女装SS総合スレ 第2話at EROPARO
女装SS総合スレ 第2話 - 暇つぶし2ch527:名無しさん@ピンキー
08/03/29 09:07:23 vfojvau+
中の人GJGJ!!

お人形さんみたいなユカたんに会いたい!
えーっと、絵師さまの降臨は?w

528:愛玩彼女 ◆CpBvBAxqv.
08/03/29 14:41:22 /rfc+l+R
(1/3)

「っ………回りくどいこと、するなよ…」
 一生懸命作りましたーって感じの気のない声は、残念ながら本人が期待するほどの効果
はない。桜色に上気した頬を見せつける、真っ白なビスチェメイドさんを前に俺の気分は
上々だ。
「似合ってるっしょ。自分でもドキドキしちゃった?」
「!…っするわけ…」
「はいはい、こっちお~いで」
 鏡を身体の横に置いて、手招きする。キッと睨みつけてきたが逆らえずに、しかし警戒
心丸出しにして奴が一歩近付いた。素足を動かす度に白いスカートがふわんふわんと揺れ
る。
「何を……ぅわっ!?」
 後ろのホックが留められないのが冗談のような、しなやかな腕を掴んで引っぱれば、強
張る身体はあっさりベッドに倒れ込んだ。ていうか、コケた。
「ちょっ…ぃ、痛い!やめ…っ!」
 両腕を掴んで力任せにぐいぐい引き上げれば、冷静沈着な須藤君にあるまじき悲鳴。十
センチばかし俺の方がでかいとはいえ野郎一人をスマートに抱き上げるなんて、か弱い俺
には無理だ。慣れない衣装に相手がうまく動けないおかげで十数秒の奮闘の後、どうにか
こうにか胡座をかいた俺の足の間に小さな尻を収めることに成功する。
「……ぅ………」
 肩を俺の左手に掴まれ、両膝もやっぱり俺の右手に掬われてるという崩れた横抱き状態
にされ、ドレス姿の優等生は悔しげに唇を噛みしめた。腕の痛みと憎い相手の膝の上とい
う屈辱に、黒い瞳はすでに潤んですらいる。ああ、気分良い!
「…かーわいい。ユカちゃん」
 先程よりも近く、低い位置からねめつけられるが、俺は気にせず頬をつついてやる。こ
の、触ってみると意外にふにふにした滑らかほっぺには、ニキビや肌荒れの方が避けて通
っちゃうんだろうなとか思ってたら、リボンやレースで飾られた両手が俺の手を掴んでき
た。
「なに、馬鹿なこと言って……」



529:愛玩彼女 ◆CpBvBAxqv.
08/03/29 14:42:19 /rfc+l+R
(2/3)

「何って、可愛いなあ~って言ってんだけど。ユカちゃん、かぁわいいなあ~っ」
 ぐぐっと押しのけようとする相手に負けず、顔を近付けて復唱してやる。怖気でも走っ
たかのように俺の手を放した白い手は、暴れた拍子に捲れ上がったスカートの裾をギュッ
と押さえた。左腿のガーターリングが見え隠れして、丸見せよりかえってやらしい。
「…聞こえた?もっと言って欲しいですかぁ?」
「っ……お前変だ、どうかしてる!」
 馬鹿だの変だの、言うに事欠いて好き勝手呼んでくれる。しかし寛大な俺は、「自分は
変態女装っ子のくせに」と言いたいのを堪え鷹揚にうなずいてやった。
「そうだねえ~…たしかに、俺がこんなカッコしたユカちゃんと一緒に居るなんて、みん
な知ったらビックリするんじゃね?」
 「なんなら2ショで記念写真撮ろうか?」とうそぶけば、ほんのり紅潮していた顔から
ザッと血の気が引く。「そんな」とか「卑怯だ」とかそのあたりの恨み言を口走りかける
が、賢い喉はそれを音にはせず、ふるりと唇をわななかせるだけだった。
 ニコニコとご機嫌な俺の顔をしばらく眺めてから、耐えられないと言いたげに須藤が目
を伏せる。マジで失礼な奴だな。
「…本当………わけ、分からない……こんなことして何が楽しいんだよ…っ」
 いまだ震える紅唇が掠れた声を絞り出すが、「そりゃあもう、こんな可愛い子が恥ずか
しがって俺の腕の中で縮こまっちゃってるとこがです」としか言いようがない。
 「こんなこと」…というかこんな格好をすることを、こいつの本心は拒んでいないどこ
ろかむしろ喜んでいるんだろうけど、それを俺に見透かされるのが、こうやってお膳立て
されてるのがたまらなく悔しいのだろう。言ってみればオカズを用意された上にチンコ扱
いてもらってるようなもんか?
 自分にあてはめれば最低なシチュだが、「する」立場なら話は別だ。



530:愛玩彼女 ◆CpBvBAxqv.
08/03/29 14:43:15 /rfc+l+R
(3/3)

「……よし、決めた」
 ちょっとの間の後うなずいた俺を、湿った睫毛の奥の双眸がこわごわと見上げてくる。
 自身の境遇を嘆く瞳にニッコリ笑いかけて、俺は今日のメニューを告げてやった。
「今日はユカちゃんの言うこと、何でも聞いてあげる」
「…は……?どういう、」
「だから、今日はユカちゃんの好きなようにしてあげるって。どうして欲しい?このまま
抱っこしたままシゴいたげる?それとも肩揉んであげよっか?」
「…あぁ………そう」
 一応メイドルックの相手を前におかしなセリフだとは思うが、向こうはまたいつもの俺
の気まぐれだと理解したのだろう。彼は心底あきれたような顔をして…渋々口を開いた。
「…できれば、その……もう帰りた」
「それとも、せっかくだからそのカッコで駅まで行く?」
「かっ、肩!肩揉んで…ください…」
 慌てて一番無難な選択をしたが、ベッドの上に置いたスタンドミラーに身体を向けられ
微妙な顔をする。身を離した俺に背中を預けたことと、真正面にフリフリ着飾った自分の
姿があることが落ち着かないようだ。
「痛かったら言ってね~」
 鼻歌交じりに巻き髪をかき上げ、白い肩を露わにする。ギャザーたっぷりのビスチェの
後ろは、浮き上がった肩甲骨を半ばまで覗かせていた。この格好で羽根が生えても、あん
ま驚けないかもしれない。
 そんなファンタジー妄想をしながら食い込みも吹き出物もないすべすべした肌に親指を
押し当てると、鏡の中の「女の子」は困ったような、くすぐったそうな顔をしてみせた。
「…っぅ………ん」
 流れるようなラインを描く肩を手のひらで覆うようにして、ゆっくり指圧。いつも姿勢
の良い奴らしく、薄く乗った筋肉に腫れはあまりない。
 肩凝りを取るようにというよりは緊張をほぐすように、弱めに中央から外側へと揉んで
いくと、なんとも悩ましい声が前方からもれてきた。



531:名無しさん@ピンキー
08/03/29 14:49:06 /rfc+l+R
携帯変換からのせいか、「このホストでは無理だ」とはねられてしまいました。投下しといて申し訳ない。

>>536-537になるたけ折衷したのを貼りますので、どなたかよろしくお願いします。


532:名無しさん@ピンキー
08/03/29 14:49:44 /rfc+l+R
女装SS総合スレ 第3話

ここは既存スレに該当しない女装関連のSSを総合的に取り扱うスレです。
無理やり女装させて、嫌がったり、恥ずかしがったりするのをニヨニヨするのもよし、自分の意思で女装させ、女よりも女らしい子を目指すのもよし、全ては書き手の自由です。
女装っ子を愛でながらまったりと盛り上げていきましょう。

※次スレは>>980または、485KBになったら立てて下さい
(直近に投下予定のある方は、投下作品の容量に応じて前倒し願います)

※age・sageについては各々の判断でお願いします

前スレ
スレリンク(eroparo板)

前々スレ(初代)
スレリンク(eroparo板)

関連スレは>>2



533:名無しさん@ピンキー
08/03/29 14:50:09 /rfc+l+R
既存の女装関連スレ

【おむつ】幼児女装小説 3冊目【園児服】
スレリンク(eroparo板)

強制女装少年エネマ調教 ネオ×5
スレリンク(eroparo板)

ニューハーフ・シーメールでエロパロ(実質2)
スレリンク(eroparo板)

↑のシチュに該当するSSはこちらのスレでお願いします。




534:名無しさん@ピンキー
08/03/29 14:54:22 /rfc+l+R
折衷といっても個人の判断ですので、不要箇所は省略お願いします。
何レスも失礼しました。


535:名無しさん@ピンキー
08/03/29 19:50:31 vfojvau+
きょうも中の人GJ!

536:488
08/03/29 20:45:43 qZzfctbg
今日もGJGJGJ!!!


>>535
というわけで立ててきますた

第3話
スレリンク(eroparo板)

537:名無しさん@ピンキー
08/03/29 22:53:04 Sq/JknTK
>>中の人氏
村瀬のSはサービスのSなんですね、わかります。
誰に?読者に決まってるじゃないですか。
今宵もGJでした。

538:名無しさん@ピンキー
08/03/29 22:54:15 Sq/JknTK
>>541
あ、乙するの忘れてましたごめんなさい。乙です!

539:535
08/03/30 13:55:02 aAC8oWld
>>540さん
代立てありがとうございます&乙です!


540:幕間彼女2 ◆CpBvBAxqv.
08/03/30 13:56:10 aAC8oWld
(「愛玩彼女」前設定、エロ・直接女装描写なし)

(1/3)

 昼飯のパンを食べるのにも飽きたので、俺は教室の机に伏せてうだうだしていた。
 さっきまで昨日のドラマがあーだこーだ言ってた同級生らは、部活だか委員会だかの呼
び出しでどっかに行ってるので、鞄から飛び出たイヤホンを耳に挿そうか悩む。
 昨晩ラッドの新譜落とし忘れてたのを後悔してたら、開きっ放しの扉のそばから時間差
で女子の声がなくなる。教師が居てもお構いなしな、このクラスの彼女らが静まる理由は
顔を上げなくても分かった。上げたけど。
 …王子様、さんじょーう。
 容姿端麗成績優秀にして、スポーツ万能…というほどでもないが、一年の頃は体育の度
に運動部から熱心に勧誘されていた完璧生徒の須藤豊が、彼氏持ちの女子の視線をも集め
ていた。
 午前の授業の板書が残る黒板の前を、スラックスに包まれた長い足で颯爽と歩く。イケ
メンはどこもステージにしてしまうから困りものだ。
 また何かの仕事を任されたのか、プリントの束を持つ彼はブレザーを脱いで自分の椅子
にかける。単品だとだっせえはずのベスト姿も、きちんと結ばれたネクタイや清潔感溢れ
るワイシャツのおかげか元が良いからなのか、素晴らしく決まっていた。
「小野さん」
 その「王子様」からおもむろに声をかけられて、対象である女子…とそばに居た友人は
にわかに落ち着きをなくす。
「な、なにっ?須藤クンっ?」
「図書室の清掃分担についてなんだけど、ちょっと良いかな?」
 「休み時間にごめん」とお行儀良く相手と、それまで話していた女子に向かってプリン
トを見せる。
「あ、じゃああたしの席使って良いよ!」
 奴と同じ委員である友人のためというより自分のために椅子を立とうとした女子にほほ
笑みかけてやんわり制する須藤。
「すぐ終わるから。ありがとう」



541:幕間彼女2 ◆CpBvBAxqv.
08/03/30 13:57:08 aAC8oWld
(2/3)

 礼を言われ頬を赤らめるのと、彼女と対照的にがっかりする図書委員。あからさまな好
意に気付かず本題に入る優等生の様子に、俺の視界にいた数人の男子は嫉妬する気も起き
ないのか苦笑した。
 まあ過去に、全成分やっかみで「あいつ長座体前屈マイナスだったんだぞ」と社交ダン
ス部の男が吠えたこともあったが、その時即座に、
「うるさい!須藤クンはあんたと違ってそこに立ってるだけで絵になるんだから!」
「須藤クンなら身体硬いとこも長所に決まってるでしょ!」
 と理不尽なフルボッコに遭っていたのを目撃したせいもあるだろう。
「………それで、先生にこの割り振り見せたんだけど、やっぱり一年生だけで組ませるの
は段取り悪くなるからって。ちょっと調整が必要なんだけど…入れる曜日あるかな?」
 机の上にプリントを差し出して、相手のそばに屈む。紳士的に三十センチは離れるとい
う心遣いだが、ちょっと困り顔な奴の面に見とれる彼女なら、もっと近付いた方が喜ぶだ
ろうに。
 キャッキャウフフ気分で須藤と打ち合わせする女子委員は、友人らからの羨望と嫉妬の
まなざしを心地よく感じているようだ。数分間の会話の間、軽く握った手を口元に寄せて
お上品に笑っていたが、お前さっきまで一度もそんな笑い声あげてなかったろ。
「……じゃあ火曜日の組み合わせをずらして……って、な、何?」
 いつも落ち着いた奴が声を裏返したので、シャーペンを持った彼の長い指に見とれてい
た委員が顔を上げる。
 先程奴に席を譲ろうとした女子がいたずらっぽい笑みを浮かべて、後ろから須藤の髪を
両耳の上で束ねたのだ。
 校則が緩いとはいえ、「セットが楽だから」という理由でサラサラの黒髪を伸ばしてい
る彼の、初めて見るふざけた格好に回りの女子が小さく歓声をあげた。「やだぁ~!」っ
て、それ嫌って声色じゃねーぞ。



542:幕間彼女2 ◆CpBvBAxqv.
08/03/30 13:58:01 aAC8oWld
(3/3)

「ちょっと、何やってんの!?」
 彼女的に甘い語らいの時を壊され、控え目に怒る図書委員。「あたし、卒業までの運使
い切ったかも」と言ってたほどに、奴と同じ委員になれたことを喜んでたから、無理もな
い。
「須藤クンって、何気あたしより髪長くない?てゆーか確実キレイなんだけど!やばい!」
「ちょ、ちょっと…」
 女相手に振り払うこともできず、好き勝手にはしゃぐクラスメイトに困惑顔の優等生。
 もっとも男子制服をまとった涼やかな美貌は、むりやり作られた短いツインテールにも
その価値を落とされることはない。むしろそれまでキリッとした面が恥ずかしそうに赤ら
むのに、止めるべき図書委員はポーッと見とれてしまっている。
 そんな中で須藤のとった行動は、やっぱり奴らしかった。
「くすぐったいよ……お願い」
「………っ!」
 見返り美人ならぬ見返りイケメンに間近で見つめられ、彼女の手から急に力が抜ける。
白い頬に幾筋か垂れた黒髪を元通り耳にかけてから、彼は長い足ですっくと立ち上がった。
「…じゃあ、これで先生にコピー頼んでくるから。ありがとう」
 自分も昼休みだというのにスマートに礼を言って、書き込んだばかりのプリントを手に
奴は教室を出て行った。
「……あー…行っちゃった」
 奴の閉めた扉をウットリ見つめる二人に、それまで様子をうかがってた他の女子らが駆
け寄る。須藤クンにベタベタしてズルいだの、あんたなんか対面だったじゃないだの、可
愛かったけどやっぱりカッコいい!だの、奴の入室前以上に教室がキャンキャンうるさく
なった。
 俺はといえば、起き上がって終礼後ちびちび食べようと思ってたパンをかじりだした。
 …今日、予備校の授業が始まるまでに駅ビルの雑貨屋に行かなければ。
 今週届く予定のビスチェドレスを着る、今頃職員室でクソ真面目な顔してるだろうモデ
ルに合う髪飾りを考えながら、俺は焼きそばパンの最後の一かけらを腹におさめた。

 (おしまい)



543:名無しさん@ピンキー
08/03/30 18:52:30 O8f4pXPE
今日もGJGJ!

あの髪型とアクセサリにはこのような理由があったんですな
思わずニヤリとしました

544:名無しさん@ピンキー
08/03/30 20:54:21 x99S7jfC
教室の描写がそれっぽくて良いね
須藤くん爽やかだなぁ
村瀬と二人きりだとエロエロなのに……w

545:彼女の中の人 ◆CpBvBAxqv.
08/04/01 09:06:32 p4xENzYE
(本文ないです)

かなり亀ですが>>20さんが書いてらしたナプキン小ネタです。

次スレでももう少しお世話になりますが、読んでくださり・レスくださりありがとうござ
いました(´∀`*


546:討議彼女 ◆CpBvBAxqv.
08/04/01 09:08:26 p4xENzYE
(女性用品ネタです)

「お前のために言ってんじゃん」
「知るかよ!絶対嫌だから!」
 珍しく怒って…まあ怒ってんのはいつものことだが、俺の部屋で声を荒げる女装優等生
須藤豊君。透け見える白キャミが憎いフリルブラウスに、きちんとアイロンかけているプ
リーツが腰から腿にかけてのラインを悩ましく演出するピンクミニスカ姿で、ぱっちりお
めめをキッと吊り上げている。
 差し向かう俺の手には洗面所から失敬し広げた薄いナプキン。生理用じゃなくって、い
わゆるパンティライナーってやつだ。
「ほら、サラサラだからお股濡らしちゃってもかぶれません!」
「近付けんな!そんなの着けられるか!」
 肌に触れる面を指でなぞりながら「なんかオムツのCMみてぇ」と思ったが、相手も同
じこと連想したのかいよいよかたくなに拒否ってくる。
 ブルマを穿かせるのも屈辱感あって良いのだが、やっぱり薄いすべすべ生地に浮き上が
る美尻を撫でまわしたいという夢には敵わず、こうして我慢汁対策を講じてみたのだが…
「せっかくユカちゃんにハードル低そうなのを選んできたのに…」
「いや、十分高いから!ていうかお前絶対どっかおかしいから!」
「でもユカちゃん、そのカッコで前みたく外でおっ勃てちゃったら、スカートまで濡れ濡
れんなっちゃうよ?」
「…っ……」
「ていうか、そんないつでもどこでもおっきしちゃってたら、誰かにバレちゃうんじゃな
いかなぁ~?」
「っぉ…お前が何もしなければそんな必要なんて……」
「…『俺が』」
「え?」
「『俺が』、なんもしなきゃ平気だっての?」
「ああ!」
「……そう」
 自信たっぷりな相手を前に、キャッチやナンパのしつこい駅前での観察プレイを計画し
ながら俺はニッコリしてやった。
 数時間後、連れ込んだ男子トイレの個室で聞き耳たてられながらずり下ろしたショーツ
の中身は、言うまでもないだろう。

 (おしまい)




547:迂闊彼女 ◆CpBvBAxqv.
08/04/01 21:07:12 p4xENzYE
(「偽装」エイプリルフール小ネタ・エロなし)

「はい、どうぞ……………ピョン…」
 学生街のファミレスに、そのふざけたセリフは地味に響いた。
 指示通り向かいに座った俺にシーフードピラフを盛ったスプーンを差し出してくれてる
のは、ウェイターも先客の野郎もわざわざ振り返って熱視線を送っている美少女。今日は
風が強いが、ピンクのカットソーは店の中でこの空間だけ華やぎ三割増にしてくれている。
 まっすぐな黒髪が白い頬にかかる、いかにも清純派で大人しそうなこいつが、「今日一
日語尾に『ピョン』付けられたら、画像一枚消去してやる」という俺の提案に乗ったイケ
メン優等生だなんて、それこそ悪い冗談みたいだ。
 自分の発言によって注目を浴びているのが分かったのか、赤い唇をキュッと噛みしめて
須藤は俺を睨んでくる。
「うん?どうしたの?ユカちゃん」
「っだ……だから、早く食べろよ………ピョン」
 幻聴ではないことが分かり、俺たちの座るボックスに一番近いカウンター席にいた学生
集団があからさまにガン見してきた。羞恥と情けなさに震える相手に対し「それは語尾で
はないだろう」と思いつつも、俺は冷める前にピラフにパクつく。
 …うん、冷凍じゃなくてちゃんと店で炒めたパラパラ感がたまらない。
 日付に気付けてない哀れな「女の子」に「ウソだピョン」と言うタイミングをどうすべ
きか悩みながら、とりあえずもう一口「はい、あーん…………ピョン」してもらうことに
した。

 (おしまい)




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