キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part10 - 暇つぶし2ch170:ちゅー音の多い料理店
08/03/15 03:29:33 SoGLKtpt
「ちゅーーーっ!」

今日も、厨房にいつもと同じ声が響く。
合わされた唇がきゅっと窄められるとこちらの唇が強く吸われ、
ぱっと吸引を止んだら次は啄むみたいに何度か軽く押し付けられる。
どんな食材とも違う人間の、多分女の子に独特の柔らかな唇の感触。
マシュマロに似ていて、だけどずっとしっとりとしている。

「────っぷはあ♪」

そんなことを考える余裕が生まれるくらいには、
目の前で堪能したとでも言いたげな顔をする妹とキスをするのにも慣れてしまった。

「えっへっへぇ。それじゃあご馳走様でしたお兄ちゃん!
 お兄ちゃん分補給率ひゃっく☆ぱあせんと!
 元気復活した千癒(ちゆ)は早速戦線に復帰するでありますっ!」

妹は肩が重くなった気がするこっちとは対象に輝きそうな顔で敬礼をすると、
今もお腹を空かせて待っているだろうお客さんの下へと駆けて行った。
途中、装飾が多いのに露出度が高いウェイトレス用の制服から、ふりふりと揺れるスカートの中が覗きそうになる。
思わず溜息を吐こうとして、今は蓋を取った鍋の前にいることを思い出した僕はもう一度首を横に曲げた。



ここはさして広くもない、こじんまりとした料理店。
ずっと料理人を目指してきた僕がこのお店を開いてから、もうそれなりの月日が流れた。
同時に、美味しい料理を作ればお客さんが来るわけではないと知ってからも。
自分の料理を過信している訳じゃない。
自分より人気のあるお店と食べ比べてみて、今まで育ててきた舌で出した答えだ。
同じくらいの味の料理が並んでいる場合、当然だけどお客さんは味以外でどちらを食べるか決める。
それは値段だったり、その時の流行や、一緒に居る人といった状況による。
例えば、どんなに美味しくても恋人との外食でラーメンを選ぶ人はあまりいない。
僕はそういった料理そのもの以外に対する嗅覚が鈍かった。
僕みたいなようやく一人前になったばかりの料理人に集められる開店資金では、
あまりいい立地で店を構えることが出来なかったせいもある。
世の中には僕と同じ料理の腕と、僕以上に出す料理を選ぶ優れた感覚を持っている人がいた。
今、お店の経営は、あまり上手くいっていない。
元々規模を小さく、出来るだけ自分一人でやっていけるように店を構えたおかげで、
お客さんの入りの悪さが即致命的な打撃になることはないけれど。
それも長く続けば話は別だ。
実際にはそこまで悪い状況にはなっていないけど、
今の僕が客寄せから配膳まで調理以外の全てを一人でやってくれている妹にかなり助けられているのは確かだった。
妹は僕の料理が大好きで、普通に考えればかなり安い給料で働いてくれている。
どんな商売でも必ず頭を悩ませる人件費。
これが余所に比べて安上がりなっていなければ、この店はとっくに潰れていたに違いない。
妹の存在がこの店を支えていると言っても過言ではないだろう。

──その代わり、何故か妹はそれを盾に頻繁にキスをせがんでくるけれど、背に腹はかえられない。
この料理店が潰れるということは、僕の夢が終わるということだから。

思えば僕が料理人を目指したのも、
昔、今よりずっと小さかった妹が僕の料理を美味しいと言ってくれたのがきっかけだった。
母さんが早くに亡くなって、
それまでの二人分の稼ぎを父さん一人が背負うようになって、それで僕がせめて家事だけでもやろうと決めて。
妹が僕の料理を我慢せずに食べるようになったのはいつからだったか。
最後には僕の作った料理以外は口にしないと言って、
後で知ったことだけど、学校の給食に一切手をつけずに終わっているくらいだった。
家では僕が作るし、給食の年齢を卒業してからは毎日僕のお弁当、今はお店で余った材料で作る料理。
考えてみると、妹の食事は全て僕が用意している。

171:ちゅー音の多い料理店
08/03/15 03:32:53 SoGLKtpt
(またか・・・っ!)

言いかけて、何とか歯を食いしばって飲み込んだ。周囲のテーブルには他のお客さんの姿がある。
店の責任者として、下手なことは言えない。

「ではお客様、お会計をお願いしまーす。
 警察沙汰にはしませんから、しっかり払って下さいね?」
「い、いいよいいよぅ。おじさん、幾らでも払うからねぇ・・・・・・うひっ!」

よく肥えた牛みたいな動きでのっそりと起き上がったお客さんは、
隣にいる僕に構わずに妹の誘導に従って歩き出した。
妹は既にレジの前に移動している。
蟹股になったお客さんは懐を探ってから手汗に濡れたお札を出すと、お釣りも受け取らずによたよたと店を出る。
気のせいか、蹴られたはずの股間を抑える手が前後に動いていた。
その姿を見送って、胸に岩塩でも詰めたみたいな溜息が出る。

「にへへー。オーナー、千癒が心配で見に来てくれたんだ? 嬉しいな♪」

妹はお客さん達の前では二人が兄妹であることを思わせるような言動は取らない。
厨房では呼ばれない呼び方に振り向くと、いつの間に来たのか、まだ膝をついたままの僕をにこにこと見下ろす妹。
こっちが立ち上がると曲げられた背が伸び、表情はそのままで僕を見上げる。
胸に深く切れ込みを入れたエプロン。
上向かせた首と一緒に張られた胸のせいで、その谷間の先が見えてしまいそうだった。

「千癒。もう、その制服は止めた方がいいんじゃないか?
 最近、特にああいう・・・・・・その、セクハラが増えてきたけど」
「だいじょうぶっ!
 触られる前に潰せば害はないし、ちゃんとお金は落として行ってくれるから。
 あの手のタイプは程々にあしらえば常連になりやすいし。
 幾らお金を落としてくれても、オーナー以外に玉のお肌を許す気はないけどねっ♪」

その常連になりやすいのが問題なんだけど、妹は明るく笑ってくるりと回って見せた。
ひらりと、フリルでデコレートしたスカートが舞う。

「・・・・・・」

周囲から注がれる視線が、むしろさっきの騒ぎの時よりも強くなるのが分かった。
鋭さを感じるのに、どこかドロドロとした湿気と粘りを持っていて、熱い。あの男性客と同じだ。
僕の背中を貫いて妹を目指そうとする視線が、
そこら中に座っているあの男と同じような風貌のお客さん達から注がれている。
妹の姿を、その露出の多い制服から覗く体を目当てに集まった人達。
大部分は大人しくて、無害で、意外に置いてあるアンケートにもマメな答えを書いてくれるけど、
それでも僕の料理を目当てに来ている訳ではない『お客さん』達だ。
おかげで、最近は本当に調理をしている間でも気が抜けない。
今のところ妹自身が被害を受ける前に撃退しているとは言え、
兄として、今も妹に助けられている一人の料理人として気が気でなく、
ついつい理由を付けて妹の働く姿を覗きに行くくらいだ。
それに。
思えば、このお店の客層がそういうお客さんで固定されてから、女性客はほとんど来なくなってしまった。

「それにね?
 おに──オーナー、千癒がこういうカッコしてると、心配でついつい見に来ちゃうでしょ?」

なのに。
当の妹は、それを理解していてこんなことを言う。
女性客のことも、
『千癒に聞けばいいの。千癒も女だもん。それも、誰よりもずぅっと沢山お兄ちゃんの料理を食べてきた』、
なんて言うくらいだ。

「それとも・・・千癒を見に来るのは、心配だからなだけじゃなかったり?」

172:ちゅー音の多い料理店
08/03/15 03:34:42 SoGLKtpt
ほんの少し下がって背を傾けた妹が、丁度僕の視線の直線上になるよう位置に胸を置く。
指で引かれた薄布が肌から離れた。
二つ。大きな曲線の先についた小さな突起が目に入る。
後ろでは、残った手で摘み上げたスカートがひらひらと揺らされていた。

「ば、馬鹿っ! そんな訳ないだろっ!?」

周囲で興奮のどよめきが起こったけど、それを気にする余裕もなく叫んでしまった。
叫びながら咄嗟にそらしたつもりで、瞳の中には見せられた光景が焼きついている。
妹の笑い声が、顔の代わりに向けた耳へと入って来た。

「えっへっへ。心配だから、っていうトコは否定しないんだー」

甘い、角砂糖を転がしたみたいに高くよく響く笑い声。
反論はしないけど、目を合わせて肯定する気にもなれない。

「っ・・・それは、そうだよ。はあ。
 もういい・・・・・・僕は厨房に戻るから、千癒も仕事を続けてくれ」

そっぽを向いたままでそう言って、歩き出────そうとして、捕まれた腕が邪魔をした。

「ちゅーーーーっ♪」

反射で振り向いたのがいけなかった。唇が柔らかい何かとぶつかる。
鼻の触れる距離にある、瞳を輝かせた妹の顔。
はっ、として吐き出した息が吸い込まれた。
吸い付かれたま、代わりと言わんばかりに何かが挿し込まれる。
口内に分け入ったそれが好き勝手に跳ね回り、僕の歯や歯茎、歯列の間に身を擦らせた。

「ひゆっ!」
「ちゅうううううぅぅぅぅぅっっ!!」

唐突にキスをしてきた妹を引き剥がそうとして、密着しているせいで簡単にいかない。
それどころか身長差を埋めつつ僕に張り付くために両腕両足で抱きついた妹のせいでバランスを崩し、
辺りのテーブルに並べた料理の皿を盛大に鳴らしてしまった。

「っつ・・・!?」
「もうっ、──ったら、本当に可愛いんだから♪」

咄嗟に背中を床に向けて倒れる。ガンと響く痛みの中で、一箇所だけ拘束が解かれた。
頭の中の痛みが、吸い込んだ酸素の美味しさに和らぐ。

「でもね?」

照明を後光のように浴びて、妹の笑顔がすぐ上にあった。
回された両腕も外され、硬い膝の感触が腰の両脇にある。
微かな光と一緒に注がれる、妹の視線。濁っているのに、怖いくらいにぎらぎらと輝いている。
気の遠くなるような時間ずっと何かを煮詰めたみたいな、さっきまでの男性客達のそれよりもずっと熱い、目。

「そんなに心配なら、千癒が誰のモノなのかを皆に教えちゃえばいいんだよ」

起き上がろうとして、両肩に一つずつ添えられた手に阻まれた。

「千癒が誰を好きで、誰に愛されてるのか。
 二人の間には隙間なんてなくて、この世でたった一人、
 千癒の愛する人以外は千癒に触れられないんだって、教えて上げればいいの。
 だからね? 丁度、人も多いみたいだし」

173:ちゅー音の多い料理店
08/03/15 03:35:56 SoGLKtpt
僕は妹に格安で働いてもらっている代わりに妹のキスに応じるという、
相手から強引に売り込んできたとは言えかなり変わった約束をしてはいるけれど。
そのセリフは果たして、セクハラ防止のために『そういうこと』にするためのものなのか。
首を巡らせた妹が、深く、僕の瞳を見詰める。

「集まってるお客さん達も、どうせそういうのが目的だから」

覆いかぶさる様にして胸を擦り付けると、僕にだけ微笑んで、僕にだけ聞こえる距離で囁いた。

「Get chu♪」

それは違う。
僕はそう言いたくて、だけど歯止めを失った妹は、僕にまともな発音を許してくれなかった。

「ちゅう、ちゅう、ちゅーーーーっ♪♪♪」

比較的、いつものことではあるけれど。今日は特別多く、それも人前で、僕のお店にこの声が響いた。



「つ、疲れた・・・・・・」

ステーキ数人前分は痩せたんじゃないかと思いながら、今日の店仕舞いを終えた僕はげっそりと呟いた。
もう手羽先の骨一本分の出汁だって出ない。コシのないヨレヨレの麺状態だ。
搾り取られるという表現の意味を体感した気がする。

「千癒も無茶をするよ・・・」

あの後。
何故か白熱する男性客達の前で数分に渡って僕の酸素と言葉を奪い続けた妹は、
天日干しの出来そうな晴れやかな顔で仕事を上がった。
僕は明日の分の仕込があるので、もう一頑張りしてからの帰宅となる。

「・・・・・・おや?」

と、包丁が一本足りないことに気が付いた。
足りないのは使用頻度が一番低い一本だけど、命ともいえる仕事道具を失くしたとあっては一大事である。
何処にやったかと大慌てて厨房を駆け回ること一分、自分が間抜けだったことに気が付いた。

「そっか。千癒に貸してやったんだっけ」

何で忘れていたのか。記憶まで妹に吸われてしまった気がする。
そう言えば、職場の影響を受けたのか急に自分も料理を覚えたいと言った妹に請われて貸してしまっていたのだ。
それならそれで僕に教わればいいのだろうけれど、
素人が曲がりなりにもプロである人間にいきなりマンツーマンで教わるのは敷居が高いらしく、
しばらく自主的に練習をしてから見てくれればいい、ということだった。
貸したのはいつ頃だったかな。
あまり上達されると、ただでさえ調理や仕入れ以外を妹に任せている僕の存在意義が無くなってしまうのだけど。

「まあ、そのうち聞いてみればいいか・・・・・・」

もう、考え事に回す体力も惜しい。
今日は余計な消耗があった分、仕込みの最中に集中力を切らさないように気を付けないといけない。
明日もお店は、僕の料理店は開くのだから。
そう思い、僕は今日あった色々なことも含めて頭から閉め出すことにした。
たとえ誰が相手でも、来てくれたお客さんには自分に出来る最高の料理を。
もう自分の手みたいに馴染んだ包丁を握る。
食材毎に違う、一定の切るリズム。一つ息を吐いて、僕はその中に埋没していった。

174:名無しさん@ピンキー
08/03/15 03:41:37 I/ZYZHR8
支援

175:名無しさん@ピンキー
08/03/15 04:41:02 1FVbB3Yw
紫煙が必要なのか?

176:ちゅー音の多い料理店
08/03/15 04:41:51 SoGLKtpt
「ちゅっ☆」

キレイなキレイな銀色の刃。
愛するお兄ちゃんがずっと使ってきた、お兄ちゃんが料理を作る手伝いを沢山してきた包丁。
その、きっとお兄ちゃんの手の汗で汚れて、お兄ちゃんの手との摩擦ですり減った、
お兄ちゃんの努力を受け止めてきた木の柄にちゅーをする。

「にへへ。お兄ちゃんの味」

舌を出して、ちょっと波みたいになってる模様に沿って鉄の部分をなめてみる。

「えへへ。お兄ちゃんの料理の、味」

千癒の大好きな味。千癒の体を作っている、味。
千癒はお兄ちゃんの料理を食べてから、今までずっとこの味だけを食べてきた。
お兄ちゃんの汗とか唾とか、それからお兄ちゃんが作ってくれた色々な料理。
千癒を生かしてきた食べ物。それ以外の物なんて、いらない。
学校の先生は、お残しはいけませんって、それだけしか言わなかったけど。
千癒は給食なんて食べなくても死ななかったし、お兄ちゃんの料理を残したことはない。
今でも学校の先生は嫌いだ。大嫌い。
お兄ちゃんの料理だけで生きていける千癒に、
自分の体をお兄ちゃんの料理だけで作りたかった千癒に、いつも吐き気のするものばかり食べさせようとしたから。
でも。一個だけ。お残しはいけませんっていう言葉だけには、納得してる。

「────あ」

いけないいけない。
考え事をしていた、ううん、それともお兄ちゃんの味で興奮しちゃったからかな?
思っていたより早く相手の所に着いちゃった。

「ちょっとそこ行くおブタさん」

お兄ちゃんの包丁みたいにキラキラ光るお星様でいっぱいの夜空。
お兄ちゃんが次の日の料理の準備を始める、もう外をあんまり人が歩かなくなる時間。
遠くまで続くイカスミのスープみたいに真っ黒な道の上で、ムダなお肉ばっかりを横に詰めた背中に声をかけた。

「っ!? ・・・? ・・・・・・あ、あれぇ?」

首から上に遅れて、ハムみたいな体が振り向いた。ふしゅーっと、ヤカンみたいに息を吐く。
夜になって涼しくなっても油みたいな汗だらけの顔。
今日、お兄ちゃんのお店でセクハラしようとした時にお股を蹴ってやった、男のお客さんだ。
でも、先月くらいからよくお店に来てたからお金になってたけどそれも今日で終わりだし、
顔も名前もあんまり憶えてないから面倒だしブタでいいや。

「ぐふふ。だだ、誰かと思えばちゅーたんじゃあないかぁ」

ブタが、お兄ちゃんのお店に来る男のお客さんが勝手につけた千癒の愛称を呼ぶ。
きっと千癒っていう名前と、お兄ちゃんとよくちゅーをしてることからつけたんだろう。
鈍ちんなお兄ちゃんが気付いてないだけで、
千癒とお兄ちゃんがしょっちゅう厨房でちゅーをしてることはお客さんに結構知られてる。
悲しいけど、今のところお兄ちゃんのお店に来るのは、
お兄ちゃんを誘惑するための衣装を着た千癒と、お兄ちゃんとのちゅーシーンを目当てにしてるバカばかり。
流行のスイーツ(笑)とか目当てなだけのクソ猫どもが来るよりはずっといいけど、
お兄ちゃんが不満に思ってるのは知ってる。
ああ。可哀想なお兄ちゃん。

177:ちゅー音の多い料理店
08/03/15 04:43:16 SoGLKtpt
「こ、こここんな所でどうしたのかなあ? うへっ、へへへ。
 もし、もしかして昼間のお詫びをしようとおじさんを追いかけてきたとか、かな?
 うひっ! ひひっ! あぁ、でもブタ呼ばわりはひどいなぁ」

折角お兄ちゃんのことを考えていたのに、気持ち悪いブタの声で中断された。
どうしたらこんな声が出せるのかって思うくらい。
お兄ちゃんの声や、お兄ちゃんが食材を切る時の澄んだ包丁の音とは大違いだ。
吐き気がする。

────いいや、さっさと殺っちゃおう。

「ちゅーっ♪」

お兄ちゃんの包丁にちゅーをして、お兄ちゃんの柔らかい唇にする時みたいに吸う。
薄いけど、口の中に伝わってくるお兄ちゃんの汗の味と、匂い。
それだけで、すぐに千癒の体はあったかくなる。

「ああああれええ? ででも、ちゅちゅちゅーたん、そう言えばその手に持ってるモノは──」

ブタが何か言っているけど、お兄ちゃんを感じている千癒には邪魔。
殺しちゃうのに遠慮はいらない。だから体は簡単に動いた。

お兄ちゃんの体から出るものとお兄ちゃんの料理だけを食べて生きてきた千癒の体は、
お兄ちゃんの味や匂いを感じると、ぽかぽかしてじんじんして、とってもリラックスする。
体が軽くなって柔らかくなって、必要な時に、必要な場所に必要なだけ力が入るようになって、
こういう時の千癒は、パワーアップアイテムを食べたヒーローになった感じ。
お兄ちゃんを大好きな千癒は、お兄ちゃんの一部やお兄ちゃんの料理を食べて強くなる。

「────あれ?」

急にアップになった千癒の顔に驚いたブタが鳴いた。それ以上は許さない。
左手でブタの頭に生えた体毛を掴んで引っ張り、
右手で切りやすくなったブタの首にお兄ちゃんが研ぎに研いだ包丁を入れる。
さくりと音がしそうな感触がして、何て言うのかな? 豚肉の首の部分がかなり切れた。
引っ張る左手の勢いをそのままに、踏みつけていたブタの両肩を思い切り蹴って跳ぶ。
やっとブタの顔が動いた。なんだか変な形に歪む。汗を上にのっけた唇が開こうとする。
でも、遅い。みりみり。ぶちぶち。
ジャンプと一緒に引っ張ったブタの頭が取れた。千癒も地面に近付きながらブタの体から離れる。
途中でブタの頭を横に放り捨てるのも忘れない。
お兄ちゃんの包丁だけ落とさないようにして、足が着いてから急いで後ろに下がる。
すると、ブタの体から噴水が上がった。びゅーびゅーって。
真っ赤な水溜まりを作りながら、豚肉の血抜きが始まる。物凄い勢い。
お兄ちゃんのために夜なべして作った服にかからないよう、念のため後ろにもう何歩か。
安全な場所に移動してから見ると、勢いが凄かった分、噴水が弱くなるのも早かった。
飽きるヒマもないくらいの間に、もうほとんど勢いが止まってしまう。
残ったのは火の消えた花火みたいな、ブタの首無し死体だけ。

「ん。処理、終わり」

あんまりやったぞ、っていう感じがしないけど、一応は言ってみる。
やっぱり詰まらなかった。けど、大体いつもこんなものだから仕方がない。

「お残しはいけません」

それっぽく決めてみる。出来ればお兄ちゃんに見て欲しかった。

178:名無しさん@ピンキー
08/03/15 04:47:57 1FVbB3Yw
④円

179:名無しさん@ピンキー
08/03/15 04:51:35 1FVbB3Yw
私怨って1人でも大丈夫なのかな

180:ちゅー音の多い料理店
08/03/15 04:53:11 SoGLKtpt
このブタの罪は、今日、お兄ちゃんの作った料理を残したままお兄ちゃんのお店を出たこと。
いつもはちゃんと食べてたけど、セクハラをしようとした今日は食べかけのままだった。
だから、判決は死刑。
千癒のお兄ちゃんが苦労して作った料理を残した奴が平気な顔をしているなんて許せない。
昔、学校に通っていた千癒はどんなに食べたくてもお昼にはお兄ちゃんの料理が食べられなかった。
お兄ちゃんは給食を食べなさいって言って、お昼だけは千癒のご飯を作ってくれなかったから。
残したくても、残すものがない。
ひもじくてひもじくて、でも千癒はそれを頑張って我慢しているのに、
先生達はゴミみたいな給食を食べさせようとしてばかり。
あの頃、千癒には毎日のお昼の時間は戦いだった。

お兄ちゃんがお店を開いた今でも、本当はお兄ちゃんには千癒のご飯だけを作っていて欲しい。
学校に通っていた時も、学校を卒業してからも、千癒はお兄ちゃんの作った料理だけを食べてきた。
お兄ちゃんだって嬉しかったはずだ。
料理の学校に通っている時だって、一日に一回、必ず千癒のお弁当だけは作ってくれた。
だけど。
お兄ちゃんは、千癒以外の人にも料理を食べて欲しいみたい。
自分の作った料理を食べて喜んでいる人を見ると、お兄ちゃんはとても嬉しそうな顔になる。
お兄ちゃんが幸せなら、千癒は我慢する。ううん、して来た。
その反対に、お兄ちゃんが悲しんだら、千癒は我慢しない。
頑張って作った料理を残されたお兄ちゃんはつらそうな顔をする。
千癒なら、お兄ちゃんの料理を残したりしないのに。
本当は、誰にもお兄ちゃんの料理を食べさせたくないのに。
お兄ちゃんの嬉しそうな顔も、お兄ちゃんの料理も、お兄ちゃんも、独り占めしたいのに。

だから、判決は死刑。
千癒が独り占めを我慢してるお兄ちゃんの料理を残してお兄ちゃんを悲しませる奴は、千癒がぜーんぶ捌いちゃう。
お兄ちゃんに借りた包丁で。

「ちゅっ!」

持ってきた布でブタの血を取ってから包丁にちゅーをする。
キレイになった包丁は、お月様に照らすとキラキラと輝いた。
刃の部分に、にっこり笑った千癒の顔が映ってる。

「えっへっへぇ。よーし! 残り七人。千癒は頑張るからね、お兄ちゃーん!」

お兄ちゃんの包丁にちゅーをすると、また元気が湧いてきた。
今日、お残しをしたのはあと七人。全員住んでる場所は分かってる。
お兄ちゃんは嫌がるけど、お客さんが常連ばかりになるとこういう時に便利だ。
調べるのが楽ちんで助かる。

「ちゅーーーーーーーーっ♪」

早く済ませて、帰ってお兄ちゃんと一緒に寝ようっと。
仕込の終わったお兄ちゃんは疲れてるから、後で同じお布団に入ってもなかなか気付かない。
お兄ちゃんと見る夢は、いつだって最高に気持ちがいい。
あったかいお兄ちゃんの体に抱きついて、それから朝起きたときにおはようのちゅーをするのを想像した千癒は、
我慢できなくなってついお兄ちゃんの包丁にまたちゅーをしてしまった。

大丈夫。七人なんてあっという間。さっさと終わらせて、すぐに帰るからね?
だから、お布団に入った千癒を抱っこして、
朝起きたらおはようございますを言って、それからまた美味しい朝ご飯を作ってね、お兄ちゃん♪

181:名無しさん@ピンキー
08/03/15 04:54:04 1FVbB3Yw
試演

182:変名おじさん ◆lnx8.6adM2
08/03/15 04:56:25 SoGLKtpt
投下終了です

支援して下さった方々、本当にありがとうごさいました
私はjaneを使用しているのですが、書き込み終了と出るのに書き込まれていない状態で大混乱
実家のパソコンを使用中ですが、どうも調子がおかしいみたいです
ご迷惑をおかけしました
では

183:名無しさん@ピンキー
08/03/15 04:58:57 1FVbB3Yw
>>182
投下GJ&乙~
さて通りすがりは帰りますかね

184:名無しさん@ピンキー
08/03/15 05:03:27 SoGLKtpt
よく見てみると支援はほとんど一人
>>174の方、>>183の方、ありがとうございました

185:名無しさん@ピンキー
08/03/15 05:24:46 4dsk07Ss
>>182千癒koeeeeeeeeeeeee!!!!!!
某忍者番組の『お残しゆるしまへんでー』てレベルじゃねえぞ!!!
 
いやぁ、新鮮で良いSSですね。物語全体がかなり狂ってて(いい意味)で読みながら、かなり興奮した。超GJ!
 
俺も是非この料理店に行ってお残ししてこないとな!

186:名無しさん@ピンキー
08/03/15 06:25:50 e9hj/xxb
きのうの3月14日、
「ホワイトデーにね、私、お兄ちゃんの赤ちゃんがほしいな。てへっ☆」
という電波を受信してたのに……

ヤ○オクの無料出品デーとかで
嫁がパソコンを占拠していて書けなかったんだよぅ(泣

キモウトに嫁をk(ry
しに来てほしいとは口を裂かれても言わんがな

187:名無しさん@ピンキー
08/03/15 09:13:21 sP8WiKXL
っていうか、>>186にはそもそも妹さんがいるのですか?

188:名無しさん@ピンキー
08/03/15 10:02:44 UrOuOBzV
>>186の嫁はキモ姉だったんだよ、昔。

で年の離れた(15・6才?)キモウトもいると。


ウラヤマシス……

189:名無しさん@ピンキー
08/03/15 10:35:54 I+fXroeA
>>182
お見事です。特にこの絶妙のグロさ加減が。修羅場に初挑戦したらスプラッタに
なって困ってしまっている未熟者としては、うらやましい限りOTZ

190:名無しさん@ピンキー
08/03/15 12:22:08 SMH9KBYq
>>182
koeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeee


191:名無しさん@ピンキー
08/03/15 13:45:16 YxebYIeO
>>182
GJ!ただ、すぐ足が付きそうだな

192:名無しさん@ピンキー
08/03/15 16:00:07 5lZw0w8e
>>191
バカめ。このSSでは神がキモウトに殺人の権利を許可しておられるのよ。

193:名無しさん@ピンキー
08/03/15 16:55:18 0z+KLaue
>>182
GJ!
これの他の話とかも気になるような話ですね

194:名無しさん@ピンキー
08/03/15 18:12:21 I/ZYZHR8
>>182
GJ!「Get chu♪」のセンスに脱帽

195:名無しさん@ピンキー
08/03/15 21:36:05 3MNr2m4F
おじさんまだいたのか。
よほど居場所がないんだね。

196:名無しさん@ピンキー
08/03/15 22:45:46 vaI9mSgL
お さん
  ど      ん


おさんどん!!

197:名無しさん@ピンキー
08/03/15 23:11:16 sP8WiKXL
近親相姦の弱点は公にできないこと
以前愛し合う兄妹でセックスしてたらそれを見たDQNに脅されて、
妹が輪姦寝取られなんてとんでもない漫画見て鬱になった事がある

そこんところキモウトやキモ姉はどうだろう?
自分が兄弟に惚れているor関係を持ってることをネタに脅されたら

198:名無しさん@ピンキー
08/03/15 23:13:32 FsEbg31i
>>197
男に死亡フラグたつ

199:名無しさん@ピンキー
08/03/15 23:35:43 aDwAKVa7
相手が一人なら殺すだろうけど……大勢ならどうかな?
心中かなあ。

200:名無しさん@ピンキー
08/03/15 23:42:04 YxebYIeO
銀行襲って高飛び!

201:名無しさん@ピンキー
08/03/16 00:11:52 YCAC/LbL
>>199
そこで相手が大勢だろうとも○してしまえるほどの戦闘力があるのがキモ姉キモウト

202:名無しさん@ピンキー
08/03/16 00:16:57 92/Lk0oB
秘密を守れないほど大勢に知られたら、開き直って公表しちゃうとか、
どこか別の土地に移るとか、愛しい人を地下室に監禁して隠れ住むとか…

203:名無しさん@ピンキー
08/03/16 00:30:35 4+oCMWOs
最初から隠さない

204:名無しさん@ピンキー
08/03/16 00:33:33 92/Lk0oB
それだ!
「近親相姦しちゃうような男、誰も相手にしないわよ。もう、お兄ちゃんには私しかいないのよ」
という使い方も出来る。世間?何それ?美味しいの?

205:名無しさん@ピンキー
08/03/16 00:37:10 uVx3Hb4+
どうでもいいが、となグラのキモウトが可愛い嫉妬しているわけだがw

206:名無しさん@ピンキー
08/03/16 03:00:14 9tSgMjPk
>>197
詳細

207:名無しさん@ピンキー
08/03/16 08:09:07 0F0fbpon
>>206
何でわざわざ不愉快な漫画に金を払わにゃならん
立ち読みだ立ち読み
一々内容なんて覚えてねーよ

208:名無しさん@ピンキー
08/03/16 09:00:53 OUVMT7KW
まあそんな展開はエロゲじゃありふれているけどな

209:名無しさん@ピンキー
08/03/16 15:08:33 ic+gSPZ0
サスペンスでは殺人の動機の六割は脅迫されたからだよな

210:名無しさん@ピンキー
08/03/16 17:21:57 qCll+E5m
未完成の作品多いな
以前ワクテカリスト張ってた人いたけど、今つくったら大変そうだ

211:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:35:35 e9X1ti2f
投下します。


212:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:44:24 e9X1ti2f
 「どうするかなあ?」
 自室にて、遥が小声で呟く。

 遥は、既に兄を襲った相手を特定している。
 今までの言動、
 智佳が言っていた丁寧な言葉遣いをする同じ学校の生徒、
 そして、今日に嗅いだ匂い、
 それらが遥に、ある一人の人物を想定させていた。
 遠藤久美、
 少々変わった友人。
 「どう始末を着けようかな?」
 遥が、小さく首を傾げた。

 かつての、横山楓のように殺すのは、それほど難しくはない。
 あの時と違い、遥は久美の事をある程度は把握しているのだから。

 それでも遥は、あの時と同じ手段を取る事を躊躇していた。
 久美が同級生、
 だからではない。
 ”人の死”
 それが兄にどんな影響を及ぼすか、
 それが想像出来ないだけに、
 怖かった。

 楓という人間の死が兄に与えた影響、
 それは、自分と兄との間に、血縁だけではない大きな壁を作ってしまったのだ。
 その壁は、遥の望みを妨げている。

 そして、もう一つの理由を言うなら、
 久美が最後まで出来ていない、
 その事実に、自信がもてるからだ。

 通常、移り香が残る程に男女が近くに居続ける状況なら、
 ある程度の知識がある人間なら、大概が同じ答えをだすだろう。
 遥は、おそらくは智佳もその答えを導き出している、そう考えている。
 だが、遥はその答えを否定する事が出来る。
 楓の死が与えた後遺症が、
 自分だけが癒やせる、
 そんな根拠のない自信がある、兄の傷。
 その存在を遥は知っているから。
 とはいえ、兄に何らかの危害を加えた久美を、遥は許す気はない。

 「ちぃちゃんと協力して…」
 そこまで言いかけて、遥は口を止めた。

 もう一人の自分が、まるで悪魔の様に、囁きかけてきた言葉がある。
 それを実行すれば、兄は完全に壊れるかも知れない。
 だが、そうなれば、自分だけの兄に、
 兄貴から康彦へと、変られるチャンスにもなる。
 そこまで考えた自分に気付き、その考えを否定する為に、遥は大きく首を振った。
 まだ、その手段をとるのは早い。
 全てを終えていない今は。

213:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:45:19 e9X1ti2f
 智佳は小さく溜め息を吐く。
 今回の出来事に対して。

 全てが分かる訳ではないが、智佳にはある程度の想像がついた。
 兄が、誰かの悩みを聞くうちに、その誰かを惚れさせてしまった、
 そんな簡単な事実。

 今、智佳が吐いた溜め息は、そんな事実に対してのものではない。
 遥に対してのものだ。

 智佳は遥の存在を認めている。
 実行力と勘の鋭さ、
 その二つは自分にはないものだ。
 だからこそ、智佳は遥と共闘しているのだ。

 だが、遥には遥の甘さがあった。
 身内を疑いきれない、
 そんな甘さが。
 それが智佳には、不満でもあり、物足りなさでもあった。

 今回の事、
 おそらくこれは、遥の友人から起こした出来事だろう、
 智佳はそこまで確信がもてる。
 そして、その友人とやらは、それなりの信号を発していたはずだ、
 智佳はそう考える。

 「もう要らないかな」
 小さく呟いた智佳の一言、
 その言葉には、人に言えない暗さが宿っていた。

214:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:46:33 e9X1ti2f
 妹、久美の様子を見た早紀は、久美が何をしてきたのか、察する事が出来た。

 久美が、あの”先輩”と何かをした。

 具体的な説明は出来ないものの、そこはある程度以上に経験を積んだ、女の直感とでも言うべきものか。

 その上で早紀は悩んでいる。
 鈴に、あの先輩に惚れている友人になんと説明すべきかを。

 話さなければ良い、
 そんな考えは鈴からの電話、そして鈴からふられた話で駄目になった。


 「妹ちゃん、そこまでいったんだぁ…」
 「いや、そうじゃなくてさ、あの子は…」
 力無く言う鈴の言葉に、早紀は懸命に反論の言葉を捜す。

 鈴の口車に乗せられて言ってしまった一言、
 それを否定する為に、早紀は必死だった。

 「私は別に良いんだよぉ?」
 「早紀ちゃんの妹さんが幸せになるなら…」
 何かを悟ったように、優しく言う鈴に、早紀は言葉もなかった。

 「鈴…」
 言葉を詰まらせながら言うべき一言を考える。
 二人の恋愛を応援しようと決めたのだから。

 「そんなに気にしなくても、大丈夫だよぉ」
 早紀の胸中を察するように、鈴が優しい言葉を出す。
 「私はそんなに辛くないからあ!」
 そういう鈴の言葉は、早紀にはやせ我慢に聞こえた。

 「でも…」
 「大丈夫、大丈夫だからねえ!」
 何かを言いたかった早紀に、鈴はそれだけ言うと、焦る様に電話を切った。

 それが早紀には辛く感じていた。

215:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:48:20 e9X1ti2f
 「ヤったんだあ、あの子ぉ…」
 電話を切った鈴が、一人呟く。

 「妹さん達ぃ、気付くだろうなあ…」
 その言葉は鈴に笑いをもたらした。

 そして鈴は目を閉じる。
 中学の時、初めて康彦に会ったあの日、
 自分を受け入れてくれそうな相手を見つけられた歓喜。
 それからは、康彦から決して離れない様に過ごしてきた日々、

 「辛かったなあ」
 過去を思い出して、思わずそんな言葉が口に出る。

 「でもぉ、もう終わりだよねえ…」
 歪んだ唇、濁った光を宿した瞳、
 それ以上は表現し難い顔を鈴はしている。

 久美という女がした行動に自分の夢を邪魔している存在がこれからするであろう行為、
 それに対して早紀がするだろうという報復、
 その二つを考えた鈴は思わず、
 「先輩、壊れちゃうかなあ」
 そう言ってしまった。

 ニヤけた顔は止まらない。

 「そしたらあ、私だけの先輩に…」
 その言葉が鈴の興奮を強めたのか、吐息が荒くなっていた。

 そんな自分を、鈴は懸命に押さえ込んだ。

 今回は決定的な証拠を掴んで、それを上手く早紀に使わせなくてはいけないのだから。

 難しい作業だとは鈴も思う。
 しかし、その先に待ってる未来は、鈴が待ち望んだ未来だった。


216:ハルとちぃの夢
08/03/16 20:49:04 e9X1ti2f
投下終了です。



217:名無しさん@ピンキー
08/03/16 21:31:19 mc81RGtJ
一番槍GJ!
ああ、何か新鮮だ。鈴が黒杉

218:名無しさん@ピンキー
08/03/16 21:34:46 /AGmoj7e
GJ!
読んでると、遥がある意味一番白いんじゃ無いかと思えてきた。
…まぁある意味だけど、つーかみんな黒い!黒いよ!

219:名無しさん@ピンキー
08/03/16 21:45:57 XUfV40xn
久しぶり!
投下乙グッジョブ

220:名無しさん@ピンキー
08/03/16 22:03:04 7rAsg58l
もうお兄ちゃんには生き残る道が残されてないんじゃないだろうかとw何はともあれGJ!!

221:名無しさん@ピンキー
08/03/16 22:22:04 hcC4uZZR
GJだがみんなこわいwww
こっからどうなるんだ…

222:名無しさん@ピンキー
08/03/17 02:10:30 nRByoxAa
GJ!
しかしまあここはキモ姉&キモウトスレだからな
そういう意味では安心して読める…よね?

223:名無しさん@ピンキー
08/03/17 05:44:20 aCdeT5WN


224:名無しさん@ピンキー
08/03/17 16:09:47 DvfNpALE
>>220
お兄ちゃんに生きる意志が無いからむしろ本望だな

225:名無しさん@ピンキー
08/03/17 16:55:17 3BCtyKaU
31歳男性が実妹(二十代前半)との間に、4人の子供をもうけた罪で、禁固二年半の有罪判決(ドイツ)
URLリンク(same.u.la) 



226:名無しさん@ピンキー
08/03/17 18:42:59 xDjnPn5+
携帯(笑)

227:名無しさん@ピンキー
08/03/17 18:50:03 ZFbDLIOF
保管庫って毎日千人超の訪問者がいるようだが、2ch以外からのROMもいるんだろうか

228:名無しさん@ピンキー
08/03/17 19:33:18 mUvH0Ep7
その1/10は俺だな・・・

229:名無しさん@ピンキー
08/03/17 20:06:17 /rJdPJdD
1/5はおれだなぁ

230:名無しさん@ピンキー
08/03/17 20:19:29 oxoQymmz
リンク見る限り検索サイトとか、まとめサイトのまとめとかから着てる様子
とはいえ、あのカウンターはあまり当てにならんけどな
リロードや戻るでTOP表示されるたびに1回カウントされるし
実際の3割り増しくらいじゃないか?多分だが

231:名無しさん@ピンキー
08/03/17 20:35:05 FUP9sgwr
LV、0 気が向いたら保管庫を見てる
LV、1 気がついたら保管庫を見てた
LV、2 もう保管庫がないと生きていけない
LV、3 キモ姉・キモウトに対抗するために保管庫で勉強してる。もしくは、弟・兄をものにするため保管庫で勉強してる
LV、4 隣にいるキモ姉・キモウトに保管庫を無理やり見させられて、姉・妹の素晴らしさを延々と語られている
LV、5 LV、4でキモ姉・キモウトの素晴らしさに目覚めました

232:名無しさん@ピンキー
08/03/17 22:16:07 UaUbayG4
LV2と3の間には永遠の隔たりがあると思うんだがww

233:名無しさん@ピンキー
08/03/17 23:11:49 F//VX/vn
俺はどう頑張ってもLV2だ…orz

234:名無しさん@ピンキー
08/03/18 00:04:05 KRtxXYLt
>>231
キモ姉妹的にはだな、たとえ例だとしてもほかの女を兄弟に注目させるのはどーかと思うんだ

235:名無しさん@ピンキー
08/03/18 00:07:48 CZ2VNLWA
兄弟が、ほかの女のことを注目するように仕向ける、ぐらいの意味で。
わかりにくうてすまん

236:名無しさん@ピンキー
08/03/18 01:19:08 0U/FVmDh
幸せになるための教科書ぐらいの感覚を持つキモ姉妹がいてもいいじゃないか
兄妹の本来あるべき姿を兄に知ってもらうためにも
だけど、>>235の主張ももっともなんだけどな
ネタなんだし深く考えなくていいんじゃないか

237:名無しさん@ピンキー
08/03/18 02:23:40 dqdGKogi
まあ、教材とか兄・弟の啓蒙用に使うくらいはありそうだな






そして、後に「じゃあ、もうこれは用済みね」とか言って全消去・・・・・・

238:名無しさん@ピンキー
08/03/18 05:42:44 ZYSYdLOl
働きすぎで不覚にも風邪を引いて寝込んでしまった

こんな時でもキモ姉と盗聴器で風邪を引いたと聞いて駆け付けた従姉妹のキモ姉がやってきて・・・・

なんて考える俺はもうダメだ

239:名無しさん@ピンキー
08/03/18 07:29:58 rALD+3hL
>>238
変じゃないよ!
全然変じゃないよ!

240:名無しさん@ピンキー
08/03/18 08:49:15 ECC+xvEb
おかしくないだろ…常考

241:名無しさん@ピンキー
08/03/18 11:09:26 6b1jV90m
>>238
花粉がキモウトに擬人化してくれればって思う俺よりかはマシ。

冷静に考えると擬人化すればキモウトが1c㎡に100人も現れるんだよな。
そしたらこのスレ1人に5人くらいキモウトが出来るね!
5人のキモウトを交互に可愛がりたい(*´Д`)

242:名無しさん@ピンキー
08/03/18 12:12:24 O5HGhvY2
昔の映画みたいに、プールに入って無限増殖とか素敵よね

243:名無しさん@ピンキー
08/03/18 12:16:18 yWY1/F3S
>>241
永遠の花粉症で干からびてしまえ

244:名無しさん@ピンキー
08/03/18 12:49:28 Keia+uBk
花粉キモウト注意報だな

245:名無しさん@ピンキー
08/03/18 13:08:14 +gGDniVr
>>242
あと夜中の12時以降に食事を与えたら駄目だぜ

246:名無しさん@ピンキー
08/03/18 14:52:14 JMWlWxyA
>>241
普通に気色悪いな

247:名無しさん@ピンキー
08/03/18 15:35:23 2ecmDtXs
ドラえもんにバイバインという道具があってですね。
これを使えばキモ姉キモウトハーレムなんてすぐ現実になる。

248:名無しさん@ピンキー
08/03/18 16:22:32 rALD+3hL
増えるのはいいんだがそのあと誰が兄・弟を独り占めするかで血闘が起こりそうな件

249:名無しさん@ピンキー
08/03/18 16:34:53 NbDngDHR
バイバインは「増え続ける」薬品だから、血闘で間引かれないと地球が
キモ姉妹に埋め尽くされる。

250:名無しさん@ピンキー
08/03/18 17:12:21 epGQ1BbZ
お前ら大切なキモ姉、キモウトを増やすとか間引くとかひどいぞ!
俺は1人でもいいから一途に思ってくれるキモ姉、キモウトがいればいい!

251:名無しさん@ピンキー
08/03/18 18:23:57 ECC+xvEb
まず姉妹がいないから欲しい
話しはそこからだ

252:名無しさん@ピンキー
08/03/18 19:13:00 k7rbg0/C
SSで我慢しとけ。
リアルの姉なんぞ碌なもんじゃない

253:名無しさん@ピンキー
08/03/18 19:42:22 yWY1/F3S
鴨肉食べたいです

254:名無しさん@ピンキー
08/03/18 21:07:55 Ck9+l3bp
酒はぬるめの燗でいいのです

255:名無しさん@ピンキー
08/03/18 22:06:17 zGfDqk5T
コタツで食べると尚おいしい

256:名無しさん@ピンキー
08/03/18 22:31:12 g7sBY+5S
エバラやきにくのタレ

257:名無しさん@ピンキー
08/03/18 22:34:28 9cn++axx
>>254
「お姉ちゃんの胸でお燗したお酒にするよね~」

「私の胎内で暖めたぬる燗にしますよね兄さん。……ちょっと別の物混じってますけど」

どっちなんだ?

258:名無しさん@ピンキー
08/03/18 22:44:41 eYMniSAk
>>257
俺はお姉ちゃんの方を選ぶぜ!
おっぱい!おっぱい!!!(AAry)

259:名無しさん@ピンキー
08/03/18 23:16:24 YTAVOMce
キモウトは俺がもらっていきますね

260:名無しさん@ピンキー
08/03/19 00:29:00 Acve7ptG
>>253
私の兄は従妹(と言っても血はつながっていない)と結婚しました。
私から見て従妹改め兄嫁に言わせると、この結婚最大の利点は
「親戚付き合いが圧倒的に楽」なことだそうです。

261:名無しさん@ピンキー
08/03/19 07:59:58 HpFZauD9
羨ましくなるからやめてくれ現実の話は

262:名無しさん@ピンキー
08/03/19 11:35:15 KDioNn1F
羨ましがられたいからやってるんだろう

263:名無しさん@ピンキー
08/03/19 14:09:52 QBK7jRTF
>>260
昔って従姉妹同士の結婚が流行ってたらしいね。うちの田舎は5代昔、兄妹けこーんもあったらしいし。
兄妹で子供作ると奇形が70%天才が70%の確率で生まれるらしいね・・・。

264:名無しさん@ピンキー
08/03/19 15:30:03 zFgiB7se
血の繋がった夫婦はパーセンテージ越えの奇跡も起こすのか

265:名無しさん@ピンキー
08/03/19 15:38:59 0MIv4pEZ
奇形と甜菜の形質が被るのか?

266:名無しさん@ピンキー
08/03/19 15:53:58 tpvobr1Q
>>260
            ___
           ,r'     `ヽ、
          ,i"        ゙;
          !.(●)   (●),!
          ゝ_      _,r''
         /  ;;;;;;  ・・ ;;;;) <それは報告しなくてもいいです。
         /          (_
        |    f\ トェェェイノ     ̄`丶.
        |    |  ヽ__ノー─-- 、_  )
.        |  |            /  /
         | |          ,'  /
        /  ノ           |   ,'
      /   /             |  /
     _ノ /              ,ノ 〈
    (  〈              ヽ.__ \
     ヽ._>              \__)

267:名無しさん@ピンキー
08/03/19 16:11:14 27a5qJ+p
近親相姦で奇形が生まれやすいのは都市伝説じゃなかったっけ
あれはキリスト教的倫理観から生まれたものだったと聞いたような

268:名無しさん@ピンキー
08/03/19 17:08:44 0MIv4pEZ
遺伝の勉強した?

269:名無しさん@ピンキー
08/03/19 17:18:08 v09kARxs
おいおい、キミたちが子創りする訳じゃないのだから控えたまえ

270:名無しさん@ピンキー
08/03/19 17:23:22 /yaagAtN
兄弟で子作りすると遺伝子に問題が出る確率はなんと10倍にもなります、絶対にやめましょう!
1/100000→1/10000だけどな~

271:名無しさん@ピンキー
08/03/19 17:25:55 v09kARxs
>>270
つっこんでもいいか?

272:名無しさん@ピンキー
08/03/19 17:38:47 GYXHeRda
>>271
俺の尻になら

273:名無しさん@ピンキー
08/03/19 18:03:35 2dCdM/A3
一卵性双生児の姉弟で子供作ったらどうなるんだろう?

274:名無しさん@ピンキー
08/03/19 18:07:52 G9pWa0YG
基本的に一卵性双生児の性別は同じなので、子作りはできない。
数年前に男女の例があったと聞いたような気もするが。
まあ、その場合は少なくとも性別に関連する遺伝子が何か変異してるだろうから
厳密には御求めのような例にならないだろう。

275:名無しさん@ピンキー
08/03/19 18:17:41 2dCdM/A3
確か3、4例あったと記憶してたんだが、やっぱりそうなんだ
つまらん

276:名無しさん@ピンキー
08/03/19 19:04:48 2cKha8dq
田舎で従兄妹同士の結婚があるのは流行じゃありません。
一族婚と言って文化的なものです。

簡単に言うと、嫁に出すと嫁入り道具や持参金で一族の資産が減るので、
一族内で娶れば資産は動くだけで減らないというもの

277:名無しさん@ピンキー
08/03/19 19:13:25 bWQXl8ZZ
>>268
遺伝子の勉強をするからこそ都市伝説になるんだが

278:名無しさん@ピンキー
08/03/19 21:18:01 iV/LIS1X
HRスレで同じ議論をやってる

279:名無しさん@ピンキー
08/03/19 22:33:01 /jr7f50b
ちとグロいかもしれんが、スコットランドのソニー・ビーン一族は
近親相姦を繰り返して3世代作ってる。
善悪は別にして、何の問題もないと認識してるがね。まあググってくれ

280:名無しさん@ピンキー
08/03/20 01:04:19 btVWIE8D
もっとたくさんの例がないとなんともいえない
文系だから統計的にどれだけの数を調べなければならないかはわからないけど、その一族の話だけで結論はだせないことぐらいはわかる

281:名無しさん@ピンキー
08/03/20 03:11:01 ASJwK/DW
実際奇形が産まれてもそれが近親相姦が原因だとは限らないからな
近親相姦で出来た子供に奇形が多いというデータは無いはず

282:名無しさん@ピンキー
08/03/20 04:34:29 D8z8zKrC
奇形だのなんだのリアルでのことなんざ知ったことじゃないよ。

俺は職人さんたちの書いてくれたSSに萌えられればそれでいい。
それだけさ。
二次元で萌えられればそれでいいのさ。

小難しい話はここら辺で打ち切って、SSをマターリと待とうぜ。

283:名無しさん@ピンキー
08/03/20 05:13:26 P/5eG7wP
>>282よし、二次元だな。ならば、夢の中でキモウトを作成してきゃっきゃうふふしてくるぜ。
監禁だろうが拷問だろうがバッチこいやぁ!

284:名無しさん@ピンキー
08/03/20 05:33:59 hyijxwfR
しかし>>283の夢に出てきたのはキモ姉だった!!

「お仕置きするわよ…」

>>283は恐怖で立ちすくんでいる!!

285:名無しさん@ピンキー
08/03/20 05:52:45 0ot0Pk+8
二卵性の男女の双子と知り合いの俺としては、一卵性にこだわる必要はないと思ってる

286:名無しさん@ピンキー
08/03/20 07:06:04 tkZ4u8W8
>>285
もぉ、いつまでも一つのことに執着してるとお姉ちゃんが


お   仕  置  き 
しちゃうぞ?

287:名無しさん@ピンキー
08/03/20 07:43:28 yXYHpQ3x
まあ実際、奇形が生まれる心配なんてほとんどないんだがな
雷が鳴ってる時に立っているだけか手を上げてるかで雷が落ちてくるかどうかってレベル
確かに確率は上がるが現実に起きるというわけじゃない

現に俺の義兄の弟と妹が作っちゃった子供はまともに育ってもう小学生だ

288:名無しさん@ピンキー
08/03/20 08:32:32 l+uqqbGC
>俺の義兄の弟と妹
えっと、つまり、姉の夫の弟と妹ってことかね?
しかし釣りくせえな

289:名無しさん@ピンキー
08/03/20 09:07:52 Rn3OOMzo
>>285
IDが少し惜しい

290:名無しさん@ピンキー
08/03/20 11:08:39 Q8VS7uTy
そしてこの流れを収拾するかのように投下ラッシュが・・・

291:名無しさん@ピンキー
08/03/20 11:22:22 4XxnWBh5
くるといいなぁ

292:名無しさん@ピンキー
08/03/20 13:26:19 tdfuKrln
ごめん、今他のスレに投下する分を書いてるんだ。
なんて言うと、浮気者ぉとか言われてキモウトに監禁されるだろうか?

293:名無しさん@ピンキー
08/03/20 13:46:28 4XxnWBh5
忘れられてて気を悪くした姉が・・・

294:名無しさん@ピンキー
08/03/20 17:40:44 l+uqqbGC
くどいかもしれんが最後に言わせてくれ

キモ姉の熱愛を避けようと、
「俺が姉ちゃんとセックスしたら奇形の赤ちゃんが産まれちゃうだろ?」
なんて根拠のない迷信を言い訳にしたために、


医師免許を持つキモ姉がいつの間にかパイプカット

295:名無しさん@ピンキー
08/03/20 17:46:43 nUNxyz7A
>>294
そこはむしろ「そう思う? じゃあ実験してみようか」だろう。

296:名無しさん@ピンキー
08/03/20 18:31:01 z+8NWwot
あんまり投下がないようだから言ってやる。

俺の妹は俺のことをいつも名前で呼ぶんだよ。それは別にここのスレみたいに「実は兄のことを……」みたいな感じじゃなくて
ただ単に小さい頃からの慣れでそうなっている。

少し前のことだ。俺の彼女は偶然にも妹と同じ名前で『綾』というんだが、
綾が言い出したことがきっかけだった。
「そういえば今日、家に出る時にお兄ちゃんがさー……」
「おまwww お兄ちゃんてwww」
「え? 何?」
「いや……今時、お兄ちゃんていう妹初めて見たよ」
「私、昔からお兄ちゃんって言ってるけど」
「何!?」
俺は驚いた。
その時俺は自分の家のことだけを考えていたので、お兄ちゃんという一人称はエロゲの中だけだと思っていたんだ。
だから、つい。
「ちょ……お兄ちゃんって俺のこと呼んでくれね?」
って言ってしまった。
すると彼女は、
「は?」
と、かなり引いた目で見てくる。
まあ、当たり前だ。いきなり彼氏にお兄ちゃんと呼べ、なんていわれたら引くだろう。
しかし俺は、妹がいながらもお兄ちゃんと呼んでもらえない現状に不満を感じていたから、
エロゲとかタンスにめちゃあるのがバレないように、と願いながらも粘った。
「一回だけ!!……は駄目だな。三回だけ、頼む」
「三回って……やだよ」
「おま! それぐらいのこと!!」
「それぐらいって……妹さんに言ってもらえばいいじゃん」
「それが出来たらお前なんぞに頼むわけが……あれ?綾のお兄さんの名前、何だっけ?」
「お兄ちゃんの? あきらだけd」
「その感じ!!」
「え?」
「その感じで頼む」
「……」
こいつ、というよな目が俺を非難してきたが、このスレの住人である俺はあえて気にしない。
すると、綾がボソッと言ったんだ。
「お兄ちゃん、キモーイ」
「!!!!」

こ れ は

きもい、がつけられているのにこの甘美な響き。まさに妹の代名詞。
調子に乗った俺はセクロスの時もお兄ちゃんと呼ばせた。

数日後。


妹の綾は俺のことをお兄ちゃんと呼ぶようになり、

彼女の綾はブラコンになった。

297:名無しさん@ピンキー
08/03/20 18:37:36 l+uqqbGC
一言言わせてくれ



それはキモウトじゃなくてキモ兄だ

298:名無しさん@ピンキー
08/03/20 18:54:34 rrojxTJk
>>296
ワロタ

299:名無しさん@ピンキー
08/03/20 21:37:20 VaaI6Qas
これは自業自得な寝取られ
と言うか彼女さんが気の毒すぎるw

300:名無しさん@ピンキー
08/03/20 22:08:29 sWJeovxY
>>296
ん?……彼女はともかく、妹さんが呼び方を変えた理由が気になるな

301:名無しさん@ピンキー
08/03/20 22:19:53 v92xAW5H
>>296の妹と恋人の名前に過剰反応したのは俺だけじゃ無いはずだ

302:名無しさん@ピンキー
08/03/20 22:22:18 TLSE7ZtL
>>300
自宅でヤる時に
兄が綾の名を呼びながら、
で彼女に「お兄ちゃん」って呼ばせながらしてたんだろ
で隣の部屋で妹が聞いてたとかじゃねえの



303:名無しさん@ピンキー
08/03/21 00:21:50 l5W+FoBg
>>302

・・・・逆に身の危険を感じないか?

304: ◆busttRe346
08/03/21 00:48:00 OKA/aIsf
投下します~

305:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:49:01 OKA/aIsf
六話



昨夜から降り続いている雨のおかげで、予定していた『森の中で素敵なサムシングを見つけよう』ピクニックはおしゃかになってしまいました。
「腹減った~。今日の晩ご飯は何?」
お行儀の悪いヘンゼルお兄ちゃんは、スプーンで皿を叩きながら催促します。
「今日はローストビーフだよ♪あと、ミネストローネもね!」
魔法熟女リリカルお姉さんは、大きなかまどから焼きあがったパンを取り出します。ふっくらとしたパンからは、バターの良い香りがします。
グレーテルも、思わず涎を垂らしそうになりました。しかし今はパンに気を取られてはいけないのです。
(やっぱり…あのクスリを入れるとしたら…ミネストローネでしょうね…)
グレーテルは名残惜しそうに焼きたてじゃパンから目を離し、お姉さんの一挙一動に注意を払います。
「とっとこーはしるよハメ太郎♪やっぱりーねとるよハメ太郎♪だーいすきなのはー♪てーつかずのめすー♪」
聴くに耐えない歌を歌いながら、お姉さんはスープをそれぞれの皿に盛ります。そして真ん中の皿に紫色の液体を入れました。
(入れた――!!今、入れた――!!)
しかしお姉さんの手はそこで止まりませんでした。さらに、右隣りの皿にも紫汁を入れたのです。
それを各々の前に置き、
「さあ!召し上がれ♪」
と素敵な笑顔で言いました。
「お兄ちゃん、ちょっと待っ」
「うっし!!いただきまぁぁぁぁす!!」
ヘンゼルはよりにもよってミネストローネを真っ先に口に入れました。
「あ、ああ……」
(食べちゃった…。どうしよう…)
横目でお姉さんを覗くと、物凄い目でヘンゼルの食事を見ていました。明らかに発情しています。媚薬なんて必要なさそうな勢いです。
(どうしようどうしようどうしよう…考えろ、考えろグレーテル!!)
その時グレーテルの脳内に素敵な紳士が現れ、彼女に語りかけてきました。
――逆に考えるんだ。お兄ちゃんが発情しているなら君が犯される可能性もあると――

「それだッ!!」

「な、なんだ!?」
「何が?」
二人のびっくりした声で、グレーテルは我に返りました。
「あ…えっと…その…何でもない」
危ない危ない。あまりにナイスなアイディアだったものだから、つい興奮してしまいました。心の中で紳士にお礼を言いつつ、グレーテルはパンに手を伸ばしました。
とりあえず腹ごしらえです。これから体力を使うのですから。





306:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:51:04 OKA/aIsf
食べ始めてから三十分程経ったでしょうか。
ヘンゼルお兄ちゃんとお姉さんの様子が目に見えておかしくなってきました。肌は赤く色付き、目は虚ろ、口も半開きでたまに涎が垂れそうになっています。
そしてそんな相手の姿を見ては、手を下腹部に這わせようとします。
お姉さんも頃合と見たのでしょう。
「わたしぃ…おふろ、はいってくりゅ…」
熱にうかされた顔でお風呂場へと歩き出します。
そんなお姉さんの後ろ姿を見るヘンゼルお兄ちゃんの目は、ぎらぎらと血走っています。
(さあグレーテル!!ここからは時間との勝負よ!!)
己に喝を入れると、グレーテルは笑顔を浮かべてお姉さんの後を追います。
「私も一緒に入るー!!」
お姉さんの頭の中はもうヘンゼルとのセックスの事でいっぱいです。
「ええ、そうね。いらっしゃい…」
グレーテルに生返事を寄越すと、さっさと服を脱ぎ始めました。
正直、この後の事をグレーテルは思い出したくありません。媚薬の効果があまりに強烈で、お姉さんがすぐさまシャワーオナニーを始めてしまったからです。
グレーテルはお姉さんの淫らなアへ声を聞きながら黙々と体を洗いました。
「じゃっ!!私、先に上がってるね!!」
シャワーの水圧を全開にして股間に当てているお姉さんを置き去りに、グレーテルは風呂場を飛び出しました。
「あんッ!!あ、あ、あん…グレーテルちゃん、か、風邪ひかないように…ふぁッ!!ちゃんと髪乾かすのよ!?ああああ!!イくッ!!もうイくッ!!」
ドアを閉め、近くにあった洗濯機をドアの前まで動かします。これでしばらくは時間が稼げるでしょう。
「…どうぞ、ごゆっくり…」
洗面台の鏡に映るグレーテルの笑顔は、なかなかに凶悪でした。



さて、ところかわってヘンゼルの部屋は異様な熱気に包まれていました。熱を放出しているのは、もちろんヘンゼルお兄ちゃんです。
媚薬を盛られた事に気付いていないヘンゼルは、(随分溜まってたんだなぁ…)くらいの事しか思わず、一心不乱に自家発電に勤しんでいました。
ヘンゼルは“そういう行為”をする時、何故か全裸になる癖がありました。そうしないと集中できないのです。
そんなこんなで数えて六回目の絶頂に至った時、ヘンゼルの部屋にやってきた人間がいました。
「お兄ちゃん…?」
「うわっほーい!!ノックもしないで入ってくるんじゃねええぇぇぇぇ!!」


307:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:53:21 OKA/aIsf
ヘンゼルは凄まじいスピードで布団を被りましたが、時すでに遅し。グレーテルの目は、ヘンゼルお兄ちゃんのてぃむてぃむをしっかりと捉えていました。
(やっぱり…でっかいなぁ…お兄ちゃんのアレ…)
グレーテルは思わず唾を飲み込みました。
「んで…どうした、グレーテル?何か用か?」
いつもよりも口調がキツめです。さっさとソロライブの続きをしたいのでしょう。
「……んとね、何だか…寂しくなっちゃって…。今日はお兄ちゃんと一緒に寝たい…」
鏡の前で何度も練習した上目遣いを発動させて、ヘンゼルにおねだりします。
ヘンゼルはその一言で冷静になりました。
(そうか…。普段はしっかりしてるけど…。やっぱり寂しいんだな。そりゃそうだよな……。こんな小さいのに、親に捨てられて、もう家族は俺一人しかいないんだもんな…)
ヘンゼルは確かに駄目な男です。頭は良くないし、全体的に不真面目だし、下品だし、なによりニー…ゴホン、翼の折れた堕天使です。
それでも、家族愛だけは人一倍強いのがこのヘンゼルという青年でした。
布団の中で器用に服を着ると、
「よし、今日は一緒に寝るか!!おいで、グレーテル!!」



――計画通り!!!



グレーテルはほくそ笑みます。さあ、後は存分に見せつけてやりましょう。身の程知らずの泥棒牛にヘンゼルが誰の所有物なのか、を。
「わーい!お兄ちゃああああん!」
グレーテルは無邪気にヘンゼルのベッドへとダイブしました。そしてヘンゼルお兄ちゃんの腕に、ぎゅっと抱きつきます。
ヘンゼルが頭を優しく撫でてくれます。グレーテルは嬉しくなって、さらに力強く抱きつくのでした。

「ヘンゼルくぅん…」

お姉さんのとろっとろに溶けた声が聞こえてきたのは、そんな時でした。腰をガクガクと震わせながら透け透けのネグリジェ姿で、お姉さんがやってきます。
「ね、ねぇ…?ヘンゼル君…。少しお話しない…?」
その淫らな姿に、ヘンゼルの目は釘付けです。
そんな中、グレーテルは眉をひそめていました。
(何…?この匂い…。何かが発酵したような…)
そしてグレーテルは気付きました。ネグリジェの向こうに見えるお姉さんの太股に、何か液体の筋が伝っているのを。
――この女…!!どこまで変態なのよ…!?
お姉さんはヘンゼルの姿を見た瞬間、イってしまっていたのでした。その匂いはヘンゼルにも届いているに違いありません。

308:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:55:28 OKA/aIsf
(こんなジメジメ乳牛の匂いでお兄ちゃんの鼻を汚させるもんですか!!)
「ね、ねぇ…へんぜるくぅん…」
お姉さんは涎を零してヘンゼルに手を伸ばします。
――パシンッ!
グレーテルがその手を払いのけました。ヘンゼルもお姉さんも予想外の乱入者に驚き、口をあんぐり開けたまま停止しています。
「お兄ちゃんは、今日疲れてるんです。だから今日は私と一緒にぐっすり寝るんです!ね!お兄ちゃん?」
いきなり話を振られたヘンゼルは慌てて、
「あ、いや少しくらいならだいじょ…」
「じゃあもっと疲れちゃえ!!」
グレーテルはお兄ちゃんの腰にしがみつき、顔を擦りつけます。
「お兄ちゃん大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き!!」
頬をぐりぐりと押しつけます。腰にしがみついている訳ですから、当然、グレーテルの顔にはヘンゼルの卍解した斬魄刀が当たります。
「おひょっ…!!」
ヘンゼルは唐突に訪れた刺激に反応して、妙な呻き声を上げます。
「へんぜるくぅん…」
「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き」
リズムに乗るぜ!と言わんばかりにグレーテルの動きは加速します。
「おい、こら、グレー…あひょおおお!!」
未知の刺激に、ヘンゼルお兄ちゃんはまともに喋る事すらままなりません。そのうえ、媚薬の効果は依然継続中なものですから、意識も朦朧としてきました。
もはやネグリジェお姉さんなど眼中にありません。ヘンゼルは目の前の快楽を貪る事しか頭にありませんでした。
「大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好き大好きー!!」
ぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐりぐり。
ズボン越しでも、お兄ちゃんの限界が近い事が分かります。ツン、としたアルカリ臭がグレーテルの鼻をかすめます。
(このままいっちゃえっ♪)
ソフトオンデマンド総監修、最新式キモウト型バイブレーターの前に、お兄ちゃんの大紅蓮絶倫丸は成す術なく火を噴きました。
「はふぅッ…!!」
ヘンゼルの腰が痙攣しています。ズボンの中から粘ついた水音が聞こえてきます。
「ふひひ…」
グレーテルはその匂いを嗅ぎ、しばしうっとりとした後、素知らぬフリでヘンゼルに話しかけます。


309:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:57:30 OKA/aIsf
「お兄ちゃん、すっごいぐったりしてるよ?大丈夫~?」
「やべぇ…いもうとマジやべぇ…パネェパネェ…」
ヘンゼルは焦点の定まらない目でそう呟き、半ば気絶するように眠りにつきました。
「あ、あれ…?寝ちゃった…」
(今夜は最後までするつもりだったのに…)
残念そうに溜め息をつき、ふと部屋を見回すといつの間にかお姉さんはいなくなっていました。
「…ま、お兄ちゃんの貞操は守ったし、今回はこれで良しとするか。でも…」
そうそう、「二人で」する作業は終わってもグレーテル「一人で」やる作業はまだ終わっていません。
「ちゃあんと綺麗にしたげるからねぇ~…♪」
ヘンゼルのズボンを下ろし、ぐちょぐちょになったジュニアを取り出します。
「硬くなってないのに…こんなにおっきいの…」
ヘンゼルJr.を見つめ、改めてその大きさに驚きます。
(もしコレが入ったきたら…。うわあああぁぁぁぁ恥ずかしいッ!!とっても恥ずかしいッ!!)
グレーテルは元来恥ずかしがり屋さんです。脇の匂いを嗅ぐとか、乳首を吸うとか、陰毛を咥えるとかは出来ても、セックスなんてそんな恥ずかしい事出来ません。出来るわけがありません。
「入れるのは…もう少し待っててね、お兄ちゃんっ……はむっ!」
グレーテルはそれが実現する日を想いながら、かいがいしくお掃除をするのでした。





310:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 00:59:35 OKA/aIsf
お姉さんは放心状態でふらふらと自室に戻ってきました。
そして机の引きだしから例の紙切れを取り出すと、猛然と自慰を始めます。
「ふぅッ…あんっ…あ、あ、あ、あ、あのクソアマぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
邪魔しやがって!!アタシとヘンゼル君の邪魔を…あ、そこキモチイイッ…!!ぶち殺す…ッ!絶対ぶち殺す…ッ!!でもン゛ギモ゛ヂイ゛イ゛…ッ!」
紙切れを見つめ、グレーテルへの怨み言を吐きながら指を動かします。続けて、紙切れに話しかけます。
「ねえ…酷いのよ…グレーテルちゃんたら、私とあなたの邪魔をするの…ん、ああ…そこ、もっと舐めてぇ…。
あんなつるぺた女なんかに触られたって嬉しくなんかないよね…?そうよね?いらないよね、あんな妹はいらないよね?んん、もう少し…ッ!!もう少しで…!!」
ぴちゃ、ぴちゃ、と音を立てて紙切れを舐めます。
「私をお風呂に閉じ込めて、その間にヘンゼル君を誘惑するなんて許せない。ヘンゼル君だって辛かったでしょ…?あんな色気もクソもない女じゃ…ふあぁぁ…ッ!激しいッ!!壊れちゃうよ!!
ねえ、殺しちゃお…?私がいっぱいいっぱい愛してあげるから…。まな板娘なんかじゃ出来ないこといっぱいしてあげるから…んんッ!!」
油性マジックで紙切れに何かを書き込みます。
『お世話になりました』の文字の横にふきだしが描かれ、その中にはある文章が書き込まれていました。

『そうだね、ころしちゃおう』

と。
「ああん!やっぱりヘンゼル君もそう思ってくれてたのね!!嬉しい!!はぁんッ…!全部終わったら…んふ、んふふふふふふふふふふふ…あはははははははははははぁぁぁぁ…イ…イくッ…!!」
お姉さんは体を小刻みに震わせながら、昇天しました。
涎でべちょべちょになった紙切れに新たに書き込まれた文字は、静かに滲んでいくのでした。





311:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 01:01:15 OKA/aIsf
翌日。
(今年は暖冬になるのかな…)
もう冬も間近だというのに、振ってくるのは雨ばかり。雪が好きなグレーテルとしては残念でなりません。しかし、そんな些細な出来事で今のグレーテルは憂鬱になりません。
グレーテルの顔はツヤツヤです。きっと昨日、高濃度のたんぱく質を摂取したからです。隣ではげっそりしたヘンゼルお兄ちゃんが眠り続けています。
「お兄ちゃんの寝顔…ぬへ、ぬへへ…」
昨日あれだけ発散したというのに、またいたずらしたくなってきてしまいました。恋とは恐ろしいものです。グレーテルはヘンゼルの乳首に爪を立ててバッテン印をつけてやりました。
ヘンゼルのやつれ顔に、ほんの少し精気が戻ってきたように見えます。グレーテルは乳首からおへそへと舌を這わせ、さらに下半身へと…いこうとして、気付きました。
とても良い匂いがします。これはパンを焼いている匂いです。お腹がぐぅ、と鳴りました。
「奴隷牛も役に立つことあるのね…。パンを焼く腕前だけはプロ級だわ…」
色気より食い気、センシィティブなお年頃のグレーテルはリビングへと向かいました。後には、Tシャツをまくられた情けないヘンゼルだけが残されました。
リビングでは、お姉さんがいつも通り朝食の準備をしていました。見たところ様子はいつもと変わりありません。
(これは演技…?それとも本当に気にしていないのかしら?)
「お姉さん、おはよー!!」
元気良く挨拶をしながら、グレーテルは椅子に座ります。
「あら、グレーテルちゃん、おはよう!!」
お姉さんも笑顔で応えます。
朝ご飯のメニューはピザトーストにクラムチャウダーでした。グレーテルの大好物です。
「ヘンゼル君はまだ寝てるの?」
「うん。疲れがとれないみたい」
「そう…じゃあもう少し寝させてあげましょう」
お姉さんも椅子に座り、二人は向かい合って「いただきます」をします。
グレーテルは早速クラムチャウダーに手をつけました。素晴らしい味です。クノール社も真っ青な味付けです。やはり手作りに勝る味はないという事でしょう。
「ねぇ、グレーテルちゃん…」
「ズズッ…ムガホフ…なぁに、お姉さん?」
グレーテルは、スプーンを動かす手は止めずに返事をします。
「私ね…。昨日はとっても悔しかったわ」
お姉さんの声が急に低くなります。


312:ヘンゼルとグレーテルKIMO-remix Ver.
08/03/21 01:02:44 OKA/aIsf
「……。腐れ牛にはお兄ちゃんはもったいないもの。他人のモノを盗っちゃ駄目って教わらなかった…?」
グレーテルも負けじと言い返します。
「ふふっ…、他人のモノ…ねぇ…」
「でも私、グレーテルちゃんが生まれる前から彼と知り合いなの…。だから泥棒はグレーテルちゃんの方なのよ…?」
グレーテルの手がぴたりと止まります。
「何言ってるの…?あんた…」
「私と彼はずーっとずーっとずーっとずーっとずーっとずーっと昔から知り合いなの…」
グレーテルの頭は混乱するばかりです。それに、さっきからスプーンがやたらと重くかんじます。
(頭おかしくなっちゃったのかしら…この女…)
「だからね、グレーテルちゃんにも味わってもらおうと思うの…」
瞼も重いし、座っているのも怠いのです。一体、グレーテルの体はどうなってしまったのでしょう。
「自分のモノを奪われた人の気持ちを、ね…」
グレーテルの体は椅子から落ち、床にごろりと転がりました。

――しまった…一服盛られた…!!

自分を見下ろす、魔女の真っ黒な瞳を見つめながら、グレーテルの意識は深い深い奈落の底へと落ちていくのでした。


313: ◆busttRe346
08/03/21 01:03:34 OKA/aIsf
投下終了です。

314:名無しさん@ピンキー
08/03/21 01:11:32 O1Pi2vbx
>>313
GJ!

315:名無しさん@ピンキー
08/03/21 01:13:16 hBaktBKE
GJ!
魔法熟女で吹いた!

316:名無しさん@ピンキー
08/03/21 03:41:56 wrmLONnB
GJ!!マジパネェパネェwwwマジキメェキメェwwwww

317:名無しさん@ピンキー
08/03/21 04:24:55 UsmM7OJK
> 「自分のモノを奪われた人の気持ちを、ね…」

ということは、まだ毒薬ではなく痺れ薬とかで、
魔法熟女はヘンデルとのセクースをグレーテルに見せつける気なのか……

イチコロで効く青酸とかだと、さすがに話が続かないからな(汗

318:名無しさん@ピンキー
08/03/21 05:13:54 dDu687Cp
>>312
GJ、久々にキモさで目眩が……w

319:名無しさん@ピンキー
08/03/21 08:17:40 jECgyrwB
GJ!
しかしまさか、魔女の正体はヘンゼルの姉だったりしないだろうな・・・?

320:名無しさん@ピンキー
08/03/21 08:48:41 vX+/jSIX
GJ!
大紅蓮絶倫丸にくそ吹いたwww
オサレすぎるwww

321:名無しさん@ピンキー
08/03/21 10:07:53 TqzErCdq
ちょっwwジョースター卿なにやってんすかwww

322:名無しさん@ピンキー
08/03/21 15:54:10 9aB8eQGR
>>313
キタ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(゚∀゚)゚・*:.。. .。.:*・゜゚・*!!!!!

>――計画通り!!!

ちょw

323:名無しさん@ピンキー
08/03/21 17:15:16 vfacaTav
>>313
GJすぎてなんと言っていいやら。
ただこれ読んでると興奮すればいいのか腹抱えて笑えばいいのかわからなくなるから困るwwww

324: ◆a.WIk69zxM
08/03/21 19:37:53 0n5Kv67J
 
投下します。
非エロ。14レス予定。
 

325:__(仮) (1/14)
08/03/21 19:38:25 0n5Kv67J
 
 
 
 朝の涼やかな風が、開け放たれた窓から網戸越しに遮光カーテンを揺らし、その隙間を縫って、まだ穏やかな夏の陽が
ちらちらと差込む秋巳の部屋。
 時刻は七時半。普段であれば、すでに秋巳は起きている時間であるが、いまは夏休み。
 ベッドの上でタオルケットを抱え込むようにうずくまり、秋巳は静謐な朝の睡眠を気持ちよく貪っていた。
 だから、秋巳の部屋のドアを叩くノックの音も、中に入ってきた人物にも気づかない。
 その人物は、ノックに返事がないことを確認すると、音をほとんど立てずに部屋のドアを開き、
その足音すら敷かれている絨毯に染み込ませながら、静かに秋巳のベッドのもとへ近寄る。

「ねえ。兄さん、朝ですよ。そろそろ起きて、一緒に朝食を摂りませんか?」
 ゆさゆさと、愛しい我が子のゆりかごでも揺らすかのごとく優しく秋巳の腕に手をかけ、そっと声をかけるのは、妹の椿。
「んぅ……」
 わずかに意識が覚醒したのか、未だ夢うつつか、秋巳は息を洩らす。
 無意識に心地良い睡眠から引き戻されまいとしたのか、寝返りを打つ。その結果、起こそうとしている椿の方へ
向くことになったのは、なんとも皮肉であったが。
「ほら。兄さん」
 膝をつき、秋巳の枕もとに顔を近づけて、柔らかく、しとやかに、椿は囁く。
まるでゆっくりと秋巳を夢の世界から現実へと誘うように。
「天気も良いですよ。こんな日に、遅くまで寝ていたら、勿体無いです」
「んぁ……だれ?」
 未だ半分眠った様子ではあったが、近くに人の気配を感じ取ったのか、秋巳は薄目を開き、反射的に呆けた声をあげる。
 それもそうであろう。秋巳が誰かに起こされるなど、ずっとなかったのだから。少なくとも椿とこの家に再び戻ってきてから。
 まだ半覚醒状態の秋巳の思考では、この家に自分を起こしに来られるものなど、ひとりしかいないという結論を
導き出せるはずもない。起こしにくるものなどいない、というのが秋巳の日常なのだ。

 ゆっくり開いた瞳で、90度傾いた目の前の人物の顔を視認すると、秋巳の意識が一気に現実へ呼び戻されたのか、
二、三度おおきく瞬きをした。
 それから、大分はっきりした感覚で、秋巳はまずこう思った。
(―あれ? まだ夢?)
「起きましたか。兄さん」
「……つ、椿?」
「ええ。おはようございます。兄さん」
 その椿の挨拶に返事をすることもなく、秋巳はタオルケットを跳ね除けて上体を起こすと、椿に問いかける。
「ど、どど、どうしたの? なにかあった?」
 火事? 泥棒? なんで椿がここにいるの? いまなん時? ここ自分の部屋だよね?
 秋巳の頭は、ありえない朝の情景に混乱しきっていた。
「もう。まだ寝ぼけているんですか。兄さん。朝ですよ」
 椿は立ち上がると窓際へ寄り、シャッと軽快な響きとともにカーテンを開き、秋巳の目を覚まさせるためか、
朝の陽と空気を窓枠一杯に取り入れる。
 そうして、いまだ現状を理解しきれていない秋巳のもとにもう一度近づくと、少し腰を折り、再度秋巳に挨拶をする。
「おはようございます。兄さん」
「あ、ああ……。お、おはよう。だけど、どうしたの? きょうってなにかあったっけ?」
 漸く異常事態などなく、通常どおりの夏休みの朝を迎えたことを把握した秋巳ではあったが、
椿が自分を起こしに来た理由など、ひとつも思い当たる節がなく、疑問を呈する。
「いえ。いまのところは。兄さんさえ宜しければ、なにかある日にでもしましょうか」
「え?」
「ほら。朝食の準備ができていますから、着替えたら階下(した)に下りてきてくださいね」
 そう穏やかに笑みを浮かべると、踵を返し秋巳の部屋を出て行く椿。
「…………」
 秋巳は、それから五分以上も固まったままであった。
 


326:__(仮) (2/14)
08/03/21 19:41:28 0n5Kv67J
 
 
 洗面所で顔を洗い、秋巳が居間へ入ると、珈琲の香りと、食欲をくすぐる焼いたパンとベーコンの匂いに包まれる。
「あらためて、おはようございます。兄さん。朝食の準備ができていますよ。
 いま、珈琲を淹れますから、よければ一緒にいただきましょう」
 台所で珈琲ドリップにお湯を注ぐ椿が、秋巳に食卓につくよう促す。
「う、うん。ありがとう」
 なんとなく釈然としないまま、だがしかし、焦がれていた朝の家族風景という雰囲気に飲まれて、席に座する秋巳。

 いったい椿は、どうしたのだろうか。
 秋巳は、つけられたテレビから流れてくる朝のニュースの内容など全く頭に入らないまま、考える。
 二日前の終業式の日に、一緒に登校しようと椿に誘われた。
 そのときは、驚いたけれども、家に帰ってきてからの椿の態度は、それまでとあまり変わりなく見えたため、
椿の気まぐれだろうかと、秋巳は結論付けていた。
たとえ、一時の気まぐれだろうと、秋巳にとって椿のその行為は喜ばしいものではあったが。

 また、秋巳は椿の態度が変わらないと結論付けたものの、それも他に明確な言動の変化がないからということで、
秋巳がそう己を信じ込ませたのに近かった。
 椿の自分への接し方が、いままでよりちょっと柔らかくなったのではないか、物腰が優しくなったのではないか、
秋巳はなんとなくそう実感したが、期待して裏切られることへの恐怖からそれを否定した。
 椿がたまたま学校に一緒に行こうと誘ってくれたから、浮かれていつもの仕種も自分には欲目でそう見えるだけなのだ。
ひょっとしたら椿が昔みたいに自分に徐々に心を開きつつあるのでは、というありえない夢を見たいがために、
そう感じるだけなのだろう。
 秋巳は、そう考え、そのように納得し、自分を諌めようとしていた。

 そこへ来て、椿のこの行動である。甘い幻想を抱いている自分に、一滴一滴甘い汁を垂らされているかのごとく。
 ただ、心内の葛藤とは別に、秋巳にはもうひとつ懸念が浮かびあがった。
 自分の希望に引きずられた主観を抜いても、椿の態度は、客観的に見て、いままでと異なってきているのではないか。
変化してきているのではないか。特に今日のことを含めれば。
 はっきりと表されたのは、先日の登校の誘いと、今日秋巳の部屋まで起こしに来たこと、
さらには朝食を準備して一緒に摂ろうと言っていること。
 秋巳は、そう心の中でひとつひとつゆっくり吟味する。
 普通の兄妹であれば、まったく疑問を挟む余地などない行動であろう。しかし、秋巳と椿の兄妹は、
いわゆる『普通』とは言えなかった。それを示すかのように、そんなこといままで一度もなかったのだ。
この一年間のふたりの生活の中で。
 椿に心境の変化が起こったとして、それは、彼女にとって良い方なのか、悪い方なのか。
 それが秋巳には心配であった。

 椿になにか良くないことが起こって、その結果の『いま』なのだろうか。
 確かに、いまの方向であるならば、椿の変化は秋巳にとって嬉しいことである。いままで望んでいたことなのだから。
 しかし、それが椿の本意ではないなら―椿が望んでいることでないのなら―そんなことを椿にさせたくなかった。
 秋巳は考える。
 可能性としてはまずありえないだろうが、極端な話、椿が誰かに脅されて、そういう行動を取れと言われて、
嫌々やっているのなら、椿にそんなことをして欲しくない。させたくない。
 あるいは、椿が失恋でもしてショックを受けて、その気晴らしとしてこんな言動に出ているのなら、
秋巳は二重の意味で悲しかった。
 それでも後者であれば―椿の意志で行っているのなら―秋巳は、それを受け入れるであろう。
彼女の言行に一喜一憂している自分を見て、椿が癒されるなら、それは全然構わないことであった。
 

327:__(仮) (3/14)
08/03/21 19:43:58 0n5Kv67J
 
 
(だが、椿に直接訊ねてもよいものだろうか―)
 秋巳は悩む。
 たとえ訊ねたとしても、その原因が椿や秋巳にとって良くないものであれば、彼女ははっきり表明しないであろう。
 秋巳にとって、自分が椿に拒否されることが、最悪なのではない。椿が悩みを抱えてるかもしれないのに、
力になれない自分が最悪であった。

(椿の兄である資格など、疾うに失っているのにな……)
 自嘲する秋巳。それでも、椿の力になってやりたい。椿の自分に対する認識が『どうでもいい人』であったとしても。
 秋巳は頭を振って意を決する。
 一度だけ椿本人に、訊こう。
 それで、椿がなにも言ってくれないようであれば、それ以上深くは追求しない。椿が嫌がるだけだ。
 その場合は、誰かに相談でもするしかないのかな。
 秋巳の脳裏に真っ先に思い描く相談相手は、水無都冬真である。しかし、妹自身についての話を持ちかけるとなると、
同性のほうが適任ではないかと思える。自分が直接力になれなくても、椿がその人に相談等できれば、
間接的にでも助けられるのではないか。
 ならば。
 次に頼ることのできそうな相手として、秋巳のなかに浮かんだのは、葉槻透夏と柊神奈であった。
 葉槻透夏は言うまでもない。椿にとって相談相手としては、この上なくベストではないか。むしろ、自分が動かなくても、
椿が相談したければ、椿自らの意思で彼女のもとへ向かうであろう。
 そこで、ふと、秋巳は思考を止める。

 柊神奈―。
 自分は、なぜ、彼女を思い浮かべたのか。確かに、彼女も、椿とはすでに知り合いではある。
だが、特段椿と仲の良い相手というわけでもなく、彼女が椿の相談を受ける義理などないであろう。
 ああ。そうか。
 秋巳は得心する。自分が相談できる相手、として考えたからか。
 そのことがなにを意味しているかまで、秋巳は深く考えなかった。
(―そうだ。あれこれ考えても、まだ椿が悩んでいると決まったわけじゃないし)

「はい。兄さん。珈琲がはいりましたよ」
 秋巳の思索を打ち切るように、椿がカップを秋巳の前に用意された受け皿に置く。カップから立ち上る湯気とともに、
珈琲の芳ばしい香りが秋巳の鼻腔を擽る。
「うん。ありがとう」
「いいえ。それではいただきましょうか」
 そう言って、自分の分のカップを置くと、椿は秋巳の向かいの席につく。
「うん。いただきます」
「はい」
 テレビから流れてくる芸能ニュースを背景音楽に、ふたり銘々食事をしていると、椿が口を開く。
「ねえ。兄さん。先ほどの話ですが」
「さっきの?」
 なんのことだか判らない秋巳。
「ああ。先ほどは、兄さん寝ぼけてましたから、覚えてないのも無理ないですね」
 椿は、パンをちぎろうとしていた手を止めて、会話を続ける。
「兄さんを起こしたときに、問われましたよね。きょうなにかあるのって」
「え……、ああ」
 そういえば、と秋巳は思い出す。椿が起こしに来るなんてなにかあったのかと思い込み、そう訊いたことを。
「なにも、ないんだよね?」
 焼きたてでカリカリのベーコンを箸で抓みながら、念を押す秋巳。
「ええ。いまのところは。だから、なにかある日にしませんか?」
「え?」
 


328:__(仮) (4/14)
08/03/21 19:47:04 0n5Kv67J
 
「兄さん、きょうのご予定は?」
「特には、ないけど……」
「私もです。でしたら、どこかへお出かけでもしましょうか?」
 そう提案してくる椿。
 その声色、口調、表情がいつもと同じかどうか、秋巳には判断つかなかった。
「その……、椿と僕で?」
「ええ。誰か他に誘いたい方がいますか?」
「ええ……と、さ。そのまえに、椿、ひとつ訊いていいかな」
 食事中にも関わらず若干乾いたようにぱさつく口内を湿らすために、秋巳は珈琲を一口啜ると、ゆっくりと食卓に置く。
わずかな右手の震えが伝わったのか、カップとソーサーが触れ合うときにカチンと音を鳴らした。
「はい。なんでしょうか?」
「椿は、いま、なにか悩んでることがある?」
 秋巳の質問は端的であった。因果も理由も含めず、彼にとって大事なことだけ。

「兄さんには、私が悩んでいるように見えるのですか?」
 そう訊ねられるのは心外だという意味も含めてだろうか、椿がその瞳を少し見開いて訊ね返す。
「ごめんね。僕には、椿のことがよく判らないんだ。
 僕がなんでこんなことを訊くか椿が判らないのと同じに」
 それは、秋巳が椿の兄という立場を捨てたから。自らの悲しみに呑まれて放棄したから。
自分が受けた仕打ちよりもさらに非道いことを椿に上乗せした結果だから。秋巳はそういう自虐を込めて応じる。
 悲しそうな面持ちをその顔に滲ませる秋巳に対し、椿はまばたきをひとつすると、静かに首を振る。
「いいえ。兄さんが謝ることではありませんよ。それと、兄さんに私のことを
 判っていただけていないのは、残念ですが、私は兄さんのことを判っているつもりですよ」
「え?」
「私のこの二、三日の言動、でしょう? 兄さんが、その疑問を抱くに至った原因は」
「あ、ああ……でも、なんで―」
 その秋巳の疑問に被せて椿が発言する。
「そのくらいしか、思い当たりませんから」
 事もなげに。
「それに、兄妹であっても、親子であっても、恋人同士であっても、
 それこそ双子であったって、お互い相手のことで判らないことがあったり、
 判りあえないことがあるのは当然ですよ。兄さんがそんなに気に病むことはありません。
 だからこそ、ヒトは、言語という素晴らしい意志伝達ツールを発展させてきたのですから。
 訊けばいいのです。伝えればいいのです」

 秋巳は気づかなかった。彼の思いと、いまの状況が逆転していることに。
 秋巳は、椿に悩みがあれば、それを解決してあげたかった。だが、椿に悩みがあるかどうかすら判らないことに苦慮している。
 その秋巳の憂慮を、椿が払拭してあげているのだ。
「兄さんの質問に応えるなら、私に特別な悩みはありませんよ。それは、私も人間ですから、
 全く悩みなしに生きているわけではありませんが、なにかに悩んでいるから、
 兄さんに対する態度が変わったとか、そういうことはありません」
「そう、か。もうひとつ確認させてくれるかな」
 椿のその台詞に背中を押されたのか、さらに真剣な顔で質問を投げかける秋巳。
「ええ。なんでしょうか」
「これは、椿の意に添わないことはない? これは椿の意思?」
「ええ。全く。そもそも、私が本意にそぐわない行動をしたりしたことは、ありませんよ。
 特に兄さんに対して。いまも昔も。そして、これからも」
「そう。椿が不本意でなければ、僕はそれでいいよ。
 椿の望んでいることをやれることが、僕の望みだから」
「と言うわりには、あまり納得された顔をしていませんね」
 椿が、秋巳の面貌を覗き込んで、言う。
 


329:__(仮) (5/14)
08/03/21 19:50:23 0n5Kv67J
 
 その言葉は、確かに的を射ていた。秋巳の言に嘘はない。椿が望んでいるなら、秋巳にとってなんら不満はない。
 だが、秋巳には椿がなぜそのような変化に至ったか理由が判らないから、もしかしたら、と考える。
 良い方に考えれば、自分に気を使ってる。悪く取れば、自分には話すに値しない、と。
 そんな秋巳の複雑な心情を、その浮かない憂色から感じ取ったのか、椿は、はあ、と息を吐くと、
少し躊躇った様子でゆっくりと瞳を閉じ言葉を紡ぐ。
「これは……、できれば、あまり言いたくなかったのですが、私も怖かったのです。
 いいえ、おそらくいまでも少し」
「え? ど、どういう……?」
「兄さんは、私の態度が急に変わったことに対して、私がなにか悩みを持っているのかと
 考えていらっしゃるかもしれませんが、逆なのです。
 むしろ、時とともに不安が薄れてきたから、でしょうね。あえて、言語化して述べるなら」
 椿は一息入れるためか、すでに温くなった珈琲の入ったカップに口をつけ、ひと含みする。

「普通の兄妹のように接して、兄さんに、また、その……、以前のような態度をとられるのが」
 いままで怖かったのだ。畏怖していたのだ。だから、いままでのような言動をとっていたのだ。
 椿はそう言う。

「あ……」
 椿のその言葉に、秋巳は頭をガツンと殴られる。この上なく思い知らされる。
 自分の犯した罪が、いかに妹の椿を傷つけたのか。どれほど彼女の心に消えない裂傷を抉ったのか。
 彼女に不本意な態度を強いていたのは、他の誰より秋巳自身であったのだ。
(なにが、椿の悩みを解決してやりたい、だ……)
 誰よりも椿を悩ませたのは、彼女を見捨てた自分なのに。彼女の存在を己の中から消し去った秋巳本人なのに。
「兄さん、勘違いしないでください。それも、私の意志なのです。
 先ほどの言葉に、嘘はありません。私は常に自分が思ったとおりに行動してきました。
 そこに不満はありません。誰に対しても。もちろん、兄さんに対しても」
「でもっ―!」
 椿の台詞を否定して続けようとする秋巳に対し、なにも喋らないで、とばかりに椅子から腰を浮かすと
その冷たい人差し指で、秋巳の口を塞ぐ。
「そんな悲しそうな顔をしないでください。だから、言いたくなかったのです。
 でも、それで黙ったまま兄さんを苛ませるのは、私の望むところではありません。
 その私の気持ちを汲んでくれませんか?」
 それに、と椿は続ける。
「私だって、兄さんを傷つけるような態度をとったこともあったでしょう? 
 私自身の意志で。だから、それはどちらが一方的に悪いとかではないはずです」

 それは違う!
 秋巳は否定したかった。
 彼女自身が受けた迫害を考えれば、そんなこと非にもならない。
 当然の帰結だ。
 秋巳が椿のことを『存在しないもの』として扱ったことで、秋巳は彼女に対して莫大な負債を背負ったのだ。
椿が秋巳の心を蝕んだところで、その正当な貸し付けを返却してもらっているだけなのだ。
 実際には、秋巳が椿から受けた傷など、椿のそれに比したらその利子にも値しない微々たるもの。
 でも、椿は、自分の気持ちを汲んでくれ、と言った。
 あくまで、椿自身のために、己を責めないでくれと秋巳にお願いした。
(―自分は、どこまで)
 どこまで、椿に甘えれば気が済むのであろう。
 ひょっとしたら、己の存在自身が椿にとっての『災厄』なのではなかろうか。
 


330:__(仮) (6/14)
08/03/21 19:52:56 0n5Kv67J
 
「兄さん。これから、を考えてください。過ぎたことを、ああすればよかった、
 こうすればよかったと後悔しても、なにも始まりません。これから、どうするか。
 兄さんが以前のように接してもらうほうが落ち着くというなら、そうします。
 私も正直なところ、すこし迷っていた部分もあるのです。
 いまから、ありふれた仲の良い兄妹のように接するのは、どうすればいいのかな、と」
「そっ、そんなことない! そんなことないよっ!」
 テーブルに手をつき椅子から立ち上がり、平静を失った様子で首を振ると、必死に否定する秋巳。
 椿が望んでくれるのなら。秋巳と椿がありふれた仲の良い兄妹になることを期待してくれるのなら。秋巳にとって是非はない。
「そうですか。それは、良かったです。私も、少しずつ慣れていけばいいのかな、と思っていたので」
 それまでの会話で積もった重苦しい雰囲気を取り払うかのように、にっこりと微笑むと、椿は、再び椅子に腰をおろす。
 それから、なにかを思いついた様子で、たおやかに細めた瞳の奥から、視線を秋巳に真っ直ぐ向ける。
「そうですね。荒療治、というのもいいかもしれませんね」
「え?」

「ねえ。どう思う? 『おにいちゃん』」

「…………」
 色々な意味で呆気に取られ、絶句する秋巳。
 そんな秋巳の表情に、満足したのか、ふふ、と声を洩らす椿。
「やはり、私にはいまさら似合いませんね」
 そうして、穏やかな空気を取り戻した朝食の時間が、過ぎていった。
 
 
 
               *  *  *                  
 
 
 
「ねえ。ところで、兄さん。話は戻りますけど」
 朝餉を終えた後、台所で食器を洗いながら、居間のソファに腰をかけテレビを見やる秋巳に、椿が話しかける。
「先ほども申しましたけど、今日は天気もいいですし、どちらかへ出かけませんか?」
「え、ああ、そうだね。つ、椿は、どこか、その、出かけたいところとか、あるのかな?」
 椿の申し出に応える秋巳の口調はどこかぎこちなかった。
ふたりこの家で生活する中で、普通の兄妹、ありふれた家族のやり取りというものが、ずっとご無沙汰だったため、
秋巳としては、なんとなく変に意識してしまっていることの証左だったのかもしれない。
 自分も迷っている、と先刻椿も言っていたが、妹も慣れないながらも、自分に合わせてくれているのだろうか。
 秋巳は思う。
 椿の言動に、違和感や変に力の入ったところなど見受けられない。とても自然に見える。
 表に見せないだけなのだろうか、それとも、自分が椿のことをそこまで感じ取れるほど、理解していないのだろうか。
 どちらにせよ、椿が希望していることであれば、それに応じたい。応えてあげたい。
「兄さんこそ、どこか行きたい場所、ありますか?」
「う、うん。僕は、椿と出かけられるなら、どこでもいいよ」
「ふふ。兄さん、そういう言葉は、妹でなく恋人に言ってあげてください」
「えっ? ええっ! いっ、いやっ! そういう意味で言ったんじゃ……」
「でしたら、どういう意味ですか?」
「いや、その、妹と出かけられるなら……、と」
「出かけられるなら?」
「……どこでもいいかな、と」
「すみません。さっきの言葉とどう違うのか、私には全然判りません」
 意地悪げな笑みを浮かべて、秋巳に応じる椿。
「う……」
 


331:__(仮) (7/14)
08/03/21 19:55:27 0n5Kv67J
 
「ふふ。世間一般的な妹だったら、こういうとき、なんて言うんでしょうかね。
 『おにいちゃん、気持ちわるーい』とでも言うのでしょうか」
「え? あ……」
 椿のその言葉にショックを受ける秋巳。
 椿に対してごく普通に『兄』として『妹』に接するなど、自分にはやはり無理なのだろうか。
「兄さん、勘違いしないでくださいね。私は、私です。世間一般的な像で語られる『妹』ではありません。
 如月秋巳のたったひとりの血を分けた肉親である如月椿なのです。
 先ほどは言葉の綾で『ありふれた兄妹』などと申しましたが、私がなりたいのは、『如月兄妹』なのです。
 社会通念に照らし合わせて、その枠組みで無理矢理振舞うようなことはしたくありません。
 私も自分が思ったとおりに行動しますから、兄さんも兄さんの心のままに」
 椿はそこまで一気に喋り、一息つくと、ですから、と続ける。
「ありがとうございます」
「え?」
「そのように言ってくれて、ありがとうございます」
 それが私の応えです、と椿。
「あ……、その、別に、感謝されることじゃ―」
「だって、ご機嫌伺いなんかではなく、兄さんの本心なのでしょう? 先ほどの言葉は」

 椿は、確かめたのだ。秋巳の言が本心からか、『妹』に対する接し方を意識するあまりに出た台詞なのかを。
 だから、椿は、一度は「恋人に言ってあげたら」と返したのだ。妹に対して、機嫌を取るような言葉を選ばなくても良いですよ、と。
 それでも、秋巳は、椿と一緒にいたいだけ、と返した。
 それで椿は確信した。
 ああ、本当に兄はそう思ってくれているのだ。
 そして、それに満足すると、秋巳の反応を見越してわざわざ一般像を持ち出し、続けざまにそれ自体を否定してみせた。
 自分がなりたいのは、ごくありふれた妹などではなく、如月秋巳の妹である、と伝えた。

 秋巳の真意を問う椿の質問に、こくんと頷き肯定する秋巳。
「ああ。うん」
「ですから、私も思ったことを兄さんに言うだけです。ありがとうございます。
 私も同じ気持ちです、と」
「あ、いや、なんか、照れるね」
 秋巳は人差し指で、頬をかく仕種をすると、椿から目を逸らす。
 あまりにもギャップが大きすぎて。
 秋巳はいままでずっと思っていた。椿には恨まれているんじゃないか。疎まれているんじゃないか。
どうでもよい存在と思われているんじゃないか、と。
 でも、そんなことない、と椿は、秋巳の不安を払拭してくれている。
 秋巳が椿のことを大事に思っているのと同様に、自分も秋巳のことを思っていると陽に暗に伝えてくれている。
「兄さんは、恥ずかしいですか? 私には、これっぽっちも恥じ入るところなどないですけど」
「いや、その、誤解しないで欲しいけど、嬉しいんだ。嬉しすぎて、
 その、なんか、舞い上がっちゃうというか」
「ふふ。判っています。私も、同じですから。さて、片付けも終わったことですし、
 出かける準備をしましょうか。どこへ、とも決めずに散策するのも、結構楽しいと思いますよ」
 椿は、最後に洗っていたカップを軽く振って水を切ると、網籠に入れる。
「ああ。そうだね」
 秋巳は、そのとき信じていた。椿とふたり、かつてのような兄妹にまた戻れるのではないか。
秋巳が切望して、でも叶わないと半ば諦めていた、『家族』が戻ってくるんではないか、と。
 ここが通過点だと気づかずに―。
 
 
 
 


332:__(仮) (8/14)
08/03/21 19:58:17 0n5Kv67J
 
               *  *  *                  
 
 それから秋巳と椿、ふたり街に繰り出し、特に当ても持たずに、夏の日差しが照りつけて汗ばむ陽気のなか、
様々なところを巡っていた。
 秋巳の住むところから三駅ほど離れた駅ビル構内の百貨店でのウィンドウショッピング。
「ほら。兄さん、こういう服なんてどうですか。兄さんが恋人に着てもらいたいとしたら
 どれを選びます?」
「え? それは、うーん。ごめん。よく判らないかな」
「ふふ。兄さんらしい答えですね。でも、折角だから、選んでください」
「椿なら、なにを着ても似合うんじゃない?」
「もう。恋人ならそれで誤魔化されてくれるかもしれませんが、妹はそうはいきませんよ」
「はは……。手厳しいね」
「ええ。それはもう。兄さんの妹ですから。直感だとどれですか」
「うーん。これかな。でも、椿がいま着てるのが一番合ってるよ」
「ふふ。兄さんは、天性の女たらしですかね」
「ええっ!?」


 お昼のきつい日差しを避けて、涼むために入った大型書店。
「そういえば、このまえ、睦月がお勧めだって言っていた本がありましたね」
「へえ。どんなの」
「なんでも、女性の品格を説いたものらしいですけど」
「努力家の萩原さんらしいね」
「ええ。彼女はいつも頑張っていますから」
「椿は、どうなの?」
「私も頑張ってはいますよ。いろいろとね」
「そうか。僕も頑張らなくちゃね」
「兄さんは、いまのままでいてくれればいいですよ」
「そうもいかないよ。椿の兄として、あまり恥じないように、ね」
「そうですか。ところで、兄さんは、普段どんな本を読まれるのですか。
 ああ、水無都さんから渡されるような、ひどく嗜好の偏った娯楽品は別ですよ」
「な……! つ、椿がなにを言っているのかよく判らないのだけど」


 午後になって、遅い昼食を取るために入った庶民的な定食屋。
「落ち着いてて、雰囲気のいいところですね」
「ああ。でも、デートとかでは、来るような場所じゃないかもね」
「あら。デートでこそ、使ってみたらいかがですか? 兄さん」
「え?」
「こういうとこに連れてこられて、それだけで興冷めして離れていくような人であれば、
 さっさと離れていったほうがお互いのためでは?」
「うわ。きついね。そういう椿は、どうなの? もし、恋人にこういうところに
 連れてこられたら?」
「帰りますね」
「あの? 言ってることが矛盾してるんだけど?」
「いいえ。全然、矛盾してませんよ」
「ひょっとして、椿って、ものすごく我侭?」
「あら。いまごろ気づきました? ものすごく我侭で自己中心的ですよ?」
「椿と付き合う男の人は大変だね」
「ええ。それはもう。ものすごく苦労してますよ」
「え? もうすでにいるの?」
「はい。目の前に」
「あ……。あはは。確かに苦労してるね」
「もう。そこは否定してください」
「でも、椿もいつか本当にそういう人とめぐり合えたらいいね」
「……そうですね」
 


333:__(仮) (9/14)
08/03/21 20:00:13 0n5Kv67J
 
 
 いい加減歩き疲れて、ひと休みのために入った喫茶店。
「ふぅ。流石に疲れましたね」
「うん。そうだね。今日はよく歩いたよね」
「今日の夕食は、どうします? 兄さん確か当番でしたよね。どこかで食べて帰りましょうか?」
「そうだね。どうしようか」
「そういえば、今日はお祭りでしたね。近所の神社で」
「そうだっけ?」
「ええ。一度家に帰って、軽くなにか食事して休んでから、また、出かけましょうか。
 兄さんがお疲れでなければ」
「うん。僕は構わないけど。椿は大丈夫なの? 疲れてるみたいだけど」
「遊ぶ元気は別腹ですから。そうと決まれば、なにか軽くつまめるものでも買って戻りましょうか」
「うんそうだね」
 
 
               *  *  *                  
 
 
 そうして戻ってきた如月家。
 日も落ちて漸く涼しくなってきた風を、リビングの窓際にぶら下げられた風鈴のちりんちりんという音色とともに、
秋巳が感じている。そこへ、お祭りに行く準備をしますから、と自室へ引き上げて行った椿が、再び居間に姿を見せる。
「お待たせしました。兄さん」
 現れた椿は浴衣を身に纏っていた。椿の肌よりもさらに白い色を基調に、涼しげな藍色と水色の草模様をあしらい、
さらに紺地に白抜き模様の帯で締めた艶姿。
 秋巳は、普段見慣れない妹の晴れ姿に一瞬言葉を失った。
「それは……」
「ええ。お母さんのものです。私のは、子供のときに着たもの以外に買っていませんから」
「とても―。とても、良く似合ってる」
 なんの衒いも気負いもなく、率直な感想を述べる秋巳。
「ええ。ありがとうございます。私も一応女の娘なので、こういうハレの日くらいは
 お洒落をしてみようかと思いまして」
「そういえば、履物はあるの?」
「はい。これも、押入れの奥に眠ってたのを引っ張り出しました。
 きれいに拭いて玄関に用意してます。兄さんはその格好で行かれます?」
「うーん。合わせたほうがいいのかな?」
 そもそも自分も浴衣など持っていないことを思い出し、果たしてこの家に自分の着られる浴衣なんかあったかな、
と考えながら秋巳は返す。
「いえ。気にすることないと思いますよ。兄さんさえよければ、このまま出かけましょうか」
「うん。そうだね」
 このままふたりで歩けば、自分が色々な意味で不釣合いだとは思ったが、あまり気にすることを止め、秋巳は椿の言葉につき従う。
 
 
 


334:__(仮) (10/14)
08/03/21 20:02:51 0n5Kv67J
 
 決して広いといえない神社の、あまり規模の大きくないお祭りだというのにも関わらず、人の賑わいに溢れ返り、
夜の気温を低下させまいとばかりに熱気に包まれる境内。
 盛況のなか、どこからともなく鳴り響くお囃子の音。呼び込みをかける屋台の人の元気の良い声と、
小さな子供のはしゃぐ甲高い声が木霊する。
 そんな雰囲気の中、人ごみの間をゆっくりと練り歩く秋巳と椿。
 時折、屋台のおじさんからかけられる「おお! 兄ちゃん、別嬪さん連れてるね。どうだい、ひとつ買ってかないか! 
彼女の手前気風のいいとこ見せなきゃな!」という謳い文句も半ば苦笑いで躱しつつ。

「あれ? 椿? 椿じゃない?」
「お? 椿ちゃん? どこどこ?」
 ふたりの背後から声がかかる。
 その呼び止めに、椿より先に反応した秋巳が振り返ると、水無都冬真と萩原睦月がふたり立っていた。
「あー! やっぱり椿だ! それと、お兄さんも! うわー椿どうしたの? 
 そんな浴衣まで着て粧し込んじゃって。っていうかすっごく綺麗!」
「こんばんは。睦月。それと、水無都さんも」
 椿の姿を見て、普段よりさらに一層テンションをあげて、彼女に向かっていまにも飛びかからんとばかりに
はしゃぐ萩原睦月とは対照的に、落ち着いて挨拶を交わす椿。
 それに、萩原睦月の隣に立つ水無都冬真が片手を挙げて応じる。
「おお! 秋巳、椿ちゃん、こんなとこでふたりに会うなんて」
「奇遇だね。冬真。それと、萩原さんも」
「はい! でも、今日はおふたりですか?」
「ええ。一緒に行ってくれるような異性がいない寂しい兄妹ですので」
「またまたぁ!」
「そういうおふたりは、デートですか」
「えっ! い、いや、デ、デートってわけじゃ……」
「えっ!? デートじゃなかったの? ひょっとして俺勘違いヤロー?」
「あああ! 違います違います! そんなつもりじゃ!」
 椿と水無都冬真の間で、あたふたとする萩原睦月。
「水無都さん、睦月をいじめないでくれますか」
「お? 萩原ちゃんをいじめていいのは、椿ちゃんだけって?」
「はい。そうです」
 即答する椿。
「ちょ、ちょっと椿!」
「なるほど。それにしても、今日はまたどうして? おふたりさん」
 そう水無都冬真が話題を変えるためか水を向ける。椿ではなく、秋巳に。
「あ、いや。折角お祭りやってるから、出かけようかなって」
「椿ちゃんが?」
「え? あ、そうだけど」
「ふーん、ほー」
 なにを納得したのか秋巳には判らなかったが、水無都冬真は腕を組みうんうんと首肯する。
「なるほど。なるほど」
 判ったぞ、と水無都冬真は呟く。
「どうしたの? なにが?」
「椿ちゃんが、今日お洒落をしてきているわけさ!」
「え? 水無都先輩判るんですか?」
「ああ。椿ちゃん、君は今日俺がこのお祭りに来ることを知っていたな? 
 そんで、愛しの先輩に自分の晴れ姿を見せようと、精一杯お洒落して兄貴を出汁に
 俺に会いにきたってわけだ?」
 そう椿に人差し指を突きつけ、犯人はおまえだ! とばかりに豪語する。
「…………」
「…………」
 沈黙する秋巳と萩原睦月。
 


335:名無しさん@ピンキー
08/03/21 20:04:44 sg22SsEt
しえん

336:__(仮) (11/14)
08/03/21 20:06:23 0n5Kv67J
 
「ふふ。流石ですね。水無都さん。なんでもお見通しってわけですか」
「ええっ! ほんとなの!? 椿!」
「勘違いしないでね。睦月。いまのは、水無都さん流の意地悪な言い方なの。
 あの台詞はね、本当は私に自分が来ることを知らなかっただろうって言いたかったのよ」
「え? ど、どういうこと?」
「簡単な論理よ。水無都さんは判っているのよ。水無都さんが来ることを私が知っていたら、
 ここに来るはずないって。ましてやお洒落なんかするはずないってね。
 それが、お洒落してここにいるってことは、逆説的に、私は知らなかったってことになるのよ。
 水無都さん意地悪だから、ああいう言い方をするのね」
「あの? そんな意味はこれっぽっちも込めてないんだけど。
 っていうか、そこまで言われると流石の俺でも傷ついちゃうよ?」
 その言葉どおり水無都冬真は落ち込んだ表情を見せる。暗にどころか、これ以上ないくらい陽に、
貴方の前でお洒落などしない、貴方になど会いに行きたくないと言っているようなものだからその反応も自然であろう。

「あら。違いました? 残念。私には、推理の才能がないみたいですね」
 そう言って、ふふ、と微笑む椿。
「ふぇー。椿にかかったら、水無都先輩でもたじたじなんだ」
 萩原睦月は、なにに感心したのか、大きく開いた手を口に当てて、そう感嘆を洩らす。
「お? 萩原ちゃん、言ってくれるね。まだまだ判らないよー! 
 野球は九回ツーアウトからって言うし」
「頑張ってくださいね。先攻の水無都さん」
「ちょ! それじゃ俺、逆転できないじゃん!」
「大量リードで逃げ切ればいいんですよ」
「無理! 柄じゃないし」
「あははは」
 椿と水無都冬真の会話の応酬に、萩原睦月は愉快そうに笑い声をあげる。
 そして、思う。
(ああ、本当に―)
 本当に、このふたりはお似合いなんだな、と。
(―もしかしたら、椿は自覚していないのかもしれない。水無都先輩も、
 はっきりとは認識していないのかもしれない)
 ただ、もしそうだとして、自分はどうする。
 萩原睦月は、かつて椿に言った。
 相手が椿であれば、水無都冬真のことを諦められるかもしれない。
 それがいま、現実のものとなるかもしれない。たとえ、真実は全然違っていたものだとしても、
萩原睦月の世界ではそう見えている。そう認識している。
 自分は水無都冬真のことを諦められるのだろうか。椿を応援できるのだろうか。
 萩原睦月は、漠然として答えの出ない自問を繰り返す。
 迷ってても仕方ない。なにかしら動かなければ、なにも進まない。真実も。自分の気持ちも。
 だったら、吉と出るか凶と出るかは判らないが、前に進むべきなのではないか。
 萩原睦月は、頭の中に渦巻くもやもやを振り払うかのごとく首を振ると、椿に提案する。
「ね、ねえ! 椿、お兄さん、ちょっとお借りしてもいいかな?」
「え?」
「どうしたの? 睦月?」
「うん。ちょっとね。お兄さんに訊きたいことがあって」
「およ? 秋巳のおしめが取れた歳なら、三歳だよ?」
「あはは。そんなことじゃないです」
「私は構わないけれど……、兄さんは?」
「お兄さん、いいですか?」
「え? ああ、別にいいけど……」
 果たして、椿の親友が自分にいったいなんの用事なのだろうか。
「それじゃ、すみませんけど、お付合いもらえます?」
 そう言って、神社脇の林の方に歩き出す萩原睦月。
「おい、秋巳! 人気のないところに行ったからって、襲いかかるなよ!」
「かからないよ」
 それだけ答えて萩原睦月の後ろにつき従う秋巳。
 



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