キモ姉&キモウト小説を書こう!Part8at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part8 - 暇つぶし2ch350:名無しさん@ピンキー
08/01/27 06:11:11 gyi9H3tF
>>349
>まあ時間の問題だけど

えっ・・・・・

キモばあ になるの?
たばこ臭いばあちゃんに襲わ

351:名無しさん@ピンキー
08/01/27 07:21:33 eX5wajti
なんか騒がしいなと思ったら、なんだ・・・神様が来てたのか。
 
>>322なんというか・・・他のあらゆる作品より魅力的だ。
境遇の作りが深いし、人物がとても素晴らしい個性があるし、辛さや優しさや怒りの感情が伝わって来た。
方言とか、虐待の原因が多少妹にあり、それで妹を嫌う事とかで、よりリアルになってる。まるで現実を体験してるみたいだった。
 
神GJ!続きを楽しみにしてる。

352:名無しさん@ピンキー
08/01/27 07:40:33 VW44uTIA
んまぁ、言いたいことは分かるが

>・・・他のあらゆる作品より魅力的だ。

こういう言い様は止めた方がいい
他の作者様はもちろん、当の>>322様も続きを書きにくくなる
いい作品を待つ身たるもの、できるだけいいGJを心がけたいものだ

353:名無しさん@ピンキー
08/01/27 08:51:38 ApkFgJC7
「他の人と比べるなんてだーめ」
「そんな事されたら私なにするか分かんないよ?」
こういうことですか?よく分かりません><

354:名無しさん@ピンキー
08/01/27 09:58:55 8vsfq6tD
 何でいつもお姉ちゃんと他の女を比べるの?

 お姉ちゃんだけを見つめて欲しいのに…。

 お姉ちゃんだけを愛して欲しいのに…。

 お姉ちゃんはこんなに貴方を見つめているし、貴方を愛しているのに…。


 お姉ちゃんと二人だけの世界を創らないと、貴方は他の娘とお姉ちゃんを比べ続ける…。

 待っててね、すぐにお姉ちゃんが二人だけの世界に連れてってあげるから…。



 こんな感じになるんですかね?

355: ◆a.WIk69zxM
08/01/27 14:17:57 edh8iYVB
投下します。
非エロ。12レス予定。


356:__(仮) (1/12)
08/01/27 14:19:58 edh8iYVB
 
 
 中間考査明けの五月の最後の土曜日。梅雨入りの気配を感じさせる前日の曇天からうってかわって、
抜けるような青空と、やわらかな陽光の差す澄み切った空気の中。
 秋巳と葉槻透夏は、電車に揺られていた。電車の中はこれから行楽地に向かうのだろうか、
家族連れや学生らしき人たちのグループが陽気にはしゃぐ姿、恋人同士が寄り添っている姿がちらほらと散見された。
 そして、秋巳と葉槻透夏もご多分に漏れず、その集団のなかの一員であった。
 どのカテゴリに属するかについては、両者の間で意識のずれがあったかもしれないが。
 ふたりで電車のドアに寄りかかるように並んで立っていると、葉月透夏が車両の前方を指さす。
「ねーねー。秋くん。ほら、あそこ見てあそこ。あのふたり、
 電車の中にもかかわらず、ちゅーしてるよ、ちゅー」
「ちょ、ちょっと。透夏さん。指ささないで下さいよ。
 それと、いくら離れてるからって、聞こえたらまずいでしょう」
 万が一、向こうに聞こえていちゃもんでもつけられたら堪らないとばかりに、彼女の腕を慌てて下げる秋巳。
「うんそうだね。こっちも負けてられないよね。はい、秋くん」
 と瞳を閉じると秋巳のほうを向き、んー、と口をつきだす葉月透夏。
「人が見てますよ」
「だいじょぶ。だいじょぶ。周りの人は、
 ジャガイモか南瓜かなんかだと思っておけばいいから」
 そう言って姿勢を崩さず、葉槻透夏がさらに秋巳のほうへ身体を傾けようとしたそのとき。
まもなく駅へ到着することを知らせるかのようにブレーキがかかり、慣性の法則に従って、葉月透夏は秋巳のほうへつんのめってしまう。
結果、慌てて前方に差し出した両手は秋巳の肩へ、そして頭は身長差のため秋巳の首元に収まり抱きつく形になる。
「ほら。人をからかっている暇があったら、
 ちゃんとしっかり捕まってくださいよ」
 後ろへ一歩たたらを踏んで、葉月透夏を支えた秋巳が、彼女を元の位置に戻すように軽く押し返す。
 それと同時に電車が駅に到着し、秋巳たちの寄りかかる場所とは反対側のドアからさらなる乗客たちが乗り込んでくる。
「ふー。危なかった。あやうく私のファーストキスが、
 電車の運転手さんに奪われちゃうとこだった」
「運転手さんって、訳判んないですよ。それにそんなに気にするなら、
 そういう冗談はやめたほうが良いですよ」
「ちょ、ちょっと! 秋くん。おねえちゃん、いま、かーなーり! 
 重要なキーワード言ったよ! ねぇ! つっこむところ違うよね! 
 あ! でもやっぱり初めてだから、入れる場所間違えちゃうのはしょうがないのかな?」
「とりあえず、落ち着いて。日本語はなしてください」
「もう! 秋くんの意地悪!」
 意地悪なのは透夏さんでしょう。秋巳はそうつっこみたかったが、黙って溜息を吐いた。

 そもそもふたりで出かけることになったきっかけは、葉槻透夏からのお誘いであった。
 中間試験最終日の翌日。例のごとく様子を見に来た葉月透夏は、三人での夕食時、
秋巳と椿が食べ終えるのを見計らったように、話を切り出した。
 曰く、今週の土曜日に水族館に遊びに行かないか。
 たまたま無料招待券をもらったのだが、その期日が五月一杯なので、
今週中にいかないと券が無駄になっちゃうし、勿体ない。
 だから一緒にどう?
 そう彼女はふたりに誘いをかけた。
 椿が用事で行けないと告げると、秋巳は「大学の友達でも誘ったらどうですか?」と提案した。が。
「ぜーんぶ断られましたー!」
 とふてくされたように言う葉月透夏をまえに、秋巳が付き合うことになったのであった。
 と、そこまでが秋巳の認識である。

357:__(仮) (2/12)
08/01/27 14:21:40 edh8iYVB
 
 しかし、実際のところ葉槻透夏に水族館のチケットを渡し、秋巳を誘うように提案したのは、椿であった。
 その日、椿と葉槻透夏がふたりで夕食の準備をしている最中のことである。
「ねえ。透夏さん。水族館の無料招待券が二枚あるのですが、
 よかったら兄さんと一緒に行ってきませんか?」
「え? 水族館って、先月ぐらいにオープンした?」
「ええ。そのオープン記念のチケットが、今月一杯で期限が切れてしまうんですよ」
「ふーん。でも、椿ちゃんは行かなくて良いの?」
「あら、私『も』行っていいんですか?」
「う……」
 言葉に詰まる葉槻透夏。
 椿は知っているのだ。彼女が秋巳と『ふたりだけ』で行きたいと思うことを。それこそ何年も前から。
 だからこそ、こうやって協力してくれる。
「ふふ。ごめんなさい。ついつい意地悪言ってしまいました。
 それに、チケットはふたり分しかないので」
「そっか……」
「それに、いまさら遠慮することではないでしょう?」
 これまでも何度か同様のことをしてきているのだから。葉槻透夏の気持ちを知って。
「うん。いつもありがと! 椿ちゃん」
「いいえ。礼には及びませんよ。私がしたくてしてることですし」
「うーん。誤解しないで欲しいけど、私は別に椿ちゃんのことを嫌っているわけじゃないからね。
 っていうか大好きだし!」
 もう何度目になるか判らない台詞を、いつものごとく口にする。

 それは葉槻透夏にとって、まぎれもない本心であった。
 葉槻透夏は、秋巳に対して身内としての愛情、男女間の愛情、彼女の持ちうる愛情の全てを向けていたが、
椿に対しても男女間のそれがないだけで、『姉妹』としての情を持っている。
彼女自身はそう思っていたし、それは決して間違いではなかった。
 ただ、葉月透夏は自覚していなかったが、秋巳に向ける情念と、椿に向けるそれは、
明らかに強さの度合いも質も異なっていた。
 いま葉槻透夏が椿に対して、愛情を向けられるのは、彼女が自分の想いを脅かすような立場にないから。
彼女が秋巳に向ける強い情念―それこそ、恋慕という表現では弱すぎるような―を知った上で、自分に協力をしてくれるから。
秋巳を奪われないと思っているから。『妹』だったから。
 これが、もし自分と血のつながった妹だったら。
 葉槻透夏は、おそらく、こんな穏やかな気持ちで椿に接することは出来なかったであろう。
自分と同じ、秋巳と恋愛関係に発展して、結婚まで出来る可能性があるのだから。
 が、彼女は、椿に自分の想いを告白してからというもの、そんなことをそもそも想像しなかった。
秋巳と椿をちょっと訳ありだがあくまで普通の『兄妹』として捉えており、
彼女の中で秋巳と椿は同じ天秤に乗ることはなかったのだから、気づく術はないのも当然であろう。
 秋巳のためなら、椿を切り捨てられることを―。
 だから、彼女の言葉は、彼女自身も気づかないその隠れた不安を打ち消すためのものだったのかもしれない。
そうなる可能性はない、と。

 すまなそうな顔を見せる葉槻透夏に対して、椿は野菜を刻むその手を止め、口を開く。
彼女の抱える漫然とした不安を取り除いて安心させるように穏やかに瞳を細めながら。
「ええ。それも理解してます。透夏さんには、充分愛されていることを。ただ、それ以上に―」
 手にしていた包丁をまな板の上に置く。
「―兄さんのことを、愛しているだけですよね」
 だから、大丈夫ですよ。そう言わんばかりに椿は相好を崩した。

358:__(仮) (3/12)
08/01/27 14:23:52 edh8iYVB
 
 その後、秋巳をどう誘うべきか悩む葉槻透夏に対して、椿は提案をした。
 自分と秋巳のふたりを誘う形をとり、自分の都合が合わないという事情で、ふたりで行くことにすれば良いのでは、と。
 葉槻透夏はその案に頷いた。
 確かにはじめから秋巳ひとりを誘えば、彼は妹の椿が仲間外れにされているように感じ、気にするであろう。
 結果として仕方なくふたりで行くということになれば、秋巳も誘いに乗りやすいのではないか。
 そういう形式でしか誘えないのは、葉槻透夏にとっては若干不満ではあったが、椿との約束もある。
 かつて、彼女が自分の気持ちを椿に伝えたときに言われたことを思い出す。
 妹の立場としては、透夏さんのような人に兄と付き合ってもらえるのなら、喜ばしいことである。
応援したいと思っている。
 ただ、兄はいまそういう気分が起こるような精神状態ではない。
 だから、無理をせずに気長に秋巳のことを振り向かせて欲しい。もし、透夏さんの気持ちが変わらないのであれば。
 あの兄が心から透夏さんのことを好きになり、そしてふたりが想い合う形で結ばれて欲しい。
 きっとそうなるであろうから。
 自分としては、あの兄に素直に好意を抱けないけれど、それでも憎んだり、嫌っているわけではないから。
自分の『肉親』だから。
 それに、それが自分の大好きな透夏さんにとっても幸せであるんじゃないかと、思っているから。
 椿はそう告げた。
 その椿の言葉を聞いたとき、葉槻透夏は嬉しさと安堵の気持ちで一杯だった。
 椿が自分の幸せを願ってくれている。
 自分を応援してくれる、と。
 そして、それまで葉槻透夏の脳裏にかすめていた『ひょっとしたら』を打ち消してくれた。
 だから、葉槻透夏は椿とのその約束を守っている。
 自分としても、秋巳を無理やりどうこうしたいとまでは考えていない。理性の上では。
 自身の強すぎる情動に、時折、『暴走』をしてしまいそうになるが。
 それでも彼の不幸を望むわけではない。秋巳には、幸せになってもらいたいと思っている。
 それゆえ、秋巳の嫌がるようなことは、極力しなかった。
 自分の想いは、普段の軽い言動の中に紛れ込ませて。秋巳が冗談だと思えるように。
 でもいつかは振り向いてもらえるよう、願いを込めて。
 
 
「ほらほら。秋くん。早く入ろう!」
 秋巳と葉槻透夏が家を出てから電車を乗り継いで一時間弱。
 正確には、彼女の家まで秋巳が迎えに行ってから、ほぼ一時間後。ふたりは目的地である水族館のまえについた。
 葉槻透夏が上機嫌ではしゃぐようにに秋巳の手を引き、『開館オープン記念:五月末まで入場料半額』と
書かれた垂れ幕のかかる建物入り口を潜ると、受付へ向かう。
 事実、葉槻透夏は浮かれていた。
 それまで、秋巳とふたりで出かけること自体あまりなかった。
行ったとしても、それは精々買い物とか日常生活の延長でしかなかった。
 それは、秋巳が女の娘とふたりで出かける、いわゆるデートのようなものを好まなかったこともあるし、
葉槻透夏もそれを知っていたから無理に秋巳を誘うといったことはしなかった。
 秋巳が葉槻透夏の家を出てしまってからは、秋巳に会いたいときには彼の家に行くか、自分の家に呼ぶか。
 幸い両親が、秋巳たちに対して、定期的な訪問の約束をしていたから、口実には事欠かなかった。
彼女は、自分がその役割をやりたいと両親に懇願した。そして、受験が終了してからというもの、
 それを建前にことあるごとに葉槻透夏は秋巳の家へ訪れていた。

359:__(仮) (4/12)
08/01/27 14:26:36 edh8iYVB
 
 しかし、彼女とて、普通の男女がするようなデートをしたいという願望がなかったわけではない。
 彼女は、秋巳といられるだけで満足ではあったが、日々想いは解消されるどころか募っていった。
 彼と一緒に楽しいことをしたい、彼と恋人同士のように触れ合いたい、彼に抱かれたい―。
 だから、その日、葉槻透夏は自分を完全には抑えきれなかった。人前で目立つことを秋巳が嫌うと判っていても。
 彼女は幸福の絶頂にいた。
 触れ合う手から彼の熱を感じる。
 腕を組んだらもっと幸せな気分になれるのではないか。
 ああ。この手で自分の身体に触れて欲しい。頬に、髪に、首に、肩に、腕に、胸に、腰に、足に、そして、大事なところに。
彼の手と口が自分の体中隅々まで、至る所を這う。
 それはどんなに素晴らしいことであろうか。どれほどの快楽を得られることだろうか。
 秋巳の口に触れた指で自らのモノを慰めたときの悦楽を思い出す。きっとあんなもの比べ物にもならないのだろう。
 透夏は夢想する。
 先ほど、彼に勢い余って抱きついてしまったとき。鼻をくすぐった秋巳の香り―いや、匂いといったほうが相応しい―それを思い出し、
彼に抱かれたら、どれほど愉楽に浸れるのであろう。彼の全てを感じたい。自分の全てを感じて欲しい。

『あやうく私のファーストキスが、電車の運転手さんに奪われちゃうとこだった』

 この言葉は、葉槻透夏にとって嘘でも冗談でもなかった。秋巳とキスはしたい。でも、秋巳からしてもらわなければ意味がない。
突発的な事象で、それこそ自分の意志も秋巳の意志も介在しないところで、接吻という結果だけ得ても仕方がない。
 それでもやはり幸福感には飲み込まれるだろうが、自分は秋巳の心までも欲しいのである。
だからこそ秋巳との『初めて』はすべて彼に与えられなければ意味がない。

「透夏さん? 透夏さん!」
 秋巳は受付で処理を終えると、ぼーっとしている葉槻透夏を呼び覚ますように、声をかける。
「……えっ? あ、な、なにかな。秋くん」
「なにかなって、早くって催促したのは、透夏さんじゃないですか。
 ほら、入れますから行きましょう」
 そう言って、葉槻透夏にチケットの半券を手渡す秋巳。
「う、うん。そうだったね。あ、ね、ねえ! 秋くん。
 いまからここの中だけで『恋人ごっこ』しようか!」
 そう提案し、秋巳の腕に絡みつく葉槻透夏。
 ああ。また彼の匂いに包まれる。
「ちょ、ちょっと透夏さん?」
「まーまー。いいじゃない。こんなところに知り合いがいるわけでもなし。
 いつか秋くんが、本当のデートをするときに備えて、そのときにあたふたしないようにね」
 当然そのときの相手は自分だけれど。
 なんの疑いも持たず、そう信じる葉槻透夏。
「もう。透夏さん。意地が悪いですよ。そうやって、
 女の娘に免疫がない男を、からかって楽しむんだから」
 秋巳は、そもそも他人の感情の機微に疎いほうではない。
 だが、彼女がそう思うように仕向け、それが、秋巳自身の考えのベクトルにあっている限り、秋巳にそれを疑う余地はない。
「ふーんだ。そう思ってるなら、もっとあたふたしておねえさんを楽しませてよ」
(―そして、自分を意識してよ)
 葉槻透夏は自分の気持ちに嘘をつくようなことは言わない。大事なところは言わないだけ。
「趣味悪いですよ」
 そう苦笑する秋巳。
 葉槻透夏は思う。
 そんなこといわれなくても判ってる。いまだに自分に関心をそれほど向けてくれない年下の男の子に、これほど惚れぬいて。
それこそ自分のすべてを引き換えにしてでも欲しいと望んでいることに。
「よーし! じゃあ、今日は秋くんを三回動揺させたら、ミッションクリアだー!」
「なんのミッションですか……」
「人生の、よ」
 そう満面の笑みを湛えながら、呟く透夏。


360:__(仮) (5/12)
08/01/27 14:29:51 edh8iYVB
 
「ほらほら、秋くん。あーん」
 水族館内の、巨大な水槽に面した喫茶ルームにて。葉槻透夏は注文したパフェを、秋巳はコーヒーを口につけていると。
 ふと思いついたように、葉槻透夏が、パフェを一さじすくって、秋巳のほうへ突き出した。
「これも『恋人ごっこ』の一環ですか……?」
 もうすでに諦め、吐く溜息も尽きてしまったかのごとく言葉を返す秋巳。
「そうそう。恋人だったら、これくらいの羞恥プレイには耐えられないとね」
「あの、パスはなん回まで?」
「拒否権はありませーん!」
 楽しそうにころころと声をあげる葉槻透夏。
 椿も、恋人が出来たらこういうことをするんだろうか。複雑な気持ちで考える秋巳。
「あ。ほら。ジンベイザメですよ。透夏さん」
 そしてその考えを打ち消すように、水槽のほうへ眼を向けると話を逸らすためにそちらを差す。
「うん。ほんとだね。あれ、二頭いるうち、追っかけてるほうがメスかな?」
「いや、普通はオスじゃないですか?」
「うんうん。そうだよね。はい、あーん」
「まったく逸らされませんね」
「うん。秋くんには、逃げの一手もないから」
 そのまま、にこにこと態勢崩さない葉槻透夏。
 もう、これは自分がこれを食べるまで続くんだろうなと思った秋巳は、観念したように口を開く。
「はい」
 よくできましたとばかりに、葉槻透夏は秋巳の口へスプーンを差し入れる。
 秋巳が口を閉じたタイミングで、引き抜かれると思ったそれは、
葉槻透夏が愉快そうにさじをくるくると秋巳の口内で回すという結果に裏切られる。
「ちょ……」
 慌てて頭を後ろに逸らし、無理やりスプーンを引き抜いた秋巳は、彼女に抗議の声を上げる。
「どんな嫌がらせですか、それは」
「んー? それは心外なこと言うね。おねえちゃんが、
 秋くんに嫌がらせするわけないじゃん」
「もう一杯されてますけど……」
「ひどいっ! 秋くん、そうやって乙女心を傷つけるんだから!」
「どうしろと……」
 困り果てる秋巳であった。
 透夏は、そんな秋巳を見て楽しそうに微笑むだけ。
(まあ、いいのかな……)
 秋巳は思う。
 葉槻透夏が自分をからかって、それで楽しんで満足するのなら。
 彼女は『恩人』なのだから。
 絶望の闇の中から、自分に手を差し伸べ拾い上げてくれたのだから。
 なにより椿を救ってくれたのだから。
 このくらいで、彼女が満足するなら、自分はきっと我慢すべきである。
 自分にとって、このくらい生易しい『義務』ではないか。
 秋巳はそう考えた。
「もう秋くんはね、乙女心をもうちょっと勉強すべきだよ! 
 そんなんじゃ好きな女の娘ができたときに、その娘を悲しませちゃうよ」
(―だから、あたしを悲しませないで)
「透夏さんが、僕に女心を判らなくさせてる筆頭なんですが」
 きっとそんなときが来ることはないのだろう、そう思いながら秋巳が応える。
「乙女心はミステリアスなの! ブラックボックスなの!
 シュレディンガ―の猫なの! 観測したら死んじゃうんだから!」
「じゃあ、箱をあけないでそっとしておきますよ」
「ダメ! 観測しなきゃ、生ける屍なんだから」
「僕に殺しをしろと?」
「うん。秋くんは、女殺しだから」
 そう言って、葉槻透夏はスプーンを見ながら満悦そうな表情を浮かべた。秋巳の唾液がたっぷりと付着したそれを見て。
 葉槻透夏は疑問を持たない。秋巳が自分を振り向くようになることについて。
 だって、自分がいたからこそ、いまの妹思いの秋巳があるのだから。
 それが彼女の自負だった。

361:__(仮) (6/12)
08/01/27 14:31:51 edh8iYVB
 
   *  *  *  *  *  *  *  *
 
 
 秋巳が小学生の頃。彼は、どこにでもいるごくありふれた普通の少年だった。
 中流よりは裕福といえる家庭に生まれ。両親と妹、四人家族でごく平凡と呼ばれる生活を送ってきた。
 毎日、遊びの時間と給食を楽しみに学校へ通い。
 家では、妹の椿をからかってむくれさせたり。
 そのくせ、椿がその僅かに他の人と異なる容姿のため他所の子にいじめられているのを見ると、
自分より年上だろうが、体躯が立派だろうが食って掛かった。
 自分も椿と同様にその見かけが周囲と多少異なることを理由に、からかわれたり、
小学生特有の無邪気な悪意の言葉に傷つけられることはあったが、
それでも、それについて現在のような劣等感を持つまでには至らなかった。
 傷だらけの姿で椿をあやす光景を父親である如月凍也(きさらぎ とうや)に頭を撫でながら誉められたときは、
なんとも言えない照れくささを覚え、なぜか悪いことをしたわけでもなかったのに、
今度は見つからないようにしようと考えた。秋巳が小学五年のころである。

 また、秋巳が水無都冬真と知り合ったのは、小学三年のとき。
 水無都冬真はいまとは違う性格をしていた。明るいヤツ、楽しいヤツ、暗いヤツ、むかつくヤツといった
小学生ならではの単純な分類で言うなら、彼は『暗いヤツ』に分類された。
 その頃は、まだ他人の悪意を疑うといった思考をもたなかった秋巳は、
校庭の片隅でつまらなそうにぼーっと突っ立っている水無都冬真に対して声をかけたのであった。
「ねぇ、そんなとこでなにしてるの?」
 秋巳は純粋な疑問から問う。
「…………」
 水無都冬真は秋巳の質問に答えない。無視をした。
 ここで大抵の小学生ならば『変なヤツ』、『根暗なヤツ』と決め付け、それ以降話し掛けることもしなかったであろう。
現に、いつもひとりでいた水無都冬真に対し、好奇心から彼にからかい半分で声をかける人間はいた。
 そして、彼が秋巳にしたときと同じような態度をとると、すぐに興味を無くしたように去っていき、
精々陰で彼のことを貶めるぐらいのものだった。
 しかし、秋巳はそれでも、気にした様子も無くさらに彼に話し掛ける。
「ねえ。面白い遊び教えてもらったんだけど、一緒にやらない?」
「…………」
 水無都冬真はそれでも返事をしない。ただ、黙って秋巳を見つめているだけだった。
(なんで、こいつは他の奴等とおなじような反応をしないのだろう……?)
 彼は不思議だった。
「ねぇ。ほら、行こうよ」
 水無都冬真の手を掴んで、ブランコの方へ歩き出す秋巳。それこそ、水無都冬真に断られるなんてことを想定していないように。
「ほら、こうして枠を書いて、陣地を作るんだ。あと一個石ころを用意してね……」
 ブランコのところまで来ると、教えてもらったという遊びの説明をする秋巳。
「でさ、ブランコを漕ぎながら、相手が自分の陣地に置いた石を取れなくなったら、負けなんだ。ね、ほら、やろうよ」
(なんなんだ……? こいつは?)
 水無都冬真は戸惑いながらも、秋巳に押されるままブランコに腰掛ける。
「じゃあ、俺から置くからね」
 秋巳がそう言い、勝手に遊びを始めてしまう。水無都冬真は、秋巳に流されるまま、その言葉に付き従うだけであった。
 それが、秋巳と水無都冬真が仲良くなる切っ掛けであった。
 水無都冬真は、それからも休み時間、放課後と秋巳に引きずられるだけだったが、家に帰っても両親の喧嘩や、
互いの愚痴を聞くだけであったので、家に帰るよりは秋巳といたほうがましだった。
 その『まし』だったことが、いつしか『楽しみ』になり、『望み』になったころ、彼の性格も変わっていた。
どちらかといえば、明るくお調子者で、クラスの笑いを取るような『人気者』としてのキャラクター。
そうなるまでには、二年の歳月が経っていた。


362:__(仮) (7/12)
08/01/27 14:33:42 edh8iYVB
 
 だが、秋巳にとってのそんな当たり前の光景が続いたのは、秋巳が小学六年の夏までであった。
 そろそろ夏休みを迎えるにあたって、クラスの生徒たちの話題も夏にどこへ行くなんてことが上り始めた頃。
 秋巳が六年になってからクラス替えでできた新しい友達と、小学生らしい下らない話で盛り上がっていたところ、
急に担任に呼び出されて、いますぐ帰宅するように命じられた。
 碌に事情も説明されないまま家に帰ると、出迎えてくれたのは、葉槻透夏の父であり、秋巳にとっては父方の姉の夫、
いわゆる伯父である葉槻栖一(はづき せいいち)であった。
 出迎えてくれた葉槻栖一に、いきなり抱擁され、しっかりするんだよと囁かれ。
 訳も判らないまま連れて行かれたのは病院だった。
 そこで伯母に連れられた妹の椿とともに知らされたのは、父である如月凍也の死。
 秋巳は一瞬なにを言われたのかさっぱり判らなかった。理解できなかった。
 あの優しく自分の頭を撫でてくれた父がいない?
 いや、いないのではなく、亡くなった―死んだ、と言われた。
 なにを言っているのだ、伯父さんは。
 父さんなら、朝、普通に会社に行ったではないか。いつものように、行って来ます、と。
 だから、夜にならなければ、帰ってこないはずではないか。こんなところにいるわけがない。
 なぜ伯母さんは泣いているのか。手を繋いでいる椿が不安げな顔をしているじゃないか。
 父さんと約束したじゃないか。妹を守るって。おにいちゃんなら妹を守ってやれって。
 それでも、秋巳からは「あ……」という呻き声のようなもの以外、一切の言葉は発されなかった。
いや、そもそも口を開こうという意志すらなかった。

 薄暗く夏だというのに冷たい霊安室で、動かなくなった父と対面したときも、ひと言も喋らず、
その静かな部屋に響き渡っていたのは、伯母のすすり泣くような声だけだった。
「おにい……ちゃん……」
 擦れるような声とともに、腕を引っ張られる感触に反射的に振り向くと、
自分と同じくなにが起こっているのかも判らないような無表情の椿の顔があった。
「悲しいの……? お父さん、死んじゃって、泣きたいの……?」
「あ……だ、大丈夫。おまえは大丈夫だから!」
 秋巳は自分でもなにを言っているか判らずに、叫んだ。それは、最早口癖に近かった。
 椿がまだ小さく、転んで泣きそうになったとき。
 椿がいじめられて、学校へ行くのを泣いて嫌がったとき。
 椿が親に叱られて、部屋に閉じこもったとき。
「大丈夫。大丈夫だから。兄ちゃんがなんとかしてやるから」
 そう妹の頭を撫でながら元気付けてきた。励ましてきた。
 だから、椿がその言葉に事情が飲み込めないまま、表情を歪めたその刹那。
自分ですら状況が理解できていないのに、反射的に叫んでしまった。
「おまえには、兄ちゃんがいるからな……!」
 伯母である葉槻東(はつき あずま)のすすり泣く声がより一層大きくなる中、そう言って椿の肩を抱いた。
 そのとき秋巳は気が動転していたため、疑問を抱かなかった。葉槻栖一や葉槻東に尋ねなかった。
 なぜ父凍也が死んだのか。なぜ母の如月茜(きさらぎ あかね)がここにいないのか。
 葉槻栖一と東も伝えなかった。幼いふたりの兄妹のことを慮って。
 如月凍也が殺されたこと。そして、殺したと思われる母の妹である永津みなみ(ながつ みなみ)が自殺していること。
茜が警察に事情を訊かれていることを。


363:__(仮) (8/12)
08/01/27 14:36:24 edh8iYVB
 
 だが、伯父夫妻の配慮は結果的に裏目に出た。醜聞好きな周囲からの歪められた情報を以って。
 曰く、如月凍也は永津みなみと不倫の関係にあった。
 曰く、愛憎の末、心中に近い形で永津みなみ―つまりは、秋巳の叔母―に殺された。
 そして、哀れな母親と、幼いふたりの兄妹が取り残された、と。

 一ヶ月程病院に入院していた母親は、家に戻ってきたとき、人が変わったようになっていた。
 それまでは、基本的にあまり子供に干渉せず、どちらかといえば放任主義であった。 
 如月凍也が休みの日などは、四六時中彼にべったりで、子供が危ないことをしたり、
他人に迷惑をかけたりしない限り、好きにさせていた。
 それ以前に葉槻栖一・東夫妻が遊びに来たときなど、あまりのその如月夫婦仲の良さに、
からかい半分やっかみ半分で「妬けるわねぇ」などと言って、葉槻東は、夫の腕を抓っていた。

 だが、如月凍也の死から一ヶ月、退院してきた如月茜は必要以上に子供に構うようになっていた。
 いや、正確には、子供に、ではなく、秋巳に、であった。
 秋巳が出かけるたびに、どこへ、だれと、なにをしに行くのか、なん時に帰ってくるのか、しつこく訊ねる。
 秋巳が家にいれば、必要以上に触れ合い、子は親に甘えるものよといって放さない。
 そして、椿はそれに反比例するように前以上にほったらかしにされるようになった。
単に放置するだけではなく、半ば敵意をもったような態度をとるようになった。
 椿が母である如月茜に呼びかけても返事をしない。なにかしてくれと頼んでも聞いてくれない。
椿が秋巳にひっついていると、なにかと用事を言いつけて、それを聞かないと怒り出す始末。
 秋巳はそんな妹に対して、頼みは自分の出来る範囲で叶えてやり、用事を言いつけられれば一緒に手伝ってやるなど、
なにくれとなく助けてあげていた。そんな秋巳の態度が、如月茜を余計に苛立たせる結果になろうとも。
 それが、如月茜による椿への虐待へ至るまで、そう時間は必要なかった。

 秋巳は、母親の気持ちも判るだけに、その理不尽な態度に対しても、面と向かって対立は出来ずに、
自分が見つけられる範囲で椿を庇うのみであった。
 周囲の醜聞を鵜呑みにするしか出来なかった秋巳は、父親を憎み、恨んだ。いままで父凍也を尊敬できる人として慕っていただけに、
不倫などという自己中心的な欲望で、母に、妹に、自分にこんな仕打ちを与えた父親を許せなかった。

 だが、そんな異常な生活は長くは続かない。発端は、椿に対する虐待の跡を伯母である葉槻東が発見したことであった。
 父親が亡くなり、母親が入院してからというもの、兄妹の面倒を見てやり、
母親が戻ってきてからもなにかと様子を見にきてくれていた伯父夫妻が、この家庭の奇異を見つけることになったのは、
必然の出来事といえた。
 椿の身体にあるいくつかの痣について、葉槻東が椿本人に問いただし。
それが母の仕業であることを否定しないと言う形で、椿が肯定したとき。
 葉槻夫妻は、如月茜に対して、なんとかして対処をする必要があることを、まざまざと実感させられた。
 憐れな如月茜に対して、事を荒げたくないと考えた葉槻夫妻は、母親が落ち着くことを願って、まず彼女に対して再婚を奨めた。
 如月茜は器量も良く、若くしてふたりを生んだこともあり、例えふたりの子持ちであることを差し引いても、
本人さえ望めばいくらでも相手はいると思われた。
 葉槻夫妻の提案に対し、にべなくつっぱねる如月茜に対して、ふたりは会うだけ会ってみればと度々半ば強引に何人かの男性を紹介した。

 しかし、彼女が誰と会おうとも、如月家の生活はなんら変わらない。
 秋巳とすれば、母親に必要以上に干渉されるのは窮屈であったが、それでもそれは母の愛情だと感じられたし、
妹の椿にも同じように愛情を注いでくれるのならば、なにも文句はないと考えていた。
 父親に捨てられたと感じている秋巳にとっては、歪んだ形であっても家族の愛情を感じられる『いま』を手放したくなかったのかもしれない。
 父が自分たちを捨てたのなら。
 父が母を捨てたのなら。
 自分たちに父は要らない。
 家族は三人だけなのだ。
 そう思いたかったのかもしれない。
 だから、母には椿を疎んじてもらいたくなかった。妹を無視しないで欲しかった。彼女を虐めないで欲しかった。


364:__(仮) (9/12)
08/01/27 14:39:24 edh8iYVB
 
 だが、そう願う秋巳に対して、衝撃を与える出来事が起こる。
 秋巳が学校から帰宅すると、いつものように抱きしめて迎える如月茜。その彼女の口がこう紡いだのだ。
「おかえりなさい。凍也さん」
 秋巳は言われたことを理解できなかった。いま母はなんと言ったのだ。自分に向かって。
 あの男の名前を呼んだのか。
「か、母さん……?」
「どうしたの? 凍也さん。今日は、あなたの好きなシチューを作ってますから。
 さ、あの女が来ないうちに食べましょう」
「な、なにを言ってるの? 俺は、秋巳だよ! ねえ、あの女って誰?」
「あの女って……、この家に居座っているあの女でしょう? 
 私から、凍也さんをとろうとする、あの泥棒猫! みなみ! 
 あの女、どれほど遠ざけようとしても、しつこくあなたに絡んでくるのよ。
 あなたからも、言ってやってくれない? いいかげんにこの家から出て行きなさいって」
 そう冷たい表情で、冷徹な言葉を吐く如月茜。
 秋巳は理解不能であった。
 母はなにを言っているのか。
 あの女? この家にいるのは、あとは椿だろう? 叔母さんじゃない!
 それに自分は、如月秋巳なんだ! 父さんじゃない。

 秋巳は幼いながらも悟った。
 母がなぜ必要以上に自分にべたべたしてくるのか。母は自分を見ているんじゃない。
『如月秋巳』を見ているんじゃない。母が自分に見出しているのは、『如月凍也』なのである。
そして椿のことは『永津みなみ』、自分の妹のことと思い込んでいる。
 秋巳は、絶望した。
 自分のなかで唯一の親であると思っていた、如月茜は、もう自分を見ていない。母の中に自分はいない。椿はいない。
あの憎い如月凍也と永津みなみだけなのだ。
 唯一縋った縄を、その結んである根元から切られてしまったかのごとく、秋巳は真っ暗闇の地獄に再び叩き落された。

 それと前後して、このまま放置をすれば、椿の命にも関わると危機感を抱き、
もはや自分たちの力だけでどうにかなるものではないと悟った伯父たちによって、如月茜は再び病院へ舞い戻ることとなった。
「ねえ、お母さんは……?」
 母が再び入院したその日、学校から帰ってきた椿の第一声がそれだった。先に帰っていた秋巳に向かって。
「お母さんはね。ちょっと身体の調子を崩しちゃって、
 いま、お医者さんのところで、それを治しに行ってるのよ。
 だからね、ちょっとの間この家を離れるけど、またすぐ戻ってくるから、
 おばさんたちのおうちでお兄ちゃんと一緒に待ちましょうね」
 秋巳と一緒にいた葉槻東がそう優しく椿を諭す。
 秋巳は信じられなかった。なぜ母のことを案じる。おまえは、母親に『永津みなみ』を投影され、疎んじられ、虐げられ、迫害されたんだぞ。
 それなのに、なぜ気にする。母がいなくなったのに、なんでほっとした表情を見せないんだ。
 秋巳の心はそのとき、ぎりぎりの限界のところまで擦り切れていた。


365:__(仮) (10/12)
08/01/27 14:41:32 edh8iYVB
 
 さらに、その二ヵ月後、如月茜が病院内で自殺をしたと聞いたとき、その心情は振り切れた。
 母まで自分を裏切るのか。自分を捨てるのか。
 だったら、もう、家族など要らない。自分の家族など、自分を不幸の底へ突き落とすだけではないか。
 自分には家族などいない。だから、いなくなっても自分は傷つかないんだ。
 秋巳が幼い精神を守るためには、そう思い込むしかなかった。
 だから、椿を『いないもの』とした。椿がなにを話し掛けてきても無視をした。
 かつて、彼の母親がそうしたように。
 それでも、椿は諦めることを知らないかのように、健気に秋巳に付き従った。無視されようとも。存在を否定されようとも。
 ただ、やはり、幼い心にそれは耐えがたいことだったのかもしれない。
 父に捨てられ、母に捨てられ、それは、椿も秋巳と同様なのである。
 その上、兄にまで見捨てられた形になったのだから。
 秋巳が椿の存在を否定してから、約一年。彼女は、それでも兄を『兄』として接していたが。
 秋巳の心が落ち着き、かつてとは異なるけれども、それでもやっと『妹』の存在を再び認められるようになったとき。
 椿の秋巳への呼び方は、かつての『おにいちゃん』から『兄さん』になっており、
そして、実の兄に敬語で余所余所しく接するようになっていた。


 秋巳はいまでも後悔をしている。かつての自分を呪い殺したいほどに。椿の存在を殺した自分に。
 それでも『秋巳』を殺さなかった椿に対して、彼はなにをしても償いきれないのだろうと考えている。
 そして、彼には『恩人』ができた。葉槻夫妻とその娘である、葉槻透夏。
 秋巳が不幸に見舞われる前から、葉槻透夏は秋巳に対して恋心を抱いていた。彼女にとって初恋だった。
 不幸の当事者からは僅かに外れ、秋巳より二歳年上の葉槻透夏は、
その精神においても秋巳より多少成熟していた。
 それ故、彼を癒すことができたのだと葉槻透夏は思っている。
 幸いにして、秋巳は葉槻透夏に対しては、ある程度まともに接していた。
世の中全ての人間を忌避するようになった秋巳であったが、彼にとって、葉槻透夏は『家族』ではなかったため、
無視する存在ではなかった。それと同様に葉槻夫妻に対しても。
 秋巳の心の中でガチガチに固まった氷塊を、葉槻透夏は根気良く溶かしていった。
彼に疎まれるような態度をとられようとも。嫌われているような言動をされようとも。
 秋巳が、かつての自分を取り戻すことを信じて。
 それは彼女の執念だった。普通の人間であれば諦めていただろう。
 なにをしてもこの子の心は取り戻せない。このままだと、椿の心も壊されるのではないか。
 葉槻夫妻ですらそう心配した。
 それでも葉槻透夏は諦めなかった。親子の愛や、男女の愛を説くつもりなど毛頭無かった。
ただ、このままでは秋巳が幸せになれない。
 秋巳の幸せを。それだけが葉槻透夏の願いであった。
 他のことは二の次に、秋巳のことだけを第一に行動した。
 それが実を結んだのだと、葉槻透夏は信じている。いまの秋巳があるのは。
 彼女にとって、いまや、秋巳は自分の全てであった。葉槻透夏の存在意義。それは、秋巳とともにあった。
 秋巳がいなければ、自分のいる意味など無い。いまの秋巳が自分の存在を認めてくれるのだと。そう思うようになっていた。
 秋巳が他の女の娘とくっつくなんて考えられないし、秋巳の幸せは自分とともにあることなのだ、と。


366:__(仮) (11/12)
08/01/27 14:43:53 edh8iYVB
 
 だから、秋巳が椿とともに葉槻夫婦の家を出ると言ったときも、葉槻透夏はなんとか耐えることが出来た。
 そこまでの信念が無ければ、おそらく、取り乱し、秋巳に縋っていたであろう。
 なぜ、自分を置いて出るのかと。
 秋巳から、その訳を聴いたときもなんとかこう返すことが出来た。
「そっかー。秋くんも、そこまで考えてるなら、おねえちゃんに是非はないよ。
 秋くんが思うとおりにやってみるといいよ。
 おねえちゃんは秋くんの幸せをいつでも願ってるから」
 秋巳が葉槻夫妻の家を出たいと言った理由。悪夢で上書きされ、良い思い出が残っているとは言い辛いはずの、
かつての如月家に戻りたいと言った故は、再び入院した如月茜へ椿から送っていた手紙であった。
 そこに綴られた内容を見たとき、秋巳は頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。
 早く、秋巳と母の三人で暮らした生活に戻りたい。
 きっとお父さんも帰ってくる。
 だからお母さんも早く帰ってきて。お父さんに会いたいでしょう。
 自分は会いたい。お父さんに。お母さんに。お兄ちゃんと一緒に、あの家で。
 お母さんは、お父さんに会いたくないの? 早く帰ってきて。
 そんな内容の手紙を椿が書いていたことに、秋巳は動揺を禁じえなかった。
 あれほど虐待されたのに。あれほど疎まれたのに。兄にすら、その存在を消し去られたのに。
 それでも『家族』四人の生活を望んでいる椿の想いを知って。
椿の家族に対する『愛』は、弱い自分の心など計り知れないほど巨大なものなのだと実感させられた。
 そして、決意した。
 いまでも椿が、あの家に帰ることを望むのなら、戻ろう―。
 帰るはずの無い、父と母を待ちつづけよう。
 それが少しでも椿への償いとなるのなら。

 ある日の深夜。
 秋巳は椿に割り当てられている部屋のドアをノックした。
「はい」
 部屋の中から返る声。
「椿。僕だけど。ちょっといいかな」
 秋巳の自身の呼び方は、他人への興味が薄れていくとともに、いつのまにか『僕』と呼ぶようになっていた。
「兄さん? こんな遅くにどうしました?」
 ドアを開け、兄である秋巳を迎え入れながら、訊ねる椿。
 勧められるまま椅子に腰掛け、椿に話を切り出す秋巳。
「なあ。椿。おまえは、いまでもあの父さんと母さんが好きか? あの家が好きか?」
 恐怖ゆえ、秋巳はその質問の中に自分を含めない。
「どうしたんですか。急に」
「椿の思っているところを教えて欲しい」
「そんなこと―」
 椿はいまさらなにを、とでもいいたげな表情で返す。
「決まっているでしょう。好きですよ。父さんも母さんも。
 そして、『家族四人』で暮らしたあの家も」
「そうか……」
 秋巳にとっては、その回答は想定の内であった。
「じゃあ、いまでもあの家に戻りたいか……?」
 椿は、迷うところなど一切みせずに即答する。
「家族ならば、自分の家で過ごすのはあたりまえでしょう? 
 ただ、私たちは伯母さんたちの好意に甘えて居候させてもらっているだけで」
 その答えだけで秋巳にとって充分であった。
 だから、戻ろう。我が家に。自分の代わりに冷えてしまった椿の心を取り戻すために。
 たとえ、椿が自分を嫌っていたとしても。椿がそれを望むのなら。
 そうして、秋巳が高校一年の夏、椿が中学三年の夏、あの悪夢のような出来事から四年経って。
 如月家での兄妹ふたりの生活が始まった。


367:__(仮) (12/12)
08/01/27 14:46:58 edh8iYVB
 
   *  *  *  *  *  *  *  *
 
 秋巳との水族館デートを終え。その後、映画館、食事などに行ったが、葉槻透夏は、
当初の約束どおり水族館を出てからは恋人のように接することは無く、終始いつもの秋巳に対する態度であった。
 駅で秋巳と別れてから、ひとり街頭に照らされる街並みを歩く葉槻透夏。
 ひたすらに今日の余韻に酔いしれていた。
 なんて甘い蜜であったのだろう。あの味を知ってしまったら、もう戻れない。まさに麻薬のごとき中毒性ではないか。
 彼女は、自分の、いや、人としての欲深さを思い知らされる。
 一度味を占めてしまうと、同じモノでは満足できなくなる。もっと質の高いものを、より多く、求めたくなる。
 葉槻透夏の理性は、自身に注意を喚起をする。
 ―焦ってはいけない。
 ―急いてはいけない。
 自分が優先するのは秋巳の幸せではないか。自分ひとりの幸せではない。
 ―慌ててはいけない。
 自分の幸せは秋巳とともにあるのだから。
 だが、それと相反する気持ちが自分のなかで抑えきれなくなってきていることも自覚している。
 だって、あんな幸せを与えられてしまったのだから。感じてしまったのだから。
 ほら。あそこを歩く恋人同士なんて、あんなに仲睦まじげに腕を組みながら、
お互いこれ以上の幸福はないといえる笑顔を向け合っているではないか。
 あれは、近い未来の自分と秋巳の姿だ。そう信じている。

 そんな葉槻透夏の思索を邪魔するように、背後から声がかかる。
「あれ? 葉槻さん? 葉槻さんじゃない?」
 後ろを振り向くと、ひとりの男が立っていた。男の出で立ちは一般的にいって『お洒落』と分類されるものであり、
髪型や眉などにも気を遣っている様が一目で見て取れ、その顔立ちも男前といって申し分ないものであった。
「あ。やっぱり。葉槻さんでしょ? いや、吃驚した。
 大学で見かける様相と全然違うんだもん。
 どうしたのそんなにお洒落しちゃって?」
「え……いや」
 葉槻透夏の返事など待たないように、男が続ける。
「いつもさ、キャンパスで見かけるとき、もっと地味な格好してるでしょ? 
 俺もさ、周りの男どもと言ってたんだよ。葉槻さんって、
 派手に着飾ったりしないからなかなか気づきにくいけど、
 お洒落したらめちゃくちゃ美人だよなって。
 いまのこの格好で大学行ったら、男どもがほっとかないよ?」
(なにを言っているのだろう、この男は―)
 葉槻透夏は思う。
 秋巳のいないところで、お洒落して、どうでもいいような男たちの目を引いて、自分になんの得があるのか。
「ってか、ひょっとしてデートだった?」
「……いえ」
 この目の前の男に、先ほどまでの幸福の一時を『デート』などと括られると、秋巳との思い出を汚されたように感じる。
「葉槻さんって、大人しくてあんまり目立たないから、勿体無いよ」
 なんで、あなたたちになんかに愛想を振り撒かなければならない?
「あ、これから時間ある? なんなら、俺と遊びに行かない?」
「いえ。ごめんなさい。ちょっと、急ぐもので……」
「あー。そうなんだ。そりゃ残念。あのさ、じゃ、今度遊びに行こうよ!
 いきなりふたりってのは抵抗があるなら、他の仲間たちも誘ってさ!」
「……ええ。機会があれば」
 一生無いだろうけど。
「あ! そんときは、いつもの格好でもいいよ。
 他のヤロウどもに、葉槻さんのこと意識してもらいたくないしさ」
 あなたにもね。葉槻透夏は、心の中で付け加える。
「ごめん。急ぐんだったよね。じゃあ、また、キャンパスで」
 そう言って、その男は、葉槻透夏とは逆の、駅の方角へ手を振りながら歩き出す。
「ええ」
 葉槻透夏は、それだけ返事して踵を返すと、わずらわしいものから開放されたように、再び家路へと足を向ける。
 それから、ふと思い出したように呟いた。
「いまの人、誰……?」


368: ◆a.WIk69zxM
08/01/27 14:47:31 edh8iYVB
 
以上。投下終了です。

369:名無しさん@ピンキー
08/01/27 14:48:44 2IUm9vQS
リアルタイムGJ!

370:名無しさん@ピンキー
08/01/27 14:54:50 tewvuIbA
>>368 GJ!!透夏は本当に秋巳の事にしか興味がないようですね。

371:名無しさん@ピンキー
08/01/27 15:01:21 9Pqbh7Kz
やべぇ
良作が続いてくれて
嬉しいよ

372:名無しさん@ピンキー
08/01/27 15:57:24 y6/vvxoC
GJ
なんだけど、キモウト小説でよいんだよね?
キモウトぶりが見れるのはまだ大分先か?

373:名無しさん@ピンキー
08/01/27 15:59:46 D52J5yJe
誰か俺のためにこれの人物相関図作って・・・

374: ◆busttRe346
08/01/27 16:45:58 t5X4Dk6w
名作続きの中お目汚しスマソ。監禁トイレ三話、投下します。

375:監禁トイレ③-1
08/01/27 16:52:20 t5X4Dk6w
母親は何も説明してはくれなかった。よそ行きの服を着せられ、着いた先はホテル。
――とにかく、大きい。
二人は思った。落ち着きなく周りを見渡す。どこもかしこもピカピカだ。客も従業員も、肩肘張った姿勢で歩いていく。うっすらと浮かぶ笑顔もどこかこわ張っている。
幼さ故か。双子は一種過剰な愛想の満ちた空間に、戸惑っていた。母親も緊張した表情で誰かを待っている。
きっと「スキナヒト」が来るんだ。
双子は互いに頷き合うと、母に倣って椅子に座った。しばらくして母親が立上がり、入口に向かって手を振る。視線を追った先には母より歳のいった男性が。そして、男の影に隠れるように少年と少女が立っていた。

376:監禁トイレ③-2
08/01/27 17:10:53 t5X4Dk6w
壁にもたれ、足を伸ばす。
トイレの床なんて座る気にもならない。だが手錠のせいで、立てるのは良くて中腰まで。長丁場になるなら体力は温存しておくべきだ。左の腿辺りに陽射しが当たる。窓に目を向け、外界を夢想して溜め息をつく。大分日が高くなってきた。

これが、まずかった。
時間経過を意識した途端、人間としての欲求が首をもたげる。
食欲はまだ良い。
いずれ直面する深刻な問題だ。しかし、現状それよりも問題なのは尿意。まあ場所は問題ない。
ここトイレだし。ただここには、僕以外の人間が二人もいる。しかも女の子。あまり悠長な事はしていられない。一度気付けば、尿意は恐るべき速度で膨張していく。心の蛇口を緩めれば、すぐにでも…

…漏れそうだ。

「あ、あのさ、姉ちゃん…」
僕の携帯の電池を外している姉ちゃん。蓋の裏を見て、「よし」とか言っている。
「なあに?」
それが何を意味するか分からない。が、放っておく。
「その、尿意を催した訳ですが…」
「どうぞ♪」

どうぞ♪じゃねえ。

「いや、だからですね……?」
「ああ!!そういう事ね!!」


377:監禁トイレ③-3
08/01/27 17:14:15 t5X4Dk6w
合点した、といった顔になり、僕の電話をポケットにしまう。
理解してくれて良かった。しかし寝たままの蕾は大丈夫なのか?全く起きる気配が無いのだが…

ガチャガチャ。

おい。
おいおいおい!!
「ちょっと待て」
姉ちゃんの手を押しとどめる。
「?」
何で不思議そうな顔をする。止めて当然だろう。あんた今何してるのか分かってんのか。
そう、姉ちゃんは蕾を起こす事も外に出ていく事もしていなかった。何故か僕のベルトを外し、ズボンを脱がそうとしていたのだ。

「何しやがりますか、あなたは!」
「い、言わなきゃいけないの……?たっくん鬼畜…」
何故頬を赤らめる。
何故瞳を潤ませる。

「お、おしっこ…飲んで欲しいんでしょ……?」

ああ…姉ちゃんの脳内は宇宙だ。あなたの思考は僕の手の届かないところにあるのですね。
「そんな訳ないでしょ!!席を外してくれって言いたかったんだ!!」
「やだ」
「…」
二文字で却下された。その後、膀胱の許す限り説得しようとするも、姉ちゃんは決して引き下がらなかった。「手伝ってあげる」と目をきらっきらに輝かせながら寄ってくる彼女を押さえ付け、ズボンを下ろす。

378:監禁トイレ③-4
08/01/27 17:17:12 t5X4Dk6w
便座に座り、鉄壁のガードで愚息を隠した。
「ふぅー…」
水音を聞きながらようやく解放感に浸る。が、それほど素晴らしくも感じられないのだ。右手を手すりに繋がれているので、便座に座るとどうしても不自然な体勢になる。左側に腰を捻る為、運動不足の体が悲鳴を上げた。
排尿を済まし、ズボンを上げようとして……姉ちゃんに捕まった。
「ちゃんと綺麗にしたかな?」

やられた…!!

僕の左手を簡単に払いのけ、向きだしになった愚息に近付いていく。スン、スン…と鼻を動かしているのを見るに、匂いを嗅いでいるようだ。次に何をしてくるかは大体予想がつく。だからこそ何としても阻止しなければならない。もしも阻止出来なかったら。僕は墜ちる。
「や、やめろって…頼むからやめてくれ…やめてください」
「ふふっ…可愛い…。寒くて縮こまっちゃってるのかなぁ?それとも恥ずかしがり屋さんなのかなぁ?」
どちらかと言うと未知の恐怖で、です。
「頼むから!!頼むからやめてくれ!!お願いだから…」
「可愛い過ぎて食べたくなってきちゃったよ…はぁ……いただきまぁ…」

――ブーン、ブーン、ブーン。

姉ちゃんのポケットから振動音が漏れる。

379:監禁トイレ③-5
08/01/27 17:18:10 t5X4Dk6w
忙しなく瞬く光も見えた。
「あ、もう時間なんだ…」
液晶画面を見ながら残念そうに呟く。
今の内に履いてしまおう。急いでズボンを履き、ベルトを締めた。
…手を洗うのは…この際我慢するしかないのだろうか…?トイレの水を流し、また最初と同じ位置に座りこ


もう


と、し






萌姉ちゃんの右手が目の前に迫っていた。口には柔らかい布地の感触。ふわりと洗剤の匂いがしたがそれも一瞬。猛烈な息苦しさが迫る。
窒息する…!!
柔らかな凶器から逃れようともがく。もがく。もがく。苦しくて堪らないのに、押し寄せてくる眠気は心地良かった。真っ暗な穴が僕を飲み込んでいく。



全てが、黒く塗りつぶされた。

380: ◆busttRe346
08/01/27 17:19:31 t5X4Dk6w
投下終了です。

381:名無しさん@ピンキー
08/01/27 17:30:37 fsn69UVJ
謎が謎を呼ぶ展開。
双子以外にも姉妹がいるとは。続きが楽しみです。
ところで人は気絶しても漏らさないのかしら。

382:名無しさん@ピンキー
08/01/27 19:01:32 xH1i07wU
>>380
GJ

383:名無しさん@ピンキー
08/01/27 19:34:32 5G/fefJH
>>368
グッジョブ!
キモウトに化ける日が楽しみだ
>>380
グッジョブ!
主人公をなぶり倒してくれ

384:名無しさん@ピンキー
08/01/27 20:26:35 +G0i42HO
>>368
椿の狙いがなんとなく見えてきたかな?続きを楽しみに待ちます。

>>380
更にキモウト候補が一人…WKTK

385:名無しさん@ピンキー
08/01/28 01:06:22 NvwejnJS
何とも業の深い姉妹が続きますなぁ。単なるブラコンとキモウトの一線を飛び越えさせることが
出来なくて、書いては消ししてる身としては羨ましい限り。

386:名無しさん@ピンキー
08/01/28 21:05:50 tjDzV5Ti
神々にGJの嵐をおくる

ほんっと良い流れだわ・・・
この神スレに感謝

387:名無しさん@ピンキー
08/01/28 21:44:26 s30TgyhU
GJ!

388:名無しさん@ピンキー
08/01/29 00:27:38 6ywUe0xF
神の連続…なんと素晴らしい……
GJ!!

389:名無しさん@ピンキー
08/01/29 12:23:48 OOHwqWLF
朝はキモ姉に顔面騎乗で起こされたい

そんな電波を受信した昼休み

390:名無しさん@ピンキー
08/01/29 12:45:46 DsmF8SF/
投下します。

391:名無しさん@ピンキー
08/01/29 12:46:45 DsmF8SF/
 人生いろいろ、幸せなんて本人にしか決められない。
 今年で二十歳になる佐々木康彦はつくづくそう考える。

 弟を溺愛し本気で二人だけの世界を望む先輩。
 自分で作ったフィギュアに惚れて彼女だと紹介してきた友人。
 常に研究に没頭して解剖した蛙まで愛おしむような講師。
 サークルのマドンナではなくその父親に惚れて三角関係を作り出した後輩。

 康彦の周りにいる人々。
 普通に見れば何かに外れている人々なのかも知れない。
 それでも全員、幸せな顔をしている。

 康彦は思う。
 幸せを決めるのは自分次第だと。
 どんな形であれ、笑顔でいれる人間が一番の勝ち組なのだと。


 そんな性格だからだろう。
 ある女子高生から言われた唐突な、普通なら相手の神経を疑うような話しを受け入れたのは。


392:ハルとちぃの夢
08/01/29 12:48:59 DsmF8SF/
 「遥さんと智佳ちゃんは本気で愛し合っているんです!」
 女子高生が康彦相手に熱弁を奮っている。

 その日、康彦はバイトが休みで、家に携帯を忘れた事もあり、大学が終わるとまっすぐに自宅へと向かっていたのだが、その途中でこの女子高生に呼び止められ、この状態になった。

 この子は、上の妹である遥の同級生なのだろう。着ている制服からそれが分かった。

 「ちゃんと聞いてくれてますか!」
 女子高生が興奮した声で康彦に言う。
 「聞いてるよ」
 「最後まできちんと聞いていて下さいね!」
 妹達の話なだけに一応は聞いている康彦、そんな康彦の受け答えに満足出来なかったのか、女子高生が声のトーンを上げて言う。

 「遥さんが本気で愛した相手が実の妹…、智佳ちゃんだって遥さんを愛しているというのに…」
 酒でも飲んでいるのか、そう思える程のオーバーアクションをしながら、女子高生が言葉を続ける。
 「愛した相手が同性で更に実の姉妹…。世間という大きな壁が二人の前に立ち塞がっている…」
 「周りの人間が助けてあげなきゃイケないんです!」
 「悲劇は…悲劇だけは避けなくちゃイケない!一途で純粋な二人の想いを悲恋にしてはダメ!」
 「それなのに、どうして貴方は二人の仲を邪魔するんですか!二人を引き裂こうとするんですか!」
 自分のリアクションに疲れたのか、大きく呼吸しながらも、最後には康彦を睨みつけていた。

393:ハルとちぃの夢
08/01/29 12:51:33 DsmF8SF/
 康彦は言葉がなかった。
 相手が真実をついているから、ではない。
 この類の人間を見たのが初めてだったからだ。

 「どうなんですか!答えて下さい!」
 興奮冷めやらぬ状態で女子高生が叫ぶ。
 「どう、と言われても…」
 相手が真剣である以上、自分も真剣に答えなければイケない。
 そんな信念を持つだけに、頭の中で今の言葉を整理してから、自分の考えを相手に告げる。

 「二人が結ばれる事で幸せになるなら、俺はそれを邪魔する気はないよ?」
 「それなら二人の関係を認めてくれるんですね!」
 「二人が自分の口から俺に打ち明けたらね」
 女子高生が歓喜の声を上げるのに、冷静に対処して答えた。
 「そんな簡単に打ち明けられるもんじゃ…」
 「だからだよ」
 女子高生の言葉を遮るように康彦が言う。
 「君の言う通り、世間ってのはその恋愛を認めないだろうからね。その世間を相手にしなきゃイケないのに、俺にも何も言えないんじゃ、認める訳にはいかないよ」
 ゆっくりと、だが、信念を持った言葉を告げた。

 「それでも…、お兄さんが邪魔しないとは限らないですし…」
 康彦の言葉に飲まれたのか、まるで勢いのない言葉が口から出る。
 「邪魔するもなにも…俺は何もしないよ」
 苦笑いを噛み殺しながら康彦が答える。
 事実、彼女に言われるまで、妹二人の関係を姉妹以外で見た事はないし、無論、どうこうした事もない。

 「そんなの信用出来ません!」
 俄然、元気を取り戻したように女子高生が叫ぶ。
 「そんな事言われてもなー…」
 「信用の証拠として、携帯の番号を教えて下さい!」
 「ハッ?」
 あまりの突拍子もない提案に、思わず間抜けな声が出た。

 「どうしたんですか?駄目なんですか?」
 「ダメって訳じゃないけど…」
 「今、携帯を持ってないからね」
 完全に相手のペースに飲まれる康彦、既に圧倒されている。
 「それなら、明日にまた逢いましょう。明日はどれ位に帰ってきますか?」
 「え、明日?9時過ぎだと思うけど…」
 「その時間にここで待ってます!」
 「ちょ、ちょっと…」
 「約束ですよ!」

 それだけ言うと、彼女は立ち去っていった。

 康彦は呆気にとられたまま、彼女を見送っていた。
 「何だったんだろう…?」
 頭の中で疑問が浮かぶ。
 遥の通う相当な進学校で、それなりのお嬢様が多い、との評判なはずなのだが…。
 変わり者に場所は関係ないのだろう、そう自分を納得させると、康彦も帰路に着く事にした。

394:ハルとちぃの夢
08/01/29 12:52:35 DsmF8SF/
 その帰り道、康彦は女子高生に言われた事を考えながら歩く。
 妹二人が愛し合っている、普通なら考えられる話ではないのかも知れない。
 だが、康彦から見れば、それほど奇異な話ではない。
 人間が人間を好きになっただけ。その相手がたまたま姉であり、妹であっただけの話。
 解剖した蛙に惚れ込んだり物言わぬフィギュアを紹介されるよりは、どれほど分かり易い話か。
 あの女子高生にしても、何の根気もなく、初対面の自分に怒鳴り込んでは来ないだろう。
 それを考えれば、その事が事実であるように思える。

 だが、そうなると困った事がある。

 妹が会わせたい人がいると紹介してくる相手が妹になるなら、何処の馬の骨とも分からん奴に妹はやれん、と言わなければイケない相手も妹になる。
 思い出話の一つや二つをしてから妹をよろしく頼む、と妹に頼み、妹をバージンロードで先導した先に待ってるのも妹になる。

 そこまで考える頃には、康彦の頭は完全に混乱していた。

395:ハルとちぃの夢
08/01/29 12:54:29 DsmF8SF/
 混乱した思考をまとめきれないままに家に着く。
 鍵を差し込んだ瞬間にある考えが康彦の脳裏に浮かんだ。
 中に入っても大丈夫なのだろうか?

 時間的に、下の妹である智佳は帰ってきているだろう。遥も家にいる可能性は高い。
 二人とも家にいる。
 恋人同士の二人が良い雰囲気になった時に都合悪く帰ってくる家人、漫画等でありがちの、お約束な展開が頭を過ぎる。

 遅くなると連絡するか、そう思ったが、携帯は家の中だ。5 第一、自分がバイトを休みな事は二人とも知っているし、そんな日に帰りが遅くなったりすると、目に見えて不機嫌になる。
 それは両親が殆ど家におらず、不安からなのだろうが、だからこそ、康彦はバイトのない日はなるだけ早くに家に帰るようにしていた。

 差し込んだ鍵を抜き取り、その場で躊躇する。
 近所を散歩してくるか、家に入る時間が変わるだけで、タイミングが悪ければ、意味はなさそうだ。

 「何やってんの?」
 自宅の前で考え込んでいた康彦に、後ろから呆れたような声がした。
 上の妹の遥だ。
 ショートカットに勝ち気な瞳、部活で多少の日焼けをしている事もあり、全体に活発な雰囲気を身に纏う。

 「ハ、ハル!」
 考え事で頭がいっぱいだっただけに、康彦が思わず飛び上がるような声を上げる。
 ハルとは、康彦が呼ぶ遥の呼び名。もう一人の妹、智佳の事はちぃと呼んでいるが、どちらも兄妹間でしか使われていないような呼び名だ。

 「ハ、ハル!じゃないでしょう…」
 兄の口調を真似しながらも、微妙に溜め息混じりの遥の声。
 「兄貴はさっきから何を挙動不審なコトをやってるワケ?」
 思いっきりに痛い所を付いてくる。
 「何って、その、な?」
 微妙にしどろもどろになりながら答える康彦。
 まさか、ラブシーンの邪魔をしたくなかった、と言える訳でなしに、その前に二人の関係について、二人が言い出すまでは気付かないフリをしようと考えただけに答えにつまる。

 「まさか、また変なトラブルを抱え込んだんじゃないでしょうね?」
 この兄が時に面倒を抱えている事があるのを考え、遥が言う。
 「いや、ないから、そんな事ないから!」
 「?…じゃぁ、とっとと家の中に入って!」
 奇妙に慌てる兄を押し込むように、遥も家の中に入った。

396:ハルとちぃの夢
08/01/29 12:55:42 DsmF8SF/
 そこは見慣れた我が家だった。
 康彦はここで育ったのだから当たり前だ。
 だが、あの話を聞いたせいか雰囲気が違うように思える。

 「ただいまー」
 「お帰りー」
 遥の挨拶に、奥から中学生の少女が出てくる。
 下の妹の智佳だ。
 長めに伸ばした髪におっとりとした瞳、小さい頃に体を悪くしたせいで家の中にいる事が多く、今では家事全般を担う。
 ちなみに遥は、家事はまるで出来ない。

 「あ、二人一緒だったんだ」
 「一緒だった訳じゃないんだけどねー」
 智佳の言葉に遥が答える。
 「この兄貴が家の前でコソコソしてたからね」
 「ふーん。…兄ぃ、また何か悪さしたの?
 「悪さって…、何もしてないって!」
 意味ありげに言葉を紡ぐ遥、それを聞いて悪戯っぽく兄を見る智佳。
 姉妹ならではのコンビネーションがあり、康彦がタジタシになるのも何時もの事だ。

 「どうだかね~?」
 信用していない、と言わんばかりの遥の声。
 この兄が、厄介な問題を抱えているのはよくある事だし、更にその事を自分達に相談しないので、不満に似た感情を抱いていた。

 「そうだ!レポートを書かなきゃ!」
 遥の追求を逃れる為、一人でもう一度整理して考える為にも、康彦はそう言って部屋に逃げ出す。

 「ちょっと、まだ話は終わって…」
 納得のいかない遥が康彦を捕まえようとした所を、智佳が留めた。
 「ハル姉、お話があるの」
 「兄ぃには聞かれたくないから」


397:ハルとちぃの夢
08/01/29 12:57:18 DsmF8SF/
 部屋に戻った康彦は、まず携帯を見て、着信アリの表示がない事を確認すると、机の上に投げ出し、思案に耽った。

 妹二人が本気で愛し合っているのなら、認めてあげたいし、出来る限りの応援をしたい。
 あの女子高生ではないが、悲恋など創作の世界だけで充分だ。
 そこまで考えると、財布の中から一枚の写真を取り出し、愛おしげにそれを眺めた。
 こんな思い、自分だけで充分だ。
 高校時代の自分と、女の子が写った写真を見て、そう強く思う。
 写真の相手は、一度だけ本気で好きになった女性。
 今はこの世にいない相手。
 康彦は強く願う。
 妹二人の幸せを。
 自分が叶えられなかった分まで。


 その頃、階下では、遥と智佳が話し合いをしていた。
 「うーん、またあの人か…」 
 智佳の話を聞いた遥が呻くような声を上げる。
 「うん、何回も掛けてきてた…」
 やや力のない智佳の言葉。
 「あの人も分からないからなぁ、気が多いだけなら何も問題はないんだけど…」
 「うん…」
 「最悪の場合は…」
 「やらなきゃ、ダメ、だよね?」
 ここまで話すと、智佳は目に見えて暗い顔になった。
 「前の事、後悔してる?」
 智佳の変化に気付いた遥が鋭く問い掛ける。
 それに対して、智佳は大きく首を振った。
 「してない!アレしかなかったし、盗られるなんて…絶対にヤだもん!」
 力強く言う智佳。
 そんな智佳に、遥は満足そうに頷く。
 「私もしてない。三人で幸せになる為には必要な事だったから」
 遥の言葉に、智佳が元気を取り戻したような笑顔を浮かべる。
 「あの人の事はもう少し分かってから考えよう?」
 「うん、そうだね」
 「分かったら今日は普通に、普通にね!」
 遥は、そう智佳を窘めるように言うと、着替える為に自分の部屋に戻っていった。

 その晩、三人とも普通に振る舞う普通の晩が、佐々木家を演出した。


398:ハルとちぃの夢
08/01/29 12:57:57 DsmF8SF/
投下終了です。

399:名無しさん@ピンキー
08/01/29 12:59:08 CFxvzx4n
なんて時間帯に投下しやがりますかw
前に出してたプロットだよな
先が楽しみだ

400:名無しさん@ピンキー
08/01/29 13:01:31 4vvdbSMu
昼飯後にスレ開いてみれば何と素晴らしいデザートが…GJ!!

401:名無しさん@ピンキー
08/01/29 13:06:19 29oV4Naf
>>398
さりげなくトチ狂っていて、面白い! 導入部としての引きは十分。wktk!

402:名無しさん@ピンキー
08/01/29 13:19:40 4vvdbSMu
>>389
スポンジで顔を擦られている。
苦しい。
息をさせてくれ。
鼻に水が入るじゃないか。
頼むからやめてく…



「はぁッ…ん、ん、んッ!!」
目を開けるとそこには得体のしれない物体があった。ビショビショに濡れて…真っ赤で…妙な匂いが…

「うわあああぁぁぁぁ!!何やってんだぁッ!?」

「あ、んッ…お、起きたのぉ…?」

姉貴が僕の上に乗っかっていた。正確には僕の顔の上に、姉貴の…その…股間が。

「ん、んとね、こうやって…擦りつけると、アレに…弟君の鼻が当たって…ぁうん゛ッ…!!いやぁ…どこかなんて言わせないでぇ…」
「何も言ってねえよ!!」
勢いをつけて上半身を起こす。同時に姉貴をはねのけた。
「ぎゃっ!!」
色気のねえ悲鳴だな、オイ。
「朝から何て事しやがる!!」
「あはっ…弟君の…すごぉい…」

…聞いちゃいねえ
姉貴がオレの胸からつつ、と指を下ろして。
臍を通過し。
さらに下へ。
姉貴の潤んだ瞳がオレを見上げて、
「お鼻より長いのが、欲しいな…」



オレの理性はあと一秒も保ちそうに無かった。


こうですかわかりません><

403:名無しさん@ピンキー
08/01/29 14:01:02 osTPbhjD
>>398
GJ!
神しかいない、荒らしもいない。
神スレすぎる…

404:名無しさん@ピンキー
08/01/29 15:27:14 RJe3l1qL
気になって>>300のプロットを読み返してみた。

妹の言う「あの人」が泥棒猫(主人公後輩)か友人か?

ああ、キモ姉妹日本の未来は明るい

405:名無しさん@ピンキー
08/01/29 22:45:28 cpkX0B6H
>>300
畧るってまさかころs(ry

406:名無しさん@ピンキー
08/01/30 00:35:53 Cp2pLT5+
投稿します。

407:『いもうとの考え5』
08/01/30 00:37:29 Cp2pLT5+
授業中



あー、かわいいよなぁ。ほんと俺のタイプだ。あの清楚な感じがいいんだよな。
絶対見た目だけじゃなく中身も優しくていい娘なんだろうな…告白しようかな。
いや、俺なんかじゃ無理か…。
この前、あの格好いい先輩が告白してもダメだったんだし。他に好きな人とかいるのかな?
だとしたら告白してしまえばいいのに。どんな男でも一発で虜だろうな。
きっとあの大人しい性格からして好きな人とかいても告白が出来ずに思い詰めてるんだろう…。
ほんとかわいいな、沙妃さんは。
窓の外を眺めながら何考えてんだろ。
沙妃(あぁ、おにいちゃんに会いたい。もう3時間もおにいちゃんの顔を見てないよ…。
早く学校が終わらないかな。
あぁぁぁぁおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃんおにいちゃぁぁぁん!!
もう限界!こうなったらおにいちゃんのパンツから作ったこのハンカチを匂って落ちつこう。)
かわいいなー、ハンカチで口元拭いてるよ。上品だよなぁ、ほんと。
きっと下品なこととか一切考えたりしないんだろうな。
沙妃(あぁぁすごくいい匂いがする…幸せ。おにいちゃんの精子が付いたパンツはやっぱ格別だなぁ。
本当にいい匂いだけど…匂いだけじゃ我慢できないよ~。舐めて味も堪能しよっと……、
ん…あぁん!!おいしぃぃ!一舐めで昇天しちゃいそう!)
ファンクラブとかあってもおかしくないくらい可愛いな…あったら俺も入ってるかも。
沙妃(ん…うんん……っておいおい、どんどんパンツが塗れてきてる。そろそろ止めないと大洪水になっちゃう。
あ~あ、どうやったらおにいちゃんは私に振り向いてくれるんだろう?
最近ではおにいちゃんが着てる服やパンツにも嫉妬しちゃうくらいになっちゃったんだよね。
だってあんなに一日中おにいちゃんに密着してるんだよ!ずるいよ!!
おにいちゃんに触れてもらうドアノブや口付けてもらうコップに全身を包む布団もだし便器だって羨ましいよ。
それなのにおにいちゃんは私を全然見てくれない…。)
沙妃さん脱いだら綺麗そうだなぁ。一度で良いから見てみたい。いや、やりたい。
って俺はなに考えてんだよ。沙妃さんと違ってなんて下品なんだ俺は。
沙妃(おにいちゃん犯したいな~レイプしたいよぉ。
そろそろ本当に襲っちゃおうかな…縛り上げてあんなことやこんなことを…。
いや、あのとっておきのクスリを使っておにいちゃんを獣にさせて…逆に襲われるのもいいよね、どっちにしようかな~?この前も迷ったけどやっぱ迷うなぁ。
監禁されたいし監禁したいし…)

408:名無しさん@ピンキー
08/01/30 00:38:43 LO6S3lf0
相変わらずカオスwwww

409:『いもうとの考え5』
08/01/30 00:39:16 Cp2pLT5+
昼休み



やっと昼休みだ。お腹減った…早く沙妃と昼ご飯食べよ。
教室の窓側の席にいる沙妃を見てみると沙妃は窓の外を眺めていた。なんかぽけーっとしてるけどすごく絵になってる…。
女の私でも思わず見とれそうになっちゃう………ってそれより食事食事。
「沙妃~!食ーべよー」
沙妃「うん」
「見て見て!今日は新発売のパンを買ってきたんだ」
私は沙妃の机の上に今朝買ってきたパンを袋から取り出して置いた。
沙妃は『んー?』って顔で眺めてる。
沙妃「ジャムプリンチョコレートケチャップマスタードチーズバナナ入りメロンパン?」
「そう!どんな味するのかワクワクしてこない?」
沙妃「ぇ…ぅ、うん」
「そう言うだろうと思って沙妃の分も買ってきたよ、はい」
私はもう一つパン袋からを取り出すと沙妃に渡してあげた。
沙妃「ぁ、ありがとう」
「さ、さっそく食べてみよう」沙妃「そう、だね…」
私と沙妃は同時にパンに食いついた。すると口の中に素敵な…。
「………」
沙妃「………」
「その…ごめん」
沙妃「…うん」
俯きながら沙妃の顔を覗いてみると沙妃は『どうしよう…』って顔をしていた。
「ほんと…ごめんなさい」
沙妃「き、気にしないでよ!ほら、お弁当食べようよ。他のパンも買ってきたんでしょ?」
「うん、他のパンは普通のだから…」
ふぅ…ショックだなー、まさかあんな味だとは…。沙妃に悪いことしちゃったなぁ。もう一度沙妃の顔を見てみると私は気にしてないよオーラ全開で軽く笑顔だった。
やさしいなぁ沙妃は…本当にいい娘だし、かわいいし、今開けようとしてる弁当も自分の手作りだし…。
私と違って素敵なお嫁さんになるんだろうな。
沙妃「食べないの?」
私が少し落ち込んでいると心配そんな顔をして沙妃が覗いてきた。
これ以上落ち込んでいても沙妃を不安にさせるだけだし明るく食べることにしよう。
「うん、食べるよ。てか、沙妃の手作り弁当は相変わらず美味しそうだね」
沙妃「そうかな?」
沙妃(へへ、でしょ~!なんたっておにいちゃんのあれやこれが使われて作ったお弁当だからね。
見てるだけで涎が出ちゃうよ、アソコの口からも)

410:『いもうとの考え5』
08/01/30 00:41:34 Cp2pLT5+
放課後



あぁ疲れた。早く家に帰って風呂に入りてーよ。
沙妃「おにいちゃん」
「おっ、学校からの帰り?奇遇だな」
沙妃「ふふ、奇遇だね」
沙妃(本当は早くおにいちゃんに会いたくて学校が終わってからずっと見てました)
「こんな時間まで学校に残ってたのか?」
沙妃「図書館で勉強してたの」
「夜道は危ないぞ…最近この辺で変質者が出たっていうし」
沙妃「そうなの?これからは控えるよ」
沙妃(変質者ごときどうってことないけどそれを理由におにいちゃんに送り迎えしてもらおうかな)
「まぁどうしても用事があるときは俺が送り迎えしてやるよ」
沙妃「でも…悪いよ」
沙妃(ひゃっほう!!願ったり叶ったり!)
「沙妃が危険な目に会うわけにはいかないだろ」
沙妃「……ありがとう」
沙妃(惚れた!いや惚れ直した!!
もう最高!素敵!!今すぐ私と結婚して!穴に入れて!!)
「だから夜外に用事があるときは遠慮なく言えよ?」
沙妃「うん」
沙妃(ちょっとラブホで用事があるから送って~。当然部屋までね)



風呂はいいねぇ…日本に生まれてよかった。思わず歌いたくなっちゃうよ。
コンコン。
沙妃「おにいちゃん?ちょっと入るよ」
「おう」
なんだ?脱衣所になんか用事でもあるのか。……洗濯機に服を入れてる音がするな…。
まぁ間違っても『背中を流しに来たよ』なんてないわな。
沙妃(よし、おにいちゃんの脱ぎたてパンツゲットぉ~。さっそく部屋に戻ってオナニーしよ。
でも…このガラスの向こうに裸のおにいちゃんが……ダメダメ!!今はまだ我慢!!
でも裸のおにい…ダメだってば!早く部屋に戻ってこの火照った体を慰めなさい!
それで汗を流した後はおにいちゃんが浸かったお湯に包まれておにいちゃんの出汁がたっぶりのお湯を飲みながらもう一度慰めるのよ!)

411:『いもうとの考え5』
08/01/30 00:42:39 Cp2pLT5+
「ごちそうさま」
あぁ美味かった。毎日こんなに美味しい料理が食べれるなんて幸せだな。
親父達も沙妃がこんなに立派で美味しい料理を作れるようになれたなんて知ったら驚くだろうな。
だけどあの二人全く帰ってこないな。もう何年も会ってないんだが…、たまに電話したりするから生きてはいるんだろうけど。電話のたびに『まだ帰ってこれないのか?』って聞くけど『仕事が忙しくて…』としか言わないし。
まぁお金を振り込んでくれるし電話もしてくれたり誕生日プレゼントとか送ってくれるから見捨てられてはないんだろうけど。
俺はいいけど沙妃は寂しくないのかな?確か沙妃が中学に入るときに転勤が決まったんだっけな。
まだ親に甘えたい事もあったろうに…。
「なぁ…沙妃は親に会いたいって思ってる?」
沙妃「うん、会いたいな」
「だよな、何回か会える機会がないかと親父に相談してるんだけどなかなか仕事が忙しいらしくてな」
沙妃「うん…仕方ないよね」
「沙妃は最近電話もしてないんじゃないか?」
沙妃「確かに…なかなかお互いの時間が合わないんだ…」
「そっか…今電話してみるか?もしかしたら話せるかもよ」
沙妃「……そうだね、久しぶりにしてみようかな」
やっぱり沙妃も寂しいんだろうな…。少しでも寂しい思いさせないためにも俺が出来る限り側に居てあげないとな…。
沙妃は受話器を取りダイヤルを押している。その表情はどこか嬉しそうだった。
沙妃「…………もしもし?お母さん?沙妃だよ……久しぶり」
どうやら母さんに電話したみたいだ。久しぶりの親子の会話だし沙妃も二人でゆっくりと話したいだろう、俺は沙妃に部屋に居るよと告げて二階に上がった。




沙妃「………おにいちゃんは部屋に上がったよ…これでお互い心置きなく話せるね………
当然まだ帰ってこないよね……うん…帰ってくるな……もし帰ってきたら……わかるよね?
あははは、そんなに怯えなくてもちゃんとやるべき事をしてたら何もしないよ……
だからお父さんにもそう伝えておいて………うん、よろしくね……あと沙妃は幸せだって…
うん、そう……さっきもね、おにいちゃん私が寂しそうにしてたら『側に居てあげないと』って顔してた……
いいおにいちゃんだよね……犯したくなっちゃうよね……うふふ…嬉しくて思わず顔に出ちゃった…まぁそういうわけだから私達の愛の巣を邪魔しないでね……うん、ちゃんとわかってるね、よしよし…じゃぁ用事ないから切るね…バイバイ」
沙妃(ごめんねおにいちゃん…私があの二人を追い出したんだ。小学生のときからおにいちゃんと二人っきりで過ごせたらどんなに幸せだろうって…、
だから中学生になった時に実行したの…あの二人凄く怯えてた…だから素直に私の言う事なんでも聞いてくれるんだ、いい両親を持ったよ。
それからは本当に幸せ、まるで夫婦みたいな生活…思い描いてた以上だったよ。
…だからこれからもずっと二人っきりだよ、この愛の巣で…ね?おにいちゃん)

412:名無しさん@ピンキー
08/01/30 00:45:21 Cp2pLT5+
以上です。
いまさらだけど>>190にすごく同意する。

413:名無しさん@ピンキー
08/01/30 00:47:12 vjmd2voz
>>412GJ!!ワクテカムクムクして寝れないわ。

414:『いもうとの考え5』
08/01/30 00:53:11 Cp2pLT5+
申し訳ない。
>>409>>410間にこれが入ります。
まとめる方ごめんなさい。今は反省している。

415:『いもうとの考え5』
08/01/30 01:00:53 Cp2pLT5+
沙妃の弁当は本当に美味しそうだった。からあげやスパゲティに卵焼きなどかわいく盛りつけてある。
「私ならこんなに上手に作れないよ、だってこれ冷凍品じゃないんでしょ?」
沙妃「冷凍品じゃないけど…これくらいならすぐに作れる様になるよ」
沙妃(おにいちゃんのあれこれ使った料理だから特注品だけどね)
「この卵焼きとかすごく美味しそうだし、ちょっとちょうだい」
沙妃「あっ、ダメ!」
「え~なんで?ケチケチしないでよ」
沙妃「だって私の好物だから…」
沙妃(ケチじゃない!!この卵焼きには朝方に採取したおにいちゃんのあれが入ってるんだもん!ひとかけらだってやるもんか!!
あなたはジャムプリンチョコレートケチャップマスタードチーズバナナ入りメロンパンでも食べてなさい!)
「もう、かわいいんだからぁ。ちょうだいよー」
沙妃「じゃあ明日たくさん作ってきてあげるから」
沙妃(もちろん何も入ってない普通のだけど。おにいちゃんの一部を使った料理を食べれるのは世界で私だけ、誰にも譲らない)

416:『いもうとの考え5』
08/01/30 01:02:30 Cp2pLT5+
「ほんと!?ラッキー」
やったね、これで明日が楽しみになった。でも本当に美味しそうだな、沙妃の手料理。
だってあんなに沙妃が美味しそうに食べてるんだもん。
沙妃(あぁ、美味い!!美味しいよぉおにいちゃぁん!
おにいちゃんの体の一部が私の中に入って私の体の一部になる…考えただけでゾクゾクしちゃう。
おにいちゃんも今頃沙妃のあれこれが入ったお弁当食べてくれてるかな…)
「そういえばさー、沙妃ってお兄ちゃんがいたよね?」
沙妃「うん、いるよ」
沙妃(もしかして泥棒猫フラグかな?殺すよ)
「私もいるんだけどさー、これがまた目障りなんだよね。沙妃のとこは仲がいいの?」
沙妃「う~ん、悪くはないけど…特別に良くもないかな」
沙妃(普通の兄妹話かな?油断はしないけど)
「じゃあさ、ある程度は仲がいいんだ?」
沙妃「うん、喧嘩とかしないし。
今の所は普通の兄妹だよ」
沙妃(今の所はね…いつかは愛し合う兄妹、愛し合う夫婦になるけど)
「ふ~ん、私なんか下着とか一緒に洗濯されるのも嫌だけどな」
沙妃「あはは、そうなの」
沙妃(バカっ!!最高じゃない。パンツは、いろいろな使い方あるんだよ)
「たまにいやらしい目で見てくるしさ」
沙妃「それはちょっと困るね」沙妃(クソォ!!そんな目で見られたこと一度も無いよ!!
いいないいな~羨ましい)
「いつ襲われるかヒヤヒヤしてるよ」
沙妃「流石に襲われたりはしないよ」
沙妃(私は襲われたくてヤキモキしてるけど…むしろ襲いたくてウズウズしてるけどね)
「あっ、純情な沙妃の前でこんな話してごめんね~」
沙妃「もう、みんなして純情純情ってからかって」
沙妃(そんなことよりどうやったらおにいちゃんから襲われそうになれるか教えてください)

417:名無しさん@ピンキー
08/01/30 01:05:31 Cp2pLT5+
以上です。

418:名無しさん@ピンキー
08/01/30 01:32:12 zKhz1cSt
超GJ!!
弁当に何を入れたのかが一瞬わからなかったんだけど、爪とか毛とかだよな常識的に考えて

419:名無しさん@ピンキー
08/01/30 01:43:42 bztzgJwb
作中のスパゲティに風呂の残り湯を使ってるかもしれんぞ?
同じく作中のパンツの精液も卵焼きや空揚げの下味にされてるかも。

420:名無しさん@ピンキー
08/01/30 02:05:27 ytF3ruAx
シチュエーションとしておもしろいんだけど、
風呂の残り湯とか言われるとそれは衛生的にどうなんだろうとか思ってしまうなw

421:名無しさん@ピンキー
08/01/30 02:58:59 Rjd5rwgQ
一応毛とか浮いてたらアレだからろ過とかしてるんジャマイカ?

422:名無しさん@ピンキー
08/01/30 04:46:56 1X1ufeZ3
GJ!
しかし、この子はいったい何を「実行」したんだろうなw

423:ハルとちぃの夢
08/01/30 14:23:13 8YpVJ32i
投下します。

今回、妹二人は出てきません。

424:ハルとちぃの夢
08/01/30 14:25:08 8YpVJ32i
 「何で電話してくれなかったんですか!」

 繁華街の外れにある古臭い喫茶店、康彦のバイト先だ。
 その日、バイトに出た康彦は、事務所に顔を出すなり、後輩の岡野鈴にそう怒鳴られた。

 「何回も電話したんですよ!それなのに、一度も電話に出てくれないし、かけ直してもくれないなんて…」
 「ヒドいじゃないですか!」
 一歩一歩と歩を詰めながら、唾でも飛ばしそうな勢いで鈴が康彦に食ってかかる。
 「ゴメン、ゴメン!昨日は何かと忙しかったから」
 電話はなかったような、そう思いながらも康彦は素直に頭を下げた。
 鈴は納得がいかないらしく、何やらぶつぶつと文句を言い続けている。
 だから、聞いた。
 「で、何の用だったの?」
 昨日は自分も鈴もバイトが休みで、特に用事が思い当たらない。

 「えーと、それは…あのですねぇ」
 不思議と言い淀む鈴、この後輩がこんな態度をとる時の用件は一つだ。
 「ひょっとしてシフトの事」
 「…そ、そうです、そうです!」
 康彦の言葉に、鈴が強く頷く。
 それを見た康彦はシフト表を確認すると、次週の土曜に、自分が休みで鈴が出勤になっている日があるのを見つけた。
 「来週の土曜?」
 「そうそう、来週の土曜ですよ!」
 「お祭りの日だね」
 「お祭りですよ、お祭り!」
 「良いよ、彼氏さんと楽しんでおいでよ」
 「そうそう、彼氏さんと彼氏さんと…、…へっ?彼氏?」
 最後に鈴が間抜けな声を出した。
 その土曜にあるお祭りは、縁結びの神様を奉ったお祭り。いい年して独りで参加する人間は先ずいない。

 「彼氏って…私、彼氏なんて…」
 鈴が慌てたように否定するのを聞いて、康彦も考えを改めた。
 「んじゃ、彼女か」
 遥に告白した過去(断られた)を持つ相手なだけに、それも不自然ではない。
 「私は女ですよ!」
 「まぁ、彼氏さんでも彼女さんでも真ん中さんでもいいや」
 康彦の言葉に鈴が激昂するが、特に気にする事なく言う。
 「マスターには俺から言っておくから、恋人さんと楽しんでおいでよ」
 康彦はそれだけ言うと、時間に間に合わなくならないよう、更衣室に着替えに向かった。
 「私…恋人なんて…いないのに…」
 そう涙目になっている鈴に気付かずに。


425:ハルとちぃの夢
08/01/30 14:26:53 8YpVJ32i
 その日のバイトが終わり、康彦は早足で帰宅をしていた。
 正直に空腹である。
 バイト先である喫茶店でも食事を取れない事もないのだが、そこで空腹を満たして家の食事が食べれなくなる訳にはいかなかった。
 以前にそうした事がある。
 その時の智佳の哀しそうな眼、遥の非難めいた態度、その日は正しく、針の筵だった事は忘れようとしても忘れられない。
 一刻も早く家に帰り、空腹を満たしたかった。
 が、そうはいかなかった。

 「待ってましたよ、お兄さん」
 昨日と同じ場所であの女子高生に又、捕まった。

 康彦はその姿を見た時、唖然とする他なかった。
 確かに今日も待っているとは言っていたが、バイトが長引いたせいか、今は既に10時近くになっている。
 ”この子は一体何がしたいんだろう?”
 「私はあの二人の恋愛成就の為なら、何でも出来ますから」
 こちらの考えを読んだかの如く、女子高生が静かに口を開く。

 「さぁ、携帯の番号を教えて下さい」
 「お、俺の携帯の番号なんて知ってもしょうがないと思うよ?」
 手を差し出してくる女子高生、何故だか一歩引いてしまう康彦。

 「しょうがない事はないですよ、有効活用させて貰いますから…」
 「それとも、やはり二人の邪魔をするおつもりですか?」
 「そんな訳が…」
 「じゃあ、早く教えて下さい!」
 不思議な迫力、表し難い雰囲気を纏いながら言う相手に抵抗出来る訳もなく、康彦は携帯の番号を教えてしまった。
 「これでお兄さんが何かしたら、すぐに行動を起こせます!」
 康彦の携帯番号を聞くと、女子高生は不気味な笑みを浮かべながら去っていった。

 その後ろ姿を見ながら、康彦は思う。
 ”ハルも少しは付き合いを考えた方が良い”
 と。

426:ハルとちぃの夢
08/01/30 14:29:22 8YpVJ32i
 「また勘違いされちゃったよぉ」
 岡野鈴が涙目で電話を掛けている。
 「声が聞きたかっただけなのに…何で、なんで恋人いるなんて思われちゃうのぉ!」
 切実に懸命に電話相手に訴える。
 「ハァ、あんたはおんなじような間違えを何度繰り返せば気が済むのよ?」
 電話相手が呆れたような声で返す。
 「そんな事、言われても…私だって好きでやってる訳じゃないし…」
 電話相手の言葉に鈴が呻くような声で答える。
 「ハァ…」
 鈴のそんな言い方に相手の人物はまた、深い溜め息をつく。
 今、鈴が相談している相手は、中学時代からの親友である遠藤早紀だ。
 互いに気があった為か、別々の高校に進学してしまった今も変わらぬ付き合いを続けている。

 「その前に、あんたはホントにその先輩のコトを好きなの?」
 度重なる失敗談を聞かされ続けているせいか、そんな疑念を鈴にぶつけて見た。
 「想ってるに決まってるよ!三年前から、…楓先輩が生きてた時から変わらないんだから!」
 勢いよく鈴が反論してくる。
 が、早紀は落ち着いて一つ一つを問い詰めるコトにした。
 「勇気を出した告白を相手の妹にして?」
 「妹さんいるなんて知らなくて…家から出て来たのが偶然、そうで…」
 「ラブレターを出せば水に濡らして脅迫文に?」
 「大事に大事にしまっておいたハズなのに…」
 「一緒に遊びに行く約束はドタキャンして?」
 「ホントにその日にお婆ちゃんが死んじゃったり、風邪で肺炎になったりしたんだよぉ!」
 「それで今度は、声を聞こうしたら彼氏がいるなんて言っちゃうワケ?」
 「いるなんて言ってないよぉ!ただ勘違いされただけで…」
 鈴が泣き出していたのは、早紀にも分かった。

 「もう諦めたら?」
 「いや!」
 親友を気遣かって言った早紀の一言に、鈴は即答して怒鳴る。
 「でもねぇ…、そこまで失敗した上に、その先輩とやらは死んだ恋人の事を今でも想ってるんでしょ?」
 「う…うん」
 力のない鈴の返事。
 死んだ人間を何時までも想うなど、早紀には情けない男にしか思えないのだが、鈴にとってはそこが良いらしい。

 「今度会った時に話しよ?その方が良い対策も浮かぶだろうし」
 そう言って、後日に遊ぶ約束を取り付けると、電話を切った。
 一度、その先輩とやらに会っておかなくてはイケない、
 そう決意していた。


427:ハルとちぃの夢
08/01/30 14:31:06 8YpVJ32i
 ちょうど鈴との電話が終わった時に、早紀の妹である久美が帰ってきた。
 自分と違い、優等生である妹がこんなに遅い帰ってくるのが珍しく、それだけに気になって、妹の元に向かった。

 玄関には、二日続けて康彦に絡んできた女子高生が立っていた。
 「あっ、お姉さん。ただ今帰りました」
 早紀の姿をみるなり、女子高生、久美が礼儀正しく挨拶をする。

 固っ苦しい、久美の姿を見て早紀が思う。
 自分で失敗したせいか、両親に厳しく育てられた為、久美の言動全てが早紀には堅すぎるように思う。
 
 「どうしたの、今日は?珍しいじゃん、こんなに遅くなるなんて」
 思ったままの疑問を久美にぶつけると、久美は口許に嬉しそうな微笑みを浮かべて言う。
 「何時かにお話しした姉妹の事で大切な事がありましたもので…」
 「前に話した姉妹…?あー、あんたの友達で姉妹恋愛してるっていう?」
 「はい。彼女達の事です」
 妙にイキイキと答える久美に、早紀は呆れるしかなかった。
 身内、更に同性での恋愛などおかしい、早紀にはそう思えるが、久美は違うらしい。
 相談をされたワケでもなく、その現場を目撃したワケでもないのに、雰囲気、それだけの理由でそんな事を考える久美の心理が早紀には分からない。
 そんな願望を持っているのか、とも疑ったが、あの二人だけが特別なんです、と答える辺り、そうでもないようだ。
 厳しい教育を受けたせいでどこかが狂った、そう考えるより他になかった。

 「ま、適当に頑張って」
 投げやりに言う早紀にも、まるで動じた様子もなく、久美が呟く。
 「えぇ、頑張りますよ」
 「今日、とても素晴らしい物が手に入ったのですから」
 久美の顔には満面の笑顔が浮かんでいた。


428:ハルとちぃの夢
08/01/30 14:33:26 8YpVJ32i
投下終了です。

これで登場人物が出揃いましたので、次から話が進むと思います。

429:名無しさん@ピンキー
08/01/30 14:54:35 Ni2tCrET
GJ!
先がものすごく楽しみです。

430:名無しさん@ピンキー
08/01/30 16:12:50 vjmd2voz
GJ!!積極的に動きそうなキャラがわんさかだからどう展開するか楽しむです

431:名無しさん@ピンキー
08/01/30 18:09:16 EcCQzAhu
これプロット考えた人と書いてる人って別人?



だとしたらすごいよな

432: ◆busttRe346
08/01/30 21:20:45 vjmd2voz
監禁トイレ四話投下します。

433:監禁トイレ④-1
08/01/30 21:21:27 vjmd2voz
「私は摩季。角倉 摩季(かどくら まき)。こっちは私の弟。達哉って言うの」
摩季と名乗った少女はほら、と後ろに隠れた少年を双子の前に押し出す。
「角倉 達哉(かどくら たつや)…」
少年はそれだけ呟くとまた摩季の後ろに引っ込んでいった。
「私は萌。こっちが蕾」
双子の片割れが話す。
「ホントにそっくりねぇ…」

摩季は感嘆の意を込め呟いた。
互いの親はその光景を眺め、時折目が合うとどちらともなく微笑む。それは彼らが「家族」となる五か月前の話。





434:監禁トイレ④-2
08/01/30 21:22:54 vjmd2voz
夢というのは不思議なものだ。
夢を見ている間はどんな事も納得してしまう。それがどんなに理不尽でも。
だからこれは夢だ。こんなものは夢に決まっている。萌姉ちゃんが僕の頭をべろりとめくる。中身を舐めながら僕の脇をくすぐる。
頭の中身がお目見えしているのだ、痛いはずだ。なのに僕には脇のくすぐったさしか感じられず大声で笑いだす。上を向いてげらげら笑っていると、空中に蕾がいた。天井からロープで首を吊り、体育座りの姿勢で。
そう、これは夢だ。
夢に決まってる。
蕾がこちらを向く。
「夢じゃないよ!」
物凄い声量だった。萌姉ちゃんが頭に向かって叫ぶ。
「夢じゃないよ!!」
頭が、割、れ、る、



――最悪の目覚めだ。夢というのは往々にして意味不明なものだが、今回のはぶっちぎりの自己ベストだ。
「あらら、汗びっしょりじゃないですか」
ハンカチで汗を拭う萌姉ちゃん。


萌姉ちゃん…?


顔をまじまじと見つめて…
意味が無かった。
改めて目の前に立つ女の全身に視線を巡らす。
スニーカー、インディゴのデニム。
だが上に羽織っているのは厚手のパーカーだ。頭はキャップを被らず、後ろで長い髪を括っている。ルというやつだ。
右の壁に目をやれば、もはや見慣れた格好の萌姉ちゃんがキャップを深く被り座っていた。

「お前…蕾か」


435:監禁トイレ④-3
08/01/30 21:26:16 vjmd2voz
「ええ、お久し振りです。義兄さん」
蕾。
萌姉ちゃんの双子の妹。
そして僕の義妹でもある。
「大丈夫ですか?かなりうなされてたみたいですけど」
「大丈夫に見えるか?」
「それだけ言えれば充分でしょう。ただ…一応薬品は薬品ですからね。体に異常を感じたらすぐに言ってくださいね」

や、薬品…!?

「あ」
ハンカチに染み込んでいたアレか。
「何使ったんだ…クロロホルムか…?」
「クロロホルムは危険ですよ?ドラマでは良く使われてますけどね。まぁ…使って欲しいと言うのなら使いますが…」
「使うな。何も使うな。大体眠らせる必要なんかないだろ!」
そもそも何処で手に入れたのだろうか。
「…義兄さんは女性の排泄行為を見て興奮する特殊性癖の持ち主ですか?五年ばかりで随分変わりましたね。この変態。鬼畜。」

…また鬼畜と言われた。

「ふざけるな!理不尽だろうが!僕が目をつぶれば良いだけの話じゃないか!!」
「潰してほしいんですか?」
「…」
問答では敵わない。昔から可愛げのない義妹だ。
本当に。

本ッ当に。


436:監禁トイレ④-4
08/01/30 21:27:17 vjmd2voz
「なぁ、何でこんな事する必要があるんだ?わざわざ監禁する必要もないだろ?」
家に押しかけてきて「どっちか選んで!!」考えるだけでげんなりする状況だが、それでも現状よりはマシだろう。
「人目の無い所でやりたかったんです。只でさえ、義兄さんの周りにはお節介な人間が多いですから」
親父と花苗さんか。場合によっては姉さんも。
「場所も教えてくれない。連絡すら取らせてもらえない。義兄さんに好意を抱く人間としての、普通のラインにすら立たせてもらえない。悲しかったですよ」
「…昔は普通のラインに立っていただろう。そこから外れたのはお前自身、姉ちゃん自身じゃないか」
「どれの事を言ってるんです?アドレスを交換した早紀さんですか?それとも告白してきた結衣さん?ああ、お母さんもいましたね。義兄さん、あの女達はね、努力が足りなかったんですよ。それに実力も。
恋の駆け引きはレースみたいなものです。ゴールは義兄さん。ゴールまでの道は本人次第です。戦うもよし、己を磨くもよし。自分の正しいと思った事を実行するだけ、です。恋は貫くもの、愛は手に入れるもの、ですよ」

僕は、他人を傷つける事を努力とは思わない。


437:監禁トイレ④-5
08/01/30 21:30:35 vjmd2voz
「花苗さんは違うだろ。お前らの勘違いじゃないか…!!腫れ上がるまで殴って…。実の母親にあそこまでする必要なんか…絶対にない」
「義兄さんは悲しかったですか?」
「僕じゃない!今は花苗さんの…」

「義 兄 さ ん は 悲しかったですか?」

蕾の口調はあくまで冷静だ。姉ちゃんとは異種の威圧感。姉ちゃんが炎なら蕾は氷。程度が過ぎればどちらも人を死に至らしめる。その程度を、とっくに振り切っているのがこの姉妹。
「…か、悲しかったよ。だからちゃんと謝ってやってくれ。今すぐでも良い。この手錠をほどい」
「嫌です」
「…」
字数は増えても拒否は拒否。
「義兄さんは分かってないんですよ。あの女がどれだけ劣悪で薄汚くて狂った感情を義兄さんに抱いていたか。
あと当然ですが手錠は外せません。こうやって捕まえておかないとふらふらと何処かに行ってしまうんですから。幾つになっても心配で心配で放っておけません」
蕾にはそんな風に見えるのか。二十歳になってまでそんな事を言われると、何だか無性に切なくなる。

「…まぁ、そこが可愛い所でもあるんですけど」

「え?今何て言ったんだ?」
「何でもありませんよ、どうぞ気にせず自己嫌悪に浸っててください」

438:監禁トイレ④-6
08/01/30 21:31:50 vjmd2voz
「…」
「…」
しばしの沈黙。何故か蕾も居心地悪そうだ。
「な、なぁ、結局コレはいつまで続くんだ?」
僕は手錠を指し、問う。
「義兄さんが私を選んでくれるまでです」

…君達、相手が選ばれる場合の事は考えてないのね…。僕にはどちらも選ぶ気も無いのに。

「何日もこんな事してられないだろう?親父や花苗さんだってすぐに気付くぞ?」
「気付いた所で何も出来ませんよ、あの人達は」
ニヤリ。
こんな擬音が似合う笑い方だ。さっきまでの思考が舞い戻ってくる。そう、二人とも『普通』の程度をとっくに振り切っている。




嫌な予感がした。




「お義父さんもお母さんも死んでますからね」


439: ◆xhNuqCltig
08/01/30 21:32:42 vjmd2voz
投下終了です。

440:名無しさん@ピンキー
08/01/30 21:37:20 p0EISyRZ
やはり両親は…次が楽しみだ。
なんにしろGJ!

441:名無しさん@ピンキー
08/01/30 22:22:41 rjnCgpVD
正直このスレでこんな事をいうのはスレ違いかもしれんが

つくしてMyシスターズというエロゲが素晴らしいぞ
極上のキモ姉、キモウトがでてくるマジお勧め

変態でサーセン

442:名無しさん@ピンキー
08/01/30 22:24:05 ibAjsYAl
宣伝乙
と言う

443:名無しさん@ピンキー
08/01/30 22:29:51 rjnCgpVD
やっぱそうなるよなw
うんごめん、専用スレだとキモ姉、キモウトについては語れないからさ・・・
どこかにこの気持ちをぶつけたかったんだ申し訳ない

444:名無しさん@ピンキー
08/01/30 22:58:05 FtM7oYax
投下ラッシュはとても嬉しいのだがー
それぞれの作品が頭の中で混ざって混乱中w
どれも好きな作風なのでしっかり読んでます

445:名無しさん@ピンキー
08/01/30 23:06:21 FAgCKwm1
>>444
実に贅沢な悩みだ

446:名無しさん@ピンキー
08/01/30 23:08:02 FAgCKwm1
あげちまったスマン

447:名無しさん@ピンキー
08/01/30 23:11:44 +k4idsab
おれはある程度たまってからまとめで読むようにしてる

448:名無しさん@ピンキー
08/01/31 00:32:39 BCDga1xv
♪どうせ私はキモい姉貴 わかっちゃいるんだ弟よ
いつかお前の喜ぶような 偉い姉貴になりたくて
奮闘努力の甲斐もなく 今日も弟の
今日も弟のパンツ嗅ぐ パンツ嗅ぐ

449:名無しさん@ピンキー
08/01/31 00:35:16 Ui0qU0DX
>>441
月刊キモウト通信
「兄以外の男に犯されたら自害せよ」

450:名無しさん@ピンキー
08/01/31 00:54:19 hUrY77Sx
>>449
「週刊LMB」「月刊キモ姉」とかはある?

もっともキモウトなら
「(兄以外に)犯される前に殺れ」だよな

451:名無しさん@ピンキー
08/01/31 02:06:35 tKog6Jzj
実際にブラコンがこのスレ見たらどう思うんだろ?

452:名無しさん@ピンキー
08/01/31 02:17:47 BD8LBoXu
ブラコンのレベルにもよるだろう

453:名無しさん@ピンキー
08/01/31 03:13:50 +iedtExc
覚醒するんジャマイカ?

454:名無しさん@ピンキー
08/01/31 09:38:23 wMmw6/9q
>>284の続きを投下します。

素晴らしい作品が続く中、投下するのがお恥ずかしい限りです。
次の方の投下までのつなぎ程度に読んで頂けると幸いです。

455:いもうと
08/01/31 09:39:58 wMmw6/9q
私は二限目が終わると同時に、鞄を持ってトイレに駆け込みました。
個室に入り鍵を閉めます。
逸る気持ちを抑えて鞄を開け、黒のトランクスを取り出しました。
既に頬は紅潮して鼓動が高まっており、体が火照っているのが自分でもわかります。
朝から我慢してたんです、仕方ないですよね。
授業中も兄さんのことしか頭にありませんでした。






手を秘所に伸ばすと、そこはどろどろに蕩けていました。
トランクスを顔に当て息を吸い込み、兄さんの匂いを体中に沁み込ませます。
それだけで、とぷとぷと新たな汁が生まれて来ました。


(兄さん、兄さん)

秘所にあてた指をクチュクチュと動かすと、あっという間に絶頂を迎えてしまいました。




快楽の余韻に浸っていたい所ですが、愛しい兄さんが待っているためすぐに動かなければなりません。
鞄から瓶を取り出し秘所にあて、残った愛液を全て集めました。
兄さんのお弁当からほうれんそうを取り出して液に浸します。
ほうれんそうの「おひたし」の完成です。
同じようにおかず全てを液に浸し、最後に調味料で味を調えて今日のお弁当が出来上がりました。




衣服を整えて鏡を覗きます。
まだ頬には赤みが残り、瞳も潤んでいますが、一秒でも早く兄さんに会いたいので、
急いで兄さんの教室に向かいました。


456:いもうと
08/01/31 09:42:10 wMmw6/9q
授業の終了を告げるチャイムが鳴る。
担当教師が出て行くと教室の空気が緩んだ。
我先にと購買へ疾走する者、弁当を持って友達の席へ移動する者、何故か問題集を広げる者……
昼休みの過ごし方は人それぞれである。

僕もお腹が空いているが、美鈴が弁当を持ってくるまで待ってないといけない。
美鈴はいつも、授業が終わって10分程でやって来る。






空腹で何もする気になれないので机に突っ伏していると、頭の上から声をかけられた。

「何寝てんだよ。折角の休み時間を無駄にするでない。」

「休み時間のために授業中寝てる人には言われたくないね。」

「これから美鈴ちゃんに会おうってのに体力つけておかなくてどうすんだよ。」

「体力って運動するわけでもないのに?」

「運動だよ。熱く激しい愛の営みを「はいはい。」

親友の高槻瑞希がやって来る。
既に妄想全開の瑞希は、ぶつぶつ言いながら僕の隣に座った。
ちなみに、美鈴のことを「透き通るような白い肌、肩で揃えた艶やかな(ry」
と言っていたのは瑞希である。

「それより遅いな美鈴ちゃん。まだ来ないのか?」

「美鈴には美鈴の生活があるんだよ。もう来るだろうからおとなしく待ってなって。」

「うぅ、待ちきれないぜ。」

チラチラと教室の外に目をやる瑞希を尻目に、トイレに行こうと立ち上がる。

「どこ行くんだよ。まさか俺に隠れて美鈴ちゃんと二人で「トイレだよ。」




教室を出ようとした瞬間、背後から声をかけられる。

「瑞垣くん、ちょっといいかな?」

振り向くと、クラスメイトの清水さんが立っていた。

「ん、どうしたの?」

「うん、ちょっと話があって。屋上まで来てくれるかな?」

もう少ししたら美鈴がやって来るだろうけど、少しだけなら問題ないだろう。
そう考えた僕は、清水さんの後について教室を出た。




457:いもうと
08/01/31 09:52:03 wMmw6/9q
兄さんの教室を覗きましたが、そこに兄さんはいませんでした。
高槻先輩が私に気づいて、こちらにやって来ます。

「やっほー美鈴ちゃん。今日はいつにも増して色っぽいねぇ。」

「褒められてる気がしません。ところで兄さんどこ行ったか知りませんか?」

「あぁ、トイレ行くって言ってたけど。まぁすぐ帰って来るでしょ。」

「そうですね。」



私は兄さんの席に腰掛けます。
椅子はまだ温かく、兄さんの温もりを感じることができました。
自然と表情が緩むのが自分でもわかります。


(兄さん、早く帰って来て美鈴を味わってください。)

心の中で呼び掛けながら、私は兄さんが戻ってくるのを待っていました。



458:いもうと
08/01/31 09:55:53 wMmw6/9q
屋上には誰もいなかった。
普段はパラパラと人がいるんだけど。
今日は寒いし風も強い、こんな日にわざわざ屋上に出る物好きはいないのだろう。
目の前にいる清水さんに視線を戻す。
清水さんとは、ほとんど話をしたことがない。
一体僕に何の用だろう。

「話って何かな?頼みごとか何か?」

「え、えっとね……その……いきなりあれなんだけど……」

どうしたんだろう。
清水さんは真っ赤になっておどおどしている。
何か言ってるみたいなんだけど、俯いていてよく聞こえない。

「ごめん、ちょっとよく聞こえないんだけど。」
「ひゃっ……えっと、その……ずっと好きでした!!付き合って下さい!!」

「へ……?」

好き?僕が……?

「え、えっとその……ホントに僕?」

清水さんは黙って僕を見つめている。
何か返事をしなきゃまずい。
悲しいことに僕は女の子に告白されたことがない。
だから、こんな時になんて言えばいいのかも全くわからない。

「その……僕達あまり話したことないよね?だからなんとゆうか……
 清水さんのことよく知らないし……」
「そ、そうだよね、迷惑だったよね。ごめんね!!全部忘れて!!」

僕の返答を拒絶だと思ったのだろう。
清水さんは涙目になって、僕に謝ってくる。

「あ、いや。そういう訳じゃなくて。お互いのことわからないまま付き合っても、
 上手くいかないだろうしさ。だから友達として付き合うのはどうかなって思ったんだけど。」

僕の言いたいことが伝わるといいけど。
清水さんが不安気に尋ねてきた。

「い、いいの?迷惑じゃないかな?」
「全然構わないよ。僕、女の子の友達ってほとんどいなくてさ。
 清水さんが友達になってくれると僕も嬉しいよ。」

その瞬間、清水さんの表情がぱぁっと明るくなった。

「ありがとう!!よろしくお願いします!!」

そういって清水さんはぺこっと頭を下げる。

「こちらこそよろしくね。じゃあ教室戻ろっか。……あ。」

時計を見る。
屋上に来てから10分以上経っていた。

「ごめん、僕先戻るね!」
そう言い残して、僕は全速力で教室へと戻った。

459:名無しさん@ピンキー
08/01/31 09:56:58 wMmw6/9q
投下終了です。

460:名無しさん@ピンキー
08/01/31 12:42:06 XAZSQwTu
覚醒koeeee-

だがそれがいい!

461:名無しさん@ピンキー
08/01/31 21:03:49 e5jSQ9tb
GJ!!キモウトの「おひたし」はどんな味がするんだぜ?

462:【偏愛 第二章・里穂(前書き)】
08/01/31 23:42:57 avpWEtMR
>>459
繋ぎと言わず続けてください

でも続けて投下スマソ
前回が予想以上に好評だったので妹の側も少し掘り下げることにしました
なので妹×兄の逆れいーぷはオアズケ
しかもまだ途中までしか書けてないのにけど……
いちおう続きを書く意思はあることの証明として……
(全4レス、以下続刊)

463:【偏愛 第二章・里穂(1)】
08/01/31 23:44:12 avpWEtMR
 お兄ちゃんがおばあちゃんに連れて行かれた日、里穂はずっと泣き通しだった。
 いつもなら里穂が泣けばすぐ慰めに来る筈のママは来なかった。
 そのほうが里穂にはありがたかったけど。
 お兄ちゃんを里穂から取り上げたママの顔は見たくない。
 ママは嫌い。おばあちゃんも嫌い。
 里穂を置いてきぼりにしたお兄ちゃんも嫌い。
 里穂は優しいお兄ちゃんが好きなのに。
 ……ママが悪いんだ……
 いつからだろう。ママはお兄ちゃんに優しくなくなった。
 だからお兄ちゃんも里穂に優しくなくなった。いつも怖い顔をするようになった。
 パパが生きていた頃は家族四人が仲良しだった。
 パパが亡くなっても最初の頃はママは子供たちみんなに優しかった。
 パパの分までママが幸弘(お兄ちゃんの名前)と里穂を守るねと言ってくれた。
 それなのに……
 どうしてみんな優しくなくなったんだろう?
 夕方、里穂が泣き疲れた頃、リビングで電話が鳴るのが聞こえた。
 お兄ちゃんから電話が来る約束だったのを思い出した。
 涙を拭い、急いでリビングへ行くと、ちょうどママが電話を切ったところだった。
「間違い電話よ。失礼しちゃうわね」
 そう言ってママは笑う。
 里穂は、じっとママの顔を見つめた。
 嘘はダメといつも言っているママだけど、ママ自身も嘘をつくことがあると里穂は知っている。
 朝、おトイレの前で顔を合わせたお兄ちゃんは、ほっぺたを腫らしていた。
 前の日の夜はパパの書斎に電気を消して閉じ籠もっていたので気づかなかった。
「どうしたの!?」
 びっくりして訊ねた里穂に、お兄ちゃんは最初「何でもない」としか答えなかった。
 それで里穂がママにお兄ちゃんのことを話すと、ママは言った。
「お友達と喧嘩したんでしょう。放っておきなさい」
 でも里穂は心配だった。お兄ちゃんが痛そうだったから。
 それでもう一度、お兄ちゃんに言った。
「ほっぺたのこと、ちゃんとママに言った? お医者さんに連れて行ってもらおうよ」
「あの女が自分で殴ったのに、医者に連れて行くわけないだろッ!」
 その答えは里穂にはショックだった。
 お兄ちゃんがこんなことで嘘をつくとは思えない。
 でも、ママがお兄ちゃんをぶったとも思いたくなかった。
 何か理由があったんだ。ぶたれちゃうほどママを怒らせることをお兄ちゃんがしたのかも。
 だけど、どんなに悪いことをしても、ほっぺたが腫れるほどお兄ちゃんをぶつなんて……
 里穂のせい?
 里穂が勝手にお兄ちゃんを捜しに行って、遅くまでおうちに帰らなかったから?
 でも原因は何であれ―ママは自分でお兄ちゃんをぶったのに嘘をついたのだ。

464:【偏愛 第二章・里穂(2)】
08/01/31 23:45:23 avpWEtMR
 いまもまた嘘をついたのかも。本当はお兄ちゃんからの電話だったのに。
 ……ママは嫌い……
 里穂は涙がこみ上げてきたが、それに気づかなかったようにママは微笑んだ。
「ちょうどよかったわ里穂、お話があるの。こっちにいらっしゃい」
 ママは里穂をソファに座らせて自分も隣に腰掛けた。
 里穂の手をとり、言った。
「ママはね、病気なの」
「病気?」
 里穂はびっくりした。ママが嫌いだなんて気持ちは吹き飛んだ。
 ママは里穂の眼を見つめて、
「胸が痛くなる病気よ。里穂のことが心配で」
「里穂が心配で……?」
「里穂はパパに甘えられない代わりに、お兄ちゃんにべったり甘えてるでしょう?」
「……違うよ……」
 お兄ちゃんとパパが違うことくらい里穂はわかっている。
 パパが生きていた頃から里穂はお兄ちゃんが大好きだった。お兄ちゃんはパパの代わりではない。
 でもママは首を振り、
「違わないわ。里穂は甘える相手が欲しいの。まだ二年生だし仕方ない部分もあるけど」
 里穂の両肩に手を置いて、
「いつまでも甘えん坊さんじゃパパも安心して天国に行けないでしょう?」
「パパ、まだ天国に行ってないの?」
「そうよ。甘えん坊の里穂が心配だから」
「里穂、甘えん坊じゃないよ……」
「だったらもうお兄ちゃんのことで泣かないで。パパだけじゃなくてママも里穂が心配なのよ」
 里穂は何も言えなくなった。
 パパが天国に行けないと言われて何の反論ができるだろうか。
「言うことを聞かないお兄ちゃんが、おばあちゃんのおうちに行って、ママの胸が痛いのも少し楽になるわ」
 ママは里穂の頭を撫でた。
「だからママ、働きに出るの。里穂と一緒に美味しいものを食べたり、里穂が欲しいものを買ってあげるため」
「里穂、欲しいものなんてないよ……」
 お兄ちゃんと一緒にさえいられるなら物なんて欲しくない。
 でも先回りするようにママは微笑んで、
「里穂はいい子ね。お兄ちゃんのこと以外では我がまま言わないものね」
 お兄ちゃんのことだって里穂は我がままのつもりはない。
 大好きなお兄ちゃんと一緒にいたいと思うのが、どうしていけないの……?
 なのにママはお兄ちゃんを里穂から取り上げようとする。
 せっかくお兄ちゃんから毎日電話をもらえる約束なのに、ママは里穂を電話に出させてくれないだろう。
 電話に出ない里穂をお兄ちゃんは嫌いになっちゃうかも……
 それでも里穂は何も言えなかった。
 まだ幼い里穂にとってママに逆らうなど考えの及ばないことなのだ。


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