【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part13【改蔵】at EROPARO
【絶望先生】久米田康治エロパロ総合 Part13【改蔵】 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
08/01/14 22:10:46 lJX4rcQ0
>>1
乙望先生

3:305
08/01/14 22:31:44 HdO9rJlp
前スレ、一気埋めで困惑された方、並びに430氏に大変失礼しました。
埋め近くなると何だか興奮しまして…  失敬。

ともあれ、>>1さん乙です!


4:名無しさん@ピンキー
08/01/14 23:33:07 1hDJuFAn
前スレ430氏、305氏、乙です!
最近430氏のおかげですっかり命先生ファンになってしまった・・・w

忘れてた>>1乙、超乙!

5:名無しさん@ピンキー
08/01/14 23:45:49 zdzQfTWb
1乙。それから二人とも乙。
たまには陰のある作品もいいかもと思った。たまにだけどw

6:真昼
08/01/15 17:16:25 EMT0zcGa
>>1乙です。前スレ怒涛のラッシュの吃驚。良作品が拝めて嬉しゅうございました。

筆が遅いためスレを跨ぐことになってしまい申し訳ありません。
前スレ>>495「愛しさを望む」望×可符香の続きを投下させていただきます。
まだエロスにはとどきませんごめんなさいいやホントに。5レスほど失礼します。

7:名無しさん@ピンキー
08/01/15 17:36:40 C81FGVJa
みなさん乙です。

宵待草の暗い雰囲気は好きです。文体も。
情景と会話が上手い。
崖っぷちな感じが伝わりました。それでいてどこへも行けないような。

8:真昼
08/01/15 17:40:09 JWClt9UH
携帯から失礼します。
投下予告をしたものの、何故か書き込めなくなってしまいました…て、天罰?
またおりを見て投下させてください。どうもお騒がせしました。

9:名無しさん@ピンキー
08/01/15 17:42:24 C81FGVJa
>>8
すみません。割り込んでしまいました。
続き待ってます。

10:名無しさん@ピンキー
08/01/15 21:17:51 dq0tu3nB
>>8
すでにご存知でしたら失礼。
「1行目が改行で20行以上の長文」
だと、投下できないようになったみたいですが、それだったりします?

自分も、続き待ってます。

11:名無しさん@ピンキー
08/01/16 01:23:28 yKBdD6Rr
真昼氏のももちろん期待して待ってるけど前スレのまた図書室で、の続き来てくれないかなー
気が向いたら、らしいけどなんか藤吉熱上がっちゃって飢えてる俺

12:199
08/01/16 05:07:50 xHrVYjWO
真昼さんの望×可を待っている間にこっそり望×愛なんて落としてみる。
藤吉さんじゃなくてごめんなさいエロなくてごめんなさい。

アニメ2期には木野も出るんだから当然ツンデレ加賀さんが出るものと
夢見ていいんでしょうかシャフトさん。

13:『謹謝新年』  望×愛
08/01/16 05:09:36 xHrVYjWO
元旦、午後7時。宿直室のこたつに潜り込んで緑茶をすすりながら、生徒達からの年賀状に目を通す。
『謹賀新年。 今年はきっちり進級したいと思います。本年も宜しくお願いします。』
『明けましておめでとうございます、今年も先生のお側で素敵な一年を過ごさせて下さい』
『あけオメ、ことヨロ』
『迎春 今年もよろしくお願いします(これはネズミのしっぽ拓です)』
「おめでたいんですかね、新年なんて」十人十色のそれらを見ながら、思わずぽつりと呟いた。
暦の上で年が明けたからと言って、何をそんなにお祭り騒ぎをする必要があるのか分からない。
昨日と何が違うと言うわけでもないだろうに。特別祝うようなことなど何もないではないか。
そんなことを、お正月くらいは本家へ連れて行くからと交を迎えにきた倫に
ぼやいたら『お兄様、そのお年で中二病ですか』と馬鹿にされた。とかくこの世は住みにくい。
まあ、霧もお正月くらいはという智恵と望の説得によって珍しく家に帰っているし交もいない、
一人きりで過ごせるという意味では非常に貴重な夜ではある。
(だからと言って、やることがあるわけでもないんですけどね)
読み終わった年賀状を輪ゴムで束ねながら、ぼんやりと思った。
休み中に片付けなければいけない仕事もこのまま進めば十分余裕を持って終わらせられそうだし、
大掃除も年末に―千里が―やってしまった。倫がおせちを置いて行ったから夕食の支度をする必要もない。
いよいよ暇になっていっそのこと勝手に図書室を開けて何か本を持ってきてしまおうか、等と考える。

―と。
コンコン、と弱々しいノックに気付いて、顔を向ける。生徒の誰かが遊びに来たかと思って
「どうぞ、開いてますよ」
と声をかけたが、戸が開けられる様子はない。首を傾げながら腰を浮かせたところで恐る恐る、といった様子
でほんの少しだけ戸が開き―そこから覗いた予想外の顔に思わず間抜けな声が出た。
「……加賀さん?」
「あああ、すみません!新年早々私なんかがお邪魔してしまってすみません!」
入り口から一歩も中に入らぬまま謝り倒す生徒―加賀愛にとりあえずこちらから近寄っていくことにする。
「いえ、別にそれは構いませんが……何か御用ですか?」
「いえそんな、御用と言うほどのことでもないんです。これをお渡ししたかっただけなんです、
 遅くなってしまって本当にすみません!」
ひたすらに謝りながら愛が望に差し出したのは、先程まで読んでいたのと同じような一通の年賀状だった。



14:『謹謝新年』  望×愛
08/01/16 05:11:24 xHrVYjWO
元旦、午後2時半。自宅に届いた年賀状の中に、自分が担任に宛てたものが混じっているのを見付けて
愛は目の前が真っ暗になるかと思うほどの衝撃を受けた。
よく見ると番地を間違えて書いてしまっているその葉書には『住所不明』のスタンプがでかでかと捺されている。
寒空の下あるはずのない番地を探し回ったであろう郵便局員に心の中で謝りまくった後、
『お正月なのに葉書しか買わない地味な客ですみません』と謝罪しながらコンビニで年賀葉書を購入。
何とかきちんと年賀状を書き直したはいいものの、今これをポストに投函しても担任の手元に届くのは
明日以降になってしまう。愛の脳裏に『絶望した!元旦に生徒から年賀状すらこない
教師人生に絶望した!!』と叫びながらロープを首にかける担任教師の姿が浮かんで―


「どこまで心が弱いんですか、私は」
「そ、そうですよね。私なんかが勝手に先生のお気持ちを想像して先走ってしまってすみません!」
思わず入れた突っ込みに対する謝罪を半ば聞き流しつつ、望は受け取った年賀状を片手に
少し思案してから入り口の戸を大きく開く。
「とりあえず立ち話もなんですから、中へお入りなさい」
「いっ、いえそんな、お気遣い頂いてご迷惑をおかけするわけには!」
「迷惑じゃありません。外は寒かったでしょう、せめて少しでも暖まってから帰らないと、
 お正月からいきなり風邪で寝込む羽目になりますよ」
「わ、私なんかの体調にまで気を遣わせてしまってすみません!でも私なんかがいたら
 交君と先生ののんびりとした団欒のお邪魔に……」
「ああ、交は今日はいないんですよ」
本家に帰っていまして、と続けると、愛の口からひっ、と引きつったような声が漏れた。
「そ……それでは私は先生が一人くつろいで過ごしていた優雅な時間のお邪魔を!? 
 ああ、すみませんすみません!新年早々空気が読めてなくてすみません!!」
「……ですから、邪魔じゃありませんってば」
軽く肩を落としながら、手で室内を示す。
「私も退屈してたんですよ。何もない部屋ですが、こたつで暖まるくらいはできますから」
望の言葉に、愛は青ざめた顔でおどおどしながら室内と望を交互に見ていたが、やがて何度も何度も
頭を下げながらおずおずと足を踏み入れた。


台所から自分用と来客用のと2つ湯呑みを持ってくると、コートも脱がないままこたつに遠慮がちに入って
辺りをおどおどと見回していた愛が血相を変えた。
「わ、私なんかが先生にお茶を煎れさせてしまって!」
「ああ、気にしないで下さい。私のお代わりのついでですから」
半分本音でそう言いながら愛の前に湯呑みを置き、向かい合うように腰を下ろす。
「それにしても、年賀状一枚のためにわざわざ学校へ来るなんて、貴女も何と言いますか、まめですねぇ」
呟きながら、先程愛から受け取ったばかりの年賀状を改めて手に取った。
人柄が表れているとでも言うのか、線の細い、綺麗だがどこか頼りない印象を受ける文字。
『謹賀新年 今年もよろしくお願いします』というごく普通の文章に、ネズミのイラスト。
―特に、どうしても今日中に渡さなければいけないものには見えない。
年賀状なんて3日以降に届くのも珍しいことではないでしょうに、と考えていると
愛がこちらの顔色を伺うようにしながら口を開く。
「……先生が年賀状を下さったのに、私の年賀状が届かなかったら
 お正月からいきなり無視されたような不快な思いをさせてしまいますから……」
はあ、と曖昧に頷いて年賀状をこたつの上に置き、代わりに湯呑みを手に取りながら
「ここまで来て下さった貴女の前で言うのも何ですが、先生、お正月が特別な日だとは思えないのですよ。
 年賀状だって、書かなくていいやなどと思われていたのならともかく、そういった事情で元旦に届かなかっただけなら
 特に根に持たなければいけないことではありませんし」
そう言って緑茶を口に含むと、愛は困ったように視線をさ迷わせた。
「あ、あの」
おずおずと口を開く彼女に目で先を促すと、両手をぱっと上げて何かから身を守るようにしながら
「わ、私なんかがこんなことを言ってすみません。でも、あの、何て言うのか、
 そんなに難しく考えるようなことでもない気がするんですけど……」

15:『謹謝新年』  望×愛
08/01/16 05:12:50 xHrVYjWO
「難しく……考えてますかね?」
首を傾げると、望の視線から逃れようとでもするかのように細かく座りなおしながら再びおずおずと話し出す。
「私は、先生から元旦に年賀状が来たら嬉しいですし、来なかったら……ちょっと寂しいです、から」
生意気を言ってすみません、と消え入りそうな声で呟いて俯いてしまった少女を見つめ
頭の中で今言われたことを繰り返し―なるほど、と納得する。
「確かに、そうかも知れませんね」

自分だって、この少女からの年賀状が届かないよりは、届いたほうが、嬉しい。
例え、それが特別なものに見えない、ごく普通の年賀状だったとしても。
―それが、この少女が自分を喜ばせるために、わざわざ持ってきてくれたとなれば、尚更。
「有難うございます、加賀さん」
にこりと微笑んで本心からのお礼を口にした―途端、少女の顔が、歪んだ。
困ったように、あるいは怒ったように眉を寄せ、頬を真っ赤に染めて、焦ったように口をぱくぱくさせる。
「加賀さん?」
きょとんと尋ねる望の前でばっと勢いよく立ち上がり、先程とはうってかわって真っ直ぐにこちらを見つめながら
「べ、別に先生のために持って来てあげたんじゃないんだからね!!」
と叫ぶと、そのまま脱兎のごとく宿直室から飛び出してしまった。
「―は?え?ええ?」
すぐには事態が飲み込めず、一瞬硬直した望が我に返った時には、既に時遅し。
「ちょ、ちょっと!加賀さんっ!!」
慌てて後を追おうとするが、飛び出した廊下には少女の影も形も、もう無い。
―恐るべし、加害妄想。
「……私のためじゃないって、じゃあ誰のために持って来たんですか……」
疲れたように呟いてため息を1つつくと、のろのろとこたつに戻る。
結局手が付けられることの無かった湯呑みを見て、思わず苦笑が漏れた。
新年早々、何とも疲れる―ですが、悪くない来客でしたね。
そんなことを思って、置き土産の年賀状を見つめながら来客用の湯呑みを手に取る。

『謹賀新年 今年もよろしくお願いします』という、ごく普通の文章。
その下には、並んで仲良く寄り添うネズミのイラスト。

そう言えばせっかく会ったと言うのに、新年の挨拶もしていないじゃないですか。
まあ、お正月なんて特別なことでも何でもないと思いますけど。

「今年も、宜しく―お願いしますよ」
先程の真っ赤になった少女の顔を思い出して微笑みながら、こっそり1人そう呟いて
ゆっくりゆっくり、彼女のために用意した緑茶を口に含んだ。

16:199
08/01/16 05:17:52 xHrVYjWO
お邪魔しました。ひっそり沈んで神様の降臨を待ちます。

あと、保管庫の12-143、12-166は自分です。
お手数おかけしますが199のまとめに入れていただけると幸いです。すみませんすみません。
こんな紛らわしい数字つけるからいけないんです本当にすみません。

17:名無しさん@ピンキー
08/01/16 05:44:25 waDGvECQ
>>199
沈ませてなるものかGJ!
やはり199さんはキャラを掴むのがお上手でござりますな。
キャラの表情や仕草が目に浮かぶようで、ニマニマしてしまう。

18:真昼
08/01/16 09:34:48 ht7l2gTD
>>10
どんぴしゃりでございます。全然存じませんでしたー!
どうもありがとうございます。教えてもらわなかったらマゴマゴしっ放しでした。

>>199
文章の雰囲気やらキャラクターの把握っぷりやら、本当に見習いたい。
先生の天然タラシっぷりが良い意味で小憎らしい。照れる愛ちゃんも愛しいです。

ご迷惑おかけしました。改めて続きの投下をさせていただきます。
5レスとか大嘘言ってすみません。無駄に8レスも消費させていただきます。

19:愛しさを望む 07
08/01/16 09:35:39 ht7l2gTD
可符香の自宅は、一般的な内装をした、ごくごく普通の家だった。
普段の彼女の振る舞いから、実は少々恐ろしいものを想像していたのだが。
ブーツを脱いでおずおずと上がりこむ望に、可符香はすっと二階へ続く階段を指差しながら、
「上がってすぐの所に部屋がありますから、そこのベッドを使ってください。
少し横になった方が、気分も楽になるでしょうから」
そう言うと、そのまま台所へ向おうとする。
「いえ、そこまで気を使っていただかなくても。もうそんなに気分は悪くないですよ」
その背を慌てて呼び止めるように声を上げて、パタパタと手を振って遠慮するが、
振り返った可符香は少しだけ怒ったような表情を作り、ピッと立てた人差し指を望の顔に突きつけた。
「いいえ、まだ少し顔色が悪いです。大人しく言うことを聞いて、横になってて下さい。
すぐに飲み物を持ってきますから。それまでちゃんと安静にしててくださいね?」
「わ、わかりました……、では、お言葉に甘えさせていただきます」
少しだけ強い口調に気圧されて、望は躊躇いがちに頷くしかない。
「はい。素直が一番です」
望が頷くと、可符香は表情を柔らかくして頷き返した。
言われた通り二階へ上がると、彼女の言った通り、上がってすぐの所にドアがあった。
だが、困ったことにドアは二つある。一瞬戸惑うが、もう一方のドアには「WC」と記されたプレートがくっついていた。
ついでだからと、一旦トイレを借りる事にする。
といっても、尿意を覚えたわけでもなく、ただ手を洗うだけなのだが。
自前のハンカチで手を拭きつつトイレを出ると、改めてもう一方のドアの前に立つ。
こっちのドアには何のプレートもついていない。おそらく客間か何かだろう。
一応念のために軽くノックをする。返事はなく、部屋の中からは誰の気配もしない。
一呼吸置いてから、ゆっくりとドアを開いた。
――扉の先には、客間というには生活観の溢れた空間が広がっていた。
タンスや本棚、所々に置かれた小物類。そして部屋に染み付いた、覚えのある少女の香り。
「―え?」
思わず戸惑いの声が上がる。
疚しい事をしているわけでもないのに、何故か忍び足になりつつ部屋に入る。
キョロキョロと部屋を見回して、
「……もしかして、風浦さんの、自室……ですか、ここ……」
呆然としながら独りごちる。てっきり客間か何かに通されたものと思っていたが。
という事はつまり彼女は、普段自分の使っているベッドを男にすすめた、という事か。

20:愛しさを望む 08
08/01/16 09:36:15 ht7l2gTD
いくら相手が担任教師とはいえ、異性に対してそれはあまりにもどうかと思う。
所在無さげにうろついていた望の足は、迷いに迷ったあげく、シングルベッドの前で止まった。
「……よ、横になんてなれるわけ、ないじゃないですか」
いつも彼女の身体を受け止めているであろうベッドを見下ろしながら、ボソリと毒づく。
只でさえ、さっきから妙な緊張感が身体を支配しているというのに。
その上女性の使っている布団に包まろうものなら、どうにかなってしまいそうだ。
(―って、何を緊張しているんですか。私は…ッ)
慌てて頭を振り、必死に冷静になろうと努める。
あんなものを見せられた後とはいえ、ただ生徒の家にお邪魔しているだけだというのに、何を緊張しているのだろう。
「えぇ、ええ。そうです、彼女はただの生徒さんなんですから。何も気を張ることなんてありませんッ」
自分に言い聞かせるように、あえて声に出しながら、思い切るように彼女のベッドに腰を降ろした。
柔らかく沈み込む感触。それに、ほんの少しだけ安らぎを覚える。
自然と溜息が漏れた。意図して肩の力を抜きながら、まだ納まらない動悸を鎮めようと、胸を押さえる。
深く呼吸を繰り返すと、部屋に漂う少女の香りが、肺を満たしていくようだった。
―その香りの中に混じる、僅かな「女」の匂いを感じて。
女というには幼い面差しの、一生徒に過ぎぬ少女へ向けるにはあまりに間違った感情が、俄かに彼の中で騒ぎ始めた。
「……ッ!」
膝の上で握り締めた拳が、細かく震えているのを自覚する。
気が付かないフリをしていたが、一度昂ぶってしまった男性自身は、
僅かな反応を見せたまま、今だ納まってくれていない。
脳裏を過ぎる、先ほど見た男女のまぐわい。

―その男女の役割を、一瞬、自分と―彼女に重ねようとして、

(――やめろッ!!)
寸での所で、その光景を振り払った。
頭を抱えて、身体を丸めて、力いっぱい目を瞑る。
どんな淫夢でも、卑猥な妄想でも、それが名も知らぬ女ならばまだ、罪悪感にも耐えられる。
けれど彼女だけは、彼女にだけは、そんな感情を抱いてはならない。
そんな自分への嫌悪感に、とても耐えられない。
―あんな恥も理性もない、獣のように乱れた彼女の姿なんて、見たくない。
見たくないというのに、気を抜けば―女としての彼女を求めようとしている、この身体。
今まで、女生徒に対してこんな思いを抱く事なんてなかった。
きっと他人の情事なんて見せられた直後だから、見境がなくなっているのだろう。

21:愛しさを望む 09
08/01/16 09:36:46 ht7l2gTD
結局、どんなにそういった行為を嫌悪しようと、この身は雄でしかないということか。
「……絶望した……」
「何にですか?」
頭上から降る、軽い声音。
「ぅひゃアあッ!?」
まさかの不意打ちに、思わず情けない悲鳴を上げながら盛大に仰け反ってしまった。
彼女は両手に湯気の立つマグカップを持って、こちらを見下ろしていた。
コートは脱いだらしく、今は黒いタートルネックのセーターに、短いスカートという出で立ちだ。
「い、いいいいいえッ、そのッ。い、居たんですか」
「ちゃんとノックしましたよ」
否応にも声が裏返る。そんな望の様子など気にしていないように、笑顔で片方のマグカップを差し出す可符香。
「どうぞ。インスタントですけど」
鼻腔を擽る甘い香り。礼を言いつつ受け取りながら中身を覗き込む。
「…ココアですか」
「疲れてる時は甘いもの、です。嫌いですか?」
「いいえ。ありがたいです」
両手で包み込むようにカップを持って、中身を一口啜る。カラカラに乾いた喉を湿らせるには丁度良かった。
望の隣に自然な動作で腰掛けながら、可符香はふと思い出したように口を開く。
「あ、飲み物用意するついでに、交君と霧ちゃんに連絡しておきました」
「あぁ、すみません。そんなことまで」
「いえいえ。私が引きとめたんですから、このくらい当たり前ですよぉ」
そう答えながら、自分の分を飲み始める可符香。どうやら中身は望と同じもののようだ。
くぴ、と小さく彼女の喉が鳴る。その様子を、湯気で曇った眼鏡越しに見つめながら、
「それで、二人は何て言ってました? やっぱり怒ってましたか?」
恐る恐るそう問うと、彼女は笑顔で頭を振りながら答える。
「大丈夫です。先生の体調が悪くて、今日は帰れそうにないって伝えたら、ちゃんと納得してくれました」
「そうですか。それは良かっ――」
安堵したように頷く―その寸前で。
「……風浦さん」
聞き逃してはならない違和感に、頬に一筋の汗が流れた。
「ん?」
くぴ。もう一度、喉が鳴る音。
キョトンとした目でココアを飲んでいる可符香を、水滴の付いた眼鏡越しに見つめて、
「二人に、なんと伝えたか、もう一度言ってくれます?」
平静を装いつつ、着物の袖で眼鏡を拭きながら、再度聞いてみた。
「先生は体調が悪くて、今日は帰れませんって」
「……えーっと、それは、つまり?」
「だから。先生は、今日は私の家にお泊りです」
―長い沈黙が降りる。
時折、くぴ、と、可符香が喉を鳴らす音だけが場を満たして――

22:愛しさを望む 10
08/01/16 09:37:15 ht7l2gTD
「……はぁぁぁぁぁぁぁ……」
その静寂を破ったのは、深く長い、心底力の抜けた望の溜息だった。
「なんですか、そのリアクション」
やや不満気な可符香に、パタパタと片手を振りながら、望は力の抜けた声で答えた。
「いいえ。なんか、自分が馬鹿らしく思えただけです」
そう言う望の顔からは、先ほどまでの緊張が薄れていた。
あぁ、つまりこの少女は、こちらの事を「雄」としてなど、微塵も見ていないのだ。
気の抜けた表情で可符香の顔を一瞥すると、彼女はリスを思わせる仕草で小首を傾げて見せた。
その顔に、「雌」を思わせる要素など微塵もない。
ふっと苦笑が漏れる。可符香はよりいっそう訝しげな顔をして、望を見つめた。
「気の抜けた顔ですね」
「生まれつきです」
答える声からは、もう完全に力が抜けている。望は吐息を一つ吐き、天井を仰いだ。
「それじゃあお言葉に甘えて、一晩お世話になりましょうか」
「どうぞどうぞ。自分の家と思って下さってかまいませんよ」
そこまでリラックスはさすがに出来そうもないが、それでも大分自然に振舞えるようにはなった。
ようやく可符香の自宅の雰囲気に馴染んだのだろうか。それとも、彼女の気の抜けっぷりが伝染したのだろうか。
緊張が薄れると、とたんに眠気を感じて、望は欠伸をかみ殺した。
明日のことは明日に考えることにして、とりあえず早々に休ませて貰おうと、口を開く。
「で、私はどこで眠ればいいんです?
なんなら、毛布一枚貸してもらえれば、そこらへんに転がって寝ますけど」
「病人にそんな事させるわけないじゃないですか。ちゃーんと、布団で寝てもらいますよぉ」
見た所独り暮らしのようだが、どうやらちゃんと来客用の布団は用意してあるらしい。
 感心しながら、改めて問い返す。
「それじゃ、私の寝床は?」
「やだなぁ。何をお惚け言ってるんですかぁ」
可符香はニコニコと笑顔で、ポンポンと自分が座っているベッドを叩いて見せた。
「ここに決まってるじゃないですか」
「へ?」
キョトンと目を丸くする望。
―それはつまり、このベッドを使え、という事なのだろうか。
「いや、さすがにそれはちょっと。貴女が寝る場所が無くなっちゃうじゃないですか」
まさか家人を差し置いて、自分がベッドで高い鼾などかけるわけもない。
慌てたように首を振る望に、可符香は―ほんの少し人の悪い笑みを向けた。
「大丈夫です。私もここで寝ますから」
「…………は?」
……どういう意味だろうか、それは。

23:愛しさを望む 11
08/01/16 09:37:47 ht7l2gTD
考えるより先に、本能が理解することを拒否したのか、素っ頓狂な声を上げて固まる望。
そんな望を尻目に、可符香は口元に手を当ててニャマリと微笑みながら、
「一緒に寝ましょ、先生」
そんな事を、平然と口にした。
あまりにストレート過ぎる言葉に、固まっていた思考は否応にも動き出す。
「な、なに、ななななぬ……ッ、何を言って……!!」
呂律が回らない。ようやく解けたはずの緊張がまた、身体を支配していくのがわかった。
ダラダラと冷や汗を流しつつ、ブンブンと左右に頭を振って、必死に混乱する頭を静めようと努める。
「あ、ああああ貴女は、何を言ってるのか分かってるんですか!?」
無意識に座る位置を調整して、ジリジリと可符香から距離を取りながら叫ぶ望。
可符香は笑顔のままで、小さなテーブルの上にマグカップを置いて、
「何を慌ててるんですか? 先生」
ベッドの上に両手をつき、望の顔を覗き込むように距離を詰めてくる。
ギシリと軋むスプリングの音が、彼女の質量を意識させて―妙に、呼吸が苦しくなった。
細い両腕に押されて、ささやかな胸の膨らみが強調されている。
慌てて視線を横に逸らすが、女としての彼女を意識してしまってはもう遅い。
「だ、だから……一応、私も異性なんですから、少しは警戒していただかないと……」
「あれ。もしかして先生、わからないんですか?」
「何が―」
逸らした視線の先に、可符香の笑顔が回り込むようにアップで映る。
気が付けば、もう呼吸が触れるまでに距離を詰められていた。
息を呑みながら咄嗟に体を仰け反らせる。その拍子に、マグカップが手から滑り落ちそうになった。
「おっと」
その寸前。可符香の両手が包み込むように、望の掌越しにマグカップを支える。
コトリ、と。すっかり力の抜けた望の手からカップを奪って、自分の置いたカップの隣に並べる可符香。
「あ、す、すみません……」
思わず謝ってしまう。いや、そんな場合ではないのだが。
「先生」
改めて、といった感じで、可符香は仰け反った望の顔を覗き込んでくる。
体が後ろに倒れそうになって、咄嗟に両手を後ろについた。ベッドが僅かに軋む。
けれど可符香は近寄るのをやめない。それどころか、何のためらいもなく望の膝に片手を置いて、
「さわりっこしましょ、先生」
「さ、さわりっこ……って」
膝に置かれた掌の感触が生々しく感じられて、思わずゴクリと唾を飲む。
―さすがにもう、彼女が自分を男として見ていないなんて、思えなかった。

24:愛しさを望む 12
08/01/16 09:38:21 ht7l2gTD
その瞳に色欲など感じられない。けれど、彼女の言動は男を誘うそれとしか思えない。
「あ、貴女は……そういうつもりで、私を……家に?」
もしかしたら、あの男女の行為を見せ付けたのも、自分をその気にさせるためだったのだろうか。
もしそうだとしても、何のために。何故。
「まぁ、半分はそうです」
「もう半分は?」
「あのままじゃ先生、帰り道で倒れちゃいそうだったから」
心配してくれたのは、本当のようだ。
吐き気に震える背に置かれた優しい手の感触と、今、膝の上に置かれた掌の感触が同じである事に、ほんの少しだけ―傷ついた。
「……風浦さん」
滾る一部分とは裏腹に、俄かに悲しくなってくる。
弱々しく、可符香の両肩に手を置いて、そっとその小さな身体を引き剥がしながら、
「やめてください、本当に―貴女とだけは、嫌なんです」
その言葉がどれだけ残酷か知りつつも、ゆっくりとそう言った。
――嫌悪ではない。むしろ、彼女の事は気に入っている。
個性豊かな生徒たちの中でも、妙に彼女の存在が気になっていた。
春、卯月。
桜の舞う日に出会った時から、心に刺さるこの感情は―もしかしたら、恋なのかもしれなかった。
けれど、だからこそ。
無邪気に笑うその瞳が、情欲に染まるのを見たくない。
鈴の音のような愛らしい声が、男を求めて喘ぐのを聞きたくない。
その細い身体を、今まで交じり合った女と同じように扱いたくなかった。
「貴女も、わかってくれたんじゃないんですか。私が、そういうの……駄目だって」
男女のまぐわいから逃げ出した姿を見て、彼女は全て察してくれたものと思っていたのだが。
「うーん」
可符香は、明確な拒絶の言葉を身に受けても、まったく気にしていないようだった。
両肩に置かれた手を交互に見やり、そっと、その手に頬を寄せてくる。
「先生は、そういうのが怖いんですよね」
「やっぱり、わかってるんじゃないですか」
手の甲に触れる柔らかな頬の感触にドギマギしつつも、不満気に答える。
望が手を離そうとする気配を察すると、可符香はそっと彼の両手を掴み、自らの両手で包み込んだ。
「でも私、さわりっこしよう、としか言ってないですよ」
ぎゅっ、と、包み込む両手に力を込める可符香。
「そ、それでも困るんですっ」
「こうしているのも、怖いですか?」
包み込んだ両手を胸元に寄せて、上目遣いに見つめてくる。
その両目は恐いほどに迷いなく、望を求めていた。
けれどそれは明らかに、今まで望の身体を求めてきた女たちのそれとは、違う。

25:愛しさを望む 13
08/01/16 09:38:50 ht7l2gTD
何が違うのだろう。それが知りたくて、どうしても目を逸らすことができない。
「優しく頭を撫でられるのは嫌いですか。
誰かにぎゅっとしてもらう時の、くすぐったい気持ちは怖いですか?」
染み入るような声音に呼応するように、昔感じた体温を思い出す。
それは今まで抱いてきた女たちとの経験ではなく―幼い頃、近しい人と触れ合った、懐かしい体温。
「そ、れは……嫌いじゃ、ありません」
「ですよね」
その返事に、可符香は満足気に微笑むと、そっと望の手を解放する。
「―あ―」
途端。胸が、少しだけ痛んだ。さっきまで感じなかった空気の冷たさを感じる。
望が小さく声を上げたのを確認すると、可符香はまた望の両手を握り締めた。
「やっぱり、先生は寂しがりやさんです」
―それでようやく、何故胸が痛んだのか気が付いた。
羞恥に耳まで真っ赤にしつつ、否定もできずに固まる望。
「さわりっこするのが恐いなんて人、居るわけないじゃないですか」
ベッドを僅かに軋ませて、可符香が身を乗り出してくる。
もう身を退くことはしなかった。そのまま、無抵抗に抱きしめられる。
まるで母にあやされるような感覚に、何故だか少しだけ泣きそうになった。
彼女の背に手を回す。少しだけ力を込めて抱きしめ返し、鼻先をより強く胸元に埋めた。
瞳を閉じて、満たされていく感覚に酔いしれる。―だが、まだ、物足りない。
「先生、もっと触りたくないですか?」
「え」
「物足りないんじゃないんですかぁ?」
「な、何をおっしゃっているのやら」
ぎこちなく視線を逸らすも、触れ合った部分は否応にも熱を持ち、お互いの体温を感じさせる。
――きっと自分は、彼女を求めているのだろう。情けないほどに。
けれど、今までにないこの感情はなんだろう。ただ性欲を満たすだけでは足りない。もっと深く、根の深い場所にある欲求。
「好きなように、触ってみてもいいですよ」
覗き込んでくる丸い瞳。まるで誘うように瞬きをして、じっと望の瞳を見つめている。
「す、好きなように、ですか」
擦れた声で答えながら、おずぽずと手を伸ばす。触れた頬は柔らかく、僅かに紅潮していた。
頬から顎にかけて指を滑らせる。きめ細やかな肌の感触を楽しむように。
―むにゅ。
「ふぇ」
軽くつまんでみた。
妙な声を上げて目を細める可符香。―そのまま、ちょっと引っ張ってみる。
「うにー」「うぅ~」
二人して気の抜けた声を上げる。しばらくして、堪能したのかようやっと手を離す望。

26:名無しさん@ピンキー
08/01/16 09:44:34 waDGvECQ
s

27:愛しさを望む 14
08/01/16 09:45:02 ht7l2gTD
散々うにうにされた頬を撫でながら、不満気に呟く可符香。
「んー……、好きなようにとは言いましたけど、ちょっとどうかと思います。痛いです」
「―っふ、あはは」
堪らず笑みが零れた。色気もなければ意味もない、子供のような触れ合いを望んだ自分が可笑しかった。
「先生、失礼です」
「い、いえいえ。貴女の顔が可笑しかったんじゃないですよ」
怒らせてしまったかと思い、機嫌を取るようにもう一度頬を撫ぜる。
自然と、視線が唇に向く。きゅっと引き結ばれた、小さな桃色の唇が愛らしい。
「―好きに、触っていいんです、よね」
咄嗟に、そんな言葉が口をついていた。引き結ばれた唇が解け、小さく赤い舌が覗く。
「キス、したいですか」
「………」
少しだけ考えるように、彼女の唇を見つめた。
―口づけてしまえば、もう、さわりっこでは済まされないだろう。
今更ではある。けれど、これ以上進むべきか、僅かに迷った。
「私は、したいです。
 先生のこと好きですから」
――彼女の唇の動きが、鮮明に頭に焼きついた。
視線を瞳に移す。そこにあるのは、深く深く、真っ直ぐに迷いなく、望を求める二つの光。
ここまできてようやく、彼女と今までの女たちの違いを、理解した。
彼女は男でも雄でもなく、ただ一人「望」を求めているのだと。
「………」
言葉が出ない。何か答えなければならないのに、気持ちが胸につかえて、外に出てくれない。
あまり長い台詞を喋っては、情けなく声が裏返りそうだったので、
「―私もです。私も……好き、です」
不器用に、そんな短い台詞でしか、答えられなかった。
それでも可符香は嬉しそうに微笑んでくれた。幸せそうに両の目が細められる。
伸ばされた彼女の両手が、すっと望の眼鏡を奪い去った。不明瞭になった視界で、彼女の存在だけがクリアに映る。
くっ、と彼女の方から首を伸ばしてくる。
柔らかな髪を撫でるように手を回して、身体ごとかき抱くように引き寄せた。
お互いの吐息が絡まる。
少し乾いた自分の唇が、彼女の柔らかなそれを傷つけてしまわないかが気になった。
けれど一度触れ合ってしまえば、そんな心配も掻き消える。ただ、その感触に夢中になった。
息苦しさに可符香が僅かに唇を開けば、すぐさま舌を滑り込ませる。
「……んぅ」
小さな呻き声。それが息苦しさからくるのか、戸惑いからくるのかわからなかった。
僅かな水音。粘膜同士の触れ合い。不慣れながらも応えようとする、小さな彼女の舌の温かさ。
「――」

涙が出るほど、愛おしかった。
きっと、自分が長いこと望んできたのは――この感情なのだろうと、そう思った。


28:真昼
08/01/16 09:50:10 ht7l2gTD
接吻させるだけでえらい長くなるのは何故だろう…次回はエロスに入れるかと思います。
もうちょっとお付き合いいただければ嬉しゅうございます。ご迷惑おかけしました。

29:名無しさん@ピンキー
08/01/16 21:44:59 +tmXuGrw
相変わらず上手すぎ
次回のエロスとかエロスとかエロスとかに期待!

30:名無しさん@ピンキー
08/01/16 22:08:09 vDzL2UMg
>>28
私は・・・自分のツボは『くちびる』だと気が付きました。
気付いてしまったーw

31:名無しさん@ピンキー
08/01/17 00:42:56 0J5ulAW4
大甘で虫歯になっちゃうくらいの胸キュンマジパロ希望。

32:名無しさん@ピンキー
08/01/17 02:58:21 EZ4Z7w07
原作でフラグが立ってるにもかかわらず、見たことのないカップリングに挑戦してみます。

マ太郎×甚六で。


33:マ太郎×甚六 (1/10)
08/01/17 03:00:04 EZ4Z7w07
またあの夢を見た。
夢だということはわかっている。わかっているから、どうすることもできない。

ジャングルに囲まれた村。ひどく蒸し暑い。嗅ぎ慣れた硝煙と血の臭い。
私は目の前の幼い少女に、SMG(短機関銃)を向けている。
少女の瞳は、怯えと絶望、そして諦めの色に染まっている。

私の後ろから、足跡が近づいてくる。
どうする、どうする、どうする…


34:マ太郎×甚六 (2/10)
08/01/17 03:01:04 EZ4Z7w07
「死んでやるー。もう死んでやるー!」
なんとも物騒な絶叫が、職員室の方まで聞こえてきた。
しかし、もうこの部屋にいる誰も、その声には驚かない。

「またですか。あれでよく教師が務まりますね」
SCの知恵先生がそうつぶやく。
「まあまあ、あれが糸色先生なりの教育方針なのでしょう」
とっさに、私はそう言ってフォローした。あまりフォローになっていない気もするが、仕方がない。
「どんな方針ですか。そんな風におっしゃるのは甚六先生だけですよ」
千恵先生は、腕組みをしながらそう切り返してきた。この動作で、豊かな胸が強調される。
狙ってやってるのか、このひとは。
あいにく私は、そういった感情にはここ何十年も縁がない。

「離してくださいっ。今度こそ、今度こそ本当に自決します。死にますから!」
"死"か。
良家のお坊ちゃまに生まれ、何不自由なく育ってきた彼が、死のいったい何を知っているというのか。
「先生?」
千恵先生が、不思議そうな顔で私を見ている。
いかん。つい険しい表情になってしまったようだ。
私はいつでも「仏の甚六」でなくてはいけない。そう生きていくと決めたのだから。


35:マ太郎×甚六 (3/10)
08/01/17 03:01:49 EZ4Z7w07
「ジンロク。なあジンロクセンセ」
放課後の廊下で、私に声をかけてくる女生徒がいた。この子は確か、留学生か何かの…
「関内君。どうかしましたか」
「マリアでイイヨ。関内・マリア・太郎!」
元気に返答されたので、少し気おされた。
「ああ、あなたにはミドルネームがあったのですね」
どうかしてる。太郎って何だ、どう見ても女子だろう。
とはいえ、この学校自体、どうかしてる高校なのだから仕方がない、と私は気をとりなおした。
こんな適当な職場だからこそ、私のような経歴不明者でも雇ってもらえるのだ。

「ジンロクは、おしゃれ上級者なのナ」
「はい?」
いきなりそういわれても、意味がよくわからない。
「エート、背中に、おっきいアクマのタトゥー」
あ。やはり見られていたのか。
確かに、私の背中には巨大な般若の面の彫り物がある。
以前、つい気が緩んで更衣室でシャツを脱いでしまったことがある。
あのとき誰かの気配を感じたのだが、この子だったのか。

「それでナ、その、ゴメンナ」
マリアは急にしゅんとした表情になってしまった。
「ジンロクのタトゥー、すごくカッコイイと思ってナ、みんなに教えた」
「困りましたね」
口ではそういいつつも、表情はあくまで笑顔を崩さないで言った。
ばれてしまったのは面倒だが、学校側も彫り物があるという程度の理由で解雇はできまい。
「このクニでは、背中にタトゥー入れてるのは、ギャングメンバーだけなんだろ。マリア、知らなかった。ジンロク、ギャングか? クビか?」


36:マ太郎×甚六 (4/10)
08/01/17 03:02:21 EZ4Z7w07
私が彫り物を入れたのは、十九のときだった。
あの頃は若かった。とにかく、誰にもナメられたくない、その一心だった。
しかしすぐに、気の早い決断に後悔した
なにせ、気軽に銭湯にも行けない。
親からは勘当され、土方の仕事さえ断られた私は、もう極道になるしか無かった。

ヤクザの世界に入ってしばらくして、組の若頭に気に入られた。
出世のチャンスがやってきたと張り切った私は、彼の命令なら何でも従った。しかしそれが罠だった。
ある日、私が若頭の指示どおりに弾いた男は、上の組のお偉いさんだった。
身内殺しの汚名を着せられた私は、ついに日本にもいられなくなった。


37:マ太郎×甚六 (5/10)
08/01/17 03:02:55 EZ4Z7w07
「なーなー、もっかいホリモノ? 見せてナー」
職員室に戻ろうとした私の後を、いつまでもマリアがついてくる。
私がクビになるのではと心配した彼女に「彫り物程度でその心配はない」と説明したところ、
急にもう一度見せてくれとせがみ出したのだ。
「ダメか?」
急に心細そうな表情になって、そう聞いてきた。まるで親にはぐれた子供のように。
「ここではちょっと困りますね。人のいない部屋でなら」
そう言ってやったら、一転して満面の笑顔を浮かべた。
まったく、この子の頼みを断れる人間なんて、そうはいないだろう。
階段の脇に掃除用具室がある。狭くて、おまけに薄暗い部屋だ、ここなら誰も来ないだろう。

「これでいいですかな?」
上半身裸になって、背中を見せた。正直異様な光景だろう。人が見たらどう思うことか…
しかし、それでもかまわない。彼女と話しているうちに、なぜかそんな気分になってきたのだ。
それにしても、私の体も衰えたものだ。若い頃の面影はもうない、などと考えていると、
「エヘヘヘ」
何を思ったか、彼女が急に背中に抱きついてきた。からかわれているのか? それと、何か感触が変だ。
「マリア君?」思わず振り返る。


38:マ太郎×甚六 (6/10)
08/01/17 03:03:15 EZ4Z7w07
マリアは全裸だった。
いつの間に。床には脱ぎ捨てられたセーラー服がある。というかそれしかない。
「君、し、下着の類は?」
「もってないヨ」
そう答えられて、あっけに取られている隙に、押し倒されてしまった。
「とう!」
さらに、私の上に飛び乗ってきた。馬乗りの姿勢で、少しずつこちらに体を近づけてくる。
「んー…」
やめたまえ、と言おうとしたが、うまく口が回らない。
彼女が首に抱きついてきた。そして有無を言わせず、唇を重ねてくる。
やわらかい。そして、暖かい。女性の体とは、こんなに気持ちがいいものだったか。
しかし、なんとか抵抗しないといけない。横を向いて強引に唇を離した。
すると彼女は、私の頬をなでながら、耳元でこうささやいた。
「なんでも、するヨ」
そのまま、耳に、そして首筋にキスの攻撃を仕掛けてくる。過去に知ったどんな女よりも、巧みな愛撫だった。
「どこで覚えたんですか、こんなこと」
思わず聞いてしまう。
「マリア、いろんなお仕事知ってるヨ。女の子なら誰でもできるお仕事、いっぱい覚えたヨ」
にこやかに笑いながらする話ではないでしょう、と言いかけたが、すぐにまた唇をふさがれる。
今度は、なかなか開放してもらえなかった。舌を絡め合わせながら、彼女は優しく、私の背中をなで続けた。
その一つ一つの動作が心地いい。
もうこんな感情には、縁がなくなったのではなかったのか。
いや、嘘だ。そもそも、あの日以来、女性と肌を合わせたことなどなかった。
単に他人と触れ合うことから逃げてきただけだった。


39:マ太郎×甚六 (7/10)
08/01/17 03:03:45 EZ4Z7w07
三十年近く前、私はアジアのとある小島にいた。
紛争地域専門の国際民間警備員、と言えば聞こえはいいが、要は傭兵だ。
それも、正規の軍隊にはできないような、汚い仕事ばかり回ってくる。
だが、自分などいつ死んでもかまわない、そう考えれば、どんな危険な任務も苦にはならなかった。

そのときの雇い主は、この国を独裁政権によって支配している軍人だった。
作戦目標は、独立派ゲリラの排除。
より正確に言うなら、ゲリラの疑いがある島民の即時射殺。
そして、この島に「ゲリラの疑いが無い」者など一人もいなかった。
たとえ幼い子供でも、手榴弾を握り締めて自爆攻撃を行うぐらいはできる。

上陸してわずか3日で、私の部隊は作戦目標の9割を達成した。
まさに悪夢だった。殺されるほうにとってはもちろん、殺すほうにとっても。
だが、今さら逃げることはできなかった。
もしも任務を放棄したら、後ろから仲間に撃たれてしまうだろう。
この島で自分たちがしたことを、誰にも知られるわけにはいかない、
隊員全員が「共犯者」として、死ぬまで秘密にしておかなければならない。

この島で最後に残った集落を本隊が殲滅している間に、私を含む分隊は残存者の掃討を行っていた。
ほかの部隊が通ったあとを回り、動いている人間がいれば撃ち、原型を留めている家屋があれば火を放つ。
そして、集落の食糧庫らしき粗末な小屋をふと覗いてみたところ、そこに人影が見えた。
思わずSMGの銃口を向ける。その先にいたのは、まだ12・3歳ぐらいの少女だった。
少女の瞳は、怯えと絶望、そして諦めの色に染まっている。
なぜ生きているんだ、私はいらだった。これがただの死体なら、これ以上心が痛まずにすむのに。
逃がしてやれないか? いや、それはありえない話だ。こいつの運命は、ひとつしか残されていない。

後ろから、仲間の足音が聞こえてきた。私が戻ってこないのを不審に思い、様子を見に来たのだろう。
この少女の、これからたどるであろう運命が、実は2つあることに気がついた。
つまり、今から数人の男に陵辱されたあとに殺されるか、ここで私に殺されるかだ。
せめてすぐに楽にしてやれと、私の中の悪魔が告げる。
どうなろうとかまわない、傍観していろと、もう一人の悪魔が告げる。
足音はすぐ近くまで迫っている。どうする、どうする…


40:マ太郎×甚六 (8/10)
08/01/17 03:04:07 EZ4Z7w07
気がつくと、私はマリアを抱きしめていた。
「ドシタ? ジンロク」
彼女は私の眼鏡を外し、目尻にそっと口付けをした。
泣いていたのか、私は。
思わず涙を拭いた私の指を、すかさず彼女は口に含んだ。
暖かく、柔らかな舌の感触が心地よい。
そして、頼まれてもいないのに丁寧に私の指をなめてくれるその仕草には、底知れない慈愛が感じられた。
この子は、単に男性が喜ぶ方法を知っているだけではない。おそらくは、世界中の全ての人間を愛しているのだろう。

その感触に気をとられている隙に、自然な動作でベルトを外された。
さらに、私の服を全て脱がそうとする。
「な、ダメだ、それは」
拒否するが、逃がしてはもらえない。
「なんでダ? すごく元気ダゾ?」
そういいながら、局部を撫で回された。その瞬間、全身がしびれるような感覚に襲われた。
「その、これ以上は」
「知ってる、"誘い受け"ダナ、ジンロク」
私の目をじっと見つめて言いながら、その手で男性器をしごき始めた。それだけで、めまいがするほどの快感に襲われる。

諦めた私は、彼女のあごに優しく手を沿え、今度はこちらから口付けをした。
それだけのことで、心からうれしそうに微笑んでくれた。
そのまま、マリアを冷たい床に押し倒した。もうこれ以上、彼女に奉仕させる気はない。
「こんな年寄りにいたずらされて、何が嬉しいんだ?」
今まで攻められっぱなしだったので、少し意地悪なことが言いたくなる。
だが、それに対する彼女の反応は意外なものだった。
「パパ…」
頬を赤く上気させて、先ほどまでとは別人のように瞳を潤ませて、こちらを見ている。
私のことを、遠い国の自分の父親と重ね合わせているのか。そもそも、彼女の父親はまだ生きているのか。
なんにせよ、その表情で私はますますいきり立った。
しかし、こんな少女にこんなものを入れて大丈夫なのだろうか。いくら経験ありとはいえ。
さらに彼女はつぶやく。
「Come on…」

もう理性は残っていなかった。私は今までの優しげな態度を全て捨て、動物としてオスが行うべき行為を行った。
行為の最中も、彼女はときおり微笑み、私の唇を求めた。
私が果ててしまうまで。


41:マ太郎×甚六 (9/10)
08/01/17 03:04:33 EZ4Z7w07
またあの夢を見た。
夢だということはわかっている。わかっているから、変えなくてはならない。
後ろから、足跡が近づいてくる。どうする…

「ヘイ、ジン。そんな所で何やってんだ」
そう怒鳴りながら、同じ部隊の男が小屋に入ってきた。
結局、私はあの時、少女を撃てなかった。
「おお、女じゃねえか。まだガキだが、まあいい」
私はこの男を心から軽蔑していた。いや、ある意味ではうらやましかった。
罪悪感というものを一切感じないという、その性格が。

「たまには、私にも犯らせてくださいよ」
そう言いながら、私は戦闘服とシャツを脱いだ。背中には般若の彫り物。
「ジャパニーズってのは、こんなオコサマがいいのか。理解できねえな」
男は床に座り込んだ。順番を待つつもりらしい。
彼にこう尋ねてみた。
「我々は、死んだら地獄行きでしょうか」
「聞くまでもねえだろ!」
即答か。
「では先に待っていてください」
そう言いながら、私は無防備な彼の頭部にSMGを数発撃った。これで即死だろう。
少女は呆然とした目で私を見ている。
何をやっているんだ、私は。アクション映画の主人公にでもなったつもりか。

その後、何重もの幸運に恵まれて、私は奇跡的に島を脱出できた。
しかし頭部に重傷を負って、記憶の一部を失ってしまった。
記憶を? そうだ。
私は、あの夢の続きを、今まで忘れてしまっていたんだ。


42:マ太郎×甚六 (10/10)
08/01/17 03:04:53 EZ4Z7w07
「ジンロク、起きたカ?」
どうやら、行為が終わったあと、そのまま気を失ってしまったらしい。
マリアが、膝枕をしてくれていた。
すでにあたりはすっかり暗くなっており、非常灯の緑色だけが、ぼんやりと私たちを照らしていた。

「パパ」
ん。今なんと?
「マリアね、パパを探してニッポンに来たんだヨ」
そうなのか。
「ていうか、本当のパパは、どこの誰だかよく分かんないんだけどネ」
そんな重大な事をさらっと言われても。
「昔ネ、マリアが生まれるよりずっと昔、ママのことを助けてくれたヒトがいたんだって。だからそのヒトのことをパパだと思いなさいって、サイゴにママが教えてくれた」
私は、体を起こしながら尋ねた。
「その人は、どんな人なのですか」
「名前はジン、ニッポンジン。背中に…おっきいアクマのタトゥー!」


43:名無しさん@ピンキー
08/01/17 03:16:47 qeeAEYE7
これはいいものだ

44:名無しさん@ピンキー
08/01/17 03:24:54 EZ4Z7w07
>私の後ろから、足跡が近づいてくる。

投下してから気がついた。なんで「足跡」? 「足音」だろうが。
絶望した!

45:名無しさん@ピンキー
08/01/17 13:36:46 tcN0i0M1
想像もしなかった組み合わせだが、いいなGJ!

しかしこのスレもとうとう13スレ目か・・・
1スレ目から6スレ目までが4年以上かかってることを考えると
アニメが始まってからの勢いは目を見張るものがある

46:名無しさん@ピンキー
08/01/17 18:20:13 oUZo1nO1
8 :名無しかわいいよ名無し:2008/01/15(火) 18:45:19 ID:9iVf4ZWx0
「う・・・あっ・・・」

「やだ、せんせいもうこんなになっちゃって・・・」
そういうと彼女は望自身を再びくわえ込み、
その絶妙ともいえる舌加減で緊張をほぐしていった。

「・・・ん、先生、こっちもおねがい・・・」
そういうとことのんはその誰にも見せたことのないであろう
女の部分、それをそっと望の顔にのせた。
また、望のそれもことのんの顔のまえにあるのでいわゆる69になったわけである。
しかしことのんの容赦無い舌使いについに望は耐え切れなくなり
急に起き上がったかと思うといまだ咥えたままのことのんの頭をつかみ、上下にピストン運動をさせた。

「(やだ・・・せんせいのわたしのくちでおっきくなってる・・・)」

そしてひとしきり激しく動いたかと思うと、まるで一物に押さえつけるようにことのんの頭を押し付けた。
ことのんは望の愛液を口全体でうけとめ、必死で飲み込もうとしている。
しかし・・・

「ぶふぉっ!ぶふっ、ぶふぇっ!」

やはり女生徒ほどのテクニックでは無理があり、すこしばかり吐き出してしまった。
しかし、このような状況にもかかわらずことのんの花弁は本番への準備を済ませていた。

「ほらぁ・・・、みてぇ、せんせぇ・・・」

ことのんは自分の花弁をくぱぁとんだれかきたようだううわーなにをするきさまら



これはひどいwwwww


47:名無しさん@ピンキー
08/01/18 00:46:27 BuAuGIEf
初めてssを書いてみました。あびる×先生です。
読みにくいところ多々あるかと思います。
どうぞご容赦ください…。

48:あびる×先生 前半1/5
08/01/18 00:48:32 BuAuGIEf
私は夕暮れの光が差し込む自室の中で溜め息をついた。
撫でさすっていたワオキツネザルの長い尻尾に目を落とす。実に美しいしま模様とコシのある毛並み。私の数多くのコレクションの中でもお気に入りのひとつ。だがしかし。
違う、今、私の切望する感触はー

私のクラスの担任は随分と変わった男だった。
新学期早々、首吊り騒ぎを起こした。毎日のように、世間の事象を過剰に恐れ、被害妄想をこじらせて勝手に絶望し、死ぬ死ぬと声高に叫ぶ。まるで馬鹿、いや馬や鹿に失礼だ。いい成年男子が…
世界中の尻尾を集める夢を追って、険しいマニアの道を進む私には彼があまりに幼く見えた。
家庭訪問に来た時だって、せっかく尻尾の中から選りすぐって似合いのものをあてがおうとしたのに、真っ青な顔で逃げ出す始末。こんなホモサピエンスはイグアナあたりのハードな尻尾で叩き、しつけるのが妥当だ。くだらない。
だが一方で妙に保護愛をくすぐられる時もあった。注射を恐れて泣きわめく子犬のような姿。ラインバックのほうが数万倍もかわいいからそんな気持ちは微塵にも出さなかったけれど。

49:あびる×先生 前半 2/5
08/01/18 00:51:25 BuAuGIEf
しかしあの夏の日から私は変わった。
ギラギラと照りつける太陽の下、まるで健康的な男女のように私と先生は波しぶきをあげてじゃれあった。動物たちとのスキンシップ以外で私がはしゃいで笑うなんて、自分でも驚いた。包帯が乱れるほどー
笑いすぎて息切れしている私に、そっと近づいて先生は耳打ちした。
「小節さん、好きですよ」
「!」
その瞬間、私は沸騰した。思わず彼の顔を見返す。目が合うと先生はにっこりと笑った。私の心臓ははっきりと早鐘を打ち、頬は熱くなった。これは恋だ。人間相手の初めての恋だ。

あの日以来、私は自慢の尻尾コレクションを愛でても、以前のような興奮が湧き上がらなくなってしまった。
先生のあの笑顔がちらついてしまうから。まったく、マニアの名にふさわしくない事態だ。


50:名無しさん@ピンキー
08/01/18 01:11:05 0JYbvqyy
しえん

51:名無しさん@ピンキー
08/01/18 01:20:13 +H6XtBPB
申し訳ありません!20行以内でも書き込めなくなってしまいました…
日を改めて投下いたしたく思います。ごめんなさい


52:199
08/01/18 04:31:18 U5+Tm/45
>>51
「1行目が改行で 20行以上の長文」だと書き込み不可なだけで
改行は確か60行くらいまで大丈夫だったはずですよ。
お待ちしております。

エロ書こうとする→なかなか書けない→気分転換にネタでも→すらすら進む→
絶望しt(ry
>>51様を待つ間2レスほど小ネタでもどうぞ。

53:『絶望少女達によるロミオとジュリエット』
08/01/18 04:32:11 U5+Tm/45
【木津 千里の場合】
「ロミオ、ロミオ、どうして貴方はロミオなの?
 お父様と縁を切り、モンタギューの名前をお捨てになって。」
「貴女のお言葉どおりに致しましょう。これからはただ恋人とお呼びください。
 これからは決してロミオではありません」
「本当に?」
「は?」
「私、こういうのきっちりしてもらわないと嫌なんです。
 姓氏改名の手続きとか、相続放棄とか、全部ちゃんと手続きしてください!」
「ええと……この時代にはさすがにそういう手続きは存在しないと思うんですけど……」
「じゃあどうやって縁を切ったって証明するんですか!ああもう、いらいらする!うなー!!」
「ちょ、落ち着いてくださいどこから持ち出したんですかそのスコップいやあああぁぁぁ!!」


【常月 まといの場合】
「ロミオ……貴方はどうしてロミオなのでしょう?」
「いえあの、このシーンで既に背中に張り付かれていると私、どうやって登場すればいいのか……。
 ここって確かジュリエットがテラスで、私が庭にいるシーンでしょう?」
「先生との距離がそんなに開くだなんて、私、耐えられませんから」


【小森 霧の場合】
「……………」
「……あのー、小森さーん、とりあえずテラスに出てきて下さいませんか。シーンが進みませーん」
「……私が部屋を出て行くと、キャピュレット家が滅んじゃうって、可符香ちゃんが」
「……滅んだ方が、ある意味平和に物語が進みそうなんですけどね」


【小節 あびるの場合】
「あれはひばりよ!朝の訪れを告げ、貴方を私の元から飛び立たせようとするにっくきひばり―」
「ちょちょちょちょ、ちょっと!何で貴女だけ別のシーンになってるんですか!
 これってロミオとジュリエットの……その……事後のシーンじゃないですか!!」
「だってテラスのシーンって、しっぽのある生き物が登場しないじゃないですか。
 ひばりのしっぽも本当はもう持ってるから興味ないんですけど」
「だからって既成事実は勘弁してください!ひばりも私もリリースする方向でお願いします!!」



54:『絶望少女達によるロミオとジュリエット』
08/01/18 04:33:08 U5+Tm/45
【藤吉 晴美の場合】
「おのれ、仇敵モンタギュー、悪党め!ジュリエットにこれ以上近付くな!!」
「待てコラ!」
「先生、口調が」
「何で貴女ティボルト役になってるんですか!それジュリエットの従兄弟でしょう!
 ロミオに殺される役でしょう!」
「何言ってるんですか!キャピュレット家の一員として、従姉妹を守ろうとしてロミオと決闘するティボルト。
 しかしその心には憎しみ以外の感情があることに剣を交えるうちに気がついて―」
「気がつきません!ロミオとジュリエットっていう大前提まで覆さないで下さい!」
「えー、先生ひょっとしてティ×ロミじゃなくてロミ×ティなんですか?」
「そうじゃねえって言ってんだろ!」
「先生、口調口調」


【風浦 可符香の場合】
「大丈夫!貴方がモンタギュー家の人間でも、私がキャピュレット家の人間でも
 人 は 皆 神 の 子 だ か ら !」
「……何だかもう、突っ込むのにも疲れてきたので貴女の解釈でいいような気もしてきました」


【日塔 奈美の場合】
「ああロミオ、貴方はどうしてロミオなの?
 お父様と縁を切り、モンタギューの名前などお捨てになって、代わりに私を受け取ってください!」
「受け取りましょう、貴女のお言葉どおりに。これから私の名は貴女の恋人、決してロミオではありません」
「まあ!一体どうやってこの屋敷に忍び込んだのです?家の者が貴方を見つければ
 憎いモンタギュー家の一員である貴方には20の刃が襲い掛かるでしょうに」
「何 で す っ て !
 それはさすがに困りますね……それでは今夜はお宅の家人に見つからないうちに、これで失礼します」
「……え?ちょ、ちょっと先生!何で帰ろうとするんですか!
 『貴女の愛を得られないまま生きるのならば、ここで彼らに殺されたほうがよっぽどましだ』ですよ!」
「何を言ってるんですか!死んだらどーする!」
「死んだらって、ロミオなんですから最後には死んじゃいますよぉ!」
「いやまあ、最後までやればの話でしょう……最後までやるんですか?こんな普通のロミオとジュリエット」
「普通って言うなぁ!!」

55:199
08/01/18 04:43:55 U5+Tm/45
こんな小ネタばっかり日々考えている自分の頭はどうやったらデトックスできますか。
絶望した!エロパロ板なのにエロくないSSばっかり書いていることに絶望した!!

次回はちゃんとエロいの落とします。きっと。ごめんなさいごめんなさい。

56:名無しさん@ピンキー
08/01/18 05:01:44 xgeXtvHv
人は皆神の子なら近親相姦だから大丈夫じゃないだろとか思ったが、人それぞれ創造主が違うなら
モンタギュー家の神とキャピュレット家の神が仇敵同士なわけでやっぱり大丈夫じゃないよなー。

57:名無しさん@ピンキー
08/01/18 05:39:22 Lp+rgW90
>>42
もの凄い衝撃を受けた
最後の台詞に和んだ

58:名無しさん@ピンキー
08/01/18 06:32:02 gigsiShY
何でみんな>>46にスルーできるんだw

59:名無しさん@ピンキー
08/01/18 07:38:29 kcOuhg6U
>>58
IDがウイルスっぽい

60:名無しさん@ピンキー
08/01/18 11:18:55 2ePbToGf
>>58
見たことあるからwww

61:閑話:これ、お爺さん? 1/3
08/01/18 15:57:00 k8IBxx/2
望「みなさん、おはようございます。
  三連休、いかがお過ごしだったでしょうか」
奈美「基本的に、家でゴロゴロしながらテレビ見たりしてましたよ」
望「そうですか、日塔さんらしいですね」
奈美「……」
あびる「私は動物園でアルバイトしてました」
芽留『尻尾目当てでか。引っ張られる方の身にもなってみろミイラ』

千里「ていうか先生、その格好はいったいなんですか?
    なんで紋付袴を着ているんですか?」
千里「はぁ?先生はもうとっくに成人を迎えているじゃないですか」
望「えぇ、確かにそうです。
  しかし、成年になったからといって一人前になったといってもいいものでしょうか。
  成人式に出席している成人のうち、どれだけの人間がいまだに幼稚であることか!
  いくら年齢上では成年になったからといってもです。
  果たして彼等を一人前の大人として認めてもいいものだろうか!」
千里「確かにそうですけど、それと先生がそんな格好をしている理由が繋がりませんが」
望「実は私、成人したときに成人式に出なかったので、
  この機に雰囲気だけでも味わおうと思いまして」
千里「さっきの発言、関係ないじゃないですか!」

奈美「えー、じゃぁもしかして成人式、出てきたんですか?」
望「いえ、若い人たちが怖くて無理でした」
千里「全っ然意味ないじゃないですか、その格好……」
奈美「ていうか先生も比較的若いですよね」
芽留『ファッションセンスは一世紀前だけどな』
望「私、突然壇上に上がってパフォーマンスを始めたり、
  会場の前で酒盛りしたり、奇声を上げて町中を闊歩するような、
  いかにもな方々と関わって厄介ごとに巻き込まれるのはごめんです」
奈美「そんな所ばかりじゃないと思うんですけど……」
あびる「じゃぁ、先生。もしかして成人したときに出なかった理由もそれですか?」
望「いえ……、昔の友人に会うのがなんだか気まずかっただけです」
あびる「……」

62:閑話:これ、お爺さん? 2/3
08/01/18 15:57:35 k8IBxx/2
奈美「でも、その気持ちわかります。
   小学校とか中学校である程度仲良くしてた人達って、
   進学したあと遊ぶ機会がほとんどないから、
   いざ会うとなると相手にどう思われてるか気になっちゃいます」
あびる「そうね、下手に関係を悪くしたくないから、
    以前のように接していいのか不安になるわね」
千里「でも、さすがに成人式に出るのを拒むほどじゃないでしょう?」
あびる「まぁ、そうだけど」
望「いいですよ、先生、どうせ心の弱い人間ですから」
芽留『要は友達が少ないってだけだろ( ´,_ゝ`)プッ』

可符香「ですが先生、話は戻りますが、
    成人したのに大人とは言えない人間が多いのなら、
    大人と子供の違いって一体どのようなものなのですか。
    基準は何なのでしょうか」
望「大人と子供の違いですか……。そうですねぇ……」
一旧「私はある種のwebサイトの門をくぐるときに、
   背徳感を覚えるか否かが分かれ目だと思いますが」
望「いきなり出てきてそういうネタはやめてください!
  ていうかほとんど男にしか通用しませんから!」
マ太郎「私の国、ミンナ小さい頃カラ働かないト生きてイケナカッタ。
    ミンナ立派な大人だったヨ……」
望「そういうリアルなネタもご勘弁願います……」
臼井「僕の頭髪はもう大人なんでしょうか」
望「しかし、大人と子供の基準というものは意外と難しいものですね。
  昔ならば今よりも明確であったのでしょう。
  締め付けが強かった分、個人の自意識もそれなりに高められていたから、
  大人とはどういうものなのかがはっきりしていたのかもしれませんね」
芽留『てめぇの実家がまさにそんな感じなのに、お前がお前だから説得力皆無だな』

63:閑話:これ、お爺さん? 3/3
08/01/18 15:58:06 k8IBxx/2
まとい「先生、そろそろ私達も大人の関係に……」
望「うわっ!いたんですか!」
まとい「えぇ、ずっと」
望「はぁ……、びっくりしましたよ。
  常月さんはいつにも増して豪華な衣装ですね、どうしたのですか?」
まとい「うふふ……」
  千里「(……イライラ……)」
望「……ってそうじゃなくて!さっきのような危険な発言は避けてください!
  前にも言いましたが、先生、法廷画にはなりたくありません!」
まとい「つれない事言わないでくださいよ、先生♪」
望「やめてください!やめてください!」
 千里「(……イライラ……)」
望「ん?なにやら不穏な空気が漂っていますが……」
あびる「いい加減悟る力もつけたほうがいいよね」
千里「あー、なんでこうも大人と子供の境目って曖昧なのかしら……、
   大人ならきっちりしなさいよ、断るときはきっちりと断る、
   口だけじゃなくてしっかりと行動でもって示さなきゃダメじゃない……、
   そんなんだから勘違いする人が増えるのよ、まったく……、
   ていうかまだ成人してないガキのくせに大人の関係だなんて、
   生意気なことを言うんじゃないわよ、きっちりしなさいよきっちり、
   それに先生は私が……ブツブツ……」
晴美「先生!千里はもう臨界点突破直前です!」
望「こ、これはやばいですね……。皆さん!早く避難を!」
マ太郎「ガ・ム・シャン!ガ・ム・シャン!」
望「そっちじゃありません!」
千里「ふふ……、大人と子供の区別はきっちりさせなきゃね……うふふ」

奈美「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」





霧「ねぇ、交君、ニートって子供かな?大人かな?」
交「俺に聞くなよ」

64:名無しさん@ピンキー
08/01/18 16:04:49 k8IBxx/2
うおぉ、最初のやつ、台詞一つ抜けてたぜ……。

以下、訂正部分。



×
 千里「ていうか先生、その格好はいったいなんですか?
    なんで紋付袴を着ているんですか?」
 千里「はぁ?先生はもうとっくに成人を迎えているじゃないですか」



 千里「ていうか先生、その格好はいったいなんですか?
    なんで紋付袴を着ているんですか?」
 望「なんでって、成人式だからですよ」
 千里「はぁ?先生はもうとっくに成人を迎えているじゃないですか」



すまんでござる。

65:あびる×先生 3
08/01/18 18:05:33 BxQ3V44b
「あーもう!」
もうひとつの気に入らないこと。約束した夏祭り以来先生の様子が何だかおかしい。
最初は照れているのかなと思った。
しかし愛用の包帯でスキンシップをはかれば「放生会リリースありがとうございます!」なんて叫んで逃げてしまった。私は呆けてただ後ろ姿を見守るしかなかった。
次はツンデレかなと思った。警戒心と信頼のあいだで揺れる餌付け段階の野良猫のような。
だがあの後、学校でも外でも明らかに私を避けて目すら合わそうとしないし、会話も必要最小限の挨拶ぐらい。デレなんていつまでも出してくれない。
あんまり苛々したのでつい、ストーカー女まといちゃんを校庭の大木に縛り付けてしまった。
先生は一体どういうつもりなのか…

私は撫でていた尻尾を壁の飾り台に戻す。
募る苛立ち。不安。いてもたってもいられなくなる。
誰かに相談する訳にもいかない。先生については、女子は既にみんなライバルになってしまったから。
もう一度、先生と一対一で話をしたい。そのうえで、人間の女としてするべき躾はさせてもらおうー。

数日後の日直当番の日に私は行動を起こした。学級日誌と一緒に、先生にそっと包帯の切れ端を渡す。それにはマジックでこう書いてある。
「お聞きしたい事があります。放課後、教室で待っていますー」
それを見た先生の顔がこわばった。昼ドラのように陳腐な手だが、数多くの敵の目から逃れるには仕様がない。

窓から見る夕暮れが美しい。地平線の近くでは徐々に闇が夜の準備を始めているけれど、
誰もいない教室を見事に茜色に染め上げている。
もうそろそろ来る頃だろう。ヘタレとはいえ教師、日が落ちてから、のこのこと女生徒のもとへ来るような夜行性の行動はとらない筈だ。
はたしてターゲットは教
室の入り口から顔を出した。
「こ、小節さん、すみません、遅くなりました」
振り向いた私と目が合うと、慌てて逸らしおどおどとした挙動を取る。
「先生…」
私は彼のほうに足を進めた。

66:あびる×先生 4
08/01/18 18:06:22 BxQ3V44b
「…海に行った日のこと、覚えてますか」
ぎくりと彼は身を震わせる。
「…はい」
記憶を無くした訳ではないようだ。
「私、あの時本当に…嬉しかったんです」
「…」
先生の顔を見上げる。もっとも私は左目に眼帯をしているので、顔の右側を彼に近づけてじっと見つめる。彼は目をそらしたままだ。
「先生は、私のこと、どう思っているんですか」
重苦しい沈黙。
「先生…!」
促すと、ぽつりと彼は呟いた。
「あれは、影武者が…したことでして…」
「はあ?」
思わず声に出してしまった。
「小節さん、すみませんでしたっ!」
私がぽかんとしたその隙をついて、彼は今来た入り口に向けて走り出そうとする。
「待ってください!先生!」
口に出すより早く、私は両手の袖に隠し持っていた包帯を繰り出した。優雅に伸びるそれで先生の両足首を捕捉する。
「わああ」
彼は音を立てて無様に転んだ。影武者?何、それ?言い訳としても成立していないだろう。
結局、あの告白は気の迷いという事か。私は意識しないようにしていた心の傷が開いた気がした。
こうなったら意地を見せてやる。
「私を、本気にさせた罪は重いです」
「いや、だから、わあ」
先生の間抜けな声が挙がる。包帯を手繰りながら、教室の隅へ先生をずるずる引っ張っていく。彼は身を起こして抵抗するが、私の鍛え上げたスキルにかなう訳
がない。
「な、何をするんですかあ」
「聞こえません」
まったく仕様のない男だ。包帯で全身を締め上げてしまえ。私と同じ様な姿にしてしまえ。そのうえで躾をするしかない。

やがて包帯を手繰り寄せると、無様に尻餅をついた先生の体に、私はぴたりと身を寄せた。暖かい、人間の、男の身体。本当はこんな包帯なんか使わないで触れ
たかったけど。
「先生」
見上げると、先生とやっと目があった。夕日の映る綺麗な瞳に、意識が吸い込まれるかと思った。
困惑して、でも頬を赤く染めた端正な顔。あの日感じた興奮が蘇ってきて私の心を揺らした。躾の前に、欲望が湧き上がった。
私は先生の顔を見据えながらそっと、口づけした。彼の体がこわばる。気づかないふりをして先生の唇を自分の唇でなぶる。歯を舐めあげて徐々に舌を侵入させ
る。先生の舌を捉えて、絡ませてみる。
「…んっ、ふう」
苦しくなって、一旦唇を離して息を吸う。と、先生が急に荒々しく口づけてきた。え、ちょっと…!彼の舌が私の口内を乱暴に掻き回して、くちゅくちゅと音を
立てる。私は不意をつかれてされるがままになってしまった。体の芯が急激に熱くなる。
「はあ、はあ」
「す、すみません、つい…」
悔しい。こんな男にリードされるなんて。しかし、私が熱望していたのはこの感触だった。
私は先生をきっと睨むと、彼の下半身の辺りにゆっくりと手を伸ばして探りあてた。…熱くて、固くなりつつある尻尾。
「せんせい…このしっぽ…」
ゆっくりとその尻尾を両手で包み込むと、先生は急に慌てふためいて、
「いや、ち違います!ちょっと、あの、女人の刺激でですね…絶望した!こんな己の欲棒に絶望した!」
一通りまくしたてるのを待って。
「せんせい、勃ってる…」

67:あびる×先生 5
08/01/18 18:07:53 BxQ3V44b
私は袴の紐を無理やりほどいて、下着から先生の尻尾を露出させてしまった。
「こ小節さん!」
夢にまで見た先生の尻尾。動物たちの生殖器とは全く違う、皮膚に保護された逞しい肉棒-うっとりと半分ほど勃ったそれを見つめてから、私は優しく口づけし
、くわえてみた。雄の臭いが広がる。熱い。脈動を感じる。
「あっあ…」
先生の尻尾は大きくて、私の口に全ては収まりきらない。それでもできる限り奥までくわえると、全体を舌でねぶり回し、時には吸い上げた。念入りに先端部
を舌でなぞる。尻尾は刺激を受けて固さを増しさらに大きくなる。
「うぅ…はあっ」
いやらしい愛撫の水音と頭上の先生の喘ぎに胸が高鳴る。見上げると彼は真っ赤な顔で目をそらした。私は悔しくなって、さらに力を入れて舐めあげる。わざと音を立てる。
「せんせえの…おおきひ…」
「うはあっ!し、喋らないでください!」
先生は慌てて私の頭を持ち上げた。
潤んだ、しかし熱のこもった目を間近に見て、嬉しくなった。先生は、発情している…。
透明な液体が尻尾の先から溢れてきて、私は名残惜しくて舌ですくいあげた。
「こ、このままでは出てしまいます…」
「だして、ください」
そうしたら躾をしてあげるから…
しかし先生は私の顔を抱えると、再度唇を合わせてきた。侵入してくる熱い舌。動物たち相手とは全く違うキス。口内を隅々まで犯されている感覚に下腹部が燃え上がる。気が遠くなりそうだ。
「はあ、はあ…ひゃうっ!?」
先生が私の唇を解放した次の瞬間、首すじに熱い感覚が走る。包帯をしていない部分に強く唇が吸いついて、鈍い痛みに体がびくっと震えた。
あざになっちゃう…言葉にする暇もなく唇はすうっと鎖骨をたどり胸元をついばむ。先生の手がお腹から入ってきて私の胸を包帯ごしに優しく掴んだ。抵抗できない。
「痛くないですか…」
「ん、は、はい」
つい素直に答えてしまう。先生は胸を揉みしだきながら、包帯をずらして私の乳首を探している。何だか生まれたての仔猫みたいで、私は快感のなか少し可笑しくなった。しかし次の瞬間、探
し当てられた乳首が露わになって、思いきり吸い付かれた。
「ひああっ」
思わず声が出てしまった。かあっと全身が熱くなって苦しい。先生は両の乳首を指と舌先で転がし、甘く噛む。
「ああっ…やっ…いたっ…あふ」
「乳首立っちゃいましたね…」
「それ、は、せんせえが…やああ」
何度もきつく吸い上げられると、私はあまりの刺激に先生の頭を掴んでのけぞってしまった。異常なほど股間のうずきが高まっている。先生は私の胸を蹂躙しながら右手で私の体のラインをなぞる。包帯が乱れると私
の理性が崩されていくような気がした。彼が内ももを撫でる度に、この前作った打ち身に指が触れて、痛みが走る。でも今はそれすら興奮している自分に驚く。
スカートの中に手が入ってくる。下着はつけていたけど、自分でも分かるぐらい…濡れてしまっている。私も発情している…

68:あびる×先生 6
08/01/18 18:08:30 BxQ3V44b
「濡れていますよ…」
先生は微笑むと下着も一気に引き下ろした。私のももを両手で持ち上げると、大事なところを眼鏡をかけ直してくまなく凝視した。恥ずかしさに足を閉じようと
すると強い力で押し戻されてしまう。
「や、いや…は、はず…みないで…」
「恥ずかしいですか?見られるのはいやですか?」
そう呟くと先生は私の濡れそぼった大事なところに勢いよく口づけて何度も何度も舐めあげた。蕾も、ひだも、入り口も、その中も。先生の舌に犯されていく-
じゅぶっ、じゅる…
「ひゃっ…ああっ!んん!」
駄目、駄目。私おかしくなっている。こんなに、ぞくぞくと体中が熱くなって蜜が溢れ出すなんて、今までにない快感がびりびりと走る。口が締まらない。
もっと、してください、もっとー!言葉にならなくて私はただ赤子のように声をあげる。
「あああん!あっ…やああ…!」
先生は私の足の間から笑みを浮かべて私を見た。獲物を前にした猛獣のように眼が光っている。
「小節さん…」
そして先生の唾と私の蜜でべたべたになったあそこにゆっくりと指を入れてきた。
「はあっ…」
侵入した先生の細い中指が段々激しさを増して私の中をかき回す。ぐちゅぐちゅっという卑猥な音に私は益々恥ずかしくなって、同時に湧き上がってくる興奮で心臓が全身が震えてしまう。完全降伏。
「あっ、ふ、やあっ、せんせ…え」
頭の奥がしびれ出して腰が動いてしまう。もう何も考えられない。
「ひあああっ…!」
先生が蕾ををぎゅっと押すと同時に私の中を指の腹で強くすりあげた。と意識が飛んだ。花火のような煌めきが見えた気がした。
がくがくと大きな痙攣。
「はああ…」
一人で慰める時とは比べものにならない陶酔感で私はぐったりと惚けていた。
「…あびるさん、入れますよ…」
先生の声が遠くから聞こえる。私はぼうとなった意識のなかーせんせい、今私のこと名前で呼んだ…
力の入らない私の腰を抱えあげてあそこに入ってくる大きくて熱い熱い感触。先生の尻尾。
「あひっ!」
固くて熱い鉄のようなそれが、めりめりと私の肉壁を押し広げた。痛い!
「きつい…あびるさん、大丈夫ですか?」
「へ、へいきです」
私は歯を食いしばって耐えた。徐々に、侵入してきた尻尾は私の膣にすっぽり収まった。
「…は、入った…」
私は今先生を包みこんでいる。何だか涙が出てきて私は息も絶え絶えに言葉を口にした。
「あはあっ、せんせい、せんせい」
先生は優しく笑うと私の上に覆いかぶさって、ぎゅっと抱き締めた。そしてゆっくりと腰を動かしはじめた。
「あふんっ、あん、あっ!ああっ」
あまりに強い刺激。先生の熱い尻尾が私の奥に当たる度に矯声が出てしまう。ただマシーンのようにがくがく揺れる体。必死で目を開けると先生の顔が間近にあって、じっと私の顔を見ている。こんなに乱れた私を見られているなんて。
「あっ、ふっ、みな、いで、あん!んん」
先生はふっと笑うとまた私の胸に唇を当てて歯を立てた。
「やん!ああ、はあっ」
昇り詰める意識のなかで私は必死に先生の頭に手を伸ばした。
先生は腰を一層激しく動かしながら、私のだらしなく開いた口に唇を押し付けた。上も下も先生でいっぱいで、もう-私は半分泣きながら先生の口の中で叫んだ。
「あふっ、もう、だめえ、いき、あああん」
「ああっ、先生も…もう…あびるさん!」
「あ、だめえ!あう、いっちゃううっ」
「!」
先生が驚いた顔をしたすぐ後、絶棒が蠢き熱い液体が私の中に注がれるのがわかった。息も荒く先生が私の上に倒れこんできた。私は放心状態で抱きしめる。
二人の荒い息が教室に響く。
そこで意識が途絶えた。

69:あびる×先生 7 最後
08/01/18 18:20:01 r44jGgLz
日はすっかり落ちて、夕闇は教室中を満たしていた。
気が付くと、私は先生の腕の中でまどろんでいた。辺りにほどけた包帯が散らばっていた。
発情した雄と雌が交尾した、それだけのことの筈なのに。こんなに満たされた幸福な気持ちは。
「せんせい…」
呟くと、彼が目を開けた。
「小節さん…」
薄暗いなか、お互いを確認しあうように視線を絡め合わせた。
「…私たちも、動物だったんですね」
先生は困ったような笑みを浮かべた。その顔が可愛くて愛おしくて、私は両手を伸ばして先生を抱きしめた。
「本当は躾をするつもりだったのに…」
「…?躾?」
「はい。大人のオスになるための」
私は半身を起こすと教室の隅に置いた物体を指差した。
「あれは…?」
「尻尾ですよ。コモドオオトカゲの」
「…」
「叩かれると、しゃきっとしますよ」
先生は泣きそうな顔で答えた。
「勘弁して下さい…」
「今日はしませんよ。でも、また変なことを言ったら…お尻とか…」
「…」
青ざめている先生にまた抱きついて、私はそんなおしおきも楽しみにしている自分に気がついた。





70:反省
08/01/18 18:35:10 Znk2i7Vk
まずは昨晩、投下でご迷惑かけてすみません。何とかpcと携帯で書き込みました。
次に情のない、冗長で稚拙な文章ですみません。書くのにす、すごくhp減った…職人さんてすげー
最後にスレ汚しすみません。特に昨晩から投下していらっしゃった方々。大反省しつつROMに戻ります

71:名無しさん@ピンキー
08/01/18 19:19:46 RKaBBd5H
改行する位置が悪いかな、ちょっと読みにくいのが惜しい
でもGJ!出来ればまた投下して欲しい、書くのも楽しかったはず

72:名無しさん@ピンキー
08/01/19 23:03:47 JJV0QtLo
浮上

73:名無しさん@ピンキー
08/01/20 07:59:57 HcQKcs87
OPの可符香が先生とまといの抱き合う姿を見てショックを受けているように見える
でもあのまといの可愛さはガチ

74:名無しさん@ピンキー
08/01/20 10:28:24 L8lJTh/y
opはいいな。凄くいいな。


>>61
なんか普通に絵が見えてくるくらいに上手い。
無駄なくまとめる能力は凄いな。

>>70
GJです。これからも楽しみに待ってます。
あびる視点なのはなかなか新鮮でした。

75:名無しさん@ピンキー
08/01/20 14:02:03 cjPpQEw7
>>73
ねーよw

76:うんこ ◇tikokuma
08/01/20 14:28:54 O18b/I8S
>>46それ俺が書いたwwwしかもデビュー作www
そして投下 望×愛 まったくエロくない
本番いく寸前で終わり では

77:名無しさん@ピンキー
08/01/20 15:08:23 O18b/I8S
すいませんいろいろあって夜書くことになった
ごめんなさい

78:名無しさん@ピンキー
08/01/20 15:34:41 yyB1G5nT
決めた。他の人に合わせて書きたくないものを書いても仕方ないものね

79:名無しさん@ピンキー
08/01/20 16:40:23 pIiiLPGt
誰か准×可符香をください

80:名無しさん@ピンキー
08/01/20 18:40:15 WLhP51V8
>>73
俺にはまといとくっついた先生を可符香が吊るしたように見えたw

81:名無しさん@ピンキー
08/01/20 20:01:35 aE8bMwp9
義務感小森さんが可愛すぎてOP吹っ飛んだ

82:名無しさん@ピンキー
08/01/20 20:22:02 O18b/I8S
書いても反映されない



83:名無しさん@ピンキー
08/01/20 20:38:28 I2qH0M7V
>>80

原因は>>52の内容じゃないですか?

84:名無しさん@ピンキー
08/01/20 21:18:26 I2qH0M7V
アンカミス

>>82に対してです

85:うんこ  ◆2ke1ROMmIc
08/01/20 22:01:40 O18b/I8S
「ふぅ・・・」


露天風呂の中に入り、落ち着いて辺りを見回す。よし。安全。
まったく、気を抜いたら狙撃される世の中なんて、いやな時代になったものだ。
今日は生徒たちの修学旅行引率で来たのだが、ここには毎回宿泊するらしく、
女将達の対応もやけに手馴れた感があった。
それにしてもせっかくの休日なのになんで引率なんてしなければならないのだろうか
せっかく智恵先生も着てくれてるんだから全部やってくれればいいのに
ああもうまた絶望してきたぞ絶望した!やらなくていい職務を押し付ける社会に絶望した!
もうだめだもうこれは死ぬしかない早くロープを探さなくては。
でもまてよよく考えたら教師って生徒の保護も役割のひとつだし
第一何も死ぬことはないぞ、ていうかよく考えたらそこまで絶望することでも

「・・・おっと! 危ない危ない、危うくデトックスされてしまうところでした」

そういいながら望は傍らに用意済みの添加物を口にし、肩までどっぷりと湯に浸かるのだった
去年来た旅館のため、少しは対策もしてきているのである。
周りは静かで、虫の音さえもしない。真っ暗闇。
そうした中、望が眠気というまどろみの中うとうとしてしまったのは仕方のないことであっただろう


86:うんこ  ◆HiOVxb5UoA
08/01/20 22:02:57 O18b/I8S
・・・どれくらい時間がたっただろう。
どこからか視線を感じた望はぱっと顔を上げるとすぐに辺りを見回した。もはや習慣となってしまったこの行為、悲しいことである。
何もない。しかし声はする。

「・・・さい! ・・・めんなさい! わたしごとき・・・」

「愛チャン、早く入ろうヨ」

「はっ! ごめんなさいごめんなさい! 気を使わせてしまいすいません! わたしなんかより三珠さんどうぞお先に!」

 ・・・これまた珍しい組み合わせである。
そしてすぐにザッパーン!と大きな音が。 大方、マリアが飛び込んだのだろう。もっと落ち着けばいいものを。
つづいてチャプ・・・と静かに入る音。控えめな愛そのものわ表しているようだ。
音がしないことを考えると真夜ももう入ったのだろう。

「(いや、問題はそこじゃないです。 なぜ彼女たちがいるんですか・・・。今は教師の入浴時間のはず・・・。)」

実際にはそんな時間などとっくにすぎており、午後八時になっている。だが、当然望はそのことを知らない。
望の記憶が途切れる前が五時だったことを考えると三時間ほど湯に浸かっていたことになる。
あわてて添加物を口にしようとするが見当たらない。猿でも出たのだろうか。
とりあえずこんな時間に温泉にいたらたとえ男湯といえ変質者扱いされてしまう。
ただでさえここは竹壁一枚のみで仕切られているというのに・・・。

「(早く・・・、早く出なくては・・・)」

しかし焦って音を立ててしまっては本末転倒だ。急いで、かつ慎重に温泉から抜けなければ。
そーっと、あくまで静かに抜け出すのだ。そう、あくまでそーっと・・・

「あれ?今男湯から変な音がしたような・・・」

「ソウカ?マリア、別ニ聞コエナカッタケド」

「ど、どうしましょう、変態とかだったりしたら・・」

「ヨシ、マリアチョイトミテクルヨ!」

まずい、とてもまずい。ああどうすべきかもういっそ正直に謝ってしまおうかいやしかし
いくらなんでもそんなことをすれば実家が黙っちゃいないし無職になるのも嫌だかといって
どうやってこの状況を

「! ダレカイル!」

 考えるより先に体が動いた。とっさに息を大きく吸い潜ったのだ。
上半身を上にして水面と平行になるようにして潜ったのである。温泉が濁っている事も幸いした。

「アレ? ダレモイナイ」

 予想通りうまく隠れれたようだ。後は早く戻って欲しいのだが・・・
それでもあと1、2分はいけるだろう。マリアもさすがにあきらめるはずだ。
こちらからも外は見えないが、声ぐらいなら多少聞き取れるし大丈夫だろう。
そう考えた望は、聴覚を研ぎ澄ますことに専念した。
どうやらマリアは誰もいなかったことに疑問を抱いているらしく、ンー、とうなっているようだ。
しかしやがて諦めたのか、そのうなり声も聞こえなくなった。やっと助かった、と望が安堵した次の瞬間、


87:うんこ  ◆HiOVxb5UoA
08/01/20 22:07:31 O18b/I8S
「チエ先生 ソッチ男湯ダヨ!」

「(ぶふぉっ! ぶふっ、ぶふぇっ!)」

 思わず吹きだししそうになるのを必死で抑える。ち、智恵先生、なぜ男湯に!? それにしても、なぜこんなときに来るんだ。
望の不満をよそに、マリアはしゃべっていく。

「ン、マア今ならソッチでも大丈夫カ。
 それにしてもチエ先生のムネ、オッキイナ。アイダにバナナとか挟めるンジャナイカ?」

 この言葉に、健全な成人男性である望は、正確には望自身が反応しないわけがなかった。
だがもしフル勃ちすれば姿勢から考えても確実に見つかってしまう。
望はがんばって精一杯萎える物を思い浮かべていった。複雑な数式、海亀の産卵シーン、ことのんのSS・・・
しかしマリアは追い討ちをかけるように智恵先生と会話していく。

「脚もキレイダナ。スラッとシテルシ」
「お尻もデカイシ、ボンキュッボンテヤツダナ」

 望はだんだんと理性が本能に負けていくのを悟っていた。しかし、
負けるわけにはいかない。負けてしまえばそれこそ人生の終わりである。
だが、

「先生、毛もシッカリ刈リソロエテルンダナ」

 この一言はきつい。智恵先生のソコが見えるという事はすなわちバスタオルをはおってないということになる。
望は思わず智恵先生の裸体を思い浮かべてしまった。そしてそこから性交にいたる自分の姿・・・。
もちろん望は本能と必死で戦った、しかし相手が強すぎたのだ。
望むのそれは立派な自己主張をし、そこだけにひんやりとした空気があたる。

「(終わった・・・。へへ・・・燃え尽きたぜ・・・真っ白にな・・・)」

そう望が考えて少しの間、何も音はしなかった。もしや、智恵先生が状況から察してくれたのでは、という
淡い期待も抱いたりしたが、

「びばっ!(痛ッ!)」

急激な痛み。そこへの。何かぶつけられたようだ。と同時に気付く。自分が温泉から顔を出してしまったことに。

「す、すいませんっ!
 ち、智恵先生こ、これはですね決して覗きなどというは、破廉恥な行為ではなく・・・
 な、なんというかそのですね・・・・・・ご、ごめんなさい!・・・あ、あれ?」

 望が命乞いをやめ恐る恐る頭を上げた先、そこに智恵先生はいなかった。それどころか誰もいなかったのである。
いまいち状況が理解できない望は竹壁のほうを向く、壁の上からマリアがこちらをみていた。
そして、満面の笑みで

「センセー、ソコデナニヤッテルカ?」

と、問いかけてきた。
簡単に言えば、釣られたのである。
こんな少女に・・・しかも自分のを見られてしまった。また憂鬱になってきた。
しかしまずはこれをどうにかせねばならない。隠すものがないのでしょうがなく全裸で立ち上がる。


88:うんこ  ◆HiOVxb5UoA
08/01/20 22:08:19 O18b/I8S
その瞬間

「ウオット!」

マリアがバランスを失い、竹壁ごと倒れてきた。しかし、すんでのところでマリアはジャンプし見事な着地をした、
そこまではよかったのだが、着地の反動でそのまま滑ってしまい、やっと止まったと思ったらそれは
偶然置いてあった作業用スリッパがマリアの足にはまってしまったからであった。

「キモイキモイ! ダレカタスケテ!」

大声で何度もそう叫びながら脱衣所に出て行ったマリア。まあ、大事にはならないだろう。
それよりも今気がかりなのは、

「せ、先生・・・」

 この二人、加賀愛と三珠真夜である。そして問題点とは今フル勃ちしていてさらにそれを見られているということだ。
ふたりは露天風呂から出ようとしていたようであり、温泉に浸かっているのは膝から下くらいである。
そのため、女子高生の豊満な胸や恥部が丸見えなわけである。この場合は、愛はうまく両手を使って隠しているが。
ちなみに三珠はというと、愛の後ろに隠れてしまっている。
それにしてもそこまで貧相な胸ではない。C、いや、Bぐらいか・・・

「何見てるんですか・・・訴えますよ」

89:うんこ  ◆HiOVxb5UoA
08/01/20 22:10:35 O18b/I8S
思考停止した。絶対に言うはずのない相手に、絶対に言われてはならないことを言われてしまった。
しまった、忘れていた。デトックス効果・・・恐ろしい子・・・。
と、とりあえず落ち着いて状況を整理しよう。
女生徒二人、その担任教師(フル)、薄い壁一枚の露天風呂・・・
まずい、証拠が多すぎる。かといって証拠過多にはならないだろう、なにしろ真夜までデトックスされているのだ。
望がどうやってこの状況を抜け出せば言いのか必死で考えていると、もう一言

「じろじろ見ないでください。覗きなんてして・・・」

なんという強気。いつもの加害妄想はどこへやら、である。
それにしてもこれはまずい。下手すれば一生変質者の汚名を背負わなくてはならない。
外に出るたびにそんな目で見られたら自殺するしかない・・・ そうだ自殺し

「それから」

思考をいつの間にか近くに来ていた愛に遮られる。このとき望が本当にパニックになったのはしょうがないことだろう。
何しろ普段の加害妄想がすさまじいものだ、そしてそれがすべて抜け出たとすればどれだけ毒舌になることやら。
そんなことを考えていると、愛がすぐそばで、はっきりとした口調で言った。

「ちゃんと責任・・・とってくださいね!」


90:うんこ  ◆HiOVxb5UoA
08/01/20 22:13:56 O18b/I8S
ここで終わり。ある画像とかいろんなレスとか見て思いついたネタでした
>>76のとおりデビュー作がことのんで
2作目だけどなにかおかしいところがあったら是非。
誰か続き書きたかっらぜひかいて
鳥はこっちで固定 ありがとうございました

91:うんこ  ◆HiOVxb5UoA
08/01/20 22:16:25 O18b/I8S
ここで終わり。ある画像とかいろんなレスとか見て思いついたネタでした
>>76のとおりデビュー作がことのんで
2作目だけどなにかおかしいところがあったら是非。
誰か続き書きたかっらぜひかいて
鳥はこっちで固定 ありがとうございました

92:名無しさん@ピンキー
08/01/21 00:17:20 wpVpPH5S
一回言えば分かる。

93:名無しさん@ピンキー
08/01/21 00:42:41 u2mEuh7q
この前まで先生×可符香が一番好きだったが、何故か最近木野×加賀に嵌まった…
マイナー中のマイナーだけど書いてみる

94:名無しさん@ピンキー
08/01/21 01:05:57 swUAoMqk
>>90
落ち着けw

95:名無しさん@ピンキー
08/01/21 02:28:10 0A3eOaxh
スカネタかと思って…そっちを期待してしまった自分に絶望した

96:名無しさん@ピンキー
08/01/21 03:39:28 0t4e9sH1
名前のせいで一瞬痛い子かと思ったけど面白かった
朝目にあった絵のネタだな



97:うんこ  ◆HiOVxb5UoA
08/01/21 07:45:05 NRNfbhzG
実質初投稿だから焦ったんだw
でもまあまあよかったかなと
とりあえず満足のいく作品になりました
ありがとうございました

98:名無しさん@ピンキー
08/01/21 07:51:36 /MRkUMsy
皆さま初めまして。
今までROM専に徹していた者ですが拙いながらも短い作品を投下させて頂きます。
望×可前提の准→可です。
カフカ本人は登場していない久藤君のモノローグっぽいもので、あまりエロくないですが一読して頂ければ幸いです。

99:StraySheep
08/01/21 07:54:25 /MRkUMsy
―きっと永遠に永遠に片想い―
それでも、僕は構わないんだ。
彼女の笑顔を見る事が出来るのなら。
彼女が幸せになるのなら。
彼女の想いが叶うのなら。

…そう自分に言い聞かせて思わず苦笑いした…なんて陳腐な恋愛小説の様な恋なのだろうと。


「ねえ、もしヒマだったら私と遊ばない?」

今日も当てもなく街を歩いていると見知らぬ女に声を掛けられた。
いわゆる逆ナンという奴で。

「いいですよ。」

それを待ち望んでいた僕は同級生からは人あたりが良いと言われる笑顔でOKの返事をした。

喫茶店で軽食を奢ってもらってからOLだと自己紹介した彼女の一人暮らしのマンションに連れ込まれた。
それ以後は容易に想像出来るお決まりのパターン。

「…あぁっ…ひゃぁぁ…んんっ…いっ、いいぃぃ…もっとぉ…」

酷く耳障りな女の嬌声に辟易しながら行為にひたすら没頭していた時。
ふと自分の身体の下でシーツに乱れた髪を広げ激しく喘ぐ女の姿に彼女を重ねてしまった。

“…久藤くん…久藤くぅん…もっと…してぇ…あぁっ…ん…”

彼女が切なそうな声で僕の名を呼びながら濡れた瞳で自分を見上げている。
背中に回された細い腕、トレードマークのヘアピンが外れて乱れた前髪、杏より甘い柔らかな唇、桜色に染まる肌。

今、自分が抱いているのは彼女の様な錯覚に一瞬だけ陥った。

(…気を紛らわせるつもりだったのに代償行為になるなんて…最悪だ。)

正気に戻り内心で忌々しく愚痴ってから行為をこれ以上続けるのも苦痛になり、さっさと女を絶頂に追いやった。

ベッドの中、満ちたりた顔をして眠る女に既に興味がなくなり背を向けて瞼を閉じる。

(木野みたいに鈍感だったら僕はこんなに恋に苦しまずに済んだのだろうか)
(まだ彼女が誰を想っているのか気付かなければ楽だったのか)
(その彼女に想われている相手も彼女を想っている事実を知らなければ救われたのか)

もう全く意味を成さない自問自答を心の中で何度も繰り返す。

いつもポジティブな彼女の笑顔が脳裏に浮かんだ。
僕の心を揺らす太陽の様で時には残酷に見える笑顔を。

「…可符香さん…。」

密かに想いを寄せる同級生の名を小さく呟いた時、知らず知らず涙が頬を伝っていたのに気付いた。

「…僕は神なんて信じない…。」

これからも神様との約束を忠実に守る少女への叶わぬ想いは自分を苦しめ続けるだろう。


―終―

100:名無しさん@ピンキー
08/01/21 08:00:53 /MRkUMsy
以上で投下終了です。お目汚し失礼致しました。
どうも自分は長編が苦手で短編ばかり書いております。
ですので長編が書ける方がとても羨ましいです。
出来れば幸せな准×可も頑張って書いてみたいです。
それでは失礼します。

101:名無しさん@ピンキー
08/01/21 09:36:31 6IDNz1SG
>>100
GJ!短編も割りと好きだぜ読みやすいし
幸せな准×可も待ってる

102:名無しさん@ピンキー
08/01/21 15:10:43 26Skca1R
>>90
すばらしいssかけるんだから変な名前やめれ

103:名無しさん@ピンキー
08/01/21 15:54:11 0A3eOaxh
「半分あげる。」
「そう。」
ちゅぱちゅぱ
ちゅー
「…」
ずずっ
「?」
「ありがとうくらい、言いなさいよ!」
「えぇー!何が!?」


「…私の体で寸劇を始めないでください…」

104:名無しさん@ピンキー
08/01/21 17:51:41 wpVpPH5S
木津の無意識が必死にサインをだしているのに、鈍感な藤吉は全く気がつかないという
悲しい絵だったな。あれがソフトクリームだとまたメタファーとしての意味が違ってくるのだが。

105:430
08/01/22 00:38:13 98kkWfiU
こんばんは。
えー、またしてもJAS●ACの方からお叱りを受けそうなものを
書いてしまいました…。

先生が高校に赴任する直前の捏造話で、
先生とブラコン倫ちゃんしか出てきません。
エロなし小ネタなので、本来は埋めに使うべきなのでしょうが
エロが書けず小ネタばかりが溜まってきてしまったので…。


106:早春賦 1/4
08/01/22 00:40:29 98kkWfiU
――春、それは希望の季節。
草花が悦ばしげに芽を吹く季節。
そして、この季節には、様々な想いもまた、芽吹き、形を作っていく…。


ぶぁっ

一陣の風に、望がマフラーを巻いた首をすくませた。
暦の上では春分の日を過ぎても、ここ蔵井沢では、まだ風は冷たい。
望の隣で、倫はふふ、と笑った。
「まさに、春は名のみの風の寒さや…ですわね。」

2人は、屋敷の裏にある小さな山に登っているところだった。

望は、マフラーの間から白い息を吐き出しながら倫を見た。
「ああ、その歌好きですね。知ってますか、倫?
この歌は、信州人の春を待ちわびる心を歌ったものなんですよ。」
「知ってます…お兄様ったら、何だか、もう先生みたいな口調。」
「…いいじゃないですか。あと10日もすれば、私は正真正銘の教師なんですから。」
くすくすと笑う倫に、望は拗ねたように口を尖らせた。

望はこの春、教師として、東京の高校に赴任することが決まった。
今日が、望が蔵井沢で過ごす最後の日となる。
離れで荷造りに勤しんでいた望に、
中学校から帰ってきた倫が、裏山に登ろうと声をかけたのだった。

その後、登り坂がだんだんと厳しくなり、2人は無言になった。
しばらく歩き、ようやく街を見下ろせる高台に着いた。
息をきらしながら、2人で、目の前に広がる景色を見下ろす。
冷たい風が、2人のほてった頬を心地よくなでた。

「思ったよりも、狭かったんですね…この街。」
ぽつんと呟く望を、倫は見上げた。
望は、目を細めて、懐かしげに眼下の街を眺めていた。
「子供の頃は、随分広いように感じましたけど…。」

街を見下ろす望の表情を見て、倫は胸がざわめくのを感じた。
望の表情は、もはや、この街を生活の場としてではなく
思い出の場所として見ている人のそれだった。


107:早春賦 2/4
08/01/22 00:41:41 98kkWfiU
倫は、急に兄を遠くに感じて、思わず、望の着物の袖をつかんだ。

望が驚いたように倫を見下ろすと、倫の顔を見て困ったように笑った。
「まったく…お前は相変わらず甘ったれですね。何を心配してるんですか。
 ここから東京なんて、新幹線でほんの1時間ですよ。」
「…。」
「景兄さんだって命兄さんだって東京にいるんですから。
 倫もちょくちょく遊びに来なさい。」

倫は、うつむいて首を振った。
違う。
上の兄達が上京したときは、こんな不安な気持ちにはならなかった。

理解できない感情が自分の中に生まれているような気がした。
そして、それを見極めることが、どこか怖いような――。

倫は、それ以上、考えてはいけないような気がして、
慌てて望から手を離すと、望に背を向けて歩き出した。

しばらく、倫は望から離れたところをうろうろと歩き回っていたが、
ふと、足元に、黄色い可憐な花が顔を出しているのに気がつき
かがみこむと、そっと小さなその花弁に積もった雪を払った。

後ろから、雪を踏みしめる音が近づいた。
「福寿草ですか…やはり、もう春なんですね。」

倫は、望を振り仰いだ。
「ねえ、お兄様。早春賦の心…東京の人には、理解できるのでしょうか。」
「どうでしょう。確かに、東京の春は早いですからね…。
 先日行ったときには、もう桜がちらほら咲いてましたよ。」
「…。」

倫は、再び福寿草を見ながら、ぼんやりと考えていた。

望と倫は、子供の頃、この季節になると春の訪れを待ちきれず、
雪の中を駆け回っては福寿草や雪割草を探したものだ。
そして、雪の中に小さくも鮮やかな色合いを見つけては、歓声を上げた。


108:早春賦 3/4
08/01/22 00:42:27 98kkWfiU
しかし、来年からは、倫が雪の中にささやかな春を見つけているその頃、
望は、満開の桜の下を歩いているのだ。

東京では、色々な人との出会いもあるだろう。
自分の知らない人達で埋まっていく、兄の新しい生活。
そのうち、自分以外の誰かが、桜の下、望の隣を歩くようになるのだろうか。

倫は、ふいに心臓を鷲掴みにされたような衝撃を覚えた。

「…倫?」
急に胸を押さえてうつむいた妹に、望が心配そうな声をかけた。

しかし、倫は、望に答えることができなかった。
胸の激しい動悸に、息が浅くなる。

目の前の、真っ白な雪の中の福寿草の黄色が、目に痛かった。
ふいに、倫の頭の中に、先ほどの歌の歌詞の続きがよぎった。

――春と聞かねば知らでありしを 
聞けばせかるる胸の思いを いかにせよとのこの頃か――

――春だ、と聞かなければ、知らないままですんだのに。
――なのに、私は聞いてしまった、春の声を。
――ああ、この逸る思いを、いったいどうすればいいのだろうか。

胸の動悸が治まらない。
倫は、今、突然、さっきから胸に渦まく不安の正体をはっきりと覚った。
――これは単に兄を慕う妹の寂しさなどではなかった。

倫は、聞いてしまったのだ。
――望を、兄以上の存在として想う、自分の心の声を。

「倫…大丈夫ですか?」
望の呼びかけにも応えず、倫は、両手を握り締めた。

どうして、気付いてしまったのだろう。
気づかなければ知らないままですんだのに。
しかも、兄が故郷を離れようとする、こんなときになって。


109:早春賦 4/4
08/01/22 00:43:56 98kkWfiU
望に背を向けて押し黙ってしまった倫を、望はしばらく心配そうに見ていたが、
やがて、優しい声で呼びかけた。
「…倫。」
倫の肩が跳ねた。

「倫。私は、いなくなるわけじゃないんですよ。」
「…。」
「さっきも言ったように、東京とここは近いんです。
 それに、私の家はここなんですから。いつだってここに帰って来ます。」
「…。」
「だから…明日お前にかける言葉は、『いってきます』です。」

倫は、振り向いた。
望は、優しく微笑んで倫を見ている。
しかし、その目は、あくまでも妹を慈しむ、兄の目だった。

――この逸る思いをどうすればいいのだろう。

倫は、固く目をつぶった。
この想いを、兄妹の情だと思い込むほどに、倫は子供ではなかった。
しかし、この想いをなかったことにできるほどに、大人でもなかった。
倫には、この想いを、ありのままに受け取ることしかできなかった。

この胸の想いを明らかにすれば、望は倫から離れていってしまうだろう。
否定することもできないけれど、打ち明けることもできない、
きっと、これは、一生報われることのない、辛く切ない想い。

――それでも、否定できないなら…私は、この想いに耐えていくしかない…。

様々な思いを飲み込んで、倫は、ようやく目を開けた。
そして、望に向かって笑って見せた。

「…はい。いってらっしゃいまし、お兄様。」

――こうして、この春、倫は1つ大人になった――。



110:430
08/01/22 00:45:26 98kkWfiU
小ネタにお付き合いいただきましてどうもありがとうございました。
キャラ崩壊はいつものことです、はい…。
しかも、季節感合ってないし。

しかし、先生って、いつから東京に住んでるんでしょうか。
今だに自動改札に引っかかるということは、
けっこう日が浅い=教師になってから、とか思ってみるのですが。


111:藤吉
08/01/22 01:01:13 tAnUYeZW
決めた!
私好きな物を書く。
他の人に合わせて書きたくないものを書いても仕方ないものね

112:名無しさん@ピンキー
08/01/22 17:03:40 Gfu4GHx2
藤吉さん板が違う!

113:名無しさん@ピンキー
08/01/22 17:20:49 3aGcgJn0
>>110
切々と語られた兄妹の話を読んで思いました。
倫が2のへ組に編入してきた理由とか。 
いつも先生をからかうのは・・・とか。
皆の前で「お兄様かっこ悪い!」とか、わざとしていたり・・・ とか。
・・・こじつけの妄想なんですけどw

しかし、「好き」と言っても、本来の意味で捉えてもらえないんだろうな・・・
と、思うと切ない・・・

114:名無しさん@ピンキー
08/01/22 18:42:33 RchrMQAe
なるほど、ツンデレの上にブラコンか。

115:名無しさん@ピンキー
08/01/22 23:00:20 TROwKbxm
最高やん

116:名無しさん@ピンキー
08/01/23 00:47:30 T+I64sjm
確かにスレの進行スピードが落ちているなあ。どうしちゃったの?

117:名無しさん@ピンキー
08/01/23 01:52:25 Yfi0igYU
そーでもないんじゃない?

118:名無しさん@ピンキー
08/01/23 01:52:30 chHDQHr9
>>116が書かないからだという説が一般的

119:199
08/01/23 02:03:36 ApNdryW7
>>111
あの台詞に全俺が泣いた。
あそこの藤吉さんは輝いていたよ…。

望×まといで投下します。エロありの予定。でもまだ今回はなし。
4レスほど失礼します

120:『貴女の進む道』 望×まとい
08/01/23 02:06:18 ApNdryW7
2年生も3学期ともなれば、何かと身辺が慌ただしくなるものである。
夕日の差し込む2のへ組の教室の中、机の上に広げられた生徒達の名簿とにらめっこをしながら
望は小さく溜息をついた。
―進路面談。
留年を繰り返し、本格的に卒業が危ぶまれている永遠の2年生、2のへの生徒達だが
一応進級できるものと仮定して、そろそろ大雑把な進路の方向性を決めておかなければいけない。
そこまではいい、そこまではいいのだが。
進学か、就職か。それだけを聞き出すのに、どうして精神的にも肉体的にもこんなに疲労しているんだろう、自分は。
「それはまあ、うちのクラスですから。仕方ないですよ」
「今私の心を読みましたよね、って言いますか常月さんいたんですか」
「ええ、ずっと」
背後から聞こえた涼やかな声に眉をひそめながら振り向けば、ひっそりと佇む和装の少女。
鮮やかな朱色の着物に濃紺の袴、時節柄卒業式か一歩間違ったコスプレかという服装が意外に似合っている。
「ずっとと言うことは、他の皆さんの面談内容を全部聞いていたわけですか。
 先生それはさすがに感心しません」
「安心してください、先生以外の人が話した内容は何も心に留めていませんから」
「いえ、そういう問題では……」
まといの言葉に軽く頭を抱えながら呻く望。
と言うか、自分も気付かなかったが他の生徒達もまといがこの場面にいることに気付かなかったのだろうか。
いや、気付いてもスルーしたのかも知れない。何しろ、この少女は自分のいるところいるところ
必ずついてまわるのだから。
「……まあ、どうせ次は貴女の番でしたし、丁度いいですね。
 常月さんは、卒業後の進路は一体どうするのです?」
名簿を手に椅子ごと背後の少女に向き直ると、まといはきょとんとした表情で手を口元にやり答えた。
「どうって、私はずっと先生のお傍にいますよ」
「お傍にって、貴女……」
進路面談の意味が分かっているのだろうか、この少女は。そんなことを考えながら言い直す。
「そうではなくてですね、貴女は進学するつもりなのか就職するつもりなのか、ということを
 私は聞いているんですが」
望の言葉に、少女は僅かに困ったような表情になった。きゅ、と着物の袖を握りしめながら
「進学か、就職かって、決めないといけないんですか?」
と尋ねてくる。
「まあ、普通はそうですね。それとも貴女、1年浪人するつもりですか?
 受験や就職に失敗して浪人するならともかく、計画的に行うのはどうかと思いますよ」
思わず諭すような口調になってしまった。
フリーターだのニートだの、大して珍しくも無いご時世とはいえ、さすがにそれを推奨するようなことはできない。
「浪人とかは考えてないですけど……」
この少女にしては珍しく、困ったように視線を逸らしながら口ごもる。何かを考え込んでいる様子に
ひとまず口を挟まないでおくことにした。眼鏡を手で直しながらぼんやりとまといの顔を見つめていると
意を決したようにこちらを見つめ返して口を開く。

121:『貴女の進む道』 望×まとい
08/01/23 02:07:24 ApNdryW7
「私―私は、卒業してからもずっと先生のお傍にいたいんです」
「は?あの、ですから……」
「先生」
望の呆れたような声を遮って、まといが少しだけ望に近寄った。
「浪人っていうのは、進学や就職を希望していたけどそれができなかった人のことでしょう。
 私、進学も就職も考えていません。ただ、先生のお傍にいたいだけなんです」

―その言葉を、頭が理解するまでに、少し時間がかかった。

「な……貴女は、何を言って……」
上手く言葉が出てこない。
「私は、先生のことをお慕いしていますから。先生のお傍にいられない進路なんて考えられません。
 進学しても就職しても、今までみたいに先生の後をついて回るなんてできなくなってしまうでしょう?」
望とは対照的に、まるで教科書の朗読でもするようにすらすらと話すまとい。両手を後ろ手に組んで
真っ直ぐにこちらの目を覗き込んで続ける。
「そんなの、嫌なんです。私はずっと、ずっと先生と一緒にいたいんです。
 それが私の進路希望なんです」
微塵の迷いすら感じさせずそう言い切ると、まといはこちらの様子を伺うように少し唇を噛んで黙った。
教室の中はストーブを焚いても少し肌寒いくらいの気温だというのに、背中をすっと汗が流れ落ちていくのを感じる。
数度大きく呼吸をして何とか気持ちを落ち着かせると、ゆっくりと口を開いた。
「……もう少し真面目に自分の将来というものを考えるべきですね、貴女は」
「先生、私は真剣に―」
「お黙りなさい」
今度は望がまといの言葉を遮った。いつになくきっぱりとした教師らしい口調に、思わずまといも口をつぐむ。
「進学も就職もしないだなんて、そんなこと簡単に口に出すべきではありません。そもそも考えるのも間違いです。
 高校は義務教育ではないんですよ、それなのにどうしてわざわざ貴女のご両親は高校入学をさせたのか、
 貴女自身も入学を望んだのか、しっかり考えてごらんなさい」
俯いてしまったまといから手元の名簿へと視線を落としながら、望は事務的な口調で続ける。
「―丁度、来週は実力テストですね。進学するのだったらそこである程度の点数は取らなければいけませんし
 もう一度進路を考えてみるにはいい機会です」
『愛が重い』
名簿のまといの写真の脇に書き添えた、自分の文字。
ゆっくりと立ち上がって、俯いたままのまといを見下ろしながら
「今日の面談は貴女で終わりですから、私はこれで失礼します。
 ―先生、今日は本当に疲れました。ゆっくりと休ませてくださいね」
言外に、ついてくるなと釘を刺して。
棒立ちになったままのまといを教室に残して、望は1人で廊下へと出て行った。




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