キモ姉&キモウト小説を書こう!Part8at EROPARO
キモ姉&キモウト小説を書こう!Part8 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
08/01/11 23:49:01 YssZ3d0g
■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。

SSスレのお約束
・指摘するなら誤字脱字
・展開に口出しするな
・嫌いな作品なら見るな。飛ばせ
・荒らしはスルー!荒らしに構う人も荒らしです!!
・職人さんが投下しづらい空気はやめよう
・指摘してほしい職人さんは事前に書いてね
・過剰なクレクレは考え物
・スレは作品を評価する場ではありません

3:名無しさん@ピンキー
08/01/11 23:50:59 YssZ3d0g
■誘導用スレ
嫉妬・三角関係・修羅場系総合SSスレ 修羅場の46
スレリンク(eroparo板)
ヤンデレの小説を書こう!Part13
スレリンク(eroparo板)
いもうと大好きスレッド! Part4
スレリンク(eroparo板)
お姉さん大好き PART5
スレリンク(eroparo板)


4:名無しさん@ピンキー
08/01/12 00:19:46 XrnaARgO
>>1

君にキモ姉妹の加護がありますよう…

5:『いもうとのかんがえ④』
08/01/12 02:19:07 o49yR/rP
テレビの音しかしないリビングに二人の男女が居た。
一人はこの家の長男、ぼんやりとテレビを見ている。
もう一人はその長男の妹、やはりぼんやりとテレビを見ている。

ふぁ~眠い。もう寝ようかな…。てかまだ9時だけど…相変わらず俺は眠たくなるの早いな。
病気かな…、いや、ただ単にお子様なだけかも。
沙妃(よしよし、おにいちゃんが眠たそうになってきたぞ。
寝たらいっぱい悪戯してあげるから早くお寝んねしまちょーね)
「ふぁぁ…眠い」
沙妃「もう?相変わらず眠たくなるの早いね」
「そうだな…寝ようかな………あっ、この後みたい番組があったんだ。よし、頑張って起きてよ」
沙妃「起きてられるの?」
「大丈夫、どうしても見たいからな。悪いけどコーヒーを一杯」
沙妃「濃いめのにしようか?」
「おう」
沙妃「ちょっと待っててね」
相変わらずいい妹だな。妹じゃなかったら結婚したいくらいだぜ。
沙妃(もぉう、焦らすんだから。
コーヒーにたっぷりとあの薬を入れてトドメにしてやろうかな…。
まぁいいや、眠いのに頑張って起きてるおにいちゃんの姿がかわいいから入れるのは私のアレだけにしとこう)
しかし、妹と結婚したいくらいって…俺も落ちぶれてるな。
まぁ妹に結婚を申し込んでも無理だろうけどな…。
俺のこと恋愛対象として見てる訳がないもんな。
………いや、でも去年のクリスマスのとき一緒に出かけられて嬉しそうにしてたな…。
案外お兄ちゃん大好きなキモウ…いやいやまさかな!
沙妃に対してなに失礼なこと考えてんだ俺。俺こそキモ兄だぜ。ホント気持ち悪いり。
沙妃「はい、コーヒー」
「おう、さんきゅ」
こんなにいい妹がブラコンを通り越したアレな訳ないよな。
そもそも普段から俺に興味を持ってる素振りなんか全然ないし、普通の何処にでも有りそうな特別仲がいいわけでも悪いわけでもない平凡な兄弟だし。
俺相手に変なこと考えてる顔をしてないもんな。

6:『いもうとのかんがえ④』
08/01/12 02:20:41 o49yR/rP
沙妃(うへへ、おにいちゃんがさっきから私の方をチラチラ見てるぅ。
なになに?犯したくなっちゃったの?
犯してぇぇぇ!!私の穴という穴を朝までズッコンバッコン!
そして朝日に照らされながら『お前はもう未来永劫俺の肉便器だ!』って言ってぇぇ!!
もしくは『へへ、なに感じて腰振ってんだよ!?このメス豚!おらっ!気持ちよかったらブヒーって言え!!』ってな感じで責め立ててくださいお願いしますぶひ)
でも妹が恋人だったらいいのにな~、清楚で純情そうだし。
なんで恋人作らねえんだろうな?奥手なのかな?あり得るな…エロイ事とかほとんど知らなそうだもんな。
沙妃(まぁ犯されるのもいいけど犯すのもいいよね。寝ている隙にベットに縛り上げて朝までズッコンバッコン!
それで体だけじゃなく言葉でも『なにコレ?あんなにやめろって言っときながらなぁにこれは?どうしてコレがこんなに大きくなってるのか私には全然解んないよぉ』とか
『こんな汚い精子を実の妹の膣内に出すなんてホントに変態だねおにいちゃんは…この鬼畜兄貴が!!』とか
『おに~いちゃん!沙妃のアソコの中は気持ちいいですか~?さっきからビクビク動いてますよぉ~?…えっ?やめてくれって?あははははっ!!やぁぁぁだ!やめてあげなぁい』とか
『ホラ!気持ちいいんでしょ!?どこが気持ちいいの言ってごらん!!なにが誰のどこに入って誰のどこが気持ちいいのか言ってみなよ!!ホラ早く言わないとまた中に出しちゃうよ!?実の妹を孕ませる気!?言っちゃいなよ!
あっはははは!!よくもそんなこと言えたね?言っちゃったね?じゃぁ今度は妹の膣内でイッちゃおう!!』って感じに責めまくりたいよぉ。
それで朝日に照らせながら『おにいちゃんは誰もの?おにいちゃんの側に一生いるのは誰?』って質問して永遠の愛を誓わせたい!!
ってこんなに妄想してたらパンツがプールから上がった直後の海パンみたいになっちゃった)

7:名無しさん@ピンキー
08/01/12 02:22:27 o49yR/rP
以上です。
>>1
キモ姉を書こうとしたけど無理だったorz

8:名無しさん@ピンキー
08/01/12 02:32:35 r7xGQXJx
>>1おつ
>>7GJ
このシリーズ大好きです

9:名無しさん@ピンキー
08/01/12 03:02:08 uTOlwwH+
>>1
乙!

>>7
鈍感兄とシャイなキモウトの微妙なすれ違いがw
GJ!
この調子で続けてください!

でも一つツッコミ。女の子なら「海パン」でなく単に「水着」と呼ぶのでわ?(汗

10:名無しさん@ピンキー
08/01/12 07:48:12 WPL0JEe4
>>9
女の子が海パン履いて何が悪い?

11:名無しさん@ピンキー
08/01/12 08:14:19 dXFe86os
>>1
>>7乙。おっきした

12:名無しさん@ピンキー
08/01/12 13:59:13 83bS0+VN
>>7
このシリーズは大好きだ GJ!!

13:名無しさん@ピンキー
08/01/12 16:37:58 HzKsO3tu
>>7
このシリーズはあれだなw兄の一人称で「妹のかんがえ」がわかるのが面白すぎるw

14:妹オプション。1/2
08/01/12 16:38:49 HzKsO3tu
靴が、揃えられていた。
味気のない、極ありふれた、女性もののローファーズ。
隙間なく並べ置かれたそれは、どこか慎ましやかな印象を与えるが、
 その存在感たるや、少年が─姫川ゆみなが、何も言わず、枢へと踵を返すほど。
一筋、二筋と、頬を、伝う冷や汗がくすぐる。
─何故、こうも粗忽なまねをしてしまったのか。
固唾を飲んだゆみなを、自責の念が責め苛む。
しかし、今、ゆみなの取るべき行動は一つ。
逃げ出すこと。逃げ果せること。

「…ごめんね、とおみ」

一言、呟き。
逡巡に閉じられた双眸を開き、決意の色を滲ませる。
そして。

「そっち、違う」

ゆみなにとって、考え得る最悪の展開が、少女─姫川とおみの言葉によって訪なわれた。

15:妹オプション。2/2
08/01/12 16:39:49 HzKsO3tu
─。
高校への通学の問題で、ゆみなは実家から離れた街の、貸家に居を置いている。
離れているとは言えども、自動車で二時間余りの距離なのだが、
 それを許容することのできない人間がいたのである。

「とおみ…そろそろ、離れてくれないかな…?
  僕、夕飯の支度をしなきゃいけないから、ね?」

それが、彼の妹。とおみ。
口数や表情の変化に乏しく、言葉にして表すことはしないが、弩が付くほどのお兄ちゃん子で、
 先ほどから、ひと月ぶりの兄の感触、体温、温かさを玩味するように抱きついて、離れない。
振り払おうにも、何分、身長165センチメートル余りのゆみなと、
 身長180センチメートル弱のとおみでは、その身に許され、揮える力の、桁が違う。

「だめ。兄さん」

この、オーストラリアの有袋類ライクなスキンシップによって、
 “前のとき”は、3キログラムほど、ゆみなの体重が落ちた。
一泊二日で、である。
と言うのも、大リーグボール養成ギプスよろしく、スポ根タイヤよろしく、
 とおみがゆみなにいつまでもしがみついて、どこまでもへばり付いていくため、
  家事や掃除、炊事など、全てを体中の筋肉を酷使しながら行っていたのだから、当然といえば、当然。

「……むぎゅ」

重くのしかかる、体。
体から力を奪う、温もり。
ゆみなが、荒唐無稽な変化球を投げることができるようになる日も、そう遠くはないかもしれない。

つづく。

16:名無しさん@ピンキー
08/01/12 16:40:42 HzKsO3tu
ちまちま今後も投下するかもしれないので、
 その時は、どうか読んでやってください。

17:名無しさん@ピンキー
08/01/12 16:54:40 aY3M7wyp
GJ

18:名無しさん@ピンキー
08/01/12 17:36:32 Lm5Ml2vh
>>16

GJっす

これは今後の展開を全裸で待たざる負えない!

19:名無しさん@ピンキー
08/01/12 18:09:23 mNEk5srm
水を差すつもりはないのですが

兄の一人称で「妹のかんがえ」がわかるんですか?
妹が兄を呼ぶ言葉なら二人称または三人称では?
一人称は自分を呼ぶ言葉なので、兄が自分をどう呼ぶかで
妹の考えがわかるというのはよくわかりません。

枢はYahooの大辞泉だと
1 開き戸を開閉するため、扉の回転軸の上下に設けた心棒の突起。
また、その突起を上下の枠のくぼみに入れて戸が回転するようにした仕掛け。
2 戸締まりのため、戸の桟から敷居に差し込む止め木。また、その仕掛け。おとし。

枢戸だと「くるるを使って開閉する戸」ですね。

20:名無しさん@ピンキー
08/01/12 18:26:23 HzKsO3tu
>>19
兄の一人称でお話が進んでいるにも関わらず、
 妹の考えがわかるという体が面白いと言ったつもりなのでしたが、
  語弊を生んでしまったのならば、ここに訂正します。
枢の用法に於いては、こちらに誤解があったようで、返す言葉が見当たりません。
ウィキ掲載分で修正させていただきます。

21:名無しさん@ピンキー
08/01/12 18:27:03 HzKsO3tu
あ、連レス申し訳ありませんが、ご指摘ありがとうございます。

22:名無しさん@ピンキー
08/01/12 18:35:13 HzKsO3tu
失念していました。
推敲の時点でミスに気付かなかったのは恐らく読みを「とぼそ」と考えていた為でしょう。
yahoo辞書、エキサイト辞書など、手ごろな辞書でお調べください。

23:名無しさん@ピンキー
08/01/12 18:46:00 3DCspKgd
URLリンク(www.yomiuri.co.jp)
これは…

24:名無しさん@ピンキー
08/01/12 18:47:18 HzKsO3tu
>>23
裁判所が襲撃されるんですね

25:名無しさん@ピンキー
08/01/12 22:42:04 Wja8wHRU
>>22必死だなwww


26:名無しさん@ピンキー
08/01/12 22:59:50 HzKsO3tu
俺…泣いてもいいかな…w

27:名無しさん@ピンキー
08/01/12 23:22:32 XrnaARgO
>>23
読んだ時にこのスレで話題が出るとは思ったけどさ…

事実、血の繋がりはあってもなぁ…
この二人が幸せになって欲しい(;_;)

28:名無しさん@ピンキー
08/01/13 00:21:47 ZBtmEHWC
>>26
次から頑張ればいいよ
期待してる

29:名無しさん@ピンキー
08/01/13 00:30:23 RYeyQeCQ
本当は特にミスを犯してないのに励まされる26って一体wwwwwwwwwwwwwwww


30:名無しさん@ピンキー
08/01/13 00:42:23 6ogpzyZj
>>29
お前は俺を弁護しているのか貶めてるのかどっちなんだよw

とにかく第二話はもそっとぼそぼそっと明日にでも投下させていただこう

31:名無しさん@ピンキー
08/01/13 00:52:35 c8PX/t8a
期待してるよ~!

32:名無しさん@ピンキー
08/01/13 06:05:18 dLHlrgqX
>>26

お姉ちゃんはあんたの味方だよ。
泣きたかったら、この胸で好きなだけ泣いていいよ!

33:名無しさん@ピンキー
08/01/13 12:38:51 6ogpzyZj
幾度となく流転生死を経て尚、未だ彼岸へ辿り往けぬ、業深き日輪が、今日も、死ぬ。
沈み逝く金烏の慟哭が、赫々たる夕照へと姿を変えて、せかいを包む、そんな、繰り返される営みの中。
虹彩を焼き焦がすかのような、赫焉とした、空火照りの“あか”とは対照的に、
 少年─ゆみなの顔には、海神のごとき“あお”が貼り付いていた。
─今月も、来たんだ。この日が。
少々品を欠く話になるが、ゆみなは男の子であり、旗日特有の体調不良に苛まれているわけではない。
言葉通り、来るのである。

「……わっ」

彼の。

「迎えに、来た」

妹が。



─。
年若い男女が、腕を組んで、道の往来を。
それも、片割の通っている学び舎の学区内を歩けば、
 好奇の視線に晒されることは、道理だった。
痛い。痒い。苦しい。そして何より、恥ずかしい。
そんな、ゆみなの─兄の内心を知ってか知らずか、
 妹は─とおみは、彼女にしては珍しく、
  控えめに、されど、一見してご機嫌とわかる、木漏れ日のような笑顔を咲かせていた。

34:妹オプション。2 2/2
08/01/13 12:39:40 6ogpzyZj
「兄さん、どうして、顔を伏せているの?」

それは、衆目がこそばゆいからだよ。
何処かの童話の狼よろしく、ゆみなは、そう心中で呟き、心持ち速めに、歩を進めた。

「……見て。影、伸びてる」

─ようやく、人通りの疎らな土手へとさしかかったとき、
   とおみが、ゆみなの瞳を見据え。─見下ろし。
    夕陽に煌く川面へ伸びた、二条の影をゆび指して、そう言った。
─そういえば、昔もよく、この子と一緒に、ヘトヘトの帰り道を、手を繋いで歩いたっけ。
もう、戻ることのできない日々たちへと、兄は思いを馳せていた。
暖かくて。幸せで。懐かしい、記憶。
それでも、不思議と寂寥の想いに駆られないのは。

「伸びて。繋がって。きらきら」

とおみが、ここにいて、心が何処か、温いから。
そうに違いないと、ゆみなは、そっと朗笑した。

「帰ろう」

少し、さっきよりも、強く腕を組んでみたりして。

つづく。

35:名無しさん@ピンキー
08/01/13 12:40:29 6ogpzyZj
33にタイトル入れ忘れましたが2/1です。ごめんなさい。

36:名無しさん@ピンキー
08/01/13 12:43:52 6ogpzyZj
>>35
1/2ですねごめんなさいorz
なんかここ最近細かいドジが多い気がする…

37:名無しさん@ピンキー
08/01/13 12:50:07 IwIOlLe/
>>36
ドンマイ&GJ!

次回をWktkして待ってます

38:名無しさん@ピンキー
08/01/13 13:45:01 c8PX/t8a
グッジョブ
早くキモウトぶりが見たいぜ

39: ◆a.WIk69zxM
08/01/13 18:15:18 v8YIn6Tc
投下します。
非エロ。10レス予定。

40:__(仮) (1/10)
08/01/13 18:18:03 v8YIn6Tc
 
 朝。いつもどおりの時間に起き、決まりきったルーチンワークのように淡々と朝の支度を行い。
そして、先に登校する椿を見送ってから、居間に戻りテレビを見やる秋巳。
 画面に映るニュースでは通り魔事件のことを扱っていた。
 犯人がまだ見つかっていない。付近の住民は十分注意してください。目撃された犯人の情報は―。
 ブラウン管の向こうからはそんな情報が流れてくるが、秋巳はぼんやりと右上に表示されている時刻を眺めていた。

 椿が兄妹ふたりの通う高校に向かってから十分後。
 それがいつも秋巳が家を出る時間であった。
 ふたりが一緒に登校することはない。妹は中学、兄は高校と通う場所が異なっていた昨年は勿論だが、
それ以前の同じ中学、そしていま同じ高校に通学するようになっても変わるものではなかった。
 それは、秋巳の配慮であり、椿の無言の承諾であったのだろう。
 通学時間は歩いて約二十分。十分程度時間差をつけて登校すればまず通学路で出会うことはない。

 秋巳が玄関を出て鍵をかけて戸締りをチェックしていると、背後から声がかかる。
「はよーす。秋巳。相変わらず、時間きっちりに登校するんだな。
 いや、時間きっちりなのは椿ちゃんか」
 門の向こう。半分開いた門扉をさらに押し開ける水無都冬真。
「おはよう。冬真。ひょっとして待ってたの?」
「んーにゃ。ま、三十秒くらいは待ったかもしれないけどな」
 欠伸を噛み殺しながら水無都冬真が応える。
「今日は、早起きしたんだ」
 水無都冬真が学校に来る時間は、大体いつももっと遅い。時折早く登校することがあり、そのときは大抵一緒に通っていた。
それも、通学途中に秋巳の家があるという事情だけで、特段ふたりで一緒に登校しようといった約束は結んでいなかった。
だから、秋巳が家を出るとき水無都冬真の姿があれば一緒に行くし、そうでなければ一人で高校へ向かうだけであった。
「まあな。秋巳に話もあったし」
 制服のジャケットを羽織ってちょうど良いくらいの朝の涼しい空気の中を歩き出すふたり。
「話って、昨日のこと?」
「ああ。俺の人的ネットワークを駆使して、柊ちゃんの好みの異性のタイプ、
 好きな食べ物、身長、体重、スリーサイズ、
 それこそ一日の平均脈数まで調べ上げてやったぞ」
「そう。それでいくつなの?」
「なにが?」
「平均脈数」
「……ひゃ、百?」
「病院行ったほうがいいかもね」
「そ、そうだな。つーかさ、おまえ気にならないの? もしかしたら罰ゲームじゃないかもしれないんだぞ? 
 クラスのアイドルがおまえに恋してるかもしれないんだぞ? うはうはなんだぞ? 
 男どもの嫉妬と妬みの視線をその一身に浴びながら『女友達がいなければ、恋人をつくればいいじゃない?』
 という暴言が吐けるんだぞ?」
「いや、気になるよ」
 そういう状況になってしまうかもしれないことを。それだけは避けたいのだから。

41:__(仮) (2/10)
08/01/13 18:21:27 v8YIn6Tc
 
「でもそういう言い方をするってことは、罰ゲームだったってことかな?」
 そう言葉を続ける秋巳。それこそ予想通りといった何気ない口調で。
「んー。おまえはどっちだと思う」
 ニヤニヤと口の端をつり上げて、なにかを企んでいる悪戯っ子のような表情をみせる水無都冬真。
「いや……」
(正直、どっちでも問題はそこじゃないと思うんだけど……)
 秋巳は困ったように言葉に詰まる。
 そんな秋巳の反応を見て、水無都冬真は笑みを崩さず秋巳の肩を軽くバンバンと叩く。
「まぁまぁ。皆まで言うな。判ってるって。おまえも寂しい坊やだからな。
 口ではなんだかんだ言ってても、ほんとは惚れてて欲しいんだろ? な?
 でも残念だったな。柊ちゃんは俺に惚れる予定だから。
 まぁ、ばぁちゃんとか幼児も含めりゃこの世の半分なんて女なんだから、そう気を落とすなって」

 普段と若干調子の異なる水無都冬真に対して、秋巳は思う。
 ひょっとして、慰めているのだろうか。
 実際に調べた結果が罰ゲームで。そして、その現実を突きつけられれば改めて自分がショックを受けるだろうと思って、
こういう物言いをしているのだろうか。
 そうだとしたら。
 もし、そうだとしたのなら。
 秋巳は純粋に嬉しかった。
 本心は勘違いされてはいるものの、水無都冬真が自分が傷つかないように気を遣ってくれていることは、
秋巳の心に純粋な喜びの感情をもたらした。
 秋巳自身は、なんとなく気分が高揚するくらいの実感で、
その源が『喜び』であることまでははっきり自覚までしていなかったが。
「うん。まぁ、しょうがないよね」
 秋巳は、自分の声のトーンがいつもより僅かにあがっているのに気づかないまま水無都冬真に合わせる。
「…………」
 水無都冬真は、そんな秋巳の様子に、真顔に戻る。
(秋巳。おまえ、本気で―)
 喉まででかかった台詞を飲みこみ、別の言葉を紡ぐため口を開く。
「いや。なんだ。まぁ。からかって悪かった。結論から言うとな、十中八九罰ゲームじゃない。
 マジだよマジ。おそらく柊神奈は誰かに惚れてて、それを友達に相談はしたことがあるらしい。
 つっても、柊ちゃんは自分が誰が好きとか周りに言いふらしてたわけじゃないみたいだから、
 その相手の情報はおまえから聞いたもの以外ないけどな」
「え?」
 態度を一変させて、急にまじめになった水無都冬真に困惑する秋巳。
 しかも、その内容は、秋巳の中では悪いほう想定に入る。
 水無都冬真の台詞が本当として、自分が柊神奈に告白されたと言う事実を付き合わせれば、
いくら秋巳でも罰ゲームという結論には至らない。
 秋巳はどちらかというと悲観的な考えを持つ人間であったが、悲観的な想像の中でも、
できるだけましな結果が待っていることを期待していたのである。
 『依り代』だけは嫌だった。
 なんで自分が―。
 彼女が悪いわけではないと判っていたが、それでも柊神奈の存在を恨めしく思った。
 たまたま自分が通りかかったところに、通り魔が現れて刃物で刺されてしまったかのような己の不運さを呪いたくなった。

42:__(仮) (3/10)
08/01/13 18:25:21 v8YIn6Tc
「……なんでそんな顔するのさ。結果がどっちであれ、やることは変わらないだろ?」
 秋巳の失望が伝染したかのように、眉根を微妙に寄せて水無都冬真が言う。
「え。ああ。そうだね。うん。だけど、前にも聞いたけど、冬真は本当にそれでいいの?」
「俺も前にも言ったろ。あの柊神奈と付き合えるなら万々歳だって」
「うん……。そだね」
 秋巳は困惑していた。どうしたらいいのか。どうするべきなのか。これでいいのか。
 水無都冬真と、柊神奈が付き合う―。
 自分は椿の幸せの可能性を摘み取っているのではないか。水無都冬真の可能性を絞っているのではないか。
 はじめから水無都冬真が柊神奈に惚れていて、付き合いたいといったのなら、秋巳は迷わず賛成したであろう。
 しかし、いま水無都冬真が柊神奈を振り向かせようとしているのは、柊神奈が自分に告白したことが切欠になっている。
そして、その自分を助けるためという事情も、多寡は推し量れないが含まれている。
 元々水無都冬真にそういう想いがあり、自分と利害が一致しているなら是非はない。しかしいまとなっては判らない。

「ね、ねぇ。それってさ、他の人に頼むとか出来ないかな?」
「は? 他の人って? 俺じゃなくて、別の誰かが柊ちゃんにアピールするってことか?」
「うん」
「なんだ。俺じゃ不満ってか?」
「いや、冬真に気持ちを押し付けたくない。彼女だったら、他にも付き合いたいって人は一杯いるだろう?」
「だーかーら! 俺が付き合いたいって言ってるじゃん」
「だって、いままで一度もそんなこと―」
「おまえだって、いままで誰かと付き合いたいとか、誰かに惚れてるとか、
 誰かとSEXしてぇーとかいったことないじゃん」
「それは……」
 そもそもそんな人がいないから。
 自分にとって『好きな人』なんて、椿と冬真ぐらいだから。
 言うべきことが見つからず、秋巳は口を紡ぐ。
「俺がいままで言わなかったのが不満か? ただ、これだけは言っておくぞ。
 俺は自分の気持ちを偽ったり押し殺して行動したりしない。
 俺の行動は、誰に強制されているわけでもなく、自分の本心に従って、
 己の意志のまま動いているからな。椿ちゃんみたいに」
「椿……?」
 なんでそこで椿がでるのか。
 秋巳は判らなかった。
 ただ、たしかに椿は己の意志に従って行動しているのであろう、そこは納得できる。
 その結果がいまの彼女の言動なのだろうから。

「だから、おまえがなにをそんなに気に病んでるのかっていうのは、
 推測でしかないけど、おれに気を遣ってるんだったらお門違いだぞ?」
 念を押すように水無都冬真。
「……判った」
 秋巳は頷きながら思った。
 勝手に椿や冬真の『幸せ』を想定して押し付けようとしているのは、いまのぐずぐず考えている自分ではないかと。
 秋巳はもう一度深く頷く。
「判った。冬真がそこまでいうなら、僕に異存はないよ」
 信頼してるからね。その言葉は口には出さない秋巳。
「おお。任せろ。俺は信頼に値する男だからな。必ず、ハートをGETしてみせるから!」
 そう言って秋巳の背中を左手で大きくバンと叩き、水無都冬真は満足したように破顔した。
 そして言葉を続ける。
「というわけで、早速あそこを歩く柊ちゃんを誘って、あと十分くらいだけど一緒に学校行くか」
 顎で前方を指すようにしゃくると、秋巳の背を叩いた手そのままに背中を押して、軽く駆け出す水無都冬真。
「え? ちょっと?」
 水無都冬真に押されるまま前を見ると、三十メートルほど前方に、同じ高校の女子制服を身につけ、
肩まで届く艶やかな黒髪をわずかに揺らしながら軽快に歩く後姿が見えた。
 秋巳はそれが誰だか区別はつかなかったが。それが水無都冬真の言っている柊神奈なのだろう。
 やはり好ましい相手だと、そういうのはすぐ判るのかな。秋巳は考える。

43:__(仮) (4/10)
08/01/13 18:29:19 v8YIn6Tc
 
「おーい! ひ・い・ら・ぎ、かんなちゃーん!」
 柊神奈に近づく水無都冬真が、彼女に向かって大声をあげて呼び止める。
 その声に柊神奈が一瞬ビクッとしたように反応し、立ち止まり振り向いた。
「え? あ、水無都くん、と、き、如月くん……」
 後ろから来る水無都冬真に視線をやり、それから、秋巳のほうに目をやりその存在に気づくと、
照れたように慌てて水無都冬真の方に再び顔を向ける。
「あ……。び、びっくりしたよ。急に後ろから大声でフルネーム呼ばれるんだもん。
 おはよう。水無都くん、如月くん」
 挨拶する瞬間に、ちらと目線だけ一瞬秋巳のほうに向ける柊神奈。
「はよー。いやー。前を歩く柊ちゃんが見えたからね。思わず嬉しくて、大声出しちゃったよ」
「ま、また。そんなこといって、沢山の女の娘に気をもたせるようなことしてるんでしょ?」
「おやおやぁ。といいつつ、そんな照れた顔しちゃって。赤くなってるよ?
 実は嬉しかったりするでしょ?」
「ち、違うよ! それは……」
 わずかに俯いて言い淀む柊神奈。そして、秋巳のほうを気にするように上目遣いでその表情を伺う。
「まあまあ。いいや。それよりさ。あんまりここでゆっくり立ち話してる時間も、
 あるわけじゃなし。学校行こうか」
「う、うん……」
 水無都冬真の言葉に、柊神奈はこくりと頭を揺らし付き従う。
 水無都冬真を真中に挟む形で三人で歩く最中、水無都冬真はしきりに右隣を歩く柊神奈に話し掛けていた。
 柊神奈がそれを気にしたように、時折秋巳に話を振るが、秋巳はひと言ふた言話すだけで、
すぐに水無都冬真と柊神奈、ふたりの話になってしまう。
 秋巳は意図的に口数を少なくしていたし、水無都冬真もわざと秋巳には水を向けなかった。
それがふたりの合意事項だというように。
 ひとり事情を知らない柊神奈が、微妙に困ったようにしていただけだった。

「あ。そうだ」
 三人が校門を潜ったタイミングで、水無都冬真が思いついたように提案する。
「あのさ。柊ちゃん。さっきさ、秋巳と今日放課後遊びに行かないかって話してたんだけど、
 よかったら柊ちゃんもどう?」
 そんな話はひと言も聞いていないが、おそらく柊神奈を誘うための口実だろうと思い、秋巳は口を挟まない。
「え? 如月くんと水無都くん、と?」
「うん。そう。で、さ。男ふたりで遊びに行ってもむなしいなぁって愁いていたとこ。
 なんだったらさ、柊ちゃんと仲のいい春日も誘ってさ」
 水無都冬真の言う春日 弥生(かすが やよい)は、彼の言うとおり柊神奈にとって
親友といって差し支えない相手であり、仲が良かった。そして、柊神奈が恋愛相談をした相手でもあった。
ただ、水無都冬真が『柊神奈が恋愛相談をした友達がいる』と言う話は、また別のルートから聞いてはいたのだが。

44:__(仮) (5/10)
08/01/13 18:34:36 v8YIn6Tc
 
「え? うーん。でも、弥生の予定も聞いてみないと……」
 いきなりの誘いに、顎に手を当てながら少し戸惑ったように応じる柊神奈。
「ってことは、柊ちゃんはオッケーなんだよね。なら、大丈夫。
 あの彼氏もできずに万年暇そうな女なら、クリスマスだろうがお正月だろうが
 バレンタインだろうがホワイトデーだろうが一年365日オールオッケーのはずだから!」
 水無都冬真が、まったくなんの問題もなし、ノープロブレムとばかりに親指をたててにこやかに柊神奈に返したそのとき。

「だーれが、万年暇女なのかしら?」
 昇降口で下履きを履き替えながら話す三人―実質ふたりだが―に玄関のほうから声がかかる。
 そこには、話題の主である春日弥生が腕組をしながら不敵な笑みを湛え、仁王立ちという表現が相応しいような格好で佇んでいた。
「あ、弥生! おはよう」
「ええ。おはよう。神奈」
「お疲れサンですッ! 弥生姐さん!」
 足をハの字に開き、両手を両膝の上において腰を若干かがめて頭を垂れるように挨拶する水無都冬真。
「おはよう。春日さん」
 と、こちらは普通に挨拶する秋巳。
「おはよう。如月くん。できればお友達は選んだほうがいいわよ」
 水無都冬真の挨拶を華麗にスルーして、秋巳に話しかける春日弥生。
「姐さん。網走の夜は寒かったでしょうから、このとおり履物を温めております!」
 水無都冬真は、春日弥生の無視にも堪えずに、自分がいまさっき吐いた上履きを脱いで差し出す。
「水虫がうつるから結構よ」
 そうばっさり言い捨てて、春日弥生は、自分の下駄箱の扉をあけると上履きを取り出し履き替える。
「で、話をもどすと、男ふたりで寂しく遊びに行ってきます、だっけ?」
 おそらく校門あたりから後ろをついて来ていたのだろう。話の事情を把握しているようなことを聞く春日弥生。
「姐さん、話戻しすぎです。姐さんに彼氏がいないってところです」
「いや、それ完全に進みきってないし」
 冷静につっこみを入れる秋巳。
「神奈にたかる悪い虫を追っ払うのも楽じゃないわね。
 まさか、こんな性質の悪いハエがたかるなんて」
 やれやれといった表情で、頭を振る春日弥生。それに合わせて、シャギーの入ったショートの髪がふわと軽く浮く。
「おい! 秋巳。おまえ、このアマにこんな調子に乗らせといていいのか!
 おまえを侮辱してるぞ!」
「冬真、呼び方が姐さんからこのアマになってるよ?」
「如月くん。この変態の相手することないわよ。神奈も早く教室行きましょう」
 そう言って春日弥生は、柊神奈の腕を引っ張りを連れて行こうとする。
「え? でも、ちょっと……」
 引きずられる柊神奈が、困ったような顔を見せながら、春日弥生と秋巳のほうを交互に振り返る仕種をみせると、彼女は立ち止まった。
「なあに? 放課後遊びに行くんだったら、明日提出の数学の課題、昼間のうちに片付けなきゃいけないでしょう?」
「え?」
 その春日弥生の台詞の意味するところを理解した柊神奈は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。
「あ。う、うん。じゃ、じゃあ、如月くん、水無都くん、放課後また」
 そう言って春日弥生とともに先に去っていく。
「よっしゃー! 中ボスクリアだぜ! 秋巳、今日の晩はお互いしっぽり決め込むぞ!」
 と雄たけびをあげる水無都冬真と、いつのまにか自分も放課後遊びに行くことになってしまっていることに
いまさら気づいた秋巳を残して。

45:__(仮) (6/10)
08/01/13 18:37:38 v8YIn6Tc
 *  *  *  *  *  *  *



 如月椿がいつもと変わらぬ時刻に学校に着いて教室のドアを開けると、椿の登校を待ってましたとばかりに、声がかかる。
「おー、おはよっ! 椿。今日も相変わらず、きっちり時間どおりのお勤めだね!」
 挨拶の主は、萩原 睦月(はぎわら むつき)。椿の中学時代から親交の深い友人であった。
「ええ。おはよう。睦月」
 先に登校してきている数名の他の生徒にも挨拶を交わしながら、自身の席に向かう椿。
 その元へ萩原睦月は寄っていき、空いている隣の席に腰をかけた。
「ねぇねぇ。昨日さ、椿、『ディストピア』に水無都先輩と一緒にいたでしょ?」
 萩原睦月の言う『ディストピア』とは、駅前にある喫茶店『ユートピア』のことである。
料金基準がファーストフード店より多少高めな程度なので、懐事情の寂しい学生たちにも結構利用されていたが、
店構えや店内の装飾がその名とかけ離れているため、一部の学生たちは皮肉をこめて『ディストピア』と呼んでいた。

「あ。見てたの?」
「うん。たまたま店の前を通りかかってさ。なーんかさ、美男美女のふたりが、こう、
 窓際の席でさ和やかに談笑してるって感じだったよ。
 前から疑問に思ってるけどさ、ほんとに椿と水無都先輩って付き合ってないの?」
「ええ。前から言っているとおりよ。睦月だって良く知ってるじゃない」
「だーって! なんか、あたしに気ぃつかって内緒にしてるんじゃないかなーって。
 水無都先輩と椿って小学校の頃からの幼馴染で、片や多くの女生徒から人気のある男子生徒で、
 椿は椿で美人でなんでもできるしさ。これがドラマとか漫画の話だったら、
 まさに結ばれなきゃおかしいふたりだよ」
「ふふ。私自身の評価には同意しかねるけど、もし、そんなふたりがいたとして、
 そのふたりが当たり前のように結ばれるなんて陳腐な話、
 ドラマでも漫画でもだれも見向きもしないんじゃない?」
「いやいや。そのふたりが障害を乗り越えて最終的に結ばれるっていうのがいいんじゃん!」
「そうね。障害は乗り越えないとね。まぁ、その話はともかく。
 昨日は買い物に出たところでたまたま会っただけよ。
 まあ、一応先輩だし、呼び止められて無視するわけにも行かなかったから、
 ちょっと付き合っただけよ」
「まったくこの娘は、そんな贅沢なことを。
 まぁ、あたしも椿が先に帰ってくとこまで見てたんだけど。
 普通、そのまま遊びに行ってもおかしくないんじゃない?」
「そういう仲じゃないもの。それに―」
 そこで一旦言葉を止め、萩原睦月を真剣に見つめる。

「それに、睦月と出会った当初ならともかく。いまだったら睦月と水無都さん、
 どちらかしか助けられないとしたら、私は迷わず貴方に手を差しのべるわよ。
 水無都さんには悪いし、貴方には恨まれるかもしれないけど」
「ちょ、ちょっと……。急にそんな真顔で恥ずかしい言われても。
 ど、同性なのにちょっとドキッときちゃったじゃない。
 いまのその瞳で同じ台詞を男の子にいったら、誰でもイチコロね」
 椿に見つめられた萩原睦月は、照れたように若干顔を赤らめて人差し指で頬を掻く。
その仕種を見ながら、微笑ましいものでも見たように、椿は「ふふ」と笑い表情を緩める。
「そうかしら」
「そうだって。まぁ、あたしもさ―」
 萩原睦月は周りを見渡し傍に誰もいないことを確認しつつ、椿の耳元に顔を近づけて声を潜める。
「あたしもさ、中学の頃から水無都先輩のことは好きだし、
 いまでも誰にも負けないくらい好きだって自信がある。
 でもね、相手が、唯一椿だったら、あたしは諦められちゃうのかなぁとも思ってるんだ」
「そう。それは絶対要らない心配ね」
 萩原睦月を安心させるかのように椿は微笑んだ。


46:__(仮) (7/10)
08/01/13 18:41:41 v8YIn6Tc
 
    *  *  *  *  *  *  *

 如月椿と萩原睦月が知り合うようになったきっかけも、もともとは水無都冬真のことが縁だった。
 いまから約二年前、椿が中学二年の春のとき。当時も部活動に参加していなかった椿は、
授業が終わると早々に帰宅しようと周りの生徒に挨拶をしながら教室を出るところであった。
 そこに廊下で待ち構えていたらしい見知らぬ女生徒―萩原睦月―が、話し掛けてきたのである。
「ねえ。あんたさ。如月椿だよね?」
「ええ」
 突然の呼びかけにも動じる様子を微塵も見せずに椿が応える。
「ちょっとさ。付き合ってもらいたいんだけど。いいかな?」
「付き合うところと、付き合う時間にもよりますけど?」
「ん。そんなに時間は取らせないさ。それにちょっと人のいるところでは話しにくいんだよね。
 ああ、別に、人気のないところでシめてやろうとか、そういうんじゃないからね」
 当時の萩原睦月は、格好や容姿だけなら派手でない印象を受けるが、
言動など含めると少し荒っぽい雰囲気であり―実のところ単に不器用なだけだとあとで椿は知るのだが―その台詞のような
いわゆる『気に入らない生徒の呼び出し』を行っていても不思議ではないイメージを椿は持った。

「ええ。判りました」
 どちらにしろ拒否したほうが厄介ごとになる可能性が高いと踏んだ椿は、頷いて萩原睦月の後について行った。
 連れて行かれたところは、文化部の部室が立ち並んでいる一角。倉庫代わりに使われているような誰もいない教室のひとつだった。
「悪かったね。急に呼び出して」
「いいえ。それで用事はなんでしょうか」
「なんで同い年なのに、敬語なのさ?」
「いえ。良く知らない方なので」
「ああ。悪かったね。自分の名前も名乗らないで。
 えっとね。あたしは、萩原。萩原睦月っていうんだ」
「そう。それで、萩原さん。どのようなご用件で?」
 訊ねる椿。
「あ、あのさ……」
 急に態度を変え、好きな相手にでも告白するかのように、言い出しにくそうに視線を伏せながら躊躇いを見せる萩原睦月。
その仕種は彼女のもつ雰囲気に似つかわしくなく、非常に女らしい、椿はそう思った。
「み、みな、水無都、冬真先輩、知ってるでしょ?」
「ええ」
 即答する椿。その当時でも、水無都冬真はある意味学校で有名であり、憧れている女生徒も少なくなく、
椿も一、二回程度ではあるが知り合いに紹介して欲しいと頼まれたこともあった。
「そ、その。如月と、み、水無都先輩って、つ、つ、付き合ってるの、か……な?」
「いいえ。私の兄さんの友達ということで、知っているだけです」
 椿は、特に思うところもなく、単なる事実のみを伝える。なにを彼女が言いたいのかおおよその検討をつけながら。
「兄さん? 如月に兄さんがいるの?」
「ええ。それで話というのは、私の兄さんのことですか?」
「あ、い、いや。違うんだ。その、水無都先輩……に……」
 このまま目の前でもじもじしている女生徒に話を任せていたら、一向に進まないと思った椿は、彼女の発言を続ける。
「つまり、私に、水無都さんに貴方のことを紹介して欲しい、と?」
「え、あ……。うん。いや……」
「萩原さんは、水無都さんのことが好きだ、と?」
「えっ? あ、ああっ! いや、その、……そうなんだ」
 否定しても意味がないと悟ったのだろう、萩原睦月が項垂れるように、かくんと首肯する。

47:__(仮) (8/10)
08/01/13 18:44:37 v8YIn6Tc
 
 なるほど。
 椿は思った。
 この女生徒も、以前、自分に紹介を依頼してきた人と同じようなことを頼みたいってわけね。
 椿としては、それはむしろ望むところであった。
 ただ。
 ただその前に。
 自分のまえに立つ萩原睦月が、『どのような人』であるのか。それは判断しなければ。

「そう。萩原さんの言いたいことは大体判りました。
 要するに水無都さんへの顔つなぎをして欲しい、と」
「う、うん……で、できれば―」
 まだ言葉の続いている萩原睦月を遮って、椿が発言する。意図的に多少語気を強めて。
「私に、まったく知らない人間を、知合いに紹介しろと」
「えっ? なっ……!」
 まったく想定していなかった答えを聞いたように、驚愕の表情を浮かべる萩原睦月。
断られるにしても、こんな断られ方をするとは、思っていなかったのであろう。
「じゃっ、じゃあ! あんたがあたしのことを知らないから、紹介できない、ってことか?」
「ええ。貴方だったら、するの?」
「う……。ぐ……」
 萩原睦月は、絶句する。。
 確かに彼女の言うことは正論である。それは判っている。自分でも非常識なことをしているんだとは。
 でも、自分の想いの強さに、どうしようもなくなって。それでも、直接水無都冬真にいきなり声をかけるなんて出来なくて。
 かつ交友関係の狭い自分には、他に頼めそうな人がいなくて。
 周りから評判のいい如月椿なら、もしかしたら、協力してくれるんじゃないかって。
 あまりの自分の情けなさに、涙が出そうになる萩原睦月。
「だから―」
 そんな萩原睦月の心情を理解しているのかしていないのか、言葉を続ける椿。

「―お友達になりましょう」

 そう言って、これ以上親しみを感じさせるそれはないんじゃないかというくらいの微笑をその端正な顔に湛えて、椿は右手を差し出した。


 その後、如月椿と萩原睦月はクラスが違ったものの、急速に仲良くなった。
 椿はいろいろと自分の知る限りの水無都冬真に関する情報を萩原睦月に教えてあげ、
そして、萩原睦月は『水無都冬真に相応しい女の娘』になるため、勉強、運動、それにお洒落も頑張った。如月椿の協力を得ながら。
それから地味な女の娘であった萩原睦月の周囲からの評価は確実に変わっていった。クラス内での男子の色恋話に上がるくらいに。
 だが、そもそも知合った切欠である水無都冬真への紹介であるが、それは果たされていなかった。

48:__(仮) (9/10)
08/01/13 18:48:22 v8YIn6Tc
 
 握手を交わした後に、椿は言った。
「ねえ。萩原さん。紹介するだけなら、私としても全然構わないけれども、
 貴方の想いが単なるミーハー気分で話題の先輩と付き合えるものなら
 付き合っちゃおうぐらいの軽いものなのか、真剣に水無都さんのことを
 想っているのかは判らないわ。貴方の気持ちを否定するわけじゃないけど、
 もしかしたら貴方自身勘違いしているかもしれないし。
 貴方の想いが数ヶ月、一年、二年で冷める一時的なものじゃないって言える?」
「あ、あたしの想いは本気なんだって思ってる。
 でも、さっき如月に言われたとおり、あなたはあたしのこと知らないもんね。
 だからいいよ。友達になってくれるんだもんね。
 それで、あたしの想いの強さを知ってもらって、その上で、
 紹介に値するって如月が思ってくれたんなら、それからで。
 あたしだって、いまのままで自分が水無都先輩に相応しい女の娘だなんて思ってないし。
 そのためには努力しなきゃね」
「ええ。貴方の想いの強さは、いまの台詞からも大分想像はつくけどね。
 貴方が真剣なら、私も協力は惜しまないつもりよ」
「えへへ……。うん。ありがとう。やっぱり、学年で噂になるほどの人は、違うんだね。
 あたしちょっと色眼鏡で見てたかも」
「そう? 存外、萩原さんの人を見る目の方が、正しいかもよ?」
 そう言ってふたりで笑いあった。

 そうして、お互いがお互いに周囲からあの人と仲良いよねと言われるようになって。
 それでも、まだ水無都冬真と萩原睦月は知合いになっていなかったが。
 萩原睦月には、特段不満はなかった。むしろあの出来事は、如月椿と知合い、友達となり、
無二の親友と思えるようになったことを考えただけでも、非常にありがいことだった。

 萩原睦月は考える。
 如月椿と知合いにならなかったら、自分はいまだに地味で目立たない存在のまま、
うじうじと水無都冬真のことを密かに想っていただけであろう。
 椿と友達になって、自分は変わった。成長した。いい方向に。
 そして、自分の想いの強さも確認できた。
 あれから二年。自分の中の水無都冬真への気持ちは変わっていなかった。むしろ強くなっているくらいであった。
 自分が良い方向に変じてから増えた友達たちの話を聞くと、好きな人がころころ変わる話を聞くなんてざらであった。
 別にその人たちの感情が、ニセモノとか気の迷いだなんて言うつもりはない。
 ただ、そういうのが当然の中にあって、自分の想いを持ちつづけられたことが純粋に嬉しかった。
 そして、自分の本当の気持ちをさらけ出せる唯一の相手である如月椿という好ましい人の傍にいられて、
そして、自分も如月椿から友達としての好意を向けられているということが喜びだった。
 如月椿という人間のことをいろいろ知り、仲を深めていけることが、萩原睦月にとって、この上ない満足であった。

 それはまた、ある意味椿も一緒であった。
 この二年間で、萩原睦月という人となりをいろいろ知ることが出来た。
 すこし不器用だが、でも、純粋な想いの持ち主であること。情に厚いこと。
ただ、情愛が深い所為か、ストレスが溜まったりあまりにも自分の想像どおりにいかないと、まれに癇癪を起こしてしまうことを。

 良いところ悪いところ含めて、互いが互いを判り合っていた。
 自分のことをいろいろと判ってもらえているし、自分も相手のことをいろいろ判っている。
 少なくとも萩原睦月はそう思っていた。椿も同じ思いであることと信じて。

49:__(仮) (10/10)
08/01/13 18:50:16 v8YIn6Tc
 
    *  *  *  *  *  *  *


 椿と萩原睦月が教室で話しているうちに多くの生徒が登校する時間になり、教室のほうも少しずつではあるが、
生徒同士のおしゃべりなどざわめきが大きくなってきたところで、椿は萩原睦月だけに聞こえるように呟く。
「そうね。そろそろあの約束を果たす時期かもね」
「え?」
「睦月と私が知合った、あのときの」
「え? あ、ああ! なーんだ。椿覚えてたのね。
 あたしてっきりもう忘れられてるのかと思っちゃったよ」
「あら。そんな友達甲斐のない人間だなんて思われてたなんて、ちょっとショックね」
「なーんてね! 嘘うそ。あんた程友達甲斐のある人間はいませんって」
「ふふ。いまさらおべっか使っても遅いけど」
「あちゃー残念!」
 そうしてふたりでくすくすと声をあげる。
 そして話の打ち切りのタイミングを計ったように、萩原睦月に対して別の女生徒から声がかかった。
 そちらに向かって「はいよー」と返事をし、立ち上がった萩原睦月に対して、最後に一言椿が質問を投げかける。
「あ。睦月。今日の放課後なんだけど、時間あるかしら。
 良かったらちょっと気晴らしにでも行かない?」
「ん? なに? なんか嫌なことでもあったの? 
 ま、あたしはもちオッケーだよ! なんだったら夕ご飯も食べてこっか?」
「ええ。付き合ってくれてありがとう」
 椿は、穏やかに微笑した。


50: ◆a.WIk69zxM
08/01/13 18:51:13 v8YIn6Tc
 
以上。投下終了です。
 

51:名無しさん@ピンキー
08/01/13 19:14:42 wt+6Zpcb
>>50
gj!!
妹の裏が楽しみ

52:名無しさん@ピンキー
08/01/13 19:26:30 IwIOlLe/
超GJっす!

椿の普段のクールな分、兄に対して異性としての愛情深さは正に業炎の如く熱く激しいんだろうなぁ…


それが表に現れた時を考えると…ゾクゾクするぜ!

53:名無しさん@ピンキー
08/01/13 19:51:16 c8PX/t8a
グッジョブ
キモウトぶりに期待

54:名無しさん@ピンキー
08/01/13 21:24:05 VTzBnzPs
役者がそろったとこかな?

それぞれの群像劇の中でキモウト旋風が吹き荒れる感じかな

55:名無しさん@ピンキー
08/01/13 22:19:02 2ObFWIev
GJ!
続きに期待してます。

56:名無しさん@ピンキー
08/01/13 22:26:38 YEvLOEy6
あーヤベェー
妹の「障害」っていうキーワードにニヤニヤが止まらんぜよ

57:名無しさん@ピンキー
08/01/13 23:11:22 8J4gORia
お兄ちゃん………………






障害は…取り除く…!!
チュドーン



任務…完了……!
お兄ちゃん奪還に成功…
これより帰還する…


58:名無しさん@ピンキー
08/01/13 23:53:35 f6cXn90R
なんか表立っては見えないけれど、裏ではすごい強い情が渦巻いてるって感じだなー
とりあえず続きを楽しみに待っておこうかな
GJ

59:名無しさん@ピンキー
08/01/14 21:17:08 1Xy/bgtC
裸で待機

60:名無しさん@ピンキー
08/01/15 12:15:56 ULAZOZIV
俺も裸で待機っと

61:名無しさん@ピンキー
08/01/15 12:29:06 x44duPUN
ヤンデレ娘がキモ姉妹に惚れたら…。


62:名無しさん@ピンキー
08/01/15 14:06:06 T2ktN4z9
>>61
姉妹に惚れるということは、ヤンデレ娘は百合?


63:名無しさん@ピンキー
08/01/15 14:23:03 GKmy2MC2
>>62
溺愛する弟に近づく泥棒猫を抹殺せんと、今まさに呼び出した彼女へ襲いかからんとするキモ姉。
しかしそれは泥棒猫の巧妙な罠だった。
弟の心を奪った泥棒猫の真の狙いは、キモ姉自身だったのだ!
だがそうしてカミングアウトして逆襲するも、キモ姉の弟への愛ゆえに自分を受け入れられず、次第に病んでいく泥棒猫。
彼女を忘れられないままの弟君。
そんな弟に心を痛めながら、執拗なヤンデレ百合ん娘の猛襲を受けるキモ姉の明日はどっちだ!?

という話だな? 答えは聞いてない!




64:名無しさん@ピンキー
08/01/15 14:56:29 T2ktN4z9
しかしその展開は、誰かが姉の耳元に「両手に花」という毒を流し込めば
ハッピーエンド一直線ではないか。
弟がハッピーじゃない? 弟など問題ではない。

65:名無しさん@ピンキー
08/01/15 18:42:08 xCQmHcxz
というかこのスレ的には百合はアリなのか……

66:名無しさん@ピンキー
08/01/15 18:42:29 v4FAGcWj
投下町wktk

67:名無しさん@ピンキー
08/01/15 20:16:52 ljfFOZGd
百合はイラネ・・・

68:名無しさん@ピンキー
08/01/15 20:33:34 XFqVyk9Q
うーん…俺もパスで

69:名無しさん@ピンキー
08/01/15 20:37:46 yMIaes/6
百合がどうこう以前に、姉が「両手に花」で喜ぶこと自体ありえない。

弟が好き、弟が全て、弟以外なにもいらないし、どうでもいい。
人はそんな女性を指差して、「キモ姉」と畏れ敬うのではないかな?
弟の心を奪った女なんぞ、属性が百合であれヤンデレであれ、姉にとってはただ邪魔なだけ。

70:名無しさん@ピンキー
08/01/15 20:49:09 T1mFZBPt
弟クンを支えるふりして依存してるからいいんだよな

71:名無しさん@ピンキー
08/01/15 20:53:33 xFGu4oee
百合は苦手だ。

72:名無しさん@ピンキー
08/01/15 21:47:08 5eRnDUho
女からセックスによる性的興奮を得るのに最低限の男とチンポは必要不可欠だ
そう考えると百合とは実に不毛なものだ

73:名無しさん@ピンキー
08/01/15 22:07:18 xsZft5eY
ユリモウトはダメですか?
実の姉を百合地獄に堕とす魔性の妹
姉に近づく男は痴漢やレイプ魔の濡れ衣をかけて排除

74:名無しさん@ピンキー
08/01/15 22:17:34 Q4qszNzT
つか百合スレあるだろ?

75:名無しさん@ピンキー
08/01/15 22:24:16 T1mFZBPt
間をとって姉弟で女装シチュあたりでどうか

76:名無しさん@ピンキー
08/01/15 23:31:04 KgNZ3/bv
百合ものは百合スレへどうぞ

77:名無しさん@ピンキー
08/01/16 00:18:34 s2+U3dfw
>>75
男みたいな姉と女みたいな弟という電波を受信した。

78:キモウトより愛をこめて
08/01/16 01:27:16 CcnX7+hA
投下します。

ジャンル キモウトの、ラブラブ逆レイプ
キモウト度、 低~中
修羅場 無し
糖度  虫歯に注意
変態度 低 普通のSEX 軽い緊縛プレイのみ
グロ、流血  無し

79:キモウトより愛をこめて
08/01/16 01:35:13 CcnX7+hA
「……兄さん……」
 金曜日の夜だった。妹の部屋の前を通りかかったとき、俺を呼ぶような声が聞こえた。
だから、扉を開けた。
ノックを忘れたのが、全てを変えるキッカケとなった。


       『キモウトより愛を込めて』


 妹は、右手を股間に、左手を胸にあてていた。
下半身は、”肌色”だった。下着も何にも、無かったのだ。
上は、上着がずらされ、けしからんほどふくらんだ胸が頂きまで丸見えになっていた。
その上着は……俺の洗っていないパジャマだった。
妹は、かつて見たことの無いようなうるんだ瞳と惚けた顔で俺を眺め、……俺は見てはいけないものをみた直感で、そっと扉を閉めた。
俺なりに配慮したつもりだった。

80:キモウトより愛をこめて
08/01/16 01:36:04 CcnX7+hA
 俺の妹は、美緒という。
ストレートの黒髪、知性と優しさに満ちた瞳、美しく通った鼻筋、桜色の控えめな唇、それらのパーツを絶妙に配置した小ぶりの顔で、ご近所と高校随一の美少女である。
妹を見慣れたせいで、俺はもてないくせに女への顔の評価がむやみと厳しくなってしまった。
 そして天は妹にだけは惜しみなくなんでも与えたようでスタイルも抜群だった。
160cmほどのちょうど良い身長に、良く育っているが体型を壊していない胸、引き絞られたウエストにこぶりな尻と、モデル並みに伸びた白い足が続く。
頭の方もこれまたそこそこ良く、運動もばっちりである。
美人コンテストには幼児のうちから他薦で何度も入賞し、小学校では、学校の特集をした地方局のTV番組で長々と出演していた。
中学生にもなると、男女の取り巻きができて、クラスの中心となり、男女双方からのラブレターに事欠かなかった。
それでいて性格は優しく奢らず慎ましい。
まさに、たおやかな美少女という形容がぴったりで、親も自慢の娘だった。

 俺? 俺のことはどうでもいいと思うのだが……。
わかった、手短に説明する。俺は大学生。
自分を評するなら偏って根暗な凡人というのが正しい。
男だらけの理数系の学部に入り、実験とレポート三昧で、青春を浪費している。
友人は、オタクな奴が少数なだけ。根暗で孤独癖があり、協調性は無い。
両親の俺への評価はそれなり。異性からの評価は問題外。以上。

 寄り道をした。
 そういうぱーふぇくとがーるな妹の思わぬ姿をみて、俺はちょっと驚いただけだった。
もっともこのときは、妹が俺の名を呼んでいたことと、”俺の洗っていないパジャマを着ていた”意味を見落としていたのだが。
(ま、年頃だから、オナニーのひとつもするよな)
そんな陳腐な結論で妹の痴態を振り払い、俺は部屋に戻ってゲームを再開した。
 興奮しなかったのか? と馬鹿な事を聞く奴もいるだろうからあらかじめ言っておく。
妹がいかに美少女だからって、家族なら興奮したりはしないもんだ。
それに、妹とは割と大きくなるまで一緒に風呂に入ったり、一つのベッドで寝たりしていた。
もちろん、大きくなってそういうのは良くないってわかり、妹が中学生の時に止めたのだが。
 そういう訳で、俺が童貞だからってみさかいをなくすようなことはない。
周りが思うほど、俺はけだものではない。単に底抜けの馬鹿だっただけだ。
ともかく、俺はゲームをとりあえず区切りのいいところまで進めて、速攻で爆睡に入った。

81:キモウトより愛をこめて
08/01/16 01:37:22 CcnX7+hA
 目が覚めると、枕元にパジャマを来た妹が立っていた。土曜の朝になっていた。
「おはようございます、兄さん」
 こいつは、家の中でも敬語を使う真面目な女だった。
俺は大きくあくびをしながらのびをしようとしたところで、手が上がらないのに気づいた。
「……あれ?」
「手と足は縛っています」
その言葉でベッドに磔になった事実を認識して、俺の頭脳は今度こそ本当に覚醒した。
手足は荷造り用のビニール紐でくくられ、俺自身はトランクス一枚の姿だった。
声を頼りに妹の顔を探すと、そこには怖いくらいに思い詰めた顔があった。
「兄さんに話があります」
「……話はともかく、なんでこんな事を」
抗議を込めて妹をにらむが、異様な迫力をたたえた妹の目が俺をにらみ返し、思わず俺は視線をそらした。
……見つめるとやばいものってのは、世の中にはいろいろあるわけで。
「兄さんには、逃げてもらいたくないのと、ちゃんと話をして欲しかったのでこうしました」
情けないことに俺はうなずくしかできなかった。
そんな俺をみながら妹がかすかに頬を染め口ごもった。
「……兄さん、昨日……その……」
さすがに鈍い俺も気がつく。
「あ、ああ。……気にするな。俺は忘れるから、おまえも気にするな、な?」
普通の妹ならこれでよかったと思う。
だが、なぜか俺の返答は妹の逆鱗を引っ掻いたようだった。
「……忘れる?」
妹の美しく細い眉毛が、剣呑な気配をはらんで逆立った。
「お、オナニーは誰でもするしさ……、どうしたんだよ?」
「忘れておしまいにする気なのですか? なかったつもりにする気なのですか?」
「へ? 何が?」
このとき俺はまったく妹の言葉がわからなかった。
 ふと妹が、俺に向かってきて、ベッドの上に乗った。
そして俺の下腹部に腰を下ろした。柔らかい感触が意外さを俺にもたらす。
くだらないことに囚われてると、妹は着ていたパジャマを脱いでいた。
とはいえ、驚くことでもない。下にもう一枚男物のパジャマを着ていたからだ。
男物?
「……それ、俺のパジャマ?」
何気なく指摘した俺自身が、違和感を感じていた。なぜ、俺のパジャマ?
 だが、妹はそれを無視して話を続けた。
「兄さん、妹が自分で慰める姿を見たなら即座にけだものになって襲うのが兄の礼儀でしょう」
「……はぁ?」
「ましてや、部屋に鍵も掛けず、その上、タイミングを見計らって兄さんを呼んだのですよ。
なのに兄さんときたら、まるで間の悪いところに出くわしたって顔して行ってしまうんだから」
「……」
「全く、スルーされた私の身にもなってください」
そういうと腕組みをし、頬をふくらませて俺を睨んだ。
 だが、このとき俺は自分の聴覚を100%で疑っていた。
普段の慎ましやかで冷静な妹が発するとは思えない言葉だったからだ。
「襲うって、誰が、誰を? スルーって?」
「……兄さんが、私をです」
「……なぜ俺がおまえを襲わなければならない?」
「私のあられもない姿で獣欲が起きませんでしたか?」
 妹は少し不安そうな顔で俺に尋ねたが、俺の脳は言葉の意味を理解せず無駄に空転していた。
そんな俺の表情を読んだらしい。妹は、やがてため息を一つついてつぶやいた。
「……そうですか。兄さんを縛ったのはやり過ぎかとも思ったのですが、これで良かったのですね」
「あのー、美緒?」
しばらく何かをぶつぶつとつぶやいた後、美緒はいきなり顔をあげた。
「……兄さん、よく聞いてください」
そして俺の目を見据えて妹は、はっきり宣言した。
「兄さん、私は、兄さんを、女として、愛しています。兄さんに抱いてもらいたいのです」

82:キモウトより愛をこめて
08/01/16 01:40:42 CcnX7+hA
 気がつくと妹の顔が、真っ赤になって俺に近づいていた。
腕が伸び、俺の顔が細く柔らかい手に固定される。
えっと思った時は、すでに唇が重ねられていた。
小さく柔らかいくせに、俺の口を蹂躙しつくす意志をもって、舌が口の中を這い回る。
俺の舌が絡め取られ、妹の舌にしごかれて、それだけで下半身が堅くなった。
下品な音を立てて、唾液がすすられて、ようやく俺の飛んでた意識が舞い戻ってきた。
妹が一心不乱に俺の口をむさぼっていた。
しかも目をあけて、獲物を絶対に逃さないというような光を目に映していた。
 長い時間が過ぎたと思うが、実際は数分だろう。
ようやく妹が顔を離すと、感触を楽しむかのように舌で自らの唇をなめ回して、口を開いた。
「ずっと好きでした。幼い頃からずっと。
小学校卒業するころには、既に兄さんとSEXすることを考えてました」
その言葉で俺は盛大に咳き込むこととなった。
「だから、これ……」
そういって、妹は俺のパジャマの襟をつかんだ。
「兄さんのパジャマを着て慰めると兄さんに愛されてる感じがして、それで我慢してきました」
「が、我慢ですか……」
「兄さんが悪いんです。添い寝も一緒のお風呂も禁止するから。……だからどんどん我慢できなくなって」
「……美緒、俺たちは兄妹だよ? 近親相姦はいけないんだよ?」
「近親相姦? 確かに一般的にはタブーですね」
頬を染めていた妹が、この単語で顔色を元に戻した。
そして俺はやっと、まともな返答が聞けて現実感覚を取り戻したと思った。
「そうだ。許されないことなんだ。法律で禁止されているしな」
 だが俺の言葉で、美緒がにやりと笑う。獲物が罠にかかった時の笑いだった。
「で、なんの法律で禁止されてるんですか、兄さん?」
「え?」
「近親相姦を禁ずる法律を教えてください。それと罰せられた人も」
「……ほら、三等親以内は結婚できないとか」
「別に結婚しなくても近親相姦は可能ですよ」
「……えーと、遺伝子的に悪い子供が生まれるとか」
「それ、法律ではありませんよ」
押し黙った俺の胸に、美緒は唇を寄せて、俺の乳首をなめた。
「そうです。私たちが愛し合うことを禁ずる法律なんて無いんですよ。
ただ世間一般でいけないということになっているだけ」
「……しかし美緒!」
「だから兄さんが誰にも言わなければ、問題はなにもありません。それに……」
そういうと美緒は、俺の下半身のテントを優しい手つきでなでた。
「兄さんは童貞でしょう?」
瞬時に俺の顔が熱くなる。そんな俺を美緒は上げた顔に微笑みえを浮かべて眺めていた。
「初めては大事です。なら、やはり兄さんを一番愛している私が最適なんです」
「でも……」
「兄さんの素晴らしさを知るのは私だけだから、私が兄さんの初めてになるのです。
薄汚い売春婦や、だれにでもさせるだらしない女なんかにあげては駄目です。
私も初めてだから、兄さんに……」
「よせっ、美緒! 処女ってのは本当に好きな人のためにとっとく……」
「……そうです。だから本当に大好きな兄さんにあげるのです」
「美緒っ!」
「今日は新婚初夜。これまでは単なる兄妹でしたが、これからは夫婦で兄妹なのです」
目に異様な光をたたえ恍惚とした表情で美緒はしゃべった。
まだ朝だというつっこみをしたら、殺されそうに感じたので俺は黙っていた。
「さあ、兄さん、夫婦になりましょう。紙切れ一枚でつながった凡百の夫婦ではない、血と愛でつながった本当のつがいに……」

83:キモウトより愛をこめて
08/01/16 01:41:39 CcnX7+hA
 そういうと美緒は顔を俺の脇の下に潜り込ませ、そして歓喜の声をあげた。
「ああっ、兄さんの……臭いが……」
毛ごと脇の下が舐められて、俺は背筋を駆け上がる快感に身をよじった。
脇の下から胸に舌をはわせていた美緒が、つぶやいた。
「……ほんと馬鹿な私。世間体に囚われて、こんな素晴らしい兄さんを我慢するなんて」
妹は胸板に舌をはわせ、乳首をまた舐めた。時折耐えかねたようにため息を漏らし、腰を揺する。
「美緒! 今ならまだ引き返せるから……ぐぅっ」
がりと音を立てて乳首をかまれ、俺は痛みにうめいた。
「引き返す? 遅すぎたくらいです。もっと早く、勇気を出して兄さんが自分で慰めているところに乗り込むべきでした」
「み、美緒?」
胸に這っていた舌がそのまま腹へ降りていく。その下で勢いよくテントを張ったものの事は考えたくもなかった。
「そういえば兄さん、あんなブスで慰めるの、これからは許しませんから。本とDVDは捨てますね」
立てられた妹の爪が俺の脇腹に軽く食い込む。罰ではなく警告の痛み。
「……」
「でも兄さん、安心してください。我慢できない時は私で処理すればいいんです」
俺はさぞ情けない顔をしてたのだろう。美緒は俺の顔をみて優しい笑顔を浮かべた。
 そして美緒の舌は、腹部を這い回って、とうとうトランクスのところにたどり着く。
「な、美緒。考え直せ」
だが、美緒は首を振った。
「もう充分考えました。タブーだと思って我慢もしました。……でも私はやっぱり兄さんが欲しいんです」
いきなり美緒は有無を言わせず俺のトランクスをずり下げた。
俺の男の印が虚空にそそり立つ。そのとき俺はトランクスの前が、やたらに濡れていたことに気付いた。
だがその疑問も美緒の行動ですぐに吹き飛ぶ。
勃起した俺の肉棒を美緒は躊躇無く手でつかみ、ほおずりしたのだ。
「兄さん、兄さん。これを……私に……ください」
普段、清楚な顔立ちで明るくほほえむ妹が、上気した顔で局部に頬ずりし、あげくに舌で舐め始める姿は強烈な倒錯感だった。
俺がもはや声すら出ず、呆然と眺めるだけなのを美緒は了承ととったようだった。
みれば、美緒の左手は自身の局所でみだらな水音を立ててうごめいている。
その左手がパジャマの下を降ろし、右手が上を取り去って、美緒は瞬く間に全裸となった。
肌は上気して桜色に染まり、目は潤んでいて、そして内股もべったりと濡れ光っていた。
美緒は恥ずかしがるそぶりを見せず、膝立ちで俺の腰まで歩み、秘所に俺の肉棒を押し当てた。
美緒の溶けそうに柔らかい膣口が、俺の先端を引き込もうとして吸い付いていた。
「兄さん……、やっと……一つに」
 このとき美緒の顔には、神々しさすら感じる喜びの表情が浮かんでいた。
その表情のままゆっくりと美緒が腰を下ろしていくと、それだけで目がくらむ快感が押し寄せた。
あっけなく俺は一回放ってしまい、それを受けた美緒が声をあげてのけぞり、腹をおさえた。
俺の肉棒は出して僅かに萎えたものの、美緒の壁が巻き付くと、すぐに堅さを取り戻した。
精液が潤滑油になったのかスムーズに腰が最後まで落ちた。
その勢いのまま、美緒の上半身が俺の胸に倒れ込む。
乱れた長い黒髪が自身と俺にからみつくように広がり、その中で美緒は荒い息をついていた。
「美緒、痛いんじゃないのか?……もういい、もうよ……んむむっ」
俺の口を、ひきつった笑みを浮かべた美緒の唇がふさぐ。
美緒の中もまた、どん欲に俺を締め付け、からみついて絞っていた。
「……兄さんが、こんなに熱い……私の中で……あぁん……出したがっている」
美緒は、俺を納めたまま動こうとせず、そのまま俺たちは荒い息の下、無言でつながっていた。
 そして当然ながら、先に俺が耐えきれなくなった。
思わず腰を動かすと、美緒が悲鳴をあげて俺にしがみついた。
「ああっ、兄さん! 私に、私にぃぃぃ」
すでに理性はとんでいて、欲望のままに腰を振って、美緒を下からむちゃくちゃについた。
そんな事をして保つはずもなく、また強烈に蜜壺もからみついたせいもあって、俺はまもなく盛大に妹の中に噴射した。
目の奥で花火が散るような感じに襲われ、そのまま俺は意識を闇に落としていった。

84:キモウトより愛をこめて
08/01/16 01:43:53 CcnX7+hA
 気がつくと、昼過ぎだった。
手足の拘束は解かれていたが、縛られた証としてしびれが残っている。
そしてもう一つの証もあった。全裸の美緒だった。
ベッドの中で俺に抱きついていたのだ。
 その妹の顔をみて、俺は何をしてしまったのかをはっきりと認識した。
「……妹に中出し……俺、終わった」
鬱に浸る俺に美緒は笑った。
「確かに兄さんの赤ちゃんは欲しいですけど、さすがに今は産もうとは思わないです」
「……中絶するのか?」
さすがに俺の顔が引きつるが、美緒は首を横に振った。
「まさか。ピルを飲んでますから」
「ピル?」
「ええ。でもこれから兄さんが私を避けたりしたら、……ピル飲むのを止めます。
そして兄さんの子供を産んで一人で育てますから」
そういうと美緒は自らの腹部を撫でた。
「……兄さん、これから私の事……」
そして美緒は、その顔を不安にそめ、訴えるのを我慢するかのように俺を上目遣いで眺めた。
その瞳にかすかに涙が浮かんでいるのをみて、俺は何かに負けたと感じた。
「……こんな変態妹、危なくて人にやれないよ」
 ため息を盛大について、俺は肩を落とした。
「しょうがない。俺が面倒見るしかないんだよな」
どんと押し倒されかねない勢いで美緒は俺の首に抱きついてきた。
涙と鼻水でぐじゅぐじゅに崩れた声で美緒は兄さんと何度も俺を呼んだ。
いつも済まして優等生だった妹が、本当に久々に見せた泣き顔だった。

 その後、俺は部屋にあったお気に入りのエログッズが全て無くなっているのに気がついた。
その代わりにあったのは……
「美緒、これ、おまえの水着写真……」
「はい、兄さんの定期入れにも私の写真入れましたし、コンピューターの壁紙も私にしておきました。携帯の待ち受けも私のお気に入り写真です」
「……」
「兄さん、むらむらしたときは、私がちゃんとしてあげますから、あんなものは必要ありません」
 がっくりとうなだれる俺に美緒は可愛く舌を出して笑った。
「私だけ変態ってのは悔しいです。兄さんもシスコンにしてあげます」
「……、なにかいろいろと、俺、終わった」
 そんな俺を美緒はほんとうに幸せそうな顔でみつめるのだった。

                                                end

85:キモウトより愛をこめて
08/01/16 01:44:39 CcnX7+hA
投下終了

86:名無しさん@ピンキー
08/01/16 01:47:28 MvKJ+QGx
リアルタイムGJ
なんかほのぼのした感じが出てて良かったです

87:名無しさん@ピンキー
08/01/16 02:37:49 rif8StXo
 思い付いたので投下しますー。

88:名無しさん@ピンキー
08/01/16 02:38:11 S51kFCfY
GJ!&ばちこい!

89:名無しさん@ピンキー
08/01/16 02:38:39 rif8StXo
「三月のライオン」という映画があるそうです。
 寡聞にして内容までは存じません。近所にお済みの方々は、映画を見る習慣がなく、話を聞くことができなかったのです。
 ただ、お屋敷で働く女中の方から、大まかな内容は伺うことができました。なんでも、事故で記憶喪失となった兄を騙して
恋人に扮する、糞にも劣る愚悪な妹の物語であるとのこと。糞ってなんでしょうね?
 兎角、それを聞いたとき、わたしは大変驚きました。
 どんな精神構造をしていれば、それを是として実行させるのでしょうか。とても理解できません。そんなことをする人がい
るだなんて、想像すらいたしませんでした。

 ―なんて素晴らしい。

 啓蒙されたわたしは、愛しの兄様で試してみることにいたします。


 必要なモノはなんでしょうか。
 機械音痴のわたしには、インターネットなんてものは縁遠い。加えて郊外にある図書館に足を向けることも稀にあるかどう
かと云う出不精っぷりを発揮しております。人を記憶喪失にするにはどうしたらいいかなんて、想像することすらできません。
 仕方なしに、一番親しい友人のこころさんに電話で相談してみることになりました。


† † †

90:名無しさん@ピンキー
08/01/16 02:42:19 rif8StXo
なんか投下味吸ってるっぽいのででなおしますー

91:名無しさん@ピンキー
08/01/16 02:44:55 rif8StXo
 もう一度チャレンジしますー

92:名無しさん@ピンキー
08/01/16 02:45:41 rif8StXo
「三月のライオン」という映画があるそうです。
 寡聞にして内容までは存じません。近所にお済みの方々は、映画を見る習慣がなく、話を聞くことができなかったのです。
 ただ、お屋敷で働く女中の方から、大まかな内容は伺うことができました。なんでも、事故で記憶喪失となった兄を騙して
恋人に扮する、糞にも劣る愚悪な妹の物語であるとのこと。糞ってなんでしょうね?
 兎角、それを聞いたとき、わたしは大変驚きました。
 どんな精神構造をしていれば、それを是として実行させるのでしょうか。とても理解できません。そんなことをする人がい
るだなんて、想像すらいたしませんでした。

 ―なんて素晴らしい。

 啓蒙されたわたしは、愛しの兄様で試してみることにいたします。


 必要なモノはなんでしょうか。
 機械音痴のわたしには、インターネットなんてものは縁遠い。加えて郊外にある図書館に足を向けることも稀にあるかどう
かと云う出不精っぷりを発揮しております。人を記憶喪失にするにはどうしたらいいかなんて、想像することすらできません。
 仕方なしに、一番親しい友人のこころさんに電話で相談してみることになりました。


† † †

93:名無しさん@ピンキー
08/01/16 02:47:26 rif8StXo
 こころさん、こころさん。人が記憶喪失になるときってどんなときですか?

「……質問の意図が分かんないんだけど」

 なにかおかしなことを訊ねたでしょうか?

「否、いい。聞かない。面倒事っぽいからね。それでなんだっけ」

 もぅ、こころさんったら。悪いのは頭と顔だけにして下さいな。
 人を記憶喪失にするにはどうしたらいいでしょうか、と質問したのです。

「……質問の内容、変わってない?」

 変わってません。呆けてないで、しっかり聞いていて下さいな。

「……相変わらず丁寧口調の癖に口癖が悪い……まぁいいけど。
 人を記憶喪失にする手段……ねぇ? そりゃ薬品を使うとか、精神的なショックを与えるとか……」

 ふむふむ。

「まぁでも一番古典的なのは、やっぱ頭を殴ることなんじゃない? オーソドックス且つシンプル。無駄がないっしょ」

 頭をなぐ……もとい叩く、ですか。それはどんな風に?

94:名無しさん@ピンキー
08/01/16 02:48:12 rif8StXo
「えっと、昔のアニメとかで見たことない? 都市猟師なんかだと5tって書かれたハンマーで頭ぶん殴ってたけど」

 5トン……やだなぁこころさん、それじゃあ頭なんて簡単に潰れますよ?

「……電話越しに可哀想なモノを見る目であたしを見るな。あーもう! さっきのはアニメの話だって! デフォルメされてん
の! まったくもう、そんくらい分かるでしょうに」

 生憎と日本のアニメからは縁遠い生活を送っておりますので。

「くそう、このジョンブル小娘め。丁寧なのは言葉遣いだけか」

 なんのことでしょうか。ちなみにブラックジョークの本場はブリテンですが。

「……もういい。あんたと話すと疲れる。で、もう良い」

 最後に質問を一つだけ。

「はいはい、なんざんしょ」

 どのくらいの重さのモノで叩けば、記憶って飛ぶものなんでしょうか。

「そんなの決まってるでしょう。―くらい重ければいいのです」

 なるほど。


† † †


 受話器を置きながら、わたしは親友に感謝します。やはり持つべきものは博識な親友ですね。まぁ、面と向かって親友などと
呼ぶつもりは欠片もありませんが。
 時計を確認すると、兄様がお帰りになるまでもうしばしの時間があるようでした。これは幸運。今の内に準備を進めるといた
しましょう。

95:名無しさん@ピンキー
08/01/16 02:49:17 rif8StXo
 投下終了ー。
 続くか続かないかは気分と云うことで。

96:名無しさん@ピンキー
08/01/16 03:24:24 qvhIckLb
とりあえず半年ROMれ

97:名無しさん@ピンキー
08/01/16 08:03:48 SFNzyo/T
>>85
グッジョブ!面白かったです
ほのぼのキモウトは久しぶりだ

98:名無しさん@ピンキー
08/01/16 12:45:22 5tsBnDi8
>>85
このくらいの甘さは心地いいわw
GJです

99:名無しさん@ピンキー
08/01/16 13:02:06 3p39BRCN
>>95
GJ
続きwktkして待ってます

100:名無しさん@ピンキー
08/01/16 15:05:11 UFclApx+
いいね、ほのぼの系が続くね

もっとやれ

101:名無しさん@ピンキー
08/01/16 18:32:54 bdMwI+6d
>>85
GJです
こーゆーキモウトは素晴らしいと思えた

102:名無しさん@ピンキー
08/01/16 23:03:43 kdCTXm01
>>85
これはいいw
GJだわ

103:名無しさん@ピンキー
08/01/16 23:44:09 mBQTKAAJ
>>85
GJ!
良いキモウトなのはもちろんだけど、
兄も良い味だしてるよね。
描写は少ないのに、良いお兄ちゃんなんだなと自然に思えた。

104:名無しさん@ピンキー
08/01/16 23:46:28 WVc0v4qr
>>95
とりあえずお兄さん逃げてぇ~!

105:名無しさん@ピンキー
08/01/17 08:35:06 wNnLYnx5
キモウトに「このまな板!」って言ってみたい

106:名無しさん@ピンキー
08/01/17 10:44:45 gEWF0vvU
>>105
つまり、こうですか?

「お兄ちゃん。なぜ? なぜあたしじゃダメなの? こんなに愛してるのに、何が足りないの?!」
「……色気」


107:名無しさん@ピンキー
08/01/17 11:02:56 sz2p3XC7
その後>>105の姿を見た者はいなかった…
きっとキモウトに監禁されて幸せな一生を送ったのでしょう…
めでたしめでたし。

108:名無しさん@ピンキー
08/01/17 11:38:09 VtUrPW6O
>>106
つまり、こうですか?

「お兄ちゃん。なぜ? なぜあたしじゃダメなの? こんなに愛してるのに、何が足りないの?!」
「……マンコ」








109:名無しさん@ピンキー
08/01/17 11:38:41 NFLvRSbK
>>108

ちょっと待てwww

110:名無しさん@ピンキー
08/01/17 12:30:44 MTvXnNUg
>>108
……弟なのか?

111:名無しさん@ピンキー
08/01/17 13:01:13 gGvEZQDV
キモ(オト)ウトか、あるいはボディが不完全なメカキモウトか…なんだろう?

112:名無しさん@ピンキー
08/01/17 13:24:05 IvslhLEb
フタナリキモウト

113:名無しさん@ピンキー
08/01/17 15:36:20 YX0O9YZP
ショタの弟がヤンデレだったのか。
想像すると背筋が凍った。

114:名無しさん@ピンキー
08/01/17 17:21:41 NhX8aBB4
私は一向に構わんッ!!

115:名無しさん@ピンキー
08/01/17 17:45:15 YX0O9YZP
ならどうぞ!

116:名無しさん@ピンキー
08/01/17 18:39:09 wNnLYnx5
「当たってるぞ…」
「当 て て る ん で す お 兄 様」

117:名無しさん@ピンキー
08/01/17 18:57:49 Vqp7RY+H
勘弁してくれw

118:名無しさん@ピンキー
08/01/17 19:02:15 xcj1pgTd
はい、そろそろスレ違い注意報発令です。

119:名無しさん@ピンキー
08/01/17 19:53:51 YX0O9YZP
>>116
イヤァァァァァァァァァァァァァ!!イメージが崩れるぜえええ

120:名無しさん@ピンキー
08/01/17 20:36:04 Pwg9eSkv
いいぞもっとやれwww

121:名無しさん@ピンキー
08/01/17 21:39:21 3f4xj9ay
>>119
いや、豊満なバストを持つ妹だと夢想すれば良い



と流れを引き戻そうとしてみる

122:名無しさん@ピンキー
08/01/17 22:00:59 VQsAWn7X
>>121
ええと、つまり…

今日の鍛錬を終え、Tシャツを脱ぎ捨てた俺の背に、柔らかいものがすがりつく
「お、おい。当たっているぞ…」
「当てているんです。お兄様」
ああ、背に触れる感触は布地ではなく素肌だ。服越しになら毎日見ている妹の豊かな胸が
今は何の遮蔽物も無しに俺の背に密着している。限りなく柔らかい中で固さを主張する
2つの頂点まで感じられる。なんというか、こう……想いが伝わって来るような錯覚さえ覚える。
そして俺は、この胸が何を求めているのか悟った。
そして俺は妹と共に…なすべきことを始めた。



「さあ、トレーニングだ! 豊かな胸の土台は大胸筋、このまま鈍ると垂れちまうぞ!」
「ハイ、お兄様!」

123:名無しさん@ピンキー
08/01/17 22:32:13 YFMGTcBb
ちょwお兄様www

124:名無しさん@ピンキー
08/01/18 00:05:18 s1JJoNU8
>>105に捧げる

深夜、俺は誰かに肩を揺さぶられて目を覚ました。

「だれだ・・?」
「私です、お兄様・・」

ベッドの脇には、俺の妹が一糸纏わぬ姿で立っていた。

「な、何やってんだ!?」
「その、お、お兄様私を抱いてください!!
倫理に反しているのは解ってます!!
でも我慢できないの!!」

そう言って俺を見つめる妹の眼差しはとても綺麗だった。
だから俺はこう言ってやったんだ。

「このまな板!」
「えっ?」
「俺はナイチチより微乳が好きなんだ、
お前が中学校出たら抱いてやるよ」
「は、はい・・が、がんばって微乳になります!」

そんなある日の夜の出来事でした。





125:名無しさん@ピンキー
08/01/18 11:34:31 +zd/2A05
>>122
イイオニイチャンダナー(;∀;)

126:ある母の日記
08/01/18 15:30:47 fqC3moSK
4月X日
娘の様子がおかしい。
具体的に説明することは難しいけど、娘が息子に向ける眼、見覚えのある光りが宿った眼、あれは妹が兄にするモノじゃない。

5月X日
この一ヶ月、私は慎重に娘の様子を観察した。
無邪気を装って息子に抱き着いて主張し始めた胸を押し当てる、幼さを武器に息子の布団に潜り込む‥、
それ以上に、私が息子と話している時に、私に向けられる嫉妬に狂う女の眼、昔の自分が思い起こされる。
娘はまだ小学生だ、早めに手を打たないと、

7月X日
息子の進学に全寮制の高校を奨めた。全部屋個室ということもあり、息子も乗り気なようだ。息子の独り立ちに淋しさも覚えるけど、これがいいんだ。
娘の眼の光りが本物になる前に二人を離さなければいけないのだから。

7月X日
息子の進学先を娘が知ったようだ。
様子以上に取り乱し泣き喚いたが、これも娘の為、今は心を鬼にしよう。

8月X日
息子の懸命な説得があり、娘は表では落ち着いた様子を見せている。
私に送る憤怒と憎悪の視線を除けば。
こんな時、昔の私ならどうしただろう。

8月X日
邪魔者、娘から見れば私はそう写るのだろう。
前以上にお手伝いに励む娘、殺気が隠せてない。私に向けられる笑顔、憎悪が溢れている。
おそらく娘は、かつての私と同じことをする、今はその準備段階。
何故か恐怖より歓喜を感じる。
8月X日
明日、娘に殺される。
理由は分からないが、確信していいだろう。
私が始末してきた泥棒猫達がそれを知ったら、何を言うか、因果応報、子供の教育もできない馬鹿親とでも言うか、何を言われても嘲笑いしそう。
この結果は私とあの人が遺伝子で結ばれていた証拠、永遠に一つになる為の儀式なのだから。

最後に、娘に一つだけ忠告しておかなくては。
遺体の始末には注意しなさい、と。

127:名無しさん@ピンキー
08/01/18 15:46:07 pJB0oHby
こえええええ!
蛙の子は蛙と言うか、この親にしてこの子ありと言うか。
GJ!

128:名無しさん@ピンキー
08/01/18 16:20:58 +bwf0iFl
殺戮姫のコミックス買ってきた

つづかないのかなぁ…

129:妹はいらん!
08/01/19 00:49:42 r4xrmbCy
兄「……zzZ」
兄は眠っている。
妹「…やっぱり。ンフフ…可愛い」
妹は兄を見つめている。
兄「……zzZ」
兄はまだ眠っている。
妹「あぁ……お兄ちゃん…」
妹は兄のアソコを触ってみた。
兄「…ん?……な!テメェ!」
兄は目を覚ました。
妹「え!」
妹は驚いた。
兄「出てけ!ボケェ!」
兄は妹を突き飛ばした。
妹「キャッ!」
妹は倒れた。
兄「キモいんだよ!」ペッ
兄は唾をはいた。
妹「ああ…お兄ちゃんの唾液」ペロペロ…
妹はアホっている。

ガチャッ
姉「ただいまー!」
姉が現れた。
兄「!!♪(←?)」ドタドタッ
兄の様子がおかしい…
兄「お姉ちゃーん♪」
兄は姉に抱き付いた。
姉「あん!もう!…よしよし」
姉は弟を撫でた。
兄「くぅ~ん♪」
兄は甘えている。
妹「あー!ずる~い!離れてよ~お姉ちゃん!」
妹はイラッとしている。



兄(邪魔してんじゃねぇよ!殺すぞボケェ!)end

130:名無しさん@ピンキー
08/01/19 00:56:50 1DDBVoAa
つまんね

131:名無しさん@ピンキー
08/01/19 00:59:11 ySUR/68w
大きい方に対してはシスコンで、小さい方に対してはシスコンじゃないんだな。

意味は各々で考えてくれ。

132:名無しさん@ピンキー
08/01/19 01:09:56 e5reqqTM
いやいや
ツルペタロリ姉とワールドカップ妹かもしれない

意味は自習で考える事

133:名無しさん@ピンキー
08/01/19 01:15:57 1frXGR6r
854 名無しさん@ピンキー sage 2008/01/19(土) 00:58:52 ID:1DDBVoAa
厨臭いな

134:名無しさん@ピンキー
08/01/19 07:12:42 Bkhef8Tm
兄に拒絶されたキモウト(弟)が、性転換してキモウト(妹)になるのってこのスレ的にどうよ?

135:名無しさん@ピンキー
08/01/19 08:56:55 jI06MJPf
最初に注意書きすればいいんじゃないか?

136:名無しさん@ピンキー
08/01/19 10:55:11 swbgRyOT
そうしてくれるとありがたいね

137:名無しさん@ピンキー
08/01/19 12:07:13 1frXGR6r
>>134
性転換なんておっぱいと形だけの性器つけるだけじゃん
ちゃんと子宮もつけて受精できる様にしなきゃヤダヤダ!

138:名無しさん@ピンキー
08/01/19 15:58:25 CGbX7w37
>>134
ピノキオよろしく、女神様にお願いして魔法とかなんとかで完全な女体化だと兄ちゃんうれしいな

兄に好意を表したら魔法が解けるみたいな設定にすんの。
キモウト悶々してる間に泥棒猫現れたりしてさ、最終的に兄を監禁してアッー!



大事なシーンが801になっちまう…orz

139:1/2
08/01/19 17:54:18 IOcXi95F
「兄さん、いけないことだってわかってる。でも、それでも僕は兄さんのことが・・・」

あのときの夢・・・容姿端麗で成績優秀でスポーツも万能な俺の自慢の弟の夢だ。
ある日弟から告白されたときの夢だ。

「僕は男だけど、世の中の女より誰よりも兄さんのことを愛しているんだ」

そう言って想いを伝えてきた弟だが、その弟を俺は拒絶した。

「そう・・・なんだ。やっぱり、兄さんも、女の子の方が・・・」

このことは俺の胸の内にしまっておくと言って立ち去る俺。
今思えば気不味くても落ち込んだ弟の傍に居てやればよかった。

・・・と、ここで目が覚める。
俺は目覚ましを止め学校へ行く仕度をする。

「おはよう母さん」
「おはよう・・・顔色悪いけど平気かい?まだ辛いなら学校休んだほうが・・・」
「いいよ、大丈夫。天国のあいつの分も生きるって決めたし」

弟は自殺した。
遺書はなかったけど事故でも他殺でもないと警察は断定した。
警官に話しを聞かれたけど告白されたことは黙っていた。
あいつ、俺に拒絶されたからってなにも死ぬことはないのに・・・

通学途中での信号待ち。
周りには同じ学校の生徒が何人か居るが、女生徒の何人かが俺を見てひそひそと噂している。

"最後に会ったのがあのお兄さんなんだって" "なんで悩みに気付いてあげれなかったの"
"なんであの人が居ないのにあんなのが・・・" "あの人じゃなくてお兄さんの方が死ねば良かったのに"

なんでも女生徒の弟のファンの間では弟の自殺の原因は俺にあるらしい。
あいつが俺との関係に苦しんで自殺したのならあながち間違いではないけど・・・

そう思って苦笑したとき 突然、体が 浮いた。
目の前には向かってくる10トントラック 後ろを振り向くと見知らぬ女生徒が 手を突き出していて

・・・ツキトバサレタ?
周りの叫び声と女生徒の怨嗟の声の中、俺の意識は・・・沈んで・・・

140:2/2
08/01/19 17:55:04 IOcXi95F
「兄さん、いけないことだってわかってる。でも、それでも僕は兄さんのことが・・・」

あのときの夢・・・容姿端麗で成績優秀でスポーツも万能な俺の自慢の弟の夢だ。
ある日弟から告白されたときの夢だ。

「ボクは男だったけど、世の中の女より誰よりも兄さんのことを愛しているの」

そう言って想いを伝えてきた弟だが、その弟を俺は拒絶した。

「そう・・・でもね、こうすれば私たちふたりの障害も消えるのよ・・・」

このことは俺の胸の内にしまっておくと言って立ち去る俺。
今思えば気不味くても落ち込んだ弟の傍に居てやればよかった。

・・・と、ここで目が覚める。
俺は目覚ましを止め学校へ行く仕度を      布団がなんか不自然に膨らんでる?

「おはようお兄さん」

布団をめくるとそこにいたのは見知らぬ・・・いや、見知った美少女。
そうだ。俺の自慢のおと・・・妹だ。

「お、おはよう。って、お前またひとの布団に潜り込んで!」
「だって私はお兄さんのこと愛してるんだもーん」

反省の色もなく抱きついてくる妹・・・でも、なにか違和感が・・・

「なぁ・・・」
「なぁに?」
「いや、変なこと聞くだけど、俺たち2人兄妹だよな?」
「お兄さんったらまだ寝ぼけてるの?なに、夢の中で姉か弟でも居た?」

そうだ、俺の兄弟はおと・・・いや、妹?
確か 弟は 俺に 拒絶されて 自さ・・・ でも 目の前には 妹が 妹?

「お兄さん、そんなに深く考えちゃダメだよ。
 ね?妹になれば兄さんは僕のこと愛せるんだから。
 僕はもう兄さんのこと絶対に離さないからね・・・」

141:名無しさん@ピンキー
08/01/19 17:59:19 IOcXi95F
キモ弟→キモ妹への変換と聞いて電波が沸いた。
小ネタとして書こうとしたら行数多くなって二分割になってしまった。
無駄に2レスも使ってるけどSSじゃないので俺にはここまでだ。

あとは誰か頼む。

142:名無しさん@ピンキー
08/01/19 21:49:43 WdY+WjKr
>>141
GJ!
愛の奇跡だな

143:名無しさん@ピンキー
08/01/20 10:56:48 tdiuiFSc
>>141
GJ!
一瞬陰口を言っていた女子たちに天誅が下ったのかと思った
 
このスレのキモウトは兄と同じ学校に行くためにレベル落としている娘はよくいるけど、
兄と同じ学校に行くために必死で学力上げるキモウトはいないよな

144:名無しさん@ピンキー
08/01/20 10:58:47 3JRcVCYo
>>143
必死で勉強してるとお兄ちゃんにからみつく時間が減るからなぁ
目の前いるお兄ちゃんの誘惑に耐えられなくて勉強に手がつかないのかも

145:名無しさん@ピンキー
08/01/20 11:42:26 cmuPcQ/5
兄の方のレベルを下げにかかるということも考えられる

キモウトの正体はサキュバスとか

146:名無しさん@ピンキー
08/01/20 11:54:47 aKHdFNG0
>>145
サキュバスなキモウト……

「俺たちは兄弟なんだぞ。判ってるのか?」
「淫魔にそんな道徳関係ないよ。お兄ちゃんはあたしに餓えて死ねというの。
 それとも毎日そこらの人間を吸い殺して回れって? お兄ちゃんなら吸ってもそう簡単には死なないよ…多分。
 あたしは死にたくないの。それに誰も殺したくない。だからお兄ちゃん、精をちょうだい…」

147:名無しさん@ピンキー
08/01/20 12:47:17 snnElt0n
>>144
お兄ちゃんと同じ学校に行けないならいっそ殺してしまおう・・・なんて鬼印が出てくるwww

148:名無しさん@ピンキー
08/01/20 12:52:10 GMLL8VZD
「うわあ、ジュース工場なんて始めて見た。凄いねお兄ちゃん」
「だろ?…あ、ほら、下を見てみろよ」
「わあ、大きなジューサーみたい」
「大量の果物がコンベアで運ばれて…げ!一瞬でジュースになっちまった」
「落ちたらヤバそうだよね」
「そりゃ見ろよ、あのゴツいカッター…肉も骨も即ミンチだって」
「あは、人間ジュース」
「それシュール過ぎw」
「体がバラバラになって…全部混ざっちゃうんだね…」
「おおい、あんま近寄ると落ちるぞ」
「血も内臓も脳も…ブツブツ」
「聞いてるか?危ないぞお」
「ああ…おっぱいも…オチンチンも…アソコも…」
「…引っ張るのは何故だい?」
「クスクス…子宮も…精巣も…お腹の中のウンチもオシッコも…」
「ええと…手摺りを乗り越えるのはどうかと…」
「……お兄ちゃんと混ざり合って溶け合って1つに…」
「だから何故引っ張る?…って、下でカッター回転してるんですけど」
「…………ひとつになって………お兄ちゃんと一緒にドロドロに…」
「お兄ちゃんさ、もう少しやりたいことあるんですけど」
「ああ…素敵……イキそう…」
「……できれば手だけ放してもらえると嬉しいかな?お兄ちゃんも生きたいなっ」
「あら、お兄ちゃん字が違うったらえい」
「『えい』てちょwおまw落ちうわあばべびっ」

めでたしめでたし

(注)ホントにこんな機械があるのか知りません。てか多分ないです。

149:名無しさん@ピンキー
08/01/20 13:05:25 FOqD0Co0
URLリンク(www.willitblend.com)
まぁ こういう感じだな

150:名無しさん@ピンキー
08/01/20 13:24:10 Aha4unhw
>>148
ゼノギアスの精肉工場思い出した

151: ◆a.WIk69zxM
08/01/20 13:45:29 /Y72H/+n
 
投下します。
非エロ。17レス予定。
 

152:__(仮) (1/17)
08/01/20 13:49:36 /Y72H/+n
 
 
 秋巳が柊神奈に告白を受けてから二週間。
 木々のざわめきを伴った風が新緑の薫りを伝えてくる、穏やかな空気の五月晴れの日。そんな和やかな陽気とは裏腹に、
秋巳のクラス内の雰囲気はおおよそ憂鬱なものに包まれていた。一週間後の中間考査を控えて。
 クラス内の生徒たちの会話は、試験の対策やお互いの勉強時間の確認などの話題が大半を占めていた。
中にはいつもどおり変わらない者、開き直ってる者も見受けられたが。
 その普段どおり変わらない集団の中に含まれるのが、水無都冬真であった。
「ねーねー。柊ちゃん。来週の試験に向けてさ、勉強会しない? 勉強会」
 その日のすべての授業を終え、あとは担任を迎えてのホームルームを残した空き時間。
水無都冬真は柊神奈の席に近づき、お誘いをかけていた。
 水無都冬真は、秋巳の相談を受けてから宣言したとおり、ことあるごとに柊神奈にアプローチをかけていた。
 それは、昼食の誘いだったり、放課後の遊びだったり、休日の行楽の約束だったりする。
そして、そこには大抵、秋巳と春日弥生も含まれていた。
 秋巳としては、水無都冬真に助けてもらっている以上、彼の柊神奈に対するアプローチに協力するのは当然だと思っていた。
 事実、秋巳が当初心配していたような、クラスの話題に上るといった事態は避けられている。
水無都冬真と柊神奈の話題が防波堤となって。
 試験間近であっても、異性に多大な興味をもつ高校生という時期を考えれば、男女間の色恋沙汰の話題は事欠かない。
 そんななか一番の興味の対象としてあがっていたのが、そのふたりの付き合い、であった。
 曰く、彼氏彼女の仲なのか。
 柊神奈が告白した噂があるが、その相手が水無都冬真だったのか。
 あれだけの人気者の美男美女同士がくっつくと羨む気も失せる。いや妬ましい。
 中身はそれぞれさまざまだったが、ふたりの仲を推測、あるいは邪推するものであった。
 この二週間、秋巳は春日弥生も含めてそのふたりとよく一緒にいたが、周りからの目は精々『金魚のフン』くらいの認識であり、
従来どおり秋巳自身は、かれの望む平穏な日々をおおよそ過ごせていた。
 一部にはたとえ『金魚のフン』であっても、あの柊神奈と遊びに行ったり出来るのは羨ましいと僻むものもいたが、
それでもやはり憐れみを含んだ同情の気持ちも混じり、直接秋巳を目の敵にする人間はいなかった。

「え? 勉強会?」
 水無都冬真から提案を持ちかけられた柊神奈は、少し困ったような表情を浮かべて返す。
 彼が誘いをかけるときは、大体同じような反応だった。そして、例のごとく水無都冬真が、春日も含めて四人でさ、と言うと承諾をするのである。
「うん。ほら、テスト期間中って、放課後、図書室が学習室として開放されるじゃん。
 だからさ、秋巳と春日も含めて、お互いに苦手な分野をフォローしあわない? 
 俺なら、保健体育はばっちしだしさ!」

 中間考査一週間前から各部活動は基本的に活動停止になり、図書室も普段は文芸部と本を読む人たちが優先であるが、
この期間ばかりは勉強する人たちが優先的に使えることになっている。

「う、うん。弥生がいいって言うなら、私も賛成だけど。
 でも、私は、あんまり役に立たないかもよ?」
 こちらもお決まりどおりの回答をする柊神奈。役に立たないという彼女の言葉は、あくまで謙遜であり、
実際彼女はクラスで一桁の順位をキープしているほど優秀であった。
「だいじょぶ。だいじょぶ。柊ちゃんは、そこにいて華を添えててくれるだけで良いし。
 ってか、謙遜も行き過ぎると嫌味でない?」
 ニヤリと意地悪な笑みを浮かべる水無都冬真。
「ええっ!? そ、そんな……。私、べつに、そんなつもりじゃ。
 それに、教えるの下手だし。水無都くんこそ、
 周りの助けなんか要らないんじゃないの?」
 柊神奈の台詞はあながち間違いではなかった。といっても、彼は成績優秀者の常連というわけではなく、非常に大きな波があり、
学年で一桁の順位をとることもあれば、軒並み赤点というときもあった。
ある意味、それは本気になればとんでもないヤツという評価を受け、学年トップよりも派手な目立ち方ともいえた。
教師も含めて一部では不正をしてるんじゃないかという噂も立っていたが、どちらにせよ注目は受けていた。



153:__(仮) (2/17)
08/01/20 13:53:05 /Y72H/+n
 
「いやいや。この前も六教科赤点だったしね」
「ふーん。カンニングペーパーの作成にでも失敗したのかしら?」
 ふたりの会話に割って入ってくる春日弥生。
「姐さん。それは誤解っすよ。俺はやればできる子なんですよ? 
 ヤればデキる! なんて真理をついた素晴らしい言葉か」
「セクハラで訴えるわよ? それとあんまり神奈に近づかないでもらえない? 
 神奈があんたに汚染されたら損害賠償と慰謝料請求するからね」
「おやおやぁ? 嫉妬ですか、姐さん? 男の嫉妬は醜いっすよ?」
「……喧嘩売ってるわけ? 大体、最近あんたにことあるごとに付きまとわれて、
 神奈が迷惑してるの判らないの?」
「えっ? うそっ? ひょっとして、俺、迷惑かけてた?」
「う、ううん。そ、そんなことないよ!」
 柊神奈が、慌てて首を振る
「ほら。見ろ! 姐さん。柊ちゃんは、俺の子を産んでもいいって言ってるじゃんか!」
「社交辞令をそこまで極大解釈する人間はじめて見たわ。
 いっぺんあんたの頭の中の構造覗いてみたいわ。それとセクハラ禁止!」
 水無都冬真を押しのけるようにして、柊神奈の前に春日弥生が立ちはだかる。
「姐さん。すんません。姐さんの情婦(イロ)に手を出した詫びは、
 この小指で許してもらえますか?」
「なんで、私の小指を掴むのかしら?」
「自分のだと痛いし」
「そう。じゃあ、一瞬で痛くもなく楽になれる『らしい』といわれる方法でケジメ付けてもらえる? 
 本当に痛くなかったのか感想が聞けないのが残念だけど」
「うわ。やっぱ、本場のスゴミは半端ないっすね」

 そんないつものふたりのやり取りを脇目に、柊神奈は立ち上がると秋巳の席のもとに向かい話しかける。
「ね、ねえ。いま水無都くんに放課後の勉強会のこと聞いたんだけど、如月くんは大丈夫なの?」
「ああ。うん。ダメと言えばダメかな?」
 座席が近いので話だけ聞いていた秋巳が、席についたまま顔だけ向けて応える。
「え……? そ、そうなの?」
 かくんと肩を落とし、気落ちしたような態度をみせる柊神奈。
「うん。世界史とか政治経済とか社会系は、いつも赤点すれすれかドボンだしね」
「え? ……あ、ああ。そ、そうなんだ。でも、理数系は得意なんだよね。
 私、どっちかっていうと、理数系のが苦手なんだよね」
 そう言って照れたように、あはは、と声を出して笑う。
「そう。でも、春日さんって、理数系得意じゃなかった? 
 ふたりでフォローしあえば、理想的だよね」
 秋巳は淡々と柊神奈の言葉に応えるだけ。少し意味をこめて。
「……うん。そうだよ、ね」
 そう瞳を半分伏せながら呟く柊神奈を見ながら、秋巳は思う。
(できればあまり教室とかで、話しかけないでもらいたいんだけどな……)
 水無都冬真が、柊神奈に接近するようになってから、春日弥生も含めて四人一緒になることが多かったが、
そういうとき大抵、水無都冬真が柊神奈にいろいろ話し掛けはするものの、結局水無都冬真と春日弥生の言い合いになってしまい、
あぶれた柊神奈と秋巳で会話するという形になっていた。
 秋巳は勿論、柊神奈に話しかけられれば、普通に受け答えをしていたが、
それでも若干―本人すら気づかないくらい―突き放した物言いを時折した。
 普段、秋巳は、水無都冬真と妹の椿を除いて、その他の人間に対する態度は一貫していた。とくに敵意も持たず、好意も抱かず。
そして、相手にも敵意や嫌悪感を抱かせるような言動はしなかった。好意を抱かせるような振る舞いも。
『他人』に対する親切はしても、必要以上に踏み込まないし、踏み込ますこともしなかった。
 だが、柊神奈が自分に好意を持っているらしいということを意識するあまり、必要以上に距離をとろうとする感情が無意識に働いていた。
 そして、特に、教室のような場所で、柊神奈とふたりで話すという行為は、目立つことを嫌う秋巳にとって、忌避すべきことであった。
(早く冬真の方を振り向いてくれるようになればいいのに―)



154:__(仮) (3/17)
08/01/20 13:54:51 /Y72H/+n
 
 秋巳は本気で不思議だった。
 この目の前の少女が、なぜ水無都冬真でなく、自分に惚れているのか。
 おそらくなにかを『勘違い』しているのだろうが、その心当たりは自分にはない。
 恋に恋するような年頃であれば、とんでもない勘違いをしててもおかしくはないので、そこは詮索しても仕様がないのであろう。
 秋巳はそう結論づける。そして願う。
 早く『誤解』がとけて、如月秋巳という人間を知り、そして、水無都冬真の方へ、振り向くことを。
 秋巳は、一種異常であった。
 なんの罪悪感も感じることなく自分に好意を向けてくれる人を突き放すことではなく、
親友に対して厄介ごとを押し付けるような考えを抱いている自身に嫌悪感を覚えていたのだから。

「あ、そ、それでさ。如月くんは、放課後の勉強会には行くの?」
「あー。勿論行くってさ。な、秋巳」
 気を取り直したように顔をあげて訊ねる柊神奈に、いつのまにか傍に来ていた水無都冬真が返す。
「うん。そうだね。冬真じゃちょっと心細いけど、
 ひとりで勉強するよりははかどるだろうしね」
「あ、じゃ、じゃあ! 私が、社会系だったら一応得意な分野だし、教えてあげるよ!」
 先の見えない真っ暗闇の中に一筋の光明をみたかのように、提案してくる柊神奈。
「柊ちゃん、なにげにひどいね。俺が頼りないってとこは、
 否定してくんないどころか肯定しちゃうのね」
「えっ!? あ、ああっ! ち、ちがうよ! そんな意味じゃないって!」
 不満げな声をあげた水無都冬真に、柊神奈が慌てたように両手を振って否定する。
「ってかさ、それじゃ誰が俺に教えてくれるの? あと、春日しかないじゃん? 
 俺、暴対法とか、法律をぎりぎりですりぬける知識とか間に合ってるんだけどな」
「そう。じゃあ、あなたが教えてくれる? 人ひとりを社会的に完全に抹殺する方法とか」
 水無都冬真の後を追うように来た春日弥生が言う。
「姐さんだったら、いつものようにやったらいいじゃないっすか。
 キーワードは、『コンクリ』、『ドラム缶』、『東京湾』のやつっすよ」
「ええ。本当にできないところが残念ね」
「また始まったよ……」
 言い合いをはじめるふたりに苦笑する柊神奈。
 秋巳はそんなふたりをみながら、どう言ったら自然に春日弥生に教えてもらえることになるのかな、と考えていた。



155:名無しさん@ピンキー
08/01/20 13:59:11 FOqD0Co0
投下支援 てこれでいいのか

156:__(仮) (4/17)
08/01/20 14:01:10 /Y72H/+n
 
 
 そして放課後。図書室には、秋巳と柊神奈のふたりしかいなかった。
 水無都冬真は先生に呼び出しを受けたために、後から行くと秋巳に伝え。
柊神奈から伝え聞くに、春日弥生も所属する部室の整理をしてから行くので遅れるとのことであった。
(なんでこんな……)
 秋巳は正直帰りたかった。
 秋巳にとって救いだったのは、図書室を利用している生徒の少なさであった。
近くに大きな図書館もある関係で普段放課後利用しているのは文芸部ぐらいのもので、それ以外には、たまに気まぐれで利用者が訪れる程度であった。
試験期間中に勉強する生徒に開放するといってもあくまで名目上であり、普段と同じように利用する生徒は少なかった。
 それを見越して、多少喋っても構わないだろうということで、水無都冬真は勉強会を提案したのである。
実際いま利用している生徒も、秋巳と柊神奈の他に、ニ、三人生真面目そうな生徒が座って静かに勉強したり、本を読んでいるのみであった。
 要するに、図書室の広さを考えると、大声で騒がない限りふたりの会話を聞こえるような位置には誰もいないという状態。

「あ、あのさ。とりあえず、ふたりではじめてようか?」
 席につくと早速教科書やノートを広げる柊神奈。そんな彼女を見ながら、乗り気しないように秋巳が頷く。

 ふたりが勉強をはじめてから三十分。いまだに水無都冬真も春日弥生も来ていなかった。
 それまで黙々とノートと教科書をめくり、ペンを走らせているふたりであったが、
フロアにいた唯一の男子生徒が席を立って退室したタイミングを見計らったように、
柊神奈が面を上げて頬にかかった髪をいじりながら秋巳に問いかける。
「ね、ねえ……。如月くん」
「ん?」
 その呼びかけに、彼女と同じように顔を上げ、見やる秋巳。
「や、やっぱりさ。その、め、迷惑だったかな?」
 柊神奈は目的語を言わない。おそらく言わなくても通じるだろうという期待を込めて。
「迷惑って?」
「あ、そ、その、このまえの、さ」
 ああ。告白のことか。
 秋巳は得心する。
(とってもね……)
 正直なところそう応えたかった。しかし、彼女のプライドを傷つけるような言い方をすれば、憎さ百倍となり、目の敵にでもされかねない。
 そう考えた秋巳は、はっきりとは返事せずに、逆に質問で返した。
「なんで、そう思うのかな?」
 その秋巳の質問に、指先で髪をくるくると巻きながら柊神奈はとても言いにくそうに躊躇う。
「えっとね。うん。なんていうのかな、最近、よく、如月くんと一緒にいたり、話したりするよね」
「うん。冬真とか、春日さんも一緒にね」
「そのときにさ、如月くん、いつもなんか、その、ちょっと……嫌そうかなって」
「え?」
 秋巳にとって、そう言われるは心外であった。告白の返事をしたわけでもなく。
 秋巳の意識のなかでは、柊神奈に対する態度について、好悪の感情を出しているつもりはなかった。
 あえて、意図的に浮かれているような言動もしていなかったが、本心を見せているつもりもなく、
いままでと、それこそ他の人たちと同じような対応をしていると思っていた。
 それは、秋巳のなかで、他の人と柊神奈の位置付けが変わっていることを示していたのだが、本人に自覚はなかった。
 だから、秋巳は、柊神奈が彼女自身の満足するような態度を自分がとっていないから、そう思っているのだろうと結論付けた。
彼女が己の内心に気づいているのかも、とは考えずに。

157:__(仮) (5/17)
08/01/20 14:04:23 /Y72H/+n
 
「ごめん。なんで、そう思われてるのかわからないけど、嫌とかそういうのはないから。
 誤解を与えるような態度とってたら、ごめんね」
「う、ううんっ! 如月くんが謝ることじゃないし!」
 まだ図書室に人が残っていることへの配慮か、声を小さくして続ける。
「私が、勝手に好きになって、勝手に告白して。
 でも、それで好きな人に迷惑をかけてたらやだなって思ったから。
 私、如月くんと付き合えたらって望みは持ってるけど、
 でも如月くんの気持ちを無視してまで付き合って欲しいなんて思ってないから」
 秋巳は押し黙ったまま、柊神奈の言葉を聞く。まるで想定もしていなかったことでも聞くかのように。
「私もね。あの、け、決して自慢とかじゃないんだけど、男の子から告白されたことがあってね、
 それで断ったことがあるから。だから―。だから、自分の好きな人が、
 なにをしても自分を受け入れてくれないのは仕方がないとも思ってるんだ。
 私自身は、自分のことを好きになってくれた人のことを拒絶したくせに、
 自分だけ好きな人と幸せになれるとか不公平だもんね。
 でもね、私のことを好きになってもらえるよう努力するのは、いいのかな……?」
 おずおずとそう訊ねて。
 いままで私に告白してくれた男の子は、私が「ごめんなさい」っていったら、それっきりだったけどね、と付け加える柊神奈。
「…………」
(彼女はこれを本心から言っているのか?)
 秋巳には理解できなかった。
 秋巳の彼女に対する認識は、いま自分の前に座り、自分に語る彼女と全然異なるものだった。
 男の子たちにちやほやされ、プライドが高く内心は優越感を感じているが、それを表に出さない賢しい女の娘。
 自分が男の子を振るのは当たり前だが、自分が拒絶されることはありえないと思っていて。
 万一、自分が拒絶されるようなことがあれば、それは相手に非があるのだと思い込んで。
 自分のプライドを傷つけるような人間は、攻撃し、排除するような人間ではないのか。
 それともこれも演技なのだろうか。
 そういう『いじらしい』自分を演じれば、たやすく相手など手玉に取れるであろう、そう考えているのだろうか。
 だが、秋巳は腑に落ちなかった。
 彼女は、勘違いか知らないが自分の本心を大きく間違って捉えてているわけではない。秋巳自身が意図していないにしても。
 それなら、こんな人間に受け入れられないという『事実』に、彼女の矜持はいたく損なわれたはずだ。
 それにも関わらず、自分からさらに寄るというのだろうか。しかも、受け入れられないこともある程度見越して。
「あ、あのさ。前から聞きたかったんだけどさ。自分なんかのどこがいいのかな? 
 自分で言うのもなんだけどさ。そこにいてもいなくてもいい空気みたいな人間だよ? 
 柊さんに好きになってもらえるような要素が見当たらないんだけど」
「うーん。なんていうのかな。はっきりこれって言えないかもしれないけど」
 そう言って彼女は語る。自分が秋巳を気にするようになった転機から、好きになるまでを。
 


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