08/08/10 10:45:21 PY0bqO/R
久住直樹は、家の前までいっしょに帰ってきた藤枝保奈美を部屋に誘った。渋垣
邸の主である夫妻はともに仕事で帰りが遅く、茉理も今日はカフェテリアの遅番。
誰の邪魔も入らないのだから、恋人たちがすることはひとつ。
「ん、んんっ、うふうぅ……なおくん、いきなりどうしたの?」
「どうしたの、じゃないだろ。保奈美が好きだから、だよ」
蓮美台学園の制服姿のまま抵抗することなく素直に抱きしめられて、キスも受け
入れていながら、唇がはずれたとたんに訊ねてきた保奈美に直樹は苦笑する。幼な
じみから恋人へと関係が進展していて、熱い抱擁の意味を理解していないはずがな
い。
そんなふうに思った直樹のすぐ前で、保奈美はぱっちりした瞳をまたたかせ、愛
くるしい笑顔を輝かせて。
「うれしいな。『好き』って言ってくれると」
「……そういうことか」
女は行為よりも言葉を求める。保奈美本人に教えてもらったのか本に書かれてあ
ったのかは忘れてしまったが、直樹の頭の隅にもそういう知識があった。
「好きだよ。わかってるだろ」
「うん。わたしもなおくんが大好き」
はっきりと宣言しあい、保奈美が双眸をとろけさせる。見つめあった瞳が閉じて、
唇が再びぴたりと合わさった。
唇が蠢き、二枚の舌が絡まりあう。ぴちゃぴちゃと、接合部が奏でる音が卑猥さ
を増していく。