【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合28at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合28 - 暇つぶし2ch600:名無しさん@ピンキー
08/03/05 21:37:47 bZ2lI57E
え、スク水は今でもスク水ちゃうの?
みんな競泳水着?

601:名無しさん@ピンキー
08/03/05 23:46:55 8q3nPlH5
脱がせばみんな一緒ですよ





ウワチョスイマセンデシタ

602:名無しさん@ピンキー
08/03/06 00:00:43 6kj153AL
脱がしちゃいかんだろ

603:名無しさん@ピンキー
08/03/06 00:10:53 fnxhCz24
ずらすんだよな

604:名無しさん@ピンキー
08/03/06 00:13:01 0soMkB6F
布に包まれることによって逆に強調される柔らかな曲線、および、露出部とのコントラストが心をゆさぶると思うんだが…
まぁ、かく言う私も、スク水とスパッツは良いと思うんだが、ブルマーの良さがいまだ理解できない未熟者…ちなみに今まで一番そそられたのが、カットジーンズ(w


605:名無しさん@ピンキー
08/03/06 00:22:33 k8eTvxdE
ロリペタ+ブルマーorスク水=王道
グラマー+ブルマーorスク水=マニアック





誰だ、こんな風に最初に定義した奴は!

606:名無しさん@ピンキー
08/03/06 00:29:38 bScovBtr
>>603
海中でずらすのがおすすめ

607:名無しさん@ピンキー
08/03/06 00:57:10 xb+VlCTM
えっと…ここはゼロ魔のスレ…だよな?

608:名無しさん@ピンキー
08/03/06 01:00:12 jBMMChok
頭の中で着せ替えしてるんじゃないか?

609:アトピック ◆xsDbUITz4M
08/03/06 01:06:25 8FvKMHx7
下着がどうのという意見がでたのでカッとなってWIKIでコルセットを
調べて自分なりに補完したネタが完成した。投下したいけどこのスレの流れ
で投下しても大丈夫かな?

610:名無しさん@ピンキー
08/03/06 01:09:15 IV/kXVVm
おkおk

611:ガンダールブ風俗記~ブラを開発した男~
08/03/06 01:19:12 8FvKMHx7
「なぁ、ギーシュ。頼みたい事があるんだがいいか?」

学院寮のギーシュ私室訪れた才人が口を開いた。

「なんだい?才人。また、新しい新製品の錬金でも頼みに来たのかい?」

最近、才人は戦争で得た報奨金を元手にちょっとした工場を起した。それは家庭で役立つ便利アイテム、
というか元の世界で販売されていた通販などで見られた便利アイテムなのだが、それらを製造して販売
を始めたのだ。会社を起して半年経った現在、業績は上場。取引はトリステインのみならず周辺諸国に
も伸ばし始めている勢いだ。これによって才人自身は元より主であるルイズ、ヴァリエール家の財産は
潤す事になったため、ルイズの両親達からその存在を徐々に認められつつある。才人自身このように金
儲けに走っているのは単なる金銭欲の類のものではなく、上記にあるヴァリエール家に正式に認められ
る事ともう一つ、別な目的があるのだがその話はまた別の機会にしよう。
とりあえず、話は戻す。新商品を作るに至って、才人はまず商品の試作品を親友であるギーシュに頼ん
で錬金してもらっている。これはコストを抑える為と実際の使い心地を試す目的がある。その際、一応
報酬金はいくらか支払っているのでギーシュとしては拒む理由がない話なのだが、今回はどうやら話が
違うようだった。

612:ガンダールブ風俗記~ブラを開発した男~
08/03/06 01:19:42 8FvKMHx7
「いや、ちょっと聞きたい事があるんだ。」
「ん?何を聞きたいんだい。」
「怒らないで冷静に聞いてくれよ?あのさぁ、お前モンモン達とヤる前って服を自分で脱がした事あるか?」
「な、いきなり何を言い出すんだい!」
「いや、だから落ち着けって。モンモン達にいやらしい妄想抱いてるわけじゃねぇんだから。」
「む、そうか・・・。うん、そうだな。あまり脱がすって事しないねぇ」
「正確にはどのあたりまで脱がす?」
「そもそもが脱がすというシチュエーション自体が少ないかな?いつも彼女達を抱く時はお互い裸の状態さ。
 しかし、いきなりなんだい?もしかして君は脱ぎかけとか服を乱暴にしたままの方が燃える性質なのかい」
「いや、それは燃えるだろ・・・いやいや、そうじゃなくてさ。例えば服を着たまま意識が高ぶってそのまま
 なし崩しになる時ってあるだろ?」
「ああ、あるねぇ」
「そういう時さ、こっちが服を脱がしてやる時。下着までいくとちょっとがっかりしないか?」
「いやー、一概にそうとはい言い切れないね。パンツの方を時間をかけてゆっくりと脱がす時のケティはなか
 なか。こちらの劣情をかきたてる表情をしてくれるよ。」
「まぁ、下はたしかにそうだけどな。上の方だよ、ほら、付けてない奴もいるけど大抵はコルセット付けてる
 だろ?あれ見るとちょっとがっかりしないかって。」
「うーん、外したときに見えるうなじと背中のラインは何事にも変えがたい物があるけど・・・。
 確かに、コルセットが目に入ってくるとちょっとがっかりするかな。」
「あれ、外すの面倒なんだよ。手まどると怒られるし。」
「そうそう」
「そこで、だ。ここで、外すのが容易で正面からおっぱいが拝見できる様な下着があったら・・・どうする?」
「っ!!、才人!君は・・・」
「ちょっと、これ見てみろよ」

才人がテーブルの上に何かを置いた、特徴的な肩紐と二つの膨らみ。まぎれもなくブラジャーだった。

「以前、体操服とスク水を作った時に頼んだツテで作らしたんだ。よくできているだろう?」
「成るほど、腰から絞めつけるのではなく肩で支えるっていうんだね。そしてそれはたくし上げてずらせるとい
 う事になる。」

初見のブラを手に取り、素早く分析するギーシュ。

「さすがギーシュだな、ブラの特徴をこんなに早く見抜くとは」
「このギーシュを甘く見てもらっては困るな、して頼みとはこれをモンモランシー、ケティに着けてくれという
 話だね」
「そういうこと、俺の周りにはちょっと標準より小さいか大きいかしかいないからな。モンモン達みたいに普通
 サイズの人たちの意見も聞きたくてな。」
「ふぅん、でもそれならルイズ達の方から言った方が良かったんじゃないか?同性の方がそういう話しやすいだ
 ろう。」
「馬鹿だな、好いた女にプレゼントしたランジェリーをきちんと身に着けてきてくれたり、行為の前にそれを自分
 の手で脱がすっていうのがいいんじゃないか」
「友よ!!」
「応っ!!」

613:ガンダールブ風俗記~ブラを開発した男~
08/03/06 01:20:11 8FvKMHx7
二人は熱い握手をがっちりと交わした。下着を脱がした時に見える無防備な背中もいいが、俺達はそれでも一番最
初におっぱいがみたいんだ!といわんばかりの熱い握手だった。
後日、ギーシュは後のこう言い残したという「ナイス、ブラシャー」と。
この後、ブラは瞬く間にハルケギニア中に広まり、普及した。さらに軍部からも「機能的な下着を!」という意見
が出され、スポーツブラの着手、成功し、日ごろから運動に勤しむ女性、胸の貧しい女性、一部の好事家に受け入れ
られていく事になる。なお、ギーシュはこの事がきっかけで目覚めてしまったのか才人の知識不足により世に出る
事がなかった、いわゆるビスチェの開発に成功。セクシーランジェリーとして好評を博す事となる。他にも男の目
に訴えかける色調、デザインのブラを生み出しランジェリー界の革命児と後に評される事になった

614:名無しさん@ピンキー
08/03/06 01:20:25 bScovBtr
支援

615:名無しさん@ピンキー
08/03/06 01:24:13 CNEqESk+
ナイスブラジャー!

616:アトピック ◆xsDbUITz4M
08/03/06 01:25:18 8FvKMHx7
試験期間の真っ最中なのになんでこんなの書いているんだろう。
それはともかくとして、いままでエロに関係ない話ばっかだったので次回は
エレヲノール姉さんの続編を投下したいなと思っています。
それではまた。

617:名無しさん@ピンキー
08/03/06 01:32:32 f5ECg/xl
ギーシュとサイトをここまで生き生きと書くとは。
もうあほ過ぎて大好きだw

618:痴女109号
08/03/06 01:59:01 WBRqO+jN
>URLリンク(zerokan.digital-ark.com)

去年の7月以来、久しぶりに投稿します。
主なストーリー:当時、まだ文盲だった才人が、内容もわからずシエスタと交わした一枚の契約書。
         それは、これまでの才人の生活を地獄に叩き込む、悪夢のような契約であった。

詳細は、上のアドレスから保管庫の本編をどうぞ。

619:契約(その10)
08/03/06 02:01:11 WBRqO+jN
 夜になった。
 
 新郎新婦に休息は無い。
 式と披露宴が終わると、二人は、早速荷物をまとめて新婚旅行の準備に取り掛かっていた。
 七泊八日の新婚旅行―とは言っても、実質は結婚式に来られなかった、トリステイン貴族諸侯たちへの挨拶回りに他ならない。
 
「あーあ、全く、やんなるわよね」
「……そうだな」
「ちょっとアンタ、なに疲れた顔してんのよ?」
 そう言いながら、頬を真っ赤に染めた少女は、自らの“夫”に、もたれかかった。

「―こっ、これから……しょっ、しょっ、しょっ」
「しょ?」
「『初夜』なんだからね……!! ちゃっ、ちゃんと、花嫁を……リード、しなさいよっ!!」

 そう言って恥かしげにキスをねだるルイズは、才人が、今まで見たことも無い程に可愛かった。
 少年は、その幼き花嫁の、花びらのような唇に、自らのそれを接れさせる。
 だが……才人はもはや、自分自身の意思だけで、彼女が期待する通りに振る舞うことを許されない身の上だった。

「ルイズ」
「なに?」
「もう一度、ウェディングドレスに着替えてくれないか?」
「―え? 何で?」
 ルイズは、その予想外の申し出に、目をぱちくりさせる。


「もう一回、大聖堂に行って、二人だけで、式を挙げよう?」


 才人は、今の自分の立場を十分承知していた。
 だからせめて、あの二人の小悪魔が、愛する花嫁を蹂躙する前に、もう一度だけ、美しい想い出を記憶に止めておきたかった。
 今宵の成り行き次第では、才人は、もう二度と、この愛する少女の眼前に現れる事も出来なくなってしまうのだから。


620:契約(その10)
08/03/06 02:03:15 WBRqO+jN
.
「なんか、……恥かしいな……」
 
 そう言いながらルイズは、昼間に歩いたバージンロードを、純白の花嫁衣裳に身を包み、再び、歩いていた。
 無論、その傍らには、才人の姿がある。こちらも凛々しいタキシード姿だ。

「やっぱ、綺麗だよな、……お前ってさ」
 才人が、溜め息交じりにそう言う。
「なに言ってるの? いまさら、そんな分かりきったこと言われても、御主人様は喜びませんよぅだ」
 ルイズが幸せそうな顔を、さらにほころばせて、アカンベーをする。
「わかった。―じゃ、もう言わない」
 才人が苦笑しながらそう言うと、今度は花嫁が、少し不服そうな顔をし、才人に抱きつく。

「―だめ」
「だめ?」
「御主人様は、犬のお世辞なんかに喜んで上げないけど、―でも、やっぱり、……誉めなさい」
「はぁ?」
 才人が、目をぱちくりさせると、
「だから……喜んでなんか上げないけど……ちょっとくらいは嬉しいのも事実だから……もっともっと誉めなさい……って、そう言ってるのよっ!!」
 頬を真っ赤に染め、逆ギレしたように声を荒げ、にもかかわらずコアラのように才人にくっつくルイズの可愛らしさは、―披露宴の時に見せた、ツンとすましたような美しさとは、まるで別種のものだった。

 ルイズの本当の美しさは、ああいう、衆目の眼前に晒された時の緊張美ではない。
 彼女は―性格はともかく―もともと顔の造型だけは、生まれながらにズバ抜けていた。だから、背筋を伸ばして黙って立っているだけで、ルイズはそれなりに絵になる。
 だが、彼は知っている。
 才人自身と二人の時にしか見せない、この安心しきった可愛らしい表情こそが、彼女の一番美しい表情なのだ、ということが。
 ハルケギニア広しといえども、平賀才人にしか見ることが出来ない、満開の花。

 だから、才人は彼女には、決して逆らえない。眼前の花嫁の望むがままに誉め言葉を口にする。そして―その言葉は決して嘘ではない。


621:契約(その10)
08/03/06 02:05:00 WBRqO+jN
.
「ルイズ、お前は綺麗だ。すっごく綺麗だ。こんな可愛い花嫁と結婚できるなんて、まるで夢でも見てるみたいだ。だから……」
「だから……?」
「幸せにする。―絶対に」

「ありがとう……サイト、大好き」

 少女が薄く眼をつぶり、紅潮した頬よりも鮮やかな紅を差した唇を、少年に捧げる。
 花嫁と花婿は、誰もいない教会の聖堂の中、始祖の像が見守る前で、誰よりも愛を込めた―それでいて、誰よりもいやらしい、誓いのキスを交わした。

 唾液と舌の蠢く音が、この世でもっとも神聖なる空間に響く。
 禁欲を是とする教えを説く始祖ブリミル。だが、二人の放つ淫蕩の気は、この大聖堂の重い空気さえ、いや始祖ブリミル本人であろうと、全く介入できないほどの、ある種の荘厳さに満ちていた。
 たとえて言うならそれは、互いが互いを骨の髄から求め合う―“愛”というべきものであったろうか。

 だが、その神聖なる愛欲の行為も、やがて、静かに終焉を迎える。
 ルイズの体から力が抜け、才人の背に回した腕が落ち、膝が崩れ、彼女はずるずると、その場に倒れ伏した。
「ル、イズ……?」
 才人は、まるで白い粘液のように足元に崩れ落ちる花嫁に、戸惑いの声を上げる。
 が、ウエディングドレスの少女は、そのまま死んだように意識を失い、何の反応もしなかった。
「ルイズ、ルイズ!! 起きてくれ!! 目を覚ましてくれよっ!!」

 叫んだところで無駄だということは分かっている。
 でも、叫ばずにいられない。
 分かっている。奴らの仕業だ。あの……悪魔たち。
 ルイズには、“その時”が来たら、自動的に意識を喪失するよう仕込まれたポーションが、あらかじめ一服盛ってあると聞いている。それが効いたという事は……。

「もう時間切れ……なのか……?」
 振り返りもせず才人は呟く。
「せめて、もう少しくらい二人きりで……」
 
「―ダメですよ、サイトさん」


622:契約(その10)
08/03/06 02:06:53 WBRqO+jN
.
 才人の背に、むにゅっとした柔らかい感触が押しつけられる。
 その声、感触……確認するまでもない。
 彼を、この無間地獄に叩き込んだ最初の一人―シエスタ。
 披露宴の準備中にポーションを、よりにもよって、三々九度のワインに仕込んだ少女。
 そのままシエスタは、背後から才人に抱きついたまま、無理やりルイズから引き剥がす。
 少年は、反射的に抵抗しようとしたが、股間を優しく一撫でされただけで、全身の一切の力を奪われ、だらしなく花嫁から隔離されてしまう。

「今日はめでたい結婚式の日なんですからね。花婿さんが『部外者』相手に盛り上がっているのを見るのは、心の広いわたしたちといえども、やっぱり不快ですわ」
「『部外者』って―シエスタっ、お前っ!?」

 そう言い放ったシエスタの手を振り解き、振り返った才人は思わず絶句した。彼女は―それは見事な、純白のウェディングドレスに身を包んでいたからだ。
 いや、シエスタだけではない。

「そう。今日のあなたの花嫁は、ルイズじゃない」

 シエスタの影から、ゆらりと現れたタバサも、空色の見事な花嫁衣裳を身に纏っていた。
 手にした無骨な杖は、相変わらずだったが。
 そして、大聖堂の巨大な扉から姿を現した、もう二人の女性。
 
「姫さま……テファ……!?」

 やはり二人とも、タバサやシエスタと同じく、来賓として列席した時とは違う、見事なウェディングドレスに着替えていた。
 ティファニアは、やはりというか、うつむいて気まずそうに才人から視線を逸らしていたが、アンリエッタは、そんな従姉妹とは対照的に、冷えた目線で大聖堂の中を見回している。

 始祖ブリミルの像の前で、くにゃりと倒れこんだルイズ。
 タキシードを僅かに乱れさせて、うろたえた表情で自分たちを見ている才人。
 そんな『新郎新婦』に嘲るような微笑を送っている、シエスタ。
 何を考えているのか、サッパリ分からない、無表情なタバサ。
 そして、これから行う行為の、あまりの罪深さに、いまだに震えが止まらないティファニア。
 そして、混乱の極みにあるらしい才人を、再び嘗めるように見つめると、女王は静かに微笑んだ。
 大聖堂の扉は、大きな音を立てて閉ざされ、“ロック”のスペルが、ここを外界から隔絶する……。


623:契約(その10)
08/03/06 02:08:58 WBRqO+jN
.
 なぜ……? なぜ二人がここに……!?
 疑問に思うまでもない。
 この二人がタバサとシエスタの二人と行動を共にしている。ただそれだけでもう、真相は明らかだ。

「サイト殿。ルイズに飲ませたポーションを調合したのは、このわたくしです」
 アンリエッタが、全く感情をうかがわせない冷たい表情で、才人に言った。
 そう聞いて、才人は初めて、この女王が『水』のトライアングルだった事を思い出す。
 いや、それ以上に感じたのは、アンリエッタの語調の厳しさだった。
 そこには『告白』といった風の、罪の意識はカケラも存在せず、むしろ『宣告』と呼ぶべき開き直り感さえ、覚えるほどだった。
 少年は、こんな彼女は見たことがなかった。

「何で……そんな……だって姫さま、あんた、ルイズの親友じゃなかったのかよ……!?」
「ええ。ルイズはわたくしの、大事な大事なお友達です」
「だったら、何で……あんたまでルイズを裏切るような真似を―!?」
「裏切る……?」
 アンリエッタの目に、わずかに感情の色が篭もる。
―それは、軽蔑であった。


「貴方に言われたくはないですわ、花婿さん。ルイズの想いを知っていながら、それを踏み躙り、快楽に溺れて、この二人と何度も情を通じ合った『裏切り者』の貴方には」


 その言葉を前に、才人は凝然と凍りつく。
 女王の言うことは、まさしく、そのとおりであったからだ。
 この場において、もっとも断罪されるべき者は、シエスタでもタバサでもない。彼女たちを受け入れ、拒絶できなかった、この俺だ……!! 才人は思うともなく、そう思ってしまう。
 そして、女王はそんな彼に、畳み掛けるように言う。

「サイト殿。わたくしの親友を裏切った貴方に、この国の主権を預かる者として罰を与えねばなりません。とてもとても重い罰を」
 そこで話を切ると、女王は振り向き、シエスタを呼んだ。
 そしてシエスタは、才人に対する以上のうやうやしさで、彼女から一枚の書類を受け取り、彼の前でそれを読み上げた。


624:契約(その10)
08/03/06 02:12:10 WBRqO+jN
.
「サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ。
―上の者、この国における一切の基本的人権・及び生存権を剥奪し、トリステイン国籍からその名を削除する事を宣告する。ゆえにその身は、神と始祖と王家の定めし国法の庇護を受ける事は、永久に許されないものとする」
「は……?」
「なお、以上の刑の執行は、国権の代表者たる女王の名のもとに行われ、いつ、いかなる形で処罰が科せられるかは、女王の判断に基づくものとされる。―トリステイン王国女王アンリエッタ・ド・トリステイン」

 そこまで一気に読み上げて、シエスタは不安げに才人を見た。
 彼は、―予想通りというべきか、一度聞いただけでは文章の内容が把握できず、ぽかんとしていた。
「あの……サイトさん、これ、読みます?」
「うん。いいかな」
 彼は、羊皮紙を受け取ると、文章とにらめっこを開始するが、……やはり、あまり理解しているようには見えない。

 さすがにアンリエッタが、そのパッとしない彼の反応に焦れだした。
「~~~~~~っ!! で・す・か・ら!! つまりサイト殿!! 誰が貴方を殺そうが、法は、殺人犯を逮捕できないという事なのです!! 貴方はいま、この瞬間から一切の法の庇護を受けられなくなったのですから!!」
 しかし、才人はまだ、きょとんとしている。
 文章の内容が問題なのではない。彼にとっては、そもそもアンリエッタが、何故そんな事を言い出したのか、全く理解できないのだ。

「―つまり、こういう事なのですわ!!」
 アンリエッタは、懐からもう一枚の書類を取り出し、シエスタに渡す。
 そして、シエスタはそれを読み上げ始めた。
 先程にも勝る、氷のような声で。

「―私サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガは、以下の契約を結ぶ事を、始祖ブリミルに誓います」
「え?」
「現在行われつつある、ヴァリエール家の三女との婚姻を、その心中で封殺し、夫婦関係の維持に必要な最低回数の性行為を除き、妊娠の可能性が高い排卵日の性行為を、絶対にしない事を。さらに―」
「なっ……!? なにいいっ!?」
「その上で、以下の四人の女性との愛を、新たに始祖の眼前で誓い、四人の“妻”の望む時に、望む場所で、望むがままに“夫”の肉体を捧げ、全霊を持って奉仕する事を」
「いやだ!! いやだいやだいやだ!! 冗談じゃねえっ!!」
「シエスタ、タバサ、ティファニア、アンリエッタの四人の“妻”に仕える、“夫”という名の奴隷契約を、始祖の御前にて交し、“妻”に対する永久の奉仕者宣言をする事を」
「いい加減にしろシエスタっ!! そんな契約、出来るわけないだろうがっ!!」
「なお、忠誠の証しとして、我が“便宜上の”花嫁たるルイズ・フランソワーズの処女を、“本当の”花嫁たる四人の“妻”に捧げる事を」
「……本気なのか……?」
「以上のことを、始祖の御前にて誓います。―サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガ」


625:契約(その10)
08/03/06 02:13:39 WBRqO+jN
.
 アンリエッタが、いかにも残酷そうな光を目から放ち、ぬけぬけと言う。
「本来なら、こんな契約は“重婚罪”に当たるため、いかに始祖の前でも誓えるワケはありませんが、いまの貴方は女王の名に於いて、国籍を剥奪されている身。トリステイン国法たる“重婚罪”は貴方を咎められません」

 才人はもはや、絶句していた。
 何か言いたいのだが、もう言葉が出てこなかった。
 ただ、絶望がその身を焼き、なんとか救いを周囲の女性たちに求めるが、“花嫁”たちは、粘っこい視線を彼に送るのみで、一分の救いも期待できない。
―いや、いやいやいや。一人だけいた。良識が罪の意識を凌駕する唯一の女性!
「テファ!! 何とか言ってくれ!! こんなムチャクチャな茶番は―」
「ごめんなさい、サイト……」

 瞬殺だった。
 常識ある行動を訴えようとする才人の言葉を、雑音のように遮る彼女。
 普段は、こんな話し方をする少女ではない。
 だが、俯いていた目がこちらを向いた時、才人は、幾度目かの絶望を改めて味わう。
「分かってるわ……サイトが本当に好きなのは、ルイズだけだって事も。でも―わたしもやっぱり―サイトの花嫁さんになりたいの……」

 語尾は消え行くような細い声であったが、それでも、才人には充分だった。
 この場にもはや、自分の味方は誰もいない、ということを認識するには。


「はじめる」
 退屈そうに、事の成り行きを見ていたタバサが、ようやく動き出した。
 いや、タバサだけではない。アンリエッタも、ティファニアも、包囲するようにジリジリと少年に迫る。
 思わず逃げ腰になる才人。―しかし突然、下半身から力が抜け、その場に崩れ落ちてしまう。
「―これ、まさか……!?」

「はい!! 一服盛らせて頂きましたぁ」

 語尾にハートマークが付きそうな声で、シエスタが笑う。
「油断しちゃダメですよ、サイトさん。ポーションがまさか自分の盃には入ってないなんて考えてるようじゃ、シュヴァリエ失格ですよねぇ、陛下?」
「そうですわサイト殿。これでは水精霊騎士隊の進退も考えねばなりませんね。なにせ副長の貴方が、このようなザマでは、わたくしの近衛隊など、勤まるかどうか……?」
「そんな、そんなっ!! 俺のブザマは俺一人の責任で、あいつらには関係ないよっ!!」

「―安心なさい、サイト殿」
 アンリエッタが、静かな声で囁いた。
「そんな、どうでもいい事などすぐに忘れさせてあげますわ」
 アンリエッタが、そう言いながら指し示した先では、意識を失ったルイズのウェディングドレスの重いスカートをまくり上げたシエスタが、ドレスと同じく純白な色をしたショーツを、足首までズリ下ろしていた……。


 タバサは、突然現れて、この場を仕切り始めた若き女王を見て、才人に対する彼女の鬱積した想いを想像し、彼女に話を持っていった自分の判断に、やや後悔し始めていた。
 だが、一つ分かる事があるとすれば、アンリエッタからすれば、本当の『裏切り者』は、才人でも、才人を誘惑した自分たちでもなく、『法的に』才人を奪った、ルイズその人なのだという事が。
 アンリエッタが、彼から国籍と国法の庇護を剥奪するという暴挙に出たのは、間違いなくルイズに対する当てつけのつもりなのだろう。

 しかし、どちらにしろタバサも、才人を他の女に渡すつもりはなかった。


626:名無しさん@ピンキー
08/03/06 02:15:17 aHR1YXmE
しえ

627:痴女109号
08/03/06 02:18:09 WBRqO+jN
お久しぶりにございます。
タバサさんが、あまりにも残忍になりすぎたので、書き換えたら、今度はお姫様が好き放題暴れ出してしまいました。
こちらを立てれば、あっちが立たず、といった具合ですな。

ではでは。

628:名無しさん@ピンキー
08/03/06 02:21:25 bScovBtr
おつでした。

629:名無しさん@ピンキー
08/03/06 02:22:41 CWVVA2Qb
黒アン様ステキすぎるよアン様!

630:名無しさん@ピンキー
08/03/06 03:06:44 Rk0bYW+X
四月くらいに14巻出てくれないかなー
13巻の終わりでルイズとサイトの別れが気になってしょうがないw

631:名無しさん@ピンキー
08/03/06 05:24:52 D/lrh/L7
>>586
マリコルヌがトリステイン版「電車男」になる電波を受信したwww
脱ヲタして「エルメス」のハートを射抜くのだwww

>>616
21世紀が産んだひんぬー革命「ヌーブラ」を早く作って
愛するご主人様へ献上するのだ、サイト!!!

632:名無しさん@ピンキー
08/03/06 05:57:19 dXLsxSWv
痴女109号氏、投下乙でした。
アン様はどんなとんでもないこと仕出かしても説得力があるから困るw


>>631
相手役の顔をよく見たら、「エルメス」じゃなくて「エルメェス」兄貴でした。
マリコルヌ、むーざんむーざん。

633:名無しさん@ピンキー
08/03/06 15:13:15 i53GItHZ
>>627
>>391の俺からGJ!続き期待してます!!

しかしこれはある意味、ゼロ魔BADENDだよな・・・。なんとなくスク○ズっぽい
展開だ。

634:名無しさん@ピンキー
08/03/06 15:19:04 037n5hV8
>>624
GJです
が、突っ込ませていただくと
基本的人権という概念はは貴族社会においては存在しない。
そもそも基本的人権という概念が生まれたのは、フランス革命が起きて、貴族が処刑・国外追放され
民主主義が確立してからフランス憲法において定められた。

つまり基本的人権とは民主主義国家の象徴。


635:名無しさん@ピンキー
08/03/06 15:35:54 aF52sNUD
生き物である以上、自分の命が脅かされたら死にものぐるいであらがう。
その流れで、財産生命を脅かす存在に対しては、個人、家族、集落、あるいは国家単位で反撃する。
基本的人権という言葉はなくてもそれに似たようなものは本能レベルで存在したと言えるでしょう。
独り言を書いてしまった。チラウラスマソ

636:名無しさん@ピンキー
08/03/06 17:33:43 037n5hV8
>>635
まぁ基本的人権の起源には、名前忘れたけどイギリスに
国王がむやみに平民の財産、生命を侵すことを禁止し
国王の権利を制限する取り決めが始まりだといわれている
今の基本的人権とはかなり差があるが
これに倣えば、国家元首であっても基本的人権を奪うのは重罪(殺人刑等)


637:名無しさん@ピンキー
08/03/06 17:40:02 037n5hV8
マグナ・カルタだった

638:名無しさん@ピンキー
08/03/06 17:40:46 qzVubu4Y
貴族と平民で分けられてて、貴族から見た平民には人権があるとは思えないんだが

639:名無しさん@ピンキー
08/03/06 17:44:33 037n5hV8
いや、サイトは平民じゃないよ、一応

640:名無しさん@ピンキー
08/03/06 18:53:53 aF52sNUD
使い魔と平民、それと貴族と王の力関係が良くわからん。
それとどんな手段で下の者を支配してるのか。
あとお金(税)の流れ。

641:名無しさん@ピンキー
08/03/06 18:57:22 5ySJkq2w
本気で検証議論したいならラノベ板の方がいいかと

642:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/03/06 19:26:21 YWbns4Wb
さてと。おまいら。とりあえず、だ。
URLリンク(www.zero-tsukaima.com)
このテファを見てくれ。こいつをどう思う?

このけしからん衣装が動くのか?かがんだりしたらパンチラとかちちちらとかじゃすまんぞ!
そんなわけでテファもの、途中だけど投下します。

643:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/03/06 19:26:46 YWbns4Wb
それは、まだ少し肌寒い春の日の午後。
春の日差しを求めて外へ出て行く生徒たちに逆行するように、小走りに女子寮の廊下を駆ける影があった。
トリステイン魔法学院の制服を着たその影は、大きな帽子を目深に被っているために誰なのかはよく分からない…つもりだった。本人は。

「あら?お姉さま?どちらかへお出かけでしたの?」

小走りに駆けるティファニアに、たまたまそこを通りかかったベアトリスはそう声を掛けた。
あの異端審問の事件以来、校内では帽子を被らなくなったティファニアが、帽子を被っているという事は、とりもなおさず学院の外へ出たという事。
ティファニアはびくん!と背筋を逸らせて立ち止まり、慌ててベアトリスの方を振り向く。
その背中に、一冊の書物を隠しながら。

「あ、うん、いい日和ねヴィヴィ!それじゃ私急ぐから!」

言ってティファニアは一切の質疑を拒否すると、ベアトリスに背を向けて自室へと向かう。
その背中は、一切の問答を拒絶していた。

「…どうなさったのかしら…」

ベアトリスは一切の質問を諦め、首を捻る。

「答えは簡単。見られると恥ずかしい本を買ってきたのよ。町でね」
「ひゃあっ?あ、あなたどこから沸きましたの?」

いつの間にか、ベアトリスの隣にタニアが腕を組んで立っていた。
彼女がこのポジションにいるという事は、常にベアトリスの脇に控えているはずの装甲騎士団団長、もしくは団員が、タニアを通したということである。
その原因として上げられるのが、装甲騎士団の内部でのタニアの扱いである。
ベアトリスの心酔するティファニアの関係者ということ、さらにベアトリスから近づく彼女を排除せよとの司令がないために、騎士団がタニアを遠ざける事はなかった。
そのこともあって、タニアはいつの間にか貴族であるベアトリスの傍に立てる、数少ない平民という地位を手にしていた。

「人をボーフラみたいに。失礼なヤツだなあベアちゃんは」
「ベアちゃん言うな!全くあなたは平民のくせにっ!身分をわきまえなさいな!」

本人には全くその自覚はないが。
荒ぶるベアトリスに、タニアは涼しい顔で手を振りながら言った。

「まあ、今度お姉ちゃんの部屋掃除したときにでも家捜しして、内容把握しとくわ。
 ベアちゃんも知りたいっしょ?お姉ちゃんが急いで読みたがる本の内容」
「…う。確かに…。
 わ、わかりました。しかと頼みましたよ、タニアさん」

こうやって、いつもベアトリスは肩透かしを食らうのである。
そのやりとりは、傍から見ると、仲のいい友達同士に見えるのであった。
そして、タニアは後日、その本そのものをベアトリスに見せる。
それを読んだベアトリスは、軽い男性不審に陥り、数日の間部屋に引きこもってしまうのだが。
それはまた、別の話。

644:よく売れる本 ◆mQKcT9WQPM
08/03/06 19:27:50 YWbns4Wb
ばたん!

自分で締めたドアの音に、私は思わずびくっ!と身を縮こまらせる。
私は慌てて、ドアの鍵を閉める。
よ、よし。開いてないよね?
私は胸元に買ってきた革張りの表紙の本を抱えると、部屋に備え付けられた椅子に腰掛ける。
そしてその椅子の前にあるテーブルに本を置いて、帽子とマントを脱いで、はぁ、とため息をつく。
か、買っちゃった…!
今日。
私は、ヴィヴィに勧められた参考書を買いに、近くの町の本屋に出かけた。
そこで。
そこでその本を探していた私は、とんでもないものを見つけてしまう。
ちらり、とテーブルの上に置かれた本のタイトルを見る。

『夜伽の達人 ~ひと目でわかる殿方の悦ばせ方講習~』

その本は。
その本屋さんの奥まった所の台の上に、一冊だけ、平積みで置いてあった。
その台の上には、店員さんの直筆らしい宣伝文句の書かれた紙が張られていた。

『今、王都で大ヒット中!
 倦怠期のご主人も、熱愛中の恋人にも、不倫中の愛人にも大好評!
 最終頒布分を緊急入荷、現品のみ、重版は未定!買うなら今!』

それを見た私の脳裏に、サイトの顔が浮かんだ。
彼は私の想像の中で、私の髪を優しく撫でながら、笑顔で私に囁く。

『上手だね、テファ。いつの間にこんなにエッチになったんだい?』

…っきゃーーーーーーーーーーーー!
その想像に思わず私は真っ赤になってその場で回ってしまう。
そして、その本の値段を確認する。
し、新金貨で10枚っ?
こ、今月女王様から戴いたお金のほとんど。
…で、でも。
こ、この本読んで、夜伽のお勉強して。
さ、サイトが、サイトに、褒められたら。
……………………………………………………………………………………………。
気がついたら、私の財布から金貨が全部なくなっていた。


645:よく売れる本 ◆mQKcT9WQPM
08/03/06 19:28:36 YWbns4Wb
そして、今に至る。
ホントは、夕方くらいまで町でゆっくりしてくる予定だったけど。
ごくり。
私の喉が鳴る。
こ、これでお勉強して。
今夜、サイト誘っちゃおう…!
あ、で、でも、ダメとか言われたら。
…ううん、そんなことない。
サイトきっと優しいから、断ったりしない。
あ、でもルイズさんが反対したら…。
どうしよっかなぁ…。
私はもう一度本を見る。
そして、その重厚な革張りの表紙をめくる。
その下には、ずらりとならんだ目次。
…すご。全部で45個も項目がある…。
その中に、目を引くものがあった。

『複数での行為』

…あ、そっか。いいこと思いついた。
ルイズさんも、一緒にすればいいんじゃないかな。
そうした方が、サイトも悦ぶだろうし。
私はそう思って、その項目をまず読み進めた…。

646:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/03/06 19:30:38 YWbns4Wb
今日のところはここまで。
元ネタは某アレですよアレ。

しかし、どんどんアホの子になりつつあるな俺のテファ。もう原作カケラも残ってねえw
超原作レイパーですよね俺。

それじゃあ晩飯くってくゆ。ノシ

647:名無しさん@ピンキー
08/03/06 19:54:06 kMpjRiGN
せんたいさんGJ



なんか過去の自分を見てるようで痛いな
テファが

648:名無しさん@ピンキー
08/03/06 20:52:34 037n5hV8
gjgj
さすがせいたいさん

649:名無しさん@ピンキー
08/03/06 20:56:45 yL5YgKkN
ぐはぁっ
へんたいさんもっふるもっふる

>647
それは登場人物が全員思春期真っ只中だから仕方ないな。頭の中はいつだってピンク色だよ

650:名無しさん@ピンキー
08/03/06 21:03:55 aF52sNUD
>>647
なんか過去の自分を見てるようで痛いな
テファ(の体型)が

に見えた。疲れてるのかな。

651:名無しさん@ピンキー
08/03/06 21:18:40 whxrw0H+
>>642
け、け、けしからん!
実にけしからんですぞハアハア 
ルイズに邪魔されて横が見えないだけに裸エプロンというか金太郎の前掛けみたいだ

652:名無しさん@ピンキー
08/03/06 21:33:23 kMpjRiGN
>新金貨10枚
どうみても騙されてます


653:名無しさん@ピンキー
08/03/06 21:33:43 i53GItHZ
>>646
へんたいさんGJ!早急に続き希望です。。とゆー事でへんたいさんに燃料投下
つ URLリンク(yui.cynthia.bne.jp)

でも原作レイパーはへんたいさんじゃねぇwwアニメのが(ry へんたいさんに
アニメの監督をお願いしたいw無論、18禁でww

654:名無しさん@ピンキー
08/03/06 21:59:45 sEaymvf7
>>646
せんたいさん GJ! なんかどんどんテファが駄目な人にww
まあ、せんたいさんのSSの登場人物は殆ど駄目な人ばかりだがww
>>649の指摘の通り10代はやりたい盛りだからしょうがないのかな

655:名無しさん@ピンキー
08/03/06 22:02:47 5y5S+mlv
よーし、胸に脂肪がつきすぎた不健康児は高洲クリニックがどんどん吸引してあげるからね

656:名無しさん@ピンキー
08/03/06 22:14:47 ba+oE/Cn
高洲クリニック社長の友達の友達はひろゆき

657:名無しさん@ピンキー
08/03/06 22:23:34 fZ9BoLMN
>>484がツボだったから描いてしまったのを投下する。
罰点タイム一回目。

URLリンク(zerokan.digital-ark.com)

職人の皆様、いつもごちそうさまです。

658:名無しさん@ピンキー
08/03/06 23:17:01 4TkYq1tU
>657 サイトの剛直ぶりに吹いたw

659:名無しさん@ピンキー
08/03/06 23:32:47 kMpjRiGN
まぁ日本人のは外国のと比べて堅くはあるよな
食文化のせいで

660:名無しさん@ピンキー
08/03/06 23:46:50 9pQynXiu
硬いってのは聞いたことがあったが、食文化のせいってのは知らなかった。
どうゆうこと?

661:名無しさん@ピンキー
08/03/06 23:51:27 kMpjRiGN
肉じゃなくて魚とか食う民族なんだよ日本人は

662:名無しさん@ピンキー
08/03/07 00:20:39 LUQdvTGW
日本人のアレは膨張率が高いのと硬いとは良く聞くが
食文化のせいだったのか

663:名無しさん@ピンキー
08/03/07 02:12:09 Nl9t45jT
>>653
これ何の雑誌ですか?

ていうか二期があんな終わり方して三期どうすんだろう

664:名無しさん@ピンキー
08/03/07 08:03:34 V53PC8+Y
へんたいさんSSの現在のキャラの立場をまとめてみた

ルイズ:ご主人様(セックス狂い
シエスタ:メイド(あててます
タバサ:使い魔(アナル中毒
アンリエッタ:メス奴隷(露出狂
ティファニア:ペット(調教中

うん、見事なダメ人間の集団だ

665:名無しさん@ピンキー
08/03/07 09:34:20 P+hvhyl2
>>664
才人:愛の蜜蜂(精液タンク

666:名無しさん@ピンキー
08/03/07 17:41:12 B9bJ5zC8
>>664
欲求不満とは無縁な陣容だな

667:名無しさん@ピンキー
08/03/07 18:35:31 LUQdvTGW
>>664
こうして見るとせんたいさんが各キャラの性癖を書き分けてたのが分かるな
というか、国家の将来を担うべき人材と現在進行形で担っている人物が
そろいもそろって駄目人間ぞろいなのは拙いなww

668:名無しさん@ピンキー
08/03/07 18:44:46 1bjTXXEN
>>667
安心しろ。マザリーニ卿とアニエスが残っているwww
アニエスが陥落したらもうマザリーニしか居ないwww


669:名無しさん@ピンキー
08/03/07 18:55:17 7PKSH06T
アニエスさんもすぐにメロメロになるだろ
あの歳まで男とつき合ったことすらない(俺設定)んだから

670:名無しさん@ピンキー
08/03/07 19:18:13 MOYQgmhV
>>668
__________
    <○√
     ∥ 
     くく

うおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!
まだだ! まだトリステインは終わらんよッ!!


↑こんな感じでトリステインを一人で支え続ける枢機卿を想像して噴いたw

671:名無しさん@ピンキー
08/03/07 19:19:14 eH+olS+/
ヤル前にやることはやってるから大丈夫

672:名無しさん@ピンキー
08/03/07 19:45:19 V53PC8+Y
あれ?サイトにエロ修行したのってアニエスさんじゃなかったか?
あとへんたいさんのアニエスはコッパゲとよろしくやってるはずだが

673:名無しさん@ピンキー
08/03/07 22:50:45 jAt6jQam
つうかマザリンはどうして出身地でもないトリステインなんかで
首相代行みたいな苦労をしてるんだろう。

674:名無しさん@ピンキー
08/03/07 23:00:43 uSGjXkXj
ロマリアでの権力闘争に嫌気が差したんじゃね?

675:名無しさん@ピンキー
08/03/07 23:06:32 3I5p+6+A
史実みたいに皇后とデキてるとか・・・

676:名無しさん@ピンキー
08/03/08 01:50:28 QbFTBGPl
このレスを見たあなたは確実に交通事故に会います

逃れる方法はただ一つ
↓このスレに行き
スレリンク(wcomic板)


ゆかりんがいちばんすごくてかわいい


と書き込んでください。書き込まなければ確実に明日交通事故にあいますよ


677:名無しさん@ピンキー
08/03/08 04:26:11 x9+gZTIV
あれ?
マザリーニってトリステイン出身じゃなかったっけ?

678:名無しさん@ピンキー
08/03/08 04:30:59 BKVNsxIE
>>677
ロマリアの次期法王の座を蹴っ飛ばしてここにいるのですよ。

679:名無しさん@ピンキー
08/03/08 05:01:29 x9+gZTIV
教皇の座を蹴って、政治的に危うい母国トリステインの窮状を救うべく宰相してるのかと思った。
現実のローマ法王もイタリア人が多いとは言え、少なからぬ他国人が即位している訳だし、
ロマリアとマザリーニの場合もそうだとばかり思い込んでたよ。
どこかで毒されたかな?

680:名無しさん@ピンキー
08/03/08 06:47:53 79+/lX6R
案外、マザリーニは教皇が嫌いというか理由のわからぬ嫌悪感を抱いてると
予想してる。まぁデルフが気に食わない奴って伏線たててるくらいだから
才人も反教皇になるだろうし。

つーかここエロパロだよな?w

681:名無しさん@ピンキー
08/03/08 08:32:56 WHNTv4T5
デルフが気に食わないといっていたのは初代。

マザリーニがアンリエッタやその母に純愛を抱いているとかだと、
スレ的にもアリでは?
マザリーニの妄想内の話とか出来そうだよね。

682:名無しさん@ピンキー
08/03/08 09:26:08 cyKzR0fr
マザリーニを弄るなら
ボルボ氏並みに話を練り上げないと、駄作になりそうだなw

あの人、政治背景とか、駆け引きとかうまくかけてるほうだと思うからw

683:名無しさん@ピンキー
08/03/08 12:38:50 MDlUBW19
枢機卿は前国王と……うわぁなにするやm

684:名無しさん@ピンキー
08/03/08 19:30:14 5rNV+vSD
保管庫の人気ページ見て吹いた

お前らほんとにへんたい好きだな

685:名無しさん@ピンキー
08/03/08 19:45:10 /dMe3Mmv
>>684
他の追随を許してないもんな。
作者別のページよりもカウンター回ってる日すらあるから、
多分へんたいさんのページを直接ブックマークに登録してる人が多いんだろう。
なんにしても凄いことだ。へんたいさんは偉大。

686:陥落のエレオノール
08/03/08 23:58:37 sNm5mLZq
今宵も二つの月が昇る夜、ベッドの上で二人の男女が体を交わらせていた。

「ん…ジュル、チュ」
「い、いいよ。エレオノール、そろそろっ!!」

すっと才人は自身の肉棒に吸い付くエレオノールの顔を掴み引き離し溜まった物を吐き出し、その高慢
な顔を白濁の液で汚していった。

「きゃぁっ………、もう、外に出さなくても飲んであげたのに」

当のエレオノールはというとなんら嫌悪感も出すことなく、逆に顔にかかった精液を指でとっては口に
運んでいく。

「それよりさ、そろそろ欲しいんじゃないの?」
「…はい、もう体が熱くて………」
「そっか、じゃあ今日はさ。エレオノールから入れてみてくれよ」

才人は未だ衰えを見せない自分の肉棒を片手で摘み、軽く揺らしてエレオノールを促す。
エレオノールは才人の言葉に頷くとすっと膝立ちになり、自分から才人の肉棒を受けに行くが…

「あ、待った。後ろ向いてからやってくれ」
「後ろ?ん、もういいけど……」
「俺も姿勢起すからちょっと辛いと思うけど腰浮かしてくれよ。」

才人は上半身を起して、エレオノールを後ろから抱きしめた。

「欲しがっているやつは支えておくから、エレオノールはそのイヤらしくひくひくさせてるの自分で広
 げて入れて」
「ん……」

エレオノールは才人の言われるまま腰を浮かしたまま、愛液で溢れている秘肉を両手で広げた。

「ん、いいよ。あ、前向いたまま入れてくれない?」
「前?それじゃあ、私は見え………これは!」

前を向いたエレオノールの目の前には才人の上に跨り、自分から脚を広げて彼を受け入れようとする
淫らな自分がいた。鏡だ、衣装鏡に自分の姿が写っているのだ。

「ちょ、ちょっと、サイト君!?」
「それで見ながら、入れてみてよ」
「で、でも…、これは………」
「今更恥ずかしがる必要ないじゃん、いつも俺に抱かれてる時はそんな顔してるんだから」

ニヤニヤとした笑いを浮かべて才人は早くエレオノールにするよう促した。
エレオノールも諦めた様子で言われるがままにする事にした。

「うを、すげぇ。エレオノールの俺のを飲み込んでいってるみたいだ」
「は、恥ずかしいから言わないで」

ズプズプとエレオノールの秘肉は才人の肉棒を飲み込んでいく。やがて、全部飲み込むと今度はゆっ
くりと上下にしごき始める。

「こうやって、男の上に跨って腰振ってるとこ同僚の人たちに見せたらなんていうのかな」
「う、んん…、そんな……やぁっ」

才人は腰に回していた手を胸の方にスライドさせてエレオノールの薄い胸とツンと自己主張している乳
首を責めていき、自身もまた腰を使い責めていく。

687:陥落のエレオノール
08/03/08 23:59:36 sNm5mLZq
「(こ、これが、私の姿…)」

才人に跨り快楽を貪る浅ましい自分の姿を鏡越しに見て、エレオノールは戸惑っていた。普段の凛とし
た自分とはかけ離れた、緊張感のかけらもない顔をむざむざと見せ付けられた為だ。

「ン、ン、ン、ン!」
「ほら、そろそろいくぞ!」
「あぁ、クッ、も、もうイクッ!」

才人の動きが一層激しくなり、ひと際強く突き上げた時に才人の肉棒から二度目の精液が吐き出された。
エレオノールは膣中に射精されたのを感じると、目元を快楽に歪ませた。

「はぁぁっ……出てる!!ビュクビュクって……」

子宮が精液に満たされてく満足感を感じながら、エレオノールは意識を手放していった。

「(うん、もうそろそろいいかな)」

しばらくして、覚醒する事なくそのまま睡眠へとシフトしたのかスースーと寝息を立てて横で寝息を立
てるエレオノールの頭を軽く撫でて才人は考え事をしていた。
エレオノールの純潔を奪ったあの日以来、機会を見ては才人は彼女の部屋に押しかけにいった。エレオ
ノールも最初は抵抗の意志を見せるも、最初の夜に性行為の快楽を叩き込まれたためか才人に丸め込ま
れ、結局は思うがままに弄ばれていった。しまいには、自分からも誘うようになりいまやエレオノール
は才人の愛人の一人に成り果てていた。こうして見ると、ただの不倫に見える関係であるがこれには才
人以外の第三者の思惑も実は絡んでいたりしていた。才人はベッドから起き上がると、つかつかとドア
方に歩み寄りコンコンと内側をノックして何者かに合図をした。

「エレオノールさん、起きて、起きてくださいよ」
「う、うぅん、あら、いつのまに私ったら寝て…ちょっと、これは…何?」

才人にエレオノールは起されると、何かの違和感に気づき声を荒げた。視界は暗く、両手が思うように
動かせない。どうやら目隠しをされ、両手を縛られているようだ。

「心配しないでくださいよ、これはちょっとした余興ですから。」
「んんんっ!!」

才人は正上位エレオノールを再び貫き、対面座位の体勢に持っていく。

「よ、余興って……あんっ、そこは…!」

そのまま、才人の手は尻に伸びエレオノールの菊座を弄り始める。

「ここだって、気持ちよくなれるんですよ」
「ダメ、そこは汚…くぅっ」

ゆっくりとであるが人差し指がズブズブと穴に埋まり始める。エレオノールは慣れぬ感触に思わず腹か
ら声を出した。

「ふっ、くぅ…、さ、サイト君。そこは……フウッ」

丸々一本が埋まったところでゆっくりと中を掻き回すように動かす。指が動くと同時に肉棒をくわえ込
んでいる膣もまた、きゅうっと肉棒を絞めつけた。

688:陥落のエレオノール
08/03/09 00:00:03 sNm5mLZq
「くぅっ、指動かす度にこっちも絞めつけてきてたまんねぇ…」
「や、あ、あ、あぁ………」

今度はゆっくりと指を抜いていく、腸を引っ張り出される様な妙な感触にエレオノールはあられもない
声を出す。にゅぽんと人差し指が完全に抜かれるとエレオノールは体を振るわせた。

「あら、あら。初めてなのにもう軽くイっちゃたんだ」
「はぁー…、はぁー…お尻の穴なんて…汚いのに…」
「今度は、指より大きいの入るからちょっと我慢してよ」
「へ?な、何?ん、ああああああ」

体を才人によって彼ごと前に倒され、尻肉を広げられると不意に背後に何者かの気配を感じた。
そして才人ではない第三者の手に腰を掴まれると菊門に何か冷たくて大きいモノが挿入されていった。

「あ、あああ、あっ」

急な大きい異物が肛門に挿入された事でエレオノールは大口を開けて大きく息を吐くように声をあげた。
ゆっくりと、しかし徐々にその異物はエレオノールの不浄の穴を犯してゆく。異物が最後まで埋まると
エレオノールは切れぎれながらもゆっくりと呼吸をする。

「すー…はぁー…すー…はぁー…ひゃうっ」

今度は背中に何か冷たい液体がたらされ、それは才人ではなくエレオノールの菊を犯しているものによ
って背中だけでなく首や胸など全身に摺りこまれていった。

「んっ、んん、サ、サイト…これは一体!!」
「あまり怒らないで下さいよ、あなたの良く知る人ですから。心配しなくてもいいですよっと」
「あぁっ!」

思わぬ仕打ちに怒りの声をあげるも、才人の腰が突き上げられそれは空しく掻き消されてしまう。

「(な、なんなの!?な、なんだか体が熱く………)」
「おお、どうやら馴染んできたようだな。そろそろいいぞ」
「ひゃぐっ!!」

後ろのモノが急に動いたが為、エレオノールはあられもない言葉をあげた。

「あぐっ、そんな…大きいの、お尻じゃ…無理!!」
「そんな事言って、あそこはきゅうきゅう締め付けて声もだいぶ甘くなってきてますよ」
「そ、そんな事、ない!」

尻を責められ感じている事を否定するも、実際は才人の指摘どおり感じていた。

「(な、何。お尻を…汚いところを責められてるのに感じるなんて)」
「ああああ!!」

後ろと前の穴を同時に攻められ、エレオノールは嬉声をあげ絶頂へと達した。

「くっっ!!すっげぇ…!!二回出してなきゃ、搾り取られるところだ」
「あ、あぁ…(そんな…お尻でイッちゃうなんて…)」

エレオノールの目からは涙が溢れ目隠しの布が涙で滲んだ。

689:陥落のエレオノール
08/03/09 00:00:36 TKfbphKX
「あらあら、お姉さま。お尻、初めての癖にイッちゃったんですか?」
「そ、その声は…ルイズ!!」

背後から声をかけられ、エレオノールは自分の後ろを犯している相手の正体を知った。

「る、ルイズ。何故あなたがここに」
「何故?それは私の方が聞きたいですわ。どうして、この馬鹿犬に抱かれているのですか?」
「そ、それは………」
「どうせ、この馬鹿犬がなにかいつもの変な気を起したんでしょうけど。実の妹の夫を寝取るのは
 どうかと思いますよ?」
「は、ぅ……それは……」

ルイズはエレオノールを責めながら再び腰を動かし、後ろを攻め始めた。

「まぁ、でもこうなってしまったんですよね。もう仕方ありませんよね、許してあげます。」
「えっ………」
「才人、かっこいいですもんね、優しいし。一度でも抱かれてしまったら誰だって惚れちゃいますも
 んね。」

このままルイズに非難されてしまうかと思われたエレオノールだったが、その続きの言葉は以外な物だった。

「だから、同じ才人を好きなった女として許してあげます。だけど、勝手に手をだしたのは事実ですか
 ら後ろの処女で許してあげる事にしました。」

そう言い終わるとルイズは腰の動きを早めた。

「ひゃ、ル、ルイ……あふぅっ!」

ルイズが動き始めるのと同時に才人も腰を動かし始める、二点を同時に責められエレオノールの意識は
一気に白み始める。

「は、はひぃっ!!そ、んな、二ついっぺんなんて、こ、壊れ!!」
「ほら、イッて下さいよ。お姉さまの淫乱な姿見せてくださいよ!」
「わ、私は、い、淫乱なんかじゃンンッ!!」

才人は腰をうごかすだけじゃなく乳首を抓り、舌で転がし胸を責め始めた。

「ン!ン!ン!ン!」
「もう、我慢しないで、イッテ下さい!お姉さま!」
「ア!も、もうダメッ!イク!イックゥゥゥ~~ッ!!」

エレオノールの体が大きくビクンと跳ね、尻の穴がキュッとすぼまる。才人の精液が三度放たれ、エレオ
ノールは絶叫した。

「や、やりすぎちまったかな」

ルイズと才人、二人の結合から解かれたエレオノールはそのまま脱力したままベッドに崩れ落ちた。目
は焦点が合わず、肩で息をし、口から涎を垂らしあそこからはだらしなく精液が零れ落ちる。その姿に
清楚で気難しそうな外見は感じられなかった。

「そりゃあ、ちょっと媚薬で感度あげたせいもあるからかもしれないけど。初めて二つ同時に責められ
 たんですもの、最初はこんな感じじゃないかしら。」

姉のだらしない姿を見てルイズは冷静に分析する。

「でも、これでお姉さまも私達の一員ね。」
「ああ、そうだな。」

690:陥落のエレオノール
08/03/09 00:01:21 TKfbphKX
ルイズは無邪気な笑顔を浮かべた、そうエレオノールを才人の愛人にさせるように仕向けたのは彼女なのだ。
元々、ルイズは嫉妬深い。普段であるなら才人が他の女性と不倫関係になるというものならそれこそ烈
火のごとく怒り、才人に鞭と体を奮うはずなのであるが。この才人という男、ルイズの予想越えた男だった。
なにせ、お互いの想いが通じ合い処女と童貞を奪い合った後でも才人は他の女に手を出していた。
まぁ、シエスタとは『私が正妻、あんたは妾』協定を結んでいたのでシエスタとの関係はノーカウント
なのだが、さすがにタバサやアンリエッタ女王達の関係については別問題である。確かに彼女達が才人
に惹かれ恋をしている事は同じ女として知ってはいたのだが、人の恋人に手を出す事まで許すルイズで
はない。しかし、そんなルイズの思惑は別として才人は彼女達と肉体関係をもってしまった。これには
才人自らの意志ではなく半ば逆レイプ的な状況でそうなってしまったのだが、結局は不倫関係である。
この問題にルイズは頭を悩ませた、そこでしばらく考えをめぐらせたところ一つ名案を思いついた。
『そうだ、どうせならば彼女達も妾として扱おう』と、ルイズも才人に大分毒されていたようだった。
しかし、この考え。意外や意外に受け入れられ以後、なんの軋轢もなく逆に以前よりも彼女達と親しく
なった。ちなみに、タバサなんかはそれでも引かず抵抗したのではあるが、そういう輩については才人
やシエスタと共に強制的に合意に持っていった。
「可愛いわ、タバサ」
「シャルロットと呼んで……ルイズ……」(頬を赤らめながら)
和解した瞬間であった、そして一つの戦いを終えたルイズは一つの疑問を感じた。
他にも才人の事が好きだったり、才人が気にかけている人いたらどうしようと、才人が他の女に手を出
すのは嫌だが、自分もその娘と楽しめるなら認めようというある意味大人の考えに至ったルイズは今度
は自分から手を出しにいくようになった。自分から身を引いていったティファニア、自分と才人との生
活を羨望の眼差しでみていた敬愛する姉カトレア、実は奥手だったシエスタの従姉妹だったジェシカ等。
気づけば才人とルイズの周辺はハルキゲニア諸国の有力者と平民に固められていった、唯一その関係者
のいないゲルマニアとロマリアが危ない。
ともかくそういった思考のルイズの次のターゲットがエレオノールだったのである、自分から蜘蛛の巣
に引っかかりに来たのは想定外だったが、それはむしろ好都合。計画は実行され、現在に至った。

691:陥落のエレオノール
08/03/09 00:01:46 sNm5mLZq
「これで気兼ねなく家にいれるわね」
「エレオノールさん、行き遅れてるのきにしてたもんなぁ」

なお、両親にもきちんとネマワシして許可をもらっているとこが恐ろしいところである。

「それより、サイト……」

ふと、ルイズが甘い声を出し才人にしなだれかかる。


「お姉さまに使った媚薬ね、実は私も使っちゃったんだ………」

ぼとりとグラモン印の入ったエレオノールを犯していた張り型がルイズの陰部から糸を立てて落ちた。

「はい、はい。本妻もきちんと可愛がってあげなきゃなぁ」
「サァイトォ(はぁと)」

「(ん……、そういえば私は……、ルイズに……)」

ぼんやりとしていた意識が徐々に回復していき、エレオノールは目を覚ました。

「(あ、あれは……)」

目の前には才人に突かれあえぎ声を漏らすルイズがいた。思わずルイズと目が合う。

「(さぁ、お姉さまも一緒に……)」

淫靡な顔を浮かべルイズは姉に誘いかける。

「(わ、私は………)」

エレオノールは力の入らない体をなんとか動かし、ルイズの元に近寄り

「ん……」
「はぅ…、ん……」

唇を重ねた。

692:アトピック ◆xsDbUITz4M
08/03/09 00:05:14 sNm5mLZq
エレオノールな話の続編です、書いてる途中気づいたけどエレオノールさんの
あえぎ声ってああ女神様のベルダンディなんよな…。
それよりルイズが予想外の方向に向いてしまった、いいんだろうかこれで。
では、機会ができましたらまた。

693:名無しさん@ピンキー
08/03/09 00:06:01 Jr2dubQR
なんてけしからんハーレムだ!

GJ

694:名無しさん@ピンキー
08/03/09 00:10:49 vzVEfa0V
カトレアさんもう陥落済だったのかw
そもそもエロ行為にあの人の体が耐えられるのかは疑問でありますが
なにはともあれGJっす。

695:名無しさん@ピンキー
08/03/09 00:14:56 Ky4HhW3+
けしくりからん。なんてけしくりからん

696:名無しさん@ピンキー
08/03/09 00:26:11 cKuqIanU
>>692
逆レイプってww その逆レイプの模様を機会があったぜひ!
サイトは果報者だなww  GJ!
>>694
エロSSでそういう無粋な突っ込みは入れるなww

697:名無しさん@ピンキー
08/03/09 00:45:40 HTwZLD8B
サイトの精液に、カトレアさんの難病を予防する成分があるのです。

これは、カトレアさんを助けるためのやむを得ん処置なのですよ。

その証拠にホラ、サイトに抱かれた翌日のカトレアさんの顔色のツヤツヤしたこと……。

でいいじゃないの。

698:名無しさん@ピンキー
08/03/09 01:15:18 /Vr6ntT0
つまりサイトとSEXする度に活力を得ると。
どっかであったわね・・・・

699:名無しさん@ピンキー
08/03/09 01:45:27 9xtIwqJL
>>698

つ URLリンク(zerokan.digital-ark.com)


700:名無しさん@ピンキー
08/03/09 05:07:48 PCKiNbll
友達とカラオケに来てるのにこのスレ見てる俺って…
全ての職人と読み手にGJ!!

701:名無しさん@ピンキー
08/03/09 07:49:12 OwrYr51j
>>697
それ、どこかのSSの設定で見たぞw

702:名無しさん@ピンキー
08/03/09 08:49:15 tXR0dxt8
マザリーニ女体化でロリババアになって、サイト一直線のダメ人間になって、トリステインが崩壊するSSが見たいです。

703:名無しさん@ピンキー
08/03/09 14:02:03 AmH+cAPm
>>702
想像するだけで吐く

704:アニエスに生えてきた
08/03/09 15:31:15 HFwuXCIu
ハルケギニアに朝が来た
イェイ イェイ イェイ イェイ イェイ

「うーん」
銃士隊隊長アニエスは眼を覚ますとベッドの中で伸びをした。
トリステイン銃士隊の朝は早い。
朝日が昇る前にその一日は始まっている。
アニエスは寝起きが悪い方ではなかったが、
それでも常に遅寝早起きを続けるというのは中々に大変な事だ。

(さて、今日の予定は………あれ?)
アニエスは体の下の方に妙な違和感があるのに気づいた。
一気に目が覚めたアニエスは素早くベッドから身を起こす。
(まさか…)
下半身を覗き込んだアニエスは、硬直した。
(なんだ、この妙なふくらみは??)


705:アニエスに生えてきた
08/03/09 15:32:19 HFwuXCIu
アニエスはおそるおそる、だが勇気を持ってそのふくらみを観察した。
…どうやら彼女の体と繋がっているらしい。
(まさか)
どうも嫌な予感がする。だが、毛布の上からでは実体は見えない。
アニエスはなぜか周りをきょろきょろと見回した。
(誰も見てない、誰も見てない)
それでもいきなりそれとご対面するのは、何故かはばかられた。
そうだ、触って確かめればいい。
アニエスはそっと毛布の中に手を差し込むと、ゆっくりと手を伸ばした。
ごそごそ、ごそごそ。
狭い毛布の中である。ゆっくりと進んでいった手は、すぐに目標の至近まで到達した。
と、アニエスの手はそこで硬直する。
(触りたくない…)
できるなら触りたくない。でも確かめない訳にはいかない。
思い切って毛布を跳ね上げて…いや、それはもっと気が進まない。
速断実行を旨とするアニエスが、珍しくためらった。

706:アニエスに生えてきた
08/03/09 15:33:53 HFwuXCIu
いっそこのまま…いや、駄目だ。
もうすぐ朝の日課が始まる。
トリステイン銃士隊隊長たる者が、さしたる理由もなく勤務をサボるわけには…
(今日は仮病でも使ってサボってしまおうか)
動揺のあまり、そんなことまで考えてしまうアニエス。
いいえ、例え何があろうとも、このアニエスはトリステイン銃士隊隊長。
女王アンリエッタの信頼厚い、誇り高き銃士達の束ねなのだ。
自分の身に何が起きているか。目を背けてなんとする!
そう心の中で自分を叱咤するアニエス。
(もしかして、ただの布か何かだったりするかも知れないし。いや、きっとそうだ!)
深呼吸をすると、アニエスは思い切って手を伸ばした。

ぐにゅ

アニエスの希望的観測は見事に裏切られ、右手に確かな感覚が伝わった。
同時に、下半身の大事なところにも、しっかりと。

うぎゃああああああああああーーーーーーー!
アニエスの悲鳴が銃士隊の宿舎に響き渡った。

707:アニエスに生えてきた
08/03/09 15:35:24 HFwuXCIu
「隊長!」
廊下に駆け足の音が響いた。
「アニエス隊長!」
宿直の銃士が駆けつけてきて、扉越しに声をかけてきた。
(まずい!今の姿を見られるわけにはいかない!)
アニエスはもう一度深呼吸をして、できるだけ落ち着いた声を出そうとした。
「大丈夫だ。何でもない」
「そうですか?しかし、先ほど大きな声がしましたが?」
「あれは、その、何だ、出たんだよ」
「出た?」
「その、何だ。君だっているだろう?見ただけで悲鳴が出そうになる奴が」
「はあ…、ですが、しかし…」
「なんだ、私がそういうのを持っていてはいかんのか?」
「隊長がそういうの苦手されているとは、思いませんでした」
「むろん、任務の時は別だからな。幾らでも平気であしらえる。
 だけど、寝起きでいきなり出てこられたら、君だって驚くだろう」
「そう言われれば、そうですね」
「そうだ。だからもう大丈夫。落ち着いた。もう戻っていいぞ」
「はい」
「そうだ。ちょっと頭が痛い。すまないが、朝の日課は欠席すると
伝えておいてくれないか」
「了解しました」
宿直の銃士が戻っていくと、アニエスはほっとため息をついた。
とりあえずは見られずに済んだ。ついでに時間稼ぎもできた。
アニエスは下半身に眼を戻した。

708:アニエスに生えてきた
08/03/09 15:36:43 HFwuXCIu
間違いない。
生えてきた。
あれが。


…初めて見るものでは、ない。
アニエスは銃士隊隊長になるまでに、この年代の女性にしては多すぎるほどの、
経験を積んできている。
そう、あれを間近でまざまざと見ることだって、あったのだ。
(あのときは、必死だった…)
絡み合う肉体。息を荒げ、互いが互いの体をまさぐり、何とかして
相手の急所を探りあて、責め上げようと試みた。
それも、一度ではない。
(今さら驚くようなものではない、か…)
アニエスは自嘲するように呟いた。
いや、そんな経験。それらを含めて、今のアニエスがあるのだ。

さあ、頭を上げよ、トリステイン銃士隊隊長、アニエス・シュヴァリエ・ド・ミラン!
毛布を跳ね上げると、アニエスはすっくとベッドから降り立ち、姿見に眼をやった。

凝視。凝視。凝視。

(…やっぱり、見るとの生えてくるのは違う…)
アニエスはくじけそうになった。
どうして、こんなものが、私に生えてきたのだろう?

アニエスのお尻には、可愛らしいしっぽが生えていた。


709:名無しさん@ピンキー
08/03/09 15:53:01 JkOmLseD
あれ?チンコじゃないの

710:名無しさん@ピンキー
08/03/09 16:18:30 PgoCT0Q1
しっぽかよwwwwwwwwwwww

711:名無しさん@ピンキー
08/03/09 16:26:37 OuT+yYpk
ワロタ

712:名無しさん@ピンキー
08/03/09 16:46:45 4Adjmb7k
保管庫にはどう行けばいいんだ?
>>1を見てもAASとかしか無いし…
誘導お願いします

713:名無しさん@ピンキー
08/03/09 16:52:04 Ky4HhW3+
>>712
>>1のリンク先にも移転先が書かれてるが・・・
URLリンク(zerokan.digital-ark.com)

714:名無しさん@ピンキー
08/03/09 16:52:10 X7KXAF5p
ちょっと上のログも読めないなら諦めた方が良いと思うよ


皆はしっぽが生えている事に惑わされているかもしれないが…
実は耳もあるんじゃね?

715:名無しさん@ピンキー
08/03/09 16:57:43 4Adjmb7k
>>713
サンクスギビング
ペンシルロケット置いていきますね

716:名無しさん@ピンキー
08/03/09 17:57:49 hCDp3lVx
数日後…

訓練場には、立派な猫耳を生やし剣を降るアニエスの元気な姿が!

717:名無しさん@ピンキー
08/03/09 18:09:10 PgoCT0Q1
猫耳・しっぽあるならヒゲもあるんじゃね、極めつけは猫手(肉球)

718:名無しさん@ピンキー
08/03/09 18:13:16 jRgBGF/X
その上でサイトににゃんにゃんされるわけだな

719:名無しさん@ピンキー
08/03/09 18:16:54 B+x7YDVt
目の前に転がされたボールに飛びついてしまったり
目の前で振られる猫じゃらしにとびついてしまったりするわけだな

720:名無しさん@ピンキー
08/03/09 18:31:57 JkOmLseD
>絡み合う肉体。息を荒げ、互いが互いの体をまさぐり、何とかして
>相手の急所を探りあて、責め上げようと試みた

ヌコ相手に何やってんだ

721:名無しさん@ピンキー
08/03/09 20:24:03 PgoCT0Q1
勝手に猫としてるけど何のしっぽかは書いてないし
他の動物と戦ってたんじゃないの?マンティコアとかさ(しっぽの有無はシラネ)

722:名無しさん@ピンキー
08/03/09 20:41:22 hCDp3lVx
そうだな
個人的には猫耳より狐耳がいいな

723:名無しさん@ピンキー
08/03/09 20:53:09 Jr2dubQR
そうそう。
犬かもしれないしボーパルバニーかもしれないじゃないか。

724:名無しさん@ピンキー
08/03/09 21:03:14 jf1TvHT1
突っ込みが凄そうだけど。

ルイズ=猫
シエスタ=牛
タバサ=狸
テファ=兎
アン様=犬
キュルケ=狐
アニエス=狼

サイト=馬
竜=アホ

モンモンの薬もアップを始めたようです。

725:名無しさん@ピンキー
08/03/09 21:37:56 wOlDYEHf
流れを切って悪いが
俺のID侯爵っぽくね?
という事で記念真紀子

726:名無しさん@ピンキー
08/03/09 21:57:22 qiLNLKnN
記念に片腕切り落としてあげますね

727:名無しさん@ピンキー
08/03/09 22:03:37 sM1hXEUR
>>724
せんせー!
竜がアホは違うと思います!w
いや、アホの子なんだけどさwww

728:名無しさん@ピンキー
08/03/09 22:27:46 Jr2dubQR
じゃあ馬と鹿のハイブリッドでw

729:205
08/03/09 22:27:50 Pi1RQtxy
短編書いてたら半分ぐらい書いたところで100kb超えました。
どう見てもこのスレだけでは収まりません。
とりあえず区切りのいいところまでは書けたので、
この辺で一度投下しようと思うんですが、今現在次スレ立てられる方はいらっしゃいますか?

730:名無しさん@ピンキー
08/03/09 22:40:42 HeyA3ikE
スレ立て試してみます。

731:名無しさん@ピンキー
08/03/09 22:44:54 PgoCT0Q1
半分で100kbって・・・次スレの半分近くが消費されるのかw

732:名無しさん@ピンキー
08/03/09 22:46:28 OuT+yYpk
だいたい30レスくらいになるな

733:名無しさん@ピンキー
08/03/09 22:46:52 V6MeeEoo
それもう短編じゃねーw

734:名無しさん@ピンキー
08/03/09 22:48:26 HeyA3ikE
新スレ立ちました。
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合29
スレリンク(eroparo板)

735:205
08/03/09 22:53:09 Pi1RQtxy
>>733
ですよねーw

>>734
thxッス!
とりあえず途中まではこっちに投下した方がよさげですね、中途半端に残ったままだとまずいでしょうし。
ってなわけで投下します。

いつも通りのエロなし萌えなしに加えて、
オリキャラ多数にケティメイン、才人もルイズもほとんど登場しない上に描写がくどくて長ったらしいという、
凄まじい地雷臭の漂うSSです。だが投下することにためらいはない!
危険な香りを感じた方は読まずにスルーしてくださるようお願いします。

736:Funny Bunny
08/03/09 22:54:56 Pi1RQtxy
 椅子を蹴る音が、部屋の中に大きく響き渡る。
「ちょっと、それ、どういう意味ですの!?」
 ケティは丸テーブルに手を突きながら叫んだ。テーブルの周辺に椅子を置いて座ってい
る友人たちが、それぞれに声を返してくる。
「落ち着いて、ケティ」
 か細い声でぼそりと呟きながら、正面に座ったアメリィが静かに紅茶を啜る。
「そうそう。騒ぐほどのことじゃないって」
 コルク栓つきの試験管を右手で絶え間なく振り続けながら、右に座ったコゼットが気難
しげに顔をしかめる。かさかさした左手が収まりの悪い赤毛を掻くと、ぱらぱらとフケが
落ちた。
「怒ると将来皺が増えちゃいますよー?」
 小さなやすりで丁寧に爪の形を整えながら、左に座ったエリアが笑って小首を傾げる。
 彼女らが魔法学院の二年生に進級して、まだ三ヶ月も経っていない、ある休日の昼下が
り。昼食を食べたあとの決まりごとのようになっている、ティータイム中のことである。
 三人の友人たちを順繰りに見回しながら、ケティは声を震わせた。
「皆さん、一体何を考えてらっしゃるの」
 腰に両手を当てて、怒鳴る。
「サイト様を追いかけるのは、もう止めるだなんて!」
「悪いとは思うけどさ」
 コゼットは椅子の上で胡坐をかきながら、右手に持った試験管を揺らしながら、食い入
るように見つめている。
「ちょっと、こっちの方が忙しくなってきてて」
「こっちの方って、その試験管ですか?」
「そ。新しい薬。思ったよりも時間がかかるみたいで、これずっと振ってなきゃいけない
んだよ。あたしの予想だと、調合が終われば液の色が赤くなるはずなんだけどなー」
 説明している間も、コゼットはずっと試験管を振り続けていた。ガラスの向こうで青い
液体が踊っている。ケティは顔をしかめた。
「どうしてそんな面倒な薬を調合なさってるんです?」
「理想の栄養剤を作ろうと思って、いろいろ試してるんだよ。多分、この製法で調合した
薬が一番効果高くなると思うんだよね。今までの経験からして」
「薬好きもここまで来ると立派ですねえ」
 無邪気に感心するエリアの隣で、アメリィが少し俯きつつ、ぼそりと呟く。
「でも、お風呂ぐらいは入ったほうがいいと思う」
「仕方ねーじゃん、これ放っておいたらどうなるか分かんないしさ」
 彼女が無遠慮に赤い髪を掻き回すと、盛大にフケが飛び散った。アメリィがかすかに顔
をしかめて、さり気なく椅子ごと遠ざかる。後で必ず床を掃除しよう、と固く誓うケティ
の前で、コゼットは大口を開けて欠伸をした。
「もう三日も振り続けなんだけどねー。そろそろ出来上がってもいい頃だよなー?」
「三日ですって!? まさか、その間一睡もしてないんですの?」
 ケティが叫ぶと、コゼットは「そうだよー」とのんびり返事をしながら、左手で目を擦
る。よく見ると、目の周りには深いくまが出来ていた。
「コゼット、あなた、そんなことしていたらその内倒れますわよ?」
「大丈夫だよ。昔、薬の材料になる虫採取しに行ったとき、五日間ぐらい起きっぱなし
だったことあるし。胃袋が空っぽなら割と眠くならないもんだよ?」
「まさか、食事も取っていないんですの?」
「水は飲んでるから大丈夫だよ」
「その理屈が分かりませんわ」
 溜息をつくケティの前で、コゼットは顔に疲労の色を滲ませながら、それでも気楽に
笑っている。
「心配すんなって、これが完成したらちゃんと寝るからさ。きっともうちょいだ、もう
ちょい」
「コゼっちは相変わらずワイルドですわー。とても貴族の娘とは思えないガサツぶりです」
 柔らかい銀髪に指を絡ませながら、エリアが小さく首を傾げる。その隣で、アメリィが
俯き加減のまま少し頭を傾けた。長い前髪で目元が隠れているからはっきりとは分からな
いが、多分コゼットの顔を見ているのだろう。

737:Funny Bunny
08/03/09 22:55:38 Pi1RQtxy
「ちゃんと眠らないと肌が荒れるわ」
「そんなんどうでもいいよ、あたしの肌がきれいになろうが荒れようが、気にする奴なん
ていねーって」
 素っ気なく返すコゼットに、アメリィはぼそぼそと小さな声で言い募る。
「ううん。コゼットは、ちゃんとお洒落すれば綺麗になる」
「ですよねー。仕草が粗暴なのはともかく顔立ちは悪くありませんもの、コゼっちは」
 エリアは細い顎に白い指を当てて、悪戯っぽく微笑んだ。
「なんだったらわたしがお化粧して差し上げましょうか? いつもお薬いただいているお
礼も兼ねて」
「いらないよそんなの。どうせ森行って薬の材料採取してれば落ちちゃうしさ」
 胡坐をかいた膝の上で頬杖をつきながら、コゼットは相変わらず試験管を振り続けている。
「化粧だったらアメリィにしてやんなよ。実は可愛いんだから」
「わたしはいい。ブスだから」
 両手で包むようにティーカップを握りながら、アメリィが恥じ入るように肩をすぼめる。
長く黒い前髪が顔にかかって、表情が見えなくなった。
「アメりんったら、ネガティヴ思考はダメですよー」
 立ち上がったエリアがアメリィの背後に回りこみ、長い前髪を思い切りかき上げる。い
つも泣いているように潤んでいる黒い瞳が露わになった。アメリィの頬に赤みが差す。
「エリア、やめて」
「えー、でも、こんなに可愛いおめめなのに、隠したら勿体ないですよー」
「ちょっと、あなたたち」
 ケティは声を張り上げて、騒ぎ始めた友人たちを黙らせた。
「まだ、わたしの質問に答えてもらっていないんですけれど」
「あー、サイト様の追っかけを止める件ですかー?」
 間延びした口調で言いながら、エリアがちろっと舌を出す。
「ごめんなさいねー。わたし、ちょっとお友達が多くなりすぎちゃいましたので、サイト
様の追っかけに時間を割いている余裕がなくなってしまったんですよー」
「友だちって、あなた」
 妖精のように可愛らしい顔立ちの友人を見て、ケティは頬を引きつらせる。
「まさか、また増えたんですの?」
「あ」
 乱れた前髪を元に戻していたアメリィが、何かに気付いたように口を開ける。
「エリア、首の後ろにキスマークがついてる」
「あら、本当ですか?」
 さして動揺した風もなく、エリアがうなじの辺りの手を当てて苦笑いを浮かべた。
「いやだわ、ルイったら本当に独占欲が強いんだもの」
「ちょっと待て」
 この話題が始まってから、初めてコゼットが試験管から目を離した。咎めるようにエリ
アを見る。
「その名前、初めて聞いたぞ」
「あら?」
「ミシェルにパスカル、マクシム、ジャン、クロード……昨日まではこの五人だったはず
だよな?」
「あらら、よく覚えてますねー、コゼっちったら。見かけに反して頭がいいんですから」
「誤魔化すなっての」
 コゼットは試験管を振るのを再開しながら、深々と溜息をついた。
「ったく。あんたって奴は、放っておいたら何人でも相手作るんだから」
 ぼやきながら、左手で赤い髪をかき乱す。またも飛び散るフケの向こうから、少し吊り
がちな目がエリアを睨んだ。
「友だちとして一応言っておくけど、くれぐれも修羅場にならないように気をつけろよ」
「大丈夫ですよ」
 人形のように愛らしい顔でにっこりと笑いながら、エリアは得意げに人差し指を立てる。
「皆さん、自由奔放な方々ばかりですから。わたしが他に何人の男と遊んでいても、自分
の相手をしてくれるのなら別に気にしないって人たちばっかり選んでるんですよ、わたし」
「そういうのは自由じゃなくて、貞操観念が緩いとか適当すぎるとか言うんだよ、アホ」

738:Funny Bunny
08/03/09 22:56:58 Pi1RQtxy
「結構なことじゃありませんか。そのおかげで、わたしも危険なことなしに満足できるん
ですし。そんなわけで」
 エリアは小さな両手を一杯に広げて突き出し、コゼットに笑いかけた。
「避妊薬、くださいな」
「ほらよ」
 仏頂面のコゼットが、左手をスカートのポケットに突っ込んで、中に入っていた小瓶を
投げ渡す。危なげなくそれを受け取って、エリアが嬉しそうに微笑んだ。
「ありがとうございます。コゼっちの薬は市販のより信用できますからねえ。副作用もほ
とんどありませんし」
「おだてたって、あんたの生き方を褒めたりはしねえぞ」
「分かってますよ。お代は将来まとめてお支払いしますから」
「いらないって。あたしは単に、友だちが妊娠して学院を退学になる……なんてことにな
るのが嫌なだけなんだから」
「あら、それはよかった。わたしたちの熱い友情に感謝しましょう」
 邪気のない口調で言いつつ、エリアは再びケティの方に向き直った。
「とにかく、そういうわけですので、わたし、もうサイトさまの追っかけには参加できま
せん。ごめんなさいね、ケッちゃん」
 言葉では謝りつつも、あまり悪びれない軽い口調である。それでも、怒ったり文句を
言ったりする気にはなれなかった。癖のある柔らかい銀髪や、平均よりもだいぶ小さな背
丈、思わず触れたくなるほどに白く丸みのある頬などが作り出す、幼げで無邪気な雰囲気
を前にしては、とてもエリアを怒りの矛先にはできないのだ。
 悔しさに歯軋りしたくなる気持ちを堪えて、ケティはアメリィに視線をやる。彼女は
ちょうど、ティーカップから紅茶の最後の一滴を飲み終えたところだった。カップを丸
テーブルの上に置き、ぼそりと呟く。
「ごちそうさまでした」
「ちょっと、アメリィ」
 声をかけると、アメリィはゆっくりとこちらに顔を向けた。長い前髪の隙間から、潤ん
だ黒い瞳が不思議そうにこちらを見つめている。
「なに、ケティ」
「あなたは、どういった事情があってサイトさまの追っかけを止めると仰いますの?」
「別に、理由なんて」
 アメリィはケティの視線をおそれるように顔を伏せて、叱られた子供のような小さな声
で弁解する。
「わたしは元々、みんなが騒いでいたからそれに付き合っていただけで」
「じゃあ、みんなが止めると言ったから、自分も止めると仰るのね?」
「うん」
 すんなり頷くアメリィに、ケティは一瞬絶句してしまった。このままでは孤立してし
まう。なんとかアメリィを引き戻さなければ、と彼女に向かって微笑みかける。
「ねえアメリィ、よく思い出してみて? サイトさまって、とっても素敵な方だと思わない?」
「優しそうだとは思うけど、顔だったらギーシュさまの方が綺麗だと思うし、レイナール
さまの方が誠実そう。野性味だったらコゼットの方が上」
「そこで名前出されるのは微妙に嫌なんだけど」
 口を挟んできたコゼットは無視して、ケティはなおも食い下がる。
「でもほら、あの空飛ぶ機械を操縦していらっしゃるところとか、剣を振って戦っている
お姿とか……」
「機械のことはよく分からないし、剣を振ってる人は乱暴に見えるからあんまり好きじゃ
ない」
「だけど」
「それに」
 アメリィは今までより少しだけ大きな声でケティの話を遮ると、スカートのポケットに
手を差し入れて、大事そうに何かを取り出した。
「わたしには、これがあればいいから」
 白すぎて不健康にすら見える手を、そっと開く。中には小石ぐらいの大きさの、青い宝
石が収まっていた。それを見たエリアが歓声を上げる。
「わあ、すごいですねアメりん。今までで一番大きな宝石です。これ、サファイアですか?」
「うん。今朝、ようやく作れたの」

739:Funny Bunny
08/03/09 22:57:38 Pi1RQtxy
 満足げに頷きながら、アメリィは手の中の宝石に顔を向けている。前髪の隙間から見え
る潤んだ瞳に、陶然とした色が宿っている。アメリィの肩に手を置き、彼女の後ろから宝
石を覗きこみながら、エリアがとろけるような微笑を浮かべた。
「いいなあ。ねえアメリィ、今度わたしにも、何か宝石を作ってもらえませんか?」
「うん。エリアだったら、指輪にしてもイヤリングにしても似合うと思う」
 仲睦まじく話す二人の横では、コゼットが相変わらず気難しげな顔で試験管を振っている。
 なんだか急に自分が一人ぼっちになったような孤独感を覚えて、ケティは溜息混じりに
椅子に座りなおした。

 「劇薬」のコゼット、「貴石」のアメリィ、「妖風」のエリア、そして「熾火」のケ
ティ。彼女ら四人は、魔法学院に入学して以来の友人グループだった。
 収まりの悪い赤い髪と少しばかり目つきの悪い顔に、貴族とは思えないがさつな言動が
特徴のコゼットは、水系統の使い手。
 黒く長い髪で目元を隠し、いつも俯き加減に宝石を見つめてはひっそりと微笑むアメ
リィは、土系統の使い手。
 柔らかく細やかな銀髪と、持って生まれた妖精のように愛くるしい顔立ち。誰にでも遠
慮なく笑顔を振りまき、多くの男子生徒を遊び友達にしているエリアは、風系統の使い手。
 どこにでもいるような栗色の髪に、決して不細工ではないが平凡かつ地味な容姿。これ
といった特徴もなく、実に平均的なトリステイン貴族の女であると自他共に認めているケ
ティは、炎系統の使い手。
 魔法の系統も性格も容姿もてんでばらばらだったが、彼女らは紆余曲折を経て親交を深
め合い、今ではどこに出かけるときも大抵四人一緒に行動するほどの仲だった。コゼット
が薬の材料採取のために森に出かけるときも、アメリィが町の宝石店を冷やかしに行くと
きも、エリアが男友だちを喜ばせるための服を買いに行くときも。
 もちろん、ケティが上級生の男子に熱を上げているときなども、一緒になってキャー
キャー騒いでくれる。最近の彼女は、サイト・シュヴァリエ・ド・ヒラガという少年を追
いかけていた。
 シュヴァリエ、という称号が示すとおり、元々彼は貴族ではない。それどころか、平民
ですらなかった。ルイズという上級生が、使い魔として召喚してしまったという非常に珍
しい経歴を持つ人物なのである。
 そんな少年がシュヴァリエの位を授かったのは、少し前に終結したアルビオン戦役にお
いて、人間離れした大戦果を挙げたからである。なんと七万の大軍をたった一人で食いと
め、友軍が撤退するための時間を稼いだというのだ。
 劣等生が召喚した変な使い魔、程度にしか認識されていなかった彼だが、この活躍に
よってシュヴァリエとなってからは、俄然周囲の女生徒たちから熱い視線を浴びるように
なった。
 ケティもそういう経緯で才人を慕うようになった少女たちの内の一人であり、友人たち
と一緒に焼いたビスケットを彼に食べてもらおうとしたこともある。そのときは彼の主で
あるルイズの妨害により渡せなかったが、気持ちのほうは少しも冷めていない。それどこ
ろか、間近で彼を見ることにより、新たな魅力を発見したような気がしていた。他の貴族
の少年達と違ってあまり気取ったところがなく、そういう気さくさがとても新鮮で、好ま
しいものに思えたのである。
 そんな風に才人のことで騒ぎ立てるケティに、友人たちは大抵温かく答えていた。コ
ゼットは才人のことを「男らしくて格好いい」と評していたし、アメリィも「優しそうな
人で好感が持てる」と言っていた。エリアなど「結構な女好きというお話ですし、わたし
とも遊んでくださらないかしら」と目を輝かせていて、ケティにも劣らぬほど熱を上げて
いたはずなのである。
 それが、今日になって突然、口を揃えて「もうサイト様を追いかけるのは止める」と言
い出した。
 友人たち一人一人から理由を聞いた今となっても、ケティにはどうもその辺りが納得出
来なかった。なんとなく、自分ひとりがのけ者にされたような気分になってしまう。

740:Funny Bunny
08/03/09 22:58:04 Pi1RQtxy
「そんな顔すんなよ」
 相変わらず試験管を振り続けながら、コゼットが苦笑する。
「別に、もうみんなで遊ぶの止めるってんじゃないんだからさ」
「そうですよケッちゃん。ただ、ちょっと忙しくなっちゃいそうなので、一緒にサイトさ
まの話題で盛り上がるのは難しそうだ、というだけでして」
 エリアがケティの肩に手を置きながらなだめる。アメリィも宝石をしまいながら小さく
頷いた。
「大丈夫。みんな、これからも変わらず友達だから」
「それはそうでしょうけど、でも」
 ケティは食い下がりながらも、言葉に詰まった。胸に何かがつっかえているような嫌な
感じがあって、このままではどうにも引き下がれない気がする。ただ、自分が具体的に何
をこれほどまでに気にしているのか、はっきりとは分からない。
「ねえ、ケティ」
 不意に、コゼットが少し声の調子を落とした。驚いて彼女を見ると、試験管に向けられ
たままの顔に、少し厳しい表情が張りついていた。
「そもそもさ、あんた、あんまり本気じゃないでしょ」
「本気じゃない、と仰いますと?」
「決まってんでしょ? もちろん、サイトさまのこと」
 どきりとした。横目でこちらを見るコゼットの瞳に、心の内を見透かすような光がある。
ケティは腕を組んで無理に微笑んだ。
「何のことだか分かりませんわ。私、心の底からサイトさまのことを慕っておりますのよ」
「その割には笑顔が引きつってますよー、ケッちゃん」
 エリアがケティの肩越しに、顔を覗き込んで来る。テーブルの向こうのアメリィが、前
髪の隙間から上目遣いにケティを見上げた。
「ケティ、ギーシュさまのときも似たような感じだった」
「ちょっと、アメリィ……!」
 ケティは慌てて立ち上がる。アメリィが怯えたように顔を伏せた。
 ギーシュというのは、彼女よりも一学年上の男子生徒である。トリステインの名門、グ
ラモン家の子息であり、整った細面と少々大袈裟すぎるぐらいに気取った仕草が特徴の少
年だった。入学して間もないころ、ケティは彼の家柄と容姿に一目ぼれし、今の才人に対
するのと同じぐらいに熱を上げていたのである。
「あー、確かにそうだ、ギーシュさまのときもこんな感じだったなあ」
 思い出したように、コゼットが二度頷いた。エリアがケティから少し離れながら、可愛
らしい小さな唇に指を添え、「んー」と記憶を探るように瞳を上に向ける。
「確か、あのときは偶然を装ってあの方のそばを通りすがったんでしたっけ。そしたら
『やあ、これは可憐なお嬢さんだ。一瞬、こんな人里に精霊が降りてきたのかと勘違いし
てしまったよ!』とか仰ったんですよね、ギーシュさま。その後はもう成すがままに口説
き落とされちゃって、ケッちゃんったらすっかり舞い上がっちゃって」
「そうそう、あたしら相手にギーシュさまの魅力を散々喋り捲ってたっけねえ」
「あの、あなたたち」
 コゼットとエリアの思い出話を、ケティは無理矢理遮った。顔が熱いのは気のせいでは
ないだろう。
「出来れば、そのお話は止めていただきたいのですけど」
「なんでさ? いやー、あんときのケティは可愛かったねー」
「そうですねー。『どうしましょうどうしましょういやんいやん』って、こんな感じでし
たものね」
「やめてくださいったら!」
 ケティは拳を握り締めて怒鳴った。ギーシュとのこと……特に、二股をかけられている
とも知らず、彼の甘い囁きを馬鹿正直に信じて舞い上がってしまっていたことは、金を
払ってでも消してしまいたい、過去の汚点なのである。
 コゼットは「悪い悪い」と気楽に笑ったが、その瞳に浮かぶ、こちらの内面を見透かす
ような色は消えなかった。

741:Funny Bunny
08/03/09 22:58:44 Pi1RQtxy
「でもさ、今回だって、あのときと大して差があるとは思えないんだけど?」
「そんなことありませんわ」
 コゼットの視線から逃れるように少し顔を伏せながら、ケティは反論した。
「確かに、あのときは皆さんの言うとおりだったかもしれませんけど。今度こそ本気です
わ、わたし」
「どう本気だっての?」
 コゼットの目が茶化すように細められた。ケティは落ち着かない気分を味わいながら答える。
「ギーシュさまのときは、何というか言われるままでしたけれど。今回は、攻めですから」
「攻め、と言いますと?」
 エリアが不思議そうに言う。ケティは「ほら、あの」と手をさまよわせたあと、なんと
か言葉を絞り出した。
「ビスケットとか、作って持って行きましたし」
「でもルイズさまに食べられちゃったじゃん」
 ほとんど間を置かずに、コゼットが突っ込む。実際その通りだったので、反論できない。
「でも、でも」
 それでも、ケティはなおも食い下がった。
「わたし、本気ですから。それにサイトさまも、今現在はお相手がいらっしゃらないよう
ですし」
「いや、明らかにあの怖いご主人様に惚れてるでしょ、あの人」
「ですよねー。あんなに酷い目に遭われても、おそばを離れないんですもの」
「心底愛してるのね」
 友人たち三人が口を揃えて言う。いよいよ意地になって口を開こうとしたら、「ケ
ティ」という、コゼットのため息混じりの声に遮られた。
「あんた、口では本気とか言ってるけど、全然本気に見えないんだよね、正直さ」
「どうしてですか」
「だって、サイトさまのところに行くとき、絶対他の連中と一緒に行くじゃん」
 痛いところを突かれて、ケティは声を詰まらせる。「そうですよねー」と、エリアも同
意した。
「ケッちゃん、サイトさまを慕ってる他の女の子たちを出し抜く努力、全然してませんものね」
「だよな。そんなんじゃ、いつまで経っても『俺にキャーキャー言ってる女の子たちの中
の一人』のままだ」
「きっと、名前も覚えてもらってない」
 口々に指摘され、ケティは何も言えなくなってしまった。黙って椅子に座り、唇を噛み
締める。自然と、膝の上の拳を握り締めていた。
「あ、悪い、言いすぎた」
 コゼットが慌てて立ち上がり、ケティのそばに歩み寄ってきた。右手で試験管を振り続
けながら、左手でケティの肩をそっとつかむ。
「ごめんなケティ、あんただって、あんたなりに努力してんのにさ」
 そう言われたとき、ケティの胸に言いようのない奇妙な感覚が広がった。罪悪感とでも
言うべき息苦しさに、椅子の上で身じろぎする。そんな彼女の内心に気付かぬように、コ
ゼットは先程よりも幾分か優しい口調で続けた。
「でも、怒らないでほしいんだよ。あんたが美男子にキャーキャー言うのが悪いことだと
は思わないけど、そろそろ、他のことも考えなくちゃなんないじゃん?」
「他のことって、なんですか?」
「将来のことだよ」
 胸の内の閉塞感が、さらに大きくなった。「将来」と繰り返すケティに、コゼットが大
きく頷く。
「そ、将来のこと。あたしらももう二年生だしさ。学院卒業したらどうするかとか、
ちょっとは考えなくちゃいけないと思うんだよね」
「わたしは考える必要なんてありませんけど」
 椅子に座ったエリアが、滑らかな銀髪を一房指で巻きながら、にっこりと微笑む。
「学院を卒業したら、領地に戻って婚約者と結婚することになってますので」
「あー、なんとか伯爵って、結構いい年したおっさんだっけか?」
「ええ。学院に入ったのは、元々貴族の息女として恥ずかしくない教養を身につけるため、
という名目でしたから、それを活かしてどこかで働く、ということはありません。まあ、
わたしにとってはどちらかと言うと、将来退屈しないための遊び相手を見つけるのが一番
の目的だったんですけどね」
 エリアは口許に手を添えた。

742:Funny Bunny
08/03/09 22:59:30 Pi1RQtxy
「その辺は思ったよりも簡単に達成できちゃいましたから。あとは貞淑な伯爵夫人として
適当に振舞いつつ、たまにここで知り合った男の子達とこっそり遊ぶ、悠々自適の楽しい
人生が待っているのですよ」
「お前ってホント自由だよな」
 げんなりした口調でいうコゼットに、ケティはおそるおそる問いかけた。
「コゼットは、ここを卒業した後の予定がおありですの?」
「まあ、一応ね。ちょっと迷ってるけど」
 気難しげな顔で試験管を振り続けながら、コゼットが小さく首を捻った。
「薬の研究続けるならアカデミーに進んだ方がいいんだろうけど、早めに領地に戻りたい
気持ちもあるんだよね。母様のこともあるしさ」
「そういえば、コゼっちのお母様、ご病気なんですっけ」
 エリアがいうと、コゼットは軽く肩をすくめた。
「そ。あたしが子供の頃に父様が死んじゃったから、執事に助けられて領地を切り盛りし
てんだけど、元々あんまり体が強い人じゃないからさ」
「コゼっち見てると信じられませんね」
「余計なお世話だっての。ま、ともかく、早く母様のところに帰ってあげたいなーとも思
うわけだよ。あたしの他には、まだ小さい妹たちが二人いるだけだしさ。薬の研究も楽し
いけど、たとえド田舎のちっちゃな家でも、貴族の長女としての義務とか責任ってやつも
あるわけだし」
 少し真面目な口調から一転して、コゼットはからかうようにアメリィの方を見た。
「アメリィ、あんたはどうすんの……って、聞かなくても大体分かるけど」
「ここで学んだ魔法を活かして、一生宝石を作り続けて暮らすわ」
 どことなくうっとりしたように口許を緩ませて、アメリィが呟くように答える。
「死んだあと、たくさんの宝石と一緒にお墓に入るのが夢なの」
「あんたらしいよ、ホント」
 からからと笑うコゼットのそばで、ケティは隠しようのない居心地の悪さを感じていた。
(もしも『ケティはどうするの』と聞かれたら、どう答えればいいんだろう)
 必死に考えるが、答えが出ない。コゼットやエリアが明る声を交し合うそばで、そうす
れば質問から逃れられるとでも言うように、ケティはただ黙って身を縮めていた。
 幸いにも友人たちはほとんど時間を置かずに部屋を出て行ったので、ケティがその問い
を投げかけられることはなかった。

 憂鬱なティータイムから一時間も経っていない時刻、ケティは沈んだ気持ちを抱えたま
ま、一人寮の廊下を歩いていた。
 休日ということもあって、人影はまばらである。夏も近い時分、やや強い日差しが眩し
く降り注ぎ、寮周囲の木々を瑞々しく輝かせている。青空に点々と浮かぶ千切れ雲を吹き
流す風が開け放たれた窓から吹き込み、人の肌にも心地よい。だが、ケティの心は空のよ
うには晴れなかった。
(将来……将来、か)
 視線が落ちる。
(そんなに、遠い未来の話ではありませんのね)
 だが、ケティは今まで、そのことについて深く考えたことがなかった。あえて考えない
ようにしていたのかもしれない。
(わたしの将来なんて、分かりきってますもの)
 ロッタ家は、そこそこ長い歴史を持ってはいるものの、取り立ててどうと言うこともな
い、至って平凡な中流貴族である。
 外聞ばかり気にして、上の者には媚びへつらい、下の者には威張り散らす父。若さと同
時に夫からの愛も失ってしまい、今や召使やメイドをいびることぐらいしか楽しみのない、
陰気な母。
 そんな二人から生まれたケティは、やはりあまり愉快なところのない少女だった。魔法
学院に入ったのも、魔法の腕を伸ばすためと言うよりは単に慣習に従ってのことだったし、
予想通り成績は平々凡々としたもので、隠れた才能が爆発的に開花した、ということもも
ちろんない。自分でもそのことは重々承知していたので、卒業後に魔法を活かす仕事に就
こうなどという気は少しもなかった。

743:Funny Bunny
08/03/09 23:00:37 Pi1RQtxy
(そうなると、当然、残された選択肢は結婚ということになるのでしょうけど)
 貴族の娘と生まれたからには、ほぼ間違いなく親が決めた相手と結婚することになるの
だろう。父は体面さえ取り繕えればそれでよしという、トリステイン貴族の悪いところだ
けを凝結させたような人間だから、おそらく結婚相手も人格や能力よりは家柄優先で選ば
れるに違いない。自分にとっては間違いなく不幸な結婚になる。好きでもない男に抱かれ、
好きでもない男の子供を生み、若さを失って夫に見てもらえなくなり、母と同じように召
使をいじめるのだけが楽しみという、実に根暗な人生が待っているに違いない。それ以外
の将来など想像も出来ない。
(お兄様たちがいらっしゃるから、家督を継ぐとかそういう重大な問題とは無縁でいられ
ますわね。でも)
 自分と違って優秀な兄、姉の姿を思い浮かべて、ケティは唇を噛む。そうなると、自分
には政略結婚の道具になるぐらいしか価値がないように思えて仕方がない。
(みんなみたいに、稀有な才能でもあればよかったのに)
 コゼットのような豊富な知識や強い意志、アメリィのような土魔法の才、エリアのよう
な異性の心をとらえて離さない容姿、仕草。全て、自分が持っていないものだ。
(そもそも、わたしは何も持っていない。家柄も取り立てていいわけじゃないし、容姿も
せいぜい人並み程度、人を惹きつけるような素晴らしい人格者でもなければ、優れた才能
を持っているわけでもない。わたしは本当に、どこにでもいるようなつまらない人間なんだわ)
 そのとき、前方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。一瞬立ちすくんだあと、急いで
周囲を見回す。幸い近くに物置部屋があったので、迷いなくそこに飛び込んだ。
 暗い物置の中で息を殺して待つこと、十数秒。先程の声の主が、扉のすぐそばを通り過ぎる。
「おお愛しいモンモランシー、どうか僕の言葉を聞き入れてくれたまえ」
「うるさいわね。あんたの言葉なんかもう一生信用しないわよ」
 ギーシュとモンモランシー。ケティの一学年上の先輩であり、今も苦い思い出として心
に残っている二人の男女。彼女を選んでくれなかった男と、その男に選ばれた女が、息を
潜めて物置に隠れているケティには全く気付かず歩いていく。ほんの少しだけ開けた扉の
隙間から、通り過ぎる二人の横顔が見えた。ギーシュはもちろん、モンモランシーの方も、
口では悪態を吐きながらも、どことなく楽しそうな様子だった。
 二人が廊下の向こうに消えたのを確認してから、ケティはそっと物置を出た。相変わら
ず静まり返っている廊下の先、二人が向かった方向を見つめて立ち尽くす。滑らかな金色
の巻き毛を揺らして歩くモンモランシーの横顔が、頭に浮かんできた。
(美しい方だわ。歩く姿も堂々としていて、わたしなんかとは大違い)
 溜息が出た。
(やっぱり、殿方が最後に選ぶのは、あんな風に何か輝くものを持っている女性なのね)
 ケティはぎゅっと眉根を寄せて、踵を返した。二人とは別方向に、目的もなく歩き出す。
胸に燻る想いを振り捨てようと足を速める中で、一つだけ、納得できたことがある。
 先程、物置に隠れていたケティのすぐそばを通り過ぎた、ギーシュの顔。名門の子息ら
しく非常に整っていて、気障な仕草や甘い囁きがよく似合う。その辺りの印象は以前と変
わりない。惚れ惚れするほどの美男子だと思う。
 だが、彼の顔を思い出しても、ケティの胸にはさざ波一つ立たなかった。だから、断言
できる。
(みんなの言うとおり、わたしはギーシュさまに恋なんてしていなかった。ただ、こんな
取り立てて褒めるところもないような自分を選んでくれたのが、嬉しかっただけだった)
 苦笑いが浮かびそうになった。そうとも気付かずギーシュの口説き文句に舞い上がって
いた過去の自分が、とても滑稽で恥ずかしい存在に思えてくる。
(では)
 もう一つ、心に疑問が浮かぶ。
(今わたしがあの方に抱いているこの想いは、一体なんなのでしょう)
 そのとき、廊下の窓の向こうから大きな唸りが伝わってきて、かすかに体を震わせた。
驚いて足を止め、窓に駆け寄って空を見る。絶え間ない唸りは、晴れ渡った空の一点から
聞こえてきていた。そこに、この学院に入るまでは想像したことすらなかった不可思議な
物体が飛んでいる。
(サイトさまだわ)
 空を横切る鉄の翼を仰ぎ見て、ケティはそっと胸を押さえた。鼓動が早まり、無闇に熱
を生んでいる。顔の火照りを自覚しながら見上げ続けるケティの視線の先で、想い人を乗
せているのであろう鉄の翼は、唸りの尾を残しながら広場の方へ飛んでいく。

744:Funny Bunny
08/03/09 23:01:28 Pi1RQtxy
(どこかに出かけていて、今帰っていらしたのね)
 ケティの心臓が大きく脈打った。
(今すぐに向かえば、わたしが誰よりも早く、サイトさまをお出迎えできるかもしれない)
 その思いつきに突き動かされるように、ケティは寮の入り口に向かって駆け出した。
 息を切らしながらヴェストリの広場の一隅に着いたころには、もうあの力強い唸りはど
こからも聞こえてこなかった。不思議な鉄の乗り物は、少し離れたところに見えている粗
末な建物に収まったらしい。そこは才人が副隊長を務める水精霊騎士隊の詰め所であり、
あの鉄の乗り物の格納庫でもある。
(多分、まだあの中にいらっしゃるはずよね)
 ケティは乱れた息を整えつつ、手鏡を覗き込んで髪を直してから、ゆっくりと歩き始め
た。広場は閑散としていて誰もおらず、自分のように才人を出迎えようと走ってくる女生
徒たちの歓声なども聞こえてこない。どうやら、狙いどおり一番先にたどり着けたようだ。
 扉のついていない格納庫の入り口にたどり着くと、ケティは壁の陰に隠れてそっと中を
窺った。
(ああ、やっぱりいらっしゃった)
 胸が高鳴った。才人はあの鉄の乗り物の中に座ったまま、大きく伸びをしているところ
だった。今出て行けば、間違いなく自分が真っ先に彼を出迎えることができる。
 そうと分かっているのに、ケティは何故か足を動かすことが出来なかった。出て行きた
いのに出て行けない、もどかしい思いを抱えたまま、壁の陰で立ちすくむ。
(一体どうしたの。行きなさい、ケティ。出て行って、笑顔で「お帰りなさいませ」と声
をかけるの。そうすれば、サイトさまを慕う女たちの中の一人ではなく、ただ一人きりの
ケティ・ド・ロッタとして覚えていただけるかもしれないでしょう)
 心の中で自分を叱咤してみるが、やはり足は竦んだように動かなかった。どんなに焦っ
てもその状態に変わりはなく、ただ時間だけが無駄に過ぎていく。才人はもう身を乗り出
して、あの乗り物の外へ出ようとしているところだった。
(早くしないと、他の子たちもやってくるかもしれないのに)
 そう思いながらも、ケティは自分の欺瞞に気がついていた。こうしてせわしなく周囲を
見回しているのは、他の少女達が来るのを警戒しているのではなく、期待しているからだ。
自分一人で彼の前へ出て行くなど、どうやったって出来るはずがない。
 どれだけ想像しても、頭に思い浮かぶのは「何故この見知らぬ女は、自分に気安く声を
かけてきたのだろう」とでも言いたげな、迷惑そうな才人の顔ばかりだ。
 自分がどんな顔をして出て行き、どれだけ勇気を振り絞って声をかけたとしても、彼の
心には何の感情も呼び起こさないのではないか。そう考えると、とても前へ進めなかった。
 そうやって彼女が迷っている内に、才人は鉄の翼の上に危なげなく降り立った。ケティ
の予想に反してすぐには地面に降りず、翼の上で振り返って、先程座っていたところを覗
き込む。
「おい、早く出てこいよ」
「うっさいわね、使い魔のくせにご主人様を急かすんじゃないわよ」
 ケティは息を飲んだ。てっきりあの乗り物に乗っているのは才人だけかと思っていたが、
もう一人同乗者がいたらしい。その声の主のことも、ケティはよく知っていた。
「ったく、狭苦しいったらないんだから」
「飛んでる最中ははしゃいでただろうが、お前」
「はしゃいでなんかいないわよ!」
 癇癪を起こしたように叫びながら、小柄な人物が姿を現す。桃色がかった美しいブロン
ドの髪と、少々色気には欠けるが可愛らしさでは他の追随を許さない小柄な体、そして、
女ならば誰もが羨むであろう完璧な美貌。
 何もかもがケティとは正反対に思える彼女の名は、ルイズ・ド・ラ・ヴァリエールとい
う。かつては魔法が使えないためにゼロのルイズと馬鹿にされていたが、一年ほど前に有
名な盗賊を捕えた功績を認められて以来、周囲に一目置かれるようになった少女である。
ケティにとってもっと重要なのは、彼女が使い魔才人の主人であるという事実だった。
「ほら、使い魔ならちゃんとご主人様を支える」
「へいへい、分かりましたよお嬢様」
 才人がそっと手を差し出し、ルイズが上機嫌なすまし顔でその手を取る。まるで一枚の
絵画のような光景だ、とケティは思った。同時に、どうしようもないほど自覚する。その
絵の中に、自分が入れる隙間など少しもないのだと。
 才人という少年は、絵に描かれた王子様のように、ケティにとっては遠すぎる存在だった。

745:Funny Bunny
08/03/09 23:02:20 Pi1RQtxy
(あの方はきっと、わたしの名前すら覚えてはいない)
 二人から目をそらすように顔を伏せ、壁の縁を強く握り締める。ナイフで抉られたよう
な胸の痛みは、どうやっても治まってくれそうにない。
 そのとき、背後からいくつもの騒がしい靴音が聞こえてきた。振り返ってみると、才人
を慕う女生徒たちの一群が、黄色い歓声を上げながら走ってくるところだった。彼女らが
近づいてくるのを見つめながら、ぼんやりと考える。
(わたしも、あの子たちと全く変わらないの?)
 何度も首を横に振り、ケティは駆け出した。格納庫の中ではなく、広場の方へ。こちら
には目もくれないその一団とすれ違っても、まだ走り続けた。彼女たちの中に埋もれてし
まうのだけは絶対に嫌だった。

 木々の隙間から木漏れ日が点々と落ちる道を、ケティは俯きながら歩いていた。一歩踏
みしめるごとに、森の土は柔らかな感触を返してくる。小鳥のさえずりと木の葉の囁きを
運ぶ微風が、栗色の髪を優しく撫でるように吹きすぎていく中、とぼとぼと歩き続ける。
先ほど、遠くから才人とルイズを見つめていることしか出来なかったときの無力感、閉塞
感が、小さな胸を押し包んでいる。息苦しさすら感じるほどの痛みに、このまま消えてし
まいたい気分になる。しかしちっぽけな体は今厳然とこの場に存在していて、消える気配
など微塵も見せなかった。
(わたしはどこにも行けないし、何にもなれない)
 胸中で呟いた言葉が、そのまま残ってさらに胸を重くする。大きく溜息をついても息苦
しさは消えず、それどころかさらに強く胸を締めつけた。周囲の景色も少し暗くなる。そ
う思ってよく見ると、実際に木々の間隔が狭くなって、日光を遮っていた。行くあてもな
く歩く内に、森の中でもかなり奥深いところに入り込んでしまったらしい。
 少し迷いながらも、ケティは森の奥に向かって歩き続けた。まだ気晴らしが必要だった。
こんな気持ちのまま学院に帰りたくはない。学院周辺に広がるこの森には、今まで何度も
足を運んでいる。コゼットが薬の材料を採取するために森を訪れる際、他の友人たちと共
にそれに付き合うからだ。目印を刻んだ木を何本か見かけるから、この辺りにも来たこと
がある。迷って帰れなくなるということはないはずだ。
(万が一迷ってしまっても、『フライ』の魔法で空に飛び上がればいいだけですし)
 そう考えながらも、今の自分では頭上を覆う木々の枝にぶつかったりしそうだ、と少し
不安になる。その感情を沈めようと顔を上げかけて、ケティは眉をひそめた。
 前方の高い木々の向こうの空に、何かが尖ったものが突き出しているのが見える。先端
が陽光を浴びて鈍く光っているところを見る限り、明らかに金属製の人工物だ。
(あんなもの、前に来たときはありましたっけ?)
 ケティは不思議に思いながら、前方に向かって歩き出した。鬱蒼とした木々が作り出す
曲がりくねった道を通り過ぎ、目標に向かって少しずつ近づいていく。近づくごとにその
物体の巨大さが分かってきて、少し不安になった。
(もしかして、野盗の隠れ家、とかではありませんよね?)
 今まで読んだことのある物語の数々が、頭を過ぎっては消えていく。馬鹿馬鹿しいこと
だ、とケティはかぶりを振った。森の奥深くと言っても、魔法学院の周辺なのだ。王軍所
属の竜騎士が空から目を光らせているような場所に、あんな大きな鉄の建物を建てる盗賊
などいるはずがないし、そもそも見つからずに完成させるのは不可能だ。
 だからこそ、不思議でならない。あれは一体いつの間にここに出現したのだろう。胸が
どきどきした。自分の存在の小ささに嫌気が差していたところに、あんな不可思議な物体
が現れたのだ。物語の中に入り込んでしまったかのような奇妙な好奇心の命ずるままに、
ケティどんどん前へ進んでいった。
 やがて、森の中の開けた一角が見えてきた。そのすぐ近くまで近づき、太い木の幹に体
を隠してそっと向こうを窺う。鉄の建物は、間近で見ると想像していた以上に大きかった。
丸みを帯びた塔のような建物だ。全体はいかにも硬そうな金属で作られていて、壁には丸
くて分厚いガラス窓がいくつかついている。底の方は周辺に生えているどの木よりも太
かったが、上にいくにつれて細くなり、先端は槍のように尖っている。天を貫こうかとで
も言うように、空に向かって真っ直ぐ伸びていた。そんな物体が、森の真ん中に突如とし
て出現したのだった。


次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch