それが瞬間に消えた。
いや、そう錯覚するほどの速度で撃ち出されたのだ。顔を上げて、まぶしさに目をかばう。
地下だというのに若葉の隙間から陽光が漏れ、点在するその光源が樹海に色と熱とを恵んでいる。
折り重なって黒く翳った葉の屋根と無数の光点はまるで星座のよう。
 燦然たる眺めの中、見失っていた石鏃が音を立てて落ちてくる。
みるみる加速するかと思う間に巨獣の両手足を地に縫いつけ、片目を貫いた。
悲痛な咆哮が木霊する。
「だぁぁぁああぁぁぁッ」
 視界の端から人影が飛び出した。ユクガだ。
頭上に掲げた白いかたまりをスノードリフトの顔に叩きつけた。
水気のある音と共にそれは四散する。
「狼の脂、よく燃えるんですよ。ファイアオイルほどではないですけどね」
「なるほどそういうことで」
 雷光一閃。打ち止めの術式も着火の用は果たしおおせた。
炎で橙に明滅する巨体に深々とケンネの剣が滑りこむ。
幾秒かそのまま静止した両者だったが、やがてスノードリフトだけがくずおれた。
絶えることのなかった歌が調子外れの歓声になった。

 戦いの後始末をしていると一頭の狼がこちらに目もくれずに走り去っていった。
草陰の中もなにやら駆け抜けているようで、断続的に音がする。敗残兵がまた群れることも当分ないだろう。
「さて。狼退治のミッションも今日限り……か」
「また静かに探索ができますね」
「おっと? 狼研究に執心かと思っていたが」
「フォレストウルフとスノーウルフはもう充分です。炭を持ち帰っても仕方ありませんし」
 ユクガは続けて、焼いたのはぼくですが、と苦笑する。
「しっ! ちょっと静かにしてて、バカ兄が動いた」
 無残にもすっかり黒くなったスノードリフトのそばで三人、息を潜める。
リバが見つめているのはシグに歩み寄るケンネだ。
「悪いな……リバにムリ言われて連れてこられたんだろ?」
「来たくて来た。助けてとは言われたけど」
 セリフの前半からリバが妙にはしゃいでいた。
「剣、貸してくれたから」
 なんのことかとユクガに尋ねてから、リバが今度はきゃあきゃあ言い出す。
「だからってよお。手ぇ見せてみろ」
 直後、シグの手袋が強引にはぎとられた。赤く擦り切れた指先がこぼれる。
いかに狙撃主といえど、やはり無事では済まなかったか。あれだけの量と速度で弓を扱い続けたのだから。
その細い指にぎこちなく包帯が巻かれていく。急なケンネの行動にシグは戸惑っているようだった。
「手ぇ震えすぎ。イヤか?」
「慣れて、なくて」
「ま、堪忍しとけ。練習台だ」
 無骨な所作は彼らしくはあったが、キュアそのものはおよそ似つかわしくない。
「いつ覚えたんでしょうね」
「ケフト薬局に通ってみんなに内緒で練習してるんだよ。きっかけは特にないみたい」
「ほほう……それをあのように活かすとは。いやお見事」
「バカ兄にしてはやるでしょ。うまくいけばこれからもシグちゃんといっしょに戦えるんじゃない?」
 無邪気にはしゃでいるだけかと思えばなかなかに計算高い。
 ふと、逃げ散る狼とはちがう足音がして目をやると、先刻のソードマンが息を切らせてやって来ていた。

506:『深緑の星空』
08/05/11 04:15:45 vcEJJ/Dh
「おーい! 無事かーっ、て……その黒いの……」
「スノードリフトかと」
「……一応訊くが、倒したのはお前たちだよな?」
「はてさて」
「オイ、またか。また前とその前とその前の前みたいなこと言い出すのか」
 ソードマンのにらみをよけて、仲間たちの表情をうかがう。
リバは問題なしと親指を立て、ユクガは苦笑いでうなずき、ケンネは我関せずと背を見せる。
シグは状況が呑みこめていないようだったが、ひとり放り出すわけにもいくまい。
「私たちはなにも。気づいたらこんな具合に」
「んなことあるかよ! いい加減手柄捨てんのもやめて執政院に名乗り出ろ!」
「いやはや身に覚えがなくてはどう名乗ったものやら。ザコ掃除で疲れたのでお先に失礼」
 聞こえよがしな溜息を背に、歩いていく。
数少ないギルドメンバーが続き足音を重ねる。シグも、リバに引っ張られている。
今はただ、空が見たい気分だった。
 冒険者で溢れかえるエトリアにあって人手が足りないギルドは珍しい。
まったくの無名ギルドなのだから、ムリもない。


:::::::::::
以上。
すまんレス数計算全然違ったわ、半年ROMる


507:名無しさん@ピンキー
08/05/11 13:40:00 E+ZIekTR
GJ!
俺もⅠで初めてスノドリ軍団に囲まれたときには脳汁でまくったな…

508:名無しさん@ピンキー
08/05/12 01:07:40 mOuWx/85
細部に雰囲気出てて読み応えあったわ。GJ!
スレに貼るときは適度に空白入れてもらえると、より見易くて良いかも。

509:名無しさん@ピンキー
08/05/12 04:19:53 o+vTu2h0
なにこの なにこの 燃えるSS……!!
GJじゃよー!

510:名無しさん@ピンキー
08/05/12 15:07:50 QhmrPXsm
エロパロ板において燃えのみで皆を魅了するとは……恐ろしい子!
食い殺されhageEDかと途中まではらはらしたぜ。
てかそれだけ書けて何故サイト閉める。

511:名無しさん@ピンキー
08/05/13 00:14:38 o//8ui27
書くのやめた≠サイト閉鎖  でねえ?


そうだパラもキュア使えたよ
ししょーの性的な意味での治療・・・!

512:うるる ◆mUGNZ0/0kY
08/05/13 02:22:00 BYqrl5c6
投下します。

パラディン×バードもの。
結構長い割りに申し訳程度にしかエロがないので、保管所の方に直投稿させてもらいました。
……なんつーかこう、すぐ上で熱く盛り上がってるのに、
それと比べて落差がひどい話だったりするので申し訳ない。
というわけで、読んでくれる人はその辺り注意。

SUPER LOVE SONG
URLリンク(w3.abcoroti.com)

513:名無しさん@ピンキー
08/05/13 10:45:12 Zo+wU/Gj
少しでも感想語るとネタバレになるな。GJ!

514:名無しさん@ピンキー
08/05/13 15:33:10 ishAVpWx
>>512
あまりにもベッタベタだが、それがいい。ご馳走様でした。

515:名無しさん@ピンキー
08/05/13 22:15:06 +ugPUNj6
>>512
早人「どうして……どうして『萌えどころ』が正確にわかるんだァー!?」
承助「…………GJ……!」

516:名無しさん@ピンキー
08/05/14 16:07:28 6v19sJLW
>>512
GJ!

517:名無しさん@ピンキー
08/05/15 21:01:54 1yDY5HDX
>>512
UP後、数日たってるんで、内容込みの感想を。
ラスト近辺、捨てられフラグか死亡フラグかでやきもきしたが、死亡フラグでよかった。
いや、ヘンな感想だけど。

518:名無しさん@ピンキー
08/05/16 00:22:35 WixX41Xa
GJ!
この目の汗をどうすればいいんだ…!

519:名無しさん@ピンキー
08/05/16 01:02:09 uJshnGdt
GJ!!
なんか目からしょっぱい汁が流れてきたんだぜ…(´Д`)

520:512
08/05/16 07:43:33 rIfnDESY
なんか結構な数のレスもらえててびっくりした。
レスくれた人……っていうか、読んでくれた人、いつものことながらほんとありがとう。
投下する側の人間なら同じ考えの人多いんじゃないかと思うけど、
自分が書いたもの読んでもらえる、ってだけで至高の幸せなんだ。
生まれて初めてSS書いてその喜びに触れたのがこのスレで、それからも時折投下しつつ一年ちょい。
まだまだいたらない点だらけだと思うけど、今後も楽しんでもらえるものが書けるようにがんばるよー。


>>517
あー、その展開は1ミリも考えてなかったなあw
そっちのがへこむね、世界樹キャラは男女問わず愛着もってしまった自分には無理だ。
書きながら鬱病になりそう。

521:名無しさん@ピンキー
08/05/16 10:18:51 EANC/FBM
>>512
GJ!
ちょっとおっきした、めいっぱい感動した!

しかし、なぜこんな話が書けるのが不思議だぜ
俺なんか仕事中におっきするくらいの妄想思い浮かんでも
いざ文章にしようとするとなーんにも書けない

522:名無しさん@ピンキー
08/05/20 01:06:39 fLPMpNwk
女顔の金鳥たんが、ふとした間違いから
おにゃのこオンリーギルドに入ってしまって、
自分におちんちんがついている事を隠しながら、
いつバレるかいつバレるかとドッキドキの日々を送ると言う、
ベタベタのエロゲ電波を送信したのはココの住人ですね?

先生怒らないから、送信者はデコソド子ルートの攻略法を教えなさい。

523:名無しさん@ピンキー
08/05/20 01:17:47 ZR9qivJY
>>522
それは俺じゃないが、デコソド子ルートの攻略法は、
デコソド子よりもずっとレベルを上げること。

そうすると「レベルを上げたいから保護者になって欲しい」と
二人きりで迷宮に行くイベントが発生するので
あとはやさしく守ったりレベルアップを一緒に喜んであげたりしてフラグを立てていくもよし、
レベル差に任せて押し倒して奴隷化鬼畜ルートにいくもよし自由にすればいい。

524:名無しさん@ピンキー
08/05/20 07:41:21 JL9aZIK1
>>523
522じゃないが、
言われたとおりやったらパラ子がいじけてギルドの隅で体育座りしてしまった
話しかけると「どーせ私はいらない子なんだ・・・」ってしか答えてくれなくなりました
何がいけなかったのでしょう?

525:名無しさん@ピンキー
08/05/20 10:21:48 XXbGUhev
>>524
バカだなぁ
帰りに採掘で宝石を持って帰るか
交易所でアクセサリを買わないからそうなるんだよ

ただその子が生真面目な性格なら効かない
そういう子には「実はこの前○階で隠し部屋を見つけたがら一緒に行かないか」
って誘えばコロリよ

526:名無しさん@ピンキー
08/05/20 11:55:24 fHlnwt4q
カス子「ククク……テラーにしてしまえばこちらの物だ。命ず、自ら慰めよ」

ショタガン「らめぇええええ!掃射しちゃうのおおおおお!!!」


―ショタガンが引退してから数日後、

レン男「らめぇええええ!サジタリウス(ry」

527:名無しさん@ピンキー
08/05/20 13:59:32 C2WCGEPl
>>524
金髪パラ子はプライドが高いので「レベルを上げたいから
保護者になって欲しい」というイベントそのものが発生しない。
金髪パラ子はソド子とは逆に、レベルを低めに抑えて
自分から「レベルを上げたいから保護者になって欲しい」と頼みに行け。
自分より弱いやつを守っているというパラ子の欲求を満足させるんだ。
ただしこっちの方がレベルが低い以上、ソド子のように
簡単に押し倒して鬼畜奴隷化ルート、というわけにはいかない。
最初は守られる立場としてフラグを立てておいたあと、
密かにレベルを追い越してプライドをずたずたにしないといけない。

528:名無しさん@ピンキー
08/05/20 14:44:26 m0pL2FWw
パラ師匠の純愛ルートは、
ガードを10回以上かけてもらうと、
宿に帰ったときに会話イベントが発生して、
あとは「パーティの皆を守るために、僕達もっと強くならないといけないと思うんです!」
で二人っきりの特訓イベントが自動的に始まるので、
一緒にやってるとLV関係なしに勝手に進みます。
簡単簡単。
ただ、これは前衛キャラのみなので、後衛キャラの場合はしらない。

529:名無しさん@ピンキー
08/05/20 18:58:20 kYcMioPF
ダク姐があまりにも難攻不落すぎる。

ちょっとでもこっちからアプローチしようものなら
即『男バレ→黙ってて欲しかったら私の専用ペットに』コンボですぐhageる。

かと言って、ほったらかしにして向こうからの接近を待ってると
ギルドの外で男作っちゃうし。

530:名無しさん@ピンキー
08/05/20 19:03:50 XXbGUhev
最近レンジャー(男)とダクハン(女)が仲悪いんだがなんなんだ?

アザステすると「べ、ベタベタ近寄るなっ!」
って、滅茶苦茶慌ててイヤがるからオールボンテージ使う時も控えてんだよ

で、敵よりやや遅くなったカスメ(女)にアザステしてから睡眠の呪言使うのが常套手段になったんだが…

最近レンジャーを見るダクハンの目に殺気立ったものを感じる…


やっぱり自分がいやなものを他人にされるのもイヤなのかな?
妙に顔が赤かったし…

531:名無しさん@ピンキー
08/05/20 19:23:49 JL9aZIK1
>>529
ダク姐一番最初に落とした俺はラッキーだったのかな?
俺やったときはヘッドバッシュで縛ったらエクスタシーフラグ立ったってのがボス戦で二回あった
そしたらその戦闘の後ダク姐が話しかけてきてくれて後で酒場で話そうって流れになった
酒場で飲みながら話するんだが、ダク姐お酒強いから付き合って飲んでると先につぶれてしまって
話が進まないのでダク姐にばれない様に飲んだフリして誤魔化さないといけない
上手く誤魔化せたらダク姐が弱気な発言するのでそこでヘタに慰めないで黙って抱きしめたら
ダク姐が抱きしめ返してくれてその後、宿屋でセクロ(ry・・・でした
弱気なダク姐に萌えちゃったよ・・・

532:名無しさん@ピンキー
08/05/20 19:25:50 m0pL2FWw
一番フラグたちにくいのはペット。
需要もあんまりないと思うが。
でもパンダの後ろのチャック下ろすと、
中の娘は(ry

533:名無しさん@ピンキー
08/05/20 19:26:35 rTVmF3UB
>>529
鬼畜ルートが手っ取り早いぞ。
正攻法はめんどくさいからやめとけ。

534:名無しさん@ピンキー
08/05/20 19:54:36 jbXKQrpH
>>532
ホワイトタイガー(以下、白虎)と二人で四層歩いてたら
白虎が変な木の実を見つけて食べたんだ

どうやら媚薬効果のある木の実だったらしくて
押し倒されて、のしかかられて。
服ひんむかれたんだけど虎と人間じゃ上手く行かないから
白虎が焦れてるのが目に見えてわかった。

しばらくして急に、白虎が光りだしたかと思ったら
後には大きな白い耳をしたワイルドな女の子が……。

535:名無しさん@ピンキー
08/05/21 00:25:41 eTx36VaE
お前らゲームのキャラなのに気持ち悪い想像してるな…
俺の金髪パラ子は俺の横で世界樹の迷宮をプレイしてても静かだぜ?
でも静かだとついイタズラしたくなっちゃうんだよなこれが
後ろからいきなり乳揉んだりとか

536:名無しさん@ピンキー
08/05/21 14:14:19 /CgB4H6u
手っ取り早くEDが見られると思っても、
ケミ姉から惚れ薬を貰ったら駄目だぞおまいら。

爽やかな絵柄で実験動物EDになるとは思わなかった。

537:名無しさん@ピンキー
08/05/21 14:20:20 BmWp86Xy
>>535
もう一回電源を入れて確認してみろ。
他の女キャラ消されてるから。

538:名無しさん@ピンキー
08/05/21 17:46:53 eTx36VaE
>>537
なんか引退できるキャラが全部引退させられて名前は同じだが性別が男になってた
可愛い奴だなもう

539:名無しさん@ピンキー
08/05/22 11:00:20 meG4mOXo
褐色パラ子さんは、
純愛ルートと調教ルートが、
師匠パラ子さんと真逆になっているので要注意。

540:名無しさん@ピンキー
08/05/22 22:26:38 WHfWOjbf
パラ子の治りかけ傷痕なぞりキュアルートは至高

541:名無しさん@ピンキー
08/05/22 22:44:42 1iItP1PD
「この傷は・・・残しておいて欲しいの・・・」とかベッドで言われるわけですね。わかります!

542:名無しさん@ピンキー
08/05/23 00:01:01 MZjPfKGi
そのルートは、ヘタにメディ姉さんとの親密度を上げておくと、
「うふふそうね、何度でも味わってもらいましょう」
と隣りの部屋から処女膜復活させられて、
Hが全然次に進まないから気をつけろ。
あれではまってループしてる奴が結構多い。

543:名無しさん@ピンキー
08/05/23 00:03:18 0qWuHAYR
>>534
フローズンさん「ごめん、ぶっちゃけ人間に興味ない」

544:名無しさん@ピンキー
08/05/23 01:16:52 +zflxSyq
フランベルジュさん「ただの人間には興味がない!
 この中に! 猫耳、犬耳、ウサ耳、語尾が【がお】な娘がいたら、
 私のところに来なさい! 以上!!」

ペットと冒険をしているのも、聖杯の力でペットを動物ッ娘にしようと
考えているから、という電波を受信したが、多分気のせいだろう。
あと「食べっ娘動物」というのも混線だな。

545:名無しさん@ピンキー
08/05/23 16:00:02 MMdRjBqU
フラッググレネードさんはペットを連れてる凄腕ギルド員じゃなかったのか?
あんなにあっさりやられるとは…

546:名無しさん@ピンキー
08/05/23 19:00:00 fb9LspDt
復讐に眼(まなこ)を曇らせれば、お主もそうなる・・・。
アイスフロートは、それをお主らに身を持って伝えたのじゃ・・・。
努々気をつけるのじゃぞ・・・ふぉっふぉっふぉっふぉ・・・。

547:名無しさん@ピンキー
08/05/24 06:37:43 BbJOLz2+
凄腕(の)ギルド(の)一員だから本人が凄腕とは…フライトロールさん…

548:名無しさん@ピンキー
08/05/24 07:24:43 N2kcGDo1
フラッペロールさんの凄腕でクロガネが発情期のときは毎晩きゃんきゃん鳴かせてたとかなんとか。
君はクロガネが♂だと思ってもいいし、♀だと思ってもよい。
もちろん人間の姿に化けて夜ばいを仕掛けるクロガネたんを妄想してみるのも自由だ。

549:名無しさん@ピンキー
08/05/24 20:51:23 hJGxKkDO
>>548
折角だから俺はこの
「人間の姿に化けて夜ばいを仕掛けるクロガネたんを妄想してみる」ぜっ

狼っ娘(;´Д`)ハァハァ

550:名無しさん@ピンキー
08/05/24 22:36:48 TwdDw0m1
>>549の書き込みを見て賢狼さんよりさきに人狼でスケベェなアシスタントの押しかけ弟子を想像した俺は間違いなくオッサン

ペットの狼の外見がアレでもシロという名前にしてる・・・

551:名無しさん@ピンキー
08/05/24 22:43:46 CVG4bQCH
うちのパンダは夜になると狼になります

552:名無しさん@ピンキー
08/05/25 00:07:31 +3sct8qB
軟弱者が嫌いで、強い冒険者に憧れる幼子可愛いよ幼子

553:名無しさん@ピンキー
08/05/25 00:13:49 KuRDt44Y
絶望した!
幼子って言ってるのに全然幼子じゃない幼子に絶望した!


554:名無しさん@ピンキー
08/05/25 23:55:31 h6sjnR9F
現役を引退してペットになるってえろいよね

555:名無しさん@ピンキー
08/05/26 00:12:59 N92nEucX
>>554
なにその素敵ワード

556:名無しさん@ピンキー
08/05/26 18:05:45 AhyYhzhc
奇才あらわる。

557:名無しさん@ピンキー
08/05/26 19:55:41 R654E+4g
そういや、引退させるときは装備ぜんぶひっぺがして全裸にするんだよな
そしてペットとして登録すると、信頼の首輪をつけるんだよな・・・

全裸に首輪
最高じゃないか

ただしブシ子のさらしは脱がさない

558:MY SAD LOVE 0/6  うるる ◆mUGNZ0/0kY
08/05/26 23:45:35 IimBqPo5
SSの流れじゃないけどごめん。投下します。
ショタパラ×ロリメディっていうか、実質ロリメディ×ショタパラ。
短いけど、前回の反動で今回はほとんどエロオンリー。
ただし、それはもう思いっきり趣味に走りまくって、
羞恥系ライトSM・足コキ・アナル舐め・腋コキ・本番なし、と恐らくは極めて狭い層向けなので注意。

以前にもこの組み合わせの話書いたけど、続編ではないです。
別人設定、というか別バージョンかな。
自分はどうもこの組み合わせの、しかもちょっとひねくれた設定が好きすぎて困る。

559:MY SAD LOVE 1/6  うるる ◆mUGNZ0/0kY
08/05/26 23:46:52 IimBqPo5
夜の森は、時として昼間とはまるで違う顔を人々に見せる。
耳が疼くほどの静寂の中、どこからか幽かに聴こえてくる獣の遠吠え。
仄かな月明かりの下、生暖かい夜風を受けて妖しくざわめく木立。
その奥からは得体の知れない生物が牙を剥き、涎を垂らしてこちらを窺っているのかもしれない。
多くの人間にとってそれは、まさしく恐怖の対象たるものだろう。
だがその一方では、その危うげな死の香りまでも、酷く魅力的なものとしてとらえる人間も存在する。
自ら望んで死地に赴く、『冒険者』と呼ばれる類の人間たちならば尚更だ。
そして―
昼と夜でまるで違う顔を覗かせるもの、それは自然に限ったことではない。


「ほーら、もっといやらしい声あげて下さいよ。
 ……好きなんでしょ? 声を聴かれるの。
 それでその恥ずかしいおちんちん、気持ちよくしたいんですよね?」
白衣に華奢な身体を包んだその少女は、小首を傾げて邪な笑顔を浮かべた。
栗色のショートカットが僅かに揺れる。
整った顔立ちながら、幼さを色濃く残したその容貌は
「綺麗」と言うよりはまだまだ「可愛らしい」という表現がふさわしい。
だが、小動物的な愛らしさを備えるくりっとした丸い瞳には、
それに似合わず、はっきりとした加虐の色が見て取れる。
「くぅっ……ふぅ……んんっ……」
少女同様に、まだ男らしさよりも幼さが前面に浮かぶ金髪の少年は、少女の言葉に喘ぎ声で応えた。
一糸纏わぬ姿でシーツに横たわり、自らの剛直を扱きあげている。
その先端からは、既に透明な液体がじくじくと溢れ出していた。
苦悶にも似た恍惚の表情を浮かべ、己を見下ろす少女を切なげに見上げる。
「くすっ……ほんっとに情けない声。なんですかその目は。
 なにか言いたいことでもあるんですか?」
少女は、さもおかしくてたまらないといった様子でころころと笑った。
「大体私は、こんなに普通の格好してるのに。いやらしいことなんてなにもしてないのに。
 それなのにどうして、一人で勝手に興奮してるんですか?
 そんなにおちんちん大きくしちゃって ……変態」
口調こそはどこまでも丁寧だが、口を開くたびに蔑みの言葉が少年に浴びせられる。
一語発するごとに、加虐の悦びでその白い頬が少しずつ紅潮していく。
そしてそれを受ける少年もまた、被虐の悦びに打ち震えていたのだった。


たまたま同じギルドに所属することになった、メディックの少女とパラディンの少年。
そんなありふれたきっかけから二人は恋仲になった
昼間の少女は、誠心誠意の態度で仲間に尽くすギルドの癒し手であり、
昼間の少年は、あらゆる刃から身を扮して仲間を守るギルドの盾だった。
そんな二人が付き合うことになったことは、
周りの誰からも羨望され、祝福された。
だが、初めて一夜を共にした日、
少女は少年の耳元でそっと囁いた。
「最初に会った日、私には一目見てすぐわかりましたよ」
「なにが?」
「あなたが……いじめられて興奮する変態だってこと」
少年はその日、少女の加虐嗜好を始めて知った。
そして同時に、どうやら彼女の言うとおり、
自分の奥底にも被虐嗜好が眠っていたらしいということを。



560:MY SAD LOVE 2/6  うるる ◆mUGNZ0/0kY
08/05/26 23:47:24 IimBqPo5
「お願いします……見てるだけじゃなくて……
 んん……触って、下さい……」
「んー? 触って下さいって、どこにですか?」
わかっているくせに、愉快でたまらないといった表情で少女が問いかける。
「僕の……おちんちん、です……」
「は? 見てて欲しいっていうからわざわざ見てあげてるのに、
 なんで私がそんな小汚いものに触らなきゃいけないんですか?
 あんまり調子に乗らないで下さい、この変態」
そう言って少女は、少年の顔面を踏みつけた。
「むぐ……ぅ」
水色とピンクのボーダーの入ったオーバーニーソックスで鼻を塞がれ、少年が呻く。
だが、少女は、そんな少年の動きの微妙な変化を見逃さなかった。
「ちょっと……なに、おちんちん扱くの、速くしてるですか?
 ……まさか、靴下を履いたままの足で顔を踏まれて悦んでるんですか?」
少年からの返答はない。
だが、剛直を扱く際のぐちゅぐちゅという水音の大きさと加速具合だけが、
その問いに対する答えを雄弁に物語っていた。
少年は、樹海で少女の一日分の汗をたっぷり吸った靴下の芳香を顔中で吸い込む。
その香りもさることながら、自分は今、
最愛の少女に罵倒されながら足蹴にされているのだという事実が、
少年の一物を痛いほどに硬直せしめていた。。
少女は、更に体重を込めて少年の顔面をぐりぐりと踏みつけた。

「この変態!」
「………」

「変態」
「……………」

一言罵られるたびに、少年の性器がびくんと跳ね上がる。

「変態」
「…………はぁ……はあぁ………」

「変態」
「………くうっ……! んんっ……はぁ、はぁ……」

「変態」
「…………………うっ、ああっ…………あああっ………!」

「はぁ……」
少年の我慢が限界に近づいたことを敏感に察知し、
少女は、わざとらしく溜め息を一つついて足を上げた。
「あっ……」
目の前にぶら下げられたニンジンを取り上げられた少年が、物欲しげな視線を送ってくる。
「もう、これじゃ全然お仕置きにならないじゃないですか。
 ご褒美をあげたつもりじゃないんですよ、私は」
「お願いします、もっと……踏んで下さい」
見栄も外聞もなく、少年が哀願する。
「はあ? 今度は踏んでくれ?
 最低ですね、あなたって。
 そんなみっともない姿で聖騎士とか、なんの冗談ですか?
 あなたなんて、ペットの方がよっぽどお似合いですよ」
ゾクゾクする感覚が背中に這い上がってくるのを感じながら少女が吐き捨てる。
もちろん言葉とは裏腹に、それは嫌悪感からくるものではない。
最愛の相手を思う存分嬲る快感からくるものだ。
「……お願いします」
「なんだかもう、気持ち悪いのを通り越して気の毒になってきましたよ。
 わかりました。手伝ってあげるから、早くその見苦しいおちんちんをなんとかしてください」
「ああ……ありがとうございます……早く、早く……してください……」

561:MY SAD LOVE 3/6  うるる ◆mUGNZ0/0kY
08/05/26 23:48:16 IimBqPo5
「ほら、これでいいですか? このド変態」
少女が踏みつけたのは、少年の顔面ではなく性器そのものだった。
「あああっ……!」
「うわ、こんなに固くして……足ですよ?
 正気ですか? あー、もう最低……」
オーバーニーソックスごしに性器の硬さと熱さを感じながら、
前後にさすってあげる。
性器から染み出した液体が、たちまちのうちに布地に染み込んでいく。
「こんなにいやらしい汁、おちんちんからいっぱい出して……
 靴下がビショビショじゃないですか。最悪」
「………ぅぅ」
「なんとか言って下さいよ、変態。
 この情けない変態おちんちん、気持ちいいですか?」
親指と人差し指との間に器用に幹を挟みこみ、そのまま上下に滑らせる。
「………うぅぅ」
「聴こえなかったんですか? 答えないんならもうやめますよ」
「おちんちん……気持ちいいです……
 もっと……両足で……して、欲しいです……」
「……調子に乗りすぎじゃないですか?
 どうしてもっていうのならそれ相応の頼み方があると思うんですけど。
 ちゃんと言って下さいよ。
 『変態な僕の小汚いおちんちん、両足で扱いてください』って」
少年は一瞬ためらったが、すぐにそれを口にした。
「変態な僕の……こ、小汚いおちんちん、両足で扱いてください……
 ……我慢出来ないんです……」
「はいはい。あーやだやだ。変態だと全然羞恥心がないんですね。
 こんなにあっさりいわれると面白くもなんともないじゃないですか」
悪態をつきながらも、少女は少年の足元に体育座りの要領で腰を下ろした。
そして両手を後ろにつくと、少年の性器を両足の裏で挟み込んだ。
請われるがままに、ゆっくりと扱きあげる。
ごつごつとした芯を持つそれが、両足の間でますます固く、熱くなっていく。
少年が何度も大きく呻く。
散々いたぶられていたこともあって、既にそれは爆発寸前だった。
「どう? これで満足ですか?」
「ああああっ……おちんちん、きもち、いいですっ………
 もう……で、でちゃいます………!」
「じゃあ、さっさと汚らしい精液出して下さい。
 ……これ、結構疲れるんですよ」
そう言いながらも少女は、単純な前後運動だけでなく、
指先でなぞりあげたり、強弱をつけて揉みほぐしたりと
多彩な刺激を与えていく。
「ほら、さっさとイっちゃいなさい、変態さん」
そうしておいて、とどめとばかりにギュッと強く挟み素早く扱きあげた。
「ああ………せ、精液で、でますぅっ……ああ、あああ……あああああっ!」
とうとう少年の性器が爆ぜた。
感極まった叫び声とびくん、びくんという性器の脈動を
シンクロさせつつ、白く粘ついた液体を放出する。
その大半は、少女のオーバーニーソックスへと注がれた。
「あーあ、こんなにいっぱい精液出しちゃって。
 これ、お気に入りだったのに。こんなにいっぱい汚いのかけられたらもう履けないじゃないですか」
「ごめん……なさい」
立ち上がった少女は、息も絶え絶えに答える少年の前にグイと足を突き出し言った。
「責任とって、舐めて綺麗にしてくれますよね?」
「…………はい」
少年は、素直に精液にまみれた少女のオーバーニーソックスに舌を這わせた。
「今度は自分のきったない精液舐めて興奮してるんですか?
 プライドってものがないんですね、あなたって人は」
ゆっくりとした曲線で温度を下げつつあった興奮の残り火が、
少女に罵倒されることによって少年の中で再度燃え上がる。
その生暖かさと苦味に顔をしかめながらも、ドロリとした自身の欲望を丹念に舐め取っていく。

562:MY SAD LOVE 4/6  うるる ◆mUGNZ0/0kY
08/05/26 23:48:44 IimBqPo5
「ふふっ、そんなに夢中になっちゃって……綺麗になりましたね。もういいですよ。
 でもあなた、まさか自分だけ気持ちよくしてもらって終わりにするつもりじゃないですよね?」
「いえ。そんなつもりはありません。なんでもします」
この宴はまだ終わりではないのだ。少女は自分にどんなことを命じてくれるのだろう。
少年の中で、興奮に続いて歓喜の炎が燃え上がる。
「そうですねえ……じゃあ、舐めてもらおうかな」
「おまんこを、ですか?」
「身の程をわきまえて下さい。そんなところ、あなたには勿体ないです」
「じゃあ……胸?」
バカじゃないの、といった表情を意図的に浮かべ、少女は首を横にふる。
「お尻の穴。どう? そんなとこ、舐めるのは嫌ですか?」
「……舐めたいです」
「……ぷっ! はははは、あははははははっ!
 そう、舐めるのイヤじゃないんですね、お尻の穴。あははははっ!
 あー、もう。おかしすぎて涙が出そう。真顔でなに言ってるんですか? あなたは」
笑いながら少女は、下半身につけていたものを一枚ずつ脱ぎさっていく。
「じゃあ舐めて下さい。
 ただし、お尻の穴だけですよ。他のところに触れようとしたら……もう二度と口をきいてもあげませんから」
下半身だけすっかり脱ぎさった少女は、
幼児がおしっこをするかのような姿勢で、少年の顔をまたぎ、尻を突き出した。
少年の目の前に小さな菊門が、そしてその下の方に桃色の秘唇がさらけ出される。
その部分を目の当たりにするのは初めてだったが、
目前に映る秘所には既にキラキラとしたものが光っていた。
思わずそこに触れたくなったが、もとよりそれは許可されていない。
少年は欲望を押さえ込んで、少女に命じられた通り、きゅっとすぼまったアナルにだけ舌を伸ばした。
そこに触れるか触れないかの瞬間、少女の肢体がぴくっと震える。
「んんっ……そう、変態のあなたには……それがお似合いですよ……
 どう、私のお尻の穴……美味しいですか?」
「ふぁい……すごく、おいひいです」
少年の言葉に嘘はなかった。
少女の可憐なアナルが、どうしようもなく可憐で、甘美でたまらない。
自分にだけ与えられた特権だと思えば、その感動もひとしおというものだ。
夢中になって、ひだの一本一本まで丁寧に舐め回す。
「必死になって……バカみたいにお尻なんて舐めまわして……
 本当に……動物以下、ですね……はぁっ………
 ほら、もっと奥まで……舌を入れてください……あぁ……」
少年は少女の奥深くまで舌を進めようとするが、弾力のある肉に押し返されてしまう。
そのたびに、舌先の美肉がひくひくと蠢いた。
「誰にでも、取り柄はあるんですね……
 でもそれが……お尻を舐めることだなんて……お笑い種ですね。
 ふふっ、今からでも本当にペットに転職したらどうですか?」
「……んっ……はあ、はあ……。
 そしたら僕のこと……ずっと飼ってくれますか?」
「さあ? あなたのことなんて、飽きたらすぐに捨てちゃうかもしれないですよ。
 ほら、休まないで。もっとやらしく、獣のように舐め回してください……」
言われるがまま、少年はアナルを更に満遍なく口で愛撫する。
抵抗を乗り越え、穴の奥深くまで進めた舌をかき回した。
「そう……そこを、もっ……と………
 ううっ、あっ、あぁっ………はぁぁぁぁっ……」
少女の体が、大きく痙攣した。
どうやら、アナルを責められただけで軽く達してしまったらしい。
少女はしばらくはそのまま体をかすかに震わせていたが、
もうおしまい、というかのようにゆっくりと立ち上がった。
それまで舌を這わせていた部位が、少年の顔からみるみる遠のいていく。
「はあ、んんっ……もう、そこまでです……」

563:MY SAD LOVE 5/6  うるる ◆mUGNZ0/0kY
08/05/26 23:49:06 IimBqPo5
そこで少女は、少年の下腹部をちらりと一瞥した。
「……私のお尻の穴舐めてるうちに、またおちんちんおっきくしちゃったんですね。
 本当にもう……いい加減言葉もでないですよ」
少年は、少女に指摘されて初めて自分が再度勃起しきってしまっていることに気づいた。
「……まあ、今日はあなたも頑張ったから特別にもう一回だけイかせてあげてもいいですよ。
 私の中に入れさせてはあげませんけどね。
 どうして欲しいですか? 手? 口? それとも、もう一回足?」
「じゃあ……腋でして欲しいです」
「わ、腋?」
反射的に口から出た少年の言葉に、少女が困惑した顔を浮かべる。
「はい。腋で、挟んで、受け止めて欲しいです」
「いいですけど……
 せっかく口で気持ちよくしてあげてもいいっていってるのに、そんなのがいいんですか?」
これには演技でなく素で呆れたようだった。
「はい。腋がいいです。
 じゃあ……挟んでもらう前に舐めて濡らしてもいいですか?」
「……勝手にして下さい」
少女は上半身の衣服も脱ぎ去ると、右腕だけ万歳の姿勢を取った。
その腋は綺麗に処理されており、シミ一つなくすべすべしている。
少年は本能の赴くままそこにむしゃぶりついた。
「……ふっ、あは、あはははっ! くすぐったいです」
性的な気持ちよさなどよりも、純粋なくすぐったさの方が遥かに勝り、
少女は笑い声をたてて身をくねらせるが
少年はそれに構わず、思うがまま舌を遊ばせる。
息を大きく吸い、少女の香りを楽しんだ。
ほんのりと汗の匂いを感じ、その興奮で性器はますます硬度を増した。
このままずっと少女の腋を舐めていたい。
でも、一刻も早くこの腋に欲棒を擦り付けたい。
矛盾する二つの考えに葛藤した末、少年は名残惜しそうに少女の腋から口を離した。
「それじゃあ……お願いします」
天を向いていきり立ったそれを、唾液でてらてらと光る少女の腋へとあてがう。
「……勝手にして下さい」
腋で性器をギュッと締め付けられた少年は、
通常のピストン運動の要領で腰を前後に動かした。
「足に続いて、今度は腋でイっちゃいそうなんですか?
 人には……とても話せないですね、そんな趣味。
 ほら、変態さん。早くその汚らわしいおちんちんから、汚らわしい精液を吐き出してください」
少女に罵られるたびに少年の腰に、睾丸に、氷柱で貫かれたような鋭い快感が突き上げてくる。
もっと、もっと罵って欲しい―口には出さなかった。
「で……でますっ……! あああっ……!」
少年はその日二度目となる欲望の滾りを、少女の腋の中で放出した。
「ああ……出てますよ、私の腋の下で、あなたの汚らしい精液が。
 こんなところに興奮して……本当にみっともない人」
一度目の時よりは粘りの少し薄れた白濁液が、つーと流れて脇腹をつたっていく。
「あーあ、またこんなにしちゃって……
 どうすればいいのか、もう言わなくてもわかってますよね?」
「……はい」
進んで少女の前にひざまずいた少年は、すぐさま腋に舌を這わせ、精液を舐め取り始めた。
「そう、よく出来ました。
 自分の精液なんだから、責任とって最後まで綺麗にしてくださいね」
少女は、そんな少年の様子を見て、満足気に加虐の笑みを浮かべた。

564:MY SAD LOVE 6/6  うるる ◆mUGNZ0/0kY
08/05/26 23:49:42 IimBqPo5


実のところ、少年はまだ一度も少女への挿入を許されたことがない。
これも少女の施す加虐嗜好の一部なのか、と少年は考える。
いつかはこのサディストの少女の華奢な身体の中に、己が分身を収めることが出来る日がくるのだろうか。
それとも、これからもずっと焦らされ続けるだけなのだろうか。
もしそうなら―
いや、それならそれで悪くないのかもしれない。
どうやら自分も真性のマゾヒストらしいから。
少年は、精液の匂いが漂う少女の腋に舌を這わせたまま、被虐の笑みをそっと浮かべた。

(了)


565:MY SAD LOVE   うるる ◆mUGNZ0/0kY
08/05/26 23:51:32 IimBqPo5
以上です。読んでくれた人、ありがとうございました。


566:名無しさん@ピンキー
08/05/27 02:21:56 Fe2VHrva
俺は基本的に女キャラを虐める方が好きだが、これもありだな。

567:名無しさん@ピンキー
08/05/27 21:04:36 pBoTfOgW
いいぞ!すごくいいぜ!
罵られながらメディ子のわきで果ててぇと心底思わされたんだぜ…

568:名無しさん@ピンキー
08/05/28 07:50:27 nJoA22d6
>>565
凄い!癒やしキャラであるメディックでドSキャラ!
新しい!
罵られる快感にこっちまで目覚めちゃいそうだぜ!
ショタに続いてまた新たな属性に目覚めそうだ!ホント世界樹スレは地獄だぜ!
作者さんGJ!

569:名無しさん@ピンキー
08/05/28 20:23:48 fwz5sJw2
ショタパラを羨ましいと思った俺はドM

570:名無しさん@ピンキー
08/05/28 20:57:34 mVDeaktA
メディックと言えば、某ラノベ作家がこんな妄想してたなあ……

>・メディック(女)
> パーティーの回復を一手に引き受ける白衣の天使……に見えて、単に血とか内臓とか傷口を見ないと性的興奮が得られない生まれつきの変態。
> 仲間の見ていないところで血の付着した自分の指を淫猥にしゃぶったりしている。しかしその様子を偶然目撃したアルケミストの男の子が何かの天啓を受け、彼女にひと目惚れ。
> 同時にメディックも、火傷や凍傷にかかった皮膚は余裕で射程距離範囲内のため、彼の思いを受け入れる。現在、パーティー内唯一のカップル。純朴で何の知識もなかったアルケミストを人倫的に間違った方向に開発しているらしい。
> あと、ブシドーの女の子のことは、怪我をしまくるので(性的に)気に入っている。

571:名無しさん@ピンキー
08/05/28 21:09:48 nJoA22d6
それ誰だよwwww

572:名無しさん@ピンキー
08/05/28 22:08:37 vlEWQeZA
>570
一言で言って変態だな。

……俺と趣味が合いそうなので誰なのか教えてくれ。
読んでみたい。

573:名無しさん@ピンキー
08/05/28 22:12:45 mVDeaktA
URLリンク(www1.vis.ne.jp)

ちなみに、2007/02にもっと破滅的なエトリアがあるw

574:名無しさん@ピンキー
08/05/28 23:31:40 pLSwyB8z
脳内妄想スレよりヤバいキャラ設定吹いたw

575:名無しさん@ピンキー
08/05/28 23:39:04 BdyWI4gb
メディ子はブシ子のさらし巻くときに
せいぜいこっそり切れ目入れとくくらいかな
あとでバレてお返しされてもおいしい

576:名無しさん@ピンキー
08/05/28 23:47:35 8Klrb4ed
メディックのおにゃのこはいじめられるのも好きに違いないんだぜ

577:名無しさん@ピンキー
08/05/29 08:21:16 aPP9mTAC
>>574
こんな奴らを好きになる宿屋の娘とか交易所売り子は一体どういう嗜好なんだw

あとペインカスメ吹いたwwそりゃ歪むよなあw


578:名無しさん@ピンキー
08/05/29 08:48:42 RaH85WAm
>>577
多分修羅場大好きのフィクサー系なんだろうな宿屋の娘は

579:名無しさん@ピンキー
08/05/29 15:06:39 XSenHxnw
>>573
こういうの見るとプロって凄いなと心から思う。
俺の妄想など足元にも及ばないぜ。

580:名無しさん@ピンキー
08/05/29 15:09:41 SP+LwWdF
あの人はプロというか元々鬱いというか……
その癖挿絵がリリカルな人ばっかだから
騙される人が絶えなくて困る

581:名無しさん@ピンキー
08/05/29 19:53:16 Yo1pTN5Z
>>570
自分のパーティの後衛がアルケミストとメディックだし二人ともお気に入りのキャラなんだ
その設定でなんか書いてみたくなったけど……設定難しすぎるだろ

582:名無しさん@ピンキー
08/05/29 19:55:12 n/d0IDH2
つまり、鬱のプロか。

583:名無しさん@ピンキー
08/05/29 20:05:33 xNgZzU71
軟派青ダク男がツンデレ眼帯レン子をどうにかする妄想をしてるのは俺だけか

584:名無しさん@ピンキー
08/05/29 20:06:13 FOTjvyPD
「おいでよ ぞくぶつのもり」とか言い出すしなw
この人の作品、いい話だったり甘酸っぱかったり笑えたり熱かったりする分、鬱な部分が際立つんだよなあ……

>>581
変則SMプレイはどうだろうか。

585:名無しさん@ピンキー
08/05/29 20:15:47 zdQo12Or
>しかしその様子を偶然目撃したアルケミストの男の子が何かの天啓を受け、彼女にひと目惚れ。
ここの辻褄合わせが難所だな

586:エロ無し小ネタ
08/05/29 21:10:35 J1pSoB5M
「てぇぁああああああ!」
 裂帛の気合を吐き出しながら、私は刀を振るう。
 斬。斬。そして斬。特殊な呼吸法で高められた腕力は、敵の亀に
くっきりと三つの太刀筋を刻む。だが―
「クケェェエエ!」
 ―仕留め損ねた。傷を刻まれた怒りか、亀の赤く染まった瞳が
私を見据える。その顎は、先ほど呪言を放ち損ねたあの人の血で
その瞳と同じ色に染まっている。
 今度は、私があの牙に貫かれ、喰われ、死ぬ番なのだろうか。
 願うならば―そう、願うならば、そうであって欲しかった。
 なのに……あいつらが邪魔をする。そうはならないようにと、邪魔をする。
 私はそんな事、願ってないのに。
「聖女様! お避けくださいっ!」
 盾を構えた宗教女が、私の前に割り込んでくる。
 それでも防ぎきれず、私の身体を亀の牙がとらえる。
 何度無く味わった痛み。だが、その痛みは最早心地よかった。
 一瞬だけとは言え、希望を感じさせてくれるから。
 この責め苦からの……世界という名の枷からの解放を、一瞬だけとは
いえ夢想させてくれるから。
 なのに……その些細な希望すらも、あいつらは奪っていく。
「聖女様っ!」
 宗教女の悲鳴が聞こえたと思った次の瞬間、
「ヒール!」
 私の身体を温かい……胸が悪くなる程に温かい光が包む。
 偽善女の使った回復巫術の効果で、傷は見る間に癒され、痛みが、
私にとっての希望が失せていく。
「……ペイントレード」
 いつの間にかメディックの手によって復活させられていたあの人が、
ボロボロの身体で痛撃付与を放ち、亀にトドメを刺す姿を見ながら、私は
思っていた。
 何故、こいつらは私の邪魔をするのだろう、と。
 私は、そんな事望んでいないのに。
 動かなくなった亀の頭部にさらに銃弾を打ち込むメガネ女と、死んだ魚の
ような目でたたずむアイツを他所に、残った三人は私の元へと歩み寄ってくる。
「大丈夫だった? もう一回ヒールしておこうか?」
 偽善女の言葉に、私は首を横に振る。
「……余計な事はしないで欲しいわね」
 その偽善女に毒づくのは、死んだ魚のような目で佇むアイツを、恍惚とした
視線で見ながら近づいてきた変態女だ。
「この娘の傷はわたしが治すんだから、あなたは転化してくれればそれでいいの」
「そういうわけにもいかないじゃない。あなたが動くより先に、敵の方が動いたら
 危険でしょ?」
 ……どちらにしろ治されるのだから、私にとっては同じ事だ。
 そのまま放っておいて欲しい。もう終わらせて欲しい。そんな私の願いは、
こいつらには届かない。二人にその想いを率直に言った事もあった。だが、
『そんな遠慮はしなくても、私は大丈夫だから安心して!』
『あなたは沢山怪我してくれるから好きよ。しっかり治してあげるから安心してね……フフフ』
という答えが返ってきただけだった。
「貴様ら、聖女様の御前であるぞ! 醜い諍いは控えよ!」
 ……もう、何もかもが鬱陶しかった。この宗教女だけじゃない。何故か、
こいつらは私に笑顔を向けてくる。私の事を好きだと言ってくる。
 それが、もう、とにかく……とにかく、鬱陶しかった。
 私は大嫌いなのに。
 何もかも、無くなってしまえばいいと思っているのに。
 こいつらも、この世界も……ありとあらゆるものが無くなってしまえば
いいと思っているのに―なのに、こいつらは私の事を好きだという。
私の事が大切だという。
 ……考えれば考える程に、ますます私は嫌いになる。
 こいつらが。そして、この世界が。

587:エロ無し小ネタ
08/05/29 21:10:46 J1pSoB5M
「……」
 私は、言い争う三人を置いて、歩きだした。
 もっと先に進めば、偽善女の回復も、変態女の復活も、宗教女の防御も、
何もかもを無視して、私を壊してくれる存在がいるに違いない。
 だから、私はこの迷宮を進む。この、世界樹の迷宮を。
「……いい御身分だね。僕は毎回こんな風に死にそうになってるってのに」
 ―そんな世界の中で、この人だけは違った。
「手厚い加護を受けて、今もほぼ全快まで回復してもらってさ、
 一体君と僕の何が違うんだろうね? 今回だってトドメを刺したのは
 僕なのに、声すらかけてもらえない。回復もしてもらえずに放置さ。
 なのに……君は……君は……」
 彼だけは、私に悪意をむけてくれる。私の事を嫌ってくれる。
 それが、私には心地よかった。私が世界を憎み、嫌うのと同じように、
私の事を憎み、嫌う人間がいてくれる事が、私には希望だった。
 彼は、全身から今もまだ血を流している。
 彼が用いる痛撃付与の技は、彼の痛みを倍増し、敵に与える技だ。
故に、彼は皆から省みられない。それが、私にはとても羨ましかった。
 だが……彼は私と同じように、私の事が羨ましいらしい。
「……代われるなら、代わってあげるわ」
「はっ! 僕への気遣いかい!? まったく、献身的聖女様は、
 僕のような性根の曲がった奴にもお優しいことだね!」
「……違う」
「違わないさ! いくら僕が望んでも、引退して鍛えなおしでも
 しない限りは君のような力は得られない! 望んでも、させてくれないしね!
 毎回毎回、雑魚は眠らせ、強敵にはペイン、死んでもリザレクションで
 ボロボロのまま復活させられ、常にペインを放てる状態を無理やり維持
 させられて回復もしてもらえない、この辛さが君にはわかるかい!?」
「……」
 今回の戦闘で、何かが切れたのだろうか。
 彼は、普段の暗い目で沈黙している姿からは想像できない剣幕で、私にまくしたてた。
「巫術士のあいつからは『辛いと思うけど頑張ってね。頼りにしてるから』とか
 言われ、医術士のあいつからは変な目で凝視され、聖騎士のあいつからは
 存在しないかのように扱われ、銃士のあいつはわけわかんない!」
「……」
 私は黙って聞いていた。
「もう何回逃げ出そうと思ったか! なのにその度に捕まえられて
 連れ戻されて……もう嫌だって言ったのに、望んでないのに……」
 ……ああ、そうか。この人は、私と同じなんだ。同じになってしまったんだ。
「……あなたは、世界が憎い?」
「え? ……ああ、憎いさ! 君も含めてね!」
 ……ああ、そうか。そうなんだ。やっぱり、この人は……。
「……ありがとう」
「へ?」
「そのままでいてね、あなただけは」
「……な……君は……ふざけるなぁぁああああああ!!」
「何をやっている貴様っ! 聖女様、ご無事ですか!?」
 襟首を掴んで私を殴ろうとした彼を、宗教女が割って入って押し留める。
「もう、いじめちゃ駄目じゃない! あなたは男の子なんだから!」
「……まあ、殴られて怪我してたら私が治したけど」
「何言ってんの! 仲間内で殴った殴られたなんて駄目です!」
「だから貴様ら、ここは聖女様の御前なのだから……」
 ……少しだけ、心が軽くなった気がした。
 彼は、物凄い目で私を見ている。
 ……もっと、その目で私を見て。
 そしていつか……私を壊して。世界を壊して。貴方の絶望、そのままに。
「……ふふっ」
 私は微笑んだ。もしかすると、生まれて初めてかもしれない笑みを浮かべた。
 早く終わって欲しい人生が続く苦しみに、これからは少しだけ耐えていけるかもしれない―

終わり


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