08/02/20 00:15:05 vv+nndGR
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ユフィンリー編
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「さてと……どうしようかな」
仕事を終え、一人戸締まりをするフォロンは呟いた。
「チョコレートか……」
ユフィンリー、プリネシカ、ペルセルテにもらったチョコレートのことである。
当初持ち帰って食べようかと思っていたのだが、何か彼には嫌な予感がした。
(持ち帰るとチョコレートが跡形もなくなってしまう気がする……)
いつになくフォロンは冴えていたと言えよう。
恐らく家でチョコを食べているところを契約精霊に見られようもんなら、チョコは精霊の腹の中か、もしくは滅却されていたに違いないからだ。
「う~ん」
暫く三つのチョコと睨みあう。
「これにしよう」
決めるのに凡そ三十分かかった。
相変わらず優柔不断な男である。
(最初はやっぱり所長のかな)
手に取ったのはユフィンリーのである。
箱にリボンを巻いた、デザインもシンプルなものだ。
ペルセルテやプリネシカと比べると大人っぽさを感じる。
フォロンはそっと箱を開ける。
「へぇ」
2×4の仕切りの間にそれぞれ形の違った一口サイズのチョコが入っている。
香りもとても上品で、売られていても僕には買えそうにはないなぁ、とフォロンは少し苦笑した。
「ん?」
ふと蓋の部分に紙がついているのが見える。
「なんだろ?」
剥がしてみると、どうやらユフィンリーの手書きらしい。
『7時頃に私の部屋に来て
ユフィンリー』
「って……もう時間だ!」
戸締まりや最初のチョコを決めるのに時間を使い過ぎたらしい。
いつもなら彼がとっくに家でのんびりしてる時間だ。
慌ててハーメルンに乗って彼女の家へと向かうフォロンであった。
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