08/01/28 10:30:16 le4eLKjc
女中と物書き、こちらではまだ投下してなかったと思うんで、
過去に書いた節分ネタを。
もし前に投下してあったらすみません
-壺鬼-
岸上さんの家の前に、壺が置かれていた。
いや、瓶と言っても良い。
兎に角、白磁に青い唐草模様の入った壺がでんと置かれていた。
「何か植えますか?」
「あははっ。何も植えやしませんよぅ」
旦那さんは何も知らないんですねぇ と、壺を持ったまま彼女は家の裏へと廻った。
家に籠もりきりなのだから仕方ないでしょうと思いつつ、後についていく。
岸上さんは納屋から穀物袋を出すと、中身を壺に空けた。
「豆……?」
「大豆ですよぅ。二月と言えば節分じゃぁないですか」
からから、
ざらざら、
ざあっ
壺の中いっぱいに音を響かせ、壺は豆で満たされた。
「節分といえば豆を壺に詰めるものではなく撒くものでは?」
「準備です。準備」
壺に落とし蓋を閉め、上から漬け物石をのせ、納屋に入れてしまった。
「出来た時には菅さんも呼びますよぅ」
「あー…進まない…」
大手文芸雑誌に連載しているタイトル。
物語も佳境に入る所だが、筆が進まない。
これだけではなく、他の仕事もこんな調子。
スランプ、という奴か。
「