【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合27at EROPARO【ゼロの使い魔】ヤマグチノボル総合27 - 暇つぶし2ch■コピペモード□スレを通常表示□オプションモード□このスレッドのURL■項目テキスト774:降臨祭の第七日・昼(クリスマス特別編・シリアス) 08/02/16 21:09:53 18pCN0Si 突然にして、村役人は答えをつかんだ。 けっして難しい謎ではなかった。もともと、どこかでそうではないかと疑っていたのだ。 それでもやはり愕然と目をむいて立ち尽くす。 (あいつら、あの行商人の乗った馬車を襲ったんだ) 禁制品密売の罪を押しつけたうえで、余計なことをしゃべらないように裁判の前に口を封じる。 被告が裁判に出るためこちらに帰るこの日。どの街道を通るかを予測するのは簡単である。おそらく〈黒騎士〉は、命令を受けて襲うべく兵を伏せていたのだろう。 そこまでやるのか、と村役人は歯噛みした。 領内の通行安全を保障するはずの領主権が、本気でみずからの土地に罠をしかければ、その領地に踏みこんだ者はまず確実に逃れえない。 主君の命をうけた〈黒騎士〉が馬車を襲い、一人残らず殺したあとで、盗賊のしわざに見せかけることなど造作もないのだ。 いや、死体も馬車ものこさず隠蔽され、被告はそもそも来なかったように見せかけられているのかもしれない。 提訴人たちのほうを見る。 訴えでた商人たちは妙に居心地わるそうに庭の隅にかたまっていたが……一人が村役人の視線に気づいて、たちまち目をそらした。 (おまえらは裏の事情を知らず、儲けてる同僚をやっかんで訴えただけだ、と俺はさっきまで思っていた……でも、本当は違うんだな? どら息子に話を持ちかけられて一芝居うったんだろう? あの行商人の後釜におさまって、新たに自分たちが庇護を受ける密約でも交わしたのか? だがそうだとしたら、その貴族はあの行商人を計画的に使い捨てたように、いつかおまえらも捨てるんだぞ) 苦虫をかみつぶしながら、村役人は暗く目を落とした。 (だが俺たちはその前に、今日死にそうだな) ………………………… ……………… …… 試合場の激闘は、まさにたけなわとなっていた。 とうとう試合場の隅、まだあまり踏みこまれていない雪原のある場所まで剣士は後退している。 これまでの対戦者の武器とはほとんど触れることもなかった剣が、火花を散らして敵の猛攻を受け、かろうじて食いとめていた。 踏み荒らされていく雪に赤い点がぽたぽたとついていた。代理の剣士が出血している、と一目で知れた。先の試合のものが開いたのか、新たな傷かはわからなかったが。 「まずいのかしら」 舞う雪より顔色が白くなっている桃色髪の少女が、ぽつりとつぶやいた。 銀光が繚乱する中、必死の形相で刺突をくいとめた剣士が、驚きの声をあげて体勢をくずした。氷のように硬くなっていた雪にすべったとみえる。 対戦者の剣がその頭上にきらめき、落ちかかった。 まともに受けようとしていればたぶん死なずとも重傷はまぬがれなかっただろうが、この刹那に剣士は地面に身をなげて転がっている。 幸いにして自分の剣でわれとわが身を傷つけることもなく、雪をけって剣士は距離をとることに成功した。 対戦者が淡々とそちら側に体の向きをかえる。 呼吸はこれ以上なく乱れ、体は雪まみれで血と汗に汚れていたが――代理の剣士の瞳からは不屈の闘志がいまなお見えた。 が、その瞳が対戦者の背後をみとめて、一瞬揺れたように見えた。その視線の先は、テーブルの方面である。 見るまに汗みどろのその顔が、不敵な笑みを浮かべて対戦者のほうに戻った。 「攻められるのは好かん。ムッシュ、そろそろこっちが攻めさせてもらおう」 体勢はともかく呼吸はそう簡単に治められないはずだが、油断なく構えを取った剣士の息が、荒いながらも一定のペースを急速にとりもどしていく。 じり、と再度距離をつめようとした対戦者が、ぎょっとしたように動きを止めた。 さきほどの対戦者顔負けの勢いで、剣士が苛烈に攻撃の剣をふるいはじめたからである。 相打ちを狙っているかと思われるほどの、捨て身にちかいやり方だった。 一剣を送ってまた一剣。 集中力を極限まで高めているらしく、手首をひるがえして送りだす刺突は、迅いながらも精密に対戦者の顔面や手首を狙っていく。 こんど必死に払いのけようとしているのは対戦者だった。 たとえ相手を殺しても、引き換えにこっちの目でも刺されてはたまらないとばかりに切羽つまった様子である。 次ページ最新レス表示レスジャンプ類似スレ一覧スレッドの検索話題のニュースおまかせリストオプションしおりを挟むスレッドに書込スレッドの一覧暇つぶし2ch