08/08/25 01:30:53 1VXOO22/
「でも考えてみればラグナさんって一人で何でもできちゃいますもんね。今更あたしにできることなんて……」
なにやら一人つぶやいているミストさん。いったい何を言い出すんだろうか。
しばしの沈黙の後、あっ、いいこと考えた!見たいな表情をして顔を上げると、
「そういえばラグナさん」
「はい?」
「毎日畑仕事や洞窟探検なんかでいろいろと大変ですよね」
「ええ、まあ……」
「正直ストレスが溜まったり欲求不満になったことってありませんか?」
「いえ、どっちも好きでやってることですし、そういったことはないですね」
「じゃあ一人で寂しくなったり人肌が恋しくなったりとかは?」
「この街では皆さんよくしてくれますから、そういうのもないです」
「じゃあじゃあ、女の子とえっちなことしたいなぁって思ったことは?」
「……」
どえらい直球が飛んできた、どうしよう……。
「ふふ、否定しないところを見るとやっぱりラグナさんでもそういう気持ちになること、あるんですね」
そりゃありますよ。ありますけど、ねぇ……。
「ささ、そういう訳でラグナさん、なにかしてほしいこと、言ってくださいな」
これは……、ひょっとして試されてるとか?
「ミストさん」
「はい、なんでしょう?」
「もしも、もしもですよ」
「はい」
「えっちなことしたいなって言ったら、どうなります?」
「それはもう、可愛い女の子とあーんなことや、こーんなことができたりなんかしますよ」
えーと、それはやっぱり、ていうか可愛い女の子って……
「……」
「どうしました?ラグナさん」
「ミストさん」
「はい」
「えっちなこと、してみたいかなぁ、なんて……」
そう言ってから恐る恐る顔を上げてみると、ミストさんはなんだかほっとしたような表情で、
「ふぅ……、よかったぁ、断られたらホントどうしようかと思いました。こういうこと言うのって、とっても勇気がいるんですよ?」
ああ、そこまでは思い至らなかった。危うく女の子に大変な恥をかかせるところだった。
自分の甲斐性のなさとヘタレさ加減に若干げんなりしながら、
「分かりました。それではお言葉に甘えてご馳走になります」
我ながらもうちょっと上手い言い方もあるだろうと思ったけど、今の自分ではこう返すのが精一杯な訳で。
それでも彼女は嬉しそうに微笑んで。
「はい、美味しくいただいちゃって下さい」
(終)