08/03/15 00:43:27 v6nWItdm
英明から電話を切られてしまった智美は、思わずかけ直そうとしたがかろうじて、
思いとどまった。ここで話を続けたら、本当に英明から捨てられそうな予感がしたの
である。
―ああ……あんなこと言わなきゃよかった。
後悔してももう遅かった。英明に発した最後の一言は、まるで英明を脅したように
取られる痛恨の失言だと感じたのだった。
―愛してるわ英明さん、だから、わたしを見捨てないで、わたしを助けて!
それが智美の本音だったのだが。
とにもかくにも報道陣に見つかることなく、智美は無事隠れ家のホテルにたどり着
くことができた。ここでしばらく、まるで犯罪者のように息をひそめ、身を隠さなく
てはいけないのだ。なんという運命の暗転であろうか。つい昨日まで、人気絶頂で、
多くのファンに囲まれ、栄光ある未来が待っていたはずの自分がだ。
こうしている間にも例のハレンチ画像は、日本中に広がっているのであろう。いや
いまや海外にもファンを広げていた智美だ、おそらく世界中に配信されているに違い
なかった。そう考えるとたまらなかったが、ただただ自分の軽率さを呪うしかないの
であった。