逆転裁判エロパロ第11法廷at EROPARO
逆転裁判エロパロ第11法廷 - 暇つぶし2ch550:名無しさん@ピンキー
08/08/08 22:18:01 UpdfLYC3
真宵だと、コロシヤとかニボサブとかしか思い浮かばない
メインキャラ除いてね

551:名無しさん@ピンキー
08/08/09 00:59:24 JPiFv4Pq
マヨイはなー…親しい異性キャラが意外と少ないってのもあるけど
色気より食い気なキャラだから、それこそナルホドくらい
仲の良い相手じゃないと色っぽい話が想像しにくい気がする

552:名無しさん@ピンキー
08/08/09 18:15:28 weQ7AWAR
そこでレイプですよ。

でも真宵に凌辱はあまり似合わないような気がする。

553:名無しさん@ピンキー
08/08/09 20:42:27 tfHp5vom
真宵は本当に好きな男としかエッチしないだろうから
カプになるキャラが少なくなってしまうのは仕方ないと思う。
好きでもない男に迫られてもキッパリ拒絶しそうだし。
ただ、好きな男とするエッチに対してはかなり積極的だろうけどw

554:名無しさん@ピンキー
08/08/09 21:37:25 jeVOOnXx
なるほど納得w
本気で好きになる相手ってやっぱり本命はナルホドだけどミツルギとかゴドーでもいけるw
4キャラはちょっと想像できないけどあるなら見たいような気も

555:名無しさん@ピンキー
08/08/09 23:29:44 JPiFv4Pq
>>559
その点、メイは逆だよな
押しに弱くて雰囲気に流されやすい感じで
割と簡単に股開いてくれるからいろんなキャラと絡める

どっちが良いのか悪いのかw

556:名無しさん@ピンキー
08/08/10 01:02:35 aJhm5AQr
オドロキとナルホドが茜をみぬくと勾玉で責める話って、何スレ目にあったっけ?
まとめにはなかったとおもうんだが

557:名無しさん@ピンキー
08/08/10 05:03:21 Bw7K2xzI
はみタソ(ょぅじょ)マダー?

558:名無しさん@ピンキー
08/08/11 05:51:35 8bJ4byJJ
ナルアカ少ないな

つか4の再会シーンカットはマジないわと思った
蘇るやってる奴ならぜひ見たいイベントじゃないか

559:名無しさん@ピンキー
08/08/11 19:46:43 dVL44W5f
>>562
URLリンク(www23.atwiki.jp)

560:ミツメイ
08/08/12 20:43:41 fCGdmFdL
コインパーキングに停めた車のエンジンをかけたまま、御剣怜侍はややイライラしながら待っていた。

その人を。

そのモノを。

予想したより長い時間のあとで、向こう側の信号を渡る人ごみの中に、御剣は確実にその人を見つけ出す。
思わず両手を握り締め、御剣はエアコンの設定温度を2度下げた。
人ごみを抜けて、その二人はまっすぐ御剣の車に向けて歩いてくる。
キャミソールにホットパンツの狩魔冥は両手に一つずつ、その隣を、真夏もいつもの装束で一つだけの紙袋を提げて、跳ねるように歩いているのが綾里真宵。

二人が車に乗り込んでくると、御剣は眉間にしわを寄せてなるべく気難しい顔を作った。
「暑かっただろう。すまない」
助手席に座った冥は、大きな電器屋の紙袋を二つ、運転席の御剣に押し付けた。
「それに重かったわよ」
よく転ばないものだと思えるような踵の高い華奢なミュールを引っ掛けた素足を組んで、サングラスを外した冥が、さらにエアコンの設定を下げる。
「でも早めに並んでよかったですね、冥さん。整理券もらえなかった人もいっぱいいますよ」
「…バカバカしい。日焼け止めを塗ったのに赤くなったわ」
すらっと伸びた白い腕を撫でて、冥が不機嫌そうに言う。
御剣は今朝早くから、冥に隅々まで日焼け止めクリームを塗るのを手伝わされたが、そんなに焼けたくないなら少し露出を減らせばいいではないか、と言うのは我慢した。

「なにか冷たいものでも飲みたいわ。ね、真宵」
後部座席を振り向いて、冥が真宵に言った。
「そうですね、早く帰って遊びたいけど、でも喉も渇きました。だって4時間近く並びましたもんね」
「ほんっと、バカバカしい」
「…すまん」

今日は、トノサマン限定フィギュア付き新作ゲームの発売日だったのである。

どうしても手に入れたいが、自分で並ぶことに激しい抵抗を感じて悩んでいた御剣は、真宵に相談する。
しかし、あいにくゲームは一人一本しか購入できず、真宵は当然自分のために開店前から並ぶ気満々だった。
がっくりと肩を落とした御剣に、冥が言ったのである。
「じゃあ、真宵と一緒に並んできてあげるわよ」
「君がか?!」
「どうせ休日だし、構わないわよ。限定品なんでしょう、その、おもちゃのついたゲームは」
「そうだが、しかし、いいのか?トノサマンだぞ、ちょっと特殊な客がたくさん並んで買うのだぞ」
自分もその特殊な客の一人であることに気づいていない御剣の鼻先で、冥は人差し指を振った。
「かまわなくてよ。だって、そのゲームで遊びたいのは私ではないのだもの」
外野から見ればそんなことはわからないのだが、狩魔のプライドはそこが大事なのだろう。

ただでさえ学生が夏休みで、トノサマンゲームを求めて朝早くから行列を作る、と言う真宵のアドバイスで、冥は早起きして御剣に車を出させ、真宵を迎えに行って大型電気店前に並び、見事ゲーム本体と限定版のソフトを購入してきたのである。
車から降りると、真夏のむっとした空気が三人を包む。
冷房のきいたカフェに駆け込んで、御剣が車に残してきたトノサマンを気にしながらアイスコーヒーと、アイスティーとフルーツパフェを二つずつ注文した。
「…でね、整理券があたしたちのちょっと後ろでなくなって。電車で来て駅から走ってきたっていう人が汗だくで、整理券もなくて、かわいそうでしたねー」
パクパクとパフェをほおばりながら、真宵が嬉しそうに報告した。
「君たちは、よく整理券がもらえたのだな」
「まあね、トノサマンにかける情熱の勝利だよ!」
「狩魔は完璧なのよ。買いに行って買えないなんてありえないわ」
パフェのフルーツだけを選んで食べていた冥がふんと鼻で笑った。
「うむ、その、アレだ、真宵くんも早く帰ってプレイしたいのではないか?」
「そうですねー、あ、それ御剣検事の本音ですね?」
真宵が笑って、御剣は咳払いをした。
「私たちはまだこれから予定があるのよ。そうだったわね、怜侍?」
「…う、うむ」

561:ミツメイ
08/08/12 20:44:15 fCGdmFdL
カフェを出て、御剣は真宵を送るために車を出した。
そわそわしだした真宵が、後部座席で膝の上の紙袋を何度も覗き込む。
すでにゲーム機を持っている真宵はゲームソフトだけを買ったので荷物は少ない。
助手席では、冥が完璧な美脚を組んで座席を倒している。
そわそわと袋を覗き込みたい気持ちは、御剣も同じである。
御剣としてはまず、ゲームでトノサマンとアクダイカーンを戦わせる前にゲーム機の設置もしなければならない。

真宵を事務所に送り届けた後で、そんな御剣にはお構いなしで冥が脚を組み替えた。
「さ、約束を守ってちょうだい」
後部座席の紙袋に未練ありげな視線を送って、御剣は予定どおりブランドの路面店に車をつけた。
パーキングに回してくる間に、冥はすでにバッグと靴を数点ずつ並べさせて、手に持ったり鏡に映してみたりしている。
面積の少ない服地から惜しみなく伸びた手足に、編みカゴのバッグを持ち、お揃いのサンダルを履いている。
トノサマンゲームを買いに並ぶ変わりに、冥の好きなショップでなにか買ってやるという約束なのだった。
以前も何かねだられて店に連れて行かれたことがあるが、こんな布地の少ない洋服がなせこんな値段がするのかと驚いたものだ。

「でも、あなたは電器屋の前に並ぶことはできないけど、カードを出してサインすることはできるでしょう?」
…狩魔のロジックは、完璧だった。

夏らしいバッグも気になるようだったが、細いベルトの間から幅の狭い甲やピンク色の小さな爪がのぞくサンダルも似合う。
年頃の女の子らしく、あれこれと迷っている様子は、とても検事局の天才検事には見えない。
ついつい、御剣は冥に言ってしまった。
「両方、いいのではないか」
ぱっと冥が振り向いた。
「いいの?」
今日一番の笑顔で言われて、御剣は催眠術にかかったかのように店員にカードを渡し、サインをしていた。

マンションに帰るなりゲーム機の設置を始めた御剣のまわりを、新しいサンダルを履いて冥が歩いている。
「その赤いコードが逆ではないの?あなた、本当に機械オンチなのね」
説明書を見ながら四苦八苦している御剣の背中越しに、ひょいと冥がコードを引き抜いた。
「こんなもの、苦労してつなぐようなものなの?」
「…それなら、君がやればいいではないかっ」
思わずそう言うと、冥は御剣の背中に腰掛け、フローリングに座り込んでいた御剣は前のめりに潰れる。
「バカはバカなくせにバカな逆ギレをするものよ。本体の電源を入れなきゃ動くわけないじゃない」
「……む」
背中に冥の尻を乗せたまま手を伸ばして、本体のACアダプターをコンセントに差し込む。
「冥、そのままそこにいるつもりだろうか…」
「あら、私が重いと言うつもり?」
「いや、重いというか、軽くはないが」
「失礼ねっ」
どんなに軽くても、人間一人分の重みはそれなりにある。
ぺしっと御剣の頭を叩いて冥が立ち上がる。
よほど嬉しいのか、部屋の中でも新しいサンダルを脱ごうとしない。
一応、床を傷つけないようにと気を使っているのか、ラグの上を選ぶように歩いて御剣の隣にぺたんと脚を開いて座り込んだ。
特典のフィギュアを押しのけて、ソフトのパッケージを開けた御剣の手元を覗き込み、説明書の表紙に描かれているトノサマンのイラストを見る。
「面白いの、それ」
「うむ。前評判は高い」
「どんなゲーム?」
聞いておいて、御剣の説明には耳を傾けようとはせずに、冥はコントローラーを適当に操作してゲームをスタートさせてしまった。
「う、いや、冥、すまんが私にやらせてくれないだろうか」
慌てる御剣にコントローラーを渡して、冥はくすくすと笑った。

562:ミツメイ
08/08/12 20:44:44 fCGdmFdL
「ほんっとに好きなのね。検事局の人間が見たら、評価が下がるわよ」
「…うむ」
「あ、トノサマンが出てきたわ。向こうにいるのは誰?」
「…うむ」
「なんか言われてるわよ。どうするの?」
「…う、む」
「危ない!もっと早く逃げなきゃ。あっ、ほらっ」
「…む」
「もう、ヘタクソね。ほんとにトノサマン好きなの?」
「……」
「私とどっちが好きなの」
「……」
「……」
「……」
冥が、コードを引き抜いた。
「うおぉぉっ?!なにをするのだ、冥!!」
真っ暗になったテレビ画面から、ようやく冥に顔を向けて、御剣が叫んだ。
「だって」
冥が不機嫌そうに膝を抱えた。
「つまらないんだもの。あなたは返事もしないし、私を見もしないし」
御剣は深くため息をついて、コントローラーを置いた。
ゲームにもトノサマンにも興味のない人間の前で、新作ゲームに何時間も熱中できるわけがないのだ。
ようやく手に入れたソフトならなおのこと、帰宅するなり夜通しプレイしたいなどと言ったら、鞭が空を切るだろう。

御剣はつま先にサンダルを引っ掛けてブラブラさせながら拗ねた冥に身体を向けた。
「悪かった、すまない。つい、夢中になった」
「…別に。楽しみにしていたんだから、いいけど」
「でも、君は退屈なのだろう?」
冥が手のひらで御剣の顔を叩いた。
「違うわよ。あなたがあんまりオタクなのを見て、びっくりしてるのよ」
「…ゲームをやるくらいでオタクはないだろう。私も普段はやらない」
「普段はやらないくせに、トノサマンだというだけで本体ごと並んで買ってくるのがオタクだっていうのよ」
冥が今度はつま先から落ちたサンダルを拾って、御剣の頭を叩く。
「む、蹴ることはないだろう」
「蹴ったんじゃないわ、叩いたのよ」
「靴を手に持って叩くのは、蹴ったようなものだろう」
「靴で蹴られたい趣味でもあるわけ?昨日の被告人がそういう趣味だったわよ、駅のホームを全裸で走ったの」
「……このところ暑かったからな」
「そういう問題じゃないわよ。その前にも女子高の寮に忍び込もうとしたらしくて、自宅からは大量に女性の靴が見つかって」
話題がそれてきている。
「夏は性犯罪が増える。君もあまりそんな格好でうろうろしてたら危ないぞ」
冥の気がそれたところで、そろそろとコントローラーに手を伸ばす。
「あら、どうしてかしら」
「腕も脚も出しすぎだろう。胸元も開きすぎだ」
冥がきょとんとして自分の服装を見下ろしている隙に、引き抜かれたコードを差し込む。
「そうかしら。たいしたことはないと思うわ」
完璧なラインの脚がすっと御剣の視界を横切った。
今度こそ、冥はサンダルのヒールで御剣が手に持ったコントローラーを蹴った。
ホットパンツの隙間から、ちらっと下着のレースが見える。
「む、なにをする」
「ほら、腕や脚ぐらいいくら出したって、あなたにはトノサマンの方がずっと大事なんだもの」
仕方なく、御剣はトノサマンをあきらめて、膝の上にある冥の足首をつかんでサンダルを脱がせた。

563:ミツメイ
08/08/12 20:45:19 fCGdmFdL
本当に歩けるのだろうかと思うほど華奢な足首だった。
サンダルを置いて、片手でふくらはぎを撫でる。
ほどよく筋肉と脂肪のついた、非の打ち所のない脚。
膝から太もも。
脚の付け根に近いところまで、まったく布に覆われず邪魔のない脚を、何度も撫でる。
冥がくすぐったそうに身をよじった。
「ちょっと、やめ、きゃっ」
なめらかな肌に触れているうちに、その気になってきた。
御剣は自分を蹴り上げようとしていた自由な方の脚をつかむと、そこに唇を押し付けた。
バランスを崩して倒れそうになった冥が、御剣にしがみつく。
「…なにやってるのよ、このオタク」
「なるほど、脚フェチといわれる人間の気持ちがわからないでもない」
ぱっと顔を赤くした冥が片手で御剣にしがみついたまま、片手で背中を叩いた。
「バカ、本物のオタクになるわよっ」
「いろいろあるのだそうだ。足首フェチ、ふくらはぎフェチ、太ももフェチ」
「バカバカバカ!!」
「だから気をつけろと言っただろう?夏は性犯罪が増える」
脚を引っ張られてラグの上に倒され、冥はそれでもまだ抵抗した。
「オタクは犯罪じゃないけど、強姦は犯罪よ。逮捕して起訴するからっ」
太ももを撫で上げて、キャミソールの裾から手を入れる。
「これはまだ強姦ではない、わいせつだ」
脇腹と背中に手を滑り込ませる。
「わいせつだって起訴するわよ!ちょ、んっ」
一度倒された冥が身体を起こしたところを、迎えるようにキスをした。
冥が驚いて反射的に身体をそらして、御剣が背中に回した手に支えられる。
「危ないではないか」
「…バカっ」
両脚を膝に乗せたまま、御剣は冥を二つにたたむようにして背中を引き寄せた。
「しかもノーブラだな」
「こ、この、性犯罪者っ!」
「心配するな。弁護士なら当てがある」
むき出しの鎖骨に口付けると、冥が御剣を押し返した。
「ね、ほんとに、ほんとにいや…」
御剣は手を止めて冥の顔を覗き込んだ。
「どうした?」
冥が脚を折って床に座り込み、乱れたキャミソールの裾を引っ張った。
テレビではメニュー画面でトノサマンが歩き回っている。
「だって、今日は暑かったし。外でずっと並んでたし」
両手で自分の二の腕を抱くようにして目をそらす冥を、御剣はもう一度ラグの上に押し倒した。
「そのままがいいというフェチもある」
「…バ、バカ!」
キャミソールをたくし上げて二つのふくらみの間に顔を押し付けると、いつもよりかすかに濃く薫る。
女心としては、汗をかいた後のまま、というのは抵抗があるのだろう。
しかし、いつもは神経質にシャワーを使った後でしか触れさせてもらえないだけに、御剣は余計に征服欲にかられた。
「こんな薄い服一枚で、何時間も列に並んだのか。回りは男ばかりだっただろう」
頭から引き抜くと、キャミソールは驚くほど小さなかたまりになった。
柔らかさと弾力に富んだ盛り上がりを手の中に収めて、その先端に舌先を当てる。
「いやだって言ってるでしょうっ」」
外から帰ったままリビングのラグの上に押し倒されて服を脱がされる、という状況に、冥があきらめの悪い抵抗を見せた。
「だが、それもまたいい」
「この、変態っ!」
「君がそんな格好をしているから悪いのだ」
言いながら、ホットパンツを下着ごと引き下げる。
「変態だのオタクだのフェチだのと、うるさいことを言うのはこの口か?」
「んっ」
着ているものが少ないだけに簡単に裸にされて、冥は御剣の口づけを受けた。
唇を固く引き結んでも、唇をゆっくり舐め回される。
空気を求めて開いたとたんに、進入を許してしまった。
「んふ、んっ」

564:ミツメイ
08/08/12 20:45:50 fCGdmFdL
舌を絡め取られ、その間も休みなく胸を揉みしだかれ、乳首が転がされる。
片手は脇腹を滑り降りて腰を撫でている。
「あ、ん…」
御剣が唇を離すと、冥が吐息を漏らした。
なかなか肝心なところへ届かない愛撫に、もどかしげに脚をすり合わせている。
「オタクでフェチの変態にキスされて、そんなに嬉しいのか?」
冥が下から御剣を睨む。
「フェチはあなたが言っただけで、私は言ってないわよ」
御剣はちょっと笑った。
わざと論点をそらして言い返している。
冥も本気で抵抗し続ける気はないようだ。
「うむ。起訴状にはそう書いてくれていい」
「んっ!」
お尻側から回した手がそこに達し、指が秘所を開く。
ベッドでもないところでこんな風にされることで、冥もどうしていいかわからず両手で顔を隠した。
指で優しくなぞると、かすかに湿っている。
御剣は足元に回りこんで、片手で両脚をまとめて上げさせた。
「丸見えだな」
「や、この…」
「変態、か?」
ベッドサイドのぼんやりとしたランプではなく、昼間の明るさの中でその場所をじっくりと眺め、舌を這わせる。
「あん!」
洗っていないことや明るい場所で見られていることが心理状態にどういう違いをもたらすのか、冥の反応がいつもより敏感だった。
御剣はわざとじゅぶじゅぶと音を立てながら、舐めたり吸い上げたりする。
「んあ、っ!」
小さな突起に吸い付くと、冥が腰を跳ね上げた。
周囲から回すように舐めたり、先端に向かって尖らせるように舌を使ったりしながら時々吸うと、どんどん愛液が溢れてきた。
「やあっ、あ、だめっ」
泉に指を入れて壁をなぞると、ヒダの部分が熱い。
顔を上げて見ると、乳首がつんと立っていた。
指で中をなぞりながら、その乳首を唇ではさむ。
「ん、あ、うん…っ、ああん」
ラグの上で冥が身をよじった。
御剣は手早く自分も服を脱ぎ、冥の足首をつかんで大きく広げた。
「やあん、あっ!」
すでに固くそそりたったものを押し当てて、何度かすべらせる。
「いつもより濡れてないか?」
煽るように御剣が言うと、冥が首を振った。
「バカ、もうっ…あっ」
ぐっと押し付けると声が上がる。
御剣としても、もう焦らす余裕はなくなってきた。
ラグの上とはいえ、フローリングの固さが伝わってくるのか、冥が両手を伸ばしてくる。
その手をつかんで身体を起こさせ、腰を支えて胡坐をかいた自分の上にゆっくりおろした。
「あんっ…」
苦しそうな声を漏らして、冥は御剣にしがみつく。
「や、こんなの、無理…」
言いながら、自分の中に御剣を飲み込んでいく。
「入ったではないか」
冥の背中を撫でてやると、しがみついたまま軽く御剣の肩を甘噛みした。
「…信じられない」
「入ったことがか?…痛いではないか」
強く歯を立てられて、御剣が顔をしかめた。
「こんなふうに、…することがよ」
肩に痕がつく前に、冥を引き離す。
「そうか。私は、新鮮でいいと思うが」
「なにがよ、バ…」
全部言う前に、御剣が下から突き上げた。

565:ミツメイ
08/08/12 20:46:32 fCGdmFdL
「きゃ、あんっ!」
近くのクッションを引き寄せてその上に冥を倒し、脚を抱えるようにして御剣は腰を打ち込んだ。
クッションのおかげで床の固さは解消されたが、厚みでのけぞるような形になり、腰を持ち上げられたまま揺さぶられて冥は声を抑えることもできなくなった。
「あん、やっ、あっ、ちょっ、そんな、あっ」
御剣のものが出入りするたびにぐちょぐちょと音が立ち、それが聞こえる恥ずかしさに耳をふさぐ。
「う、いい…、締まるぞ」
白濁したような汁が流れ出てくる。
いつもと違うシチュエーションに、御剣も背筋を上がってくるような快感が早く訪れる。
しかし、先にイクわけにはいかない。
御剣は冥の弱い場所を狙うように突いた。
「あっ、あ、ああん!」
冥の背中がいっそう反り返り、脚が突っ張る。
奥まで激しく突き上げると、そのままびくびくっと痙攣した。
かまわず御剣は自分のフィニッシュのために動く。
「…んあっ、や、もうっ」
イった後で激しくされて、冥が泣きそうになる。
「すまん、もう少し…く、うっ」
場所がリビングのせいで避妊具の用意がなく、駆け上がってくる限界で引き抜く。
冥の腹と胸に飛んだ。
「…すまん」
ティッシュを引き寄せてぬぐう。
クッションからずり落ちた冥が、息をついた。
「もう、ほんっとに、信じられない…。なにやってるのよ、もう」
「上の口はそう言っても、下の口はひくひくしてるが」
ぱっと首筋まで赤面した冥が脚を閉じ、身体に引き寄せるように丸くなった。
「バ、バカバカバカ!!なにほんとに変態なこと言ってるのよ!」
着ていたものが少なすぎてどこに行ったのか見当たらず、冥は敷いていたクッションを抱き寄せて身体を隠した。
「うむ。今のは、確かに変態だった」
「へ、変態と暴行で起訴だからっ」
「変態は罪ではないし、今のは合意だろう?」
「知らないわよっ」
ぷいっと顔を背けた冥の横顔に、思わず笑みがこみ上げる。
御剣は手早く服をかき集め、冥の腕を取って立ち上がらせた。
「脚が立つか?シャワーを浴びてこよう。それから」
よろめいて抱きとめられた冥が、スリープ画面になったテレビを見た。
「ゲームでしょ。…もう邪魔しないから、やりなさいよ」
御剣は背をかがめて、冥にそっとキスした。
「うむ。満足したら寛容ではないか」
「…バカっ」
真っ赤になった冥に脇をつねりあげられて、御剣が笑って逃げた。

フェチと変態を満喫した後は、オタクを楽しむことができそうだ。
冥のためのコントローラーをもう一つ買うには、並ばなくてもいいだろうか。

566:ミツメイ
08/08/12 20:46:54 fCGdmFdL
終了。

567:名無しさん@ピンキー
08/08/12 21:03:50 aa0239C2
GGGGGGGGGGGGGGGGJ

568:名無しさん@ピンキー
08/08/12 21:11:57 RtZCZrdZ
G-J!!!!!!!
大胆なカッコしてる冥タンハアハア
ヲタに惚れたのは不幸かもしれんが、多少御剣の趣味につきあってあげるものいいかもと
思ってしまったw

569:名無しさん@ピンキー
08/08/12 23:37:41 kEK26gze
ナルマヨを近いうちに投稿します

570:名無しさん@ピンキー
08/08/12 23:52:43 cHJRWQvp
GJ!!
某ツンデレの神様がダメオタクに説教するボイス集を思い出したw

571:名無しさん@ピンキー
08/08/13 15:30:01 SbjOt3Kv
ナルマヨもいいが、ナルアカが少ない・・・。
誰かナルアカ投稿してくれ!!
俺には書けん・・・。

572:名無しさん@ピンキー
08/08/13 21:55:58 GNs86zPS
大変良いミツメイをありがとう

573:名無しさん@ピンキー
08/08/13 23:46:20 eikm3pxT
ミツメイGJ!
「私の彼は特撮オタク」ってヤツか。
丁度もうすぐ夏コミだけど、それでまた揉めそうだなこの二人はw

574:名無しさん@ピンキー
08/08/16 02:27:02 FNtY/JJp
ミツメイGJ!
関係ないが、最初の真宵ちゃんの描写もかわいかった!

>575
wktk

575:名無しさん@ピンキー
08/08/28 14:26:44 mK8v330d
喫茶店ってあれで完結ですか?

576:名無しさん@ピンキー
08/08/29 15:22:12 CD2DAWEI
>>262辺りを見てると幸せになれるかも知れない

577:名無しさん@ピンキー
08/08/30 00:03:53 8sgb2GZF
GJ!

578:名無しさん@ピンキー
08/08/31 13:41:26 LivxOxin
幸せにはなったが、さらにあれが完結なのかどうか気になった。

579:名無しさん@ピンキー
08/08/31 18:39:14 G6LZG+9J
この流れで今まで読んでなかった喫茶店シリーズ読んで涙出た
確かに、あれで終わりなのかは気になる 綺麗だけど

でも人物描写とか色々凄くて…
執筆者さんここ見てたら凄いもの見せてくれてありがとうってお礼いいたい

580:名無しさん@ピンキー
08/09/02 23:24:08 Oeuh+f5J
喫茶店みたいに新旧キャラが和気藹々としてる話が見たい。
新キャラと旧キャラのカプ物でもいいな。

581:とりあえず今は名無し
08/09/06 02:39:56 8oq3Ji61
触発された。
よーしおじさんがんばっちゃうぞぉーな勢いで駄文を書いてみようかな?

582:名無しさん@ピンキー
08/09/06 03:55:28 JNWD29ho
>>587
ぶっちゃけキャラとカプによるな。

人気のあるキャラやカプならいいが、そうでない場合
スルーされたり叩かれたり荒れたりすることも保障は出来ない。
特にナルマヨ・ミツメイなどの人気カプの対立カプを投下するなら
それなりの注意と覚悟を持つべし。

583:名無しさん@ピンキー
08/09/06 23:34:44 hDs6WTFX
ぶっちゃけすぎだw
事実だからしょうがないけど

584:名無しさん@ピンキー
08/09/07 00:13:29 /M7ZRQvh
エロで逆転裁判なら何でもおkが一番なんだけどねー
いろんなカプもみたいよー

585:名無しさん@ピンキー
08/09/07 00:42:59 Fa0xR5BJ
自分の気に入らない物だから叩くとか幼稚すぎる
そんなバカ無視して好きなように書けばいい
いちいちカプにこだわるのはバカバカしい
色々な組み合わせがあってもいいだろ

586:名無しさん@ピンキー
08/09/08 14:29:04 VFYeQAso
まったくだ

587:名無しさん@ピンキー
08/09/08 15:50:01 WopKHnH9
でもやっぱりナルマヨかミツメイが一番読みたい

588:名無しさん@ピンキー
08/09/08 19:00:04 91FS0KtO
あくまで読ませてもらってるのに贅沢言い過ぎ
あんまり傲慢なこといってスレ過疎らせても損なだけだよ?

587さんみたいな人も気にしないで投下してくれたら喜んで読むし
自分に合わない組み合わせだったからってスルーできないで文句いうのは厨

589:名無しさん@ピンキー
08/09/11 15:15:55 qVx8yaqJ
真宵スレに落ちてるはみちゃんお赤飯ネタを誰か…誰か…!

590:名無しさん@ピンキー
08/09/12 00:32:57 m3uD+ZeA
流れをぶったぎる様ですが、ナルマヨを初投下させて頂きます。
携帯からなので文字数の関係で分割が多いです。しかもグダグダです。
駄文ですが、大目に見てやって下さると嬉しいです。

591:ナルマヨ
08/09/12 01:25:31 m3uD+ZeA
「お邪魔しまーす!」

普段は虚しい静寂に包まれ、住人である一人の男しか踏み入らないアパートの一室内に、明るく高い声が響いた。
いつも返事が返ってくる筈も無いのに、帰宅の決まり言葉を呟いては一人静かな夜を過ごす。
今日だって、普段と何も変わらないであろうと思っていたのだが。

先とは読めないものだ。
ぼくの助手である真宵ちゃんが、突然自宅に来たいと言い出した。
しかも既に、着替えや日用品を詰め込んだ荷物まで用意して。
用意周到な彼女は、こうなると自分の意志を意地でも貫き通す。
最終的には、やっぱりぼくが折れて自宅に連れて行く事になってしまった。
でもこうして実際連れて来てみれば、大して嫌な気はしない。
逆に嬉しいというか、不思議な優越感が湧いてくるというか。

どうぞ、とぼくが適当に促す言葉を無視して、彼女は下駄を揃えてさっさと部屋へ突き進んで行く。
溜め息を一つ漏らすと、ぼくも後へ続いて部屋へと足を運んだ。
鞄をやや乱暴にソファへ置いてネクタイを緩めながら、部屋を見回しては目につく物を物色する真宵ちゃんに声を掛けた。


592:ナルマヨ2
08/09/12 01:27:10 m3uD+ZeA
「真宵ちゃん、面白いモノなんて出てこないから」

「だって、こんなに散らかってるんだもん!何かあるハズだよ」

「何かって?」

「うーん、エッチな本とか」

「……ああ、そう」

表面では平静を装って呆れた様な態度を取ったが、内心ヒヤヒヤしていた。
つい最近、そういった類の物は処分したばかりだったのだ。
だからこうして彼女が幾ら探そうと、現れる筈は無い。
今回のまるで抜き打ちとでも言う様な突然の事を考えれば、本当にタイミングが良かったと思わず胸を撫で下ろす。

「うー…ないなあ」

「だから言ったじゃないか、面白いモノはないって」

「呼んだら出てくるかな…おーい!エッ…」

「わー!そんなコト大声で言うなよ、呼んだって返事するワケないだろ!」

言う前に慌てて遮り制止の声を掛ける。
隣人に聞こえでもしたら、変な誤解を招かれてぼくの立場やイメージはいかがわしいものに変わっていくだろう。
本当に何を考えているんだ、この子は。
予想も出来ない行動を毎回されて、常にあらゆる意味でドキドキしているこっちの身にもなって欲しい。

「ちぇ、つまんないの」


593:ナルマヨ3
08/09/12 01:28:11 m3uD+ZeA
真宵ちゃんは唇を尖らせて、飽きてしまったのか物色を止めてその場に座り込んだ。

「はいはい。もうこんな時間だから、風呂に入ってきなよ」

軽く受け流して散らかった書類を端へ退けて足場のスペースを作りながら、ぼくなりの片付けを始めた。
うん、と一つ返事をした真宵ちゃんは、ぼくの後ろで荷物をゴソゴソとあさり始めるも、やがて静かになり書類の紙が重なり合う音だけがやけに耳に障る。
不思議に思って振り向くと、着替えやタオルを抱え込み、彼女は正座をしながら待つ様にこちらをジッと見つめていた。

「…どうしたの?」

「待ってるの。なるほどくんを」

「え。それってどういう…」

「入るんでしょ?お風呂、一緒に」


少し考えを整理してみよう。
風呂へ一緒に入るという事は、タオル越しとはいえ男女が裸になって入る訳だ。
まあ、真宵ちゃんとは最近、弁護士と助手という関係から男女の仲になったんだけど。
今までの付き合いが長かったせいか、進展は早かった。
そういう意味では、別に一緒に入ったって何の問題も無い。
でも、今日一日の疲れを溜めたまま一緒に入るとなると…自分の奥に潜んでいる本能を理性で抑えられるか自信は無かった。


594:ナルマヨ4
08/09/12 01:29:36 m3uD+ZeA
「なるほどくん、何ぼんやりしてるの?」

油断していた。
ぼんやりとそんな考え事をしているうちに、彼女に流されていつの間にか浴槽に浸かってしまっていたのだ。
目の前では、髪も解いてバスタオル一枚を身に纏った真宵ちゃんがぼくの顔を覗き込んでいる。

「…いや、何でもないよ」

とりあえず、さっさと身体の疲れを取ってやり過ごせば何とかなるだろう。
真宵ちゃんはバスマットに腰を降ろして、シャワーを適温に調節し身体を流しつつ、ボディーソープを手につけて身体に塗り始めた。
ふと視線をやれば、シャワーで水分を含んだタオルは身体に密着し、長い髪は腕や首に纏わりつき、彼女の頬は室温により紅潮していて妖艶な演出をしている。
その光景から視線を離せずに、これは拷問かと妙な冷や汗が額に滲んできた。
これ以上は本格的にキツイ、理性が持たない。
何とか身体の向きを変えて壁と向き合う形になったかと思えば、更に真宵ちゃんが追い討ちをかけてきた。

「ねえ、なるほどくん。背中の方洗ってくれない?届かなくて」

「…知らないぞ」

「?何が?」


595:ナルマヨ5
08/09/12 01:30:50 m3uD+ZeA
向こうはそんなつもりで言った訳じゃないだろうけど、今のぼくには誘い文句にしか聞こえない。
キョトンとして不思議そうにこちらを見る彼女をよそに、立ち上がって浴槽からバスマットへ足を付けると、真宵ちゃんの背後に腰を据えた。

「じゃあ、洗うよ」

身を乗り出してボディーソープのポンプを数回押して液を掌で泡立てると、長い後ろ髪を泡がつかない様に腕で肩にかけておいてから背中に触れた。
だがタオルを巻いている状態なので、これでは背中の半分も洗えない。
手を前へ回して胸元にある折り目に指を掛けると、ゆっくりとタオルを巻き取った。

「え。ちょ、ちょっと、なるほどくん!?」

「タオルを巻いたままじゃ、上手く洗えないだろ?」

泡を背中全体に行き渡らせる為に手を上から下へとスライドさせた後、両肩に手を置いて掌でなぞる様に腕まで下ろす。
真宵ちゃんは、悪寒を感じるかの如く背筋を伸ばして身体を震わせた。

「な、何か…ヘンだよ」

「ぼく、真宵ちゃんの身体を洗ってるだけだけど。どうヘンなの?」

「あ…ッ」


596:ナルマヨ6
08/09/12 01:32:55 m3uD+ZeA
それを見計らって、秘部内へ中指を沈めていく。
真宵ちゃんの足が僅かに震えて、力が抜けていくのが分かった。
最初はゆっくりと指を上下させ、時折円を描いて掻き回す。
彼女自身の力でバランスが維持できないのか、ぼくにもたれ瞳を閉じて眉を寄せている。
唇を寄せようとすると、力が抜けた真宵ちゃんはもたれるばかりで、泡の滑りでぼくの肩からズルズルと落ちていく。
腕で支えるものの、どうしても泡で滑ってしまう。
仕方がないから、一旦指を抜き取りシャワーを手に取ると温めな温水を肩にかける。

「ちょっと流すよ?」

「ん…ああッ…」

真宵ちゃんの身体が面白い程に大きく跳ねた。
シャワーを左手に持ち替えて、今度は指の本数を増やして沈めながら、シャワーは秘部の突起へ刺激を与えている。
両足は既にぼくの腕を自由にさせて、小刻みに震えていた。

「もう、ムリッ…!」

荒い息遣いの中、絶頂が近付いている事を告げる彼女を察して、蛇口をしめて温水を止め、手の動きもピタリと止める。
寸前でお預けとでも言う様に動きを止められて、真宵ちゃんはもどかしそうにぼくを見つめた。

「身体、洗ったよ」


597:ナルマヨ6
08/09/12 01:37:11 m3uD+ZeA
こっちが先で、↑が5です。サーセン。

顔を寄せて静かに囁きながら、白く小ぶりな膨らみに手を移動させる。
指は使わずに掌だけで泡を擦り付ける様に寄せると、泡にまみれても分かるくらいに淡い桃色が自己主張を始めていた。
それを指で弾くと、真宵ちゃんの口からは吐息混じりの甘い声と共に、身体が小さく跳ねる。
左手では感触を楽しむかの様に膨らみを撫でたり包み込みながら、右手は徐々に下腹部へ下りて敏感な箇所を捉えた。

「なる…ほ…」

既に身体を洗うだけの事では済まないと、漸く気付いた様だった。
足を閉じてぼくの腕を挟み、身を捩らせ抵抗を見せ始めた。
けれどそれは逆に可愛らししく、色っぽく目に映ってしまう。
衝動が抑えられなくなってしまったぼくは、到底素直にこの行為を中断する事など考えられなかった。
今や真宵ちゃんの身体は泡を纏っている。
ぼくの右腕は真宵ちゃんの太股によって挟まれている訳だが、泡の滑りのお陰で容易に動かす事が出来た。
指で秘部全体を揺らす様に緩く刺激を与えると、かえってそれが案外良かったのか、くぐもった声が絶え間なく聞こえてくる。
愛撫も忘れずに暫く緩い刺激を与え続けていれば、やがて指に愛液が絡む。

598:ナルマヨ8
08/09/12 01:41:04 m3uD+ZeA
↑7だった…度々ごめんなさい。

今までの行為は無かったかの様にとぼけて見せると、紅潮させたその頬を膨らませて、不満そうに眉を潜めた。

「ズルイよ、分かってるクセに…」

「じゃあ、どうして欲しい?」

真宵ちゃんの言う通り、ちゃんと分かっている。
これは日頃のちょっとした仕返し。
いつも振り回されて、彼女に困らせられてばかりでは男として情けない。
まあ、こんな形でしか主導権を握れないのも些か情けないけど。
戸惑う真宵ちゃんを余裕の笑みを浮かべて見つめながら、次の言葉を待っていた。

「…良い、だったら何もしなくて良いよ」

「そう。…えええ!?」

予想外の返答にとてつもなく動揺してしまった。
まさか断られるとは思ってもみなかった、ぼく自身はもう手に負えない事になってしまっているのだから、今更どうにかなる訳でも無い。
…結局はこうなるのか。

「悪かったよ…。だから、続きをしても良いかな?」

「…それなら良いよ」

小さな声で相槌をうってから、うつ向いた。
真宵ちゃんの片足の膝裏に手を差し込んで少しばかり持ち上げる。
体制を整えると、腰を前へ押し出して少しずつ進入を試みた。


599:ナルマヨ9
08/09/12 01:42:32 m3uD+ZeA
息を詰め、僅かに表情を歪めながらもぼくを受け入れていく。
妙な愛しさが込み上げてきて、顎に指を添えて顔を向かせると唇を貪った。

「んんッ…」

唇を唇でなぞり半ば強引にこじ開け、自分のそれと絡ませる間に不意打ちを狙って下から揺さぶった。
驚いたのか、目を見開きビクビクと持ち上げていた足を痙攣させながらもすぐに目を細め、一瞬離された唇から切なげな吐息を漏らす。
ついに理性というものを手放して、唇を名残惜しく離せば本能に任せて徐々に動きを早くしていった。


「ふ、んッ、ああッ」

暫く浴室にリズムを刻んで響いていた声は断続的なものへと変わり、限界が近いのだと悟った。
ぼくも限界がすぐそこまで迫っている。
ラストスパートと言わんばかりに、更に足を持ち上げて最奥まで到達して動きを激しくすれば、真宵ちゃんは背をのけぞらせて絞る様な強烈な締め付けをぼくに与えて達すると同時に、その刺激に耐えきれず彼女の内へと欲望を放った。



「信じられないよ、なるほどくん」

「…ごめん」

「まさか、お風呂であんなコトするなんて」

「ガマンがきかなかったんだ…」

600:ナルマヨ10
08/09/12 01:43:35 m3uD+ZeA
情事後、今は二人して浴槽に浸かりながら、ぼくは真宵ちゃんに説教を食らっていた。
機嫌を損ねて頬を膨らませ横目で睨みつけてくる。
どんどん自分が情けなく思えて、罪悪感が募る一方だ。
そんなぼくの様子を知ってか知らずか、真宵ちゃんはポツリと呟いた。

「ちゃんと身体もキレイにしてから布団で、って思ってたのに…」

思わず口が半開きになりながら、その発言の意味を理解するのに少し時間が掛った。
呟いてから恥ずかしくなったらしく、湯気のせいもあるのだろうが赤面してしまっている。
浮かれてしまう程嬉しくなって、無意識に頬が緩んだ。もう良い大人なのに。

「まだチャンスはあるよ」

「え?」

「今からでも遅くないってコト」

「え。ちょっ…待った!」

「さっさと上がろうか、真宵ちゃん」

笑顔を絶やさずに優しくそう言うと、彼女を抱え上げる。
これは嬉しいという事もあるが、好都合だ。
ぼくの逆転劇は、これから始まるに違いない。

「異議あり!異議ありぃぃ!」

腕の中でジタバタと身を捩りながら、真宵ちゃんの抗議の声が狭い部屋中に響き渡った。

601:名無しさん@ピンキー
08/09/12 01:45:01 m3uD+ZeA
以上です。
途中ミス連発してごめんなさい、駄文失礼しました。

602:名無しさん@ピンキー
08/09/12 01:46:59 +qp3zScG
ふぅ・・・・乙

603:名無しさん@ピンキー
08/09/12 03:19:04 xMrbcIWg
携帯から乙でした。
楽しませて貰いましたw


604:名無しさん@ピンキー
08/09/12 10:22:49 l5dw8Smq
GJ!!!
かわいいなあ二人とも

605:名無しさん@ピンキー
08/09/12 14:19:02 WC5lTIYg
ほのぼのかわいい。
やっぱナルマヨはいいね。

606:名無しさん@ピンキー
08/09/17 10:16:12 R2B0c1Bo
GJ。
ナルアカ派の俺でも楽しめたwww


607:名無しさん@ピンキー
08/09/17 17:40:54 PKeIKn8S
皆に触発されて書いてみてるんだけど、無駄に長編になっててヤバイ。
Wordで40ページとかもう無理。
簡潔に、かつ読ませる力を持ってるって凄いんだなぁと実感した。
っていうかこういうの書くと自分の性癖もろバレだね。ハズカシスw

608:名無しさん@ピンキー
08/09/18 01:23:53 K85qbWTf
初めてハミトイトノコ物語読んだ。
事故と事故後の黒いポリ袋描写で心臓がドキドキしてマジ泣きした。
動悸がする

609:名無しさん@ピンキー
08/09/18 01:38:22 zx5OrDOf
>>613
zipで頂こうか…

610:名無しさん@ピンキー
08/09/18 12:18:02 IwS3yUGj
>>615
2~3日の内に書き上げてうpしてみる。
お手柔らかに…

611:名無しさん@ピンキー
08/09/18 16:03:01 IwS3yUGj
URLリンク(www.dotup.org)

zipってこうで良いのかな?

何しろハマってから日が浅いので、
キャラの性格とか把握出来てなくて申し訳ないです。

パスはgyakuten

612:名無しさん@ピンキー
08/09/18 16:05:15 LbzG5FRy
>>617
カップリング何?

613:名無しさん@ピンキー
08/09/18 16:09:15 IwS3yUGj
>>618
なるほど君と真宵ちゃんです

614:名無しさん@ピンキー
08/09/18 16:17:09 LbzG5FRy
>>619
ありがとう
じっくり読ませていただきます

615:名無しさん@ピンキー
08/09/18 19:14:07 zpcvDYIW
>>617
ありがとう、真宵ちゃんのいじらしさに萌えた。
エロなのに何か読後感がほっこりしたよ、GJ!

616:名無しさん@ピンキー
08/09/19 00:25:42 jBUT153h
>>617
面白かったよー、GJ!
てか、最近身内でかぶるようなことがいろいろあったもんだから、うっかり号泣した。

617:名無しさん@ピンキー
08/09/19 18:48:22 YuEHgIB+
>>617
ゆっくり読ませてもらいました
余韻が残る終わり方で優しい気持ちになったよ~
GJ!!!

618:名無しさん@ピンキー
08/09/20 07:06:02 n7a6t4bV
>>617
携帯からだから読めないのが悲しい。
まとめに載るのを待つか。


619:名無しさん@ピンキー
08/09/20 22:35:37 n7a6t4bV
>>617
まとめで読んで来たよ~
じーんと来た!gj!

620:名無しさん@ピンキー
08/09/21 01:06:49 kg16ah+O
>>617
今更申し訳ないが、作成者に本名…

621:617
08/09/21 01:29:15 yyn+B+IQ
>>626
ぎゃー姉ちゃんのを借りてポチポチやってたんだけどヤバイね
ごめん、忘れてやって下さいw
教えてくれてありがとう

622:名無しさん@ピンキー
08/09/21 22:05:51 hOpSjufg
GJ!真宵たんエロすぎwww十回抜いたwwww

623:名無しさん@ピンキー
08/09/22 21:47:39 n42q/8/R
パスワードが違うとか言われて落とせん……
ひょっとしてもう消えた?

624:名無しさん@ピンキー
08/09/22 21:54:26 IU0KkVi+
>>629
消えてるけどまとめにあるよ

625:名無しさん@ピンキー
08/09/22 21:58:24 zrncn+HF
スレリンク(pokechara板:258-261番)

626:名無しさん@ピンキー
08/09/22 23:19:19 n42q/8/R
>630
うおっと、見落としてた。ども。

627:名無しさん@ピンキー
08/09/23 00:01:37 IU0KkVi+
>>631
ワロタw

628:名無しさん@ピンキー
08/09/23 08:59:01 ljZ70BXs
>>631
これは分かるわww

629:名無しさん@ピンキー
08/09/23 14:27:42 zN7U6ZZs
>>631
ここの住人はわりと誠実な人が多そうだもんなぁ。
PINKだとは思えないw

630:名無しさん@ピンキー
08/09/23 14:56:04 R4xtlqtQ
両スレの流れに吹いたwww

631:名無しさん@ピンキー
08/09/23 16:10:26 Xp++w9JP
書き手も読み手も女性住人が大多数のようだから
あまり下品すぎるのには引いてしまうんだろう。女性が多くてマナーの良いスレは大胆どこもこんな感じの雰囲気。

これでマナーが悪くなると、下品なほうが余程マシと思えるくらい
目も当てられない惨状が引き起こされるが。

632:名無しさん@ピンキー
08/09/23 16:18:25 Xp++w9JP
×大胆→○大体
下品なのはおいらだ

633:名無しさん@ピンキー
08/09/23 22:49:15 R+uLy0iB
このスレ的に宝塚化の話はどうよ?
ラブロマンス要素も組み込まれるとか書かれてるけど

自分はミツメイ(狩魔一族)好きだから結構楽しみな反面
他のキャラが一体どうなるのかがちょっと不安w

634:名無しさん@ピンキー
08/09/23 22:50:58 Xw8AlLtr
宝塚化は嫌だけど、エロパロにいる位だからラブ・ロマンスは良いよ。

635:名無しさん@ピンキー
08/09/23 22:51:34 VIGtfxmc
>>637
>書き手も読み手も女性住人が大多数のようだから

そうなのか?

636:名無しさん@ピンキー
08/09/23 22:56:19 R+uLy0iB
>>641
そうじゃないの?
世の中見渡すと逆裁の二次創作をやってるのは
ホモ以外でも圧倒的に女が多いよ
男は書き手でも客でも本当にチラホラとしか見ない

637:名無しさん@ピンキー
08/09/23 23:05:41 V6yjk69s
冥「あーい~それは~あま~く~♪」
御剣「あ~い~それは~せつな~く~♪」
冥・御剣「あ~い~あ~い~ああいい~♪」

うーんこんなミツメイやだなあ

638:名無しさん@ピンキー
08/09/23 23:41:49 IlgBMynE
生理的にムリそうで済まないが好きカプをやってくれたらそれはそれで嬉しい

639:名無しさん@ピンキー
08/09/23 23:57:19 Xp++w9JP
>>643
でもナルマヨがそれやるよりはマシじゃ?w
逆に怖いもの見たさで見てみたくもなるけどwwww

640:名無しさん@ピンキー
08/09/24 00:38:16 NBoXcn7f
ミツメイでベルサイユの薔薇

641:名無しさん@ピンキー
08/10/01 20:23:20 9TV3WoZF
座 布 団 敷いてあげる と素で読み違えたwどうにもならん

642:名無しさん@ピンキー
08/10/01 21:15:14 OQAMK0Es
ナルマヨのエロは
個人的に今までの漫才コンビみたいな関係から急にラブラブになるのが
恥ずかしいからエロに突入してもあんまり声出そうとしない上に
真っ最中なのにベラベラ喋ってボケたり笑ったりするマヨイちゃんを書きたい、もしくは見てみたい。
やってることはエロいのに、雰囲気が全然エロくないっていう。

>>677
たしかに3分くらいで帰っちゃうな…
創作意欲の置き土産くらいしていけばいいのに

643:名無しさん@ピンキー
08/10/02 04:08:19 kkxHhpIO
真宵は保管wikiにあるマヨメイの真宵みたいに
あっけらかんとエッチなことしちゃう感じがいい

644:名無しさん@ピンキー
08/10/02 07:27:04 AD7Gu+w2
読ませてもらえるならなんでも良い…(*゚∀゚)=3ハァハァ
どの真宵もそれぞれ良いよ。
あっけらかんも、恥ずかしがりも、無知も、健気も。
みんな違って、みんな良い。

645:名無しさん@ピンキー
08/10/02 09:44:11 nvYbRTXr
なんで、みすゞ

646:名無しさん@ピンキー
08/10/02 15:07:29 AD7Gu+w2
わかってくれて、ありがとう。

647:名無しさん@ピンキー
08/10/03 21:36:07 tUaDrh9F
ナルホドって「ちーちゃんはトイレなんか行かない!!」と力説してたけど、童貞くさいな

648:名無しさん@ピンキー
08/10/04 00:14:21 TKduX6ZN
実際童貞だと思うけどナルマヨとか読んでると便宜上経験済みなのばっか
二人とも未経験のナルマヨが読んでみたい

649:名無しさん@ピンキー
08/10/04 00:19:59 ZPMlP8Fe
あ~、それ読みたい。
今までの作品のなるほどはわりとテクニシャンだからね。


650:名無しさん@ピンキー
08/10/04 03:59:22 49jKT6TL
>二人とも未経験のナルホド

今まさに書いてるところ。
小説なんて書くの初めてだがナルマヨ好きすぎてとうとう汚します。ごめん。
たぶんあと数日で出来上がる。

651:名無しさん@ピンキー
08/10/04 07:39:40 xkQTIOGa
>>687
神ktkr
お風呂入って綺麗にしてwktkしてるから!

652:名無しさん@ピンキー
08/10/04 12:24:37 RU4e3Q8u
>>687
なんというグッドタイミング
楽しみにしてます

653:名無しさん@ピンキー
08/10/04 17:55:47 QM51Vhv0
>>687

>二人とも未経験のナルホド

ごめん…つい笑ってしまった……
しかし楽しみにしてます。


654:名無しさん@ピンキー
08/10/04 18:56:40 Lk9Tq9WJ
>>690
何か違和感がと思ったらそこだw


655:名無しさん@ピンキー
08/10/06 20:09:39 4sFA1Ipy
ワクワク

656:名無しさん@ピンキー
08/10/08 19:43:37 2zAWkXXY
成歩堂の童貞喪失と真宵の処女喪失はまだかああああああああ

657:名無しさん@ピンキー
08/10/08 21:15:09 oPz9ghEX
全裸で待機してたら風邪ひくな、服着るか…

658:名無しさん@ピンキー
08/10/08 22:03:44 2zAWkXXY
そうだな…。
やっぱり投下されてから服脱げば良いよね…。

659:名無しさん@ピンキー
08/10/08 23:23:18 taL81t5c
もし投下予告を見て遠慮してる人がいたら気にせず投下して欲しい

660:名無しさん@ピンキー
08/10/08 23:42:05 2zAWkXXY
そうそう。
そんなのは嬉しいだけだからね。

661:名無しさん@ピンキー
08/10/09 06:30:57 Ux4Fr1TO
あんまり催促されると書き手のモチベーション下がるよ

662:名無しさん@ピンキー
08/10/09 11:07:19 3lEWsSdr
>>684-685のレスを見てから
漫画の第一巻・第一話の風鈴の話を読んで笑ってしまった。
愛を語ったところで所詮お前童貞だろw


663:名無しさん@ピンキー
08/10/09 18:52:58 0Y2VLcpk
"そういう愛もある"
みたいなこと 言ってたなwww

664:名無しさん@ピンキー
08/10/09 19:35:53 IkfExb5M
“なるほどクンの分際で”

今ほどこの言葉とのび太の姿を思い出したことはない。

665:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 19:50:49 fLmb4SC5
筆の進みが遅くてスマソ…
何分初めてなもんでなかなか上手くいかねッス
しかもめっちゃ長くなってしまったんで、とりあえずエチー突入前まで。

666:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 19:54:00 fLmb4SC5
[1]
知り合う前は「おねーちゃんの部下」で、
知り合った頃は「弁護士さん」で、
仲良くなってからは「なるほどくん」。
特別な人になったあとは…別にそのまま。
「なるほどくん歴」が3年も続いちゃ、
今さら変えるのもむず痒い気もするし
あやめさんみたいに「リュウちゃん」って呼ぶのは違和感バリバリだし…
それに…特別な関係って言っても、
お互いに異性として好きって打ち明けあって、
特別な人には変わったけれど…
手をつなぐことすら照れくさくて。
結局、肩書きだけの恋人になったまま、特には進展ナシ。
「真宵ちゃん」って呼び方も変わんないし、別にふつう。
カップルって言葉よりコンビって言葉のほうがしっくりきちゃうと思ってるのは、
たぶん一緒なんじゃないかなあ。
だって、今さら、だし。
そういうフンイキ、くすぐったいし。
***
視界が遮られるほどの濃厚な湯気を浴びて、自然と肌が汗ばんだ。
あたしは麺を一気に食べちゃうタイプで、残ったスープも全部飲み干すタイプ。
残らずたいらげたあたしを見て、なるほどくんは苦笑した。
「‥・・ほんとに美味しそうに食べるね」
「何言ってんの!みそラーメンをマズそうに食べるほうがむずかしいよ!」
「なるほどくんったら…真宵さまにそんなに見とれて」
ラーメンのスープのあとは、お冷も一気に飲み干す。
なるほどくんはお腹をさすって眉を寄せた。視線があたしに刺さる。
そんななるほどくんを見て、はみちゃんはいつものように
両手をほっぺに触れながら、可愛く笑った。
あ。もったいないことに、なるほどくんの器にはネギもスープもまだ残ったままだ。
おまけに麺まで数本残ってる!
暗黙の了解で、なるほどくんの器に手を伸ばす。
一本の麺を粗末にしたら、一本の麺に泣くんだよ。
いただきます。
「あら?なるほどくん、よろしいのですか?」
なるほどくんの分を真宵さまが食べようとしてますよ、という意味合いで
はみちゃんがなるほどくんに声をかけた。
「真宵ちゃん見てたらこっちまでお腹いっぱいになっちゃったし…」
「ふふ…恋をしているとごはんが喉に通らないって言いますものね」
「…………。そ、そうだね」
「……」
はみちゃんは、あたしとなるほどくんが「そうなる」前から、
あたしとなるほどくんを、愛し合ってるだの、運命の人だの口にしていて、
そのたびに、はみちゃんの話に合わせてた。
そうじゃないのに、そういうフリをしてきた。
誤解されているのが無性に恥ずかしいと思ってた。
だけど、実際にはみちゃんが口にする関係になっちゃったら、
今度はほんとうにそうなのだと、
確信されて更に冷やかされる方が恥ずかしいと思うようになって。
あたし達は、今まで以上に3人でいることが多くなった。
はみちゃんに適当に合わせることは変わらないけど、その意味は大きく変わった。
変わったことと言えば本当にそれくらいだった。
***

667:名無しさん@ピンキー
08/10/09 19:54:25 IkfExb5M
>>702
キタキタキタキタ━━(゚∀゚≡(゚∀゚≡゚∀゚)≡゚∀゚)━━!!

668:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 19:59:15 fLmb4SC5
[2]
「では、おやすみなさい!なるほどくん」
「うん、おやすみ」
「またねーなるほどくん。じゃ、はみちゃん帰ろっか」
「はい!」
あたしとはみちゃんは倉院の里。なるほどくんは自宅へ。
別れ道で手を振った。反対側の手ではみちゃんと手を繋ぐ。
なるほどくんに背を向けて歩き出す。
見送るなるほどくんの視線を感じたけれど、振り向かなかった。
照れくさいから。キライじゃないよ、分かってね。
「やきぶた屋さんのラーメン、美味しかったです!」
あたしの手を握り返しながら、はみちゃんは目を細めた。
今日は満月で、いつもよりひと際大きな白金色の月明かりが
あたし達の影を長くのばしていた。あたしの影と、はみちゃんの小さな影。
下駄の音があたしたちの声に伴奏する。
「違うよーはみちゃん。やたぶき屋ー。間違えるとあのおじさん怒っちゃうよー」
はみちゃんの笑顔につられて、あたしも笑みがこぼれる。
かわいい間違いを指摘するとはみちゃんは小さな口と大きな目を丸くする。
「まあ、どうしましょう!
 わたくし、さっきお店の中で『やきぶた屋さん』と言ってしまいました!」
「あはははは!もし怒ってきても、なるほどくんに弁護してもらえばへーきだよ!」
「ふふ、そうですね」
「うん…」
自分でなるほどくんを笑いのネタに使っておいて、
こんなところで、なるほどくんの名前なんか出したら
はみちゃんに「よっぽど好きなんですね」なんて言われないか、
ちょっと自意識過剰になっちゃって、気の抜けた相槌をしてしまった。
はみちゃんはそんな様子はないけど、あたしは、
なるほどくんの名前を出して、心臓がドキドキしていた。
今日も…他愛ない会話しかしなかった。
普通、恋人ってどんな会話をするものなんだろう。
どんな風に時間を過ごすんだろう。
あたしは、今のままでも十分なんだけど、
なるほどくんは、どうなのかなあ。

669:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:01:37 fLmb4SC5
[3]
「…真宵さま?」
急に黙ってしまったあたしを心配そうに見上げながら、はみちゃんが声を掛けてきた。
「あ、ごめんごめん!ぼーっとしてた!」
「いえ。大丈夫ですか?」
「ちょっと食べ過ぎたかも!」
「真宵さま、綺麗に残さず食べられますものね。わたくしも見習わないと」
「はみちゃんはまだ小さいからねー無理しなくてもいーよ!
 なるほどくんは一番大きいのに情けないよねー!」
あ。またなるほどくんの事…。
「ふふ、本当に真宵さまはなるほどくんをお慕いしているのですね」
ううう…とうとう言われちゃったあ…。
「でも」
はみちゃんは続けて口を開く。
「真宵さま、なるほどくんとの逢引きはしなくてよろしいのですか?」
「え…」
「いとしい人同士ならば、
 逢引きをするものなのだとお聞きしたことがありますけれども…。
 そういう様子が見当たりませんし…」
はみちゃんに言われて、思わず顔が赤くなる。
「もしや!」
急にトーンを上げたその声に少し肩を揺らしてしまう。
「わたくしに気をつかっていらっしゃるのでは…?
 も、もしそれでしたらわたくし、謝らなければ…!」
眉を下げて今にも土下座しそうな勢いであたしを見つめてくる。
「ち、ちち、違うよはみちゃん!
 …あ、あああ、愛する者同士は、はは、離れててもへーきなんだよ!」
自分で言っておきながら、耳をふさぎたくなる。
首元からぶわっと一気に熱が上がるのがわかった。
今が夜で良かった。昼間だったら、顔が真っ赤なのがバレちゃってるよね。
「そう、なのですか?」
「うん!そうだよ」
「それでしたら、良いのですけれど…」
「いーの!いーの!それに、3人でいるのが楽しいんだから!ねっ」
いけないことをしてるわけじゃない、と思う。
なるほどくんの持ってる六法全書?にも
きっとこれは間違いである、なんて書いてないと思う(見たこともないけど)。
なのに、なぜか、急になるほどくんに謝りたくなった。
ごめんね、って。
なるほどくん、ごめんね。
恋人らしくできなくって、ごめんね。
心の中で謝ると、なんだか寂しさが心を駆け抜けた。
***

670:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:04:08 fLmb4SC5
[4]
お互いに思いを打ち明けたのは、葉桜院から帰ってきてから
3日も経っていない時だった。
はみちゃんは学校だったからいなくて。
しかもその日はたまたま依頼も無くて、
久し振りに休日を満喫できた日だった。
それから、二人っきりで久しぶりに話ができた日だった。
「あーなんか今日は久し振りにヒマを楽しめそうだよね!」
ソファに寝そべりながら、天井を見つめて大あくび。
お茶の葉を急須に入れてなるほどくんは、
「うれしそうに言うな、経済的にはよくないことだぞそれ」
と言ったあと、ポットの湯を注いだ。
緑茶のいいにおいがかすかに漂ってくる。
「いいじゃない!ここ数日ろくに休んでないんだし!」
「そ…そうだな」
「それになるほどくん川に落ちて入院してたんでしょ?
 しばらくは無理しない方がいいって!」
「うん」
心なしか、なるほどくんの声のトーンが低いような気がして、
「どうしたの?元気ないよ?」
と尋ねたのに、あたしの問いかけに返事はなかった。
かわりに淹れたてのお茶のにおいがすぐ近くまで来ていて、
ソファの前の来客用のテーブルに、湯呑を置く音がしたと思ったら
天井が急に目の前から消えた。
同時にあたしの肩や背中やお腹が、青いスーツの生地に包まれていた。
上半身が起こされて、抱きしめられていることに気付くのに
何秒もかかってしまった。
「え。え。え。」
まるでなるほどくんがうろたえた時みたいにマヌケな声を出しちゃった。
だって、なんでこうなってるのかが理解できなくて。
「ごめん、急に。でも…」
でも…のあと喉を鳴らしたのが聞こえた。
それにすっごく長い間。なるほどくんの声も肩も震えている。
「真宵ちゃんが無事でよかった」
「ごめん。ごめん真宵ちゃん」
「帰ってきてくれて良かった…」
「真宵ちゃんが死んだらどうしようって」
「真宵ちゃん…よかった」
何度も間を開けて、震えながら、
なるほどくんはますますあたしを抱きしめる力を強くして、絞り出すように言った。
その一言一言で、あたしを心配してくれているのが
これでもかってくらい分かってしまって、
なるほどくんの沈黙を補うように、あたしの眼から暖かい滴が零れた。

671:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:06:30 fLmb4SC5
[5]
何が悲しいわけじゃない。お母さんを失ったことを思い出したわけじゃない。
それどころか、頭の中にフラッシュバックするのは
17の時、初めてなるほどくんに弁護してもらってから今までのこと。
なるほどくんばっかり。
笑うなるほどくん、
怒るなるほどくん、
慌てるなるほどくん、
困るなるほどくん、
呆れるなるほどくん。
いろんななるほどくんが出てきたけど、こんななるほどくんは見たことがなくて。
愛しいと思った。なるほどくんの存在がありがたいと思った。
思えば思うほど、涙が止まらなくなった。目の奥が痛いほど、泣いた。
「ごめ…ね。な…ほどく…」
心配掛けて、ごめんね、なるほどくん。
うまく喋れない。あたしの涙はなるほどくんの肩に落ちる。
青いスーツのその部分だけが、濡れて紺色になった。
でも、伝わったのかな。なるほどくんは
「うん、いいよ。帰ってきたから」
と今までで一番優しい声で、言ってくれた。
あたしの心臓はドキドキしていて、その時にあたしは
なるほどくんが、好きだということに気がついた。
はみちゃんやおねえちゃんに対して思う好きともつかない、
御剣検事やイトノコ刑事やヤッパリさんとも違う好き。
もちろん、トノサマンが好きとか、みそラーメンが好きとか、そんな好きでもない。
今急に好きになったんじゃないと思うけど、いつから好きだったのかが分からない。
ずっと昔のことのように思える。
やっと気づいた、その言葉がぴったりだった。
あたしの肩や背中を強く包んでいた腕が緩んだ。
なるほどくんの肩に埋めていた顔を離して、なるほどくんと向き合う。
あたしは、なんか照れくさくて目をそらそうと思ったけど、それもなんか悪い気がしたり、
なるほどくんはなるほどくんで、何度も口を開いて何か言いかけてはやめ、その繰り返し。
ぐちゃぐちゃの顔だし、あんまり見られたくなくて、とうとう沈黙を破っちゃった。
「な、なんか言ってよなるほどくん」
「い、いや、真宵ちゃんこそ、そこはただいまとか」
「…あ。あ、あたしのせいなんだ」
「そーいうワケじゃないけどさ…」
「……うん」
「……うん」
なんだろう、この会話。へんなの。
なにやってんだろ、あたしたち。
「真宵ちゃん?」
あ。トーンが低くなった。
なるほどくんの目つきもなんか変わった。
「ん?」
鼻をすすって、あえて目をそらす。
なんとなく、察しが悪いといわれるあたしでも、なんとなくだけど。
次に言われる言葉が、ちょっとだけ読めてしまった。
それはあたしも言おうかな、と思ってた言葉だったから。

672:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:10:51 fLmb4SC5
[6]
「その…」
「うん」
「ボクさ…真宵ちゃんが…」
「…うん?」
「………うん」
「………な、なんでそこで『うん』なの…?」
「……うう、なんか言いづらい」
「………なるほどくん」
「ハイ」
「………好き…
 …………………
 …なの………………かな?」
「…そうきたか」
「どーなの、ね。ね」
「………うん」
「ナニソレ。適当だなあ」
「…。ごめん…」
「……なるほどくんのバカ」
「…うん」
「…………あたしも」
「…うん」
頭の中はまっしろで、目は泳いでたし、
なんか妙に汗が出てくるし、心臓のあたりがもわーって熱くなるし。
整理しながら喋ることなんて出来なかった。
あたしの本能のままに口を動かしたら自然と出てきた。
なるほどくんは、分かってるよ、と言わんばかりにそっけない返事。
でも、それがいつものあたし達を象徴してるみたいで、
ああ、ここに帰ってきたんだ、
あたしの居場所はここなんだなあって実感がわいてきて…
口元が緩んで、喉の奥から笑いがこみあげてきて
それにつられてなるほどくんも目を細めて歯を見せて。
笑った。
「子供っぽくていいのかな?」
「こっちこそ。7つも上だけど?」
また変な笑いがこみあげてきて、おなかの底から大笑いして。
「異議なし。」
綺麗にハモった。


673:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:11:52 fLmb4SC5
[7]
で、その時、なるほどくんの大きな手が、
あたしの頬を包んで…真黒な眼があたしを見てて…
え…もし、かし、て…?
それは、これは、その、そーいうフンイキ、なのかな?
思ってるうちにナルホドくんのギザギザ眉毛が近寄ってくる。
ひゃあ!キスされる!わあ!わああああ!
「ラーメン!!!」
あたしの口は勝手にそんなことを叫んでた。
まさになるほどくんとあたしは、目と鼻の先。
なるほどくんは完全にタイミングを逃したといった感じでこっちを見ている。
「お腹すいたの?真宵ちゃん…」
「うん!なんかお腹ペコペコ!食べたい!」
なるほどくんの顔が見れない。
あたしは罪悪感と安心感がぐちゃぐちゃーって葛藤している。
拒んだことになるのかな?
でも、今まで積み重ねてきたものが、違うものに変わってしまうのも寂しくて、怖くて。
それから、恥ずかしくて。
「いいよ、じゃ、食べに行こうか」
なるほどくんは優しく笑って立ち上がった。
あたしはもう、気恥ずかしさを隠すのに必死で
「なるほどくんのオゴリ?」
なんて、また余計な可愛げのない言葉を吐く。
なるほどくんは湯呑やゴミを片づけながら背中越しに
「彼女に金出させてどうするんだよ」
と、淡白に言った。
見慣れてきたはずの大きな背中が、急に頼もしく、男らしく見えた。
「彼女」って、言った。
あたしが彼女なら、もちろんなるほどくんはあたしの彼氏…
その響きがあったかい。くすぐったい。それから、幸せ。
これからもよろしくね。
心の中で呟いて、ソファから降りた。
***

674:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:13:59 fLmb4SC5
[8]
あいかわらず、倉院の里は何もない。
修験の時間が終わると、あとは食べてお風呂入って寝る。それしかない。
テレビがあるため、自然とテレビを見て退屈をしのぐ習慣がついてしまう。
だからあたしもはみちゃんもテレビが好き。
毎日、毎日お互いに眠くなるまでテレビはつけっぱなし。
今も、二人で「月9」を見ている。
「ずっと思っていたのですけれど、
 この殿方、少しなるほどくんに似ていませんか?」
亀みたいに蒲団から頭を出してはみちゃんがテレビの中の俳優さんを指して言った。
言われてみれば、似てなくはない…ような気がする。
もちろん、なるほどくんより整った顔なんだけど、骨格というか、
なんとなく口元や顔の輪郭が似ていて、声もちょっと似ていた。
「お、ホントだー。なんかフンイキ似てるねー」
「ですよね。お相手の方は真宵さまには似ていらっしゃらないですが…」
「この子のほうがずっと可愛いもんー」
「そんなことないです」
はみちゃんが言ったお相手、とはドラマの中のヒロイン役だった。
このドラマは、友達から恋人へと変わっていく人間関係を描いていて、
いつまでもすれ違っていたんだけど、先週の放送でヒロインが誘拐されそうになって
なるほどくん(似)は一生懸命ヒロインを助けた。
今週はとうとう最終回。
ヒロインは助けられたことで、なるほどくん(似)をますます好きになったようで・・・。
すれ違いながらも、今やっと二人っきりの時間がやってきて、
いま一番イイトコ。
≪お前のこと好きだ≫
≪女っぽくないし、意識したことなかったんだけどさ≫
≪ほっといてよ≫
≪お前がいるのが当たり前すぎて…お前がいなくなった時、正直ヤバかった≫
≪………≫
≪おれお前のこと、いつの間にか大事な女に変わってた≫
声が似てるせいで、なんだかなるほどくんに言われてるみたいで、
まさに見てるこっちが恥ずかしい。
しかも、自慢じゃないけどあたしも誘拐されて、
なるほどくんに助けてもらった経験があるし…。
ヒロインの女の子は、涙ぐみながらも笑顔を浮かべて、照れ隠しに
≪言うのが遅い。ばか。言われなくても知ってたよ≫
と、呟いた。
それで、二人の距離が縮まって…
顔が近づいて…

675:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:15:26 fLmb4SC5
[9]
「きゃあっ」
はみちゃんは恥ずかしそうに両手で目を覆ったけど、指の間がばっちり開いている。
テレビの中で、なるほどくん(似)とヒロインはキスをした。
あの時、恥ずかしさで拒んでしまったことを思い出した。
やっぱり、こういう雰囲気の時は身を任せておくものなのかなあ…
ドラマの中でずっと友達で、コンビのようだったこの二人でさえこんな風になれるのに。
と、思ってたら、テレビの中ではなるほどくん(似)とヒロインは抱き合いながら、
ソファベッドに倒れこんでいく。こ、この展開は…
あんまり知識のないあたしだけど、この年になれば分かってしまう。
カメラアングルとフェードアウトのおかげでそのシーンはカット(当たり前か)
まったく、はみちゃんが見てるっていうのに、
そんなシーン流さないでよ!と異議をとなえたい。
次に画面が変わった時には、別の場面になってたからよかったものの…
「あ、あら?お二人は寝たのですか?」
はみちゃんの口からとんでもない言葉が飛び出す。
慌ててはみちゃんの軌道修正をしようと思ったけど、
「寝た」っていう言葉は、はみちゃんの中では「就寝」のことだとすぐに気づいたので、
ほっと胸をなでおろした。
「うん、二人とも両想いになって安心して眠くなったんだよ」
と、適当に言う。
はみちゃんは「いいものですね~」と照れていたものの、意外に冷静。
なのにあたしときたら心臓がバクバクいっていた。
どうしてもこの間の記憶と重なってしまう。
あたしがもし、あの時ラーメンなんて言い出さなかったら、そういう風になっていたのかな…
そこまで思ったとき、ふと疑問が浮かんできた。
あたしはそもそも初めての彼氏なわけで、もちろん経験がないけど…
なるほどくんは…あやめさんっていう彼女がいたわけで…
もしかしたら…。
考えれば考えるほど寂しく、そして悔しく、妬ましく思えてきた。あたしらしくもない…。
なるほどくんは、キスとか…したこと…あるのかな…。
***

676:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:17:01 fLmb4SC5
[10]
修験の指導が終わって、今日の仕事はこれで終わり。
修験者の間から出ると、夕日の光がさして、オレンジ色がまぶしかった。

なるほどくんが彼氏になってから、2か月が過ぎようとしていた。
あたしたちに何か進展があったかと言うと、もちろん、ない。
あたしが、二人きりの時間をとらないせいで、
「デート」と呼べるものをいまだにしたことがなかった。
せいぜい、メールのやりとりを毎日するくらいで。
しかもメールの文面もそんな甘いフンイキのじゃなくて、
もともと面倒くさがりななるほどくんに、機械に弱いあたしだから、
絵文字がひとつも入っていないメールばっかり。
同世代の女の子たちは彼氏にハートマークの絵文字をいっぱいつけるらしいけど、
あたしが絵文字をつけようとすると、
メールの本文を全部打ち終わるよりも長くかかってしまう。
なるほどくんがハートマークってのも、なんかヘンだし。
唯一の二人だけのコミュニケーションなのに、その内容ときたら

「今なに食べてる?」
「焼きビーフン」

「トノサマンの新シリーズ始まるから録画して」
「わかった」

「そろそろ寝るね」
「うん、おやすみ」

こんなのばっかり。
別にラブラブ(死語)になりたいわけじゃない。
急に恋人らしく振る舞えって言われても無理だし、振舞ってほしいなんて思ってない。
だけど

「あたし達、ほんとに付き合ってるのかな…」

自業自得なくせに。あたしは末っ子だから、ついわがままになってしまう。
どうしたらいいのかな。どうしたいのかな。


その時

『俄然ヒーローだトノサマーン♪』

「きゃわああああ!!」

あたしの携帯から着うたが大音量で流れてつい奇声をあげちゃった。
急いで携帯の画面を確認する。

”なるほどくん”

着信画面の表示にはあたしの「彼氏」の名前が書かれていた。
その文字を見た瞬間、胸が熱くなった。
受電マークを押す指がなぜだか湿ってくる。


677:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:18:14 fLmb4SC5
[11]
「…もしもし?」
『真宵ちゃん、今電話大丈夫?』
「うん。なるほどくんこそ。仕事の依頼受けてきたんでしょ?
 ごめんね、あたしも今日里で修験指導があって、行けなかったの」
『いいよ、今終わったところなんだ。
 それより…真宵ちゃん、お花見でも行かないか?』
「え、え。お花見?」

意外な誘いの言葉に思わず外の景色を眺めた。
里から見える山の色はそういえば桜色に見える。
今は、4月だった。

「でも…こんな時間に?今からそっちに行くと夜になっちゃうよ」
『いいんだよ、ボクが見たいのは夜桜だから』
「夜桜?」
『ああ。ボクの家の近くの公園、ライトアップされてて綺麗なんだ。
 それとも今日は疲れてる?』
「う、ううん!
 あたし、見てみたい!夜桜見たことないし!」
『じゃあ事務所の近くの駅までおいでよ。迎えに行くから』
「あ!なるほどくん!!」
『何?』
「はみちゃんも連れて行ってもいいの?」
『…いいよ。気をつけて来るんだよ』
「う、うん。じゃあ後でね!」

電話を切ったあとの静けさに反比例して、あたしの胸のうちは暴れていた。
はみちゃんも連れて行っていいか聞いた時の、
一瞬の沈黙が。いいよ、と言ったなるほどくんの優しい声が。
すごく切なくて…また謝ることが出来なかった。

これじゃ、あたし、なるほどくんのこと嫌がってるみたいじゃない…。
そうじゃないのに。
どうしてこんな風にしかなれないんだろう。


あたしは、深呼吸をしてはみちゃんの部屋に足を運んだ。

678:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:19:45 fLmb4SC5
[12]
「はみちゃーん、入るよー」
「…あっはい!どうぞ!」
戸を開けると、はみちゃんは机に向って勉強していた。
「あ、勉強中だったの?はみちゃん。エライねー!」
「いえ、その。もうすぐ新学期ですから…」
「あのさ、はみちゃん。なるほどくんがね、夜桜見に行かないかって電話があったよ」
「まあ夜桜」
「うん、なんかライトが綺麗なんだってー。あたしもよく知らないけど」
「素敵…」

はみちゃんは予想通り、手を両頬にあててうっとりしている。


「でも…申し訳ないのですが、行けません」

「え、ええええ!」

これは…予想外だった。

「明後日には学校が始まってしまいますので、
 どうしても今日と明日でやっておかないと…
 わたくし、宿題を怠っていて、山積みなのです。ごめんなさい」

「…そ、そっかあ…宿題は、うん。やんないとダメだよね…
 じゃ、じゃああたしだけで行ってくるけど、大丈夫?」

「はい」

「何かあったら電話してきてね」

「はい!いってらっしゃいませ、真宵さま」

はみちゃんに手を振って。戸を閉める。
…二人きりだ。どうしよう。


あたしは、里を飛び出した。

***

679:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:20:37 fLmb4SC5
[13]
思えば。
17歳の時、この駅で「1人前になったら、帰ってくる」となるほどくんと別れた。
書置きしたメモを見て急いで飛んできてくれたなるほどくん。
自信をなくしたあたしに異議を唱えて、
こんなあたしでも役に立てたのだと証拠を見せてくれたなるほどくん。
3年経って、なるほどくんは名の知れた弁護士に。
あたしは、倉院流霊媒道、綾里家の家元に。
それから彼氏と彼女に。
時間はたっても、肩書は変わっても。思い出はちっとも色褪せない。
淡白なくせに、たまにすごく優しくて、その優しさがあたしに甘えを与えているのかもしれない。

「あ」

ホームから改札へと向かって歩いていると、
一際目立つギザギザ頭が目に入る。改札口の向こうで手持無沙汰に立っていた。
なるほどくんの視点じゃ人ごみの中、そんなに背が高くないあたしを見つけるのは難しいかなあ。
と思ってたら、人ごみが増えたのを感じたなるほどくんがこっちを見た瞬間、
あたしの姿を見つけて笑った。あたしも笑って手を振る。

「ごめん、待った?」
「ううん、ついさっき来た」
「へへ、なるほどくんはどこに居てもすぐ分かっちゃうねー」
「それはお互い様。真宵ちゃん自分の髪型と服装客観的に見たことある?」
「ううヒドイ…それが彼女に向かって言う言葉かなあ」
「……」
なるほどくんは目を丸くした。
あたしはつい自分で彼女、と言ってしまったことに気恥ずかしさがやってきて顔が赤くなった。
そんなあたしを見てないよ、と笑うようになるほどくんは目を細めた。
「あれ?」
また目を丸くするなるほどくん。
「春美ちゃんどうしたの?トイレ?」
「違うよ。もうすぐ新学期なのに宿題が残ってるから行けないって」
「…そっか」
じゃあ今日は二人っきりだね。なんて言われるかななんて一瞬思ったけど、
なるほどくんはそんなキャラじゃなかったのを思い出して、すぐにその考えは消えた。
「じゃ、いこっか」
「うん!」
少し前を歩くなるほどくんの広い背中を追いかけた。

680:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:21:49 fLmb4SC5
[14]
「ここからすぐなの?」
「うん。歩いて10分くらい」
「え、じゃあ事務所からも近いんだ」
「そうだね、でも事務所とは反対方向だよ」
「なるほどくんの家はここから近い?」
「うん、こっちの方角に歩いて5分」
「公園より近い!でも、考えてみたらそうだよね、
 なるほどくん免許も車もないから、仕事場には近いほうがいいもんね」
「ごめんね、お迎えが車じゃなくて」
「そんな意味で言ったんじゃないよー」
「ハイハイ」
「…」

あたしは立ち止まった。
なるほどくんは、すぐに気づいて振り返る。

「どうしたの?」
「…ごめんね」
「何が?」
「あたし、彼女になったのに…
 なるほどくんのこと何にも知らなかったんだなって。
 知ろうとしなかったんだなって。二人で会うことすらしなかったし…」
「なんだ、そんなこと気にしていたのか…」
なるほどくんは、やれやれ…って顔で笑ってまた歩き出した。
やれやれ、の真意が知りたくて追いかける。
「気にしてないよ、ボクは。
 急に恋人らしく振る舞えって望んでるわけじゃないし」

気づいたらなるほどくんの歩幅は狭くなっていて、あたしを真横から見ていた。
ああ、今の利いた。
ダメだ…なるほどくんのこと、どんどん好きになっちゃうな…

「…ありがと」

あたしは勇気を出して、いつも異議を唱える時に突き付ける骨ばった人差し指をつかんだ。
掴んだ指先から、じわーって温かさが広がる。同時にあたしの顔にも熱が広がる。
この人差し指に、この声に。あたしは何度も救われた。

「手冷たいな。まだ夜は冷えるんだから気をつけろよ」

そう言ったと思ったら、大きな手はあたしの手を包み込んで、青いスーツのポケットに吸い込んだ。
初めて手をつなぐそのあったかさと、くすぐったさは、意外にも心地いいもので。
あたしは照れくさくて、赤面してたわけだけど。横から見上げるなるほどくんの顔も少し赤くて。

なんだ、余裕ぶってる割に、そうなんだ。

「顔赤いよ、なるほどくん」
「うるさいな」

夜桜に彩られた公園までの道のりは、あっという間だった。

681:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:23:31 fLmb4SC5
[15]
「うわあ!なにこれ、すごいきれい!」

あたしが想像していたよりもはるかに大きくて華やかで、美しい桜。
電話でライトアップって言っていたのを
てっきりクリスマスツリーの飾りの電飾みたいなものだと勘違いしていたあたし。
桜を見上げるように照らす淡く色づいた光は藍色の空とマッチして幻想的だった。

「クリスマスツリーみたいな電飾だと思ってたよー」
素直に自分が勘違いしていたことを告白してみると
「あれ、そっちのほうが真宵ちゃんは良かった?」
なんだか、子ども扱いされた気分になったのでちょっと腹が立った。
すぐにごめんごめん、と笑ってくれたから、許すけど。

光にあたって、散る花びらがキラキラしている。
倉院の里にももちろん桜はいっぱいある。でも、こんな風にライトアップされた桜なんてどこにもない。
昼の桜の綺麗さなら倉院の里だって負けないと思うけど、これは、完敗かも・・・。
どの桜を見渡しても、絵になる。物より思い出とは言うけれど、この風景は形に残しておきたいと思った。
ふと、あちこちの桜を見ているとき、あたしは気づいた。

「……カップルだらけだね」

自分のことを棚に上げておきながらそんな事を言ってみる。

「たぶん周りも同じこと思ってるぞ」

ポケットの中で手を繋ぎ直して、なるほどくんは笑う。
「あたしたちってカップルに見えるのかな」
「見えてなかったらボクは立場的に厳しいものがあるな」
「え、なんで?」
「いや、また自分を弁護しないといけないような…何でもない」
あたしの姿や言動が幼い事を暗喩したのを、途中でやめる。
最初何のことかと思って数秒間考え込んだら、その意味がわかって、
あたしは頬を膨らませて、繋いでいた手を離し、なるほどくんの腕を叩いて異議を唱えた。
もうすぐあたしはハタチなのに。
そりゃ、ハタチまでカウントダウン入ってるのに、今まで恋愛経験ゼロってのは
たしかに人よりちょーっと遅いのかもしれないけど。
ちょっと面白くなくって、立ち止まって見る。

「真宵ちゃん?」

この間見ていたドラマを思い出して、
あの時感じたなるほどくんへの疑問をぶつけてみる。

「なるほどくんってさ、キスしたことある?」
「え」
「あやめさんとした?」

ぎくっていう文字がハッキリ見えた(気がした)。

682:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:25:01 fLmb4SC5
[16]
「…そうなんだ。ふーん」
「昔の話だよ…それに、数える程しか…」
「数えられるくらいはしたんだ」
「うっ…」
いつもピンチの時ほどふてぶてしく笑うくせに、
あたしの誘導尋問にいつも簡単に引っかかる。
あやめさんと付き合ってたことは知っていたし、
半年も付き合っていれば普通のカップルならキスの一つや二つ、するのは当たり前なんだし。
それに、そーいうことから照れくさいっていう理由で遠ざかってたのはあたし。
なるほどくんが「したことないよ」って嘘突いたとしても、信ぴょう性にかけちゃうのに、
嘘でも否定してくれないっていうのが何故か寂しくて。
負けず嫌いなあたしは、あやめさんが手に入れたものをまだ手にしていない事実が悔しかった。
自業自得なのに、それを受け入れることのできないあたしは駄々っこそのものだった。

「…帰ろ。寒くなってきた」

あたしは無理やり怒ってないよと笑顔を作って、振り返った。
桜が舞い落ちるスピードより遥かに早く、下駄が地面をたたく音を響かせて歩きだす。
夏はとても涼しいこの装束だけど、4月に入って間もない夜を過ごすには寒くて。
さっきまで触れていたなるほどくんの手の暖かさが恋しい。
なるほどくんはあたしの名前を呼びながら追いかけてくる。革靴の音があたしの後ろで鳴っている。
夜桜がどんどん遠ざかる。
瞼を何度も閉じては開き、シャッターを切るように目に焼き付けた。
光が眩しくて、目の奥に突き刺さって、涙がにじむ。

「真宵ちゃん!」

装束の裾をつかまれて、ぐいっと後ろに戻される。
バランスを崩したあたしの両肩を大きな手が包み込んで、あたしの進行方向を変えさせた。
目を閉じる前は流れるような夜桜の風景、目を開けたらなるほどくんの顔がドアップで映っていた。
あたしの唇には柔らかくて温かい感触が触れて、花びらが掠めていくようにそれは離れた。
まさに一瞬。「瞬く間」。あたしは、なるほどくんと…

「好きだよ」

胸の中で悶々と渦巻いていた感情はその事実と言葉で音をたててしぼんでいった。
夜桜の景色を形で残さないと忘れそうだって思ったけど、このことはもう一生忘れない。
瞼に焼き付いて離れない。一番きれいだと思った場所であたしは生まれて初めてキスをしたんだ。
なんとも言えない不思議な充実感と幸福感が湧きおこる。
そして、生まれて初めてこんなに好きになった人に、初めて、誰が聞いてもわかる言葉で、愛をもらった。

あたしも、その言葉に答えたい。真剣に…

「あたしも、」

そこまで言いかけたのに、あ…鼻がむず痒い…だめ

683:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:26:46 fLmb4SC5
[17]
「ハックショ!」

周りの景色にあたしの大きなくしゃみの声が木霊しながら溶け込んだ。
なるほどくんの黒い瞳は丸くなった。
あんまり大声を出したもんだから、かえって沈黙がうるさく感じる。
綺麗な場所と思い出とシチュエーションと、
あたしの素っ頓狂な行動のギャップに思わず吹き出してしまった。

「…ッくく、あっはっはっはっは!!!」
「真宵ちゃん、今のはないだろー」
「ご、ごめーーん…ふふふふはあーーっはははは可笑しいーーー!」
あたしの笑い声に周りのカップルの視線が突き刺さる。
それに気がついて声のトーンを落として、なるほどくんに謝る。
「…柄にも無く、やきもち妬きました。ごめんなさい」
てっきり呆れられるかと思ってたけど、意外にもなるほどくんの表情はうれしそうだった。
なるほどくんは、手を差し出してあたしの手を自分の掌に招き入れ、歩き出した。
「こっちこそ、気の利いたウソも付けなくてごめん」
「いやー、よく考えたらその年でキスもまだだったら引いてたかも」
「こら」
軽くげんこつで小突かれる。
あたしは、正直さっきのなるほどくんの唇の感触を思い出してしまって、心臓が爆発しそうだった。
悟られるのがいやでいつものあたしを演じる。
意外とうまくいくもんなんだなと、実感する。

駅のほうに引き返す途中、
あたしは何度も肌寒さを感じ、くしゃみをした。
なるほどくんの手の温度が暖かいせいで、触れていない他のところが余計寒く感じた。

684:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:28:06 fLmb4SC5
[18]
半分ほど来た道を戻ったところで、なるほどくんは手を放し、
「ちょっと待ってて」
と言って目の前に建っていたマンションの階段を駆け上っていく。
「なるほどくん、住居不法侵入で訴えられちゃうよー」
と小声で叫ぶと
「バカな事言うな。ボクの家だ」
と怒られてしまった。
ここが、なるほどくんの住んでる・・・
「ダウンジャケット取ってくるから、そこで待ってて」
なるほどくんは2階の踊り場から顔を出してあたしに言った。
あたしが寒がっていることを察してくれたんだ。
…でも、ここでじっと待ってるのも寒いなあ・・・。
あたしはそっと2階へあがり、ドアが開きっぱなしになっている部屋を覗いた。
奥のほうから、何やら物音と探し物をするなるほどくんの声を聞こえてくる。
真っ暗な中、何回も「いてっ」とぶつかる声。
電気くらいつければいいのに…。
そう思ってあたしは玄関の壁にあったスイッチを全部つけた。

「うわっ」

突然電気がついたことにびっくりするなるほどくん。
あたしが部屋まで着いてきたことに気づいていなかったみたい。

「待っててって言ったのに」

なるほどくんの声は慌てていた。

「だって、じっと待ってると余計サムいよー」

あたしの声に、そうだそうだと加勢するように冷たい夜風が通り過ぎる。
ひざ丈の装束のおかげで、あたしの足はもうひんやりしていた。

「…部屋汚いから上げるの嫌だったんだよ。
 でも、風邪引かれちゃまずいから、あがって」

「お邪魔します」

と、控え目な声で断って下駄を脱ぎ、ドアを閉める。
生活感のある、自分の家とは違う匂いが漂ってくる。
こんなこと思ってると変なやつって思われるかもだけど、
これがなるほどくんの家の匂いかーと、勝手に納得。
未知の領域に一歩一歩踏み入れる。
部屋が汚いからって言ったのは、てっきり謙遜してるのかと思ってたけど
お世辞にもそうじゃないということが分かった。
玄関のすぐ傍のキッチンは、いやでも目に飛び込んでくる。見るなって言われても無理なほどに。
電気コンロの汁こぼれは拭いてないし、排水溝には空になったカップめんが無造作に捨てられている。
おまけに洗われていない食器類がたまっていた。
混沌としたキッチンを通り過ぎて、なるほどくんがいる洋室へと向かう。

685:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:29:23 fLmb4SC5
[19]
「きゃっ」

足元を見ずに歩いていると、何かの山に引っ掛かってこけそうになる。

「…あ、本とか箱とか積み上げてるから気をつけて」
「(もー!なんで法律の本より雑誌のほうが上にあるのー!)」

書籍のジャングルを突破して、やっと部屋に入ることができた。

「…なるほどくん、お客さんが来る来ない関係なく、もっと整理整頓しようよ…」

6畳くらいの洋室に、蒲団が一枚、クローゼットが一つ、テレビとミニテーブル。
それだけでもかなり狭いと思うのに、洋室には
脱ぎ散らかした服なのか、それとも洗濯済みの服なのかはわからないけど
衣類が散らばっていた。

「これでいいかな、はい」

あたしのアドバイスは聞こえてるくせに聞こえていないふりをして、
なるほどくんは黒いダウンジャケットをクローゼットから引っ張って無造作にあたしに渡す。
たっぷりと羽毛が入ったそれはずっしりと腕に乗っかる。

「それが多分、一番小さいやつ」
「え、これで?」

改めてあたしとなるほどくんとの体格差を実感させられる。
試しに袖に腕を通すと、まさにブカブカ。
あたしの指先はすっぽりとダウンジャケットの袖の中、それどころかまだ余ってしまっている。
その姿を見てなるほどくんは笑っている。きっとまた子供っぽいと思ったに違いない。
でも、おかげでサムさは吹っ飛んだし、許してあげようかな。
あたしはお礼を言って、帰ろうとしたとき

「ハックショ!」

またひとつ、くしゃみが出た。
いけない、もしかしたらもう風邪をひいてしまったのかもしれない。

「あったかいお茶でも入れようか?」

となるほどくんが聞いてくれたので、甘える事にした。
なるほどくんは混沌のキッチンを適当に片づけながら、鍋に水を張り沸かしている。
その間することもなく、手持無沙汰になってしまったあたしは、
足の踏み場もない洋室を片付けようと思い、壁に持たれて座り込み
散らばった衣類に手を伸ばしたたみ始めた。
…たぶん、洗濯済みだよね・・・。
そんなことを思いながら1枚1枚片づけていく。
適当に手に取っていくと、この季節にしては薄い生地の衣類だと触れた感触だと思い、
顔の前で広げるとソレは…

686:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:31:07 fLmb4SC5
[20]
「わっ」
「ま、真宵ちゃんッ!」

湯呑を両手に持って慌てて走ってくるなるほどくん。
お茶の香りが漂ったかと思うと、あたしの手からソレを分捕った。

「な、何もしなくていいから!お茶飲んで!」
「ごめん…」

トランクスだとは気付かず、そんなものを顔の前で広げてしまった…。
何やってるんだろ、あたし…。
なるほどくんの顔が赤い。あたしもつられて赤くなる。
二人してひたすら無言でお茶をすする。…うう、気まずい。

なんとかその場の空気を明るくしようとあたしは適当に喋る。

「…キ。キスって味が付いてるかと思ったら違うんだねー!」

きゃわああああ!何を口走ってるのあたしはー!
なるほどくんはますます黙ってしまう。なんてバカなんだろう、あたしは…
また気まずくなって湯呑に口をつけ、熱いお茶で喉と心を潤す。
無言。沈黙が耳に刺さる。
先にお茶を飲み終わったなるほどくんはミニテーブルに湯呑を置くと

「…確かめてみる?」

と、真剣な眼差しで訪ねてきた。
何を?と言おうとした瞬間、なるほどくんはあたしの背にくっついた壁に両手をつき、
あたしを逃がさないような体勢で、あたしの唇を奪った。
それだけじゃない。あたしの上唇と下唇の境界線を割いて、ぬめりとした感触が侵入してくる。

「…っ!?んん・・・ーっ」

あたしはまだ熱いお茶の入った湯呑を両手に持ったまま、どうすればいいのか分からなくなった。
混乱しているあたしを無視して、侵入してきたソレはあたしの口の中を動き回る。
闇雲に動くわけじゃなく、あたしの舌を捕らえるように。
初めて経験する感触に、あたしは息をするのも忘れそうになる。
ひんやりしているのか、あたたかいのかどちらともつかない、不思議な感触が少し怖くなり、
ソレに捕らえられないように必死で舌をひっこめたり、逃げたりする。
口からの空気の供給が間に合わなくて、鼻からの呼吸に変わっていた時は、
すっかり籠絡されていて、唇と唇の結合部分からは粘液が泡立つような音を立てていた。
さっきまで二人して飲んでいた為か、ほのかに緑茶の味がする。
やっと解放されたとき、なるほどくんと吐息とあたしの吐息、それから緑茶の香りが混ざり合っていた。
キスというのは、唇と唇が触れるものだとしか認識がなくて、
今自分に起こった出来事が何なのかを理解できずにいた。
酸素不足で血圧が上がったのと、その他諸々で顔が集中的に赤くなる。

687:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:32:08 fLmb4SC5
[21]
「…な、なるほどくん…?」
「ご、ごめん、つい…」
「…緑茶の味がした」
「さっきまで飲んでたからね。ふたりとも」
「…今のも、キス?」
「…一応は」

あたしは困惑していた。
確かめてみる?と聞いたあの時のなるほどくんが急に男らしくて、それからオトナに見えてしまって。
あたしの知らないなるほどくんがいるのかもしれないと思うと、
知らないのが悔しいのと、怖いのと、それから好奇心という感情が湧いてくる。
あたしは何も知らないお子様なんだと身をもって知らされてる気がして、ちょっとムカつく。

「なるほどくん。あたし、今日キスするのが初めてで」
「…ごめん。反省してるよ」
「2回したじゃない?でも2回とも、違うキスだったでしょ」
「ううん…何と言えばいいのやら…」
「今のって…オトナのキス?」
「ぐっ…!」

なるほどくんの喉もとで言葉が詰まる。否定しないってことは、そうなんだよね。

「ふーん…さすが、オトナは物知りだなあ」

と、自分の動揺を隠しながらイヤミを言ってみる。
正直なところ、あんなキスが毎回続いたらきっと身が持たない。恥ずかしくて死にそう。
動揺してる時ほど人間って口が回るもので。あたしの口はまさに外郎売に出てくる透頂香を飲み干したみたいに。
なるほどくんはまだあたしの両サイドに腕を伸ばし、壁に手をついたままの体勢。
早くこの恥ずかしい構図から解放してほしい。
さっきの濃厚な口づけは、月9のあのシーンを思い出してしまって。
キスをして、それからソファベッドに倒れこむ二人のシルエットが異常に目に焼き付いてしまっている。

「そ、それもあれでしょ!あ、あ、あやめさんと付き合ってる時に覚えたんでしょ。
 あーあこれだからオトナの付き合いはイヤラシイんだから!
 ちょっと自分がケーケン豊富だからってさ。あたしはまだヤングだよ!ティーンだよ!」
「い、いやあのさ真宵ちゃん…」
「あたし、認めるの嫌だけど、何も知らないんだよ。
 そっちはそりゃ、今まで付き合ってきた中の一部の彼女かもしんないけど…
 あ、あたしは付き合うこと自体初めてなんだから…キスするだけでも精一杯で…
 すでに何もかもケーケンした人にとっては、あんなキス…大したことないかもしれないけど…
 う、うう…あたし、あたしはえーっとその、ま、まだ…い、いろいろ、初めてな訳で…
 あ。あれ。何言ってんだろあたし…うーーー…い、今のはナシ…」
「…ま、待った」

688:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:33:39 fLmb4SC5
[22]
なるほどくんが顔を真っ赤にして、あたしの唇に人差し指を押しつける。
その真っ黒な瞳といったら、泳ぎっぱなしで今のこの状態ではとても法廷で勝てる様子じゃあない。
何度も口ごもらせながら、なるほどくんはゆっくりと口を開く。

「ま、真宵ちゃんはその…ボクがあやめさんと、い、色々経験済みだと思ってる?」

意外な言葉が出てきた。
あたしはきょとんとしながら、どういうことと意味を含ませて見つめてみた。

「…た、たしかにボクはキスなら…その。したことはあるよ。それは認めるけど…」
「………え…」

なるほどくんのギザギザ眉毛がどんどんハの字に変わってくる。
耳まで真っ赤な顔を見ているとだんだん申し訳ない気分になってきちゃった。

「…こんなこと言ったら引くかもしれないけど…」
「う、うん」

だんだん、なるほどくんが言おうとしていることが音をたてて近付いてきた。




「…キスしかしたことないんだけど、ボク」



***

689:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:34:35 fLmb4SC5
[23]
お互い、冷汗ダラダラ。
何と声をかけていいのか分からず

「………お、大人のキスは?」

また変なことを聞いてしまう。

「………………恥ずかしながら、さっきのが初めてです」
「うそぉ!?」

声が裏返ってしまった。
なるほどくんは情けない、といった感じでますます赤くなりあたしもそれにつられる。
キスしかしたことがない、という証言に対し尋問開始。

「その。そのキスの先は…?」
「グハァッ!」

いきなりとどめを刺してしまった。

「つ、つまりその…これはいわゆる…どっ…ドー…」
「ギャアア!」

なるほどくんの心のゲージがどんどん減っていく。

2年ほど前クラスの男の子が悪ふざけで男同士でじゃれてる時に
≪こいつまだ童貞だって!≫と言っていたことがあり、その時まであたしはその意味を知らず
≪ねーねー、何?ドーテーって≫と聞いてしまったことがあった。
女友達がすっごく遠回りに控え目な言葉でその意味を教えてくれた。
色恋沙汰にまったく興味がなかった当時のあたしからすれば、まさに別にいいじゃん、だったんだけど
どうやら年頃の健全な少年少女からすれば、いつまでも童貞っていうのは
あまりカッコいいものと言い難いものらしい。

すっかり落ち込んでしまったなるほどくんをなんとか元気づけてあげようと思って

「だ、大丈夫だよなるほどくん!あたしも童貞だよ!」
「真宵ちゃん、それ間違ってるから!!
 …で、でもまあ、その…真宵ちゃんの年なら許容範囲だとは思うけど…
 ボクのほうはカンゼンに笑い物だよ…」
「あははははは」
「笑うな!」

「…でもさ、経験無い割にはさっきは結構その…積極的だったよねえ」
「せ、積極的というか…半分理性が飛びかけてたわけだけど」
「な、なんで?」
「……真宵ちゃん。今キミはかっこうの餌食なんだぞ、男からして」
「へ」
「ここどこか分かってる?」
「なるほどくんの家」
「ここにいるのは?」
「なるほどくんとあたし」
「他に人は?」
「二人っきり」
「さて、キミの横にあるのは?」
「布団」

690:687 ◆iPyt51N46I
08/10/09 20:36:13 fLmb4SC5
[24]
しばらく沈黙が続き、なるほどくんは鬢のあたりを掻きながら、溜息をつく。
あたしが持っていた湯呑を片手でつかんで、なるほどくんが飲み終わったそれの隣に音をたてて置いた。
そして、あたしの頭をポンと一撫でし、あたしの背中に両手を回した。

「きゃっ」

世界が反転する。抱きあげられたかと思うと、気づけばなるほどくんと天井が見える。
背中にはさっき自分が答えた物が敷かれている。

「経験がなくても、したいと思ってしまう生き物でさ、男って。
 …好きな相手とならなおさら」

心臓が跳ね上がる。
また、あの顔だ。男の顔をしている。オトナの表情を浮かべている。
あたしを見下ろすその顔は余裕を浮かべているようであり、
切羽詰まった感じでもありとても不思議な表情だった。

「ボクにだって我慢の限界はある」

あたしの髪を指で掻きあげながら呟いた。
その仕草が…意外にも考えられないくらい色っぽくて、またひとつ新しいなるほどくんを発見した。
月9のドラマの主人公たちが、キスを交わした後抱き合いながら倒れこんでいった事を思い出した。
そもそも、なぜ恋人はキスをするのか。抱き合うのか。交わるのか。
手をつないだとき、夜桜に囲まれてキスをもらった時、
言葉では言い表せない不思議な幸福感があった。
そう、言葉で伝えきれない分、温もりを通じて愛情を注ぐためにそうするのだと今頃になって気づいた。
突然された大人のキス。恥ずかしさはあったけど、嫌悪感はあったかな?
「否」それこそが答えなんだ。

「したい?」
「………真宵ちゃんがいいなら」
「あの、あたしどうすればいいのかあんまりわかんないんだけど」
「大丈夫リードするから」
「初めてのくせに見栄はっちゃってなるほどくんはー」
「…待ったしてもやめないぞ」
どうぞご自由になんて小憎たらしい態度をとって、もうちょっとからかおうかと思ったけど、
その行動は未遂に終わってしまった。
なるほどくんがあたしに覆いかぶさり、お仕置きと言わんばかりに覚えたばかりの大人のキスをお見舞いする。
心なしかさっきよりも濃厚で、それでいて攻撃的で。
あたしの口の中で、まるで生き物のように粘液にまみれた舌が蠢き、あたしのそれを絡めようと執拗に追いかける。
捕まってたまるかと口の中で逃げようとしても、逃げる前に絡めとられて
吸いつくすようにあたしの舌を攻略する。舌が動き回るたびに先ほどと同じ水分に富んだ音が
あたしとなるほどくんの唇の境目で奏でる。
まるでお互いの唾液を交換しているみたい…。
そんな風に思うと、このキスがとてもイヤらしいものに思えてしまって、顔が、体が熱くなる。


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