【ドラマ】セクシーボイスアンドロボ4【マンガ】at EROPARO
【ドラマ】セクシーボイスアンドロボ4【マンガ】 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
07/12/20 03:25:59 j3Diattl
乙です。スレ立てありがとうございます!

3:名無しさん@ピンキー
07/12/20 07:36:46 iqZDJ7vC
華麗なるスレたて乙です。

4:名無しさん@ピンキー
07/12/20 17:14:57 LOIVnrDK
もしも…
三日坊主が死んで
私は地蔵堂の社長に
「もしも私があの時…」
って何度も聞いた
地蔵堂の社長が言ったことはまだ中学生の私にはよく分からなかった

それから2ヶ月がたって…私の生活はすっかり変わってしまってて…でもそれが今の私の当たり前の生活になっていて
そんなコト地蔵堂の社長に聞いた事すら忘れいた
だって今日も私の隣にはロボがバカな事してて
それを少し冷めた目でみてるのが私だった
「あ~つまんないっ!ロボッッねぇ聞いてんのぉ~」
ちゃぶ台で座ってるロボの肩を持って力いっぱい揺らす
「あ~コラぁ!ロボット落としちゃうでしょっ」
「も~私か・え・るっ」
ニコは怒ってるときはドタドタ歩きになる
「ちょっとニコ~!何怒ってるの~ねぇ」
俺の声を無視して部屋を出てったニコに窓から声をかける
「ニ~コ~!」
「何にもないっ!何にも起きなぃから…まぁまた来るね」
「なんだそれ!何にも起きなぃって事が幸せなのになぁあ。まぁ子供にはまだ分からなぃかぁ♪」
ニコの後ろ姿をみながら1人つぶやく
「も~聞こえるってば
オタクに言わたくなぃっ」
私だって何でこんなにイライラするのか「??」だ
学校でも成績や恋愛の話でカズミチャンは相変わらす男運がなくて
ロボはやっぱオタクで
こんな世の中なんにも変わらないと思ってた。







プッチーニが現れるまでは…

ロボと昭子サンが出逢ぅまで私の中の世界そんなものだと思っていた…

つづく


5:名無しさん@ピンキー
07/12/20 20:53:17 LOIVnrDK
それからすぐにプッチーニが現れた。

「ねぇロボ聞いてる?」
「ん~聞いてるよぉ!最期の願いゴトを叶えくれるなんていい人じゃん。ニコだったら何にするぅ~?」
「ん~?…って、も~!!でも殺人でもだょ?」
「でも何もおきてないし
別に頼まれてもないんでしょ?いいじゃ~ん」
最近ロボがおかしい。
肩にヘンテコなオウムをのせてたり
冷蔵庫はソバだらけで微妙に太ってきてるし

「何か最近ロボ変だょ?」
「オタクだけケド変人ではな~いっ!」いきなり立ち上がって片手をつきだす。
「やっぱ何か変だ!」
何でそんなにテンションが高いわけ?
「何隠してんのょ!」
「ニコ怖い~鬼ババみたい~」「誰かババアな訳あったまきた~」
ヒェ~とか情けない声出してロボが小さくなる

「ねぇ何このケータイ」
ロボの後ろに知らないケータイがあって
気付いたら玄関に知らない女の人がいて
私には向けられる事のナイ顔をしたロボその人を見つめてて


私の知らない世界がたくさんあって
私の世界にロボはちゃんといて、いるのに…
ロボの世界に私っているのかな?

たぶん時間にしたら一瞬のコトだった
でもそれは私の短い人生の中でとても長いコトのようで

胸が苦しくて
急いで部屋を飛びだした

「オバサンぢゃん!」
(何で私が鬼ババの訳?ロボのバカッッ)
ズキって胸が痛む
ロボのコトを考えると辛くて
何で痛いのか
私の心の声が聞こえればいいのにと思った。

つづく
何回も文字数オーバ-でやられました。
8・9話がこぅなって終わればよかったなぁと思って書いてます。

6:名無しさん@ピンキー
07/12/20 21:29:08 LOIVnrDK
ロボの部屋を飛びだしてから、何だかロボには近ずかくなった。

もうこれ以上知らないロボを見たくなかったんだと思う。

何もしなくても毎日は過ぎてて


そんな時ひぃじいちゃんがなくなった
ひぃじいちゃんは玉枝に会いたいとプッチーニにお願いしていたケド。
天国に行ってばぁちゃんに怒られたりしないだろうか?
ばぁちゃんにはどうせ今から会えるからなのか

式の最中そんな事や、普通知ってる人の死と言うもの突き付けられたら
横にいるカズミちゃんみたいに泣くのが
たぶんロボの好きなタイプなんだろうなと不謹慎だけど考えていた。

そんな時プッチーニの話を聞いてしまって
ロボの部屋に来たあの人がそのイチミだってことも

誰かの願いは…
地蔵堂の社長と死にたいと書いてあった…

式の帰り「私行かなきゃ行けないトコがあるから」
走ったほうがロボの家に近い
「ロボがもしかしたら利用されてて…。ロボまで…そんなの絶対に嫌だッッ!」
-避けていたロボの部屋に着く-
鼻歌が聞こえる。急いでドアを開ける
「ロボッ!…」言葉を失う
こんな時に旅行バッグに荷物をつめてて

「何だぁニコか」…チラッとみたロボは私の知ってるロボの顔ぢゃなくて

「何で?」私は自分が今何言ってるのかもわからないぐらいロボを責めた


私がいつも見れるのは誰かを思ってるロボの背中だけだ

つづく


7:名無しさん@ピンキー
07/12/20 22:08:41 LOIVnrDK
プッチーニについてあの女の人について
本当の事を教えてるのに知ろうともしないロボ
(私も一緒か…)私はロボに言いながら自分にも言ってて
何を話してたか覚えてない。
ロボは「苦しいっ」て言った。
「じゃあ!『だってしょうがないぢゃん好きなんだから…フィクションはもぅいいんだ』


苦しい…私だって


MAXロボが寂しくロボを見つめてて
「フィクションか~!
これっ貰ってていい?」頷くロボ

私が買ってあげたMAXロボを結局何より大事にしてるのが嬉しかった
デモそれも全部…ロボにはもう必要なくて

「ねぇロボ…ロボの信じてるものって何かな?
私…地蔵堂の社長に死んでほしくない。
プッチーニは悪者だょ。
だから…これからは敵だね。ぢゃあね」

バイバイ…ロボ

結局ロボは何も答えなかった。



苦しい…。苦しいょ。
これが好きになるって事?MAXぅ~




ロボの声を早く忘れたい
もぅ聞こえなくなればいいのに
じゃなきゃ…また探しちゃうよ


つづく

8:名無しさん@ピンキー
07/12/20 22:54:10 LOIVnrDK
ロボが私の世界からいなくなった。

悲しむ事は出来るケド私にはそれを見せれたのは
ロボの前だけだった。

私はもうそんな場所を失ってしまった…
今は地蔵堂の社長の事だけ考えよう。
「助けなくちゃ」

地蔵堂に向かう途中よっちゃんに会った
「お~ニコ~」今知っているかぎりの情報ををよっちゃんに話す。

「さすがニコッ!じゃあ作戦練りますか~」「うんッ!」
地蔵堂へ2人で歩く
「なぁニコ何かあったか?」
よっちゃんが急にタバコに火を着けながら言う
「何で?」素直にありましたとは言えない
「ん?まぁ大人だからな?なんとなくなっ」笑って歩きだす。
「何それ。また子供扱いして~」

地蔵堂について社長と話をして、私の頭はごちゃごちゃになった。
あの鶴に名前を書いたのは地蔵堂の社長本人で…
よっちゃんの必死の説得にも社長は約束だからって言った
地蔵堂の帰り道

「MAXぅ私もう…
二度と約束なんてしないね。学校でも…家でも…」


地蔵堂ではロボの事は何も話さなかった。
きっとプッチーニを調べればロボの事もすぐに分かってしまうだろう。

案の定、後日あったよっちゃんはスパイとは思えないホドたどたどしくて
私に気を使っていた。

「よっちゃん。お参りして行こう!」
「えっ?何かそうゆーのに頼るのって『いいから。』
よっちゃんを引っ張って境内につれて行く

神様なんているのか分からない
でもみんな神様って思った事はあって
それとロボがヒーローを信じてるのって何が違うんだろうか?

私はまたロボを忘れられずにいた

つづく

9:名無しさん@ピンキー
07/12/21 00:04:36 oC/bPIut
お祈りをして目をあけるとよっちゃんはまだ何かを祈ってて…

(よっちゃんもまだまだ子供だなぁ~)

「よしっ。仕事行くわ
社長が嫌だって言ってても。はいそーですか?で終われっかっての。なぁ」
「うん。守りたい…ね」
いつものニコなら私が絶対守るって言うのに…
あの変態オタク…っ

-仕事帰りのロボを待ち伏せるよっちゃん-

細い路地からいきなり出てきてロボをはがい締めにする。
「よぉ変態。」「痛ててっ。ちょっと~ビックリするでしょ~。よっちゃ~ん」
「気安く呼ぶなよ」
「何で友達だろ~」
「お前が一緒に住んでる女。地蔵堂の社長やるきらし~な」「そんな訳ないぢゃん!あれは」
「あれは?お前ニコの言う事信じてやれないのか?
まぁこんなに色ボケしてりゃ~な」
変態がニコって言葉を聞いて固まる
「ニコ何か変わったよ。」
「何…が??」
「自分で確かめれば?まぁニコはもうこんなお前には会いたくないか。」
「・・・」
「何かお前と住んでる女に動きがあったら、連絡しろ。もし社長に…何か。
何かあったら俺間違いなくその女逹。殺るぞ。」
「ひぇ~。そんな~」
よっちゃんは最後に変態を思い切り殴った


ロボが家に着く。
「お帰り。どうしたのその顔」優しくロボの腫れた頬手当てする
「ち…痴漢に間違われてさっ!困っちゃうよねぇ!」 (こんなに優しいヒトが人を殺せる?違う。看護師なんだし。そうだ。)
「絶対な~い!」
昭子さんが驚く。ケータイが鳴る。「仕事の子。ちょっとごめんね」席を外す。

「ゴメンね。明日のお休み仕事入ったの。担当の患者サン体調がよくなくて。」
「え~明日かぁ。せっかくの週末だけど…いい!」
「ごめんね」

つづく

10:名無しさん@ピンキー
07/12/21 00:54:03 oC/bPIut
朝起きると昭子さんはいなくて。
「久々にロボット逹に会いに行くか~」
本当はどこかで疑っている自分を許せなくて。
前の家の前で部屋を見つめる。「はぁ~。」
「ロボ…?」階段からニコが降りて来て「ニコ~!…」
気まずい…
「MAXロボ返しにきたの。」ニコの指さす方には箱があって「ありがと」
ニコはもう歩き出してて…どんどん小さくなってくニコをただ見守る事しかできなくて。
結局部屋には入れなくてMAXロボの入った箱だけ持って新しい家に帰る
昭子さんはまだ帰ってきていない

『ロボの信じてるものって何?』
ニコに聞かれ言葉を思い出していた。
箱からMAXロボを取りだす
「MAXぅ。愛と勇気と正義があっても誰1人幸せにできてないじゃないか~。」

「遅いな~」昭子さんの帰りが遅い。やっぱり…
患者の容態がって言ってたし。…待てよ。
プッチーニって死が近い人の願いを叶えるなら
「今日だ!」卓上カレンダーを見る。
今日の日付の印は俺と過ごす休みだからだと思ってた。でも同じ印が前の月にも会って
よっちゃんに急いで電話をかける
状況を説明する『了解!!』よっちゃんのその言葉を聞いて安心する。
良かったぁ
「やっぱり繋がってたんだ?真木名マキと」
後ろから声がして振り返ると昭子さんがいて。
「私。本当に殺すからね。」そう言って部屋を出ていく

「こんなの嫌だ~!だだんだんだんMAX!!復活☆」
地蔵堂へ急ぐ。
車に乗り込む「アレ??鍵がな~い!くそ~MAXダッシュだ~」


誰も死なせない。


誰も傷つけないで生きて行くなんて無理な事で、
自分の何気なく言った一言に傷つく人がいる。
でも…それでもこの世界で生きなきゃいけなくて
生きててほしいから


待ってろ~!正義は勝つんだ~!

つづく

11:名無しさん@ピンキー
07/12/21 01:46:38 oC/bPIut
=地蔵堂=
『社長隠れましょう?』ニコとよっちゃんの話に首を縦に振ってはくれない。

「真木名マキさんですね?」

プッチーニが銃やナイフや注射器を持っていて
「どれでも私はいいわ。好きに殺して頂戴」
「一瞬で楽に死ねるようにしますから」
社長の前にニコが立つ。
「何で?何で大人が簡単に死ぬとか殺すとか言う言葉使うの…?ねぇ何で」

「私が死んだって何も変わらないわ。みんなすぐに忘れていつもの生活に戻るの。私の代わりなんてよの中にたくさんいるわ」
ロボを私の前から奪った人が言う。
「変わるよ。みんないつもの生活をして考えないようにするだけだよ。
あなたがいなくなったら。ロボは…」
社長とよっちゃんが私の口から久々に聞くロボの名前に驚く。
「ロボは…あなたを選んで…あなたが犯罪なんか犯したら、死んだら。きっとそれはもう私の知ってるロボぢゃなくて
…だから死なないで…。」
「あなた本当にあの手下が大事なのね」
地蔵堂の社長がニコの震える肩を抱きしめる
「もしも私があの時…あの角を曲がらなかったら、よっちゃんに逢わなくて
もしもMAXロボと出逢わなかったらあたしはロボをロボと呼ぶこともなくて
もしもあのまま見なかったことにしてたら
地蔵堂に社長に出逢ってなくて…
でも今私にはどれもかけがえのないもので
私1人で生きてるんじゃないもんね。」社長を見つめる
「そうね。どうしようもなくこの世界に関わっているのよね」

「はい。あっ!どうしようもない奴がきそうです」
『え??』
「待った~!この対決延期ねっ!てかな~し」


つづく

12:名無しさん@ピンキー
07/12/21 02:41:35 oC/bPIut
ロボの話をさえぎるように銃声が聞こえてその玉は社長をかばったニコに。
ニコだけが気付いていた引き金に手をかける小さな音。ロボは立ち尽くした。
『ニコ!』よっちゃんがかけよって抱きしめる。
プッチーニは「私…あの…!」
「社長の大切な人病院で意識を取り戻して…だから…ニコッ!『近寄んなっ!』

ロボを払い除ける。「社長。早く!目覚ましたんすよ!今しかないっすよ。
ニコは俺が病院に運びます。あんた逹の患者だろ?早くいけっ!」
「あの…」「うるせぇ!」よっちゃんの声にプッチーニと社長が病院へ走りだす。

「ニコ~!ごめんなっ!俺守ってあげれなくて…。
楽しいとこいっぱい連れてってやるからさぁ。MAXロボ~!ヒーロ-でしょ?ニコを助けてよ~。」ニコに力いっぱい抱きつく。
「ゔっ…ん」「ニコ?」
「ぅ゙~重ッ!ロボやめてょ!」血まみれのニコにつきとばされる。
「え~ゾンビなの?よっちゃん恐いぃ!!」
「お前は馬鹿か?ゾンビな訳ないだろ?演技派なニコとナナシさんだよっ!!」
ニコとよっちゃんがハイタッチをする
「ばれなくて良かったぁ!さすがよっちゃん!」
ぇぇえ?
「まぁな?あのオバサん?私撃ってませんよって顔でさ!(笑)そりゃ血糊だし?」 『ええ~!!!』
ロボが雄叫びをあげる
「うっるさいな~。」
「えっコレ血糊なの?どうりでニコ胸おっきくなったなぁって最初思ったんだよねぇ。」

「…俺社長のトコ行くわ。じゃあな…変態」

「…ロボなんて最低!」
急に立ち上がったニコが倒れる。
「ニコッ!オーイ!病院連れてかなきゃ!」
やっぱりロボはバカで血糊だらけで私を連れて行ったから先生はロボを怪しんでた。と後でよっちゃんから聞いた。

つづく

13:名無しさん@ピンキー
07/12/21 03:38:19 oC/bPIut
ニコは最近寝不足倒れたらしい。
点滴に繋がれたニコをみて心が痛む…いつのまにか大人になった寝顔。
「俺…」
大きなため息がでた。
MAXロボを枕元におく
「MAX。俺ニコの着替え取ってくるからね?ニコの事ちゃんと見てろよ~!」
「なぁバカオタク?」「も~許して。もぅ普通に呼んでロボって?」「お前の普通はロボか!?まぁ俺が見てるから取ってこいよ」
ニヤニヤのロボ「よっちゃんてさ~ニコの事!『余計な事は言わないでさっさと行くっ!はぃ10分以内だぞ~ッ!
はいい~ち!」
「え~!」
目覚めたら私は見覚えのない天井が見えて…匂いで病院なんだって気付いた。
ぼやけた視界で見渡すと私の隣でロホが椅子に座りながらベットに寄りかかって寝ていた。ガラ
扉があく音が小さくした
そこにはプッチーニの昭子さんがいて
私はロボの隠した。
「生きててよかったわ。
真木名さんの大切な人今朝亡くなったわ…。
心配しないで。もうあんなバカな事辞めたから。
よしっ!もう血圧も安定してるから。帰る準備しなさい。」
「ロボを連れて帰ってもいいですか?」
「(笑)そんな事聞かなくても、もう私のトコには帰ってこないわ。絶対ね」
「何で言い切れるんですか?ロボは『あなたに会って解ったの。荷物は宅配であの部屋に送るって言っておいて。じゃあね』
扉がしまる


「ロボいいの?起きてるんでしょ?」

「うん…これでいいんだ~。ニコ…?ごめんな?
一番辛い時にそばに入れなくて。」
「…別に。よっちゃんとかMAXロボがいてくれたもん!…」「そっか…!ニコの生活は変わんなかったかぁ。
よかった…ってニコ泣いてんの?何?俺分かんないよ~こういう状況~
俺の胸でなきなッ!!」
両手を広げる。

つづく


14:名無しさん@ピンキー
07/12/21 04:51:04 oC/bPIut
今までのニコなら
「うわっ!気持ち悪っ!とか何年前のドラマだよっ!親父くさっ…」とか言うのに
今日のニコはすんなり俺の胸で小さく震えた。
「ロボッ!私。ずっと怖かったょ?」
ニコの背中をポンポンしてあげることしかできなくて。
黙って聞く。
「変わったょ。私
変わったちゃったと思ってたからさ…。
もうロボは私の前にはいなくて、置いてかれたんだって思ってた。
ロボ~…ロボがいたから私…何にでも強くいれたんだょ。」
内心…俺といたら、
ニコが影響されてひねくれた大人にならないか心配してた…。ニコには今のままでいてほしかった。

「ごめんな~。俺…絶対!ニコのコトもう悲しませたりしないから。約束する」
ロボは小指をつきだす。

私は今回のことで大人を見て、絶対もう約束なんてするか!と思っていた。
それであ~だこ~だなるのは面倒だし。
何より裏切られて、傷つきたくなかった。
そう思っていたのに…
ロボの小指に自分の小指を重ねていた。
「ロボは大人ってゆ~かオタクだしいっか…」
ロボは昔と変わらない笑顔で私を見ている
指切りげんまん♪を替え歌にして腕を思いっきり揺らす

ロボが帰ってきた。
ロボの胸には、ロボには誰も持っていなぃロボだけのパワーがあって。
そのパワーを私のものにできるうちは沢山
ロボといようと思った。


=廊下=

「よっちゃん。覗きなんて止めて帰るわよ。」
「いいんですか?もう…」
「許すって。私のこと…
生きてって言われたの。
さあ行くわょ。今日も仕事してもいい?私まだまだスパイでいたいの。よっちゃん!」
「はい社長~!プロッ~」



つづく

15:名無しさん@ピンキー
07/12/21 05:39:20 oC/bPIut
「さぁロホ゛!帰るかっ」
「あ~ニコそのまま外に出るのは」「何で?」自分の来ている服に恥ずかしくなる。「なんでロンパースな訳?ださっ!」「だってそれだとニコに着させやすかった……」

「ロボ!!あんた脱がせたわけ~?スケベ~」
「え~。脱がせたって。いやらしい言い方だ~!着替えさせてあげたのに~」
「でも見たんだ?」
「え?ニコ重ね着ぢゃん。だからそんな見てないょ~。下の服大丈夫だったし。」
「そ・ん・な?…」
ホラーより怖い顔をしたニコが睨んでくる
「ロホ゛…」
「ヒェ~。やっぱり鬼ババだ~…」
「鬼…?が何って」
(ニコの地獄耳…)
「鬼…ギリが食べたいんだなっ?」ロボのモノマネだ。

誰?」
「山下清…。僕はオニギリが好きなんだなっ。」
「はいはぃ。もう諦めた~。勝手にして。」
「MAXロボはもっと好きなんだなっ」まだ続けてるロボにちょっと引きつつ…
「ちょっとロボそれ脱いで」 「え~!すけべ~ぇ!」
「バっカじゃない?どっちかと言えばロボの来てる服のほうがマシじゃん。」
「ん~!断わる!!」
「何それっ!男としてど~なの?ケチ~!」
朝から騒ぎすぎて病院から追い出させられる

「私二度とこの病院にこれないよ~。」
「いいじゃん!病気もしなくて健康って事だろ?」

「ロボは前向きだね~!」
「全身あるのみ!ダーッシユ!!」ロボが走りだす。
「ちょっと!!」
こんなロンパース姿の私を置いてくな!

こうも思った。ロボはいつも違う誰かを目で追っていて、
私はいつもそのロボの後ろ姿ばかりをみてて、私を何で見てくれないのだろうと思っていた。
でも、私はこの何にでも前向きなロボが好きなんだと思った。
ロボは私の道を照らしてくれている。私はあの背中を見てればもう迷わない。
私の中のヒーローは世界で1人だけだ。

終わり

16:名無しさん@ピンキー
07/12/21 12:38:05 bvaiv+QL
ニコと変態はどうなりました?

17:名無しさん@ピンキー
07/12/21 15:05:49 oC/bPIut
どうしましょうか?
先を迷って"おわり"
にしてしまいました。
純愛系でか
ガバッといくのとドチラが
いいっすか?意見求ム!

18:名無しさん@ピンキー
07/12/21 16:42:02 cbuF7zp4
>>17 おつかれさまでした。
ストーリは自分の思ったように好きに書くのがいいと思いますよ。

>意見求ム!
あなたの求める意見とは違うと思うけど、SS投下の基本を少し。
・書きながら?の一レスずつの投下
・SSの先の展開を住民にお伺いをたてる

この二点は、是非、改められた方がいいかと。
このスレやドラマの本スレで出てきた話題をヒントにSSを書くのは、
大歓迎です。


19:名無しさん@ピンキー
07/12/21 19:00:17 9uKPXYoJ
文章的には慣れてない感じがあるけど、勢いと情熱があって面白かったです。

20:クリスマス 1/12
07/12/23 00:44:15 udrpkvbw
原作第一話「セクシーボイスは14歳」がクリスマスの話なので、
高校生のニコでドラマ版の話にしてみました。かなり変えてしまっています…
スパイものでエロは無しです。
犯人の電話のやりとりはそのまま原作のセリフを引用させて貰いました。
あと、Wikiで見た松ケンの趣味を勝手にロボの趣味に使ってしまいました。
長いので連投規制に引っかかって時間かかるかもしれません、
途中で止まったら、他の方もネタあればどうか気にせず書き込みして下さい。

***************************

 クリスマスって、みんな浮かれてるけど、どんな意味があるんだろう。
私の家では一応クリスマスツリーやリースを飾ったりするけど、
別にイエス・キリストの誕生日だとか、聖なる日だなんて考えてない。
そもそも、私の家族はクリスチャンではないのだ。
(中学の時に亡くなったひいじいちゃんはクリスチャンだったけれど。)
神社やお寺に行けばお賽銭を投げて手を合わせるし、流行りのあやしげなお守りを買うこともある。
節操無いなと思うけど、友達の家も大概こんな感じらしい。
大人は本当は寂しがり屋だから、みなお祭り騒ぎがしたいのだろう。
お祭り騒ぎをする理由は一つでも多い方がいいと、昔の誰かが考えたのだ。

 ロボは理由なんか無くてもお祭り騒ぎをやっちゃう大人だけれど
彼にとってクリスマスは子供の頃から神聖な意味があったらしい。
それは、サンタのおじさんが年に一度、自分に大好きなロボットをくれる日だから。
この日のために一年間、どのロボットを頼むのか子供なりに悩み続け、選びに選んで
サンタクロースを待つ、ドキドキが止まらない日。
だけどサンタさんはうっかり者で、頼んだのと違うロボットを持ってくることも多かったそうだ。
 ロボットに一喜一憂する自分を見る両親の顔と、なぜか母親がやたらロボットの名前に詳しいことが
結びついたのは、中学に入ってからだとロボは言った。

21:クリスマス 2/12
07/12/23 00:45:15 udrpkvbw
「クリスマスは、うちで一緒にパーティーしよ~。ねー、ねーってばーニコー」
 ロボは甘ったれた口調でせがむ。
「もう一人寂しいクリスマスはヤダ。
 俺、ニコとばかり遊んでるからずっと独り身なんじゃん!責任取ってよ」
「はぁ? 別にロボがもてないのは私のせいじゃないし」
「ニコが来てくれなかったら病気になる!」
「何それ?」
「寂しくて心が寒ーくなって熱が出て、鼻水も出て咳も出て絶対病気になる!!
 どうするんだよぉ、全部ニコのせいだぞ」
「…はいはい、わかりました。行きますよ」
「本当?やった!実はもう三角帽子とかシャンパンとか買ってあってさ。
 シャンパンはちゃんとアルコール抜きのにしといたからねー。
 あとはさー 飾り付け用の折り紙でしょ、風船でしょ…
 デパートでチキンとサラダも予約したし、奮発したんだよ。
 一緒にアニソンカラオケしような!あ~楽しみだなぁ!」
 …どこの子供のクリスマス会だよ。20代サラリーマンの発想じゃないだろう。
でも私は雑誌に出てるようなオシャレなクリスマスを思いつかないロボを、いいなと思う。

そんなわけで、今日はクリスマスイブ。高校は終業式で午前中に終わり、
(半ば強制的にせがまれて)私はロボんちにケーキを焼いて持っていくことになった。
一海ちゃんは彼氏とデート。お父さんとお母さんは日帰りの温泉旅行に出かけ、
好都合にも誰もいないキッチンで、なかなか泡立たないメレンゲと格闘していた。
オーブンでちょっとやけどしたりしつつも、なんとか無事に焼き上がって、
デコレーションが終わった時には、初めてにしてはなかなかじゃん、
私もしかしてケーキ作りのセンスあるかも?と満足した。
すると、どこからともなく矢が飛んできて、苦労して出来上がったばかりのケーキの中心に
グシャっと音を立てて刺さったのだ。

「うそーーーーーっ!! ありえない…」
 それが今回の事件の発端だった。


22:クリスマス 3/12
07/12/23 00:46:09 udrpkvbw
「ちょっとこれ、どういうことですか!
 まともな方法で連絡してって、何度言えばわかるんですか!」
 私は怒りで震えながらクリームまみれの矢を持って地蔵堂に怒鳴りこんだ。
「あら~ケーキに刺さっちゃったのー。ごめんなさいね。でも、あなたに刺さらなくて良かったじゃない」
「あ た り ま え で す!何考えてるんですか!」
「こっちも緊急事態だったのよ。小学生の男の子が誘拐されてね、脅迫電話がかかってきたから
 なんとかして欲しいって依頼が来たの」
「誘拐?」
 ケーキを台無しにされた怒りはまだ納まらなかったけど、穏やかでない話に私は言葉を飲み込んだ。
「よっちゃん、おねがい」
「はい」
よっちゃんは録音機材の再生ボタンを押す。

ーーー「もしもし?もしもし?」「お父さん?僕」「わたる、どこにいるんだ?」「わかんない」
  「息子の無事はわかったかな」「金か?いくらだ?」「金じゃないと言わなかったか」
  「どうして、」「要求を飲むか、わたるの葬式かだ。交渉はしない」「待て、なぜそんな」 
ブツッ ツーツーツー
ーーー「もしもし」「これが最後だ」「待ってくれ、わたるは無事か」「今はな」
 「要求に従う、しかし理由を教えてくれないか、もしも」「交渉はしないと言っただろう」
 「待て、要求通りにしたらどうやってわたるを」「交渉はしないのだ」
 「もしもし、待ってくれ、もしもしっ」
ブツッ ツーツーーーーーーーーーーー

「これって、警察に届けた方がいいんじゃないですか」
「警察に届けられない話だからうちに来たのよ」
「でも、そんなこと言ってる場合じゃ」
「目的はお金じゃないし、出来れば内密にすませたいんでしょう。
 平たく言うと依頼人、子供の父親はヤクザがらみの人間なのね。
 この録音の声を聞いて、分かることはない?」
 私はもう一度再生した声に耳を澄ませた。自分の記憶に残っているあらゆる声を検討して、
似た声、似た喋り方を思い出し、比較する。
「なんか…台本っぽいっていうか、わざとらしいって言うか、要求する自分に酔ってる感じがする。
 決めセリフを言いたくて、そのために話をしてるような。でも下手くそ」
「そうね。あらかじめセリフを用意しているようね」
「たぶん、年齢はまだ若いと思う。20代で、体型はちょっと小太りで…」
「なるほど」
「で?この犯人の要求は何なんですか?」
「原宿の俵参道のクリスマスイルミネーション。今夜6時に点灯する予定のそれを消せ、と」

23:クリスマス 4/12
07/12/23 00:47:14 udrpkvbw
「はぁ? それだけ? そんなので子供を誘拐したんだ?」
「父親は俵参道商店会を仕切ってる顔役なの。とりあえず今のところは点灯中止の予定よ。
 遠くから来る見物客もいるからかなりの損害だけどね。犯人の動機は何かしら?」
「クリスマスが嫌いとか?過去にイヤな思い出があったとか? よくわからないな。
 でも……。この犯人、本当に要求どおりになったらどうするか考えてなさそうです。
 世間を騒がせてみたいだけで、手の引き方まで考えていない気がします。
 本当にイルミネーションを中止したとしても、子供の解放の方法とか、
 自分でもわかってないんじゃないかな」
「そうね。今は『誘拐犯』を演じるのに夢中だけど、舞台に幕が降りたらどうするつもりかしら」
 そしたら。この子供はどうなる? 
クリスマスイブまで変な事件に巻き込まれたくはない、ロボとの約束もある。でも。
私は観光客目当てのイルミネーションなんか正直どうでも良かったけれど
みんなが浮かれてるクリスマスにどこかの子供が人質になっていて、
暗くて怖くて、お腹をすかしてるかもしれなくて… そんなのはイヤだ。
もう一度録音テープを再生した。その時、ある「音」が耳に入った。
「あの。私、手がかり見つけたかもしれない」
「この仕事、頼んでもいいのね?ニコ」
「イルミネーションの点灯中止は発表しないで貰えますか。
 私が連絡するまで、うやむやにして引き延ばして下さい。
 それから、もし夜10時までに連絡出来なかったら、警察に行って下さい。
 よっちゃんを借りていきます。」
よっちゃんはそうこなくっちゃ、と言いたげにニヤっと笑った。

24:クリスマス 5/12
07/12/23 00:49:17 udrpkvbw
『もしもしロボ?』
「ああ、ニコ? 何時ごろ来れる? まだ部屋の飾り付けが終わらないんだけど、
 料理はもう準備したから。あのさーニコはサンタ帽子トナカイ帽子、どっちがいい?」
『ごめん、パーティーは中止!ロボ出動だよ!今すぐおしり喫茶の前に車で来て、
 早く来て、大至急来て、待ってるから!』
「ええっ 中止って。なんでぇ~? 俺すっごく楽しみにしてたのに~わけわかんない~」
『だからごめんってば。いいから来てよ!事件なの、ロボの手が必要なの』
「なにそれー。だってせっかく炊き込みごはんとかも作ったのに、
 美味しいんだよ俺の炊き込みごはん、昨日の夜からしいたけとか鶏肉とか下ごしらえしてさ、」
『お願い、誘拐されて可哀想なクリスマスを過ごしてる子がいるの!
 救えるのは宇宙で私だけなの!』
 ニコは一方的に言うと電話を切った。
「えー事件って。そんなぁ。だってずっとニコとクリスマスするの楽しみにしてたのに…」
 ロボはがっかりしながら、ニコへのプレゼントを手に取った。
(俺にとってクリスマスは子供の頃から奇跡の日だったから。
 きっと照れくさくて言えなかった言葉も素直に伝えられるって思った…)
一週間かけて作った針金細工の花の形のブローチ。中心には小さな翡翠をはめてある。
本当は五月の誕生石のエメラルドにしたかったけど、それは予算オーバーで無理で、
だけど作っている間中、幸せな気持ちでニヤニヤしてた。
「なんなんだよぉ、人の気も知らないで、あのじゃじゃ馬は!
 くそー、くそー、……宇宙とか言われるとときめくじゃないか!」
 ロボは名残り惜しそうにテーブルに並べた料理や、飾り立てた部屋を眺め、
意を決してブローチを肩掛け鞄に突っ込むと「ロボ、出動しまーす!」と叫びながら部屋から飛び出した。

 ロボの車で原宿方面に移動しつつ、私は気がついたことを二人に話した。
「1回目の脅迫電話は静かだけど、2回目は雑音が聞こえるでしょ。
 屋外で、近くにいる人が携帯電話で喋ってる声だと思う」
「なんか声は聞こえるけど内容まではわからないな」
「私わかる。『今俵参道のモリハナコビルの前なんだけど』って言ってる。
 犯人は、イルミネーション中止でがっかりする人達を見物に来てるんだよ」
「うげ、屈折してんなー、何が楽しいんだか」
「でもさ俺、なんとなく理解できる気がするなぁ。
 その人、街がキラキラしてみんな幸せそうなのに、自分は孤独で心が細ーくなって
 ポキッと折れて曲がっちゃったんだよ」
「誘拐犯に共感してんじゃねーよ」
「この人、まだモリハナコビル周辺をうろうろしてると思うんだ。
 私が耳で探すから、ロボとよっちゃんは取り押さえるの手伝って。
 ここまで場所を特定できれば、なんとかなると思う」
 何度か俵参道を車で往復し、特にモリハナコビル周辺をゆっくりぐるぐる廻った。
「ニコ、どう?」
「うーん、まだわかん…ない…」
 あまり俵参道なんて来たことなかったし、年末はこんなに人が多いなんて知らなかった。
ちょっと甘く考えていたかも。この人混みで本当に見つけられるのか。
でも、犯人の声しか手がかりが無い今、救えるのは宇宙で私だけ。
頑張れ林二湖、耳をすませろ、集中しろ。 頭の奥がズキズキしてくる。
自分の中に音が光と一緒に流れ込んでくるイメージを思い描き、
レーダーをひろげるようにその範囲を拡大させた。

25:クリスマス 6/12
07/12/23 00:50:36 udrpkvbw
(……やっぱさー…昨日ね…例の店で…そういうわけ…)
あらゆる声が流れ込んで来る。
「ニコ?」
「黙って」
(…あのさぁ…)
一筋の音が頭の中で光った。
「…見つけた! 車停めて!」
 私は2CVのドアから転がり出るように飛び出すと、声の方角目指して走った。
すかさずよっちゃんが走って追ってくる。
ロボは、「こぉんなとこに停めたら駐車違反で減点だよーーー!」と
情けない声で文句を言いながらも、すぐに追いついてきた。
俵参道では、「イルミネーション点灯は予定より遅れます」というスピーカー放送が流れはじめた。
一斉に不満げな声を漏らす見物客のざわめきに掻き消され、私はまた声の方向を見失った。
ええい、いちかばちかだ。
「キャー、ごめんなさーーーい!」と言いながら、人混みに押されたふりをして周りの人を押す。
「痛っ」「なんだよ」「気をつけろっ」「危ねー」「やだぁ」
 ドミノのように人が次々によろけて周りに声が広がる。
どこ、どこにいる? あの声。いた!
「あの、すいませんすいません」私のかわりにロボが頭を下げて回る。
「おいどっちだ」
「あっち!」
 今度は後ろ姿をしっかり確認した、髪を結わえてちょっと小太りな男。
人をかき分けて、追跡を再開する。
男はラフォール前の交差点で、信号が点滅しかけた横断歩道を小走りで渡っていく。
私は赤信号に変わった道を強引に突っ切ろうとして、車にぶつかりそうになった。
「危ねぇ!なーにやってんだよ!」よっちゃんに慌てて腕を掴まれる。
「だって、また見失っちゃうよ!」
「あれ、あのバカは?」
振り返るとロボは、10mくらい離れたところに立ち止まって、何かを拾い上げていた。
「これ、あの犯人が落としてったんだけど…」
 街頭で配っている広告入りティッシュらしい。
ロボはニヤっと笑った。
「犯人を誘い出す方法、わかったーっ!」

26:クリスマス 7/12
07/12/23 00:51:59 udrpkvbw
「おいロボ、あいつ、本当にそこ(テレクラ)にいるのかよ?」
「絶対いる。クリスマスのイルミネーションを消して、みんなががっかりするのを
 見に来る奴なんて、女の子にモテない奴に決まってるって!
 でもこの犯人、今は誘拐犯で悪い男気取りの自分に酔ってて、自信があるわけ。
 そーゆー時はね、誰かに特別な自分を見て欲しい、話を聞いて欲しいとか思うもんなの!」
「ふーん。さすがに元祖モテない奴の言うことには説得力があるねぇ」
「二人とも声が大きいよ。聞こえちゃうじゃん」
 私は広告のテレクラに何度目かのリダイヤルをして相手が受話器を取るのを待った。
声は普段と違うセクシーボイスを作る。
「もしもし?」
『もしもし』
 キタ。あの声だ。ロボの言ったとおり、あいつが出たよ! 
私は二人に親指を立ててガッツポーズをしてから、振り返って会話を続けた。
「良かったぁ。あたしぃ、あなたみたいな声の人とお話したかったのぉ」
『え、そう?彼女、今どこにいるの?』
「今俵参道にいるんだけどぉ、イルミネーション見に来たのにまだ点灯しないしぃ、
 なんか寂しくて、つまらなくなってぇ」
『俺もすぐ近くにいるんだ、ちょっと会わない?』
「ええーっ?少し怖いなぁ。あなた悪い人?」
『俺は…、ちょっと悪いかもね?』
「じゃあ、会おうかな~。あたしぃ、悪い男が好きなのぉ」

私は犯人と原宿駅前で待ち合わせをする約束を取り付けた。
「人質がいるところまで案内させるから、後はお願いね」
「必ずや任務遂行しマックス」
「プロフェッショナルにまかせとけって」
 大丈夫かなあ。

「…あれ? なんか、若くない?」
 待ち合わせで会った犯人は予想通り20代前半のおとなしそうな男だった。
外見だけならそんなに見苦しいわけじゃないのに、変に卑屈な雰囲気があって、
同じもてない系でもロボとは違う。
ロボは傷ついても失敗しても自分を見捨てたりしないけど、こいつは周りのせいにして恨むタイプだと思った。
「カズミちゃん、本当にハタチ?15歳くらいに見えるんだけど…」
 失礼な。17だっつの。
「えーあたしぃ、ハタチの女子大生だよ?もっと若い方が良かった?」
「いやそういうわけじゃ…でもあんま若い子だといろいろ、さ」
 なーにがいろいろだよ。下心見え見えすぎる。
ってか、子供誘拐して、すでに自分は犯罪者だっていう自覚無いのかこいつは。

27:クリスマス 8/12
07/12/23 00:53:01 udrpkvbw
「カズミ、たくさん歩いて疲れちゃったぁ。どこか静かなところでゆっくりしたいなー」
「じゃ、ほ、ホテル行く?」
 いきなりそれか…
「ホテルよりもぉ、あなたのおうちに行きたい。近いんでしょぉ?人の家って面白いからぁ」
「え、うちは駄目!あの、弟、弟が遊びに来ててさ」
 弟…やっぱ人質はこいつの家にいるんだ。
「わぁ、あたしぃ~子供大好きなの~!ぜひ弟さんに会いたいなー」
「駄目だって、ほら、うるさいし」
 私は上目使いに犯人を睨んだ。
「おうちに連れてってくれなかったら、もう帰っちゃうよぉ?」
「…しょうがないなー」
 犯人は私の腕をぐっと掴んだ。結構力が強い。腕力勝負になったらかなわないな。
そっと後ろを振り返る。ロボとよっちゃんの姿は見えない。
ちょっと心細くなる。ちゃんと付いてきてくれてるのかな…

犯人の家は一階がコンビニになった、小さなマンションの一室だった。
「お邪魔しまーす」
部屋には、ガムテープを口に貼られた男の子が、体を縛られて怯えて座り込んでいる。
…この子が、わたる君…
「えーっ、なんで弟さん縛ってるのー?えー!なんでぇ?」
「こいつ、いたずらしたからお仕置きで」
「可哀想。ほどいてあげて」
「いや、邪魔だから。おいお前、ちょっとここ入ってろ」
 犯人は男の子をクロゼットに閉じこめるなり、いきなり私を押し倒そうとした。
「ちょちょちょ、ちょっと待って!」
「部屋にまで来て何言ってんの」
「だってほらあの、少しおしゃべりとかしようよ、そんな焦らないでさ」
「男と女がいたら喋るより先にやることあるじゃん、勿体ぶんなよ」
 うわ何こいつ、ムカツク。女の子を何だと思ってるの。
「じゃあの、お酒、お酒とか飲もうよ、気分出るし、クリスマスイブだし」
「酒ー? ビールならあるけど?」
「ビールは嫌い、カクテルがいいな!買ってきて!お願い!
 えっとぉ、アタシぃ、お酒飲んだ時の方がサービスいいんだからぁ。ほら早く!」

28:クリスマス 9/12
07/12/23 00:54:20 udrpkvbw
犯人を追い出すように外にやると、急いでクロゼットに駆け寄ってわたる君を出す。
縛っている縄をほどこうとするけど、緊張で手に汗をかいて、なかなか上手くいかない。
「絶対助けるから、もう少しがんばって!」
 わたる君は怯えながらも頷いた。
 部屋の外で音が聞こえる。うっわ早すぎ!もう戻ってきたよ!
そういえばすぐ下がコンビニだ。
私は咄嗟に子供を抱きかかえると、トイレに逃げ込んで鍵をかけた。
急いで携帯電話をかける。
「ロボ、すぐに来て!もう駄目、バレちゃう」
犯人は開いたクロゼットにわたる君がいないのに気づくと、私たちが隠れたトイレに近づいてきた。
「おい!おまえ、なにやってんの?」
 ドアをすごい勢いでガチャガチャやっている。鍵が開かないとわかると、ドンドン叩く。
「ロボ!」
『ニコ!!場所がわかんないんだよ~!近くにいると思うんだけど、途中で見失って~!!』
「なにやってんのよ、役立たず!一階がコンビニのマンションで部屋は203!」
『一階がコンビニ、わかった!』
「お願い早く来て!」
「おまえナニモノ? 声違うし、俺のこと騙したワケ?」
 犯人はトイレのドアを壊すほど勢いよく叩き始めた。
「誰と話してんだよ、開けろよ!!」
「あんたね!何考えてるのか知らないけど、誘拐なんてつまんないことやめなさいよ!」
「なんだと、おまえ誰だよ。何しに来たんだよ!」
「私はこの子を助けに来たスパイだよ、なんか文句ある!?
 無意味な悪意を振りまいてたら、自分が騙されても何も言えないでしょ!」
「出てこい、てめえ!」
「出るわけないじゃん、バカ!」
犯人の怒声が大きくなる。
私はわたる君を抱きしめながら、軋むドアを必死におさえていた。

「あたたたたたーっ!!」ロボが奇声を発しながら玄関ドアを蹴破る音がする。
 叫び声とドタバタした物音が聞こえて、静かになった。


29:クリスマス 10/12
07/12/23 00:55:07 udrpkvbw
「はぁー、もう命が縮んだよ…。見失うなんてひどいよー」
「ごめん~、よっちゃんが気づかれないようもっと離れろって言うからさ~」
「お前が無駄にでかくてうるさくて目立つせいだろが!」
「ったく…助かったからいいけどさ。
 もしもし、社長? 人質の安全を確保しました。イルミネーション点灯してOKです」

 犯人は男二人が自室になだれ込んでくるのを見て、窓から飛び降りて逃げたそうだ。
「すっげぇ小心者だったな。ま、これを頂いていけばいつでも落とし前は付けられますけどね」
 よっちゃんは犯人の部屋から見つけ出した身分証明書をヒラヒラと掲げて見せた。
荒れた雰囲気の部屋を見て、ロボは呟いた。
「なんかさ、ちょっとカワイソウかも。きっと孤独な奴なんだよ」
「そう?全然可哀想だと思わないな」
 私は正直に言った。
「遊びで誘拐なんかして、他人を暇つぶしの道具みたいに扱っちゃ駄目だよ…
 だからきっと自分自身だって大事に出来ないんだと思う」

わたる君は、緊張が解けたのかしゃくり上げて泣いている。
「もう大丈夫だよ、泣かないで」
「がんばったね、すぐお父さんとお母さんのとこに帰れるからね」
 私とロボが交互になだめようとしたけど、わたる君の涙は乾きそうになかった。
「無理ねぇよ。この子にとっちゃ最悪のクリスマスだろ」
 最悪のクリスマス、か。
この子が成長して子供時代のクリスマスを思い出す時、記憶に残るのは不安と恐怖で。
誰かに不当に傷つけられた記憶は、また別の誰かを傷つけて、連鎖していくのかもしれない。
そんなの……ヤダな。
「わたる君!おねーちゃん、サンタクロースに頼まれたんだ。わたる君を助けて、
 プレゼント渡してくれって」
「…ほんと?」
「本当だよ。おねーちゃんはサンタクロースの友達なの、今、証拠見せてあげる」
 私は、自分のポシェットからロボットのフィギュアを取り出す。本当はロボへの
クリスマスプレゼントに買ったんだけど。ロボごめん…。
「サンタクロースにね、わたる君は強くてヒーローみたいだったって伝えておくね。はい」
「あ、ダイターン3じゃん!いいなぁわたる、こいつの持ってる槍は
 ダイターンジャベリンって言うんだけどさー」
 ロボはたちまち食いついてロボット談義をはじめた。わたる君は泣くのを忘れて、一生懸命聞いている。
新しいガンダムはどうだこうだとか、あのロボットのここがいいとか、二人で話が盛り上がる頃には
わたる君はすっかり笑顔になっていた。

30:クリスマス 11/12
07/12/23 00:56:25 udrpkvbw
「よっちゃんはイルミネーション点灯するの、見ていかないの?」
「俺はこの子を依頼人に送り届けて、さくっと地蔵堂に戻るわ。
 社長が一人でクリスマスイブを過ごしてんの可哀想だろ。じゃ、おつかれさん」
なんだかんだ言って、よっちゃんは本当に社長が大事なんだなと思った。

 光の帯が、木々の間に一斉に広がる。周りから歓声が漏れる。
「正直、イルミネーションなんてどうでもいいと思ってたけど、やっぱキレイだなぁ」
「うん、なーんか幸せな気持ちになるね」
「あのね、さっきあの子にあげたフィギュア、本当はロボへのクリスマスプレゼントだった」
「あー、やっぱそうなんだ。そうじゃないかと思ったよ~」
「ごめんね……」
「ちょっと残念だけどしょーがないな。あの場合は。うん」
「前にホビーショップに行った時、ロボずっとあれ見てたから」
「そうだっけ? そういうの覚えててくれて、俺のために選んでくれる人がいるだけで嬉しいかも」
 ロボは少し笑った。
「それにさ。やっぱ小さい子のクリスマスが、怖くて辛いだけになっちゃうってイヤじゃない。
 わたる君の思い出がさ、ダイターン3で少しでも救われるなら本望じゃん。
 自分が傷ついた記憶のせいで、別の誰かを傷つけてしまうことってあるでしょ。
 本当は傷ついた分優しくなれればいいんだけど、人間は弱いからさ…」
 思わずロボの顔を見た。私と同じことを考えている。
どうしてロボは何も言わなくてもわかってくれるんだろう。
「これは、俺からのプレゼント」
 ロボは私の手を取ると、何かを握らせた。そっと手を開くと、金属製の花が咲いている。
「わ、綺麗……」
「自分で作ったんだ。裏側見ると失敗してるとこ、分かっちゃうんだけど」
「すごいよ、ありがとう。本当の薔薇の花みたい」
「ううん、これニコだよ」
「えっ?」
「俺の中のニコのイメージを形にすると、こういう感じなの」
 もう一度、繊細に光る花を見る。何故か涙が出そうになる。
クリスマスなんて、どんな意味があるんだろうって思っていたけど、もしかしたら大事な
誰かの存在と、その人と出会った偶然に感謝するためにあるのかもしれない。

31:クリスマス 12/12
07/12/23 00:57:22 udrpkvbw
「あれ?なんで泣くの?」
「泣いてないっ」
「だってさー」
「ロボ、やっぱもう一つプレゼントあったんだ。ちょっと目をつぶって」
「えー 何?」
「いいから早くつぶれってば」
 なになに~?と言いながらロボは素直に目をつぶった。
私は背伸びをしてロボの頬の上に素早くキスする。
「メリークリスマス、ロボ」
 ロボがとてもビックリした顔をしたので、自分のしたことが急に恥ずかしくなって
下を向いて困っていたら、ロボはふいに私の肩を抱き寄せて身をかがめた。
そして、少し震えながら、私の唇に不器用なキスをした。
「メリークリスマス、ニコ」

「あの、俺…」
 ロボが何か言おうとした時に突然、携帯が鳴り出す。この着信音は…地蔵堂。
『ニコー、助けてくれぇぇ』
「よっちゃん?どうしたのっ?」
『社長がさぁ、暇だったらしくて、ローストチキンを5羽も作って待ってたんだよ~。
 しかも全部真っ黒。おまえらこれ喰うの手伝ってくれよー もう鶏肉は見るのもイヤだ…』
「…だって。ロボどうする?」
 ロボは大げさに溜息をつく。
「しょーがないなぁー。黒焦げチキンのためにまた出動かー」
「だったら、私の穴あきケーキもあの二人に責任持って食べて貰おうかな」
「それじゃ、俺の炊き込みご飯も持っていこうっと。やった、今からクリスマスパーティー出来るじゃん!
 帽子とか風船も持っていこう!車で地蔵堂まで運べばいいよなー」
「あー!!ロボ、車は!?」
「うわっ 忘れてた!やばい、マックスダーッシュ!」

私たちは、聖夜の光に溢れる通りを笑いころげながら走った。
この街を、この世界を、醜くそしてとてつもなく美しい場所だと思いながら。
誰かと共に笑っている、その一つ一つが小さな奇跡だと思いながら。
この複雑な世界に住む全ての人々に、

 メリークリスマス。

32:クリスマス 12/12
07/12/23 00:58:34 udrpkvbw
****************
終わり

↑入れ忘れました。

長くてすみません。

33:名無しさん@ピンキー
07/12/23 01:18:09 eIQ840oo
グッドジョブ!
きっと楽しいクリスマスパーティなんだろうなぁ

34:名無しさん@ピンキー
07/12/23 13:14:28 yd+nQ34D
上手くまとめましたね
GJ!!
しかしニコはたくましいなぁ

35:名無しさん@ピンキー
07/12/23 17:33:06 fI1tIMXe
>私たちは、聖夜の光に溢れる通りを笑いころげながら走った。

ドラマのオープニングの「あなたの隣に スパイがいる」っていうのを、
何か思い出した。
みーんな 知らないんだよな二人がスパイってことを、
しかもとても優しいスパイだってことを。
おもしろかったぜぇ~

36:名無しさん@ピンキー
07/12/24 01:00:12 VU+69tSw
メリクリ!
とりあえずロボは一人ぼっちのクリスマスじゃなくて
よかったね。GJでした!

37:贈り物はサンタ 1/2
07/12/24 19:53:22 w1ASOYUS
短いエロ無しです。
ニコ高校生。再会後のふたり。

* * * * * * *

《ニコside》

 イヴは誰と過ごすとかどう過ごすとか、どうして毎年この日になると皆誰かを
探そうと躍起になるんだろうと思ってた。そんなにも恋人達にとって特別な日に
なるために作られたというわけでもないのに。
 とは言え今年は私も人並みに?特別な誰かと過ごすクリスマスを迎えることと
なった。
 別に聖なる夜だから今日だけは一緒にいたいとか、贅沢したいとは思わないけど、
「一緒にいたい」
なんて言われたら、やっぱり何だか嬉しくて。

 イベント大事な姉に巻き込まれて、柄にもない事をやってしまった。さっきから
少し後悔して、やっぱりやめようかと悩んでいるうちに階段を忙しなく駆け上がる
足音がする。思わず慌てて灯を落として物陰に隠れてしまった。

「ただいま~……ニコ、いないの?」
「いるよ。でもちょっと待って」
 待ちわびた筈の声に笑顔で迎えることが出来ない。


《ロボside》

「ニコ?」
 薄灯の中コートを脱ぎながらキョロキョロと部屋を見渡す。と、ベッドとの
仕切りの棚の陰から人影が覗いてる。
「どうしたの?暗いよ~、電気点けていいでしょ?」
「わ、笑わない?」
 うん、ってとりあえず(いや本当にそんな気無いけど)返事すると少し悩んで
オッケーが出たので灯を点ける。と、そこからコソコソと登場したのは……。

「何!?ちょっとどうしたの!すっげ~可愛いじゃ~ん!!」
「ほ、本当に……?」
 いやあもう、鼻血が出そうな位テンションMAXな俺。
 だってさあ、部屋に帰ったらいるんだよ?

 自分だけの、可愛い可愛いサンタクロース。

「うわぁ、生きてて良かったあ~!」
「な、何をオーバーな……」
「だってさあ、男の夢だよ、ロマンだよ!ニコがそんな事してくれるなんて……
 いやぁ、嬉しくて嬉しくて」
 多分俺は、これ以上ない位だらしない顔で見てるに違いない。ニコの顔から
最初の真っ赤な照れ臭さが消えて半分呆れ顔になってたから。


38:贈り物はサンタ 2/2
07/12/24 19:55:54 w1ASOYUS
《ニコside》

「でもどうしたのコレ?」
「一海ちゃんが……」
 自分が彼氏のために着るために買ったついでに、私の分まで気を利かせて(?)
買って来たらしい。
『男って……特にオタクなんかこういうの絶対好きだから』
 オタクは余計じゃない?って思ったけど、実際目の前のロボは鼻の下が倍くらい
伸びてる。さすが一海ちゃん……というか何というか。
 まあ喜んでくれたみたいだしいっか、と思いながらも問題はまだあった。
「ん?どうしたの?」
「あのさあ……」
 俯いたまま私は答える。
「肝心のプレゼント忘れて来ちゃったんだよね……ゴメン」
 一緒に持って来たつもりのロボへのクリスマスプレゼントを、家に置き忘れて
しまった。
 今夜の料理と、この恥かしーいコスプレと、初めての……お泊まりで頭の中が
正直イッパイイッパイになってた。恥かしくてロボにはそんな事言えないけど。
 

《ロボside》

「え~っと……いいよ、そんなの気にしないでよ。今度のお楽しみにするから」
 いつもの勝ち気なニコも彼女らしくて好きだけど、柄にもない事をして恥ず
かしがってる(あくまでも普段とは違ってという意味で)ニコも可愛いと思う。
 だってそれって俺のためだし?

 そう思ったら益々たまらない気持ちになって、俯き加減のニコの肩を掴んで
顔を覗き込んだ。

「プレゼントならここにあるじゃん」
「え?」
 首を傾げて俺を見上げる恋人を抱き締める。

「…………今の俺の腕の中に、さ」
 言っておいて耳まで赤くなる。

 今夜はゆっくり時間が流れるといい。

 サンタのラッピングをもう少し堪能させて頂こう。


* * * * * * *終

39:名無しさん@ピンキー
07/12/25 01:02:44 3ENmWFrk
ニコ+サンタコス。
イカンですよイカン、無敵じゃないですかぁ。
エロなしと言っておいて「サンタのラッピングをもう少し堪能させて頂こう」、もう少しって・・・。
なんとご無体な・・・、わたくしの脳内で妄想が暴走中。

40:名無しさん@ピンキー
07/12/25 08:49:10 WVQ95Apa
と、と、当然…ミニスカだよね?
ヤベ!まじヤベ!鼻血が!
GJ!過ぎる!

41:名無しさん@ピンキー
07/12/25 13:10:54 5gvXWcAI
GJ!
ミニスカサンタコスプレ!?のニコ、かーわいいだろうなあ


42:名無しさん@ピンキー
07/12/26 14:23:12 f5Ktvyl/
保守age


43:名無しさん@ピンキー
07/12/26 16:35:13 yICo+I5K
あげときます

44:名無しさん@ピンキー
07/12/26 21:14:14 ctLPujNV
ヘンなスレ落としがいるのでage

45:名無しさん@ピンキー
07/12/29 05:16:48 5oBAyYyK
保守あげ

46:星に願いを 1/4
07/12/30 05:01:35 kbEPTIXo
少し時期がずれた話になってしまいました。エロ無しです。

×××××××
人影もまばらな夜道を重い足取りでロボット達の待つ家へと歩いていた。

「ああ…疲れた……」
はあ~、なんだってんだ。この忙しさは!
そりゃあリストラされるよりマシなんだろうけどさ。
この2ヶ月…そう!ニコと付きあい始めて2ヶ月、残業に休日出勤と
ニコとまともにデートもできていない。
ニコと夢のような楽しい日々が始まるはずだったのに幸せな俺に神様が嫉妬したのかぁー?
と、そのとき
「ロボ!やっぱりロボだ」
後ろから聞きなれた声がして振り返った。
「ニコ!?どうしたの。こんな遅くに女の子一人で危ないでしょ!」
「えーっ、明日は休みだから少し遅くなっても、ロボの家行くからってメールしたんだよ。見なかった?」
「そうなの?ゴメン。気づかなかった」
ニコは俺の背広の袖口をそっと掴みながら、心配そうに聞いてきた。
「ロボ、大丈夫?かなり疲れてるでしょ。ちゃんと睡眠とってる?」
「う~ん、はっきり言って睡眠不足ではあるなぁ。まあ、明日は久々の休みだしゆっくりする。
それにニコの顔見たら、元気でた」
ほんとに~?って、少しばかり怪訝な口振りのニコの手に自分の手を重ねる。
「ニコ、手が冷たい」
「ロボはあったかいね」
ギュっと俺の手を握り返してきて、ただもうそれだけで疲れがふっとんで全身が幸福感で満たされる。


「あのね、今日ロボと一緒に見たかったものがあるの」
「見たかったもの?え、なに」
「えっとね、星」
「星?」
「うん。流星群」
そう言って、夜空へ人差し指を向けた。

冬の空は空気が澄んで月の光りが一層と輝き、手をつないでゆっくりと歩く俺たちを家へと導く。


47:星に願いを 2/4
07/12/30 05:02:44 kbEPTIXo
食事の後、風呂に入った俺が出てくるとそこにニコの姿はなかった。

ニコはベットの上に座り、窓から夜空を見上げていた。
俺に気づくと来てと手招きをする。
「まだ、見えないんだよなぁ」
「さっき言ってた、流星群?」
「うん。ここからじゃ無理かなぁ、やっぱ山手のほうがいいのかなぁ」
どこからでも見えます。ってテレビで言ってたのにとニコは少し口を尖らす。
その様子が可愛くて、ニコに近寄って髪に軽くキスをする。
「わーもう、なにすんのよっ、スケベ!」
「なんだよー、それ」
でも、言葉とは裏腹に嫌がるそぶりはみせない。
「ロボは流星群のこと知ってると思ってた」
俺がそのことを知らなかったのがニコには意外だったらしい。
宇宙の神秘のことだったら、俺がどんな小さなことも見逃したりはしないと思っているから。
いや、知ってるんだけどね。
さすがにこの忙しさのせいで、最近は昼間の青い空も澄んだ夜空も見上げる余裕がなかった。
今日はニコにその余裕を与えてもらった。
「ありがと、ニコ」
「どうしたの?急に。……あっ!」
「え?」
驚いたように指さすほうへニコから外へ目を向けると1つ2つと星が流れていった。
「ねっ、見た?今の」
「うん、見た…」
それから、しばらく二人で時間がたつのも忘れて夜の空を眺めていた。
1つ流れたと思うと続けてたくさんの星が流れる。
言葉どおりの流星群。

「これをロボと見たかったんだ。よかった」
俺の隣で、小さく呟いたニコの横顔を見つめる。
月明かりに星の煌めきにその瞳が黄金色に照らされて、目を奪われる。


48:星に願いを 3/4
07/12/30 05:03:59 kbEPTIXo
「くしゅんっ」
「あ、寒い?って、当たりまえか」
冬なんだし、しかも夜だし、気温も低くなってきたみたいだ。
「やめとく?風邪ひいたらあれだし」
と、窓に手をかけて閉めようとしたけど
「うん…でも、もうちょっと見ていたいなぁ」
「えーっと、じゃあ…」
俺はそばにあった毛布を引っ張って、それにニコと二人でくるまった。
「これなら、ちょっとはマシだよね」
うん、とニコは少し恥ずかしそうに頷いて、また窓の外へ視線を移す。

外は完全に人の気配もなくなり静寂に包まれていて、二人の視界には流れていく多数の星が。

目の前でおきる壮大な宇宙のスペクタクルに感動しながらも
自分の身体に密着するニコの温もりに正直俺の体温は異常なくらい上がっていた。
この胸の昂ぶりをニコに悟られないように微妙に身体をずらしてみたりするのだが
いつのまにかまたその暖かい誘惑に負けてしまう。
そんな俺の葛藤を知ってか知らずか、ふいにニコが口を開いた。
「ねえ、ロボ。あんなにたくさん流れ星があったら、その分の願いごとしてもいいのかな」
「え、うーん、どうだろう。ニコ、そんなにたくさんあるの?」
「だってさ~、一つの流れ星にたくさん願いごとしたら欲張りすぎてダメだろうけど、
数えきれないぐらい流れ星があるんだからに10ぐらいお願いしたって
バチはあたらないと思う。1つぐらい叶うかもしれないし」
「まあ、そりゃそうだけど」
「占いとか神様とか信じてるわけじゃないけど、願えば叶うことってあると思うんだ」
「ニコの願いごとって、どんなの?」
どんな答えが返ってくるのか、期待半分不安半分で聞いてみる。
俺の一番の願いごとは決まってるんだけどな…。
「なんだと思う?」
いたずらっぽく笑ったその表情が輝きを繰り返す星に負けないくらいに
綺麗で可愛くてドキッとしてしまった。


49:星に願いを 4/4
07/12/30 05:04:59 kbEPTIXo
「学校の試験がうまくいきますようにとか人気のケーキ屋さんの限定メニューが
食べられますようにとか家のゴキブリがいなくなりますようにとか…」
「はあぁ~?」
予想しなかったセリフがニコの口から出て、思わず驚きのあとにプッと噴き出してしまった。
「笑うことないじゃん!」
「いや、そんな願いごとだと思わなかったからさ~」
「小さな願いごとから大きなものまで色々あるのっ。一番強く思うことは……」
再び夜の空に視線を戻して、少しの沈黙のあと
「大切な大事な人たちが幸せでありますように」
まっすぐに星を見上げながら、ニコは言った。

「俺もニコと一緒かなぁ。みんなに幸せになってほしい。もちろんニコにも」
綺麗な瞳が俺を見つめる。
「あたしは今、幸せだよ。ロボと一緒にいることが物凄く……うれしい」
最後、消え入るように言った言葉が甘く響いて、愛おしさがこみ上げてきて
彼女の肩に手をまわすとグッと自分のほうへ引き寄せた。
「ねえ、ニコ。キスしてもいい…?」
「…なんで聞くの?」
「いや、一応」
「そんなこと聞かなくてもいいよ…」
そう囁くニコの柔らかい唇にキスをする。優しく、そして段々と深く。
長いようで短い、短いようで長い時間が流れて離れ難い口づけをようやく解くと
愛しい彼女を胸に収める。
俺の速まる心臓の音がニコの耳には届いているはずだ。
「ロボ、今度プラネタリウム見に行こう」
「うん、そうだね。行こう」
「ロボと一緒だったら、どこに行くのも楽しいし退屈しないよ。多分……」
しばらくして、静かになったニコの顔を覗き込むと可愛い寝息をたてていた。
「寝ちゃった?ニコ」
ひんやりした空気が身体を覆ってきて、二人して風邪をひいたら大変なので
起こさないようにそっと窓を閉めた。

彼女の髪に頬を寄せながら、俺は願う。
ずっとこの先もニコと一緒に二人で星を眺めていられますように。


終わり


50:名無しさん@ピンキー
07/12/30 18:02:36 usxNUxgn
二人で一枚の毛布にくるまって窓辺にいるニコとロボという図が、すごく似合っていて映像が浮かぶ。
GJ!

51:名無しさん@ピンキー
07/12/30 22:16:01 BqlrGy9H
1人じゃなくて2人で一緒に星を眺めるって
シチュはいいなあ。GJ!

52:年の瀬の或る日 1/4
08/01/03 04:03:39 uoKGug4t
ちょっと時期がずれてしまいましたが季節小ネタです。
ニコ高校生、エロ無し

****************************************

「ロボいる~?」
 今年最後の日曜日、ロボの家にいつものように遊びに行くと、ロボはバケツと
雑巾を手にして、大掃除の最中だった。
「あ、ニコ。もうすぐ終わるからテキトーに待ってて」
「手伝おっか?」
「いや、いい。フィギュアの棚は自分でやらないと駄目だからさ」

 あたしはお湯を沸かしながらロボの背中を見ていた。
「ロボってさー、男の人にしてはきれい好きだよね」
「だってせっかく買ったフィギュアが埃まみれになったら厭じゃん」
「ふーん。一海ちゃんなんかズボラで、拭き掃除なんて自分でしたことないよ。
 いつも埃が溜まってから、あたしが仕方なく掃除するの」
「一海ちゃんはズボラでもいいの。あんなに可愛いんだから」
 なにそれ?一海ちゃんだから?
あたしはちょっと(というかかなり)ムッとしてイヤミっぽく言った。
「へーえ。今でも一海ちゃんは特別なんだ、可愛いからなんでもOKなんだー。
 お気の毒ですね、可愛い一海ちゃんの代わりに妹と付き合うはめになっちゃって!」
「ちょ、ちょっとニコ、何怒ってんの?」
「怒ってなんかいないもん!」
「やっぱ怒ってる~、あのさ、一海ちゃんは可愛いからズボラでいいってのは、
 そーゆー意味じゃなくて。綺麗な女の人なら、そのくらいの欠点も愛嬌で許されるってこと。
 でも俺みたいなオタク野郎が汚い部屋に住んでたら、洒落にならないでしょー」
 ロボは苦笑しながら言った。
「オタクはオタクなりに、自分の趣味に誇りを持ちたいからね~」

53:年の瀬の或る日 2/4
08/01/03 04:04:36 uoKGug4t
 何気ないロボの言葉にはっとした。
ロボは周りの目を無視して好きなように生きてるわけじゃなくて、
どういう風に自分が見られているか知っていて。たぶん、ひどく傷つけられたこともあって。
それでもロボなりのプライドをちゃんと持ってるし、納得できるように努力してるんだ。
すぐに拗ねる子供っぽい自分が恥ずかしくなる。
「あの、でも、ロボのそーいうところ、あたしはいいと思う」
「そういうところって?オタクなところ?きれい好きなところ?」
「全部」
 思わずストレートに答えてしまい、また恥ずかしくなる。あたしってダサい…。
「ありがと」
 ロボは手を止めて振り向くと微笑んで、それから急に真顔になって言った。
「俺、ニコを一海ちゃんの代わりとか思ったことなんて一度も無いからね」
 ドキっとして、あたしは顔を見られないように下を向いた。
 ロボはニヤニヤしながらフィギュア棚の方に向き直って言った。
「だってさー、どう考えてもニコの方が凶暴だろー」
 うっわ、ムカつく!
「あっそ!おやつに肉まん持ってきたけどもう持って帰ろうっと」
「えーそんなぁ!今のナシ!取り消します!」
「一度言ったことは無かったことになんてならないからね!」

 でも、あたしは肉まんが今すぐ食べたかったので、勝手にお茶を淹れて
ここで食べることにした。ロボが欲しがったら分けてやらないこともないけど。
ロボはまだ掃除が終わってないくせに、
「待って!俺も一緒に食べるー」とか言いながらさっさと手を洗いに行って
卓袱台の前に座りこんでまたニヤニヤしながらあたしを見上げる。
犬が尻尾振って待ってるみたい…。
仕方がないからロボの分もお茶を淹れてあげた。

54:年の瀬の或る日 3/4
08/01/03 04:07:20 uoKGug4t
「ニコは掃除とかする方なの?」
 お茶を飲みながらロボは尋ねた。
「まあ普通に。一海ちゃんよりはマシかな」
「ふーん、良かった」
「なによ、どういう意味?」
「だってそういうのは近い方がいいじゃない、将来一緒に住む時に」
 この男、今さらっとトンデモナイことを言ったんだけど。
問いつめたらきっとアホな冗談でごまかすから、それ以上は聞かない。

「うーん、やっぱロボット達の輝きが違うなぁ~
 綺麗なロボットを見ながら食べる肉まんはサイコーだっ!」
ロボはフィギュア達を見て満足そうに頷いた。
あたしの頬が熱くなっているのはきっと気づかれてない。

「ニコリン大佐、大晦日は年越マックスロボ全話鑑賞会を開催する予定であります!」
「ふーん良かったね」
「ふーん、って何。ニコもおいでよ」
「それはちょっと。あたしだって忙しいんだから」
「ちぇー、冷たいなぁ」
「オタク仲間で盛り上がればいいじゃん」
「そうだけどさぁ」
「女子高生は大人の会議に混ざれないでしょ」
 手を伸ばしてロボの鼻をぎゅ、とつまんでやった。
「ちょ、なにすんのっ」
「だってここに印がついてるよ、『つまんで下さい』って」
 笑いながらロボの鼻柱のホクロを指さすと、
まったく、こーゆーところはまだ子供なんだから、とロボはぶつぶつ言った。
「また遊びに来るよ。年が明けたら」
「じゃさ、初詣一緒に行こう」
「うん、神様と約束しにいく」
「何を約束するの?」
「内緒。ロボは?」
「俺も内緒」
「あー、なんかやーらしー」
「やらしくない!やらしーとか思う方がやらしーんですぅ」
 ロボは一呼吸置いて、小さな小さな声で呟く。
「俺の幸せとニコの幸せが同じになりますように、頑張りますって約束するんだよ…」

55:年の瀬の或る日 4/4
08/01/03 04:10:05 uoKGug4t
 あたしはゆっくり目を上げて、ロボを見つめた。
その約束、きっとかなうよ。ううん、何年も前から叶ってた。
密かなあたしの願い、あの頃、ダイヤモンドみたいに見えたロボが少し遠く感じて
一人で諦めてしまった願い。
 神様って本当に悪戯が好きなんだ。
少しだけ大人になって少しだけ強くなったあたしの手に、14歳の自分の夢が戻ってきて。
今の自分ならきっと守れるって思う。

「駄目駄目!そんなカワイイ顔してこっち見てもダメ~。これはあげないからね!」
ロボが素っ頓狂な声を出した。
「はぁ?」
「俺の肉まん、狙ってるでしょ!これは俺の分だから!」
「……バーカ。つーか、元々あたしが買ってきたやつじゃん」
しょーもない会話を心地よく感じながら、頬杖をついた。
見つめる先の棚の上には一度壊れてつぎはぎだらけの、でもぴかぴかに磨かれた
マックスロボが得意気に立っている。再生した絆の証のように。
「…ニコが神様と約束したいことって、何だろなぁ」
 チラっとこっちを見て、少し目を伏せて、独り言みたいにまたロボが言い出した。
「内緒だってば」
「ふーん」
キラキラした目で問うように視線を投げかけるロボに、心の中で答えを告げる。

本当に大事な願いは言葉に出せない。
でも、耳を澄ませば早まる心臓の音が聞こえるはずよ。
二つの願いは、二つの鼓動と重なって
それはあたしの耳にいつまでも響く。

********************************
終わり

56:名無しさん@ピンキー
08/01/03 10:36:03 odx462KP
>本当に大事な願いは言葉に出せない。

これってなんとなくわかる気がする。
でも、言葉にしなくても二人は気づいててわかってるんだね。きっと。
GJでした!


57:名無しさん@ピンキー
08/01/03 10:48:49 vu+wdpLe
ロボが的外れなことを言うのがロボらしいw
とても良かった
GJ!

58:if~涙の理由~ 1/8
08/01/07 08:40:20 sWxNgu+g
高校生ニコとロボ。直接エロ内容は無しですが行為有りを示す描写は有りですので
そこだけ注意。


* * * * * * *

「何なんだよ……」
 たった今ニコは俺の前から消えた。
 撫でた髪の感触も、抱き締めた肌の温もりも、甘い香りも唇の味も全部まだこの
身体に残ってるのに。

『全部忘れていいからね』
 そう言ってニコは事を終えると淡々と服を着て、俺に一言も言わせまいとしてる
かのように間髪入れずに言い捨てて出て行った。

『サヨナラ、ロボ』

 まだ温かいシーツの皺を握り締め、今起きた出来事が夢ではなかった事を確かめる。
 混乱した頭で慌てて窓から顔を覗かせると、ニコが身体を強張らせて歩く後ろ
姿が遠くなるのが見えた。
「ニコ!!」
 呼び掛けた声に一瞬だけ足を止めて、またそのまま歩き出す。
 早く服を着て追い掛ければ良かったのに、体が重くて動けなかった。呆然と
しながら今起きた出来事を頭の中で再生する。


「ロボ、お願いがある」
 何だかいつもより元気のない気がして正直気になってた。だから
「いいよ、何?」
理由を聞く前に返事をした。
「あたしを……抱いて欲しい」
「はっ?」
 聞き間違いだと思って

59:名無しさん@ピンキー
08/01/07 08:43:53 sWxNgu+g
すいません。改行の関係か分割失敗しそうなので投下やり直します。お見苦しくてごめんなさい。orz

60:if~涙の理由~ 1
08/01/07 08:46:42 sWxNgu+g
「何なんだよ……」
 たった今ニコは俺の前から消えた。
 撫でた髪の感触も、抱き締めた肌の温もりも、甘い香りも唇の味も全部まだこの
身体に残ってるのに。

『全部忘れていいからね』
 そう言ってニコは事を終えると淡々と服を着て、俺に一言も言わせまいとしてる
かのように間髪入れずに言い捨てて出て行った。

『サヨナラ、ロボ』

 まだ温かいシーツの皺を握り締め、今起きた出来事が夢ではなかった事を確かめる。
 混乱した頭で慌てて窓から顔を覗かせると、ニコが身体を強張らせて歩く後ろ
姿が遠くなるのが見えた。
「ニコ!!」
 呼び掛けた声に一瞬だけ足を止めて、またそのまま歩き出す。
 早く服を着て追い掛ければ良かったのに、体が重くて動けなかった。呆然と
しながら今起きた出来事を頭の中で再生する。


「ロボ、お願いがある」
 何だかいつもより元気のない気がして正直気になってた。だから
「いいよ、何?」
理由を聞く前に返事をした。
「あたしを……抱いて欲しい」
「はっ?」
 聞き間違いだと思って外れた声で返してしまった。だけどニコはそんなの無視して
「お願い」
そう言って俺の前に回り込むと、胸に顔を埋めて来た。
「あの、ニコ。言ってる意味わかってる?」
「わかってるよ」
 確かにこんな冗談言う様な娘なんかじゃない。
「あの、俺は男だし、スケベだし悪い気はしないけど。ていうか正直嬉しいんだ
 けど。……ニコの事す、すっ好きだし!」
 俺の袖を摘んだニコの手がぴく、と震えた。
「そうなの?」
「うん。だけど、だからって今急にそんなどうこうしなくてもいいから。ただ、
 ニコの気持ちは知りたい」
「あたしは……」
 ニコはうっすらと涙を溜めて俺を見上げた。
「あたしもそう。だから……」
次の瞬間強い力でしがみついて来る。
「最初はロボがいいの!お願い……」
「ニコ?なん……」
顔を見下ろしてハッとした。一歩も引かないという瞳をしてた。


61:if~涙の理由~ 2 
08/01/07 08:48:21 sWxNgu+g
 後はもうそのまま、震えるニコをベッドまで抱き抱えて運んだ。ハッキリ言って
欲望に負けた。それにニコをそれ以上拒む理由もなかった。

 3ヶ月位前にニコと再会してから、まるで『また明日』と別れてしまったあの日の
続きみたいに自然に会う様になった。そしてそれはとても居心地の良い時間の始まり
で、ニコが自分にとってどれだけ大切な存在だったかという事を確認した。
 だから、俺がニコに友情や兄以上の感情を持つのにほとんど時間は掛からなかった
と思う。

 ニコを抱き締めて初めてキスした時夢みたいだと思った。
 何度もいいの?って聞いて頷いたニコの服を緊張と喜びで震える手で脱がせた。
慣れない動きに黙って身を任せてくれる彼女がただ愛しくて、夢中で身体中を愛撫した。
 何度も何度も名を呼んでキスをした。
 繋るのに苦労してやっと終わった後、どっちも泣いていた。俺は単に感激しての
事で、ずっと抱き締めていたかったのにニコは黙って身体を離した。
 ニコの涙は俺のそれとは意味が違っていたのだ。

「ニコ?」
「ロボごめん」
 わけがわからず困惑する俺に背を向けてさっさと服を着る。
「俺……なんかまずかった?」
 そういえば何の準備もしてなかったから、避妊してなかった!?迂闊だった。
「ごめん!……で、でもちゃんと責に」
「違うよ」
 俺の言葉は遮られ、そして信じられない言葉が続く。
「昭子さんが帰って来てる」
「…………は?」

 ニコが言うには、つい昨日学校帰りに偶然見掛けた彼女の後を思わずつけたらしい。
着いた先は多分場所や建物の様子からあのマンションだと思う。
「えっ……と、で?」
「今度は邪魔しないから」
 脳裏にゴミ箱を泣きそうな顔で漁る14歳のニコが浮かんだ。同じ瞳をして俺を振り
返り
「あたしもう思い残す事ないから」
だから行けと?
「全部忘れていいからね」
「ちょっとニコ!」
「……サヨナラ、ロボ」

 もうとっくに思い出の向こうにあった出来事が頭の中に蘇ってくる。

 わけがわからないまま戸惑っているうちにニコは俺が止めるのも聞かずに、消えた。


62:if~涙の理由~ 3
08/01/07 08:49:57 sWxNgu+g
 何度電話しても拒否されて繋がらなかった。家まで押しかけるのもさすがに今の
出来事を思うと彼女の家族に気が引けて、後ろめたかった。

 昭子さん。
 あの時は本気で好きだった。初めてあんなに一途になれる事を知った。結果いろんな
物を失くしそうになったけど、あの時の俺自身は幸せだったのだろうと懐かしく思う。
 今思えば狂っていた。確かにどうかしてたんだろう。全てを敵にしてもただ側に
いられたら良かった。 結局それは俺のエゴで、昭子さんの気持ちも、仲間だった人達や必死でそれを
守ろうとしたニコの想いもわかろうとしないでみんな振り回してしまったに過ぎな
かった。

 ニコは俺を許してくれたけど、自分自身を未だ許せてはいなかったのだろうか?
『俺は許してるから。だって俺達友達だろ?』
 あの気持ちに嘘はなかったのに。勿論今も。

「ニコ……」
 一体お前何を考えてるんだよ。

 俺は今、苦しいよ…………。


 翌日の朝、思い切ってニコの家に向った。玄関の前で呼び鈴を押すのを何度となく
迷っては次こそ、と繰り返していると、いきなりドアが開いて一海ちゃんが出て来た。
「きゃああ!!び、びっくりした……あ、あなた、えっ?何してるんですか!?」
「い、いやあのおはようございマックス!決して怪しいわけは……」
 ああ~、完全に不審者を見る目だよ。
「いやあの、ニコ!ニコにどうしても用があって」
「ああ、ニコね、ちょっと待って」
そう言って奥へ入って行くと呼ぶ声がする。そのまま戻って来ると自分は出かける
から、と出て行った。デートかな、可愛い格好して。でも何とも感じなかった。
その後にニコも出て来る。思い詰めた様な顔をして……。
「何?あたしも今から出るんだ」
「何って、ちょっとどこ行くの?俺との話より大事な事?」
 靴を履くと俺を押し退ける様にドアを閉めてスタスタと先を行くニコの腕を掴む。
「ニコってば!!」
 ちょっと苛ついて思わずキツい声をあげてしまった。一瞬驚いた顔で振向いたニコ
はまたすぐ目を伏せて呟いた。

「あたし今からデートだから」


63:if~涙の理由~ 4
08/01/07 08:51:56 sWxNgu+g
 デートって……。

 昨日俺とあんな事しておいて他の男と!?何考えてんだよ!!
 頭の中では言いたい事が一杯ぐるぐる回ってたけど、痛々しい瞳をして俺を見る
ニコを見ていたら何も言えなくなった。その上
「来ないで!」
なんて拒絶されたらもうそれ以上追えなくて、走り去る姿を黙って見送った。

 …………わけないじゃないか!!!!
 伊達にスパイなんかやってませんでしたって!(ドジだとか役立たずとか言われて
たけどorz)
 勿論したよ、尾行。どんな男と会う気なのか気になるじゃないか。
 待ち合わせしていた男はニコと同じ位の奴だった。何だよ、あんなのが好きなの?
……はい、してますよ嫉妬。
 昨日ニコを触りまくった手に今は何とも言えない汗を握りながら、ただその姿を
見失うまいと看板の陰に身を潜めたり、ファミレスでは店員にひたすら黙れと合図を
する。

 ああ俺は今最高に変な奴なんだろうな。笑いたければ笑ってくれ。どう思われても
構うもんか!
 ニコをこのままはいそうですかと手放すなんてそんな事……できるわけ、ない。
 心じゃ勇ましい事を言ってても実際はどうしたらいいのやらさっぱりわからない。
 ただニコが何を考えてこんな事をしてるのか知りたかった。
 ターゲット(?)の2人は映画館に入った後公園を散歩していた。その後を少し
離れて付いて行くと、段々人の少ない場所の方へニコの手を引いていくのがわかった。
 あいつ何する気だ!?やな予感。
 やがて立ち止まると相手はニコをいきなり抱き寄せ何かを呟いた。
 ニコは必死に離れようともがいて顔を背けるが、その腕を掴んで更に側の樹に押
さえ付けようとする。
「ニコ!!」
「助けて……ロボ!!」
 俺が飛び出すのと同時にニコが俺を呼ぶ声が聞こえた。体ごと相手にぶつかって
ニコから引き剥がした。
「な、何だよあんた」
「ニコから離れろ!!」
 奴はじっと俺とニコを交互に見ては睨む。
「俺のニコに近付くな……」
 あの時は一海ちゃんに情けない所を見せて振られたけど、今度ばかりはそうもいか
ない。
 ニコを渡したくない。ただそれだけだった。


64:if~涙の理由~ 5
08/01/07 08:53:43 sWxNgu+g
「林さん、俺はただ」
 言い訳がましく迫り続けようとする奴にニコが言った。
「ごめんなさい、あたしやっぱりどうしても付き合えない」
「まさかこのオッサン?」
 チラッと俺を睨んでまたニコに視線を戻すと、悔しげに唇を噛んで走り去った。
 ニコは俺と視線を合わせたくないかの様に背を向けたまま泣いていた。
「なんで?なんで行かなかったの?なんでついてくんの!?」
 なんでなんでって、俺が聞きたいよ。肩を掴みかけたが何となくためらわれて、
頭をそっと撫でた。
「じゃあ何でニコは俺を呼んだの?」
「……だって尾行下手なんだもん」
「は?」
 ゆっくり振向いて真っ赤な瞳で見上げながら
「ロボの足音、あたしがわからないと思う?」
もうその一言でニコを責めるまいと思ってしまった。
「思わない~」
 こっちを向かせて思い切り抱き締めた。ああ今俺絶対ニヤけてる、こんな時に。
「だからちゃんと話をしよう?」
 腕の中で泣きながらニコはやっと頷いた。

 あの日の様にベンチに腰掛けてニコの話を聞く。違うのは端と端じゃなく並んで
座って、俺はニコの手を握り締めたままでいた。
「あの事ずっと気にしてたんだ?」
 俺の言葉に俯いたままニコは答えた。
「あの時あたしが手紙を渡してたら、ロボは昭子さんと離れずにすんだんじゃないか
 って思った。もし別れるとしても、最後に一目会えたとしたらその方が良かったん
 じゃないかって。あたしがあの時魔が差したせいでロボの人生狂わせちゃった」
「そんな事……」
「だからね、昭子さんを見つけた時、今度こそ黙って見過ごしたらフェアじゃない
 って思ったの。今度こそあたしは自分を絶対許せないって。だからロボには話そう
 って決めた。あとはロボの自由にして貰うつもりで」
「だったら何でその前にあんな事したの?俺の事……」
「好きだよ。ロボが好きだったから。だからあたしも後悔したくなかったの」
 やっと顔を上げて俺を見た。その顔はとても穏やかに見えて、綺麗だと思った。


65:if~涙の理由~ 6
08/01/07 08:55:07 sWxNgu+g
「前に昭子さんのとこに行っちゃった時は辛かった。あの時まだあたしは子供だった
 から自覚はなかったけど、多分ロボの事好きだったんだと思う。だけどやっぱり
 叶わないんだってどこかでわかって諦めて、それでも悪足掻きしてのマックスロボ
 だったり一海ちゃんとのデートセッティングだったりしたんだよね。会えなく
 なるのは嫌だったんだ」
 聞いてて胸が苦しくなった。
「もし今度ロボがどっか行っちゃってもまた仕方ないのかもと思った。だけどあたし
 自分も後悔して引きずりたくなかったんだよね。だから悔いのないように1度位は
 自分に正直になって、きっぱりとケリつけたかったんだ」
 そんな気持ちにさせてニコを追い詰めた自分が俺は許せない気持ちになった。けど
ニコはそんな気持ちを見抜いたのか
「ロボは何にも悪くないからね。あたしが自分で考えて自分で出した答えだったの。
 やな想いさせてゴメン。だからもし責任とか感じてるとしたらそんなのいらないから」
「そんな事思ってない!」
 そりゃもしもの時には……とは思ったけど、自分の気持ちに嘘なんかついていない。
それではニコを傷付けるだけだという事位わかるよ。
「さっきの奴付き合うつもりだったの?俺と別れておいて」
「ううん……。友達から話があってちゃんと断ったんだけど、行き違いがあって
 向こうはその気になっちゃってて、友達も断りにくい状況だったみたい。だから
 とりあえず会うだけのつもりだったんだ。それで今日ハッキリ断ったら……」
「そっか。良かった」
 何かホッとした。ヤケになったわけでも、本気で他のとこにいくわけでもなくて。
「もし、もしね。あの人とか他の人と付き合う事にしたとしても、あんな事やっぱり
 考えられないと思っちゃった。ロボじゃなきゃ嫌だって……ごめんロボあたし」
「ニコ。忘れたからってなかった事にはならないんでしょ?」
 昔ニコが言った言葉だ。
「ニコが忘れてって言ったって、俺はそんなつもりなんかないからね」
「う……」
 ポロポロと涙を流しながらごめんなさいごめんなさい!と腕の中でニコは繰り返した。


66:if~涙の理由~ 7
08/01/07 08:56:30 sWxNgu+g
 ひとしきり泣いて落ち着いたニコを抱きながら考えた。
 昭子さんの事はもう今更、あっちだって……。あの後しばらくはふと思い出す事は
あったけどすぐに忘れた。だから一海ちゃんとのデートなんかに浮れてたわけだし。
ニコには酷い事した気が今となってはするけども。
「ニコ。ニコの気が済むなら行って来ようと思うんだけど」
 しがみついたニコの手に一瞬力がこもった。
「え……」
「ただし元気なとこを見届けるだけだからね。ニコも一緒に」
 戸惑った顔を上げたニコを立たせて自分も立ち上がった。
「俺はもう二度とニコと離れる気はないからね」
 3年も経ってやっと実った恋なのに。


 部屋は既に片付けられた後だった。管理人に聞くともう引き払われたという。この
ために帰って来てたんだろう。
「ごめんロボ。またあたしのせいだ」
「もう言うなって!ニコのせいじゃないってば」
 また哀しそうにするニコの手を引いて
「帰ろ」
とロボット達の待つ部屋へと歩いた。


 もしあの時手紙が俺の手元に届いていたら、会いには行ったかもしれない。最後に
部屋を訪ねた時には、もしやり直せるならそうしたいと思ったし、その一方で続か
ないかもしれないという事も実は考えていた。
 どのみち昭子さんは俺を連れて行く気はなかったのだと思っている。
 あの時ニコに俺が言った様に、最後にどうにか連絡の1つも取ろうと思えば取れた
のだから。昭子さんは俺の気持ちを受け入れてはくれたけど、俺が抱いていた気持ち
とは違う物を抱いていたのかもしれない。
 ただ最後に俺の前から黙って消えた事が、俺に対する愛情の形だったのだろうと思う。
 今なら『時間が止まればいいと思う』と言ったあの人の気持ちもわかる気がする。
 だけど今の俺はニコに対して『続けばいい』ではなく『続く』という自信がある。

「ただいマックス!あ~疲れたっ。やっぱりうちはいいなあ、うん」
 ことさら大きな声で喋ってみたがニコは黙って玄関に立ったまま。
「何してんの?ほらさっさと入る!ニコらしくないぞ~」
 ようやく頬が弛んでニコは靴を脱いだ。


67:if~涙の理由~ 8
08/01/07 08:57:57 sWxNgu+g
「お腹空いた。なんか作って」
「は?」
 いいじゃん、俺も手伝うからって流しに半ば強引に立たせた。
「もうー。冷蔵庫見ていい?」
成功。普段のニコに戻って来た。
 野菜を洗い始めた後ろ姿を見ていたら、とても小さく感じた背中がたまらなく
愛しくなって抱き締めた。
「ちょっと、何?……動けないとご飯出来ないよ」
「それは困るよ~。けどもうちょっと」
「じゃあ離してよ……」
 ヤダヤダってやってたら我儘!って怒られた。
「そうだよ。なんかニコといたら俺欲張りになったみたい」
 あの時はただ何も見えなくて考えられなくなって、他の物なんかどうでもいいと
思ってた。決行の前だったら一緒に逃げようと言われたらそうしてたのかもしれない。
 でも今は、ずっと大事にしてきた物を手放さなくて良かったと思う。ロボット達も、
どっかいい加減にやって来た仕事も全部俺自身だから。

 今の俺には捨てたくない物がたくさんあるんだ。勿論その上で一番失いたくないと
思うのはニコだ。1秒でも長く触れていたい。
「あのさ、ロボ……言いにくいんだけど、背中何か感じる」
 あ、バレた。
「う……ごめん!でも昨日の今日だし、これ以上何もしないから」
 髪の匂いとか柔らかい身体の感触とか、そりゃ反応するよね。鎮まれ俺のカラダ!!
「えっと今度はちゃんと準備しとくから、そん時はお願いね」
「やっ、スケベ!!」
 それは愛だからです。
「ロボは正直すぎるんだよ」
 それが正義という物です。
「んもうー、手伝うの?手伝わないの!?」
「はいやります!ニコりん大佐ご命令をば」
 敬礼してみせると笑って皮剥きを命じられた。並んで話してると疲れも感じない。
 出来上がった料理はどんなものでも、きっと2人のお腹も心も満たすだろう。
 俺はニコをまるごと愛したいとますます想う。守りきる勇気を持とうと約束する。
だから安心して俺を信じて預けて欲しい。そのためなら何だって頑張れるから。
 一緒に笑える様にいつまでも側にいるから、だからもう黙って俺を置いて行かないで
欲しい。
 嬉し涙だけ流して欲しいから……。

* * * * * * *終


68:名無しさん@ピンキー
08/01/07 08:59:44 sWxNgu+g
以上です。
長い上に早々にお目汚しすいませんでしたorz


69:名無しさん@ピンキー
08/01/07 10:01:21 Y57sGCtH
昭子さん誰にも会わずに帰ったのか~
昭子さんらしいかも
ニコも苦しかったんだね
GJ!

70:名無しさん@ピンキー
08/01/07 21:24:40 4D5OEKuX
GJ!
ニコのためにも自分のためにも今のロボだったら強くなれる!

でも、完璧なスパイにはまだまだだ!w


71:名無しさん@ピンキー
08/01/07 21:42:18 1pTnPmPp
なんかとってもニコらしい
案外ニコってイジケ虫?

72:名無しさん@ピンキー
08/01/08 05:27:27 oOBNB0jR
>でも今は、ずっと大事にしてきた物を手放さなくて良かったと思う。
 ロボット達も、 どっかいい加減にやって来た仕事も全部俺自身だから。

本編の「全部捨てたら、違う自分になれるかな?」に対応していてイイ!と思う。
亡き友を忘れそうな自分を受け入れて自由になった昭子さん
「魔がさした」自分を受け入れて自由になったニコ、というのも
本編と繋がっていて自然でイイ。

73:名無しさん@ピンキー
08/01/14 07:53:37 /0oBwZr7
ほす

74:まだ恋は始まらない 1/4
08/01/15 09:11:58 2lfZWVly
一海ちゃん視点短い話です。エロ無し。すみません。

××××××××××

「遅い!遅すぎる!」
今日は彼と久々のデート。楽しみにしてたのに、なかなか現れない。
はっきり言って好みのタイプじゃなかったんだけど、好きなんだって告白されて
涙を浮かべた瞳に見つめられて母性本能がくすぐられたっていうの?
私の運命の人かもしれないって思ったのよねぇ…。
なのに、最近どうもおかしい。ずっと忙しいって会ってくれなかったし、連絡が途絶えてて。
今だって電話もメールも全く応答なし。

苛々する私の視界に訳のわからない歌を唄いながら、明らかに周囲から浮いている男が
スキップをしてこちらへやって来るのが見えた。
もしかして……。
マーックス!とかなんとか言って、私の正面に立ち止まって顔を見たとたん驚きの声を上げた。
「ああ~、か、一海ちゃん!!」
やっぱりそうだ。
「…どうも、こんにちは」
少し距離を保ちつつ、あたりさわりのない挨拶をした。
「どうしたのぉ~、何してんのー?こんなところで」
「あなたこそ、どうしたんですか」
「えーっと、俺はねぇデートの待ち合わせ♪」
「あ、ここで?」
うん、そう!ってデレデレして答えたこの男が、今だに信じられないけど私の妹の彼氏なのだ。
17にもなって色っぽい話のひとつもない色気より食い気?な妹が、ここ二ヶ月程前から
休日の度に出掛けて家にいないことが多くなった。
そこは恋愛に関しては右に出る者はいないと自負する私はピンときてニコに問いただした。
最初はしらばっくれてたけど、しつこい姉の尋問に最後は白状した。
いつもの生意気っぷりが影がひそめて恥ずかしそうに彼と呼ぶ人ができたと。
それがこの須藤威一郎という男。
「一海ちゃんも待ち合わせ?」
「ええ、まあ。今日は映画にでも行くんですか」
「今日はですね、我が愛するマックスロボのDVD発売を記念して同士が集まってのイベントが
ありましてですね、そのパーティーに行くのであります!」
パ、パーティー?それはただ単にオタクの趣味全開の集まりでしょ。
ニコったら、そんなものに付き合うためにオシャレしてたわけ?
額のあたりに手をかざし、バシッと敬礼のポーズをして聞きもしないのに興奮してまくし立てる。
「マックスロボはですね~~」「桃山チャコが~~」「作者の直筆サインを~~」云々。
「ああ~、もういいですからっ!」
…いい人なのはなんとなくわかってるんだけど、これはどうにかならないものかしら。

並んで立っている私たちの前をモデル風の美女が歩いていく。
ちらっと横目で見ると鼻の下を伸ばしてニヤニヤして目で追っている。
こういうとこはニコと付き合ってるからって変わったりはしないのね。
得てして男とはそういう生き物だけど。


75:まだ恋は始まらない 2/4
08/01/15 09:12:52 2lfZWVly
そういえば昔はウザイぐらいに私にモーションかけてたわよね。
ここは姉としてクギをさしておくべきだわ。
「あの、須藤さん。ちょっといいかしら」
「いやだなぁ、一海ちゃん。そんな他人行儀な。
須藤じゃなく、威一郎とでも呼んで下さいっ。将来、弟になる男ですから!」
「はああ~??」
こいつ、もといこの男、今なんて言った!?
「だって俺とニコが結婚したら、
一海ちゃんはニコのお姉さんでしょ。すなわち俺のお姉さんにもなる訳ですっ!」
あのー、マジで言ってるの?
「ニコは私の可愛い妹。あなたを疑う訳じゃないけど歳も離れてるし、男の人と付き合うのも初めてだし、
だから、あのコの事弄んでポイッなんてマネしたら、承知しませんから」
このオタクに限って99%ないとは思うけどまさかの1%が起こらないとも限らない。
でも、首が折れるんじゃないかってぐらい振って
「愛と勇気と正義の使者の俺がそんな極悪非道な男に見えますか!!
絶対ありえないっ!!」
私の目の前で握りしめた拳を胸のあたりに掲げて、鬱陶しいオーバーアクションで
必死に否定するのを見て前言撤回。
やっぱりないでしょっ。ニコをソデにするほどモテまくるなんてあるわけないし取り越し苦労よ。

「将来の話とか、二人でしてるんですか」
「あ、いやこっちが勝手に思ってるだけで、俺達まだ始まったばかりだし、ニコには言った事ない。
俺こんなんだから、何年先になるかわからないけど自信がついたときにそうなれたらいいなぁて」
結構、真面目に考えてるんだ。
勘違いの暴走オタクかと思ってたのに。
ニコはこの人のこういうところをわかってて、惹かれたのかもしれない。
「だったら、その時がきたら大事にして下さいね」
「あたりまえです!」
「まあ、世間的にはあなたのようなサラリーマンが今はまだ高校生のニコに
手を出すなんてマズイかもなんだけど」
「まだ、出してませんっっ!!」
ああ、そうまだなの…。それはもう思いっきり力をこめて言うものだから
「いやっ、ほんとに!!」
慌てて口を塞いだ。
ほんとなんだよ、一海ちゃんって。何度も。もう、声が大きいってば!
普通に喋ってると思ったら、突然テンション変わるし
今度は未来を夢見て、本人にしかわからない妄想を語ってるし
当然、私の耳が拒否して、右から左へ軽く受け流しといてやった。


76:まだ恋は始まらない 3/4
08/01/15 09:13:59 2lfZWVly
うーん、何だかものすごく疲労感が……。
ああ私、彼氏を待ってるっていうのにこの寒空の下で何話してるんだろ。
隣にいる女の子の憐れみの視線が痛いわ…。
私、この人とは関係ない(ってこともないけど)ですから!彼氏でもなんでもないですから!
と、必死に目で訴える。

ニコは一緒にいて疲れることないのかしら。疲れる相手だったら一緒にいないんだろうけど。
口笛を吹いて、挙動不審ぶりがはなはなだしい彼の横顔をほんと無駄に元気よねぇて眺めてたら、
クルッと表情が変わって、満面の笑みになった。 待ち人来たるか。
「ニコ!」
「ロボ、はやーい。もう来てたんだ。ごめん!……って、あれ、一海ちゃん!?」
私がこの場所に居た事にびっくりした様子。
「俺もびっくりしたんだよ~、一海ちゃんと待ち合わせ場所が同じなんて奇遇だよねぇ」
「う…ん、でも一海ちゃん、待ち合わせ時間もう過ぎてるんじゃ…」
「あー、なんか少し遅れるみたい」
「そうなの?」
ニコが少し表情を曇らせる。
「あの、じゃあ来るまで一緒にお茶でも…」
気つかちゃって。ほらほら、彼氏は早く行きたくウズウズしてるじゃない。
さっきから、私達姉妹の会話に聞き耳たてて様子を伺って落ち着かない。
「いいから、ロボットパーティー(だっけ?)とやらに行くんでしょ」
「うん…。じゃあ、行くね」
申し訳なさそうに呟いて、寒いから暖かいとこで待ってたら。だって。姉思いの妹だわ、あんたって。

「行こ、ロボ」
「じゃ、また!一海ちゃん!」
ロボと呼ばれた彼は親指で鼻を擦って突き出し変なポーズを得意げに決めて、
先を行くニコを追って駆けて行った。
「ニコ~~、待って~。ねぇ、手つなごうよぉ、手っ」
「い・や・だ」
「いいじゃん、ちょっとぐらい!ねぇてば~。ニコのけちぃ~」
「はいはいっ。うるさいよ!ロボ」
賑やかな後ろ姿を見送りながら、深い溜息をついた。
ニコに言ったら、冗談でしょ!って怒られそうだけど
でもね、充分そう見えてしまったのよ。……バカップルに。



77:まだ恋は始まらない 4/4
08/01/15 09:15:01 2lfZWVly
「今日は最低な一日だったわ」
バッチリ決めたオシャレな服装からラフな格好にチェンジしてベットに転がった。
結局、あれからまた1時間待っていた。やっと繋がった電話に女が出た。
即効で振ってやった。
「一海ちゃん、帰ってたんだ」
「おかえりー」
「遅くなるとなると思ってたのに」
と、コートを脱ぐニコが私を見てもしかして?って顔をした。
「ま、いろいろあるのよ」
「ふーん」
それ以上、深くは聞いてこない。いつもそう。私に嫌の事思い出させないようにしてくれてるのか
何事もなかったように普通に接してくれる。
「ニコは楽しかった?」
「普通だよー。ロボみたいな人がいっぱいいてさ」
それは想像できるわ。
「それから家でご飯食べて送ってもらった」
清い関係はいつまで続くのかしら。
薄っぺらい氷の上を重い砂袋背負って歩くみたいに脆い理性を彼なりにセーブしてるのかも。
すぐカラダの関係持とうとする男が多いのに。
ニコが大切だからニコが自分を受け入れてくれるときまで、彼だったら待てるのかな…?

「あのさ、一海ちゃん」
呼ばれて見たニコの表情は何か言いたそうで目が合うと黙って俯いた。私はニコの次の言葉を待った。
「ロボと何話してたの…?」
「え?」
予想してなかった質問に一瞬戸惑ったけど、理解するまでに時間はかからなかった。
昔の事があるから気にしてるんだ。ヤキモチやいてるのかな。そう思ったら可愛くて微笑ましくなる。
「世間話よ。あれーなあに、ニコ気になるの?」
「ううん、別にっ」
からかうように言うと、かあっと頬に赤みがさして慌てて背中を向けて中断していた
着替えを乱暴に続けた。

恋をすると人は変わるというけれど、まさしく今のニコはそのとおりだ。眩しいほどに輝いていて。
心配しなくても大丈夫。
あなたが考えているよりずっと、あの人はあなたを大事に思ってる。
始まったばかりの恋は確実に共に歩く未来を描き始めている。
ちょっと羨ましい。
うわべだけの格好よさを相手に求めてうちは、まだ恋は始まらない。
私はまだお互いを必要とし必要とされる本当の恋をしていないのかもしれない。
だから
運命の人に出会ったとき、私の本当の恋は始まる。

「あーあ、早く現れないかな。私の運命の人」


終わり


78:名無しさん@ピンキー
08/01/15 19:29:19 q34t8wTk
一海ちゃん(・∀・)イイ!!
なんとなく切なさを感じる前向きさが心に沁みた
照れるニコも可愛い
GJ!

79:名無しさん@ピンキー
08/01/15 21:16:24 rGmYjoDO

一海ちゃんの、打算もぶりっこも含めた
普通の女の子っぽさって可愛い 
だからニコも自分と似てないけど、一海ちゃんのことが大好きなんだと思う
運命の人、早く見つかるといいね
よっちゃんいい男なんだけどなぁ~
やっぱカタギじゃないと一海ちゃんは辛いだろうな~
GJ!

80:時間の悪戯 1/3
08/01/20 17:52:55 qtCpMcZT
エロ無し。ちょっとSFチック?です。

* * * * * * *


「パパ」
 ん?と横を見ると、小さな女の子が俺を見ている。
「は?」
「パパ」
 ……え、えーっと?
「あの、ど、どちら様で?」
 何なんだ。俺は独身男だぞ。子供なんかいない!いや、いてもおかしくはないん
だけど彼女いないモテないオタク貧乏……ときたら悲しい事に覚えが全くない(泣)
「あのさ、俺は君のパパじゃないよ?本当のパパはどこ行っちゃったの?」
「パ~パァ」
 え~?だから違うって。
「ママは?」
「お買い物ぉ」
 え~っと?つまり、俺がパパでこの子のお守りをしろと。
 辺りをキョロキョロ見渡すがそれらしき人はいない。いたらすぐわかるだろう。
だってここ、ファミレスの店内だし。
「とにかく困るよ~」
 よし、店長さんに迷子だって言って何とかして貰おう!その子の手を引っ張って
立とうとすると、
「うっ……パパ、行っちゃやあだぁ。うっ、うわぁぁぁ~ん」
女の子は泣き出してしまった。
 あわわわわ!
「わ、わかった、わかったから!行かないから、泣かないで。お願いだからぁ」
 まぁ、あんな小さい子泣かせてーなんて、井戸端会議風のオバサン達に睨まれ、
仕方なく横に座らせた。
 俺にどうしろと。
「ハイハイ、いい子だからもう泣かないで。あ、そうだ。ジュース、ジュース飲む?」
「うん」
 とりあえずドリンクバーでオレンジジュースを淹れてあげると、小さな手で
上手にコップを持って飲み始めた。
「おいしい?」
「うん」
 可愛いなぁ。俺も子供がいたらこんななのかなあ。
 ……なんだろうな?初めて会った子なのに、何だか懐かしい気がした。
 Σはっ、しかしっ!俺には今日のっぴきならない用が……。
 その時、店内に若い女性が1人入って来た。しかもスラリ系!もしやと期待に
胸を弾ませ、俺は目の前にマックスロボをどん!と置いた。


81:時間の悪戯 2/3
08/01/20 17:54:32 qtCpMcZT
 その女性はこっちを見ると、マックスに気付いたのかスタスタと近付いて来た。
や、やったあぁぁ!
「あの、須藤さ……?」
俺が頷く前に相手の顔が凍り付く。
 はっ!し、しまった、この状況……。
「パパァ、このオバチャンだあれ?」
「お、オバチャンですって!?」
 うわっ、何て事を。そう思った次の瞬間

バッチーーーーン!!!!

 ……目の前が真っ暗になった。ああ、頬が痛い。痛いのは生きてる証拠。生き
てるって素晴らしい……っておい!
「子連れでテレクラって、アンタ何考えてんの!?馬鹿にすんじゃないわよ。最低!!」
 彼女は怒りながら去って行った。
「ママには『シー』ね。怒るとこわぁいもんねぇ~」
 そう言って女の子はマックスを撫でながら人さし指を立ててウンウンと頷いた。
『脱・独り身』の文字が虚しく浮かび上がっている。ああ、せっかく今年こそ
寂しい誕生日に別れを告げられると期待していたのに。
「俺が一体何をしたというんだぁ……orz」
 赤く腫れた頬を撫でながら、周りの視線を感じつつ小さくなって席に着くと、
耳元で聞き慣れたメロディが響く。
「つおいぜ、つおいぜ、む~て~きだぁぜ~♪」
 女の子が何と、マックスを弄りながら可愛い声で歌ってる。
「えっ!?し、知ってるのぉ?」
 何でこんな小さな子供がマックスロボのテーマなんて歌えるんだ!?
「パパが教えてくれたんでちょ?」
「そう。へえ、ロボット好きなんだ?」
「おうちにいっぱいあるじゃない」
 ほほう、オタク仲間かぁ。もしかしたら気が合うかもしれないな。きっと俺に
似てるんだろうなと思った。ともかくそのパパとやらを探さなくてはならない。
「ねえ、そういえばお名前なんて言うの?幾つ?」
「あたし?つど~たちこ、みっつ」
「は?」
 全くもってよくわからんのですが。
「えと、あのもう1回……」
 その時だった。
「あ、ママ!」
「えっ?」
 側の窓を見ると、信じられない事が起こった。だが、それ以上に驚く事が俺を
待っていた。


82:時間の悪戯 3/3
08/01/20 17:56:15 qtCpMcZT
「えっ、ええ~~~~!?」
 振向くと女の子は消えていた。跡形も無く……。
 俺は呆然としながら、側を通り掛かった店員に
「あの、ここにいた女の子は?」
と聞いてみた。が、
「え?お客様ずっとお1人様でしたよ」
はあ?という顔で気味悪そうに離れて行ってしまった。
 何だったんだ、と思いつつ窓の外に目をやると、そこにはまだあの娘がいた。
思い切って手招きしてみると、しばらくじっと俺の顔を見ていたが、入口に向って
歩き出した。
「それにしても、あの女の子は一体……?」
 つど~たちこ?
 つど~、つどう、……すどう!?
「ああっ!」
 まさか!いや、それなら話はわかる。いやそんな馬鹿な……?

「今日は無視しないんだ?」
 頭を抱えていたら、側にさっきの姿があった。
「今年もこの席で1人なんだね」
 3年ぶりの声は何故か心地よく俺の耳をくすぐった。
「うん。今年も1人」
 それはとっても寂しい事のはずなのに、何故かそれで良かった様な気がした。
勧めると、ちょっと戸惑いながら向かいに座る。その時さっきの懐かしさの理由
が何なのかわかった様な気がした。
「どうかした?」
「……ううん」
 俺は胸が高まっていくのがわかった。
「3年振りか……」
 ニコは呟きながらメニューを手にする。
「ねえ、元気かなあ?……ハンバーグさん」
「……うん」
 
 2010年5月22日。
 その日、2人は3年振りに誕生日を一緒に迎えた。


 あれはきっと運命からの誕生日プレゼントだったのだろうと思う。どうしても
寂しくてたまらなくなってまたテレクラに手を出してしまったあの日。
 人生で最も大事な相手には、いつかはきっと巡り会えると教えてくれたんだろう。

「さしすせそ」
「たちつせと」
「もう、やっぱりさ行が苦手だなぁ。お名前言ってごらん?」
 あれから7年。目の前には今、3歳の娘に一生懸命話しかけているニコがいる。
「す・ど・う・さ・ち・こ」
「つどうたちこ」
「もうー、ロボ、幸子大丈夫かなあ?もうすぐ幼稚園なのに」
 大丈夫だよって俺は笑いながら、膝に乗っかってマックスロボを撫でながら
歌う娘を抱き締める。

 あの時の不思議な時間の悪戯を思いながら。

* * * * * * * 終


83:名無しさん@ピンキー
08/01/21 01:45:52 ZILzn3AT
幸子がいなかったらロボはテレクラレディとよろしくやっていて…
そんなことないかw
でも幸子は心配で未来からやって来たんだね
GJ!

84:名無しさん@ピンキー
08/01/21 08:16:38 6UBgkKUE
かわいいなあ~たちこ

2人を誕生日に再び巡り逢わせてくれたんだ
SFチックなお話GJでした

85:ロボの悪夢 1/3
08/01/25 21:10:46 Yr/98CjM
軽い小ネタです。エロなし。

××××××××××

骨董屋『地蔵堂』の前を一人の男が忙しなくうろついていた。
凸凹スパイの片割れ、ロボである。
頼りになる相棒ニコではなく、何故か先に自分に呼び出しがかかりここへやってきた。……はいいのだが
この摩訶不思議な館に一人で足を踏み入れることはロボにはかなり勇気を要することであった。
「はあ~、どうしよう~。ニコが来るまで待ってようかなぁ」
その時、ギイィ~と正面のドアが開いた。
「うわあぁぁぁ!」
「いらっしゃい」
驚くロボをよそに『地蔵堂』の主、真境名マキは優美な表情を浮かべて出迎えた。

一時期、姿を消していた真境名と秘書兼護衛の名梨が再び街に舞い戻ってきたことで、
平穏な日々は終わりを告げ、何やら闇の裏社会と通じているらしい彼女に仕事を
またまた依頼(半分は押し付け)されて、名梨を巻き込みスパイ活動をしている。
ちなみにこの慌ただしい毎日のなか、ロボとニコは彼の言うところあまーい春を謳歌していた。

「どうぞ。かけてちょうだい」
「あ、はい。どうも」
こうして彼女と二人きりになるのはめずらしい。いや、じっくりとは多分初めてかもしれない。
ロボは真境名が少なからず苦手だった。嫌いではないのだが、どこからともなく現れる突拍子のなさ
掴みどころない雰囲気といい、一人で相手をするのにロボは身構えてしまう。
いつもの定位置に座る真境名から、自分に送られる視線が違うように感じ戸惑って
少々ビビリながらも努めて冷静に聞いた。
「あのー、よっちゃんの姿が見えないんですけど」
「あぁ、ちょっと野暮用でね…」
意味ありげに微笑む真境名に、また無理難題な用事を言いつけられたのだろうと
ロボは胸のうちで思っていた。
「えーっと、今日は仕事の依頼ですか?だったら、ニコが来てから一緒に…」
「今日は違うのよ。あなたに用があるの」
「え、俺ですかぁ?」
「そうよ」
そう言ってスッと立ち上がると流れるような仕種でロボの隣へと腰を下ろす。
「大事な話があるの。そのために私が直接連絡をとって、
よっちゃんには出かけてもらって。……だから、ニコも来ないわよ」
ええぇぇ!?ロボの背中になんともしれない妙な冷や汗が流れる。

「ねえ、あなた、今の仕事やめて、うちで働かない?」
「は!?いや~でも、ここにはとても優秀な文句のつけようのない名梨秀吉様がいるじゃないですかー」
予期せぬ申し出に得体の知れない恐怖を感じて、ロボは必要以上に名梨を褒め称えた。
真境名はふぅと溜息をひとつついて
「よっちゃんね…。かれこれ何年の付き合いになるかしら。
あたしね、あの子を弄ぶことにもう飽きちゃったの」
弄ぶ?飽きた?ロボの脳内であらぬ妄想が広がる。


86:ロボの悪夢 2/3
08/01/25 21:11:39 Yr/98CjM
「私の元で仕事するのは嫌かしら?かなり大変だものね。
色々とややこしい問題があるから、護衛にも神経遣うらしいわ」
真境名は更にそばにすり寄ってくる。
「結構たくましい腕しているし、ガタイはいいし」
そのか細い小さな手がロボの二の腕を掴んだ。と、思ったらするりと胸板に伸びた。
「ちょっ、どこ触ってるんですかっ!」
「あら、いいじゃない。減るもんじゃなし。好きだわ…若くて男らしい身体」
ロボは手を払いのけて慌てて椅子ごと後ずさるが
本来のヘタレな性分のため強くでることもできず控えめにまくし立てた。
「あ、あの、俺…いえ僕はダメです!僕にはご存知でしょうが、林二湖という愛する女性がいます!!」
「ええ、知ってるわよ。雇い主としてスパイ二人の間柄ぐらい把握しておかないと。
で、ニコとはどこまで進んでるのかしら?」
怯えながら座っているロボの耳元に唇を寄せ囁く。
「もう、最後までしちゃった?」
し、しちゃ…?なんてことを聞くんだ、この人は!?
ロボは焦った。焦って焦りまくって頭が混乱し、見つめる真境名の鋭い眼差しに、蛇に睨まれた蛙状態。
呪いでもかけられるのではないかという強迫観念にとらわれ
「はい…、し…ま…した」
つい、口を割ってしまった。
「あら~、そうなの~!鈍感そうな顔してあなたもやることはやるのね。
ふーん、ニコも女になったのねぇ」
何だか感慨深げな彼女をよそに、ロボは心の中でひたすら自分の不甲斐なさを嘆いた。
自分で自分を殴ってやりたいぐらいだ。無論、そんなことできるはずもないが。
これをネタに今まで以上に厄介な仕事を問答無用に押し付けてられて逃れられないんだ。
きっと、そうだ。ああ……。
うなだれるロボの肩にまたもや真境名の手が置かれ、ねっとりと服の上から這う。
「でも、ニコもまだ男女の生業なんてよくわからないはず。
その点、私は粋も甘いも掻き分けてきた人間……」
「うわー、もうホントやめて下さい!勘弁して下さい…。他のことだったら何でもしますから!」
「大丈夫よ。私、これでも夜のテクニックには自信があるのよ。さあ、ぼうや」
「うわー、助けて~。ニコぉ」
逃げようとするロボだったが脚がもつれて、身体も思うように動かない。
まさか、知らないうちに催眠術でもかけられたのか!?恐怖から金縛りに!?
パニックに陥るロボに真境名の真っ赤な唇が迫ってくる。

ロボに貞操の危機が迫る!


87:ロボの悪夢 3/3
08/01/25 21:12:35 Yr/98CjM
「う゛~ん……う゛~ん…」
「おい、ロボ!おいっ」
「こんちは~。あれぇ、どうしたの?よっちゃん」
学校帰りなのか制服姿で入ってきたニコに名梨は目の前のテーブルに
もたれて寝ている男を自らの顎で指す。
「寝てるの、ロボ?なんか、うなされてるみたいだけど」
「俺がちょっと野暮用すまして戻ってきたら、こいつがいてさ。もうずっとこの調子だよ」
全く、と呆れた表情で呟く。
「助けて~とか、ニコぉ~とか、今にも殺されそうな声だしてうなされてやがんの。
どんな内容かさっぱりわかんねぇよ」
「ふ~ん」
ニコは向かいに腰を下ろすと頬杖をついて、相変わらず唸り声を上げるロボを眺める。
「う゛~食べられちゃう…よ、俺…や…めて…」
胸元のポケットから出した煙草に火をつけようとして、名梨ははっとひらめいたように言った。
「ああ、あれだ!案外、おまえに襲われてる夢でも見てんじゃねーの?」
「うーわ、よっちゃんっ。なにその言いがかり。だいたい襲われるのはあたしのほう……あっ」
「んん~?今、なんて言った?」
ニコはしまった。と、ばかりに作り笑いで必死にその場を取り繕う。
「ははは……。そうだ!あたし、お母さんに帰りに買い物頼まれてたんだった。
忘れるなんて、あわてんぼうさんなんだから!さ、帰ろっと…」
自分の横を足早にすり抜けるニコを片手で制して
「ほほう~、なになにもしかしてお二人さん……ヤッちゃったんですかぁ」
「ヤ、ヤッたなんて、セクハラ発言だよ。よっちゃん」
「何がセクハラだよっ。チクショー、このバカオタクうまいことやりやがって!
羨ましいったらありゃしないぜっ!」
「う゛~ん゛」
二人のにぎやかな騒ぎにもロボは起きる気配はない。


「なあに、楽しそうね」
いつのまにやら姿を現していた真境名が声を掛けた。
「あ、社長。ただいま帰りました。どこかお出かけだったんですか」
「ちょっとお散歩にね。まあ、まだ寝てるの?この青年は」
「どうしたんすか?こいつ」
「よくわからないけど、あなた達を待ってる間、お話してたらうつううつらと寝ちゃたのよ」
顔を覗き込んだ真境名はロボの頬をスゥーと指先でひと撫でして、
あらあら、可愛い寝顔だこと。楽しい夢を見てるのね。きっと」
不敵な笑みを漏らすと奥の部屋へと消えていった。
ニコと名梨は何故か不気味な悪寒を覚え軽く身震いをした。

それからもうなされるロボの唸り声は続き、しばらくやむことはなかった。
ロボの悪夢がフィクションだったのかリアルであったのか定かではない。


終わり



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