特撮ヒロイン・ピンチSSat EROPARO
特撮ヒロイン・ピンチSS - 暇つぶし2ch204:名無しさん@ピンキー
08/05/19 16:34:28 WdteAkM9
 男の説明によると、アメリカのある町で細菌兵器による事故が発生したという。
 既にウィルスは町全体を汚染し、ホワイトハウスは小型核ミサイルによる滅菌を決めたらしい。
 全ての証拠を隠滅することを兼ねてである。
 フラビージョに与えられた任務は、汚染された町への潜入である。
 そしてミサイルが全てを吹き飛ばす前に、ウィルスのサンプルを持ち替えることであった。
「時間が過ぎれば核の熱に灼かれ、そして逃げようとすればリモコン爆弾で吹き飛ぶことになる」
 男はこれ見よがしにリモコンをぶらつかせる。
「どうしてあたしなの?」
 何もフラビージョに頼らずとも、日本には優秀なスーパーヒロインが幾らでもいるではないか。
「ふふふ。君ほど優秀で、かつ失っても惜しくない手駒となると、そうはいないのだよ」
 男は当たり前のように言い返し、そして冷酷に付け加えた。
「いずれにしても、君には選択権はないのだ」



 その約20時間後、フラビージョはアメリカ中西部にある森林に囲まれた小さな都市にいた。
 例のウィルスに汚染されたという町である。
 既に日没時間を過ぎていた。
 灯りは点っているにもかかわらず、町全体が死んだように静まりかえっていた。
 ただ、時折思い出したように犬の遠吠えだけが聞こえてくる。
 魂が凍りつきそうな鳴き声であった。
 
 フラビージョは身が引き締まるのを感じた。
 夜明けまでにウィルスのサンプルを見つけなくてはならない。
 如何に彼女といえど、困難を極める任務であった。
 与えられた装備は旧式のシノビスーツとハヤテ丸が一振りだけである。
「遊んでる暇はないわ。早いとこサンプルを見つけて脱出しないと」
 フラビージョはさっそく作業衣を脱いでシノビスーツを身に着けようとした。

 だが、この時すでにフラビージョを阻む最初の試練がジワジワと包囲の輪を狭めつつあったのだ。
 何も知らないフラビージョはきつい網タイツを履くのに必死で、そのことに気付いていなかった。


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