【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合28at EROPARO
【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合28 - 暇つぶし2ch50:不幸せな友人たち
08/02/17 16:40:16 fIg3HJdo
「あの方にとっては、期待していた通りの結果にはならんだろうな」
「どういうことですか?」
「見ていれば分かる。どうせ、あの方は自分から息せき切らしてこの小屋に飛び込んでくるさ。ともかく」
 アニエスは肩を竦めた。
「これで、あの方のことを少しは分かってもらえたと思うが」
 探るような瞳がティファニアを見つめた。
「お前としては、どうだ? あの方のことを、どう思う?」
 ティファニアは俯き、己の心を探った。アンリエッタの心情をある程度理解した今、彼女に対する
嫌悪感や恐怖は、哀れみの感情に変わっていた。
「悲しい人だと思います。自分の感情を制御できずに、周りにぶつけるしかなかった」
 同時に、不思議な人だとも思った。彼女に対する感情は、短い時間の間に目まぐるしく移り変わる。
不快に思えたり、哀れに思えたり……ひょっとしたら、目の前の騎士はそんな主のことが愛しく思え
て、未だに付き従っているのかもしれない。
「でも、どうしてでしょう。どうして彼女は、そうまでサイトのことを追い求めたんでしょうか? 
彼のことを忘れて、新たな愛情を見つけることは出来なかったんでしょうか?」
「そうするには、サイトの与えてくれた希望があまりにも大きすぎたんだ。彼女は想い人を二度失く
している。一人目のときは彼自身の誇りや気高さに敗北し、二人目のときは他の女に敗北した。特に
二人目は、『ひょっとしたら、この人なら』という期待を強く抱かせてくれたようだからな。いまさ
ら、三人目に期待することは出来なかったんだろう。そうそう、こんなことがあった」
 何かを思い出すように、アニエスは表情を緩めた。
「王政が幕を閉じ、あの方が晴れて自由の身になった朝のことだ」
 その日、アニエスが「陛下」と呼ばわると、彼女は不快そうに顔をしかめたらしい。
『私はもう女王ではありません。今後は二度とそう呼ばないように』
『ではなんとお呼びいたしましょうか』
 アニエスが問うと、主は少しの間考えて、とても嬉しそうな顔で、
『では、アンとお呼びなさい』
『アン様、ですか』
『ええ。それが一番好ましいわ』
 そう答えた彼女の顔には、何かを懐かしむような、あるいは甘い夢に浸るようなうっとりとした笑
みが浮かんでいたという。
「何故彼女がアンと呼ばれたがったか、わたしはよく知っている」
「どうしてですか?」
「彼女は一度、町娘に変装して、ある男と安宿でわずかな時間を過ごしたことがある。そのとき、
『アンと呼んでくれ』とその男に頼んだそうだ。何度も何度も、そう聞かされた」
 アニエスはどことなく憂鬱そうに目を細めた。
「遠い昔の話だ。その男はもうどこにもいない。ただ、アン様の胸の中にだけ存在する思い出さ」
 アニエスは軽く肩を竦めた。
「あまりあの方を軽蔑しないでほしい。せめて哀れみに留めておいてくれ。彼女とて、誰か一人の男
に全身全霊で愛してもらっていれば、ああはならなかったかもしれんのだからな」
 アニエスは肩越しに振り返る。その方向には、ルイズが暮らす剣の城がある。
「今日遠くからルイズを見て、わたしは改めてそう思った」
 ティファニアが身を硬くしたのが分かったのか、アニエスは物問いたげな視線を向けてきた。
「最近、ルイズとは話していないのか?」
「ルイズさんは、わたしがここにいること自体知りませんから……会うのも、記憶を消すために真夜
中城の中に忍び込むときぐらいで、それも彼女が寝ている間に済ませてしまいますので」
「なるほどな。これで合点がいった」
「なにがですか」
 アニエスは椅子の背にもたれながら、目を細めて小屋の中を見回した。
「この狭苦しい小屋さ。最初見たとき、本当にこんなところで人が暮らしているのかと驚いたものだ。
入ってみるとまるで監獄だ。そして、それは事実だったらしい」
 視線がティファニアに戻ってきて、彼女を思いやり深く見据えた。
「なあティファニア。お前、強い罪悪感を持って生きてきたな? 自分は許されない罪を犯したと、
その罰を受けるために生きているんだと、そう思って生きてきたんだろう?」
 ティファニアはその視線から逃れるように俯いた。膝の上で、ぎゅっと拳を握る。

51:不幸せな友人たち
08/02/17 16:40:44 fIg3HJdo
「だがな、そんな必要はないと思うぞ」
 驚いて顔を上げると、アニエスは穏やかな笑みを浮かべていた。
「わたしは今日、ルイズを見た。そして今日までずっと、アン様を見てきた。だから分かるんだ。愛
されなかったと嘆きながら生きてきた女よりは、たとえ嘘の中でも、愛されていると実感して生きて
きた女の方が、よほど幸福なのだと。ああ、反論はしないでくれ」
 口を開きかけたティファニアを、アニエスはやんわりと押しとめた。
「別に、理屈としてどちらが正しいとか、人道的にどうだという話じゃないんだ、これは。単にわた
しがどう感じたかというだけの話だ。だが、お前もあのルイズを見ては、そう思わずにはいられない
だろうよ。あらゆるしがらみやこだわりを超えて、そう思わせてくれる何かが、彼女にはある」
 言い終えて、アニエスはぽつりと呟いた。
「それは、あの方とても同じだろうな」
 と、突然小屋の扉がばたんと開き、険しい表情のアンリエッタの姿が、深い闇の中にぼんやりと浮
かび上がった。彼女は濃い化粧の上からでもはっきり分かるほど顔面蒼白で、眉間の皺はより深く
なっていた。よほど急いでここまで来たのか、息が上がっている。草木の中を無理矢理進んできたの
だろう、豪華なドレスあちこち破れている上に、草まみれだった。ここを出て行ったときの高慢な余
裕は、いまや欠片もなかった。
「アニエス、帰りますよ」
 出し抜けに言う。ティファニアには一瞥もくれない。
「おや、もうよろしいのですか? あれだけルイズとの歓談を熱望されていましたのに」
「いい、もういいです。あんな馬鹿な女、どれだけ見ていたって、あまりの馬鹿さ加減にこちらがイ
ライラさせられるだけですもの。全く……あんな女」
 ティファニアへの辞去の挨拶もなしに、アンリエッタは荒々しく身を翻す。アニエスが苦笑しなが
ら立ち上がった。
「と、いうわけだ。悪いが、お暇させてもらおう。あの方を一人で歩かせるわけにはいかないからな」
「一体、何があったんでしょう?」
 戸口に立って、遠ざかるアンリエッタの背中を見ながら問うと、アニエスは素っ気なく答えた。
「大方予想はつく。ルイズがあまりにも幸せそうで、満ち足りた様子だったから、耐えられなくなっ
たんだろうさ。彼女と比べて、自分が惨めすぎてな」
 アニエスの視線もまた、遠ざかっていく主の背中をとらえていた。
「本当に、暖かくて優しい雰囲気を纏っていたからな、ルイズは……圧倒的とすら表現できるほどだ。
遠目にもそれがわかるほどだったのだ。何か大きなものにずっと愛され続けて、それを確信しながら
生きてきた人間だけに出せる空気だよ、あれは。まるで陽だまりのような……あんな人間の前に出れ
ば、誰だって我が身が恥ずかしく思えたり、泣き出したいほど惨めに思えてきたりするものだろう」
 アニエスの瞳に哀れみの色が宿った。
「お気の毒な我が主。怒りも憎しみも熱を失い、唯一残されていた自尊心や、ルイズに対する優越感
まで、今や粉々に打ち砕かれてしまった。もはや、あの痩せ細った体を支えるだけの力すら残っては
いまい。おそらく、先は長くないだろうな」
 淡々とした口調に、ティファイアは息を飲む。それに気付いたのか、アニエスはこちらを向いて苦笑した。
「そんな顔をしないでくれ。私にとっては喜ばしいことさ。これでようやく、あの方も苦しみから解
放されるのだ。実に悲しい形ではあるが、な。忌まわしく呪わしい闇の汚泥は、ルイズによって払わ
れた。そうなれば、心の片隅に沈められていた優しさや穏やかさが、またあの方の心の表面に浮き上
がってくるかもしれん。たとえ死に向かう運命だとしても、その方がずっと人間らしいと思わないか?」
 なんとも言えないティファニアに、アニエスは微笑みかけた。
「答えられんか。まあ今はいい。だがお前はいつかルイズに会って、わたしの言葉を実感することに
なるだろう。間違いなくな。そのときわたしが生きているかどうかは分からんが、お前からの報告を
楽しみに待たせてもらうことにするよ」
 そのとき、闇に落ちた森の中から、か細い怒鳴り声がかすかに聞こえてきた。
「アニエス、何をしているのですか! あなたが道を照らさなければ、歩けないではありませんか!」
「申しわけありません、すぐに参ります!」
 答えて、アニエスは外套の中からランプを取り出した。ニ、三歩歩き出してから不意に振り返り、
ティファニア向かって軽く手を上げた。
「ではな。楽しみにしているぞ」
 そうして、彼女は何も残さず、主を追って闇の中に立ち去ってしまった。

52:不幸せな友人たち
08/02/17 16:41:11 fIg3HJdo
 それから一ヶ月も経たない内に、アニエスからの手紙が届いた。剣の城に届けられたものを、ジュリ
アンが持ってきてくれたのである。

「ティファニアへ。
 昨日、アン様が亡くなった。病死だ。ルイズを見てご自身の人生の不毛さを思い知ったせいか、
すっかり抵抗力をなくされてしまったのだ。旅を終えてアルビオンに帰る途上、既に何度か意識を失
くされていたほどだ。それでも、本人が朦朧としながらもアルビオンに帰ることを望んだので、わた
しは希望を叶えて差し上げた。トリステインは彼女にとっては忌まわしい土地だ。あそこで死にたく
はなかったのだろう。
 安らかな死に様だった、とは言いがたい。ベッドに横たわったまま絶え間なく呻いて、咳き込んで
……むしろ、かなり苦しんだと言ったほうがいいだろう。
 彼女は死の直前、何かを探すように手を伸ばした。わたしが思わずその手を握ると、とてもか細い
声で誰かの名前を呟いた。ウェールズ、だったかもしれないし、サイト、だったかもしれない。それ
に答えて『アン』と呼びかけてやると、不意に表情を和らげて、そのまま息を引き取った。だから、
苦しみぬいた割に、死に顔はとても安らかだった。
 今、葬儀の準備の合間にこの手紙をしたためている。葬儀、と言っても、彼女は人間嫌いだ。こち
らに来てから親しい友人どころか、知人と呼べる人間さえ作らなかった。だから、立会人はわたしだ
けだ。長年大勢の人間にかしずかれて来た元女王のものとしては、なんとも寂しい葬儀になる。彼女
は見知らぬ人間の立会いなど望まないだろうから、これでいいのかもしれないが。
 少し、考える。彼女の人生は不幸なものだったのか、と。いや、その点については考えるまでもな
いか。彼女は女王として多くの人間に幸福をもたらしながら、一人の人間としてはとても不幸な人生
を送った。それは間違いない。
 だが、彼女は人生で一番満ち足りていた瞬間の思い出を抱いて逝ったのだ。だから、最後の一瞬だ
けは、世界中の誰よりも幸福だったのではないかと思う。
 さて、我が主は逝ってしまったが、それを送るわたしもまた、長く生きてはいられないだろう。急
に、長年溜まりに溜まった疲労が、この体を重く感じさせるようになった気がする。お前からの報告
を受けることも、きっとないだろうな。
 さらばだティファニア、我が友。お前がいつか、アン様と同じように、ルイズによって呪いから解
放されることを願っている……いや、信じている」
 文章の結びに、署名があった。迷いのない形のいい文字で、アン様の剣、アニエス・シュヴァリ
エ・ド・ミラン、と書いてあった。

 その後アニエスがどうなったのか、ティファニアは結局知らないままだった。
 後世、彼女本人ではなくアンリエッタ女王の足跡を辿った歴史家が、アルビオンの片隅で、一冊だ
け残された手記を発見した。
 その手記は、アンリエッタ女王の真の姿を後世に伝える唯一の資料として、その後も長い間大事に
保管され続けたそうである。

 アニエスとの再会を経て、ティファニアはタバサとの約束を果たすために残された時間が、あとわ
ずかであるということを思い知った。自分達と同世代であるアンリエッタが死んだのなら、ルイズだ
ってそう長くはないかもしれないのだ。
 だが、ティファニアは、ルイズよりも先に、彼女の一番近くにいた人と別れることとなった。

53:205
08/02/17 16:41:57 fIg3HJdo
「アニエス」はここまで。
続いてサブタイトル「シエスタ」を投下します。
途中で5分以上間が空いた場合は支援をお願いします。

54:不幸せな友人たち
08/02/17 16:42:29 fIg3HJdo
 アニエスとの再会から、十九年目の初冬のこと。
 深夜、剣の城にいるジュリアンから、火急の報せが届いた。
 彼の姉であるシエスタの命が、もうあとわずかだというのである。
 ついにこの日が来たか、と思いながら、ティファニアは手紙を書く手を止めて小屋を出る。
 雪深い森の中を注意深く急ぎながら、五十九年という歳月に思いを馳せる。
 人が老いるには、十分すぎるほど長い時間だった。

「ああ、ティファニアさん。ようこそおいでくださいました」
 ランプを片手に持って城の裏口のそばに立っていたジュリアンは、森から歩み出てきたティファニ
アを見つけるなり、雪をかき分けて近寄ってきた。
「シエスタさんの容態は、どうなんですか?」
 訊ねると、ジュリアンはわずかに目を伏せた。
「よくありません。おそらく、今夜には……」
 声音は不思議なほど落ち着いていた。この地にやってきたときには年若い少年だった彼も、今では
長い白髭と曲がった腰が目につく老人だ。ある程度、覚悟はできていたのかもしれない。
 ティファニアは明りの灯る剣の城に目を移しながら訊ねた。
「ルイズさんは、まだ起きていらっしゃるのですか?」
「いえ。奥様も、あまり体調がよろしくありませんから。それでも夜通し姉のそばについていると
仰ったのですが、わたしが無理矢理お止めして、今は床についていらっしゃるはずです」
 つまり、城の中でルイズと鉢合わせする危険はないということだ。そのことについては安心できた。
死の床にあるシエスタの心を、無意味に乱したくはなかった。
「では、行きましょう。姉の部屋に案内いたします」
 裏口の扉を開け、ランプを持ったジュリアンが先に立って歩き始める。炊事場の勝手口を通り、小
さな城の中へ。小さいと言っても、もちろんティファニアの小屋よりはずっと広い。ルイズの記憶を
消すために何度も通っているとはいえ、シエスタの部屋を訪れるのは初めてのことだったから、迷う
可能性は十分にあった。
 と、先を歩いていたジュリアンが、ある角を曲がりかけたところで息を飲んで立ち止まり、こちら
を制止するように片腕を上げた。
「どうしたんですか?」
 小声で問いかけると、ジュリアンは「しっ」と人差し指を口元に当てて、注意深く角の向こうを窺った。
「廊下の向こうから、奥様が歩いてきます」
 ティファニアは息を飲んだ。起きて、話をするルイズが、この角の向こうにいる。鼓動が早くなった。
「寝ていたはずでは……」
「お優しい奥様のことです、姉の容態が気にかかって、起きてきてしまったのでしょう……こうなれ
ば、奥様が寝付かれるまで、わたしが見張っているほかありません。ティファニアさんは、わたしが
奥様を連れていくのを待って、先に姉の部屋に入っていてください」
「分かりました」
 ティファニアが頷くと、ジュリアンは服についた雪を払って角の向こうへ出て行った。彼の驚いた
ような声が聞こえてくる。
「おや奥様、お休みになられたはずでは」
「ああ、ジュリアン」
 ティファニアの背筋に震えが走った。今のが、ルイズの声だ。
「いけませんよ、奥様だってそれ程健康とは言えないのですから、休んでいただかないと」
「シエスタはわたしの大事な友達なのよ。サイトもいないし、夜通しついていてあげたいの。わたし
のことを気遣ってくれるあなたの気持ちもわかるけれど、どうか、許してちょうだい」
 目頭が痺れたように熱くなり、涙が零れそうになるのを、必死に堪える。あの声から滲み出る暖か
さはどうだ。聞いているだけで体のこわばりがほどけていくような、安らかな口調。五十九年前のル
イズは、これほど優しい声をしていただろうか。
 ティファニアは今すぐ駆け出して、彼女の前に姿を現したい衝動に駆られた。
「いけません。これで奥様の体調が悪化したら、わたしが姉に叱られてしまいます。姉だってそんな
ことを望みはしませんよ」
「でも、わたしには分かるの。シエスタは今、死の淵にいるわ。今夜ついていなければ、もう二度と
生きて会うことは出来ないかもしれない。彼女の最後の言葉を、サイトに伝えてあげなければいけな
いのに」
 最後の言葉、という単語が、ティファニアの胸に突き刺さる。先ほどの衝動が急速に萎んでいった。

55:不幸せな友人たち
08/02/17 16:42:54 fIg3HJdo
「それなら、姉の容態が悪化したらお呼びいたしますから、どうかお休みください」
「分かったわ。ごめんなさいね、あなただってシエスタのそばについていたいでしょうに」
「いえ……さあ、お部屋までお送りいたします」
 二つの落ち着いた足音が、ゆっくりと遠ざかっていく。ティファニアはそっと角から顔を半分だけ
出した。二つの背中が、廊下の向こうに消えていくのが見えた。五十九年前よりも、さらに小さくな
った背中。あれがルイズだった。
 二人が立ち去ってから少し時間を置いて、ティファニアは歩き出した。冷たい石床の上を、足音を
立てないように注意しながらシエスタの部屋に近づく。ノックの音がルイズの寝室に聞こえては困る
から、黙ってゆっくりと部屋のドアを開けた。
 部屋に入ってみて、まず物の少なさに驚いた。小さなテーブルに椅子、それから一つだけある木の
棚に入った数少ない器、枕元に明りの灯ったランプが吊るされた、粗末な木のベッド。狭い部屋の中
にあったのは、それだけだった。初めて見る部屋のはずなのに、何故か見慣れているような感覚がある。
(ああ、そうか。ここは、わたしの小屋の中によく似ているんだ)
 殺風景な部屋にティファニアが驚いていると、不意にか細く問いかけられた。
「ジュリアン?」
 ティファニアは慌てて後ろ手にドアを閉めた。
「いえ、わたしです、ティファニアです」
 声に答えながら、ベッドのそばに歩み寄る。
 シエスタとは、この五十九年間連絡を絶やしたことはない。たまに小屋を訪れる彼女と、何度も言
葉を交わしてもいた。
 にも関わらず、ランプのおぼろげな明りに浮かび上がった彼女の顔を見たとき、ティファニアは五
十九年という歳月の長さを思わずにはいられなかった。
 かつては黒く艶やかだった髪は、すっかり白くなった上にところどころが薄くなっている。水気を
失って乾いた肌には深い皺が何本も刻まれ、細く息が漏れ出す唇は色を失ってかさかさだった。閉じ
られていた目蓋が億劫そうに開かれ、その下に隠されていた黒い瞳が、ティファニアを見上げた。
「ああ、ティファニアさん。お待ちしておりましたよ」
 彼女は体を起こそうとしたらしく、かすかに顔をしかめた。ティファニアは慌ててそれを止めた。
「いえ、そのままで大丈夫ですから。ご無理をなさらないでください」
「すみませんね」
 言葉は短く、苦しげだった。
「本当に、すみませんね、ティファニアさん」
「何がですか?」
「こんなことに、無駄に歳月を費やさせてしまって……わたしのことを、恨んでいるでしょう」
 ティファニアは驚いた。彼女の口から自分に対する謝罪を聞いたのは、この五十九年間で初めての
ことである。死の際にあっても、それは変わらないと思っていたのだが。
「いえ、恨んでなんかいません。わたしだって、自分でこの道を選んだのですから」
 キュルケやタバサ、ギーシュの顔が頭に思い浮かぶ。シエスタは乾ききった口元に微笑らしきもの
を浮かべた。
「でも、わたしがあんな提案をしなければ、思いつきもしなかった選択でしょう」
「それは……そうかも、しれませんけど」
「いいんですよ、あなたには何の罪もありません……悪いのは、すべてわたしです。でも後悔はして
いません。だって、これがサイトさんの望みだったんですもの。ミス・ヴァリエールを見ましたか?」
「いえ。でも、声は聞きました」
「優しくて、暖かかったでしょう」
 シエスタは満足げに息を吐いた。
「そして何より、彼女は今も幸せです。今だけでなく、この五十九年間、ずっと幸せでした。当たり
前ですよね、彼女にとっては、サイトさんが元気に生きてさえいれば、それだけでもう十分幸せだっ
たんですもの。その幸せは、あなたの助けがなければありえなかった。ありがとう、ティファニアさ
ん。本当に感謝しています」
 ティファニアには、なんと答えていいのか分からなかった。シエスタは、そんな彼女を見上げて目
を細める。

56:不幸せな友人たち
08/02/17 16:44:07 fIg3HJdo
「でもねティファニアさん。本当は、わたしが一番幸せだったのかもしれません」
 驚いてシエスタを見ると、皺だらけの顔に穏やかな微笑が浮かんでいた。
「夢を見ているような気分でした。三日置きに梟が手紙を持って飛んできて、それをミス・ヴァリ
エールが嬉しそうに受け取って……彼女が待ちきれないように封を開いて中身を読み始めるとき、わ
たし、いつもそばにいて一緒に読みました。サイトさんの活躍に笑ったり、陥った危機に不安を感じ
たり、無事だったと分かって抱き合って喜んだり……真相を知っているのに、わたしまだ、あの人が
生きているんじゃないかって信じそうになったぐらいです。そのぐらい、あなたの手紙はその向こう
にサイトさんの存在を感じさせてくれました」
 そう言ってから、少し不思議そうに問いかける。
「ねえ、どうして、あんな手紙を書くことができたんですか?」
「分かりません」
 ティファニアは正直に答えた。この五十九年間、手紙の文面に困ったことはほとんどない。今サイ
トがどこにいるのかとか、設定を決めるときはシエスタの助言を受けたが、それさえ分かれば文面は
すらすらと浮かんできた。何故そんなことが出来るのかは、未だに分からない。
「そう。ひょっとしたら、サイトさんの魂が、わたしたちに力を貸してくださったのかもしれませんね」
 それはあまりに都合が良すぎる解釈なのではないか、とティファニアは思った。それが伝わったか
のように、シエスタが小さな声で謝罪する。
「ごめんなさいね、あなた自身は、そんな風には考えられないでしょう。だけど、わたしはそう思
います。あなたのペン先にサイトさんの魂が宿って、わたしたちに幸せな夢を見せてくださったん
だって。サイトさんはとても優しい人でしたし、ミス・ヴァリエールが生きることを望んでいたんで
すもの。きっと、わたしがしたことも許し、受け入れてくださるはず。そうでしょう?」
「そうかも、しれませんね」
 ティファニアは迷いながらも頷いた。確かに、才人が自分達をなじり、罵るような情景は頭に思い
浮かばない。そう思わせてくれる少年だったのだ。
 そんなティファニアを見上げていたシエスタが、不意に目を見開いた。
「ねえ、わたし、本当に夢を見ていたのではないのかしら?」
 ティファニアが驚いて見返すと、シエスタもまた、食い入るように見つめ返してきた。
「だって、あなたの姿、昔と少しも変わらないんだもの。わたしたちだけが変わってしまっただなん
て、とても信じられません。ねえ、夢だったんでしょう。みんな、悪い夢だったんでしょう? 本当
はあの日のまま時間が止まっていて、サイトさんもミス・ヴァリエールも……ご友人の皆さんも、何
も変わらずに笑っているんでしょう? ねえ、そうなんでしょう、ティファニアさん」
 懇願するような問いかけに、ティファニアは一瞬頷きそうになった。咄嗟にポケットに手を伸ばし、
タバサのナイフをつかむ。瞬時に強さを取り戻した心が、甘い囁きを弾き返した。
「いいえ、夢なんかじゃありません。サイトはあの日死にました。わたしたちは自分たちの意志で、
ルイズさんに酷いことをしました。彼女は偽りの幸せの中で、歪な生を生きて、ここにいます。それ
はどんな理屈をつけたって許されることではありませんし、わたしたちはきっと、地獄の業火の中で
永遠に終わらぬ罰を受けることになるでしょう。夢なんかじゃありません。それが、現実です」
 一言一言、強く言葉を絞り出す。死の際にあって、シエスタがきちんと現実を受け入れるように。
彼女がどんな思いを抱いていたとしても、罪は罪なのだ。実行した自分も、それを考え出したシエス
タも、やはり罰を受けるべきだろう。幸せな夢の中に逃げ込んだまま逝くなど、自分達には許されな
い。そう思えた。
 シエスタはさほど傷ついたようには見えなかった。それどころか、五十九年前に見せた冷たい微笑
の残滓を、皺だらけの顔に浮かべさえした。
「そうですね、ありがとう、ティファニアさん。おかげでわたし、自分が成し遂げたことを、はっき
りと思い出せた気がします。わたしたちは、ミス・ヴァリエールに幸せな人生をもたらした。サイト
さんの願いを、叶えて差し上げたんです」
 シエスタは目を見開き、口元に狂おしい笑みを張りつけたまま、虚空に向かって震える手を伸ばし
た。その腕は枯れ木のように細く、弱弱しい。


57:不幸せな友人たち
08/02/17 16:44:50 fIg3HJdo
「ああ、サイト、サイトさん」
 愛しい人の名を呼ぶ彼女の声音は、気分が悪くなるほどに情熱的だった。
「わたし、やりとげましたよ。あなたの残した言葉どおり、あの人に幸せな一生を送らせてあげまし
た。喜んでくださいますか、サイトさん、サイトさん、サイトさん……!」
 感極まった叫びの後、彼女の腕が力を失い、ゆっくりとベッドに落ちた。いちいち確認するまでも
なく、彼女が死んだことが分かった。
 目を見開き口元に笑みを張りつけたまま、死に顔は虚ろだった。ティファニアは手を差し出し、
そっと彼女の瞳を閉じてやる。それだけで、虚ろな死に顔が穏やかなものに変わった。皺だらけの顔
に、遠い昔彼女が浮かべていた、穏やかな笑みの残り香が漂っていた。
 彼女は、今わの際に才人に会うことができたのだろうか。それとも、今わの際になっても会えな
かったからこそ、彼を求めて空に手を伸ばしたのだろうか。
 どちらとも、判断がつかなかった。
 ティファニアの背後で、扉が開いた。ジュリアンが静かな足取りで入ってくる。
「姉は、逝きましたか」
「ええ」
 短いやり取りのあと、ジュリアンはティファニアの隣に立って、姉の死に顔を見下ろした。
「わたしにとっては、ただ優しい姉でした。その優しさを振り捨ててまで、この人はサイト殿への愛
に殉ずることを選んだのでしょう。やり方は間違っていたかもしれませんが、愛情深い人だったのです」
 ティファニアは何も答えられなかった。わずかな沈黙のあと、ジュリアンが問いかけてきた。
「あなたは、これからどうなさるのですか」
「どう、と言いますと」
「みんな、死んでしまいました。奥様を取り巻く嘘の周りにいた人は、みな。残っているのは、あな
ただけです。どういう選択をしたとしても、賛同する人も責める人も、もう誰も残っていません。た
だ一人、奥様ご本人を除いては」
 その言葉を聞いて、ティファニアは自分が本当に一人になったのだと急に実感した。
 もう、誰もいない。残っているのは、この五十九年間、必死になって作り上げてきた嘘と、その中
で幸せに笑うルイズだけ。
「分かりません」
 またポケットのナイフを握りながら、ティファニアは答えた。
「分かりません」
 ジュリアンは何も言わず、黙って姉の死に顔を見つめていた。

 シエスタの葬儀は、ひっそりと行われたらしい。参列したのはルイズとジュリアンだけで、流され
た涙も二人分だけだ。
 冬が過ぎ、春になった。この土地に来てから、ちょうど六十年目。
 ティファニアは帽子を被って森から抜け出し、町へ出た。
 彼女らがこの土地に来たころとは比べ物にならないほど、町は大きくなっている。全て、才人の
期待と愛情に答えようとした、ルイズの奮闘がもたらした豊かさだった。
 人々の明るい笑い声が飛び交う中、ティファニアは一軒の店に入り、そこで緑色のワンピースを購
入した。自分が遠い昔、まだ罪人でなかったころに着ていたものと、よく似た服だった。
「とてもよくお似合いですよ」
 店員が言う。ティファニアは硬い声で即答した。
「いいえ、全然似合っていません」
 ティファニアの答えに困惑する店員に代金を払って、店を出る。そのまま、町の共同墓地に向かった。
片隅に立てられているシエスタの墓標の前で手を合わせたあと、ポケットの中のナイフを握り締める。
 半年前、シエスタが死んで以降、ルイズの体調は日に日に悪くなっているらしい。もう長くはない
だろうと、ジュリアンが報せを送ってきていた。時間は本当に、あとわずかだ。
(今日こそ、ルイズさんに会おう。彼女に真実を知らせるために)
 町より高い場所に建つ剣の城を見上げながら、ティファニアはさらに強く、ポケットの中のナイフ
を握りしめた。

58:205
08/02/17 16:45:42 fIg3HJdo
「シエスタ」は以上。
続いて、サブタイトル「再び、ティファニア」と投下します。

59:不幸せな友人たち
08/02/17 16:46:13 fIg3HJdo
 剣の城の城門がゆっくりと開き、降りた跳ね橋を通って慌てた様子のジュリアンが駆け出してきた。
「ティファニアさん、一体どうなったのですか」
「連絡もせずに、ごめんなさい」
「いいえ、それはよろしいのですが」
 言いかけたジュリアンは、ティファニアの格好を見て息を飲み、厳しく目を細めた。
「お覚悟を、決められたのですね」
「そのつもりです」
「分かりました。我が主の下に案内いたしましょう」
 半年前、シエスタが死んだ夜のように、ジュリアンが先に立って歩き出す。ティファニアはその後
を追った。薄曇りの空の下、剣の城の中庭を通り抜ける。春の花々が、色とりどりに咲き乱れていた。
「この庭は、ジュリアンさんがお世話を?」
「ええ。奥様も大変気に入られておりまして、ここに椅子を持ってきてサイト殿からの手紙を読むこ
ともございます」
 暖かい日差しの下、花々に囲まれて手紙を読みながら微笑むルイズの姿が思い浮かぶ。不意に、先
程までは綺麗に見えていた花々が、何か歪なものに感じられてきて、ティファニアは中庭から目を背けた。
 城館に正面から入るのは、ここに初めて来たとき以来である。シエスタの部屋がある一階を通り抜
けて、二階へ上がる。ルイズの寝室は、階段のすぐ近くにあった。大きな両開きの扉が、ティファニ
アの前にそびえ立っている。
「奥様に、お客様がいらっしゃったことをお知らせいたします」
 扉に手を触れる前に、ジュリアンが振り返った。
「心の準備を、しておいてください」
 そう言い残し、彼はノックしてから部屋に入った。
「あら、どうしたのジュリアン」
 扉の隙間から、シエスタが死んだ日に聞いた声音が聞こえてくる。ティファニアは身を硬くし、
ポケットの中のナイフを強く握り締めた。
(タバサさん……どうか、わたしに、選択を誤らぬ力をください)
 念じると同時に、また声がした。
「珍しいわね、お客様? どうぞ、お通ししてちょうだい」
 ジュリアンが出てきて、部屋に入るよう無言で促した。彼はついてこないらしい。ティファニアは一
人、帽子のつばをつかんで下げながら、ルイズの寝室に足を踏み入れる。
 寝室は、元貴族のものとしては実に質素なものだった。シエスタの部屋も私物は少なかったが、こ
ちらもさほど多くはない。ただ、部屋の隅に置かれた長櫃だけが、やけに目に付いた。
「ようこそ、剣の城へ」
 長櫃とは反対側の隅から、声がした。ティファニアは、はっとしてそちらを見る。そこには質素だ
が大きなベッドが置いてあった。一人用ではなく、二人用だ。その事実が、胸を強く締め付ける。
 そしてそのベッドの上で、一人の老女が上半身を起こしていた。
「わたくし、主の留守を預かっておりますルイズ・ド・ラ・デルフリンガーと申しますわ」
 穏やかな声で話しかけられ、微笑みかけられたとき、ティファニアは決意も覚悟も何もかも忘れて、
その場に立ち竦んでしまった。
(ああ、この人、この人は……!)
 年老いたルイズの顔を見るのは、これが初めてではない。彼女の記憶を消すために城に侵入したと
き、寝顔を何度も見ている。ここに来るまでの間だって、彼女が起きて話をしたらどんな風だろうと、
繰り返し想像してもいた。
 だが、実際にこちらに語りかける彼女を目にすると、そういった何もかもが全て虚構に過ぎなかっ
たと、自覚せざるを得なかった。
「こんな格好でごめんなさいね。最近足が痛くて、もう立つことも苦しくて」
 申し訳なさそうに詫びるルイズを見つめていると、ティファニアの胸にじわりと温かさが広がった。
今すぐ彼女のそばに駆け寄り、その膝にすがり付いて声を上げて泣きたくなってしまった。そうした
くなるぐらいに、穏やかで、優しい雰囲気を持った老女だった。アニエスがルイズのことを陽だまり
と称した理由が、今ではよく分かる。
 そうやって扉のそばで立ちすくむティファニアのことを、ルイズは少し怪訝そうに見つめていたが、
やがて何かに気付いたように少し首を傾げた。

60:不幸せな友人たち
08/02/17 16:46:38 fIg3HJdo
「あら、失礼ですけれど、どこかでお会いしたことがあったかしら」
 心臓が高鳴る。ルイズはそんなことには気付かぬ様子で、控え目に微笑んだ。
「気のせいですわよね。こんなに若々しくて、美しい金髪の方と知り合う機会なんて、わたくしのよ
うな老人にあるはずがありませんもの」
 そう言ったあとで、まだ自分の記憶を探るように、かすかに眉をひそめる。
「ああ、だけど本当にどこかでお会いした気がするわ。失礼ですけれど、その帽子を脱いで顔を見せ
てくださらないかしら」
 ティファニアは息を飲んだ。ついに、この瞬間がやって来た。腕を伸ばし、帽子のつばをつかむ。
震える手に無理矢理力を込め、ゆっくりと帽子を取った。
 ルイズの顔に驚きが広がった。
「まあ、テファ。ティファニアじゃないの」
 その視線から目をそらしそうになるのを我慢しながら、ティファニアは問いかける。
「わたしのこと、覚えておいでですか」
 声が震えなかったのは奇跡に近い。ルイズは微笑んで、何度も何度も頷いた。
「ええ、もちろん覚えているわ。友達の顔を忘れる訳がないでしょうに。こっちに来て、もっとよく
顔を見せてちょうだいな」
 ティファニアはルイズのベッドに歩み寄り、そばにあった椅子に腰を下ろした。自分が変な歩き方
をしていないか、座り方がおかしくないか、気になってしょうがない。
 間近で見るルイズの顔は、やはり年老いていた。しかし、もう八十近い年齢とは思えないほどに
若々しい。もちろん皺はあるが、一番深いのは口の周りの笑い皺だったし、鳶色の瞳は若いころと同
じく、いや、もしかしたら若い頃よりもずっと明るく輝いている。何よりも表情や仕草がとても穏や
かだ。一目見ただけで、誰もが彼女の幸せな人生を思い浮かべるだろうと思わせる老女だった。
 ルイズは微笑みながらティファニアの顔を見つめ、深く頷いた。
「本当に懐かしいわ。あなたはちっとも変わっていないのね。やっぱりエルフの血が混じっているせ
いかしら」
 そう言ったあと、少し慌てて詫びる。
「ああごめんなさい、悪い意味で言った訳ではないの。許してちょうだいね」
「いえ、そんな……本当のことですし」
「そう、ありがとう。だけど本当に嬉しかったのよ、わたし」
 微笑に少しだけ寂しさが混じる。彼女はベッドの枠に背をもたれさせながら、目を細めた。
「何故かしら、一人ぼっちになってしまった気がしていたのよ。キュルケもシャルロットも、ギー
シュやモンモランシー、姫様にアニエス様。皆、ずっと前にお亡くなりになって」
 その口ぶりに、悔恨や苦悩の色は窺えない。皆穏やかに死んだと、シエスタが教えたのかもしれない。
「半年前にはシエスタまで死んでしまって。その頃からかしらね、何故だか急に元気がなくなってし
まったの」
 疲労の色を滲ませながらも、その顔にはまだ優しい微笑がある。
「変よね、一人ぼっちだなんて。わたしにはまだサイトがいるっていうのに」
 ティファニアは椅子の上で身を硬くした。ルイズの口からサイトという言葉が漏れ出た瞬間、遠い
昔の雨の日の、血走ったルイズの瞳が脳裏に蘇ってきた。
 そんな彼女には気付かぬ様子で、老女はゆっくりと言葉を紡ぐ。
「今ではもう食事も満足に食べられないのよ。折角作ってくれるジュリアンには悪いのだけれど」
 彼女のことを見ていられなくなり、ティファニアは目をそらす。そして、ルイズの枕元に、見覚え
のある封筒と便箋が置いてあるのを見つけて、思わず訊ねた。
「あの、それは?」
 ルイズはティファニアの視線を追って、笑った。
「ああ、これ? これはサイトからの手紙。サイトったらこの年になってもまだ子供みたいに世界中
を駆け回っているのよ」
 もちろん、それは嘘だ。そういう風に、ティファニアが書いただけの話だ。
「そんな元気な人の妻なのに、わたしは今や夫からの手紙を読み直すぐらいしか楽しみのない、寂し
い老人だわ。ううん、そのはずだけれど、あまり寂しくはないの」
 先程、一人ぼっちになってしまったと言ったことを考えると、少し矛盾した台詞である。だが、お
かしいとは思わなかった。友達が死んでしまったことは寂しく感じるが、今そばにいないとしても、
愛しい人が生きているからあまり寂しくない。そういうことなのだろう。

61:不幸せな友人たち
08/02/17 16:47:54 fIg3HJdo
 ルイズはそっと手紙の一枚を手に取り、少し骨ばった指先で、ゆっくりと紙面を撫でた。
「サイトは今でも、三日に一度は手紙を送ってくれるわ。考えてみれば不思議よね。この六十年間、
どんなところにいても、サイトからの手紙が途絶えることはなかったもの」
 普通に考えれば、おかしなことである。だがルイズは、あまり訝る様子を見せなかった。サイトな
らどんなことをしてもおかしくないと、疑うまでもなく信じているような雰囲気だった。彼女は手
紙に視線を落としたまま、懐かしむように目を細める。
「本当に、いろいろなことがあったわ。もっとも、わたしはずっとこの領地を守っていただけだった
けど。その間、サイトは帰ってきてはすぐに出かけていって。今度こそ落ち着いてくれるかと思って
いたら、思い出を作る暇すらなくすぐにどこかへ」
 ルイズは、自分の背後にある大きな窓を振り返った。深い森と山々を背景に、暖かい春の日差しが
降り注いでいる。薄くかかっていたはずの雲は、いつの間にかどこかへ消え去ってしまっていた。青
い空を一羽だけで飛んでいる鳥を、彼女はじっと見つめている。
「だけど、そういう人なのよね。世界のどこかにあの人を必要としている人がいて、そういう人がい
る限り、あの人は躊躇いなく飛んでいくんだわ」
 飛んでいた鳥の後を追って、もう一羽鳥が飛んできた。二羽の鳥が連れ立って空の彼方に去るのを
見送ってから、ルイズはまたこちらを向く。目を瞑り、自分の胸に手を当てていた。
「結局、わたしの記憶に色あせずに残っているのは、六十年前の、まだ子供だったサイトの姿だけ。
でもね、わたし、それでも後悔はしていないのよ。だって、ずっとサイトを支えてこられたんですも
の。困ったり、泣いたりしている誰かのためなら、自分のことなんか省みずに助けに飛んでいく。そ
んな人の妻として、いつか帰ってくる場所を守ることができたんですもの」
 か細く、だが深く響く声で呟き、ティファニアに微笑みかける。
「だから、とても満足しているのよ。人は不幸な女というかもしれないけど、わたしは胸を張って言
うことが出来る。わたしの人生は、他の誰よりも幸福なものでした、ってね」
 ティファニアは表情を隠すために俯き、強く唇を噛んだ。膝の上に置いた右手の手首を、左手で思
い切り握り締める。今すぐこの場から逃げ出したいという衝動が、抑えきれないほど高まってきた。
「そうそう、今サイトがどこにいるか、知ってる? 今はね、西の大洋の上よ。サイトが年がいもな
く西に向けての航海に旅立ってから、もう何年かしら。ほら見て、あの人からの土産話がこんなにも
たくさん。それにね、あの人ったら、昨日の手紙にこんなこと書いてたのよ。『いま、帰りの船に
乗っている。長い間待たせてばかりですまなかった。今度こそ、ずっと一緒にいよう。もうすぐ、お
前のところへ帰る。愛しているよ、ルイズ』」
 もちろん、ティファニアはその文章を知っていた。なにせ、それは昨日自分が書いたものなのだか
ら。昨日、そんな文章が自然と紙面に記されたこともまた、今日ルイズに会うという決意を後押しし
てくれたのだ。
 ルイズはその文に目を落とし、思いやり深く苦笑した。
「ふふ、馬鹿ねえ、今頃そんな風に気を遣わなくっていいのに。ああ、だけど、聞いてちょうだいテ
ファ。わたし、最後の最後にサイトを悲しませることになりそうなの」
 ティファニアは顔を上げた。ルイズの瞳と目が合うと、彼女は一つ頷いた。
「そう、死期が近づいているのよ。サイトが帰ってくるまでは頑張ろうと思っていたんだけど、自分
でも分かるの。わたしは多分あと一ヶ月、ううん、きっと一週間も生きていられないだろうって。だ
から、ね、テファ。友人として、わたしのお願いを聞いてもらえないかしら」
「なんでしょうか」
「せめて、わたしがいなくなってもサイトが静かに暮らしていけるように、遺言を残しておきたいの」
「遺言、ですか」
「ええそう、サイトはずっとこの領地を留守にしていたから、今自分がどのぐらいの財産を持ってい
るかなんて全然知らないと思う。確かにわたしたちはもう貴族ではないけれども、それでもいくらか
財産はあるわ。そういうことでゴタゴタさせて、サイトを疲れさせたくないの。だから、ね」
 そう言ったあとで、ルイズは何度か苦しそうに咳をした。気息を整えたあとで、「ごめんなさい
ね」と申し訳なさそうに言う。自分だって苦しいだろうに、人にはそれを見せないのだ。そんな人の
頼みを断れるはずもなく、ティファニアは頷くしかなかった。


62:不幸せな友人たち
08/02/17 16:48:50 fIg3HJdo
「そう、ありがとう、テファ。それじゃあ今から遺言状の内容を言うから、代筆してくれないかしら」
 ティファニアは目を見開いた。手の平に汗が滲んでくる。
「代筆って言うと、わたしが、ルイズさんが仰ったことを書くんですか」
「ええそう。ごめんなさいね、もう手も満足に動かせないの。サインだけは何とかするから、ね」
 ティファニアはぎゅっと目を細めた。自分が書いた文章を見たら、ルイズはずっと届いていた手紙
の本当の作者が誰なのか、気付いてしまうかもしれない。そうしたら、それをきっかけに失った記憶
を取り戻してしまう。何故か、そんな確信がある。
(どうしよう。どうしたら)
 ポケットの中のナイフを握ることも忘れて、ティファニアは迷う。ルイズに真実を告げることを目
的としてここに来たはずなのに、いざそのときがくると、やはり心が大きく揺らいでしまう。
 そんなティファニアを見つめて、ルイズは心配そうに、少し身を乗り出してきた。
「どうしたのテファ。そんな悲しい顔をするなんて」
 ルイズの瞳は穏やかで、そこには相手を案ずる優しさしかない。
「ごめんなさい」
 ティファニアは考えもなしに謝っていた。何に謝っているのか、自分でもよく分からなかった。
 ルイズはゆっくりと腕を伸ばして、ティファニアの手にそっと自分の手を重ねた。
「謝らないで。あなたは何も悪くないでしょう。ね、お願い、テファ。わたしの最後のお願いを、ど
うか聞いてちょうだいね」
 緩やかな声音に、強制を強いるような響きは全くない。
 断ろうと思えば、断ることもできる。ルイズはきっと許してくれるだろう。それは悪魔の囁きであ
り、甘美な誘惑だった。ティファニアはポケットの細長い膨らみを数秒見つめ、顔を上げた。
「分かりました、代筆させていただきます」
 ルイズの顔に喜びが広がった。
「ああ、ありがとうテファ。それじゃ、お願いしますね」
 ティファニアはルイズの指示に従って、テーブルをベッドのそばに運んできた。その上にインク瓶
と羽ペン、上質な紙を置き、ペン先をインクに浸す。
 それを確認したルイズは、ベッドの上で背筋を伸ばすと、目を瞑ってゆっくりと言葉を紡ぎ始めた。
自分達のわずかな財産を、残された夫が穏やかに暮らしていける最低限の分だけ残して、あとは全て
国に返還する、という内容だった。実際には彼女は一人身だから、結局財産は全て国に返還されるこ
とになるだろう。
 ティファニアは一字一句違えずに、ルイズの言葉を書き写し続けた。声はこちらを気遣ってか非常
にゆっくりだったから、書き写すことそれ自体は、特に難しくはない。
 だが、腕が震えるのをどうしても抑えることができず、書き記された文字はいつもよりも粗雑なも
のになってしまう。その震えがルイズに真実を知られるかもしれないという恐怖からくるのか、それ
とも真相を悟られまいとする無意識からくるのか、彼女には判断できなかった。
 そうしている内に、声は終わった。ベッドの上でルイズが目を開き、疲れたようにため息をつく。
「……ありがとう、テファ。これで遺言は全てよ。さあ、サインをしなくっちゃ」
 そう言うと同時に、体が傾いだ。ティファニアは慌てて腕を伸ばし、ルイズの体を支える。さして
力のない女の細腕でも支えられるほど、老女の体は細く、軽かった。
 ルイズは恥らうような表情で、ティファニアを見た。
「ごめんなさい、体を支えてくださるかしら。ありがとう」
 ティファニアはルイズの体を支えたまま向きを変えさせ、ベッド脇のテーブルに向き直らせた。遺
言の記された紙に目を落としたルイズが、驚いたように目を見開く。
「あら、テファ。不思議ね、あなたの文字、びっくりするぐらいサイトにそっくりだわ」
 息が詰まった。背中に汗が滲んでくる。
(言わなくちゃ)
 ティファニアはぎこちなく唇を開く。それは当然だ、と。ずっと自分が手紙を書いていたのだか
ら、と、言わなければならない。だが、出てきたのは全く違う言葉だった。
「そうなんですか?」
「ええ、サイトの方がもっときれいだけど」
(何をしているの、ティファニア。早く、ルイズさんに本当のことを打ち明けなさい。何が正しいの
か、よく理解してここに来たはずでしょう、あなたは!)
 心の中で罵り声を上げるが、どうしても真実を告げる言葉が紡げない。そんなティファニアの前で、
ルイズはしげしげと遺言状を眺め、深く思い悩んでいる様子だった。

63:不幸せな友人たち
08/02/17 16:49:48 fIg3HJdo
「本当に不思議。どうしてこんなに似ているのかしら……」
 そう言ったあとで、彼女は不意に目を閉じ、なにかを考え込むように沈黙し始めた。
 ティファニアは全身に嫌な汗を感じながら、ルイズの言葉を待つ。しかし、彼女は黙ったまま、な
かなか口を開かない。
「ルイズさん?」
 耐え切れずに声をかけると、彼女は小さく体を震わせ、目を開いた。ティファニアを見て、穏やか
に微笑む。
「ああ、そうだったわね、まだ力が残っているうちに」
 体から力が抜けそうになった。ルイズの顔には、怒りや憎しみどころか、何の疑いも浮かんでいない。
(気付かなかったんだわ)
 ティファニアはどこかぼんやりとした心地でルイズの腕を支え、彼女が震える手でゆっくりと署名
するのを見守った。そうしたあとで、すっかり力を失ったルイズの体を、そっとベッドに横たえてやった。
「これでいいわ。この遺言はジュリアンに渡してちょうだいね」
 ルイズの頼みに、ティファニアはこくりと頷いた。ひどく疲れているようで、何も考えることが出来ない。
「本当にありがとう、テファ」
 ティファニアは我に返った。枕に頭を乗せ、眠るように目を閉じたルイズの顔に、満ち足りた微笑
が浮かんでいる。
「これで、思い残すことなく逝くことができる」
 ルイズが迷いなく呟く。ティファニアはぐっと拳を握り締めた。何か、胸からこみ上げてくるもの
がある。それが零れ落ちないように、目に力を込めながら問いかける。
「本当ですか?」
 するとルイズは目を開き、微笑を苦笑いに変えてティファニアを見た。
「ふふ、そう、嘘よ。本当は、最後に一目だけでいいからサイトに会いたかったわ。だけどおかしい
わね。最後に思い出すサイトの顔も、やっぱりあの頃のままなの。本当に、おかしな人生だったわね」
 ティファニアは唇を内側から噛み締める。閉じた顎が細かく震えているのが分かった。
「だけど、楽しかったわ」
 ルイズがため息をつくようにそう言ったとき、とうとう耐えられなくなった。ティファニアは両手
で顔を覆って、声を上げて泣いた。自分を責める言葉も何かの理屈も、もう少しも心に浮かばない。
ただ泣きたかった。その想いのまま、声が続く限り、泣き叫び続ける。
 ルイズが困ったように眉尻を下げる。
「ああ、泣かないでちょうだい、ティファニア。わたしはとても幸福なの。幸福なままで、死んでい
くのよ。だから、悲しいことなんて何もないの、だから、泣かないでね、ティファニア」
 ティファニアを慰めるルイズの声は子供をあやすように優しく、涙を拭ってやれないためか、少し
だけ悲しそうだった。

 なんとか泣き止んだティファニアを見て、ルイズは問いかけた。
「これからアルビオンに帰るの?」
「はい、そうなると思います」
 曖昧な答えになってしまったが、ルイズは特に気にしなかった。
「そう。それがいいわ、友達の葬儀って、悲しいもの。わたしのことは気にせず、気をつけて帰って
ちょうだいね。旅の無事を祈ってるわ」
「はい。さようなら、ルイズさん」
「ええ、さよなら、テファ。わたしの大切な友達」
 ティファニアはルイズに背を向け、歩き出した。扉を開けて、外で待機していたジュリアンと入れ
違いに部屋を出る。扉が閉まる直前、二人の声が聞こえてきた。
「少し休むわ、ジュリアン。食事はいいから、あなたも自分の部屋で休んでちょうだい」
「分かりました、奥様」
「夜になったら、眠る前にこの部屋に来てちょうだい。愛しい人のために、最後の一仕事をしなけれ
ばならないの」
 ティファニアは逃げるように駆け出した。

 その夜、ルイズは息を引き取った。
 彼女の言葉に従って、夜になってからジュリアンが寝室を訪れたときには、もう死んでいたそうだ。
 死に顔はとても穏やかで満足そうだったと、彼が教えてくれた。
 その報せを聞いて、ティファニアは涙を流さなかった。
 悲しくなかったのではなく、自分には彼女を想って涙を流す資格すらないと考えたからだ。
 ルイズは嘘に包まれたまま生涯を終えたのだ、とティファニアは思った。

64:205
08/02/17 16:51:09 fIg3HJdo
以上。読んでくださってありがとうございました!
残りはエピローグである「彼女の選択」だけとなります。
早ければ今夜中、遅くとも今週末までには投下できるかと思いますので、最後までお付き合いいただければ幸いです。
では。

65:名無しさん@ピンキー
08/02/17 17:00:33 bn/xLPzz
はぁ・・・せつねー

リアル遭遇わっふるわっふる

66:名無しさん@ピンキー
08/02/17 17:04:02 HRK5Jeer
乙です、
しかしすごい執筆速度と質ですな、尊敬します

67:名無しさん@ピンキー
08/02/17 17:09:19 tBYxTvE6
GJです。あれ、目から塩分が・・・

68:名無しさん@ピンキー
08/02/17 17:25:04 m5fX2nDl
うう・・・

69:名無しさん@ピンキー
08/02/17 17:27:25 m5fX2nDl
>>64
一生懸命読んでます。ありがとう

70:名無しさん@ピンキー
08/02/17 17:44:41 RcZrOhV4
アン様が凄いことになってるのに何故だろう……
目から汗が止まらないぜ……

71:名無しさん@ピンキー
08/02/17 17:53:33 VXMEoqnH
いつもスキップだったのに、今回ははじめてひとたば全部読んだ…

過去ログ追ってみるか

72:名無しさん@ピンキー
08/02/17 17:58:52 tkRwwYBE
アン様…

不幸なシリーズもクライマックスかぁ

73:名無しさん@ピンキー
08/02/17 18:01:22 BE64BrWE
目の前がぼやけて見える、GJです

カトレアさんが、サイトを賭けて麻雀やってる時に、理牌をしてる他のメンバーを見てそれぞれの待ち牌を振りこまないようにして
一人勝ちをするのは想像出来んだけど、文にできないorz

74:名無しさん@ピンキー
08/02/17 18:05:22 OLywp99q
>>64
せつない 皆辛かったんだろうな 
ルイズは最後に気が付いたのかな?
そしてテファはどうなるんだろ

75:名無しさん@ピンキー
08/02/17 18:21:31 2IibZQMc
アン様・・・
心からGJを送らせてもらう
あと少し頑張って下しあ


76:名無しさん@ピンキー
08/02/17 18:33:48 m5fX2nDl
しかしここまで想われる男になってみたいような、なってみたくないような

77:また挿してみた。
08/02/17 18:37:37 B4ZApLeE
涙が出る・・素晴らしい出来だ!
ブラボー

78:名無しさん@ピンキー
08/02/17 18:37:57 BE64BrWE
>>41
妄想は出来ても、文才がないorz

>>76
いや、なりたいだろ普通w

79:名無しさん@ピンキー
08/02/17 18:46:18 m5fX2nDl
>>78
そっかな。重すぎるw
まぁ逆にいえばそれだけの器がないとここまで惚れられないかな

80:名無しさん@ピンキー
08/02/17 18:50:02 BE64BrWE
>>79
その重さがヤンデレ好きにはたまらないw
それを言われると……

81:名無しさん@ピンキー
08/02/17 18:51:49 f/B89TVK
>>80
あれ、俺書きこんだっけ

82:名無しさん@ピンキー
08/02/17 18:55:03 tBYxTvE6
ヒロインズがみんなそれなりに重いからなぁ。テファとタバサは境遇が。
シエスタは純粋に才人好き好きーですでに「二番目でもいい」まで来てるし。
ルイズとアン様はすべてが重い。
>>80-81
うぬら、俺のドッペルか

83:名無しさん@ピンキー
08/02/17 18:58:43 bW/6ZrWW
みんなサイトを好きになりすぎたな。
実際ルイズも原作で末期な感じだし。
ところで>>80-82は俺の分身か?

84:名無しさん@ピンキー
08/02/17 19:36:56 giIj2dC1
>>64
GJ!
長命は不幸だってよく言うけど、
テファは優しいだけにほんとかわいそうだ。

俺の脳内にはこんなかんじに疲れたテファが浮かんでいた。
URLリンク(upload.fam.cx)

無断挿しだから不快だったらすまない。

あ、ろだ一緒だが絵柄見ての通り上の方の挿し氏とは別人。

85:名無しさん@ピンキー
08/02/17 19:46:13 bo9AE0I4
無断挿絵GJ!
>13のまた挿してみた氏もGJだ

了承は不要だからガンガン描けばいいじゃん

86:名無しさん@ピンキー
08/02/17 19:47:55 hty200F9
有無、そろそろエロ分が欲しくなったな・・・

87:名無しさん@ピンキー
08/02/17 20:22:19 BE64BrWE
>>81ー83
仲間だww

保管庫に、サイトがルイズの母親とヤるようなSSってなかったっけ?

88:205
08/02/17 20:28:01 fIg3HJdo
>>84
ありがとうございます。疲れたテファはもちろん、後方の棚に青銅の置物とかがしっかり描き込まれているのに感激しました。
情景描写とかが苦手で、「狭苦しい小屋」としか表現できなかったのになあ……今度はもっと頑張ります。

さて、エピローグが予想以上に早く書き上がったので、これから投下します。
今日は凄まじく連投しておりますが、このSSに関してはこれが最後となりますので、どうかご容赦ください。
では、不幸せな友人たち エピローグ「彼女の選択」を投下いたします。

89:不幸せな友人たち
08/02/17 20:28:53 fIg3HJdo
 ティファニアはルイズの葬儀には参列しなかった。自分にはその資格がないと思っていたので、町
中の大通りにあるベンチに一人腰掛けて、大通りを埋め尽くす人々を眺めていた。
 やはりルイズは自らの死を予期しており、葬儀の準備は既に整えられていた。だから、死の翌日、
城の住人で一人生き残っているジュリアンが、町の教会から司祭を呼び、ささやかな葬式を挙げる。
それだけのはずだったのだが、元男爵が死んだと知るや否や、町中から喪服を纏った人々が城に押し
かけ、とてもささやかな葬儀どころの騒ぎではなくなってしまったのだという。
 ジュリアンは止む無く日程を一日ずらして新たに準備を整え、ルイズが死んでから二日後の日に葬
儀を執り行うこととなった。
(人、多いな)
 ベンチに座って黒い人だかりを見つめながら、ティファニアは驚いていた。人の数はあまりに多く、
どう見ても町の住民だけではない。最新式と思しき空船が町の上空に停泊しているのを見る限り、ど
うやら町の外からも大量に人が訪れているらしかった。外界に情報が伝わる速度はもちろん、それだ
け多くの人がルイズを慕っていたという事実が、ティファニアには信じられなかった。
(ルイズさんは、ずっとこの領地にいて、外界の人と会う機会なんてほとんどなかったはずなのに)
「もし、そこの方」
 不意に声をかけられて、ティファニアはびくりとしながら振り向いた。人だかりから抜け出してき
たと思しき黒い喪服の老婆が、ヴェールの下からティファニアを見つめていた。
「わたしに何かご用ですか」
 動揺を抑えながら問うと、老婆はティファニアの姿をしげしげと眺めて、首を傾げた。
「旅の途中か何かですか? こんな街道から離れた町に立ち寄られるとは、珍しい」
 ティファニアは自分の格好を見下ろした。あの日着ていた緑色のワンピースそのままだ。当然、ほ
ぼ黒一色の人々の中では目立っている。それで声をかけられたのだろう。
「ええ、まあ、そんなところです」
 頷くと、老婆は「そうですかそうですか」と嬉しそうに頷いた。
「この町も、わたしが生まれたころは本当に貧しいところでねえ……外から人がやってくることなん
て滅多になかったのに。本当に、男爵様が来られてから、何もかもがいい方向に変わりました」
 老婆は懐かしむように大通りを見回している。ティファニアもそれに習い、ここに来た当時の記憶
を思い起こした。あのころ、ここには一本狭い道が通っているだけで、陰気な人々が狭そうに肩を寄
せ合って細々と生活していたものだ。それが今や、様々な店が立ち並び、屋根の隙間から教会の尖塔
が垣間見える、賑やかで美しい通りに変わっていた。
「あの方のご指導があって、村は町になり、わたしたちは豊かになりました。男爵様はその頃から滅
多に町に下りてこられなくなりましたが、商売のためにやって来た人や、穏やかな生活を求めて越し
てきた人たちは、みな男爵様に会われて『なんて尊いお方だろう』と喜ばれたものですよ。男爵様か
ら助言や励ましを受けて、人生をやり直せたという方も少なくありません。だから、こんな辺鄙な町
に、こんなにも人が集まったんですよ」
「そうなんですか……男爵様、という方は、とても慕われておいでだったのですね」
「ええ、ええ、そうですとも」
 老婆の皺だらけの瞳から涙が一粒零れ落ちる。
「よろしければ、あなたも男爵様の冥福をお祈りください。本当に、とても立派な方でございました」
 手を組んで祈る老婆の前から、ティファニアはそっと立ち去った。ルイズの冥福を祈る資格は、自
分にはない。そう思った。
 やがて剣の城の城門が開かれた。黒い人の列は少しずつその中に飲み込まれ、偉大な女男爵との短
い別れを済ませて、また山を下りてくる。
 ルイズの亡骸は、森の奥深くにある才人の墓に、彼と一緒に葬られることとなった。あとでジュリ
アンから聞いたところによると、シエスタがそう指示したらしい。自分の死体は町の共同墓地に一人
で葬り、ルイズの亡骸は才人の隣に一緒に眠らせるようにと、ジュリアンに頼んだそうだ。
 棺を担いだ葬列が、ジュリアンの案内で深い森の中を抜け、粗末な小屋のそばを通りすぎ、あの森
の中の小さな広場、突き立てられた剣の下にルイズの亡骸を埋葬する。その光景を、ティファニアは
町の片隅で静かに思い浮かべた。

90:不幸せな友人たち
08/02/17 20:29:18 fIg3HJdo
 葬列が通るときに出来る限り草木を刈り取って道を作ったらしく、その夜、小屋に戻るのは、この
六十年間で一番楽だった。
(そうよね。ルイズさんが死んでしまって、この小屋やサイトのお墓を隠す必要はなくなったんだも
の。これからは多くの人たちが、あの道を通り抜けて、二人のお墓に花を供えることになるんだわ)
 そういう道のそばに、こんな牢獄が存在していいはずはない。ティファニアは部屋の隅に置いてあ
る長櫃をじっと見つめながら、明日にはこの小屋を出て行こうと心に決めた。
 翌朝目覚めたティファニアは、帽子を目深に被り、小屋の中を見回した。
(何か、持っていくものはあるだろうか)
 少し考えて、何もないと首を振る。友人たちから託された品を自分が持っていく資格は、もうない。
(ギーシュさん。わたしは、ルイズさんに真実を教えることを選択したつもりでした。ですが、あな
たのように、最後までその思いを貫くことができなかった。タバサさん、約束を果たせず、ごめんな
さい。ルイズさんは、本当のことを知らないままに逝ってしまいました。あなたのナイフを託されて
もなお、わたしは間違った道を選んでしまったようです。キュルケさん、ハンカチを下さったことに
は感謝しています。ですが、やはりわたしは自分を許すことができません。この後は一所に留まらず、
死ぬまで罰を受けながら生きようと思っています。それで、自分の罪が許されるとは思っていません
が、わたしはもう、そうする他に自分が生きながらえている意味を感じられないのです)
 三つの品をテーブルの上に置き、ティファニアはそれに向かって深々と頭を下げた。
「さようなら、皆さん。皆さんの尊い想いと共に、わたしの幸せな思い出を、ここに置いて行きます」
 言い置いて、ティファニアは小屋を出た。外は小雨がぱらつき、陰気な空模様だった。罪人である
自分が旅立つ朝としては、ちょうどいい天気だ。
 町に下りるために昨日作られたばかりの道を歩いていると、向こう側に誰かが立っているのが見えた。
「やあ、やはりおいでになりましたね、ティファニアさん」
 ジュリアンだった。白髭を生やした腰の曲がった老人が、目を細めてティファニアを待ち構えてい
た。身を硬くしながら、彼に歩み寄る。
「おはようございます、ジュリアンさん。昨日は何のお手伝いも出来ずに、すみませんでした」
「いえ、それは大丈夫です。たくさんの人たちが手伝いを申し出てくださいましたから。おかげさま
で、なんとか葬儀の準備を終えることができたのです。奥様が立派な方だと知っていたつもりでした
が、昨日改めて、それを思い知った気分ですよ」
 ジュリアンはじっとティファニアの顔を見上げた。
「ですがそれも、ティファニアさんが作り上げた嘘が生み出した結果です。ですからわたしは」
「ありがとう、ジュリアンさん。でも、どれだけ多くの人に幸をもたらしたところで、わたしが犯し
た罪の重さには何の変わりもありません。だからわたしは、やはりここを出てゆきます。わたしがル
イズさんたちのそばにいる資格があるとは、とても思えませんから。では、失礼します」
 一方的に決め付けて、ティファニアはジュリアンの脇を通り過ぎようとした。老人は驚くほどの力
で彼女の袖をつかみ、引き止めた。
「ではせめて、城の方へおいで下さい」
「城……剣の城へ? 何故ですか?」
「墓前で直接お別れを申し上げられないのでしたら、せめて奥様のお部屋で、出立の挨拶をしていっ
てください。罪を犯したという自覚がありながら、何のけじめもなく逃げるように出て行くのは、そ
れこそ許されないことなのではありませんか?」
 ティファニアは否定できなかった。ルイズの部屋に入ることだって、自分にとっては十分許されな
いことではある。だが、どう言ってもジュリアンが引き下がるとは思えなかったし、彼の言葉が全て
間違っているとも言いきれない。
「分かりました。では、最後に城に立ち寄らせていただきます」
 結局、ティファニアは彼の言葉に従うこととなった。

91:不幸せな友人たち
08/02/17 20:30:23 fIg3HJdo
 ルイズの寝室は、あの日ティファニアが出て行ったときそのままに保たれていた。
「なにぶん、予想以上に忙しくなってしまいまして。片付ける暇が全くなかったものでございますから。まあ元々散らかっておりませんでしたから、掃除の必要はないも同然なのですが」
 ジュリアンはそう言っていた。本当に、あのときのままだ。ティファニアがルイズの遺言を代筆す
るために持ってきたテーブルも、そのままの場所に置いてある。才人から届いた、とルイズが思い込
んでいた手紙の山も、部屋の隅の長櫃にそのまましまいこまれていた。
 その長櫃を複雑な思いと共に見つめていると、背後のジュリアンが静かに声をかけてきた。
「奥様は、あなたからの便りを本当に楽しみにしておられました。真相を知っていたはずの姉ですら
そうです。何故そんなにも、サイト殿の意志をそのまま伝えるかのような手紙が書けるのか、姉は
ずっと不思議がっていましたが……わたしには、分かるような気がします」
 振り向くと、ジュリアンはどこか必死な表情でティファニアの顔を見つめていた。
「それは、手紙を書いていたあなた自身が、奥様とサイト殿のことを深く愛しておられたからです。
深く愛し、生前の二人を優しい気持ちで見つめていたからこそ、サイト殿の思いをよく理解し、彼の
ように書くことが出来た……全ては、あなたがお二人に対して抱いていた、愛情の賜物なのです」
 ジュリアンは祈るように手を組み合わせた。
「ですから、自分のことを罪人などと仰らないでください。六十年前、あなたが決断を下した場所に
いなかったわたしに、何かを言う資格があるとも思えませんが、どうかこの言葉を聞き入れていただ
きたいのです。あなたはとても純粋に、心の底から奥様のことを案じられていた。だからこそ自分を
激しく責めながらもこの辛い務めを最後まで成し得たのだし、奥様に本当のことを告げることができ
なかったのです。どうか、ご自分のことを許してあげてください。あなたは醜くも卑劣でもありませ
ん。ただただ優しく、意志の強い人なのですから」
 縋るように言い募るジュリアンに、ティファニアは微笑み返した。
「ありがとう、ジュリアンさん。でも、あなたの言葉を受け入れることは出来ません。間違いは間違
いで、罪は罪。わたしは一生自分を許すことはないでしょう」
「そんな……奥様だって、真実を知ったら、きっとあなたのことをお許しになったでしょうに」
「いいえ、ルイズさんだって、絶対にわたしのことは許さなかったはずです」
 ティファニアの脳裏に、若いルイズの血走った瞳が浮かび上がる。自分を責める怒りに満ちた叫び
声もまた。遠い昔の、しかし鮮明に刻み付けられた記憶だ。
「いいんです、ジュリアンさん。あなたのお気遣いはとても嬉しいですけど、わたしにはそれを受け
る資格がありません。そもそも、わたしを許すことができる人は、もうこの世には」
 ティファニアはふと、そこで言葉を止めた。部屋の中の風景に、何か違和感を感じる。
(なんだろう?)
 じっと目を凝らす。部屋の中は、ジュリアンの言葉どおり、ルイズが死んだ日と全く変わっていな
いはずだ。なのに違和感があるのはどういうことか。
(何かがあの日と違う……何が違うの?)
 違和感の出所は、ベッドの隣に置いてあるテーブルだった。あの日、ティファニアがルイズの遺言
を代筆するために持ってきたテーブル。その上に、何か黒い染みが広がっている。
(最期にルイズさんと話したときは、あんな染みはなかった)
 記憶の中のテーブルは、多少傷はあったものの、よく磨かれていて汚れはなかったはずだ。その上
にはインク瓶と羽ペンが置かれていた。羽ペンは黒い染みを避けるように置かれており、蓋の開いた
インク瓶は倒れて、零れ出した中身はすっかり乾いてしまっていた。
(インク瓶が倒れたのね)
 近づいてしゃがんでみると、やはりテーブルの側面を黒いインクが流れ落ちた跡が残っており、そ
れは床の上で小さく広がっていた。
 だが、インク瓶は何故倒れたのか。ティファニアはジュリアンを振り返った。
「あの。ルイズさんが亡くなられたあと、お部屋の掃除をされましたか? さっきも同じことを教え
ていただきましたけど、もう一度よく思い出してみてほしいんです」
 ジュリアンは怪訝そうに目を細め、首を振った。
「いえ。なにぶん葬儀の準備で忙しかったもので……ただ、奥様が枕元に置かれていた何通かの手紙
だけは、なくしては困ると思って、元の場所に戻しておきましたが」


92:不幸せな友人たち
08/02/17 20:31:32 fIg3HJdo
 その瞬間、ティファニアの頭で鮮明な像が閃いた。
 苦しげに顔を歪めながら、ベッドの上でなんとか上半身を起こすルイズ。震える腕を伸ばして羽ペ
ンをつかみ、インク瓶の蓋を開けたものの、ペン先を浸した際にインク瓶が弾みで倒れてしまう。中
身のこぼれたインク瓶を戻す体力もなく、ルイズは仕方なく羽ペンを使って何かを書きつけたあと、
羽ペンだけをテーブルの隅に置いた。疲れ果ててベッドに戻り、そのまま目を閉じて永遠に開かない。
(何を書いたの? いえ、何に書いたの?)
 考えるまでもなく、答えは明白だった。ティファニアは部屋の隅に置いてある大きな櫃に駆け寄っ
た。鼓動が速くなっているのを感じながら蓋を持ち上げる。中は手紙で一杯だった。全て、ティファ
ニアが才人の振りをして書き、ルイズに宛てた手紙だ。山の上の一枚に、自然と視線が引き寄せられる。
(これだ)
 ティファニアはその手紙を手に取った。ルイズに宛てた、一番最後の手紙。最期に会話を交わした
とき、彼女が嬉しそうに口元を綻ばせて読んでいた手紙。その封筒に、「愛しいあなたへ」と書いて
あった。ルイズの字だ。
(愛しいあなた……サイトのこと、よね。そう言えば、ルイズさんが亡くなった日、立ち去る直前に
彼女が何か話していたような……)
 ―愛しい人のために、最後の一仕事をしなければならないの。
 ティファニアは息を飲んだ。この中には、ルイズが死の直前、才人に宛てた言葉が記してあるに違
いない。一人、心静かに、万感の想いを込めて書き記した言葉。
 自分に、それを読む資格があるだろうか。
(ううん、読まなくちゃいけないんだわ、わたしは)
 この中には、きっと才人への愛情に満ち溢れたメッセージが書き記されている。
 それを見て、もう一度ルイズの愛情の深さと尊さを思い出し、自分が犯した罪の重さと汚らわしさ
を、強く心に刻み付けなければならない。
 ティファニアはそう考え、選択した。
 封筒のふたを開けて中の紙を取り出す。裏面に何か書いてあるのが分かった。
 ティファニアは震える手で紙を広げる。予想に反して、記されていたのは短い一文だけだった。
「……え?」
 そこに書いてある言葉の意味を、すぐには理解できなかった。
 何度も何度も読み返し、ようやくその意味を理解してから、ティファニアは幾度も首を横に振った。
ぎゅっと目を細めても涙が溢れそうになって、歯を食いしばる。絞り出した声は頼りなく震えていた。
「違う、違うの……!」
 足から力が抜けて、床に膝を突く。堪えきれずに溢れた涙が、頬を流れ落ちた。
「わたし……わたしは……!」
 突然泣き出したティファニアに驚いて、ジュリアンが駆け寄ってくる。彼は戸惑いながら彼女の手
元にある手紙を覗き込むと、目を見開き、細めた。それから労わるような笑みを浮かべて、震える彼
女の両肩にそっと手を置いた。
 折りよく晴れた空から窓越しに日差しが降り注いで、部屋の中を淡い色に染める。その暖かさに抱
かれながら、ティファニアはいつまでも声を上げて泣き続けた。

 彼女が手に持つ手紙の裏面に、短い一文が書き記されている。
 最期の力を振り絞って書いたのだろう。その文字は乱れに乱れ、か細く震えていた。それでも正確
に、こう読むことができる。



 ―優しい嘘を ありがとう―



 不幸せな友人たち

 END.

93:名無しさん@ピンキー
08/02/17 20:36:49 hty200F9
>>92
やべぇ・・・目から塩水が止まらん
まじでGJ

94:名無しさん@ピンキー
08/02/17 20:39:59 BE64BrWE
°・(ノД`)・°・ルイズ気付いてたのか
GJでした

95:205
08/02/17 20:41:01 fIg3HJdo
うお、無駄に後書きめいたこと書いてる間にもうGJが……ありがとうございます!

えー、以上です! 暗くて長い話に最後までお付き合いいただいて、本当にありがとうございました!
最後の最後で一行改行ミスって大いに凹んだけどまあいいやHAHAHA……orz

途中で馬鹿な失敗やらかしてたことを指摘されて一回全消しして顰蹙買ったりしましたし、
出来自体には不満足な部分が多いのですが、書き上げられたこと自体には満足しております。

深い考察をいくつも頂くことができ(書いてる本人が「そうだったのか!」と驚くコメントが多かったです)、
最後には挿絵までつけてもらって、タイトルの割に本当に幸せな作品だったと思います。
最後まで書き上げられて本当によかった。なんとか、登場人物をみんな解放してあげられたと思います。

ちょっと休んで、また未完の長編を終わらせられるように頑張りたいです。多分犬竜とか。いつになるかは分かりませんが……

それでは。最後まで読んでくださって、本当にありがとうございました!

96:名無しさん@ピンキー
08/02/17 20:42:01 OLywp99q
>>92
やっぱり気が付いていたか 
テファのした事によってルイズは救われ男爵領の人々は幸せになった
そう考えるならテファが自分を許してもいいような気がする
最後にGJ!

97:名無しさん@ピンキー
08/02/17 20:45:59 VXMEoqnH
>>95
GJ!!です。おつかれさまでした

わたしの稚拙な語彙では、この作品を語ることができません

98:名無しさん@ピンキー
08/02/17 20:46:36 tBYxTvE6
>>92
一日にどんだけ塩分と水分を失わせる気かと・・・いやまじでGJです。
余韻がじんじん響きますね。最後の一文で、切なさが五臓六腑にしみわたります。

シリーズ完結オメ。ここまでの完成度を保ったまま最後まで書き上げるというのがどんだけ大変なことか。
ここしばらく、尋常ではない集中力を発揮して没頭されていたことと推察します。
それをなしとげたこの日、205氏にはGJの花束をどんだけ振りまいても足りない気がします。

99:名無しさん@ピンキー
08/02/17 20:46:41 Qb0snNni
怒涛の投下ラッシュ乙でした。
心の底からGJ!

100:名無しさん@ピンキー
08/02/17 20:58:42 OnJOTQ2L
いったい俺からどれだけの水分を奪えば気が済むんだ?

101:名無しさん@ピンキー
08/02/17 21:00:38 BE64BrWE
ルイズが何十年間もみんなが自分のために優しいウソをついてると知ってても、みんなの為に騙されたフリをしてたんだなぁと
そう考えたらまた泣けてきた°・(ノД`)・°・
変な文章でスマン

102:名無しさん@ピンキー
08/02/17 21:07:19 giIj2dC1
>>95
GJ!そしてシリーズおつかれさまでした。
最後の最後にテファが報われてよかった。

挿絵喜んでいただけてほっとしてます。
情景描写が苦手とは…。むしろずっと目に浮かんでいました。
鬱蒼とした森と小屋、明るくてきれいだけどどこか寂しい雰囲気の城内。
テラスで泣くルイズは、テファに感情移入していたからかひどく眩しかったです。

今はあの世でサイトと再会して抱きついてるルイズが見える。
心の底からGJ。

>>101
気づいたのってテファの字見た時じゃないの?

103:名無しさん@ピンキー
08/02/17 21:14:28 Y7MWC4hQ
205さんありがとう。

もうそれしか言葉が出てこない。


104:名無しさん@ピンキー
08/02/17 21:16:29 Y7MWC4hQ
>102
無粋なことを言うものでない。
読み取り方は人それぞれじゃないか

105:名無しさん@ピンキー
08/02/17 21:21:41 giIj2dC1
>>104
それもそうだな。>>102 悪かった。

106:名無しさん@ピンキー
08/02/17 21:36:40 m5fX2nDl
>>95
答えなんか出せなくても皆一生懸命生きたんだな。それぞれの
キャラの想いや愛情の深さが胸をついて涙が・・・
前スレで頭でっかちなだけの長文感想を書いた自分が恥ずかしい。
素晴らしいお話をありがとう205さん

。・゚・(ノД`)・゚・。

107:名無しさん@ピンキー
08/02/17 21:42:10 bW/6ZrWW
>>95
GJ。うう・・自然と目から汗が・・・
みんな本編では幸せになってくれよお。

108:名無しさん@ピンキー
08/02/17 21:51:43 VjVU0whN
>>95
感動した・・・。こんな重いゼロ魔はある意味新鮮だわ・・・大作をありがとう。

しかしここまで書かれるとif的な感じで死後の世界での話も考えちまうな・・・。
デスノで言えば死後の世界なんてないんだけど。でもこれはさすがに無粋かな?

109:名無しさん@ピンキー
08/02/17 21:59:28 9jMvsti5
そういや最近
ルイズもの皆無だな

110:名無しさん@ピンキー
08/02/17 22:00:15 bn/xLPzz
テファ達がルイズに嘘をついてるように見えるが
ルイズ達がテファに嘘をつき続けてる、って可能性を考えてた

テファもシエスタの情報以外は外界と触れてなかったわけだし。

111:名無しさん@ピンキー
08/02/17 22:18:01 HRK5Jeer
>>108
死後の世界などないから死とは重いのだって誰かがいってました

112:桃りんご太郎(ひめ)
08/02/17 22:33:18 HCpUXRBs
むか~しむか~しあるところにお姉さん(アニエス)とお姉さん(アン)が住んでいました。
で始まる桃りんご太郎(ひめ)という電波を受信した。
当然主役はテファ、お供は、武器を持たせたら無敵の犬(サイト)、尻は赤くないが腹は黒い猿(シエスタ)、きゅいきゅいと鳴く雉(シルフィ)。
鬼は、桃りんご太郎の胸に嫉妬したルイズとシャルロット。プラスギーシュ他男子生徒。
やっぱりサイトのハーレムエンド。
後は文章にするだけだが、それができない。
誰か完成させてくれ。

113:名無しさん@ピンキー
08/02/17 22:34:52 P8egwKax
>>92
ハッピーエンドとも違う、「トゥルーエンド」。そんな作品だったような。
泣いた。GJ。




…次は是非エロにも取り掛かられたし(ボソ

114:また挿してみた。
08/02/17 22:44:31 B4ZApLeE
>>95 205氏
畜生!感動からくるふるえと
マジであふれてくる涙で紙がぼやけて新作が描けないではないか。謝罪と賠(ry

今日は気分的にエロ絵なんぞ描く気になれねぇ(涙涙涙涙涙涙涙
でも全然かまわないや・・・エエ話に触れることが出来て最高の気分。

205さんホントにお疲れ様でした!!

115:名無しさん@ピンキー
08/02/17 23:23:24 wemC0Ulz
完結乙ー

最後の一文でかなり鳥肌たったわ…
最大級のGJを氏に…

116:名無しさん@ピンキー
08/02/17 23:46:25 Qv61gWWK
超大作乙

117:名無しさん@ピンキー
08/02/17 23:53:13 Z4pBXLB1
ありがとう。

自分なりに思った感想では、ルイズは何もないゼロだったが、
最初はサイトの為かもしれないが、自分の領地を素晴らしくした、
たくさんの人々を幸せにした、もう魔法以外でもゼロのルイズではない。


途中から嘘に気づいたが、自分の今の与えられた
領主の立場を貫いて領民を守る事や幸せにする事が、
死んでいったサイトにいずれ会う時に
自分のした事を胸をはって言えると思って、
いたのかもしれないですね。


勝手な妄想を書いてしまいましたが、本当に感動の作品をありがとう。


118:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:01:19 9Jvvr6Rk
>>92
たぶんルイズは『気づいていた』のではなく、『気づいた』のではないだろうか。
具体的にはテファの字を見た瞬間。
いくらなんでも気づいていて何もかも傍観していたというのはアンやギーシュ、シエスタの死が無駄になってしまったような印象を受ける。
まぁ、あくまで私見なので解釈のひとつ、ぐらいに思っておいてください。
大作、乙かれさまでした。
次回がありましたら、楽しみにさせていただきます。

119:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:04:06 FM7e8084
優しい嘘を吐いたのはどっちだったんだろ?

120:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:04:27 9Jvvr6Rk
恥ずかしい。携帯で見ているとこういうことが多くて困る。

121:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:13:24 F+WUmHTa
感動した。もう言うべきせりふが無い
>>205氏 GJ!!

122:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:27:01 ZwPj2ro8
>>95

11スレで『幸せな男爵様』が投下された際、ここまでの大作になると予想できた者がいただろうか。いやいまい。

結局何が言いたいかというと、目から溢れ出すケフィアが止まりません ><

123:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:28:08 ZOtIlZOe
はじめから読んでたけどすごいなコレ
プロの方?

124:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:30:59 w/A0+a40
なんだよコレ、ここはへんたいの集まるエロパロ板だろ…

なんで俺泣きそうなんだ(;д;)ウッ

125:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:36:40 4rEjjnp2
おいお前ら!今すぐYahoo!で
「でかいチョコ」
で検索してみろ!

126:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:39:47 JHnhEVu7
>>95
完結お疲れさまです。
丁度11スレ前後からこのスレ見てた自分としては感慨深いものが。

余談ですが、偶然聞いてた「愚蓮」という曲のサビがSSと微妙に重なって少し泣いてしまった。


127:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:44:42 2SbFIPCS
読み終えた後、じわじわ涙があふれてきた
まさかエロパロ版で泣かされる日が来るとは・・・

205氏、ありがとう

128:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:44:43 G5394nwh
>>125
でかいチンコ吹いたww

129:名無しさん@ピンキー
08/02/18 00:53:28 WATuEpmU
テファに書き残す時のルイズの心情はどうだったんだろう。
記憶に関わる事だから、下手すると幸せな自分も幸せな領民も全てが
嘘になってしまうかも知れない。それほど重大な事だよな。
でもテファへのあの一言を書けたし、最後の顔も安らかだった。
テファの行いが自分の為である事を素直に受け入れ、心から感謝する事が出来たんだろうね。
過ぎた過去よりもそう受け入れられる今現在のルイズが大切だった気がする。
結果、やっぱり幸せだったんだよ。ルイズは。
いや、憶測だけど。でも安らかな顔でいけたのは確かだ。(`・ω・´)

130:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/02/18 01:34:39 WgTK77/t
…なーんかさー。俺超場違い?
途中で途切れてる上にコメディ投下していいのかな?なんて思うわけですよ。

でも答えは聞いてないッ!!
それが俺のジャスティ(ry

つーわけで『呪印』テファ編逝きます

131:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/02/18 01:35:19 WgTK77/t
ティファニアが溜息をつかなくなった事に最初に気付いたのは、タニアだった。
それは、ある朝の朝食の給仕の際。
普段は装甲騎士団の面々に囲まれながら物憂げに朝食を採るティファニアだったが、その日はなんと、満面の笑顔で朝食を採っていたのである。
それどころか、普段は挨拶くらいしか交わさず、一方的に喋り続けるベアトリスに対し、
『おはよう、ヴィヴィ。素敵な朝ね。…あら?リボンが曲がっていてよ?』
などと曲がったリボンを直す余裕すらあったのである。
こりゃなんかあったな、と勘付いたタニアは、早速ティファニアの部屋のベッドメイキングを、友達になったメイドに代わってもらうことにした。


「さー吐け。全部吐け」

部屋に戻ったティファニアを待っていたのは、ジト目のタニアだった。

「え?え?な、何をかな?」

迫り来るジト目のメイドに、ティファニアは思わず後ずさる。
その部屋は自分のためにあてがわれた部屋だというのに、思わず出て行ってしまいそうになるくらい。
その退路を塞ぐべく、タニアは扉の前に回りこみ、扉を後ろ手に閉めてしまう。

「とぼけない。お兄ちゃんとどうなった?」

息がかかりそうなほど近づくタニア。
しかし。
その直後、それが致命的な失敗だという事に気付く。
『お兄ちゃん』の辺りでティファニアの頬が桜色に染まり始め、そして、台詞が終わる頃には目尻が垂れ下がっていた。
やばいまずいこれは。

「え?え?え?サイトとどうなったかって?
 …そんなに聞きたい?」

しまったなんか変なスイッチ入った。
桜色に染まった頬に手を当て、ニヤニヤ笑顔でこちらを見つめる元保護者の視線に、タニアはやばいものを感じた。
しかし時既に遅く。
鼻先の、息がかかりそうな距離で不自然に恥らうティファニアの目は、既に目の前の獲物をロックオンしていた。
話す気マンマンである。
イヤがる相手から聞き出すのがその手の話の醍醐味なのに、のろけ混じりにえんえん話されるソレは、苦痛でしかない事をタニアは知っていた。
そしてその次の瞬間、救いがやってきた。
扉の隙間から入り込んできた黒い影が突然、ティファニアの頭を直撃する。

「あら?」

一瞬、ティファニアはフシギそうな顔をしたが。
すぐにぽてん、とその場に倒れこんでしまう。
今がチャンス、とばかりにタニアは部屋を逃げ出す。
その際、柱の影でこちらを見ている青い髪のヘンな女を見かけたが、その時は気にも留めていなかった。

132:正しいペットの躾け方 ◆mQKcT9WQPM
08/02/18 01:36:58 WgTK77/t
目を醒ました私は気付いていた。
私の中に、何かが入ってきた事に。
それは、私の中で蠢いて、心に干渉しようとしてきている。
…私は、本能的にそう考えていた。
…私が、記憶を、心を操る『虚無の担い手』だからかもしれない。
その『何か』は、どうやら私の心の力を欲しているらしい。
…なんだろ、この感じ。
その『何か』が蠢くたび、私の中に妙なキモチが浮かぶ。
誰にも、会いたくない。
…まさか。
私はある可能性に行き当たる。
それはウエストウッドで読んだ御伽噺。
その物語に出てきたのは、お姫様に取り付いた、心を喰らう影。
心を食われたお姫様は、暗い塔の中に閉じこもり、全ての人との接触を絶ってしまう。
それを心配した恋仲の王子様が、姫の張り巡らせた防衛網をかいくぐって、熱いキスで助けてくれるというお話。
その『影』が実在したのかも。
きっとそうだ。
でも。
誰にも会いたくないなんて、そんなことは絶対、ない。
だって私は逢いたい。
サイトに。私の…飼い主様に。
だって、サイトに逢わないと寂しいもん。
前の、サイトに告白する前の時とは違う、そう、例えて言うなら『満たされない』カンジ。
私の心は、身体は、それを覚えてしまった。
だから、サイトに逢わないなんて。
ありえない。
そう思うと、心の中から沸きあがる衝動が、薄くなっていく。
そして思いつく。
そうだ。きっと、サイトならなんとかしてくれる。
サイトに逢えば、こんなキモチ、消し飛ぶ。
それに…ちゃんと説明すれば、サイトが、御伽噺の王子様みたいに…キス…。
ヤダ私ったら何考えてるのかしら…!もうもう!
…とりあえず、私は。
サイトに、逢いに行くことにした。
心の中に、妙なモヤモヤを抱えながら。

133:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/02/18 01:37:29 WgTK77/t
すまん、スキー疲れで今日はここまで。
続きは後日ですノシ

134:名無しさん@ピンキー
08/02/18 01:40:04 CHsiDe4f
>>133へんたいさん乙

135:名無しさん@ピンキー
08/02/18 02:28:21 v2zlgBAO
「不幸せな友人たち」の感動の余韻に浸っていたのに、いきなりへんたいさんの焦らしドSプレイを食らわせられるとは。



へへ…これだからへんたいさんファンはやめられねぇ。ゴクリ

136:284 ◆yJjGBLHXE6
08/02/18 02:41:58 8DXTwoDM
遅くなったが205氏、激しく乙!
深え、深えよ……!! 

そしてそんなあとのへんたいさん乙。
なんか感動物のドラマのあとの番組が落語だったような気分だwwwwwwwwwww

137:名無しさん@ピンキー
08/02/18 02:42:32 8DXTwoDM
やべ、酉消し忘れた

138:名無しさん@ピンキー
08/02/18 07:13:10 uDu1xYPL
>>133
皆が幸せな男爵様の余韻に浸っているときにせんたいさんの
新作エロがww  余韻ぶち壊しだなww  
しかも前振りのみの焦らしプレイww せんたいさんどんだけSなんすかww
とりあえず新作GJ! 

139:名無しさん@ピンキー
08/02/18 07:22:13 66uAhRKo
205氏の長編はコミケで売れるレベル

140:名無しさん@ピンキー
08/02/18 07:27:24 T7+qxNBc
205氏がコミケならボルボ氏は市販LVだなw

141:ルイズと麻雀1
08/02/18 09:48:11 UkVDNZmK
場違いな麻雀ネタ行かして貰います。

サイトがガンダルーヴの力を駆使して、雀卓を作り上げた次の日の朝
サイト「お~い ルイズ麻雀やろうぜ」
ルイズ「何よ麻雀って?」
サイト「あ~ 俺の居た世界に有るゲームなんだよ、ルール教えてやるからやろうぜ」
ルイズ「まぁ暇だからいいわよ」
サイト「よし、じゃあ教えるなまずは、麻雀の必須アイテムである牌から教えるぞ」
ルイズ「牌って何よ?」
サイト「牌って言うのは、色々模様とか書いてあるのがあるだろ?」
ルイズ「色々あるわね」

サイト「漢字っぽいのが書いてあるのが[ワンズ]って言うんだ。
    で、丸いのが並んでんのが[ピンズ]
    竹みたいのが並んいるのが[ソウズ]
    そしてそれらの牌は、1から9まであるんだ
    どれがどの数字かは、並んでる、竹やマルの数とか数字だからわかるだろ」

ルイズ「まぁね」
サイト「で呼び方は、イチとかニとか言わずに、1から9まで、イー、リャン、サン、スー、ウー、ロー、チー、パー、キュウって言うんだ」
ルイズ「ふ~ん、じゃあこの、東西南北や中や発や真っ白な牌は?」
サイト「あ~ それは字牌(じはい)だな」
ルイズ「字牌?」
サイト「字の牌だから、字牌っていうんだよ」
ルイズ「単純ね」
サイト「ちなみに東西南北は風牌[カゼハイ]って言うんだ、読み方は、東[トン],西[シャー]、南[ナン]、北[ペー]で
    残りの、中や発や真っ白な牌は、三元牌[サンゲンハイ]だからな読み方は、中[チュン]、発[ハツ]、真っ白な牌は[ハク]、これが牌の基本的な種類だな」


142:ルイズと麻雀2
08/02/18 09:49:50 UkVDNZmK
ルイズ「難しいわね、もうこれで出来んの?」
サイト「まぁ最初はな、いやまだこれじゃ出来ないよ、次は、牌の組み合わせのやり方だな。麻雀っていうのは、基本は牌を揃えるゲームなんだけど
揃え方にはルールがあるからな。基本的に[シュンツ]や[コウツ]や[アタマ]っていう、3つの牌の揃えを4種類と同じ牌を2枚、計14枚揃えればいいんだ」

ルイズ「何よ、[シュンツ]や[コウツ]や[アタマ]って?」
サイト「まず、[シュンツ]から説明するな。これは連番だったらいいんだ、1、2、3でも5、6、7でも数字が並んでればOKだ
    次は、[コウツ]だな、これは同じ牌が3枚あるもののことだ。例えば5、5、5や9、9、9っていう風に
    最後は、[アタマ]だ、これは、同じ牌が2枚あること」
サイト「で、自分の持ち牌は13枚だから、自分の番が来たら目の前の牌の山から一枚引くのを[ツモる]って言うからな、で、ツモって自分の要らない牌を捨てるんだ
それを繰り返していって。シュンツ、コウツ、アタマをそろえるここで重要なのが、ツモった時は自分の牌は14枚、他の時には13枚になること

サイト「アガる方法は覚えてるよな?」
ルイズ「ええと…確か[シュンツ]か[コウツ]が4種類に[アタマ]が一つよね」

サイト「正解だ」
ルイズ「ねえアガる時って、どうやってアガんの?」
サイト「あぁ、それは[リーチ]を掛けて。相手の捨て牌でアガるのが[ロン]、自分でツモってアガるのが[ツモ]だ、それで上がった時には[役]がつくからな」
ルイズ「役って何よ?」
サイト「役って言うのは、アガったときに貰える点数だよ、最終的に点数の高い奴の勝ちだ」
ルイズ「へぇそうなのね、だったら早く色んな役を教えなさいよ」
サイト「役を教えるのは大変だから、ルイズがアガった時に俺が見て
一飜[イーハン]、二飜[リャンハン]、三飜[サンハン]、四飜[スーハン]、五飜[ウーハン]、六飜[ローハン]、役満のどれに当たるか教えてやるよ」
ルイズ「イーハン、リャンハン、サンハン、スーハン、ウーハン、ローハン、役満って何?」
サイト「簡単に言えばそのアガった時の役の分けかただな。イーハンは安いけどその分出しやすい、役が上がってくると出すのが難しくなってくるけど、その分点数は高くなるからな。」
ルイズ「ふ~ん、判ったわさっさとやりましょ」
サイト「言っとくけど、負けたら罰ゲームだからなw」
ルイズ「な、何ですって!ここここ、このバカ犬、初心者の私が勝てるわけないでしょ----!!!」
サイト「大丈夫だってなんとかなるさwよ~しそろそろ始めるか」
      
つづく?

鳴きとか色々な事が抜けているうえに、説明の仕方も下手なうえ全く面白くなくてすまないorz
駄文で神聖なスレを汚してしまってスミマセンです(´・ω・)



143:名無しさん@ピンキー
08/02/18 10:17:30 oxhxx36v
ふと思ったんだが、ゼロのパロでTSものって見ないね
虚無の魔法の暴走や召還されたときから何故か女になってたり
限られた一場面毎のネタは思い浮かぶけど
それを繋げて読みモノにする文才が無いぜ

144:名無しさん@ピンキー
08/02/18 10:29:17 G5394nwh
>>142
がんばってくだしあ。正直麻雀知らないので、これで勉強してみる。
>>140
そういう言い方は避けたほうがいいかも。下手したら荒れるもとになりかねないからね。
SS作者さんにはそれぞれ味があって、比べるようなものじゃない・・・ってことで。

145:名無しさん@ピンキー
08/02/18 11:13:33 zeLDSk8L
素朴な疑問が2つ。

・また指してみた サンって保管庫とかHPとかないの?
・今までの挿絵はまとめHPには載せないの??

146:名無しさん@ピンキー
08/02/18 11:26:43 4HCJ5xkM
>>143
そもそもTS自体がマイナー属性だから

147:名無しさん@ピンキー
08/02/18 11:34:37 WATuEpmU
TSてなんだと思って調べたら性転換モノなんだな
メイドサイトがせめられてあえぎ声あげたりするのだろうか・・・うーむ

148:名無しさん@ピンキー
08/02/18 11:50:23 mlV5Wmgk
>テファの虚無でサイト女性化→色々あってシエスタの親戚(妹分)ということに
>→シエシエS覚醒

まで読んだ

149:名無しさん@ピンキー
08/02/18 11:57:36 UkVDNZmK
>>144
ありがとう、頑張ってください俺で良かったらアドバイスしますw

サイトが女の子になって、カトレアさんに優しくしてもらうまで
まで読んだ

150:バレット
08/02/18 12:09:57 2orCoRm1
>143

実は今連載中の分でそういう男→女の展開考えてるから期待しないで待ってて欲しい。
でも最初っから女で男装してるって設定じゃダメか?
エロで続ける分にはそれぐらいしか自分のピーマン頭じゃ上手く書けないんだが。

151:名無しさん@ピンキー
08/02/18 12:32:04 vomIHzV5
保管庫に一つか二つあったような気がする。
ルイズもので。

152:名無しさん@ピンキー
08/02/18 12:37:03 UkVDNZmK
>>150
実はサイトは女の子でしたってことですか><


153:名無しさん@ピンキー
08/02/18 13:30:59 w/A0+a40
巨乳半エルフが巨根半エルフになるとかどうよ

そして調教されていく某ツンデレ一年生

154:名無しさん@ピンキー
08/02/18 13:34:03 GSq/VftJ
シエシエがサイトを女装させて調教ってのは昔あったような・・・

155:名無しさん@ピンキー
08/02/18 13:39:18 8NS5VM49
へんたいさん GOOD JIRASHI

156:名無しさん@ピンキー
08/02/18 13:54:43 UkVDNZmK
>>153
某巨乳半エルフが某ツンデレ一年生を調教して、愛するサイトに貢いで
サイトが褒美に巨乳半エルフ可愛がるっていう風に見えたw

157:名無しさん@ピンキー
08/02/18 14:37:46 GSq/VftJ
「不幸せな~」を読んでの小ネタ
感動がぶち壊しなので、注意してください。

205さん、せんたいさん、141さんごめんなさい

158:不幸せなチェリーパイ
08/02/18 14:38:36 GSq/VftJ

  拝啓   愛しののサイト様 

  段々と秋が深くなっていく今日この頃ですが、元気にやっていますか?お腹を出
 して寝て風邪を引いたりしていないですか?あなたは直ぐに無茶をするので、すご
 く心配です。

  こっちは無事に統治権の譲渡も終わって、細かい仕事の引継ぎも全て済みました。
 使用人達も殆ど辞め、今はシエスタとジュリアンの3人でのんびり暮らしています。
  まったく、最後の大事な仕事まで妻にやらせるなんて貴族としての自覚が足りな
 いんじゃないの?帰ってきたらまたオシオキなんだから!

  でも、もし帰ってきてまたすぐに旅に行くようなら、私も付いて行っちゃおうか
 な……
 べ、別にアンタと一緒に居たいとかじゃなくて、最近運動不足というか、のんびり
 しすぎてちょっと身体がなまってきたというか……とにかく!アンタは夫で私は妻
 なんだから、ちゃんとエスコートして私を旅行に連れて行く義務があるんだからね!!

  早くサイトに会える日を楽しみに待っています。さっさと帰ってこない
 と、私お婆ちゃんになっちゃうんだからね!最近、ちょっと身体の線も崩れてきた
 みたいだし、胸もちょっと垂れt

「奥様、すぐ判る嘘はお止めください。

159:名無しさん@ピンキー
08/02/18 14:44:44 GSq/VftJ
おおぅ、最後のほう改行ミスってたorz

昨日、読んで感動しながらどうしても頭からこの話題が離れなかったんですよ。
テファは半エルフだから垂れないとして、シエシエは?女王様は?そして、ルイズやタバサは!!??

 というか、初投稿でこれって言うのもどうだろう…ちょっと死んでくる。

160:名無しさん@ピンキー
08/02/18 15:55:01 YDe2tgcG
これはひどいwww

161:名無しさん@ピンキー
08/02/18 16:34:44 WZneziC6
ヌィーマリーゴ氏グッジョブ

目からだけじゃなく、鼻からも汗がとまらねぇ…
まじめに嗚咽がとまらねぇよ…

なんというか、シエシエの今わの際とウチのカーチャンが他界した日の情景が重なって、
思い出すだけでまた画面が歪んできたさ。

ほんと、いいものをありがとう。


へんたいさん ちょwまっwww

162:名無しさん@ピンキー
08/02/18 16:58:14 8NS5VM49
>153
一瞬、半巨根エルフに見えた。

…どんなチ○コだよ

163:名無しさん@ピンキー
08/02/18 17:08:55 bUFDjN2T
あの、だれか早く
ルイズとサイトが楽しく麻雀やってるSSお願いします
もうすこしで俺悲しみの向こう側行きそう

164:名無しさん@ピンキー
08/02/18 17:38:21 8NS5VM49
そういう時は、自分で書いた方が早かったり…


書いちゃえよ。早ければ早い方がいいぜ?

165:名無しさん@ピンキー
08/02/18 17:43:11 +Yupu0F9
俺は早く皆で王様ゲームやるSSが見たいぜ。

その内、ハルケギニアからの帰還兵さんが書いてくれるはず(゚∀゚)AHAHAHA

166:名無しさん@ピンキー
08/02/18 19:05:09 SaA1DGwl
>>163
麻雀覚えたては役満ばっか狙うんだよな・・・
そして何故かワカランがあがれちゃうんだよな・・・
いきなり”あがっちゃった!これ何点?”とか言ってスーアンコウあがるルイズを想像した。
あと凹むサイトも・・・

俺からもお願いします。

あと遅レスだが不幸な友人 完結GJ!
その後に真逆なせんたいさん登場GJ!
両氏 また新作及び続き期待してまうs。

167:名無しさん@ピンキー
08/02/18 19:23:43 /Y7VA2gf
ルイズとサイトのエロ麻雀書こうとしてるのに、自分の持ち牌を説明すんのが無理だorz

168:名無しさん@ピンキー
08/02/18 19:49:18 5/Dvm/RH
一一三四五888ⅢⅣⅤ白白  發

こんな書き方するのは?強引だけど。


ところで昨日の無作法をテファに代理でお詫びしてもらいましたよ。
URLリンク(upload.fam.cx)

「無粋なこと言ってごめんなさ……あっ!」ポロリ

テファがバニー着て動いたら絶対服のほうが負けると思うんだ。
別に……タキシード描き忘れたわけじゃ……ない……。orz

169:名無しさん@ピンキー
08/02/18 20:01:15 G5394nwh
ほうほうほうw GJw
ほんと、挿絵も保管庫に載せられないかなぁ。

170:名無しさん@ピンキー
08/02/18 21:12:08 l1dHwMB3
パッと見みくるに見えたのは俺だけだろう。

171:名無しさん@ピンキー
08/02/18 22:17:38 /Y7VA2gf
>>168
それだ!!!!
エロイなw

喰いタンはありでいいよね?

172:名無しさん@ピンキー
08/02/18 22:52:58 dyH3CnFx
保管庫に上がってた不幸な友人達読んで久し振りにこっちに来てしまった。11スレの頃にはこんな大作になるなんて思わんかった

作者さんGJ

173:名無しさん@ピンキー
08/02/18 23:55:50 uDu1xYPL
>>169
URLリンク(zerokan.digital-ark.com)
の方なら18禁なのでOKなんじゃね 画像版もあるし

174:名無しさん@ピンキー
08/02/19 00:16:35 oXbKA7du
>>173
おお、「挿してみた」の人とかテファ絵の人たちとか、是非とものっけてほしいな。
そのうちSSに挿してみるだけじゃなくて、うpされた絵のシチュでSS書くという
試みもできるかも。

175:名無しさん@ピンキー
08/02/19 00:22:54 oeZDWwp7
>>95
完結おめでとうございます!
明日も仕事早いのに一気に読んで泣いた…
素晴らしい作品を有り難う!!心からGJ!!

176:せんたいさん ◆mQKcT9WQPM
08/02/19 01:04:33 epmO7ia7
さて>>131完結編投下。

あんましエロくないカポネ

177:正しいペットの躾け方 ◆mQKcT9WQPM
08/02/19 01:05:33 epmO7ia7
才人とシルフィードは、二人一緒に最後の『呪印』の被害者であるティファニアを捜していた。
しかしシルフィードはティファニアが『呪印』に取り憑かれるところを直接見たわけではないという。
ティファニアの部屋に『呪印』が入って行くのを目撃しただけだという。
その後、ブルネットのメイドがそこから立ち去って行くのを見たが、そのメイドには特に異常は見られなかったらしい。

「また見てるだけなのかお前は」
「生死を賭けるのは男の仕事なのねー!」

訳の分からん理屈をぶちあげながら、シルフィードは捜索を続ける。才人も仕方なく、その後に続く。
二人が人気のない裏庭に差し掛かった瞬間。

「あ、サイトー!」

どこからともなく、鈴を転がすような声が聞こえてきた。

「テファ?」

才人が声のした校舎のほうを振り向くと。
規格外の胸を凶暴に弾ませながら、金髪のハーフエルフが駆けてきた。
そのティファニアを見たシルフィードの顔が疑問に歪む。

「あれ?どーしてあの娘、サイトに寄ってくるの?」

才人は、当然予想されるある可能性を指摘する。

「…ひょっとして、テファには取り憑いてないんじゃねえの?」

シルフィードはティファニアが『呪印』に憑依されるところを目撃していない。
才人がそう考えるのも当然だった。

「おかしいのね。そんなはずないのね。『呪印』が魔力を持った女の子を見逃すはずがないのね」
「でもさあ、現にテファが」
「はぁ、はぁ。私がどうしたの?」

二人の議論が始まる前に、ティファニアは才人の前にやってきていた。

「あー、えっとだなあ」

直接本当の事を言ったもんかどうしたもんか、と才人が言葉を濁していると、その隙にシルフィードは説明を始めてしまう。

「そこの巨乳娘!『呪印』憑依容疑者として取り調べるのねー!」

しかし説明になっていない。

178:正しいペットの躾け方 ◆mQKcT9WQPM
08/02/19 01:05:54 epmO7ia7
ごっちん。

才人の拳骨が、シルフィードの脳天に振り下ろされる。

「話がいちいち唐突なんだよお前は」
「痛いのね酷いのね!ぼーりょくはんたいなのねー!」
「こーでもしないと止まらないだろお前」
「ひどいのね差別なのね韻竜虐待なーのねー!」

二人の漫才に、いよいよもってティファニアの顔は怪訝に歪む。
そのティファニアの中で、新たな衝動が生まれた。
サイトに…触れたい。
それはあまりにも自然で、本人も、そうしたいと思っていた。
だから、それが『呪印』による強制だとは思わなかった。

「あの…サイト?」

漫才を続ける二人に、ティファニアの声はとどかない。
少しむっとして、ティファニアは行動に出る。
己の中からの衝動に、突き動かされるまま。

「もう!無視しないでっ」

ぎゅむ。

背後から、遠慮なく才人に抱きつく。

「え、ちょ。テファ?」

突然のティファニアの行動に、驚く才人。
その瞬間。
ティファニアの中から『呪印』が抜け出し、才人へと移ろうとしたのを、シルフィードは見逃さなかった。

「サイト!その娘から離れるのね!」
「え?」

しかしその叫びは遅く。
居心地の悪いティファニアの中から飛び出した『呪印』は、とりあえず目の前にいた人間に取り憑いてしまった。
そう、才人にである。
そして、取り憑かれた才人は。
その場にばたん、とくずおれたのだった。

179:正しいペットの躾け方 ◆mQKcT9WQPM
08/02/19 01:06:17 epmO7ia7
まずいのねやばいのねたいへんなのねーっ!
『呪印』がサイトに入っちゃったのね!
と、とりあえずお姉さまにれんら…。
………………………………シルフィまだ死にたくないのね。
おねえさまにバレたらおしおきじゃすまないのね!韻竜のお作りにされちゃうのね!

「サイト?大丈夫?サイトっ?」

っていうか元凶はこの娘なの!この娘に責任を取らせるのね!

「サイトはしばらく起きないのね。その間に準備をするのね」
「え?それってどういう…」

間抜け面で乳牛娘がそんな事聞いてくる。
うんと。説明はめんどくさいからとりあえず手伝わせるのね。

「問答無用なのね!とりあえずサイトをそのへんの倉庫に運ぶのね!」

なんでか知らないけどこの娘には『呪印』は取り憑けないみたいだから、この娘に運ばせるのね。

「あ、は、はい」

エルフの娘はそう返事すると、サイトの肩をかついでひきずっていく。
そして、シルフィ達は倉庫に入ったのね。
うーんと、オスに『呪印』が取り憑いたらどうなるかよくわかんないから…。
とりあえず、アレを試す事にします。
そして倉庫の中を見ると、頑丈そうな椅子を発見。
エルフの娘に言ってサイトをその椅子に座らせると、シルフィは縄と布を取り出したの。
どっから取り出したなんて野暮な事はいいっこなしなのねー!
さてこっからが本番なのね。

「さーこの縄でサイトを椅子に縛り付けて、目隠しするのね!」

…今、ものすごい呆れた顔されたけど気にしないことにします。
とりあえず、サイトをコーフンさせないとダメなのね!
しょーがないから、シルフィはエルフの娘に事情を説明しましたまる。

180:正しいペットの躾け方 ◆mQKcT9WQPM
08/02/19 01:06:44 epmO7ia7
才人が目を醒ますと、世界が闇に包まれていた。

「えっ、何?」

どうやら感触からして、布か何かで目隠しをされているらしい。
しかも、頑丈な椅子か何かに、縄で縛り付けられているらしく、身動きが取れない。
そして。
やけに肌寒い。というより、肌に布が当たる感触がしない。
つまり全裸である。
全裸で目隠しをされて、椅子に縛り付けられているのだ。
状況が飲み込めない才人だったが、奇妙な違和感を覚えていた。
こんな状況なのに、ちっとも焦っていない自分に。
そんな才人の耳に、聞きなれた声が響いた。

「お目覚めなのねサイト。とりあえず今の状況を説明するのね」

シルフィードの声だった。
そして、シルフィードは相変わらずの意味不明な言葉でで状況を説明する。
とりあえず、内容を要約すると。
才人に、『呪印』が取り憑いてしまったために、椅子に縛りつけたらしい。
つまり。

「…ってことは…?」
「そう、今度はサイトがイタヅラされる番なのねー!」
「ま、まてまてまて!俺お前にどーこーされるのなんてカンベンだぞ!」

実際このアホ竜に何かされることを想像するとぞっとしない。
しかし、それは杞憂だった。

「シルフィはなーもしないのね。するのはそこの淫乱エルフなのね」
「…淫乱ってひどい…」

その鈴を転がすような声は、才人の足元から聞こえた。

「え、テファ?」
「いま、助けてあげるからね…サイト…」

才人の誰何の声には応えず、ティファニアはくったりと力なく垂れ下がる才人の一物を優しく両手で包み込む。

「うわっ」

その柔らかい刺激は、目隠しと拘束により、背徳的に高められていた。
『呪印』によって抑えられた性感を昂ぶらせるほどに。
少しずつ硬くなっていく柔らかい肉棒を、ティファニアは右手で竿を握り、左手で先端の返しをこすり、刺激を与える。

「くぁ…!」

その刺激に、才人の腰が浮きそうになる。
股間の一物はその間にも、どんどん硬くなっていく。
やがて先端から先走りすらもれ始め、その硬さが限界に達する。

181:正しいペットの躾け方 ◆mQKcT9WQPM
08/02/19 01:07:13 epmO7ia7
「うぁ…なんだこれっ…」

感じている才人を見上げるティファニアの瞳は、すでにとろんと蕩けていた。

「サイト…もっと、よくしてあげる…」

言うや否や、ティファニアはブラウスの胸元のボタンを外す。
内側から肉の張力に押され、ブラウスは勝手に横にずれる。
ティファニアは露になった白い双球で、まっすぐ天を衝く才人の肉棒を挟み込む。
そしてそのまま両手で胸を挟み込み、胸が歪に歪むほどぐにぐにと圧力をかける。

「うあぁあっ…!」

才人の背筋がそる。
極上の柔らかさを持つティファニアの胸での奉仕は、『呪印』の影響下ですら、才人の官能を容赦なく刺激していた。
しかし、まだ『呪印』が出てくる兆候はない。

「まだ足りないっぽいのね。もっとエロくするのね」

後ろで行為を見守るシルフィードがティファニアに指示を飛ばす。
…もっと、いやらしいこと…。
ティファニアはその言葉に考えをめぐらせる。
そして行動に出た。
胸の谷間の一番奥で挟み込んでいた肉棒を、先端で挟み、胸の間から才人が飛び出るようにする。
それを、首を曲げて唇の先端で咥え込む。

「はうぁ!」

びくん!と才人の身体が震える。
刺激が強まったと判断したティファニアは、さらにちゅうちゅうと唾液の音を響かせながら、胸をぐにぐにと歪ませながら。才人に刺激を与える。
そして。

「あ、うぁ、も、もうだめだぁっ」

限界を告げる才人の声とともに。

「あ!出たのね!」

才人のみぞおちの辺りから、黒い影が飛び出す。
それは勢いよく、シルフィードの横を抜けて倉庫の外へ逃げ出す。

「あ、待て!逃がさないのね!」

シルフィードは才人から飛びだした『呪印』を追いかけて、倉庫を出て行ってしまった。


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