ヤンデレの小説を書こう!Part13at EROPARO
ヤンデレの小説を書こう!Part13 - 暇つぶし2ch750:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms
08/02/28 02:08:33 2qzBLu79
* * *

「やあ、おはよう。どうしたんだい今日は。遅かったじゃないか。
 もしかして、チョコレートの過剰摂取のせいで体が自分のものではないように重いのかい?」
 高校の教室に辿り着いて机に座った途端高橋から話しかけられた。
 返事する気力は残っていない。朝のホームルーム前のわずかな時間は体力回復に使わなければならない。
 ハンカチを机の上に広げて、その上に頬を軟着陸させる。
 机がひんやり冷たくて気持ちいい。このまま眠ってしまいたい気分だ。
「むう。返事することもできないほどに疲労しているのか。
 こんな気持ちのいい日の朝から一体何をやっていたんだね、君は」
「…………妹に追いかけられた」
「なんと! 世の妹好きの男から羨ましがられるような朝の過ごし方だね。素敵だ。
 妹の居ない僕としては一度でいいから君みたいに追いかけられたいものだよ」
 ああ。確かに羨ましく聞こえるだろうさ。追いかけられるだけだったら俺だってそれなりに楽しめたんだ。
 だけど俺の妹は違うんだ。傘を全力で振り回し、聞くに堪えない罵詈雑言を叫び散らしながら追撃してくるんだ。
 そもそも弟が悪い。妹にさんざん期待させたのは反動で我を忘れさせるほど怒らせるためだったのだろうが、やり過ぎだ。
 結果的には逃げられたが、俺と妹の間にはより深い溝が生まれてしまった。
 今日家に帰ったら今朝の続きが待っているだろう。
 帰りたくねえなあ、ちくしょう。
「それほど仲がいいからには、妹からチョコを貰えたのだろう? それとも、帰ってから渡されるのか?」
「…………おそらくは」
 渡されるのはチョコレートでなく、引導だと思うけど。

 高橋から振ってくる話をぼんやり聞きながら相づちを打っていると、チャイムが鳴った。
 途端に高橋は自分の席へと戻る。奴にとっては今この時から一日が始まると言っても過言ではない。
 その理由は単純である。高橋が恋する男子高校生だから。恋のお相手が担任だから。
 したがって、ホームルームが始まる前には絶対に席に着かなければならないのだ。
 ほどなくしてカーディガンとロングスカートという相変わらずの格好をした担任の篤子女史が教室にやってきて、
朝のホームルームが始まった。

751:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms
08/02/28 02:10:36 2qzBLu79
* * *

 本日の一時間目となる体育では、ボールを足蹴にしていじめる競技、柔らかく言うとサッカーをすることになった。
 ちなみに屋内でやるサッカーの簡略版みたいな競技はフットサルと言う。
 五人ほどのチーム二組が小さなコート上で試合を行う。ボールもゴールも小さい。
 サッカーと言った場合は、人数もコートもボールもゴールも、全てがひと回り以上大きいものを指す。
 よって、サッカーの試合場はとても体育館の中には収まりきらない。
 当然、やる場所は寒風吹きすさぶ屋外ということになる。

 運動場の一角で準備運動をする俺の横では、高橋が腕組みをして立ち尽くしていた。
 視線はゴールを一直線に見据えている。早くもドリブルでの切り込み方をシミュレーションしているらしい。
 体前屈をしている最中に話しかけられた。
「鉄壁のディフェンダー君」
「なんだ? エースストライカー殿」
「いいか。寒い、と言ったら負けだぞ」
「冷える、と言ったら?」
「それも無しだ。ともかく、でっちあげの理由をつけて途中で動きを鈍らせるのはダメだぞ」
「わかってるって。一点も相手にやらねえよ。お前こそ本気でやるんだぞ」
「言われるまでもない。始まると同時に一気に攻めて敵の戦意を削いでやるさ」
 力強く言い残し、高橋はコートへ向けて歩き出した。
 ―うむ。お互いにできもしないことを誓い合う会話は不毛だ。
 高橋は中盤より前、いわゆるフォワードの位置に立つのを好むが足が遅いので点取り屋としては役不足。
 俺は敵が攻め込んできたら無様に立ちふさがり、ほとんどの場合突破されるダメな壁の役。
 お互いにその事実を理解し合っているのに格好付けた会話をしたのはなんでだろう。
 手足が冷えて寒いから、バカな会話をして少しでも熱くなりたかったのかもしれない。
 そんなことをしても暖かくなるわけがないんだけど。

 お隣のC組とのサッカー対決は、冬の寒さにも関わらず、意外に白熱した。
 動いていると体は自然と温まる。朝から全力疾走していたというのに、俺は飽きもせずグラウンドを走り回った。
 俺だけでなく、やる気のある人間は皆サッカーを楽しんでいた。
 いつもはいまいちキレのない高橋でさえナイスアシストをして、チームの得点に貢献した。
 試合自体は一点差で惜しくも敗れてしまったが、所詮は体育の授業。あまり悔しくない。
 少しだけ欝だった気分が晴れて気持ちいいぐらいだ。

752:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms
08/02/28 02:13:24 2qzBLu79
 一時間目終了後、暖まった体が冷えないうちに校舎へ戻り制服に着替える。
 俺の所属するD組とC組は隣同士なので、体育の時間は合同で行う。
 よって、男女それぞれ別々の教室で着替えることができるのだ。男子はC組で、女子はD組で。
 D組に隠しカメラでも仕掛けておけば女子の生着替えを録画することができるが、実行する人間はいない。
 俺だって退屈な思考がたまたまそんな不埒なことを浮かべただけで、やろうとは思わない。
 というか、あまり見たくない。嫌いなD組男子の机にいたずらをしている光景とかが映っていたら女性不信になってしまう。
 仮に、もしもいたずらされているのが俺だったりしたら、登校拒否になってしまうかもしれない。
 人気者の葉月さんと仲良くしているため一部の女子に目を付けられているから、全くあり得ないとは言えないのだ。
 そんなこともあり、同級生の女子の着替えシーンには触れないことにしている。
 そもそも盗撮自体が犯罪だ。俺は犯罪者になりたくない。

 女子の着替えが終了してから、教室へと戻る。
 自分の席を見てみる。変わったところは見受けられない。良かった。
 安堵の吐息を小さくついてから席に着く。
 二時間目は国語。高橋にとって一日のうちで最も幸せになれる時間である。
 教科書とノートを出すために鞄に手を伸ばし――あることに気づいた。
 家を出る際に弟のヤロウがとち狂って渡してきたチョコレートが、鞄の中に入ったままだった。
 菓子類の摂取に消極と積極の中間的な態度をとる俺にはチョコをゴミ箱へ放り込むことができなかったのだ。
 たとえ弟から渡されたものだとしても、だ。
 弟がどんなつもりでチョコを用意していたのかは、朝のゴタゴタのせいで聞けなかった。
 真実はわからないが、俺のために用意していた、という答えはあり得ない。あっちゃいけない。
 そういうことにしておこう。

 異物が混入しているとはいえ、教科書とノートを取り出さないわけにはいかない。
 膝の上に鞄を乗せ、クラスメイトに見られないようにして開ける。
 ペンケースと、教科書とノートが数冊と、バレンタインチョコが入っているらしきオレンジ色の箱が入っていた。
 さしあたって必要としている筆記用具と国語の教科書とノートを机の上に並べる。
 そして腕組みをして高橋のアイドルが到着するのを待って――いられれば良かったのだが。
「…………箱が、変わってた?」
 今気づいた。箱の色が変化した事実を自然にスルーしていた。
 呆けていたわけではない。弟からもらった箱の存在を無いものとして捉えていたからつい見過ごしてしまっただけだ。
 だけど、もしかしたらチョコを求める本能が生み出した幻視だったかもしれない。
 もう一度鞄の中身を確認する。
「ふうむ……」
 やはり入っている。弟がよこしたワインレッドの箱の代わりにオレンジ色の箱が混入している。
 さて、俺はこの事実をどう受け止めるべきだろう。

753:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms
08/02/28 02:15:44 2qzBLu79
 一つ目。殺気だった妹の攻撃を知らぬ間に鞄で受けていて、箱の色が変わった。
 ポケットの中に入っているビスケットを叩いたら増えていくのと同じ理屈である。
 しかしあの歌はそうであったらいいという願望を歌ったものだ。
 もしくは叩いたら割れてしまったというもの悲しい出来事を努めて明るく表現しただけだ。
 鞄の中に入っている箱は色だけでなく大きさも違う。
 弟のものと比べるとオレンジの方は二倍ほど大きい。潰れたのならもっと不格好になっているはずだ。
 よって、一つ目の思いつきは却下。

 二つ目。あらかじめ俺がオレンジ色の箱を入れていた。
 事実であった場合、弟に渡された箱はどこかに紛失したということになる。
 そろそろバレンタインチョコレートを頂戴した数を表わしたグラフに波を作りたい俺の気持ちが無意識のうちに体を動かし、
自腹でチョコを購入して鞄の中に入れたとは考えられないだろうか。
 もしそうだったとすれば、このオレンジの箱は俺が用意したものだとは言えない。
 純粋に貰ったものとしてカウントしてもいいだろう。俺が意識して用意したのではないのだから。
 だが、俺は認めたくない。チョコレートに飢えた男なんて格好悪い。
 俺はやっていない。俺はここ数日間チョコレートなんか買っていない。貰えなければそれで構わないんだ。
 よって、二つ目のひらめきも却下する。断じて却下する。

 三つ目。一時間目の授業中から着替え終わるまでの間に誰かが箱を入れていった。
 これが一番妥当な予測だ。十分に納得できる理由がある。
 それは、席の配置。俺の席は偶然にも男子の席に囲まれている。野郎の頭越しでしか黒板に書かれた文字を拝めない。
 男子の席が集中していると、誰も座っていない状態では机の主の判別がつかなくなる。
 あこがれの男子の席がどこか分からない女子はだいたいの見当をつける。
 席の一つや二つ分見当が外れてしまっても仕方がない。人間だもの。間違いくらいある。
 狙って俺の席に入れたということもあり得るが、これまでの実績からいって可能性は低い。

 男子の席を把握していないということを考慮に入れると、他のクラスの女子が贈ったということになる。
 おそらく、着替えに来ていたC組の女子だ。
 C組の誰かさんは誰にチョコレートを渡すつもりだったのだろう。
 前の席に座るクラス一背が高い椎名君か、後ろでひそひそと話す声まで大きい剣道部所属の木村君か。
 右翼を固めるバイク好き中野君や、左の席にて常習的に居眠りをする藤田君、ということも考えられる。
 しかし、困った。四人のうちで誰が女子に一番好かれているかなんてわからない。
 脳内の仮想スプリントではノッポの椎名君が一位だったが、二位の木村君とは僅差だった。
 四席のいずれかに座っているのが我がクラス一のイケメンである西田君だったらここまで困らないのに。

 何かヒントは無いかと思い、鞄の中で箱を手にとって観察する。
 手に取った手応えは、軽いか重いかで言わせれば重い方。板チョコ三枚分はあろう。
 表面は長方形、高さは三センチほど。B5ノートを真ん中で折りたたんだものがすっぽりと収まりそうだ。
 どの面を見ても差出人の名前や宛先などは書かれていない。メッセージカードも付属していない。
 はて、間違って届けられたチョコレートはどこに預ければいいんだろうか。
 交番、職員室、生徒会室、弟の机、高橋の靴箱、怒れる妹の手の中……いずれも然るべき対応を期待できない。

 ―保留しよう。手の施しようがない。
 間違いに気づいた送り主が取りに来るまで待つことにする。
 もし放課後になっても誰も尋ねてこなかったら……その時に考えよう。

754:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms
08/02/28 02:18:02 2qzBLu79
* * *

 頭が痛い。悩んでいるから。
 肌寒い。座っている場所が屋上のベンチの上だから。

 結局、放課後になってもオレンジの箱について問い質してくる人間は誰一人いなかった。
 慌てながら捜し物をする生徒の姿は一度も目にしなかった。
 手にはオレンジ色の箱に包まれたバレンタインデイの贈り物。今日は一日中こいつに悩まされることになった。
 もう校内にいる生徒は部活に所属している人間だけ。今から誰かがこの箱を取りに来たりはしないだろう。
 どうしたものか。捨てるわけにはいかないし。一番簡単なのは俺が貰う、ってのだけど。
「……なんだか悪い気がするなあ」
 こういう贈り物って念がこもっているみたいに思えるから扱いにくい。バチが当たりそうだ。
 でも、明日になって持ち主を捜してもどうせ見つからないだろう。

 箱を鞄の中に入れる。判定はグレーだが、鞄に入れられていたのだから貰ったものとしてカウントしよう。
 腰を浮かせて立ち上がる。鞄を左脇に挟んで両手をポケットの中に突っ込み、屋上の出口へ向かう。
 ポケットから手を出し扉のドアノブに伸ばす――と、すさまじい勢いで勝手に扉が開いた。
 この高校は前衛的な趣向を凝らした作りをしていない。自動ドアなど校内のどこにも存在しない。
 勝手に扉が開いたのは、俺以外の人間が扉を開け放ったからだ。
「ったく! どこに逃げたって一緒なんだから大人しく耳から血を…………って、あ、れれ?」
 姿を現したのは葉月さんであった。
 俺と顔を合わせた途端吊り上がっていた目が平常に戻った。
 俺の顔には鎮静剤的な効能でもあるのだろうか。妹に対しても有効だったら嬉しい。

「葉月さんは、屋上に何か用でも?」
「ううん。ちょっとドラね―じゃなくて、探している人がいて」
「そうなんだ。もう五時過ぎだけど、見つかった?」
「三回見たよ。一回目は屋上、二回目は一年の教室、三回目は靴箱の前。逃げ足だけは毎回素早いんだから」
「逃げ足? 探しているんじゃなくて、追いかけてるの?」
「あ」
 葉月さんが口に手を当ててひるんだ。まずった、という感じの顔をしている。
「ち……違うの! 私は別に怒っているわけじゃなくて、ただ聞きたかっただけなの!
 本気なのかどうかとか、朝は家から走って飛び出していったのにどうやって渡せたのか、とか!
 私、朝からずっと見張っていたんだからそんな隙はなかったはずなのに!」
「はあ」
 要領を得ない説明に対しては力の無い返事しかできない。
 主語を用いない会話をする時は相手の理解度をあらかじめ把握しておいて欲しい、なんて思った。
「それで、葉月さんは今からまた探すの? もうすぐ暗くなるよ」
「え? そういえば、そうだね。うん…………もう別にどうでもいいかな。
 探すのはやめる。ねえ、一緒に帰ってくれる?」
「もちろん」
 断るはずが無い。無駄なことに頭を使ったので癒しが欲しかったところだ。

755:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms
08/02/28 02:20:02 2qzBLu79
 葉月さんと談笑しながらの帰り道は、葉月さんの豪邸に着いたことで終わることになった。
 ここまで来てもチョコレートのチョの字も会話に出なかった。
 ひょっとしたら葉月さんから貰えるかも、なんて期待ははずれてしまった。
 でも、二人で歩きながらの帰り道が楽しかったので悔いはない。
 物より思い出。食欲より心を満たそう。
「それじゃあ、葉月さん。また明日」
「うん。……そうだ。一つ聞いてもいいかな?」
「いいよ。何?」
「今日、バレンタインのチョコ、貰えた?」
「う………………………………………………ん、貰った」
 頷いて嘘を吐く。鞄の中にチョコレートが入っているからまるっきり嘘ではないけど。
 何者かが鞄の中に入れていたものを我が物にした、という事実は隠す。
「そうなんだ。悩むってことは、やっぱりアレを、ってこと…………だよね」
「え?」
「だよね!」
「いや、だよねって、何が」
「だ、よ、ね?!」
「…………はい。そうです……だよ、ね」
 よくわからないが押し切られてしまった。今日の葉月さんの勢いはやけに強い。
 それになんだか上機嫌だ。何かいいことでもあったに違いない。

「じゃ、また明日。そうだ、朝から尋ねていってもいいかな?」
「いいよ。葉月さんが来るまでずっと待ってるから」
「うん。絶対に行くからね。それじゃあ、バイバイ!」
 別れの挨拶の後、葉月さんは身を翻して門の向こう側へと歩いていき、門の手前に着いたところで鞄の中から鍵を取り出した。
 その時、くしゃくしゃになった物体が地面に落ちた。
「え……あ! しまった!」
 葉月さんが慌てている。落としてまずいものだったのだろうか。
 あれは何だ? 暗くていまいちわからないが、紫に近い色合をしているような。
 そういえば、弟に貰った箱の色はワインレッドだった。
 紫とワインレッド。どっちも濃色だから今ぐらいの時間だと判別がつかなくなる。
 じっと目を凝らしていると、葉月さんが両手を横に振る、いわゆる否定の動作をし始めた。
「ち、違うからね! これはその―教科書だから! 変に勘ぐらないでね!」
 そう言いつつ詳細不明の物体を回収し、家の中へと入っていった。

756:名無しさん@ピンキー
08/02/28 02:23:37 PmDa2ZlT
支援

757:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms
08/02/28 02:23:38 2qzBLu79
 葉月さん宅からマイハウスまでの歩いて十分少々の道のりは体には甘く、心には険しかった。
 妹という鬼が待っていると思うと、足が自然に止まってしまう。何度友人宅に外泊しようと考えたことか。
 朝の出来事から十時間が経過しようとしている今でも妹の怒りが持続しているのかは、ようとして知れない。
 弟が妹の怒りを諫めてくれていれば、軽傷で済む可能性もある。
 朝のことは水に流してやる。帰っててくれ、弟よ。

 わずかな望みにすがり、玄関のドアノブを掴む。
 深呼吸をする。鼻から入った外気が脳まで冷やしてくれた。吐息は少しだけ白くなって掻き消えた。
 喉を鳴らして唾を飲み込み、覚悟を決める。
「……よし」
 行くぞ!

 勢いよくドアを開け放つ。そして叫ぶ。
「いるか弟! 今朝のことを悪いと思っているのなら今すぐここに来て―く、れ?」
 言葉が止まった。
 玄関を開けて最初に目にしたものは人間の頭頂部だったのだ。
 よく観察してみるとその髪は滑らかで艶があった。この髪は妹のそれだ、と見当をつける。
 妹はうつむきながら震えていた。前髪が垂れていて目の色を伺えない。
 玄関で待っていたということは、俺に暴行を加えるつもり満々だということ。
 ああ、もう終わりだな――と、さっきの勢いを霧散させ、あっさり生きることを諦める。

 だが、いつまで経っても拳や足技や凶器の類が襲いかかってこない。
 刺激しないよう、優しく声をかける。
「ど、どうかしたのか?」
「……お兄さん。お兄ちゃんなら、帰ってきてないよ。帰ってこないんだよ。ずっと、ずっと……待ってるのに。
 まだ、チョコ、渡してないのに」
「どういう意味だ?」
「そのまんま。メール、見たら?」
 妹はゆっくりと後ろを向き、ふらつきながら自室へ入った。
 帰ってきてない? いや、帰ってこない?
 高校生なんだから帰りが遅くなることもあるだろうに。そこまで消沈しなくても。

 携帯電話を見ると、メールが一件届いていた。
 送り主は弟。思い出してみれば弟からメールが送られてくるのはこれで二回目だ。
 初回はアドレス登録するための空メールだった。
 ということは、用件を伝える目的のある今回のメールこそが初めてのものである、と言える。
 記念すべき弟からの初メール。ちっともドキドキワクワクすることなく開封する。

『兄さん、今までありがとう。
 僕は兄さんの弟に生まれて幸せだったよ。
 さようなら』

 弟からの初メールは、お別れを告げるものだった。
 これがいたずらではないことを、バレンタインデイが終わる時刻になってようやく理解できた。



 弟は、帰ってこなかった。



758:ヤンデレ家族と傍観者の兄 ◆KaE2HRhLms
08/02/28 02:27:36 2qzBLu79
ここで一旦切ります。
続きを書き終わったら早めに投下します。

あと、
>>756、thanks.

759:名無しさん@ピンキー
08/02/28 02:28:53 d8BORF4L
>>758
GJ。続き待ってやす

760:名無しさん@ピンキー
08/02/28 02:29:07 PmDa2ZlT
リアルタイムGJ!!
続き、楽しみにしております

761:名無しさん@ピンキー
08/02/28 02:30:08 zMDQ1Eqr
>>758
リアルタイムGJ!

762:名無しさん@ピンキー
08/02/29 01:12:56 tms19p1S
次スレのテンプレはどうする?
二次創作について触れておいた方がよくないか?

763:名無しさん@ピンキー
08/02/29 01:42:28 uZFpKqF/
ついでに、ヤンデレの定義も変わってきたから

■ヤンデレとは?
好きな男のために狂気に走る(黒化、黒姫化)事、またそういったヒロインを指す。
  狭義のヤンデレ:愛(デレ)ゆえに病ん(ヤン)でしまった状態、ヒロイン。
  広義のヤンデレ:病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般。

↑に、変えた方がよくね?

764:名無しさん@ピンキー
08/02/29 02:10:51 BHkZO0da
女の子は少し病んでいる方が可愛い

765:名無しさん@ピンキー
08/02/29 05:04:36 1Dk0Mh6B
狭義?本来にすべきだろそこは

766:名無しさん@ピンキー
08/02/29 09:35:21 QLVbbkNH
原義と派生でどうか

767:名無しさん@ピンキー
08/02/29 10:50:00 KsAxdS5g
サイ娘とヤンデレを区別しろーってことで
サイ娘スレでも立ててくるか……

768:名無しさん@ピンキー
08/02/29 11:12:25 tDytp7sX
>>767
それはさすがに細分化し過ぎじゃね?

769:名無しさん@ピンキー
08/02/29 11:16:33 eVM2qKZ2
定義の話をし出すときりがないもんな

770:名無しさん@ピンキー
08/02/29 11:22:11 WbcF0JIQ
定期的に定義の話になるからなぁ

771:テンプレ案
08/02/29 13:00:00 kAnF2FVb
ここは、ヤンデレの小説を書いて投稿するためのスレッドです。

○小説以外にも、ヤンデレ系のネタなら大歓迎。(プロット投下、ニュースネタなど)
○ぶつ切りでの作品投下もアリ。

■ヤンデレとは?
 ・主人公が好きだが(デレ)、愛するあまりに心を病んでしまった(ヤン)状態、またその状態のヒロインの事をさします。
  →(別名:黒化、黒姫化など)
 ・転じて、病ん(ヤン)だ愛情表現(デレ)、またそれを行うヒロイン全般も含みます。

■関連サイト
ヤンデレの小説を書こう!SS保管庫(本保管庫)
URLリンク(yandere.web.fc2.com)

ヤンデレ臨時保管庫 @ ウィキ(臨時保管庫)
URLリンク(www42.atwiki.jp)

■前スレ
ヤンデレの小説を書こう!Part13
スレリンク(eroparo板)

■お約束
 ・sage進行でお願いします。
 ・荒らしはスルーしましょう。
  削除対象ですが、もし反応した場合削除人に「荒らしにかまっている」と判断され、
  削除されない場合があります。必ずスルーでお願いします。
 ・趣味嗜好に合わない作品は読み飛ばすようにしてください。
 ・作者さんへの意見は実になるものを。罵倒、バッシングはお門違いです。議論にならないよう、控えめに。

■投稿のお約束
 ・名前欄にはなるべく作品タイトルを。
 ・長編になる場合は見分けやすくするためトリップ使用推奨。
 ・投稿の前後には、「投稿します」「投稿終わりです」の一言をお願いします。(投稿への割り込み防止のため)
 ・苦手な人がいるかな、と思うような表現がある場合は、投稿のはじめに宣言してください。お願いします。
 ・作品はできるだけ完結させるようにしてください。
 ・版権モノは専用スレでお願いします。
 ・男のヤンデレは基本的にNGです。

 
 毎度議論になる男のヤンデレについても追加してみた。
 これでしばらく待って問題なければ立ててくる。 

772:名無しさん@ピンキー
08/02/29 14:06:17 kAnF2FVb
一時間待ったけど問題ないかな?

では立ててきますよ

773:名無しさん@ピンキー
08/02/29 14:11:22 kAnF2FVb
立ててきました
ヤンデレの小説を書こう!Part14
スレリンク(eroparo板)

774:名無しさん@ピンキー
08/02/29 15:05:53 GDyXR8hj
いや平日の14時とか人がいない時間帯にそんなこと言われても…
しかもそんなに差し迫ってる訳でもないんだからもう少し落ち着けよ

775:名無しさん@ピンキー
08/02/29 15:29:24 tDytp7sX
とりあえずスレ立て乙
別にテンプレもあれで良かったんじゃね?

776:名無しさん@ピンキー
08/03/01 19:58:07 s1JwMypw
ヤンデレに後ろから『だ~れだ』ってされたい
で、間違えたい

777:名無しさん@ピンキー
08/03/01 21:20:59 mMeCAGTm
自殺願望があるのか・・・・(´・ω・)カワイソス

778:名無しさん@ピンキー
08/03/01 22:56:57 dLP8n0o6
「だ~レダっ」

後ろからふわっとシャンプーの香りがした。と思ったら視界が少し汗ばんだ手で覆われた。
真っ暗ではなく、細い指は陽に透けて赤みを帯びている。生命の赤だ。
首筋のあたりに柔らかい髪が触れ、吐息もかかる。
走ってきたのだろうか、後ろの少女の息は上がっていた。
声音を変えていて誰だか分からない。
だが、おそらく待ち合わせの相手だろう。

「ことみだろ?」

「うふふ」

風が背後から吹いてきた。
生臭い風だ。
片手が外れた。
半分の視界の後ろから、放物線を描いて、丸い、ものが。
丸い、モノが。飛んで、きて。

視界の真ん中に落ちた。

「やっぱりことみちゃんと間違エタ……」

視界の真ん中に落ちていることみと目があった。







続かない。反省はしている。

779:名無しさん@ピンキー
08/03/01 23:06:26 HiTnCk+i
続け!反省の必要なし!

780:名無しさん@ピンキー
08/03/02 01:01:55 uQ4T/+sU
>>778君にはヤンデレさんの包丁が贈呈されます!おめでとう!
そして埋めネタに期待してる俺ガイル

781:名無しさん@ピンキー
08/03/03 05:05:27 1TtCDyZj


782:名無しさん@ピンキー
08/03/03 10:32:33 45DmLX45
>>523
お疲れー
投下ペース安定してて良いですね。
頑張って下さい。

話は変わるけどゲームの質問って何処でやりゃ良いのだろう

783:名無しさん@ピンキー
08/03/03 15:25:24 NOzoek8E
>>782
亀レスだなww

784:名無しさん@ピンキー
08/03/03 23:42:27 nHh+8dh6
兎と亀の前ふりかも。

「ふん!あんたなんかノロマに私が負けるわけないのよ!」
「だりぃ…」
「も、もし勝ったら。わ、私を好きになさい!!」


「寝たふりして…早く、早く!!」
「めんどいなぁ…」

浦島さんが登場。
「亀さん、こっちは山だよ。連れてってあげるわ」
「わわわ…」

で目撃した兎がヤンデレに。


駄目だ…
途中まで新ジャンルスレ作品と被ってるしorz

785:名無しさん@ピンキー
08/03/04 00:31:40 jgySssGy
ヤンデレに質問攻めされたい

786:名無しさん@ピンキー
08/03/04 03:03:35 umHCfdct
海は死にますか山は死にますかって

787:名無しさん@ピンキー
08/03/04 03:13:43 r3cJ61AX
>>786
空も死にますか?

ってネタが古いなまたwww

788:名無しさん@ピンキー
08/03/04 03:23:42 RyCR7zxh
>>785ヤクザ一億人に尋問受ける方が数億倍気が楽ですな。
矛盾や嘘や黙秘一つで、問答無用あの世行きなんてあんまりですぜ。

789:名無しさん@ピンキー
08/03/04 03:55:39 4YBRnRa7
ヤンデレの質問はきっと尋問っていうかソビエトの思想矯正かキリシタンの弾圧みたいなものなんだろうな

790:名無しさん@ピンキー
08/03/04 06:55:02 pxKFeuIb
>>789
「ねえ、あたしのこと好き? 好きだよね? 好きなんでしょ?!
 だってあたしはこんなにあなたのことが好きなんだから! 寝ても覚めてもあなたのことを想ってる!
 だから、あなたはあたしのことを好きじゃなきゃいけない、好きにならなきゃいけない、好きになるべきだ!
 遠慮なんかしなくていいよ。あなたがあたしを好きになるのは当然のこと。必然なの。何も恥ずかしくない。
 そんな当たり前のことを笑う人間は頭がおかしいのよ。
 あなたを笑う人間やあたしたちの邪魔をする人間は皆、みーんな―――居なくなってしまえばいい!」

791:名無しさん@ピンキー
08/03/04 08:08:22 rfeziCV1
    , -.――--.、
   ,イ,,i、リ,,リ,,ノノ,,;;;;;;;;ヽ
  .i;}'       "ミ;;;;:}
  |} ,,..、_、  , _,,,..、  |;;;:|
  |} ,_tュ,〈  ヒ''tュ_  i;;;;|     
  |  ー' | ` -     ト'{   
 .「|   イ_i _ >、     }〉}  
 `{| _.ノ;;/;;/,ゞ;ヽ、  .!-'     >>789
   |    ='"     |      他の女を見たりしたら、そいつをシベリア送りよ。
    i゙ 、_  ゙,,,  ,, ' {
  丿\  ̄ ̄  _,,-"ヽ
''"~ヽ  \、_;;,..-" _ ,i`ー-
   ヽ、oヽ/ \  /o/  |


792:名無しさん@ピンキー
08/03/04 08:50:33 ECbFv44c
    , -.――--.、
   ,イ,,i、リ,,リ,,ノノ,,;;;;;;;;ヽ
  .i;}'       "ミ;;;;:}
  |} ,,..、_、  , _,,,..、  |;;;:|
  |} ,_tュ,〈  ヒ''tュ_  i;;;;|
  |  ー' | ` -     ト'{
 .「| ///イ_i _ >、///  }〉}  ねぇ、同志答えて。
 `{| _.ノ;;/;;/,ゞ;ヽ、  .!-'    わたしのこと好きよね?
   |    ='"     |
    i゙ 、_  ゙,,,  ,, ' {     ・・・それともシベリア送りのほうが好きなの?
  丿\  ̄ ̄  _,,-"ヽ
''"~ヽ  \、_;;,..-" _ ,i`ー-
   ヽ、oヽ/ \  /o/  |


793:名無しさん@ピンキー
08/03/04 09:16:25 A7eMHiHm
男ヤンデレだけは勘弁してくれw

794:名無しさん@ピンキー
08/03/04 13:01:53 2OoFmGoe
スターリンやめれwwww

795:名無しさん@ピンキー
08/03/04 15:46:09 iIfDI6aU
>>791-792
貴様らwwwww

796:名無しさん@ピンキー
08/03/04 18:13:45 +MMsHS9Z
確かにある意味病んでるがちっともデレてねえw

797:名無しさん@ピンキー
08/03/04 19:34:29 WJpbeD99
>>791-792
こいつら馬鹿だww良い意味でww

798:792 1/2
08/03/04 19:55:12 ECbFv44c
俺には学生時代、付き纏ってくる女が居た。
もちろん恋人ではないし、手も出していない。
彼女はきっと最近巷で聞く"やんでれ"だったのだろう。
しかしそんな俺も就職を機に、この地から離れ彼女から逃げられるはずだった。

なのに・・・

「あはははは、今日もお仕事ご苦労様。暖かいボルシチできてるわよ♪」
「なんで・・・」
「ん、どうしたの?お仕事辛かった?内容変えるよう掛け合おうか?」
「なんで槌星さんがここに居るんだ!」

俺の目の前に居る女は槌星 鎌赤(つちぼし れんか)。
学生時代ありとあらゆるストーキング行為やリスカなどのメンヘラ行為を行い、
周りにあることないことを撒き散らし俺の社会的地位を下げまくってくれた女だ。
そして俺が就職してしまった、株式会社ヨシフの会長令嬢である。

「今日こそ辞めてやる!辞表も書いたんだ、もう俺はお前の居ない生活がしたいんだ!」
「ふぅん、でもここで辞めたら、ううん、このシベリアで社宅から出たらどうなるのかな?」
「ぐっ・・・そ、それを言われると・・・」

そう、"海外赴任"というこの女から逃れるために飛びついた俺の職場、
それは文字通りのリアルシベリア送りだった。
ストーカーから離れられたと喜んでこの地に来たが、社宅(ログハウス)の入り口を開けた瞬間
エプロンを着て黒パンを焼いているこの女を見て俺はハメられたことを悟った。

799:792 2/2
08/03/04 19:55:55 ECbFv44c
それからというもの、毎日の仕事は地面にシャベルで穴を掘って埋めることだ。
抗議して仕事を変更してもらったこともあったが、それは白樺の木を数えることだった。

一度逃げ出そうと計画を立てたが、外は-50℃の極寒の地であり一番近い"集落"
("村"にあらず)までスノーモービルで片道4時間なので断念した。
スノーモービルを奪おうともしたが、鍵はこの女が持っている上に保管場所を聞いたら
顔を赤らめて「なくさないように女の子の中に入れてあります」と抜かしやがった。

「ほらほら、特製のボルシチとピロシキをいっぱい食べて満腹になれば
 このシベリアも良い土地と思えてくるわよ」
「ムグムグ、いやそれはない」
「もう・・・こうして外に出られず部屋の中で2人っきりという楽園なのに」
「ごくごく、ごちそうさま」
「うふふふふ、さぁ、食べたら今日も一緒に寝ましょうね・・・ぽっ」

この社宅には暖房設備が足りない。おそらく確信犯だろう。
ストーブの類はあるにはあるが設計上寝室が十分に暖まらないのだ。
それではどうやって暖まって寝るかというと・・・

「はぁ、はぁ、凄い、あなたの、匂いがする・・・はぁ、はぁ・・・」
「抱きつくな。そして服を脱ごうとするな。秘所を弄るな」
「はぁ、でもほら、はぁ、ふたりで肌を寄せ合って寝ないと、次の日に
 はぁ、はぁ、凍死しちゃうかもしれないし」

興奮して息を上げながら、濁りきってぐるぐる渦巻きの瞳を向けるこの女。
つまりは「一緒に寝ないと、夜中に布団を剥ぎ取って凍死させちゃうよ☆」と
言外に言っていやがる。

「えへへへへへへへ、押し倒したくなったらいつでも襲い掛かってきてね♪」

シベリア出兵したひいひいじいさんは5年。
シベリア抑留したじいさんは10年掛かったそうだ。
・・・俺は15年もこの生活をしなければならないのだろうか。

800:792
08/03/04 19:58:42 ECbFv44c
毛主義者(マオイスト)やゲバラ信者はやっぱりダメだと思うの。
トロツキストなんて判明した日には、たとえメキシコにだって暗殺者を送り込んじゃうんだから。


・ボルシチ、黒パン
 ロシア人のソウルフード。なおソウルドリンクはウォッカ
・槌 鎌 赤 星
 槌(ハンマー)は工業労働者、鎌は農業労働者、赤は血の色革命の色、
 星は労働者の5本の指と五大陸をあらわす、共産主義のシンボル
・ヨシフ
 鉄の男、偉大なる同志スターリンのファーストネーム
・穴を掘って埋める、白樺の木を数える
 行為自体に生産的意味はなく、思想を矯正するためのシベリア流拷問術
・シベリア出兵、シベリア抑留
 ググろう

801:名無しさん@ピンキー
08/03/04 21:16:39 CwWeJSIO
マオイストゲバラ信者トロツキスト全てウィキってみましたが、理系の俺にはそれぞれどう違うのかさっぱりです
でも萌えた。こんな共産主義なら悪くない。GJ!

802:名無しさん@ピンキー
08/03/04 21:28:25 s7MNp3Wt
>>800
何でかはわからんけど笑って萌えたwww

803:名無しさん@ピンキー
08/03/04 21:50:54 jgySssGy
「アメリカの汚さを教えてあげる」と迫ってくる学生会の連中がこんなんだったらなぁ…。

804:名無しさん@ピンキー
08/03/05 04:25:07 lWe9Lf8P
「アメリカの汚さを教えてあげる」

昼下がりの大学、うとうととしながら講義を受けていた俺は隣に座っていた女からそんなことを言われた。

「は?」

隣に人が座っていたことは知っていたが、まさか自分が話しかけられるとは思ってもいなかった。
面識もないし、会話すら交わしたことがないはず。完全に赤の他人のはずなのだが。
無意識的に聞き返す。いや、聞き返すという意図すらなかった。思わず口からこぼれていた。
眠気は吹っ飛んだが、電波な発言をすぐに理解できるほど俺の脳内処理速度は速くない。

「私、学生会の者よ。よろしく」

「……はぁ、それはどーもご丁寧に……」

俺の警戒の眼差しに気づいたのだろうか、にっこり笑う女。
警戒をさせたくないんだったら一言目にあんなことを言わなければよかったんじゃないかと思うんだがな。
そんな笑顔なんかで俺の警戒心が解きほぐされるわけもなく、むしろ警戒心は強くなっていた。
一応面倒なことにならないように表面上は適当に取り繕っている。

「それでその学生会の方が俺に何の用で?」

「ええ、貴方に注意をしておきたくて」

「注意?……ああ、なるほど。アメリカさんね」

話しかけられたときの言葉が記憶によみがえる。
正直そんな面倒な話に関わりたくないのだが、まだ講義中だ。エスケープするわけにもいかない。
単位が危ないという個人的事情も関係してくるのだがね。
幸い、俺たちは後ろの方に座っているので声が教授に聞こえることはないだろう。

「ええ、貴方はアメリカについてどういう風に思っているかしら?」

「……悪いけどね、俺そういう話興味ないんだ。アメリカに大して特に感慨も思想も主義主張もないよ。
そういうのはお仲間とやってくれ」

「そう、それは良かったわ。私もそんな話をしに来たわけではないしね」

「え?」

どういうことだ。この女は俺を学生会に勧誘しにきたわけではないのだろうか。
アメリカの話から学生会に入らないか?、コースだと思っていたのだが。
そういう話じゃないんだったら、さっきの言い方はちょっときつかったかな。

「ああ、さっきの言葉?あれは学生会の合言葉、挨拶みたいなものだから気にしないで」

おいおい、随分変な挨拶もあったもんだ。普通出会い頭にあんなこと言われたら引くぞ。
…なんてことを言うわけにもいかないので、一応納得した風な顔はしておこう。

「本題はこっち。貴方アメリカ人のことはどう考えているかしら?」

「結局アメリカじゃねーか!」

「あら、失礼ね。歴史や戦争について聞いているわけではないわ。アメリカ人についての印象を聞いているだけよ。
貴方にとってはそれすらいけないことなのかしら?」

以下ヤンデレ展開

俺はもう力尽きたぜ…
>>803の馬鹿!学生会の連中にホイホイ着いていったら、きっとこんな展開に……ねーな

805:名無しさん@ピンキー
08/03/05 10:36:37 7v80/xye
>完全に赤の他人のはずなのだが

どう見ても"アカ"の他人です本当にありがとうございました。

806:名無しさん@ピンキー
08/03/05 11:31:12 lrxU7mo9
女とヤってお金が貰える♪
まさに男の夢の仕事!
出張ホストっておいしくない?
URLリンク(outsideseek.com)

807:名無しさん@ピンキー
08/03/05 12:39:13 lNZLS1LY
>>806
そしてホストにはまった女がヤンデレ化

808:名無しさん@ピンキー
08/03/05 15:41:18 lWe9Lf8P
>>805
あれ、そうなのか
てっきりこうだと思っていたんだが
辞書にもそう載ってたし

809:名無しさん@ピンキー
08/03/05 16:12:56 7v80/xye
>>808
えっと、ごめん。
全く知らない人って言う意味では"赤"の他人であってる。

ただ、"アカ"ってのは共産主義者への蔑称なんだ。
それで"赤"と"アカ"が掛けられているのかと思ってww

810:名無しさん@ピンキー
08/03/05 18:29:07 jHT57ydR
何かの映画で、母親に言われるまま、連行されていく人々をアカと罵る子供がいたなぁ

811:名無しさん@ピンキー
08/03/05 19:02:50 b6pMR1qV
「ヤンデレの女の子に愛されて眠れないCD」を聞いたせいで耐性がつき、
ついつい「告白CD」というものに手を出してしまった。

告白してくる女の子全員がヤンデレに思えた俺はどこかが壊れ始めている。

812:名無しさん@ピンキー
08/03/05 19:20:27 heNbA8V5
奥様は惨殺少女のさゆりってヤンデレかどうかジャッジに困る
主人公を誰よりも好いているという条件は満たしてるが
見方を変えればただ嫉妬深い純粋な子でメンヘラ成分が足りん希ガス

813:名無しさん@ピンキー
08/03/05 19:59:30 ZqSWn/p7
大学生活の華と言えば、一般的には恋愛なのだろう。
しかし、俺はこんな愛は欲しくない。

「あんた、それ以上彼に近づいたらルビヤンカ(自宅らしい)に送るわよ。」

このとち狂った発言をしているのが俺のストーカー兼彼女(無理矢理誓わされた)である、
大学の学生会を仕切っていると言われている風鎮羅巣(ふうちん らす)だ。
俺は単に「ラス子」と呼んでいるが、彼女は特技の柔道とサンボと射撃を生かした暗殺技術で、
学生会で恐れられているらしい。
俺に付きまとう前からひとたび内ゲバが起きれば彼女に敵対する連中は
次々と不審死を遂げるか行方不明になったそうだ。
そのためか、今では誰も彼女に逆らわない。
将来の夢は愚民共をインテリである自分が支配し、
邪魔する奴を片っ端から粛清しながら俺と二人の世界を築くことらしい。

「…………別に彼を欲しいわけじゃない。
 …………ただあなたのようなアカは私の神の敵。
 …………神の名においてこれ以上増やすわけにはいかない。
 …………そういうわけで彼は私が貰う。」

こっちはもうひとりのストーカーの辺根出九戸(べね でくと)。
俺は単に「法王」と呼んでいる。
熱心なカトリック系キリスト教徒らしいが、目の下のクマが非常に怖い。
はっきり言って、クリスチャンと言うより、悪魔を思わせる迫力である。
彼女は怪しげな魔術のようなものを使い、ビームを出したり洗脳したりするそうだ。
キュベレイみたいな形に変形も出来るらしい。

今日も大学行ったとき、俺の目の前でふたりは激しく殺しあった。
ポロ二ウムとか周囲に撒き散らされていたが、あの大学今後もちゃんと使えるのだろうか。

何はともあれ、二人が争っている隙をついて何とか家の前まで帰って来れた。
――はあ、今日も疲れた。
どうせしばらくしたらあいつらがやってくるのだからせめて一寝入りしておこう。
そう思い家のドアを開け自室に入る。
すると、窓から視線を感じた。
この所、ずっと感じていたあの二人とは確かに違う気配。
普通の奴には感じ取ることも出来ないごく僅かなものだが、
あの二人にストーキングされ続け、鍛え抜かれた俺には通用しない。
素早く気配の出所である、俺の部屋が見渡せる近くのアパートに侵入すると、中には女が居た。
ラス子から泥棒猫から身を守るためにと渡されたリシン銃仕込みの傘を女の体に押し当てた。

「あんた、俺に一体何のようだ?」




「か、勘違いしないでよねっ!別にアンタのことを好きなわけじゃないんだからね!
 風鎮羅巣と関係が深いからアンタを監視しているだけなんだから!」

公安の人間だそうだ。
……………………また、やっかいなことになりそうだ。


814:名無しさん@ピンキー
08/03/05 20:02:48 ZqSWn/p7
>>789をネタにするならこんな感じか。
今書いている最中のSS放置しているのに、こんなのに1時間半もかかってしまった。

815:名無しさん@ピンキー
08/03/05 20:34:41 0GAO8rDW
>>814 ワッフルワッフルと言っておこう

816:名無しさん@ピンキー
08/03/05 22:52:11 nhevnZ6q
>>812
レストランで赤い選択肢を選ぶんだ・・・

>>813
ワッフルワッフル
期待して待ってるぜ

817:名無しさん@ピンキー
08/03/05 23:11:04 heNbA8V5
>>816
あの■■にはいったい何が・・・?
赤文字で唯一分岐するみゆきの家に行くは背筋が凍るぜ・・・

818:名無しさん@ピンキー
08/03/07 12:37:41 fpPl5CpC
           |:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;:;::i;:;:;::;:;:;:;:;:;|
             |;:;:_:;:_:;:_;:;_:;:l:;_;:_:;;:__:;:_;|
          |_____|____|
          /: : : : : イ:T ¨ri:l;; .. :: ::¨ヽ
         j: : :イ斗‐!: |  |:l:|-:、T ォ: ::!
         |: .: :.|: |r‐i、 l  |:l:|r‐ 、: |:  } 
         レ:.:.:|:!:イ.f㍉:|  ヽl.f㍉∨:i: レ  
         |: |(|: :.| トュリ     トュリ |:.:|)|    U  M  E  
         lN:. |: :.| `,,,   '  `,,, !l.:|: |  
          |:.:|:. :|ヽ、  _   .イ:j:l |: |   
          Nl!: :.|从:≧ァ ≦‐j:从:!:.j  
               ヽ:.l イ { l_//  ._.トレ  
                | \、//:::Vj
                トイ://::::::::::Vj
       ___z―.|::::/:/::::i::::::::: Vj
      /       |:::ハ ::::::::::::::l::::::::::ハ
       {_      ..|:::::::{::::::::::::::::::l:::::::/:',
       乂_:/三三V:::::::I ̄ ̄ ̄l:::::::::::::ハ
        イ/  /7::::::::::::Iニニニl:::::::::/::::',
         /   ィ7_/::::::::::::_ム/::::::|::::::::::::::::::ヽ-、
       / イ  j .V`:::::::::::∠:::::::::、::l:::::::::::::::::::::::: \
     /.  ´ {  l ム::::::::::::/::::::::::::::::::::ト:::::::::::::::::::::::::::::}
      {.     >'ー' ー/::::::::::::::::::::: |::::::::::::::::::::::::::/ 
     ヽ ‐ ¨ ヽ__ノ  ,./::::::::::::::::::::::::_..j:::::::::::::::::::::∠.\
            〈_ //::::::::::> ¨    T -r‐く_)..  \
               / ̄ ̄       /  ヽ-'ヽ      ハ
            {.    _ -  ¨7_, イ   ...\\  、ノ

819:名無しさん@ピンキー
08/03/07 12:43:04 fpPl5CpC
     , ',´ィ ' ´                          \
   / '/             ___    、     、  ヽ //ヽ
. / '´, '   /    ,  ,...:.:.':.´:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:.:`:.:.:.ヽ     ヽ  冫:;ィ::::;'  __
  '′/  ,/     /':.:.:.:.;:. -―¬¬¬―- 、:.:ヽ     ヽ/:/,.l:::::l':´_ハ
   / .,.,''  ,    /:,: '´             ` ',    ',//;:l::::;'´ /:::/
  ,' //  /    ,'´   i    l   ! .  |     !   ,      r '´ l::〈 /::::ノ
  i /.,'  /    l   i  l __tハ l ! .| t T¬ ト l、 !      ト、 !:::l /:; '
  l./ .l  ,'!      l  ,レ'T´ ll! !.l, l  li. |', ト, _!_l `!      lヾ':.l::::!l::::l
  l,' l  ! !      !  l', l ,ゝェ 、',|',l',. ! !.l >' ,r 、 ヽ,,'l     l::ヾ:!:::|.l::::!
    !  l !      ', . l ' / /.n.',` .'|',| '!  l 0 l  '' !    .l;:::l::ー':;'::/  
    ',  !. l     '., ',::''::.ヽニ.ノ, .:    ::... ミニ'r  l.   !  ll::::ト:ヾー'  
    ', ! !      ヽ':;:::.` ̄   ..::.        ,' .  l.  !l::::! ';::':,   
     ', l l          ';`::::..   .::::::'         ,'   l   !.';:::', ':;:::':,   
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