キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10 - 暇つぶし2ch200:名無しさん@ピンキー
08/03/15 23:42:04 YxebYIeO
銀行襲って高飛び!

201:名無しさん@ピンキー
08/03/16 00:11:52 YCAC/LbL
>>199
そこで相手が大勢だろうとも○してしまえるほどの戦闘力があるのがキモ姉キモウト

202:名無しさん@ピンキー
08/03/16 00:16:57 92/Lk0oB
秘密を守れないほど大勢に知られたら、開き直って公表しちゃうとか、
どこか別の土地に移るとか、愛しい人を地下室に監禁して隠れ住むとか…

203:名無しさん@ピンキー
08/03/16 00:30:35 4+oCMWOs
最初から隠さない

204:名無しさん@ピンキー
08/03/16 00:33:33 92/Lk0oB
それだ!
「近親相姦しちゃうような男、誰も相手にしないわよ。もう、お兄ちゃんには私しかいないのよ」
という使い方も出来る。世間?何それ?美味しいの?

205:名無しさん@ピンキー
08/03/16 00:37:10 uVx3Hb4+
どうでもいいが、となグラのキモウトが可愛い嫉妬しているわけだがw

206:名無しさん@ピンキー
08/03/16 03:00:14 9tSgMjPk
>>197
詳細

207:名無しさん@ピンキー
08/03/16 08:09:07 0F0fbpon
>>206
何でわざわざ不愉快な漫画に金を払わにゃならん
立ち読みだ立ち読み
一々内容なんて覚えてねーよ

208:名無しさん@ピンキー
08/03/16 09:00:53 OUVMT7KW
まあそんな展開はエロゲじゃありふれているけどな

209:名無しさん@ピンキー
08/03/16 15:08:33 ic+gSPZ0
サスペンスでは殺人の動機の六割は脅迫されたからだよな

210:名無しさん@ピンキー
08/03/16 17:21:57 qCll+E5m
未完成の作品多いな
以前ワクテカリスト張ってた人いたけど、今つくったら大変そうだ

211:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:35:35 e9X1ti2f
投下します。


212:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:44:24 e9X1ti2f
 「どうするかなあ?」
 自室にて、遥が小声で呟く。

 遥は、既に兄を襲った相手を特定している。
 今までの言動、
 智佳が言っていた丁寧な言葉遣いをする同じ学校の生徒、
 そして、今日に嗅いだ匂い、
 それらが遥に、ある一人の人物を想定させていた。
 遠藤久美、
 少々変わった友人。
 「どう始末を着けようかな?」
 遥が、小さく首を傾げた。

 かつての、横山楓のように殺すのは、それほど難しくはない。
 あの時と違い、遥は久美の事をある程度は把握しているのだから。

 それでも遥は、あの時と同じ手段を取る事を躊躇していた。
 久美が同級生、
 だからではない。
 ”人の死”
 それが兄にどんな影響を及ぼすか、
 それが想像出来ないだけに、
 怖かった。

 楓という人間の死が兄に与えた影響、
 それは、自分と兄との間に、血縁だけではない大きな壁を作ってしまったのだ。
 その壁は、遥の望みを妨げている。

 そして、もう一つの理由を言うなら、
 久美が最後まで出来ていない、
 その事実に、自信がもてるからだ。

 通常、移り香が残る程に男女が近くに居続ける状況なら、
 ある程度の知識がある人間なら、大概が同じ答えをだすだろう。
 遥は、おそらくは智佳もその答えを導き出している、そう考えている。
 だが、遥はその答えを否定する事が出来る。
 楓の死が与えた後遺症が、
 自分だけが癒やせる、
 そんな根拠のない自信がある、兄の傷。
 その存在を遥は知っているから。
 とはいえ、兄に何らかの危害を加えた久美を、遥は許す気はない。

 「ちぃちゃんと協力して…」
 そこまで言いかけて、遥は口を止めた。

 もう一人の自分が、まるで悪魔の様に、囁きかけてきた言葉がある。
 それを実行すれば、兄は完全に壊れるかも知れない。
 だが、そうなれば、自分だけの兄に、
 兄貴から康彦へと、変られるチャンスにもなる。
 そこまで考えた自分に気付き、その考えを否定する為に、遥は大きく首を振った。
 まだ、その手段をとるのは早い。
 全てを終えていない今は。

213:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:45:19 e9X1ti2f
 智佳は小さく溜め息を吐く。
 今回の出来事に対して。

 全てが分かる訳ではないが、智佳にはある程度の想像がついた。
 兄が、誰かの悩みを聞くうちに、その誰かを惚れさせてしまった、
 そんな簡単な事実。

 今、智佳が吐いた溜め息は、そんな事実に対してのものではない。
 遥に対してのものだ。

 智佳は遥の存在を認めている。
 実行力と勘の鋭さ、
 その二つは自分にはないものだ。
 だからこそ、智佳は遥と共闘しているのだ。

 だが、遥には遥の甘さがあった。
 身内を疑いきれない、
 そんな甘さが。
 それが智佳には、不満でもあり、物足りなさでもあった。

 今回の事、
 おそらくこれは、遥の友人から起こした出来事だろう、
 智佳はそこまで確信がもてる。
 そして、その友人とやらは、それなりの信号を発していたはずだ、
 智佳はそう考える。

 「もう要らないかな」
 小さく呟いた智佳の一言、
 その言葉には、人に言えない暗さが宿っていた。

214:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:46:33 e9X1ti2f
 妹、久美の様子を見た早紀は、久美が何をしてきたのか、察する事が出来た。

 久美が、あの”先輩”と何かをした。

 具体的な説明は出来ないものの、そこはある程度以上に経験を積んだ、女の直感とでも言うべきものか。

 その上で早紀は悩んでいる。
 鈴に、あの先輩に惚れている友人になんと説明すべきかを。

 話さなければ良い、
 そんな考えは鈴からの電話、そして鈴からふられた話で駄目になった。


 「妹ちゃん、そこまでいったんだぁ…」
 「いや、そうじゃなくてさ、あの子は…」
 力無く言う鈴の言葉に、早紀は懸命に反論の言葉を捜す。

 鈴の口車に乗せられて言ってしまった一言、
 それを否定する為に、早紀は必死だった。

 「私は別に良いんだよぉ?」
 「早紀ちゃんの妹さんが幸せになるなら…」
 何かを悟ったように、優しく言う鈴に、早紀は言葉もなかった。

 「鈴…」
 言葉を詰まらせながら言うべき一言を考える。
 二人の恋愛を応援しようと決めたのだから。

 「そんなに気にしなくても、大丈夫だよぉ」
 早紀の胸中を察するように、鈴が優しい言葉を出す。
 「私はそんなに辛くないからあ!」
 そういう鈴の言葉は、早紀にはやせ我慢に聞こえた。

 「でも…」
 「大丈夫、大丈夫だからねえ!」
 何かを言いたかった早紀に、鈴はそれだけ言うと、焦る様に電話を切った。

 それが早紀には辛く感じていた。

215:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:48:20 e9X1ti2f
 「ヤったんだあ、あの子ぉ…」
 電話を切った鈴が、一人呟く。

 「妹さん達ぃ、気付くだろうなあ…」
 その言葉は鈴に笑いをもたらした。

 そして鈴は目を閉じる。
 中学の時、初めて康彦に会ったあの日、
 自分を受け入れてくれそうな相手を見つけられた歓喜。
 それからは、康彦から決して離れない様に過ごしてきた日々、

 「辛かったなあ」
 過去を思い出して、思わずそんな言葉が口に出る。

 「でもぉ、もう終わりだよねえ…」
 歪んだ唇、濁った光を宿した瞳、
 それ以上は表現し難い顔を鈴はしている。

 久美という女がした行動に自分の夢を邪魔している存在がこれからするであろう行為、
 それに対して早紀がするだろうという報復、
 その二つを考えた鈴は思わず、
 「先輩、壊れちゃうかなあ」
 そう言ってしまった。

 ニヤけた顔は止まらない。

 「そしたらあ、私だけの先輩に…」
 その言葉が鈴の興奮を強めたのか、吐息が荒くなっていた。

 そんな自分を、鈴は懸命に押さえ込んだ。

 今回は決定的な証拠を掴んで、それを上手く早紀に使わせなくてはいけないのだから。

 難しい作業だとは鈴も思う。
 しかし、その先に待ってる未来は、鈴が待ち望んだ未来だった。


216:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:49:04 e9X1ti2f
投下終了です。



217:名無しさん@ピンキー
08/03/16 21:31:19 mc81RGtJ
一番槍GJ!
ああ、何か新鮮だ。鈴が黒杉

218:名無しさん@ピンキー
08/03/16 21:34:46 /AGmoj7e
GJ!
読んでると、遥がある意味一番白いんじゃ無いかと思えてきた。
…まぁある意味だけど、つーかみんな黒い!黒いよ!

219:名無しさん@ピンキー
08/03/16 21:45:57 XUfV40xn
久しぶり!
投下乙グッジョブ

220:名無しさん@ピンキー
08/03/16 22:03:04 7rAsg58l
もうお兄ちゃんには生き残る道が残されてないんじゃないだろうかとw何はともあれGJ!!

221:名無しさん@ピンキー
08/03/16 22:22:04 hcC4uZZR
GJだがみんなこわいwww
こっからどうなるんだ…

222:名無しさん@ピンキー
08/03/17 02:10:30 nRByoxAa
GJ!
しかしまあここはキモ姉&キモウトスレだからな
そういう意味では安心して読める…よね?

223:名無しさん@ピンキー
08/03/17 05:44:20 aCdeT5WN


224:名無しさん@ピンキー
08/03/17 16:09:47 DvfNpALE
>>220
お兄ちゃんに生きる意志が無いからむしろ本望だな

225:名無しさん@ピンキー
08/03/17 16:55:17 3BCtyKaU
31歳男性が実妹(二十代前半)との間に、4人の子供をもうけた罪で、禁固二年半の有罪判決(ドイツ)
URLリンク(same.u.la) 



226:名無しさん@ピンキー
08/03/17 18:42:59 xDjnPn5+
携帯(笑)

227:名無しさん@ピンキー
08/03/17 18:50:03 ZFbDLIOF
保管庫って毎日千人超の訪問者がいるようだが、2ch以外からのROMもいるんだろうか

228:名無しさん@ピンキー
08/03/17 19:33:18 mUvH0Ep7
その1/10は俺だな・・・

229:名無しさん@ピンキー
08/03/17 20:06:17 /rJdPJdD
1/5はおれだなぁ

230:名無しさん@ピンキー
08/03/17 20:19:29 oxoQymmz
リンク見る限り検索サイトとか、まとめサイトのまとめとかから着てる様子
とはいえ、あのカウンターはあまり当てにならんけどな
リロードや戻るでTOP表示されるたびに1回カウントされるし
実際の3割り増しくらいじゃないか?多分だが

231:名無しさん@ピンキー
08/03/17 20:35:05 FUP9sgwr
LV、0 気が向いたら保管庫を見てる
LV、1 気がついたら保管庫を見てた
LV、2 もう保管庫がないと生きていけない
LV、3 キモ姉・キモウトに対抗するために保管庫で勉強してる。もしくは、弟・兄をものにするため保管庫で勉強してる
LV、4 隣にいるキモ姉・キモウトに保管庫を無理やり見させられて、姉・妹の素晴らしさを延々と語られている
LV、5 LV、4でキモ姉・キモウトの素晴らしさに目覚めました

232:名無しさん@ピンキー
08/03/17 22:16:07 UaUbayG4
LV2と3の間には永遠の隔たりがあると思うんだがww

233:名無しさん@ピンキー
08/03/17 23:11:49 F//VX/vn
俺はどう頑張ってもLV2だ…orz

234:名無しさん@ピンキー
08/03/18 00:04:05 KRtxXYLt
>>231
キモ姉妹的にはだな、たとえ例だとしてもほかの女を兄弟に注目させるのはどーかと思うんだ

235:名無しさん@ピンキー
08/03/18 00:07:48 CZ2VNLWA
兄弟が、ほかの女のことを注目するように仕向ける、ぐらいの意味で。
わかりにくうてすまん

236:名無しさん@ピンキー
08/03/18 01:19:08 0U/FVmDh
幸せになるための教科書ぐらいの感覚を持つキモ姉妹がいてもいいじゃないか
兄妹の本来あるべき姿を兄に知ってもらうためにも
だけど、>>235の主張ももっともなんだけどな
ネタなんだし深く考えなくていいんじゃないか

237:名無しさん@ピンキー
08/03/18 02:23:40 dqdGKogi
まあ、教材とか兄・弟の啓蒙用に使うくらいはありそうだな






そして、後に「じゃあ、もうこれは用済みね」とか言って全消去・・・・・・

238:名無しさん@ピンキー
08/03/18 05:42:44 ZYSYdLOl
働きすぎで不覚にも風邪を引いて寝込んでしまった

こんな時でもキモ姉と盗聴器で風邪を引いたと聞いて駆け付けた従姉妹のキモ姉がやってきて・・・・

なんて考える俺はもうダメだ

239:名無しさん@ピンキー
08/03/18 07:29:58 rALD+3hL
>>238
変じゃないよ!
全然変じゃないよ!

240:名無しさん@ピンキー
08/03/18 08:49:15 ECC+xvEb
おかしくないだろ…常考

241:名無しさん@ピンキー
08/03/18 11:09:26 6b1jV90m
>>238
花粉がキモウトに擬人化してくれればって思う俺よりかはマシ。

冷静に考えると擬人化すればキモウトが1c㎡に100人も現れるんだよな。
そしたらこのスレ1人に5人くらいキモウトが出来るね!
5人のキモウトを交互に可愛がりたい(*´Д`)

242:名無しさん@ピンキー
08/03/18 12:12:24 O5HGhvY2
昔の映画みたいに、プールに入って無限増殖とか素敵よね

243:名無しさん@ピンキー
08/03/18 12:16:18 yWY1/F3S
>>241
永遠の花粉症で干からびてしまえ

244:名無しさん@ピンキー
08/03/18 12:49:28 Keia+uBk
花粉キモウト注意報だな

245:名無しさん@ピンキー
08/03/18 13:08:14 +gGDniVr
>>242
あと夜中の12時以降に食事を与えたら駄目だぜ

246:名無しさん@ピンキー
08/03/18 14:52:14 JMWlWxyA
>>241
普通に気色悪いな

247:名無しさん@ピンキー
08/03/18 15:35:23 2ecmDtXs
ドラえもんにバイバインという道具があってですね。
これを使えばキモ姉キモウトハーレムなんてすぐ現実になる。

248:名無しさん@ピンキー
08/03/18 16:22:32 rALD+3hL
増えるのはいいんだがそのあと誰が兄・弟を独り占めするかで血闘が起こりそうな件

249:名無しさん@ピンキー
08/03/18 16:34:53 NbDngDHR
バイバインは「増え続ける」薬品だから、血闘で間引かれないと地球が
キモ姉妹に埋め尽くされる。

250:名無しさん@ピンキー
08/03/18 17:12:21 epGQ1BbZ
お前ら大切なキモ姉、キモウトを増やすとか間引くとかひどいぞ!
俺は1人でもいいから一途に思ってくれるキモ姉、キモウトがいればいい!

251:名無しさん@ピンキー
08/03/18 18:23:57 ECC+xvEb
まず姉妹がいないから欲しい
話しはそこからだ

252:名無しさん@ピンキー
08/03/18 19:13:00 k7rbg0/C
SSで我慢しとけ。
リアルの姉なんぞ碌なもんじゃない

253:名無しさん@ピンキー
08/03/18 19:42:22 yWY1/F3S
鴨肉食べたいです

254:名無しさん@ピンキー
08/03/18 21:07:55 Ck9+l3bp
酒はぬるめの燗でいいのです

255:名無しさん@ピンキー
08/03/18 22:06:17 zGfDqk5T
コタツで食べると尚おいしい

256:名無しさん@ピンキー
08/03/18 22:31:12 g7sBY+5S
エバラやきにくのタレ

257:名無しさん@ピンキー
08/03/18 22:34:28 9cn++axx
>>254
「お姉ちゃんの胸でお燗したお酒にするよね~」

「私の胎内で暖めたぬる燗にしますよね兄さん。……ちょっと別の物混じってますけど」

どっちなんだ?

258:名無しさん@ピンキー
08/03/18 22:44:41 eYMniSAk
>>257
俺はお姉ちゃんの方を選ぶぜ!
おっぱい!おっぱい!!!(AAry)

259:名無しさん@ピンキー
08/03/18 23:16:24 YTAVOMce
キモウトは俺がもらっていきますね

260:名無しさん@ピンキー
08/03/19 00:29:00 Acve7ptG
>>253
私の兄は従妹(と言っても血はつながっていない)と結婚しました。
私から見て従妹改め兄嫁に言わせると、この結婚最大の利点は
「親戚付き合いが圧倒的に楽」なことだそうです。

261:名無しさん@ピンキー
08/03/19 07:59:58 HpFZauD9
羨ましくなるからやめてくれ現実の話は

262:名無しさん@ピンキー
08/03/19 11:35:15 KDioNn1F
羨ましがられたいからやってるんだろう

263:名無しさん@ピンキー
08/03/19 14:09:52 QBK7jRTF
>>260
昔って従姉妹同士の結婚が流行ってたらしいね。うちの田舎は5代昔、兄妹けこーんもあったらしいし。
兄妹で子供作ると奇形が70%天才が70%の確率で生まれるらしいね・・・。

264:名無しさん@ピンキー
08/03/19 15:30:03 zFgiB7se
血の繋がった夫婦はパーセンテージ越えの奇跡も起こすのか

265:名無しさん@ピンキー
08/03/19 15:38:59 0MIv4pEZ
奇形と甜菜の形質が被るのか?

266:名無しさん@ピンキー
08/03/19 15:53:58 tpvobr1Q
>>260
            ___
           ,r'     `ヽ、
          ,i"        ゙;
          !.(●)   (●),!
          ゝ_      _,r''
         /  ;;;;;;  ・・ ;;;;) <それは報告しなくてもいいです。
         /          (_
        |    f\ トェェェイノ     ̄`丶.
        |    |  ヽ__ノー─-- 、_  )
.        |  |            /  /
         | |          ,'  /
        /  ノ           |   ,'
      /   /             |  /
     _ノ /              ,ノ 〈
    (  〈              ヽ.__ \
     ヽ._>              \__)

267:名無しさん@ピンキー
08/03/19 16:11:14 27a5qJ+p
近親相姦で奇形が生まれやすいのは都市伝説じゃなかったっけ
あれはキリスト教的倫理観から生まれたものだったと聞いたような

268:名無しさん@ピンキー
08/03/19 17:08:44 0MIv4pEZ
遺伝の勉強した?

269:名無しさん@ピンキー
08/03/19 17:18:08 v09kARxs
おいおい、キミたちが子創りする訳じゃないのだから控えたまえ

270:名無しさん@ピンキー
08/03/19 17:23:22 /yaagAtN
兄弟で子作りすると遺伝子に問題が出る確率はなんと10倍にもなります、絶対にやめましょう!
1/100000→1/10000だけどな~

271:名無しさん@ピンキー
08/03/19 17:25:55 v09kARxs
>>270
つっこんでもいいか?

272:名無しさん@ピンキー
08/03/19 17:38:47 GYXHeRda
>>271
俺の尻になら

273:名無しさん@ピンキー
08/03/19 18:03:35 2dCdM/A3
一卵性双生児の姉弟で子供作ったらどうなるんだろう?

274:名無しさん@ピンキー
08/03/19 18:07:52 G9pWa0YG
基本的に一卵性双生児の性別は同じなので、子作りはできない。
数年前に男女の例があったと聞いたような気もするが。
まあ、その場合は少なくとも性別に関連する遺伝子が何か変異してるだろうから
厳密には御求めのような例にならないだろう。

275:名無しさん@ピンキー
08/03/19 18:17:41 2dCdM/A3
確か3、4例あったと記憶してたんだが、やっぱりそうなんだ
つまらん

276:名無しさん@ピンキー
08/03/19 19:04:48 2cKha8dq
田舎で従兄妹同士の結婚があるのは流行じゃありません。
一族婚と言って文化的なものです。

簡単に言うと、嫁に出すと嫁入り道具や持参金で一族の資産が減るので、
一族内で娶れば資産は動くだけで減らないというもの

277:名無しさん@ピンキー
08/03/19 19:13:25 bWQXl8ZZ
>>268
遺伝子の勉強をするからこそ都市伝説になるんだが

278:名無しさん@ピンキー
08/03/19 21:18:01 iV/LIS1X
HRスレで同じ議論をやってる

279:名無しさん@ピンキー
08/03/19 22:33:01 /jr7f50b
ちとグロいかもしれんが、スコットランドのソニー・ビーン一族は
近親相姦を繰り返して3世代作ってる。
善悪は別にして、何の問題もないと認識してるがね。まあググってくれ

280:名無しさん@ピンキー
08/03/20 01:04:19 btVWIE8D
もっとたくさんの例がないとなんともいえない
文系だから統計的にどれだけの数を調べなければならないかはわからないけど、その一族の話だけで結論はだせないことぐらいはわかる

281:名無しさん@ピンキー
08/03/20 03:11:01 ASJwK/DW
実際奇形が産まれてもそれが近親相姦が原因だとは限らないからな
近親相姦で出来た子供に奇形が多いというデータは無いはず

282:名無しさん@ピンキー
08/03/20 04:34:29 D8z8zKrC
奇形だのなんだのリアルでのことなんざ知ったことじゃないよ。

俺は職人さんたちの書いてくれたSSに萌えられればそれでいい。
それだけさ。
二次元で萌えられればそれでいいのさ。

小難しい話はここら辺で打ち切って、SSをマターリと待とうぜ。

283:名無しさん@ピンキー
08/03/20 05:13:26 P/5eG7wP
>>282よし、二次元だな。ならば、夢の中でキモウトを作成してきゃっきゃうふふしてくるぜ。
監禁だろうが拷問だろうがバッチこいやぁ!

284:名無しさん@ピンキー
08/03/20 05:33:59 hyijxwfR
しかし>>283の夢に出てきたのはキモ姉だった!!

「お仕置きするわよ…」

>>283は恐怖で立ちすくんでいる!!

285:名無しさん@ピンキー
08/03/20 05:52:45 0ot0Pk+8
二卵性の男女の双子と知り合いの俺としては、一卵性にこだわる必要はないと思ってる

286:名無しさん@ピンキー
08/03/20 07:06:04 tkZ4u8W8
>>285
もぉ、いつまでも一つのことに執着してるとお姉ちゃんが


お   仕  置  き 
しちゃうぞ?

287:名無しさん@ピンキー
08/03/20 07:43:28 yXYHpQ3x
まあ実際、奇形が生まれる心配なんてほとんどないんだがな
雷が鳴ってる時に立っているだけか手を上げてるかで雷が落ちてくるかどうかってレベル
確かに確率は上がるが現実に起きるというわけじゃない

現に俺の義兄の弟と妹が作っちゃった子供はまともに育ってもう小学生だ

288:名無しさん@ピンキー
08/03/20 08:32:32 l+uqqbGC
>俺の義兄の弟と妹
えっと、つまり、姉の夫の弟と妹ってことかね?
しかし釣りくせえな

289:名無しさん@ピンキー
08/03/20 09:07:52 Rn3OOMzo
>>285
IDが少し惜しい

290:名無しさん@ピンキー
08/03/20 11:08:39 Q8VS7uTy
そしてこの流れを収拾するかのように投下ラッシュが・・・

291:名無しさん@ピンキー
08/03/20 11:22:22 4XxnWBh5
くるといいなぁ

292:名無しさん@ピンキー
08/03/20 13:26:19 tdfuKrln
ごめん、今他のスレに投下する分を書いてるんだ。
なんて言うと、浮気者ぉとか言われてキモウトに監禁されるだろうか?

293:名無しさん@ピンキー
08/03/20 13:46:28 4XxnWBh5
忘れられてて気を悪くした姉が・・・

294:名無しさん@ピンキー
08/03/20 17:40:44 l+uqqbGC
くどいかもしれんが最後に言わせてくれ

キモ姉の熱愛を避けようと、
「俺が姉ちゃんとセックスしたら奇形の赤ちゃんが産まれちゃうだろ?」
なんて根拠のない迷信を言い訳にしたために、


医師免許を持つキモ姉がいつの間にかパイプカット

295:名無しさん@ピンキー
08/03/20 17:46:43 nUNxyz7A
>>294
そこはむしろ「そう思う? じゃあ実験してみようか」だろう。

296:名無しさん@ピンキー
08/03/20 18:31:01 z+8NWwot
あんまり投下がないようだから言ってやる。

俺の妹は俺のことをいつも名前で呼ぶんだよ。それは別にここのスレみたいに「実は兄のことを……」みたいな感じじゃなくて
ただ単に小さい頃からの慣れでそうなっている。

少し前のことだ。俺の彼女は偶然にも妹と同じ名前で『綾』というんだが、
綾が言い出したことがきっかけだった。
「そういえば今日、家に出る時にお兄ちゃんがさー……」
「おまwww お兄ちゃんてwww」
「え? 何?」
「いや……今時、お兄ちゃんていう妹初めて見たよ」
「私、昔からお兄ちゃんって言ってるけど」
「何!?」
俺は驚いた。
その時俺は自分の家のことだけを考えていたので、お兄ちゃんという一人称はエロゲの中だけだと思っていたんだ。
だから、つい。
「ちょ……お兄ちゃんって俺のこと呼んでくれね?」
って言ってしまった。
すると彼女は、
「は?」
と、かなり引いた目で見てくる。
まあ、当たり前だ。いきなり彼氏にお兄ちゃんと呼べ、なんていわれたら引くだろう。
しかし俺は、妹がいながらもお兄ちゃんと呼んでもらえない現状に不満を感じていたから、
エロゲとかタンスにめちゃあるのがバレないように、と願いながらも粘った。
「一回だけ!!……は駄目だな。三回だけ、頼む」
「三回って……やだよ」
「おま! それぐらいのこと!!」
「それぐらいって……妹さんに言ってもらえばいいじゃん」
「それが出来たらお前なんぞに頼むわけが……あれ?綾のお兄さんの名前、何だっけ?」
「お兄ちゃんの? あきらだけd」
「その感じ!!」
「え?」
「その感じで頼む」
「……」
こいつ、というよな目が俺を非難してきたが、このスレの住人である俺はあえて気にしない。
すると、綾がボソッと言ったんだ。
「お兄ちゃん、キモーイ」
「!!!!」

こ れ は

きもい、がつけられているのにこの甘美な響き。まさに妹の代名詞。
調子に乗った俺はセクロスの時もお兄ちゃんと呼ばせた。

数日後。


妹の綾は俺のことをお兄ちゃんと呼ぶようになり、

彼女の綾はブラコンになった。

297:名無しさん@ピンキー
08/03/20 18:37:36 l+uqqbGC
一言言わせてくれ



それはキモウトじゃなくてキモ兄だ

298:名無しさん@ピンキー
08/03/20 18:54:34 rrojxTJk
>>296
ワロタ

299:名無しさん@ピンキー
08/03/20 21:37:20 VaaI6Qas
これは自業自得な寝取られ
と言うか彼女さんが気の毒すぎるw

300:名無しさん@ピンキー
08/03/20 22:08:29 sWJeovxY
>>296
ん?……彼女はともかく、妹さんが呼び方を変えた理由が気になるな

301:名無しさん@ピンキー
08/03/20 22:19:53 v92xAW5H
>>296の妹と恋人の名前に過剰反応したのは俺だけじゃ無いはずだ

302:名無しさん@ピンキー
08/03/20 22:22:18 TLSE7ZtL
>>300
自宅でヤる時に
兄が綾の名を呼びながら、
で彼女に「お兄ちゃん」って呼ばせながらしてたんだろ
で隣の部屋で妹が聞いてたとかじゃねえの



303:名無しさん@ピンキー
08/03/21 00:21:50 l5W+FoBg
>>302

・・・・逆に身の危険を感じないか?

304: ◆busttRe346
08/03/21 00:48:00 OKA/aIsf
投下します~

305:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:49:01 OKA/aIsf
六話



昨夜から降り続いている雨のおかげで、予定していた『森の中で素敵なサムシングを見つけよう』ピクニックはおしゃかになってしまいました。
「腹減った~。今日の晩ご飯は何?」
お行儀の悪いヘンゼルお兄ちゃんは、スプーンで皿を叩きながら催促します。
「今日はローストビーフだよ♪あと、ミネストローネもね!」
魔法熟女リリカルお姉さんは、大きなかまどから焼きあがったパンを取り出します。ふっくらとしたパンからは、バターの良い香りがします。
グレーテルも、思わず涎を垂らしそうになりました。しかし今はパンに気を取られてはいけないのです。
(やっぱり…あのクスリを入れるとしたら…ミネストローネでしょうね…)
グレーテルは名残惜しそうに焼きたてじゃパンから目を離し、お姉さんの一挙一動に注意を払います。
「とっとこーはしるよハメ太郎♪やっぱりーねとるよハメ太郎♪だーいすきなのはー♪てーつかずのめすー♪」
聴くに耐えない歌を歌いながら、お姉さんはスープをそれぞれの皿に盛ります。そして真ん中の皿に紫色の液体を入れました。
(入れた――!!今、入れた――!!)
しかしお姉さんの手はそこで止まりませんでした。さらに、右隣りの皿にも紫汁を入れたのです。
それを各々の前に置き、
「さあ!召し上がれ♪」
と素敵な笑顔で言いました。
「お兄ちゃん、ちょっと待っ」
「うっし!!いただきまぁぁぁぁす!!」
ヘンゼルはよりにもよってミネストローネを真っ先に口に入れました。
「あ、ああ……」
(食べちゃった…。どうしよう…)
横目でお姉さんを覗くと、物凄い目でヘンゼルの食事を見ていました。明らかに発情しています。媚薬なんて必要なさそうな勢いです。
(どうしようどうしようどうしよう…考えろ、考えろグレーテル!!)
その時グレーテルの脳内に素敵な紳士が現れ、彼女に語りかけてきました。
――逆に考えるんだ。お兄ちゃんが発情しているなら君が犯される可能性もあると――

「それだッ!!」

「な、なんだ!?」
「何が?」
二人のびっくりした声で、グレーテルは我に返りました。
「あ…えっと…その…何でもない」
危ない危ない。あまりにナイスなアイディアだったものだから、つい興奮してしまいました。心の中で紳士にお礼を言いつつ、グレーテルはパンに手を伸ばしました。
とりあえず腹ごしらえです。これから体力を使うのですから。





306:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:51:04 OKA/aIsf
食べ始めてから三十分程経ったでしょうか。
ヘンゼルお兄ちゃんとお姉さんの様子が目に見えておかしくなってきました。肌は赤く色付き、目は虚ろ、口も半開きでたまに涎が垂れそうになっています。
そしてそんな相手の姿を見ては、手を下腹部に這わせようとします。
お姉さんも頃合と見たのでしょう。
「わたしぃ…おふろ、はいってくりゅ…」
熱にうかされた顔でお風呂場へと歩き出します。
そんなお姉さんの後ろ姿を見るヘンゼルお兄ちゃんの目は、ぎらぎらと血走っています。
(さあグレーテル!!ここからは時間との勝負よ!!)
己に喝を入れると、グレーテルは笑顔を浮かべてお姉さんの後を追います。
「私も一緒に入るー!!」
お姉さんの頭の中はもうヘンゼルとのセックスの事でいっぱいです。
「ええ、そうね。いらっしゃい…」
グレーテルに生返事を寄越すと、さっさと服を脱ぎ始めました。
正直、この後の事をグレーテルは思い出したくありません。媚薬の効果があまりに強烈で、お姉さんがすぐさまシャワーオナニーを始めてしまったからです。
グレーテルはお姉さんの淫らなアへ声を聞きながら黙々と体を洗いました。
「じゃっ!!私、先に上がってるね!!」
シャワーの水圧を全開にして股間に当てているお姉さんを置き去りに、グレーテルは風呂場を飛び出しました。
「あんッ!!あ、あ、あん…グレーテルちゃん、か、風邪ひかないように…ふぁッ!!ちゃんと髪乾かすのよ!?ああああ!!イくッ!!もうイくッ!!」
ドアを閉め、近くにあった洗濯機をドアの前まで動かします。これでしばらくは時間が稼げるでしょう。
「…どうぞ、ごゆっくり…」
洗面台の鏡に映るグレーテルの笑顔は、なかなかに凶悪でした。



さて、ところかわってヘンゼルの部屋は異様な熱気に包まれていました。熱を放出しているのは、もちろんヘンゼルお兄ちゃんです。
媚薬を盛られた事に気付いていないヘンゼルは、(随分溜まってたんだなぁ…)くらいの事しか思わず、一心不乱に自家発電に勤しんでいました。
ヘンゼルは“そういう行為”をする時、何故か全裸になる癖がありました。そうしないと集中できないのです。
そんなこんなで数えて六回目の絶頂に至った時、ヘンゼルの部屋にやってきた人間がいました。
「お兄ちゃん…?」
「うわっほーい!!ノックもしないで入ってくるんじゃねええぇぇぇぇ!!」


307:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:53:21 OKA/aIsf
ヘンゼルは凄まじいスピードで布団を被りましたが、時すでに遅し。グレーテルの目は、ヘンゼルお兄ちゃんのてぃむてぃむをしっかりと捉えていました。
(やっぱり…でっかいなぁ…お兄ちゃんのアレ…)
グレーテルは思わず唾を飲み込みました。
「んで…どうした、グレーテル?何か用か?」
いつもよりも口調がキツめです。さっさとソロライブの続きをしたいのでしょう。
「……んとね、何だか…寂しくなっちゃって…。今日はお兄ちゃんと一緒に寝たい…」
鏡の前で何度も練習した上目遣いを発動させて、ヘンゼルにおねだりします。
ヘンゼルはその一言で冷静になりました。
(そうか…。普段はしっかりしてるけど…。やっぱり寂しいんだな。そりゃそうだよな……。こんな小さいのに、親に捨てられて、もう家族は俺一人しかいないんだもんな…)
ヘンゼルは確かに駄目な男です。頭は良くないし、全体的に不真面目だし、下品だし、なによりニー…ゴホン、翼の折れた堕天使です。
それでも、家族愛だけは人一倍強いのがこのヘンゼルという青年でした。
布団の中で器用に服を着ると、
「よし、今日は一緒に寝るか!!おいで、グレーテル!!」



――計画通り!!!



グレーテルはほくそ笑みます。さあ、後は存分に見せつけてやりましょう。身の程知らずの泥棒牛にヘンゼルが誰の所有物なのか、を。
「わーい!お兄ちゃああああん!」
グレーテルは無邪気にヘンゼルのベッドへとダイブしました。そしてヘンゼルお兄ちゃんの腕に、ぎゅっと抱きつきます。
ヘンゼルが頭を優しく撫でてくれます。グレーテルは嬉しくなって、さらに力強く抱きつくのでした。

「ヘンゼルくぅん…」

お姉さんのとろっとろに溶けた声が聞こえてきたのは、そんな時でした。腰をガクガクと震わせながら透け透けのネグリジェ姿で、お姉さんがやってきます。
「ね、ねぇ…?ヘンゼル君…。少しお話しない…?」
その淫らな姿に、ヘンゼルの目は釘付けです。
そんな中、グレーテルは眉をひそめていました。
(何…?この匂い…。何かが発酵したような…)
そしてグレーテルは気付きました。ネグリジェの向こうに見えるお姉さんの太股に、何か液体の筋が伝っているのを。
――この女…!!どこまで変態なのよ…!?
お姉さんはヘンゼルの姿を見た瞬間、イってしまっていたのでした。その匂いはヘンゼルにも届いているに違いありません。

308:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:55:28 OKA/aIsf
(こんなジメジメ乳牛の匂いでお兄ちゃんの鼻を汚させるもんですか!!)
「ね、ねぇ…へんぜるくぅん…」
お姉さんは涎を零してヘンゼルに手を伸ばします。
――パシンッ!
グレーテルがその手を払いのけました。ヘンゼルもお姉さんも予想外の乱入者に驚き、口をあんぐり開けたまま停止しています。
「お兄ちゃんは、今日疲れてるんです。だから今日は私と一緒にぐっすり寝るんです!ね!お兄ちゃん?」
いきなり話を振られたヘンゼルは慌てて、
「あ、いや少しくらいならだいじょ…」
「じゃあもっと疲れちゃえ!!」
グレーテルはお兄ちゃんの腰にしがみつき、顔を擦りつけます。
「お兄ちゃん大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き!!」
頬をぐりぐりと押しつけます。腰にしがみついている訳ですから、当然、グレーテルの顔にはヘンゼルの卍解した斬魄刀が当たります。
「おひょっ…!!」
ヘンゼルは唐突に訪れた刺激に反応して、妙な呻き声を上げます。
「へんぜるくぅん…」
「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き」
リズムに乗るぜ!と言わんばかりにグレーテルの動きは加速します。
「おい、こら、グレー…あひょおおお!!」
未知の刺激に、ヘンゼルお兄ちゃんはまともに喋る事すらままなりません。そのうえ、媚薬の効果は依然継続中なものですから、意識も朦朧としてきました。
もはやネグリジェお姉さんなど眼中にありません。ヘンゼルは目の前の快楽を貪る事しか頭にありませんでした。
「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好きー!!」
ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり。
ズボン越しでも、お兄ちゃんの限界が近い事が分かります。ツン、としたアルカリ臭がグレーテルの鼻をかすめます。
(このままいっちゃえっ♪)
ソフトオンデマンド総監修、最新式キモウト型バイブレーターの前に、お兄ちゃんの大紅蓮絶倫丸は成す術なく火を噴きました。
「はふぅッ…!!」
ヘンゼルの腰が痙攣しています。ズボンの中から粘ついた水音が聞こえてきます。
「ふひひ…」
グレーテルはその匂いを嗅ぎ、しばしうっとりとした後、素知らぬフリでヘンゼルに話しかけます。


309:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:57:30 OKA/aIsf
「お兄ちゃん、すっごいぐったりしてるよ?大丈夫~?」
「やべぇ…いもうとマジやべぇ…パネェパネェ…」
ヘンゼルは焦点の定まらない目でそう呟き、半ば気絶するように眠りにつきました。
「あ、あれ…?寝ちゃった…」
(今夜は最後までするつもりだったのに…)
残念そうに溜め息をつき、ふと部屋を見回すといつの間にかお姉さんはいなくなっていました。
「…ま、お兄ちゃんの貞操は守ったし、今回はこれで良しとするか。でも…」
そうそう、「二人で」する作業は終わってもグレーテル「一人で」やる作業はまだ終わっていません。
「ちゃあんと綺麗にしたげるからねぇ~…♪」
ヘンゼルのズボンを下ろし、ぐちょぐちょになったジュニアを取り出します。
「硬くなってないのに…こんなにおっきいの…」
ヘンゼルJr.を見つめ、改めてその大きさに驚きます。
(もしコレが入ったきたら…。うわあああぁぁぁぁ恥ずかしいッ!!とっても恥ずかしいッ!!)
グレーテルは元来恥ずかしがり屋さんです。脇の匂いを嗅ぐとか、乳首を吸うとか、陰毛を咥えるとかは出来ても、セックスなんてそんな恥ずかしい事出来ません。出来るわけがありません。
「入れるのは…もう少し待っててね、お兄ちゃんっ……はむっ!」
グレーテルはそれが実現する日を想いながら、かいがいしくお掃除をするのでした。





310:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:59:35 OKA/aIsf
お姉さんは放心状態でふらふらと自室に戻ってきました。
そして机の引きだしから例の紙切れを取り出すと、猛然と自慰を始めます。
「ふぅッ…あんっ…あ、あ、あ、あ、あのクソアマぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
邪魔しやがって!!アタシとヘンゼル君の邪魔を…あ、そこキモチイイッ…!!ぶち殺す…ッ!絶対ぶち殺す…ッ!!でもン゛ギモ゛ヂイ゛イ゛…ッ!」
紙切れを見つめ、グレーテルへの怨み言を吐きながら指を動かします。続けて、紙切れに話しかけます。
「ねえ…酷いのよ…グレーテルちゃんたら、私とあなたの邪魔をするの…ん、ああ…そこ、もっと舐めてぇ…。
あんなつるぺた女なんかに触られたって嬉しくなんかないよね…?そうよね?いらないよね、あんな妹はいらないよね?んん、もう少し…ッ!!もう少しで…!!」
ぴちゃ、ぴちゃ、と音を立てて紙切れを舐めます。
「私をお風呂に閉じ込めて、その間にヘンゼル君を誘惑するなんて許せない。ヘンゼル君だって辛かったでしょ…?あんな色気もクソもない女じゃ…ふあぁぁ…ッ!激しいッ!!壊れちゃうよ!!
ねえ、殺しちゃお…?私がいっぱいいっぱい愛してあげるから…。まな板娘なんかじゃ出来ないこといっぱいしてあげるから…んんッ!!」
油性マジックで紙切れに何かを書き込みます。
『お世話になりました』の文字の横にふきだしが描かれ、その中にはある文章が書き込まれていました。

『そうだね、ころしちゃおう』

と。
「ああん!やっぱりヘンゼル君もそう思ってくれてたのね!!嬉しい!!はぁんッ…!全部終わったら…んふ、んふふふふふふふふふふふ…あはははははははははははぁぁぁぁ…イ…イくッ…!!」
お姉さんは体を小刻みに震わせながら、昇天しました。
涎でべちょべちょになった紙切れに新たに書き込まれた文字は、静かに滲んでいくのでした。





311:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 01:01:15 OKA/aIsf
翌日。
(今年は暖冬になるのかな…)
もう冬も間近だというのに、振ってくるのは雨ばかり。雪が好きなグレーテルとしては残念でなりません。しかし、そんな些細な出来事で今のグレーテルは憂鬱になりません。
グレーテルの顔はツヤツヤです。きっと昨日、高濃度のたんぱく質を摂取したからです。隣ではげっそりしたヘンゼルお兄ちゃんが眠り続けています。
「お兄ちゃんの寝顔…ぬへ、ぬへへ…」
昨日あれだけ発散したというのに、またいたずらしたくなってきてしまいました。恋とは恐ろしいものです。グレーテルはヘンゼルの乳首に爪を立ててバッテン印をつけてやりました。
ヘンゼルのやつれ顔に、ほんの少し精気が戻ってきたように見えます。グレーテルは乳首からおへそへと舌を這わせ、さらに下半身へと…いこうとして、気付きました。
とても良い匂いがします。これはパンを焼いている匂いです。お腹がぐぅ、と鳴りました。
「奴隷牛も役に立つことあるのね…。パンを焼く腕前だけはプロ級だわ…」
色気より食い気、センシィティブなお年頃のグレーテルはリビングへと向かいました。後には、Tシャツをまくられた情けないヘンゼルだけが残されました。
リビングでは、お姉さんがいつも通り朝食の準備をしていました。見たところ様子はいつもと変わりありません。
(これは演技…?それとも本当に気にしていないのかしら?)
「お姉さん、おはよー!!」
元気良く挨拶をしながら、グレーテルは椅子に座ります。
「あら、グレーテルちゃん、おはよう!!」
お姉さんも笑顔で応えます。
朝ご飯のメニューはピザトーストにクラムチャウダーでした。グレーテルの大好物です。
「ヘンゼル君はまだ寝てるの?」
「うん。疲れがとれないみたい」
「そう…じゃあもう少し寝させてあげましょう」
お姉さんも椅子に座り、二人は向かい合って「いただきます」をします。
グレーテルは早速クラムチャウダーに手をつけました。素晴らしい味です。クノール社も真っ青な味付けです。やはり手作りに勝る味はないという事でしょう。
「ねぇ、グレーテルちゃん…」
「ズズッ…ムガホフ…なぁに、お姉さん?」
グレーテルは、スプーンを動かす手は止めずに返事をします。
「私ね…。昨日はとっても悔しかったわ」
お姉さんの声が急に低くなります。


312:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 01:02:44 OKA/aIsf
「……。腐れ牛にはお兄ちゃんはもったいないもの。他人のモノを盗っちゃ駄目って教わらなかった…?」
グレーテルも負けじと言い返します。
「ふふっ…、他人のモノ…ねぇ…」
「でも私、グレーテルちゃんが生まれる前から彼と知り合いなの…。だから泥棒はグレーテルちゃんの方なのよ…?」
グレーテルの手がぴたりと止まります。
「何言ってるの…?あんた…」
「私と彼はずーっとずーっとずーっとずーっとずーっとずーっと昔から知り合いなの…」
グレーテルの頭は混乱するばかりです。それに、さっきからスプーンがやたらと重くかんじます。
(頭おかしくなっちゃったのかしら…この女…)
「だからね、グレーテルちゃんにも味わってもらおうと思うの…」
瞼も重いし、座っているのも怠いのです。一体、グレーテルの体はどうなってしまったのでしょう。
「自分のモノを奪われた人の気持ちを、ね…」
グレーテルの体は椅子から落ち、床にごろりと転がりました。

――しまった…一服盛られた…!!

自分を見下ろす、魔女の真っ黒な瞳を見つめながら、グレーテルの意識は深い深い奈落の底へと落ちていくのでした。


313: ◆busttRe346
08/03/21 01:03:34 OKA/aIsf
投下終了です。

314:名無しさん@ピンキー
08/03/21 01:11:32 O1Pi2vbx
>>313
GJ!

315:名無しさん@ピンキー
08/03/21 01:13:16 hBaktBKE
GJ!
魔法熟女で吹いた!

316:名無しさん@ピンキー
08/03/21 03:41:56 wrmLONnB
GJ!!マジパネェパネェwwwマジキメェキメェwwwww

317:名無しさん@ピンキー
08/03/21 04:24:55 UsmM7OJK
> 「自分のモノを奪われた人の気持ちを、ね…」

ということは、まだ毒薬ではなく痺れ薬とかで、
魔法熟女はヘンデルとのセクースをグレーテルに見せつける気なのか……

イチコロで効く青酸とかだと、さすがに話が続かないからな(汗

318:名無しさん@ピンキー
08/03/21 05:13:54 dDu687Cp
>>312
GJ、久々にキモさで目眩が……w

319:名無しさん@ピンキー
08/03/21 08:17:40 jECgyrwB
GJ!
しかしまさか、魔女の正体はヘンゼルの姉だったりしないだろうな・・・?

320:名無しさん@ピンキー
08/03/21 08:48:41 vX+/jSIX
GJ!
大紅蓮絶倫丸にくそ吹いたwww
オサレすぎるwww

321:名無しさん@ピンキー
08/03/21 10:07:53 TqzErCdq
ちょっwwジョースター卿なにやってんすかwww

322:名無しさん@ピンキー
08/03/21 15:54:10 9aB8eQGR
>>313
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!

>――計画通り!!!

ちょw

323:名無しさん@ピンキー
08/03/21 17:15:16 vfacaTav
>>313
GJすぎてなんと言っていいやら。
ただこれ読んでると興奮すればいいのか腹抱えて笑えばいいのかわからなくなるから困るwwww

324: ◆a.WIk69zxM
08/03/21 19:37:53 0n5Kv67J
 
投下します。
非エロ。14レス予定。
 

325:__(仮) (1/14)
08/03/21 19:38:25 0n5Kv67J
 
 
 
 朝の涼やかな風が、開け放たれた窓から網戸越しに遮光カーテンを揺らし、その隙間を縫って、まだ穏やかな夏の陽が
ちらちらと差込む秋巳の部屋。
 時刻は七時半。普段であれば、すでに秋巳は起きている時間であるが、いまは夏休み。
 ベッドの上でタオルケットを抱え込むようにうずくまり、秋巳は静謐な朝の睡眠を気持ちよく貪っていた。
 だから、秋巳の部屋のドアを叩くノックの音も、中に入ってきた人物にも気づかない。
 その人物は、ノックに返事がないことを確認すると、音をほとんど立てずに部屋のドアを開き、
その足音すら敷かれている絨毯に染み込ませながら、静かに秋巳のベッドのもとへ近寄る。

「ねえ。兄さん、朝ですよ。そろそろ起きて、一緒に朝食を摂りませんか?」
 ゆさゆさと、愛しい我が子のゆりかごでも揺らすかのごとく優しく秋巳の腕に手をかけ、そっと声をかけるのは、妹の椿。
「んぅ……」
 わずかに意識が覚醒したのか、未だ夢うつつか、秋巳は息を洩らす。
 無意識に心地良い睡眠から引き戻されまいとしたのか、寝返りを打つ。その結果、起こそうとしている椿の方へ
向くことになったのは、なんとも皮肉であったが。
「ほら。兄さん」
 膝をつき、秋巳の枕もとに顔を近づけて、柔らかく、しとやかに、椿は囁く。
まるでゆっくりと秋巳を夢の世界から現実へと誘うように。
「天気も良いですよ。こんな日に、遅くまで寝ていたら、勿体無いです」
「んぁ……だれ?」
 未だ半分眠った様子ではあったが、近くに人の気配を感じ取ったのか、秋巳は薄目を開き、反射的に呆けた声をあげる。
 それもそうであろう。秋巳が誰かに起こされるなど、ずっとなかったのだから。少なくとも椿とこの家に再び戻ってきてから。
 まだ半覚醒状態の秋巳の思考では、この家に自分を起こしに来られるものなど、ひとりしかいないという結論を
導き出せるはずもない。起こしにくるものなどいない、というのが秋巳の日常なのだ。

 ゆっくり開いた瞳で、90度傾いた目の前の人物の顔を視認すると、秋巳の意識が一気に現実へ呼び戻されたのか、
二、三度おおきく瞬きをした。
 それから、大分はっきりした感覚で、秋巳はまずこう思った。
(―あれ? まだ夢?)
「起きましたか。兄さん」
「……つ、椿?」
「ええ。おはようございます。兄さん」
 その椿の挨拶に返事をすることもなく、秋巳はタオルケットを跳ね除けて上体を起こすと、椿に問いかける。
「ど、どど、どうしたの? なにかあった?」
 火事? 泥棒? なんで椿がここにいるの? いまなん時? ここ自分の部屋だよね?
 秋巳の頭は、ありえない朝の情景に混乱しきっていた。
「もう。まだ寝ぼけているんですか。兄さん。朝ですよ」
 椿は立ち上がると窓際へ寄り、シャッと軽快な響きとともにカーテンを開き、秋巳の目を覚まさせるためか、
朝の陽と空気を窓枠一杯に取り入れる。
 そうして、いまだ現状を理解しきれていない秋巳のもとにもう一度近づくと、少し腰を折り、再度秋巳に挨拶をする。
「おはようございます。兄さん」
「あ、ああ……。お、おはよう。だけど、どうしたの? きょうってなにかあったっけ?」
 漸く異常事態などなく、通常どおりの夏休みの朝を迎えたことを把握した秋巳ではあったが、
椿が自分を起こしに来た理由など、ひとつも思い当たる節がなく、疑問を呈する。
「いえ。いまのところは。兄さんさえ宜しければ、なにかある日にでもしましょうか」
「え?」
「ほら。朝食の準備ができていますから、着替えたら階下(した)に下りてきてくださいね」
 そう穏やかに笑みを浮かべると、踵を返し秋巳の部屋を出て行く椿。
「…………」
 秋巳は、それから五分以上も固まったままであった。
 


326:__(仮) (2/14)
08/03/21 19:41:28 0n5Kv67J
 
 
 洗面所で顔を洗い、秋巳が居間へ入ると、珈琲の香りと、食欲をくすぐる焼いたパンとベーコンの匂いに包まれる。
「あらためて、おはようございます。兄さん。朝食の準備ができていますよ。
 いま、珈琲を淹れますから、よければ一緒にいただきましょう」
 台所で珈琲ドリップにお湯を注ぐ椿が、秋巳に食卓につくよう促す。
「う、うん。ありがとう」
 なんとなく釈然としないまま、だがしかし、焦がれていた朝の家族風景という雰囲気に飲まれて、席に座する秋巳。

 いったい椿は、どうしたのだろうか。
 秋巳は、つけられたテレビから流れてくる朝のニュースの内容など全く頭に入らないまま、考える。
 二日前の終業式の日に、一緒に登校しようと椿に誘われた。
 そのときは、驚いたけれども、家に帰ってきてからの椿の態度は、それまでとあまり変わりなく見えたため、
椿の気まぐれだろうかと、秋巳は結論付けていた。
たとえ、一時の気まぐれだろうと、秋巳にとって椿のその行為は喜ばしいものではあったが。

 また、秋巳は椿の態度が変わらないと結論付けたものの、それも他に明確な言動の変化がないからということで、
秋巳がそう己を信じ込ませたのに近かった。
 椿の自分への接し方が、いままでよりちょっと柔らかくなったのではないか、物腰が優しくなったのではないか、
秋巳はなんとなくそう実感したが、期待して裏切られることへの恐怖からそれを否定した。
 椿がたまたま学校に一緒に行こうと誘ってくれたから、浮かれていつもの仕種も自分には欲目でそう見えるだけなのだ。
ひょっとしたら椿が昔みたいに自分に徐々に心を開きつつあるのでは、というありえない夢を見たいがために、
そう感じるだけなのだろう。
 秋巳は、そう考え、そのように納得し、自分を諌めようとしていた。

 そこへ来て、椿のこの行動である。甘い幻想を抱いている自分に、一滴一滴甘い汁を垂らされているかのごとく。
 ただ、心内の葛藤とは別に、秋巳にはもうひとつ懸念が浮かびあがった。
 自分の希望に引きずられた主観を抜いても、椿の態度は、客観的に見て、いままでと異なってきているのではないか。
変化してきているのではないか。特に今日のことを含めれば。
 はっきりと表されたのは、先日の登校の誘いと、今日秋巳の部屋まで起こしに来たこと、
さらには朝食を準備して一緒に摂ろうと言っていること。
 秋巳は、そう心の中でひとつひとつゆっくり吟味する。
 普通の兄妹であれば、まったく疑問を挟む余地などない行動であろう。しかし、秋巳と椿の兄妹は、
いわゆる『普通』とは言えなかった。それを示すかのように、そんなこといままで一度もなかったのだ。
この一年間のふたりの生活の中で。
 椿に心境の変化が起こったとして、それは、彼女にとって良い方なのか、悪い方なのか。
 それが秋巳には心配であった。

 椿になにか良くないことが起こって、その結果の『いま』なのだろうか。
 確かに、いまの方向であるならば、椿の変化は秋巳にとって嬉しいことである。いままで望んでいたことなのだから。
 しかし、それが椿の本意ではないなら―椿が望んでいることでないのなら―そんなことを椿にさせたくなかった。
 秋巳は考える。
 可能性としてはまずありえないだろうが、極端な話、椿が誰かに脅されて、そういう行動を取れと言われて、
嫌々やっているのなら、椿にそんなことをして欲しくない。させたくない。
 あるいは、椿が失恋でもしてショックを受けて、その気晴らしとしてこんな言動に出ているのなら、
秋巳は二重の意味で悲しかった。
 それでも後者であれば―椿の意志で行っているのなら―秋巳は、それを受け入れるであろう。
彼女の言行に一喜一憂している自分を見て、椿が癒されるなら、それは全然構わないことであった。
 

327:__(仮) (3/14)
08/03/21 19:43:58 0n5Kv67J
 
 
(だが、椿に直接訊ねてもよいものだろうか―)
 秋巳は悩む。
 たとえ訊ねたとしても、その原因が椿や秋巳にとって良くないものであれば、彼女ははっきり表明しないであろう。
 秋巳にとって、自分が椿に拒否されることが、最悪なのではない。椿が悩みを抱えてるかもしれないのに、
力になれない自分が最悪であった。

(椿の兄である資格など、疾うに失っているのにな……)
 自嘲する秋巳。それでも、椿の力になってやりたい。椿の自分に対する認識が『どうでもいい人』であったとしても。
 秋巳は頭を振って意を決する。
 一度だけ椿本人に、訊こう。
 それで、椿がなにも言ってくれないようであれば、それ以上深くは追求しない。椿が嫌がるだけだ。
 その場合は、誰かに相談でもするしかないのかな。
 秋巳の脳裏に真っ先に思い描く相談相手は、水無都冬真である。しかし、妹自身についての話を持ちかけるとなると、
同性のほうが適任ではないかと思える。自分が直接力になれなくても、椿がその人に相談等できれば、
間接的にでも助けられるのではないか。
 ならば。
 次に頼ることのできそうな相手として、秋巳のなかに浮かんだのは、葉槻透夏と柊神奈であった。
 葉槻透夏は言うまでもない。椿にとって相談相手としては、この上なくベストではないか。むしろ、自分が動かなくても、
椿が相談したければ、椿自らの意思で彼女のもとへ向かうであろう。
 そこで、ふと、秋巳は思考を止める。

 柊神奈―。
 自分は、なぜ、彼女を思い浮かべたのか。確かに、彼女も、椿とはすでに知り合いではある。
だが、特段椿と仲の良い相手というわけでもなく、彼女が椿の相談を受ける義理などないであろう。
 ああ。そうか。
 秋巳は得心する。自分が相談できる相手、として考えたからか。
 そのことがなにを意味しているかまで、秋巳は深く考えなかった。
(―そうだ。あれこれ考えても、まだ椿が悩んでいると決まったわけじゃないし)

「はい。兄さん。珈琲がはいりましたよ」
 秋巳の思索を打ち切るように、椿がカップを秋巳の前に用意された受け皿に置く。カップから立ち上る湯気とともに、
珈琲の芳ばしい香りが秋巳の鼻腔を擽る。
「うん。ありがとう」
「いいえ。それではいただきましょうか」
 そう言って、自分の分のカップを置くと、椿は秋巳の向かいの席につく。
「うん。いただきます」
「はい」
 テレビから流れてくる芸能ニュースを背景音楽に、ふたり銘々食事をしていると、椿が口を開く。
「ねえ。兄さん。先ほどの話ですが」
「さっきの?」
 なんのことだか判らない秋巳。
「ああ。先ほどは、兄さん寝ぼけてましたから、覚えてないのも無理ないですね」
 椿は、パンをちぎろうとしていた手を止めて、会話を続ける。
「兄さんを起こしたときに、問われましたよね。きょうなにかあるのって」
「え……、ああ」
 そういえば、と秋巳は思い出す。椿が起こしに来るなんてなにかあったのかと思い込み、そう訊いたことを。
「なにも、ないんだよね?」
 焼きたてでカリカリのベーコンを箸で抓みながら、念を押す秋巳。
「ええ。いまのところは。だから、なにかある日にしませんか?」
「え?」
 


328:__(仮) (4/14)
08/03/21 19:47:04 0n5Kv67J
 
「兄さん、きょうのご予定は?」
「特には、ないけど……」
「私もです。でしたら、どこかへお出かけでもしましょうか?」
 そう提案してくる椿。
 その声色、口調、表情がいつもと同じかどうか、秋巳には判断つかなかった。
「その……、椿と僕で?」
「ええ。誰か他に誘いたい方がいますか?」
「ええ……と、さ。そのまえに、椿、ひとつ訊いていいかな」
 食事中にも関わらず若干乾いたようにぱさつく口内を湿らすために、秋巳は珈琲を一口啜ると、ゆっくりと食卓に置く。
わずかな右手の震えが伝わったのか、カップとソーサーが触れ合うときにカチンと音を鳴らした。
「はい。なんでしょうか?」
「椿は、いま、なにか悩んでることがある?」
 秋巳の質問は端的であった。因果も理由も含めず、彼にとって大事なことだけ。

「兄さんには、私が悩んでいるように見えるのですか?」
 そう訊ねられるのは心外だという意味も含めてだろうか、椿がその瞳を少し見開いて訊ね返す。
「ごめんね。僕には、椿のことがよく判らないんだ。
 僕がなんでこんなことを訊くか椿が判らないのと同じに」
 それは、秋巳が椿の兄という立場を捨てたから。自らの悲しみに呑まれて放棄したから。
自分が受けた仕打ちよりもさらに非道いことを椿に上乗せした結果だから。秋巳はそういう自虐を込めて応じる。
 悲しそうな面持ちをその顔に滲ませる秋巳に対し、椿はまばたきをひとつすると、静かに首を振る。
「いいえ。兄さんが謝ることではありませんよ。それと、兄さんに私のことを
 判っていただけていないのは、残念ですが、私は兄さんのことを判っているつもりですよ」
「え?」
「私のこの二、三日の言動、でしょう? 兄さんが、その疑問を抱くに至った原因は」
「あ、ああ……でも、なんで―」
 その秋巳の疑問に被せて椿が発言する。
「そのくらいしか、思い当たりませんから」
 事もなげに。
「それに、兄妹であっても、親子であっても、恋人同士であっても、
 それこそ双子であったって、お互い相手のことで判らないことがあったり、
 判りあえないことがあるのは当然ですよ。兄さんがそんなに気に病むことはありません。
 だからこそ、ヒトは、言語という素晴らしい意志伝達ツールを発展させてきたのですから。
 訊けばいいのです。伝えればいいのです」

 秋巳は気づかなかった。彼の思いと、いまの状況が逆転していることに。
 秋巳は、椿に悩みがあれば、それを解決してあげたかった。だが、椿に悩みがあるかどうかすら判らないことに苦慮している。
 その秋巳の憂慮を、椿が払拭してあげているのだ。
「兄さんの質問に応えるなら、私に特別な悩みはありませんよ。それは、私も人間ですから、
 全く悩みなしに生きているわけではありませんが、なにかに悩んでいるから、
 兄さんに対する態度が変わったとか、そういうことはありません」
「そう、か。もうひとつ確認させてくれるかな」
 椿のその台詞に背中を押されたのか、さらに真剣な顔で質問を投げかける秋巳。
「ええ。なんでしょうか」
「これは、椿の意に添わないことはない? これは椿の意思?」
「ええ。全く。そもそも、私が本意にそぐわない行動をしたりしたことは、ありませんよ。
 特に兄さんに対して。いまも昔も。そして、これからも」
「そう。椿が不本意でなければ、僕はそれでいいよ。
 椿の望んでいることをやれることが、僕の望みだから」
「と言うわりには、あまり納得された顔をしていませんね」
 椿が、秋巳の面貌を覗き込んで、言う。
 


329:__(仮) (5/14)
08/03/21 19:50:23 0n5Kv67J
 
 その言葉は、確かに的を射ていた。秋巳の言に嘘はない。椿が望んでいるなら、秋巳にとってなんら不満はない。
 だが、秋巳には椿がなぜそのような変化に至ったか理由が判らないから、もしかしたら、と考える。
 良い方に考えれば、自分に気を使ってる。悪く取れば、自分には話すに値しない、と。
 そんな秋巳の複雑な心情を、その浮かない憂色から感じ取ったのか、椿は、はあ、と息を吐くと、
少し躊躇った様子でゆっくりと瞳を閉じ言葉を紡ぐ。
「これは……、できれば、あまり言いたくなかったのですが、私も怖かったのです。
 いいえ、おそらくいまでも少し」
「え? ど、どういう……?」
「兄さんは、私の態度が急に変わったことに対して、私がなにか悩みを持っているのかと
 考えていらっしゃるかもしれませんが、逆なのです。
 むしろ、時とともに不安が薄れてきたから、でしょうね。あえて、言語化して述べるなら」
 椿は一息入れるためか、すでに温くなった珈琲の入ったカップに口をつけ、ひと含みする。

「普通の兄妹のように接して、兄さんに、また、その……、以前のような態度をとられるのが」
 いままで怖かったのだ。畏怖していたのだ。だから、いままでのような言動をとっていたのだ。
 椿はそう言う。

「あ……」
 椿のその言葉に、秋巳は頭をガツンと殴られる。この上なく思い知らされる。
 自分の犯した罪が、いかに妹の椿を傷つけたのか。どれほど彼女の心に消えない裂傷を抉ったのか。
 彼女に不本意な態度を強いていたのは、他の誰より秋巳自身であったのだ。
(なにが、椿の悩みを解決してやりたい、だ……)
 誰よりも椿を悩ませたのは、彼女を見捨てた自分なのに。彼女の存在を己の中から消し去った秋巳本人なのに。
「兄さん、勘違いしないでください。それも、私の意志なのです。
 先ほどの言葉に、嘘はありません。私は常に自分が思ったとおりに行動してきました。
 そこに不満はありません。誰に対しても。もちろん、兄さんに対しても」
「でもっ―!」
 椿の台詞を否定して続けようとする秋巳に対し、なにも喋らないで、とばかりに椅子から腰を浮かすと
その冷たい人差し指で、秋巳の口を塞ぐ。
「そんな悲しそうな顔をしないでください。だから、言いたくなかったのです。
 でも、それで黙ったまま兄さんを苛ませるのは、私の望むところではありません。
 その私の気持ちを汲んでくれませんか?」
 それに、と椿は続ける。
「私だって、兄さんを傷つけるような態度をとったこともあったでしょう? 
 私自身の意志で。だから、それはどちらが一方的に悪いとかではないはずです」

 それは違う!
 秋巳は否定したかった。
 彼女自身が受けた迫害を考えれば、そんなこと非にもならない。
 当然の帰結だ。
 秋巳が椿のことを『存在しないもの』として扱ったことで、秋巳は彼女に対して莫大な負債を背負ったのだ。
椿が秋巳の心を蝕んだところで、その正当な貸し付けを返却してもらっているだけなのだ。
 実際には、秋巳が椿から受けた傷など、椿のそれに比したらその利子にも値しない微々たるもの。
 でも、椿は、自分の気持ちを汲んでくれ、と言った。
 あくまで、椿自身のために、己を責めないでくれと秋巳にお願いした。
(―自分は、どこまで)
 どこまで、椿に甘えれば気が済むのであろう。
 ひょっとしたら、己の存在自身が椿にとっての『災厄』なのではなかろうか。
 


330:__(仮) (6/14)
08/03/21 19:52:56 0n5Kv67J
 
「兄さん。これから、を考えてください。過ぎたことを、ああすればよかった、
 こうすればよかったと後悔しても、なにも始まりません。これから、どうするか。
 兄さんが以前のように接してもらうほうが落ち着くというなら、そうします。
 私も正直なところ、すこし迷っていた部分もあるのです。
 いまから、ありふれた仲の良い兄妹のように接するのは、どうすればいいのかな、と」
「そっ、そんなことない! そんなことないよっ!」
 テーブルに手をつき椅子から立ち上がり、平静を失った様子で首を振ると、必死に否定する秋巳。
 椿が望んでくれるのなら。秋巳と椿がありふれた仲の良い兄妹になることを期待してくれるのなら。秋巳にとって是非はない。
「そうですか。それは、良かったです。私も、少しずつ慣れていけばいいのかな、と思っていたので」
 それまでの会話で積もった重苦しい雰囲気を取り払うかのように、にっこりと微笑むと、椿は、再び椅子に腰をおろす。
 それから、なにかを思いついた様子で、たおやかに細めた瞳の奥から、視線を秋巳に真っ直ぐ向ける。
「そうですね。荒療治、というのもいいかもしれませんね」
「え?」

「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」

「…………」
 色々な意味で呆気に取られ、絶句する秋巳。
 そんな秋巳の表情に、満足したのか、ふふ、と声を洩らす椿。
「やはり、私にはいまさら似合いませんね」
 そうして、穏やかな空気を取り戻した朝食の時間が、過ぎていった。
 
 
 
               *  *  *                  
 
 
 
「ねえ。ところで、兄さん。話は戻りますけど」
 朝餉を終えた後、台所で食器を洗いながら、居間のソファに腰をかけテレビを見やる秋巳に、椿が話しかける。
「先ほども申しましたけど、今日は天気もいいですし、どちらかへ出かけませんか?」
「え、ああ、そうだね。つ、椿は、どこか、その、出かけたいところとか、あるのかな?」
 椿の申し出に応える秋巳の口調はどこかぎこちなかった。
ふたりこの家で生活する中で、普通の兄妹、ありふれた家族のやり取りというものが、ずっとご無沙汰だったため、
秋巳としては、なんとなく変に意識してしまっていることの証左だったのかもしれない。
 自分も迷っている、と先刻椿も言っていたが、妹も慣れないながらも、自分に合わせてくれているのだろうか。
 秋巳は思う。
 椿の言動に、違和感や変に力の入ったところなど見受けられない。とても自然に見える。
 表に見せないだけなのだろうか、それとも、自分が椿のことをそこまで感じ取れるほど、理解していないのだろうか。
 どちらにせよ、椿が希望していることであれば、それに応じたい。応えてあげたい。
「兄さんこそ、どこか行きたい場所、ありますか?」
「う、うん。僕は、椿と出かけられるなら、どこでもいいよ」
「ふふ。兄さん、そういう言葉は、妹でなく恋人に言ってあげてください」
「えっ? ええっ! いっ、いやっ! そういう意味で言ったんじゃ……」
「でしたら、どういう意味ですか?」
「いや、その、妹と出かけられるなら……、と」
「出かけられるなら?」
「……どこでもいいかな、と」
「すみません。さっきの言葉とどう違うのか、私には全然判りません」
 意地悪げな笑みを浮かべて、秋巳に応じる椿。
「う……」
 


331:__(仮) (7/14)
08/03/21 19:55:27 0n5Kv67J
 
「ふふ。世間一般的な妹だったら、こういうとき、なんて言うんでしょうかね。
 『おにいちゃん、気持ちわるーい』とでも言うのでしょうか」
「え? あ……」
 椿のその言葉にショックを受ける秋巳。
 椿に対してごく普通に『兄』として『妹』に接するなど、自分にはやはり無理なのだろうか。
「兄さん、勘違いしないでくださいね。私は、私です。世間一般的な像で語られる『妹』ではありません。
 如月秋巳のたったひとりの血を分けた肉親である如月椿なのです。
 先ほどは言葉の綾で『ありふれた兄妹』などと申しましたが、私がなりたいのは、『如月兄妹』なのです。
 社会通念に照らし合わせて、その枠組みで無理矢理振舞うようなことはしたくありません。
 私も自分が思ったとおりに行動しますから、兄さんも兄さんの心のままに」
 椿はそこまで一気に喋り、一息つくと、ですから、と続ける。
「ありがとうございます」
「え?」
「そのように言ってくれて、ありがとうございます」
 それが私の応えです、と椿。
「あ……、その、別に、感謝されることじゃ―」
「だって、ご機嫌伺いなんかではなく、兄さんの本心なのでしょう? 先ほどの言葉は」

 椿は、確かめたのだ。秋巳の言が本心からか、『妹』に対する接し方を意識するあまりに出た台詞なのかを。
 だから、椿は、一度は「恋人に言ってあげたら」と返したのだ。妹に対して、機嫌を取るような言葉を選ばなくても良いですよ、と。
 それでも、秋巳は、椿と一緒にいたいだけ、と返した。
 それで椿は確信した。
 ああ、本当に兄はそう思ってくれているのだ。
 そして、それに満足すると、秋巳の反応を見越してわざわざ一般像を持ち出し、続けざまにそれ自体を否定してみせた。
 自分がなりたいのは、ごくありふれた妹などではなく、如月秋巳の妹である、と伝えた。

 秋巳の真意を問う椿の質問に、こくんと頷き肯定する秋巳。
「ああ。うん」
「ですから、私も思ったことを兄さんに言うだけです。ありがとうございます。
 私も同じ気持ちです、と」
「あ、いや、なんか、照れるね」
 秋巳は人差し指で、頬をかく仕種をすると、椿から目を逸らす。
 あまりにもギャップが大きすぎて。
 秋巳はいままでずっと思っていた。椿には恨まれているんじゃないか。疎まれているんじゃないか。
どうでもよい存在と思われているんじゃないか、と。
 でも、そんなことない、と椿は、秋巳の不安を払拭してくれている。
 秋巳が椿のことを大事に思っているのと同様に、自分も秋巳のことを思っていると陽に暗に伝えてくれている。
「兄さんは、恥ずかしいですか? 私には、これっぽっちも恥じ入るところなどないですけど」
「いや、その、誤解しないで欲しいけど、嬉しいんだ。嬉しすぎて、
 その、なんか、舞い上がっちゃうというか」
「ふふ。判っています。私も、同じですから。さて、片付けも終わったことですし、
 出かける準備をしましょうか。どこへ、とも決めずに散策するのも、結構楽しいと思いますよ」
 椿は、最後に洗っていたカップを軽く振って水を切ると、網籠に入れる。
「ああ。そうだね」
 秋巳は、そのとき信じていた。椿とふたり、かつてのような兄妹にまた戻れるのではないか。
秋巳が切望して、でも叶わないと半ば諦めていた、『家族』が戻ってくるんではないか、と。
 ここが通過点だと気づかずに―。
 
 
 
 


332:__(仮) (8/14)
08/03/21 19:58:17 0n5Kv67J
 
               *  *  *                  
 
 それから秋巳と椿、ふたり街に繰り出し、特に当ても持たずに、夏の日差しが照りつけて汗ばむ陽気のなか、
様々なところを巡っていた。
 秋巳の住むところから三駅ほど離れた駅ビル構内の百貨店でのウィンドウショッピング。
「ほら。兄さん、こういう服なんてどうですか。兄さんが恋人に着てもらいたいとしたら
 どれを選びます?」
「え? それは、うーん。ごめん。よく判らないかな」
「ふふ。兄さんらしい答えですね。でも、折角だから、選んでください」
「椿なら、なにを着ても似合うんじゃない?」
「もう。恋人ならそれで誤魔化されてくれるかもしれませんが、妹はそうはいきませんよ」
「はは……。手厳しいね」
「ええ。それはもう。兄さんの妹ですから。直感だとどれですか」
「うーん。これかな。でも、椿がいま着てるのが一番合ってるよ」
「ふふ。兄さんは、天性の女たらしですかね」
「ええっ!?」


 お昼のきつい日差しを避けて、涼むために入った大型書店。
「そういえば、このまえ、睦月がお勧めだって言っていた本がありましたね」
「へえ。どんなの」
「なんでも、女性の品格を説いたものらしいですけど」
「努力家の萩原さんらしいね」
「ええ。彼女はいつも頑張っていますから」
「椿は、どうなの?」
「私も頑張ってはいますよ。いろいろとね」
「そうか。僕も頑張らなくちゃね」
「兄さんは、いまのままでいてくれればいいですよ」
「そうもいかないよ。椿の兄として、あまり恥じないように、ね」
「そうですか。ところで、兄さんは、普段どんな本を読まれるのですか。
 ああ、水無都さんから渡されるような、ひどく嗜好の偏った娯楽品は別ですよ」
「な……! つ、椿がなにを言っているのかよく判らないのだけど」


 午後になって、遅い昼食を取るために入った庶民的な定食屋。
「落ち着いてて、雰囲気のいいところですね」
「ああ。でも、デートとかでは、来るような場所じゃないかもね」
「あら。デートでこそ、使ってみたらいかがですか? 兄さん」
「え?」
「こういうとこに連れてこられて、それだけで興冷めして離れていくような人であれば、
 さっさと離れていったほうがお互いのためでは?」
「うわ。きついね。そういう椿は、どうなの? もし、恋人にこういうところに
 連れてこられたら?」
「帰りますね」
「あの? 言ってることが矛盾してるんだけど?」
「いいえ。全然、矛盾してませんよ」
「ひょっとして、椿って、ものすごく我侭?」
「あら。いまごろ気づきました? ものすごく我侭で自己中心的ですよ?」
「椿と付き合う男の人は大変だね」
「ええ。それはもう。ものすごく苦労してますよ」
「え? もうすでにいるの?」
「はい。目の前に」
「あ……。あはは。確かに苦労してるね」
「もう。そこは否定してください」
「でも、椿もいつか本当にそういう人とめぐり合えたらいいね」
「……そうですね」
 


333:__(仮) (9/14)
08/03/21 20:00:13 0n5Kv67J
 
 
 いい加減歩き疲れて、ひと休みのために入った喫茶店。
「ふぅ。流石に疲れましたね」
「うん。そうだね。今日はよく歩いたよね」
「今日の夕食は、どうします? 兄さん確か当番でしたよね。どこかで食べて帰りましょうか?」
「そうだね。どうしようか」
「そういえば、今日はお祭りでしたね。近所の神社で」
「そうだっけ?」
「ええ。一度家に帰って、軽くなにか食事して休んでから、また、出かけましょうか。
 兄さんがお疲れでなければ」
「うん。僕は構わないけど。椿は大丈夫なの? 疲れてるみたいだけど」
「遊ぶ元気は別腹ですから。そうと決まれば、なにか軽くつまめるものでも買って戻りましょうか」
「うんそうだね」
 
 
               *  *  *                  
 
 
 そうして戻ってきた如月家。
 日も落ちて漸く涼しくなってきた風を、リビングの窓際にぶら下げられた風鈴のちりんちりんという音色とともに、
秋巳が感じている。そこへ、お祭りに行く準備をしますから、と自室へ引き上げて行った椿が、再び居間に姿を見せる。
「お待たせしました。兄さん」
 現れた椿は浴衣を身に纏っていた。椿の肌よりもさらに白い色を基調に、涼しげな藍色と水色の草模様をあしらい、
さらに紺地に白抜き模様の帯で締めた艶姿。
 秋巳は、普段見慣れない妹の晴れ姿に一瞬言葉を失った。
「それは……」
「ええ。お母さんのものです。私のは、子供のときに着たもの以外に買っていませんから」
「とても―。とても、良く似合ってる」
 なんの衒いも気負いもなく、率直な感想を述べる秋巳。
「ええ。ありがとうございます。私も一応女の娘なので、こういうハレの日くらいは
 お洒落をしてみようかと思いまして」
「そういえば、履物はあるの?」
「はい。これも、押入れの奥に眠ってたのを引っ張り出しました。
 きれいに拭いて玄関に用意してます。兄さんはその格好で行かれます?」
「うーん。合わせたほうがいいのかな?」
 そもそも自分も浴衣など持っていないことを思い出し、果たしてこの家に自分の着られる浴衣なんかあったかな、
と考えながら秋巳は返す。
「いえ。気にすることないと思いますよ。兄さんさえよければ、このまま出かけましょうか」
「うん。そうだね」
 このままふたりで歩けば、自分が色々な意味で不釣合いだとは思ったが、あまり気にすることを止め、秋巳は椿の言葉につき従う。
 
 
 


334:__(仮) (10/14)
08/03/21 20:02:51 0n5Kv67J
 
 決して広いといえない神社の、あまり規模の大きくないお祭りだというのにも関わらず、人の賑わいに溢れ返り、
夜の気温を低下させまいとばかりに熱気に包まれる境内。
 盛況のなか、どこからともなく鳴り響くお囃子の音。呼び込みをかける屋台の人の元気の良い声と、
小さな子供のはしゃぐ甲高い声が木霊する。
 そんな雰囲気の中、人ごみの間をゆっくりと練り歩く秋巳と椿。
 時折、屋台のおじさんからかけられる「おお! 兄ちゃん、別嬪さん連れてるね。どうだい、ひとつ買ってかないか! 
彼女の手前気風のいいとこ見せなきゃな!」という謳い文句も半ば苦笑いで躱しつつ。

「あれ? 椿? 椿じゃない?」
「お? 椿ちゃん? どこどこ?」
 ふたりの背後から声がかかる。
 その呼び止めに、椿より先に反応した秋巳が振り返ると、水無都冬真と萩原睦月がふたり立っていた。
「あー! やっぱり椿だ! それと、お兄さんも! うわー椿どうしたの? 
 そんな浴衣まで着て粧し込んじゃって。っていうかすっごく綺麗!」
「こんばんは。睦月。それと、水無都さんも」
 椿の姿を見て、普段よりさらに一層テンションをあげて、彼女に向かっていまにも飛びかからんとばかりに
はしゃぐ萩原睦月とは対照的に、落ち着いて挨拶を交わす椿。
 それに、萩原睦月の隣に立つ水無都冬真が片手を挙げて応じる。
「おお! 秋巳、椿ちゃん、こんなとこでふたりに会うなんて」
「奇遇だね。冬真。それと、萩原さんも」
「はい! でも、今日はおふたりですか?」
「ええ。一緒に行ってくれるような異性がいない寂しい兄妹ですので」
「またまたぁ!」
「そういうおふたりは、デートですか」
「えっ! い、いや、デ、デートってわけじゃ……」
「えっ!? デートじゃなかったの? ひょっとして俺勘違いヤロー?」
「あああ! 違います違います! そんなつもりじゃ!」
 椿と水無都冬真の間で、あたふたとする萩原睦月。
「水無都さん、睦月をいじめないでくれますか」
「お? 萩原ちゃんをいじめていいのは、椿ちゃんだけって?」
「はい。そうです」
 即答する椿。
「ちょ、ちょっと椿!」
「なるほど。それにしても、今日はまたどうして? おふたりさん」
 そう水無都冬真が話題を変えるためか水を向ける。椿ではなく、秋巳に。
「あ、いや。折角お祭りやってるから、出かけようかなって」
「椿ちゃんが?」
「え? あ、そうだけど」
「ふーん、ほー」
 なにを納得したのか秋巳には判らなかったが、水無都冬真は腕を組みうんうんと首肯する。
「なるほど。なるほど」
 判ったぞ、と水無都冬真は呟く。
「どうしたの? なにが?」
「椿ちゃんが、今日お洒落をしてきているわけさ!」
「え? 水無都先輩判るんですか?」
「ああ。椿ちゃん、君は今日俺がこのお祭りに来ることを知っていたな? 
 そんで、愛しの先輩に自分の晴れ姿を見せようと、精一杯お洒落して兄貴を出汁に
 俺に会いにきたってわけだ?」
 そう椿に人差し指を突きつけ、犯人はおまえだ! とばかりに豪語する。
「…………」
「…………」
 沈黙する秋巳と萩原睦月。
 


335:名無しさん@ピンキー
08/03/21 20:04:44 sg22SsEt
しえん

336:__(仮) (11/14)
08/03/21 20:06:23 0n5Kv67J
 
「ふふ。流石ですね。水無都さん。なんでもお見通しってわけですか」
「ええっ! ほんとなの!? 椿!」
「勘違いしないでね。睦月。いまのは、水無都さん流の意地悪な言い方なの。
 あの台詞はね、本当は私に自分が来ることを知らなかっただろうって言いたかったのよ」
「え? ど、どういうこと?」
「簡単な論理よ。水無都さんは判っているのよ。水無都さんが来ることを私が知っていたら、
 ここに来るはずないって。ましてやお洒落なんかするはずないってね。
 それが、お洒落してここにいるってことは、逆説的に、私は知らなかったってことになるのよ。
 水無都さん意地悪だから、ああいう言い方をするのね」
「あの? そんな意味はこれっぽっちも込めてないんだけど。
 っていうか、そこまで言われると流石の俺でも傷ついちゃうよ?」
 その言葉どおり水無都冬真は落ち込んだ表情を見せる。暗にどころか、これ以上ないくらい陽に、
貴方の前でお洒落などしない、貴方になど会いに行きたくないと言っているようなものだからその反応も自然であろう。

「あら。違いました? 残念。私には、推理の才能がないみたいですね」
 そう言って、ふふ、と微笑む椿。
「ふぇー。椿にかかったら、水無都先輩でもたじたじなんだ」
 萩原睦月は、なにに感心したのか、大きく開いた手を口に当てて、そう感嘆を洩らす。
「お? 萩原ちゃん、言ってくれるね。まだまだ判らないよー! 
 野球は九回ツーアウトからって言うし」
「頑張ってくださいね。先攻の水無都さん」
「ちょ! それじゃ俺、逆転できないじゃん!」
「大量リードで逃げ切ればいいんですよ」
「無理! 柄じゃないし」
「あははは」
 椿と水無都冬真の会話の応酬に、萩原睦月は愉快そうに笑い声をあげる。
 そして、思う。
(ああ、本当に―)
 本当に、このふたりはお似合いなんだな、と。
(―もしかしたら、椿は自覚していないのかもしれない。水無都先輩も、
 はっきりとは認識していないのかもしれない)
 ただ、もしそうだとして、自分はどうする。
 萩原睦月は、かつて椿に言った。
 相手が椿であれば、水無都冬真のことを諦められるかもしれない。
 それがいま、現実のものとなるかもしれない。たとえ、真実は全然違っていたものだとしても、
萩原睦月の世界ではそう見えている。そう認識している。
 自分は水無都冬真のことを諦められるのだろうか。椿を応援できるのだろうか。
 萩原睦月は、漠然として答えの出ない自問を繰り返す。
 迷ってても仕方ない。なにかしら動かなければ、なにも進まない。真実も。自分の気持ちも。
 だったら、吉と出るか凶と出るかは判らないが、前に進むべきなのではないか。
 萩原睦月は、頭の中に渦巻くもやもやを振り払うかのごとく首を振ると、椿に提案する。
「ね、ねえ! 椿、お兄さん、ちょっとお借りしてもいいかな?」
「え?」
「どうしたの? 睦月?」
「うん。ちょっとね。お兄さんに訊きたいことがあって」
「およ? 秋巳のおしめが取れた歳なら、三歳だよ?」
「あはは。そんなことじゃないです」
「私は構わないけれど……、兄さんは?」
「お兄さん、いいですか?」
「え? ああ、別にいいけど……」
 果たして、椿の親友が自分にいったいなんの用事なのだろうか。
「それじゃ、すみませんけど、お付合いもらえます?」
 そう言って、神社脇の林の方に歩き出す萩原睦月。
「おい、秋巳! 人気のないところに行ったからって、襲いかかるなよ!」
「かからないよ」
 それだけ答えて萩原睦月の後ろにつき従う秋巳。
 


337:__(仮) (12/14)
08/03/21 20:09:13 0n5Kv67J
 
 
 人の群れを抜けて、お祭りの雰囲気からは若干外れた神社脇にそびえる林の手前で立ち止まる萩原睦月。
「すみません。お兄さん。急に」
 後から付いてきた秋巳に振り返ると、まずは頭を下げる。
「いや、別に構わないけど、どうしたの?」
「えっとですね、椿と水無都先輩のことなんですけど」
「椿と、冬真の?」
「はい」
 そうして萩原睦月は自分の思いを語った。
 もしかしたら、椿は水無都冬真に惹かれているのかもしれない。それはまだはっきり恋心と気づいているものではないかもしれないけれど、
かつて椿が男性に恋愛感情を抱けるかもしれないと言っていたことと照らし合わせると、そんな予感がする、と。
 秋巳には、椿の言の部分を省いて伝えたが。
 そんなところにおいて、自分がどうしたらよいか正直判らない。
 性質は違えど、自分は椿も好きだし、水無都冬真のことも好きである。だが、もし、そのふたりが想い合っていたときに、
負の感情を抱かずに応援できるかどうか、自信がない。
 こんなことを秋巳に相談するのは、筋違いかもしれないが、椿と水無都冬真をよく知る人物として、頼ってしまった。
 それが内容だった。

「そうか……」
 萩原睦月の相談内容を訊いて、秋巳は呟く。
「萩原さんは、冬真のことが好きなんだもんね」
「はい……」
「僕もね、正直言うと、椿はひょっとしたら、冬真のことが好きなんじゃないかと思ってたんだ。
 萩原さんと同じように、はっきりとは自覚していないだろうけどってね」
「や、やっぱり!」
「うん。でもね。それは、椿が冬真に萩原さんのことを紹介する前にそう思ってたんだけどね」
「え?」
「でも、椿は、親友である萩原さんを冬真に紹介した。それが、椿の結論なんだと思うよ」
「でも! それは自覚していないから」
「じゃあ、椿が自覚したらどうすると思う? 君から、冬真を取り上げると思う?」
「椿はそんなことしないです! そんなことしないからこそ悩んでるんです。
 きっと、椿は自分の想いに気づいたとしても身を引いちゃう」
「萩原さんは、それが不満?」
「…………」
「さっき言ってたよね。しこりが無く応援する自信がないって」
「はい……」
「萩原さんは、身を引く前提なの?」
「だって……、自分の所為で、椿の想いを踏みにじりたくない!」
「萩原さんは、本当に椿のことが好きなんだね。ありがとう」
「そんな、お礼を言われることじゃ……」
「まあ。それはいいとして。これは僕の個人的な意見だけど聞いてもらえるかな?」
 秋巳のその言葉にゆっくりと頷く萩原睦月。もともと、秋巳に相談をしたくて呼び出したのだから、
それは願ってもないところだ。

「僕はね、椿には幸せになってもらいたいと思っている。椿が冬真と一緒になることで、
 幸せになれるならそうなって欲しいと思っている」
「ああ―」
 萩原睦月は実感する。自分はこの言葉を言ってもらいたかったのかもしれない。椿を想うもうひとりの人間にも、
椿のためにも引いてくれと宣告してもらって、踏ん切りをつけたかったのかもしれない。
「でもね―」
 秋巳は、そんな彼女の内心など気づく素振りも見せず、続ける。
「冬真もね、僕の友達なんだ。それこそ、萩原さんが椿のことを大事に思っているように、
 僕も冬真のことが好きなんだ。親友としてね。冬真にも幸せになってもらいたいと思っている。
 だから、椿の気持ちを優先して、冬真が椿のことを好きでもないのに
 付き合ってくれなんて頼むつもりは毛頭ないよ」
「え?」
 萩原睦月は、秋巳の言いたいことを図りかねて疑問を挟む。
 


338:__(仮) (13/14)
08/03/21 20:11:36 0n5Kv67J
 
「冬真が好きな人は、冬真が選ぶんだ。だから、いいじゃない。
 ふたりとも冬真のことが好きになったとして、その瞬間に諦めることはないと思うよ。
 萩原さんも椿もね。結局冬真が好きな人と一緒になれなければ、それは、僕の望むところじゃない。
 身を引いたほうが、冬真の好きな人だったとしたら、それじゃ、冬真が可哀想だよ」
「あ……」
 萩原睦月は天啓を得たとばかりに、大きく目を見開く。
 それもそうだ。ふたりの人間が同じ人を好きになったといって、その好きな人の気持ちを無視して、
お互いのことを考えて身を引いたりなんだりと、確かにある意味身勝手と言えよう。
「冬真もこういうことに関しては、結構飄々としてて、僕もその本心までは窺い知れないところがあるけど、
 でも、こうやって、萩原さんとふたりでお祭りとかに来るってことは、満更でないと思うよ。
 冬真って、ああ見えて結構女の娘とふたりで出かけたりとか、あんまりしないから」

 だからね、と秋巳はさらに言葉を紡ぐ。
「萩原さんは、もっと素直に自分の想いを追いかけていいと思うよ。
 椿が気づいたときには手遅れだったとしても、それこそ、さっきの話じゃないけど、
 試合が終わった後に打席に立ったって、試合に勝つどころか、点すら入らない。
 打つことすら出来ないんだ。それはそれで、椿の人生なんだから」

 萩原睦月は、じっと瞳を閉じて、耳に染み入るような秋巳の言葉を、頭の中で反芻する。
 自分が素直であれば、きっと椿もそれに応えてくれるんではないか。
密かに自分の想いを仕舞いこんで、影で偲ぶなんてことせずに、正々堂々自分に宣言してくれるのではないか。
 それこそが彼女の望みであり、秋巳の言葉はそんな希望を萩原睦月に抱かせた。
「はは……。ありがとうございます。お兄さん」
「いや。別に。これは、僕の個人的な考えだし」
 萩原睦月の真っ直ぐな視線を受けて、照れた様子で頭をかく秋巳。
 萩原睦月の相談内容が、秋巳が誰より大事な椿と水無都冬真のことでなければ、基本的に他人に関心を抱かない秋巳は
ここまで真剣に考えて本心を話さなかっただろう。
 そのふたりに対して彼女がここまで真摯でなければ、秋巳は、当り障りのないことを言って、煙に巻いていたかもしれない。
 でも、秋巳はそのふたりが大好きで、そして、萩原睦月も愚直なまでに誠実だった。
 だから、秋巳は応えた。萩原睦月の期待以上に。

「はー。でも悔しいですねぇ」
「え? なにが」
「だって、水無都先輩に対する想いで、お兄さんに負けてる気がするんですもん!」
「ちょ、ちょっと……」
「あはは。でも、お兄さんも結構女殺しなタイプですね?
 あんな真剣に想われたら、大体の女の娘は一発ですよ?」
「あはは。妹と同性の親友だけどね」
「だからこそ、女殺しなんですよ」
 そう言って秋巳の肩を軽く叩いた萩原睦月に、その意味するところをよく理解できずに、秋巳はつられて曖昧に笑った。
 
 
 


339:__(仮) (14/14)
08/03/21 20:14:03 0n5Kv67J
 
 
               *  *  *                  
 
 
 時間は少し遡って。秋巳と萩原睦月を見送った椿と水無都冬真は、人の流れの邪魔にならないよう御影石の敷き詰められた参拝道脇に寄り、
そこに設置されたベンチに腰をかけていた。といっても、腰を下ろしていたのは水無都冬真ひとりであり、
椿は、水無都冬真が座るよう勧めてもそれを遠慮し、その傍に屹立していたが。
「萩原ちゃん、秋巳になんの話だろうね?」
「さあ、私には判りかねます」
「心配じゃない?」
「なにが、でしょうか」
「いまごろ、自分の兄が自分の親友に襲いかかってるかもしれないって」
「いいえ。全然。むしろ、我が身が心配ですね。水無都さんに襲いかかられないかって」
「おりょ? 心外だね。俺は紳士よ。決して、暴力的な手段には訴えないさ!
 ましてや、人を使ってなんてね」
 そう自分の胸を硬く握った拳で、ドンと叩く水無都冬真。
 そんな彼を半眼でねめつけるように椿。
「どういう意味でしょうか?」
「ん? ああ、だから、人に頼んで椿ちゃんを襲わせて、
 そこに颯爽と自分が助けに入って椿ちゃんを惚れさせるなんて、小賢しいことはしないさ」
「どうでしょう。そんなことを思いつく人の言葉を、そのまま鵜呑みにはできませんけど?」
「もう。信用ないなあ。秋巳が悲しむようなことはしないよ? できるかぎりね」
「そう願います」
「ところでさ、話はちょっと戻るけど」
 座った位置から、椿を見上げる様子で声をかける水無都冬真。
「なんでしょう」
「野球の話。九回裏ツーアウトから、実際何点取れると思う? 一般的な話」
「理論的には、何点でも可能なのでは?」
「じゃあ、椿ちゃんが守り側で、九回裏ツーアウトまでとった状態でマウンドにいたとしたら、
 何点あったら、このまま逃げ切れると思う?」
「私は、野球のことよく判らないのですけど」
「勘で良いからさ」
 ほらほら、とばかりに、水無都冬真は椿に回答を促す。
 椿は、秋巳たちの消えた方角を見やりながら、水無都冬真の質問に考え込む仕種をする。
 そして、そのまま、彼のほうに振り向くことなく答える。
「―1点差、満塁、カウントノースリー、ですかね」
「ヒュゥ! かっこいー!」
 水無都冬真の囃す声が、欠けた月の肩に薄雲がかかる夏の夜空に吸い込まれた。
 
 
 
 
 
 
 
 


340: ◆a.WIk69zxM
08/03/21 20:14:54 0n5Kv67J
 
以上。投下終了です。
ここまでで、約280KB。そろそろ収束します。
 


341:名無しさん@ピンキー
08/03/21 20:25:32 iRUUH8T1
wkwkGJ!

342:名無しさん@ピンキー
08/03/21 21:04:08 CpX9mH9E
>>340
GJ!
椿が一体どこまで計算しているのか
このスレのキモウトたちは月なんてめじゃないぐらい頭良いのが多いな

343:名無しさん@ピンキー
08/03/21 21:05:13 I9gUJpDX
GJ!!
つっつ続きが楽しみすぐる…

344:名無しさん@ピンキー
08/03/21 21:10:38 UoeLF+8V
ワクテカが止まらない…
皆が幸せになれますように~~

345:名無しさん@ピンキー
08/03/21 21:23:52 hBaktBKE
兄、カッケーな!GJ!

346:名無しさん@ピンキー
08/03/21 21:25:32 aD2HL6oM
いつもありがとうございます。
秋巳君を幸せに・・・いや過ぎたことでしたw
これからも無理なくご自身の納得のいく作品の執筆を続けていただければ幸いです

347:めっちゃくだらんやつ
08/03/21 21:54:30 kMRJxEZ2
こんなシリーズが読みたいなぁ…と思って考えたやつです。



~その時キモウトは…~


兄「洗ってないパンツあげようか?」
妹「え!?…う、うん!欲しい欲しい!」
兄「はい」
妹「わーい!ありが…と……って、これ新品じゃん!」
兄「うん。友達に貰ったんだけど要らないから…」
妹「ふーん…って!私の方が要らないよ!」
兄「でも、俺の指紋付きだぜ?」
妹「え?あー………」(※)

兄「……変な顔」
妹「ヒャッ!近っ!ジュルッ…」
兄(コイツ…俺の指紋で何想像したんだ…?)




妹(お兄ちゃんが付けた指紋……あ、ああ…私にもいっぱい付けてほし…はうっ!…ヤ、ヤバ!軽くイッちゃった…ジュルルリンッ)

348:名無しさん@ピンキー
08/03/21 22:16:21 wHgRuNqV
>>340
__(仮)の中でも今回の話凄く面白かったです
GJ!

349:名無しさん@ピンキー
08/03/21 22:47:29 EY58cCIF
>>340 GJ!
もう続きが気になって気になって……

しかし、椿がとうとう目に見える範囲で行動し始めたか…先が凄く楽しみだ。

350:名無しさん@ピンキー
08/03/21 23:07:31 0TKOBkKj
>>340
秋己カッコヨス!!
しかし椿の完全な思惑通りに進んでいるのか?
……気になる……

>>347
思い付いたので便乗


妹「お兄ちゃん、私フィギュア見たいんだけど?」
兄「ニュースも終わったしな。ほれ何番だ?」
妹「8番、あっ真央ちゃんだ」
兄「…音小さいな。でかくしていいか?」
妹「うん、お願い『なんならお兄ちゃんのアソコも大きくしてあげようか?』」
兄「…ちょっとしすぎたか。ちょっと小さく…」
妹「CM入っちゃった」
兄「んじゃ、タモさんを…って今日は中止か。4番…」
妹「……」
兄「太田も毒薄くなったな。…てまたCMかよ」
妹「…(※)…ひゃん!!」

兄「おーい、フィギュア見ないのか?」
妹「え…あ、あの宿題あるから(ジュル)」
兄「…明日は休みだろ。変な奴」


(※)
妹『あ、あたしの敏感な部分もお兄ちゃんに押されたい!!…えっ…お兄ちゃんだめっ…!!
い、いい!!気持ちいい!!!!(ジュンジュルルン)……妄想で軽くいっちゃった…』


351:名無しさん@ピンキー
08/03/21 23:09:33 /OS6Lziv
あー椿かわゆす。超GJ
しかし一方では殺す殺さないのレベルで思い詰めてる人がいるんだよなw

352:名無しさん@ピンキー
08/03/22 00:39:40 fUHLv8h3
日曜日よりの使者グッジョブ

353:名無しさん@ピンキー
08/03/22 07:30:57 YqHCsKx7
>>340

>「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」
>「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」
>「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」
>「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」
>「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」


これに萌えたのは俺だけじゃないはず

354:名無しさん@ピンキー
08/03/22 16:25:05 me5llFN+
すでに未完の作品っていわれてると、やっぱり再開の投下は遠慮した方が他の職人にとっていいのかな?

355:名無しさん@ピンキー
08/03/22 16:32:37 mSCqw5ZC
別にいいんじゃね

356:名無しさん@ピンキー
08/03/22 16:43:06 L19YLxu4
椿GJ!

さあここからどんな展開になるか・・・


357:名無しさん@ピンキー
08/03/22 16:58:51 OMi7UW7n
>>354個人的にはいいと思う。連載再開待ってる人もいるしね。

358:名無しさん@ピンキー
08/03/22 17:01:48 bLa7TJMj
困るほど連載されてない大丈夫

359:名無しさん@ピンキー
08/03/22 17:26:16 JkJ8Zjb1
>>354
全然困りません。むしろ投下してください

360:名無しさん@ピンキー
08/03/22 22:55:04 L19YLxu4
>>354
ばちこいSS!みんなおまいを待っとるぞ


361:名無しさん@ピンキー
08/03/23 00:58:40 9chDhGI/
>>354
その言いまわしをした以上住人は期待してしまうんだから、言うからにはいつでも投下できる準備
をしてから言うべきだと思います。投下に時間がかかるなら一言ほしいです。
ほら、最近暖かくなってきたからって半裸待機してて風邪ひく寸前の俺がいるのだから!

362:枯木 ◆3OsbddjPtM
08/03/23 03:06:08 Ax4jhXDi
上の人ではないけど投下します。
>>130-132設定の流用ッス。

363:俺と香苗とキモウトのバースデイ
08/03/23 03:07:25 Ax4jhXDi
 珍しく机に向かって勉強していたら、部屋の扉がノックされた。
「お兄ちゃん、入ってもいい?」
 いいぞ、と答えると、とっておきの悪戯をする直前のような笑みを浮かべて、妹の純子
が部屋に入ってきた。後ろ手に何かを隠している。純子は俺の眼前に立った。
「お兄ちゃん、プレゼントフォーユー!」
 純子が綺麗にラッピングされた包みを両手で差し出してくる。俺は無言でそれを受け取
り、満面の笑みを浮かべた妹の顔をしげしげと見つめる。
「なんだこりゃ」
「だから、プレゼント」
「プレゼントって、なんかあったっけ?」
 俺の記憶では、向こう一ヶ月ほど、俺がプレゼントを渡されるようなイベントは一つも
ないはずだ。誕生日でもないし、バレンタインデーやらホワイトデーやらもとっくに終
わっているし。そう思っていると、純子は手で口許を隠し、少し頬を染めて意味ありげな
視線を送ってきた。
「ほら、来週わたしの誕生日だから」
「そりゃ知ってるが」
 確かに、来週の日曜は純子の誕生日だ。そろそろ何をプレゼントするか考えておかない
といけないな、と思っていたから、もちろん忘れてはいない。
「でもお前、それだったら逆だろ。お前はプレゼントされる側であって、する側じゃない」
「その辺はね、その包みの中を見てもらえれば分かるよ」
 期待に輝く純子の瞳に後押しされるようにして、俺は出来る限り丁寧に包みを解く。中
から、綺麗に畳まれたセーターが出てきた。厚手の毛糸で編まれているらしく、いかにも
温かそうな一品だ。
「ごめんね、編むのに時間がかかっちゃって、ちょっと時期外れになっちゃったんだけど」
「それは別にいいけどさ。まだちょっと寒いし」
 俺はセーターを広げて、上から下までじっくりと眺めた。
「なんでこれが、さっきの疑問の答えになるんだ?」
「うん、つまりね」
 純子は少し俯き、もじもじと両手の指を絡ませながら恥ずかしそうに言う。
「わたしの誕生日にこれを着ててほしいなー、なんて」
「ああ、そういうことか」
「うん、そういうこと」
 微笑む純子の前で、しかし俺は警戒を緩めずにセーターをチェックする。
(衣類だから、食い物とかよりはいくらか安全だろうが)
 少なくとも媚薬とかの類は入っていないだろう。だがまだ安心は出来ない。俺が入念に
セーターをチェックしていると、純子は悩ましげに太股の辺りを擦り合わせ始めた。
「やだお兄ちゃん、そんなに見られちゃ恥ずかしくてイッちゃうよ」
「イくな馬鹿。それで」
 ついに脇腹の辺りから何か黒いものがはみ出しているのを発見した俺は、ある種の予感
を抱きながら純子に問いかけた。
「今回は、何を仕込んだんだ?」
「それはね、溢れ出さんばかりのお兄ちゃんへの愛情と欲情と」
 笑顔で人差し指を立てる。
「わたしが昨日抜き取ったばかりの陰毛」
「返す」
 純子の笑顔にセーターを押し付ける。
「ひどいよお兄ちゃん!」
「ひどいのはお前だ! 実の兄になんてもの着せようとしてんだお前は!?」
「一生懸命編んだのに!」
「普通に編むだけにしとけ。そして込めるのはせめて愛情だけにしてくれ」
「え、それは遠まわしなOKと受け取ってもいいの?」
 馬鹿がまた調子に乗り始めた。かすかに息を弾ませ、濡れた瞳でこちらを見つめてくる。
俺は椅子に座ったまま後ろに下がろうとしたが、机があるので無理だった。そんな俺を見
て、純子はいやらしい笑みを浮かべながら、飛び掛る直前の熊のように両腕を上げる。頼
むから指をわきわきと蠢かせるのはやめてほしい。ついでに嫁入り前の娘だという自覚を
持ってほしい。

364:俺と香苗とキモウトのバースデイ
08/03/23 03:08:01 Ax4jhXDi
「落ち着け純子」
「わたしは極めて限りなく冷静だよお兄ちゃん」
「だったら今すぐ回れ右して俺の部屋から出て行ってくれ」
「ごめんもう辛抱たまんないッス自分」
「全然冷静じゃないし」
「お兄ちゃーん!」
 純子がグッと膝を曲げる。飛びかかる予備動作だ。仕方がないので蹴って迎撃しようと
身構える俺の横で、唐突に部屋の窓が開いた。
「ハァイ、浩二! 元気ぃ?」
 馬鹿に明るい能天気な声が響き渡る。ぎょっとして俺が横を見ると、開け放たれた窓か
ら長い黒髪の美人さんが入ってきたところだった。隣の家に済んでいる香苗だ。
「って言うかお前、ここ二階で、しかも窓鍵かけてたはずなんだけど」
「開けた」
「どうやって……いや説明しなくてもいい、いろいろ怖いから」
「そう。ところで」
 香苗はきょとんとした顔で首を傾げた。さらさら流れる黒髪が実に美しい。
「なんか、取り込み中だった?」
「その通りだよ糞アマァ!!」
 憤怒の形相を浮かべた純子が、いつの間にか手に持っていた包丁を香苗に向かって突き
出した。いつものことながらどこに持っていたのかは分からない。香苗の方は特に慌てる
こともなく、突き出された包丁の切っ先を二本の指でつかみ取った。苦笑気味にぺろっと
舌を出してみせる。
「あー、そうだったかー。ごめんね純ちゃん」
「謝るんならさっさと出てけ! っつーかどこから入ってきてんだテメー、窓からお兄
ちゃんの部屋に侵入していいのはわたしだけなんだよ!」
「お前にそんな許可をやった覚えはない!」
 俺の突っ込みはいつものことながら無視される。香苗は「んー」と唇に人差し指を当て
て、思い出すように呟いた。
「でもさー、隣の家に住んでる幼馴染って、窓から入ってくるものじゃない?」
「どこの世界の常識だそれは」
 呆れる俺の前で、純子が獰猛な唸り声を上げた。
「非常識なビッチだぜ! 大体テメー、お兄ちゃんの部屋に窓から入ってきて何をするつ
もりなんだよ、えぇ?」
「それはもちろん」
 香苗は空いている手を頬に添えて、恥ずかしげに身をくねらせた。
「朝起こしてあげたりとか、添い寝してあげたりとか、元気だったら沈めるために○×△」
「変態、変態がいるよお兄ちゃん!」
「どの口が言ってんだ馬鹿」
 俺は少々動揺しながらおざなりに突っ込みをいれた。怒る純子の向こうから、どことな
く切ない視線を送ってくる香苗を見ていると、なんだか胸がドキドキしてしまう。
「あー、お兄ちゃんが興奮してる!」
「してねえよ馬鹿!」
「やだもう浩二ったら、頼めばいつでもしてあげるよ? 一回一万円で」
「金取るのかよ!? しかも高ぇよ!」
「風俗よりは安いよ」
「なんでそれをお前が知っているんだと小一時間問い詰めたい」
 屈託のない笑みを浮かべる香苗に溜息をつく俺の前で、突然純子が馬鹿笑いを上げた。
「ついに馬脚を表したねこの泥棒猫! ほーらお兄ちゃん、この女に愛情なんて欠片もな
いんだよ! お兄ちゃんの体が目当てだったんだよ!」
「日常的に繰り広げられているお前の変態的行為と、どこがどう違うんだか聞いてみたい
んだが」
「やだなあお兄ちゃんったら、わたしはちゃんと、お兄ちゃんの心も堕としたいと思って
るんだよ? 金目当てとか、そういう不純な動機じゃないの! 愛なのよこれは!」
「それは愛じゃなくて欲望というんだ」
「愛と肉欲の日々!」
「黙れ馬鹿」
 いい加減頭が痛くなってきたので、俺はこの馬鹿なやり取りをにこにこと機嫌良さそう
に見守っている香苗に、手短に頼んだ。
「そろそろ黙らせてくれ」
「りょうかーい」

365:俺と香苗とキモウトのバースデイ
08/03/23 03:08:45 Ax4jhXDi
 目視できないほどの速さで香苗が動く……と思ったときには、既に彼女の細い腕が純子
を締め落としているところだった。どことなく恍惚とした表情で、純子が難なく気を失う。
「最近落ちやすくなってきたねー純ちゃん」
「そりゃ、ほぼ毎日似たようなことを繰り返してりゃあな」
 ぼやく俺の前で、香苗はそっと純子の体を抱え上げて、傍らのベッドに移した。
「んふ。お兄ちゃんの臭い……」
 気絶状態だというのに寝言を言いながら、純子が涎を垂らして俺の枕に顔を埋める。後
で枕カバーを変えなくちゃならん、と心に決めながら、俺は香苗に向かって片手を上げた。
「いつものことながらすまんな」
「別にいいよ? わたしも楽しんでやってるんだし」
 純子が編んだセーターを手に取りつつ、香苗がベッドの縁に腰掛ける。それから、わず
かに咎めるような、困ったような顔でこちらを見た。
「でも、女の子のお腹を蹴ろうとするのはよくないと思うな」
「なんだ、見てたのかよ」
「見てたからあのタイミングで入ってきたの。あのままじゃ純ちゃん確実に飛び掛かって、
浩二に空中でお腹蹴られてたと思うし」
「まあ、あの場合はそうでもしないとこの馬鹿を引き離せそうになかったからな。ああで
も、一応言っておくと手加減はする気だった……って言い訳にならんか」
 溜息をつく俺の前で、香苗はくすくすとおかしそうに笑った。
「優しいねえ。わたしもね、浩二のそういうところ好きよ」
「やめろよ、照れるだろ」
 おそらく赤くなっているであろう俺の顔を、香苗は見ていなかった。手に持ったセー
ターの表面から、凄まじい速さで何かを抜き取っている。その作業は数秒後に終わった。
「でーきたっと。はい、どうぞ浩二」
 片手で俺にセーターを差し出してくる。もう片方の手は、何かを隠すように握り締めら
れていた。俺はセーターを受け取りながら問いかける。
「何本ぐらい入ってた?」
「んーと、100本超えてたかなー」
「そんなにか!?」
「かなり念入りに隠されてたからねー。一本見つけられたのは運が良かったんじゃない?
今回はずいぶん張り切ったね、純ちゃん。多分今つるつるなんじゃないかな」
「やめてくれ、つい想像しそうになっちまう」
 げんなりしつつ、俺はセーターを受け取った。陰毛が抜き取られた今なら、まあある程
度は着るのに抵抗がなくなったといえる。
 無言で立ち上がり、押入れを引きあけて、布団の奥に隠されたカラーボックスを取り出
す。蓋を開けると、中には種類様々な品々がきちんと整理されてしまわれていた。本当に
いろいろなものがある。人形やら絵やら小瓶に入った謎の液体やら。その中に、丁寧に畳
んだセーターを押し込む俺を見て、香苗が楽しそうに笑った。
「純ちゃんからのプレゼント、ずいぶんたまってきたねえ」
「ああ。ったく、参るよな。飾っとくとこの馬鹿が調子に乗るし、だからって捨てるのも
忍びないし」
「やっぱり」
「あん?」
 何か含みのある声に振り向くと、香苗は機嫌良さそうに微笑んでこちらを見つめていた。
「浩二ってさ、あれだよね。ツンデレってやつ」
「なに馬鹿なこと言ってんだ、ったく」
 俺はまた押入れの方を向いて、カラーボックスを布団の奥に押し込んだ。多分、またも
赤くなっているであろう顔を香苗に見られるのは、なんとなく癪だった。

 ちなみに一週間後の誕生日、俺はあのセーターを着て純子の誕生日を祝ってやった。
 陰毛を抜き取ったことは説明してあったが、それでも妹は幸せそうだったので、まあ結
果オーライといえるだろう。
 その夜、「誕生日にお兄ちゃんの精液ちょうだーい!」だのと言って部屋に侵入してき
た純子が、たまたま天井裏に潜んでいた香苗にいつも通り撃退されたのは言うまでもない。

366:枯木 ◆3OsbddjPtM
08/03/23 03:10:32 Ax4jhXDi
以上。

367:名無しさん@ピンキー
08/03/23 03:34:07 kwCG3DII
スゲーきめぇwwww

368:名無しさん@ピンキー
08/03/23 04:57:33 9chDhGI/
>>366
GJ!純子きめぇwww
過去に自分の陰毛の本数を数えた人間はかなりいるはず!そして途中で諦める

369:名無しさん@ピンキー
08/03/23 08:52:35 C10xl18F
すごいな
変態妹&超人幼馴染みの組み合わせと言えば
エロゲネタ板の朝妹スレの名物シリーズ(逆さしばり首団のアレ)が極めつけだが
これもワロタよ

370:名無しさん@ピンキー
08/03/23 11:21:17 6Ouemsce
純子もアレだが、香苗も相当にきめぇwwww

371:名無しさん@ピンキー
08/03/23 18:26:38 a/zbYhSF
>>368
なにその不毛な取り組み


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch