ヤンデレの小説を書こう!Part13at EROPARO
ヤンデレの小説を書こう!Part13 - 暇つぶし2ch350: ◆KaE2HRhLms
08/02/04 07:28:33 GXZ9fMCj
うあ、sage忘れ。
寝ぼけてました、すみません。

351:名無しさん@ピンキー
08/02/04 08:36:58 48mqmV8/
GJ! 待ちかねたよ!
しかし、濃い親父だなw

352:名無しさん@ピンキー
08/02/04 10:03:14 rjztUHAA
GJッス! つーか親父 キ モ イ w

もう何か男に変わるだけでこんなにキモくなるとは思わんだwww
しかし葉月さんはお母さんっ子だったわけか


353:名無しさん@ピンキー
08/02/04 11:40:07 Dl/oKRj1
GJ
思わず、「かれかの」と「お父さんは心配性」を思い出した。
兄の幸福を心より願う。

354:名無しさん@ピンキー
08/02/04 12:05:53 mZYIT+f0
>>345
相変わらず理不尽に酷い目にあっている兄が可哀想です(´;ω;`)
でも葉月さんのトラウマが母親が原因で
過去に男がいたというわけじゃないのには安心したw

355:名無しさん@ピンキー
08/02/04 14:28:34 f3S4ly5F
GJ
親父の親バカにワロタw

356:名無しさん@ピンキー
08/02/04 14:42:22 2B19bk6M
>>345 GJです
お兄ちゃんの過去とこの先が気になって、全裸解除が出来ません。

……幸せになって欲しいなぁ

357:名無しさん@ピンキー
08/02/04 17:52:13 aD6tdObE
最後にお兄さん殺されそうで怖いなぁ。

358:名無しさん@ピンキー
08/02/04 23:24:08 lCI9GRVQ
むしろ50才台でホームレス狩りにあって終わりそう。
そして他のキャラは円満な人生をおくる。

359:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2
08/02/05 03:57:54 86AzRp91
投下します。
ネタは、『ヤンデレの薬』の三番汁です。

「うぅ~ん、できたぞ」
目の前の試験管に入った液体を見て僕は、背筋をう~んっと伸ばす。
土曜日と日曜日と両方の休日を費やして作った自信作だ。
僕の名前は、木地 甲斐(きち がい)。
色々、発明したい年頃の小学5年生だ。
「キチ○イ、それは、なんナリか?」
「だからキ○ガイって言うなぁ~」
そして、僕の背中をつっつくこのズングリムックリのロボット。
彼の名は、切腹丸。―僕の先祖・奇怪丸の残した『奇怪大百科』で作った発明品だ。
僕の祖先・奇怪丸は、偉大な科学者でかの有名なエジソンやライト兄弟も彼の弟子だったらしい
そんな世界から注目されていた天才科学者・奇怪丸は、ある日、子供の幽霊丸を残し、妻と共に謎の心中をはかった。
そして、その奇怪丸が僕達、子孫に残したのがこの『奇怪大百科』である。
これは、現在の技術者も驚くようなアイディアが詰まった発明が載っている本なのだ。
僕は、この『奇怪大百科』に載っている発明が祖先の切腹丸の謎の心中事件の手がかりがあるのではと思った僕は、
手がかりを探るべく単行本8冊分の冒険&発明をするのであった。

360:【病照列ノ薬】 ◆DT08VUwMk2
08/02/05 03:59:04 86AzRp91
「なぁ~に、連載再開した少年漫画みたいな回りくどいあらすじしてるナリか!!」
「むっ僕とした事が……」
僕は、試験管をビンに移し、フタをきつく閉め、一回、ポケットの中に入れる。そして取り出す。
「でぇっけてっててぇ~て~てん、『病照列ノ薬』!!」
「なんかネーミングセンスが『頑駄無』とか『殺駆』みたいナリね」
「『奇怪大百科』によるとこれを片思いの人間に飲ませるとたちまち監禁してしまいたくなるほど
好きになってしまう全国3百万人の男子諸君なら喉から手が出る代物なのだ」
「……ようは、ラブコメのセオリーの惚れ薬ナリね」
「これをお隣の勉子さんに飲ませて……でへへへへ」
そうと決まれば善は急げだ、愛しの勉子さんに飲まして一緒に愛の巣を作ろう
あぁ、子供は、男女2人は、欲しいかな
「……お前、さっきのあらすじと言ってる事、違うナリ」
しかし、世の中そう上手くいかないものだ。
僕が玄関を開けるとそこには―音波 黒美(おとなみ くろみ)が立っていた。
こいつは、僕と勉子さんとの恋路を邪魔するお邪魔虫なのだ。
「……話は、全部聞かせてもらった……つまり、それを私に飲ませてラブラブする気…なんだね」
「一体、どこから僕とお前とラブラブする話なんか……って、なんでこの薬の効果を!!」
黒美は、切腹丸を指差した。
「……さっき、……盗聴器を仕掛けた」
「あぁ~、本当ナリ!!」
うかつだった。いつも僕のストーカーしてるのは知っていたが
まさか、盗聴器まで使うとは……
しかし、僕と勉子ちゃんの恋路は、誰も防げないのだ!!
こんな事もあろうかと
「でぇっけてっててぇ~て~てん、『手榴弾』!!」
僕は、手榴弾を黒美に投げつける。
手榴弾は、黒美に当たると発火。本物ほどの威力は、無いがこれで黒美から逃げる事ぐらいは、できる


361:【病照列ノ薬】 ◆DT08VUwMk2
08/02/05 03:59:50 86AzRp91
お邪魔虫の魔の手から逃れることの出来た僕は、勉子さんの家に着く。
あぁ、これで僕と勉子さんの長きに渡るラブロマンスストーリーは、終了。木地先生の次回作にご期待下さい。
僕は、胸ときめかせてインターホンを鳴らす。

……出ない
もう1回、インターホンを鳴らす。

……出ない
あっ、そうだ!勉子さんは、故郷の山形に里帰りしてたんだ!!
トホホ、夢の年上のお姉さんとの禁断の同居生活が後、1週間延期になってしまった。
僕は、自分の部屋に戻って、布団に包まった。
「○チガイ、元気出すナリよ 1週間すれば勉子さん、戻ってくるんっだし」
「うぅ……ロボットなんかに僕のピュアハートがわかってたまるか」
「はぁ……やれやれ」

その時、家のチャイムが鳴った。
「切腹丸、出ろよ」
「我輩は、今、『CROSS†CHANNEL』やってて手が離せないナリよ」
全く、使えないロボットだ。誰に似たんだろう?
僕は、2階から降りてインターホンの受話器を取った。
「どちら様ですか?」
ちょっと、声のトーンを落としていかにも嫌そうに対応した。
「えぇ~っと、甲斐くんかな?」
その透き通った声は、勉子さん!?
きっと、僕に会いたいが為に予定より早く帰ったのだろう。オシャマさんだな
僕は、『病照列ノ薬』片手に玄関を開けた。

しかし、そこにいたのは、勉子さんではなく―不気味な笑みを浮かべる黒美だった。
黒美は、僕の持っていた『病照列ノ薬』を奪い取るとその中身をイッキに口の中に入れ、
唖然としている僕に口移しの形でそれを無理矢理、飲ませた。
あぁ、頭がぼんやりとして来た。
薄れていく理性の中で僕は、『黒美は、声マネが上手いという事』を思い出した。

362:【病照列ノ薬】 ◆DT08VUwMk2
08/02/05 04:00:26 86AzRp91
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

我輩は、黒美ちゃんの家のインターホンを鳴らす。
しばらくすると黒美ちゃんのお姉さんの響子さんがやって来た。
「キチガ○の奴、どうしてるナリか?」
響子さんは、自分の目で見るといいと黒美ちゃんの部屋にあがらせてもらった。
正直な話、キ○ガイの事などどうでもいいがパパさんとママさんが心配するので
連れ帰さなければと思い我輩は、黒美ちゃんの家に来たのだ。
さて、部屋には、やっぱりというかキチ○イと黒美ちゃんの肢体が絡み合っていた。
キ○ガイの奴、黒美ちゃんの無い胸を必死に嘗め回していた。
そして、胸の次に腋を丁寧に舐め穿っていた。あぁ、キチガ○は、腋フェチだったナリか……
黒美ちゃんも必死に種付けの為に腰を振っていた。
とてもお互い小学5年生とは、思えない淫妖な光景に我輩、仰天。
あぁ~この事をパパさんとママさんには、どう説明しようと我輩は、頭を痛めた。

なんだか藤子A不二雄のオチっぽいなぁ~
でも、二人とも幸せそうだからこれでいいのナリかな?……少なくとも薬が切れる3日後までは………

363:きゃの十三 ◆DT08VUwMk2
08/02/05 04:05:26 86AzRp91
投下終了です。

>>345GJです。
最近の子供は、玩具商品よりTVゲームとかをクリスマスプレゼントに
買ってもらう子供が増えたらしいのでそういう『これじゃない現象』は、あまり起こらないっぽいです。

364:名無しさん@ピンキー
08/02/05 10:59:10 SOVFTmaT
>僕の名前は、木地 甲斐(きち がい)。

ちょwwww
吹いたwwwww

365:名無しさん@ピンキー
08/02/05 13:34:51 9ZZ96QhS
GJ!

C†Cは良いよな。ある意味、冬子は切腹丸だし

366:名無しさん@ピンキー
08/02/05 17:46:03 oJHiY2iJ
それって、男の気を引くために腹を切って、
「こんなに血が出てる。だから優しくしてよ(うろおぼえ)」って言った娘?

だとしたら>>365、ありがとう。
画像と台詞は思い出せるんだけど、どうしても名前がわからなかったんだわ。


367:名無しさん@ピンキー
08/02/05 20:06:22 5/wmvI63
>>366
クロスチャンネルはいいぞ
監禁もあるし

368:名無しさん@ピンキー
08/02/05 23:14:58 wuhx+dOA
ヒロイン全員ヤンデレだしな

369:名無しさん@ピンキー
08/02/06 00:16:54 +RuxwIlw
>>368
男ももれなくヤンデレだからなぁ。
まああれだ、男のヤンデレほど見苦しいものはない。

370:名無しさん@ピンキー
08/02/06 01:04:20 iQItVlYq
クソ吹いたwwwGJ!!!

371:名無しさん@ピンキー
08/02/06 07:45:27 VNX5rNVf
男のヤンデレは存在自体が犯罪。男のヤンデレは殺されても文句を言う権利はない。
そのくらいキモイ。

372:名無しさん@ピンキー
08/02/06 08:02:55 7FSHM0nq
同意せざるを得ない

373:名無しさん@ピンキー
08/02/06 08:13:11 mzFcCvFB
ヤンデレ「女のヤンデレは存在自体が犯罪。女のヤンデレは
殺されても文句を言う権利はない。そのくらいキモイ。
男君の妹がヤンデレだったらどうしよう。
こっそり食事に汚い体液を混ぜ込んでいるんじゃないかと思うと寒気がする。
ああ、男君がヤンデレだったらいいのにな。
私を監禁して滅茶苦茶に犯して欲しい……」

374:名無しさん@ピンキー
08/02/06 08:38:27 GbA4HG8i
イヤ、でも鬼哭街とかアレ男もヤンデレだが……

ゴメン、やっぱアイツ性格キモかったわ
兄様は別だけど


375:名無しさん@ピンキー
08/02/06 14:17:35 5Qrb4S6G
ヴァルキリープロファイルのレザードあたりだと、腐女子が大喜びする「男ヤンデレ」かもしれん
しかしこのスレは、熱き血潮滾る男たちの花園だ! 男ヤンデレなぞ不要!

男は黙って刺されるのみっ!

376:名無しさん@ピンキー
08/02/06 16:07:40 vtyzrrNY
お前ら過激だな……

377:名無しさん@ピンキー
08/02/06 17:59:07 2CdBhMcj
俺は相手に盲目的に尽くすタイプなら男ヤンデレも好きだなあ
トライガンのブルーサマーズなんかは見ようによっては男ヤンデレかもしれん

378:空気を読まずに投下するアレな人
08/02/06 18:28:54 I3wC+RXJ
ある日、ロッカーに手紙が入っていた・・・
四角い便箋には放課後の屋上に来るように・・・とだけ書かれていた
待ち合わせ場所で待っていたのは一つ上の先輩
眼鏡の似合うクールな・・・そして何を考えているかよく分からない・・・
とりあえず図書館でいつも黙々と本を読んでいることだけは知っている
「あのー先輩・・・一体何の用なんですか?」
大体の用件は分かっていた
こんなありきたりな場所でコクられた事など何度もある
もう少しヒネリを効かせても良さそうなものだが女とはベターなものが好きらしい
「付き合ってください」
ウンザリしながら分かりきった台詞を驚いたように聞く
無論付き合うつもりは無い
ルックスは上々、スタイルも良し、嫌いなタイプでもないし、特に付き合わない理由も無い
しかしツボに嵌らないというか・・・もう少し自分の好みなコを探したい
「あの・・・スミマセン・・・」
申し訳の無さそうな声を装っていつもの台詞を吐く
相手には見る見る落胆の色が広がる
「ど・・・どうして!?私は・・・・・・!!」
うわぁ・・・ウザ・・・断られたらそこで潔く引けよ
というか一度も話した事すら無いんだが・・・
「あ~・・・そうだ」
まァこういうウザい女は─・・・
「何でも言うコト聞いてくれるってんならいいですよ・・・『なんでも』ね」
これで諦めてくれればそれで良し・・・
諦めてくれないなら少し遊んでギブアップに仕向けるか
「わ・・・分かったわ・・・」
ま・・・楽しんでみるか

379:何も考えずに続投
08/02/06 18:29:57 I3wC+RXJ
「んーと・・・じゃあ少し・・・向こうの方に行きましょうか」
屋上の隅、タンクとコンクリの間を目指して歩く
後ろからは黙って付いてくる先輩・・・
「さて・・・と」
「エート・・・な、何をするの・・・?」
声に若干緊張の色が見られる
心配しなくてもこんな所で犯すようなバカな真似はしませんよ・・・
「今から二人っきりの時には御主人様って呼んでもらえます?」
「えぇ!?」
「あ、イヤなら構いませんが、別に強制はしませんよ」
付き合わない・・・という暗喩はちゃんと伝わったようだ
「分かりました・・・御主人様」
「うんうん、じゃあ次は~・・・そうだな・・・動くな」
「は、はい・・・」
強張った声で返事をし、起立したまま動かない
その女のスカートをパンツもろともずり下ろす、小さく声が出る
陰部を丸出しにした彼女に「動くなよ」と言い残して少しずつ遠ざかる

380:名無しさん@ピンキー
08/02/06 18:32:16 I3wC+RXJ
目的の物を校庭で採取して女の下へ戻る
律儀にも立ったまま全く動いていないようだ
どこか澄ましたいつもの顔に少しばかりの恥じらいが残っているのが興奮を誘う
「お帰りなさい・・・・・・御主人様」
中々分かってるじゃないか、と少し楽しくなりながら校庭で取ったものを渡す
受け取った木の枝をしげしげと見つめる
一体何をしろと言っているのか分からないようだ、分かるはずもないよな
「それ使ってオナニーしろ(笑)」
ピキリ・・・と凍りつく
「ん、イヤなの?だったら止めてもいいよ、今すぐ帰りなよ」
「や・・・やり・・・ます・・・」
「良く聞こえないな~・・・
いつ、どこで、ナニを、するのか言ってみよう、主語述語をハッキリとね♪」
「あ・・・うぁ・・・」
暫く固まった後、搾り出すように
「放課後の学校で・・・オナニーをします」
「よく言えました、じゃあやってみようか」
携帯を取り出してムービーを起動する
それを見て困ったような顔をしているが、それで止める程優しい訳ではない

381:名無しさん@ピンキー
08/02/06 18:33:05 I3wC+RXJ
女は便所座りの体勢になり、恐る恐ると股間に手を伸ばし、木の枝を押し付ける
「こ、こういうこと・・・やったことなくて・・・」
うっわぁー・・・生きた化石ハッケン・・・まさかまだこんな人間がいるとは・・・
まぁ知識としては知っているのだろう
少しずつ手が早く動き、クチュ・・・クチュ・・・という音が出始める
「ハッ・・・ハァッ・・・あァん・・・」
喘ぎ声と共に先程校庭で拾った木の枝が陰部に挿入されていく
「な、何か・・・当たりました・・・これ以上は無理・・・です」
思ったとおり・・・処女か、
ではバージンを棒切れ相手に散らすかオレと付き合うのを諦めるか選んでもらおう
声を出さずに、携帯を持っていない手で中指と薬指の間に親指を入れる
続けろということは分かったらしい、グズグズと泣き声が入る
「そんなぁ・・・ご、主人・・・様ぁ」
年上でクールな謎の女、その泣き顔はまた格別なものがある
ニコニコと笑いつつ微動だにしないこちらを見て、諦めをつけたらしく
先程から同じところを行ったり来たりしている木の枝を握りなおす

382:名無しさん@ピンキー
08/02/06 18:35:34 I3wC+RXJ
「うっ・・・あぁぁぁ───ッッッ!!」
股間の茂みからは血が滴り落ちる
それと共に絶頂を迎えたらしく、後ろの壁に全身を預ける形でもたれかかる
股間に木の枝を突っ込んだまま絶頂直後の荒い息のまま、この先輩は小さな笑みを浮かべて一言
「これで・・・付き合って・・・くれるのよね?」


以上で投下終了です、もうなんか・・・スミマセン
調教SSに落とすか迷ったんですがこれは調教・・・って程でもないなァ・・・とこっちに投下してみました
ここまで読んでくださった方々、ありです

383:名無しさん@ピンキー
08/02/06 19:24:47 pJAwIcut
心が痛んだ

384:名無しさん@ピンキー
08/02/06 19:30:08 23FcO5Km
やっぱり刺されるべきは男なんだなと思った

385:名無しさん@ピンキー
08/02/06 19:34:37 206tNGtA
面白かったけど、木の棒に処女捧げてまで言うこと聞いたのに「別に付き合うとは言ってないでしょぉ?」とか言われてサックリ捨てられ、徐々に病んでいくとかじゃなくて
これで全部終わりなら鬼畜スレに投下すべきだったと思うよ。

386:名無しさん@ピンキー
08/02/06 19:41:01 vtyzrrNY
いや、付き合うためにここまでするってのはヤンデレじゃね?

387:名無しさん@ピンキー
08/02/06 20:13:08 I2NSBxmP
ヤンデレっていうか只の場か?

388: ◆cFn2gA3fHc
08/02/06 20:23:46 sTi8jTwH
確かにヤンデレっぽきないな

389:名無しさん@ピンキー
08/02/06 20:58:44 rBlmfr2R
>>382 どうみても調教です。

390:名無しさん@ピンキー
08/02/06 21:33:52 nVWJtZBL
ゲームで起きたオカルトなことスレより
131 名前: 本当にあった怖い名無し [sage] 投稿日: 2005/12/12(月) 23:42:29 ID:9Mn36Pt90
PCのエロゲだったが、「私が愛してるのはあなただけ」って感じの台詞で、途中でPCが暴走して
「あなただケケケケッケケッケケケケッケケケケケケ」
って感じになったことがあったなぁ。
怖いというか笑ったけど

…………これをオカルトでも笑いでも無く、ヤンデレと思った俺は大分染まってきたな

391:名無しさん@ピンキー
08/02/06 21:38:35 grKXDQ9D
ガンダムOOの新女キャラがヤンデレみたいだね

392:名無しさん@ピンキー
08/02/06 22:47:30 vsvSHoJx
ツンデレ女王の癖にな

393:名無しさん@ピンキー
08/02/06 22:55:17 1ROgE7xa
>>391
ニコニコのMADだったら、ヤンデレはあのお姫様なんだけどな


394:名無しさん@ピンキー
08/02/06 23:22:32 zNoR1fLf
>>391
あれがヤンデレ!!?
どの辺りが??

思い当たる節が無い…

395:名無しさん@ピンキー
08/02/06 23:25:23 grKXDQ9D
>>394
URLリンク(www.new-akiba.com)

396:名無しさん@ピンキー
08/02/06 23:56:33 5Qrb4S6G
こんなんでヤンデレだったら、富野ガンダムの登場人物は男も女も全員ヤンデレの気がするが…

397:名無しさん@ピンキー
08/02/07 00:26:44 MF17whRQ
ただの基地外だろ

398:名無しさん@ピンキー
08/02/07 01:39:59 7nE1dI1A
このスレって最初から病んでる、もしくは即病むってのが多いけど、中々病まない話ってこのスレ的には投下してもいいのか?

399:382
08/02/07 01:57:19 4xM/5ojR
>>377を見て「なんでもする」っていう奉仕系ヤンデレを目指してみたんだけど・・・
このスレって女が病的に男に好意を持ってるなら相手には刺殺でも奉仕でもいいんじゃなかった?
あのアレ・・・なんか間違ってます?とりあえずスミマセン・・・

400:名無しさん@ピンキー
08/02/07 02:04:53 oegOo/yq
奉仕系ヤンデレっていう目指す方向性はいいと思う

401:名無しさん@ピンキー
08/02/07 02:05:37 X8j5o+Vt
>>395
こういう記事のヤンデレ説は正直信用ならない

402:名無しさん@ピンキー
08/02/07 07:36:46 hOF7DEmc
>>398
いいんじゃないか、だんだん病んでいくっていうのも
病むまでの過程を見るのも面白いし

403:名無しさん@ピンキー
08/02/07 08:28:00 hfnsuHcs
アレだよ、刹那に会いたいが為に紛争を起こす位じゃないと


404:名無しさん@ピンキー
08/02/07 09:20:32 wyH94Urz
奉仕系だと男自身には絶対手を出さないことが前提だな。
他の女性に目移りした場合、そっちを排除する、もしくはそれすらも男が望むからといって受け入れたり積極的に招こうとしたり。

405:名無しさん@ピンキー
08/02/07 09:27:43 hOF7DEmc
ということは言葉様は依存系と奉仕系の素質を両方を兼ね備えていりわけか
楓は奉仕系どうなんだろ?

406:名無しさん@ピンキー
08/02/07 09:34:36 EjH43a/r
奉仕することに依存しているというか…
主人公への愛というよりも、自己を確立するための奉仕は正直微妙な感じだな

407:名無しさん@ピンキー
08/02/07 16:27:04 CdbVj8TQ
>>403
お七か…
MADのマリナはまんまやってたけど

408:名無しさん@ピンキー
08/02/07 21:16:29 locB5dmf
マリナドールとマリナ専用ティエレンか

409:名無しさん@ピンキー
08/02/07 22:13:35 tTZRvDga
>>404
むしろ男が惹かれた女を攫ってきて、あなたもこの人に奉仕しなさいとかするぐらいキレてないと

410:名無しさん@ピンキー
08/02/07 22:38:19 7nE1dI1A
でも俺は最初は男の幸せを思って尽くしていても、途中で気持ちを抑えきれなくなり暴走してしまう女のほうが好みだけどな

411:名無しさん@ピンキー
08/02/07 23:17:18 H/JZCd5R
メイドロボなら包含条件を満たすと思った

で、『アハ、壊れちゃったぁ…』と自己判定、ロボット三原則を破棄して主人の周りの女を次々と

412:名無しさん@ピンキー
08/02/07 23:23:16 hfnsuHcs
ロボット三原則で西博士が作ったあのロボ娘を連想して
そういやエセルドレーダもヤンデレ入ってるかなぁ、と徒然と思ったり
奉仕系ヤンデレで思いつくのは後電波的なの雨だな


413:名無しさん@ピンキー
08/02/07 23:34:16 JWtXWYYD
REDのムラサキとか…いやあれは独占系か



男だし

414:名無しさん@ピンキー
08/02/07 23:37:25 CdbVj8TQ
REDはブルー様とかグリーンウェルとか男ヤンデレ多いよなぁ…

415:名無しさん@ピンキー
08/02/08 00:44:34 0wycU6uo
 

416:名無しさん@ピンキー
08/02/08 06:25:17 onTGHg5g
マスクド・ドラゴンの沙希タンみたいな、
改造人間の葛藤+恋愛でヤンデレキャラにしたら最高だと思うんだが

417:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:13:56 hsHjATE+
余り動きが無いようなので小説でも投下してみる。

418:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:16:58 hsHjATE+
 その山に住んでいる狸は決して不細工ではなかった。
 ただ、欠点があるとするならば何処と無く人に不安感と不快感を覚えさせることは確かだった。
 例えば、何時もおびえたようにビクビクしてた。
 また、上擦った声で、追われているのか脅されていているのか解らない様子で捲し立て、相手が欠伸一つして呆れた目で見つめられたならばそのまま押し黙ってしまう。
 あるいは、歩いている姿など不安定で苛々させては蹴り飛ばされる。
 それは散々であった。

 そんなわけだから、狸は穴倉から出ずに本を読み、レコードを眺めながら音楽にうっとりしては自分の孤独に嘆くことを喜びとしていた。
 相変わらず穴倉で狸が音楽を聴きながら、数少ない喜びの時間に浸っていると、一匹の兎が穴倉にやってくる。
 この兎は大層美人であった。肌は雪のように白くてみずみずしく、身体の均衡も取れており、顔立ちも目がぱっちりしており切れ長で、漆黒の髪がますますその美しさを演出する。動物の誰もがあの娘を抱けたらいいのになあ、と思いながら羨望の目で眺めていたのは確かだった。
 しかし問題はその性格の悪さであった。
 この娘は人の前ではにこにこしながら愛想良く過ごしてはいたものの、狸の前ではその残虐性を顕わにしていた。

419:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:18:23 hsHjATE+
 狸が終始びくびくしていたのはこの娘のせいもあったかもしれない。
 しかし、何時もの狸のことだ、きっと狸がまた悪さをしたに違いない、
 と動物達は同情を寄せてくれないどころか、むしろあのような美人の娘に構って貰えるのだから、
 世の中というのは不条理であり詰まらぬものである、と溜息を尽き、
 ある動物なんかは狸に受ける様々な虐めに被虐的な快楽を見出しては身を震わせている奴までいる始末。
 こんな調子であるわけだから、狸の風当たりが強くなるのは目に見えた話である。

「狸さん、おはようございます」

 そのように溌剌とした声で狸に挨拶をする。
 狸は飛びあがらんほどに驚き、その姿を確認する。
 兎はくりくりとした瞳で見なれた穴倉を見渡す。
 狸はまたこれから何が起きるのか、びくびくしながら横目で見ていた。
 こう何度もあってはもう諦めが付いており、ただただ肩を下げるだけだった。

「で、今日はなんのようなんだ」

 溜息交じりに語る狸。

「いえいえ、狸さんは独身でしょうから、栄養が整った食事などされてないでしょうから、私が手料理を持ってきたのです」

 狸は一瞬、おや、この子にしては珍しい気遣いだな、と感謝したのだが、それを期待した自分が馬鹿だったと後悔する。
 兎が取り出した豪華な重箱からは異臭が立ち込めていて、非常に不安にさせた。


420:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:20:04 hsHjATE+
「あの、兎さん、あの……」
 狸は重箱と兎の顔を交互に見ながら、口をぱくぱくさせていた。
 兎は笑みを崩さず、重箱を開ける。
 一体、この料理は何だろうか?
 鵺みたいにあらゆる物が分離合体し、
 元の材料が何だったのか、
 そもそも何の料理だったのかわからなくなっていた。
 狸は念の為に、震える箸で料理に手をつける。
 持ち上げた芋状の何かは無残にもぼろぼろと力なく崩れていく。

「いや、その、兎さん、なぜ私にわざわざ食べさせようとするのですか?
 兎さんのような美貌を持ってすれば、 男なんてよりどりみどりで御座いませんか。
 そして最も愛するような男性に手料理を食べさせればいいではありませんか、
 違いますか?」

 そのように哀願するような顔で兎に語る。
 兎は耳をピンと伸ばし、すました顔で述べる。

「確かにその通りですよ、狸さん。まず第一に、私にふさわしい人がおりませんし、愛する男性もおりませんしね。
 それに狸さんがこの役目には一番よろしいかと思われるのですよ。何故なら、下手な男性に試食を頼んで
 殺人罪にも問われたりしたら、私の身柄が危険ですからね」

 そう笑いながら兎をくすくすと笑う。

421:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:21:19 hsHjATE+
 狸はぎょろりとした目を向けながら
 ―なるほど、この少女に料理が下手だという自覚は一応あるのか―
 と思う。
 「万が一、残したとするならば、狸さんが私の料理をまずいといって食べてくれないのです、
  と周囲の動物に泣きついたりしますので、その覚悟で挑んでくださいね」

 狸は自らの不運を嘆いた。
 全く、碌な動物に掴まれたもんじゃないな、と天を仰ぐ。
 狸は目を瞑り、一心不乱に料理を書きこむ。

「それでは味も解らないでしょう?もうちょっと味わって食べたほうがいいと思いますよ」

 狸は、ああ、味など解らなければいいのに、と思う。
 狸の表情がみるみるうちに青ざめていく。
 味を跳ね除けたあとは触感である。
 ねちゃねちゃとまとわり付き、歯茎の間から満遍なく染み渡りそうな、不愉快な感触が口に広がる。
 狸は箸を握り締めぐっと耐えていた。脂汗があとからあとから滲み出てくる。
 兎はそれを見て満足そうに、まだ残ってますよといわんばかりに料理を勧めるのであった。

 狸は完食し終わるとそのまま床に倒れ、泡を吹いてしまった。


422:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:23:25 hsHjATE+
 
***
 
 狸はニ三日後によろよろと置きあがり、目の前にある重箱を見て、涙した。
 何故、自分がこのような目に会わなければならないのか。
 確かに兎は美人だ。だがこの仕打ちはあるまい。
 俺はただただ、誰からも放っておかえるような
 、気の楽な人生を送りたかったに過ぎない。
 それが、あいつのわがままで全て台無しにされていく。
 自分が気に入ったレコードのどれだけが割られ、書籍は破られたことか。
 そのようにぽろりぽろりと愚痴っていると、狸はふと空腹感を覚えた。

 仕方が無い。
 何か食料でも探しに行くか。

 胸が相変わらずむかむかするけれども、背に腹は代えられぬというわけで、いそいそと外へ出た。

 腹が減っては戦が出来ぬ。
 空腹は感性というものを著しく低下させてしまう。


423:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:26:41 hsHjATE+
 事実、この狸の場合もそうだった。
 普段であるならば、

 ふん、こんな罠には引っかかる動物が何処にいるのだ、

 と鼻で笑って通りすぎていくような稚拙な罠だったのだが、
 兎の料理の為か、それともその空腹の為か、あっけなく引っかかってしまう。
 狸はこのような不運を呪った。ああ、なんたる惨めな人生なのか。
 小娘には言いように扱われ、
 動物達からは阿呆だの馬鹿だの罵られ、
 挙句の果てに罠に掴まり鍋へと放りこまれ、
 人間の腹で栄養となって死ぬ。
 ああ、何故自分は生まれてきたのか。狸は自らを罵った。
 暫くするとお爺さんが現れた。恐らく罠を仕掛けた張本人なのだろう、今日の獲物に満足げの様子であった。
 
***
 
 狸は力も無くうなだれていた。
 狸は縄でぐるぐる巻きにされ、柱に括りつけられていた。
 狸はぽつりぽつりと涙をした。

424:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:27:55 hsHjATE+
 その様子を見ていた独りの娘がいた。
 この狸を捕らえたお爺さんの娘であり、
 着物のよく似合うおしとやかで清楚な美人であった。
「狸さん、狸さん、そんなに何を泣いているの?」
 狸はその娘が何者かを知らずに自分の一身の不幸を訴え続けた。
「俺はよう、俺はよう、今の今まで一生懸命生きてきたんだよお、
 せめて誰にも迷惑をかけないように、皆のためをおもって頑張って生きてきたのによう、
 いまじゃあこんなありさまだ。俺は不細工だし身なりは汚いしよお、
 神様か仏様かしらねえけどよお、俺みたいな奴は早く死んでしまえという思し召しなんだよお、
 それが憎くて憎くてよお」

 狸は留まることを知らなかった。娘はただにっこりと聞いていた。
 娘の胸のうちには同情もあったかもしれない。

「狸さん、そんなに悲しまずに。貴方は全然不細工でも小汚くもありませんよ」
「嘘だ、嘘だ、娘さんはそうやって俺を騙そうとするのだ」
 娘はクスクスと笑うと、柱へと向かい、するするとその結び目を解いてしまった。
 縄は緩やかになり、狸の足元にはあれほど苦しめてきた縄が力もなく横たわっていた。


425:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:29:40 hsHjATE+
 狸は周囲を見渡して呆気に取られてしまった。

「な、なあ、俺が性の悪い狸だと知っていて、こんなことをするのか?」
 娘はまた笑って答える。
「悪い狸ならば、縄が解けた途端に逃げ出していると思いますよ」
 狸は娘のひざで泣き出し始めた。
 娘は、狸の頭を少し撫でてあげると、もう行かなければお爺さんが帰ってきますよ、と優しく諭してあげた。
 狸は顔を上げ、少し頭を下げると一目散に家へとかけていく。
 家はぐんぐんと離れ、何時の間にか小さくなっていた。
 もう、ここまでくれば安心だろうと木陰に因りかかり、あの美しい娘のことを思い出していた。
 娘のことを思い浮かべると何やら鼓動が早くなり顔のあたりに火照りを感じるようになっていた。
 最初は、余りにも走りすぎていたが故のことだ、思い違いだと頭を振ったのだったが、何時しかそれは確信に変わっていった。
 それはつまり―ああ、俺はあの子に恋をしているのだな―と狸は確信した。
 狸はそれからというものの、人目を盗んでは家へと向かった。
 そしてその娘を陰で見送り、こっそりと玄関に柿や栗の実を落とすことしか出来なかった。


426:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:31:17 hsHjATE+
 
***
 
 兎は何時ものように狸を虐めてやろう、今日はどのように虐めてやろうかなどと思案をしながら穴倉へと向かっていた。
 すると、穴倉の外で何やら肩を落とし、溜息ばかりついている狸の姿が見えた。
 兎はなにやら変に思えた。
 というのは、何時もならばもう少し肩をびくびくさせて、
 今日はどうしよう、明日はどうしようと
 きょろきょろと見まわしている筈だったからだ。
 今の狸の様子は肩の力が抜け、なんだかぼんやりとしている様子だった。

 それが気に食わない兎は後ろから固い枝でぽかりとやった。
 狸は頭を抱えて振り向き、力なさそうに溜息をついた。
「ああ、なんだ、君か―はぁ」
 反応が余り無い狸を見て、面白くなさそうに枝を投げ捨て、改めて聞く。
「狸さん、何か落ちこむようなことでもあったのですか?」
 狸はあの調子で、はぁ、と溜息をつくと頭を振って答えた。
「いやいや、ある娘に惚れてしまったようなのだよ、兎さん。恥ずかしいことだ」
 兎は笑い転げた。
 狸は何がそんなにおかしいんだ、と少し苛立ちげの表情を浮かべた。


427:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:32:41 hsHjATE+
 兎は笑いを抑えながら、狸にこのように述べる。

「あははは、まさか、まさか貴方が恋をするなんて、
 これほど滑稽な話はございませんよ、
 貴方の何処にその恋が実るような要素があるというのですか、
 それこそ馬鹿げた話ですよ、あははは、死んでしまう、死んでしまう」

 腹を抱えて笑う兎を、狸は恨めしそうに眺めていた。

 確かに、俺みたいな男が、あのような器量の良い娘に好かれるということは殆ど無いだろうことは間違いが無い。
 むしろ逆に恐怖を覚えられ、お爺さんに告げ口でもされようものならば、
 彼の人生は瞬く間に終わってしまうであろうことは事実であった。
 しかし、狸にとって、もはや娘にそのような虐げられ方をされようとも、
 娘無しにこの人生はありえず、拒絶されたとするならば、
 惨めに死んでいくのも構わないとまでに思いつめていた。

 狸はすくと立ちあがると泣くのを止めて走っていった。


428:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:35:40 hsHjATE+
 その姿を見て兎は呆気に取られていたが、狸の姿が彼方に消え去ると、
 先ほどの嘲笑うような表情とはうってかわり、唇をかみ締め、わなわなと震えて、呟いた。

「あんな女の何がいいというのだろう……
 私が、私が、誰からも相手にされない貴方のことを構ってあげていたのに、
 少しかわいい女が現れたらすぐころりといってしまう……
 あんな女の傍へ行った所で、惨めに振られるか捨てられるかだけなのに・……
 今なら頭を下げて私のところに戻ってくれば、百倍も虐めてあげるのに……
 一生一生、五体が動かなくなっても一生虐めてあげるのに」

 兎は何やらくすくすと笑う。兎の笑みは何処となく歪んでいた。

「そんなことも理解できない狸には少々きついお灸を添える必要があるみたいですね」

 狸の居なくなったこの場所に用はない。
 兎はその場を離れた。

429:恋の病はカチカチ山をも焦がす
08/02/08 07:36:39 hsHjATE+
第一話投下終了。
スレ汚し申し訳ない。

430:名無しさん@ピンキー
08/02/08 07:38:42 yOKAx1z/
>>428
早朝からGJ!
リアルタイムで読ませてもらったぜ
御伽噺ちっくな物語で個人的にはかなりツボだ

431:名無しさん@ピンキー
08/02/08 07:57:13 +X7S0ZD5
GJ!
でもやだなぁ。原作通りだとこの後、狸殺人容疑かけられて、兎に死刑にされるんだぜ。
あんまりに報われねぇ。

432:名無しさん@ピンキー
08/02/08 08:27:33 e3Gp+I7m
>>431
それ原作やない、改変アニメや!

433:名無しさん@ピンキー
08/02/08 08:43:35 qlj01ah8
どうか狸に幸せを。

434:名無しさん@ピンキー
08/02/08 09:11:09 An6tiquO
とぼけたキャラ配置と大正~昭和初期ふうの文章が、
なんともいえん味わいを醸し出している。ヤンデレも
奥が深いなあ。脱帽だ。GJ!

435:名無しさん@ピンキー
08/02/08 09:31:00 Kzw1VghW
これは期待。

436:名無しさん@ピンキー
08/02/08 09:52:19 Ey7xCLUR
昔話系は大好物だ
次回wktkして待ってます

437:名無しさん@ピンキー
08/02/08 10:08:35 AXVrcm1Q
>>428

超GJ&期待っす
どうか狸に幸あれ


438:名無しさん@ピンキー
08/02/08 20:19:39 CCBcbRIW
>>428
GJ!
こういう話は大好きだ
これからも期待してますよ

439:名無しさん@ピンキー
08/02/08 23:03:58 6OAPbaSr
>>428
面白かったのだが、一つ気になる事が…

兎のデレが無いのは気のせいか?
それとも、これからに期待?

440:名無しさん@ピンキー
08/02/08 23:06:30 ZmT4y+W+
>>439
気が早い

441:名無しさん@ピンキー
08/02/08 23:08:09 Ig7geVJs
なんか、筒井康隆の文体の匂いを感じるの俺だけか?

442:名無しさん@ピンキー
08/02/08 23:15:39 zuzakOfq
GJッ!! オラわくわくしてきたぞ!

443:名無しさん@ピンキー
08/02/09 00:34:47 ewzM2TNf
>>441
実は俺もだ。

444:名無しさん@ピンキー
08/02/09 14:51:06 qvYSmSGh
慈円乙

445:名無しさん@ピンキー
08/02/09 17:50:12 o90fOjYf
ヤンデレにありがちなこと
・親になるとDQN
・法律のことなんて気にしない
・相手のことなんて気にしない
・頭がいい
・超変態
・女と喋っただけで嫉妬 または見ただけで嫉妬

446:名無しさん@ピンキー
08/02/09 19:07:53 0ScQq26a
思ったんだが、それってヤンデレではなくてただの嫉妬深い女だろ。

447:名無しさん@ピンキー
08/02/09 23:55:39 2uae5pK7
空鍋様とか相手の気持ちを尊重しすぎたせいで爆発してるしな

448:名無しさん@ピンキー
08/02/10 00:35:27 ASZ1Gaha
・暗い部屋で名前を連呼

449:名無しさん@ピンキー
08/02/10 01:27:13 F7gVrUw4
>>447
あれは自分の気持ちを慰める為でもあるからなぁ
しかし楓は原作版もあれはあれで充分歪んでると思う。

450:名無しさん@ピンキー
08/02/10 07:34:58 6qM3OOdq
>>449
俺の嫁がどうかしたか??

451:名無しさん@ピンキー
08/02/10 09:27:08 ys4sDJPy
>>450
稟乙

452:名無しさん@ピンキー
08/02/11 02:03:40 4zY0/7dX
>>449
参考までに、原作のほうの楓はどんな風なのか教えてくださいませ

453:名無しさん@ピンキー
08/02/11 07:05:57 7fHl2qu3


454:名無しさん@ピンキー
08/02/11 07:13:03 YrCZj8ml
>>452
ひたすら一途
稟から告白してもそんな資格はないと断って、でもお世話をさせて下さいと言うくらいに
まあ、自分の気持ちを裏切るくらいに一途だからその辺が歪んでるとも言う

455:名無しさん@ピンキー
08/02/11 23:18:21 gvYdcvh8
別キャラルートに入らないと強制的に楓ENDなのも面白いよな
とは言っても原作の楓はアニメとはまったく別物だからヤンデレを期待してると肩透かしになるだろうな

456:名無しさん@ピンキー
08/02/12 00:32:31 Pa5Z0FvB
それは初耳だ。興味深いな>強制的に楓END
アニメしか知らないけど、方々で聞いた話を総合すると「病んでる」じゃなくて「歪んでる」印象を受けるな、原作楓。

457:名無しさん@ピンキー
08/02/12 00:42:09 RbJ/A09U
>>456
原作では日常バッドがないから、全員の好感度が規定値に達していないなら楓ルートになるって話だと思う

458:名無しさん@ピンキー
08/02/12 00:55:43 dBSByQBQ
よくよく考えればよくあの原作で修羅場イベント作ろうなんて思ったよな
みんな原作だと後半で「自分は、凛くんと付き合う資格がない」って戦線離脱したり、
もう一つの人格に譲ったりする良い子ばっかなのに

459:名無しさん@ピンキー
08/02/12 01:21:06 SfcZ5Yf3
監督がオリキャラ投入により信者を発狂させたみなみけおかわりの人だからじゃね?

460:名無しさん@ピンキー
08/02/12 02:24:49 MAFCco93
このスレ的には病んだのは良い改変だったんじゃないの?
まあ信者がどう思ってたかは知らんけど

461:名無しさん@ピンキー
08/02/12 03:27:14 aQ1r/o7y


462:名無しさん@ピンキー
08/02/12 06:41:42 pgnlAjt8
>>458

>みんな原作だと後半で「自分は、凛くんと付き合う資格がない」って戦線離脱したり、
もう一つの人格に譲ったりする良い子ばっかなのに

え?悪い子だろ?

463:名無しさん@ピンキー
08/02/12 20:04:34 pY6YeEC0
これは?携帯だけだけど
URLリンク(courseagain.com)

464:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:27:57 E7a9J8wT
第二話、投下します。

465:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:30:00 E7a9J8wT
 ***
 
 兎は最初、狸を馬鹿にしていた。
 馬鹿にして悪戯を仕掛けていたのは間違いない。

 兎が最初に狸を見たのは、川岸であった。
 狸は、そこでのんびりと釣りをしていた。
 兎は、少しからかってやろうと思い、川へと石を投げた。
 石に反応した魚は散るようにして逃げていった。
 狸は何やら肩を落として、その様子を眺めていたように思う。
 狸は後ろを振り返らず、またゆっくりと釣り針にうねうねと身をもじるみみずをちぎり、
 丁寧に針へつけ、ひゅんと川へ投げ込んだ。
 先ほどの喧騒を忘れたかのように魚が帰ってくると、兎は面白そうに、また石をぽちゃんとやった。
 逃げていく魚。
 また狸は肩を落とす。
 兎はその愚鈍な狸をけらけらと笑っていた。

466:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:30:41 E7a9J8wT
 その笑い声に気がついたのが、狸は振り返る。
 きっと狸は怒鳴り散らして追いかけてくるだろう、
 そのときは自慢の足で逃げ切ってやろうと思っていた。
 だが、予想に反して狸は兎へと手招きして、川につけてある魚籠を見せた。
 その中には魚が数匹、この後の運命を知らずにのんびりと泳いでいた。
 狸はその何匹かを上手に串に刺して、兎に渡した。
 兎は呆気に取られていると、狸はまたどっしりと腰を落として、魚釣りをやった。

 兎は馬鹿にされていると思い、狸に石を投げた。
 頭にぽかりとぶつかる。
 さすがにここまですれば愚鈍な狸も怒るだろうと思っていた。
 だが、狸は目をぱちくりしたあと、このように言った。

「なんだ、魚が欲しかったんじゃなくて釣りをしたかったんだなぁ」と。

 兎はここまで愚鈍な動物がいたとは、と心底飽きれた。
 その時から、狸に対してさまざまないやがらせをしていた。

 例えば穴倉の前に落とし穴を作ったり、
 あるいは彼が大事にしていた収集物を壊したり、
 あるいは濡れ衣を着せては動物達に責めさせたり。

467:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:31:03 E7a9J8wT
 その行為は悪意に満ちたものだったけれども、それでも狸は怒らなかった。
 ため息を吐き、なにやら諦めたような顔をしてまた歩いていく。

 兎はいつしか彼に惹かれていたのかもしれない。
 狸は愚鈍だっただけではなく、何処か達観したような何かを持っていたのだと思う。
 狸に、そのように仕向けたきっかけは解らない。
 狸は粘り強く兎の悪戯を我慢した。
 兎にとって、狸は何処か信頼の置ける人物となっていったのだろう。

 ならば、諸君はなぜ兎は告白しなかったのかとたずねるだろう。
 しかし、兎にとってはもはや自分から告白するなどは考えもしなかった。
 狸が泣いて謝って許しを請うだけではなく、奴隷として名乗り出て、
 一生を共にすることを期待していた。

 狸が奴隷として一生を遣えるとするならば、
 兎は少し苦虫を潰した顔をして、渋々と了解しようと思っていた。
 それに、狸のことを好意もつ動物などいないだろう、と思っていた。
 だから兎は余裕を持つことができたのだった。
 しかし、兎が余裕を持っていたのも"あのとき"までだった。

468:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:32:11 E7a9J8wT
 若干、兎は焦っていた。
 狸が、他でもなく私ではない誰かを好きになるとは考えても見なかったからだ。

 兎には自分に言い聞かせていた。
 狸のことなど好きになる奴などいない、
 どうせ傷心して帰ってくるに違いない。

 その時は、立ち直れないほどに詰ってやろうと考えていた。
 私以外の女性を好きになった罰として。
 もう他の女性などを好きにならないようにだ。
 
 ***
 
 狸が焚き木の束を背中に背負うと、えっちらほっちらと、
 均衡の取れない不恰好な歩き方を始めた。

 これほど、体を使ったことがないのだろう。
 兎は笑いながら、背中を蹴飛ばした。
 狸は前ののめりで倒れると、振り向いて、溜息をついた。

469:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:33:03 E7a9J8wT
「また、お前さんか」

 狸はよっこらせと立ち上がり、またえっちらほっちらと山を降りていく。
 兎は後ろから付いていって、顔を覗き込み、尋ねる。

「ねえ、あの時、何処へ行っていたの?」

 狸は、頭を少しかき、照れくさそうにする。
 兎は何を柄にないことを、と訝しかった。

470:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:33:40 E7a9J8wT
「いやあ、そのな、一目惚れした娘さんがいてよお、
 つい前まで贈り物するくらいしかできなくてよお、
 ほら、俺が好きになったとしても、娘さんに迷惑がかかると思ってしまってよお、
 遠巻きに見るしかねえと思ってたんだよ。
 だけど、こないだそれだと埒が明かない、
 もう壊れてもいいから当たって砕けろの精神でよお、
 向かっていったわけさ、すると

 『そう、やっぱり貴方が柿や栗や茸を置いていってたのですね』

 と喜んでいてよお、そのあとは、まあ、なんというか、うん、そそその……、
 両思いって奴でさ」

 狸は喋りながら顔を真っ赤にしていく。
 兎は何かが崩れたような気がした。
 もしかしたら狸の妄想かもしれない。
 いや、振られた衝撃の為、現実と妄想の区別がついていないのかもしれない。

471:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:34:08 E7a9J8wT
 兎は声を震わせて言う。

「そんなこと……
 そんなことあるわけがないじゃない……
 騙されているんですよ、狸さん」

 狸は相変わらずあっけらかんとしている。

「ああ、俺なんかを好きになってくれる人なんていないだろうさ、
 俺はそれでもかまないよ、あの娘が喜ぶ顔があれば、
 俺にはいいんだよ、だから別に騙されていたってかまわないよ、
 そのときはそのときだ、俺は頭を下げて穴倉で寝込むだけだよ」

 兎はそのことを聞いて、目の前が暗くなったように感じた。
 狸がそれほどまでに娘を愛しているという事実がそこにはあったからだ。
 そして何か別の感情がめらめらと心の奥からわきあがってくることに気が付いた。
 それは兎が今までに感じたことのないような感情であった。

472:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:34:56 E7a9J8wT
 嫉妬。
 兎は嫉妬したいたのだ。

 狸は陽気な鼻歌を鳴らしていた。
 兎は懐から火打ち石を取り出した。
 そして、背負った焚き木に火花を散らしていた。

「おや、兎さん、何か、かちかち、という音がしないかね」

 兎はとぼけた顔をして狸に言う。

「ええ、ここはかちかち山というんですよ」

 狸はなにやら浮かない顔をしてたずね返した。

「いやあ、俺はここに十数年住んでるけど、そんな話聞かなかったぞ」

 兎は済ました顔で言う。

473:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:35:39 E7a9J8wT
「あら、狸さん、そんなに他の動物と話をしたことないくせに。
 じゃあ教えてあげますわ。

 この山で、ある男性に恋をした女性が、
 その男性と焼身して無理心中しようとしたのですよ。
 なにしろ、その男性は隣村に奉公に行く最中でしたが、
 離れ離れになるならば死んだほうが良いと寝ている時を襲い、
 燃やしてしまったのですよ。

 いつしかこの山はかちかちと音がして誰かまわず燃やしてしまうと
 評判になっているのですよ」

 兎は恰も、あった話かのように淀みなく話をした。
 狸は何やら納得したような、しないような曖昧な表情を浮かる。

「いやあ、俺になんか嫉妬するような女性なんていないよお、
 むしろ女性のほうから逃げていくよお」

 と少し自嘲ぎみの笑みを浮かべ俯いた。
 兎は、あらあら、その女性は目の前にいますのにね、と思っていたが、
 口には出さなかった。目の前の焚き木にはだんだんと火の手が上がる。

474:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:36:34 E7a9J8wT
「なあ、兎さん、なにやら暑くはないかなあ、それに、ぼうぼうという音もする」

 狸は汗を腕で拭いながら言う。
 兎は相変わらずすました顔で答える。

「ええ、一度ついた嫉妬の炎は消えることなく燃え盛るものですから」

 流石に愚鈍な狸でも、背中に付いた火に気が付いた。
 しかも、狸は焚き木が落ちないようにと腰にしっかりと
 結び付けていたものだから、焚き木を降ろすことができなかった。

「うわあ、あつい、あつい、兎さん、兎さん、何で教えてくれないんだよお」
 狸は泣きながら結び目を解こうとしたが、
 焦っている手前、なかなかほどけてはくれない。
 とにかく川へと走り出す。

「だから言ったでしょう、一度付いた嫉妬の炎は消えないのです」

 兎はその姿を見ながら冷ややかな笑みを浮かべた。

「そうですよ、私以外の女性が好きになったらこういうことになるのです」

 もはや狸は小さくなっていっていた。
 狸の向かうところには川が見えた。

 兎は、後の焼けどが大変だろうな、とくすくす笑っていた。

475:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/13 00:39:15 E7a9J8wT
投下終了です。

476:名無しさん@ピンキー
08/02/13 00:39:42 z0mtyeaj
oo

477:名無しさん@ピンキー
08/02/13 00:40:29 yzOs/PJb
うおおおおお、やっぱり嫉妬はいい!
ひたむきな嫉妬はいい! ……ヤンデレスレだけど

GJ! GJ!

478:いつのまにアク禁とけたんだ、おれ
08/02/13 00:40:39 z0mtyeaj
まちごうた
GJ!つかうさぎ怖ええ

479:名無しさん@ピンキー
08/02/13 00:41:24 a5Wmyhcv
>>475
嫉妬イイ!
久しぶりに萌えたww心が震えたwwwww
GJ!

480:名無しさん@ピンキー
08/02/13 00:41:47 ekw4wFVF
>>475
リアルタイムGJ!!

481:名無しさん@ピンキー
08/02/13 01:22:01 O33HgO5t
>>475
狸に惚れた! 兎の嫉妬もむべなるかな、と思わせるキャラで、とてもイイ!
兎かわいいよ兎。GJGJGJ!

482:名無しさん@ピンキー
08/02/13 02:55:19 A5vAT1F2
ウサギむかつきますな

ともあれGJ

483:名無しさん@ピンキー
08/02/13 03:02:38 POA4jIG0
>>482
君は一度嫉妬深い女性に背中を焦がされたほうがいいな

>>475
GJ!!これからの兎に超期待!
でもそれだと狸が…

484:名無しさん@ピンキー
08/02/13 03:29:07 lZYhu3dP


485:名無しさん@ピンキー
08/02/13 08:28:17 y+OucXp8
>>475
GJっす!

今後の兎のデレ分に期待したい

そして狸…死ぬなよ…

486:名無しさん@ピンキー
08/02/13 12:40:02 uK43VcgK
>>475
GJ!!

原作どおりだと狸死ぬよね……


487:名無しさん@ピンキー
08/02/13 13:00:02 ih6kSV5/
太宰のカチカチ山でも兎は悪女なんだよな
狸←兎じゃなくて狸→兎だけどw

488:名無しさん@ピンキー
08/02/13 18:37:04 wDqWFNBR
>>475
GJ!

とりあえず狸と友達になりたい

489:名無しさん@ピンキー
08/02/13 19:17:48 ih6kSV5/
今更だがヤンデレの魅力とは何なんだろう?
最近ツンデレ同様にヤンデレが俗化する傾向にあり、にわかも増えてきた
結局ヤンデレの魅力、いやさヤンデレの真髄は何なのだろう?
最近じゃ単に狂気や猟奇があればいいという風潮にあるが
だからレナもヤンデレになるんだろうな

490:名無しさん@ピンキー
08/02/13 19:21:42 YumLN2vO
そんな議論どうでもいい

491:名無しさん@ピンキー
08/02/13 19:49:38 ih6kSV5/
単なるキチガイをヤンデレにした方がわかりやすいから?

492:名無しさん@ピンキー
08/02/13 20:13:05 ekw4wFVF
相手を愛しすぎてヤンでしまうところがいいんじゃないか?
最初は普通の価値観をもつ少女でも、男君を愛しすぎてしまったが故に、男君を手に入れるためにはどんなことでも厭わないという思考を持つようになる究極の純愛だと思う
 
病むほどのデレがあってこそ初めてヤンデレと言えると思う
猟奇は大した問題じゃない、というか趣旨が違う

493:名無しさん@ピンキー
08/02/13 20:28:52 v3JoR40Q
想いが肥大して赤色巨星みたくなったあげく自重で内側に潰れていき、しまいにゃブラックホールに…。

みたいなのを書こうと思った時期が俺にもありました。

494:名無しさん@ピンキー
08/02/13 20:50:27 GsPkVf2x
>>493
まだ遅くない
ssを書くんだ

495:名無しさん@ピンキー
08/02/13 21:10:03 YHHRf9lh
明日はバレンタインか・・・
ヤンデレの女の子が、血と愛液が混じったハート型のチョコを持って来てくれないかな~
一人は辛いぜ!!ちっくしょー!!

496:名無しさん@ピンキー
08/02/13 21:24:32 l/m6yGoH
>>495
最近電柱の裏に隠れている美女がお前をジロジロ見てたんだが・・・。

497:名無しさん@ピンキー
08/02/13 21:42:46 asrnyYam
>>495に素敵なフラグが立ってるな。


ところで勢いで書いた短編を置いていく。杜撰で済まない。

498:君になら殺されてもいい
08/02/13 21:43:44 asrnyYam
屋上に2人。僕と彼女は立っていた
。突き抜けるように青い空、あおい、蒼い空を仰いだ。
空っぽの僕の心よりずっとあおい。
太陽が眩しい。

「泣いているの?」

彼女が僕に問いかける。

「空が眩しいんだ」

僕は彼女の問いに答える。
視線を空から彼女に戻した。長い黒髪はいつ見ても本当に綺麗だ。
白かったワンピースは膝までに破れてしまっている。

視線が交わった瞬間、僕と彼女の時は止まった。
止まった時の狭間でも僕は何も思わない。
悲しいも嬉しいも幸せも寂しいも。

「泣いているの?」
「君が二度も聞くってことは泣いているんだろう」
「あなたを哀しませてしまったのね」
「君が誰かを殺したことが悲しいんじゃないよ」

眉をひそめて申し訳無さそうな彼女。
白かったワンピースは返り血で赤い。
赤い紅いあかぁい血の色。
僕の父と僕の母と僕の妹の血の色。

その血を見て何も思えない僕は問題なのか。
その彼女を見て何も思えない僕は問題なのか。



499:名無しさん@ピンキー
08/02/13 21:43:52 a5Wmyhcv
俺はどうせ今年もゼロだよバーロー

500:名無しさん@ピンキー
08/02/13 21:44:02 v3JoR40Q
支援

501:君になら殺されてもいい
08/02/13 21:44:56 asrnyYam
「なにが悲しいか当ててあげるわ」

彼女は諦めたような顔で空を仰いだ。

「私が何をしてもあなたは私を好きにならないことが悲しいのでしょう?
 そして正確には悲しいというよりどうでも良いんでしょう?」
「当たりだよ、驚いたな」
「だって私はそんなあなたが好きなんだもの」

目を閉じて踊るように歩きだす。
白かったスカートが重たげに揺れ、黒く美しい髪が軽やかになびく。

空っぽの僕に近づいて来る。

「何にも執着しないあなたが好き、
 何にも捕らわれないあなたが好き、
 何も大切にしない出来ないあなたが好き」

歌うように言葉を紡ぐ。
五メートルほどあった僕と彼女の距離はゼロになった。
彼女の左手は僕の唇に触れ、彼女の右手には包丁が紅く光る。

風は無い。鳥は鳴かない。誰も来ない。

「私のことを好きになるようじゃ興醒めだわ」
「なんとも素敵な告白だね。じゃあ僕は君の望み通りじゃないか」
「そうね」

ぱっちりと目を開けしっかりと瞳を覗き込んで。

「だからあなたを私に頂戴」

僕は笑った。正確には微笑んだ。

「そうだな。君になら殺されてもいい」

――空っぽの器でいいならいくらでも君にあげよう。



502: ◆5PfWpKIZI.
08/02/13 21:46:14 asrnyYam
これしか無いんだ。済まない。
支援ありがとうございました。

色々な点で反省はしている。2月中には必ず再開する。


503:名無しさん@ピンキー
08/02/13 21:46:46 a5Wmyhcv
割り込みスマソ

504:495
08/02/13 22:36:22 YHHRf9lh
>>496
それは本当か!?
くそ!俺には空鍋様という人がいるというのに!
ちょっと、文句を言ってくるわ。人をジロジロ見るなってな

505:名無しさん@ピンキー
08/02/13 22:45:56 Wtu7Lhh+
>>502
こういう雰囲気は結構好きだ……ってか恋人作りの作者さんか
あの作品元々はバレンタインネタだったっけ、もう一年経つんだな

506:名無しさん@ピンキー
08/02/13 22:50:20 Ifwve53h
>>504
お前ちょっと表出ろ

507:名無しさん@ピンキー
08/02/13 22:53:05 wk9IXhvU
>>495!落ち着くんだ。

何故496は、495の正体を知っていたかを考えるんだ!
つまり496こそが・・・・・・

508:名無しさん@ピンキー
08/02/13 23:11:34 uZ3ICv30
>>502
彼女もヤンだが僕も相当なヤンですな
……恋人作り、全裸でお待ちしてますよ

509:名無しさん@ピンキー
08/02/14 00:11:15 ue68UZEY
>>507
俺がヤンデレ?ごめんだぜw

510:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:30:27 Eysd06wo
連日で申し訳ないですが、第三話投下します。

511:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:31:08 Eysd06wo
 
 ***

 狸は布団で横になり、唸っていた。
 まだ背中のやけどが痛むのだろうか、狸は寝返りをうつたびに少し叫んで飛び起き、
 いつものように自分の不運を嘆いていた。
 すると、扉が軽く鳴る。狸は重い腰を上げ、のそのそと扉に近づく。
 開けると、にこにこと笑っている兎の姿がいる。

 狸は肩を落とし、物憂げな表情をしてゆっくりと口を開く。

「兎さん、今日は一体なんの用事だよお……」

 兎は懐に抱えている壷を見せる。
 中には粘り気のある液体が入っている。

「いえいえ、狸さん、こないだはとても不幸な目に会いましたね。
 まだ傷も癒えていないかと思ったので、知り合いの薬師に、
 やけどに効く薬を分けて頂いたのですよ」

 狸は少し溜息をつき、弱弱しく言葉を返す。

512:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:33:13 Eysd06wo
「その薬というのも、唐辛子が入っていたりして、肌がひりひりとなったりするのだろう……
 あるいは、法外な値段を吹っかけたりするのだろう……」

 兎は表情を崩さずに笑いながら返す。

「あらあら、狸さん、私はそこまで性悪ではありませんよ。
 ちゃんとした塗り薬ですし、お金もいりませんよ。
 それに狸さんは身包みを剥がせるほど豊かでもないでしょう?」

 狸は疑うような目をしていたが、兎が急かして中へと強引に入る。
 狸も半分は諦めた様子で、穴倉の中へと案内し、一枚の座布団を差し出した。
 兎はその上に行儀良く正座をする。狸は背中を見せる。
 背中は毛が無くただれており、怪我の痛々しさを伝えている。
 兎は塗り薬を指で救うと、手のひらを使って背中全体へと伸ばしていく。
 狸は塗られると何やら肩の力が抜けるような気持ちよさを覚えたが、
 段々と体が火照り始め、気持ちが高ぶりはじめた。

 特に女性と肌を合わせたこともない狸のことであるからして、
 この状況に対して耐性の無い狸が、
 扇情的な気分になるのも仕方がないことだった。


513:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:33:59 Eysd06wo
 また、かわいらしい兎がこのように肌へと薬を塗っていくと考えることが、
 何処か狸の妄想をかきたててしまうのだろうか。

 狸の下半身が段々と反応をし始め、自分自身をますます困惑させてしまう。
 流石にこのような情けない姿を見せないためにも狸は目をつぶり、
 落ち着かせようとした。

 暫くすると、手の動きが止まったのか、液体の粘るようなぬるぬるした感触が消えた。
 もう、塗り終わったから、安心できるかなと思う。

 しかし、今度は何か背中に圧し掛かかられているように感じる。

 目を開けると、首の前で、兎が手を交差している。
 狸が後ろを振り返ると、直ぐ傍に兎の顔が見える。
 白い肌の頬をほんのりと赤らめ、うっとりしたような目付きで狸を見ている。

 しかし狸には正直それが気持ち悪いとしか思わなかったし、
 狸をより一層困惑させる原因となっていた。
 それは考えれば当然のことで、兎にあれほどまで虐められてきたのだから、
 このようにされたとしても、素直に従うほどの度胸も甲斐性も狸にはないだろう。
 だが、狸の気持ちとは裏腹に、狸は兎の身体を求めてしまいそうになっている。

514:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:34:22 Eysd06wo
 いったい、俺はどうしてしまったのだろうか、と狸は思う。
 兎は身を乗り出し、狸の肩に顔を出し、耳元で誘うような甘い声でささやく。

「ねえ……狸さん……本当にあの娘のことが好きなのですね?」

 弱弱しく息があたり、呼吸の音が聞こえる。
 狸は顔を真っ赤にしてうつむく。

「いいいいやそそそそのおれはああああのこのことがすきで」

 緊張しているのか、このような状況に慣れていないのか、
 狸はしどろもどろになっている。
 上手く舌も回らず、身体も震わせていた。

 兎は狸の頬に手の平をあてて、ゆっくりと兎のほうへ向かせる。
 兎の顔がゆっくりと近づき、唇同士が触れ合う。そして、舌と舌が絡み合う。
 何も音のしない静寂の部屋で二匹の唾液が絡む音だけが響く。
 狸は、蒸気が吹き出んとばかりになっていた。
 唇を離すと糸を引き、呼吸に合わせて、二人の肩が上下する。

「おおおおい、うさぎさんおれおれをからかうのはやめてくれよお」

515:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:35:27 Eysd06wo
 狸は兎を突き放し、壁に寄る。
 兎は少し首を傾け、潤んだ瞳をぱちくりとさせている。

「何一つからかっていませんよ。
 寧ろ狸さん、貴方こそ、女性がこのようにしているのですから、
 もう少し構っていただけないと恥をかかせることになりますよ」

 そのように喋りながら、兎は距離を詰めて行く。既に兎は上着を脱いでいた。
 何時の間に、と狸は思う。
 ゆらゆらと揺らめく蝋燭の光に照らされて、兎の膨らんだ乳房に影が出来ている。
 その姿は淫靡に感じられ、ますます狸には直視が出来なかった

「はははははじとはいっても、おれはおれはむすめにはじめてをささげるつもりで」

 兎は狸の下着へするりと手を滑らせる。
 十分に硬くなった男根の頭部分から少し粘り気のある液体の感触が、
 兎の手のひらから伝わる。
 その液体を伸ばすように手で撫で回す。

516:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:36:21 Eysd06wo
「ふふふ……狸さん……
 私ならばともかく、他の雌に貴方の"始めて"を捧げるだなんて、
 本当に純情なんですね……本当は誰にも捧げられたないのに……
 私はそんな狸さんが好きで好きで仕方がないんです……
 でも、それが私ではないのが許せないんですけどね……」

 そっと狸の首筋に手を添え撫でる。
 狸の背筋が凍る。
 それは別種の怖さであった。
 狸はそれほど女性経験もないので、ちゃんとした言葉に出来ないが、
 それでも伝わってくる冷ややかな怖さ。
 虐めるときに見せるような怖さではなく、もっと違う、何かどろどろとした怖さを、狸は感じた。

「ああ……うさぎさん……うさぎさん……こんなことはだめだ、だめだよう」

 狸は身が硬くなってしまい抵抗すること出来なかった。
 兎の撫で回す感触にただただ震えるだけであった。

「何が駄目なのですか?本当はこのようなことを望んでいたのではないですか?」

 狸の耳元で囁き、そして耳を甘噛みし、そのまま耳の周りを舐めまわす。
 耳を這う舌の音がいっそう狸の欲望を駆り立てる。
 兎は狸の物を握り、優しく動かす。兎はまた続ける。

517:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:36:51 Eysd06wo
「狸さんは私の気持ちに気が付いてくれることを信じていましたよ……
 でも、そんなことは無かったわけです……
 むしろ貴方は自分に優しくしてくれた人にだまされてほいほいとついていったわけです……」

 狸は身を震わせ、唇を噛んでいる。兎は手の動きを早くする。

「最初のうちは貴方に虐め倒し、私を見るたびに震え上がり、
 従わざるを得ないところまで追い込もうと思いましたが、やめました。
 むしろ貴方に、あの小娘なんかには到底思い浮かばないような快楽を身体に教え、
 私だけしか抱けなくしようと思ったのです……
 あんな小娘なんかに、あんな小娘なんかに、貴方を寄越してやるものですか……」

 狸は兎の腕に力なく手を置く。

 最後の抵抗。

 狸は目をきゅっと閉じ、身体を震わせた。
 兎は手の中に暖かく粘り気のある液体が強く当たる感触を覚えた。

 きっと射精したのだろう。

518:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:37:16 Eysd06wo
 兎は手のひらを見つめ、舌で救いあげるようにして舐める。
 射精したせいか、狸はぼんやりとその姿を見つめている。

 一体、目の前の兎は、いつも見る兎なのだろうか?
 あの意地悪で虐めてくるあの兎なのだろうか?狸は動かない頭で考えていた。
 しかしその考えも次なる快楽の刺激が、それを阻害した。

 兎がひくひくと動く肉棒に兎は腰を降ろしていた。

「確かに私の料理は下手だと思いますが、
 あれは本当に貴方だけに食べさせるために作ったものですよ。
 あの料理には私の"愛"が入っていたのですから……

 ねえ、狸さん、何が望みですか?娘の体ですか?
 自慢じゃないですが、私はあの娘よりもよほど良い体をしていると思いますよ……
 自惚れなしに、ですよ……

 それに娘よりも一緒にいられますしね……
 私と一緒にいたほうがいいんです……絶対に……」

519:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:37:52 Eysd06wo
 兎は腰をなまめかしく動かす。
 狸はされるがままだった。
 何も考えることも出来ず、ただ力無く兎を見るだけだった。
 そのように腰をこすり付けられることで、狸は射精感を再び覚え始めた。

「駄目ですよ、狸さん……
 先ほど背中に塗った薬は、"愛液"によって、その効果が増えるんです……
 しかも若くて美しい娘の愛液ほど効果があるのです……
 さらにいうならば、その"愛液"が"精液"と混ざることで、
 効果が活性化され、治りがよくなるのです」

 狸にはもうそれが本当かどうかを考えるほどの気力はなかった。
 兎はそのまま、自らの穴へと棒を招きよせ、そのまま繋がった。

520:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:41:18 Eysd06wo
 ***

 狸が目を覚ますと、既に兎の姿はいなくなっていた。背中の痛みは既に引いていた。
 狸はぼんやりと顔をこすりながら、自分でも変な夢を見たものだなあ、と思った。
 ふと、狸が机の上を見ると、そこには達筆な字で
 
 『他の用事があります、ごめんなさい』

 と書かれた手紙と、毒々しい色の芋の煮っ転がしが皿に添えられていた。
 狸はふと台所を見ると、乱闘か何かの跡のように悲惨な状態になっていた。
 狸は台所を掃除することと、目の前の小皿に添えられた料理のことを考えると、
 段々と頭が痛くなってきた。

521:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:43:25 Eysd06wo
 ***
 
 兎は少し離れた草むらで佇んでいた。
 暫くすると、狐の行商が鈴を鳴らしながら歩いてきた。
 兎は手を振って呼び止める。
 狐は媚びるような笑いをして近づいてくる。

「おじょうちゃん、こないだはありがとね、どうだい、効いたかい?
 あの媚薬っつーやつは?肌にひとぬりすればたちどころに体が火照り、
 快楽だけにしか身動きできなくなるという奴は」

 手を揉みながらまくし立てる狐。兎は呆れた顔をして言う。

「全く、あいかわらず口が減らないのね」

 狐はへへへ、と舌を出した。

522:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:44:39 Eysd06wo
「これも商売のうちですからね、で今日は何にしましょう?
 この穴開き包丁は切れ味抜群でどれだけ切っても野菜が包丁にへばりつかないわけで
 お手入れも簡単とこれぞ主婦の見方というわけで」

「いえ、そんなものはいりません。
 "私は別に物理的に殺したいわけではない"のですから」

 狐は殺す、という言葉を聞いて、その兎の表情を改めて見つめた。
 確かに口元は笑っている。
 しかし目は笑ってはいなかった。
 狐も数年行商をやっているから、それほど勘が無いわけでもない。
 この目をした女性はたいてい似たような商品を要求する。
 狐の手のひらから汗が滲み出る。それは……

「一口舐めただけで段々と体が衰弱し、
 何時しか死においやってしまうような毒薬が欲しいのです」

 沈黙が流れる。
 荒涼とした草むらに風がざわつき始める。
 狐は天を仰いだ。きっと嵐が来る。どろどろとした嵐が。

523:恋の病はカチカチ山をも焦がす ◆iIgdqhjO26
08/02/14 10:47:10 Eysd06wo
投下終了です。

デレ分が足りないようなので入れてみたのはいいけれど
変になっているかもしれない orz

524:名無しさん@ピンキー
08/02/14 11:49:47 VxM/ugdq
GJ!
狸がすげーかわいいw

525:名無しさん@ピンキー
08/02/14 13:28:11 h7295RH/
さて残るフラグは泥舟に乗ってNice boat.ですか。
狸の生首を抱きしめるのは兎か……。
wktkしつつ続き待ってますGJ

526:名無しさん@ピンキー
08/02/14 13:43:51 TiVqQ2b7
急にデレてきた兎かわいいよ兎。

でもまだなにか企んでるっぽいのな。

527:名無しさん@ピンキー
08/02/14 17:03:15 zujCa/Sh
人間の女はどうでるか期待
グッジョブ

528:名無しさん@ピンキー
08/02/14 19:19:58 8XdQMgiO
人間の娘さんが老婆役なら、殺して鍋にするんだよなぁ・・・

529:名無しさん@ピンキー
08/02/14 19:45:56 AtoHhA1P
!!

530:名無しさん@ピンキー
08/02/14 22:29:39 OB4soKPE
>>523
GJ!今後の展開が気になる
それにしても、今日はバレンタインだっていうのに誰からもチョコが貰えなんだわ
チョコ、欲しかったな・・・

531:名無しさん@ピンキー
08/02/14 22:44:13 15RIRsL1
>>530
「あの……ずっと好きでした」

今日のために愛を込めて作ったチョコをおそるおそる>>530に差し出す。
頬が熱い。緊張し過ぎて目がちかちかする。>>530は驚いた顔のまま固まっていた。

「え……俺に?」
「はい」

チョコをわたす瞬間、>>530の指先が軽く触れた。それだけで体が熱くなる。

「……開けて食べて良い?」
「はい、もちろん」

目の前で食べてくれる。
予想以上に都合の良い展開にめまいがした。

532:名無しさん@ピンキー
08/02/14 22:45:13 15RIRsL1
↑続かない

連投スマソ

533:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:26:22 28tXPm3E
大きくなったら>>531みたいな展開があるはずだ。
そう思っていた時期が私にもありました。

投下します。
タイトルは去年のクリスマスイブのSSと似せていますが、登場人物は違います。

534:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:29:44 28tXPm3E
 僕にとってバレンタインデイは甘くない。しかし少しも甘くない訳ではない。
 嘘は言っていないけど、いきなりこれだけ言われたら他人にはわけがわからないだろう。

 一般的に二月十四日はバレンタインデイと呼ばれている。一ヶ月後はホワイトデイだ。
 恋に夢中な女の子は十四日の一週間前からチョコレートを贈与するらしい。
 姉さんの知り合いにそんなせっかちな乙女がいるらしいのだ。
 その乙女は同棲している恋人に毎年チョコレートをあげる。
 バレンタインデイの一週間前には部屋中がチョコレートだらけ。
 なぜなら、朝食と夕食のデザートとしてチョコレートを出すから。
 うん。僕が姉さんの友達の彼氏だったら絶対にチョコレートに飽きるだろう。
 いくらお菓子が好きな僕でも限度というものがある。
 一日で食べたチョコレートの数の記録は板チョコ五枚。それ以上は無理だった。
 僕はチョコレートに飽きたくない。何事もほどほどが一番だ。

 二月十四日の朝には僕の家の中にカレーのいい匂いが立ちこめる。
 去年がそうであったように、今年ももちろんそうだった。
 僕は鼻腔をくすぐる香りに食欲を刺激されて起床した。
 睡眠欲求を喚起する布団の温もりを意識的に遠ざけてベッドから這い出し、冷たい制服を身に纏う。
 階段を下りて洗面所へ行き顔を洗う。よかった、今日は寝癖がついていない。
 リビングのドアを開けると、すでに家族全員が揃っていた。
 椅子に座っているのは父さんと母さん。キッチンに立っているのは姉さんだ。
 すれ違いざまに両親に挨拶して、キッチンへと向かう。
「おはよう、姉さん」
「おはよう、正史。今日の調子はどう?」
「別に、どこもおかしくなんかないけど」
「……昨日はちゃんと眠れたかしら?」
 僕は胃をつつかれたような気分になった。平静を装って返事する。
「うん。ちゃんと、いつも通りに寝たよ」
「あらそう。ふふ、それならいいの。今日のことでドキドキして眠れなかったんじゃないかな、
 って思って聞いてみただけよ」
「まさか、たかがこんなイベントぐらいで僕がおかしくなるわけがないよ」
 嘘。実は昨晩、すぐに眠れなかったのだ。
 それは、昨夜風呂上がりの姉さんの姿を目にしたときから僕の心が落ち着かなくなったから。
 姉さんの湯上がりのほてった顔や湿った髪の毛を見ているうちに気持ちが急いてきた。
 断じて興奮したわけではない。僕の大事な部分に変化は起こらなかった。
 ただ、姉さんを見ていることができなくなったのだ。
 だから僕はすぐに自室に籠もってベッドに飛び込んで布団をかぶって寝た。
 しかし、昨晩はそこからが辛かった。
 二月だというのに真夏の夜のように寝苦しかった。何もしなくても汗が吹き出した。
 熱を発散させるために腹筋や腕立て伏せなどをした。筋肉の痛みに意識を向けることでようやく眠れた。
 慣れないことをしたせいで今日は筋肉痛に見舞われている。
 腹に力を込めると疼く。たまに刺されるような痛みを感じる。

 昨日はいったい何が僕の身に起こったんだろう。
 ただいつものように母さんと姉さんの作った料理を食べただけなのに。
 父さんの顔を見る。目尻にしわが浮かんでいるが、精悍な顔つきをしているところは変わらない。
 父さんも筋肉痛に苛まれているんだろうか? こうして見ているだけでは判別できない。
 母さんは机に肘をつきながら姉さんの料理する後ろ姿を眺めている。
 こちらにも変わった様子は見受けられない。
 やっぱり昨晩の体の異常は僕だけに起こったものなのか?
 それならそれで構わないけど、どうして僕だけなんだ?
 ……だめだ、わからない。考えるのをやめよう。
 きっと僕ぐらいの年齢だとたまにこういうことが起こったりするんだ。そういうことにしよう。


535:名無しさん@ピンキー
08/02/14 23:31:07 28tXPm3E
 姉さんの作った朝食はカレーライスだった。付け合わせにサラダがついてきている。
「おかわりもまだまだあるから、たくさん食べて。朝食は一日の活力よ、正史」
 悪いけれど一皿だけで十分だ。それ以上食べると学校に行くのが辛くなる。
 僕は小さな声でいただきます、と言ってからカレーを食べ始めた。
「どう? どう? おいしい?」
 頷いて自分の意志を伝える。満足したのか、姉さんは自分の分の朝食を食べ出した。
 
 このように、僕がバレンタインデイに最初に口にするのはカレーライスだ。
 中辛のカレーライスとバレンタインデイは僕の脳内ではセットになっている。
 姉さんが作ったカレーライスはけちの付け所の無い出来だ。とても美味しい。
 料理上手を自負する母さんでも姉さんほど美味しく作れないらしい。
 美味しさの秘訣を聞いてみたところ、じっくり熟成させるのがポイントだという。
 どれぐらいの時間熟成させればいいのかさらに踏み込んで聞いたら、三日以上よ、と答えられた。
 それはつまり、十一日の朝には作り始めているということだ。
 しかし、ここで疑問が湧いてくる。
 昨日の夕方の時点ではキッチンのどこにもカレーの入った鍋は置かれていなかった。
 昨日、偶然昼食を食い損ねて空腹に耐えかねている状態の僕が探しても見つからなかった。
 ということは、台所には置いていない、イコール、作っていないということだ。
 どこかに隠しているとも考えられるが、わざわざカレーを隠すためだけにそんなことをするだろうか?

 ちょっと聞いてみようと思い、横に座る姉さんの方へ顔を向ける。
 姉さんの目がとろんとしている。なんだか眠そうだ。
「大丈夫? 姉さん」
 姉さんが顔を向ける。正面から見た顔はどこか血の気が薄くなっているように見えた。
「平気よ。ちょっと昨日夜更かししただけだから」
「それなら別に朝食を作らなくても……」
「いいじゃない。正史、カレー好きでしょ?」
 頷く。認めよう。僕は姉さんの作ったカレーが大好きだ。
 毎日―はさすがに飽きるから、毎週金曜日の夜に食べたい。
「だったら何も言わずに食べなさい。今年のは去年以上にたくさん……」
「たくさん?」
 何を入れたんだろう? 香辛料の種類を増やしたのか?
「……じゃなかった。いっぱい時間と手間をかけたから。残さずに食べなさいよ?
 食べ終わった後でカレーの鍋を使ってうどんを作りなさい。きっと美味しいから」
「気が向いたらそうするよ」
 久しぶりに食べる姉さんのカレーは本当に美味しい。ファンになってしまう。
 まだ残っているらしいから、今日は全部食べずに明日に残すとしよう。


536:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:32:26 28tXPm3E
 学校へ向かいながら、今日どんなことが起こるのかを想像する。
 まず、僕は一個もチョコレートをもらえない。それは確定している。
 学校に来ている女子生徒はもちろんのこと、家族からももらえないはずだ。
 姉を持つ同じクラスの友達に聞いたところ、姉からは必ずもらえる、母と姉からもらえる、
妹も姉もいるけど一個ももらえねえよちくしょうめ、という回答をいただいた。
 例外はあるが、姉からチョコレートをもらうというのはよくあることらしい。
 しかし、僕はそんなこと信じられない。
 なぜかというと、僕の姉さんはカレーは作っても、チョコレートをくれないからだ。
 小学校に通っていた頃はもらっていたように思う。しかし、今の姉さんはチョコレートなんかくれない。
 理由は知っている。姉さんは本命にしかチョコレートをあげないから。
 姉さんには心に決めた相手がいる。名前も教えてくれないけど、いい人だということはわかる。
 バレンタインの日、姉さんはずっと上機嫌だ。きっと特別なイベントだから浮かれているんだろう。
 そのおかげで僕は姉さんから美味しいカレーを振る舞ってもらえる。ありがたいことだ。

 姉さんに恋人が居ると聞くと、ちょっとだけ寂しくなる。
 シスコンだと思われるかもしれないけど、姉さんと一緒に暮らす今の生活が僕は好きだ。
 姉さんは大学二年生だから、あと二年もすれば就職して家を出るはず。
 長く付き合っている恋人がいるなら、卒業と同時に結婚するということも考えられる。
 そのことが原因というわけではないけど、僕も高校卒業と同時に家を出ようと決めている。
 自分から離れていた方が気持ちの踏ん切りがつきやすいからだ。
 就職か、進学か。どちらを選ぶかは決めていない。どちらに対しても気持ちが半分ずつ向いている。
 だけど、家を出て一人暮らしをすることは決めている。
 もちろん両親には相談済み。去年の十二月に受けた実力テストの結果を見せたら渋々ながらも了解してくれた。
 姉さんには話していない。進路がはっきり決まってから打ち明けるつもりでいる。
 でもきっと、姉さんは僕を応援してくれるはず。
 今通う進学校も、両親が反対する中で姉さんだけが味方してくれたから通うことができた。
 お礼に、僕は離れて暮らしても姉さんの味方をしようと思う。
 でも、姉さんが僕を頼りにすることはおそらく無いんだろうな。


537:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:36:03 28tXPm3E
 靴箱置き場へたどり着き、自分の上履きを取り出そうとした僕は違和感に気づいた。
 シューズの上に、箱が一つ乗っている。
「……ああ、またか」
 ため息が出た。今の僕の心に浮かぶのは怒りではなく、呆れだ。
 バレンタインデイに靴箱の中に四角形の箱を入れられる。
 そこだけ聞くといい話だ。箱の中にはチョコレートが入っているはず、なんて誰もがまず思う。
 だけど、これはフェイク。断言してもいい。
 上履きと箱を同時に取り出す。右手の上に乗った箱を開けてみて、僕は呟く。
「……ほらね」
 やっぱり空っぽだった。去年とまったく同じだ。誰かが僕をからかうために空箱を入れたのだ。
 辺りを見回して監視している人物がいないか探る。
 …………ま、いないよね。実行犯が見つかるようなヘマをするはずがない。
 きっと見えない角度から僕の悔しがる顔を見ているのだろう。
 そういう手合いは下手に構うと喜ぶ。放っておくのが正解だ。
 空箱を鞄の中へ放り込む。ゴミ箱には捨てない。家に帰ってから誰かへの恨みを込めて引き裂くことにする。

 学生鞄の口を閉じて歩き出したとき、背後から明るい声で挨拶された。
「松ちゃん、おはよう!」
「山城さんか。おはよう。珍しく早いね」
 いつも遅刻ぎりぎりでやってくるはずのクラスメイト、山城ゆずさん。愛称ゆずぽん。
 元気一杯の笑顔と明るい声で、低身長という欠陥を補っている。
 欠点があるとするなら僕を松ちゃんと呼ぶ点だ。
 こっちは松ちゃんって呼んでるんだから松ちゃんもゆずぽんって呼びなさい、なんて言われる。
 愛称を呼ぶのが嫌な訳ではない。言わされているみたいな気がするから嫌なのだ。
 そもそも他人にそこまで馴れ馴れしくするなんて僕にはできない。
 だから僕は呼び方を変えない。山城さんは山城さんだ。

「たまたま早起きしてね。松ちゃんはいつもこんな時間なの? 早すぎじゃない?」
「……授業が始まるまであと二十分しかないよ」
「まだ二十分もあるの? もったいないことしたなあ。
 今日も寒かったから一分でも長く布団の中に入ってたかったのに」
 それには同意しかねる。一分でも入っていれば再び眠ってしまうのは確実だ。
 特に山城さんみたいに授業中に必ず寝ている人はやめた方がいい。
 しかも僕の席の隣で眠っているものだから、僕にまで先生の目が向けられている。
 山城ゆずを叩き起こせ、松田まで眠るんじゃないぞ。
 そんな感じの念がこもった目で見られるからたまったものじゃない。


538:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:40:00 28tXPm3E
 山城さんは素早い動きで靴からシューズに履き替えた。
 僕が歩き出すと真横に並び、同じスピードで歩き出した。
「ねえ、チョコもらえた?」
 笑い混じりの弾んだ声。何が嬉しいんだか。ちょっとだけ僕は不愉快だ。
「もし僕がもらったと言っても、それが事実だとは限らないだろう? 信じる?」
「まず信じないよ。松ちゃんが一個もらったら、このゆずぽんのもとには十個やってくるはずだもん」
「なるほど。山城さんが十個貰ったら僕のところには一個やってくるというわけだね。ステキな説だ」
「残念。それは成り立たないよ。だって誰も松ちゃんには渡さないはずだから」
 よくわかっているじゃないか、という台詞を口から出しそうになった。
 自分から負けを認めてどうする。ここは反論するべきだろう。

「それはまだわからない。義理堅い女子生徒がくれるかも」
「へえ、誰かにお世話したことがあるの? 義理って、誰からでももらえるわけじゃないんだよ?」
「そうだね、貸しがある女の子からじゃないともらえないよね。というわけで、山城さん」
 手を差し出す。もちろんチョコレートの催促だ。
「私に貸しがあるって? いつのこと?」
「昨日僕は弁当も昼食代も持ってきていない山城さんのためにお弁当を分けてあげた」
「ああ、そんなこともあったっけ。おいしかったよ、ありがとう」
「どういたしまして。まさかジュースを買いに行っている隙に全部食べられるとは思わなかったよ」
「それは松ちゃんが悪いね。机の上に美味しそうなお弁当を置きっぱなしにされたら誰でも手を出すって」
「居直っても駄目。借りは返さないといけないよね?」
 さらに手を突き出す。山城さんの眼前を覆う形になった。
「うーん……わかった。じゃあとっておきのやつをあげる」
 手を握られた。山城さんの柔らかい両手から熱が伝わってくる。
「一瞬だけだからね?」
「はい?」
 チョコを食べるのに一瞬しかかからないという意味か?
 もしや十円でお釣りが返ってくるチョコでも渡すつもりなのか?

 山城さんは僕の正面に立ち、僕の手首を立てた。続けて腕を少し下げた。
 何をする気なんだ、と訝しんでいると、山城さんが間を詰めた。
 手の位置は山城さんの胸の高さにある。その状態で山城さんが近づいてきたらどうなるか。
 答えを出したときにはもう遅かった。
「……んっ……もう、松ちゃんの、バカァ……」
 山城さんの制服の胸ポケットに僕の手のひらが触れた。ダイレクトにいうと胸に触れた。
 手首の角度が変わる。僕の手が山城さんの制服の胸元にシワをつくった。
 小柄な山城さんは―失礼だが―胸が小さい。制服の生地の触感しかしない。
 しかし、女子生徒の胸に触れているというこの状況はたやすく僕を混乱に陥れた。
 恍惚とした目をつくるという高等な演技が目の前で行われている。
 山城さんの腰がくねくねと動いている。まるで僕の手に胸を押しつけようとしているようだ。
 急いで手を引く。山城さんに怒鳴ろうと思ったけど、台詞が見つからなかった。
 顔が火照っているのがわかる。今の僕の顔写真を撮られてバラまかれたら学校にいけなくなること受け合いだ。

「じゃね、松ちゃん! お釣りはきっちり返してねー!」
 そう言うと、山城さんは身を翻して駆けだした。
 朝一番のチャイムが鳴るまで、僕は山城さんを追いかけることができなかった。


539:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:42:22 28tXPm3E
*****

「持ち物検査をする」
 数学教師のくせに紺のジャージに身を包み頭に剣道で使う面タオルを巻いた井藤先生は、
授業が始まると同時にそんなことを言い出した。
 こころなしか、額に筋が浮き上がっているように見える。何か良くないことでもあったのだろうか。
 けっこうなことだ、なんていつもの僕なら思うのだろう。今日がバレンタインデイでなければ。

 ブーイングが教室内の至る所で沸き起こる。
 隣の席に座る山城さんも、井藤ちゃん空気読めー、と言っている。
 僕は不満を漏らさないが、井藤先生の行動は色々な問題を引き起こすからよくないと思う。
 今日持ち物検査なんかしたら、どこからかチョコレートが出てくることだろう。
 先生まで勘違いするであろう空箱を持ち歩いている僕はともかく、クラスメイト同士でくっついている
カップルにとっては迷惑この上ない。絶対に没収されてしまう。
 そして、僕を含む彼女いないグループにとってもよろしくない。
 誰かが裏切ったということが丸わかりだ。先生は生徒間の恋愛だけでなく、友情までも壊すつもりか?

「うっさいぞ、ヒヨっこども! 授業中だ!」
 井藤先生が怒鳴る。剣道部顧問の大音声。籠められた気迫が生徒を一気に静かにさせる。
 窓の向こうに見える別棟の科学室までこの怒声は響く。
 誇張ではない。なにせクラスメイト全員が聞いたのだから
「いいか? 学校って場所は勉強しに来るところだ。教科書とノートと筆箱だけ持ってくりゃいい。
 ……だが、オレは余計なものを持ってくるなとは言わない。やかましい学年主任ならともかく、な」
 おお、さすがに話がわかる。授業も厳しいしテストも難しくするが、井藤先生は頭でっかちではないのだ。
 髪を結うのがめんどくさいからという理由で面タオルを着用するような柔軟な発想の持ち主だ。
 きっと持ち物検査だって見て回るだけで、取り上げたりはしないはず。

「―だが、見つけた時は話は別だ」
 井藤先生が冷笑を浮かべる。誰かが息を呑む音がした。
「持ってくるぐらいなら、当然見つからないように気を配ってるよな?
 授業が始まったのに携帯電話をマナーモードにしてなかったり、なんてことはしないよな?」
 そんな初歩的なミスをする役は相当なドジっ子か山城さんにしか似合わない。
 仮に僕がやらかしたとしよう。そうしたらみんなは僕を冷たい目で見るはずだ。
 だがそんなことはありえない。なぜなら僕は着メロというものを一切ダウンロードしない。
 一曲まるごとダウンロードしたり、高い料金プランに入るぐらいならMP3プレーヤーを持ち歩く。
 だから、常に携帯電話はマナーモード。いつ電車に乗せられても準備はオーケーだ。


540:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:46:39 28tXPm3E
「んじゃ、かけてみるとするか。誰にすっかな……」
 井藤先生が標的を絞り込んでいる。さすがにちょっと不安になってきた。
 万が一ということもある。一応確認をしよう。

 ―――あれ、無い。

 いつもならば制服のポケットに入れているのに入っていない。どこに行ったんだろう。
「よし、こいつにするか。ほいっ、と」
 そういえば、慌てて教室に入ってきたせいで携帯電話を落っことした。
 もう落とさないように、と思って僕は安定した場所に置いた。
 平らな場所。身近なところでは床。その次は僕の鞄の中。あとは机の中かな。

「……んん?」
 その時、工事現場の近くを通りがかったときのような騒音が耳を掠めていった。
 ああもう、うるさいな。誰だマナーモードにしているやつは。もしかして山城さんか?
 隣の席に座っている山城さんを見る。
「松ちゃん……ドジ」
 あれ、どうして僕を見ているんだ?
 山城さんの指が床を指している。いや、僕の机を指している。
 身を縮めて机の中を覗き込む。
「……………………うわぁお」
 僕は携帯電話を発見した。通信端末が駄々っ子みたいに机の中で暴れていた。
 プラスチック製の本体と鉄製の机の底がぶつかり合っている。イルミネーションが花火みたいだ。
 つまり、僕は似合わないことをやらかした、ということか。
 なるほど。今こうしてみんなから冷たい視線を浴びせられているのはこれが原因か。
 携帯電話を手に取り、電源ボタンを一回押す。振動が止まり、井藤先生の名前が表示された。

 井藤先生が僕の前に立った。ジャージ姿でも先生の眼光は鋭いままだった。
 初めて会ったときはこんなだらしない格好をしている人じゃなかった気がする。
 入学式の日、僕は先生の姿を目にして言葉を失ったんだから。
「松田、何か言うことはあるか?」
 微笑まれた。笑顔と服装の品位が違いすぎる。
 悪あがきする僕の思考は、精一杯先生を褒める方向へと働いた。
「先生、ジャージ姿も素敵ですけど、スーツの方がお似合いですよ」
 周りで小さな悲鳴があがる。山城さんは小声で僕を罵った。
「そうか。オレはお前に褒められて、とても嬉しいよ。あっはっはっはっは」
 先生が両手を上げて伸びの仕草をとった。
 ジャージの胸元が膨らんでいる。初めて気づいたが、先生は声だけじゃなく胸も大きいらしい。
 その感動を伝える前に直上からやってきた衝撃に頭を打たれ、僕の視界から先生の姿が消えた。

 ―僕、何かまずいことを言ったかな?
 疑問が晴れる前に、目の前が真っ暗になった。


541:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:47:52 28tXPm3E
*****

 放課後、私は保健室で眠る松ちゃんを看護していた。
 松ちゃんは井藤ちゃんに殴られて白目を剥いて、保健室に担ぎ込まれた。
 それからゴタゴタになったおかげでクラスのみんなはチョコを没収されなかった。
 取られたのは松ちゃんの携帯電話だけ。
「残念だったねー、松ちゃん?」
 人差し指で松ちゃんの鼻先をつつく。ふがっ、という音が漏れた。
 鼻を摘むと眉をひそめた。口が開き、呼吸が再開される。なんだか面白い。
 でも。

「やっぱし松ちゃんと話してる方が楽しいよ。リアクションは面白いし予想外の展開も見られるし。
 それにね……………………好きな人と話をしていると、女の子はそれだけで幸せなんだよ?」
 耳元でささやく。これが原因になって夢の中で私と会ってくれたら嬉しい。
 松ちゃんの夢の中で、私はどんな女の子なんだろう。
 変わらない? いじわるになっている? おしとやか? 淫乱?
 ちなみに私の夢の中に出てくる松ちゃんはすっごい鬼畜だよ。
 一晩中休ませずイかせずにアソコを弄り続けるなんて当たり前。
 ロープで大股開きにさせたうえ、前と後ろにおもちゃを入れて、その様子を見ながら笑ってる。
 平らな胸に搾乳機を付けて、乳を出せ、なんて無茶を言う。
 でもそんなのはいい方。だって私も気持ちいいもん。
 一番ひどいのは四肢を縛り付けた後で体中をくすぐる時。
 夢の中なのに気が狂いそうになった。起きたら、部屋の中の物が散乱していた。
「仕返ししちゃおうかな? この場で。だって仕方ないよね。罰だよ、罰。
 ……松ちゃん、今日誰かにチョコレートを贈られてたんだよ?」

 今朝、私はいつもより一時間早く学校に来ていた。
 目的はもちろん、松ちゃんに贈り物をしようとする女を成敗するため。
 思いつく場所全てを見回った。見つかったのは一つだけ。
 松ちゃんの靴箱の中に、包装された市販のチョコレートが入っていた。
 本命ではなさそうだったけど、油断せずに処理を行うことにした。
 包装紙を破かずに剥ぎ、箱に歪みをつくらないようにしてチョコを取り出し、中身以外は再び元の形に戻す。
 これで中身不在のバレンタインチョコが完成。
 後は靴箱の中に戻してその場を立ち去る。
 しばらくして松ちゃんがやってきて靴箱を覗き、中身が無いことに気づいてがっかりしたところで姿を現す。
 ちなみに去年も同じ事をしている。
 去年も靴箱に一個だけ入っていた。どうやら松ちゃんに想いを寄せている女が一名、校内にいるらしい。

 でも、それっぽい相手は一年経った今でも浮上してこない。
 松ちゃんに近づく女は私ぐらいしかいない。
 クラスメイトや女教師も話しかけたりするけど、邪な考えを持っていそうな人はいない。
 男という線も考えてみたけど、ソッチ系の人間は校内に一人もいない。……たぶん。
 そう、松ちゃんと仲良くしている女は私だけ。――なのに。
「どうして松ちゃんは手を出してこないのかな? せっかく無防備な女の子を演じているのに。
 唐変木もほどほどにしておかないと、誰かに刺されちゃうよ?」
 今朝みたいに胸を触らせるのなんて、私を好きにしていいよ、って言ってるのと同じだよ?
 ここまで鈍いとなると、このゆずぽんは警戒しちゃいます。
 松ちゃんに好きな女がいるんじゃないか、なんてね。


542:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:49:37 28tXPm3E
「もしかして、他の人に色目使ったんじゃないの? 私の知らないうちに。
 そうじゃなきゃ、誰かがチョコを贈ったりなんかしないもんね」
 私にさえ甘い言葉を囁かない松ちゃんが想いを寄せる相手。
 許せない。こんなに想っている私をあっさり追い抜いて、隣に立とうだなんて。
 松ちゃんも松ちゃんだよ。鈍すぎるよ。
 毎朝会うだけで嬉しくって、放課後が近づくにつれて悲しくなる私の気持ちに気づいてよ。
 もう二年生の三学期だよ? 来年には卒業しちゃうんだよ?
 今の関係のままをだらだらと続けていったら、本当に友達のまま終わってしまう。
 私は友達の関係が好きなんじゃない。松ちゃんを独占する唯一の人になりたい。

「だから、好きになって? 私はもうこれ以上好きになったら……壊れちゃう。
 壊れたら、きっと周りなんか見えなくなる。松ちゃんの気持ちを無視してしまう」
 私はそんなんじゃなくて、普通の家庭を築きたい。
 結婚して子供産んで、時々喧嘩しちゃうけどやっぱり最後には仲直りする、そんなのがいい。
「あのね……たまに、怖い夢を見るの。松ちゃんも出てくるんだけど、鬼畜じゃないの。
 鬼になっているのが私。自分の望みを叶えるために、鬼はなんでもする。
 人を平気で傷つけたり、居場所を奪い取ったり、殺したり。
 想像できないでしょ? 私みたいな小さい女がそんなことをするなんて。
 でも夢の中で私は鬼になってる。
 寝ている時は気持ち悪いのに、起きたら気分が晴れてて、夢のことまではっきり覚えてる。
 学校に行って、松ちゃんが他の女と話しているのを見ると、女が頭の中でバラバラになってる。
 どこから壊していけばいいのか、そんなことまで理解できるようになってるの」

 松ちゃんの手を握る。寝ているから握り返してこない。それが、ちょっとだけ怖い。
 できることならこの手を離したくない。
 でも、まだ私は友達でしかない。起きる前に手を離さなければいけない。
 ずっと手を取り合うためにどうすればいいのか。その答えは分かってる。

「私はずっと松ちゃんの傍にいます。何があったって裏切りません。
 お願いですから…………私と付き合ってください」

 何度もシミュレーションした告白の言葉。
 言ってしまえばいいのに、振られるのが怖くて言えない。
 きっとチョコレートを渡せないのも同じ理由。
 チョコレートを渡せたら、ちょっとは度胸がつくのかな。
「……うん、そうだね。練習は必要だよね」
 松ちゃんの手を離し、ベッドにそっと置く。
 そして、耳元に口を寄せる。
「今日は無理だけど、明日はチョコレートを持ってくるから。
 あんなに欲しがってたんだから、貰ってくれるよね?
 貰わなかったら――怒るから」

 頬にキスをすると、私は立ち上がって保健室を後にした。
 暖房の効いていた保健室とは違って、外は嫌になるぐらい寒かった。
 さて、これからスーパーにでも行きましょうか。


543:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:51:52 28tXPm3E
*****

「ったく、あのバカたれが」
 人前であんなことを言うんじゃねえってんだ。
 照れたせいで手加減するのを忘れてしまった。本気でハンマーを食らわしてしまった。
 息があったから命の心配はないだろうが、またちょっとバカになったかもしれない。
 ま、それはそれで。
 バカになったとしてもオレが飼ってしまえばいいだけの話だ。
 さっきみたいにもっと褒めるようになればなお良し。むしろそれだけしてろ。
 湯飲みを手にとってお茶をすする。
 濃いめに煎れたつもりだったが、口の中に残る甘さを払うにはまだ足りなかった。
 机の上に湯飲みを置く。その横には所狭しと並べられたチョコレートたちが置いてある。
 これは生徒から没収したものじゃない。オレは今日という日にチョコを取り上げるほど無粋じゃない。
 今朝、職員室に入ったら机の上にチョコレートが山のように置かれていた。
 山のてっぺんには『剣道部女子一同より』なんて紙切れまで付いていた。
 いや……女からもててもなあ。これから女子部室で着替えられねえよ。
 そもそも、松田に惚れられないと意味がない。
 あいつはあいつでオレのことを教師としてしか見てないみたいだし。
 おまけに朝は山城の胸に触ってやがった。オレの胸には触れようともしないくせに。

「面白くねえ……」
 銀紙を剥がして小振りなアーモンド入りのチョコを口の中に入れる。気分が少しだけ晴れた。
 まったく、この美味しさがどうしてわからんのかね、あのおばちゃんは。
「優雅ですね、井藤先生? 生徒から取り上げたお菓子でティータイムですか」
 ―ツラを思い浮かべた途端に来やがったな、学年主任。
「そんなとこです。主任も食べます?」
「いいえ。私はそんな無慈悲なことはできませんから」
 すぐさまこんな切り返しが出来る時点でこの学年主任の底意地の悪さが知れる。
 オレらに持ち物検査するように命令しておいて自分はどこぞの会議に出席。
 せめてノルマ無しにしてくれたら楽だったのに。
「それに私は甘いものが大の苦手でして。特にキャラメルが」
「ああ、わかります」
 小学生のころキャラメルを噛んでいるうちに歯が抜けた記憶がある。
 トラウマになって甘いもの全てが嫌いになってもおかしくはないだろう。
 このおばちゃんにとっては四半世紀以上昔の話になるのかな。

「先生のクラスでは結構な量になったのですね」
「そですね。義理チョコを大量に持ってきた女子生徒がいましたから。
 男子に配るつもりだったそうです。男どもは悲しんでましたよ」
 嘘だよ。むしろ自習になって喜んでたはずだ。
 オレは数学の時間中、ずっと気絶した松田を見守ってたから。
「まあ。そんなものを食べて歯を磨かずにいたらすぐに虫歯になるのがわからないのかしら。
 これはもう、歯を磨く道具を持ってくるよう生徒に伝えないといけませんね」
「そんなことしたら買う金を出せ……出してください、とか反論が来るんじゃ?」
「押し切ります。子供のためにお金も出せないようでは保護者失格です」
 ……これが本気の台詞に聞こえるから、話すのが嫌なんだよな。

「それでは井藤先生。あとで没収した品をリストにして出してくださいね」
「りょーかいです、学年主任」
「言っておきますが、今週中にですわよ?」
「わかってます。あとでやっておきますよ」
 やるわけがない。意味がない。だって、没収したのは一つだけだし。
 仕方がない。部屋に転がってる要らない漫画でも持って行ってやるとしよう。
「では私は帰りますから、あとはよろしくお願いします」
「はい」
「ああそうそう、井藤先生にはジャージよりもパンツスーツの方がお似合いです。
 強制はしませんけど、明日こそはと思っていますわ。ごきげんよう」
 立ち去る学年主任に向けて軽く頭を下げる。下げなかったら今の顔を見られていた。
 今のオレは憎しみを顔にあらわしている。おばちゃんが気絶するかもしれない。
 ―ババア、松田と同じ台詞を吐くんじゃねえ。あいつが穢れるだろうが。

544:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:52:37 28tXPm3E
「……………………っはあああぁぁぁ」
 足音が遠ざかっていったところで顔を上げる。
 面倒でたまらない。教師になってから我慢することばっかりだ。
 なんで今頃になって男を好きになっちまったんだ。
 暇で仕方なくて、剣道だけしてた高校時代に松田に会えたらよかったのに。
 そしたらきっと毎日頭の中がお花畑になっていたはず。
 高校時代ならそれでも良かった。けど、教師になってから頭ん中に花が咲いてもらっても困る。
 気持ちの切り替えができずに変なテンションになる。
 松田が夢に出てきてオレの体を抱いた夢を見たときなんか、もう――
「やばっ……」
 急いで鼻を押さえる。鼻血が出そうになったんじゃなくて、鼻の穴が拡がっていたから。
 手をそのままにして立ち上がる。早くトイレに行かないと。
 
 生徒が利用する女子トイレは放課後はほとんど使用されない。
 そのことは知っていたけど、万が一のことを考えて別校舎に向かう。
 トイレに駆け込み、個室のドアを閉めて鍵をかける。
 ここは部活動をする生徒が利用しない、校庭からもっとも離れたトイレ。
 オレが何を言ったとしても聞こない。校内で松田に愛を囁けるのはここだけだ。
「松田……いや、正史。悪い。オレ……今日も駄目だったわ」
 上着のチャックを全開にして、肌着の中に手を入れる。
 ブラをしていないのは面倒だからじゃなくて、自慰するときに楽だから。
 それに、ノーブラで正史と話をするといつもより興奮する。
 間違って正史が胸に触れたら、たぶんオレは情けない悲鳴をあげるだろう。今みたいに。
「ぅ……あぅ、ん……違うんだ。乳首、固いのは……お前が原因だ。
 いつもいつも、オレを見るから。見られてるって意識すると、こう……なるんだ」

 一昨年の四月、新任の教師としてオレはこの学校にやってきた。
 どんな格好をしたらいいかわからなかったから、スーツを着て行った。
 そんで、クラスの担任として正史を含むクラスの連中に挨拶をして、流れで全員に自己紹介させた。
 その時に正史があんなことを言わなければ惚れたりしなかった。
「松田正史です。えー、スーツの似合う先生のクラスに入れて嬉しいです。これからよろしくお願いします」
 それ以来正史が見ている、見られている、と思うと恥ずかしくてスーツは着られなくなった。
 着なくなった時点でもうハマっていた。正史ばっかり見るようになってしまった。
 我ながらなんて惚れっぽいんだろ。それまで男を作らなかったのが悪いのか、別の何かが原因なのか。

 別の何か。正史しかいない。
 オレには正史しかいない。―あれ、何でそっちに考えがいく?
「わけ、わかんね……罪を償え、あほ正史」
 名前を呼びながら乳首の先端を引っかく。股間へ一直線に痺れが走った。
 下着と一緒にジャージの下もずらす。……なんでこんなにびちょびちょなんだ。
 男に挿れられたらどうなるんだろ。そういや、めちゃくちゃ痛いって知り合いが言ってたな。
 それでも、正史のモノならいい。

 右手で乳首を摘んだまま、左手を秘所にあてがう。
 濡れそぼった割れ目に指が吸い込まれていく。手が勝手に動く。
「奥まで……お前の、正史のが欲しい。こんな細い指じゃ、足りねえ。
 ……チョコ、もっとたくさんやれば良かった。その分、一ヶ月後にねだれたのに」


545:独人達のバレンタイン・デイ ◆Z.OmhTbrSo
08/02/14 23:53:54 28tXPm3E
 でも、オレは正史にチョコを一個しか上げられなかった。
 去年と同じで、靴箱に持って行くだけで精一杯だった。
 呼び出す手紙も書いたけど、自分で破り捨てた。
 告白なんかできるかってんだ。情けない顔を見せるだけだ。
 じゃあどうやって想いを伝える? 一番いいのはあいつの方から奪ってもらうことだけど。
 既成事実でも作ってやろうか。
 道場に呼び出して、部室に連れ込んで一つ残らず服を引っぺがし、固いあいつのをココに挿れる。
 オレの体に夢中になった正史は次第に腰の動きを早めていって、そして――あれ、外に出した?
「ぃやっ、やぁやあ、だぁ…………もっと、もっとちょ、だい……」
 ポケットから携帯電話を取り出す。正史から没収したやつだ。
 正史が毎日手にしているもの。あいつの一部。あいつにとって大事な、大事なモノ。
 携帯電話を割れ目に当てる。ちょっと濡れるだろうけど、少しぐらいなら。
 細かい溝が割れ目を刺激する。あ……ほんとにイイ。返すの、やめるか?
 だな。すぐにオレしか見えないようにしてやるから。オレの連絡しか欲しがらなくなるだろうから。
 だから……いいよな、正史?

 遠慮はやめた。壊すのを覚悟して擦りつける。
 太腿へ愛液が垂れていく。手が濡れて滑りそう。
 今のオレは正史に犯されている。腰を打ち付けられよがり狂うオレを正史が抱き締める。
 口が正史のそれと繋がり、お互いの舌が行き来する。
 もぎ取られそうなぐらい胸を揉みしだかれる。正史の一物は胸の谷間も犯す。
 切ない。想像している通りにずっと繋がっていたい。でもオレは一人。正史と一緒じゃない。
 近づきたい。嫌がられるぐらいくっついて、殴って大人しくさせて、またくっつく。
 そうでもしなきゃ駄目なんだ。先生じゃなくて、女として見てほしいんだ。

「うぅ……んん、く、る…………来るよお、正史……」
 体の奥からせり上がってくる。心が張り裂けそうなほど正史が愛しく感じられる。
 どんな体勢をとっているのか、わからない。体全体が熱くなる。
 思考がぼやける。正史の顔しか浮かばない。
 快感が体内を食い破っていく。耐える力は完全に失せた。
 歯を食いしばる。ぎゅっと左手の中にある物を握りしめる。

 ――その時、予期せぬ力が加わって快感が倍加した。

「あ! ああっ、駄目、だっ! 震えちゃ、やあっ、やあああああああぁぁぁぁぁっ!」



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