08/04/16 01:21:32 cHMvTz1E
>>329
シュールwww
333:名無しさん@ピンキー
08/04/16 11:05:22 2C6p1glr
>>329
「石化したメディックの胸にパテ盛って魔改造出来る」と考えるんだ。
334:名無しさん@ピンキー
08/04/16 12:09:15 8RL+O+6Q
>>333
ひんぬーメディにパテ盛りたおして、巨乳にする。
で、石化解除後に修羅の形相のメディからヘヴィな一撃を貰う。と言う事ですね。わかります
335:名無しさん@ピンキー
08/04/16 12:53:31 2BXUCmRA
>>334
もちろんそのメディはヘビィストライクもSTRブーストも取ってない筈なのですね。
336:名無しさん@ピンキー
08/04/16 15:12:31 fm9cNeH3
どうせ全滅したらセーブしたとこまで戻るからLv1の新人ガン子やらパラ子やら連れ込んで思いっきりレイプしまくってもおk
こうですね。わかります。
フル勃起してきた
337:名無しさん@ピンキー
08/04/16 15:16:41 8ewwVCHa
>>336
/ / i \ \\ :.
:. ,'./ i ヽ:. ヽ:.:.. ヽ.ヽ
,'/ / .ハ ヽ ヽ:.:.:.:. ヽ::.. ヽヽ :.
:. |i .i i .i / ヽ ト 、 \、:.:.:. ',:.',:.:.lヽ} な…
|i .i l :N_, -弋 \弌弋ナ:}:.:} なんなんですかー?
:. |i∧ ', :{ ,ィjモト \ イjミトイイV :. ここどこですか、何であたし連れてこられたんですか、
.| :メヽ.', `ozZ} izN。ハ::{ 何で、かか…鍵を閉めるんですか?
:. | :ヾ_! ゝ "゙゙ ' `゙ ハ.:', :
| :.:_イ .:.ヽ. (二フ , イ :.:.:!:.ヽ
:. / rィイ | :.:.ヽ: >r/`<ノ .:.::.}ヽ、\:.
/ ∧l;l ! :.:.:.://{二 ̄ .} ..:..::リ//ハ.:\
:. / .{. ',ヾ、ヽi .:.:.{ /(^` |.:.:.:.//: : :.}: . ヽ.:.
/ / ) ヽ ヾ、ヽ:.ハ ヤ{ ∧/.-‐'": : |:.:. i ',
./ .,イ .:..} : :\ヾレ'ハ ∧__ノノハヾ、 : : : l:.:.: .ハ ',:.
{ /| .:.:ハ : : :i Y {ヾ`Yヽニン'ノ}: : } : : : :/:.:.:/ }:.}:.
V | .:.:/:.:|_,ィ' ̄ ヽ三{ `ー-ノ : イ : : :/:.:i.:{ リ:.
ヽ:.:{、.:.V : : ヘ : : {: : :/:.::∧|
ヽ! )人 : : :人 : : : / \! :.
" ヽ : : : : :/イ{ :.ノ: : : :.\ :.
:. \__///: :\______/: : : : : : : ヽ
/ //: : :|;|: : : : : : i: : : __: : : : ',
:. / 、 {;{ |;| . : i/. : : : : : :|
338:名無しさん@ピンキー
08/04/16 15:26:46 8ewwVCHa
磁軸の柱で奥地まで連れて行って、
「抵抗したければすればいい。ここから一人で帰れるなら」という外道プレイですね。
わかります。
339:名無しさん@ピンキー
08/04/16 15:47:29 ZG0Lp+6I
パラ子さんは全力逃走があるから大丈夫だよ!
他はシラネwww
340:名無しさん@ピンキー
08/04/16 16:30:45 FZH8G9xm
レベル低かったらそれすらもないだろw
341:名無しさん@ピンキー
08/04/16 17:36:37 9vwAI3HK
え?全力逃走って前提スキルあったか?
342:名無しさん@ピンキー
08/04/16 17:41:21 ZG0Lp+6I
LV1でも3取れる筈。
もうエロパロ関係ねぇwww
神が舞い降りたりしないかな。
343:名無しさん@ピンキー
08/04/16 21:33:48 YWeVRGY5
白猿から全力逃走で走るパラ子。
緋色の樹海を掻き分けて逃げるが、なんども追い着かれそうになる。
そのたびに掴まれた装備を剥がされ、または逃れるために自ら外し、一枚一枚重厚な鎧を失っていく。
ついに追い詰められたとき、服も引き裂かれ、残されたのは下着のみ。
白猿の顔がニタリと醜く歪む。
体毛とは対象的な、真っ赤に膨れ上がった獣の肉棒が彼女の眼前にそびえ立つ…
みたいな感じな電波を発信しといた。
344:名無しさん@ピンキー
08/04/16 21:53:28 Xve63xwL
パラ子「ここまでか・・・無念だ・・・」
パラ子はアドリアネの糸を使った
345:名無しさん@ピンキー
08/04/16 22:01:11 htFASYgl
不思議な力によってかき消しますね
346:名無しさん@ピンキー
08/04/16 22:11:57 tNEnXdQD
空気を読まずに質問
ここって素人の落書きの投下はおk?
パラ子触手責めに挑戦したんだけど、鉛筆ラフの時点で死にたくなったから白黒なんだ
カラー完成品以外は不可ならこのまま消える
347:名無しさん@ピンキー
08/04/16 22:17:31 YWeVRGY5
>>346
角煮で…角煮で待ってる…!
348:名無しさん@ピンキー
08/04/16 22:54:35 tNEnXdQD
あそこにもあんのかよ世界樹スレw
神だらけの角煮の名前がでてきて酔いがさめた
ちょっとペイントツールのライセンス買って出直してくる
349:名無しさん@ピンキー
08/04/16 23:16:58 YWeVRGY5
君は納得が行くまで絵を描き込んでもいいし、臆せずに角煮やエロダURLリンク(www3.uploader.jp)に投下してもよい。
安西先生…パラ子の触手絵見たいです…
350:名無しさん@ピンキー
08/04/17 02:59:53 IMnQwBEs
夜の繋がりにくさは異常
>>349
一生に一度の恥さらしだ
上げといたよ
351:名無しさん@ピンキー
08/04/17 03:03:16 d8zNCZWC
夜だからというわけでなく、2ch全体が接続障害だったそうだ。
ちょっくら見に行ってくる。
352:名無しさん@ピンキー
08/04/17 03:12:59 3E8KKRq3
普通にうまいじゃねぇかよチクショウ。GJ。
俺は絵の練習を始めても良いし、妬みながら寝てもよい。
353:名無しさん@ピンキー
08/04/17 17:14:35 iwhNYtBc
できちゃった引退
354:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:38:11 PymFXovv
エロじゃないけど時事ネタ的なものを一つ。筆者の実体験を世界樹的に大幅脚色してラノベっぽく。
あのころ俺は若かった。
『ハイ・ラガードの春』
ビッグルーキー編
ギルド・ファンタジカは数多くの問題を抱えている。その一つが、新人に対する厳しさだ。まあこの場合、問題というよりは体質だが。
「これより、本日付けでファンタジカに所属することとなった新人さんの歓迎会を開催いたします。
司会は私、メディックのクレアが務めさせていただきます」
『どんどんぱふぱふー!』
高まる緊張をなんとか抑えようと、ブシドーの少女は密かに『人』の字を書いて飲み込んだ。が、あまり効果は無かった。
(最初。そう、最初が肝心なんだ。ここで密かに有能ぶりを見せておけば、必ずや任務遂行の際、お声をかけて頂ける)
「では一人目の方、どうぞ!」
「ハ、ハイッ!」
この返事はいらなかったかな、などと軽く後悔したかったが、その時間も無い。
舞台袖から出てきた少女の見たものは、期待にキラキラと輝く無数の瞳だった。
(う――)
思わず、息を飲む。
「どうぞこちらへ」
進行役の衛生士に促され、少女は舞台の中央へと歩みを進める。途中、危うく足がもつれそうになった。
(うう――)
上下の歯がカチカチと音を鳴らしている。観客の一人が発した「ピュゥ♪」などという口笛にも、いちいち心臓が跳ねてしまう。
「まずは自己紹介からお願いします」
時は来た。
「……ゴホン」
軽くせき払い。
「わ、」
意を決し、踏み出す!
「私の名は――」
『エエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!』
「ひっ!?」
瞬間、壮絶なブーイングが巻き起こった。
(えっ? えっ?)
頭が真っ白になる。自分はまだ、名乗ってすらいないというのに。
(私、なんかやっちゃった?)
怒り心頭の理由は、程なく明らかとなった。
「私! 私って!」
「武士道なのに『私』って!」
「それって……メチャクチャ普通じゃん!」
(え、え~~~~~~……)
明らかとなったが、理解はできなかった。
「他にいくらでもあんだろうが! 『拙者』とか『某』とかさあ! なんなら『我』でもいいよ!」
「あんた異国の剣士なんだろ? 異文化コミュニケーションなんだろ?」
「は……?」
意味不明な罵声に困惑する。自分は今、さぞ間抜けな顔をしていることだろう。
「見ろよ、あの間抜け面を。知性の欠片もねえ」
実際に言われてしまった。泣きそうになる。
「だめね。見込みないわこの子」
「……す、すみません……」
「おいおいそこは『面目無いでござる』だろ? よく知らんけど」
「あーあ。なーんか興冷めだわ」
(なに、この偏見……都会(?)って怖い……)
涙目でガタガタ震えていると、少女にとって更に絶望的な一言が浴びせられた。
355:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:42:13 PymFXovv
「ま、いいや。はい次、隠し芸いってみよー」
「えぇ!?」
「定番だろうがよ歓迎会の。ぁかっくしげい! ぁかっくしげい!」
一人が手拍子を始めると、瞬く間にそれは観客全員に広がった。
『ハイかっくしげい! そーれかっくしげい!』
少女の目には、それがまるで狂信者の集団のように映った。
「う、あ、うああ」
「ほら、頑張って。名誉挽回のチャンスよ」
司会者の笑顔とガッツポーズが、今は何よりもつらい。
「早くやれよオラー! なんかブシドー的なやつー!」
容赦なくヤジが飛ぶ。これ以上は限界だった。
(な、何か……あ)
視界の端に掃除用具を発見。もはや何も考えずに、その中のほうきを一本手に取る。そして。
「……め」
『め?』
「めええええええええええええええええええん!」
果たして追いつめられたブシドーが行ったブシドー的な隠し芸とは、上段に構えたほうきを、真っ直ぐに振り下ろす。ただそれだけだった。
「めーん! なーんてっ! ……なーん、て……」
『…………………………………………………………………………。』
シーン。またはシラーでも可。
「――チッ」
誰かの舌打ち。慌てて進行役が飛び出してくる。
「は、はーいお疲れ様でしたー! じゃあ次、次いきますね!
そこの椅子にかけてて。今の面白かったわ。うん、とっても面白かった!(小声)」
「……」
燃え尽きた頭にはもはやおべっかすら届かない。幽鬼のような足取りでギャラリーの視界からフェードアウト。
舞台横の簡素なパイプ椅子に腰をおろし、少女はそのままがっくりとうなだれた。と、
「はい! では二人目の方、どうぞ!」
(………………え……二人目?)
できたら一生地面だけを見つめていたかったが、それでも少女は顔を上げざるを得なかった。
(私の他に……誰かいたの?)
舞台裏でスタンバッてる時には、まったくその気配を感じなかったのだ。妙な寒気が奔る。
「ブシドーの次はカースメーカー! フレッシュなニューウェーブ、いいですね~!」
空気の後始末に四苦八苦するメディックに一瞥もくれることなく、その『二人目』が舞台袖より現れた。そのまま、足音も無く中央まで進み出る。
その異様な雰囲気に、一瞬誰もが口を閉ざした。
黒いフードを目深に被り、わずかに除く目もとには大きなクマが浮かんでいる。血色は極めて悪く、はっきり言って死人のようだ。
なにより奇抜だったのが、太い鎖で自らを拘束していることである。それが単なるファッションでないことは、誰の目にも明らかであった。
「じ、自己紹介……してもらえます?」
そのオーラに気押された感じで、おずおずとメディックが告げる。
が、その二人目の新人――呪い師の少女の口が開く気配は、一向になかった。
普通なら罵詈雑言の嵐だろう。が、ギャラリーは完全な沈黙を保ち、彼女の動向を慎重に窺っている。要はビビっていた。
356:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:44:08 PymFXovv
「あ。あのー……」
無限とも思える時間が過ぎ――そろそろ司会者の体力がゼロになろうとした、その時。
驚くべきことが起こった。
――メイです。よろしくお願いします。
「え……」
ペコリ、とお辞儀する少女に注がれるのは、どれも一様に驚愕の眼差しだ。
少女は徹頭徹尾、言葉を発していない。だが、確かに今、『声』が聞こえたのだ。
「い、今……」
「あ、ああ。俺にも聞こえた」
「これって……まさか」
ギャラリーの一人が、恐る恐る質問した。
「……もしかして今の、『念話』ってやつ?」
そこで初めて、呪い師メイは反応らしい反応を見せた。今まで中空に漂わせていた視線をその男に向け
――こくり。
と頷いたのだ。
『……す』
すうぅ、とギャラリーが一斉に息を吸い込む。そして――爆発。
『スッゲエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!』
ドラマなんかで言えば、無音状態から盛大にBGMが流れ出す場面だろう。
「すげえ! 君すげえよ!」
「あたし、こんなの初めて!」
「まさか自己紹介と隠し芸をいっぺんにやるとはなあ」
「この子、伸びるわ。間違いない」
「これは……いわゆる一つの大物新人ってやつじゃないですかぁ!?」
「C(カース)・M(メーカー)・M(メイ)! C・M・M!」
興奮冷めやらぬ会場。そんな中、ただ一人だけ取り残され、呆然とする者がいた。
「なに……これ」
その日より、ブシドー少女(本名名乗れず)の苦難の日々が始まった。
357:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:46:14 PymFXovv
とある夕食時の風景。
ギルドの面々が和やかに食事と談笑を楽しむ中、一人の少女だけが、お盆を持ってせっせと動き回っていた。
「……って、あ!」
そのお盆を、乗せた皿ごとひっくり返す。美味そうなパスタは、一瞬で無残な生ゴミへと変わった。
「なーにやってんだよ!」
「すみません! すみません!」
待ってましたとばかりに、他の者達もなじりに参加する。
「ったくどんくせえ、何年やってんだてめえ!」
「え、まだ一週間……」
「あ?」
「いえ……」
「能力が低くって、クエにも連れてけやしねえ。じゃあせめて雑用で成果挙げてみろってんだ」
「そ、それは……ろくな装備を与えてくれないからじゃ……今だって、なぜか一人だけ割烹着(防御力0)だし……」
「ああ?」
「いえ……なんでもありません……」
今にも泣き出しそうな顔でうつむき、薄汚れた割烹着の前垂れをキュッと握りしめる。その仕草すら、基本Sなギルドの連中には逆効果だった。
「ほんとこいつだめだな」
「つーか名前なんだっけこいつ」
「知らね」
「もうそれでいいじゃん」
以後、ブシドー少女の呼び名は『シラネ』で統一された。
(ひどい……あんまりだ……)
「または『新人の面白くない方』、略してシロ」
統一されたそばから、新たな呼び名が誕生した。
(もう……いやだ……)
「おいシロ! さっさと料理運んでこいや!」
「は、はい!」
「躾がなってねえなあ。シロって呼んでんだから、返事は当然『わん』だろうが!」
「わ、わん……」
「ハイ、くるっと回って」
「わん!」
「へへ……それでいいんだよ。……あっちの方もばっちり躾けてやるからな、シロ……へへへへ」
この少し調子に乗ってしまった三軍の名も無き男は、ジェンダーフリーを重んじる女性陣により吊し上げ(文字通り)を喰らうこととなる。
358:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:47:59 dU8T+SwC
おい! そのブシ子はさらしブシ子ですか? それとも着物ブシ子ですか?
359:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:49:23 PymFXovv
「え、辞める?」
部屋に入るなりそう切り出した少女に対し、クレアは条件反射で聞き返した。帳簿に走らせていたペンを一旦休ませ、振り返る。
「どうして? まだ入ってひと月も経ってないわよ」
そう疑問符を浮かべるメディックは、今は眼鏡を着用している。さりげない変化だが、彼女の穏やかな魅力を引き立てていた。
「実は……かくかくしかじかで」
古いよっ! と思ったクレアであったが、そこは流石ファンタジカの良心。口には決して出さなかった。その後も、少女の思いのたけを何も言わずに聞いてあげる。
どうやら『溜めこんでいるモノの処理』が、色んな意味で彼女の得意分野らしい。などと言ったら、確実に激怒するだろうが。
「――と、いうわけなんです……」
ひとしきり少女に喋らせてから、クレアはゆっくりと頷いた。そうして母が子に、あるいは姉が妹に言い聞かせるように、優しく語り始める。
「……うちのギルドって、最初はみんなちょっと冷たいように感じるけど、本当はすごく喜んでるの。
後輩って、無意味に可愛がりたくなるものよ。ちょっとやり過ぎかもしれないけどね」
そう言って苦笑する。ただの笑顔なら、誰でも出来るだろう。この場面で、この絶妙な苦笑い具合を出せるのが、パーティーの癒し系としての真骨頂なのだ。
「クレアさん……」
「頑張りましょう。ね?」
固く握りしめていた拳を、柔らかい掌で包まれる。込めていた力は、安らぎと共に解けていった。
「は……はい!」
この人に相談してよかった。少女は心からそう思った。が。
「うんうん、良かった。――えっと」
ここで衛生士の頬に、一筋の汗が流れる。
「あー、えっと」
「?」
「えーっと……」
そして、とても苦しそうな笑み――字、同じくして苦笑に非ず――を浮かべ
「……シロちゃん? あ、シラネちゃんだったかしら」
「うあああああああああああああああああああああああああああああん」
涙を盛大にまき散らし、シロあるいはシラネは脱兎の如く駆け出していった。
夢うつつの狭間を漂いながら、少女は懐かしい記憶を見ていた。
それは父との、地獄のような修練の日々。血反吐を吐いて倒れ伏そうとも、父の一喝で立ちあがる。
苦しいと思ったことは幾度となくあった。が、それでも辞めたいと思ったことは、ただの一度も無かった。そう、これまでの人生において、ただの一度も。
(でも、それももう過去の話……)
ついに自分は折れてしまった。現実の厳しさから逃れたいがために、その一言を口にしてしまったのだ。
――まあ、トドメを刺したのは例のメディックだが、この際そんなことは関係なかった。
(ああ、なんかもう……)
何もかも、どうでもよかった。
360:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:50:31 PymFXovv
>>358
ご想像にお任せします。お好きな方でどうぞ
361:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:54:29 PymFXovv
「起きろ」
「……え、あれ、アーサーさん……?」
あからさまに泣きはらしたと分かる赤い目で、シラネはぼんやりとそのパラディンを見つめた。窓から入る日の光と鳥のさえずりで、今が早朝だということを理解する。
半歩遅れて、彼がギルドの大先輩だということも理解する。
「――しし、失礼しました! おはようございます!」
布団を蹴飛ばし、なぜかベッドの上に正座。あまつさえ敬礼までする少女。
服装はよれよれの割烹着。両目は可哀想なぐらい充血している。
アーサーはため息を吐いてから、告げた。
「クエストだ。行くぞ」
「へ……? なんですかそれ……」
クエスト。その言葉の意味も忘れるほど、少女は衰頽していた。そしてやはり半歩遅れで、「ええええええ!」と理解する。
「あ、あの、ご指名頂けたことは大変嬉しいのですが……私、きっと足手まといになります。その、割烹着(防御力0)ですし」
「その格好のまま連れて行く訳がないだろう……」
呆れたように言って、アーサーは部屋の入り口に置いてあった荷物を、シラネの元まで運んできた。
「こ、これ……」
それは現行における、最高品質の防具だった。
「新調した。サイズは合っているはずだ」
知らず、視界がぼやけていく。
(私……見捨てられてなかった)
込み上げるものを抑えきれず、少女は目の腫れを上書きする勢いで泣いた。泣いて、感謝した。
「ありがとうございます……!」
「礼ならクレアに言うんだ。一晩掛かりの帳簿を書き換えてまで、予算の一部をこれに当ててくれたのだからな」
「はい!」
「三分で支度しろ。皆すでに待機している。――君の同期もな」
微笑を残して去る聖騎士の背中に、シラネは再度感謝を述べた。そして。
――行こう。
あの歓迎会以来の『声』が、心に届いた。
「う、うん!」
これが記念すべき、新人二人の初コミュニケーションである。
「ん? どうした、お前たち」
部屋の外には数人の男――よくシラネに絡んでいた連中だ――が複雑な表情で立っていた。彼らもクエスト参加者である。
「いいのかよ、アーサー。あいつ、メチャクチャどんくさいぜ?」
「てか、そもそも今回のクエじゃ……」
「まあ、いざって時は体張って守ってやらんでもないが……って、馬鹿! 俺はただ、クレアの仕事を増やしたくないだけなんだからね!」
デレる男たちに、アーサーは神妙な面持ちで答えた。
「いや。恐らくその心配はない」
362:名無しさん@ピンキー
08/04/17 19:58:25 PymFXovv
裂帛の気合とともに繰り出した一刀が、角鹿の頭部から尾部までを一気に両断する。
分たれ、崩れ伏す亡き骸には目もくれず、背後より接近してきていた大型の猿に対し横薙ぎの一閃で応酬。
いざ殴りかからんと腕を振り上げていた猿は、その体勢を維持したまま上下に分断された。
一つ、また一つと、樹海に鮮血の花が咲いていく。
落ち着いた眼差しで、シラネは周囲を見渡した。
(次は……カニ? カマキリ? それともカボチャ? あ、ドラゴンもいる――でも)
今回のクエスト。それは、大量出現したFOEの討伐である。
どれぐらい大量かというと――まあ、通常エンカウントで奴らが現れるぐらいの勢いだと認識してもらえればいい。
もはやフィールド・オブ・エネミーの定義から外れている気もするが。
(でも……全部倒せる)
箸の握り方より先に刀の扱いを学ばされた。遊び相手は裏山の獣王だった。寝る前はいつも、朝になるまで竜の巣で馴染みの幼竜と戦い続けた。
――やがてその竜が成竜となる頃、彼女自身も、父から免許皆伝の書状を賜った。
襲撃が止んだ。明らかにモンスターたちが、彼女を恐れ始めていた。
頬を伝う汗を拭い、疲労に満ちた呼気を体内から吐き出す。
「ハッ……ハッ……」
鈍ったな、と自責する。以前の自分なら、この程度の運動で息を切らせることなどなかった。
横に一度。縦に一度。二度の血振いで、刀身にこびり付いた肉片を散らす。構えは青眼へ。目を閉じ、息吹く。
途端、明らかに少女のものではない――どころか、人間のものですらない。まるで地響きのような轟音が、シラネから発せられた。
静かに目を開き、告げる。
「来い!」
パーティーは皆、ぽっかーんと可愛らしくデフォルメされた顔で、この光景を見守るしかなかった。
カースメーカーの少女――鉄の無表情でお馴染みのメイですら、眼前で繰り広げられる惨劇に、目を白黒させている。
「な……なんっだ、ありゃあ……」
「えっと……新人のメッチャ怖い方……だったっけ?」
「シラネちゃん……随分とその、強かったのね……」
脂汗を浮かべるメンバーに、聖騎士アーサーが冷静な解説を入れる。
「うむ。どうやら彼女はブシドー――否、戦闘者としての全技術を極限まで鍛え抜いているらしい。あの怪物の群れを、まとめて相手できるほどにな」
「あ、ありえねえ……」
「チ―トだチート……」
「以前から彼女の立ち振る舞いを見ていて、ただ者でないと感じてはいたが……まさかこれほどとはな」
その台詞に、クレアがぴくりと反応した。
「……ふーん。アーサーってば、そんな注意深く観察してたんだ……? ふーん。視姦とか、してたんだ」
「え! あ、いや、別にそういうわけでは……し、しか!?」
夫婦漫才を差し置いて、戦闘は続く。
363:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:00:38 dU8T+SwC
さらしブシ子でいただきます。
364:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:00:48 PymFXovv
通常、単独でここまでの物量を相手取ることなど出来はしない。
いかに異常な攻撃力を持とうと、肉体的強度は所詮人のそれだ。FOE級の一撃を受ければ、それで終わる。
だが、戦闘は一向に終わらない。何故か?
敵の攻撃が、全く当たらないのだ。
(絶対に……絶対に……! この防具は傷つけさせない!)
せっかく買ってもらったんだから! その一心で攻撃をかわす。ただそれだけのことで、シラネの回避率は今やえらいことになっていた。
しかし、それでも限界は来る。
鋭利なカマキリの鎌が、ほんのちょっぴり篭手をかすった。
「あっ――」
刹那、シラネの中で何かが弾けた。
「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」
その絶叫に呼応して、刀身に紅蓮の炎が宿る。
「ちょ、おま!」とでも言いたかったのだろうか、カマキリが悲痛な叫び声を上げた。
鬼神の形相で歩み寄るブシドーに対し、いじらしく両鎌を上げて降参の意思を示す。
「――消えろ」
樹海の天蓋を突き破るほどの火柱に飲まれ、カマキリは跡形も無く焼失した。
「ハァー……! ハァー……!」
次はどいつだ? 正気の色を失った瞳がそう語っている。
そんな武士道もとい狂戦士の元に、アーサーが駆け寄ってきた。
「既定の討伐数に達した! もういい! よせ!」
どれも出会えば青ざめるような化け物たちが、これを機にと一目散に走り去っていく。
中には自分の体を引きちぎり、わざわざレアドロップを献上する者までいた。
「すみません……自分でも途中からなにがなんだか……」
「いや、良くやってくれた」
息を整えながら、シラネが刀を鞘に納めようとしたその時。遥か遠くにいるパーティーから、思わぬ無茶ブリが飛んできた。
『そこで決めの台詞!』
「えぇ!?」
先ほどまでの鬼神ぶりが嘘のように、少女はうろたえた。
疲労と混乱で頭がグルグルする。彼女は今、あの忌まわしい新人歓迎会を思い出していた。
『なんかブシドー的なやつー!』
完全にデジャブだ。もうやるしかない。
「……わ」
『わ?』
「我に……断てぬものなし……」
『…………………………………………………………………………。』
365:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:02:24 PymFXovv
>>363
言っといてなんだけど、自分もそのつもりで書きました。
あの娘はどうみてもヘタレだろjk・・・
366:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:04:27 PymFXovv
「た、たてぬものなし! なーんてっ! ……なーん、て……」
いつかのいたたまれない空気までもが蘇ってしまった。
嗚呼、またやってしまった。とシラネが思った、次の瞬間。
『……か』
「か?」
『カッケエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!』
歓声を上げながら、子供のように無邪気な笑顔でメンバーが走って来た。
「なに今の台詞! メッチャかっけえじゃん!」
「即興? それ即興?」
「あ、い、いえ。生前、父がよくこの台詞を」
強く、偉大なその姿を思い出す。何事にも全力を尽くすのが信条だったあの人は、たとえそれが夕飯の支度であっても、
その強烈な一閃を惜しげもなく披露していた。そして見事両断された大根や人参に向けて、こう告げるのだ――
「『我に断てぬものなし』! いいねえ。今度俺も使ってみよう」
「いやお前バードじゃん」
「メイちゃんも、ほら! かっこよかったって!」
――こくこく。
そんな和気あいあいとしたムードの中、聖騎士アーサーと衛生士クレアだけが、その思いやりの心を察し、密かに笑い合った。
「なあ、もっかい言ってくれよ!」
「わ、我に断てぬものなし!」
『もう一回!』
「我に断てぬものなし!」
『最後にもう一丁!』
「我に断てぬものなしいいいいいい!」
雨降って地固まる。今回降ったのは血の雨だったようだが。
新人にはとことん厳しく、そしてとことん優しい。
とあるギルドの、ちょっとした良い話。
了
367:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:07:03 AGmeusS2
なんか和んだwGJ!
サラシは不幸な道を全力疾走してそうだよな。
368:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:09:46 PymFXovv
はい如何でしたでしょうかハイ・ラガードの春トラウマ編!
この季節になると決まってあの日の歓迎会を思い出すので困ってます。
了と言いつつ落ちてないのはいつものこと(つっても前スレで二つ書いただけですが)なんでご容赦ください。
次こそはエロいの行きます。「うちのカス子は喘ぐときだけ声を出すんだぜ」をコンセプトに頑張りますね。
では。
369:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:09:54 dU8T+SwC
これはよい見事な飴と鞭の使い分け調教
サラシはストイックさとSを誘う微妙なカワイソさを併せ持つのがええな。
370:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:13:09 PymFXovv
>>367
筆者も途中から『シラネ』で統一してるぐらいですから。
ほんとはもっと犬の下りを突っ込んで書こうとしたんですけど、それ一個で話しできんじゃね?っていう意見が全俺から出たので。
そっちの方もアナザー鬼畜ストーリーみたいな感じで頑張りますね。多分
需要?なにそれ
371:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:15:44 dU8T+SwC
>>370
>そっちの方もアナザー鬼畜ストーリーみたいな感じで頑張りますね
需要ならここに
372:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:16:09 7Y9hb9Dz
GJ
アーサーとクレアの夫婦いちゃいちゃものとか、
シラネがそこの間に入ってしまい3人でくんずほぐれつとか
みたいなー。
みたいなー。
373:名無しさん@ピンキー
08/04/17 20:31:26 AGmeusS2
>>370
需要?ありまくりですよ。
さて、なんか妄想しようとしても2ネタが全く思い浮かばないんだが何故だ?
いい加減貴婦人と姫君は脳内から消え去ってくれ…頼むからorz
374:名無しさん@ピンキー
08/04/17 22:14:47 S4LB1sur
>>353
GJ。可愛いカッコイイよシラネちゃん。そして親父ちょっと待て。
>>373
それをすてるなんて とんでもない!
375:名無しさん@ピンキー
08/04/18 15:44:58 AfJE93Oz
ひまわりちゃんとショタパラの純愛ってそそりますよね!
と思ったけど無愛想なソードマンとかブシドーに一目惚れもいいな
376:名無しさん@ピンキー
08/04/18 20:44:40 7ynPRfUB
ストイックなさらしブシ子が自分の感情に戸惑いながら次第にデレていくのがいい。
377:名無しさん@ピンキー
08/04/18 20:49:03 MYx8EfBL
ショタパラとおねいさんメディックと、
口から砂を吐くようなイチャイチャラブストーリーが、
いつも脳内展開される今日この頃。
378:名無しさん@ピンキー
08/04/18 23:57:31 SZIXV/gR
妄想力のない己が恨めしいッ
先生!スキルポイントってどうすればたまるのんですか!
379:名無しさん@ピンキー
08/04/19 00:20:46 KZSAcPoy
馬鹿になれ。萌えに貪欲であれ。そしてエロくあれ。
妄想チェイスはいい妄想力特訓になるよね
380:名無しさん@ピンキー
08/04/19 00:43:07 Avm7jI3M
最初の3ポイントを全て妄想マスタリに振るといいよ!
チェイス妄想や筆マスタリにも振ると幸せになれるよ。
ところでこのスレの職人さんはどれくらいの期間で完成させてるんだ?
なんか凄く気になるんだぜ…
381: ◆NQZjSYFixA
08/04/19 01:21:49 A5Jd8Kd8
>>380
思いついたら……っていうか書き始めたら執筆期間4時間くらい
2でようやく27階まで行ったはいいが案の定属性ガードが必要になって全然ゲーム進まないw
ネタ的には自分の書いたキャラを2につかっちまってしかも女の方待機しっぱなしだから
獣姦妄想が止まらないがまだ書けないw
382:名無しさん@ピンキー
08/04/19 01:25:57 XH1QdPH+
>>380
只今絶賛停滞中の職人見習いが来ましたよ。
……えろシーンまで到達する気配すら無いとかどういう事ですか。
383:名無しさん@ピンキー
08/04/19 03:01:04 Avm7jI3M
>>381
4時間…だと…
少なくとも2倍はかかりそうだ…
まずは妄想を整理するとこからだけど。
>>382
>絶賛執筆中なんで期待して待っててください
まで読んだ!
384:名無しさん@ピンキー
08/04/19 17:15:05 t2EF8m4s
妄想マスタリMAXだから妄想だけは一人前
今文才マスタリを取りにいってるが、
行くとこ行くとこFOEが立ちはだかっていて経験値がたまらないww
385:名無しさん@ピンキー
08/04/19 22:37:59 FRKRsIzu
>>382
逆に考えるんだ。
まずはエロシーンだけ書くんだ。
後はどうとでも肉付け出来る。
>>384
あなたの前に立ちはだかっているのはFOEではなく
先輩冒険者だ。
パワーレベリングと思って作品を読めば、経験値は貯まっていくぞ。
386:名無しさん@ピンキー
08/04/19 22:41:17 ++HH/fmd
変に周辺部のディテールやリアリティに凝ろうとすると中々書き上がらないからな
387:名無しさん@ピンキー
08/04/20 01:54:14 R8i+Nv6i
2のネタバレになるのかな…
結構進めないと見れないけど…
素顔を見てからギルド長への妄想が止まらないんだ!あの大人の女性な感じがたまらない!
歴戦の勇士だけに逆に性に不慣れだとか、普段は強気だけど受けに回るとしおらしくなるとか、
傷跡は敏感になるそうなんでそこを重点的に責めて悶えさせてみたりとか!
そんな俺は少数派?
とりあえず妄想の前に赤竜倒さないと…
赤竜討伐クエ | λ...
388:名無しさん@ピンキー
08/04/20 02:59:12 WNSx40gn
>>387
「傷跡は敏感なんですね・・・」
「そ、そこは傷跡じゃ・・・ ひゃうっ!」
こう・・・かな・・・?
389:名無しさん@ピンキー
08/04/20 20:07:58 lCTZymbJ
修行と趣味を兼ねて、次>>390が言うお題でSSを書くことにするよ。
390:名無しさん@ピンキー
08/04/20 20:14:13 HyClJyzw
金髪アルケミによる、ドリルダクハン子マゾ化調教
391:名無しさん@ピンキー
08/04/20 20:34:25 lCTZymbJ
ちょw反応はええよww
でも、了承しました。気長に待っててくれ。
あと、アルケは男?女?
392:名無しさん@ピンキー
08/04/20 20:38:25 +eWTfQCP
うはw飯食ってたww
畜生…
393:390
08/04/20 20:45:45 Qek/wpTV
>>391
男で
394:名無しさん@ピンキー
08/04/20 20:50:18 lCTZymbJ
男ね、おk。
では、出来たら報告に来ます。
期待に沿える出来でなかったら、オールボンテージくらいで勘弁してね。
395:名無しさん@ピンキー
08/04/20 20:53:45 Qek/wpTV
>オールボンテージくらいで
「そのあとバラを挿して花瓶」までで。
396:名無しさん@ピンキー
08/04/20 22:03:12 8LcDzbp/
まさにエクスタシー!
397:名無しさん@ピンキー
08/04/21 01:19:17 Uz3E2VYP
色々とダメージが大きいなw
398:389
08/04/21 01:33:57 jNcYZRSH
できますた。
ここのルールだと、ロダの方がいいのかな?
399:名無しさん@ピンキー
08/04/21 01:38:19 EqXgJXPh
SSなら普通に投下すればいいべ
通し番号振っとくと読む側に全体の長さが伝わりやすくていいかもシレン
400:名無しさん@ピンキー
08/04/21 01:45:54 jNcYZRSH
ありがと。それでは投下。
1.
視線だけを、いつも感じていた。樹海で鞭を振るうとき。その日の成果を、酒場で分かち合うとき。男からの視線は、ただ自分に
注がれていた。
それが他の男達のように、劣情に満ちたものだったなら、ダークハンターの神経をこれほど騒がせることはなかっただろう。
そもそもダークハンター達が扇情的な服装を好むのは、獲物を誘い込む巣を張る蜘蛛が、毒々しい体色をしていることと無関係では
なかった。
職種としての義務と彼女個人の趣向、分かちがたくなった二つは、一人の女の中で混然と溶け合っており、自分の服装が一部の
人間にとって奇異に映ることなど、何ほどかのこともなかった。
その男の視線に出会うまでは。
だから、樹海の中、PTを組んでしばらく経ち、初めて男のほうから声をかけてきたとき、ダークハンターの胸に湧いたのは戸惑いを
含んだ苛立ちだった。「いまさらなんなのよ」そういう気分だったのかも知れない。
自然、横着な対応になった。
「なに? 何の用? 私からアンタに話すことなんてないよ」
男は、ゆっくりと首を振った。金色の髪が一緒に揺れる。ダークハンターは一瞬それに見とれかけ、自分の心を大慌てで張り飛ばした。
気分を害した様子もなく、男―金髪のアルケミスト―は無頓着に言葉を続けた。
「自分を偽って生きるのは、辛くはないか」
唖然とした。無礼であるとか、そういう問題ですらなかった。
「あんた、どうしようもない馬鹿なの? それとも礼儀って言葉を知らずに育ってしまった、可哀想な子供なの?」
アルケミストは構わず続けた。言いたいことだけを言う、そんな様子だった。
「お前は強い。だがその強さは」
そっと、男の手が彼女の特徴的な髪に触れる。思いのほか優しい手つきだった。
振り払うことは思いつかなかった。男の瞳は、獲物を射すくめる蜘蛛の複眼に似ていた。
「柔らかな肉を覆う、鎧の強さだ」
そこまでを告げると、男は不意に踵を返し、場を去った。
「なんなのよ」
残されたダークハンターはわなわなと震えた。
「なんなのよ、アイツ」
止まらない震えが屈辱から来ているのか、それとも別の何かなのか、彼女には最後までわからなかった。
401:名無しさん@ピンキー
08/04/21 01:46:53 jNcYZRSH
2.
どうということもない相手のはずだった。依頼されたクエストをこなす為、下層に降りたPTは、さして苦戦することもなく
巨獣を屠った。
「見た目の割りに、あっけないわね」
勝ち誇りながら、ダークハンターが巨獣に近づいたそのとき、獣の生存本能が最後の足掻きをみせた。
「……え」
振り切られた爪が、軽鎧ごと彼女の左脇腹をえぐる。
獣の爪牙がもう一度自分に向け振るわれる寸前に、巨大な熱量が傍らを通り過ぎていくのを彼女は感じた。
断末魔も叶わぬまま、今度こそ巨獣の命は尽きていた。
「俺が彼女を診よう。その間に目的を達してくれ。なるべくはやくな」
普段と変わらない落ち着いた声でアルケミストが云うと、仲間たちは散り散りになった。
今回のクエストは、巨獣の隠し持った宝玉の探索がその主眼目なのだ。アリアドネの糸は一本しかなく、不本意ながらもまだ街に
戻るわけにはいかなかった。
負傷で動けない彼女のそばにアルケミストだけが残ったのは、先ほどの術式で組める術式が打ち止めになったからだった。
すくなくとも、ダークハンターを除いたPTは、そう解釈した。
「ねえ、なんか喋んなさいよ」
鎧を外され、傷口にメディカを刷り込まれながら、ダークハンターは呟いた。
沈黙の気まずさよりも、苦痛を紛らわす意味が強かった。
アルケミストの手が一度止まった。
「お前は、美しい女だ」
「ぷっ! ビックリするぐらい陳腐ね」
いつのまにか、左脇腹にあったはずの手は、彼女の臍の上に来ていた。つつ、と、男の指が無傷の肌を這った。
ぞっとするほど、心地よかった。ダークハンターは、心底恐怖した。
「え、ちょっと……」
臍から傷口は、そう間隔が開いていない。横たわった彼女の腹部がせわしく上下する。すでに傷の痛みのせいだけでないことは、
彼女自身が一番良く知っていた。
「や、やめて。こんなの卑怯よ」
男の指が、動きを止め、もとの脇腹に戻っていく。ダークハンターは安堵の息を漏らした。
傷口に、男の指が突き刺さった。
「!! った……い!」
「鎧わぬお前は、誰よりも美しい」
強い感情の篭った声が、女の耳朶を打った。アルケミストのような男が、このような仕打ちをすることも、それが自分に向けられている
ことも、ダークハンターの理解を遠く超えていた。
「痛いか。だが、鎧があっては味わえない痛みだ、それは」
身勝手そのものの言い草に、しかしダークハンターは反論できなかった。今の男の言葉は、どこかで自分の本質に触れていた。
左手を脇腹に潜り込ませたまま、男の右手が下腹部に伸びた。
「やめて、ねえ……」
「お前は、獲物を待つ蜘蛛ではない」
右手が下着の上から、秘裂をそっとなぞる。自分が悦びの印しを溢れさせていることに、彼女はそこで初めて気がついた。
「蜘蛛の牙を待ちわびる、蝶なのだ」
秘所に指が潜り込むのと同時に、脇腹からの激痛が押し寄せてきた。
相反する感覚は、熱量をもって彼女の体内を撹拌し、巣にかかった蝶を高みへと導いていった。
402:名無しさん@ピンキー
08/04/21 01:47:58 jNcYZRSH
3.
夜半。公国の殆どは既に眠りについていた。先ほどまで喧騒の中にあった酒場も閉まり、騒ぎ疲れた冒険者どもは、思い思いの
ねぐらに帰っていく。先日、からくも死地を脱した彼女も、その中の一人だった。ただし、疲れた足が向かうのは、
自身の宿ではなかった。
郊外に建てられた一軒家の前に、ダークハンターはたどり着いた。
建物全体から、住人の心を映し出したように、陰にこもった圧力が発散されており、用がある者ですら近づくのを厭うに違いなかった。
「私、どうして」
あの時、眼もくらむ瞬間の後、彼は自分にそれ以上のことを決してなさなかった。
もちろん、仲間が戻ってくるという事情もあった。しかし、彼女の知る「男性」という存在は、理性より本能を重んじて恥じない
生きもの達だった。
左の脇腹がうずいた。自分は彼に、何を求めに来たのだろう。
「くそ、あんなヤツ……!」
ブーツをことさら高く響かせながら、石造りの扉の前まで歩く。
呼び鈴を鳴らそうとして、扉の取っ手に施された細工に視線が吸い寄せられた。
それは、銀製の絡み合う蜘蛛だった。奇怪ではある。おおよそ、取っ手とするにふさわしいモチーフとは思えなかった。
(蜘蛛の牙を待ちわびる、蝶なのだ)
乱暴に呼び鈴を鳴らした。そうだ、自分がここに来たのは、二度とこんな趣味の悪い取っ手を見ることがないようにするためだ。
何の前触れもなく扉は開いた。
「来たか」
さも当然、といった調子でアルケミストは言った。
「アンタねぇ!」
怒りに任せて相手を押し切ろうとしたダークハンターの唇を、柔らかい何かが塞いだ。
男の唇だった。
「!?」
狂おしいまでのくちづけだった。一人の人間が抱える苦悩も、祈りも、哀しみも、何もかもがそこにあった。
跳ね除けることは出来なかった。アルケミストはダークハンターであり、ダークハンターはアルケミストだった。
唾液と共に流し込まれるその全てを、ダークハンターは嚥下した。
男が、女の手を引き、部屋へと誘う。そこは蜘蛛の巣の中で、飢えた蜘蛛が一匹で暮らしている。
それを知りながら、ダークハンターは盲目の蝶のようにゆらゆらと、部屋に足を踏み入れていった。
403:名無しさん@ピンキー
08/04/21 01:49:39 jNcYZRSH
4.
頭の両側で髪をしっかりと握られ、ダークハンターは頭を動かせなくなった。その眼前に、アルケミストは自らの怒張を突きつけると、
「はじめろ」
と短く言い切った。
「は……い」
男のソレは、どこか歪だった。遠い国に伝わる、男児に施される儀式の結果だったが、もちろん女にそんな知識はなかった。
ただ、その歪さに哀しみをみただけだった。
男の行為は乱暴ではあったが、決して粗暴ではなかった。
ダークハンターの喉奥に精を流し込むときも、飲みきれず床に零れた液体を、髪で頭を引きずったまま
「舐めとれ」
と命じたときも、その印象は崩れなかった。むしろ、苦しそうなのは男のほうだったかもしれない。
ダークハンターの全身は、自身の鞭で拘束されていた。数多の敵の血を吸った得物は、今度は主人に牙を向けていた。
アルケミストは、そうして彼女を拘束した後、部屋を出て行った。
(どこにいったんだろう)
霞のかかった頭で、ぼんやりと彼女は考えた。
(でも、もう)
どうでも良いことだった。
開きかけた脇腹の傷が痛む。痛みは昂りの中で快楽にすりかわっていった。
傷を負ったあのときから。いや。
初めて視線を感じたあのときから。自分は彼女が蝶であることに「気が付いてくれた」あの蜘蛛に囚われていた。
深い悦びをもって、彼女はそれを肯定した。
男は、何時間かして、部屋に戻ってきた。
ダークハンターの自分では自由にならない両足を開かせると、前戯もなく正面から彼女を刺し貫いた。
甘い苦痛の中、女は声をあげた。
「ギルドを、辞めてきた」
深く強く自身を打ち込みながら、アルケミストは唐突に言った。
「お前は、どうする」
蝶は蜘蛛が居なくなっても生きていける。だが、獲物を失くした蜘蛛はどうなる?
「あなたと一緒に行くわ。ずっと、ずっとね」
アルケミストは、小さく息をついた。被害者は加害者を告発し、加害者は被害者となった。二人は二度と離れられなくなった。
男は、女の奥深く精を撃ち放つ。それは契約に似ていた。
蝶と蜘蛛は、薄暗い部屋の中で、じっと抱き合ったまま笑顔を交わした。
おしまい
404:名無しさん@ピンキー
08/04/21 17:08:10 Wzk7N5UH
2の不安げなところから堕ちるまでのところが特にええな。
難を挙げるなら短編ではなく長編で、理性と葛藤しながらじわじわ落ちる話で見たいところだ。
405:400
08/04/22 00:49:08 FeqIj1Iv
わざわざ事前に助言してもらったのに、通し番号入れるの忘れた俺はバラを挿した花瓶。
タイトルは『蜘蛛』で。
>>404
感想ありがとうございます。自分で今読み返しても、もうすこし調教要素をじっくり
書き込んでもよかったかな、とも思えます。精進あるのみ。
406:名無しさん@ピンキー
08/04/22 09:58:21 F43UMyRI
>俺はバラを挿した花瓶。
リ,;;;;;;:: ;;;;;:: ;;;;; ::;;;;;; \ 人 从
(彡ノり/リノ" ミ;;;;;;,,,.. ゝ ) あ (
);;; ヾ、;;;;...__,, );;;;;;;; ヾ ) お (
i:::) ` ;;ー--、` 〈;;;;;;;::;;; i ) お (
i i::/ ^:::::::.. i ,ll/ニi ;; l ) / (
i l ヾヽ'' ゚ ))ノ;; / ) っ (
i | | iにニ`i, (_/i;;; | ) !! (
| | ! `ー‐'" / ゞ:l つ (⌒
i l| ! " ̄ ,,,. /,; ミi |l
| |i ヾ二--;‐' ,;; ,; ミ ||i il i|
| ll _|彡" ,' ; /' ̄^ ̄''''\ ||
l ,..-'" 〈 ; / ヽ
/ 、, \) ,,.-/ `i
` ミー,;;' ,l l
/ ;; / .| |
ヾ/ ,i' ト |
'i ' /゙` イ !
,;;|o; i| / ヲ /
,;;人,,_ ハ / , / リ
‐''"⌒ヾ:;' /'゙ i / /ミ ミ!
\ ,/ '';; / ゞ i
ヽ , ,ノ _,,;:' ,i
/ Y \ ' ,;;/ _,.;:' l
;;' l :. \ / /
i :: i ''::. \ / ,;;イ
;; . l `'::. ヾ, ';/ |
_|\∧∧∧MMMM∧∧∧/|_
> <
-┼-┐ | || \ ヽ| |ヽ ム ヒ | |
/ / ト―- / .| ̄| ̄ 月 ヒ | |
/ _ノ .|__ _/ /.| ノ \ ノ L_い o o
> <
407:名無しさん@ピンキー
08/04/22 18:08:41 mpea8t4q
尻がカビンになったこんな俺が、連投してもいいものでしょうか。
408:名無しさん@ピンキー
08/04/22 19:02:41 d5lFT+Tg
構わんよ。
409:帰郷 1/4
08/04/22 19:19:23 ASHEnk8I
それでは、お言葉に甘えて。
「迷宮2」20Fのクエスト「豪傑の過去」のネタばれがありますので、ご注意ください。
1.
店、開けるのはまだいいのかい? ……そう?
まあ、あんたのまずい酒、金払って飲みに来るなんて客、それこそ酔っ払いでもなきゃいないわよね。
あはは、そんなにムキになんないの!
あんたみたいに、いろんなこと考えられる奴は、立派だと思うよ。あたしは、だめだ。
冒険者なんて、いつまでも続けられる商売でもないしさ。どっかで野垂れ死にするのがお似合いだよ。
……なんで、そこであんたが怒るのよ。よくわかんないなあ。
あたしさ、小さいころから、見たこともない、本当に誰も行ったこともないような場所、そういうところを、自分の足で
見つけてみたくてさ。
絶対自分は冒険者になって、そういう場所を探し出してやろうと思ってた。思ってたっていうか、そうなるもんだって確信してた。
家族の反対? そりゃあんた、ものすごかったに決まってるじゃない!
15,6の娘がだよ、手が血まみれになるまで剣の稽古したり、レンジャーの後ろくっついて洞窟入ったりしてるんだ。
あたしが親なら許さないね。もちろん、あたしの親も許さなかった。
家を出て、いろいろ苦労はしたさ。でも、何ていうのかな、そうやってあてどもなく旅をしているあたしが、本当のあたしなんだって、
そう感じてた。あたしの体は家の中で生まれたけど。魂はきっと、どこか遠く、風の吹く場所で……
っとと、いい年した女がしらふで話すことでもないね、こりゃ。
ねえ、お酒ないの? あはは、またそんな顔して。さっきのは冗談! あんたの酒は絶品だよ。自信持ちな。
くー、うまい! 只酒ならさらに美味い! あ? けちくさいこと言わないの! そんなんだからモテないんだよ。
ほらほら、ムッツリしちゃって。いい男がやるんなら様になっても、あんたじゃ叱られたガキ大将にしか見えないよ!
そーそー、そうやって黙っておねーさんにお酒注いでればいいの。あたしだっていい男が居ないのを我慢してんだから。
ん、どうしたの?
……へ? やだ、何企んでんのよ。あたしみたいな百戦錬磨はね、見え透いたお世辞には……
んぅ? ん……? ぷは……。
ちょ、ちょっとどうしたの。冗談にしちゃ度が過ぎてない?
本気って……え? あんた、本気で言ってるの?
……。
いやじゃ、ないよ。厭じゃないけどさ。
あたしは、ほら、店に来る他の娘らみたいに若くないし、筋肉だってついてるし、顔も威張れるようなモンはついてないし。
!!
や、やだな。あたしは馬鹿だからさ。本気に、しちまうよ?
……うん、わかった。ありがと、ね。
店、開くまで時間あるんだろ?
部屋まであんたが連れてってよ。
あたしだって、女だしさ。それくらいはいいだろう?
410:帰郷 2/4
08/04/22 19:20:47 ASHEnk8I
2.
ん、あ、ぷはぁ。
ち、違うよ、そんなんじゃないって。久しぶりだからさ、その。
ああもう、こんなときまでデリカシーのない男だね!
大体、そういうあんたはどうなのさ。ほれほれ、恥ずかしがらんと、おねーさんにみせてみんしゃい。
……ありゃ、まあ。童貞坊主だってこんなにはしないわな。
うわ、あつぅ。なんだか、触ってるだけで、ん……。
ん、いいよ。あたしにも、触れて。
ん、んぅ。……はぁ。
しかし、男ってのは馬鹿だねぇ。こんなの、自分で擦るのと大して変わんないだろうに。
女だってそうだろう、って? はは、そいつはそうだね。お互い様か。
あ、どんどん大きくなってくる。……へへへ、気持ちいいんだ、あたしみたいなのの手でも。
剣ばっかり握ってたからさ、ごつごつしてるだろ。
……優しいね、あんたは。
うん、いいよ。あたしも、う、そろそろ……。
うぁ! ……はぁ。
うわちゃあ、きったねえなあ。あんた、ご無沙汰だったんでしょ。色も粘りも濃くて……。
すごい、匂い……。
あの、さ。時間、まだあるのかい。
うん、そんだけありゃ十分だろ。
最後までしようよ。それに。
どうせあんた、早いんだろ? あはは、怒んない怒んない!
あたしなんかを好きになってくれて、ありがとう。
え、あたしが上になるのかい? い、いいけどさ。変な好みなんだね。
ふうん、そういうものかい? ま、あんたがいいなら、それでいいよ。
よっと……。なかなか、難し……。
あ、うぅ!? そんな、いきなり、あんた卑怯……
あ、あ、あ! はぁ、ひどい、よ。
え? 横に滑らせるように動かすの?
こう、かねぇ? あ。うん、なんとなくわかってきた。
あぁ、は、あ。なんだか、不思議な感じだよ。あんたとこうしてるなんて、さ。
……ねえ、あたしがいつも言ってる話、覚えてるかい。お空の城の話。
あんた達は笑うけどさ。あたし、ついに見つけたんだよ。
世界樹にはね、やっぱり入り口があったんだ。
くぅ、んん! はぁ、はぁ。
ふふ、信じてない顔だね?
それじゃあさ、賭けをしようか。
あたしの言っている事が本当で、世界樹の中からあたしが証拠を持ち帰ったら、あんたはあたしに金貨一枚を支払う。
あんたの言う通り、そんなものがなかったら……。
ひゃあう! うあ、ああ!
……え、今、なんて? え、ええと。
……寝物語にプロポーズなんて、ホントに最低だよ、あんた。馬鹿だねえ。
でも、ま。それも悪くないのかもね。うん、賭けは成立だ。
は、ああ!
うん、もうすこしで……あ、なんか、頭、白く。
あぁ!!
ああ、今日出発するよ。いや、一人で行く。誰も知らない場所があるなら、最初に見つけるのはあたしでないといけないんだ。
ふふふ、今のうちに言ってろ言ってろ。金貨一枚、何に使おうかなっと♪
……。
待っていてくれる人が居るのも、案外悪くないもんだ。
行ってきます!!
411:帰郷 3/4
08/04/22 19:22:04 ASHEnk8I
3.
金とも銀ともつかない輝きに満ちた回廊を、5人の男女が歩いていた。
名実ともに公国最強を謳われるギルドに所属する彼らをもってしても、天に浮かぶ城の探索は容易には進まなかった。
強さと数を増した魔物、なんの動力で動いているのかもわからない数々のからくり。そして、時折り心に響く、奇妙な声。
冒険者たちはいつになく慎重だった。数多の試練を乗り越えた彼らをして怖気づかせる何かを、天空の城は内包していた。
ふと、先頭を行くパラディンが足を止めた。次点を歩いていたダークハンターが、衝突しかけて危うく身をかわす。
「なんだてめぇ、すっとろいのは頭だけにしやがれ!」
パラディンは、それでも黙ったままだった。
「殺気はないと思うたが?」
自らの技量に絶対の自信を持つものだけに許される不遜さを含んだ言葉を吐き出しながら、女ブシドーが即座に前衛に就き、
臨戦態勢をとる。
「て、敵なんですか!?」
まだよく状況を理解できていない様子のメディックが、少女には似合わないごつい武器を構え、
「リーダー。黙っていてはわからん」
アルケミストが、術式を展開させるため、空中に化学式を紡ごうとする。
「ごめん、みんな。そうじゃない。人が、いるんだ」
全員が怪訝な表情になった。天空の城に辿り着いた冒険者は、自分たちが最初なのではなかったか?
パラディンが、前方を指差す。その指の先に、それは確かに居た。
正確には、「居た」のではなく「あった」というべきだろうか。
かつては人間であった白骨が、大きな柱に背中をあずけるようにして、無雑作に転がっていた。
周囲に罠がないことを念入りに確認したうえで、5人は白骨に近づいていった。
生々しい戦いの痕跡の残った武具を身にまとっている以上、白骨は同業者のものに違いなかった。
「ここまで、たったひとりで来た人がいたんですね」
メディックの声には、死者への畏敬が滲んでいた。
「ったくよお、大公宮もいい加減なもんだな。先客がいたならいたで、教えとけってんだ」
功名心にはことかかないダークハンターがぼやいたが、メディックと同じ想いも声には含まれていた。
「? 見よ、この御仁、なんぞ握っておる」
死者への敬意をあくまで保ったまま、ブシドーはそっと、骨だけになった手から、筒状の物を抜き取る。
それは古びた羊皮紙だった。特別な物ではない。公国ならばどこででも手に入る類の紙だ。
弱弱しく封のなされたその羊皮紙の、宛名だけが特別だった。彼らも良く知る人物の名前だったのだ。
「リーダー、これは酒場の主人の依頼にあった……」
「うん。間違いないようだね。……この人は、本当に空飛ぶ城を見つけたんだ」
自分たちよりも先に、とは誰も言わなかった。そのような瑣末な感情を越えた激越な何かが、5人の魂を揺さぶっていた。
メディックが鞄から一枚の金貨を取り出し、白骨の傍にかがみこむ。
今まで羊皮紙を握り締めていたその手、空いたその隙間に金貨を挿しいれた。
誰もが言葉を失くしたようになった。
「人死して再度生ぜず。水流れてまた還らず。身は朽ちるとも心を雲上に揚げるをこそ人ともいうなれ」
ブシドーだけが、静かにそう呟いた。意味を問う者は居なかった。
正式な埋葬はしないことに決めた。天を目指した冒険者が、その目的地で倒れたなら、それは余人の関知するところではなかった。
なにより、自分たちも次の瞬間にはこの白骨と同じ運命を辿るのかもしれないことを、彼らはよく知っていた。
名前も知れない勇気ある先人に頭を垂れたのち、5人は顔を見合わせ頷き合うと、天空での冒険を再開した。
412:帰郷 4/4
08/04/22 19:23:17 ASHEnk8I
4.
あった。やっぱりあったよ、伝説は本当だったんだ!
あた、いたたたた。思ったより重症だ、こりゃ。
ざまあないね、ここまで来たってのにドジ踏むなんてさ。
薬は使い切っちまったし、どこか休める場所を探さないと。
はあ、それにしてもすごいもん造ったものよね。でも、どうしてこのバカでかい城で遠くに行こうとしなかったんだろう?
こんだけすごいモンなら、星空の向こうにだって飛べそうな気がするけど。
星空の向こう、か。行ってみたいな。
醜いものも綺麗なものも、いっぱいあるんだろうなあ。もし、この城にそれが出来るなら、神様にでも何にでも頼んで乗せて
もらおうっと。
あ、あの柱のあたりがいいかな。
よっこらせっ、とぉ。
うわ、今すごくおばさん臭かった。あいつに聞かれたら絶対笑われるな。
ねえ、伝説のお城は本当にあったよ。
あたし、ばっちり誓約書作ったからね。意地でも金貨一枚払わせるよ。
……お店、手伝えなくて、ごめんね。あたし、冒険者だけは辞められないよ。
あたし、こういう女だから。きっと、神様が風に吹き込むはずだった魂が、何かの手違いでおうちで生まれた子供に入っちゃったんだ。
風になるはずだった魂は、死んだら今度こそ風の中に還るんだろうか。
そうしたら、どこへだって行けるな。空も海も越えて、見たこともない、本当に誰も知らない土地にだって。
でも、あんたにはいい夢をみせてもらったよ。
あんたが大声出しながら冒険者連中にしょうもないデマ吹き込んでさ、あたしはそれを横目で観ながら注文取りに店内を回るんだ。
メニューは色々取り揃えてるけど、一番人気はもちろん、あんたの作った地酒でさ。
あたしは酔っ払いどもの前にそいつを何本もデン!と並べて、こう言うんだ。
「おまちどぉ! うちの亭主の酒場は世界一だよ、どんどん飲んどくれ!!」
ふふ、なんだかそれもいいかもね。もしもあたしが普通の女だったなら、それでもよかったな。
さすがに、ちょっと疲れた、かな。
なんだか体が重いや。いろいろあったし、少しくらい休んでもバチはあたんないでしょ。
とにかく城は実在して、あたしは最初にそれを見つけたんだ。
まったく冒険者冥利につきるってもんだよ。
あとは、そうだね、帰ったらあいつに会いたいな。賭け金の取り立てもあるし。
お風呂に入ってさっぱりして、もう一度あいつと寝よう。
今度は何もしなくてもいい。ただ寄り添ってベッドに入るんだ。
朝はきっとあたしの方が先に起きるね。鍛え方が違うもの。
そうしてあたしは、あいつの眼が覚める前に次の冒険に向かうんだ。
まだ眠ってるあいつに、耳元でそっと一声だけかけてから。
……あいしてる。
おしまい
413:名無しさん@ピンキー
08/04/22 19:38:31 ASHEnk8I
以上です。
件のクエストが琴線にふれ、どうにも切なくなって書いてしまいました。
乱文失礼しました。
414:名無しさん@ピンキー
08/04/22 20:41:52 Lcg2jje/
涙腺が崩壊したじゃねぇかバカヤロー
415:名無しさん@ピンキー
08/04/22 20:59:18 o+I522wc
泣いた。
PCも短い台詞とかで上手く表現してて、
上手いなーというか、
いやそれよりなにより泣く。
416:名無しさん@ピンキー
08/04/22 21:46:05 rihXJofK
グッと来た。心が震えた。
あんた最高だ!マジGJ!
417:名無しさん@ピンキー
08/04/22 23:02:28 Ei/0FvOO
GJ
目から汗が
418:名無しさん@ピンキー
08/04/23 02:04:16 aR/oLCQt
変な時間に起きてしまった↑の作者です。尻がカビンに(ry
エロも少ないし、連投だし、スルー覚悟の投下でしたが、読んでいただけて望外の喜びです。
顔グラはおろか、生きている時の姿や名前すら登場しない「彼女」ですが、
普段不謹慎な言葉も平気でのたまう世慣れた酒場の親父が、「いい女だった」というくらいだし、
一度自分の手で描き出してみたいな、と思っていました。
クエストの性格上、暗い話になってしまいましたが、書けてよかったです。
ところで、ブシドーの「人死して~」のくだりは、関ヶ原の前哨戦で福島正則に敗れて戦死した
武将が最後に遺したものだそうです。人間って面白いですね。
419:名無しさん@ピンキー
08/04/23 03:19:21 oaWl0EdM
泣くしか、ないだろ。俺に出来るのはそれと、もうひとつくらいだ。
>>409、GJ。
420:名無しさん@ピンキー
08/04/23 19:33:45 S1Joah4p
>>409。人それをGJという。ていうか率直に感動したよ。
しかしここでチェイス発動。せっかくのふいんきを台無しにしてやるぜっ
>>354-366の鬼畜アナザーです。
ええこっちは涙なんてありません。オチもありません。本名不明のなんも悪くない子が、ただ酷いことされるだけの話です。
421:ハイ・ラガードの夜 傀儡編 1/5
08/04/23 19:35:07 S1Joah4p
いつもの時間に、いつもの部屋の前に立つ。
早る動機に胸が痛いぐらいだったが、心はどこまでも冷え切っていた。
安っぽい木製戸を見つめ、その少女――皆には『シラネ』の愛称で呼ばれているブシドーは、重苦しい溜め息をついた。
夜も更け、静寂に包まれた宿。ほんの数時間前まで、ギルドの面々が打ち上げという名目で大騒ぎを繰り広げていた。
下っ端の自分は、いつものように食事を運んだり、こぼしたり、怒鳴られたり、謝ったり、笑ったりしていた。
日々の情景を思い描く。排他的に見えて、その実優しいメンバー達のこと。くだらない相談にも、親身になって付き合ってくれる先輩メディックのこと。
そして、今ではすっかり友達になった、カースメーカーの少女のこと――
「――さっさと入ってこい」
僅かに軽くなりかけた心を再び沈み落したのは、扉の向こう側からの声だった。
「……っ、……はい」
唇を噛みしめ、震える手をノブにかける。が、扉は勝手に開かれた。
伸ばしていた腕を掴まれ、ぐい、と室内に引き入れられる。
「痛――んうっ……!?」
いきなり口付けられ、少女は全身を硬直させた。
間髪入れず、きつく閉じた唇を割って、生暖かい舌が這入りこんでくる。
「ん、ぐ……!」
自分より二周りは大きい男の胸に手を押し当て、懸命に押しのけようとする。
だが、結局それは抵抗の形を借りた無抵抗に過ぎなかった。
無骨な男の手に後頭部を抱き留められ、唇を強く密着させられる。
見る間に少女の体からは力が失われていった。汚らしい唾液の流入も、大人しく矜持するようになる。
「……ふ……ぅっ」
室内には僅かな水温と、少女の苦しそうな息遣いだけが響いている。
その状態のまま、五分は経っただろうか。
唐突に、男は拘束を解いた。二人の間に細い唾液の糸が引かれる。
「遅えんだよ、このグズ」
そう吐き捨て、男はシラネの体を突き飛ばした。
したたかに壁へと打ちつけられ、少女は苦悶に喘いだ。
足腰に力が入らない。ずるずると、その場に崩れ伏す。
「チッ……どいつもこいつも」
などとひとりごちるこの男は、シラネと同じく、ギルド・ファンタジカの冒険者だ。
役職どころか、名前すら少女は知らない。クエストでも、同じパーティーになったことは一度もない。
大人数のメンバーを抱えるギルドなら、さして珍しいことではない。
シラネが戦闘の専門家たるブシドーだということから推測すると、恐らく探索班か採集班の一人だと思われるが――
しかし、そんな些細なことはどうでもよかった。少女にとって、あのファンタジカに『こんな人間』がいたことが、ひたすらに絶望的な現実だった。
422:ハイ・ラガードの夜 傀儡編 2/5
08/04/23 19:37:18 S1Joah4p
「……いつまで」
「あ?」
「いつまで……こんなこと続けるんですかっ?」
弱々しくも抗議しようとしたシラネの頬に、すかさず平手が飛んだ。
軽い、ただし意思を挫けさせる衝撃。悲鳴すら出せず、少女はただ無言で頬を押さえた。
『躾』と称した陵辱が行われるようになってから、もう随分になる。
最初は、挨拶の仕方がなってないだとか、そんな台詞から始まる説教だった。そのころはまだ、一応の体裁が繕われていた。
多分男自身、ここまでエスカレートするとは思っていなかったのだろう。
『誰にも言うな』
初めて性の暴力を受けたあの日、男の目はある種の狂気を孕んでいた。
なぜ、自分はいつまでもこんな男の言うことに従っているのだろう。そう何度も考えた。
「始めろ」
やがて、一つの諦観めいた結論にたどり着く。
自分と言う欲望のはけ口がなくなれば、この男が何を仕出かすか――それが怖いのだ。
犠牲者は、一人でいい。
「……はい」
眼前に晒されたモノは、既に十分すぎるほど張りつめていた。
シラネは口を開き、腹を空かせた仔犬のように舌を垂らす。漏れ出た吐息が、先端をくすぐった。
口腔で唾液を溜めていたため、少女の舌はテラテラとした光沢を放っている。
そのまま顔を突き出し、彼女は自ら舌を押し当てていった。
「ん……ちゅむ……れろ……っ」
「っく……へへ」
男の手が、艶やかな黒髪を撫でる。
髪に触れられることに、最初は強い抵抗があった。それこそ、性行為そのものよりもずっと。
今は違う。祖国では命と同格と考えられている『女の髪』を、おぞましいケダモノの指が這い廻ろうとも、シラネは何も感じなかった。
ただひたすら、男のモノを果てさせるために、舌を使い続ける。
「ちゅぷ……は……ぁっ」
顔を傾け、舌の接する角度を変える。浮き出た血管のしこりを舌先で確かめながら、幹の周囲に唾液の跡を残していく。
息を吸い込めば、途端に『男の匂い』が鼻腔に充満した。
名状しがたい嫌悪感と――そして、幾ばくかの高揚が少女の中で生まれる。
423:ハイ・ラガードの夜 傀儡編 3/5
08/04/23 19:42:02 S1Joah4p
(……また……っ)
自衛のため、今やシラネの精神は『被虐趣味』のそれへと変容しつつあった。
理不尽な現状。吐き気を催す行為。抗えない自分。
それらの要素が、この後ろめたい快感を生んでいるのだ。
「もう戻れねえよ、お前は」
嘲るような男の言葉が、脳内を駆け巡った。
全て、見透かされている。
「は、ぁ……っ!」
呼吸が乱れ、シラネは舌の動きを止めた。大量の『匂い』が、どうしようもなく意識を混濁させる。
一瞬の休息にも、男は容赦なく罵声を浴びせかけてきた。
今はまだ言葉の暴力で済んでいるが、いずれは物理的な『躾』も厭わなくなってくるだろう。
「…………続け……ます」
霞む視界に映るグロテスクな肉塊。その幹に、白く可憐な指を沿わす。
シラネはどこか虚ろな表情で、はみ出た先端をペロリと舐めた。
男が微かに身じろぎする。すかさずもう一度。
柔らかな拘束の中、びくびくと跳ね回る肉の棒を、少女は何度も何度も責め続けた。
「んっ……、くちゅ……はふ、……ちゅぷ、れろっ……」
激しさを増す脈動を抑え込むように、手の力を強める。
少しきつめに、ただし射精への高ぶりを邪魔しない程度の圧迫。
そのすべらかな掌は、包まれているだけで相当に心地よいはずだ。
「くっ――」
唾液を舌の上に集めてから、シラネはゆっくりと亀頭を飲み込んでいった。
「ぁ……む」
カリ首の周囲に唇がくる位置で止めてから、口内での愛撫を始める。
鈴口を舌先で擦るように刺激していくと、生理に従って粘つく先走りが浸み出してきた。
その不快さに、思わず眉根を寄せる。
(……男の人のって、気持ち悪いことばっかり……。臭いし……形も変……)
更に言えば、どうしても排泄器官としてのイメージが先行する。
汚水が流れ出る部分を、自分の口に含んでいるのだ。快い筈がない。
(早く……イッてよ……)
恨めしい目で睨む。しかしその間も、愛撫は止めない。
快楽に興じつつも、男はそんなシラネを見返し――ニヤリと笑んだ。
424:ハイ・ラガードの夜 傀儡編 4/5
08/04/23 19:45:18 S1Joah4p
反抗的な眼差しと、上気した頬とのギャップ。
不快そうにしつつも、主人たる自分に忠実な愛撫。
少女の全てを、男は堪能していた。
「協力してやるよ」
「ふ、ふぇ……? ――っ!?」
不意に突き出された怒張に喉奥を突かれ、シラネはくぐもった悲鳴を上げた。
込み上げる嘔吐感に必死に抗う。瞳が潤み始め、あの暗い快感が全身に広がった。
いわれのない暴力を受けた飼い犬そのものの表情で、少女は男を見上げた。
「悪ぃ悪ぃ。まあ、お約束だしな」
言って、期待通りの反応に男は満足する。
「もう突かねえよ。あくまでも、お前が抜くんだ」
「……っ」
あけすけもない台詞に、少女の頬がカッと朱に染まる。
そんな姿をしり目に、男は浅く腰を揺らし始めた。
「舌使えよ。ほら」
「――ん! んっ、んっ……うぷっ、ふぁ……あむっ……んふ……っ!」
要求に従い、少女は舌を必死に絡みつかせていった。
身勝手に口内を前後するペニスを、献身的に愛撫する。
「ふぁ……ぁ……じゅ、じゅぷ……う、うぅ……!」
シラネは気が気ではなかった。
このように粘膜を摩擦され続けると、否応なく『挿入』を連想してしまう。
男もそれを分かって楽しんでいるのだろう。
膣の快感点を探るような動きで、いやらしく少女の口内を擦り続けていた。
(……もう、いや……おかしくなる……っ)
じゅぷじゅぷという卑猥な水音が耳を犯す。
泡だった唾液が顎を伝い、パタパタと床に落ちていった。
「はっ、ひ……じゅっ、じゅぱ……ふ、うぅぅ……!」
次第に男の動きにも遠慮がなくなってきた。
一物のさらなる膨張を感じ、シラネは男に目線で問いかけた。
「……外に出すか。お前の顔全部で味わうんだ。いいな?」
「ふ、ふぁ……――ぅっ!」
シラネの返答を待たずして、男は激しく腰を使い始めた。
もうしない、と言っておいて。安心させておいて、あっさりと裏切る。
分かっている。自分は人として扱われていない。この男にとって、自分はただの性欲処理の道具にすぎないのだ――
425:ハイ・ラガードの夜 傀儡編 5/5
08/04/23 19:49:56 S1Joah4p
「っ!? ひぁ……っ!」
悲鳴が漏れ、背筋に甘い痺れが走る。
男の足が、袴の『中』に入りこんでいた。
「~~~~っ!! ひゃ、ひゃめ……っ」
「喋んなよ、犬……! お前はただ馬鹿みたいにしゃぶってろっ」
冷たく遮り、男は加虐趣味者の笑みを浮かべた。
慌てて秘部を覆いかけた少女の手を払い退け、しつこく足による刺激を続ける。
粗野で乱雑な触れ方であったが、だからこそ『虐待』の実感をシラネに与えた。
(あぁ……いやぁ……こんな、こんなの……っ)
そこが今どんな状態になっているか、想像するだけで自己嫌悪に陥りそうだった。
サラシの束縛がもどかしい。意識がどこかに飛んで行きそうだ。
「くふぅぅ……っ! ふぁ……あぁぁっ……!」
躯が、心が、解放されたがっていた。
「く……出すぞっ!」
唐突に、限界まで膨張しきったペニスが口中から引き抜かれた。そこには生々しい熱だけが残る。
その直後、少女の顔面に欲望の迸りが降り注いだ。
「あ――」
半開きの口に、容赦なく人肌の体液が飛びこんでくる。
固体でも液体でもない中途半端な感触と、ひたすらに青臭い苦みが舌の上に広がった。
「は……ぁ……ぅ……」
出すモノを出して収縮しつつあるペニスが、髪に押し当てられる。
尿道内の精液が流れ出し、どろりと付着した。
◆
『誰にも言うな』
朦朧とする意識の中耳にした、あの定例句。
この一言が無ければ、自分は沈黙を破るのだろうか。
誰かに助けを求めるのだろうか。
「――はい」
白濁にまみれた顔で、シラネは小さく頷いた。
熱が引かない。『幼い』少女の中心は、いつまでも疼き続けていた。
了
426:名無しさん@ピンキー
08/04/23 19:51:49 S1Joah4p
はい如何でしたでしょうかハイ・ラガードの夜本番ないのかよ編。
この「健全(アホ話)→エロ(鬼畜アナザー)」の流れは外枠が出来てる分書きやすかったので、次の無口カス子編もこんな感じになると思います。
まだるっこしいがや死ねって人もいるでしょうけど、どうかご了承くださいね。
では。
427:名無しさん@ピンキー
08/04/23 21:38:54 JNYo2Uuk
>>421
わーい、「あっちの方もばっちり躾けてやるからな、シロ」を読んだときから
ずっと待ってましたよw GJ!
ブシドー(さらし)は、いじめられるために生まれてきたような顔をしてますよねw
カス子編も楽しみに待ってます(全裸カウンター的な意味で)
428:名無しさん@ピンキー
08/04/23 22:36:57 glU/ZhMg
いじめて耐えさせたり、泣かせたり、逆にデレさせたり
ブシドーの守備範囲の広さは異常。
429:名無しさん@ピンキー
08/04/24 00:18:41 /Qkb26q+
ちょっくら我慢できなくなったのでうちのギルドのブシドーを
レベル上げといつわって迷宮に二人だけで入って押し倒して泣かせてくる。
430:名無しさん@ピンキー
08/04/24 00:23:29 7YFxj6Op
>>429
ちょ、今来られると俺がブシドーを押し倒してるとこと鉢合わせするじゃねーかw
空気読んでもう少しあとにしてくれw
431:名無しさん@ピンキー
08/04/24 00:50:14 q9FZitlh
1歩進むごとに「君たちが歩を進めていると茂みの中から少女のものらしき悲鳴が聞こえてくる 君たちは茂みの中に入ってもいいし入らなくてもいい」とアナウンスが入るんですね分かります
432:名無しさん@ピンキー
08/04/24 00:57:52 7YFxj6Op
樹海始まったなw
433:名無しさん@ピンキー
08/04/24 01:07:28 szot7nDu
押し殺した声とか、紅潮した頬とか
真っ赤に泣き腫らした目とか、
きつく結んだ唇とか、
ほどけて広がって土だらけになった長い黒髪とか
震える肩とか、無駄な贅肉がなくてかといって
筋肉質でもないすべすべの細い腰とか
土と草を握り締めて耐える小さな両手の拳とか。
大声を上げて悲鳴をあげるわけでも
誰かに助けを求めるわけでも
かといってやめて欲しいと懇願するわけでもなく、
ただ泣きながらじっとこっちを見つめてくる。
たまらん。あと3回はいける。
434:名無しさん@ピンキー
08/04/24 15:43:47 Qr6RVksg
>>427
いまさらだけど犬ネタあんまり生かせなくてごめんね。
435:名無しさん@ピンキー
08/04/25 05:48:19 FZOo/TsR
昨日母親に
「俺自分じゃ思いつかないから聞くけど、母の日のプレゼントどんなのがいい?」
って訊いた。
そしたら、
「あんた、時々PCで官能小説みたいの書いてるでしょ」
とか言われた。なwんwでw知wっwてwるw
「あんた文章上手だねえ。ああいうのでいいから、母の日は小説を書いて送ってちょうだい」
まあ、元々本読むのが好きな人ではあった。SS書いてるのもある意味遺伝かもわからん。
でもなあ。困ったなあ。嬉しいんだか悲しいんだか。
ホントにどうしたものだろ。
436:名無しさん@ピンキー
08/04/25 05:55:27 kiI/dtY2
>>435
誤爆乙
437:名無しさん@ピンキー
08/04/25 05:58:56 FZOo/TsR
すまん、誤爆した、って突っ込みはええw
438:名無しさん@ピンキー
08/04/25 06:22:45 P+gGFceu
メディ母と玉葱メディ男の近親相姦もの@母の日とな
439:名無しさん@ピンキー
08/04/25 06:25:13 i6AfZbmA
誤爆に言うのもなんだが……いい母親を持ったなw
440:名無しさん@ピンキー
08/04/26 22:57:16 qKNdk41M
保管作業を手伝いたいと思ってるんだが、単純に作者名入れて貼り付ければいいのか?
この手の作業に縁が薄いので、いまひとつわからん。
441:名無しさん@ピンキー
08/04/27 00:04:30 YO8Nkyyl
実は母親もこのスレの住人。
そりゃもう生まれた時から見守ってるんだ。
文章の癖とかでバレバレだわさ。
442:名無しさん@ピンキー
08/04/27 00:40:35 Ku8ZEak8
本当に日本の現状に真っ向からケンカ売ってる
良いお母さんでw
そんな親になりたいものです
443:名無しさん@ピンキー
08/04/27 07:10:41 olSa0V35
うちの親に俺の書いてるSSとか読まれた日には俺マジでケーブルで吊りかねんwwww
444:名無しさん@ピンキー
08/04/27 22:15:38 ekUdeYuN
定期的に「えろ本みせれ」(二次元的な意味で)とか言ってくる母親を持った俺が通りますよ。っと
この間は部屋においてあったエロゲ雑誌を持っていかれた……
445:名無しさん@ピンキー
08/04/27 22:27:57 rAN1Vs16
>>444
うちのカーチャンで想像してみた
あまりの衝撃に気を失いそうになった
446:名無しさん@ピンキー
08/04/27 22:40:40 ekUdeYuN
>>445
俺なんてもう、慣れっこなんだぜ。
パソコンを持ったらエロゲすら俺の部屋から持って行きかねない勢いなんですよハハハハ。
447:名無しさん@ピンキー
08/04/28 16:16:33 98BNmo+0
>>446
バルドフォースエグゼとか薦めてゲーマーに仕立て上げようよ。
ようやく世界樹Ⅱの終わりが見えてきたし、なんか書いてみようかな……
448:名無しさん@ピンキー
08/04/28 20:08:53 alYac5eI
俺は終わったんだぜ!
でも某超執刀を初めてしまったんで書けないぜ!
助手がロリだと思ってたのに意外とおっきくてツボったんだぜ!
というわけで、宿屋担当の♀キャラクターは、
きっとただ寝るだけだと暇なんで、あんな事や
こんな事をやってるんじゃないだろうか、という妄想を
置き土産に涅槃で超執刀してくるノシ
449:汝、蛇なりや 0/9
08/04/28 20:37:54 pRu73In/
紫ダクハン×さらしブシドーSS投下。
元々別スレ(非18禁)に投下したブツを、全面的に書き直して加筆したものです。
「2」の15Fで発生するクエスト「汝蛇の如く音無く忍べ」のネタバレあり。未プレイの方はご注意を。
エロは7/9,8/9にあるので、長文読むのが面倒ならそちらへ。
保管庫管理人さま、更新お疲れ様です。いつもありがとうございます。
450:汝、蛇なりや 1/9
08/04/28 20:38:55 pRu73In/
1.
夕刻、宿屋2階の大部屋の戸が開き、メモらしきものを握り締めたブシドーの少女がずかずかと入ってきた。
ダークハンターを捕えたのは、またぞろ面倒ごとをしょいこんできやがった、という予感だった。
「みな、仕事だ。場所の指定あり。今晩23時大公宮。行ける者は居るか」
行ける者もなにも、今部屋にいるのはダークハンター一人だ。ブシドーは室内を見渡し、得たりや応、と頷くや、
「では、拙者とお主だな」
硬い口調に合わない澄んだ声で宣言した。
案の定、これだった。言うべきことはなくなった、そんな様子で部屋を出て行こうとするブシドーを、ダークハンターは慌てて
引き止めなければならなかった。
「ちょいとまてや。どんな仕事なのかくらい聞かせろ」
ブシドーはキョトンとして小首を傾げた。
そうした仕草だけなら、同年代の愛らしい少女達と大差はない。
「知らぬ。行かば答える、とのことであった」
頭を抱えたくなる。
仕草はともかく、己の才覚ひとつで生き抜かなければならない冒険者が、本当に無防備な少女そのものであってはならなかった。
「おまえな、そりゃどう考えてもヤバイ仕事だろう。しかもなんだって? 場所が……」
「大公宮だ」
「それぐれえ聴いてたよ! いいか、その時間、その場所でしか話せない依頼だぞ。お天道様の下で言えねえような仕事だ。
わざわざ俺達が受けてやる必要がどこにあった?」
ブシドーは不思議なものを観察する目でダークハンターを覗き込んだ。
どうして眼前の男がそんなことを云うのか、芯から図りかねている感があった。
「依頼主は、大層困っておるとの事であった」
うん、それで。と先を促す。
「……」
「……」
次の言葉はいつまでたってもやってこなかった。
「……で?」
しかたなく、水を向けてやる。
「なので、受けた」
瞬間、怒りがダークハンターの胸を押し上げた。それは喉元で言葉に形を変えた。
「アタマん中まで刀か、テメエは!」
信じがたい人の好さだった。
このような女が、公国においても指折りの戦士であることなど、悪い冗談にしか思えない。
さすがに気色ばんで、ブシドーが答える。
「む。刀を頭に刺しては、拙者は死んでしまうではないか。さすがの拙者もそれはちと困るぞ」
「馬鹿だ、お前はやっぱり馬鹿だ!」
もうこれ以上はやっていられない。
ギルドを辞めよう。
このギルドに入ってから何度目かの、そして今度こそ本当になりそうな決意を、ダークハンターは心の奥底で固めた。
451:汝、蛇なりや 2/9
08/04/28 20:39:37 pRu73In/
2.
22時30分。ダークハンターは独り、大公宮への道を歩いていた。
彼以外のギルドメンバーは酒場で寝こけている。そうなるよう、彼が仕向けた。
ブシドーだけが最後まで付いていきたがる様子を見せたが、
「お前がいたら、いらねえ苦労が増えるんだよ」
この一言でおとなしくなった。
言葉の内容よりも、彼女を射すくめる眼光の冷たさに傷ついたようだった。
そのことについて、ダークハンターは特に感想を持たない。
持たないことを自分に強いる術を、幸福とはいいがたい過去の諸々から学んでいた。
「どいつもこいつも、いい加減にしやがれ」
彼は、ギルド設立当初からのメンバーではない。
第2階層を支配する魔人との戦いに臨み、戦力不足に嘆いていたギルドに、急遽前衛職として潜りこんだ。
ギルドメンバーには、ブシドーのほか、パラディンもメディックもアルケミストも居た。
もちろん、彼ら一人一人は違う人間だったが、全員に共通した要素もふたつあった。
ひとつは、誰を見てもちょっと捜すのが難しいくらいの使い手であること。
もうひとつは、そろいもそろって底抜けに純朴であることだった。
罠に嵌ったリスを助けようとして、アリアドネの糸を盗られる。
衛士を装った盗賊に魔物をけしかけられる。
なにより許せないのが、公宮の連中にいいように利用されていることに気付きもしないことだった。
おおよそ、お上と名の付く何者かが、冒険者をどう考え扱っているのかなど、それなりに場数を踏んだ彼には自明だ。
公に出来ない「ことになっている」事案を持ち込むのに、冒険者ギルドほど適当な場所は他にない。
ドブさらいはやりたい奴にやらせておけ、そういうことだ。
今度のクエストも、そうした案件に決まっていた。
最悪、怪物ではない「誰か」を殺す仕事だったとしても、すこしも自分は驚くまい。
「あいつらはそのあたりのことが、なんにも判っちゃいねえんだ」
さっさと抜けるべきだ。泥をすすって生きてきた男に似つかわしい場所ではない。
幾度となくそう思い、実行しようとしてきた。機会はいくらでもあったのだ。
『お主、辞めてしまうのか?』
長く艶やかな黒髪が美しいブシドーの少女に切り出されるたび、何も言えなくなった。
内側から溢れる感情を取り繕おうとするあまり、あどけなさの残る顔が妙な具合に歪んでいて、それが可笑しかった。
ずるずると、中途半端な気持ちを引きずったまま、思いのほか長く付き合いは続いていた。
どうしてなのか、ダークハンター自身にも上手く説明できそうになかった。
ただ、疎ましさを覚える時もある。たとえば、今夜だ。
お人好しなギルドメンバー達は、笑い、泣き、ダークハンターには理解できない何かを共有しながら生きているようだった。
そうした全てを唾棄しながら、ザラザラとした感情が皮膚の裏側に蠢くのを、いつも感じていた。
それはたぶん、嫉妬に似ていた。
452:汝、蛇なりや 3/9
08/04/28 20:40:18 pRu73In/
3.
大いなる存在への畏敬と、ほんの密やかな職人達の倣岸、二つがうまく溶け込んだつくりだからだろうか。
人間がその才知をこらして作り上げた公宮庭園は、それはそれで趣のようなものがあった。
そんな庭園の端、暗がりの中、ローブを被った女が独りで立っていた。
あちらでもダークハンターの姿を認めたのだろう、すべるような足取りで彼に近寄ってくる。
眼を、疑う。まぎれもなく公女その人だった。
おおよそ人生で経験したことがないほど、ダークハンターは周章狼狽した。
会うのが初めて、というわけでもなかった。ただ、昼間公宮内で接見したのは「公女様」であって、それ以外ではなかった。
「ギルドの方ですね?」
月明かりの下で、ダークハンターは「公女様」ではない「彼女」を発見していた。
女は、すばらしく美しかった。
暗闇でもわかる、いや暗闇の中でこそわかる、肌の白さ。
静かに憂いを湛えた瞳。
鍛錬を重ねた人間だけが持つことを許される、しなやかな肢体。
最後の部分だけは、あのブシドーに似ていなくもなかった。
鎌首をもたげた蛇のように、むくりと劣情が起き上がる。
返事をどうにか搾り出す。
「あ、ああ。そうだ。そうです」
「それで、依頼の件なのですが」
前置きもそこそこに、公女は語りだした。
こっそり樹海に赴いたこと。
そこで敵に囲まれた彼女を救うため、魔物の群れの中に消えた一匹の「ペット」のこと。
「けれど、わたしは、このままミニスターを見捨てることなどできません。
みなさまの力で、樹海にいるミニスターを助けてほしいのです。
それとこの事は決して公には出来ません。失礼ながら私の立場は不自由で……」
不意に、夢から覚めた想いになった。
この女は、樹海に消えた大勢の命より、一匹の獣の命を優先している。
やっぱりそうなのだ。ダークハンターの心から急速に温度が失われていく。
姿形の麗しさに惑わされるところだった。
女と自分の間に、はじめから交点などなかった。
お姫様は、お空の上のお城にお住まいで、雲より下の世界はご存知ない。
返事はもう決まっていた。断絶を告げるために、口を開こうとする。
唇が何か小さなものに押さえられていた。公女の手のひらだった。
一瞬、剣ダコが触れる。戦士の手だ。
「仰りたい事は、わかっているつもりです。私はひどい女です。それでも」
女の頬に、筋を引いて滑り落ちるものがあった。ダークハンターはとっさに眼を逸らす。
貴種とて同じ人間である証など、見たくはなかった。
「どうか、どうか。あのコを、助けて」
453:汝、蛇なりや 4/9
08/04/28 20:41:46 pRu73In/
俺はさんざん悪事もやってきたが。ダークハンターは考える。
そういや強姦ってのはまだしたことがなかったな。
目の前の高貴な女性を、思うさま嬲るのだ。さぞかし気分が良いだろう。
人生全てと引き換えに出来るくらいに。
ギルドの奴らも、ただでは済むまい。
事あるごとに俺の顔を思い出しては、罵声を浴びせかけるのだ。
『クソ、お前さえ居なければ!』
まったく哂える想像だった。
本当に笑いが漏れそうになって、必死でこらえた。
今笑い出せば、きっと自分は永久に笑い続けるだろう。
公女がこちらを見つめている。決死の覚悟を込めた表情で。
パラディンが味方の盾となって敵に立ち塞がるとき。
メディックが倒れた友人を励ましながら治療するとき。
アルケミストが必殺の術式を仲間のために紡ぐとき。
そしてあのブシドーが『大層困っておる』誰かのために鞘を払うとき。
きっと、今の公女と同じ顔をしているに違いない。
知れきった破局。彼らと一緒に最後まで歩き続けることなど、不可能だ。
「その仕事……」
だっていうのに、これから何を言おうってんだ? ええ、ダークハンターさんよ?
「お受けしましょう」
やっちまったな。
絶望感と共に、男は思った。
風景というものは、見る者の心象を写す鏡なのだと、偉い芸術家サマはおっしゃった。
実のところ、それが全くの真実であることに、帰路を行くダークハンターは生まれて初めて気が付いていた。
風も石畳も街並みも、そびえ立つ世界樹も、なにもかもが彼の精神と感応し、ざわめいているのだった。
自分は変わってしまったのだ。
深い困惑と、次いで恐怖が彼を襲う。
大公宮に出向く前の俺に戻してくれ。
そう叫びたくて仕方ない。こんなことを望んだわけではなかった。
粗暴かつ辛辣な、どこまでも計算高い蛇で居たかった。
闇の上に暗幕をかぶせた寂しい路地裏に入り込み、そこでしゃがみこむと、彼は顔を覆って泣いた。
454:汝、蛇なりや 5/9
08/04/28 20:43:18 pRu73In/
4.
宿に帰り着き、その玄関口にブシドーの立ち姿を認めて、少なからず驚く。
時間はとうに01時を過ぎているはずだった。
「遅かったな」
まさか、自分を待っていたというのか。
「で、どうであった」
依頼の件を聞かれているのだと分かるまで、すこし間が必要だった。
「請けてきたぜ。ろくでもない話だったがな」
コクリ、と頷いた後、急に距離を詰めてくる。息がかかるほど互いの顔が近い。
「……泣いて、おるのか」
これだからこの女は苦手だ。
「そんなんじゃねえ」
自分でもはっきりと感じる声の弱さに、愕然とした。
「そんなんじゃあ、ねえ」
視界いっぱいに少女が映る。
「辞めてしまうのか?」
妙な具合に歪んだこの寂しげな顔に、自分はいったい何を期待していたのだろうか。
これ以上心をかき乱されるのはご免だ。
ダークハンターの手が、ブシドーを突き飛ばした。とっさのことに反応できず、軽い体が地面に転がる。
袴が乱れ、ただでさえ表面積の少ない着衣の隙間から、健康的な太股が覗く。
公女の肢体に向けられたのち、一度は去ったはずの劣情が、再びダークハンターを満たした。
凶暴な気分の命じるまま、体勢を戻そうとするブシドーの手首を掴み、体ごと自分の許へと引き寄せる。
「お主、なにをするか」
そうだ、まだ間に合う。
小さな獲物を飲み込むとき、蛇は本来の自分を取り戻すはずだ。
「いいから黙って来い」
返事があろうとなかろうと、どちらでもよかった。
だから、その気になれば魔獣とさえ渡り合える剣士が、どうして抵抗もせずされるままになっているのか、
想像してみることもしなかった。
455:汝、蛇なりや 6/9
08/04/28 20:44:21 pRu73In/
男女二人が潜める場所くらい、いくらでもあった。
ましてや彼は、影にひそみ罠を張るダークハンターだった。
住居から死角となる木陰にブシドーを連れ込むと、下に広がる芝生へ乱暴に押し倒した。
ブシドーは黙ったままだ。黙って不安に耐えながら、涙を湛えた瞳で彼を見上げている。
「これから何されるか、わかってんのかよ」
最後に残ったひとかけらの理性が、ダークハンターの口を開かせた。
「わかっている。拙者とて、女だ」
「怖く、ねえのか」
どうしてさっさと獲物を口へ入れてしまわないのだ! 蛇が身中で不平を吐く。
「たまらなく恐ろしい。怪物の牙を受けるよりも、竜の炎にあぶられるよりも」
「だったら」
「信じておる。たとえ、奉じる『道』は違えども、お主はもののふだ。轡並べて戦に向かうに値する、戦友だ」
丸腰のブシドーが放った視えない斬撃が、飛び掛る蛇の首を刎ね飛ばす音を、ダークハンターはたしかに聞いた。
ゆっくりと体を起こす。少女が怖がらないよう、丁寧に。
「……わりい。俺、行くわ。みんなによろしく言っといてくれ」
立ち上がろうとして、袖を掴む小さな手に阻まれた。
「待て。拙者に恥をかかせたまま逃げるつもりか」
「うるせえ。せっかく辞めるきっかけが出来たんだ、このまま消えさせてもらう。仕事の中身は酒場の親父に預けとく」
実際そのつもりだった。最初からこうしていればよかったのだ。
「……では、…………ぬのか」
か細く、ブシドーが呟く。
「なんだよ。聞こえねえぞ」
「拙者では、ギルドへ残る理由にはならぬのか」
言葉が、ちっぽけな自我ごと心を焼いた。
両腕を回し、ブシドーを強く抱きしめる。草と土の匂いがした。
「お前を抱きてえ。お前らと、あの迷宮を昇り抜きてえ」
今日までの日々は、これを言うためにあったのだと、男は半ば本気で信じた。
「この体、乙女ではない。それでもよいか」
少女の唇に口づける。答えの代わりのつもりだった。
「不器用な男だな」
女が優しく言った。
「お互い様だ、馬鹿」
456:汝、蛇なりや 7/9
08/04/28 20:45:15 pRu73In/
5.
ダークハンターが服を脱ぎ終えて顔を上げると、ブシドーの裸身が目の前にあった。
具足で隠されていた肩は、案外なで肩で、そのぶん首の長さが目立つ。
控えめな乳房についた小さな突起は、四層で咲き誇る花の色をしていた。
鍛え抜かれた下半身に女性らしい丸みは少なく、その細いラインがよくしなる弓を連想させる。
茂みは淡く、愛らしかった。
「綺麗だな」
思ったままを言う。
「……馬鹿者」
ブシドーは軽く頬を染めた。
木の根元に背中を預けて座り込み、ブシドーを抱き寄せると、上から下にかけてゆっくりと撫でていく。
引き締まってはいたが、筋肉がみっしりと詰まっているわけでもない。
刀は力ではなく、技で斬るのだという。そのせいだろうか。
腕から腋、腋から胸、胸から腰、そして太股へ。
ブシドーはじっと目を閉じている。手から伝わる体温を味わっているようだった。
感触を楽しみながら、右の乳首を口に含む。ブシドーが腰を軽くよじらせた。
口中に香りが広がる。汗の匂いではあったが、甘く感じる。
手の方は股間に辿りついていた。少女の目が開き、体がわずかに硬くなる。
はざまを上下に撫で回す。思ったより弾力があった。
顔をずらして、今度は左の乳房を丹念に舐める。刺激の変化に、少女は吐息を漏らす。
そこを突いて切れ込みへと指を浸入させた。
内部をおもうさま蹂躙していく。中は薄く潤んでいた。
段々と、ダークハンターにかかる少女の呼気が熱を帯びてきていた。
切れ込みから指を引き戻し、いったん2人の体を離す。
不審がるブシドーと体を入れ換え、膝を立てて仰向けに寝かせる。豊かな黒髪が地面に広がった。
男の態度をどうとったのか、おずおずと少女は少しだけ股を開いた。
「まだ、しねえよ」
ダークハンターは自身も体を沈めると、ブシドーの両足を双肩に担ぐ。
そして顔を股間にうずめていった。
少女のそれは、今まで知るどんな女のものよりも可憐だった。なにか尊いものを見ている気がした。
「や、止めい。そんなところ」
唇を這わせる。舌でなぶる。
肉芽に舌先が触れるたび、かき消えそうな声が降ってきた。
ダークハンターは、深い悦びに震えた。ずっとこうしていたい位だった。
457:汝、蛇なりや 8/9
08/04/28 20:46:12 pRu73In/
「もう、もう」
どれくらいそうしていたものなのか。
ふと、我に返り、声を聞く。慌ててブシドーを観ると、彼女は息も絶え絶えに、法悦の表情だけを浮かべていた。
名残惜しさを振り払い、ダークハンターは身を起こす。
それから屹立した自身の分身を、ブシドーの中へと潜り込ませた。
ブシドーが応えて、おとがいを上げる。
「背中、痛くないか」
ブシドーの膝頭を押さえ、腰を使いながら、自分にできる精一杯の優しさをもって問いかけた。
「仔細ない。お主の良いようにしてくれ」
ひたすらに愛おしい。
こんな女と繋がっていられることを、信じたこともない神に感謝した。
浅く深く突き入れる。膣内の律動が変わるたび、どちらからともなく口づけを求めた。
いつしか少女の腰も揺らめいている。ぶつかり合う二人は、文字通り一つになっていた。
次第に高まりがせり上がってきていた。終わってしまうことがひどく寂しい。
まるで初めて女を抱いているようだった。
いや、今自分は、愛を交わすことの意味と価値を学んでいるのだ。そう思った。
限界がきた。ブシドーもそれは同じだった。膣内に絶頂のしるしが走る。
おめきをあげ、抜き放つと、少女の腹の上に射精した。
彼女もまた、甘美なおののきを発した。そうしてから、両の腕でダークハンターをかき抱く。
「行くな。お主の居場所は、ここぞ」
ダークハンターは笑う。なるべく下品に映ればいいが。
「ばーか。女の寝言を信じるほど落ちぶれちゃいねえよ」
安堵を乗せて、ブシドーが、軽口を叩くダークハンターを見つめてくる。
ちょっと始末に困るくらい、その姿は美しかった。
458:汝、蛇なりや 9/9
08/04/28 20:47:10 pRu73In/
6.
クエストは散々だった。
犬は逃げ、鳥は舞い、花が乱れた。
「やっぱり、ろくな仕事じゃなかったな」
全身に噛み傷をこしらえたダークハンターがぼやく。
「うむ。『蛇蝎のごとく嫌われる』というが、此度のお主がまさにそれであったな」
「ぐ、なかなか言うようになったじゃねえか……」
怯えたミニスターに何度も噛まれたのは彼だけだった。
そのミニスターを届けるため、他の3人は宿を出払っている。
二人だけの大部屋は、広すぎるように感じる。いままで、そんな気持ちになったことはなかった。
「変わっちまったな、俺も」
独り言のつもりだったが、ブシドーは自分が話しかけられたものと捉えたらしい。
「今日知らず、明日また識らず。ゆえに一定」
また、わけのわからない事を言った。
「……あ? なんだって?」
「お主に逢えてよかった。そういうことだ」
十代の少年もかくや、というほど顔が熱くなる。畜生、この女。
窓を開け放つ。室内に風が吹き込んで、部屋の空気を撹拌する。
自分にとっての窓、それがあの夜で、吹き込んだ風はブシドーの少女だった。
空気の入れ替わった部屋がどうなるのかは、住人次第といったところか。
らしくもない。誰かの馬鹿が伝染した。
なにげなく振り向く。
すると、椅子に腰掛けたブシドーと目が合った。
「なあ、『生きてるのはいいもんだ』ってのを、お前の故郷じゃなんて言うんだ」
ブシドーは視線を泳がせ、すこし考えを巡らせるふうだったが、やがて向き直り、答えた。
「そうさな。『花鳥風月』であろうか」
相変わらずさっぱり意味はわからなかったが、なんとなく良い響きだった。
口に出して言ってみる。
「カチョーフーゲツ」
ぷっ。ブシドーが吹きだした。
「へ、やっぱり柄じゃねえや」
一緒になって、ダークハンターも笑い出す。
窓から射し込む日差しは、以前よりも暖かだった。
おしまい
459:名無しさん@ピンキー
08/04/28 22:28:28 E4KesBHs
GJ
良い作品でした。
ダク男が良い感じだなぁ……
460:名無しさん@ピンキー
08/04/29 00:24:05 6ZTrqID8
ブシドーの切れ味の良すぎる言葉に心を一閃されたぜ
461:名無しさん@ピンキー
08/04/29 17:41:19 jJ3OjUVs
うちのギルドにダク男入れたくなった。GJ
462:名無しさん@ピンキー
08/04/29 23:19:27 yOno+c8P
ブシドーをショタ、ダク男を金髪ダク女に脳内変換……
ああ、やっぱダクハンは男女ともにエロパロ向きだわ。
463:名無しさん@ピンキー
08/04/29 23:46:39 KGzI6nEf
>>41
( ゚д゚)
( ゚д゚ )
フロストガールさんですか?
464:名無しさん@ピンキー
08/04/29 23:47:18 5L+y0wdm
とうとう女に
465:名無しさん@ピンキー
08/05/01 02:29:49 h6iPI/pK
妄想マスタリー&暴走マスタリー10を頼りに挑戦してるけどやっぱ難しいな……
文章マスタリーに1で良いから振りたい。
どうやったら文に艶が出るんだろう。
466:名無しさん@ピンキー
08/05/01 02:39:32 qiMSEcPD
つワックス
467:名無しさん@ピンキー
08/05/01 18:39:35 urH5V0pG
ボスマラソンならぬ作マラソンだ
468:名無しさん@ピンキー
08/05/02 05:54:34 0wH6tlNx
保管所に一本直接投稿しました。
いささか問題がありそうなのでだめなら消去します。
初書きなので駄目出しなどありましたらよろしくお願いします。
ちなみにギルドメンバーは休養後何かを振り切るかのごとくボスマラソンにいそしみLv99になって帰ってきました。
469:名無しさん@ピンキー
08/05/02 08:08:47 09wefSi5
面白かった。GJ。
470:名無しさん@ピンキー
08/05/02 12:37:05 qdST7/wF
読ませていただきました。GJでした。
471:名無しさん@ピンキー
08/05/03 01:59:44 Dxeg2XVL
>>468
良かったよ、GJ
472:名無しさん@ピンキー
08/05/03 04:24:14 mBAEMNHK
>>468
文も読みやすかったし、何より設定が面白かったよ
GJ!
473:名無しさん@ピンキー
08/05/03 08:53:18 Y9Wc+dJg
オウガとデモンどっちが雌なのか、そこが問題だ。
474:名無しさん@ピンキー
08/05/03 10:29:56 wDG2xgUR
オウガとデモンは男と意識して生きるモリビトの最終形態。
オウガが肉体派、デモンが技巧派。
女として生きるヴァルドやドルイドが何らかの形で
モリビトを超越し、精霊化したのが貴婦人・姫君
適当に妄想してみただけよ。
475:名無しさん@ピンキー
08/05/03 14:33:10 r/8TBa19
なら雌になる分には人間のなかで生きるのに不都合ないじゃないか。
服が着られない?寧ろそれこそばっち来(ry
476:名無しさん@ピンキー
08/05/03 17:05:49 8BfY7d3l
採取採掘伐採隊を
レンジャーズじゃつまらないから
ペ / パ / ペ
メ レ
にしてみた
気がついたら脳内でお笑い芸人集団になってたorz
477:名無しさん@ピンキー
08/05/03 17:09:30 8BfY7d3l
すまん
誤爆した
478:満開の季節…の少し後 1/2
08/05/04 02:36:18 I3ladOKD
保守がてらに。エロ無しなんで適当に読み流してください。
※
その日は空飛ぶ城の中、適当に素材集めをして一日が終わった。
主に活動していたのは一軍の皆ではなく、ギルドの後ろを守る採集部隊である。
ギルド本部の一室で、彼らはおのおの入手した戦利品を床に広げて物色していた。
せかせかと動き回る皆の中、一人だけ暇そうにしている少年がいた。パラディンである。
いざこの段になると、採集部隊の皆を守るべく一人借り出されたパラディンにはもうやることが無い。
盾のふちに顎を乗せて、時折会話に混ざりながら皆がアイテムを整理するのをぼうっと見ている。
「……でもまあ、殺されなかっただけでもめっけもんですよね」
道具袋からマンドラゴラの残骸を引っ張り出していた銀髪のダークハンターが、そんな彼にのんびりとした声で問うてきた。
「は?」
パラディンの目の前の床板に転がされたマンドラゴラは、
哀れ敵を倒すための腕も必殺の呪声を紡ぐための口も縛られ、すのこ巻き状態で動かなくなっている。
そんなマンドラゴラを慣れた手つきでくるくると回しながら、ダークハンターはこう言うのだ。
「だってアルルーナなら動けなくなったところを茨の鞭でばしばしひっぱたいてこんな風にぐるぐる巻いて、
血だるまになったところを改めて頂きまーす、でしょう?」
褐色の指がマンドラゴラの細い触腕を掴んで摘み上げた。
エトリアで戦った妖姫のことを思い出し、パラディンはそうだな、とうなずく。
「ああ、確かにそんなだったなあれは」
「そうしなかったってことは、手加減してくれたんですよ。おいら達が培った絆の勝利ですよ」
無邪気に言うダークハンターだが、それに対するパラディンの反応はいささか冷めたものだった。
「でもいくらかでも正気が残ってますって風でもなかったよ、あれは」
「へえ?」
「殺されないで済んだのは、……なんでだろなぁ」
「それはそうでしょう」
「うわ!?」
気配も無くいきなり割って入ってきたアルケミストに、パラディンは派手に声を上げて盾を構えかけ、
ダークハンターはマンドラゴラを放り出しかけた。慌てて掴み直した茶色い球根を二三、褐色の手がお手玉する。
「いきなりそうやって気配消して出てくるの止めてくれよ!」
「心臓飛び出るかとおもったっすよ……」
「はっはっは、そりゃ失礼」
悪びれた様子も無く笑って、アルケミストはどっかりと二人の傍に腰を下ろした。
「……たく。で、なんて?」
「だってそうでしょう?性的な意味で暴発した結果があれなら、獲物を痛めつける意味は無いんですよ」
獲物は捕食対象でなく、交接の対象だったわけですから。
むしろ丁重に や さ し く 扱うのが生物の本能というものです。
生物学の授業でもするようにあっさり言って、アルケミストはパラディンを赤面させた。
「うー……」
パラディンが染まった頬を盾に隠す。アルケミストは涼しい顔だ。
「じゃあアルルーナはなんなのさ。あの娘、男も女も殺す気満々だったじゃないか」
「やー、単純に彼女が嗜虐趣味だったんでしょう。
生理的に性欲を発散する術が無くて、それでも性的欲求を充足させようと思えば、
そういう傾向を推し進めるしかなかったんじゃないですか」
「そういう傾向、ね」
一発スマイトした後の彼の、ものすごく嬉しそうな顔を思い出す。
「……マスターがMっ気あって助かったってことか」
「ですねぇ。……ん、どうしました?」
「ん?」
二人がふと横を見ると、会話に加わっていなかったダークハンターは、
マンドラゴラをほっぽりだして胸元で両の拳をプルプルと震わせていた。
479:満開の季節…の少し後 2/2
08/05/04 02:38:18 I3ladOKD
「どうしたよ、ギ」
「……可哀想です!」
ばん、と音を立てて褐色の手が床をぶったたいた。
わいわいと作業を進めていたレンジャーの二人やドクトルマグスが、目を丸くしてこちらを見る。
「…………か、かわいそうって何がさ」
「だって!溜まる物だけ溜まって抜き方知らないって、それはっきり言って地獄じゃないですか!」
「抜き方とかちょっと、女性もいるのに」
「そのままずっと放置だなんて、あまりに可哀想です!」
「いやー、女性型モンスターにそういう表現を用いるのも違和感があるものですねー」
止める気も無くのほほほんと言うアルケミストの向こうから、眉をひそめてひそひそと耳打ちをする女性陣の声が聞こえる。
が、いささか己の義憤に酔っている気の有るダークハンターは聞いていない様子だ。
「何とかしてあげましょうよ!」
「……いや、何とかって」
「パラディンさん!」
たじたじとしているその両手を、いきなりがっしと掴まれた。キラキラ光る金色の目が真正面から見つめてくる。
「ちょ、やめろよ!何で僕を見る!」
「だってマスターの時は貴方が」
「わーーーーー!!!それ誰から聞いたっ!」
「そんなもの現場見れば分かりま」
「わーーーーっっ!!!」
「下半身剥きd」
「わーーーーーーーー!!!!!」
新人のたむろするギルド登録所のロビーに、公国最強と目されたパラディンの情けない事この上ない悲鳴が響き渡った。
※
「どうしたの、兄さん」
腕組みして何事か考えているアルケミストに気づいたドクトルマグスが、その顔を覗き込んだ。
彼はおどけた笑顔をしまいこんで、色々なものが散らばっている床をにらんでいる。
「いえ、これは一考の余地が有りそうだと思いましてね」
「冗談。……まさか、アルルーナを?」
「ええ。うまく行けばモリビトに貸し一つ作るチャンス、ということですよ」
「……でもアルルーナは、彼のように人の部分を持ってるわけじゃないわ。人との交接でどうにかなるわけじゃ無いでしょう?」
「まあそこは人間の多形性とわれわれの技術で何とかしましょう。別に妊娠させろと言うわけではないのですから」
「……ハードルは低い、か」
ドクトルマグスとアルケミストが真剣に話し出したのを、大騒ぎする男二人はもちろん聞いていなかった。
※
数週間後、エトリアの酒場に、執政院ラーダの名義で奇妙な依頼文が貼り出される事になる。
下手をすれば娼館の宣伝文とでも取られかねないその張り紙は、暫くエトリアの噂好きたちの口を賑わせることになった。
※
で、クエスト依頼『僕らが抑えつけとくんで、この娘犯っちゃってください!』が発動するわけですが。
この先誰か続けて下さい。
480:名無しさん@ピンキー
08/05/04 02:42:55 dWXtmZ2W
リアルタイムでGJしにきたぜ。
たがしかし…奴はマンドレイクなんだ…