とある魔術の禁書目録 7フラグ目at EROPARO
とある魔術の禁書目録 7フラグ目 - 暇つぶし2ch2:名無しさん@ピンキー
07/12/10 09:32:20 XiYCs8KS
>>1
乙なのですよー

そして多分、貴方には3スレは連続で立てて頂いていると思うのですよー?

3:名無しさん@ピンキー
07/12/10 09:38:40 ZbRgnngW
>>1
おまえ何回スレ立てする気だよ・・・・・・

べ、別に感謝なんかしてないんだからっ!
>>950とってスレ立てするのが面倒くさいとも思ってないから!
あ、あんたなんかずっとスレ立てしていればいいのよっ!

4:名無しさん@ピンキー
07/12/10 12:17:53 pJ8U4q86
>>1

5:携帯の人 ◆0yDabgA/0.
07/12/10 14:03:19 JSZw8ued
俺参上。
てなわけで前編投下。
なんだか、二部制じゃなくて三部制になりそうな気が激しくするんだよねー。
あはは、困った困った。
とりあえず今回も非エロだから。

じゃ始めまー。

6:『As You Like It』 ◆0yDabgA/0.
07/12/10 14:06:44 JSZw8ued
某日。
とある女子中学校の寮の一室にて、ツインテール少女が机の上に散らばせたカプセル状の何かをより分けていた。
彼女の見つめる粒の大きさは小指の爪とだいたい同じくらいだろう。
見たまんま『それ』なのだが、普通のカプセルとは訳が違った。
「…うふふ…まさかお姉様に使おうかなー、とか思っていたお薬が、こんな形で役に立つとは思ってもみませんでしたわ…」
何故か都合よく少女の顔を下から淡い薄茶の光源が照らし出し、企みを巡らせているような暗い笑顔を浮かべている
一人(現在美琴は絶賛お出かけ中)で真っ暗な部屋に置いた怪しげな薬を見つめながら、暗い笑顔を浮かべる少女というのは如何なものだろう。
すっかり悪役の様相を呈している。
何と言うか、いろいろと終わっている気がしないでもない。
「………さて、こっちはこれでいいとして…」
カプセルをいかにもなケースに収めた白井は、今度は思考を巡らせ始めた。
「…うふふ…楽しみですの…本当に…うふふふふ…」
やっぱり彼女は薄ぼんやりと照らし出されたままである。
某三つ目の新しい東京にいるグラサンの司令が如く指を合わせ、またも不適に笑う。
大丈夫なのだろうか。
何はともあれ、ろくでもないことを考えているのは確実だろうが。
「…………これでイケますわ!」
突然、ガタンと椅子を大きく鳴らし立ち上がる白井。
笑うのを我慢できないといった表情で手早く荷物をまとめると、叫びを上げて立ち上がったときと同じ唐突さ加減で部屋を飛び出していった。
気付けば、誰もいなくなった部屋は何事もなかったかのように普段の明るい状態に戻っている。
小さな音を起て、ようやく閉まるドア。
誰もいない彼女達の部屋から白井黒子の作戦が始動したのだった。


ところ変わってここは上条さん家。
今現在そこは白井にとってかなり都合のいい状況となっていた。
彼女自身はまだ現れていないものの、いろいろな手間が省ける現状だ。
第一に、一服盛ってでも揃えようとしていた面子が何の苦労もなく揃っている。
これは非常に幸運だった。
それでなくても時間がかかるのだ。人を集める手間が大幅に省けた。
第二に、同居人及びお隣りさんが不在であること。
土御門はここ数日、学校を休んでいる。
多分海外にでも出向いているのだろう。
インデックスは小萌先生のところへお泊りするー、と言って朝早く出ていった。
言葉の端々に『豪華』だの『究極』などの単語あったことから、何かご馳走してもらえるようだ。
上条個人としてはものすごくご一緒したいのだが、言葉にしたらインデックスに噛み付かれた。
銀髪シスター曰く、異性の部屋に一泊ってかなり問題あるかもっ、だそうで。
食事だけ一緒に、という選択肢がなくもないことに気付いていない。
かくして上条少年は自室で一人寂しくぼんやりとしていたのだが、彼の平穏がそう長く続くわけがないのはわかりきったことである。
一番最初に現れたのは姫神秋沙だ。

7:『As You Like It』 ◆0yDabgA/0.
07/12/10 14:11:37 JSZw8ued
「……私はただ…。当麻くんの顔が見たくて…」
毎度のことながら彼女の言葉はストレートこの上ない。
表情はあまり変化無いのだが。
「…そ、そうか」
美少女にもじもじされながら言われた日には、もう悶絶ものである。
上条がテレつつ呟き、ふとその視線が吹寄に向いた。
見ると、何だか眉間に寄ったシワを人差し指でぐりぐりしている。
「どうした?」
思わず首を傾げる上条。
「…なんでもないわ…気にしないで」
言われて今度は、人差し指でテーブルを一定のリズムで叩きながらちらちらと上条の様子を伺う吹寄。
さっき一気に煽ったために空っぽになっているコップを弄りながら興味なさそうにそっぽを向きつつ話の内容に必死で聞き耳をたてている美琴。
そのどちらからも、何となく不機嫌な感じが撒き散らされていた。
嫌な予感はするものの、上条少年がその原因をしっかり把握できる訳がなく。
疑問に首を傾げるしか出来ないでいた。
ふと、思い出したように立ち上がる上条。
「そういえば…最近白井の奴を見ねーな、どうしてんだ?」
そして自分のコップを軽く煽ると冷蔵庫から入れ物を取り出し、美琴のコップに注ぎ直しながら聞いた。
「ありがと。…元気してるわ、怖いくらい」
受け取りながら礼を言い、眉をしかめて答える美琴。
それだけで大体状況は把握できるような気がする。
「…は、はは…」
話を振った上条として少しは気の利いたことを言いたかったのだが、苦笑をもらすしか出来なかった。
こればかりは致し方ない。
白井の暴走っぷりを身をもって知っているからだ。
「…でもさー、何か最近すっごく機嫌がいいのよね。何でか知らないけど」
つい、と向けられた訝しんでいるような美琴の瞳。
「………そこで何故私を見ますか御坂さん」
気付けば姫神と吹寄も似たような視線を上条へ向けている。
じりじりと視線だけで気圧されていく上条少年。
黙っていれば美少女(一人例外としてほとんど喋らない少女がいるが)達の疑惑の眼差し。
怪しまれている。
確実に怪しまれている。
確かに、何かあったといえばあったのだが、それは上条が普段からよく巻き込まれ(に行って?)いる事件があっただけで、他に何があったわけでもない。

(……いや、待てよ…?)

と、そこで収束しかかった思考に待ったをかける。
正確に言えば何も無かった訳ではない。
当然、あの騒動の後の話だ。
ゲームセンターから出てしばらく、二人っきりで話していた。
話していただけでなく抱きしめられたり白井の心情を吐露されたりと、よくよく考えれば告白されてんのかなー、と考えが至るような状況に思える。
とは言え、このまま押し黙っていれば何かあったことを肯定しているようなものだ。
これ以上現状を悪化させるのは上条本人としても御免被りたい。
ただでさえごちゃごちゃな状態なのである。
まだ答えも出せていないのに悩みは増える一方だ。
目の前にいる少女達が要因なのだが、ここまで問題がこんがらがったのは上条が煮え切らなかったことにも原因がある。
ぐるぐると回る思考を何とかまとめ、ようやく何か弁明しようと、口を開いた瞬間、
「当ぉ麻ぁーっ」
「…うぉぉ!?」
誰かに、がばーっと背後から熱い抱擁をかまされた。


勢い余って上条が俯せに突っ伏す。
ぐしゃりというあまり美しくない音がしたが気にしない。
ちょっと肘とかを床にぶつけたがこれも我慢。というかコルク抜きをぶち込まれた時の痛みに比べればこの程度のことは何ともないからだ。
「…い…っつー…」
絞り出すようにもらし、ぶつけた部分を摩りながら起き上がる上条。
当然、背中にはツインテールの少女を張り付かせたまま。

8:名無しさん@ピンキー
07/12/10 14:13:57 JSZw8ued
上条にピッタリくっついて離れない少女の名は、
「黒子っ!? こんなところで何してんの!?」
そう、白井黒子だった。


正直、いきなり上条が倒れたのには驚いた。
助け起こそうと思ったら背中に女の子がくっついてるし。
軽い嫉妬を覚えた。
気付いてすぐに振り払ったが。
(……駄目ね…最近ますますもって感情に制御が効かなくなってきている…)
少しだけ目を伏せて吹寄は小さく深呼吸。
気分と感情を鎮め、改めて上条と少女を見る。
よく見ると背中に張り付いている少女には見覚えがあった。
(…初めて会ったのはプールの時よね…あの時は全然こんな風じゃなかったのに…)
こんな風、とは上条少年にべったりと懐いている状態のことである。

いいな、羨ましい…。

思わずもれる感情のカケラ。
自分がこんなに嫉妬深いとは思っても見なかった。
これでは、もし上条が誰かと付き合い始めたらどうにかなってしまうかもしれない。
大袈裟だ、と理性が否定する。
だが、感情はそれを認めない。
バラバラになってしまいそうだ。
今まで、こんなにも理性と感情がせめぎあったことはなかったのに。
いつもなら、理性で感情を簡単に捩伏ることができたのだ。

しかし、今はどうだ?

少年と関わりを持てば持つほど感情の力は強くなっていく。
一度、押さえられなくなったそれが溢れ出したことがある。
無理矢理に少年の唇を奪った、あの時だ。
そのあと、うれしかった反面、あんな行動に出ては少年に嫌われてしまうのではないかと、とても怖かった。
翌日顔を合わせた際のあまりの変調の無さに、少しだけ怒りを覚えたのだが。
彼の側にいたいと思う。
これは確かなことだ。
彼に心惹かれていることは確実なのだから。
独占、したいとも思う。
彼の周りには常に女性の姿がある。
何故か集まってくるのだ。
自分もその一人なのだという自覚もある。
しかし、

それでも良いかも…。

そう思ったことも、一度や二度ではない。
最初の頃はただ一緒に居られればそれだけでよかった。
脅かされることのない安全地帯。
彼の方へ踏み込まなければ、そこから外へ出ようとしなければ、決して壊れることのない関係。
けれど、吹寄はその領域に居続けることは出来なかった。
ふとした瞬間に向けられる彼の笑顔。
優しい言葉。
すっ、と何も言わずに助けてくれる。
彼と居れば居るほど、どんどん彼に魅了されていく。

9:名無しさん@ピンキー
07/12/10 14:24:35 JSZw8ued
(…まるで…麻薬ね…)
幸せな気分を味わえる代わりに、彼から離れると途端に不安になる。
押さえられなくなるのをわかっていながら、また近づきたくなる。
(…ふふ…)
心の中で自身のふがいなさを嘲り笑う、もう一人の覚めた自分。
でも、今の私にはこのぬるま湯から抜け出す勇気はないんだ。
つくづくそう思う。
向こうからこの安全地帯をぶち壊してくれるしか願えない、弱い私。
その嘲笑が表面へ出ようとした刹那、
「こっち向いてくださいな当麻っ♪」
めちゃくちゃ楽しそうな少女の声。
(………はぁ…)
カチンときた。
私はこんなに悩んでいるのに、と何故かその怒りが上条少年に向かう。
「当麻! いつまでそうやってデレデレしているつもり!?」
一先ずこの悩みは置いておいて、上条を取り返す(?)ことにした吹寄さんでした。


またこの娘。
(…ライバル。だよね…)
姫神秋沙は突然テレポートで現れた少女、白井黒子を見てそう認識した。
ここにいる少女達は皆、ライバル…恋敵なのだ。
でも、たまにそれを忘れてしまうことがある。
上条と、彼の周りに集まる人達と一緒にいると、そんな大切なことすら忘れてしまう。
少し怖いな、と思った。
居心地が良すぎるのだ。
何に脅かされるでなく、普通に暮らせる環境。
一緒に笑ってくれる友達。
優しい人達。
そして、愛しい人。
ふと、我に帰ると思うのだ。
楽しくて、幸せで、平穏な、この場所にいていいのかと。
抱え切れないような業を背負った自分がいていいのかと。
どんどん怖くなる。
自分がここにいるのは場違いなのではないか。
ここに居てはいけないのではないか。
でも、彼はそれを否定するだろう。
そんなことねーよ、姫神はここにいて笑ってるのが一番だ、と真剣な表情で言ってくれる。
考えるだけで胸が熱くなる。
想うだけでうれしくて堪らなくなる。

自分はいつから彼に惹かれていたのだろう?

多分、考えてもわからない。
ずっと前から惹かれていた。
そして、どんどん、際限無く惹かれていく。
だから一歩、私は前に出た。
自分の気持ちを相手に伝えることで。
上条を想うと期待や不安すらも、掛け替えの無いものに思えてくる。
答えがどうあれ、彼女達には負けたくない。
だから、自分ももっと大胆になってみよう。
「こっち向いてくださいな当麻っ♪」
目の前で、
(…当麻くんに抱き着いてる。あの娘みたいに…)

10:『As You Like It』 ◆0yDabgA/0.
07/12/10 14:27:25 JSZw8ued
ようやく白井を引きはがすことに成功した吹寄と、一緒になって剥がそうとしていた美琴を尻目に、テーブルを飛び越えながら上条の胸元へ飛び込んだ。
並べられたグラスを一切揺らさずに、ほとんど予備動作なく。
いろいろと、物理的に不可能な気もしないでもない気がした。


あまりにも見慣れた少女が自分の目の前に現れた時、現状を正確に受け入れるより早く強烈な頭痛を感じた。

何をしとるんだこのツインテール小娘は…。

目頭を押さえて、軽く揉みほぐす。
何をしに来たのかと問うても無駄だろう。
彼女は多分答えない。
「こっち向いてくださいな当麻っ♪」
ひとまずは放っておくしかないのだが、この状態を黙って見ていられるほど大人しい気性をしているわけでもない。
「くぅー…ろぉー…こぉー…!」
地の底から響くような暗い声。
自分がこんな声を出せるのかと、少し驚く。
びくり、とツインテールが揺れる。
気付いて引きはがしにかかった大きい方の女の人と一緒に背中からテレポーターを引っぺがした。
瞬間、視界の隅を横切る小柄な影。
またしても抱き着かれている。
(…うっ…)
こちらは少々、手が出しにくい。
どうしたものかと悩んでいると、意外とあっさり剥がされていた。
(……何で自分がこんなにも抑えられないのよ…)
やり取りを見ながら思う。
でも、わかっている。
わからないというものから出る疑問ではなく、何故出来ないのかという自問。
見てほしいとは思うが、それで上条の想いを引っ掻き回すのは嫌だ。
我ながら矛盾した思考だとつくづく思う。
だが、単純に割り切れるほどシンプルな問題でもないだろう。
尻尾を追いかけ回している犬のようだ。
面白半分で遊んでいるわけではなく、同じところをぐるぐると回るしかない犬。

虚しい…。

別に恋をしているとか好きだとかが虚しい訳ではなく、
(…気付いてもらえないのに…何をこんなに悩んでんのよ…)
伝えてもいないのに、鈍感な少年に意識してもらおうというのが間違っている。
言葉にする気が無いのに理解してもらおうなどおこがましい。
単に臆病なだけなのにそれを心の奥に閉ざしている。
そんな自分の意志の弱さが嫌だった。
あの時は、向かってくる少年に強固なまでの意志を雷撃と共にぶつけていたのに。

11:『As You Like It』 ◆0yDabgA/0.
07/12/10 14:32:34 JSZw8ued
触れようと伸ばしたその手は、空を切る。
臆病な自分が枷として纏わり付く。
(…何で…)
握られる小さな手。
(…こんなに弱いの…)
好きなのに。
今すぐ触れて、抱きしめたいのに。
(…怖いよ…)
少年に拒否されることが。
少年の枷になることが。
(…はぁ………)
嫌な感覚だ。
はっきりした感覚ではなく漠然とした嫌悪感。
それが、胸の中にじわじわ広がっていく。
つい、眉をしかめた。
と、
「…どうした?」
頭から感じる温かい感触。
そして優しい声。
「さっきっから飲み物に手をつけてねーよな?」
さっきはあんな勢いよく煽ってたのに…悩み事か、上条は美琴の瞳を見つめながら聞いた。
(……ぁ…)
胸中の嫌悪感が薄れ、それと同時に温かい何かが美琴の中へ満ちていく。
(…もっと撫でてほしい…)
素直に、純粋に。
何の羞恥も躊躇いも無くそう思った。
今自分は、この上なく幸福な表情をしていることだろう。
頬に集まり留まっている熱と、自然に緩む顔が自身でもよく感じられる。
(…ふにゃぁ…)
このままでは溶けてしまうかもしれない。
(…それでもいいかも…)
緩んだ思考ではそんな言葉しか出てこないのだ。

ぷす。

突然、何かが突き刺さった時の擬音が聞こえた気がする。
とりあえずふやけた脳内をしゃんとして、目だけで周囲を見渡してみた。
と、

ぷす…ぷすっぷすっ。

刺さる刺さる嫉妬を形にしたかのような視線。
当麻くんから離れてと言わんばかりの姫神に、表情だけは平静を装っている吹寄、愛しのお姉様に鉄矢をぶち込まんばかりの白井。
おや、と首を傾げた。
その拍子に撫で撫でしてくれていた上条の手が離れる。
美琴は不思議だった。
何故自分はこんなにも嫉妬されているのだろうと。
(………………)

12:『As You Like It』 ◆0yDabgA/0.
07/12/10 14:40:50 JSZw8ued
少し考えてみる。
さっきまで自分は確か嫉妬に狂っていたはずだ。
いや、狂っていたという表現は多少大袈裟だが。
ともかく今とは全く逆の状態だった。
そのあと上条少年に心配され、
(…優しく声をかけてもらって…頭を……)
撫で撫でされた。

ぼふん!!

瞬間沸騰。
撫で撫でされていたときとは比べものにならないくらい顔に血が集まる。

ありえない。

止まりかけた思考が否定の言葉を叫ぶ。
何故あんな素直に撫で撫でされていたのか。
正直言って恥ずかし過ぎる。
別に嫌いではない。
幸せだったんだなぁ、と思い返せるからむしろ幸福だった訳で。
でもそれは今の今まで忘れていた羞恥心を一気に燃え上がらせる燃料にしかならず。
一瞬、気を失いそうになった。
思考が燃え上がる羞恥心の煽りを受けて、今度はありえない速度で回転を始める。
普段スルーしまくってる癖にこんな時ばっかり優しく構ってくれちゃってぇ、でもだからって嫌じゃないわよ幸せよ、って何言ってんの私~。
あーでもでも恥ずかしいってすっごい恥ずかしいってばぁ、てゆーか何よあれあんな優しそうな表情してくれちゃって一瞬キュンときたじゃないの。
あ、いっ、一瞬だけよ、一瞬だけなんだからね。
と、一通り暴走させる。
ほぼノンストップだ。
ギュンギュンと稼動限界ぎりぎりの状態で回転し続ける頭。
有益さなどカケラも無い内容で、はっきり言ってカロリーの無駄遣いだ。
因みに、自力で止めないのではなく止められないというのが正しい。
こういう場合、行き着くとこまで行かせるのが一番楽だが、いつオーバーヒートを起こすかわからない。
このままではぶっ倒れるのも時間の問題だろう。
倒れたらそれはそれで面倒をかけるし。
かくして美琴の暴走は続く。


「…どうした?」

13:『As You Like It』 ◆0yDabgA/0.
07/12/10 14:43:05 JSZw8ued
気付いた時には上条の手は美琴の頭に伸びていた。
そして優しく撫でる。
「さっきっから飲み物に手をつけてねーよな?」
美琴にかけられた声はさしていいものではなかった。
だが、飾り気のない真っ直ぐな言葉は、何よりも得難いものである。
(…………当…麻…)
小さく眉根が寄った。
嫉妬よりも先に哀しみが心中を満たす。
別に上条が美琴を選んだ、というわけではないのに。
締め付けられるような感覚。
一度想えば本気で愛する白井である。
例えそれが今も大好きな美琴であったとしても、上条を独り占めしている状況を黙ってみていられるわけが無い。
むしろ今こうしてほうけていること自体がおかしいのである。
普段なら、誰よりも速く愛しい人に襲い掛か…もとい、抱き着いていくのに。
そのうち、美琴の表情がだんだんとろけていく。
(………狡いですわ…)
むぅ、と少し心の中に滲んだ嫌な感覚を外に現す。
すると、間もなくして美琴がハッとした顔で虚空を見つめ、次の瞬間、

ボフッ!!

という擬音が聞こえてきそうな勢いで彼女の顔が真っ赤になった。
間髪入れずに異常な速度で百面相まで始める始末だ。
いろいろとアレな気がしないでもないが、彼女のために黙ってみた。
しかし、このまま放っておいたら、いつまで立っても上条を独占されたままである。
それだけは断固として阻止したい。
シラフの…『現状の』彼女達に彼を取られているのはどうにも癪だ。

と、いうわけで。

白井は片膝を立てて鉄矢を引き抜くときのようなポーズをとった。
シミ一つ無い綺麗な肌。
適度に引き締まった柔らかそうな太腿。
そして見えそうで見えないあの布切れ。
純情な青少年には少々刺激が強い光景である。
するりと視線が自分の太腿の方へ向く。
鉄矢がある場所へ。
だが、本来矢が収まっているそこには別の何かが装填されていた。
プラスチックのような安っぽい光沢を放つ長方形の細長い灰色の物体。
ぱっと見、四角いボールペンに見えなくもない。
しかし、ボールペンには存在しない上から下まで真っ直ぐ走る亀裂が、その灰色が何らかのケースであることを想像させる。
ちょうど、『ゼラチンで作られた中に薬品を詰められるアレ』がピッタリ収まるようなそんなケース。
賢明な読者諸氏はそろそろ予想がついている頃であろう。
このケースの中には白井が美琴に使おうとしたある薬品が詰まったアレ…もといカプセルが入っている、と。

14:『As You Like It』 ◆0yDabgA/0.
07/12/10 14:43:43 JSZw8ued
白井の場合、わざわざ飲み物を供して一服盛る必要はないのだ。
自身の有する能力を使えばその程度、造作もない。
だから、事に至って重用なのは、そのタイミングである。
一瞬でもそれを違えればこのメンバーを集めるよりも面倒なことになるだろう。
それだけは避けたい。
(…薬を服用して効果が現れるまで…直接の誤差を考えると、ざっと…)
未だ百面相を続ける美琴を眺めながら、実体験の結果を思い出す。
(…ざっと……)
一つ服用しただけで、朝までずっと美琴にばれないように自分を慰めていたことを。
(……当麻にあんなことされたら…きゃー! ですわーっ!!)
違うところに思考がぶっ飛んで、意味も無くくねくねしているが気にしてはいけない。何故ならそれをしているのが白井だからだ。
ともかく、しつこいようだが誰か一人でも気付いて逃げられたらいろいろと困る。
それにこれはちょっとした人助けだ。
恋に悩む一人の少年に、救いの手を差し延べる人助け。
ただ、それには悩みの種となっている人物が揃っていないことには意味がない。
「……っ…」
小さく喉が鳴る。
タイミングを見計らい、ケースの蓋に手をかけた。
「当麻くん!」
「貴様、いつまでっ!」
叫びに合わせるように蓋を開け、その音を消す。
そして、微妙なズレがあるものの、順にカプセルに触れ直接胃の中にテレポートさせる。
上条だけを除いて。
ぴくり、と突然の違和感に反応を示す女性陣の身体。
「…?」
一瞬上条が首を傾げた。
気付いてはいないようだ。
以前、といってもかなり前だが上条をテレポートさせようとしてうまくいかなかったことがあった。
だからそれを考慮に入れ考えた手段なら、この薬の『スイッチ』をついでに入れてしまえる。
因みに、この薬のスイッチとは『嫉妬する』こと。
スイッチが入ることに因って性欲が異常に刺激され、女性は感度が上昇し、男性は精力が増強される。
何とも都合の良いお薬なのだ。
面倒な説明はさておき、上条に薬を飲ませる方法。
それは…、
「……ちゅ…れ…る…」
口移し。
テレポートで飛んで実行した為、あまりの早さに姫神、吹寄、美琴の三人も、された上条ですら状況認識に時間がかかったほどだ。
「……ん…はぁ…」
「…んく、ん…しっ、しらい!! おまっ、なに飲ませたんですか!」
白井は笑うだけ。
こうして宴は始まった。

15:携帯の人 ◆0yDabgA/0.
07/12/10 14:47:37 JSZw8ued
あー…改行だの長すぎだの言われて苦労しまくり…。
どうも慣れないね。

なんか粗がありそうで怖いなぁ…一応確認してはいるんだけど。
あと、遅くなってごめんなさいといってみるよ。
時間かかりすぎだよね。

精進精進。

んじゃまたねー。

16:名無しさん@ピンキー
07/12/10 14:55:39 pJ8U4q86
なんという見事な生殺し。
GJです

17:名無しさん@ピンキー
07/12/10 16:21:46 TvwVEumu
    _  ∩
  ( ゚∀゚)彡 くろこ!くろこ!
  (  ⊂彡
   |   | 
   し ⌒J


18:名無しさん@ピンキー
07/12/10 21:51:42 y7jpyzhO
GJ!!!
この続きが気になってしばらく寝れそうもないかもw

19:名無しさん@ピンキー
07/12/11 14:43:58 UjDq1+ZT
続編は、続編はまだかあっ!
GJです。

20:裏 とある上条の変貌騒動
07/12/11 21:20:21 p/XJ06zZ
どーも。何となく思いついたのでゲリラ投稿していきます。行間保管とは少し違う新ジャンルです



科学の街「学園都市」にまた、異能の力を持つ者の企みが横行する……。
 
 
「仕事……ですか?」
イギリス清教、必要悪の教会本部の一室。
窓辺に佇む長身の日本人女性、神裂火織が、振り向いた矢先に赤い髪の神父の姿を認めた。
もっとも、この漂う紫煙の匂いを嗅いだ時点でおおよそ誰であるかは分かり、目で見て確かめるまでもないのだが。
「ああ、そうだ。再び日本の学園都市へ潜入するようにと最大主教の勅令が出ている。今回は神裂、君が単独で向かえとのことだ」
一筋の煙が静かに上る小さな円筒形の物を指に挟み、魔術師ステイル・マグヌスは事務的な声色でそれだけ言うと、手にしていたその煙草をまた口にくわえ直す。
それに対する神裂の態度もあくまで無感動、無関心といった様子だ。軽く頷くと、傍らの壁に立てかけていた七天七刀を手に取る。
「潜入の目的は?」
問いながら、いつものように愛刀を腰の定位置に収める神裂。
キン、と鞘と柄がぶつかり合う小気味よい音が奏でられる。
「一言で言えば調査だ。こいつのな」
ステイルは、先程まで衣服のどこかしらに突っ込んだままだった左手を、手のひらが上を向くようにして手前に出していた。
その上には、白一色のただの錠剤ともとれる小さな円盤が一つ。
「……口で説明するよりは、実際に見てもらったほうが早いだろう。こちらに来てくれ」
ステイルが軽く指した後ろには、水が満たされたグラスが置かれていた。
 
「こいつだけをよく見ておいてくれ」
机に置かれたグラスの水面スレスレに、ステイルは錠剤を摘んだ手のひらをかざす。
机を挟んで向かい合った位置から、神裂はそれを覗いていた。
「入れるぞ」
ステイルが摘んだ手から力を抜くと、一瞬水面を破裂させ、錠剤はグラスの中をゆらゆらと落下していく。
構成物質が水溶性だからか、沈むにつれて泡を噴きだし、半分沈んだ頃には既に粉状になって広がっていた。
が、それでも重力には逆らわず、それは底へと向かっていく。
「……!」
この辺りで神裂が大きく目を見開いた。
ステイルのほうもこの情景を見る目の眉間に皺が寄っていた。
やがて、錠剤の粉は底に落ち着いたが、同時に有り得ない現象を起こしていた。
沈殿した粉が、グラスの底に見事な魔法陣を描いていたのだ。

21:裏 とある上条の変貌騒動
07/12/11 21:29:16 p/XJ06zZ
「日本で捕らえた魔術師が持っていた物だ。水と一緒に服用すれば、見ての通りこいつは飲んだ人間の体内で自動的に魔法陣を形成するらしい。
 信じられないが泡の音が呪詛の役割を果たし、術式が発動する仕組みとのことだ。ただし、これは一定の温度の中、すなわち人間の体内でなければ何も起こらない……と。
 ここまでの情報は本人への尋問で得られたが」
「肝心の、この魔法陣自体が何を起こすのかまでは話そうとしない。おまけに、奴はこれを風邪薬と称して格安で売っていたらしい。
 どうやら安すぎる値を怪しまれたせいで殆ど売れなかったそうだが、目的は達成したと笑っていたよ。あの少年は見事にかかったのだ、とも言っていた」
 
「何故か……今はあの少年、と言われただけで思い当たる奴が居る。神裂、君の考えていることはあながち間違いではないだろうな」
ステイルはさぞ不本意である、とでも言いたげに顔をしかめた。
神裂はそれを見て軽く息をつくと、
「そうですね」
と、同意した。 
 
 
 
本来、薬とは科学側の産物。
ゆえに科学の分野で、しかもこれほど緻密に計算された構造をした物が魔術師のみの手で作られたとは考えられない。
だからこそ推理した。捕らえた魔術師には科学側の協力者が居ると。それも、かなりの手錬が。今回の任務はその調査だ……。
(体内でその力を発揮する魔術……制作者が口を割りたがらない点からして、単純に内蔵器官を破壊する術式ではなさそうですね)
潜入に成功した神裂は手始めに情報収集がてら心当たりのある「少年」の無事を確認するため、インデックスの滞在する寮の在る地区を訪れていた。
歩きながらも、頭の中で今回の件について思考することは忘れない。
(そうなると、破壊ではなく変換……いえ、影響を与える対象は何も目に見える肉体とは限りません。ともすれば精神……心? あ、あの建物に間違いありませんね、間もなく……)
 
「風邪薬はいかがかな?」
その時、突如後ろから声がした。
…違う。かけられたのだ。
「待っていたよ、『必要悪の教会』」
すかさず、柄に手を置いて振り向く。
すると、数メートル先の角から、黒いボロきれにしか見えない何かを全身にまとった男が現れるところだった。
「貴方が……」
「そう固くならずともいい。用があるのはコレだろう?」
男が握り拳を広げて手のひらを見せると、あの錠剤が数個、そこに転がっていた。


22:裏 とある上条の変貌騒動
07/12/11 21:38:08 p/XJ06zZ
「服用した人物の、上辺の理性や性格という名の『化粧』を取り払い、その者のすっぴんの本質を暴き出す秘薬『アゾットの鍔』。これが、君が今ここに調べに来たものの正体だ」
男は得意気に、加えて全てを知っているかのような口調でペラペラとまくしたてた。
拍子抜けするほどあっさりと分かってしまった事で初めは反応に困る神裂だったが、落ち着いてくると疑問が生まれてくる。
単純に、何故そんなものを作る必要があったのか、という。
「ちなみに、この薬が暴き出すのは人間の心理関係に限るわけではない」
なぜ、と言おうとした神裂の声は男の声に阻まれた。男はよほどのお喋り好きか、または会った瞬間話すことを計画していたのだろう。
嬉々とした表情から、前者の可能性がが高いようだが。
「人々の真の才能、真の力……埋もれたまま気付かず発揮できない『真実』を見つけることが、この一粒にはできる。素晴らしいとは思わないかね?」
爛々と目をかがやかせる男の様子は、顔つきが貧相なだけに目だけに生気が漲っているようで不気味だ。
「成功していたなら、今頃あの少年は内に眠る『本質』を思う存分発揮していることであろう」
「……誰に、飲ませたのですか?」
「くくっ、すまないな。真の力の発揮などというのは建て前だ。私の見る先には、もとよりレベル0にして全てを打ち消すあの力……」
「!!」

「焦ることはない、あれは精神への効き目は早いが、能力に関する効き目は緩慢なものだ。まあ、いずれ『幻想殺し』の本質は……」



続かない。

23:前方の弁当 ◆rbe1BhDvYc
07/12/11 21:43:18 p/XJ06zZ
このお話は上条の風邪は薬が悪化させたという『変貌騒動内の事実』をもとに捏造した作品であり、本家とは全く関係ありません。
エロの欠片もない投稿失礼しました。

24:名無しさん@ピンキー
07/12/11 22:25:33 e9GflNJ0
なるほど、それで幻想殺しなんざ目じゃない「(無限の旗)フラグマスター」が覚醒したわけか

魔術師涙目だなwwwww

25:名無しさん@ピンキー
07/12/11 23:06:13 v0eMa0tF
ちょwwwなにその秘薬www
そうか、上条さんの本質は熱血正義ではなくフラグマスターか……

26:名無しさん@ピンキー
07/12/12 00:14:32 aZQ2RGVt
おぉ!?って思ってしまったじゃマイカwww
俺の感心を返せwwwwww

27:名無しさん@ピンキー
07/12/12 00:25:00 bJftuzr+
レベル6無限の旗(フラグマスター)
効果:人間だけでなく神や天使などあらゆる存在にフラグを立てる。
短所:神並の絶倫さ、或いは主人公補正が無ければ早逝は必至。
副作用:嫉妬による修羅場・ヤンデレが大量発生。

みたいな能力だと思うんだ、上条さんならきっと神でもイケる。

28:名無しさん@ピンキー
07/12/12 00:44:09 /71t7eRo
ねーちんは薔薇当麻に秒殺されそうだ

29:名無しさん@ピンキー
07/12/12 02:22:07 NuCZcnMd
とりあえず精力は、フラグマスターと一緒に開化した多重能力、
輪廻性交【エンドレスセックス】で解決させられる。

ヤンデレは・・・どうしようか?

30:名無しさん@ピンキー
07/12/12 03:35:10 4F2B7AQG
そこらへんに関しては主人公補正で無効化とか幻想殺しで修羅場やヤンデレという幻想をブチ壊す、って事で

31:名無しさん@ピンキー
07/12/12 10:24:43 Diz9/lHV
そこは【俺の使徒十字】に貫かれればすべて上条ちゃんにとって良い方向へ流れるってことで。

32:名無しさん@ピンキー
07/12/12 10:43:30 4i/72ueP
薔薇当麻状態でヴェントと当たってたらと思うとゾッとするな

33:名無しさん@ピンキー
07/12/12 11:04:47 ZYu4FfYd
今思った


全ヒロインに飲ませないか
多様なデレと修羅場が見られるはず

34:名無しさん@ピンキー
07/12/12 12:32:39 eHc9iHlM
>>33
全女キャラの間違いでは?

35:名無しさん@ピンキー
07/12/12 18:16:36 aTLB9Ivh
あんたは親船最中さんまで回春させるつもりか

36:名無しさん@ピンキー
07/12/12 18:20:37 RcxNLPpq
上条さんが女教師の良さを開眼させます

37:KATU ◆ZBrfWVXm/E
07/12/12 20:13:16 7TG/6lT1
素甘センセーのは書いてみたけどあまりに(ピーーー)だったので没にした自分が通ります
素甘センセーがもう少し本編ででればかけるかも

38:872�コlB3xRItf 
07/12/12 21:14:32 I1qvZynW
気付いた事:エロパロ板の方がSSスレよりスレ数が多い事

>>37
素甘センセーって誰?
俺13、14、SS,持ってないからなぁー・・・。
俺の住んでいる所じゃあ買えないし。
吹寄との絡みある?

39:名無しさん@ピンキー
07/12/12 22:05:05 ZYu4FfYd
>>38
スレ数が多いヒント:求めるものは萌えとエロ


素甘せんせー=俺は知らない

40:名無しさん@ピンキー
07/12/13 00:21:01 qo/pXakm
あるよ~。14巻の話だね

41:名無しさん@ピンキー
07/12/13 01:57:52 VfCqRk6+
上条とこの数学教師が素甘先生だね~w
でも、確か上条クラスの担当ではなかったような・・・

42:872�コlB3xRItf 
07/12/13 18:19:21 /D2fmgnd
へー数学の先生。
女教師意外に属性あるの?
あと出来れば吹寄と上条の絡みを教えて下さい。


43:名無しさん@ピンキー
07/12/13 21:58:14 qo/pXakm
二人きりで野球します

44:名無しさん@ピンキー
07/12/13 22:43:22 b52taBkn
誰だ!?
小萌センセーが当麻に、
「クリスマスも先生と二人っきりで補習ですよー、来なかったら先生皆の前で『上条ちゃんに散々弄ばれた挙げ句捨てられた』って泣いちゃいますからね」
と言われてクリスマスが潰れた事を嘆いてる所に天草式の面々から、
「女教皇が貴方をクリスマスの日誘おうとしていらっしゃる、もし万が一泣かせるような真似をしたら総力を上げてでも■すからそのつもりで」
と手紙が届いて、
「どっちを選んでも上条さんデッドエンドですかー!?」と叫んでるなんて電波を送ったのは!?
送るなら文才のある奴に送ってくれ、俺じゃアウトプット出来ないから!

45:名無しさん@ピンキー
07/12/13 22:50:33 omnB6Ah3
のちの妄想投影装置開発者である

46:名無しさん@ピンキー
07/12/13 23:29:45 8EBr+Zqv
私たちは偉大な瞬間に立ち会った……

47:名無しさん@ピンキー
07/12/14 13:30:17 3KB6OJrV
>>44-46
流れにワロタww

48:名無しさん@ピンキー
07/12/14 14:49:16 3A4bfzhG
なんとなく、クリスマスネタの一方通行×打ち止めをーとか言ってみる




自分が書くと、一方さんが別人のような優しい性格になるんだ……

49:名無しさん@ピンキー
07/12/14 14:58:10 94EKj/qV
じゃあ、その書いたものを投下するんだ

50:名無しさん@ピンキー
07/12/14 15:59:36 xI5SDsG9
>>42
>二人きりで野球します
挿絵はパンチラですぞ。

51:名無しさん@ピンキー
07/12/14 16:19:23 AGE6IrxS
>>48
さぁ、書いてみるんだ。

全裸で開脚後転しながら待ってるから

52:名無しさん@ピンキー
07/12/14 17:01:28 S5WrTTUK
それを見た吹寄が穴に向かって威嚇をしようとボールを投げる。
しかしそのフォークは落ちなくて…。
アッー!!

53:名無しさん@ピンキー
07/12/14 19:38:53 +ExIRKjT
>>44
その手紙は五和からだな?
■は『犯』の文字に違いない! その現場にねーちんがやってきて……
アッー!!

54:携帯の人 ◆0yDabgA/0.
07/12/14 21:03:55 I+XDI4GW
唐突なんだけどさ、前にあったリレー小説、勢いで書き上げちゃったんだよね。
一応続けられるような終り方してみたけど。
んじゃまとうかー。

55:『そんなこんなで上条さん…』 ◆0yDabgA/0.
07/12/14 21:09:11 I+XDI4GW
何ともしがたい状況である。
ここは女子寮、すなわち本来なら女の子しかいないはずの領域。
その領域に上条という『異分子(だんし)』が混じり込めばハプニングの一つや二つ、起こって当然だ。
だから、そのハプニングを起こさないようにの神裂の発言だったにも関わらず上条は着替えを覗いているし。
事故ではあるが。
「…おーい、神裂さーん…?」
とりあえずかけた声もそのままスルーされる。
うずくまったままだ。
さてどうしたものかと頭を捻っていると、
「一つ、お頼みしたいことがあるんですがいいですかね?」
いつの間にか背後に陣取っていたアニェーゼが、上条の服の裾を掴みながら聞いた。
「こっから一番近いんですよ私の部屋」
言いたいことが理解できない顔で、上条はアニェーゼを見つめる。
(…つーかさ…)
ぽつりと思う上条少年。
オルソラとアンジェレネはなんだかうずくまったまま動かない神裂を説得(?)しているし、ルチアはルチアで説教が長い。
インデックスに至っては誰かから貰ったのであろう大きなキャンディ(渦巻いていて棒のついた通称ペロペロキャンディと呼ばれるあれ)を幸せそうに舐めていて周囲のことはほとんど眼中にないらしい。
上条が何を言いたいかというと、
(…このまま放って置いたらいろいろ面倒な気がするんだが…)
こういうことであって。
しかしアニェーゼは、
「ちっとばかし高いとこにあるもんをとるの、手伝ってもらうだけですよ。すぐ終わりますって」
だそうである。
上条の心情が伝わるわけもなく。
そうまで言われて断るのは如何なものか、特に大変そうでもないし部屋も遠くないのに無下に断ったらあれかなぁ、とか思ったので、頷いたら、
「じゃ、早速」
腕をがっしり抱え込まれ、そのまま引きずられていった。
微妙に女性を感じさせる柔らかい何か(認識したら色々ヤバそうなので脳が認識を拒否したらしい)を腕に感じながら。


さて、ここはアニェーゼの部屋である。
問題の荷物は思いの外高い場所にあった。
上条が手を伸ばしてもギリギリ届かない位置にある。
何度かチャレンジしてみたがやはり徒労に終わる。
結局届かないのだ。
「………どうやって乗せたんだ?」
もっともな疑問。
上条が届かないのにどうやって載せたのか。
投げた込んだ、というわけではないだろう。
「…脚立で」
納得。
確かにそれなら一人で乗せられる。
だが、
「………………どうして今、脚立を使わない」
「…見当たらないんすよ脚立。流石に同性に肩車してもらうのも癪じゃねえですか、だから上条さんがいるうちにちょっと、と思ったんですよ」
確かに、頷けることではあるのだが。
台詞の中に少々気になる単語が混じっていた気がする。
肩車がどうの、と。
「……ちょ、ちょっとタンマ! 何、俺がアニェーゼを肩車すんのか!?」
言われたアニェーゼは、しばし間を置いて、
「それ以外で、現状をどうにか出来ると?」
小首を傾げた。
うぐぐ、と言葉に詰まる上条。
そもそも天井付近にあるそれは、ただでさえアニェーゼが届かない位置にある上、そこのさらに奥に置いてあるらしく、椅子か何かを使ったとしても奥まで届かない可能性がある。
もし届いて引っ張り出しても、それが当たりとは限らない。
そして現状で最も確実な方法は上条少年がアニェーゼ嬢を肩車し、彼女自身が探し物を引っ張り出すこと。
「………むぅ…」
こうまで言われては従わざるを得ない。

56:『そんなこんなで上条さん…』 ◆0yDabgA/0.
07/12/14 21:11:58 I+XDI4GW
アニェーゼは率先して足を開く。
後はその間に上条が頭を突っ込み、ふとももを掴んで立ち上がるだけだ。
「……………………」
だけなのだが…。
「何してんですか、早く早く」
はっきり言ってこれは、
(…ご、拷問だぁー!?)
その場で頭を抱えてしゃがみ込みたい勢いだ。
「…? いつまで突っ立ってやがんですか? ちゃっちゃとしないとみんな集まってく…ゲフンゲフン…みんなんとこに戻れないじゃねえでしょ」
振り向いたアニェーゼが何か言っている。
少しだけ引っ掛かるような言葉があったが、そんなことを気にできるほどの余裕、今の上条にはない。
なんせ今から少女の股間に首筋をあて、みずみずしく柔らかいふとももをわしづかみせねばならないのだから。
と、言葉にすると大分あれなのだが。
ともかく、どうにもならない状況にいるらしい。
「………いつまでこの世の終わりみたいなヤバい面したまんまこっち見てる気ですか?」
「ハッ!?」
その言葉で現実に引き戻される上条。
軽く頭を振って意識をしっかりさせる。
「……ともかく、手前から頭を入れんのが嫌ならしゃがんでくんねえですかね。このままじゃ埒あかないでしょ」
「……………わかった…」
確かにこのまま粘ったところで何の特も無い。むしろアニェーゼに迷惑をかけるだけだ。
しかし、答えたもののやはり乗り気でないためかその動きは緩慢に見える。
やっとのことでしゃがみ込んだ上条の側面に回り込んだアニェーゼは、身軽な動作で首を跨いだ。
「……ん…お願いしますよ」
自分で位置を調節したアニェーゼが少しだけ艶っぽい声で言う。
「ぁ、ああ」
ぐっ、と足に力を込めて立ち上がった。
立ち上がって最初に感じたのは見た目以上に軽いアニェーゼの重み。
ほとんど普通に立つのと同じ感覚だ。
「寄ってください」
指示に従って動く上条。
頭上から早速、ごそごそと物をどかしたり引っ張り出そうとしている音が聞こえてくる。
バランス感覚が良いのだろう。支えている上条が特に力を入れずとも自分でズレを修正したりしている。
ある意味手持ち無沙汰だ。
こうなってしまうと、別なところに向けていた意識が最も身近なそれに帰結してしまうのは致し方無いことなのだろうか。
(…頬っぺたに当たる感触…すげーやらけー…)
掴んでいる足は、よく言う折れそうなほど細いを地で行っているような感じだ。
キメの細かい肌が身じろぎして、それを上条にこすりつける。
(…ぅぉおおお!?)
軽く浮き上がるように手を伸ばしているのか時折かかる弱めの加重。
「………届かねえですね…ちっと靴を掴んでもらえますか? そうすればちっとは奥まで届くでしょうから」
「………………………………了解……」
すねの辺りを掴んでいた上条の手が靴の裏に移動し、押し上げるように掴んだ。
「ども。……んー…よっ、と」
やはりあまり重さを感じない。
ちゃんと食事をしているのかすごく気にかかった。
が、しかし。
その心配は、さっきから後頭部に触れている何かのせいですぐに吹き飛ぶことになる。
「…ん……ぅ…ち、ちっと届かねえです…押し上げてください…」
不思議に思ったのは、指示を飛ばすアニェーゼの声に、妙な息遣いが混ざり始めたこと。
「こうか?」
掴んだ手を通じて、腕に力を入れる。
「…よいしょっ、と…」
一瞬だけ加重がゼロになったが、すぐにまた重みがかかった。
「…ん、ッ……はぁ…無理でしたね…」
どうやら乗り上げてでもそれを取ろうとしたらしい。
「…うーむ…これで届かないなら諦めた方がよくねーか?」
思わず呟いた一言に、アニェーゼは押し黙った。
微かな沈黙が満ちる。
「………もうちっと粘ってみますよ。お付き合いしていただけるでしょう?」

57:『そんなこんなで上条さん…』 ◆0yDabgA/0.
07/12/14 21:14:26 I+XDI4GW
その沈黙を破ったのはアニェーゼだった。
「………………ここまで来たら最後まで付き合ってやるよ…」
嘆息気味に吐き捨てる上条に、
「どうも」
アニェーゼは短く、しかしそこはかとない喜びの感情が混じった声で答えたのだった。


一方、こちらアニェーゼが抜けた女子一行。
未だ説教を続けるルチアに、アンジェレネは恐る恐るといった様子で声をかけた。
「あ、あの、シスター・アニェーゼが見当たらないんですけど…」
説教を受けていたシスターを除き、その場全員がびくりと反応した。
恥ずかしいやら何やらで落ち込んでいた神裂ですら、だ。
「……………抜け駆け?」
ガギン、という飴をかみ砕く些かには大袈裟な音が響く。
「…どうでございましょうか…」
オルソラは頬に手を当て微笑みながら(笑みのわりにはなんだか恐怖感を煽ってくる)首を傾げ、
「…………」
どこからともなく刀を取り出し、無言でそれを構える神裂。
「あ、あれ? どうして皆さんこれから戦いに赴くような雰囲気を放ってるんですか?」
そしてイマイチ状況が飲み込めていないアンジェレネ。
「シスター・アンジェレネ。少し黙っていてください」
ルチアがその頭をギリギリと押さえ付ける。
本日何回目かもわからない攻撃だ。
「……手分けして探したほうがいいかも。私、あっちに行くよ」
かみ砕ききった飴の棒をそっと袖口にしまいながらインデックスは言った。
「では、お付き合い致します」
オルソラもその後に続く。
「………………」
何故か無言のままの神裂きは一人でふらりとどこかに行ってしまった。
「シスター・アンジェレネ、行きますよ」
「は、はい! で、でもどこに?」
そして、やっぱり状況を把握できていないアンジェレネと、彼女を引き連れて移動を開始したルチア。
なし崩し的に(?)上条捜索が始まるのだった。


「…ンー、りゃぁぁぁ!」
何だかアニェーゼにありえない叫びを上げながら強引に目当ての箱まで手を伸ばす。
ギリギリで指が掠ったが届かない。
「…もっと押し上げてくださいよ」
それに従い上条が腕を少し上げる。
こうやって腕を固定されたままだと相当体力を使うらしく、そろそろ腕がヤバイと脳が警鐘を鳴らしていた。
「…………ッ……ぁ!」
ぐぐ、っと足に力がこもる。
もう何度目かもわからない筋肉の強張り。
箱の蓋にわずかだけ指がかかり、指の摩擦だけを頼りに強引に箱を引っ張った。

つ、つぅー。

ゆっくり、背伸びしていた背を戻すように後退していくアニェーゼを追い掛けるかの如く箱が移動してくる。
ここまで来れば後は普通に掴めるだろう。
「……っ、とと…取れましたよ……………ぇ…?」
瞬間、のけ反ってバランスを崩したアニェーゼと、予想外の動きに足をとられ転ぶまいとした上条の動きが、悪い方向でシンクロした。
「うお、ちょちょちょっ!」
せめて床にぶつけないように体を捻り、ベッドの方へ不安定なポーズのままダイブする。

ぼふ。

軽い衝突感。
そしてみぞおちに突き刺さる肘。
「ぐぉ!?」

58:『そんなこんなで上条さん…』 ◆0yDabgA/0.
07/12/14 21:16:16 I+XDI4GW
もはや肩車というより手で支えていた状態に近かったため、自分を下敷きにしてアニェーゼを助けようとしたのだが、
「大丈夫ですか!?」
ありえない奇跡…まあ、不幸と言えなくもない具合にダメージを被ったわけだ。
因みに。
心配して上条の顔を覗き込んだアニェーゼは上条を跨いで、まるで覆いかぶさるよう状態になっている。
端からみたらまるで『アニェーゼが上条を襲おうとしている』ように見えたり見えなかったり。
そしてこういう誤解を招きそうな時に限って、都合よく人が現れるのだ。
特に見られたくない人間が。


インデックス達がそのことに気がついたのは寮内を大分走り回ってからだった。
『一緒にいなくなったのがアニェーゼで、その上あの場所からアニェーゼの部屋まで距離があまりない』
となればまずそこに捜査のメスを向けるべきだったのだ。
急いでそこに集合する面々。
インデックスが率先してドアノブに手を伸ばし、勢いよくドアを開け放った。


バタン!!
思いの外大きな音と共にアニェーゼの部屋の扉が開かれた。
思わず二人、同じ動作でそっちを見る。
入って来た途端、驚愕の表情で固まるインデックス。
オルソラはまたしても恐怖を煽る笑顔で、ルチアとアンジェレネは顔が引き攣っていた。
神裂は…言わずもがなである。
さて、その微妙な表情で佇む彼女らにアニェーゼはとんでもない爆弾を放り投げた。

『いいところだったのですから邪魔しないでほしいですね』

刹那、ビギリ、という空気の軋むような嫌な音が聞こえた気がした。
上条にその言葉の意味はわからない。何せ放たれた言葉は日本語ではなかったのだから。
「………ナニ?」
恐る恐る呟く上条。
その呟きに押されたみたいに軋んで止まった空気が動き出した。
「…とうま? 最後のお祈りは済んだかな?」
言いながらインデックスのプリチーなお口がじわじわと開いていく。
凶器とも言える煌めく歯(やいば)を見せながら。
ルチアはどこからともなく車輪を引っ張り出して来た。本当に一体どこから持ってきたのやら。
その後ろにいたアンジェレネはいそいそと脱いだフードに硬貨を詰めている。
不穏だ。
オルソラに至っては笑顔で頬に手を添え、もう片方は無駄に力強く拳が握られている。
笑顔がやはり怖い。
神裂は……目がマジだった。持っている刀がゆらりと揺れた。
『やる気満々ですか』
言って、『司教杖』を水平に構えるアニェーゼ。杖はベッドの下に隠していたらしい。
挑発するようににたりと笑う。
ここまで来て、ようやく上条にも現状が些か不穏であることに気がついた。
「いや、待って! みなさん落ち着いてー!」
叫ぶ上条の努力も虚しく、女子寮の一室から巨大な爆発音が聞こえてきたのだとか。


翌朝。
なんだかんだで多大なダメージを一身に集めた上条少年。
割り当てられた部屋でうんうん唸っていると、カチャリとドアが開かれ、誰かが入ってきた。

59:携帯の人 ◆0yDabgA/0.
07/12/14 21:18:19 I+XDI4GW
ほい終了。
確か朝起こしに来る順番って決まってるんだよねー。
さてさて、なんだが無駄にアニェが活躍してるけど、気にしないで。

じゃ、ばーいびー。

60:名無しさん@ピンキー
07/12/14 21:50:08 8hbMAlOw
>>54
うぁ、アニェきたw
GJ!! その活躍は無駄じゃないです!

61:名無しさん@ピンキー
07/12/14 22:37:43 +ExIRKjT
このリレーもオルソラに始まり神裂がきたかと思えば次はアニェ。
さあ次は誰かーにゃ?ぐっじょぶ。ここで女子寮民以外の誰かが出るのも面白いかもねw

62:579 ◆UHJMqshYx2
07/12/15 00:26:07 J5OJpu8n
携帯氏のリレー来たーwww
GJです。

さて、おいちゃんは今年最後かもの投下して寝るよ。

63:『たとえばこんな最終奏 Into_Outroduction』1/5
07/12/15 00:27:26 J5OJpu8n
 本当にこれで良かったのかと言えば、それは上条には判断の難しい、いや、判断の出来な
いことだった。
 しかし、これでひとまずは―それがどれくらいの期間なのかは判らないが―友人や、仲
間たちが不毛な争いに巻き込まれることはないのだろう。
 兎にも角にも、終わったのだ。
 ……たった一つの問題を除いては。

 ひとり、外に出る。風が冷たい。
 ここが異国の地であることを、風の匂いが教えていた。不思議なもので、記憶喪失となった
今でも、身体は生まれ育った環境を憶えているのかもしれない。
「記憶、か……」
 目の前の風景も、見ているようで目には入らない。
 風景を霞ませて目の中に浮かぶ少女の姿を思って、独り言が唇から漏れる。
「いつまでも、黙ってたらダメだよな、本当のこと、言わないと…。もう、終わったんだから―」
 すべての発端かもしれないその右手を握りしめる。
 瞳の中の少女。純白のその少女は、真っ白な病室で、今にも泣きそうな顔のまま、無理に笑
顔を浮かべていた。
 ―まるでおとぎ話のような、自らが記憶を失うまでの顛末を聞かされて、
 まるで信じることが出来なかったその話も、
 あの泣きそうな脆い笑顔が、それは真実だと語っていた―
 だから、今の自分は偽りの自分かもしれない、やろうとしていることはただの自己満足、ある
いは偽善に過ぎないのかもしれないと思いながらも、自分に対して向けられたあの瞳を―
守ってやろうと思ったのだ。

 そうしていくつもの事件に巻き込まれ、いつしかそれは『戦争』などと形容されるものになり、
そこで自分とその少女が自ら望んだわけでもないのにキー・アイテムとして扱われ、それを乗
り越えようともがくうちに、いつしか、自分にとってもその少女の存在が大きなものであること
を自覚するようになっていたのだ。
 しかし、この諍いも終わった。
 終わりを迎えた今、少女に対する気持ちを強く自覚するからこそ、これ以上隠していてはい
けないと上条の心が告げている。
 それが、上条にとって最悪の結果になろうとも。

 最後に壊さなければならないのは、嘘を隠し続けられるという自らの幻想―。


64:『たとえばこんな最終奏 Into_Outroduction』2/5
07/12/15 00:28:01 J5OJpu8n
「本当の事って、なに?」
 背後からの声に、驚いて振り向いた。
 振り向いた先には、いつの間にか隣にいるのが当たり前になっていた、そしてたった今も思
い起こしていた―純白の修道衣を身に纏った銀髪碧眼の少女、インデックスが立っていた。
「ここにいたんだね」
 少女が微笑む。
 上条も微笑み返そうとして果たせず、躊躇うように一度目を逸らして再び視線を戻した。
「あ、ああ。考え事、してたんだ」
 微笑んだままのインデックスの瞳を見つめ返して。
 意を、決する。
「騙してた、って軽蔑するなら、それでも良い。本当のことを言わないとって、考えてた」
 息を吸い込んだ。声を出そうとして一度詰まり、言い直そうとした上条に、逆にインデックス
が小さな声で話しかけた。

「……記憶のこと、なら、わたし……、知ってたよ」

「えっ…?……」
 驚きの表情に変わるのが、上条自身にも判った。
「それなら、どうして―」
 相対するインデックスには、微笑んだままで、今にも泣き出しそうな綻びがその表情に浮か
ぶ。
「だって、とうまと一緒にいたかったから。とうまは、とうまだよ。私を止めてくれたとうまも、そ
の後の……私の、せいで、傷ついたとうまも……とうまなんだよ」
 上条の言おうとしていたことが何か、判っていたのだろうか。
 その表情の綻びが少しずつ大きくなるのを止められないのだろう。インデックスもまた、無理
やりに言葉を絞り出している風だった。
 涙を湛え始めた瞳を揺らして、笑顔を作り直そうとする。小さな唇が、再び開いた。
「私、言ったよ? インデックスはね、」
 上条には判った。インデックスが、あの時と全く同じ顔をしていることを。
 そして、何を言おうとしているのかも。
「ダメだ、インデックス」
 強い声で制止した。
 その声に、インデックスが驚きの表情を向ける。
 そして、徐々にそれが悲しげなものに変わって―
「どうして? やっぱり、私じゃ……」
「違うんだ、インデックス」
 上条は、もう決してこの少女から瞳を逸らさない。
 インデックスは知っていた。知っていて、何も憶えていない『偽物』の上条当麻と寄り添って
いてくれた。
 そして遂に、ここへと至るまで。
 心の中にわだかまっていた迷いが、霧が晴れるように消えていくのが判った。
 迷わないからこそ、今度は少女のほうから言わせてはいけないような気がしたのだ。
「こんどは、俺が言わなくちゃ」
 強張っていた顔の筋肉から力が抜けていく。自然な微笑みが浮かんでいると思う。声も、自
然に出た。

65:『たとえばこんな最終奏 Into_Outroduction』3/5
07/12/15 00:28:41 J5OJpu8n

「上条当麻は、インデックスのことが、大好きなんだ」

 え、と碧玉の瞳の少女が言葉を漏らした。
 上条は、もう表情を作ったりとかそういったことを意識しない。
「人の名前っぽくないけど、俺、犬とか飼ってないし。猫はいるけど、スフィンクスって言う名前
だから。でも、インデックスって名前の娘、ひとりだけ知り合いにいるんだよ。猫の名前も、その
娘がつけたんだけどな」
 インデックスの胸に、『驚き』とか『泣き』とか、そのほか様々な衝動がせり上がってくる。
 飲み込もうとして、その矢先に上条が再び言った。
「何度でも、言える…ぞ? 照れくさくはあるけどな、上条当麻は、インデックスが、」
 その声に、飲み込もうとした衝動がインデックスの身体を突き動かした。

「とうま、とうま―大好きっ、大好きっ、大好きっ!」

 感極まったのだろう、涙の粒をこぼしながらインデックスが上条の胸に飛び込んできた。飛
び込みざまにその両腕が上条の首に巻き付く。
「……んむっ…!」
 飛び込むように抱きつかれ、バランスを崩して倒れ込む上条の唇をインデックスのそれが塞
いだ。
 瞳を閉じた少女の顔が大写しで目の中に映る。
 そして、その少女の柔らかな唇の感触。上条も目を閉じた。
 永遠にも思える一瞬の後、二人の唇が離れて、笑顔なのに泣きながら―前とは違う、笑っ
ていたいのに、嬉し涙が止まらないのだ―インデックスが口を開いた。
「私、わたし、ずっと、待ってたんだよ? とうまのこと、大好きで、それで、それで…」
 気持ちが暖かくなる。上条も、自分に強く巻き付いた腕に負けないように少女の小さな身体
を抱きしめた。
「ごめんな、インデックス。でも今は、もう一回、インデックスとキスしたい」
 その言葉に、インデックスがくしゃ、と顔を崩して笑う。
「とうまのばか」

 そうしてふたつのシルエットが、ひとつに重なった。








66:『たとえばこんな最終奏 Into_Outroduction』4/5
07/12/15 00:29:26 J5OJpu8n

・・
・・・
~アウトロのコーダ~

 気が付いたら、上条が姿を消していた。止められるのも聞かずに勝手に連いてきたとは言
え、何も言わずに姿を眩ますとは。
「……ったく、さんざ心配かけといてどこ行っちゃったのよあいつは?」
 周囲では、一緒に戦ったなんとか式、とかいう若者たちが負傷した者の手当をしている。自
分は幸いかすり傷程度のことで済んだが、あいつは結構怪我してたような…と思い当たって、
御坂美琴は姿を消した上条を捜しにその場を離れた。
「聞きたいことも、あるし……」
 さほども探さなかったと思う。案外すぐに上条の姿を見つけた。
 さっきまでは戦場だった、とは思えないほど場違いな庭園の奥にそのシルエットが見えた。
絶対に見間違えない自信もある。
「ちょっと、ア―」
 声を掛けようとした、そのとき。
 一人だと思っていたその影から、小柄なシルエットが離れた。
 そう言えば、あのシスターの姿も無かったと気付く。気付いて思わず声が出る。
「ちょっとちょっとちょっと! 怪我人が勝手に出てって、なにしてんのよ?!」
「お?」
 声を聞いて、上条が振り返った。
 上条が振り返ると同時に、こちらを見た銀髪のシスターが驚いたように頬を染め、上条の陰
に隠れる。
「なんだ、御坂か。びっくりしたじゃねーか。…って、まあ、俺はともかく、御坂は…その様子だ
と、怪我とか無かったみたいだな、良かったよ」
 言って、上条が安心したような笑みを浮かべる。
 その笑みに思わず顔が火照って、しかし今追求したいのはそんなことではない、と美琴はブ
ンブンと首を振った。
「そ、そうじゃなくってっ! アンタたち、勝手に出てって何してたのよ?」
 その美琴の大きな声に、何か美琴からすれば違和感を覚える縮こまり方をしていたシスタ
ーが、上条の背後でますます小さくなる。
「あれ? どうしたんだインデックス……って、あ、そうか。そう言や、今の今まで紹介もしてな
かったんだったな、インデックスと御坂は」
 上条が、自分の後ろに恥ずかしげに隠れたシスターと美琴との間に視線を巡らせながら、一
人納得したように言った。
「え、いや、そうじゃなくって―」
 言いかけた美琴の言葉は聞こえていなかったのだろうか、上条は純白の修道服の少女に
向かって話しかけているところだった。
「インデックス、あいつがレールガンの美琴。御坂美琴。学園都市じゃ最高の能力者の一人な
のに、何故か俺のことを倒す! って何かと絡んでくるチューガクセーだ」
 なっ…、と御坂美琴が息を詰まらせる。この期に及んで、上条当麻は自分が何故ここに連い
てきたのかを理解していないのだ。
 その紹介の仕方は何よ、と言い返そうとして、それよりも早く上条の口が動いた。

「で、御坂、こいつはインデックス。イギリス清教のシスター……あー、細かいことは良いや。
俺のカノジョ」


67:『たとえばこんな最終奏 Into_Outroduction』5/5
07/12/15 00:30:00 J5OJpu8n
 そう言うと、上条は優しげな表情をインデックスに向けて、その肩をそっと抱いた。
「ちょ、とうま……」
 肩を抱かれた純白のシスターが、さらに頬を赤く染めてもぞもぞと呟く。
「あれ? ダメだったのか、インデックス?」
「だ、ダメじゃないけど、は、恥ずかしいよ…」
 美琴にすれば青天の霹靂である。
 頭の中が呆然とするその目の前で、二人がいちゃいちゃと絡み出した。呆然となればなる
ほど逆に視界が冴えて、上条の頬や首筋に小さな唇の跡、としか思えないような点々が目に
入った。
「か、カノ…ジョ? カノジョって、彼女?」
 足下がふらふらとする。視界が霞んで、意識が薄れた。
「おっと」
 そのまま後ろに倒れた御坂を支えたのは、その背後から現れた身長2メートルの真っ赤な神
父だった。倒れるのを受け止めて、さらにその背後に連いてきていた誰かに美琴の身体を預
けた。
「よう、ステイルじゃん。お互い無事でなにより―」
「そんなことはどうでも良い。それよりも、さっき貴様が言っていたことなんだがな」
 咥え煙草を噛み千切りそうな表情で現れたステイル・マグヌスが、上条当麻に詰問口調で
言葉を掛ける。
「さっき? んん? ……ああー、」
 ステイルの表情が見えているのかいないのか、上条は考え込むような様子を見せた後、イ
ンデックスをちらりと見て答えた。
「なんだよ。聞いてたのか。そう言うことでさ、インデックスとはお互い同意で恋人することに―
―」
 上条の言葉が終わるまえに、煙草を噛み千切ったステイルが駆け出した。
「ゆ、許さん、他の何が許しても、僕は絶対に許さん!」
 炎剣が飛び出す。
「おわっ!!」
 我を失ったステイルの表情と行為に驚いた上条が悲鳴を上げる。ステイルの背後では、数
人の少女が声を上げていた。
「ス、ステイル! あなたはともかく上条当麻を……」
「ぶっ、ブラザー・ステイル! 上条さん、怪我させたら許さねえっすよ!」
 ステイルが現れたときに連いてきていたのだろうか、神裂火織やアニェーゼ=サンクティス、
その他にも幾人かの少女が口々に叫び出す。
「あらあら。みなさん判ってらっしゃったのに、かすめ取る気満々でございますね?」
 そんなことをさらりと言って見せたのはオルソラ=アクィナスである。
 その言葉が聞こえていたのだろう、ステイルの突然の狂態に驚いていたインデックスが、上
条の陰から拳を振り上げて叫び返した。
「こっ、こらー! とうまは私のなんだからー! そんなこと言って、ゆ、許さないんだよっ!!」
 インデックスの台詞に、駆け寄るステイルがさらに表情を歪める。
「こっ殺す! 絶対に殺す! 僕は貴様を許さない! 死ね上条当麻!」
 結局はバタバタで終わるのか―でも、いつもの病院エンドはちょっとな、と思いつつ、上条
はインデックスの手を取って走り出す。
「ひゃ、とうまっ」

「逃げるぞインデックス、今度のは愛の逃避行ッ!!」

 上条当麻は自分を不幸だと思わない。
 握りしめた幸せを、もう決して離さない。
 笑いながら、上条当麻とインデックスは駆け出した。

68:579 ◆UHJMqshYx2
07/12/15 00:32:06 J5OJpu8n
非エロです、すまん。
例によって間無し、申し訳ない。
しかも、ネタはありがちと言う…。

寝落ちして逃げますおいちゃん。

69:名無しさん@ピンキー
07/12/15 03:01:32 SVwg6h6H
GJ!
なんという普通にありそうな最終回www
しかし御坂さんのスルーっぷりがセツナス

70:名無しさん@ピンキー
07/12/15 03:05:24 SVwg6h6H
GJ!
なんという普通にありそうな最終回www
しかし御坂さんのスルーっぷりがセツナス

71:名無しさん@ピンキー
07/12/15 07:28:22 /P+XrnuP
最後は結局ハーレムエンドだと僕は勝手に幻想しますね

72:名無しさん@ピンキー
07/12/15 09:24:01 IB22yWF+
禁書が読者からキャラ人気無くても最後はこんな最終回であって欲しいわ、ほんま。
でもないと不憫過ぎるわ・・・

73:名無しさん@ピンキー
07/12/15 17:22:55 DDmQQzYj
作者の恋人にしたいキャラNo.1はインデックスらしいけど、最近扱いが微妙だよなぁ
まぁ、それでも一応フラグは1番立ってるかと思うけど

74:名無しさん@ピンキー
07/12/15 18:13:49 Tt9Mg6bP
そんな幻想(フラグ)は(ry

75:名無しさん@ピンキー
07/12/15 19:54:05 j6ADSVyY
OCN規制に今ほどもどかしく感じた時はない
579氏に心からのGJを送る
俺はやっぱり禁書好きだぜ

76:名無しさん@ピンキー
07/12/16 08:57:40 QE24V2ss
実際最終回ってどんな感じなんだろうね。
自分の予想はこちら

当麻は魔術という存在を消す

世界がもし魔術(又は超能力)がなかったらっという世界になる。

一巻の初めの様に、当麻が御坂から逃げているとインデックスと出会う。
END

77:名無しさん@ピンキー
07/12/16 09:46:36 Rd+br2jD
そりゃ


神「くっ・・・貴様我をここまで追い詰めるとは・・・
こうなれば我が禁呪で全てをry」
上条「俺には・・・守りたい人達がいる。
インデックスに御坂に妹、吹寄に風斬に小萌先生に青髪ピアスに土御門に百合子、オルソラにアニューゼにルチアにアンジェレネに五和、父さんに母さん、神裂にステイル、初春に佐天。他にもたくさん・・・な。
だから・・・テメェの全てを無に帰すなんてふざけた幻想はな俺が・・・俺が必ず潰してやる!」



●●「私は?」

神「ふん!ならば守ってみせろ!絶対に不可能だがなぁぁぁぁ!!
くらえ!我が禁呪!ノスフェラート【フラグ潰し】!!」
上条「幻想殺し・・・みんなを守りやがれぇぇぇ!!」

・・・・・・・・・・・・・・・

上条は神との戦いで全ての記憶を失ってしまった。しかし皆は上条から離れようとせず、修羅場なエブリデイが続いていた・・・

ーーー彼の新しい物語は今、また始まるーーー

78:名無しさん@ピンキー
07/12/16 12:40:39 8Dpuhn16
自分の予想は…


ようやく記憶を取り戻した上条。全ての戦いも終えて皆のアタックが熾烈を極めていく最中。

上条「今まで忘れていてごめんよマイラバー!」
神裂「えっ、ちょっ、ちがっ」
その他「え~!!」



なんとそれは、ラスボスだった偽教皇代理が死に際に放った渾身の魔術であった…。


どうするインデックス!
負けるな美琴!
頑張れ姫が(ry

79:名無しさん@ピンキー
07/12/16 14:02:40 BLiN3YMM
親船゙最中"さんで?

80:名無しさん@ピンキー
07/12/16 22:46:46 wSu7iJ/M
上条「俺はまだ、登り始めたばかりなんだ、
   
   果てしなく続くこの、フラグ坂を!」


未完!

81:名無しさん@ピンキー
07/12/17 01:43:54 Ey4fd+H4
最終回でまたもや記憶を失った上条さん
そのことを知った上条軍団はチャンスとばかりにアプローチと言う名の猛攻をかける
今日も今日とて学園都市に叫びが響く「不幸だぁぁぁぁ~~~~」


ハーレムエンドにしないと選ばれなかった方々から空中コンボくらって永久に地に足がつかなくなると思うんだ

82:名無しさん@ピンキー
07/12/17 03:41:46 IfmbAJk9


83:名無しさん@ピンキー
07/12/17 07:48:51 XkLUkeYQ
俺の中では

実は全て一巻で植物人間になった上条の夢

ってのが最有力なんだが

84:名無しさん@ピンキー
07/12/17 16:06:54 AqIcZJ2Y
それじゃあまるで『アリス・イン・ワンダーランド』だね。
キャラ構成とかは違うけど。

85:名無しさん@ピンキー
07/12/17 18:02:49 PWI2ZqAP
サイレント・ヒルの方を思い出した俺は異端ですか?

86:名無しさん@ピンキー
07/12/17 18:56:22 jwWeNknN
ドラえもんじゃねえの?

87:名無しさん@ピンキー
07/12/17 19:17:59 bHlWrX71
>>83
そんな切なくて泣ける鬱エンドなど許さん……

88:名無しさん@ピンキー
07/12/17 20:40:05 wGUEVrNo
ドラえもん最終回の都市伝説

89:名無しさん@ピンキー
07/12/17 21:51:25 1K1nUIUv
俺的最終回予想(寧ろ妄想)。
最後の戦いで行方不明になる上条当麻、必至の捜索にも関わらず発見出来ず五年の月日が流れる。
しかし神裂が任務に向った先で偶然にも当麻を発見、なんでも再び記憶喪失になったらしい。
会えた喜びも束の間、実は当麻は結婚をしていて妻のお腹には子供が。
会えなかった五年分の思慕と怒りが合わさり神裂ヤンデレ化、当麻を秘密裏に監禁、妻の方は腹を裂いて「中にだれも居ないじゃ無いですか」。

(神裂にだけ)HAPPYEND

90:名無しさん@ピンキー
07/12/17 22:00:46 d86WnTP7
nice boatはやめてほしい

91:名無しさん@ピンキー
07/12/17 22:13:36 bHlWrX71
あれだろ
行方不明

三年後くらいにひょっこり帰還

三年関溜め込まれたヒロイン達の思いが大暴走

さんはい「不幸だー!!」

92:名無しさん@ピンキー
07/12/18 01:46:26 xKx4zFTG
上条さんは一度女性に刺されるべきだと思う…

93:名無しさん@ピンキー
07/12/18 03:47:37 YsYOWvpV
つまり、後から尻にぶっすり突っ込まれて新たな快感に目覚めさせられた挙句、
その女性無しでは生きて行けなくなってそのまま隷属ENDですか
刺す物は・・・
禁書  → うまい棒
小萌  → チョーク(ダース単位)
神裂  → 七天七刀
美琴  → 電流付きの鉄棒
姫神  → スタンガン埋め込んだ新素材の警棒
妹達  → メタルイーターMX
風斬  → 頭の脇から伸びた一房の髪でくすぐったり
オルソラ→ 十字架
アニェ → 杖
吹寄  → 健康グッズ
オリアナ→ 市販の物
五和  → おしぼり

むしゃくしゃしてやった。長文すまないと思っている

94:名無しさん@ピンキー
07/12/18 05:08:35 677oLV4H
最終回は決戦で生死不明になった当麻が、異国の地で一発キャラにフラグ立てて終わると思う。
絡まれているのを助けるとかそんなんで、上条軍団は猛スルー。

95:名無しさん@ピンキー
07/12/18 05:12:29 yoNQdY5z
最終回予想……

上条さんの幻想殺しスペシャルが☆の野望を打ち砕く

しかしその結果上条さんから幻想殺し、ついでにフラグ能力も消え去ってしまう

幻想殺しが無くなり、魔術にも超能力にも対抗出来なくなったため上条さんの株は大暴落(利用価値的な意味で
魔術側からも科学側からも距離を置かれるように

超能力の消失と☆への反抗の責をおわされて学園都市から追い出される事に

どこかふっ切れない思いを抱えつつも学園都市を出ようとする上条さん
しかしその時、低Lv能力者の集団が無能力者を襲おうとしてる場面に遭遇

幻想殺しが無かろうと、この拳でテメェらの幻想をぶっ殺す!!

結局の所、彼の魂、彼の意志そのモノこそ、幻想殺しと呼ばれる異能だったのかもしれないね、と言うカエルでシメ

長文スマン

96:名無しさん@ピンキー
07/12/18 11:31:26 lz/LmHUE
>>93
メタルイーターの砲口制退器は大人の手の幅よりでかかったと思う...
M82A1 でググると出るけど

97:目を覚ますと。美琴版1/2○lB3xRItf
07/12/18 12:53:56 X+fPEXyt
顔が床に直撃する直前、上条はベッドから飛び起きた。
「ゆ、夢だったのか?」
荒い息を整えて額に浮かぶ汗を腕で拭う。
とんでもない夢を見た。
吹寄と結婚して子供までいるなんて普通の夢じゃない。
いや、それとも・・・
「内なる願望が夢になったてか?くだらねぇ」
軽く頭を振りながら汗びっしょりとなった体をシャワーで流そうとしたとき、当麻は気づいてしまった。
彼の寝ているベッドがダブルベッドだということに。
当麻は一度止まった汗が再び汗が噴き出すのを感じた。
鼓動が速くなり、首が油を点していない自転車のチェーンのように首がうこかない。
そして恐る恐る振り返るとそこには見覚えのある茶色い髪と顔の一部がふとんからのぞいていた。
ふとんのふくらみがその茶髪の持ち主はそんなに大きくないことを悟る。
「こ、こいつ、あのラストオーダーって奴か?」
そういったが最後、当麻の頭には一つの言葉が浮かぶ。
ロリコン。
「ち、違う!上条さんはロリコンなんかではさありません!」
大きな声で否定するが頭の中にはロリコン、という言葉が無限にループする。
そしてどこからか青髪ピアスと土御門の声が聞こえてくる。
(にゃーカミやん、我らの世界にようこそですたい)
(ボクはカミやんがやっと理解してくれてうれしいでー)
(ちがう!ちがうんだ!俺は!)
(言い訳なんて見苦しいにゃー)
(認めたほうが楽になるで、カミやん?)
(そうだにゃー!この俺、土御門元春がロリは偉大だといっているのでだにゃーカミやん!)
(ロリが他の萌属性に対して優れているなどと!)
(人類(男たちには)他の萌属性だけでは満足できていないのや!)
(だからといってロリ(犯罪が)いいというわけではない!)
(なら今すぐ人類にロリ以上に偉大な萌属性をみせてみい、カミやん!)
(貴様らの幻想をやってからそうさせてもらう!)

98:名無しさん@ピンキー
07/12/18 12:55:06 i7SAf7jT
>>96
つまり極太をぶちこまれてよがる上条さんですね?

それより最後は誰か一人と決めずにドタバタで終わるとしか思えん
色んな意味でそうとしか終わらせられないと思う

99:目を覚ますと。美琴版2/2○lB3xRItf
07/12/18 12:55:06 X+fPEXyt
とイマジンブレイカー(右手)を土御門と青髪ピアスの声がする方向にふるおうとした時、
ドアが大きな音をたてながら空くと同時にど怒鳴り声が聞こえてくる。
「あんた、パパ起こすのにどんだけかかってるのよ!」
ものすごい剣幕で入ってきた女性を当麻は過去みたことがある。
忘れもしない、御坂美鈴は詩菜と同じ能力(若作り)をもっていてとても一児の母には見えない人、美鈴さん。
「パパ?」
確かに彼女はそういったはずだ。
美鈴が自分のことをパパと呼ぶにはこの部屋にはパパがいなくてはならない・・・ま、まさか!
(上条さんは人妻とにゃんにゃんしたという意味ですか!!)
美鈴らしき人物が大声で叫んでもベッドで寝ている女の子を見た。
額に青筋浮かべる女性には話しかけられるような雰囲気ではない。
しかし、前見た時は美鈴さんはもっとのんびりしていたような気がするなー、とか思っている当麻は
目の前の美鈴がとなりの子供の首根っこ掴んで部屋から引っ張っていく。
こんな状況でも起きていない女の子は将来大物になるなとくだらないことを考えながら、
その後ろ姿を見つめていた。
もうなにがなんだかわからなくなってきた当麻はぽっつんとベッドの上に座り、何気なく部屋を見回す。
いかにも夫婦の寝室という感じの部屋は普通の部屋だ。
すぐ横にあるベッドサイドテーブルには見たこともないような携帯電話が置いてあり、そのすぐ近くには写真立て。
当麻が居る位置からは写真が見えないのでなんとなくその写真を手を伸ばす。
写真に写っていたのは美鈴らしき人と先ほど部屋を引きずり出された少女。
なんとなく写真の裏を見ているとそこには自分の字でこう書いてあった。
『愛しのハニー美琴とマイラブチャイルド美○』
(つまりさっきの美鈴さんは美琴で今の女の子は俺の娘(?)・・・)
オーバーフロウした頭が本能的にシャットダウンする。
司令塔(脳)のコントロールを失った当麻の身体はゆっくりと倒れる。
ベッドの上で倒れるのだから柔らかいベッドの上で倒れるはずなのだが不幸にも彼はベッドを越え、床に向かって突っ込む。
「と、当麻?」
「パパ!?」
そんな声を聞きながら当麻はもう一度床とキスをした。

100:872○lB3xRItf
07/12/18 13:09:27 X+fPEXyt
と言うわけで前スレの続きです。
このままヒロイン全員をやろうと思います。
次にやって欲しいキャラがいたら言って下さい。

>>96
飢えた女性が銃をナニ代わりにしてナニしているときに誤って発砲。
なんて話聞いたことありますよ。

101:名無しさん@ピンキー
07/12/18 14:11:57 J46t6MgH
ねーちん!

102:名無しさん@ピンキー
07/12/18 14:12:52 J46t6MgH
うおおおおおおおおおおおおお規制解けてるううううううううううううう!!!!!!!
ねーちんを!!!!狂おしいまでにねーちんを!!!!!

103:名無しさん@ピンキー
07/12/18 14:20:56 4IZkj6Dr
>>102
天草式十字凄教へお帰り下さい。

104:名無しさん@ピンキー
07/12/18 14:21:37 J46t6MgH
すいません(´・ω・`)

美琴はいいお母さんになりそうだよね

105:名無しさん@ピンキー
07/12/18 18:15:08 y2hpJ0NZ
禁書は〆にお願いしたいところ。
次は巫女さんでひとつ

106:名無しさん@ピンキー
07/12/18 18:59:02 hffx4ZlZ
全力でねーちんを所望しますよおおおおおおおお!!!!1

107:名無しさん@ピンキー
07/12/18 19:10:16 rtulSAP5
え?御坂つながりでシスターズ行って,
シスターズつながりでラストオーダー&一方さん
という外伝をしてくれるんですよね?

108:名無しさん@ピンキー
07/12/18 20:03:10 lz/LmHUE
>>98
>>100
フィストどころの騒ぎじゃないよ...

109:名無しさん@ピンキー
07/12/19 08:44:52 Aphpurof
>>100

前スレの続きってのは、次書いてほしいキャラでいいんですよねっ?
アニェかオルソラを所望しますっ!

110:名無しさん@ピンキー
07/12/19 10:03:11 YjIJBIYS
>>107
一方さんと打ち止めのラヴラヴ☆新婚生活が想像出来ない件について


このカップルは好きだけどな!

111:名無しさん@ピンキー
07/12/19 21:10:58 Vq8OfkKL
>>110
「あなた、起きて~、とミサカはミサカは低血圧で朝が弱いマイラヴァーを起こそうと声をかけながら毛布の上から揺すってみる」
 朝7:30、十代後半程の少女が毛布にくるまり規則的に寝息をたてている人物―彼女の台詞からしておそらく夫であろう―を起こそうとしている、しかし僅かに身体をずらし微かに呻くような声を上げるだけで一向に覚醒の気配を見せない。
 その内少女は諦めたのか揺さぶるのを止めた。
「むぅ~、これでも起きないか……、とミサカはミサカはやや呆れつつも次の手段を実行に移してみる」
 少女はそう言うと足側から毛布の中に顔を潜り込ませる。
「むふふ~、ごほ~しごほ~し~、とミサカはミサカはあなたのズボンを下ろして男性器を口に咥えてみる」
 少女はそのまま生理現象により朝からいきり立っている男性器に口付け―

こうですか?解りません!

112:名無しさん@ピンキー
07/12/19 21:23:36 W8dc48XB
その……世の中には…つまり…越えてはいけない
………まぁ…一線というものが……あって







うん…いいんじゃないb

113:名無しさん@ピンキー
07/12/19 21:32:10 xhKz/5rK
>>112
越えてしまいましょうや。倫理も道徳も何もかも。

仕方ないじゃない、エロいんだもの。

114:名無しさん@ピンキー
07/12/20 00:23:50 fZQ/4dYd
>>100

サーシャ希望!

ロリが好きとちゃうでー、
ろりも好きなんやでーっ

115:名無しさん@ピンキー
07/12/20 09:50:34 7AhsLvhK
>>110
イイヨーイイヨー

>>112
超えてはいけない一線……?
そんな「幻想」は俺が(ry

116:名無しさん@ピンキー
07/12/20 09:51:15 7AhsLvhK
安価ミス
×>>110
>>111

117:名無しさん@ピンキー
07/12/20 14:35:38 /VBlmfmT
そういや、一方通行×打ち止め書いてくるって言った人が上に居たよな……


まだなのか、まだこないのか

118:名無しさん@ピンキー
07/12/20 22:11:41 e+eqSmxH
>>117
そんな「幻想」は俺が(ry


119:名無しさん@ピンキー
07/12/20 22:39:06 K0niSpMW
美鈴ママン×一方さん書いてた人も続きマダかな?

120:名無しさん@ピンキー
07/12/22 00:06:53 vL3XFwF2
アニェーゼかわいいよアニェーゼ

121:名無しさん@ピンキー
07/12/22 08:52:59 w1P3aIXD
それはある日のことだった。ミサカ10032号はカエル医者に呼び止められた。
「どうやら君達はなんとかしてあの少年から特別な指輪をもらおうとしているみたいだね。
だが日本の法律では1人としか結婚できないから指輪をもらえるのは1人だけになってしまうよ?」
それはシスターズたちにとっても悩みの種だった。だがどうすればいいのかわからない。
「だけど待ってほしい。結婚ではそうでも子供なら何人でも授かることができるよ。
父親と母親の遺伝子が同じなら異母兄弟なんて悩む必要もないし、検討してみてごらん?」
その提案は確かに考察の価値があるものだった。
その夜、ミサカネットワークの勢いはまさに祭りというべきものであり、上位個体である
ミサカ20001号も「みんななんか面白そうなことしようとしてる?私もやるー!」と加わってきた。


その次の日、公衆の面前で物凄いことを言われて慌てふためくお人よしの少年と、
小さな女の子に同じことを言われ困惑する本名不明の能力者の姿があったとか。


122:名無しさん@ピンキー
07/12/22 09:25:13 gft3tbbC
続きをkwsk

123:名無しさん@ピンキー
07/12/22 10:18:58 H7hgYYZI
( ゚∀゚)o彡゚サーシャ!サーシャ!

124:名無しさん@ピンキー
07/12/22 13:49:53 vyzln6yd
オマイラ餅つけ!
全員やってくれるって話なんだから大人しく待っていようぜ、なっ?

125:名無しさん@ピンキー
07/12/22 15:17:32 l6O/YpCj
とうまたんりょうじょくイベント?

126:名無しさん@ピンキー
07/12/22 20:02:01 K4kJQdXC
あおぴたんりゅうじょくいべんとだろ

127:名無しさん@ピンキー
07/12/23 01:43:43 BWr64tq/
びあーじおたんりょうじょくいべんとでは?

128:名無しさん@ピンキー
07/12/23 05:09:38 sKo33rGi
>>125-127
狂ってるよお前等w

129:名無しさん@ピンキー
07/12/23 09:13:07 xhMFwL9w
禁書の食費を稼ぐためにサンタコスしてアルバイトする上条さんとクリスマスに上条さんを誘うために彼を探している女性陣と出会うという電波や、
恥ずかしながらも子ども向け・少女向けの店に入ってまで打ち止めに高価なプレゼントをする一方さんという電波を受信した。発信源は誰だ?礼を言いたい

130:名無しさん@ピンキー
07/12/23 11:02:53 27QDNtUh
>>129
何で俺がこンなコト……とか心の中で呟きつつも、
顔を若干赤面させ、店員に向かってぶっきらぼうに商品を渡す一方さんにときめいた。


131:名無しさん@ピンキー
07/12/23 18:08:05 12XWDCHG
まてまて、誰が発したかわからんが

一方さんが24日にファーストフード店でバイトすることになった(サンタコス)が眠気でぼーっとしてしまう。
そこに来た上条さんが罰ゲームで「スマイルお持ち帰りで」と言ったら寝ぼけてる一方さんが「かしこまりました」って

電波が来たぞ

132:名無しさん@ピンキー
07/12/23 23:24:51 qkVN61dD
もの凄くあくどい笑顔浮かべてみんなのとこまで追撃(おもちかえり)…です?


そこで丁度電池切れだったら俺かも

133:名無しさん@ピンキー
07/12/24 00:40:44 AzJsvmBL
昨日も例のごとく不幸なことがあった上条当麻がぼろ雑巾の
様に自室で眠っていると、そこにに近づく影がひとつ。

「当麻、起きてください。朝ですよ。」

その女性は当麻を優しく揺すり、慈愛に満ちた声で当麻を起こ
そうとする。

「ふぁぁ…ん、かっ神裂?」

思わず疑問系になるのも無理はない、目の前に立っていた神裂
火織はいつもの露出の高い格好ではなく暖かな色の服装の上から
さらにエプロンを着けた、まさに若奥様だった。

「どうして神裂がここに!? そんなことよりその格好はなんな
のですかー!? どこの若奥様ですかあなたはっ!?」



みたいな熱愛聖人のアフターが思い浮かんだ。このあと学園都市
滞在中にねーちんが通い妻になったり、当麻と新妻プレイをしたり
する妄想が……
だれか書いてくれないかなぁ……

134:名無しさん@ピンキー
07/12/24 08:58:06 WROIcYBo
遠回しに『目が覚めると』のねーちん編書いてくれと言ってんのか?
がっつくなよ半か臭ぇな…
全て時間の問題です

135:名無しさん@ピンキー
07/12/24 10:05:21 BvGJenPh
>>134は道民か…?

136:名無しさん@ピンキー
07/12/24 15:56:00 8g5i47eM
>>135
半か臭ぇな
に反応しおったなw

137:名無しさん@ピンキー
07/12/24 16:37:02 4hT0OR2c
>>136
半角臭せえなのミスタイプかと思ってた。

138:名無しさん@ピンキー
07/12/24 18:16:01 k66j/HMZ
>>134-136
まあ、北海道にも道教にも道路公団にも属してない俺にはわからんやり取りだな



…、いや 道路関係の用語である一方通行を信奉する民族の合い言葉である可能せ(ry


ないならないとーいぇーい

139:579 ◆UHJMqshYx2
07/12/24 23:41:30 CksnuUvn
忙しいからやらねーって言ってたんだけどねえ。

2時間くらいで書いて推敲もしてないから赦してね。

140:1/6
07/12/24 23:45:23 CksnuUvn
いつかのメリークリスマス Silent_Night_,_Holy_Night

 終業式後の今年最後のホームルームが終わって、上条当麻は早々に教室を抜け出した。
「さて、食いモンの買い溜めっと…」
 決してそーっと抜け出した、と言うわけではないのだが、誰にも声を掛けなかったせいだろう
か、あるいは割と遅くまで教室にいる―補習の常連、という不名誉からだが―ことが多い
せいだろうか、上条が帰ったことに気付いたクラスメイトはいなかった。
「25日過ぎるまでは街も煩いしな……。それにあのイベントで不幸がやってこないはずがない、
判ってますよカミジョーさんは! それが判ってて騒ぎに混じったりはしませんよ、くわばらくわ
ばら」
 上条的には―お祭りはキライではない。が、記憶を失って以来の事件事件事件の生活で
は、冬休み最初のイベント…つまるところ、クリスマスというアレなのだが、十字教の聖者のお
祭り、という本来の性格にも何か不穏な響きを感じるし、とにかくその期間となる数日が過ぎ
るまでは引きこもり生活をすることを誓ったのだった。
 何か忘れているような気もするのだが。
「おっと、携帯も切っとこう」
 ボロボロの携帯を取り出して、そう言やあ、機種、換えたのにもうボロボロだなあ、などと思
いつつ電源を落とす。電源を落として顔を上げると、もう目指すスーパーの前だった。
「安売りなのがチキンとかばっかりなのはまあ、仕方ないよなあ―」
 レジカゴの奥に張り出されたチラシを見ながら呟き、上条はスーパーの中へと消えた。

                     -*-

141:2/6
07/12/24 23:45:54 CksnuUvn
「よし、パーティーやるわよ……って、あのバカは?」
「そういえば。どこにも」
 クラスの親しいメンバーでクリスマスパーティーをすることになっていた。店は、今回も土御
門が確保している。
 『あのバカ』を確保していなかったのは、いつもいつもギリギリでないと何かとゴタゴタで捕ま
らなくなることが多かったためだ。なんでいつもいつもゴタゴタしてるのアイツは、とは思ってい
ても、それでも学校にはきちんと出てくるから安心していた―なぜ安心するのかについては
深く追求しない―吹寄制理である。
 いったん寮に帰る前に、件の『あのバカ』、上条を確保しようと教室を見回したのだが―上
条はいない。思わず姫神のほうを振り返ったが、姫神もまた上条の行方を知らないようだった。
「あれ、カミやんもう帰ったンやろか?」
 青髪ピアスがきょろきょろと教室を見回す。
「なんでこういう肝心なときには居ないのよ…っ!」
 上条の不在にイライラする、その理由には踏み込みたくない吹寄である。



「……なんで、電源まで落ちてんのよ…」
 メールが届いてない、という事態がなぜか頻発したため、今回は間違いなく捕まえようと直
接電話を掛けたにも関わらず、上条の携帯番号から帰ってくるのは電波の圏外もしくは電源
未投入のメッセージだけであった。
 わざと電源を落としているのかそれとも電池切れか、むしろ上条なら後者か―と思いつつ、
御坂美琴は舌を鳴らした。
 なにしろ、今夜はクリスマスイブである。
 美琴は十字教徒と言うわけではないが、それ故に日本のクリスマスには馴染みきっている。
「早く捕まえとかないと、誰にホイホイついてくか判んないのに」
 日本のクリスマス―若者たちにとっては、恋人同士で過ごす一年最大のイベントだ。聖ニ
コラウスが泣いているぞといっても、まあ、日本人ですから。
 上条が好き、と言うことは認めたくなくても、それでも上条とクリスマスを過ごしたい美琴であ
る。せっかく手に入れた携帯番号が何の役にも立っていないことに臍を噛みつつ、御坂美琴
は上条の姿を求めて街を歩く。
 今、通り過ぎたスーパーに上条が入っていく所だったのに気付かなかったのは、御坂美琴
今年最後で最大の失態だったかもしれない―

                     -*-

142:3/6
07/12/24 23:46:34 CksnuUvn
 大量の食料品が詰まったレジ袋を抱えて、上条当麻は帰宅した。まずはこいつらを冷蔵庫
に…と部屋に踏み込む。
「とうま、おかえりー…って、どうしたのそんなにたくさん」
 声を掛けられ、声の方向に振り返って上条は今思い出しました、とばかりに目を覆った。
「あちゃー……。なんで、こういうときに限って同居人の存在を忘れてるんだろう…なんかやた
らたくさん買ってるな、とは思ったけど…インデックスの腹の虫の分はもう意識しなくても計算
の内ですか…」
 上条の溜息という、いつもなら不機嫌を呼ぶその行為に、なぜか今回に限ってインデックス
の心中には心配が涌く。
「どうしたの、とうま? なにか困ったことでもあったの?」
 インデックスに顔を覗き込まれて、ごちゃごちゃ言い訳しても仕方あるまい、しかし嫌なモン
は嫌だしはっきり言っておこう、と上条当麻は覚悟を決めた。
「いやな、インデックス? 今街に出るとクリスマス、クリスマスってすごい騒ぎでさ、不幸体質
のカミジョーさんとしてはどこにも出かけたくないんで、このお祭り騒ぎが終わるまでは外出無
し、で赦して欲しいんだが。これはその期間の分の食料」
 バツが悪そうに言う上条に、外出したくない、何処にも行かない、ということには落胆を感じ
たインデックスだったが、今日に限ってそのことが違う方向へと回路が繋がる。
 辿り着いた思考に、上条に答えようとして言葉がもつれ、顔が赤くなるのが判った。
 それでも何とか返事はする。
「テレビで映ってた街がキラキラしてて見てみたかったけど、本来は厳粛にお祈りを捧げる日
だし、とうまが出かけるのが大変なら私は構わないよ」
 インデックスの返事に、安心しつつもやはり上条としては心苦しさもあるのだろう。
「悪いな、インデックス。でも、何も起きないくらいの方が良いんだよ実際」
 気遣いも感じるその表情に、さらに胸がドキドキしてくるのを感じたインデックスだったが、こ
の少年の朴念仁ぶりはよく判っている。ここで一押ししておかなければ、と言葉を絞り出した。
「そうだね、事件、ばっかりだったもんね…。だから、私は構わないよ。家で、ゆっくりしようよ。
それに―」
 何故か赤面して俯き加減に話すインデックスの態度に、どうしたんだろう上条がその顔を覗
き込もうとすると、銀髪碧眼のその少女が顔をあげて言葉を繋いだ。
「ふ、ふたりっきりで、居られるんだもんね、とうまと」
 上条も、これを聞いて思わず赤面する。
 普段は特に意識することもないのに―いや、女の子と二人暮らしという異常事態に対応
すべく、無意識下で『意識しないように』コントロールしていたのだろう。
 意識しようがしまいが、インデックスが結構な美少女であることに変わりはない。そして、そ
れが意識の中で急浮上してきた、それだけのことだ。
 が、『それだけのこと』でも思春期の少年には大問題である。
 なんでこんなにドキドキするんだろう、と思いつつも、何とか言葉だけは絞り出した。
「そ、そういうのも、たまにはいいかもな」


143:4/6
07/12/24 23:47:11 CksnuUvn
 その後、夕食の準備に本格的に取りかかるまで、何をすればいいのか、どうしていればいい
のかも見当がつかず、上条にも、インデックスにも長いような短いような気恥ずかしい―な
ぜか、それでも満足感のある―時間だけが過ぎていった。
 そして、スーパーで安かったもの、と言う基準だったためにチキンが並んで少しはクリスマス
の雰囲気もあっただろうか、という夕食の後、唐突にインデックスが言った。

「ねえとうま、日本のクリスマスは、恋人と過ごすんでしょ?」

 『隣に行っても良い?』と聞かれ、なにも考えずに了解の意を伝えたため、インデックスは上
条の真横に座っていた。
 この質問の前に、少し距離を詰めてきていたようだ。
 ぴったりと寄り添う形になり、少女の体温が服越しに伝わってくる。少し、ドキッとした。
「え、あ、そう言う連中も居るみたいだな」
 妙に真剣なインデックスの視線に途惑いつつ答える。
「とうまは―私のこと、きらい?」
 余程思い切ったのだろう、真剣な表情ながら目が少し潤んでいる。
「嫌いなはず、ないだろ?」
 嫌いではない。
 嫌いなら、イギリス清教とか『必要悪の教会』といった組織がそうさせようとしている、という
思惑など関係なくインデックスを匿おう、などと言う酔狂なことはしない。
 何しろ、彼らと関わったがためにこれまでの事件の数々がある。インデックスは―本人の
思惑とは関係なくても、その元凶の一つと言っても過言ではないのだ。
 では、ただ守ってやりたいという以外に何か理由があるのだろうか?

「……じゃあ、好き?」

 今にも泣きそうな潤んだ瞳でインデックスが尋ねる。
 そう聞くインデックス自身はどうなのだろう、と思い、その疑問を打ち消した。聞くまでもない。
インデックスは―とっくに答えを出しているではないか。
「んっ……」
 インデックスが嘆息を漏らす。
 これがクリスマスの魔力なのだろうか。インデックスの言葉に、声で応えることなくその少女
を抱き寄せると、唇を塞いでいた。
 唇を離すと、インデックスが満足げな嘆息を漏らしながら上条を見つめる。
「ねえ、とうま…? わたしは、いいんだよ…?」
 上条は抗えない。
 再び、唇を合わせた。少女の被っていたフードをはぎ取って、銀髪に隠れた耳朶から顎、う
なじへと唇を這わせる。
「ふあっ…」
 首筋を吸われて、インデックスが嘆息を漏らした。その甘い声音は、さらに上条を煽るだけ
だ。
 修道服の形を保たせている安全ピンに手を伸ばした。ひとつ、ふたつ、みっつ、とピンが外
れる。こんなに器用だったっけ、俺…と思いつつも、指は止まらない。
 インデックスが上条の袖を握ったが、拒否するような雰囲気は感じなかった。むしろ、身体を
任せるような感さえもする。
 はらり、と少女の身体を覆っていた純白の修道服が床に落ちた。
 その下に隠されていた、絹布にも劣らぬ白く艶やかな少女の肌が顕わになる。
「いいよ、とうま―」


144:5/6
07/12/24 23:47:54 CksnuUvn
                     -*-

「ほなら、次はボクが歌うで! けーだかきーあんですーかーけめぐるー……」
 飲んでもいないのに―いや、もちろん彼らは高校生なので飲酒は不可なのだが―テン
ションを上げまくった青髪ピアスが歌い出した。
「薙ぎ払え」
 いかにも不機嫌です、と言った表情をした吹寄制理がぼそりと呟く。
「げふっ!!!!」
 吹寄の呟きに、幾人かが跳ね起きると、青髪ピアスに対して思い思いの制裁を加えた。
「こっ、これからがええとこやのにーっ!!」
 叫びも虚しく、上座から引きずり下ろされる。
 制裁を加えた数人が、いかにも哀れなものを見ています、と言った表情で青髪ピアスを引き
下ろしながら、「吹寄の機嫌、どんだけ悪いと思ってるんだ」とか、「女の子の前であんなモン
歌うバカが居るか」などとたしなめ―もとい、罵倒する。その言葉に、なんでやねんっ! と
抵抗していた青髪ピアスだったが、姫神の前を通った際、
「いっぺん。死んでみ?」
 と呟かれ、抵抗はそのまま嘆きの叫びに変わった。

「吹寄もだけど、姫神さんも機嫌悪いな」
「上条くんが居ないからかしら―やっぱり?」
 陰で囁きつつも、触らぬ神には祟り無し、を決め込んだ級友たちである。



 結局上条は見つからなかった。
 失意のままに寮に戻って、そのまま部屋に引き込んでしまおうとした御坂美琴だったが、白
井ほかの寮生たちに誘われ―騒ぎたい気分ではなかったが―せっかくの誘いだし気を
紛らわそう、とささやかなパーティーに参加した。
 が、キャンドルに火を入れて部屋を暗くしてみると―やっぱり、上条を見つけられなかった
ことに対しての悔しさ、いやむしろ寂しさが沸き起こる。
「ううっ、あのバカ……。なんで、肝心なときには見つからないのよ…」
 しかし、ここで挫けないのが御坂美琴の御坂美琴たる所以、である。
「来年こそは…っ、来年こそは―見てなさいよ…」
 キャンドルの炎を前に、決意を新たにする美琴であった。

                     -*-


145:6/6
07/12/24 23:48:42 CksnuUvn
 カーテンの隙間から見える風景に、ちらりと白いものが混じった。
「インデックス、雪だ―」
 上条の言葉に、銀髪の少女が毛布の中からはい出てくる。
「ほんとだ…」
 暖房のスイッチが入っていても、毛布から出ると肌寒い。
 というのも、二人が何も着ていないからなのだが―それで、上条は枕元に置いていたシャ
ツを広げると、インデックスの腕を袖に通させる。続けてボタンを閉じながら呟いた。
「隠れちゃうな、名残惜しや名残惜しや」
 聞いて、インデックスが笑う。
「とうまのえっち」
「……そりゃあ、カミジョーさんも健全な男の子ですから」
 笑いながら出てきたインデックスの言葉に、冗談めかして答えながらボタンを閉じ終えると、
上条は少女の膝に頭を乗せた。
 膝枕の上で、煽り見るように窓のほうを向く。
「綺麗だな……。ホワイト・クリスマス、か…」
 突然膝枕をされて、一瞬だけ面食らったような表情をしたインデックスも窓の外を仰ぎ見る。
それから、外を眺める上条を見下ろしながら、呟くように歌い始めた。


―きよし…この夜  星は、ひかり

   救いの御子は  み母の胸に―


 ああ、こんな綺麗な声、してたんだなあ…、と、上条の耳に心地よく少女の声が響く。歌う少
女を見上げた。
 その少女―インデックスは、優しげな瞳で上条を見つめながら歌う。


―眠りたもう  夢やすく―


 歌い終えた少女に話しかけた。
「そういや、まだだったな…。メリークリスマス」
 少女は笑顔で答える。

「メリー…クリスマス」

146:579 ◆UHJMqshYx2
07/12/24 23:51:09 CksnuUvn
いいわけー。上にも書いたけど、2時間くらいで慌てて書いたから推敲も何もしてませんゴメンね。
それから、今回はマジでたぶん今年最後の投下です。

では皆の衆メリークリスマス&ハッピーニューイヤー、良い年を。




147:名無しさん@ピンキー
07/12/25 00:51:23 vQjgOkOs
>>146
メリークリスマス! GGJ!!

148:名無しさん@ピンキー
07/12/25 01:08:48 ATYkgL15
579氏GJ!
メリークリスマス!

149:名無しさん@ピンキー
07/12/25 03:31:14 Msdi/l8p
>>146クリスマスにふさわしい綺麗なお話でした。貴方に幸あれ。
メリークリスマス

150:872○lB3xRItf
07/12/25 07:50:50 7HwTHjtR
お久しぶりです。
昨日日本に帰ってきた872○lB3xRItfです。
夢が覚めるとなんですが、ちょっと仕事関係でゴタゴタしてまして全く書いてません。
一応ねーちん版を書いているんですが、ちょっと詰まり気味です。
ねーちんは好きなキャラなので絶対にやりますがちょっと後の方になりそうです。
次はオルソラか姫神だと思います。



151:名無しさん@ピンキー
07/12/25 12:57:58 KDjskS+A
待ってるから…ずっと待ってるから…だから……

152:名無しさん@ピンキー
07/12/25 13:36:30 /yDFj3Gb
メリークリスマス!
579氏、あんた最高のGJだぜ!
このインデックスならメインヒロインといってもよい。

153:名無しさん@ピンキー
07/12/25 13:46:16 EwuJQtr6
その幻想を…

154:名無しさん@ピンキー
07/12/25 14:28:17 y9RJElxS
そのままに

155:名無しさん@ピンキー
07/12/25 16:10:48 +Oo/cDug
お届けします!

156:名無しさん@ピンキー
07/12/25 16:12:56 bSHvTf2s
着払いで!

157:名無しさん@ピンキー
07/12/25 16:40:00 +Oo/cDug
さあ、今すぐ

158:名無しさん@ピンキー
07/12/25 16:54:00 cQxZhf7C
お電話を!!

159:名無しさん@ピンキー
07/12/25 16:55:00 cQxZhf7C
お電話を!!

160:名無しさん@ピンキー
07/12/25 17:33:06 bSHvTf2s
 ( ゚д゚)…。

 (つд⊂)ゴシゴシ

 (;゚д゚)……。

 (つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
 (;゚ Д゚)……!?

161:名無しさん@ピンキー
07/12/25 17:35:33 MVey/5ZS
>>153-158の流れにワロタwwww

162:名無しさん@ピンキー
07/12/25 19:33:47 l0cvKkgj
ちょっと俺電話してくるwww

163:名無しさん@ピンキー
07/12/25 20:15:32 X4pVASlW
流れに吹いたwwww
SSの余韻ぶっ飛んだぜ

164:名無しさん@ピンキー
07/12/25 20:22:53 sMkzz+Zv
電話したら

「はい、コチラ幻想配t「何か御用ですか?」

って、やけに丁寧な口調の男に割り込まれた。

165:名無しさん@ピンキー
07/12/25 22:23:23 M1Ej6+mj
>>153-158の流れに感動しつつ駄文を投下するよ
かなりやっつけ感があるから
まぁ見てやんよ、てきな感じで期待せずにね

166:とある聖夜の客人訪問
07/12/25 22:25:28 M1Ej6+mj
「えっと……インデッ……あっ、上条さんのお、お家って……ここ、ですか!!」
 突然の来客にドアを開けてみれば、どこかの制服姿の少女が深々とお辞儀をいていた。
 少しだけ眼鏡のずり落ちた、胸の辺りに大きな豊かさを携えた少女。
 風斬氷華であった。
「まぁ、そうだな。ドアから出てきたのが上条さんなんだし、あってると思うぞ?」
「へっ? ……あ、あぁっ!! か、上条さん!? あ、あの、その……きょ、今日はですねっ!」
 自分の目の前に立っていた人物が上条当麻だったことに気づくと、風斬の挙動は一気に慌ただしくなった。
「風斬、落ち着け―っごはぁ!?」
「ひょうかっ!!」
 上条の言葉を遮って、上条の体を押しのけて、純白のシスター服を身にまとった少女は奥の部屋から猛ダッシュでやってきた。
 その少女、インデックスの姿を目にすると、風斬もその表情を一面の笑顔に変えた。
「インデックス! 久しぶりだね」
「うん! ひょうかも久しぶり。元気だった? ゴハンはちゃんと食べてる? もしかして、とうまになんかされたの? あ、今日は
どんな用事? 一緒に遊べる?」
「ふふっ、そんなに色々聞かれたって全部は答えられないよ」
 痛みに苦しむ上条を無視して繰り広げられる女の子同士の黄色い会話。
「じゃあさ、中でお話しよっ!! とうまはお茶とお菓子もってきてほしいかも。ひょうかと二人分だよ!」
「うん。それじゃあ……か、上条さん、お邪魔します」
「ど、どうぞ……」
 さっさと居間に進んでしまう二人を、上条はわき腹をさすりながら見送ることしかできなかった。
 ただ思うことはお茶は三人分ではないのか、ということだけだ。

 * * *

「上条ちゃーん、いらっしゃいますかー? 小萌先生がお邪魔しにきたのですよー?」
 それは風斬とインデックスの話が盛り上がって、ポテトチップスの三袋目が開けられようとしたときだった。
 玄関の向こう側からかわいらしい声が届いてきた。
「こもえ? ……とうま、またなにかしたの? ……まさか補習?」
「そ、それはない!! ……と思うんだがなぁー。はいはーい、今開けますよー」
 そそくさとインデックスの白い目から逃げるようにドアへ向かう。
「いったいどうしたんですか、小萌せんせ……いぃっ!?」
 なにか急な連絡でもあるのだろう、と思っていた。ただ、それなら電話連絡でいいのでは、とも思っていたが。
 しかし、上条の予想は違った意味で裏切られた。外に立っていたのが小萌だけではなかったからだ。
「こんにちは。上条君。みんなで遊びにきたわ」
「遊びにきてやったわ! 感謝しなさい、上条当麻。あと、これは手土産よ!!」
「と、いうわけなのですよー」
 にっこりと笑みを浮かべる見た目年齢十二歳の担任教師。
「いや、どういうわけですか。姫神と吹寄まで連れて……っ!?」
 小萌の両側で佇む二人のクラスメイトに視線を送る。姫神秋沙は女の子らしさ溢れるおしとやかな装い。吹寄制理は少しボーイッシ
ュで活発さがあるパンツルック。私服の二人をはじめて見た上条は、一瞬だがグッときてしまった。
 さっと視線をずらした上条に小首をかしげる小萌。
「ん? 上条ちゃん、どうかしました? ……あら? シスターちゃんに風斬ちゃんもいるじゃないですか。これは好都合……安心し
てください。はい、上条ちゃんに負担をかけないように色々買ってあるですよー!! じゃ、お邪魔しますねー」
 そう言うと小萌は、姫神と吹寄を引き連れてずかずか、とういうかトコトコと上条宅に上がりこんできた。
「上条君の家……お邪魔します」
「あがらせてもらうわね。あら? ちゃんときれいにしてるのね、上条当麻のくせに」
 両手に小萌から手渡されたスーパーの袋をぶらさげて、上条は一層盛り上がっている居間の喧騒に耳を傾けていた。

 * * *

167:とある聖夜の客人訪問
07/12/25 22:27:50 M1Ej6+mj
「ってか、風斬も小萌先生たちも、どうしてウチにきたんだ……のですか?」
 担任の小萌がいるため、なんとか敬語に切り替えた上条。もはや手遅れでそんな意味もない気もするが、一応けじめは大切だ。
 それを受けた各々が上条の疑問に答えていく。
「もちろん小萌先生は姫神ちゃんと吹寄ちゃんの保護者なのです!」
「……小萌先生が。上条君の家に遊びに行くって誘ったから。明日は忙しいんだって」
「あ、あたしは姫神さんも行くっていうし、上条当麻が奇行に走らないか見守るためよ!!」
 正直者のクラスメイトによって小萌の嘘は筒抜けとなってしまった。涙目になりながら「二人とも約束が違うのですよー!?」と生
徒に講義する担任、という不可思議な光景を視界のすみに追いやって上条はもう一人の客人を見る。
「あの、私はインデックスに会いにきたの……明日は二人ともよ、用事あるでしょ?」
 その発言に部屋の雰囲気が一変した。
 姫神と吹寄からの視線が容赦なく上条に突き刺さる。
 小萌はそんな二人とインデックとを嬉々とした表情で見比べている。
 風斬は自分の発言で気配が変わったことに思いっきり慌てている。
 そしてインデックスは……、

「ん、みんなどうかしたの? 食べないならこのお菓子食べちゃいたいかも。うまー!!」

 相変わらず……のように見える。そう、見えるだけだ。
 インデックスの隣に座っていた上条には、風斬の言葉に一瞬手が止まったことも知っている。なにより今インデックスが口にしてい
るお菓子は合成甘味料が多すぎて以前は三口で食べるのをやめてしまったものだ。あのインデックスが。
 とはいえこの気まずい雰囲気をなんとかしたい上条だったが、幸運にもドアチャイムの音で束の間の問題解決となった。
 しかし、忘れないで欲しい。
 上条当麻という人物は幸運に恵まれていただろうか。
 誰かを助けることができる、その点では恵まれた状況にあるだろう。その一方で上条の私生活は散々な状態だ。
 差し出された命綱に簡単に飛びつき、引き上げられたところで谷底まで突き落とされる。
 ドアを開けた上条はそんな気分だった。

 * * *

「お久しぶりです、風邪などひいていませんか、とミサカは心底丁寧に挨拶をしてあなたへの印象アップを企てます」
 唖然としている上条に、常盤台中学の制服を身に着けた少女が一風変わった喋り方で話しかけた。
 その後ろにはそっぽを向きつつも目だけでチラチラと上条を確認する少女が、少し偉そうに腕を組んでいた。
 二人の顔はまったく同じ、瓜二つだった。
「御坂妹にビリビリ……な、なんでお前たちまで……」
「ちょ、ちょっと待てぇ! ど・う・し・て・この子はミサカでアタシはビリビリなわけ? ひとをないがしろにするのもいい加減に
しなさいよねぇ……」
 そう言いつつも、前髪からイルミネーションのごとく放電しているのを見てしまうと、どうも言い方を改める気にはならない。
「きゃっ!?」
 上条は右手を少女の額にかざして放電を消し飛ばすと、二人に向き直った。
 常盤台中学の超能力者(レベル5)御坂美琴と、そのクローンである姉妹達(シスターズ)ミサカ一〇〇三二号。
 はたから見れば三人は色々と複雑な関係だったが、上条からすればやたらと喧嘩を売ってくる中学生とその妹といった具合だった。
良いか悪いかは別としてそれなりの縁があった。
 とはいえ上条の家に二人から訪れたことなど物騒なこと以外なかった。若干不安に思う上条に御坂妹が告げる。
「明日は病院の方でクリスマス会があるのですが、私達も手伝うことになったのです、とミサカは本題に入る前に情報を与えます。忙
しくなってしまうので今日くらいは、ということであの医者から外出許可をもらったのです、とミサカはあなたの家を訪れた理由を顔
色が優れないことを心配しつつも説明します。それと、私は他の姉妹達(シスターズ)との熱く激しい戦闘(バトル)を勝ち残って、
あなたの家を訪ねる権利を獲得しました、とミサカは手に汗握る壮絶な争いを思い出しながら補足説明します」
 最後の台詞は聞かなかったことにして上条は美琴を見つめる。



次ページ
最新レス表示
レスジャンプ
類似スレ一覧
スレッドの検索
話題のニュース
おまかせリスト
オプション
しおりを挟む
スレッドに書込
スレッドの一覧
暇つぶし2ch