【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合28at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合28 - 暇つぶし2ch356:ようぎしゃふざいのだいさいばん ◆mQKcT9WQPM
08/02/25 00:36:42 qOUZbH5t
厨房で生卵を三つくすねた才人は、それを丸呑みすると、ルイズの部屋に戻ってきた。

「はぁ…疲れた」

言ってベッドに倒れこむ。
今日は本当に疲れた。
流石に花の十代といえども、一日に三人を相手にすればへばりもする。
薬の効果で手助けされたとはいえ、才人は文字通り精も根も尽き果てていた。
さてそれじゃあそろそろひと寝入り…と、移った体温で温かくなったシーツの上でまどろもうとした才人の耳に、金切り声が飛び込んできた。

「いいいいい、犬ぅーっ!」

部屋の主人が真っ赤な顔をして帰ってきた。
言動と表情から、何か怒っているらしい。
才人はベッドの上で大の字、ルイズは入り口で仁王立ち。
やばいまずいこの体勢はストンピングかフットスタンプが来るぞ!
才人は慌てて大事な所を両手でガードする。
しかし。
覚悟を決めて完全ガードを決め込んでいた才人に、いつまで経ってもご主人様のおみ足は降ってこない。
才人はぎゅっと閉じた瞼をそっと開け、部屋の入り口に立つご主人様を見る。
その場所でご主人様は。
先ほどまでの怒り顔とは打って変わり、何かぶつぶつ言いながら急に後ろを向いた。
そして、大きく手を広げて…、何故か深呼吸を始めた。
深呼吸を数回して、ルイズは振り向く。
その顔からは怒りが消えうせ、代わりに貼り付けたような無表情になっていた。
ちょっと口の端が歪に歪んで、右の眉がぴくぴく動いていたが。
そして言った。

「…あ、あんたなんかどうでもいいんだからね。
 べ、別にどうとも思ってないんだから」

何が言いたいのかさっぱりである。
才人はベッドから立ち上がると、満面に疑問を浮かべ、ルイズに尋ねる。

「どしたのルイズ?」
「きょ、興味ないって言ってるの!え、えっと、なんだっけ、そう!
 そこの角で妙な黒い影に取り憑かれたりとかそんなことないんだから!」

言いながらルイズはすたすたと部屋の中に入ってきて、ぼすん!とベッドに腰を下ろす。
ひょっとして、『呪印』の事を言ってるのか?
しかし、才人は知っている。
封印から抜け出した『呪印』はシルフィードが全て回収した。
だから、ルイズのこの言動はおかしい。
ていうか、ころころ変わる表情とか、妙にきつい口ぶりとか、軽く赤く染まった頬とか、ぜんぜん『呪印』に取り憑かれた者の言動ではない。
しかしルイズはそんな才人の嫌疑の視線をものともせず、ベッドの上で足など組み替えてみせる。

「う、うんと、ああ、もう何もする気が起きないわ。
 このまま永遠に寝ちゃおうかしら」

言ってルイズはぽてり、とベッドの上に横になり、目を閉じる。
…何をしたいんだこのご主人様は。
呆れたように立ち尽くす才人と、何かを期待するように狸寝入りをするルイズの間で、きまずい空気がしばらくの間、流れたのだった。


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