08/04/01 07:56:37 QNaiKsJe
こないだここの存在を知ったオイラだが、保管された擬人化ネタSSにビンビン来たぜ!!
擬人化スキーのオイラちゃストライクど真ん中、勢い余って一本書いてみた
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ぎゅう、と。抱き締められた。
「………………」
彼女の身体は小さくて、僕の腹辺りに頭が当たる。
やがてその腹に冷たさを感じた。否、湿り気を感じたという方が正しいのか。
彼女は肩を震わせ、僕の身体にしがみついて泣いていた。
「……父様ぁ……」
彼女は僕の事を父と呼んだ。
成る程確かにその通りだ、何故なら彼女を造ったのは、僕なんだから。
……だとしたら酷い父親だな……
勝手に造って、勝手にはしゃいで、勝手に壊して、勝手にほっぽり出した。
人は僕の事を親バカというがとんでもない。子を蔑ろにする僕がそれに当てはまるものか。
「―怖かったです」
「うん」
「―悲しかったです」
「うん」
「―寂しかったですぅ……っ」
「……うん」
腰回りを抱えた彼女の腕に力が入る。
「折れて、そのまま閉じ込められて……捨てられたと思って」
実際、僕はこの子の事を捨てていた。忘れようとしていた。忌んでいた。
「ずっとずっと、悲しかったです」
「うん。……ごめん」
一言では不足しているだろう。僕がこの子にした事は。
補う様に彼女の頭を撫でて、さらり、と流れる黒髪を指に感じた。
「……ん」
気持ち良さそうに彼女は声を漏らす。
「僕が君にした事は、とても酷い事だ。それでも、僕は君に願いたい」
彼女の背に腕を回して、僕からも抱き返した。
「―僕の元に戻って来てくれ、僕の力」
返されたのは静寂。
やがて黙した彼女は抱きついたまま、僕の顔を見上げた。
「……その言葉を、私はずっと待っていました」
父様、と彼女は言ってくれる。
「―フツノは父様が大好きです。父様が言って下さるなら、今すぐにでもお力になります」
そうして彼女は微笑んで、
「もう、折らないで下さいね?」