08/02/15 00:09:31 EkT3/mQ3
2月13日深夜。
「どうしよう・・・」
私は自宅のキッチンで1人頭を抱えていた。
時計の長針はもうじき『11』を指そうとしており、
私にタイムリミットが迫っていることを知らせていた。
「どんなチョコなら、啓介に気に入ってもらえるだろ・・・」
今、私の頭の中はバレンタインのチョコをつくろうかで一杯だった。
3歳の頃はチ○ルチョコ。
4歳の頃は板チョコ。
5歳の頃はチョコレートケーキ。
6歳の頃はお母さんに作ってもらったチョコレート。
7歳の頃ははじめての手作りのチョコ(失敗作で彼のお腹を壊してしまった)。
8歳の頃は渡せずじまいだったけど、
去年の17歳の時はハート形のホワイトチョコと、
毎回違うチョコをプレゼントしてるので、違うパターンを考えるのも一苦労だ。
「これ以上のチョコってのも思いつかないわね・・・」
子供の頃からこうやって彼に渡すチョコのことで頭をひねらせるのは楽しみだし、
そもそもどんなチョコでも啓介は喜んでくれる自信もあるけど、
同じものをプレゼントするのもサプライズが無くて芸がないし、
それにどうせなら好きな人にとびきり喜んでほしいというのも乙女心。
いや、私もう乙女じゃなかったっけ。
この前啓介にあーんな事やこーんな事されて奪われたんだし。
でも、悔いはない。
彼にしか渡したくなかったから。
髪の一房に巻き付いた白いリボン―啓介にもらった大切なもの―を撫でながらそう思う。
「・・・はっ、しまった!?」
ようやく正気に戻った頃には、既に日付が変わっていた。