【友達≦】幼馴染み萌えスレ14章【<恋人】at EROPARO
【友達≦】幼馴染み萌えスレ14章【<恋人】 - 暇つぶし2ch377:名無しさん@ピンキー
08/02/27 00:55:11 w9ayDj6p
いつからここはVIPになったんかと驚いたが
>>377-378と>>384-387に更に驚いた。GJ!
しかし>>384-387の流れだと5年短縮は無理なような。

378:名無しさん@ピンキー
08/02/27 01:09:24 6pIY5glh
>>388
GJ
何か雰囲気出てていいな。オレもそういうのを書けるようになりたいわ
心情描写とか特に好み

……あと、こういうのは速さじゃなくて中身だよ
オレのは焦りすぎて色々ビミョーになってるし。脱字とか編集ミスとか

379:名無しさん@ピンキー
08/02/27 11:38:09 KHkeNLrI
>>378
GJ!25歳は確かになんかいい感じ
しかしどうしても獣神演武を思い出すw

>>387
こっちもGJ!雰囲気が好みだ

380:名無しさん@ピンキー
08/02/27 22:59:26 X1KjvTgw
秒速5センチメートルを見て心が死にそう

誰かif話でも書いてくれないかなぁ…

381:温泉
08/02/27 23:26:48 J/Sow1yv
深夜にならないうちに投下させてもらう……!
えっと、今回ラブシーンの予定……だったのですが
長くなりすぎまして一度に投下すると時間も幅も凄くなってしまうので分割して投下します。

誰もいないようなら半からいきます

382:You is me
08/02/27 23:29:46 J/Sow1yv
 あんな恥ずかしい事をやらかした後、二人してみーの部屋にいた。
 ほら、とみーが自分の足をぽんぽんと叩いた。俺は頭をみーの太腿に乗せる。
 じんわりと暖かさが伝わってくる。
「最近してなかったから、おっきいのが溜まってそう」
 嬉しそうな声。今の俺からは角度的に見えないが、きっと笑顔なんだろう。
「最近って……二週間くらい前にしたばっかりじゃないか」
「あたしは三日に一回くらいするけど」
 そんなにして、よく耳がおかしくならんな、と思う。声に出して言いはしないけど。
みーが持っているのは耳かき棒。状態は膝枕。となると、する事は一つ、耳掃除だ。みーの手が俺の耳に
そっと触れる。なんだか妙にくすぐったい。
「じゃ、いくよ」
 みーの合図。耳かき棒が耳の中に入ってこしょこしょ音を立てた。
 頭の下にある、みーの太腿が柔らかく暖かい。
「うーん、あんまりないなー」
「いっつもやってるのに、そんなに溜まるはずないだろうが」
「もしかしたら、ってこともあるかも」
 笑い声。
 全く、毎度毎度……


383:You is me
08/02/27 23:31:57 J/Sow1yv
 俺はみーにしか耳掃除をしてもらったことが無い。本当に、昔からみーだけだ。まぁ、料理と同じで昔は
力加減とかも出来てなくて酷かったけど。
 しゅっしゅっと耳かき棒が耳の中で動く。
「ゆーちゃん、痛くない?」
「大丈夫、眠くなるくらいだ」
「そっか、ありがと」
 穏やかな声。目的の物を見付けたのか、耳かき棒が引いていく。そしてまた中に……
 さっさっさ……
 リズムの良い音が響き続ける。あー、眠くなる……
「大物はなーし」
 最後に耳かき棒の後ろのふわふわでさっさっ。
「ゆーちゃん、反対」
 ん、と頭を逆に向ける。
 うっ!
 まずいことに気付いた。膝枕をしていて、今まで外側を向いていた。では反対の耳を掃除する為に頭を
逆にしたらどうなるか?
 ……みーにその、あの……顔をうずめる様な感じになる、と……
「こっちはどうかなー」
 みーの明るい声。
そーっと目線だけを上に向ける。耳掃除に夢中で気付いていないようだ。


384:You is me
08/02/27 23:34:40 J/Sow1yv
 急に背中が汗で濡れた気がした。息を呑むと音が大きくてビックリした。……気付かれてないよな。鼻から
息を慎重に吸う。何か、甘酸っぱい匂いが……って、いかんいかん!俺は何をやってるんだ!
 思い切って目を閉じる。みーの手が俺の顔に触れている。さっきと同じこしょこしょという耳の感触。変わらない、
みーの感触。顔の状態をなるべく気にしないようにする。
「ゆーちゃん、何だか顔が赤いけどー?」
 不思議に思ったのか、手を止めて尋ねてくるみー。
「なんでもないって」
「そう、ならいいけど」
 再開して、またこしょこしょ。こっちの耳もすぐ無くなったのか、同じ手順をまた繰り返して―
「はい、おしまい」
 みーの声と共に、耳かき棒と触れていた手の感触がなくなった。息を吐く。どうしてこんなに緊張してるんだか、俺は。
 とりあえず、首を上に向け目を開けて起き上がろうとした。が、額を軽く押さえられて止められる。
 ばちり。目が合った。
 胸がざわめくような感じ。みーが頬を微かな朱色に染めてが微笑んだ。
 あ、やばい。なんでだ。すごい可愛い。おかしい。目が離せないほどに可愛い。
「みー……」
 呟きが空気に吸い込まれた。手をゆっくりと伸ばして、みーの頬に触れた。なんか普段より熱い気がする。
「ゆーちゃん、あたしね」
 すっ、と。
 俺の頬に触れてる手をみーの手が包み込む。なんかいとおしい、と言う様な、なんだか、そんな。


385:You is me
08/02/27 23:37:01 J/Sow1yv
「ゆーちゃんのこと……好きだよ」
そのままみーの顔がゆっくりと俺の顔に近付いて―合わさった。
「ふ、ぅ……」
 どちらともない息の漏れる音。しっとりとしたみーの唇。ぷにぷにした感触になんだか妙に興奮した。
 胸がざわめく。もっとざわめく。感情が暴れるような。
 どれくらい触れていたのか。五秒? 十秒? それとも一分? やけに長い一瞬が過ぎて、ゆっくり唇が離れた。
でも、顔はそれほど離れない。静かな吐息さえも感じられるような距離。
 アップになるみーの顔。横で短い髪の毛が揺れた。後頭部の下の太腿の肉がやけに鮮明に感じられる。
重ねられたままの手。軽く、けれど、強く握った。つっかえそうになるのを懸命に堪えて、想いを声に乗せた。
「俺はみーの気持ちに負けないくらい」
 みーが好きだ。
 目の前の顔が驚きの顔をして―それから、目を細めてくすくす、とおかしそうに笑い出した。
「あたしの方が好きって思ってるもん」
「いーや、俺の方が想いは強いね」
「あたしだって」
「絶対に俺だ」
「あたし」
「俺」
 そのまま睨み合って―
「―ふふ」
「―はは」
 二人同時に吹き出して。また唇を合わせた。頬に触れたままの手を撫でるように動かすと、気持ちよさそうに
みーが体を揺らして、手の力を強めて俺の行動に答えた。
 その時の気持ちを一言で表現すると、こうだ。


386:You is me
08/02/27 23:39:13 J/Sow1yv
 穏やか。
 ああ、みーがキスが好きな気持ちがわかる、な……あ、神様。俺はもう染まってきてるぞ―
 唇が離れれないように、みーの後頭部に手を回して、引き付けた。もうちょっと続けていたかったからだ。
「んっ」
 みーが一瞬体を硬直させるが、すぐ力を抜いた。今までみーとした何百回、もしかしたら何千回のキスと同じ様に、
自然体のまま時間が過ぎ去る。みーはしばらくそのままだったが、物足りなくなったのか、唇を細かくずらしたりして
感触を増やそうとすると、くち、と水音がちいさく響く。
 それがきっかけに行為が一気にエスカレートする。
しばらく、唇を押し付けあって、唾液で唇が濡れ始めてから、初めに俺がみーの口内に舌を差し込んだ。舌に
ぐちゃぐちゃでぬるぬるな感覚。ちょっと舌を持ち上げると固いものに触れる。それも越えると、みーの舌先が
待っていて引っ掛けるように絡んだ。
「はっ、ふ、ゆー、ひゃん……」
 小刻みに震えるみーの体。後頭部から、顔から伝わってくる熱が増した気がした。すると、みーの舌が押し返してきた。
みーのとろとろの舌が俺の口の中に入ってきた。鼻息が互いに荒い。絶え間なく響く粘っこい水音がすごく興奮する。
もう口の周りがすごいことになっている。べっとべとだ。頭の中が痺れる。そこまでして、一旦顔が離れた。
 目を開けると、ちょっと有り得ないくらい真っ赤な顔のみーがまた至近距離に。目が潤んでいる気がした。
「ゆーちゃん……」
「みー……」
 呟き、返す。それだけの事がなんでこんなに―こんなに。
 膝枕の体勢のまま、見詰め合った。息がかかる。心臓は爆発寸前の様相。
 息が荒くなり、ごくりと唾を呑み、俺は言った。もう止める事は出来なかった。
「みー、俺、みーと……したい」


387:You is me
08/02/27 23:42:05 J/Sow1yv
 震えが後頭部から伝わってきた。緊張が手に取るようにわかった。けど、それでも、目を逸らさずに、みーの起
こす行動を見詰める。
 みーは困った様に視線を泳がせて、それから赤い顔のまま消え入りそうな声で俺に告げた。
「ゆーちゃんなら……いい、よ……」
 背筋が震えた。
 は、は、は、はははは。
 俺は変態に違いない。確信した。絶対に間違いない。ただ気持ちを確認しただけで、物凄い快感が広がるんだから。
 体勢を逆転させて、みーを床に押し倒した。みーの髪の毛がベッドに垂れて俺には妖しげに見える模様を描いた。
幼馴染を組み敷くという光景に頭がクラクラした。いよいよ、と手を出そうとした瞬間、みーが口を開いた。
「一つだけ、お願い、良い……?」
 その言葉にちょっとだけ冷静さが戻ってきた。危ない危ない、感情的になりすぎていた。
「何でも言ってくれ」
 目を見ながら言い返すと、みーは目を伏せがちに言った。
「手、ぎゅー、って握って」
 すぐに握った。みーもしっかりと握り返してきて、視線を交錯させて、笑う。
「…あは」
「はは」
 また笑って。またキス。本当に、軽く、一瞬。
 くっそ、なんでこんなに安心できるんだ。おかしいだろ。
 まだしたい、と思って、もう何度目かよくわからないほどのキスをもう一回。強く押し付けて、舌を挿れる。

388:You is me
08/02/27 23:44:12 J/Sow1yv
「っ、ん、はぅ、ぁふ……」
 もうわけがわからない。唾液が泡立つくらいかき回して、舌を絡めて、歯茎を、歯をなぞって、押し返されて、
また絡まって、唾液が口の端から溢れ出て……キリが無い。
 二人とも一心不乱だ。
 みーは俺の口の中が気に入ったのか、その中で舌を動かす。俺はいたずら気分でその舌を歯で軽く噛んで
動けなくし、吸い込んだ。
「ん、やぁっ!? や、ぁん、ん、ゆー、ちゃ……ん、は、う」
 みーの体が暴れる。が、それを抱き締めて無理矢理抑える。みーからもきつく抱き返してくる。ただそれだけが
とんでもなく気持ち良い。二人とももうどっちの物かわからない唾液でだらだらだ。みーが口の中に溜まった唾液を
む音が聞こえた。その唾液に自分の唾液が混じっているかもしれないと思ってますます興奮した。
 いい加減、やりっ放しだったので離した。
 呼吸も整えようとすると、みーが繋いだ手をにぎにぎして、口の唾液を空いてる腕の袖で拭いながら、何故か
恥ずかしそうにみーがちらちらとこっちを見る。
 なんだ?
「ゆーちゃん……ちょっと変態?」
「なんでだよ」
「だ、だって」
 ほら、とみーが指差した方を見ると―げっ。

389:You is me
08/02/27 23:47:33 J/Sow1yv
 俺の方が赤面してしまう。ズボンの前があまりにも雄々しく突っ張ってしまっていた。
「さっきから……その、太ももに……当たってて、すごいなー、って……まだちゅーしかしてないのに……」
 恥ずかしさで消え入りたくなるとは正にこの事。しかし、このままでは男として悔しいので反撃する。
「なら、みーはどうなん―だっ」
 繋いでいない手を素早くみーの下半身の足の付け根の間へ。
「きゃっ!? や、やぁ! ゆーちゃん、だめぇっ」
「っ!?」
 みーの下着の感触が手のひらに伝わってくる。しかし、俺が衝撃を受けたのは、その布地がたっぷりと水気を
吸い込んでいたことだ。
 なんだこりゃあ……!
 指を動かす。布地の中心を中指で軽く押す。
「っあん……」
 みーが妙に艶のある声を短く上げた。すごいドキドキした
 そして、押した所から、液体がこぷり、と溢れ出た。その粘りのある液体はまだ温もりを持っていた。震える手を
持ち上げて、目の前でかざす。
 触れた場所の全てが濡れていた。布地を押した中指を開くと、人差し指との間で糸を引いた。
 うわ……すげ……エロい。
 手のひらを陶然と見詰めていると、みーは顔を羞恥で赤く染め上げて叫んだ。
「ゆ、ゆーちゃんのばかー! いつまでも恥ずかしいことしてないでよー!!」
 握ってるほうの手をぎゅーーーーっと握りつぶさんばかりに握って、空いてるほうの手で下から俺の胸を叩いて、
顔を伏せた。
「他のとこ触らないの……例えば、その、胸、とか……」

390:温泉
08/02/27 23:48:56 J/Sow1yv
とゆうわけで前半部投下終了です。
続きもなるべく早く投下します。無駄に長いですがご勘弁を……
では御然らばー

391:名無しさん@ピンキー
08/02/28 00:10:38 Jjt4S/4n
>>402
何という甘さ
これは間違いなく糖尿病にかかる

というわけでGJ
いよいよここまで……何か甘過ぎて死にたくなってきたw
本当にいい話書くよあなたは

392:名無しさん@ピンキー
08/02/28 01:07:25 5cjw96Pt
だ、ダメだ……
普段なら惜しみないGJを送っている筈なんだ!
だが! だがしかし! 今は!
耳をすませばとか>>392見て『秒速うんたらってなんじゃ?』→ウボァーってなったから素直にGJと言えないんだぁあッ……!!!

393:名無しさん@ピンキー
08/02/28 03:10:56 B9DL6QzY
>>404
いやそこは素直にGJといっておこうぜw

続き楽しみにしとります

394:名無しさん@ピンキー
08/02/28 06:31:42 ByPFGsvo
>>402
ラブと萌えとエロが上手い…甘い具合にミックスされた文章にGJ!
あなたの作品は甘々激ラブすぎて素直に自分を慰めることができないのです
なんかズボンを下げてしまうのが恥ずかしくなってしまうのです
でももうだめです。こんなに興奮してしまう気持ちを抑えられません
キスシーンだけで下半身に違和感が生じてしまってどうしようもないのです

つまりは全裸待機で続きマダー?

395:名無しさん@ピンキー
08/02/29 20:37:24 yxpfIEU6
湯泉待ってます
全裸でおこたに入って待ってます


396:名無しさん@ピンキー
08/02/29 22:26:52 5iXL6xS+
>>407
風邪引くなよ。

397:名無しさん@ピンキー
08/03/01 17:48:37 +G8ioUsL
コタツの中でち○こたつ
それが>>407の隠されたメッセージと愚考致す

398:名無しさん@ピンキー
08/03/01 19:26:41 IVw6YlOT
>>407から毒電波受けた

「…なんでこんな大事な所を低温火傷するのよ」
「…黙秘する」
「どーせエッチなサイト見てる内にこたつで寝ちゃったんでしょ?」

当たらずとも遠からず。俺は黙って横を向く。

そうだよ。恥ずかしいんだよ!!


全裸で新作SSをこたつで待っていた俺は不覚にも熟睡してしまい、
男の大事な部分に低温火傷を負ってしまった。で、通院した先の対応看護婦が
俺の幼馴染みである直子。……運命は非情で悪戯心に満ちている。

「いい?独り暮らしだからってあんまり羽目外さないのよ!」
「へいへい」
「ちゃんと自炊とかしてるの!?栄養バランス考えてる!?」
「う…ま、まぁ」
「嘘ね。顔でわかる!!」

診療も終わり、支払いの段階で直子に捕まりお小言をくらう羽目に。
今日の運勢では…大吉だったはずなんだが。
「いい!?ちゃんとしなさいよ!!」
「善処します…」
「…お大事にね」



なんとも間抜けな再会だが、俺と直子の騒がしい日常の始まりだった。

399:名無しさん@ピンキー
08/03/01 19:36:17 vQbqrPnR
>>410
バカスwww
でも実際湯たんぽでやっちゃった馬鹿を知ってるからイマイチ笑えない

400:名無しさん@ピンキー
08/03/01 22:59:28 zH9MZV40
>>410
もちろん続くんだよな?

401:名無しさん@ピンキー
08/03/02 01:50:25 WBT0OwYw
>>410
続きを期待してるよ

>>411
つまりこたつ編→湯たんぽ編→ストーブ編と続くわけですね

402:温泉
08/03/02 03:01:03 2f4ZmYQ7
やっとできたんで深夜だけど投下するんだぜ……

今回の話書いてて思ったのですが、どうやら私はラブシーンの才能が欠如しているようです。
あまりご期待せずにお読みください…orz

三時より投下します。

403:温泉
08/03/02 03:03:30 2f4ZmYQ7
 胸……
 この前のあの日、未遂に終わったあの見せ合いでちらっとだけみたみーの姿がフラッシュバックする。
 触れるのか。そう思うだけで心が躍った。その後ちょっと事故で触った気もするが……あまりにも一瞬だったので
覚えていない。
「って、きゃー! ゆーちゃん何してるの!?」
「……え?」
 どうやら、ぼーっとしてしまったらしい。気が付くと俺はみーから掬い取った液体を指ごと口に含んでいて―え!
本当に俺何してるの!?
「あ、え、いや、これは、その……えっと……自然に?」
 叩いてくるかな、と予想として俺は身構えたが、みーは耳まで赤くして顔を抑えて唸っている。どうやら、恥ずかしさが
臨界点を突破して言葉が出ないらしい。
 ああ、こんなみーも可愛いじゃないか……って何を考えてるんだ俺は。
「ゆーちゃんのへんた―んぅっ!?」
 口を塞いで無理矢理黙らせた。すると、さっきの態度が嘘のようにみーがキスに応じてきた。叩きつけて押し潰すように
顔を擦り付けてくる。素直じゃないよな、俺もみーも。
何回も繰り返し唇が合わさる中、俺はみーの胸に服の上から触れた。
「あ、ぅ……」
微かにみーの体が揺れるが、妨害しようとしない。許しが出て、俺は親指と手のひらを使って挟むようにみーの胸を
触った。ブラ越しだからか、若干固く感じるような気がするが、それでも極上の柔らかさというような感触だった。


404:You is me
08/03/02 03:05:23 2f4ZmYQ7
「っふぁ……ん…んん! や、ぁっ!?」
 みーが叫び声を上げたのは親指の腹ぐらいの位置に偶然、固い物が触れた時だった。
 乳首だ。
 直感でそれを察知した俺は親指の先で、素早くもう一度探り当ててボタンを押すように押し込んだ。
「きゃぁうっ! あ、くぅ……!」
 いじるたびにみーの体が跳ねる。嬌声が上がる。
 服越しでこれで、直ならどんな……
 欲望の赴くままにみーの上着に手を掛ける。一番上に羽織っているブラウスの前をはだけ、横にどけて、
下に着ているシャツの裾をみーが何か言う前にめくり上げた。
 真っ白な肌。小さいヘソ。視線を上に上げると水色のレースの下着。つつましげに膨らんでいる胸。
 す、げぇ……
 俺の貧困な表現力ではその言葉だけで精一杯。今更ながら男と女は別の生き物だということを俺は再確認していた。
 で、みーはと言うと―赤い顔のまま、抗議するような視線を俺に向けている。まだ握ったままの手は
痛いばかりに強く握り締められている。
 でも、さっきと同じ様に止めようとはしてこない。口の中が妙に乾く。唾を飲み込んで、ブラと肌の間に指を
差し込んで、そして、全てを、一気に、露出させた。
「うう……」
 みーの声が妙に頭に響く。今の俺にはそれすらも興奮の要素だった。その胸の頂上で既に固くなっているものを
片方つまんだ。
「っ!」
 全身を震わせるみー。何度も何度もいじる。その度に体を震わせる。
「ゆ、ゆーちゃん、あんまりおもちゃみたいにいじらないでよ……!」

405:You is me
08/03/02 03:07:00 2f4ZmYQ7
「いや、だって、顔真っ赤にしてるみーがあんまりにもエロいもんだから」
「え、えろい……って、あたし、胸こんなにちっちゃいのに……?」
「ほら、こんなふうに」
「え……ひゃんっ!?」
 可愛く叫ぶみー。胸をまた触っただけでこうだ。
「みー、ってすげぇ敏感だよな……」
「やぁ、そんなこと……あ、う……な、いよ」
 喋りながら触る。みーの中では『敏感』というのは恥ずかしいことのなか、声を我慢しようとする。
 なんとか声を出させれないか―何か方法はないか。ちょっと考えて、すぐ思い付いた。
 空いている方の胸に顔を近づけて、吸い付いた。
「やあぁっ!? ゆーちゃん、ちょ、ちょっとぉ……んぅ!」
 ちゅっちゅっ、と音が出る。少し汗ばんでいたのか、しょっぱい味がした。ついでに肌から微かな石鹸の匂い。
 みーがいやいやとするように体を暴れさせるが、それも無視して押さえ付ける。乳首を吸い続けて、もう片方を
手で胸をもんだりいじったりしていると、次第に力が抜けてきて、もう観念したのか、そのままされるがままになった。
「は、ふ、ゆーちゃんの……えっち、変態……」
 切れ切れ声で悪口。迫力はさっぱり無い。
「好きな女の半裸を前にして我慢できるほど男捨ててないから仕方がないだろ」
「あ、う、だめだよ、ゆーちゃん……そんな……」
 みーが俺の奇妙な力説を聞いて恥ずかしがる。―が、思わぬ言葉をみーが言い始めた。
「ゆ、ゆーちゃん、先に言っておくけど、ごめん、ね」

406:You is me
08/03/02 03:09:00 2f4ZmYQ7
「ん?」
 何を謝る必要が?
「あたし……あたし、さっきゆーちゃんにえっち、って、変態、って言ったけど……」
 ぶるりとみーが体を震わせた。それは緊張だけから来る震えだったのだろうか? 言葉を切った。すると、
みーの手がスカートの端を掴んで。
 まさか、と思って、息を呑んだ。まさかだった。
 スカートの生地がゆっくりと上がって、そしてみーのショーツが部屋の明かりに出て。
 俺は頭をカナヅチで殴られたかと思うぐらいの衝撃を覚えた。
「あたしも、同じくらい……ううん、もしかしたらそれ以上におかしいんだよ」
 前にキスだけでソファーの下にシミが出るほどみーが濡らしたことがあった。つい今もキスした後に触って
それを俺は実感した。しかし、実際に目にすると。
「え、っと……これ、は、あー、おもらしじゃ……ないのか……?」
 ぶんぶんとみーが首を横に振った。
 ―凄かった。
 ショーツの一部分、などではなく、クロッチの前から後ろ、お尻の方まで色が変わって、更に下のスカートまで
シミを作っている。
「……みー、俺さ」
「な、なに?」
「今、みーが可愛くてたまらん」
「……え?」
 何だか戸惑っている様子のみー。だが構うことは無い。俺は最高にハッピーだった!

407:You is me
08/03/02 03:10:39 2f4ZmYQ7
「なんて言うんだろこの感情……そうか! これが愛ってやつなのか!?」
「……ぷ、くくっ、あは、あははは」
「な、なんだよ! 笑うなよ、俺は真剣なんだぞ」
「ごめんごめん、つい、うっかり」
 笑うなよ、と言いながら俺も笑ってるけど。それから潤んでる瞳を細めて、俺に微笑んで、口を開いた。
「……うん、あたしもゆーちゃんのこと好き……愛してる」
 ちゅっ、と口を合わせた。もう一回。もう一回。もう一回。もう一回……
 口を合わせるごとにこらえきれないものが込み上げてくる。すぐにその感情は溢れ出した。
「……いいか?」
 短い言葉。でもみーはわかるだろう。何故なら、幼馴染だから。
「して」
 熱の篭った言葉が、短く、放たれる。
 それから中途半端に残ってた互いの服を脱ぎ捨てた。無言で向かい合う。そして更にゆっくり、みーの性器に
俺のそれを、当てがった。
 最終確認。みーが、俺の手をしっかり握って、頷いた。
 ぐっ、と俺が腰を前に突き出した。長くかけて痛みを一瞬でと考えていたので一気に挿入。ぷつ、と肉が
切れる表現しようのない感触。
 とんでもない快感が下半身から伝わってくる。我慢我慢我慢我慢我慢……!
「あっ、っつ、っく、うぅ……いたっ、いっ……!」
 手が握り締められる。手の甲に爪が食い込んでくる。全身が震えている。顔が苦痛で一杯に歪んでいる。
「はっ、う、いっ、ゆーちゃん……ゆーちゃん、ゆーちゃん……!」
「大丈夫、ここにいるから」

408:You is me
08/03/02 03:12:39 2f4ZmYQ7
 そのまましばらく抱き合って……やっと激痛が少しマシになったようでみーが顔を上げた。
「あ、う、痛かったよぉ……」
「ごめん……でもありがとう」
「うん……ゆーちゃんは痛かったりとか……そんなことないんだよね」
「まぁ、男だし」
「……男の子って良いなー、生理とかもないし、それに……」
 言い掛けてみーが顔を真っ赤にして黙り込んだ。
「それに……なんだ?」
「な、なんでもないよっ。それより、その、あたしの中、気持ちいい……?」
「それはもう……凄いとしか表現できない」
 みー、いや、女の子の体ってなんでこんなに凄いんだろう。男の体とは大違いだ。さっきから凄い凄いとかしか
言ってないが、本当にそれしか思い浮かばないので仕方が無い。
 俺のものはどろっどろの柔らかいひくひくうごめく肉に抱き締められていた。何もしていないのに出そうになるくらいだ。
 ―ちょっとぐらいなら動かしても。
 腰をとん、と突き上げるように小さく一突き。
「あうっ!?」
 みーが軽く叫びを上げる。
 続けて横に揺するように緩やかに動かす。たたそれだけで歯が浮くような感触が引き出せる。時間をかけて
動きの幅を増やす。負担をかけないように。
「や、ん……くっ、はぁっ、あんっ」
 まだ時々痛そうにするみー。手はさっきからずっと力一杯に握られている。こんな時にすることは決まっている―
特に俺たちは。

409:You is me
08/03/02 03:14:43 2f4ZmYQ7
 またキスだ。一回頬に。みーが目を開いた。二回目は唇に。三回目からは舌も。下半身はとびっきりの
快感を俺に与え続けている。みーの中はきゅ、と締め付けたり、ゆるまったり、うねったり、ざらざらしてたりで
凄まじい限りだ。上では俺が一方的にみーの口内をねぶっていた。
「は、ぅ、ゆー、ひゃんっ! ん、ん、んぅっ!」
 そのせいか、いつの間にかみーの声も苦痛が薄くなっている。反面、快感が尻上がりに止められなくなってきた。
突き上げるたびに奥から熱い液体がどっと流れてきて、ひくひくと中が動く。俺はもう歯を食いしばってそれに
耐えている。
「あ、あっ、ゆーちゃん……あたっ、し、う、やぁ、こんなの、おかしいよぉっ」
 みーが泣く様な切羽詰った声を出した。
「はじめて、あっ、なのにっ、こんな、こんなぁっ……!」
 感じているのか。
 その本音を聞いて、ここまでした我慢の堰が一気にぶち切れた。
「悪いっ、出るっ……!」
「あ、はうっ、ゆーちゃ……、う、あぁ…………!!」
 中で思わずぶちまけた。背筋に寒気が走るほどの、目の前が点滅するほどの快感。自慰ではありえないぐらいの
量が、出る。
「う、あ、やぅ、すごい、あったかい……」
 腰が浮き上がるように、興奮や熱などを抽出されていくような、別次元の高まり。目が眩む。
 精液がみーの奥に吸い込まれていく。互いに荒れた呼吸を落ち着かせて、気持ちも落ち着かせて、よ
うやく視線が合わさった。
「ゆーちゃん……」
「みー……」
 俺たちはその儀式を完結させる合図のようなキスを、交わした。

410:You is me
08/03/02 03:16:43 2f4ZmYQ7
 そして後始末……で、俺は青ざめることを思い出した。
 避妊が頭に無かった。
 慌ててみーに確認を取り……生理はもう終わってるよと言ってくれたので落ち着きを取り戻したが、
今度するときがあったらきっちり対策をしなければいけないだろう……
「ふー、慌てた……」
 二人、産まれたままの姿でベッドに寝転がる。脱力感で体を起き上がらせるのも億劫なのだ。
「もー、男の子ならそれもちゃんと考えてからモーションかけないと駄目でしょ」
「う、すまん。返す言葉も無い」
 行き当たりばったりは本当にやめないとなぁ……
 でも、とみーは言葉を続けた。
「次はゆーちゃんにあたしがしてあげたいかも」
「次は、って……やる気アリアリだな」
「ち、ちがっ、そんな意味じゃないよぉ……いや、そんな意味だけど……ゆーちゃんのばか」
「いや、嬉しい。楽しみだ」
 ならいいけど、と顔を赤くして照れるみー。いかん、本当に可愛い。
「にしても、あたし達……結ばれちゃったね……」
「そうだな……」 
 脳裏に今までの思い出が駆け巡った。何かのゲームで見た言葉を思い出した。
 思い出が蘇る。思い出してみれば、つい昨日のことのようだ。思い出が蘇る。思い出してみれば、色々あった―、か
「……ちゃった」
「え?」

411:You is me
08/03/02 03:18:10 2f4ZmYQ7
 物思いにふけっていると、みーが突然に何か囁いて、きゃーと小さく声を上げて少し暴れた。俺がなんだよと
思って向くとみーは恥ずかしそうに言った。
「ゆーちゃんに、はじめて、あげちゃった……」
 えへへ、とみーが微笑んだ。
 くっ、顔が直視できない。その発言は可愛すぎる……
 すると、隣から内緒の話をするような押さえた声が聞こえてきた。
「ゆーちゃん、あたし」
 語尾はくすぐったくなるような小さな響き。
 しあわせだよ、って。


412:温泉
08/03/02 03:21:49 2f4ZmYQ7
終りです。ああ、脈絡が無い……

次回からは「バカップル炸裂! イチャイチャ突撃編」が始まります。お楽しみに(ウソ予告)

413:名無しさん@ピンキー
08/03/02 03:23:09 JHd+Q10n
>>424
やあ深夜野郎・湯泉。
ええとね? こうね? アンタはいくら砂糖を吐かせれば気が済むのかね?
だがしかしそのウソ予告を真実にしなかった場合、次からGJは無いと思え……!

414:名無しさん@ピンキー
08/03/02 03:48:40 WBT0OwYw
>>424
GJ!甘すぎて上も下も真っ赤になってとろけそうだ…
みーかわいいよみー

>>425
お前は次のセリフは『GJ!』という!

415:名無しさん@ピンキー
08/03/02 04:47:23 JHd+Q10n
そう言えば『GJ!』といい忘れて―ハッ!?


>>426
・お前は次に『GJ!』と言う
・お前の次のセリフは『GJ!』だ
混ざったのか?

416:名無しさん@ピンキー
08/03/02 07:33:29 3/RQE1oP
み、みんな。お、俺はもうダメだ。まさか砂糖に埋もれて死ぬことになるとは思ってなかったぜ。 
俺が死んだらこの先投下される神作を俺の墓に供えてくれ。

最後にみんなにこれだけは言っておく。
こんな神作を読んで死ねるなら、俺は間違いなく幸せだったんだ!!!

417:名無しさん@ピンキー
08/03/02 08:02:32 TRdP2IRV
>>428
お前の遺志は受け取った。
>>424
GJと、GJと言わせてくれッ!
あんたになら掘られてもいい。

418:名無しさん@ピンキー
08/03/02 13:03:09 WBT0OwYw
>>427
打ち間違えただけです…ううっ、恥ずかしい…

419:名無しさん@ピンキー
08/03/03 21:57:33 vNS27pm0
1日のロスタイムライフが幼馴染み編だった

涙が止まらないぜ

420:名無しさん@ピンキー
08/03/03 23:53:52 Z3iw5/zu
見逃した……
どんな話だったんだ?

421:名無しさん@ピンキー
08/03/05 00:40:45 FJMBuEwj
第14回幼馴染検定 過去問題集より抜粋
問8:幼馴染属性と親和性の高い属性を挙げよ   (10点)

解説
好きに書けば良いがニヤニヤしたら残心があるということで失点になるという
ルールで行われたため殆どの人間がミスをした悪問。心せよ。


なんてな……

422:名無しさん@ピンキー
08/03/05 02:26:38 bmeJmM6+
>>433
ツンデレ・姉・妹・ポニーテールとか?

いや、ポニーテールは俺の完全な趣味だけど……。

423:名無しさん@ピンキー
08/03/05 03:13:55 PXcoK7G0
>>432
「ロス:タイム:ライフ」スレより。
----ここから------------------------------------------------
<第5節あらすじ>
森保甫(伊藤淳史)は幼いころからの夢がかなって、自作の漫画が漫画誌の新人コミック大賞でグランプリを受賞し有頂天だった。
受賞作が載っているその漫画誌を何冊も買っては母親にあきれられている。
ある日、新作漫画を編集部に届けるため家を出た甫は、大型書店の前を素通りできず、
つい入ってしまった挙げ句、また例の漫画誌を手に取っては、たまたまそこにいた他の客(温水洋一)にまで自慢する始末。
甫がレジに向かったとき、大爆発が起こった。
審判団にロスタイムを提示され、自分が死んだことに気付いた甫。
編集部に向かって猛然と走り出したが、途中で行き先を変更し、幼なじみの由香里(美波)の家に向かった。
甫はそこで由香里の結婚話を知り、ショックを受ける。落胆し、あてもなく歩いていると、近所の公園で、由香里とばったり会う。
しかしロスタイムは刻々と過ぎていき…!?
----ここまで------------------------------------------------

少し付け足すと、
今回はビル爆発&崩落事故なので同時多発ロスタイム発生。
二人は中学あたりから段々疎遠になり、最近は会うこともなかった。
しかし、甫が漫画家を目指したのは幼い頃の由香里との約束を守るためだった。
そしてもう一つの「約束」も二人は覚えていた。
やっと互いの想いに気付いたのに現実は更に非情で…

正直今回は目から汗が… (;´д⊂ヽ
作品でもないのに長文スマン。

424:名無しさん@ピンキー
08/03/05 05:45:41 614TFA/6
女とヤってお金が貰える♪
まさに男の夢の仕事!
出張ホストっておいしくない?
URLリンク(neets.net)

425:名無しさん@ピンキー
08/03/05 07:46:49 vgCQvtGX
>>433
・世話やきでお人好し
・学校一とかではないにしろ可愛い人気者。
ファンが多く、クラス一の男子が告白するも玉砕が王道

・胸は大きくもなく小さくもなく。只、本人的に
もう少し欲しいと思ってるパターンが半数以上。

・髪型は性格にもよるが、活発ショートに控え目ロングが多い。



採点求む。

426:名無しさん@ピンキー
08/03/05 14:17:54 5zoHZaBl


427:名無しさん@ピンキー
08/03/05 20:19:45 FJMBuEwj
>>434
ポニーテール、大いに結構じゃないですか。おれはロングかな

>>437
10点!10点!
マジレスするなら2番目と3番目は「属性」じゃないかもネ

428:名無しさん@ピンキー
08/03/05 20:39:17 fjqadhzw
>>439
ばっきゃろ、チチ小さめコンプレックス付きという立派な属性だろうが―!
それでさらに貧乳の友人に『胸大きくなりたい』とかうっかり言っちゃってこんにゃろわたしより大きいくせにとか百合展開ハァハァ……い、いかん今妄想垂れ流しですかよ!?

429:名無しさん@ピンキー
08/03/05 21:00:59 Vjtjtnyp
>>440
川上作品スレの方ですか

430:名無しさん@ピンキー
08/03/05 21:03:59 MjlIZhUa
そういえば、このスレでも胸が大きい幼馴染は少ない気がする。

431:名無しさん@ピンキー
08/03/05 22:01:02 AEDE2rC2
>>437 性格控えめで髪型ショートも捨てがたい

432:名無しさん@ピンキー
08/03/05 23:00:39 U+k+1qo+
>>442
シロクロの綾乃や絆と想いの舞衣くらいかなぁすぐ思いつくのは。

433:名無しさん@ピンキー
08/03/06 00:17:35 9ZjZSS0D
>>440
百合ではないがこんなの妄想した

「なーなー、あたしの体どう思うよ?」
「どうって……」
「ほら。こう……尻はでかくて腰も細いけど胸無いよなとかそんな感じで―って誰が胸無いだぁッ!?」
「待て馬鹿俺は何も言ってない落ち着け落ち着け馬乗りになるな馬鹿ぐああ!」
「巨乳一家なのにあたしだけフツーだとか思ってるんだろ!?知ってるぞこの野郎ウチに来たらねーちゃんとか妹のチチばっかり見腐ってこの助平野郎がぁー!!」(強打)
「ぐあ痛ェ!? いいか、とにかく落ち着けそして聞け! 言うぞ!? 俺は―貧乳派だ! だからお前のチチも―」
「誰が貧乳だぁー!!!」(強打音連打)

ああ、俺は暴力系が好きなんだな……
こうさ、殴っても関係が崩れないのを無意識に確信してて素でノロケてみたり、
そのうち主人公が初めて本気で怒ってなにやら関係が壊れて、
離れてみて初めて離れたくないってことに気付いてみたり、
でも一度関係が壊れたから歩み寄るのが恐かったり、
それで仲直りしたと思ったらなんかちょっと近すぎてあるェー? ってなってドキドキしてみたり―ああ! ああ!
……いかん俺もダバダバだ! 一緒に帰ろうか>>440

434:名無しさん@ピンキー
08/03/06 00:29:10 tAps2fCu
>>445
あいや待たれよ
そこまで書いて、物語化しないとか言わないよな



……ちょっと書いてこようかな、それ

435:名無しさん@ピンキー
08/03/06 00:32:36 9ZjZSS0D
>>446
え? 書かないよ?
そもそも今書いてるのを終わらせないと次に取り掛かれないぜ、という話。

436:名無しさん@ピンキー
08/03/06 03:43:15 UTx1xdin
>>446このスレという妄想のダムが決壊する位の妄想もといSS投下待ってる。
 
>>447こっ・・・この鬼畜野郎!>>446が居なかったら俺たちどうなっていたと思う!?
・・・・・・はい、妄想だけという悲しみの余り悶え死んでたかもしれませんな。

437:名無しさん@ピンキー
08/03/06 21:11:41 iQsv0FEv
ここでなぜか、おバカ小説を投下

ただのパロなので保管は不要っス

438:ナジミマスターヤマト(最終話 希望を胸に)
08/03/06 21:13:18 iQsv0FEv
「チクショオオオオ!くらえサイアーク!新必殺音速馴染斬!」
「さあ来いヤマトオオ!オレは実は一回幼馴染小説見せられただけで死ぬぞオオ!」
ザン!
(攻撃シーン。貴方の好きな幼馴染作品を見せ付けているところを想像して下さい)
「グアアアア!こ、このザ・ナジミと呼ばれる四天王のサイアークが…こんなナジミストに…バ…バカなアアアア」

「サイアークがやられたようだな…」
「ククク…奴は四天王の中でも(ry」
「人間ごときに(ry」

(省略)

「やった…ついに四天王を倒したぞ…これで魔龍城の扉が開かれる!!」
「よく来たなナジミマスターヤマト…待っていたぞ…」
「こ…ここが魔龍城だったのか…!感じる…ベルゼバブの魔力を…」
「ナジミストよ…戦う前に一つ言っておくことがある。
 お前は私を倒すのに『幼馴染のえろシーン』が必要だと思っているようだが…別になくても倒せる」
「な 何だって!?」
「そしてお前の好きな幼馴染ゲーはプレイしたことがあるので、お前の部屋へ解放しておいた。
 あとは私を倒すだけだなクックック…」
「フ…上等だ…オレも一つ言っておくことがある」

「このオレに可愛い幼馴染がいたような気がしていたが別にそんなことはなかったぜ!」

「そうか」
「ウオオオいくぞオオオ!」
「さあ来いナジミスト!」
いつか可愛い幼馴染が出来ると信じて…!

439:名無しさん@ピンキー
08/03/06 21:15:25 9ZjZSS0D
>>450
わかっちゃいたが最後の一文で全俺が号泣した

俺? 幼馴染なんていませんよ。四人の従姉妹と小さい頃からよく遊んでましたけど。

440:名無しさん@ピンキー
08/03/06 21:17:17 iQsv0FEv
おわり。そして風のように去る

441:名無しさん@ピンキー
08/03/06 22:08:50 /hnBb7Xp
>>451
それなんて学校の階段?

442:名無しさん@ピンキー
08/03/06 22:25:32 KMLqnaDo
>>451
こりゃこりゃ。
君は幼馴染みの法則を忘れたのかね?


姉妹=幼馴染みは成立しないが
従姉妹=幼馴染みは成立するのだよ。

この「従姉妹優性の法則」を忘れるなんて…
ゲフンゲフン

443:名無しさん@ピンキー
08/03/07 12:20:59 sK7laXwx
幼馴染みで居られる期間って決まっている気がする
仮に22年として、ある人は生まれた時から大卒までの22歳
別な人は中学3年間離れていたから25歳まで幼馴染みみたいな

自分は前者だったけど

444:名無しさん@ピンキー
08/03/08 12:27:12 0nvkTjmS
>>450
幼馴染撲滅委員会を思い出したのは俺だけか

445:名無しさん@ピンキー
08/03/08 20:19:19 mId0IG35
>>456
こりゃ驚いた。実は幼馴染好きと撲滅委員会との死闘という題で
軽いおバカな話を書いていた時に思いついたものなんで遠からず近からずといった感じ

というか、お前おれの思考を読んでいるな?

446:名無しさん@ピンキー
08/03/09 09:16:00 tXR0dxt8
幼馴染みと卒業式

447:名無しさん@ピンキー
08/03/09 18:41:00 6MjwL9J8
>>458
新作のタイトルかと思って正座して待ってるんだけど・・・・?

448:名無しさん@ピンキー
08/03/09 18:52:06 yT+mnPWH
>>459

脱げ! そして背筋を伸ばせ!

全裸で正座、それが基本だ。

449:名無しさん@ピンキー
08/03/09 21:39:17 Sw0o4wg8
幼馴染みを卒業して恋人同士という新たなステップに至るんですね。分かります!

450:名無しさん@ピンキー
08/03/10 01:28:27 XFcN0G1H
>>458に強烈なインスピレーションを受けたのだが、書いたらgdgdになった
反省はしているが投下する。嫌な人はスルーで

451:幼なじみと卒業式
08/03/10 01:30:50 XFcN0G1H
「卒業式、終わっちゃったね」
「あぁ」
人がいなくなった教室。残っているのは二人だけ。
「この教室を使うことも、もうないね」
「そうだな」
ある者は学友と語らって笑い、ある者は別れを惜しんで泣き、ある者は変化を想って遠くを見つめ。
「みんなとも、しばらく会わなくなるんだね」
「だろうな」
その喧騒も今はなく。静けさの中、二人の声だけが教室に響く。

「……拓哉とも、しばらく会えなくなるんだよね」
少女の声音が少し沈んだ調子になる。
今までの、寂しくも温かな気持ちを感じさせる物とは少しちがった。
「……あぁ」
言葉を返す少年の声は、やはり少しだけ寂しそうだった。
彼は春から地方の大学に進学することが決まっていた。
大学の場所はここからは遠すぎる。自然、向こうに下宿することになった。
「引っ越しの準備はできてるの?荷物まとめたりとか」
「まぁそこそこ。だいたい、まだ一週間はあるんだけどな」
彼にとって、その地は全く未知の世界である。
そのため、早く慣れるようにとすぐに向こうに行くことになっていた。
「早いこと向こうに馴染めるといいね」
「同じ日本だし、さして問題はないだろうよ」
「視点が広すぎだよ、それは」
他愛ない会話。今までと同じ、とるに足らない、そんな時間。
だがそれも、もうすぐ終わる。

「それにしても、とうとうこの日が来ちゃったんだなぁ」
「何が?」
「ほら、私たちって今までずっと学校一緒だったじゃない」
「おまけにクラスまで一緒だったな」
他人に話せば冗談と思われるかもしれないが、本人たちにとっても信じられない話であった。
同じ学校に通っていた友人たちも、最後はなまあたたかい視線を向けるようになっていた。
「それでさ、長い休みとかでもずっと一緒に過ごしたでしょ?」
「正確には宿題を手伝わされたんだけどな」
彼女は宿題などはあとから一気にするタイプで、長期休暇の終盤ともなれば、
提出物を堅実に一つずつこなし、ほぼ全てを終わらせた彼にすがることがいつもだった。
「けど、さ」
少年の抗議は右から左に流し、少女は、どこか遠くを見るような目で。
「そういうのも、これからはなくなっちゃうんだなぁってさ」
寂しそうに、つぶやいた。

452:幼なじみと卒業式
08/03/10 01:32:43 XFcN0G1H
ずっと一緒だと思っていた。今までがそうだったのだからと、何の根拠もなく。
でも、それは勘違い。本当は、歩いてきた道がたまたま隣り合っていただけだ。
これからは、二人の道は別々の方角を向くことになる。隣り合う道はなくなるのだ。

教室を静寂が支配する。何とも言えない空気があたりを包む。
「まぁ、今生の別れってわけじゃないけどさ。ちょっと違和感があるよね」
打って変わって、少女は明るい声で話を続けようとする。
いつもの空気じゃなかったから。二人の間に、こんな雰囲気は似合わない。
「でも、これがきっと『卒業する』ってことなのかもね」
今まで続いた習慣、当たり前と思った出来事との別れ。
新しい一歩を踏み出すための、一つの終わり。
「……そう、かもな」
短く返し、少年はしばらく考える素振りを見せる。
「どうかしたの?」
「……ん、あぁ、いや。もう一つ、個人的に卒業したいことがあってな」
「……何、それ?」
「お前との、この関係、かな?」
「?どういう……」
少女の疑問に対し、少年は真面目な顔で彼女を見る。

「茜。俺は、お前が好きだ」
突然の告白。少女の思考が一瞬止まった。
「……へ?」
「正直、いつか言おうと思ってた。けど、お前の隣はいつも俺がいたから、
 今さら別にいいかとも思ってたんだ」
思考の追い付かない少女に構わず、少年は一気にまくし立てる。
「けど、これからは俺はそばにいられなくなる。
 俺がいない間に、誰かがお前の隣に立つかもしれない。
 そんなの俺は、嫌だから」
二人の道が隣り合っていたのは、単なる偶然かもしれない。
しかし、いやだからこそ。これからも隣に立っていたかった。
偶然ではなく、確固とした繋がりを持って。
「だから、幼馴染みの関係は卒業しようと思ってな」
そうして、新たな一歩を踏み出そう。いつまでも、同じ場所には止まれないから。

453:幼なじみと卒業式
08/03/10 01:33:49 XFcN0G1H
「……私もね」
少女はうつむき、ぽつりと言葉をもらす。
「私も、本当は拓哉と同じことを考えてた。
 でも、怖くて。それを言ったら今までの何もかもが崩れる気がして、言えなかった」
「茜……」
「でも、それじゃダメだよね。何もかもが変わっていくのに。
 終わらせたくないと思っていても、いつかは終わっちゃうんだから」
学校生活などはその最たる例だろう。
皆、名残を惜しみつつ、それでも先に進むのだ。自分たちだけ残ることなどできない。
「やっぱり拓哉はすごいね、私が怖くてできなかったこともやって見せちゃうんだから」
「じゃあ、茜……」
彼女は顔を上げた。その顔に浮かぶのは、とびきりの笑顔。
「うん、私も卒業する。私も、拓哉が大好きだから!」
その表情に、少年は思わず見惚れてしまったことは、いうまでもない。

「ね、拓哉。ちょっと思いついたんだけど」
「ん、何だ?」
隣り合ってた二人の道は、これからは分かれていくことになる。
「二人の卒業記念と、新しい門出を祝って、ちょっとやりたいことがあるの」
「やりたいこと?別にいいけど」
それでも今までよりも強い絆が、二人の間にできたから。
「うん、それじゃ目、つぶって」「こうか?」
分かれた道は、いずれ再び近づいて。
「うん、それじゃ……」
「……ん、んむっ!?」
「……ん、終わり」
「……お前なぁ」
「いいでしょ、せっかく恋人同士になったんだし」
「恥ずかしいわ、ったく……」
やがて一つに、寄りそうのだろう。

454:名無しさん@ピンキー
08/03/10 01:37:00 XFcN0G1H
うん、まぁ何だ
とりあえず>>458、タイトルパクってごめん
誰かオレにうまく短くまとめる方法を教えてくれ、まとめようてするとgdgdになるorz
さて逃げるか

455:名無しさん@ピンキー
08/03/10 01:40:38 wTDI1m4c
大儀であった……!

いやあ普通にまとまってると思いますけどね?
これ以上削ると今度は文章が少なくなるような気がしないでもない。

456:459
08/03/10 06:31:36 S9OoiyHh
>>462-466
ありがとっ! やっと正座解除できるよっ!
代わりに顔のニヤケが止まらなくなっちまったが。

457:名無しさん@ピンキー
08/03/10 10:14:51 l6zfmqfB
乙、普通にまとまってるし面白いよw

で、二人の処女童貞卒業式篇マダー?

458:名無しさん@ピンキー
08/03/10 13:33:43 MJvzWe3B
>>466正直ほんの少しだけ期待してた。
でもまさか俺の妄想を本当に書いてくれるなんて、予想外だった。 
ありがとう!GJ!そしてこんな甘いほのぼのを途中で終わらせないでくれ!
 
・・・てか白状すると、こんなこと書いたのも息子がもうすぐ卒業して、【男の】幼馴染みと離れ離れになるって嘆いてたからなんだぜ。

459:名無しさん@ピンキー
08/03/10 20:45:14 9ddqAxMl
>>470
アッー?

460:名無しさん@ピンキー
08/03/10 23:16:03 XFcN0G1H
>>470
やっぱり寂しいだろうな、そういうのは
同性なら友情とか強そうだし

自分が書く物は「幼なじみと〇〇〇」にしたい人からちょっと質問なんだけど、
やっぱりその、二人が肉体的につながる場面ってあったほうがいいのかね
エロパロスレだからもちろんあったほうがいいんだろうけど、
本気で未知の領域だからうまく書けるかわからないのよね
>>1にはなくてもいいとはあるが、やはり今回そういう要望があるみたいだし……
まぁこうやって妄想を投下するのもここ最近はじめたことなんだけど

461:名無しさん@ピンキー
08/03/10 23:17:34 XFcN0G1H
>>470
やっぱり寂しいだろうな、そういうのは
同性なら友情とか強そうだし

自分が書く物は「幼なじみと〇〇〇」にしたい人からちょっと質問なんだけど、
やっぱりその、二人が肉体的につながる場面ってあったほうがいいのかね
エロパロスレだからもちろんあったほうがいいんだろうけど、
本気で未知の領域だからうまく書けるかわからないのよね
>>1にはなくてもいいとはあるが、やはり今回そういう要望があるみたいだし……
まぁこうやって妄想を投下するのもここ最近はじめたことなんだけど

あ、忘れちゃいけない。読んでくれた人ありがとうね
感想あるとそれだけで頑張れるぜ

462:名無しさん@ピンキー
08/03/10 23:24:30 XFcN0G1H
長い上に二重投稿とかorz
連投になるけど、ごめんなさい

463:名無しさん@ピンキー
08/03/11 00:19:56 AyGQOiJc
>>473
見せ方によってはキスとか手を繋ぐだけで、下手なラブシーンよりエロいんだぜ?
まぁ、言うまでもないが、ここは幼馴染を萌えるスレなので、萌えれるシチュならなんでもいいと思う。
エロくて更に萌えれるんならそりゃ凄いが。

464: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 00:46:04 2ZARaFPU
SS投下します。
幼馴染ものですが同時にお姫様もので歴史もの。
スレ違いとの指摘がありましたら発表場所を移します。

465:名無しさん@ピンキー
08/03/11 00:50:03 gZoyiNsk
幼なじみであるのなら、拒む理由はどこにもない
さぁカモン!

466: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:00:07 2ZARaFPU
『ラピスラズリ』


第一章


午前の講義を終えて私は急ぐ。
厨房に入ってしばらくしてそこから飛び出すと先ほど以上の勢いで今度は裏門を目指す。その手に抱えているのはお手製のランチだ。
「アンナに料理なんてできるのかい?」
そう言ったあいつを見返したくて城のシェフに無理を言って、昨日の内から準備をし始めて、つい先ほど完成したもの。
なんでもそつなくこなす姉のテレジアと違って自分は、決して器量がいいとは言えない。厨房は戦場の如く乱れ、今は給仕人たちが後始末に追われている頃だろう。
そもそも王族なんだから料理をする必要なんてないんだしと思って、今までは姉のスイーツ作りの誘いもことごとく断ってきた。しかし、
「絶対見返してやるんだから……」
幼馴染みのヨハネに焚きつけられては黙ってはいられない。
このお弁当がなくても今日は彼に伝えたい事があるのだ。自然に足取りは軽くなり、城の裏門を出る頃にはすでに駆け出してしまっていた。
城の正面には大きな城下町が広がっているが、裏門のほうはすぐに山林に至るためそれほど人の手は入っておらず人影は皆無だった。
もっともこの姿を見られたところで、またおてんば姫が何かやってる、と呆れられるだけで呼び止められもしないのだが。
小川を飛び越えた先、城と山のちょうど中間の小高い丘の上に目標の場所はある。
急斜面は視界の半分が青く染まるほど。
「ちゃんと整地しなさいよね、まったく」
悪態をつきながらも足取りが緩まる事はない。土に着くドレスの裾も今日はいつも以上に気にならない。
鼻腔をくすぐる甘い匂いと周りを飛び交う蝶々たちが目指す所が近い事を教えてくれる。
斜面を登りきる。目の前には一面の花畑。
築城のとき本来ならこの辺りまで範囲を伸ばすつもりだったらしいのだが、そこは貧乏領主。
見事に計画は頓挫し中途半端に整地した土地は野生の植物と、人の手による観葉植物が入り混じる節操のない花畑になっている。
その中心、打ち捨てられた作業小屋におっかかるようにして彼はそこにいた。本を手にしているがそれを読むでもなく、ただ目の前の花を見つめ静かに佇んでいた。
その仕草に思わず鼓動が高まってしまう。運動によるそれとは明らかに異なる動悸。
少し悔しい。本当なら彼にこういう想いをさせて、自分は高みから見物というのが主従関係に基づいた正しい関係だろうに。
悔しい。
だから駆け出して、
「ヨハネー!!」
名前を呼びながら彼に思いっきり飛びついてやった。


467: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:00:56 2ZARaFPU
ごん、とあまり好ましくない音が聞こえた。
抱きついた胸から顔を上げて、彼の様子をうかがってみる。
「つっ~~~ぅ……」
頭を抱え悶絶するヨハネ。どうやら抱きついた反動で後ろの壁に頭をぶつけてしまったらしい。
いい気味だ。分不相応にも私をあんな気持ちにさせるからそういう天罰が下るのだ。十字を切って神様に感謝。
「いきなり何をするんだよ!」
「あら、お姫様の熱烈な抱擁を受けての第一声がそれ? 臣下としての身分をわきまえなさい、ヨハネ」
「じゃあ君はもう少しお姫様の自覚を持ってくれよ、アンナ」
皮肉を返しながらも、ヨハネの腕は私の背中に回されてる。それだけで私の中は満たされてさっきまでの意地悪な気持ちはどこかにいってしまった。
「あはは、ごめんね。急いでたから。そんなに痛かった?」
「うん。目の前を火花が走った。凄い威力だったよ……ひょっとして少しふとっ」
「それ以上言ったらここより綺麗なお花畑に連れてっちゃうわよ?」
また別の私が顔を出す。ヨハネの顔が引きつっていく。
「アンナ……冗談だから、その壮絶な笑みを引っ込めてくれ。怖すぎる」
「あなたが悪いのよ。変な事言うから……っとこんなことしてる場合じゃなかった」
私は右手で持っていたランチボックスを……あれ? さっきまであったはずなのに今私の手は空だ。きょろきょろと辺りを見回す。
「あー、ひょっとして探し物はあれかい?」
ヨハネが指差す先、私の後方にランチボックスは無残にも打ち捨てられていた。
そうか、さっき飛びついた時に落としてしまったのか。いそいそと拾いに行き、箱を覆っているクロスを解く。何もはみ出してはいないし、どうやら中身は無事のようだ。
「何それ?」
ヨハネが不安そうに訊いてくる。
「お弁当」
「お弁当?」
「お弁当」
「誰の?」
「私とヨハネの」
「作ったのは? テレジア?」
「姉さんは今病床だもの」
「じゃあ、城のシェフ?」
なんだか会話を重ねていくごとに、ヨハネの声がトーンダウンしていくような気がするのだけれど。
「私」
「…………」
「わたくし、アンナがヨハネのお弁当を作ってまいりました」
妙な間が私とヨハネの間に流れる。ヨハネはすくっと立ち上がると、
「さあ、午後は武芸の訓練があるから急がなくちゃ」
そんなことを言って歩き出そうとした。それを、
「待ちなさい」
腕を思いっきり引っ張ってこちらに引き寄せる。


468: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:01:28 2ZARaFPU
「あなたこの前なんて言ったか覚えてる?」
目の前にヨハネを強引に座らせ、私はその前に鎮座して彼を問い詰める。少し考えて彼は、
「テレジアの焼いたクッキーはおいしい」
「その後」
「今度会えるのは三日後の昼休みからだね」
「その前」
「えーと……」
「もう、いいわ。私が説明してあげる。あなたが姉さんのクッキーをあんまりほめるもんだから、
私だってそれぐらいできるわよって言ったの。そしたらあなたったら、アンナに料理なんてできるのかい? そう言ったのよ」
「そうだっけ」
「そうよ。だから今日はお弁当を作ってきたわけです」
すっ、とランチボックスをヨハネの目の前に差し出す。手でふたを開けるジェスチャーをしてヨハネに先を促す。彼は目を一度閉じて、勢い良く私の手作り弁当と対面した。
「あれ?」
その第一声がこれだ。さっきもそうだったがこの男時々凄く失礼だ。
「あれ? って何よ?」
「いや、意外にまともだなって思って……多少盛り付けが乱れてるけど、ちゃんと火は通ってるみたいだし、いい匂いもする」
主従関係をわきまえない物言いに腹が立つがそれはおいておく事にする。今は一刻も早くお弁当を食べて欲しい。
そんな私の気持ちを感じ取ったのかヨハネはおずおずと手を伸ばし、それでも最後は一気に料理を口に運んだ。
もぐもぐと咀嚼して、ごくりと飲み込む。そんな彼の動作を見ているとなんだかとても幸せな気分になれた。
「……おいしい」
そうしてヨハネはやっと私の満足する答えを返した。少し自信がなかっただけにその反応は本当に嬉しかった。
「あったりまえじゃない! この私が作ったものがおいしくないわけないでしょ!」
それでも動揺は見せまいと虚勢を張る。ヨハネはというと、
「特別おいしいというわけではないけど、十分に及第点というか、期待してなかっただけにおいしさ倍増というか……この際城のシェフの味付けにそっくりだという事は黙っておこう」
なんだかぶつくさと独り言をつぶやいていた。いまいち釈然としなかったが、おいしいと言ってくれた事だし、まあよしとしよう。


469: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:02:51 2ZARaFPU
そうして二人きりのランチタイムとしゃれ込み、すっかりランチボックスを空にしたところで、のどが渇いたのでヨハネに水を汲みに行かせ、
その後は二人で寝転んで何をするということもなく、初夏の暖かな日差しの中でただ呆然と空を眺めていた。
「ヨハネ」
唐突に話しかける。ヨハネは「ん?」と呼びかけに応えこっちを向く。
「好きよ」
「僕もだ」
短いやり取り。それでも私達の想いは十分に通じ合ってる。手を動かし彼の指先に触れる。握り返される指。その確かな感触に自分がとんでもない幸せ者だと自覚する。
「話があるの」
「なんだい?」
一回息を大きく吸い込んで、それから今日の本題を口にした。
「姉さんの結婚が正式に決まったわ。予定通り相手は隣国のカール皇太子」
「……おめでとう」
そう言ったヨハネの口ぶりは暗く、心から結婚を喜んでいるのではない事が伝わってくる。正直私もこの結婚には賛成できない。
「大国との縁談だ。これでこの国も安泰かな」
全く気持ちのこもってない口調。ヨハネもきっと私と同じ気持ちなのだ。
「そうね、でも私は納得できない。姉さんにも想い人の一人ぐらいいるでしょうに、こんな政略結婚……姉さんが可愛そうよ」
「しょうがないさ。こういう時代だ。君の父上も国の未来を案じて出した結論だろ」
「でも姉さんの未来はどうなるの? こんな望みもしない相手との契りなんて私だったら堪えられない」
声を荒げてしまう。跡取りの男児が生まれなかったこの国を守っていくにはそれが最善の方法だと頭では理解できても、心は静まってくれなかった。
「テレジアの未来がどうなるかなんて誰にもわからないさ。彼女は賢く優しい人だし、誰からも好かれる。強国の女王としてそこで新しい幸せを見つけられるかもしれない」
それに、とヨハネは付けたし、
「これで僕達は無事に結ばれる事ができる」
 核心に触れた。
そうなのだ。隣国との同盟が成立し、この国が安定すれば私のヨハネとの結婚も認められる。王女と一家臣の次男坊に過ぎない私達の十五年越しの恋が実る。
それは普段何の要求もしない姉さんのたった一つの望みでもあった。姉さんはことあるごとに、
「私は国のために生きます。でもアンナは彼女の想う人と結ばせてやってください」
とお父様に訴えていた。今回の結婚もお父様がその要求を呑む事で、姉さんも了承したのだ。
「だからよ、なおさら姉さんが可愛そうだわ……それに私さっきみたいな事を言っててもやっぱり、心のどこかで安心してる。
ああ、これで私はヨハネと結ばれるって、まったく嫌な妹よね」
隣でヨハネが立ち上がる気配がした。握っていた指はいつの間にか解かれている。さえぎられる陽光、目の前にヨハネの顔があった。
「でもだったら、いや、だからこそ僕達は幸せにならなきゃいけない」
「そう、よね」
頷いてみせる。それは姉さんの優しさに託けた都合のいい自己愛に過ぎない。それでも、姉妹の愛情よりも、国の未来よりも、どうしようもないほどに私はヨハネのことが好きなのだ。
どんどん視界が暗くなっていく。彼以外何も見えなくなる。
つぶれていく花の上で、解かれた指は先ほどよりも強く握られていた。


470: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:03:46 2ZARaFPU
キスの続きをせがんでくるヨハネ。胸に当てられた感触を拒絶しようとお腹を蹴飛ばして、距離を開ける。
「結婚するまでキス以上は駄目だって言ってるでしょーがっ!!」
「何だよ、今日は大丈夫だと思ったのにな」
ヨハネはお腹をさすりながら不満を漏らした。
まったくしんみりとした雰囲気にすっかり油断してしまった。こともあろうに婚礼前の娘の懐に手を入れようとするなど何を考えているのだ。
しかもこちらはプリンセスだ。無礼にもほどがある。
「絶対駄目なんだからね」
ちぇっ、と舌を鳴らすヨハネに近づく。
「今はこれだけで我慢して」
今度は私から唇を重ねた。そのまま彼を後ろに押し倒す。私達は抱き合って、花畑を転がる。汚れていくドレスも、乱れていく髪も気にならなかった。
互いの温もりと唇の感触を堪能した後は仰向けでまた空を見る。私はこうやって空を見上げるのが大好きだった。
流れていく雲、咲き誇る花の薫り、肌をくすぐる草の感覚、繋いだままの手から伝わるヨハネの鼓動と温もり。その全てがどうしようもなく心地よかった。
「それにしても急だな」
心地よさのあまりまどろんでしまっていた、意識が呼び戻される。
「んー、何が?」
「テレジアの結婚が、さ。彼女最近体調を崩してるんだろ? 何もこんなときにそんな事決めなくていいだろうに」
「それは、そうだけど……お医者様の話じゃそれほど酷くはないみたいだし、父様もこういうことは早いほうがいいって」
私もそれは気になっていた。でもただの風邪だという話しだし、なにより今朝の姉様はそれほど体調が悪いようにも見えなかった。
「それならいいんだけど」
なんだか急に不安になってきた。私はそれを打ち消そうと、
「ねえ、街に出てみない? 最近南からのキャラバンが来たらしくて、城の給仕たちが噂してたの。何か珍しいものが見れるかも」
無理やりにも明るい声を出した。
「ああ、それは面白そうだ。早速行ってみようか?」
ヨハネは勢いよく体を立ち上がらせる。手を繋いでいる反動でこちらも半身を引き起こされた。
「さあ」
彼に習って私も立ち上がる。そして二人で駆け出した。その足取りは軽く、先ほどまでの不安はすっかり薄れていた。


471: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:04:41 2ZARaFPU
街の真ん中に位置する広場、城への通りのすぐ近くにそのキャラバンは屋台を構えていた。人々がごった返す中やヨハネと二人で歩いていく。
「や、姫様。ごきげんよう」
「ああアンナ様、こんにちは」
街の人たちも馴れたもので王女である私が現れてもなんら驚いた様子もない。こちらも気さくに挨拶を交わし、屋台に近づいていく。
「わあ、綺麗ね」
どうやらここは貴金属や宝石を扱っているらしい、遠方からのものなのか王族である私ですら目にしたこともない珍しいものが並んでいる。
「うん。本当に綺麗だ……ひょっとしてここにあるものは新海路から来たものなのかな?」
「いや、今回持ってきているものは陸路、東南からのものがほとんどだよ」
ヨハネの疑問に答えたのは店番をしている青年だった。一見したところまだ年若い。私達からほんの二、三歳しか離れていないだろう。
「あなたこのキャラバンの一員なの?」
「ああ、こっちに来るときはよく同行させてもらっている」
「ふーん……」
先ほどよりもじっくりと観察してみる。行商をしているわりには綺麗な肌をしているし、物腰も柔らかだ。それに着ている服も旅商人のそれではあるが高級感漂う生地を使ってる。
大方どっかの大商人の後取りか何かで今は修行中だったりもするんだろう。
南方は例の大国の領土を越えれば商人の領域だし、ひょっとしたらそのあたりの出身かもしれない。
「こっちの宝石も綺麗だなぁ。ねえアンナ?」
ヨハネの声で意識が宝石に戻される。南方からの奇妙な来訪者は気になったが、それよりも今はこの宝石たちの方が重要だ。
ふと、視界の隅に移った宝石に目を奪われた。それを指差しながら話しかける。
「ねえヨハネ、あれって……」
「ああ、あの丸くて青いの? 
……なんだろう? サファイア、じゃあないよね。なんていうか……」
青い、深い青色。もはや藍との区別がつかないほど色が濃いのにそれでもどこか透明性を持っている。それに白や金色のまだら模様が混じっている。だからそう、まるでさっきまで眺めていた、
「空のかけら、みたいだね」
ヨハネの言葉に驚いてそっちを向く。
「私もそう思ってた。まるでさっきまで眺めてた空みたいだなって……」
「僕もだ。同じこと考えてた」
世界中に二人だけしかいなくなったような錯覚に襲われる。
「ヨハネ」
「アンナ」
見つめ合う。彼の碧眼の中に映る私の顔、そして私の金髪、それはまるであの宝石みたいで、
「はははっ」
吸い込まれそうになったところを素っ頓狂な笑い声が呼び止めてくれた。
余計なことを……。


472: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:08:10 2ZARaFPU
「二人とも仲が良いんだね。それに石を見る目もある、サファイアってのもあながち間違いではないし、それにその比喩、まるで古代の学者だ」
「古代の学者?」
「ああ、古代帝国の博物学者はこの宝石のことをこう呼んでる“星のきらめく天空の破片ってね。もっともこれは夜空のことを指してるんだけど……。
うん。なるほど、そういう見方もある。色々な用途、色々な姿を持つのがこのラピスラズリの特徴でもあるし」
ラピスラズリ? 私はその聞きなれた名前に驚いた。
「ラピスラズリですって? この綺麗な宝石が?」
城にもラピスラズリを使った装飾品はいくつかある。しかしそのどれもがこのような綺麗な姿ではなかった。なんだか煤けたぼんやりとした印象しか与えられなかった。
「言ったろ、いろんな姿があるって。こんなに綺麗な色合いと模様のものは結構珍しいんだよ。もっとも交易路の発展のおかげでそれほど価値は高くないけどね」
へえー、とヨハネと二人して感心する。同じ宝石でもこうまで印象が変わるものなのか……。
「気に入ったわ、これ頂くわね。おいくら?」
「代金はいいよ」
「は?」
「ああ、失礼しました……」
ここで店番の青年はわざとらしくかしこまり、咳払いをすると、
「お代金など受け取れません。第二王女アンナ様」
そう仰々しく言ってのけた。
「気付いてたの?」
「別に隠してもなかったでしょう。この国のアンナ王女様はとんでもないおてんばだと話には聞いていたけど、
いや、実際その通りでしたね。一人しか護衛もつけずにこんなところにくるなんて」
かんらかんらと笑いながら青年は無礼な口をきく。正直少し腹が立ったが、それよりも疑問だった。
「なんでよ。それなら世間知らずのお姫様に法外な値段をふっかけよう、とかは思わないわけ? 商売人根性が欠けてるんじゃないの?」
「思わないさ。ここではもう随分と儲けさせてもらったし、今回の行商は今日で終わり、帰りの荷物は少ない方がいい。そして何より、その宝石は君にふさわしい」
まだ少し言いたいことはあったがこれでは素直に受け取るしかない。
「ありがとう」
そうお礼を言ってそのラピスラズリを受け取った。すると彼は肩をすくめ両手を上に向けると、
「あー、お礼はいいからその御付の彼をどうにかしてくれないか?」
そんな変な事を言ってきた。
「ヨハネを?」
横を見れば普段は温厚なヨハネが鋭い目つきで青年を睨んでいた。視線を下げればその右腕は剣の柄を握っている。今にも切っ先を目の前の男に突き出しそうだ。
まったく、こういう時の忠誠心は人一倍なのだから。
「ヨハネ、控えなさい。もう用事は済んだのだから戻るわよ」
騎士に接する王女の口調で私はヨハネを制した。すっと彼の体から緊張がとかれる。
「わかったよ、アンナ」
彼のいつも通りの返事を聞いて、私は微笑む。そうして最後に店番の青年に別れを告げ、広場を後にした。
「お幸せに、お二人さん」
遠くからかけられたその言葉で、ヨハネがまた不機嫌になったのは言うまでもない。


473: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:09:38 2ZARaFPU
「ねえ、なんでさっきはあんなに怒ってたの? 確かにあの人の態度は褒められたものではなかったけど」
広場から城への帰り道、私はヨハネに理由を問いただしてみた。
「なんでも何も、一国の王女に向かってあの態度は無礼すぎるよ」
「でもあの人最初っからあんな感じだったじゃない、なんでまた急に」
「最初は気付いてなんだからしょうがないって思ってた。でもあの人は気付いてたんだ。
それなのにあんな態度……君に仕える騎士としては許せない」
ヨハネの言う事はもっともなのだけど、建前ばかりで本音を隠してるような気がする。
「でも街の人だって似たようなものじゃない。あの人たちみんな私のことおてんば姫って呼んでるわよ」
「親しみを持つ事と無礼な事とは違うよ。街のみんなそう言いながらもちゃんとアンナに敬意を払ってる。でもあの人の口ぶりはまるでアンナを見下すようだった」
「そう? 私はそんな気は特にしなかったけど」
私の言葉にもヨハネは、
「いや、彼は無礼すぎた」
と語気を荒げた。
やっぱりおかしい。あれぐらいの言葉でヨハネがそれほど腹を立てるとはどうにも思えなかった。私はもう一歩踏み込んで訊いてみる。
「本当はそれだけじゃないでしょ? あなたが丸腰の旅商人相手に剣を握るなんてありえないもの」
「…………」
気まずそうに沈黙するヨハネ。
「答えなさい、ヨハネ。これは王女としての命令よ」
口調はあくまでもアンナのままで私は彼を詰問した。
「……あの人、宝石を渡すとき直接アンナに渡した。その時君の指にも触れた」
「へ、そんなことで?」
意外なヨハネの言葉に間抜けな声を返してしまう。
「そんなこと、なんかじゃない。旅商人風情が王族である君に触れるなんて本来あってはならないことだ。
君も軽率すぎる。あの時は僕が近くにいたんだからそういうことは僕を通すべきなんだ」
大層な言い分ではあるが、つまるところヨハネは、
「妬いてたんだ」
騎士としての忠誠心、そして恋人としての愛情の両方からヨハネはあの青年を睨んでいたわけだ。
横を歩くヨハネは何も言わなかったが少し早くなった歩調がその推測が正解である事を示していた。
「それにしても剣を抜こうとまでするなんて、少しやりすぎよ。あのときのヨハネったら模擬戦のときよりおっかない顔してたわよ」
その何気ない一言にヨハネは歩みを止めこちらを振り向いた。
すでに傾き始めた太陽に照らされたその顔は息を呑むほど真剣な表情だった。


474: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:11:15 2ZARaFPU
「帯剣していた」
「え?」
「アンナはさっき丸腰っていったけど彼は帯剣していたよ」
突然のことで思考がまとまらない。大体彼はどこにも刃物なんて身に付けてなかったと思うのだけれど。
「腰の後ろの方、正面から死角になるところに、多分短剣を差していた。
始めは気が付かなかったけど、宝石を取りに行くときの体の重心がおかしかったから」
良くない想像が頭を過ぎる。武力の象徴である刃物をわざわざ死角に隠す、それの意味するところは……。
「あん、さつ?」
こくり、とヨハネは頷く。
「僕もそう思った。だから少しでもおかしな動きをしたらいつでもその首をはねてやるつもりだった」
背筋が凍る。王族として育ってきたからにはこういうこともありえるだろうと覚悟はしていたが、まさか本当に……。
「か、考えすぎじゃないの、ほら彼の屋台は貴金属を扱ってたしそれで護身用に、とか」
焦燥感のせいか声が上擦っている。そんな私を見てヨハネは大きく息を吐くと、
「多分ね。交易路が整備されているといってもこの辺は未だに物騒だし。
遠方からの旅なら短剣の一つや二つを身に付けているのはむしろ当然といえる。
何より彼はそんなそぶりは微塵も見せなかった。今考えれば過ぎた心配だったと思うよ」
そう言って、いたずらっぽい微笑みをこちらに向けた。
「へ?」
「いや、ごめん。もう少しアンナに王女としての自覚と慎ましさを持ってもらいたくてね。ちょっと意地悪してみた」
張り詰めていた糸がぷつりと切れた。脱力感、次いでわきあがってきた感情は岩をも溶かすような激しい怒り。
「ヨハネーーっ!!」
私が叫び走り始めたとき、ヨハネはすでにトップスピードへ達し城の庭園へと向かっていた。
今日三度目になる全力疾走。それでも疲れた感じは全然しなかった。


475: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:13:40 2ZARaFPU
なだらかな上り坂を進み街と城を隔てる川を越えれば、そこは色とりどりの花に飾られた正面庭園だ。今の季節は特に薔薇が綺麗に咲いている。
でも私達がそこまで行く事はない。
庭園にはいつだって人が多いし、ヨハネと一緒にいるところを見ると、城のみんなはいい顔をしない。
走ってきた私達は橋を渡り終えると斜面を下って川べりに向かう。
「待ちなさいってのっ!」
声を張り上げる。下り坂にもひるまずスピードは緩めない。それがいけなかったのか、
「あっ!」
少し大きめな石に躓いてしまった。
それでも私の体が地面に着く事はない。当然のようにヨハネが私を支えてくれていた。
「お気をつけくださいませ。アンナ様」
彼はわざとらしく言ってそのまま私の体を持ち上げた。
「ひゃっ」
膝と脇に手を差し込まれる形で抱き上げられる。少し不安定な感じがして怖い。
「な、何をするのよ! 降ろしなさい!」
「そういっている割には君の腕は僕の首に巻きついているんだけどな」
さっきはずみで抱きついてしまったのだ。決してヨハネのことを許したわけでも、こんな抱かれ方が好きなわけでもない。
私の更なる抗議の声も無視してヨハネはどんどん進んでいく。結局私が降ろされたのは橋の下に至ってからだった。
「はい、到着しましたよ。お姫様」
「到着って何よ。あれぐらいじゃ、さっきのことは許してあげないんだからね」
「ごめん。ほら、なら昼のあの体当たりでおあいこってことで」
「あの借りはお弁当で返したでしょ! 今度はそっちが返す番なんだから」
ヨハネはやれやれと首を振って呆れたように笑った。そして、
「じゃあ、これで」
唐突に私の唇を奪った。
「んっ」
お昼のキスとは違う。私の中にヨハネの舌が侵入してくる。
「やっ、ちょっ……ん~~」
後頭部を抑えられて私の逃亡はあっさりと阻止される。それで、もう逃げようという意思はなくなった。
私の方からも舌を伸ばしヨハネの口内を愛撫する。
「ん、ちゅっ、ふぅ……はぁっ」
舌を吸いあって、唾液を送りあう。
まるで耳のすぐ後ろに心臓があるかと錯覚するぐらい鼓動が高まっていた。頭に血が上って意識が霞みがかる。
気持ち良い。こうやってヨハネと深い口付けをしているだけで下腹部は疼きを覚え、私の奥の方は潤ってしまう。
ひょっとしたらズロースにはすでにしみができているかもしれなかった。
長かったキスはそれでも終わってみれば刹那の出来事のようだった。離れていくヨハネの感触が名残惜しくて舌を伸ばす。
そんな醜態を見られたことが恥ずかしくって私は地面を睨む。
「可愛いなアンナは」
今度は正面から抱きしめられる。私は抱きしめ返すか一瞬迷ったけれど、やっぱりそれは一瞬だった。
気付いたら私の腕はヨハネの背中に回されていた。
橋の下で涼しいはずなのに、二人分の熱のせいで私の肌はじっとりと湿っていた。


476: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:14:32 2ZARaFPU
「ヨハネはずるいよ……いつも」
そうだヨハネはずるい。自分はいつも飄々としていてあせった様子もみせないのに、王女である私をこんな気持ちにさせるなんてずるい。
「そんなことないさ」
ぐいっと胸に引き寄せられる。聞こえてきたヨハネの心音は私に負けないぐらい高まっていた。
「僕が普段どおりに見えるのはアンナと会っているときはずっとこんな感じだからさ。
 十二年前の君の誕生日に初めて会った、そのときからずっと」
やっぱりずるい。こんな事を言われたらもう何も言えなくなってしまう。
私はせめてもの仕返しにと、彼の背中に回している手に目一杯力を込めた。

夏だというのに橋の下はひんやりと涼しかった。
あの花畑と並んでここは私のお気に入りの場所だった。橋のおかげで二人の姿が見られることもなし、わざわざこんなところに下りてくる物好きもいない。
たまに上を通る馬車の車輪の音が聞こえるだけで、城と街の中間点であるこの場所はとても静かだった。
キスの後は二人で座り込み他愛のない話をして、笑いあった。
太陽の光で水面が紅く染まりだしたころ、私達は立ち上がって城に向かった。
橋の側で私はここまででいいと言ったのだけれど、ヨハネは騎士の義務だからと言って正門まで送ってくれた。
「今度会えるのは五日後の昼からだから」
「ああ、わかったよ。あの花畑で待ってる」
いつも通りの約束を交わして私たちは別れた。

そして、

その約束が果たされることはなかった。


477: ◆Ms/Pnuh3DY
08/03/11 01:16:44 2ZARaFPU
長くなりますのでとりあえず今回はここまでで。
二章以降も順次投下していく予定です。

感想等ありましたら、聞かせていただければ幸いです。

478:名無しさん@ピンキー
08/03/11 01:23:13 gZoyiNsk
>>489
GJです
本当は身分違いなんだけど、幼なじみってのはそれすらも超越するから実にいい
ちょっぴり不穏な感じですが、wktkしながら続きを待ちますぜ

479:名無しさん@ピンキー
08/03/11 03:34:51 BcPzb6x+
>>489
続きが気になる締め。
この後、どうなるんでしょうか?
おてんば王女さまに萌えながら第2章を待ちます!

480:名無しさん@ピンキー
08/03/11 06:57:05 JVVhTv50
GJだけど、何でお姫様スレじゃなくて幼馴染スレなんだろ?
お姫様スレって幼馴染作品多いからあっちのスレの作品
見てるみたいだ

481:名無しさん@ピンキー
08/03/11 11:20:19 sC+vHu9k
そんなこと言ったらおめー>>2にある関連スレとも条件が合致する幼なじみ話も
たくさんあるぞ

書いた人がどちらを重点的に書きたいかで変わってくるんだろう

482:名無しさん@ピンキー
08/03/11 21:50:55 BcPzb6x+
幼馴染スレでのSSに初挑戦します。
短いですが、よろしくお願いします。

483:ずっと、いっしょ
08/03/11 21:51:41 BcPzb6x+
「また、そのブランコ乗ってるんだあ」
高校の制服姿のまひるは、公園でひとりたそがれる竜太をからかった。
「だって、懐かしいじゃん。ここ」
そんな、言い訳をしてポーンと蹴ってブランコを漕ぎ出す。
「わたしも、乗ってみようかな」
開いている横のブランコに、竜太と並んでまひるは腰掛ける。
「公園ってこんなにちっちゃかったんだね」
まひるは、辺りを見回しながら懐かしそうに語るが、少し憂い気な表情を時折見せる。
「昔、一緒に遊んだ公園にはもう行けないけど、ここってホラ、
そっくりすぎて思い出すんだよね。あの大きな木とか」
「ああ。あの木の前で幼稚園の頃、お前がおにごっこでイヌのウンコ踏んだ事とか」
「うるさいな!竜太だって、水鉄砲をベンチにおいて帰ったのを忘れて『なくなったよお』って泣いてたくせに」
ぐいぐいとブランコを思いっきり漕ぐまひる。ボブショートの髪が一緒に揺れていた。

「でも、あのことが無かったら、ずっといっしょにならなかったのかも」
「そうな、腐れ縁かあ」
「そんなのじゃないよ。わたし、あのときの竜太に感謝してるんだしね。ちょっと…うん。なんでもない」
まひるは、何か言おうとしたが、照れくさくなってやめた。
さらに空気が読めない竜太がフッと笑い、まひるを追い詰める。
「何だよソレ。もともとは、まひるがドンくさいからだよ」
「うるさいな!もう!」
まひるは、プーっとふぐのように膨れた。だが、立ち直りの早いまひる。
「ねえ、いつものトコ。久しぶりに行かない?」
ふと、思い出したように竜太を誘ってみる。
「そうな、オレもそろそろ行きたいなあって思ってた所だよ」
まひるは、竜太の手を引っ張り駆け出し二人は公園をあとにする。


484:ずっと、いっしょ
08/03/11 21:52:08 BcPzb6x+
いつもの歩きなれた大通り。人はまばら、車は殆ど走っていない。
広い歩道を、竜太が車道側、まひるが内側を一緒になって歩く。
「この先だっけ、ネットカフェ」
「あの交差点の先だよ」
交差点で信号を待つ。信号が変わるまで、二人はじっと赤く光る信号を見つめていた。
青信号。まひるは、一歩進む事をすこしためらった。
「ねえ、一緒に手をつなご」
ちょっと先に進んでいる竜太を呼び止める。
「うん、そうな」
まひるは、まるで恋人同士のように竜太の腕をしっかり握り、寄り添いながら横断歩道を渡る。
横断歩道を渡り終えると、ゲームセンターが入居するビルの入り口が見えてきた。
そのビルの8階に目的地があるのだ。まひるは竜太を引っ張るように、自動ドアに向かう。

8階、ネットカフェのカウンター。
ここは30分単位で利用でき、お手ごろ価格なので評判の店。
「えっと、30分のコースだと…うん、余裕余裕」
しかし、竜太は自分ポケットをまさぐりながら、少し焦っている様子。
「…やべえ、オレのサイフ…」
「おやおや?竜太のうっかり屋さん。忘れ物大王だけは、ちっちゃい頃から変わんないね。安心したよ」
「うるさいよ!うーむ…」
「はいはい、わたしが貸してしんぜよう」
「なま言うな。まったく」
竜太はまひるの顔を見るのをわざと避けながら、1000円札を受け取った。
「今度会った時、返すからさ」
「ふふふ、いつでもいいよ。なんせ、まだ駄菓子屋さんの10円チョコの貸し、まだ返してもらってないからね」
竜太は、よくそんな小学生の頃の話覚えてるなあ、とまひるに感心しながら呆れている。


485:ずっと、いっしょ
08/03/11 21:52:41 BcPzb6x+
この店の客層は、若い人たちが多いのだが、年配の人間もちらほらと見受けられる。
「ここにしよっ」
まひるの一声でブースを決める。
「久しぶりだから、ちょっとワクワクするね」
PCの前に座り、カチャカチャとキーボードを叩くまひる。
隣の席で、竜太がコーラをストローでちゅうちゅうと飲みながら眺めている。
「この住所を思い出すのも、何ヶ月ぶりかなあ…」
まひるの手が、一瞬止まり寂しそうな表情をする。
横顔を見ていた竜太、また空気を読まずに横から割り込み、まひるに続いてキーボードを叩く。
「えっと、城北区桜ヶ丘5丁目…」
竜太もこの住所を口にするのも何ヶ月ぶりだろう、と懐かしむ。
「おせっかいなんだから、竜太は」
キーボードの入力を終えると、検索ボタンをポチっと押す。モニターには町の上空画像が広がる。
「あっ、桜高校じゃん。変わんねー!」
「コレコレ!私の家だね」
ごく普通の一般的な一軒家。それでも、自宅が写るとちょっとわくわくする。
「そうそう、コレつけなきゃ」
装備されているヘッドフォンを取り出し、プラグに差し込む。残念ながら一つしかないので、まひるに譲る事に。
マウスを動かし、ホイールを回しながら画像をズームアップすると、屋根を突き抜け家の中が映し出された。
画像はリアルタイムで更新され、中の人物が動いている所まで分かる。
さらに、ヘッドフォンからは人物の声、音が伝わってくる。
二人はしばらく画像をじっと見つめる。
「あれ、おまえの母さんと兄貴だろ…」
「うん」

まひるの母親と兄は、何か話しているのを娘は静かに聞いている。
「あれから3年ね。この季節なるとなんだか…」
「母さん、あんまり思いつめると体に毒だよ」
「うん、分かってる。今頃は高校を出てるはずなんだろね、きっと。」
まひるは、涙でいっぱいになった瞳をぬぐう。
「お母さん…、お兄ちゃん…、元気そうだね…」
音は聞こえないが、竜太も一緒になってモニターに食い入る。
「最近、お母さん『コレが現実なんだね』と思えるようになったんだよ」
「うん、ぼくらができることは、まひると竜太君のことを忘れないことなんだよね」
「でも、まひるを助けようって飛び出した竜太君に、申し訳なくてね」
「あれは、信号無視のダンプが悪いんだって…」
モニターの画面をまともに見られないまひるは、号泣する。
隣の竜太も黙って、コーラをチュウチュウと飲んでいる。
「おかあさん…。また会いたいな…」
吹っ切れたように、まひるの涙は止まらない。マウスパッドに一滴一滴こぼれるものが。
無情にも、30分が過ぎ二人はネットカフェを後にする。


486:ずっと、いっしょ
08/03/11 21:53:14 BcPzb6x+
店から出た二人は空を見上げた。真っ青な空には雲がひとつ無い。
まひるは、ほんの少し今までの元気を取り戻す。
「下界のみんなも、元気そうだったね」
「うん、ここに来ればいつでも会えるしね。しっかし、便利な世の中になったもんだよ」
「うん。ここに来るまでは天国って天使が飛んでたり、神殿があったりするのかなあ、って思ってたけど、
下界とおんなじだからびっくりだなあ。だけど、逆に安心したよ。この世界」

今は、あの世もネット社会。
衛星を使った動画配信で、いつでも今後一生会うことの出来ない人たちをリアルタイムに見ることが出来る。
「コレ、発明したヤツ天才だよなあ。たしか、ネットのニュースで取り上げられてたっけな」
「そうそう、ナントカ製作所の元・技術者だっけ。こっちにきても研究熱心な人だった、て
関係者のブログに書いてたよ。きっと死ぬ気で開発したんだろうね」
下界の家族達を見て安心したまひるは、お寒い冗談を飛ばす。
そのギャグにげんなりした竜太は、突っ込む気力もなかった。
突然、ふと思い出したようにまひるは竜太を指差した。
「それはそうと、お金…」
「分かってるって、今度は早く返すから。1000円な!」
まひるは、首をブンブンと振る。
「ちがうよ。チョコの10円、早く返してよ」


おしまい。


487:名無しさん@ピンキー
08/03/11 21:54:31 BcPzb6x+
投下終了です。それでは

488:名無しさん@ピンキー
08/03/11 22:03:30 afmZctIZ
全俺が泣いた


GJだ、この野郎!!!!

転生した二人がまた幼馴染みにならないと許さないからな!!

489:名無しさん@ピンキー
08/03/11 22:47:03 mdoFe5Uy
>>489
GJです! でもちょっと気になるところが。
>私達の十五年越しの恋が
>十二年前の君の誕生日に初めて会った
矛盾してね?

>>499
天界かよ!w
物悲しいんだけど、死ぬ時まで一緒だったってのはいいなあと思った。

果てしなくGJだぜ。

490:名無しさん@ピンキー
08/03/11 22:55:52 GekRdoSY
いいなこれ。なんだか温かい気持ちになるわ
GJ!こういうの大好きです

491:名無しさん@ピンキー
08/03/12 06:02:42 aF0NyvXC
三度の飯より幼馴染が好きであろう同行の士よ・・・
この幼馴染の行動を補完して、萌える展開で表現してくれ・・・

URLリンク(urasoku.blog106.fc2.com)

492:名無しさん@ピンキー
08/03/12 13:07:24 6L2TD2FL
>>503
koeeeeeeee!!
俺の技量ではあるがままの補完は無理だ…
途中からフィクションにしてもいいならできるけど(誰だってできる)

493:名無しさん@ピンキー
08/03/12 14:36:58 J2f24Sgm
両親が浮気してるってのも拍車を掛けるんだろうな。
いつ他の人に目移りするのか分からないという恐怖が更に加速させてるんじゃないかと。

494:名無しさん@ピンキー
08/03/12 17:03:50 57QolUQ1
亀だが>>475、アドバイスありがと
萌えシチュを頑張りつつエロも精進するぜ
>>499
GJ
死んでも一緒か……ちょっぴり切ないな
でも二人は仲良さそうだから、いいのかな?
>>503
萌えシチュ化は難しい(ヤンデレは守備範囲外)なので、
そこの最新記事の「彼女を作ってみる」で心を癒すんだ
途中から幼なじみルートだから

495:名無しさん@ピンキー
08/03/12 20:43:31 M6Fbb6g5
ヤンデレじゃないし萌えない

そんなことより野球しようぜ!

496:名無しさん@ピンキー
08/03/12 20:48:54 cmtFAfV8
やっと3on3出来るくらいしか人はいないと思うが

497:名無しさん@ピンキー
08/03/12 21:38:45 qaVjJ0om
>>508
ピッチャーとバッターさえいれば真似事は出来る、問題は無い

……と書いて、フと妄想が。
・ソフトボール部ヒロイン(熱血
・主人公帰宅部(無気力
・学生最後の試合直前とかそんな時期で。
1、主人公、ヒロインの熱心さをからかう
2、ヒロインと主人公、超喧嘩。むしろ冷戦?
3、試合、ヒロイン精神的にボロボロ。サヨナラ負け。
4、主人公、ヒロインに辛く当たられないことで深く自己嫌悪(俺のせいじゃね? 自意識過剰? いやいや…
5、謝りに行ってもダメでした!
6、引退の挨拶を遠くから眺める主人公、漂う哀愁。
7、次の週、放課後まで残って後輩たちの練習姿を見るヒロイン、いつの間にか眠ってしまう
8、夜になって、主人公もう一度謝ろうとするも部屋にいない。どこ行ったと探しに行く
9、学校でヒロインを見つける
10、ヒロイン、心情吐露。負けちゃったよぅ。(主人公)のせいにしようとしてる自分最悪だよぅ。
11、主人公、「……それじゃあ、今からやり直しだ」
12、誰もいないグラウンドで、ソフトボールの真似事を―
終わり。
こ、こんなんどうよ!?

498:名無しさん@ピンキー
08/03/12 22:05:50 UnlEHgM7
>>509
なぜお前は文章にしなかったのかと小一時間(ry

499:名無しさん@ピンキー
08/03/12 22:53:08 qaVjJ0om
>>510
……それもそうだな。
ちょっと書いてくるわー

500:名無しさん@ピンキー
08/03/13 00:43:09 /MVICvkq
>>511
期待して待ってるぜ

501:名無しさん@ピンキー
08/03/13 01:32:36 HWp8DOip
幼馴染なら何でもOKということは刻淫ワルツみたいな
ストーリーでも問題ないのだろうか?

502:名無しさん@ピンキー
08/03/13 01:42:31 xt1aci/H
良く分からんが一番強い要素に幼馴染が含まれていれば良いんでね?
どうしても気になるなら投下前にジャンルを宣言すれば良いと思う。

503:名無しさん@ピンキー
08/03/14 02:06:51 xf9+TZXM
>>509
これは大変に楽しみです

504:名無しさん@ピンキー
08/03/14 11:01:28 KTfMtjEg
>>513
アレか・・・。

うーん、ジャンル宣言は必須だと思う。
いや、漏れは嫌いではないが。

505:名無しさん@ピンキー
08/03/14 19:56:42 rXp1IBEf
>>513
調べてきた。
このスレ、ガチエロ少ないからな……ちょっとそういうのも見てみたい。
いやまあ、他のスレに行けって話だが。

506:名無しさん@ピンキー
08/03/14 23:20:25 ihaHRh8G
>>513
幼馴染でNTRとかマジ勘弁、てか寝取られスレでよくね?
あそこに投下されるSSのヒロインってほぼ幼馴染だし。
他に該当するようなスレは調教スレくらいか?

まぁ寝取られ無しの幼馴染調教ならぜひ見たいけどさ

507:名無しさん@ピンキー
08/03/14 23:28:00 WvpKVvgO
>>503
これよりもその下にある
URLリンク(urasoku.blog106.fc2.com)
こっちの方が面白い。禁止スレで見つけたものだけどな。

508:509
08/03/15 00:09:46 LMFYRy/w
書き終わったが、ものっそいスポ根になってる件\(^o^)/
推敲して今日中には投下したいと思うんだが、スレの趣旨に全く合わないスポ根部分は削るべき?

509:名無しさん@ピンキー
08/03/15 01:11:31 sTbVPXnq
>>520
是非そのままで。

510:名無しさん@ピンキー
08/03/15 08:01:10 4dsk07Ss
>>520君の最高の魂の結晶を投下してくれ。それ以外は許可できない。いや、しない。

511:名無しさん@ピンキー
08/03/15 09:59:08 UrOuOBzV
今日は暖かいから全裸正座も楽でいいな。

512:名無しさん@ピンキー
08/03/15 10:15:06 phLya+oV
おれ夜勤明けで少し寝るけど、一応は全裸だから

513:509
08/03/15 11:47:41 LMFYRy/w
最後に誤字脱字チェックだけして一時くらいに投下するよー\(^o^)/

ところで、スレって何kbまでだっけ?
なにやら40kbくらいあるんですが。

514:名無しさん@ピンキー
08/03/15 11:57:06 XofsOzrb
>>525
現状427kb。500までのはずだから大丈夫じゃね?

515:名無しさん@ピンキー
08/03/15 12:35:51 c8kJxK86
>>524
 
昨日は夜勤だ、とあいつはいった。

さっき、隣の家から、バタンと乱暴にドアを閉める音が聞こえた。
あたしが推測するに、夜勤疲れのあいつが限界くたくたの身体を引きずって帰ってきて、最後の力を振り絞ってドアを閉めたんだろう。
まぁ推測って言うか、いつものことなんだけどね。

さて、いつもの通りなら今頃は、隣の家のあいつの部屋で、爆弾が落ちても目が覚めないくらいの爆睡真っ只中だろう。
これはあたしにとっても、チャンスである。

何がチャンスかって?

んー、まぁ、ここだけの話、ね。

あたしは、あいつとつきあいが長い。
つきあいといってもそれは、恋人同士のつきあいというわけではなく、小学生の頃にこの家に引っ越してきてからの、お隣さんとしてのつきあい、ってこと。
小学校、中学校、高校と、もちろん同じ学校さ、だって隣同士だもの。

で、小学生の頃に友達になったあたし達は、中学生の頃にあいつが色気づいちゃってあたしと一緒にいるのを照れたせいで少し疎遠になり、
それでも高校生にはそのあたり開き直りが出来てようやく友達の関係が修復できて、卒業してからもたまにみんなでご飯食べたりするようになって、
二十歳を超えた辺りからそれにアルコールが加わった、みたいな。
そんな、腐れ縁的悪友で、男女の仲を超えた親友みたいな感じ。

でもまぁ、あたしはその関係に少しばかり、いや、大いに不満を抱くわけで。


あたしが小学生の頃に立てたプランでは。

小学生の頃に仲良くなった二人は、中学生にあがった辺りからお互いを異性として意識しだし、
卒業と同時にあいつがあたしに告白、そして恋人同士として送る高校生活。
お互いの愛を深く育てた頃合いにとうとう二人は結ばれて、ラブラブイチャイチャのストベリーエッチライフを満喫しつついよいよ迎える卒業シーズン。
ところがその時、なぜか穴があいていたコンドームのせいで、あたしは見事妊娠、善は急げってことで卒業即結婚。
そんな人生ゲームの双六が出来上がっていた。

なのに現実はというと、スタートからルーレットを回して1マス進み、そのままそうだなぁ、30回休みくらいの感じだろうか。

つまり何がいいたいのかというと。

あたしはあいつのことが気に入っている、いや、大事に思っている、というか、好きだ、もとい、愛しているのだ。


だからチャンスなのである。

・・・え? わからない?


いやあんた、ちっとは想像力を働かせてご覧なさい。

自分の部屋の窓を挟んで、隣の家には大好きな彼の部屋。ちょっぴり華麗なルパンアクションで、簡単に忍び込める距離。
そしていつも不用心に鍵もかけない窓を開けると、そこにはあいつが、ベッドの上で熟睡中!!

わかる?
好きな相手が無防備に寝てたりしたら、取るべき行動は一つでしょ?

もうこれで決まり、つまり、それは、

『S O I N E』、つまり添い寝よ!!


516:名無しさん@ピンキー
08/03/15 12:36:18 c8kJxK86
 
これからのグローバルスタンダード、SOINE!!
大好きな、だけど友達以上恋人未満の彼に、可愛い幼馴染みがとる行動はといえば、これしかない!!
彼の眠るベッドで、彼の匂いに包まれながら、その吐息を間近に聞きつつ過ごす至福の時間。
普段の無愛想な表情からは想像もつかない、想像つかないけどたぶん意外と可愛いだろう寝顔を眺めてるうちに、なんか無性にムラムラしちゃって、
ついつい出来心でまぁキスなんかしちゃったりなんかしたりして!!


・・・・・・はっ、いけないいけない、過去に何万回とリピートしてきた夢想空間に、またしても捕らわれてしまうところだった。

というわけでそろそろ作戦決行時間、諸君、あたしの武運を祈っていてね!


%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%%


・・・・・・ただいま。

結果?
うーん、なんて言えば良いんだろう。
まぁとりあえず、起こったことをありのままに話すね?
あたしが部屋に忍び込んだらさ、案の定あいつは爆粋してたんだ。

でもなんでかさ、全裸なのよ。

ベッドの上に大の字で、それでなんでか素っ裸でさ、オチンチン大きくしてるのよね。
それでなんか寝言でさ、『スポーツ少女~』とか、『全裸待機~』とかいってるわけ。
あたしは想定外の出来事にちょっと正気の糸が切れちゃってさ。

SOINEをしようと忍び込んだら、いつの間にかオチンチンを写メで撮っていた!!

しかも、あんまりにも元気に立ててるものだから隠そうとして、白いタオルを拡げてかぶせてみたら、なんだかそれがお山のように見えちゃってさぁ。
つい、

『 細雪(ささめゆき) つもりて富士も 白化粧 』

とか、一句詠んじゃった。




はぁ、いつになったらあたし達、先に進めるんだろう。
ねえ、どう思う?


END OF TEXT

517:名無しさん@ピンキー
08/03/15 12:45:01 4TSxdh/2
ちょwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwおまwwwwwwwwwwwwwwwwww写メってる場合じゃ無いでしょwwwwwwwwwwwww



518:509 ◆1Bix5YIqN6
08/03/15 12:50:43 LMFYRy/w
>>528
GJだぜ!
二時間で書いたとは思えねェ……!

……さて。
>>509の通りにはならんかったけど、勢いで書いてきた。
ついでに、酉付けてみた。>>149とか>>308とか>>383とか書いたんで、こう、よろしく?
なにやらスポ根気味。あと、長いよ。長いよ。
うわぁ、とか思う人は酉やらIDやらで華麗にスルゥしてくださいな。
投下開始。……期待にそえていればいいんだが。

519:真似事。 ◆1Bix5YIqN6
08/03/15 12:51:26 LMFYRy/w
/その一。

 白球が、夕空をカッ飛んでいく。
 沈む朱の太陽に向かって、夏の風を切り裂いて、伸びる。
「おおー……こりゃあ、ホームランかな」
 後出しジャンケンのような予想をして、反対側のフェンスを越えた打球を見送る。
 実にいい打球であった。いち野球ファンとしては、あのバッターが野郎でないことに涙を禁じえない。
「……衣鶴、男だったら本当にいいバッターになってただろうに……」
 いや、実際にとんでもないバッターだが。
 ため息を吐き、バッターボックスを見る。
 そこにいるのは、ヘルメットの下から髪の毛を少しだけはみ出させる女だ。
 身体は西日に照らされる位置にあり、白球を次々にカッ飛ばしている。
 打球感覚を刻み付けるための練習だ。この距離では表情までは見えないが、上下する肩や、ふらつき始めた下半身が疲労を物語っている。
 名を、海老原・衣鶴<えびはら・いづる>。
 この地方で最高とも言われる強打者<スラッガー>。女子としてはかなりの長身であり、百七十八センチの俺と視線がほぼ合う。
 ……一応俺の方が高いが、それでも一時期はかなりひやひやしていた。
「まだ伸びてるとかは言わんよな……」
 十八年の人生、その内実に十六年を共にしているが、身長で勝てるようになったのは中三の時期だった。
 ちょっと前に、身体検査の結果を聞こうとして、セクハラだ、とグーで殴られたのは実にいい思い出だ。その時に欠けた奥歯は、手加減無しだったという証拠として彼女の母親に提出済みである。
 と、再度の快音。
 彼女のスイングは、全身の力で豪快に振りぬく動きだ。俗に言うフルスイングだが、彼女がそうでない時など、俺は見たことがない。
 ……デカい乳を無駄に振り回すスイングなので、密かに『巨乳打法』なんて呼ばれているのは―知らぬは本人ばかり。この高校における公然の秘密なのであった。
 とにもかくにも、打球は地面に対し仰角四十度。これが悪夢でもない限り、再度のホームランは確実だろう。
 今度の打球はセンターへと落ちてくる。バックスクリーン直撃、と呟いて、寝転がる。
「……熱血女め」
 ため息を吐いて、目蓋を閉じる。
 ……三年生の、夏。彼女にとっては、最後の戦い。
 大学生になってもやれるだろうに、彼女は、ここで己の身体をブッ壊そうってくらいの練習を重ねている。
「だいたい、自分で『練習終わるまで待ってろ』って言っといて居残り練習するってのはどうなんだよ……」
 深くため息を吐いたところで、鈍音と振動が来た。発生は至近。やたら重い音だった。
 どうやら、こちら側にホームランをカッ飛ばして来たらしい、と目を開いて確認する。
 立ち上がり、思いっきり叫ぶ。
「ア・ブ・ないだろコラぁーッ!!!」
「そんなところで寝てるお前が悪いんだろーっ!!」
「責任を人に擦り付けんなぁーッ!!」

520:真似事。 ◆1Bix5YIqN6
08/03/15 12:51:57 LMFYRy/w
「黙ればかーっ!!! どこぞの萌えキャラと同じ名前のくせにーっ!!!!」
 ……いや、不毛だ。実に不毛だ。だがしかし、分かってても止められないのが喧嘩であろう。
 居残り練習なんで、止めてくれる人がいないのもヒートアップに加圧をかける。
「アレはこっちが先出しだ超絶アホーッ!!」
 ……いや、さすがはスポーツマン―あ、女だったらどう言うのか。とにかく、走りながらの声出しは伊達じゃないらしく、叫び声は大きくなるばかりだ。
「こ・の・ドレッドノート級凶悪犯罪ばかぁーっ!!!!!」
「分かった黙れ今そっちに行く!!!」
 不利を悟って叫び返し、バックネット裏へと走っていく。
 高校に入って二年と半分。運動らしい運動を続けていなかったため、速度も持久力も落ちている。
 ヘンに暑い西日もあって、フェンス越しに衣鶴と正対した時には汗だく、息も切れていた。
「……ぜー、ぜー、はー、ふー、はー、はぁ……」
「…………」
 フェンスによしかかって、息を全力で整える。
 無言が重い。というか、理不尽だ。なんで私は怒ってますオーラ出してやがる。そんなに練習邪魔されたのが嫌なのか。
 衣鶴の方が、悪い、……はずだ。
 口の中にたまった不味いツバを飲み干して、衣鶴の目を睨みつける。
「……あー。衣鶴。いつ帰るんだ? 明日の試合に備えて今日は休めって先生言ってたんじゃないのか?」
「まだ明るい」
 ……昔からたまに思っていたが、何のてらいも無くスパッと言えるコイツはひょっとして本物か。色んな意味で。
「あのな。ボール拾いの時間もあるし、お前、シャワー浴びないと結構汗くさいぞ。夜道は危ないし―」
「と言うと思って、待ってもらってたんだ」
 ……なにやら不思議な言葉に、首を捻る。二秒後に納得が来た。
 ああつまり、この女は、護送とパシリに俺を使おうという腹か。
「じゃあ俺帰るからな」
「まあ待ってよ、こなたん」
 フェンス越しに腕を掴まれた。
 制服ごしに来る感触は、全然女らしくない硬さ。マメでガチガチの、バッターの掌だ。
 ……万一にでも怪我させては困るので、抵抗をやめ、ため息を吐きつつ言う。
「……こなたん言うな。此方だ。雲野・此方<うんの・こなた>だ」
 このやり取りも何度目か。
 コイツだけはこなたんと呼ばないと信じていたのに、いつの間にかクラスに溶け込んでいたのであった。
「とにかくだ。お前、いい加減やめろよ。もう六時半になるぞ? 今日はミーティングだっただろ。今までの努力が徒労に終わっていいってんなら止めないけどよ」
 もっとも、コイツの努力は、他人の努力を徒労と化すための努力に他ならないが。
 知り合いじゃない人間に心を動かせるほど有情ではないので、その辺はキレイサッパリ忘れておく。
「徒労になんか終わらない。勝つ」
「……言い切れるのはいい事だがな、精神が肉体を凌駕するっての、期待してるならやめとけよ。お前も分かってるだろ、こんな、一時間や二時間の延長じゃ、微々たる効果しかないってさ」

521:真似事。 ◆1Bix5YIqN6
08/03/15 12:52:21 LMFYRy/w
「ばか。あたしはまだまだヨユーだ。このくらいの練習を毎日やってるから、このくらいしないと明日調子出ないよ」
 自信満々―否。喧嘩腰だ。
 自然、こちらもそれなりの対応になる。
「熱血も大概にしろ馬鹿。明らかにオーバーワークだ」
「熱血もって―」
「とにかくだ」
 ここでの熱血は必要ない。勢いを殺ぐため、かぶせるように言う。
「とにかく、休めよ。今日はもう」
「……ん」
 つかまれていた腕が放される、―と言うよりは、力が抜けて離してしまった、の方が正しいのだろうか。
 彼女は、化粧っ気がほとんど無い、よく日焼けした顔を伏せた。
「先にシャワー浴びてこいよ」
 ……言い終わった後で、状況によってはヤバくエロいセリフだと気付く。
 だが、衣鶴は気付かなかったのか、ごく普通の対応を返してきた。
「……ありがと。なるべく早く浴びてくる」
 部室棟に、彼女は駆けていく。
 ……さて。俺に残された仕事は、カッ飛ばされたボールの回収だ。
 下手に打ち損ねがない分、ボールは外周―フェンス際と客席に固まっている。
 だが、数が数だ。衣鶴が戻ってくるまでに終わることはありえないだろう。長嘆しつつ、カゴを持ち、歩いていく。
 ……こうやって後片付けを手伝うのも、何度目だろうか。
 高校入学以前―中学、小学でも、同じようなことがあったな、と―その時の事を思い出しながら、俺はボールを拾い始めた。

522:真似事。 ◆1Bix5YIqN6
08/03/15 12:52:52 LMFYRy/w
/その二。

「暗くなったなぁ」
「そうだな」
 結局、全てが終わったのは八時近くになってからだった。
 日は今頃、トルコあたりを全力で照らしているのだろうか―今ここにあるのは、街灯の頼りない光と、西の空に見える宵の明星だけだった。
「お前、明日試合だろ……本当、馬鹿なヤツだな」
「仕方ないじゃない、一球だけ見つからなかったんだから」
 ちなみにその一球は場外までカッ飛んでいたのだが。気合入れすぎである。
「……で。明日は勝てそうなのか? お前以外はぶっちゃけ弱小の、我らがソフトボール部は」
 衣鶴が一瞬怒気を放つ。
 横から風が押し寄せてくるような―肉体を放り出して、存在感だけが膨れ上がったような感覚だ。
「……と。悪い。弱小は撤回する」
「……いいよ。悔しいけど、事実だ」
 ギリ、と歯噛みの音が聞こえる。
 例え、衣鶴のようなオンリーワンがいたとしても―スポーツ漫画のように、上手くはいかない。
 野球は個人競技ではない。チーム能力の総合値が高い方が勝つ。
 ソフトボールについては門外漢だが、野球を基にした競技だ。その原則が変わる筈がない。
 それに、明日の相手チームは、この地区で上位常連と聞いていた。
「でも―明日は、勝つ」
 だが、彼女は言い切った。
「そう思わなきゃ、勝てる試合だって勝てない」
「……そうか」
 羽虫の焼ける音を聞きつつ、吐き出すように言う。
「……お前、明日から最後の大会なんだろ。ベストを尽そうとしろよ」
「だから練習してたんじゃない」
 右を歩く衣鶴は、憮然とした声で言った。
「ベストの定義が違うらしいな。……まあ、今言ってももう関係ないか」
 千の距離を埋めるには、一歩を踏みしめていくしかない。
 試合は明日であり、今更踏みしめの追加などできる筈がない。
 ならば、歩みを全力で発揮できるよう体力を回復するのが常道だと思うんだが。
 ……熱血が、いやに不愉快だ。昔は、俺もその熱血に浸っていたというのに。
 だからか、言わなくてもいい一言が出た。
「意気だけで勝てりゃ、苦労しないよな」
「此方、」
「いいだろ、もうさ」
 横を見ると、衣鶴は、理解できない、と言いたげな顔をしていた。
 疑問が怒りに変わる前に、言いたいことだけをさっさと言うことにする。
「お前、ちょっと頑張りすぎだろ。勝つためにやるってのは分かりやすいけど、お前の練習に誰もついてこないってのを考えてみろ」


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