とある魔術の禁書目録 7フラグ目at EROPARO
とある魔術の禁書目録 7フラグ目 - 暇つぶし2ch136:名無しさん@ピンキー
07/12/24 15:56:00 8g5i47eM
>>135
半か臭ぇな
に反応しおったなw

137:名無しさん@ピンキー
07/12/24 16:37:02 4hT0OR2c
>>136
半角臭せえなのミスタイプかと思ってた。

138:名無しさん@ピンキー
07/12/24 18:16:01 k66j/HMZ
>>134-136
まあ、北海道にも道教にも道路公団にも属してない俺にはわからんやり取りだな



…、いや 道路関係の用語である一方通行を信奉する民族の合い言葉である可能せ(ry


ないならないとーいぇーい

139:579 ◆UHJMqshYx2
07/12/24 23:41:30 CksnuUvn
忙しいからやらねーって言ってたんだけどねえ。

2時間くらいで書いて推敲もしてないから赦してね。

140:1/6
07/12/24 23:45:23 CksnuUvn
いつかのメリークリスマス Silent_Night_,_Holy_Night

 終業式後の今年最後のホームルームが終わって、上条当麻は早々に教室を抜け出した。
「さて、食いモンの買い溜めっと…」
 決してそーっと抜け出した、と言うわけではないのだが、誰にも声を掛けなかったせいだろう
か、あるいは割と遅くまで教室にいる―補習の常連、という不名誉からだが―ことが多い
せいだろうか、上条が帰ったことに気付いたクラスメイトはいなかった。
「25日過ぎるまでは街も煩いしな……。それにあのイベントで不幸がやってこないはずがない、
判ってますよカミジョーさんは! それが判ってて騒ぎに混じったりはしませんよ、くわばらくわ
ばら」
 上条的には―お祭りはキライではない。が、記憶を失って以来の事件事件事件の生活で
は、冬休み最初のイベント…つまるところ、クリスマスというアレなのだが、十字教の聖者のお
祭り、という本来の性格にも何か不穏な響きを感じるし、とにかくその期間となる数日が過ぎ
るまでは引きこもり生活をすることを誓ったのだった。
 何か忘れているような気もするのだが。
「おっと、携帯も切っとこう」
 ボロボロの携帯を取り出して、そう言やあ、機種、換えたのにもうボロボロだなあ、などと思
いつつ電源を落とす。電源を落として顔を上げると、もう目指すスーパーの前だった。
「安売りなのがチキンとかばっかりなのはまあ、仕方ないよなあ―」
 レジカゴの奥に張り出されたチラシを見ながら呟き、上条はスーパーの中へと消えた。

                     -*-

141:2/6
07/12/24 23:45:54 CksnuUvn
「よし、パーティーやるわよ……って、あのバカは?」
「そういえば。どこにも」
 クラスの親しいメンバーでクリスマスパーティーをすることになっていた。店は、今回も土御
門が確保している。
 『あのバカ』を確保していなかったのは、いつもいつもギリギリでないと何かとゴタゴタで捕ま
らなくなることが多かったためだ。なんでいつもいつもゴタゴタしてるのアイツは、とは思ってい
ても、それでも学校にはきちんと出てくるから安心していた―なぜ安心するのかについては
深く追求しない―吹寄制理である。
 いったん寮に帰る前に、件の『あのバカ』、上条を確保しようと教室を見回したのだが―上
条はいない。思わず姫神のほうを振り返ったが、姫神もまた上条の行方を知らないようだった。
「あれ、カミやんもう帰ったンやろか?」
 青髪ピアスがきょろきょろと教室を見回す。
「なんでこういう肝心なときには居ないのよ…っ!」
 上条の不在にイライラする、その理由には踏み込みたくない吹寄である。



「……なんで、電源まで落ちてんのよ…」
 メールが届いてない、という事態がなぜか頻発したため、今回は間違いなく捕まえようと直
接電話を掛けたにも関わらず、上条の携帯番号から帰ってくるのは電波の圏外もしくは電源
未投入のメッセージだけであった。
 わざと電源を落としているのかそれとも電池切れか、むしろ上条なら後者か―と思いつつ、
御坂美琴は舌を鳴らした。
 なにしろ、今夜はクリスマスイブである。
 美琴は十字教徒と言うわけではないが、それ故に日本のクリスマスには馴染みきっている。
「早く捕まえとかないと、誰にホイホイついてくか判んないのに」
 日本のクリスマス―若者たちにとっては、恋人同士で過ごす一年最大のイベントだ。聖ニ
コラウスが泣いているぞといっても、まあ、日本人ですから。
 上条が好き、と言うことは認めたくなくても、それでも上条とクリスマスを過ごしたい美琴であ
る。せっかく手に入れた携帯番号が何の役にも立っていないことに臍を噛みつつ、御坂美琴
は上条の姿を求めて街を歩く。
 今、通り過ぎたスーパーに上条が入っていく所だったのに気付かなかったのは、御坂美琴
今年最後で最大の失態だったかもしれない―

                     -*-

142:3/6
07/12/24 23:46:34 CksnuUvn
 大量の食料品が詰まったレジ袋を抱えて、上条当麻は帰宅した。まずはこいつらを冷蔵庫
に…と部屋に踏み込む。
「とうま、おかえりー…って、どうしたのそんなにたくさん」
 声を掛けられ、声の方向に振り返って上条は今思い出しました、とばかりに目を覆った。
「あちゃー……。なんで、こういうときに限って同居人の存在を忘れてるんだろう…なんかやた
らたくさん買ってるな、とは思ったけど…インデックスの腹の虫の分はもう意識しなくても計算
の内ですか…」
 上条の溜息という、いつもなら不機嫌を呼ぶその行為に、なぜか今回に限ってインデックス
の心中には心配が涌く。
「どうしたの、とうま? なにか困ったことでもあったの?」
 インデックスに顔を覗き込まれて、ごちゃごちゃ言い訳しても仕方あるまい、しかし嫌なモン
は嫌だしはっきり言っておこう、と上条当麻は覚悟を決めた。
「いやな、インデックス? 今街に出るとクリスマス、クリスマスってすごい騒ぎでさ、不幸体質
のカミジョーさんとしてはどこにも出かけたくないんで、このお祭り騒ぎが終わるまでは外出無
し、で赦して欲しいんだが。これはその期間の分の食料」
 バツが悪そうに言う上条に、外出したくない、何処にも行かない、ということには落胆を感じ
たインデックスだったが、今日に限ってそのことが違う方向へと回路が繋がる。
 辿り着いた思考に、上条に答えようとして言葉がもつれ、顔が赤くなるのが判った。
 それでも何とか返事はする。
「テレビで映ってた街がキラキラしてて見てみたかったけど、本来は厳粛にお祈りを捧げる日
だし、とうまが出かけるのが大変なら私は構わないよ」
 インデックスの返事に、安心しつつもやはり上条としては心苦しさもあるのだろう。
「悪いな、インデックス。でも、何も起きないくらいの方が良いんだよ実際」
 気遣いも感じるその表情に、さらに胸がドキドキしてくるのを感じたインデックスだったが、こ
の少年の朴念仁ぶりはよく判っている。ここで一押ししておかなければ、と言葉を絞り出した。
「そうだね、事件、ばっかりだったもんね…。だから、私は構わないよ。家で、ゆっくりしようよ。
それに―」
 何故か赤面して俯き加減に話すインデックスの態度に、どうしたんだろう上条がその顔を覗
き込もうとすると、銀髪碧眼のその少女が顔をあげて言葉を繋いだ。
「ふ、ふたりっきりで、居られるんだもんね、とうまと」
 上条も、これを聞いて思わず赤面する。
 普段は特に意識することもないのに―いや、女の子と二人暮らしという異常事態に対応
すべく、無意識下で『意識しないように』コントロールしていたのだろう。
 意識しようがしまいが、インデックスが結構な美少女であることに変わりはない。そして、そ
れが意識の中で急浮上してきた、それだけのことだ。
 が、『それだけのこと』でも思春期の少年には大問題である。
 なんでこんなにドキドキするんだろう、と思いつつも、何とか言葉だけは絞り出した。
「そ、そういうのも、たまにはいいかもな」


143:4/6
07/12/24 23:47:11 CksnuUvn
 その後、夕食の準備に本格的に取りかかるまで、何をすればいいのか、どうしていればいい
のかも見当がつかず、上条にも、インデックスにも長いような短いような気恥ずかしい―な
ぜか、それでも満足感のある―時間だけが過ぎていった。
 そして、スーパーで安かったもの、と言う基準だったためにチキンが並んで少しはクリスマス
の雰囲気もあっただろうか、という夕食の後、唐突にインデックスが言った。

「ねえとうま、日本のクリスマスは、恋人と過ごすんでしょ?」

 『隣に行っても良い?』と聞かれ、なにも考えずに了解の意を伝えたため、インデックスは上
条の真横に座っていた。
 この質問の前に、少し距離を詰めてきていたようだ。
 ぴったりと寄り添う形になり、少女の体温が服越しに伝わってくる。少し、ドキッとした。
「え、あ、そう言う連中も居るみたいだな」
 妙に真剣なインデックスの視線に途惑いつつ答える。
「とうまは―私のこと、きらい?」
 余程思い切ったのだろう、真剣な表情ながら目が少し潤んでいる。
「嫌いなはず、ないだろ?」
 嫌いではない。
 嫌いなら、イギリス清教とか『必要悪の教会』といった組織がそうさせようとしている、という
思惑など関係なくインデックスを匿おう、などと言う酔狂なことはしない。
 何しろ、彼らと関わったがためにこれまでの事件の数々がある。インデックスは―本人の
思惑とは関係なくても、その元凶の一つと言っても過言ではないのだ。
 では、ただ守ってやりたいという以外に何か理由があるのだろうか?

「……じゃあ、好き?」

 今にも泣きそうな潤んだ瞳でインデックスが尋ねる。
 そう聞くインデックス自身はどうなのだろう、と思い、その疑問を打ち消した。聞くまでもない。
インデックスは―とっくに答えを出しているではないか。
「んっ……」
 インデックスが嘆息を漏らす。
 これがクリスマスの魔力なのだろうか。インデックスの言葉に、声で応えることなくその少女
を抱き寄せると、唇を塞いでいた。
 唇を離すと、インデックスが満足げな嘆息を漏らしながら上条を見つめる。
「ねえ、とうま…? わたしは、いいんだよ…?」
 上条は抗えない。
 再び、唇を合わせた。少女の被っていたフードをはぎ取って、銀髪に隠れた耳朶から顎、う
なじへと唇を這わせる。
「ふあっ…」
 首筋を吸われて、インデックスが嘆息を漏らした。その甘い声音は、さらに上条を煽るだけ
だ。
 修道服の形を保たせている安全ピンに手を伸ばした。ひとつ、ふたつ、みっつ、とピンが外
れる。こんなに器用だったっけ、俺…と思いつつも、指は止まらない。
 インデックスが上条の袖を握ったが、拒否するような雰囲気は感じなかった。むしろ、身体を
任せるような感さえもする。
 はらり、と少女の身体を覆っていた純白の修道服が床に落ちた。
 その下に隠されていた、絹布にも劣らぬ白く艶やかな少女の肌が顕わになる。
「いいよ、とうま―」


144:5/6
07/12/24 23:47:54 CksnuUvn
                     -*-

「ほなら、次はボクが歌うで! けーだかきーあんですーかーけめぐるー……」
 飲んでもいないのに―いや、もちろん彼らは高校生なので飲酒は不可なのだが―テン
ションを上げまくった青髪ピアスが歌い出した。
「薙ぎ払え」
 いかにも不機嫌です、と言った表情をした吹寄制理がぼそりと呟く。
「げふっ!!!!」
 吹寄の呟きに、幾人かが跳ね起きると、青髪ピアスに対して思い思いの制裁を加えた。
「こっ、これからがええとこやのにーっ!!」
 叫びも虚しく、上座から引きずり下ろされる。
 制裁を加えた数人が、いかにも哀れなものを見ています、と言った表情で青髪ピアスを引き
下ろしながら、「吹寄の機嫌、どんだけ悪いと思ってるんだ」とか、「女の子の前であんなモン
歌うバカが居るか」などとたしなめ―もとい、罵倒する。その言葉に、なんでやねんっ! と
抵抗していた青髪ピアスだったが、姫神の前を通った際、
「いっぺん。死んでみ?」
 と呟かれ、抵抗はそのまま嘆きの叫びに変わった。

「吹寄もだけど、姫神さんも機嫌悪いな」
「上条くんが居ないからかしら―やっぱり?」
 陰で囁きつつも、触らぬ神には祟り無し、を決め込んだ級友たちである。



 結局上条は見つからなかった。
 失意のままに寮に戻って、そのまま部屋に引き込んでしまおうとした御坂美琴だったが、白
井ほかの寮生たちに誘われ―騒ぎたい気分ではなかったが―せっかくの誘いだし気を
紛らわそう、とささやかなパーティーに参加した。
 が、キャンドルに火を入れて部屋を暗くしてみると―やっぱり、上条を見つけられなかった
ことに対しての悔しさ、いやむしろ寂しさが沸き起こる。
「ううっ、あのバカ……。なんで、肝心なときには見つからないのよ…」
 しかし、ここで挫けないのが御坂美琴の御坂美琴たる所以、である。
「来年こそは…っ、来年こそは―見てなさいよ…」
 キャンドルの炎を前に、決意を新たにする美琴であった。

                     -*-


145:6/6
07/12/24 23:48:42 CksnuUvn
 カーテンの隙間から見える風景に、ちらりと白いものが混じった。
「インデックス、雪だ―」
 上条の言葉に、銀髪の少女が毛布の中からはい出てくる。
「ほんとだ…」
 暖房のスイッチが入っていても、毛布から出ると肌寒い。
 というのも、二人が何も着ていないからなのだが―それで、上条は枕元に置いていたシャ
ツを広げると、インデックスの腕を袖に通させる。続けてボタンを閉じながら呟いた。
「隠れちゃうな、名残惜しや名残惜しや」
 聞いて、インデックスが笑う。
「とうまのえっち」
「……そりゃあ、カミジョーさんも健全な男の子ですから」
 笑いながら出てきたインデックスの言葉に、冗談めかして答えながらボタンを閉じ終えると、
上条は少女の膝に頭を乗せた。
 膝枕の上で、煽り見るように窓のほうを向く。
「綺麗だな……。ホワイト・クリスマス、か…」
 突然膝枕をされて、一瞬だけ面食らったような表情をしたインデックスも窓の外を仰ぎ見る。
それから、外を眺める上条を見下ろしながら、呟くように歌い始めた。


―きよし…この夜  星は、ひかり

   救いの御子は  み母の胸に―


 ああ、こんな綺麗な声、してたんだなあ…、と、上条の耳に心地よく少女の声が響く。歌う少
女を見上げた。
 その少女―インデックスは、優しげな瞳で上条を見つめながら歌う。


―眠りたもう  夢やすく―


 歌い終えた少女に話しかけた。
「そういや、まだだったな…。メリークリスマス」
 少女は笑顔で答える。

「メリー…クリスマス」

146:579 ◆UHJMqshYx2
07/12/24 23:51:09 CksnuUvn
いいわけー。上にも書いたけど、2時間くらいで慌てて書いたから推敲も何もしてませんゴメンね。
それから、今回はマジでたぶん今年最後の投下です。

では皆の衆メリークリスマス&ハッピーニューイヤー、良い年を。




147:名無しさん@ピンキー
07/12/25 00:51:23 vQjgOkOs
>>146
メリークリスマス! GGJ!!

148:名無しさん@ピンキー
07/12/25 01:08:48 ATYkgL15
579氏GJ!
メリークリスマス!

149:名無しさん@ピンキー
07/12/25 03:31:14 Msdi/l8p
>>146クリスマスにふさわしい綺麗なお話でした。貴方に幸あれ。
メリークリスマス

150:872○lB3xRItf
07/12/25 07:50:50 7HwTHjtR
お久しぶりです。
昨日日本に帰ってきた872○lB3xRItfです。
夢が覚めるとなんですが、ちょっと仕事関係でゴタゴタしてまして全く書いてません。
一応ねーちん版を書いているんですが、ちょっと詰まり気味です。
ねーちんは好きなキャラなので絶対にやりますがちょっと後の方になりそうです。
次はオルソラか姫神だと思います。



151:名無しさん@ピンキー
07/12/25 12:57:58 KDjskS+A
待ってるから…ずっと待ってるから…だから……

152:名無しさん@ピンキー
07/12/25 13:36:30 /yDFj3Gb
メリークリスマス!
579氏、あんた最高のGJだぜ!
このインデックスならメインヒロインといってもよい。

153:名無しさん@ピンキー
07/12/25 13:46:16 EwuJQtr6
その幻想を…

154:名無しさん@ピンキー
07/12/25 14:28:17 y9RJElxS
そのままに

155:名無しさん@ピンキー
07/12/25 16:10:48 +Oo/cDug
お届けします!

156:名無しさん@ピンキー
07/12/25 16:12:56 bSHvTf2s
着払いで!

157:名無しさん@ピンキー
07/12/25 16:40:00 +Oo/cDug
さあ、今すぐ

158:名無しさん@ピンキー
07/12/25 16:54:00 cQxZhf7C
お電話を!!

159:名無しさん@ピンキー
07/12/25 16:55:00 cQxZhf7C
お電話を!!

160:名無しさん@ピンキー
07/12/25 17:33:06 bSHvTf2s
 ( ゚д゚)…。

 (つд⊂)ゴシゴシ

 (;゚д゚)……。

 (つд⊂)ゴシゴシ
  _, ._
 (;゚ Д゚)……!?

161:名無しさん@ピンキー
07/12/25 17:35:33 MVey/5ZS
>>153-158の流れにワロタwwww

162:名無しさん@ピンキー
07/12/25 19:33:47 l0cvKkgj
ちょっと俺電話してくるwww

163:名無しさん@ピンキー
07/12/25 20:15:32 X4pVASlW
流れに吹いたwwww
SSの余韻ぶっ飛んだぜ

164:名無しさん@ピンキー
07/12/25 20:22:53 sMkzz+Zv
電話したら

「はい、コチラ幻想配t「何か御用ですか?」

って、やけに丁寧な口調の男に割り込まれた。

165:名無しさん@ピンキー
07/12/25 22:23:23 M1Ej6+mj
>>153-158の流れに感動しつつ駄文を投下するよ
かなりやっつけ感があるから
まぁ見てやんよ、てきな感じで期待せずにね

166:とある聖夜の客人訪問
07/12/25 22:25:28 M1Ej6+mj
「えっと……インデッ……あっ、上条さんのお、お家って……ここ、ですか!!」
 突然の来客にドアを開けてみれば、どこかの制服姿の少女が深々とお辞儀をいていた。
 少しだけ眼鏡のずり落ちた、胸の辺りに大きな豊かさを携えた少女。
 風斬氷華であった。
「まぁ、そうだな。ドアから出てきたのが上条さんなんだし、あってると思うぞ?」
「へっ? ……あ、あぁっ!! か、上条さん!? あ、あの、その……きょ、今日はですねっ!」
 自分の目の前に立っていた人物が上条当麻だったことに気づくと、風斬の挙動は一気に慌ただしくなった。
「風斬、落ち着け―っごはぁ!?」
「ひょうかっ!!」
 上条の言葉を遮って、上条の体を押しのけて、純白のシスター服を身にまとった少女は奥の部屋から猛ダッシュでやってきた。
 その少女、インデックスの姿を目にすると、風斬もその表情を一面の笑顔に変えた。
「インデックス! 久しぶりだね」
「うん! ひょうかも久しぶり。元気だった? ゴハンはちゃんと食べてる? もしかして、とうまになんかされたの? あ、今日は
どんな用事? 一緒に遊べる?」
「ふふっ、そんなに色々聞かれたって全部は答えられないよ」
 痛みに苦しむ上条を無視して繰り広げられる女の子同士の黄色い会話。
「じゃあさ、中でお話しよっ!! とうまはお茶とお菓子もってきてほしいかも。ひょうかと二人分だよ!」
「うん。それじゃあ……か、上条さん、お邪魔します」
「ど、どうぞ……」
 さっさと居間に進んでしまう二人を、上条はわき腹をさすりながら見送ることしかできなかった。
 ただ思うことはお茶は三人分ではないのか、ということだけだ。

 * * *

「上条ちゃーん、いらっしゃいますかー? 小萌先生がお邪魔しにきたのですよー?」
 それは風斬とインデックスの話が盛り上がって、ポテトチップスの三袋目が開けられようとしたときだった。
 玄関の向こう側からかわいらしい声が届いてきた。
「こもえ? ……とうま、またなにかしたの? ……まさか補習?」
「そ、それはない!! ……と思うんだがなぁー。はいはーい、今開けますよー」
 そそくさとインデックスの白い目から逃げるようにドアへ向かう。
「いったいどうしたんですか、小萌せんせ……いぃっ!?」
 なにか急な連絡でもあるのだろう、と思っていた。ただ、それなら電話連絡でいいのでは、とも思っていたが。
 しかし、上条の予想は違った意味で裏切られた。外に立っていたのが小萌だけではなかったからだ。
「こんにちは。上条君。みんなで遊びにきたわ」
「遊びにきてやったわ! 感謝しなさい、上条当麻。あと、これは手土産よ!!」
「と、いうわけなのですよー」
 にっこりと笑みを浮かべる見た目年齢十二歳の担任教師。
「いや、どういうわけですか。姫神と吹寄まで連れて……っ!?」
 小萌の両側で佇む二人のクラスメイトに視線を送る。姫神秋沙は女の子らしさ溢れるおしとやかな装い。吹寄制理は少しボーイッシ
ュで活発さがあるパンツルック。私服の二人をはじめて見た上条は、一瞬だがグッときてしまった。
 さっと視線をずらした上条に小首をかしげる小萌。
「ん? 上条ちゃん、どうかしました? ……あら? シスターちゃんに風斬ちゃんもいるじゃないですか。これは好都合……安心し
てください。はい、上条ちゃんに負担をかけないように色々買ってあるですよー!! じゃ、お邪魔しますねー」
 そう言うと小萌は、姫神と吹寄を引き連れてずかずか、とういうかトコトコと上条宅に上がりこんできた。
「上条君の家……お邪魔します」
「あがらせてもらうわね。あら? ちゃんときれいにしてるのね、上条当麻のくせに」
 両手に小萌から手渡されたスーパーの袋をぶらさげて、上条は一層盛り上がっている居間の喧騒に耳を傾けていた。

 * * *

167:とある聖夜の客人訪問
07/12/25 22:27:50 M1Ej6+mj
「ってか、風斬も小萌先生たちも、どうしてウチにきたんだ……のですか?」
 担任の小萌がいるため、なんとか敬語に切り替えた上条。もはや手遅れでそんな意味もない気もするが、一応けじめは大切だ。
 それを受けた各々が上条の疑問に答えていく。
「もちろん小萌先生は姫神ちゃんと吹寄ちゃんの保護者なのです!」
「……小萌先生が。上条君の家に遊びに行くって誘ったから。明日は忙しいんだって」
「あ、あたしは姫神さんも行くっていうし、上条当麻が奇行に走らないか見守るためよ!!」
 正直者のクラスメイトによって小萌の嘘は筒抜けとなってしまった。涙目になりながら「二人とも約束が違うのですよー!?」と生
徒に講義する担任、という不可思議な光景を視界のすみに追いやって上条はもう一人の客人を見る。
「あの、私はインデックスに会いにきたの……明日は二人ともよ、用事あるでしょ?」
 その発言に部屋の雰囲気が一変した。
 姫神と吹寄からの視線が容赦なく上条に突き刺さる。
 小萌はそんな二人とインデックとを嬉々とした表情で見比べている。
 風斬は自分の発言で気配が変わったことに思いっきり慌てている。
 そしてインデックスは……、

「ん、みんなどうかしたの? 食べないならこのお菓子食べちゃいたいかも。うまー!!」

 相変わらず……のように見える。そう、見えるだけだ。
 インデックスの隣に座っていた上条には、風斬の言葉に一瞬手が止まったことも知っている。なにより今インデックスが口にしてい
るお菓子は合成甘味料が多すぎて以前は三口で食べるのをやめてしまったものだ。あのインデックスが。
 とはいえこの気まずい雰囲気をなんとかしたい上条だったが、幸運にもドアチャイムの音で束の間の問題解決となった。
 しかし、忘れないで欲しい。
 上条当麻という人物は幸運に恵まれていただろうか。
 誰かを助けることができる、その点では恵まれた状況にあるだろう。その一方で上条の私生活は散々な状態だ。
 差し出された命綱に簡単に飛びつき、引き上げられたところで谷底まで突き落とされる。
 ドアを開けた上条はそんな気分だった。

 * * *

「お久しぶりです、風邪などひいていませんか、とミサカは心底丁寧に挨拶をしてあなたへの印象アップを企てます」
 唖然としている上条に、常盤台中学の制服を身に着けた少女が一風変わった喋り方で話しかけた。
 その後ろにはそっぽを向きつつも目だけでチラチラと上条を確認する少女が、少し偉そうに腕を組んでいた。
 二人の顔はまったく同じ、瓜二つだった。
「御坂妹にビリビリ……な、なんでお前たちまで……」
「ちょ、ちょっと待てぇ! ど・う・し・て・この子はミサカでアタシはビリビリなわけ? ひとをないがしろにするのもいい加減に
しなさいよねぇ……」
 そう言いつつも、前髪からイルミネーションのごとく放電しているのを見てしまうと、どうも言い方を改める気にはならない。
「きゃっ!?」
 上条は右手を少女の額にかざして放電を消し飛ばすと、二人に向き直った。
 常盤台中学の超能力者(レベル5)御坂美琴と、そのクローンである姉妹達(シスターズ)ミサカ一〇〇三二号。
 はたから見れば三人は色々と複雑な関係だったが、上条からすればやたらと喧嘩を売ってくる中学生とその妹といった具合だった。
良いか悪いかは別としてそれなりの縁があった。
 とはいえ上条の家に二人から訪れたことなど物騒なこと以外なかった。若干不安に思う上条に御坂妹が告げる。
「明日は病院の方でクリスマス会があるのですが、私達も手伝うことになったのです、とミサカは本題に入る前に情報を与えます。忙
しくなってしまうので今日くらいは、ということであの医者から外出許可をもらったのです、とミサカはあなたの家を訪れた理由を顔
色が優れないことを心配しつつも説明します。それと、私は他の姉妹達(シスターズ)との熱く激しい戦闘(バトル)を勝ち残って、
あなたの家を訪ねる権利を獲得しました、とミサカは手に汗握る壮絶な争いを思い出しながら補足説明します」
 最後の台詞は聞かなかったことにして上条は美琴を見つめる。


168:とある聖夜の客人訪問
07/12/25 22:28:57 M1Ej6+mj
「ア、アタシはただの通りすがりっていうか……その―」
「いえ、お姉様(オリジナル)はあなたの家がわからず、第七学区をさまよっていたのでミサカがしょうがなく連れてきたのです、と
ミサカは相変わらず素直になれないお姉様(オリジナル)に呆れながら守秘義務を破って暴露します」
 さきほどの小萌たちと同じように「ちょっと、アンタ黙っててくれるって言ったじゃない!!」とかやっている。
 玄関先で騒ぎ出した上条たちを居間から見つめるたくさんの視線に御坂妹が気づく。
「そういえばさっきも『お前達まで』と言ってましたし、もしかしてお邪魔だったのですか、とミサカは一抹の不安を覚えながらも、
どうせこの人はお人よしだから家にあげてくれるでしょうと楽観的に訪ねます」
 そうまではっきり言われると苦笑いしかできない上条だったが、それもまた事実のため否定もできなかった。
「まぁ……な。かなり狭っ苦しいけど、ここで帰すのも悪いし……あがってってくださいよ」
 総勢六人が狭い学生寮の一室に押し込まれて上条の部屋はより賑やかになっていく。
「あっ、短髪! とうまの家にまでなにしにきたの!? 邪魔しないでほしいかも!!」
「邪魔ってなによ! あと短髪って言うのやめなさいよね!! ちょっとアンタどうなってるの!? 説明しなさい!」
「上条君。……早くこっちにきて」
 三人そろえば姦しいとはよく言ったものだ。
 上条は先人の言葉を深くしっかりと胸に刻み込んだ。

 * * *

「あの……お久しぶりです、上条当麻。いきなり訪ねて驚かれていると思いますが、身辺お変わりありませんか?」
「どうも。随分ですね、カミジョー」
「これが東洋の寮ですか……かなり古そうですね。地震が多いはずですが、物持ちもいいのですか」
「こ、こんにちは。いきなりで悪いんですけど……なにか飲むもの頂けませんか? 長旅で喉乾いちゃって……あ、甘い物がいいんで
すけど……」
「あらあら、皆様はしゃぎすぎじゃございませんか? アニェーゼさんったら、そんなそっけなくしていらっしゃらないで、もっとお
話したらよろしいのに……あらあら、なにを怒ってらっしゃるのかしら?」
 上条はドアを閉めようとしたが、アニェーゼの厚底サンダルがすっぽりと壁との隙間に入り込んできた。これでは閉めるに閉められ
ない。
 隙間から赤毛の少女の真ん丸とした瞳が覗いている。
「カミジョー、どうしてしめちまうんです?」
「いや、だってさ……」
 先程の状況から、これ以上はトラブルが起きないだろう、と楽観視してしまった自分を恥じた。
 それは、今から十数分ほど前に遡る。

 美琴と御坂妹は一卵性双生児として上条から皆に紹介した。
 それでも異様なほど似通った二人に、自分も珍種であることを忘れて小萌は興味津々だったが。
 最初は二人の歓迎ムードだったが、しだいに部屋の毛色は変わっていった。
 小萌を含めるべきかは保留にしておくとして―男は上条一人、そこに女性が六人という人口比率だ。一度は回避したはずの上条へ
の無言の追及がさらに強くなったのは当然と言えるだろう。
 そこにきての本日四度目のチャイム。
 二度あることは三度ある。仏の顔も三度まで……は違うだろうが、上条の思考はかなりおかしくなっていたのだろう。不幸にも上条
はこれ以上の来客の可能性を捨てていた。
「はいはいはいはいっ! 今度はどちら様ですかー? 訪問販売(キャッチ)のたぐいは全てお断りしてますのことよー!!」
 なかば自暴自棄になった上条はそうしてドアを開けてしまった。
 待っているのが女教皇様(プリエステルス)だとも知らずに。

169:とある聖夜の客人訪問
07/12/25 22:30:14 M1Ej6+mj
 甘んじて現状を受け止めることにした上条は、部屋に客が大勢いること、この部屋ではさらに五人は入れないことを説明した。それ
を理由に、できるならひき帰ってもらおうとしたのだ。案の定神裂は眉根を寄せて悩みだした。
 神裂の口から、それでは、の台詞が出てきたときには「それじゃまたの機会に……」と早くもお別れの言葉を考えていた上条だった
のだが……、
「―天草式の面々とともに食事でもどうですか? イギリスにいた者が日本に帰るというので私達も一緒にきたのです」
「へっ?」
 予想外の返答に上条が目を丸くしていると、
「まぁ、私たちローマ正教は観光みたいなもんですがね……天草式はけっこうな数がいやがるんで下で待ってます。その目で見てみた
らどうです?」
 アニェーゼの提案を受けて上条は廊下の手すりから階下を覗き込んだ。
 そこには見えるだけで十五人前後の少年少女がポケットに手を突っ込んだり、座り込んだりと思い思いの格好で話していた。寮の建
物に隠れている者もいるはずなので、かなりの人数がいそうだった。
「うわぁ……まじかよ。ってかクリスマスって教会でなんかやったりすんじゃないのか?」
「……いちいち細けぇんですね、カミジョーは。さっさと決めちまってくださいよ」
 いきなりそっぽを向いてぶつくさ言い出すアニェーゼ。
 なにか失言でもあったのかオルソラに尋ねようとした上条に、いきなり神裂が耳打ちしてきた。
「―上条当麻」
「ひぃぁっ!? な、なんだよ神裂……」
「つかぬ事を伺いますが……インデックスの食費は大丈夫なのですか?」
「うっ……」
 月末も近くなってきた今、上条もなるべく出費を抑えたかった。小萌が食材を買ってきたとはいえ上条の家でパーティ状態ではイン
デックスの胃袋は満足しないだろう。どう考えても買出しが必要だった。
 神裂は優しく微笑んで右手を差し出してくる。
「経費は全てこちらもちですが?」
「のった!!」
 言葉よりも早く右手が動き、神裂と握手を交わす上条。
 さっそく神裂との内緒話を居間から覗いていたインデックスたちに出かける準備を促す。背後で神裂が小さくガッツポーズを決めて
いるのにも気づかずに。
 こうして上条と総勢四〇名ほどの大所帯によるクリスマスパーティーが決定した。

 * * *




170:とある聖夜の客人訪問
07/12/25 22:30:40 M1Ej6+mj
「あ、あのこれ……」
「ん? あぁー、オシボリな。サンキュ―ってインデックス! それは俺の唐揚げだ!!」
「とうま、馬鹿なことを言わないでほしいかも! いい? これは立食パーティーみたいなものなんだから、俺の私のって台詞は通用
しないかも! それが私のジャスティス!!」
「上条君。そんな唐揚げはいいからこれでも食べて。揚げたてだから美味しいと思う」
「ちょっと、『そんな』とはなによ『そんな』とは!! こ、これでも寮の女の子たちからは評判いいんだからね!? べ、別にアン
タの口に合うかなんて気にしないけど……」
「こら、上条当麻! そんな揚げ物ばかり食べてないで、ちゃんと食物繊維をとりなさい! すぐに摂取できるからこのサプリメント
でも飲んで……」
「その錠剤は通販用に大量生産されたもので、実際はあまり効果がありません、とミサカは牽制球を送りながらもすかさず橋の上の鶏
肉をアノ人の口の中めがけて……ってあぁ!!!」
「まったく学園都市の食事ってやつは……いいですか、カミジョー? バランスってやつが大切なんです。だから……ほら、サラダも
しっかり食べなきゃいけねぇんですよ?」
「あのっ、あのっ、せっかくのパーティなんで甘いケーキでも…………皆さん注も―っもがぁあああ!?」
「なにをしようとしたのですか、シスター・アンジェレネ!! このような公衆の面前……しかもあの人の前で二度目なんて……」
「まったく……食事の席くらいもう少し節度というものをですね……と、ところで上条当麻。このようなものあるのですが……」
「こ、こらー!! みなさんは未成年で……あなたは未成年ですか? ……十八歳、本当なのですか? と、とにかくお酒はダメなの
ですよ!!」
「イ、インデックス、ちょっと食べすぎだと思うよ。 って私はいいか……ぐむっ!?」
「あらあらあらあら……まったくあのお方ったらはしゃぎすぎじゃないのかしら? あらあらあらあら……」
 とにもかくにある一名を中心にして大騒ぎのパーティーだったそうな……。

171:名無しさん@ピンキー
07/12/25 22:35:20 M1Ej6+mj
一応終わり……
シメとかダメじゃね……ってか女教皇様(プリエステルス)ってプリエステスだよね
ミスった

……エロ?
え、このあと乱交ですか?
考えてませんけど……どうかな?

172:名無しさん@ピンキー
07/12/26 00:46:05 42zBppkr
乱交などとはしたない事をしてはいけません!


行儀良く順番に一人ずつですよ、一人ずつ全員!

173:名無しさん@ピンキー
07/12/26 01:43:32 lLNo8mgw
プリエステルスってw
まぁ天草式は溶け込むもんだからあながち間違いでもないかもっ!

174:名無しさん@ピンキー
07/12/26 02:22:33 fKNMWHHr
~フラグまみれの君達へ~
カミジョー♂パラダイス

175:名無しさん@ピンキー
07/12/26 07:01:59 CU/gE2Ix
>165
GJ!
とはいえいやいやここは何の板かと。
とゆーことで突っ走ってGO! でお願いプリーズ。

176:名無しさん@ピンキー
07/12/26 14:20:51 92F/qJA6
てすと

177:名無しさん@ピンキー
07/12/26 14:47:10 AFXiRQ68
個人的には野郎も他の淑女も集まってどんちゃん騒ぎのギャグコメディとかに行ってもOKじゃ舞夏?
うん、俺がステイルやつっちーを見たいだけですね

良いじゃんたまにはさー、上条つっちー青ピステイル一方海原建宮のヤローどもが
ぶちぶちグチグチギャーギャー騒ぎながら
オールナイトダラダラ過ごす「THE7名様」みたいなSSが有っても……
ダメか、ダメですね、エロパロ板だもんね……

178:名無しさん@ピンキー
07/12/26 16:18:19 r4SkciB4
エロくすればいいんだよ!
野郎共で女性陣の着替えを覗くとか!!

179:名無しさん@ピンキー
07/12/26 16:26:04 pXzVQkz1
フラグたってる女性キャラを上条以外の目に晒すとな?

180:名無しさん@ピンキー
07/12/26 16:41:01 rQ7nbSUi
そんでもって上条だけバレて追い掛け回された挙句に
上条一人で全員を相手にすることになると既に決まっている。
我が脳内で。

181:名無しさん@ピンキー
07/12/26 17:12:57 CZFetm49
>>180
「既定事項ですよ~」

182:名無しさん@ピンキー
07/12/26 17:19:16 eNrdxmvS
hoshu

183:名無しさん@ピンキー
07/12/26 20:46:14 yrpEYcnq
なんか物騒な状況なので捕手

184:名無しさん@ピンキー
07/12/26 20:48:10 42zBppkr
念のため避難所を立てておくか?

185:名無しさん@ピンキー
07/12/26 21:42:59 pXzVQkz1
む、なんかあったの?

186:名無しさん@ピンキー
07/12/26 21:49:14 42zBppkr
>>185
コピペだけど



エロで発展するPINK町。その消火を委託されている2ch町消防署がありました
    (;;,,,(_(;;;; ;,,,()____ ___          
   ,/――//―┬─┤| ||__|┌┬┬┐   姉妹都市として交流していることもあり  
   /        /,/   |    ||[]:::::::::::::::□::::::::::::|     ボランティアで防火・消火活動に努めます
  [/____/(|__|__||:::2ch::消防署::::|                              (   ) ) . |   
  ,||;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;|_|:::::::::::||:::::::::::|::::: γ ヽ::::::::::::::::::|                             ((⌒   ))  . |. 
  l,0llii―iill0||:::::::;;;;;;;||;;;;;;;;;;;|;;;;;;;;;||;;;,;/ ̄ヽ;;;;;;;|                          (⌒((⌒))  )   |
  |;;;━口━;;;;;;;;l;;;;;;フ.l O |l | |コ□((/l´O`ソ              ∠⌒0ヽ           (⌒( ⌒ ) ⌒ )|
   ̄ ̄`ー' ̄   `ー' ̄ ` ー'  )) `ー'              √/,,゚Д)            ( (( ⌒ )) )
                   ノノ                   r―U―∩┬┐ピロリロリ~   (( ⌒ )) )), 
                  くく                   ノノ7 ̄~~〉ノ ̄~         从::;;;;;ノ  );;;;;从
                   ヽ二ニニニ二二二二二二二ノノし⌒ノノ            从;;;;;::人 ;ノ;;;;;从人
でも・・・
一部住民は「なぜこっちまで( ´_ゝ`)」「消火活動に巻き込まれて水浸しだ(#゚Д゚)ゴルァ!!」と訴えます
町長と町の有力者は消防に関心が無いようでいつまでたっても丸投げです
2ch町の消防士は「必要とされていないし割に合わない(;^ω^)」と感じ撤退してしまいました

するとこの無法地帯に放火魔は大喜びΨ(`∀´)Ψ PINK町は大火災に見舞われました
大事な家々がどんどん燃え落ちて、住民達は大慌てで有力者に対応を求めます
有力者は「町長は当てにならない。また2ch署に防火してもらう他ない。どうしたらいいか話し合おう」と言いました
「なに悠長なこと言ってるんだ!今はとにかく水をかけてこの火災が広がるのを止めてくれ!(;゚Д゚)」住民が詰め寄ると
有力者は「やり方がわからない(;´~`)そんなことより文句言われてた消防士さんの気持ちを考えよう」と一蹴し
どうやって謝るかや、今後2ch署に協力する人を集める会議を開きにいってしまいました

住民は町を焼き尽くす炎を目の前になすすべも無く
ごめんなさいと手紙を書いている有力者を見て絶望するだけでした ( ゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)゚д゚)               おしまい



187:名無しさん@ピンキー
07/12/26 21:56:11 42zBppkr
で、具体的に言うと、あらゆる規制、連投規制もスレ立て規制も無くなって
スクリプトによるスレ立て荒らしがBBSPINK中で猛威を振るってる。
葉鍵板や半角なんかはあらゆるスレが押し流された。
この板でも数十のスレが立てられて圧縮が発動した。

188:名無しさん@ピンキー
07/12/26 22:39:46 yrpEYcnq
最低限、このスレのログ(dat)の確保はしておきたい。
まあ専ブラ使ってれば保存されるだろうけど。

>>184
避難所か。エロパロ関係の避難所ってどっかにまとめて存在するの?

189:名無しさん@ピンキー
07/12/26 22:46:21 42zBppkr
>>188
エロパロ板避難所
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

かつてエロパロ板ガイド(消滅)を作ってた人が借りた板。
主になりきりスレが活用中。
但し管理人が消息不明なので業者スレが削除されず残ったまま(3年ほど)


エロパロ板SS投下専用掲示板
URLリンク(jbbs.livedoor.jp)

このスレでもお世話になってる、保管庫とエロパロガイドの人の借りた板。
ほとんど活用はされてないが、削除などは行われてる模様。

190:185
07/12/26 23:29:55 +09EqvA1
>>187
なるほど。
thxついでに保守

191:名無しさん@ピンキー
07/12/27 01:25:50 VA/hAxIA
知らなかったぜ。保守。
専ブラって何処にログ残ってるのか知らないけど、残るなら一先ず安心だわな。

192:名無しさん@ピンキー
07/12/27 03:27:38 glsCJlsL
それでここ数日LoadAvg.11.04とかなってたのか

193:名無しさん@ピンキー
07/12/27 06:24:45 aQKzinDT
禁書板にもなかったっけ>避難所

194:名無しさん@ピンキー
07/12/27 10:16:35 imqO33KN
さぁ保守るぞ

195:名無しさん@ピンキー
07/12/27 10:42:40 LGPXCYM5
>>193
放置されてるエロばなしスレがあったね。
一時期のリサイクルブームにも使われずに残ってるやつ

196:名無しさん@ピンキー
07/12/27 16:08:59 YHrztonH
>>194
URLキボンヌ。

197:名無しさん@ピンキー
07/12/27 16:10:28 YHrztonH

>>194
>>195の間違いだった。
申し訳ない。

198:名無しさん@ピンキー
07/12/27 16:13:21 /uoSRDvg
>>196
URLリンク(www.google.co.jp)

199:名無しさん@ピンキー
07/12/28 19:12:40 2QTP+yr5
hosyu

200:名無しさん@ピンキー
07/12/28 22:09:41 zSk+d22H
ホス

201:名無しさん@ピンキー
07/12/28 23:50:04 6D9OsSJh
謎の呪文

ちんコスコスちんコスコスちんちん
いちまいたんたんタンプラたん

202:名無しさん@ピンキー
07/12/29 03:19:25 DlWay0j2
なんか美琴と吹寄とルチアのツントリオになぜか押し倒されてる
上条さんという夢を見たんですが、電波の発信源は一体・・・

203:名無しさん@ピンキー
07/12/29 06:18:02 cLfz9V/d
>>204の物です
早く利子をつけて返しましょう

204:名無しさん@ピンキー
07/12/29 18:34:50 PgPpHOmh
え……そんな電波を発信した覚えは……受信してどっかに中継した覚えはあるけど

205:名無しさん@ピンキー
07/12/29 21:39:31 ZZxPuI+7
「トリオに押し倒される」だけ見て「ヒロインが三バカにヤられる」妄想を受信した。

206:名無しさん@ピンキー
07/12/29 22:29:11 21nS+8Mz
上条さんにヤられる以外の選択肢しかヒロインにはないのです。
というか俺が許s(ry

207:携帯の人 ◆0yDabgA/0.
07/12/29 22:35:21 pOB8U6Mx
>>202
> なんか美琴と吹寄とルチアのツントリオになぜか押し倒されてる上条さん

これを見て、本当に突発的に書いた。後悔はしていない。
けどオチも無い。
なんせ導入部だからね。

208:『押し倒されて上条』 ◆0yDabgA/0.
07/12/29 22:37:33 pOB8U6Mx
とある男子学生寮の一室。
時刻はそろそろ明日が始まろうかとしている頃。
夜中真っ最中の時間にも関わらず、この一室はおかしかった。
別にこの時間に電気が煌々と着けられているのとか、普段ならいてしかるべきの純白シスターがいないのとか、そんなことは置いておくとして。
いつもの彼の行動や、その周りの様子をよく知っていれば異常なのかどうか甚だ疑問を持つところなのだが、今回は何分勝手が違いすぎた。
「ねぇージュースどこ~」
と、さっき飲み干したばかりのコップを持って冷蔵庫を漁る御坂美琴嬢。
来た時間も早かったし遅くまでいるのもいかがなものかと思ったが、門限が過ぎた今となってはさっさと帰ろうが明日になろうが同じことだ。
そういわれて思わず納得してしまった部屋の主。
「…何で片付けても片付けても片付かないのよ…貴様も手伝いなさい!」
個人的にはしっかり片付けていた部屋を、バシバシ自分好みに片付けていく吹寄制理。
突然具材を持って押しかけ(その時仲良くジュースを飲んでいた美琴を見て眉をひそめたが)夕食を一緒に食べることになった。
なし崩し的にこうなったが、無理矢理納得させる。
しかし。
しかし、だ。
どう考えても『彼女』がこの部屋に居るのは絶対におかしいはずだ。
警備とかいろいろ、本当にいろいろなものを突破しなければここにいるはずのない、
「…まだ起きているのですか?」
黒衣の(これが普通なのだろうが)シスター、ルチア。
やれやれ、といった様子で呟いているのだが、こっちとしては気が気でない。
「皆さん…そろそろお帰りになったほうが…」
引き攣ったような愛想笑いで、上条当麻は切にそう願った。

209:携帯の人 ◆0yDabgA/0.
07/12/29 22:41:27 pOB8U6Mx
まとめちゃえばよかったかも、と今更ながらに思ってるんだけど…まあ、心優しいスレ住人さんは許してくれるよね?
ともかく、ここまで書いたのはいいんだけど、まだハーレムルートが残ってるから続きは書かないよん。
期待しないでネ。
じゃ、さいなり。

210:名無しさん@ピンキー
07/12/30 00:12:53 /l4pnT32
もちろん感謝です

211:名無しさん@ピンキー
07/12/30 00:17:28 ZUbyP+cM
おい生殺しかおい
お疲れ様です

212:名無しさん@ピンキー
07/12/30 07:07:32 VTXxhPSJ
これは新鮮な組み合わせ。
続きが楽しみです

213:名無しさん@ピンキー
07/12/30 13:19:17 pp0Fd83y
>>209
GJ!!!
ハーレムルートも期待してます!

214:名無しさん@ピンキー
07/12/31 03:16:35 i6WiPI2+
sage

215:名無しさん@ピンキー
07/12/31 03:24:54 MLYuENLn
>>214
しむら~ageちゃってるよ~

216:名無しさん@ピンキー
07/12/31 18:44:27 vTqzaAls
ねーちんと年越すよー\(^o^)/

217:名無しさん@ピンキー
07/12/31 18:47:07 TBDLKwG8
「ごめん、とうま」
「っ、何でだよ、インデックス!」
「私はね、とうま・・・・」
「インデックス・・・・?」
「夜叉、なんだよ・・・・」
「夜叉・・・・?」
「心を制御出来なくて、どんどん、人を滅ぼしちゃうんだよ」
「インデっ」
「とうまを私から奪おうとする人を、みんな、殺しちゃうんだよ」
「~~~~っ」
「私はね、ずっと前から、こう叫び続けてたんだよ

 返してよ

 とうまは私のものだから、みんな触らないで

 かおりは嫌い、短髪は嫌い・・・・
 オルソラも嫌い、こもえも嫌い
 ルチアも、ひょうかも嫌い・・・・

 吸血殺しは、大嫌い・・・・っ

 こんなに、私を狂わせる、かみじょうとうまなんか大嫌い

 そして、世界で一番大嫌いで、憎くて、許せないのは、禁書、目録

 なんで、なんでみんなとうまのことを好きになるんだよ・・・・
 お願い、私からとうまを取らないで

 私を一人にしないで」

「インデックス・・・・」

「わかったでしょ、とうま・・・・
 早く帰って。でないと、私は、トウマのことを殺しちゃうんだよ
 殺して、自分だけのものにしちゃうんだよ」
「お前をひとりぼっちになんかできるか」
「なら私は、とうまのこと、殺すね?」
「やりたければ・・・・やれよ・・・・」
「だからとうま。死に物狂いで抵抗して。

 それで、もし、できるのなら」
「できるのなら・・・・?」
「私を、殺してほしいんだよ」
「インデックス、インデックスぅぅぅぅ~~っ!!」

218:名無しさん@ピンキー
07/12/31 21:58:14 i6WiPI2+
何その萌…燃える展開

219:名無しさん@ピンキー
08/01/01 00:08:45 xmQmOgeQ
あけおめ!

220:名無しさん@ピンキー
08/01/01 00:52:51 iS1LVUrz
ことよろ!

221:名無しさん@ピンキー
08/01/01 00:59:10 xmQmOgeQ
死語じゃないかwwそれってww

222:名無しさん@ピンキー
08/01/01 02:11:49 RzUqGybL
黒子と年越しセックルしてきた!

223:名無しさん@ピンキー
08/01/01 05:09:02 KJHiudM7
>>217の後にOPが流れますね

224:名無しさん@ピンキー
08/01/01 07:16:31 C2npHxGU


225:名無しさん@ピンキー
08/01/01 14:18:12 wcLJN0ZJ
>>222


226:名無しさん@ピンキー
08/01/01 14:18:47 wcLJN0ZJ
>>222
上条さん、一発殴らせろ石を握りこんだグーで

227:名無しさん@ピンキー
08/01/01 19:47:47 wqI2yU55
>>226
その幻想を…

228:名無しさん@ピンキー
08/01/01 21:32:25 iS1LVUrz
食べてしまう

229:名無しさん@ピンキー
08/01/01 22:17:58 3WSQOgJI
白い少女を

230:名無しさん@ピンキー
08/01/01 22:24:41 aNtugAt0
窓から

231:名無しさん@ピンキー
08/01/01 22:42:20 ZHjKe8BT
ぶちまけた

232:名無しさん@ピンキー
08/01/01 22:43:42 BZFVxPgD
今回はいまいちだと言わざるを得ない

233:名無しさん@ピンキー
08/01/01 23:24:00 mmbC7oWp
と、当麻に言われたシスターは

234: 【1870円】
08/01/01 23:30:11 xdkr27Ql
とりあえず頭に噛み付いてお年玉を強奪し

235:名無しさん@ピンキー
08/01/02 00:46:56 IUYBXyj7
蝶高級レストランへ突撃

236:名無しさん@ピンキー
08/01/02 01:16:51 JOhxNrFx
不幸だ~

237:名無しさん@ピンキー
08/01/02 01:28:42 KokNeEer
帰ってくると首を吊って冷たくなった上条さんが

238:名無しさん@ピンキー
08/01/02 01:34:47 IUYBXyj7
一瞬見えた気がして

239:名無しさん@ピンキー
08/01/02 02:39:50 A1FHl1bw
黒子の顔が真っ青に

240:名無しさん@ピンキー
08/01/02 06:43:53 5jqjDqPq
なったように見せかけてほくそえむ
「計画通り」

241:名無しさん@ピンキー
08/01/02 06:57:17 wszZa0lv
という初夢オチ

242:名無しさん@ピンキー
08/01/02 08:24:34 txi6WhGN
に御坂さんが真っ青になったり微笑みや憤慨を繰り返したお正月

243:名無しさん@ピンキー
08/01/02 12:12:45 JOhxNrFx
その午後に、たまたま上条に出会う美琴

244:名無しさん@ピンキー
08/01/02 13:24:35 Q0UZ5Mn3
しかし上条さんの後ろには、腹ぺこシスターと姫神が

245:あるアパートの夜の話
08/01/02 13:36:35 QuVk7gsq
注意!妄想設定全開ですっ!

注意書き
・土御門元春×舞夏?
・微エロ?でもエロくなーい
・捏造設定多数

それでもよろしければお付き合い下さい。
ではでは。

246:あるアパートの夜の話
08/01/02 13:37:39 QuVk7gsq
土御門舞夏は唐突に目を覚ました。
全てが闇に閉ざされていて時刻を知る術は無いが、周囲の無音がその夜の深さを証明している。
その闇の中、目を凝らせば何かが動いているのがかろうじて見てとれるが
舞夏はわざわざそちらへと目を向けはしない。
自身の左側をまさぐればそれで充分だった。そこにはわずかなぬくもりだけが残っている。
サイレント映画のように全くの無音の中、闇の中の何かは部屋の外へ出て行った。
(…………何だかなー)
いつもの事とは言え、決して慣れはしない孤独感が彼女を襲う。
10月とは言え夜はそこそこ冷えた。今まで横にあった温もりが消えれば尚更だ。
寒い。
その寒さを忘れる為に右手がするりと股間へ伸びていった。
うつぶせになって胸をベッドにすりつける。肌触りのいい寝巻きの裏生地がもどかしい。
「……んっ……」
ぼんやりと体の内側に熱が生まれた。思考が少しずつ胸や股間へと収束していく。
寝巻きの上から押さえると柔らかいその場所は簡単に形を変えた。
土御門舞夏はメイド見習いである。
両親が死んで、遠縁の本家である土御門に親権がうつると同時に
学園都市の学校へ義兄が編入してきたのだ。。
それまでは土御門なんて聞いた事もなかったし、当然この部屋の主である義兄にもあった事は無かった。
思考が嫌な方へと向かっていくのを、右手の動きを激しくする事で誤魔化す。
「んぅ……んっ……んひぅ!」
ぬるりとした感触が指から伝わってくる。中指の腹で谷間を強く抑えた。
腰が跳ねる。
舞夏にとって義兄は駄目人間だった。
黙っていればかっこいいくせにファッションセンスや奇行で全て駄目にしているし
成績は底辺だし友人も類が呼んだのか駄目人間ばっかりだ。
だが、土御門舞夏はメイド見習いだった。
「ふぁ…ぁっ……ひぁ……ぁ……きぃ…………」
指の動きを激しくする。腰を高くもたげるとベッドに胸が強く押し付けられた。
掛け布団は既に体から落ちており、ベッドの上でひとり痴態を演じている。
人に仕える為に自身を鍛えていく中で得た多くの技術のひとつが彼女にある事実を気付かせる。
「ぁ……に……――――ぃっ!!!」
一際大きく腰が跳ねた。じんわりと下着が濡れていくのが解る。
だが、行為を止めれば考えたくない事が脳内へ流れ込んでくる。

247:あるアパートの夜の話
08/01/02 13:39:13 QuVk7gsq
メイドを志したからこそわかってしまった。
仕える主の体調を知る為にその体の動きからどのような健康状態か知る術を学んでしまったから。
義兄である土御門元春がその体を何度もボロボロにしている事を、
それを必死に隠そうとしている事を。
おかしい部分はいくらでもあったのだ。
モテる為に筋トレしたと言っている体は格闘技のプロ以上に
使う為に絞り上げられ、削り落とされ、鍛え抜かれていた。
尋常じゃない筈のトレーニングを行っている所を舞夏はまだ見たことが無い。
恐らくこのような深夜に誰にも見られないように行っているのだろう。
では―――――――
これでは足りない。
義兄の頭がつい先程まで置かれていた枕に顔をうずめ、思い切り吸い込んだ。
先程まで自分を包んでいた義兄の匂いが脳内を蹂躙する。
「ぁにきぃ……………お、兄ちゃんぅっ!?」
夢中で動かしていた右手の一指し指が偶然服の上から陰核を弾いた。
口からだらしなく垂れた涎が義兄の枕を濡らすが舞夏はそんな事に構っていられない。
麻痺した思考はようやく不安を感じなくなった。
義兄が何をしているのか尋ねる勇気は舞夏には無い。
尋ねて、もしその時嘘を吐かれたら…………心の底に浮かぶ疑問の冷たさは熱でごまかした。
寝巻きと下着を一緒にずりおろし、腰を高く掲げて行為に没頭する。
直に触れた指の冷たさが秘所の熱をより一層際立たせた。
「ぉにいちゃ……んっ!ふぁ……ひぅ……ひぅぅんっ!?」
今の自分の恰好を脳内で思い描く。
だらしなく涎をたらし、裸の尻を高く掲げ、見せつけるように秘所を押し広げて快楽を貪る自分。
義兄が帰ってきたらどうなる?
舞夏の麻痺した思考は本来ならありえない妄想の義兄を思い描く。
自分は慌てて布団で身を隠す。だが、血走った目をした義兄がその布団を奪って自分をベッドに組み伏せる。
そして丁度今の姿勢にされ、無骨な指でまさぐられるのだ。
「ぃや……やぁ……」
中指が粘膜を押し割って奥へと侵入するが、舞夏の小さな手では一番奥までは届かない。
もどかしさが一層動きを激しくさせた。

248:あるアパートの夜の話
08/01/02 13:40:07 QuVk7gsq
自分の必死の抵抗はしかし鍛え抜かれた義兄の膂力の前に霧散する。
あっという間に充分な湿り気を帯びたそこを確認した義兄は一旦離れるのだ。
次に来る行為を察したしかし自分は恐怖に震えて動けない。
唯一動く口で精一杯拒否をするしかないのだ。
「駄目、駄目だぞぉ……ぁに……きっ!?ぉにいちゃんぁあっ!?」
指を二本に増やす。先程よりも太いものに押し広げられた粘膜は
今まで以上の熱を舞夏の脳内に送ってくる。
義兄に犯された。信頼していた義兄に。
モテなくて駄目人間で、でもそこが可愛くて大好きだった義兄に。
こんな事――――と絶望する自分。
しかし結ばれた事に幸せを感じている自分も脳内のどこかに存在した。
被虐による苦しさの中にひとつ純然たる悦びが混ざる。
そしてその悦びは思考を段々と侵食していき、やがて脳内全てを埋め尽くした。
右手が卑猥な音を立てて秘所を蹂躙していく。
左手も股間へと伸びていった。大きな波が来る瞬間に備えて陰核に触れる。
「……きてっ!きてぇっ!?おに―――――――」
摘む。抉る。
「んきゅぅぅうぅぅううっっっ!!!???」
腰が何度も跳ねた。口から漏れる声を枕に顔を埋めることで出来るだけ小さくする。
股間から大量の液が飛び散った。
それに合わせて義兄が痙攣し、自分の中に欲望を流し込んでくる。
「うぁ……あにきぃ…………」
勿論それは妄想で、義兄は今この部屋にいないし当然舞夏を犯してもいない。
未だ経験の無い舞夏にはそれらの感触は妄想でしかない。
しばしの間、土御門舞夏は妄想の感覚を貪った。



行為の余韻を充分に味わった後、舞夏はむっくりと体を起こした。
涎まみれの枕、愛液で汚れた下着とシーツ。
問題点は山積みだ。
毎度の事とは言え、うんざりするのもしょうがない。
本当ならこのまま寝てしまいたいくらいいい心地なのだ。
だが、義兄にバレるわけにはいかないから後始末をしなければいけない。
理不尽な怒りが湧いてくる。
「これも全部アンタのせいだぞー。馬鹿兄貴ー」
明日の朝食は義兄が苦手なものを使って作ってやろう、
ささやかな復讐を思いついた彼女は先程の寝室を再現すべく行動に移った。


249:あるアパートの夜の話
08/01/02 13:42:09 QuVk7gsq
ここまでお付き合い頂きありがとうございましたっ!

あの動揺っぷりからつっちーは手を出したくても出してないと仮定。
土御門が呼ばれたいのは「お兄ちゃん」だから
舞夏は普段は「兄貴」と呼んでいるツンデレ設定。
公式ではもしかしたらカミやんルートなのかも知れませんが
私の脳内ではつっちーに近親相姦願望ドロドロの舞夏さんです。


250:名無しさん@ピンキー
08/01/02 15:15:13 c1ihzpzU
>>249
おk、表にでろ








































非常にあり得んくらいGJだから焼肉でもおごってやる
ってか、舞夏は思考ドロドロでFA……あははは

251:名無しさん@ピンキー
08/01/02 17:23:16 1+8SCyo/
>>244
小萌先生らの手によって振袖を装備済みだったので

252:名無しさん@ピンキー
08/01/02 17:26:31 txi6WhGN
御坂さんは手先器用な上条さんに着付けをしてもらい

253:名無しさん@ピンキー
08/01/02 18:25:20 OaKtGYA8
しかし、上条さんだから有り得ねぇ事はない紆余曲折を経て、お代官プレイ。

254:名無しさん@ピンキー
08/01/02 18:25:33 LINZA4gy
投下された後も続けられるとさすがにうざい

255:名無しさん@ピンキー
08/01/02 18:45:14 QuVk7gsq
いやまぁそれが評価だって事で次は頑張りますよ、と。

256:名無しさん@ピンキー
08/01/02 19:27:53 eriYWymQ
待ってくれ。
住人全員が非常識ノーマナーというわけではないんだ

今からでもGJ送っていいかい?

257:名無しさん@ピンキー
08/01/02 19:48:43 UxURfFwr
ああ。送ろう。>>245に正当なるGJを。
いや、ネタを続けるのはそれはそれでもかまわないと思うんだ。
ただ、俺がGJって言いたいだけなのさ。

258:名無しさん@ピンキー
08/01/02 20:39:14 wVb54L99
この終わりと始めの律儀な挨拶どこかで見たんだよな
どこだっけか
>>245
GJ!GJ!・・・・・jk

259:前方の弁当 ◆rbe1BhDvYc
08/01/02 21:59:49 kiuwl9Xz
あけおめー。なんか顔面にピアスの代わりにご飯粒がいっぱいついてる人が来ましたよ。

いやー、初SS有難うございます。GJです。
舞夏のSSはなかなかありませんでしたからね、貴重なご馳走に出会った気分でよかったですよー。
危うくメイド少女に目覚めsうわああやめろ俺には美k(ry

……さて、実は大浴場の話題振ったのは俺なのでね。
そろそろ前振りだけでも投下しようと考えてます。
上手くいけばそれは今日中に出せるかと。

260:名無しさん@ピンキー
08/01/02 22:10:22 wVb54L99
ほええええええええ
楽しみにしてます

261:そんなこんなで上条さん大浴場へ ◆rbe1BhDvYc
08/01/02 23:23:17 kiuwl9Xz
溜め息が出る。
男であるからにはいちいち気を遣わずにはいられない女子寮での生活。
ここに来てからというもの、何故かどこへ行くにも傍に誰か見知った女子が居て、まるで監視されているようで落ち着かなかった。
だから夕刻、風呂の準備ができたという報告を聞いた時にはすぐに飛びついた。

ごしごしと、女の子の使いそうな甘い香りのシャンプーで頭をかき回し、泡立ってからシャワーを浴びて流す。
体はさっき洗ったから、これで全て終わり。あとは……と、上条は振り返った。
「しっかし、イギリスにこんなでかい風呂なんてあるのかね。何か雰囲気が思いっきり日本なんだけど」
上条が手拭い片手に独り言をこぼす先には、この大浴場の面積の大半を占める巨大な風呂があった。
「ま、こっちとしては願ってもない事だけどな」
そっと足を湯につけてみる。やや熱めだが、疲労を溜めた上条にはその刺激が心地良かった。
腰を下ろし、肩まで湯に浸かる。
「うはぁぁ…………」
カポーン、と誰もいないのにお馴染みの音が反響したような気がした。
手拭いを頭に乗せて目を閉じると、意識しなければそのまま眠ってしまいそうである。それほどの開放感だった。
(ふあぁ……これは、遂に不幸の反対がきましたよ……)
男なら一度は誰もが羨むフラグ体質の少年、上条当麻。
だが、風呂に浸かっただけでここまで至福を味わえる彼の気苦労もどうか察してやってほしい。

262:そんなこんなで上条さん大浴場へ ◆rbe1BhDvYc
08/01/02 23:26:17 kiuwl9Xz
 
「急ぎましょう。男の人はこういうこと大ざっぱなもんですし、早くしないと上がっちまいますよ」
「しょ、正気なのですかシスター・ア二ェーゼ!? あなたは神に非ざる者、それも男子にその……み、見せることになるのですよ!?」
「隣でバスタオルとお着替え抱えていまさらそんなこと言わないでくださいよシスター・ルチぁぐひはッ!?」
「い、一度もう見られてしまいましたし、ですから今更隠す意味なんてないですし、ですから、ですから何を躊躇うことが……ぁぅ」
「そ、そんなの私だって! み、見られたのは私のほうが先だし、私はいつもとうまと同じ……ぉ、同じ石鹸使ってるんだもん!」
「あらあらあら、それにしてもこの顔触れでお揃いというのも久しき事でございますね」

脱力しきった頭で遠くに聞こえる女子の喧騒を右から左に聞き流していた上条当麻は、そういえばここって女子寮なんだよなと改めて認識する。
もちろん内容までは聞こえないが、全て知り合いの誰かの声かということまでは察することができた。
……ん? 女子の声?
(やばっ、長風呂しちまったか!?)
思い立った瞬間、恍惚として呆けていた頭が覚醒する。
(うわ、つい自分家の風呂に入ってる気になってた! 何で気付かなかった、ここ女子寮なんだから風呂1つしかなくて当然だろ!)
今の声は、脱衣所前の戸口で退屈凌ぎに談話している順番待ちの女子たちに違いない。
実際それ程時間は経っていないのだが、大浴場内部では時計までは備えられていないため、上条は一人早合点したまま慌てる。
「と、とりあえずまずは上がって速攻で着替えて脱衣所出たら待っていた皆に謝る!」

263:そんなこんなで上条さん大浴場へ ◆rbe1BhDvYc
08/01/02 23:27:22 kiuwl9Xz
早口で自分に言い聞かせるように呟くと、上条は体を浴場の出入り口に向けようとして……。
 
「とうまー?」
 
その瞬間、突然聞きなれた白いシスターの声が自分を呼んでいるのが耳に届いた。
幾分大きく聞こえた声に上条は動揺する。
「い、いんでっくす!?」
動揺のあまり思わず口調が幼児になっているが、本人に自覚は無い。
待ちかねてとうとう催促を始めたのだろうか、と上条は想像した。だとすれば、このままでは怒った彼女に噛み付かれる可能性が高い。
「わ、え、えっとあ、ごめん、待たせてすまん!」
飛び跳ねるように湯船から立ち上がると、上条は浴槽の縁に足を乗せて一気に体を湯船から抜き去る。
「すぐ着替えて出て行くか…………らっ?」
このまま駆け足で出入り口に向かおうとした。
 
しかし、上条は途中でギクリと足を止めた。
擦りガラスの向こうに、人影が見えたからだった。

264:そんなこんなで上条さん大浴場へ ◆rbe1BhDvYc
08/01/02 23:28:07 kiuwl9Xz
(……あ、え?)
足音も聞こえるし、幻覚や気のせいではないようだ。
よし、落ち着け。
考えてみよう。ここは女子寮であり、男子として紛れ込んでいる上条当麻はこの中でただ一人の異端であり例外である。
すなわち、ガラスの向こうの脱衣所に居る人影は男ではないことはほぼ確定。そして、脱衣所とは風呂に入るため以外の用途はない。
つまり、あの人影は女子であり、脱衣所に居るってことは今から風呂に入ろうと上着を脱ぎ下も脱ぎ一糸纏わn
そこまで考えて上条の思考が再び冷静さを失った。
(……え、な、何だコレ? っま、まさかのまさかだよな、いやありえないから。それとも、そうか俺が入ってるって知らないんじゃ……」
動揺の末に辿り着いた結論、こうとしか考えられない。さっきの言い訳じみた喋りのおかげで誰か居ることぐらい判るだろうという妥協までできる余裕は無かった。
だったら知らせなければ。かといって扉を開けてはいつか掘ったような掘ってないような墓穴である。
せっかく休むためのお風呂場で、またも体を張って女難を受け止めるような事態はゴメンだ。
「……ちょっ……あ、あのっ……すいませーん、そこに居る人ーっ!?」
声を張り上げる純情ヘタレチキンボーイ、もとい上条当麻。
すると、人影はピタリと動きを止めた。

265:そんなこんなで上条さん大浴場へ ◆rbe1BhDvYc
08/01/02 23:29:11 kiuwl9Xz
 
「……? とうま?」
「……へ?」
たった今疑問系で聞こえた声の持ち主であり、ガラスの向こうに居た人影。それはまたも白い修道女であったようだ。
(何だ、インデックスかー。……って何ほっとしてんの俺ッ!!?)
が、それは上条にとってハイそうですかで片付けられる事態ではない。
自宅の棚の二重底に隠した青ピ発の官能小説、上条の脳内にて既にその前半部分のお風呂場系シチュエーションが生々しく再生され始めていた。
(……え? 嘘? 少なくともインデックスは上条さんがマッパで入浴中って知ってるはずだよね?
 まさか意外に大胆? いやちょっとまて仮にも修道女の女の子が俺なんかにそんなことするわけでもやっぱりそうとしか考えr)
混乱がますます加速し始めた。
『こちら脳! 緊急指令!! 妄想が尾ひれを装着して拡大、このままでは封じ込められた本能が顕現してしまう! ただちに抹消せよ!』
『駄目です! この場に在る理性だけではとても止まりません!』
『ええい、事態は緊急を要するのだぞ! 萎える話でも空しい話でもこの脳内から引き出せ! 決して封印を解いてはならんぞぉぉぉぉ!』
……とまあ、脳内の葛藤は眼に浮かぶほどにまでなっていた。
口を引き攣らせて、上条は扉から一歩後ずさりながら、裏返りかけの間抜けな声で問いかける。

266:そんなこんなで上条さん大浴場へ ◆rbe1BhDvYc
08/01/02 23:30:38 kiuwl9Xz
「……えーと、いんでっくすサン、だよね? 一体、ここに何を……?」
 
 
 
「??? 何か随分慌てているみたいだったけど、私はお湯加減大丈夫かなって聞きにきただけだよ?」
 
風呂上りを決行しようとしてから、ここまでのやり取り約一分。
短い時間を濃密にテンパった一人の少年は、ようやく解けた緊張によってヘナヘナと膝から落ちた。
(何だ、そうだったのかー……。いや、決して残念なわけではっ)
僅かな落胆を脳髄の奥に押し入れると、ここにきてようやく一息つくことができた。
「ねえ、熱すぎたりしないよね?」
同居人の少女の声に、やや不安げな色が混じる。
今日一日振り回され疲れ果てていた自分に気付いて、彼女なりに少しでも気遣ってくれているのかもしれない。
……なら、それには答えるべきだろう。無意識に穏やかな微笑が浮かんだ。

「ああ、すっげー気持ち良かったぞ。ありがとうな」

「……!」
扉の向こうでは、何故か声を詰まらせているようだった。
何となく、子供をあやすように語りかけていた気がしないでもないが、上条は気付かなかった。
ガラスの向こうで、少女が頬をほんのり朱に染めていたことも。
「……そっか」
少しの間があって、インデックスはそれだけ言った。
 
「……じゃあ、大丈夫だよね」
「?」
続いて、理解しがたいことを言った。
 
ふと気がつくと、ガラスの向こうの人影が増えている。
それも、扉の前に並ぶようにして。
「え?」
ガチャリ、とドアノブの捻られる音。
「え?…………ちょっ、ぇえ゛ええええええええええっ!?」

267:前方の弁当 ◆rbe1BhDvYc
08/01/02 23:35:34 kiuwl9Xz
土 下 座   OTZ

大浴場編は楽しみにしてる人多かったと思う! だからこればっかりは自信もてません! っていうかごめんなさい!
こんな文章でよろしければ次も頑張ろうと思うのですが……いや、これはリレーですからここでバトンタッチという手もありますね!
すいません、とりあえず今日のところはこれで逃げます!

268:名無しさん@ピンキー
08/01/02 23:59:04 eriYWymQ
     ∩
  ( ゚∀゚)彡 続き!続き!
   ⊂彡
勢いがあってイイ!

269:名無しさん@ピンキー
08/01/03 01:35:12 fTq0GcL5
ガンホー!ガンホー!ガンホー!

全裸で続きを待ってるぜ!

270:名無しさん@ピンキー
08/01/03 08:43:42 pAmrGiq/
は?生殺し?
GJ!

271:ある諜報員の仕事の話
08/01/03 12:40:08 fTwcrlq5
注意!
・この物語はオリジナルです
 この作品の登場人物は「とある魔術の禁書目録」とは何の関係もございません
・じゃあここに投下すんなよっ!というツッコミは禁止
・微エロ?

こんなんでよろしかったらどうかお付き合い下さい。
ではでは。

272:ある諜報員の仕事の話
08/01/03 12:42:29 fTwcrlq5
黒い部屋があった。壁も床も真っ黒、10メートル四方の部屋の中央に置かれた丸テーブルと
その周囲に並べられた4つの椅子も漆黒であり
テーブルの中央におかれたろうそくがあるもののほとんど色を生まない。
ロウソクの灯りによって4人の人間がいる事はわかるが、灯りが小さすぎて顔などはほとんど見えない。
「さて、今日はお前等にお集まりいただいたわけなんですが……」
「あァ?何なンだよこの部屋は?ったく、くだらねェ用件だったらてめェわかってんだろォな……」
「おい、つ」
「おぉっと!そこまでだぜぃ『旗男』!この部屋で名前を出すのは止めてもらおうか!」
「ちょっと待て!『旗男』って何だ『旗男』って!それに何で名前を言ったらいけないんだよっ!?」
「……やれやれ……相変わらず察しが悪いな。君は馬鹿か?そういえば馬鹿か。君は馬鹿だ」
「おいそこの暴力神父っ!人をぽんぽん馬鹿呼ばわりしやがって!」
「つまり、何らかの理由で名前で呼んではいけないんだろう?――……何と呼べばいい?」
「俺の事は『スパイ男』でいいぜぃ『煙草男』。『白髪男』も状況は飲み込めたかにゃー?」
「まァてめェから連絡あった時点で何が起ころうが不思議じゃねェからな
 イチイチ驚いてたりしてらんねェだろォが」
「飲み込みが早くて助かるぜぃ。『旗男』もこれだけは理解しておいてくれ。
 …………この部屋で『名前』を呼ぶ事がソイツの命に関わる問題に発展しかねないって事を」
『スパイ男』の深刻な声に部屋の中の静寂に緊張が加わる。『旗男』が唾を飲み込んだ。
「さて、全員がルールを飲み込めたトコロで本題に移ろうか」
『スパイ男』がテーブルの上にプレーヤーが置かれた。
「学園都市に新しく配備されたシステムを知っているか?
 ガラスに赤外線を照射して室内の音声を傍受するっつう仕組みなんだが、
 それの試験運転で集められたデータにこんなモンが混ざっててな……」

『「うふふ、いけない子ですねー。こんなにして……」
 (水音が続く)
 「うぁ……その、もう……」
 「んちゅ……もう我慢出来ないのですかー?……ふふっ、冗談ですよー。先生だってもう限界ですから。
  そぅ……そのまま……ふあぁぁっ!?」』

派手な音を立てて『煙草男』が椅子から転げ落ちた。同時に『旗男』が机を叩いて立ち上がる。
「おいコラステ……『煙草男』ぉっ!!てめぇこ……『先生』に何してやがるっ!?」
「ちょっ!ちょっと待て『スパイ男』っ!君はこれをどうやってっ!?」
「だからさっき説明しただろうが。
 新システムでヤバいデータがキャッチされたからそれの真偽を確認してるんだぜぃ。
 片っ端から怪しいデータを消してもいいんだがそうすると操作したのがバレやすくなるんでな……
 出来れば改竄は必要最低限に留めたいんだにゃー」
「あァ?俺まで呼んどいてその理由がこれかよ?くだんねェ……帰るぞ」

『「ひぐぅっ!?はぎぃっ!?うぁっ!?ぁあぁっ!?ミサひがぁっ!?カは……」
 「あァ?どうした?」
 「ひぅ……ミ  は、貴方がこ、れだけ激しくす、るのは   のコト嫌いだ、から?
  と息も絶、え絶えに怯、えながら尋ねてみたり」
 「馬鹿か。続けンぞ」
 「そん――ひゃうぅぅんっ!!?」』

273:ある諜報員の仕事の話
08/01/03 12:43:37 fTwcrlq5
『白髪男』の額がテーブルに突き刺さった。『反射』を切っていたのかテーブルは砕けない。
ようやく椅子に座りなおした『煙草男』が呟く。
「いや、これは相手の女の子が可哀想だろう。『白髪男』、君はもっと女の子に優しくすべきだよ」
「うるせェ!てめェこそ女に責められっぱなしでアヘ顔晒してんじゃねェっ!」
「っ!?いやあの人本当に上手いんだぞっ!?僕だって最初は30秒もたなかったんだからなっ!」
「そりゃてめェが早漏なだけだろォがっ!」
「はいはい、そこまで。本当にお前等なのかどうか状況確認するからその日の流れを解説してもらえるかにゃー?」
「はァっ!?そこまでしなきゃなンねェのかよっ!?」
「だからデータの改竄を必要最低限にする為だ。お前だってこんな事で弱みを増やしたくはないだろ?」
『スパイ男』の冷静な声に『白髪男』が押し黙る。
「あ、日付は無し。ただその日を俺が確定出来る様に事細かにな。じゃ、『煙草男』から頼む」
「ふぅ……しょうがないな。
 あの子の様子を見に学園都市に来たら毎度の事だけど何故かすぐ『先生』に見つかってね。
 宿泊場所は用意してるってちゃんと言ったのに『先生』の部屋に強引につれていかれて……
 その日の夕食は確か『スッポンナベ』……って言ったかな?
 今まで食べた事無かったんだが、あれはなかなか美味しかったよ」
「オイ……ひとつ聞きたいんだけど『煙草男』、『先生』は夕食の材料をいつ買いに行ったんだ?」
「うん?それは僕を部屋に案内する途中だけど……それがどうかしたのかい?」
「いや、何でもねぇ……」
(どんだけやる気なんだよ『先生』……)
担任の知ってはならない一面を知ってしまい、『旗男』は次に『先生』に会う時にどんな顔をすればいいか悩み始める。
「で、酔っ払った『先生』に押し倒されてね。
 女性に手荒な真似をするワケにもいかないし恥をかかせるワケにもいかないし……
 ちょっと待て!何だその軽蔑の視線はっ!
 『状況に流されるなこのヘタレ』とでも言いたいのかっ!?」
大体合ってたので三人は『煙草男』から視線を外した。
「料理が特定出来たら行けるな。次、『白髪男』」
「あァ?いちいち覚えてねェよ。あの程度いつもの事だしよ」
「じゃあいつもの流れを頼む」
「あ~~……アレだ。たまにアイツの部屋に行ったらニコニコ出迎えやがンだよ。
 それ無視してソファーとかでゴロゴロしてたら決まってアイツが変な恰好してきて
 ムカつくからその服ビリビリに破って犯してる」
犯すという刺激的な言葉に『旗男』と『煙草男』が盛大にふきだした。
一人『スパイ男』だけが冷静だ。
「で、その恰好ってのは?」
「あ~~……色々あンだが……体操服、セーラー服、ブレザー、チャイナドレス、
 ナースにキャビンアテンダント、白衣、水着、ビキニとか古くせぇワンピースとか、あの学校指定のもあったな。
 あ、『カナミン』だっけか?くだンねェ番組のキャラの時もあンだが……」
流石は学園都市一位の天才、抜群の記憶能力である。制服の羅列はまだまだ続く。
『スパイ男』も流石に記憶しきれなくなったのでポケットから取り出したメモに記録し始めた。

274:ある諜報員の仕事の話
08/01/03 12:45:44 fTwcrlq5
「一番最近は黒のメイド服か」
『スパイ男』の指の動きが止まった。
「……おい、今何つった」
「あァ?だからメイド服だよメイド服。見た事ねェのかてめェ」
『白髪男』は呆れた声で返して……それから硬直した。『スパイ男』がガクガクブルブルと激しく振動していたからだ。
たっぷり30秒間もの間震え続けた『スパイ男』はピタリと停止すると、机に拳を叩きつけて立ち上がる。
「め……メイド服を破っただとぉぉっ!!?そのまま犯しただとォォっ!!?
 お前っ!お前ぇぇぇぇっっっ!!!????」
振動した時点で何かマズいと察していた『旗男』と『煙草男』が『スパイ男』を押さえつけた。
「おっ落ち着け『スパイ男』っ!」
「離せっ!離せぇっ!コイツに自分が何をしたのか骨の髄まで叩き込んでやるっ!」
「だから落ち着けと言ってるんだっ!まとめ役の君が暴走してどうするっ!」
数十秒間の激闘の後『旗男』と『煙草男』、そして『スパイ男』がようやく席についた。
「あぁ……すまない、ふたりとも。ちょっと取り乱した……」
「ちょっとじゃねぇよ!思い切りやりやがって!」
「君はもう少し自分の技術の使いどころを吟味した方がいい……」
二人とも顎やら鳩尾やらを押さえていて、かなり痛そうだ。
中心人物の癖に我関せずを貫いた『白髪男』は勿論無傷である。
「何なンだてめェらは……で、もういいのか?」
「あ、あぁ……充分だ。特定には手間がかかるがこっちで何とかしよう」
(とは言え……)
『スパイ男』は『白髪男』の弱点を知っている。とても小さな少女だ。
しかしその少女にピッタリのサイズのコスプレ衣装がそんなにあるとは思えない。
つまり……
(……こんなに愛されてるって事をコイツは解ってんのかにゃー?)
不機嫌そうな『白髪男』の表情からはその真偽は読み取れない。
気を取り直してプレーヤーを操作する。
「さて、ここからが大仕事なんだが……『旗男』、これに心当たりはあるかにゃー?」

『「ふぁ…くすぐったいよぉ…ひゃっ、とう ?
  そんなにしたらも、も、もれちゃうよぉ…… うまっ!?
  だからっ!もうだめだよぉっ! う っ!?と  !?とう――――」
 (水音)
 「ばかぁっ!と  のばかばかばかばかばかばかぁっ!」』

「よし『旗男』、僕にだって慈悲の心はある」
「ま、待て『煙草男』っ!何でてめぇはカード取り出してんだっ!?」
「だから懺悔くらいはさせてやると言ってるんだ。その後地獄に落とすがね」
「ほい、じゃ次行くぜぃ?」
「次っ!?」

『「だからっ!何でたたないのよっ!私が脱いであげてんのよっ!?」
 「えっと、……まぁ男は緊張し過ぎると実はたたなくなるんだが……」
 「そ、……そうなんだ。アンタもき、緊張してんだ……」
 「なぁ、その、止めないか?お前だってあんな賭けくらいでこんなコト……」
 「…………じゃない……」
 「うん?何か言ったか?」
 「賭けなんかでこんなコトするわけ無いじゃないっ!って言ったのよ!
  だから……その、察しなさいよ……」
 「お、おぉ……」』


275:ある諜報員の仕事の話
08/01/03 12:48:04 fTwcrlq5
「よし『旗男』、僕の慈悲の心は今ので売り切れだ」
「つかてめェ二股かけてンのかよ、最低だな」
呆れた様子の『白髪男』の言葉が『旗男』の胸に突き刺さる。
「ほい次」
「まだあンのかよ?どんだけクズなンだてめェは?」

『「気持ちいい?私。一人で練習してみたんだけど」
 「うぁ……あぁ、確かにすっげぇいい……
  姫 の手って柔らかくて……自分でするのとは全然違うわ」
 「ふふ。良かった。上 君に喜んで貰えて私も嬉しい。
  ……ねぇ。お礼は?」
 「お尻……だよな?」』

「うわああああああっ!!!うわああああああっ!!!
 つか何でさっきから『煙草男』はカードの枚数数えてんだっ!
 懐からカードがぎっしりつまった分厚いアルバム取り出してんじゃねぇっ!」
「いや、なに。君が関係を持った女性の数×一万枚があるかどうか確認しておこうと思ってね」
「すげェなァ、俺でもコレは真似出来ねェわ。感染症には気ィつけとけよ?」
「次」

『「バニー姿はなかなかの効果があった、と  カはあなたとの情事を思い返して自身の選択を評価します。
  これが命の重みなのですね?とミサ はお腹の中の感触の意味を再確認しています」
 「でも、ホントに良かったのか?中に出して……」
 「貴方の全てを受け止めたい、と サカは自身の心中を吐露し、そしてそれが叶えられた事に満足しています。
  さて、次のコスチュームのリクエストはありますか?と サ はさりげなく次の機会の催促もしてみます」』

「おいコラ。アイツの奇行はこれが原因かよ?てめェ随分愉快な事教えやがったなァ……」
「待てっ!待ってくれぇっ!俺かっ!?俺のせいなんでしょうかそれはっ!?
 だって御……『妹』が自分から色んな服装で迫ってきたワケでっ!」
「というかそんな体たらくでよく僕をヘタレ扱い出来たな。
 僕がヘタレなら君は猿か?というかむしろ本当に霊長類なのか君は?」
「……何か、俺の意図せぬところで話がこじれてきたな。
 『旗男』からも一応状況を聞いておきたかったんだが……まぁいいか。
 じゃ、積もる話もあるみたいだし、ここらで解散にしときますかにゃー?」
「いやいやいやいや駄目ですよっ!このままだと俺――ってゴルァっ!逃げんな『スパイ男』っ!」
「さて、『旗男』。君には」
「色々話してもらう必要があるみてェだなァ……」


部屋の外に出た『スパイ男』は外から鍵をかけた。この部屋は完全防音で対爆仕様でもある。
部屋の中で爆発が起ころうがプラズマが発生しようが外には漏れない。
唯一中に持ち込んで全ての音声を記録していたレコーダーにのみ状況が記録してある。
全ての作業が終わってこのレコーダーを処分すればこの部屋で行われた事は無かった事になる。
「平和だなぁ……」
天に燦々と輝く日光をサングラス越しに眺めながら『スパイ男』は穏やかに呟いた

276:ある諜報員の仕事の話
08/01/03 12:48:48 fTwcrlq5





「ふ、不幸だあああああああああああっっっっっっ!!!!」




277:ある諜報員の仕事の話
08/01/03 12:50:02 fTwcrlq5
ここまでお付き合い頂き有り難う御座いました!
『旗男』の相手に迷ったんで全部詰め込んだらこの結果に。
ちなみに魔術側の相手がいないのは
魔術側の相手とホニャララするのが学園都市外になってしまうからです。

あ、あと
・この物語はオリジナルです
 この作品の登場人物は「とある魔術の禁書目録」とは何の関係もございません



278:名無しさん@ピンキー
08/01/03 13:24:20 jVz7+FOE
いや、面白かったよ

279:名無しさん@ピンキー
08/01/03 14:28:42 kNa7hQCk
ねー……ちん……?

しかしGJ!あいつら四人が顔つき合わせてると想像しただけで笑えるwww

280:名無しさん@ピンキー
08/01/03 15:00:38 pAmrGiq/
ほえええええええ
GJですよー
白髪男の反応でワロタ

281:名無しさん@ピンキー
08/01/03 18:40:21 qx0TZblF
  _   ∩
( ゚∀゚)彡 お尻! お尻!
 ⊂彡

282:名無しさん@ピンキー
08/01/03 19:10:43 CZY9y6ti
ちょっと旗男ぶっ殺してくる

283:名無しさん@ピンキー
08/01/03 21:55:01 VHZAvew/
gj
反射で壁に穴開かないのかな?

284:名無しさん@ピンキー
08/01/03 23:14:30 RU3jQd/D
白髪男「旗男ォ、みっくみくにしてやンよ」

285:名無しさん@ピンキー
08/01/04 00:06:11 k31gFVfU
茶飲み干した後でよかった・・・

GJ!

286:名無しさん@ピンキー
08/01/04 01:37:40 ng85SjBM
>>283
白髪男も例の一戦で「『髪がツンツンのとある無能力者』には物理が最も有効」と知った筈なだけに、
むやみに「武器」である壁を破壊したりしないだろう。逃げ道作ることになるし。
きっと今頃は『旗男』が紅葉おろしに……合掌。


まあ、誰のことを指してるかは全く分からんがね。

287:名無しさん@ピンキー
08/01/04 02:39:26 mwnqGvN7
超能力側だけにしてもオデコとか中学生とか女教師とか足りなくね?

あ、スレ違いなレスしちゃってゴメン

288:名無しさん@ピンキー
08/01/04 10:33:23 9E/Ra19n
足りないとおっしゃるのであれば妄想を自給自足なさればよろしいのでは?、とミサカは当たり前のことを口にします
後、産生された妄想はここでぶちまけてもらえると嬉しいです、とミサカは期待満々な目で見つめます

289:名無しさん@ピンキー
08/01/04 10:35:34 5vZ8Rnrf
あー、色々言いたいことはあるが。主に旗男の人数の少なさに(をい

ともあれGJ。

290:名無しさん@ピンキー
08/01/04 14:40:16 aoo3dCz9
逆に考えるんだ
室内を赤外線で盗聴するシステムだから
野外はセーフと考えるんだ

291:名無しさん@ピンキー
08/01/04 16:58:29 gNAdyxSg
つまり……野外プレイだな!?

292:名無しさん@ピンキー
08/01/04 18:01:46 w4nyWgdF
SO・RE・DA!!

293:名無しさん@ピンキー
08/01/04 21:10:58 zZl+3MD8
青姦とも言う・・・・・言うよな? 違ったっけ。

でも学園都市だと、清掃ロボットに熱源感知とか集音マイクとか色々と
装備してそうなんだが

294:名無しさん@ピンキー
08/01/04 21:16:44 gtzAjX0f
そこはビリビリで無効化ですよ。

295:♯五和
08/01/04 22:05:46 ujIuh2tb
よし、二時創作好きな弁当が横切りますよと。
この文章はとある諜報部員の録音記録のとある片鱗より抜粋したものであり、とある魔術の禁書目録とは一切関係ありません。
誰と誰がどんな体勢で何をしているかについてはお答えできかねます故、みなさまのご想像にお任せします。


「ぅ……ぐっ、まったく、見かけによらないとは、言うが……君の取り巻き、が今の君を、見たときはどんな、顔をする事、やら……」
(水音)
「ずぶ、ニチャッ……それは新手の言葉責めですか? 先に言っておきますが、今の私はその程度では止まりませんよ。
 ここ一週間、ずっとご無沙汰だったんです、から……舌、止まってますよ、はむっ」
「いや、そうは言ってもだな、流石に僕にも疲労というものが……ぐあああっ! うぁがっ、わ、分かったから噛むのだけはっ、ぐうっ」
「全く……ふぁっ、そうです、その調子でもっと、はぁっあ……んっ、もっと、もっと奥……っ!、はむっ、むじゅ、、じゅるるっ」
「んぐぶっ!? ちょ、ちょっと止まれ神 、いぎが、そ、ぞんなにおしづげられだら息がっ、」
「ずぷっ、口では言いますけど、貴方の体は追い詰められるのが好きなようですよ……これだけ私の生命を堪能したのですから、貴方も、早くっ……」
「んぶっ、そ、そうは言うけどもな、君は今日だけで何発目か分かっ、あがっ!? ぐうぅああああああっ!!」
「舌が止まっていると言いましたよね?
 言って学べないのであれば一度噛みちぎったほうが良いのですか? ……ぁっ、それいいっ、今の、もう一回っ、はふあっ……んっ」

296:名無しさん@ピンキー
08/01/04 22:13:01 ujIuh2tb
ちょ、あれ、マジッ? トリップ失敗しやがったっ!?
これは酷い、俺のよm……ゲフン、印がバレては今後書き込めないじゃないか!何て事だorz

297:名無しさん@ピンキー
08/01/04 23:55:08 2XvTGeGg
大丈夫、同じIDのうちに新トリップに変更すればいいんだ

298: ◆9uSBC6apvI
08/01/05 00:17:04 IflMrgSe
む……そりゃ正論。もうID変わってたら絶望的だな。
今度こそ成功してるといいが……くそっ、色々な意味で滅茶苦茶恥ずかしいってコレ
しかもよりによって即興の小ネタ投稿のタイミングで……あーもう立ち直れないんでこれで失礼します

299:名無しさん@ピンキー
08/01/05 00:25:51 Z2kSUIVs
ドジな所はどこかの誰かさんと一緒だな

300:名無しさん@ピンキー
08/01/05 01:41:01 Z2kSUIVs
#

301:あるルーン使いの有給休暇の話
08/01/05 18:56:42 JhQcLJIh
本スレ>>273の宣告が鬼過ぎて俺が泣いたので書き上げてみました。

注意書き
・ステイル=マグヌス×月詠小萌教諭
・エロ有り
・この小説の登場人物は全て18歳以上です
・無駄に長いです
・土御門を愛していますが何か問題でも?

こんなんでよろしければお付き合い下さい。

あと無駄に長いのでエロ開始時点でもう一度注意書きを入れます。
お忙しい方はまずそこまで飛ばして下さい。


ではでは。

302:あるルーン使いの有給休暇の話
08/01/05 18:57:38 JhQcLJIh
学園都市は基本的に八割を越すの学生と教職関係者が人工のほとんどを占めているが
大覇星祭、一端覧祭など多くの観客が集まる行事や
数々の外部の学者が集う学会なども頻繁に開かれる為ホテルもある程度は存在する。
しかし普段はほとんど客がいないのでどこのホテルも閑古鳥が鳴いているのだ。
学園都市から補助金が出ているものの、それだけでは経営が苦しいのでどうしても副収入が欲しくなる。
ここ、ジルトンホテルもその例に漏れず土日にはこうして昼食バイキングを開いて学生の客を集めているのだ。
しかしいくら昼食バイキングとは言え五ツ星ホテルの料理である。
料金はいわゆるお嬢様お坊ちゃまが『オホホホホ今日のお昼はあそこにするザマス』というレベルであり
当然そこに集まるのはマナーを身に着けた輩ばかりであってバイキング特有の慌しさは存在しない。
筈なのだが……

「うっひゃああああっっ!!??ねぇとうまっ!とうまっ!ホントにこれ全部食べていいのっ!?」
「おぉ好きなだけ食べろっ!もう飯を見るのも嫌だってくらい食べてくれっ!」

場違いに騒ぐ少年と少女がいた。
少女は青みがかった銀髪も異彩を放つが何より服装が異端だった。
白い修道女服に身を包んだその少女は学園都市では完全に浮いてしまっている。
一方少年の方はたいして特徴は無いが黒髪が異様にツンツンと逆立っていた。
少女は目を100カラットに輝かせて料理をうっとりと眺め続けている。
「インデックス!時間は一時間しかねぇんだっ!呆けてる暇があったら1グラムでも多く食べろっ!」
「うんっ!とうまっ!」
インデックスと呼ばれた少女は大きく頷くと彼女なりの最大速で駆け出した。
勿論そんな事をしたら周囲の客の注目を一身に集める事になるが
彼女はそんな事を構いはしないし彼女の外見が必死さを愛嬌に変えていた。
多くの客が嫌悪ではなく穏やかな好意をもって少女を眺めている。
喫煙BOXの中に作られた喫煙席に座るステイル=マグヌスもその中のひとりだ。
一人テーブルにつき、申し訳程度に皿に盛った料理にも手をつけずにインデックスを眺める姿は
その黒い服も手伝ってともすれば変質者と思われがちだ。
だがガラスに張った隠蔽のルーンのおかげで彼の姿は誰の目にも映らないし
映ったとしても彼の瞳を見ればそんな事は思わないだろう。
ただひたすらに、真摯に、愛情のみを感じさせる優しい瞳がそこにあった。
視線の先には
『ガツガツムシャムシャうまーっ!ハムハムガブガブうまーっ!』
と料理をひたすら口に頬張っては満面の笑みを浮かべているインデックスがいる。
頬や首にかけられたナプキンはもう食べこぼしでぐちゃぐちゃだ。
それを乱暴に拭くのは上条当麻の仕事だ。
もうステイルが優しく拭いてやる必要は無いし、そして拭いてやる事は出来ない。
彼は新たな煙草に火をつけ、そして大きく吸い込んだ後に思い切り紫煙を吐き出す。
少し煙が目に染みた。


303:あるルーン使いの有給休暇の話
08/01/05 18:59:00 JhQcLJIh
「うわぁ……もうしーあーわーせー……」
「あぁ……俺もウプッ……限界だ……」
最初はにこやかだったシェフを一時間の間に青ざめさせた二人(正確には少女一人)は
満足そうに食事の余韻を味わっていた。
当麻の方は食後のコーヒーを胃にいれる余裕など無かったが
インデックスは先程までの慌しさはどこにいったのか外見と一致した優美さで紅茶を嗜んでいる。
「とうまっ!また来ようねっ!」
「いやいやそれは無理でせうインデックスさん……上条家の予算ではこんなトコ二度と無理っ!
 土御門がここのチケット気前良くくれたから来れたんだからな?」
少女が不満の声を上げるが少年は取り合わない。
その後数分間少女が一方的に少年に食いかかっていたが少年がコーヒーを飲み終わると仲良くホテルを出て行った。



インデックス達の姿を最後まで追い続けていたステイルは、
ふたりが見えなくなってからようやく一言呟く。
「やれやれ……彼女が食べたいものを食べさせてやるくらいの甲斐性も無いのか君は。
 つくづく駄目な男だな」
結局料理には手をつけず、かわりに灰皿の上に煙草の吸殻が積まれて山を形成していた。
シェフには悪いが、料理を食べる余裕など無かったのだ。
あの子の姿を、笑顔を、脳裏に刻み付ける事に精一杯で。
土御門元春は優秀なスパイだ。彼の協力を仰いだ成果をもう一度脳内で反芻する。
恐らくこれの代償にいつか無茶を押し付けられるだろうが、それが何だと言うのか。
魂に刻んだ魔法名にこめられた想いは、今も全く色褪せていないのだから。
「神裂も誘えば良かったかな?」
彼の同僚であるあの聖人も、きっとこの光景をとても喜んだだろう。
もしかしたら涙ぐんでしまうかもしれない。
科学に頼るのはシャクだが写真でもとっておけば良かったかと軽く後悔した。
咥えていた煙草を灰皿に押し付けて火を消し、席を立つ。
そのままホテルを出たステイルを秋風が襲った。
全身を包む長衣のおかげで寒さは感じないが頬は冷える。
予約してあった別のホテルに早く向かおうとして

「あーーーーーっ!!!あなたはもしかしてーーーー!!!」

いつか聞いた覚えのある声が背後からステイルを襲った。
声は勿論ステイルの耳に届いているし、その声だけで彼はそれが誰か解ったが
敢えて無視して早足で先を急いだ。
しかし後ろからパタパタパタパタパタパタっっ!!という猛烈な足音が近づいてくる。
嫌な感覚が彼を襲う。追いつかれれば終わりだ。
いっその事駆け出そうかと考えたその時、後ろから回り込んだ何かがステイルのお腹にぶつかった。
「きゃっ!」
可愛らしい声を上げて倒れたのは彼の予想通り、
「……お久しぶりです」
「ほらやっぱりー」
満面の笑みを浮かべる桃色のワンピースと髪の少女(?)だった。

304:あるルーン使いの有給休暇の話
08/01/05 18:59:54 JhQcLJIh
ステイルが差し伸べた手をとって立ち上がった月詠小萌はニコニコニコニコニコニコニコォっ!と
どこかの背後霊ならラッシュを放ちそうな勢いで笑みを深くした。
「ステイル=マグヌスちゃん、ですよねー?上条ちゃんに名前を聞いておいたのですよー」
「……えぇ、そうですが……」
ステイルはいきなりの『ちゃん付け』に内心たじろいだものの、とりあえず返事をする。
冷たい感じに聞こえるように丁寧語を選択する事も忘れなかった。
「今からお時間はありますかー?折角の機会ですし、あの時のお礼をしたいのですがー」
「いえ、大変残念ですが今晩泊まるホテルにチェックインの手続きをしなければならないので」
冷たい拒絶の声に笑顔が力を失い、ただでさえ小さな背がますます縮んでしまう。
僅かにステイルは罪悪感を覚えた。が、これ以上彼女に関わってしまうのもまずい。
ただでさえ彼女の魔術を手伝うという馬鹿な真似をしたのだ。
魔術は、それに精通した彼だからこそ言えるのだが外道・外法の知識だ。
それを必要としない一般人が関わるべきものではない。
自分と関わるということは魔術に絡んだ何かに巻き込んでしまう危険があるのだから
彼女との縁だってここで終わらせてしまった方が彼女の為だ。
「そ、それならっ!せめてそのホテルまで案内させて欲しいのですよー!」
しかし彼女は食い下がる。
「……なら、案内をお願い出来ますか?」
ステイルは少し考え込んだがその提案を受け入れる事にした。
彼が学園都市の地理に明るくない事は事実だし、
ここで拒否したらまた彼女がステイルに別の形で関わろうとする事が容易に予想出来たからだ。
「はいっ!」
一瞬でさっきの笑顔の輝きを取り戻し元気に返事をした彼女は、
誰がどうみても彼より年上には見えなかった。
「僕が予約したのは経国ホテルというホテルです」
「うわぁっ!?本当ですかっ!?随分とリッチなのですねー!」
宿泊先のホテルの名前をステイルが告げると彼女はかなり驚いた。
幼い頃から魔術に明け暮れていた彼の趣味は煙草くらいのものだし
『必要悪の教会』の給料もそこそこの額だ。どうしても預金残高は大きくなっていく。
たまの機会にはこうして浪費する癖がいつの間にかついてしまっていた。
先導して歩く彼女の後をついていくが、いかんせん足の長さが違い過ぎた。
彼女の名誉の為に追い抜いてしまわぬようさりげなく歩幅を狭める。
少しきゅうくつな思いをしながら暫く彼女の後をついていく。
「そういえば、上条ちゃんとはどういうお知り合いなのですかー?」
「いえ、あのば……上条君とは……」
唐突な質問は内容もあいまって返答に詰まった。

「―――――なら、インデックスちゃんのお友達ですかー?」

彼女としては当麻よりも外人であるインデックスの方が関係性があるかと考えただけだ。
そこに他意は無い。
ステイル=マグヌスは月詠小萌が先導している現在の状況に感謝した。
きっと今の自分の表情は歪んでいるだろうから。

「えぇ、そうですよ」

鉄の意志で打ち潰した声に、震えは無かった。


305:あるルーン使いの有給休暇の話
08/01/05 19:01:37 JhQcLJIh
と、唐突に彼女の歩みが止まり、振り向いた。
ステイルがいぶかしむ間も無く、彼女はただでさえ低い位置にある頭を更に下げる。
「ごめんなさい」
「?……道でも間違えたのですか?」
彼女に謝られる理由などステイルには思いつかない。
だが上げた彼女の顔には深い罪の意識が感じられた。
「そうじゃなくてですねー……あの、その……」
「だから、何ですか?」
「いえ、その、……何でもなかったのですよー」
また彼女は前を向き歩いていく。方向転換などはしなかった事から道の間違いでは無いらしい。
しかしその背は明らかに先程よりも元気がなかった。
(……気まずいな……)
ストレスを感じるとつい口が寂しくなる。懐から煙草を取り出そうとし……止めた。
この国ではマイナーな銘柄だ。
大半が学生の学園都市では煙草の需要もあまり多くなく、この銘柄を見かける事はまず無い。
ホテルでの一時間でいつもよりもハイペースで煙草を消費してしまったから少し我慢しておかないと
明日の帰りまでにニコチンという福音の存在しない地獄行きになるかもしれないからだ。
加えて、この女性の前で吸うと箱ごと没収されかねない。
しかし気まずい雰囲気はどうしようも無い。
「…………そう言えば、貴方の方は時間は大丈夫なんですか?」
ステイルは散々迷った末、出来るだけ優しい声で無理矢理話題を振ってみた。
「あ、私ですかー?いえ、私の方は全然大丈夫ですよー?
 本当は今日は授業で使うプリントをつくろうと……あ、あの私が教師をやってる事は言いましたっけー?」
「えぇ、あのば……上条君から聞いてます」
「その上条ちゃんのお友達の土御門ちゃんって子がいましてですねー。
 買い物中に財布を落としたって電話があったので一緒に探してたのですよー」
駄目な子程可愛くてしょうがない彼女はまた笑みに輝きを取り戻していた。
一方ステイルは表情を取り繕いながら心中で思い切り苦虫を噛み潰す。
(これはアイツの差し金かっ!)
偶然にしては出来過ぎていると感じていたが、こうまで露骨にやられるとグウの音も出ない。
「探すのに半日かかっちゃったんで今日はもうお休みにしようと思ってたのですが、
 そこで偶然ステイルちゃんを発見したのですよー」
(いや、それは偶然じゃなくて明らかに土御門の悪意の結果なんだが……)
と、チビッ子先生の足が止まる。目の前には豪奢なホテルがそびえ立っていた。
「あ、あのー……チェックインの手続きで何か戸惑うことがあるかもしれませんしー、
 中までついていってもいいでしょうかー?」
「いえ、ここまで案内して貰った事で充分ですよ。どうもありがとうございました」
やんわりと断ると
(……うわぁっ!すごくショボーンとしたっ!)
ステイルが内心たじろくぐらい小萌は肩を落とした。それはもう滝のような勢いで。
彼は紳士の国で育ってきた。紅茶を愛しているし女性に優しくするのは信条だ。
「……そうですか……」
ともすればその場にしゃがみこんでアスファルトに『のの字』を描きかねない凹みっぷりに
「……すみません、やっぱりお願い出来ますか?」
折れざるを得なかった。


とはいえチェックインの手続きを済ませれば今度こそ終わりだと、そう考えていたステイルに
「いえ……あの、このご予約でしたらご解約されておりますが……」
ホテルマンが申し訳無さそうに告げる。
「は?いえ、あの、確かに予約をしたのですが……」
「しかし記録では今朝ご解約されてますし、違約金ももう頂いているのですが……」
今日ステイルがここに泊まる事を知っているのは彼以外には土御門しかいない。
勿論こんな真似が出来るのも彼だけだ。
(やられた……!)
しかし、意図が解らない。どうしてホテルの予約を解除したのか、その真意が掴めなかった。

306:あるルーン使いの有給休暇の話
08/01/05 19:03:06 JhQcLJIh
「あ、あの!どうかしたのですかー?」
まごついている彼の様子を見かねて、小萌が近づいてきた。
タイミング悪くホテルマンがステイルに提案をする。
「今から別のお部屋をご用意する事も出来ますが……」
「ほえ?という事は何かトラブルでもあったのですかー?」
「えぇ。こちらのお客様がされた予約は既に解約されていまして……」
流石は一流ホテルのホテルマンだ。外見からは小学生にしか見えない小萌相手にも
完璧な礼儀を守った上で応対をしてみせる。
しかしその生真面目さはステイルを追い詰める事にしか繋がらない。
それはどこの国の人間が見ても一目で『やったっ!』と思っている表情を浮かべて
両手を合わせるチビッ子先生。
「あぁ、それならちょうど良かったのですよー!」
何となく嫌な予感しかしなかったステイルはまず断った。
「いえ、結構です」
「うぁっ!?何で聞きもせずに断るのですかーっ!?」
いきなりの否定にチビッ子先生は少し涙目になる。
くるくると万華鏡のように変わっていく表情。誰かを本当の意味で心配出来るという稀有な在り方。
ステイルは耐えられなくなり小萌の視線から逃れるように顔を逸らした。

(……本当にこの人は……あの子を思い出させてくれる……)

「あのー!聞いてますかー!ステイルちゃんは泊まるところが無いんですよねー?」
一度固くまぶたを閉じる。きつく、きつく何かの栓を閉めるように。
そして正面から小萌から正面から向き合う。
と言っても背が大きく違うのでどうしても見下ろす形になってしまうが。
「はい、そうですが……それで、何かいい案でもあるんですか?」
(知り合いの家でも紹介してくれるのかな?……あの馬鹿の家など願い下げだが)
しかし目の前のとてもそうは見えないいい年した大人の案は
「はいっ!少し汚いのですけど、私の部屋に泊まればいいのですよーっ!」
ステイルの予想の斜め上をカッ飛んでいた。思わず右肩がガクンと落ちる。
「ちょっ!ちょっと待て!貴方は何を言ってるか解ってるのかっ!?」
「勿論夕飯の費用も光熱費も全部こちら持ちですよー?
 お金だって浮きますしお得だと思うのですがー」
「いや、そうじゃなくて……」
「善は急げなのですよー!夕ご飯の準備もありますしー!」
この小さな体のどこに、と思わせる強烈な力でステイルの体は引っ張られていく。
「いや、だから、あの……」
小さな手がこちらの手首を握り、乱暴に引っ張る。
体の小さな女の子が無駄にデカイ男の子を強引に連れて行く。
それはいつか、どこかでも見られた光景。

『ステイルっ!あそこのスコーンのお店で新作が出たんだよっ!私としては是非是非試してみたいかも!』

(僕の話を少しは聞いてくれ……)
いつかとよく似たその感覚は、いつかと同じで不思議と嫌ではなかった。

307:あるルーン使いの有給休暇の話
08/01/05 19:05:07 JhQcLJIh
「ステイルちゃんは何か食べれないものはありますかー?」
スーパーに備え付けのかごを両手で持って先導する月詠小萌の後をステイル=マグヌスはついていく。
まだお昼過ぎという事で客はまばらで、奇妙な恰好をしたステイルを見咎めるものもほとんどいない。
「いや、特にないんだが」
「あぁっ!!!」
いきなり大きな声を上げる彼女は、くるりと回転するとステイルの方を向いた。
その瞳は大きく見開かれている。
「あのぉ……そう言えば、ステイル=マグヌスですからマグヌスが苗字ですよねー……
 マグヌスちゃんと呼んだ方がいいですかー?」
小萌の奇妙な質問に、ステイルの右肩がまたガクリと大きく落ちた。
「……それよりも、ちゃん付けをまず気にするべきだと思うが……
 それに僕の国ではファーストネームで呼ぶのが一般的だ。そのままでいい」
「そういえばそうですねー。ならこのままステイルちゃんで行くのですよー」
気を取り直したステイルは小萌の手からカゴを奪った。
無言だったがきょとんとした目で見られ続けた為に渋々言葉を添える。
「……こういうのは男の役目だ。違うかい?」
「ありがとうなのですよー」
ステイルは小萌の笑顔からは目をそらす。
目を嬉しそうに細めて浮かべる屈託の無い笑顔はあの子に似すぎているから。
「あ、そういえばいつの間にか丁寧語じゃなくなりましたねー」
「……そう言えばそうだな……丁寧語に戻します」
「いえっ!そんなの気にしなくていいのですよーっ!
 先生、丁寧語を使うのはいいですけど使われるのは苦手ですしー」
(それは教育者としてはどうなんだ)
つっこみは内心だけで済ませておいた。
ステイルは日本文化に精通しているとはいえ、日本の生鮮食品店の勝手などは解らない。
テコテコ歩くチビッ子の後を大人しくついていく目の下にバーコードのある大男。
「それじゃ焼肉にしましょうかー。ステイルちゃんは牛肉はお好きですかー?」
「まぁ、嫌いじゃないかな」
キャベツと玉ねぎ、ナスなどがステイルの持つカゴにほおりこまれて行く。
野菜の棚が終われば次は魚貝類のゾーンだ。ホタテや竹輪が加わった。
そして二人は精肉の棚の前へとやってきた。と、そこで値札を見て小萌の動きが止まる。
「…………そういえば買い忘れたものがあるのでここで待っていて欲しいのですよー」
そう言ってトコトコと棚の影へと消えていく外見幼女教師。
予想はついたがステイルがそっと後を追うと見えない所でやはり財布の中身を確認していた。
可愛らしく眉間に皺を寄せている。
ステイルが元の棚の前に戻ってからしばらくすると小萌が戻って来た。
「このお肉を包んで欲しいのですよー」
彼女が指したのはこの店で一番高い肉だった。ちょっと指が震えている。
(やれやれ……)
その後、焼肉のタレや漬け込みのカルビなどをカゴにほおりこんでレジへと向かった。
カゴを置くと同時に、ステイルはレジの前に陣取り財布を取り出す。
「うあーっ!?何をしているのですかーっ!?」
「何って……見ての通り会計だが……」
「今日は全部私の奢りだって言った筈なのですよーっ!」
「貴方は確かに言ったけど僕はそれを了承していない。まぁ宿泊費とでも思ってくれればいいよ」
「それは屁理屈というのですよーっ!大人しくそこをどきなさいーっ!」
しかしステイルは財布から諭吉ちゃんをドローしてターンエンドだ。
「それこそ却下だ。それにもう払い終わったしね」
お釣りを受け取り自身の傍らに視線を落とすと、そこには北風を身に纏わせた少女がいた。
何かもう目が死んでいる。
「うぅ……折角のチャンスがー……」
「さて、出来れば早く案内してくれないかな?僕もそろそろゆっくりしたいんだが」
「うぅぅ……わかったのですよー……」

308:あるルーン使いの有給休暇の話
08/01/05 19:08:24 JhQcLJIh
大きいビニール袋がひとつと小さいビニール袋がひとつだったのでそれを分担して持ち、
月詠小萌の部屋の前までやってきたふたり。
そこで何かに気付いたように小萌の動きが止まる。
「ちょ、ちょっと待っていて欲しいのですよーっ!」
そうして一人部屋の中へと入っていった。
彼女によく似た少女を知っているからステイルには彼女が何をしようとしているのかが手に取るように解る。
数分後、
「お、お待たせしましたー……」
ちょっと額に汗をかいた小萌がドアを開いたのでステイルは中に入った。
台所にスーパーの袋を置くと、ずかずかと小萌の部屋を散策する。
「ちょっ!何をしているのですかーっ!レディの部屋を漁るなんてハレンチな真似は」
「ここかな?」
ステイルが戸を開け放つと、そこから雪崩のように物が落ちてきた。
ビールの空き缶、服、プリントなどの紙束、専門書エトセトラエトセトラ。
ステイルが床に広がったカオスを冷ややかな目で見下してから視線を移すと、
その容姿に良く似合う涙目をした女教師がいた。
「その場しのぎのごまかしをするのは教職者として、というか大人としてどうかと思うのだが」
「えっと……その……」
「とりあえずまだ日も高い。掃除を始めようか」


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